JP6102227B2 - インク用バインダー、インク、インクジェット印刷用インク及び印刷物 - Google Patents

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Description

本発明は、印刷に使用可能なインクのバインダー、それを含有するインク、特にインクジェット印刷用インクに関する。
近年、成長が著しいインクジェット印刷関連業界では、インクジェットプリンターの高性能化やインクの改良等が飛躍的に進み、一般家庭でも容易に銀塩写真並みの高光沢で高精細な画像を得ることが可能となりつつある。
なかでもインクについては、従来の染料インクから顔料インクへの移行や、溶剤系から水系への移行等の、高画質化と環境負荷低減とを目的とした改良が急速に進められており、現在は、水系の顔料インクをベースとしたインク開発が積極的に行われている。
また、前記インクには、インクジェットプリンター等の高性能化に伴って、年々、一層高いレベルの性能が要求されるようになっており、例えば、インク吐出ノズルからインクの吐出を繰り返し行った場合であっても吐出不良を引き起こすことなく、また、長期間印刷を行わない場合であっても、インクの凝集等を引き起こさないレベルの保存安定性が、近年求められている。
前記インクとしては、例えば、顔料、水性樹脂及び水性媒体を含むインクジェット記録用インクにおいて、前記水性樹脂が有機ジイソシアネートと、ポリオキシエチレン構造を有するジオールとを反応させて得られるポリウレタン樹脂であって、前記ポリウレタン樹脂がカルボキシル基を有し、かつ特定の酸価、数平均分子量、及び特定量の前記ポリオキシエチレン構造を有するものであるインクジェット記録用インクが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、前記インクジェット記録用インクは、前記したレベルの保存安定性にはあと一歩及ぶものではなく、また、インク吐出ノズルの詰まりや、インク吐出方向の異常を引き起こす場合があった。
特開2000−1639号公報
本発明が解決しようとする課題は、保存安定性に優れ、かつ、インクの吐出安定性に優れたインク及びインクジェット印刷用インク、ならびに、それらの製造に使用可能なインク用バインダーを提供することである。
本発明者等は、前記課題を解決すべく検討した結果、ヒダントイン構造を有するポリウレタンを含有するインク用バインダーを使用することによって、前記課題を解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で示されるヒダントイン構造を有するポリウレタン(A)及び水性媒体(B)を含有するインク用バインダーであって、前記ポリウレタン(A)が、前記ポリウレタン(A)全体に対して前記一般式(1)で示される構造を3質量%〜30質量%の範囲で有するものであることを特徴とするインク用バインダーに関するものである。
Figure 0006102227
〔一般式(1)中のR及びRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表す。
また、本発明は、顔料と顔料分散剤とを含有する顔料水分散体と、前記インク用バインダーとを含有するインク及び印刷物に関するものである。
本発明のインク用バインダーを用いて得られるインク及びインクジェット印刷用インクは、長期間にわたり、インクを繰り返し吐出した場合であっても、インク吐出ノズルの詰まりや、インク吐出方向の異常を引き起こすことがないなど、インク吐出安定性に優れるものである。また、本発明のインクは、長期間印刷を行わなかった場合であっても、インクの凝集等を引き起こすことがなく保存安定性に優れる。
本発明のインク用バインダーは、ヒダントイン構造を有するポリウレタン(A)及び水性媒体(B)を含有することを特徴とするものである。
ここで、インク用のバインダーとは、インクに、インク吐出安定性や保存安定性等の高機能を付与することを目的として使用される樹脂である。したがって、前記インク用バインダーは、顔料に水分散性を付与することを目的として使用される顔料分散剤としての樹脂とは別に使用するものである。
本発明では、前記特定のインク用バインダーを使用することによって、インクの吐出安定性や保存安定性に優れたインク、特にインクジェット印刷用インクを得ることができる。
はじめに、本発明で使用するポリウレタン(A)について説明する。
本発明で使用するポリウレタン(A)は、ヒダントイン構造を有するものである。前記ヒダントイン構造は、具体的には、下記一般式(1)で示される環状の構造が挙げられる。
Figure 0006102227
〔一般式(1)中のR及びRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表す。〕
前記一般式(1)中のR及びRとしては、水素原子、または、メチル基、エチル基等のアルキル基が挙げられ、メチル基、エチル基であることが好ましい。
前記ヒダントイン構造は、インクの吐出安定性及び保存安定性を格段に向上し、鮮明な印刷画像を形成可能なインクを製造するうえで必須の構造である。
前記ポリウレタン(A)としては、例えば下記一般式(1−1)で示される構造であることが、ポリウレタン(A)中に前記ヒダントイン構造を導入しやすいため好ましい。
Figure 0006102227
〔一般式(1−1)中のR及びRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立してアルキレン基を表す。〕
前記一般式(1−1)中のR及びRとしては、水素原子、または、メチル基、エチル基等のアルキル基が挙げられ、メチル基、エチル基であることが好ましい。また、一般式(1−1)中のR及びRとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基等のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基であることが好ましい。
前記一般式(1)で示されるヒダントイン構造は、前記ポリウレタン(A)全体に対して1質量%〜30質量%の範囲で存在することが好ましく、3質量%〜20質量%の範囲で存在することがより好ましく、4質量%〜15質量%の範囲で存在することがさらに好ましく、6質量%〜15質量%の範囲で存在することが、インクの吐出安定性や保存安定性のより一層優れたインクを製造するうえで特に好ましい。
前記一般式(1−1)を有するポリウレタン(A)についても、前記一般式(1−1)中に含まれる一般式(1)で示されるヒダントイン構造が、前記ポリウレタン(A)全体に対して1質量%〜30質量%〜30質量の範囲で存在することが好ましく、3質量%〜20質量%の範囲で存在することがより好ましく、4質量%〜15質量%の範囲で存在することがさらに好ましく、6質量%〜15質量%の範囲で存在することが特に好ましい。
前記ヒダントイン構造を有するポリウレタン(A)としては、インクの吐出安定性をより一層向上するうえで、5,000〜100,000の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、10,000〜50,000の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することがより好ましい。
また、前記ポリウレタン(A)は、水性媒体(B)中における優れた分散安定性を付与する観点から、例えばアニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基等の親水性基を有するものを使用することが好ましく、アニオン性基及びカチオン性基のいずれか一方または両方を組み合わせ使用することがより好ましい。
前記アニオン性基としては、例えばカルボキシル基、カルボキシレート基、スルホン酸基、スルホネート基等を使用することができ、なかでも、前記カルボキシル基やスルホン酸基の一部または全部が塩基性化合物等によって中和されたカルボキシレート基やスルホネート基を使用することが、良好な水分散安定性を付与するうえで好ましい。また、前記カチオン性基としては、例えば3級アミノ基等を使用することができる。また、前記ノニオン性基としては、ポリオキシエチレン構造等が挙げられる。
前記親水性基は、前記ポリウレタン(A)全体に対して15mmol/kg〜2,000mmol/kgの範囲で存在することが好ましく、500mmol/kg〜1,000mmol/kgの範囲であることが、優れた保存安定性や吐出安定性を備えたインク用バインダーを得るうえでより好ましい。
また、前記ポリウレタン(A)としては、前記ポリウレタン(A)全体に対して0質量%〜2質量%の範囲のウレア結合を有するものを使用することが、インクの吐出安定性をより一層向上するうえでより好ましい。
また、前記ポリウレタン(A)としては、前記ポリウレタン(A)全体に対して1級アミノ基を0質量%〜5質量%の範囲で有するものを使用することが、顔料の一部溶解や顔料粒子の粗大化を防止し、印刷画像の鮮明性をより一層向上し、分散安定性や吐出安定性をより一層向上するうえで好ましく、0質量%〜1質量%の範囲であることがより好ましく、0質量%〜0.1質量%であることがさらに好ましい。
前記ポリウレタン(A)は、例えばヒダントイン構造を有するポリオールを含有するポリオール(a1)と、ポリイソシアネート(a2)と、必要に応じて鎖伸長剤とを反応させることによって製造することができる。前記ポリイソシアネートや鎖伸長剤としてヒダントイン構造を有するものを使用してもよい。
前記ヒダントイン構造を有するポリオールとしては、前記一般式(1−1)で示される構造を有するものを使用することができる。具体的には、下記一般式(2)で示されるポリオールを好適に使用することができる。
Figure 0006102227
〔一般式(2)中のR及びRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立してアルキレン基を表す。〕
前記一般式(2)中のR及びRとしては、水素原子、または、メチル基、エチル基等のアルキル基が挙げられ、メチル基、エチル基であることが好ましい。また、一般式(1−1)中のR及びRとしては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基またはブチレン基等のアルキレン基が挙げられ、メチレン基、エチレン基であることが好ましい。
前記ポリオール(a1)としては、前記したヒダントイン構造を有するポリオールとともに、必要に応じてその他のポリオールを使用することができる。
前記その他のポリオールとしては、例えば前記ポリウレタン(A)に良好な水分散安定性を付与する観点から、親水性基を有するポリオールを使用することができる。
前記親水性基を有するポリオールとしては、例えば、アニオン性基を有するポリオール、カチオン性基を有するポリオール、及びノニオン性基を有するポリオールを使用することができ、なかでもアニオン性基を有するポリオールまたはカチオン性基を有するポリオールを使用することが好ましい。
前記アニオン性基を有するポリオールとしては、例えばカルボキシル基を有するポリオールや、スルホン酸基を有するポリオールを使用することができる。
前記カルボキシル基を有するポリオールとしては、例えば2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸等を使用することができ、なかでも2,2−ジメチロールプロピオン酸を使用することが好ましい。また、前記カルボキシル基を有するポリオールと各種ポリカルボン酸とを反応させて得られるカルボキシル基を有するポリエステルポリオールも使用することもできる。
前記スルホン酸基を有するポリオールとしては、例えば5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5[4−スルホフェノキシ]イソフタル酸等のジカルボン酸、及びそれらの塩と、前記低分子量ポリオールとを反応させて得られるポリエステルポリオールを使用することができる。
前記カルボキシル基を有するポリオールやスルホン酸基を有するポリオールは、前記ポリウレタン(A)の酸価が10〜70となる範囲で使用することが好ましく、10〜60となる範囲で使用することがより好ましく、30〜50となる範囲で使用することが特に好ましい。なお、本発明で言う酸価は、前記ポリウレタン(A−1)の製造に使用したカルボキシル基含有ポリオール等の酸基を有する化合物の使用量に基づいて算出した理論値である。
前記アニオン性基は、それらの一部または全部が塩基性化合物によって中和されていることが、良好な水分散性を発現するうえで好ましい。
前記アニオン性基を中和する際に使用可能な塩基性化合物としては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、モルホリン、モノエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の沸点が200℃以上の有機アミンや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等を含む金属水酸化物等を使用することができる。前記塩基性化合物は、得られるインクの水分散安定性を向上させる観点から、塩基性化合物/アニオン性基=0.5〜3(モル比)となる範囲で使用することが好ましく、0.9〜2(モル比)となる範囲で使用することがより好ましい。
また、前記カチオン性基を有するポリオールとしては、例えば3級アミノ基を有するポリオールを使用することができ、具体的にはN−メチル−ジエタノールアミンや、1分子中にエポキシを2個有する化合物と2級アミンとを反応させて得られるポリオールなどを使用することができる。
前記カチオン性基は、その一部または全部が、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、アジピン酸等の酸性化合物で中和されていることが好ましい。
また、前記カチオン性基としての3級アミノ基は、その一部または全部が4級化されていることが好ましい。前記4級化剤としては、例えばジメチル硫酸、ジエチル硫酸、メチルクロライド、エチルクロライド等を使用することができ、ジメチル硫酸を使用することが好ましい。
また、前記ノニオン性基を有するポリオールとしては、エチレンオキサイド由来の構造単位を有するポリアルキレングリコール等を使用することができる。
前記親水性基を有するポリオールは、前記ポリウレタン(A−1)の製造に使用する原料の合計質量に対して、1質量%〜45質量%の範囲で使用することが好ましい。
また、前記その他のポリオールとしては、前記したもの以外に、例えばポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール等を使用することができる。なかでも、インクの保存安定性をより一層向上するうえで、ポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。
前記ポリエーテルポリオールとしては、例えば活性水素原子を2個以上有する化合物の1種または2種以上を開始剤として、アルキレンオキサイドを付加重合させたものを使用することができる。
前記開始剤としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等を使用することができる。
また、前記アルキレンオキサイドとしては、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド、エピクロルヒドリン、テトラヒドロフラン等を使用することができる。
前記ポリエーテルポリオールとしては、具体的には、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールを使用することが、インクの吐出安定性を向上するうえで好ましく、ポリオキシテトラメチレングリコールやポリプロピレングリコールを使用することがより好ましい。また、前記ポリエーテルポリオールとしては、1,000〜3,000の数平均分子量のものを使用することが、印刷表面のタック感を抑制し耐水性に優れた印刷物をえるうえでより好ましい。
また、前記ポリエステルポリオールとしては、例えば低分子量のポリオールとポリカルボン酸とをエステル化反応して得られる脂肪族ポリエステルポリオールや芳香族ポリエステルポリオール、ε−カプロラクトン等の環状エステル化合物を開環重合反応して得られるポリエステル、これらの共重合ポリエステル等を使用することができる。
前記低分子量のポリオールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコ−ル等を使用することができる。
また、前記ポリカルボン酸としては、例えばコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、及びこれらの無水物またはエステル形成性誘導体などを使用することができる。
また、前記ポリエステルエーテルポリオールとしては、例えば前記開始剤に前記アルキレンオキサイドが付加したポリエーテルポリオールと、ポリカルボン酸とが反応したものを使用することができる。前記開始剤や前記アルキレンオキサイドとしては、前記ポリエーテルポリオールを製造する際に使用可能なものとして例示したものと同様のものを使用することができる。また、前記ポリカルボン酸としては、前記ポリエステルポリオールを製造する際に使用可能なものとして例示したものと同様のものを使用することができる。
また、前記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば炭酸エステルとポリオールとを反応させて得られるもの、ホスゲンとビスフェノールA等とを反応させて得られるものを使用することができる。
前記炭酸エステルとしては、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネ−ト等を使用することできる。
前記炭酸エステルと反応しうるポリオールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−ブチル−2−エチルプロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノール−A、ビスフェノール−F、4,4’−ビフェノール等の比較的低分子量のジヒドロキシ化合物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリヘキサメチレンサクシネート、ポリカプロラクトン等のポリエステルポリオール等を使用することができる。
また、前記ポリイソシアネート(a2)としては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネートあるいは脂環式構造を有するポリイソシアネートを使用することができる。なかでも、黄変色を防止する観点では脂肪族ポリイソシアネートを使用することが好ましく、前記変色防止とともに、耐擦過性や耐アルカリ性のより一層の向上を図る観点では、脂肪族環式構造を有するポリイソシアネートを使用することが好ましい。
前記ポリウレタン(A)は、例えばヒダントイン構造を有するポリオールを含有するポリオール(a1)と、ポリイソシアネート(a2)とを、溶媒存在下または無溶媒下で反応させ、必要に応じて脱溶媒することによって製造することができる。
前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)との反応は、例えば、前記ポリオール(a1)が有する水酸基に対する、前記ポリイソシアネート(a2)が有するイソシアネート基の当量割合が、0.8〜2.5の範囲で行うことが好ましく、1〜1.5の範囲で行うことがより好ましい。
また、前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)との反応は、20℃〜120℃の範囲で30分〜24時間程度の範囲で行うことが好ましい。
前記ポリオール(a1)と前記ポリイソシアネート(a2)との反応で使用可能な溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル;アセトニトリル等のニトリル;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミドを単独で使用または2種以上を使用することができる。
また、前記ポリウレタン(A)を製造する際には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて鎖伸長剤を使用することができる。
前記鎖伸長剤としては、例えばエチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン;N−ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、N−エチルアミノエチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン等の1個の1級アミノ基と1個の2級アミノ基を含有するジアミン;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン;ヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン等のヒドラジン;コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド;β−セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド、3−セミカルバジド−プロピル−カルバジン酸エステル、セミカルバジッド−3−セミカルバジドメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等のセミカルバジドを使用することができる。
また、前記アミンとしては、ヒドラジン構造を有するアミンを使用することもできる。前記ヒドラジン構造を有するアミンとしては、例えば1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン)を使用することができる。
前記ポリアミンは、ポリアミンが有するアミノ基と、ウレタン樹脂の有するイソシアネート基との当量比が、1.9以下(当量比)となる範囲で使用することが好ましく、0.5〜1.5(当量比)の範囲で使用することがより好ましい。
また、前記鎖伸長剤としては、活性水素含有化合物を使用することができ、例えば、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール、及び水等を、本発明のインク用バインダーの保存安定性を低下させない範囲内で単独で使用または2種以上を併用することができる。
前記ポリウレタン(A)の水性化は、例えば、次のような方法で行うことができる。
〔方法1〕ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)とを反応させて得られたポリウレタン(A)の親水性基の一部又は全てを中和又は4級化した後、水性媒体(B)を投入してポリウレタン(A)を水分散させる方法。
〔方法2〕ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)とを反応させて得られたポリウレタン(A)の親水性基の一部又は全てを中和又は4級化した後、水性媒体(B)を投入し、必要に応じて前記鎖伸長剤を用いて鎖伸長することによりポリウレタン(A)を水分散させる方法。
〔方法3〕ポリオール(a1)とポリイソシアネート(a2)とを反応させて得られたポリウレタンと、必要に応じて前記と同様の鎖伸長剤とを、反応容器中に一括又は分割して仕込み、鎖伸長反応させることでポリウレタン(A)を製造し、次いで得られたポリウレタン(A)中の親水基の一部又は全てを中和又は4級化した後、水性媒体(B)を投入して水分散せしめる方法。
本発明のインク用バインダーで使用する水性媒体(B)は、前記ポリウレタン(A)が分散しうる溶媒である。前記水性媒体(B)としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−及びイソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム類、等が挙げられる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、又は、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみが特に好ましい。
前記〔方法1〕〜〔方法3〕では、必要に応じて乳化剤を使用してもよい。また、水溶解や水分散の際には、必要に応じてホモジナイザー等の機械を使用しても良い。
前記乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体等のノニオン系乳化剤;オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルカンスルフォネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム塩等のアニオン系乳化剤;アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等のカチオン系乳化剤が挙げられる。なかでも本発明のインク用バインダーの優れた保存安定性を維持する観点から、基本的にアニオン性又はノニオン性の乳化剤を使用することが好ましい。また、本発明のインク用バインダーの混和安定性を維持可能な範囲であれば、例えばカチオン性の乳化剤と両性の乳化剤とを併用してもよい。
また、本発明のバインダーを製造する際には、ポリウレタン(A)の水分散性を助ける助剤として、親水基を有する化合物を使用してもよい。
かかる親水基を有する化合物としては、アニオン性基を有する化合物、カチオン性基を有する化合物、両性基を有する化合物、又はノニオン性基を有する化合物を用いることができるが、本発明のインク用バインダーの優れた保存安定性を維持する観点から、ノニオン性基を有する化合物を使用することが好ましい。
前記ノニオン性基を有する化合物としては、分子内に少なくとも1個以上の活性水素原子を有し、かつエチレンオキシドの繰り返し単位からなる基、及びエチレンオキシドの繰り返し単位とその他のアルキレンオキシドの繰り返し単位からなる基からなる群から選ばれる少なくとも一つの官能基を有する化合物を使用することができる。
例えば、エチレンオキシドの繰り返し単位を少なくとも30質量%以上含有し、ポリマー中に少なくとも1個以上の活性水素原子を含有する数平均分子量300〜20,000のポリオキシエチレングリコール又はポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体グリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシブチレン共重合体グリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシアルキレン共重合体グリコール又はそのモノアルキルエーテル等のノニオン基含有化合物又はこれらを共重合して得られるポリエステルポリエーテルポリオールなどの化合物を使用することが可能である。
また、本発明のインク用バインダーは、保存安定性やインク吐出性を低下させない範囲で、必要に応じて硬化剤や硬化触媒を含有しても良い。
前記硬化剤としては、例えばシラノール基及び/または加水分解性シリル基を有する化合物、ポリエポキシ化合物、ポリオキサゾリン化合物、ポリイソシアネート等を使用することができ、前記硬化触媒としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸カリウム等を使用することができる。
以上の方法で得られたポリウレタン(A)と水性媒体(B)とを含有するポリウレタン組成物は、もっぱらインク、特にインクジェット印刷用インクのバインダーとして好適に使用することができる。
前記インク用バインダーは、優れた保存安定性と吐出安定性とを付与する観点から、前記インク用バインダーの全量に対して、ポリウレタン(A)を10〜50質量%含まれることが好ましく、15〜35質量%含まれることがより好ましい。また、前記インク用バインダーは、前記インク用バインダーの全量に対して、水性媒体(B)を50質量%〜90質量%含まれることが好ましく、65質量%〜85質量%含まれることがより好ましい。
次に、本発明のインクについて説明する。
本発明のインクは、顔料及び顔料分散剤を含有する顔料分散体と、前記インク用バインダーとを含有するものである。
前記インクは、一般に、予め顔料及び顔料分散剤を含有する顔料分散体を製造し、次いで、前記顔料分散体と、前記インク用バインダーとを混合し、必要に応じて水性媒体(B)を用いて不揮発分を調整することによって製造することができる。
インクジェット印刷用インクもまた、一般に、予め顔料及び顔料分散剤を含有する顔料分散体を製造し、次いで、前記顔料分散体と、前記インク用バインダーとを混合し、必要に応じて水性媒体(B)を用いて不揮発分を調整することによって製造することができる。
前記顔料分散体の製造に使用可能な顔料としては、公知慣用の無機顔料、有機顔料を使用することができる。
前記無機顔料としては、例えば酸化チタン、アンチモンレッド、ベンガラ、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青等を使用することができる。
前記有機顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、アゾ系顔料等の有機顔料を使用することができる。
また、前記有機顔料のうちカラー顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー、C.I.ピグメントイエロー154等のモノアゾ顔料、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントオレンジ13等のジスアゾ顔料、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド57:1等のアゾレーキ顔料、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド213、C.I.ピグメントレッド269等のアゾ顔料、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36等のフタロシアニン顔料、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド282等のキナクリドン顔料及びそれらからなる固溶体顔料、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド270、C.I.ピグメントレッド272等のジケトピロロピロール顔料、キナクリドン顔料とジケトピロロピロール顔料の固溶体等を使用することができる。
また、前記顔料としては、黒色顔料(カーボンブラック)を使用することができる。前記黒色顔料としては、例えばファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等を使用することができる。
前記黒色顔料としては、より具体的には、#2700B,#2650,#2650B,#2600,#2600B,2450B,2400B,#2350,#2300,#2300B,#2200B,#1000,#1000B,#995B,#990,#990B,#980,#980B,#970,#960,#960B,#950,#950B,#900,#900B,#850,#850B,MCF88,MCF88B,MA600,MA600B,#750B,#650B,#52,#52B,#50,#47,#47B,#45,#45B,#45L,#44,#44B,#40,#40B,#33,#33B,#32,#32B,#30,#30B,#25,#25B,#20,#20B,#10,#10B,#5,#5B,CF9,CF9B,#95,#260,MA77,MA77B,MA7,MA7B,MA8,MA8B,MA11,MA11B,MA100,MA100B,MA100R,MA100RB,MA100S,MA230,MA220,MA200RB,MA14,#3030B,#3040B,#3050B,#3230B,#3350B(以上、三菱化学株式会社製)、Black Pearls 1300、Monarch 1100、Black Pearls 1100、Black Pearls 1000、Black Pearls 900、Black Pearls 880、Black Pearls 800、Black Pearls 700、Black Pearls 2000、Black Pearls L、Black Pearls 570、Black Pearls 520、Black Pearls 490、Black Pearls 480、Black Pearls 470、Black Pearls 460、Black Pearls 450、Black Pearls 430、Black Pearls 420、Black Pearls 410、Black Pearls 280、Black Pearls 170、Black Pearls 160、Black Pearls 130、Black Pearls 120(以上、キャボット社製)等を使用することができる。
これらの顔料は2種類以上のものを併用することができる。また、これらの顔料が表面処理されており,水性媒体に対して自己分散能を有しているものであっても良い。
また、前記顔料分散剤は、前記顔料に水分散性を付与可能なものであり、例えばアクリル樹脂またはスチレン−アクリル樹脂等を使用することができ、それらはランダム型、ブロック型、グラフト型のいずれのものも使用することができる。
前記アクリル樹脂としては、例えばアクリル酸やメタクリル酸を含む(メタ)アクリル単量体を重合して得られるものを使用することができる。
また、スチレン−アクリル樹脂としては、前記したような(メタ)アクリル単量体とスチレンとを重合して得られるものを使用することができる。
前記アクリル樹脂やスチレン−アクリル樹脂は、重合性不飽和二重結合を有する単量体を、例えば溶液重合法や懸濁重合法等により重合することによって製造することができる。
前記重合性不飽和二重結合を有する単量体としては、例えばスチレン、α−スチレン、β−スチレン、2,4−ジメチルスチレン、α−エチルスチレン、α−ブチルスチレン、α−ヘキシルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、ニトロスチレン、メトキシスチレン、ビニルトルエン、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、てrt−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、1,3−ジメチルブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を使用することができる。
前記顔料分散剤を使用する際には、顔料分散剤が有するカルボキシル基等の酸基を中和するために塩基性化合物を使用してもよい。
前記顔料分散剤としては、1,000〜50,000の範囲の重量平均分子量を有するものを使用することが好ましく、1,000〜20,000の重量平均分子量を有するものを使用することがより好ましい。
また、前記顔料分散剤としては、100〜500の酸価を有するものを使用することが好ましく、100〜200の酸価を有するものを使用することがより好ましい。
また、前記顔料分散体としては、前記顔料や顔料分散剤の他に、必要に応じてその他の添加剤を使用することができる。
前記添加剤としては、例えば湿潤剤等を使用することができる。
前記顔料分散体は、例えば(i)前記顔料分散剤と顔料とを2本ロールやミキサー等を用い高剪断力のもとで混練する方法や、(ii)前記顔料分散剤と顔料とを、ヘンシェルミキサーや加圧ニーダーやプラネタリミキサー等の分散装置を用いて混合した後、前記顔料分散剤の溶解性をコントロールすることによって前記顔料分散剤を前記顔料の表面に堆積させ、更に分散装置を用いてそれらを混合する方法などによって製造することができる。
前記方法で得た本発明の顔料分散体は、各種インクを製造する際の前駆体として好適に使用することができる。
前記インク、特にインクジェット印刷用インクは、例えば以下の製造方法によって調製することができる。
(1)前記顔料分散体と、前記インク用バインダーと必要に応じて前記添加剤とを、各種の分散装置を用いて一括して混合しインクを調製する方法。
(2)前記顔料分散体と必要に応じて前記添加物とを、各種の分散装置を用いて混合することでインク前駆体である顔料分散体を調製し、次いで、前記顔料分散体と前記インク用バインダーと、必要に応じて水性媒体と添加剤とを、各種の分散装置を用いて混合しインクを調製する方法。
前記インクの製造に使用可能な分散装置としては、例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、ナノマイザーなどを、単独または、2種類以上組み合わせて使用することができる。
前記方法で得られたインク中には、概ね250nm以上の粒子径を有する粗大粒子が存在する場合がある。前記粗大粒子は、例えば前記インクをインクジェット印刷用インクに使用する場合に、プリンターノズルの詰まり等を引き起こし、インク吐出特性を劣化させる場合があるため、前記顔料の水分散体の調製後、またはインクの調製後に遠心分離又は濾過処理等の方法によって、粗大粒子を除去することが好ましい。
前記で得たインクは、200nm以下の体積平均粒子径を有するものを使用することが好ましく、特に写真画質のようにより一層高光沢の画像を形成する場合には、80nm〜120nmの範囲であることがより好ましい。
また、前記インクは、インク全体に対して、前記ポリウレタン(A)を0.2質量%〜10質量%、水性媒体(B)を50質量%〜95質量%、顔料または染料を0.5質量%〜15質量%含むことが好ましい。
前記方法で得られた本発明のインクは、もっぱらインクジェットプリンターを用いたインクジェット印刷用インクに使用することができ、例えば紙やプラスチックフィルム、金属フィルムまたはシート等の基材に対するインクジェット印刷に使用することができる。インクジェットの方式は特に限定するものではないが、連続噴射型(荷電制御型、スプレー型など)、オンデマンド型(ピエゾ方式、サーマル方式、静電吸引方式など)などの公知の方式を適用することができる。
本発明のインク、特にインクジェット印刷用インクを用いて印刷された印刷物は、例えばインクジェット印刷による写真印刷や、インクジェット印刷による高速印刷によって得られた印刷物など様々な用途に使用することができる。
以下、本発明を実施例、参考例及び比較例により、一層、具体的に説明する。
調製例1(モノアゾ顔料を含有する顔料分散体の調製)
ビニル重合体(スチレンとアクリル酸とメタクリル酸との共重合比が、[スチレン/アクリル酸/メタクリル酸]=77/10/13(質量比)であり、重量平均分子量が11000、酸価156)を250質量部と、顔料としてピグメントイエロー74(山陽色素株式会社製、Fast Yellow 7413)500質量部と、ジエチレングリコール260質量部と、8Nの水酸化カリウム水溶液(固形分濃度=34質量%)115質量部とを、60℃に保温されたプラネタリーミキサー(株式会社井上製作所製PLM−V−50V)に仕込み、1時間、混練した。
前記混練物に、2時間で60℃に加温した総量1200質量部のイオン交換水を加えることによって、不揮発分が33.9質量%、顔料濃度が21.5質量%の着色樹脂組成物を得た。
前記方法で得た着色樹脂組成物に、ジエチレングリコール140質量部、イオン交換水840質量部を少量ずつ添加しながら分散撹拌機で撹拌することによって、顔料分散体の前駆体(分散処理前の分散体)を得た。
次いで、前記顔料分散体の前駆体を連続式遠心分離機(株式会社コクサン製 H-600S、2L容量)に通じ、18900Gの遠心力、10分間の滞留時間で遠心処理した後、有効孔径0.5μmのフィルターにより濾過処理を行うことによって、顔料分散体を得た。この顔料分散体の顔料濃度は14.2質量%であった。
[実施例1]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)412質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びイソホロンジイソシアネート 357質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン 300質量部の存在下で、80℃で10時間反応させ、次いで1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを100質量部供給し反応させ、次いでブタノールを11質量部供給し反応させることによって、前記一般式(1−1)中のR及びRがメチル基で、R及びRがエチレン基であるヒダントイン構造を有するポリウレタン(I)の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ポリウレタン(I)の有機溶剤溶液に48質量%水酸化カリウム水溶液を105質量部加えることで、前記ポリウレタン(I)が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水2000質量部を加え十分に攪拌することによって、ポリウレタン(重量平均分子量25,000及び酸価50)の水分散体を得た。
次いで、前記ポリウレタン(重量平均分子量25,000及び酸価50)の水分散体から有機溶剤を除去し、更に不揮発分が25質量%となるよう水を加え調整することによって、インクジェット印刷インク用バインダー(X−1)を得た。
前記インクジェット印刷インク用のバインダー(X−1)と、調製例1で得た顔料分散体と、2−ピロリジノンと、トリエチレングリコールモノブチルエーテルと、グリセリンと、「サーフィノール440」(エアープロダクツ社製、界面活性剤)と、イオン交換水とを、下記配合量にしたがって混合、攪拌することによって、モノアゾ顔料の濃度が4質量%で、かつポリウレタンの濃度が2.5質量%であるインクジェット印刷用インクを調製した。
(インクジェット印刷用インクの配合割合)
・調製例1で得た顔料分散体(顔料濃度14.2質量%);28.5g
・2−ピロリジノン;8g
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル;8g
・グリセリン;3g
・「サーフィノール440」(エアープロダクツ社製、界面活性剤);0.5g
・イオン交換水;42g
・インクジェット印刷インク用バインダー(X−1)(不揮発分25質量%);10g
[実施例2]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)515質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びイソホロンジイソシアネート 305質量部を、有機溶剤であるメチルエチルケトン 300質量部の存在下で、80℃で10時間反応させ、次いで1,3−ビス(ヒドラジノカルボノエチル)−5−イソプロピルヒダントイン)を50質量部供給し反応させ、次いでブタノールを10質量部供給し反応させることによって、前記一般式(1)であるヒダントイン構造を有するポリウレタン(II)の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ポリウレタン(II)の有機溶剤溶液に48質量%水酸化カリウム水溶液を105質量部加えることで、前記ポリウレタン(II)が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水2000質量部を加え十分に攪拌することによってポリウレタン(重量平均分子量26,000及び酸価50)の水分散体を得た。
次いで、前記ポリウレタン(重量平均分子量26,000及び酸価50)の水分散体を脱溶剤し、更に不揮発分が25質量%となるよう水を加え調整することによって、インクジェット印刷インク用バインダー(X−2)を得た。
前記インクジェット印刷インク用バインダー(X−1)の代わりに、前記インクジェット印刷インク用バインダー(X−2)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット印刷用インクを得た。
[実施例3]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)267質量部、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンとアジピン酸とを反応させて得られるポリエステルポリオール(数平均分子量2000)327質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びイソホロンジイソシアネート 277質量部を、有機溶剤であるメチルエチルケトン 300質量部の存在下で、80℃で10時間反応させ、次いでブタノールを9質量部供給し反応させることによって、前記一般式(1−1)中のR及びRがメチル基で、R及びRがエチレン基であるヒダントイン構造を有するポリウレタン(III)の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ポリウレタン(III)の有機溶剤溶液に48質量%水酸化カリウム水溶液を105質量部加えることで、前記ポリウレタン(III)が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水2000質量部を加え十分に攪拌することによってポリウレタン(重量平均分子量25,000及び酸価50)の水分散体を得た。
次いで、前記ポリウレタン(重量平均分子量25,000及び酸価50)の水分散体を脱溶剤し、更に不揮発分が25質量%となるよう水を加え調整することによって、インクジェット印刷インク用バインダー(X−3)を得た。
前記インクジェット印刷インク用バインダー(X−1)の代わりに、前記インクジェット印刷インク用バインダー(X−3)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット印刷用インクを得た。
[実施例4]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)310質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びイソホロンジイソシアネート 394質量部を、有機溶剤であるメチルエチルケトン 300質量部の存在下で、80℃で10時間反応させ、次いで1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを100質量部供給し反応させ、次いでジブチルアミンを76質量部供給し反応させることによって、前記一般式(1−1)中のR及びRがメチル基で、R及びRがエチレン基であるヒダントイン構造を有するポリウレタン(IV)の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ポリウレタン(IV)の有機溶剤溶液に48質量%水酸化カリウム水溶液を105質量部加えることで、前記ポリウレタン(IV)が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水2000質量部を加え十分に攪拌することによってポリウレタン(重量平均分子量26,000及び酸価50)の水分散体を得た。
次いで、前記ポリウレタン(重量平均分子量26,000及び酸価50)の水分散体を脱溶剤し、更に不揮発分が25質量%となるよう水を加え調整することによって、インクジェット印刷インク用バインダー(X−4)を得た。
前記インクジェット印刷インク用バインダー(X−1)の代わりに、前記インクジェット印刷インク用バインダー(X−4)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット印刷用インクを得た。
[実施例5]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)540質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びイソホロンジイソシアネート 301質量部を、有機溶剤であるメチルエチルケトン 300質量部の存在下で、80℃で10時間反応させ、次いで1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを30質量部供給し反応させ、次いでブタノール10質量部を供給し反応させることによって、前記一般式(1−1)中のR及びRがメチル基で、R及びRがエチレン基であるヒダントイン構造を有するポリウレタン(V)の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ポリウレタン(V)の有機溶剤溶液に48質量%水酸化カリウム水溶液を105質量部加えることで、前記ポリウレタン(V)が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水2000質量部を加え十分に攪拌することによってポリウレタン(重量平均分子量26,000及び酸価50)の水分散体を得た。
次いで、前記ポリウレタン(重量平均分子量26,000及び酸価50)の水分散体を脱溶剤し、更に不揮発分が25質量%となるよう水を加え調整することによって、インクジェット印刷インク用バインダー(X−5)を得た。
前記インクジェット印刷インク用バインダー(X−1)の代わりに、前記インクジェット印刷インク用バインダー(X−5)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット印刷用インクを得た。
参考例6]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)558質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びイソホロンジイソシアネート293質量部を、有機溶剤であるメチルエチルケトン300質量部の存在下で、80℃で10時間反応させ、次いで1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを20質量部供給し反応させ、次いでブタノール9質量部を供給し反応させることによって、前記一般式(1−1)中のR及びRがメチル基で、R及びRがエチレン基であるヒダントイン構造を有するポリウレタン(VI)の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ポリウレタン(VI)の有機溶剤溶液に48質量%水酸化カリウム水溶液を105質量部加えることで、前記ポリウレタン(VI)が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水2000質量部を加え十分に攪拌することによってポリウレタン(重量平均分子量25,000及び酸価50)の水分散体を得た。
次いで、前記ポリウレタン(重量平均分子量25,000及び酸価50)の水分散体を脱溶剤し、更に不揮発分が25質量%となるよう水を加え調整することによって、インクジェット印刷インク用バインダー(X−6)を得た。
前記インクジェット印刷インク用バインダー(X−1)の代わりに、前記インクジェット印刷インク用バインダー(X−6)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット印刷用インクを得た。
[実施例7]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)482質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びトリレンジイソシアネート 287質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン 300質量部の存在下で、80℃で10時間反応させ、次いで1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオンを100質量部供給し反応させ、次いでブタノール12質量部を供給し反応させることによって、前記一般式(1−1)中のR及びRがメチル基で、R及びRがエチレン基であるヒダントイン構造を有するポリウレタン(VII)有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ポリウレタン(VII)の有機溶剤溶液に48質量%水酸化カリウム水溶液を105質量部加えることで、前記ポリウレタン(VII)が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水2000質量部を加え十分に攪拌することによってポリウレタン(重量平均分子量27,000及び酸価50)の水分散体を得た。
次いで、前記ポリウレタン(重量平均分子量27,000及び酸価50)の水分散体を脱溶剤し、更に不揮発分が25質量%となるよう水を加え調整することによって、インクジェット印刷インク用バインダー(X−7)を得た。
前記インクジェット印刷インク用バインダー(X−1)の代わりに、前記インクジェット印刷インク用バインダー(X−7)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット印刷用インクを得た。
[実施例8]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)412質量部、1,3−ビス(2−ヒドロキシエチル)−5,5ジメチルイミダゾリジン−2,4−ジオン100質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びイソホロンジイソシアネート357質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン 300質量部の存在下で、80℃で20時間反応させ、次いでブタノールを11質量部供給し反応させることによって、前記一般式(1−1)中のR及びRがメチル基で、R及びRがエチレン基であるヒダントイン構造を有するポリウレタン(VIII)の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ポリウレタン(VIII)の有機溶剤溶液に48質量%水酸化カリウム水溶液を105質量部加えることで、前記ポリウレタンが有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水2000質量部を加え十分に攪拌することによってポリウレタン(重量平均分子量60,000及び酸価50)の水分散体を得た。
次いで、前記ポリウレタン(重量平均分子量60,000及び酸価50)の水分散体を脱溶剤し、更に不揮発分が25質量%となるよう水を加え調整することによって、インクジェット印刷インク用バインダー(X−8)を得た。
前記インクジェット印刷インク用バインダー(X−1)の代わりに、前記インクジェット印刷インク用バインダー(X−8)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット印刷用インクを得た。
[比較例1]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリオキシプロピレングリコール(数平均分子量2000)594質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸120質量部及びイソホロンジイソシアネート 277質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン 300質量部の存在下で、80℃で10時間反応させ、次いでブタノールを9質量部供給し反応させることによって、ポリウレタン(I’)の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ポリウレタン(I’)の有機溶剤溶液に48質量%水酸化カリウム水溶液を105質量部加えることで、前記ポリウレタン(I’)が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水2000質量部を加え十分に攪拌することによってポリウレタン(重量平均分子量25,000及び酸価50)の水分散体を得た。
次いで、前記ポリウレタン(重量平均分子量25,000及び酸価50)の水分散体を脱溶剤し、更に不揮発分が25質量%となるよう水を加え調整することによって、インクジェット印刷インク用バインダー(X’−1)を得た。
前記インクジェット印刷インク用バインダー(X−1)の代わりに、前記インクジェット印刷インク用バインダー(X’−1)を使用すること以外は、実施例1と同様の方法でインクジェット印刷用インクを得た。
[重量平均分子量の測定]
ポリウレタンの重量平均分子量はゲル・パーミエーション・クロマトグラフ(GPC法)により測定した。具体的には、ポリウレタンを、ガラス板上に3milアプリケーターで塗工し、常温で1時間乾燥して半乾きの塗膜を作成した。得られた塗膜をガラス板から剥し、0.4gをテトラヒドロフラン100gに溶解して測定試料とした。
溶離液、及び試料溶解液としてテトラヒドロフランを用い、流量1mL/min、試料注入量500μL、試料濃度0.4質量%としてRI検出器を用いて重量平均分子量を測定した。
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
標準試料:下記の標準ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
(標準ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
〔インクジェット印刷用インクの保存安定性の評価〕
前記で得たインクジェット印刷用インクの粘度と、該インク中の分散粒子の粒子径に基づいて評価した。前記粘度測定は東機産業(株)製のVISCOMETER TV−22を使用し、前記粒子径の測定は、日機装(株)社製のマイクロトラック UPA EX150を使用した。
次に、前記インクをスクリュー管等のガラス容器に密栓し、70℃の恒温器で4週間の加熱試験を行った後の、前記インクの粘度と、該インク中の分散粒子の粒子径を、前記と同様の方法で測定した。
前記加熱試験前のインクの粘度及び粒子径に対する、加熱試験後の粘度及び粒子径の変化を、それぞれ下記(式I)及び(式II)に基づいて算出し、顔料インクの保存安定性を評価した。
(式I)
[{(加熱試験後のインク中の分散粒子の粒子径)−(加熱試験前のインク中の分散粒子の粒子径)}/(加熱試験前のインク中の分散粒子の粒子径)]×100
[判定基準]
A: 粒子径の変化の割合が、7%未満
B: 粒子径の変化の割合が、7%以上9%未満
C: 粒子径の変化の割合が、9%以上11%未満
D: 粒子径の変化の割合が、15%以上
(式II)
[{(加熱試験後のインクの粘度)−(加熱試験前のインクの粘度)}/(加熱試験前のインクの粘度)]×100
A: 粒子径の変化の割合が、5%未満
B: 粘度の変化の割合が、5%以上7%未満
C: 粘度の変化の割合が、7%以上9%未満
D: 粘度の変化の割合が、11%以上
〔インクの吐出性の評価〕
実施例、参考例及び比較例で得たインクジェット印刷用インクを調製した直後の粘度をそれぞれ測定した。前記粘度測定には東機産業(株)製のVISCOMETER TV−22を使用した。
調製例1で得たモノアゾ顔料の顔料分散体と、2−ピロリジノンと、トリエチレングリコールモノブチルエーテルと、グリセリンと、サーフィノール440(エアープロダクツ社製、界面活性剤)とイオン交換水とを、下記配合量にしたがって混合、攪拌することによって、モノアゾ顔料の濃度が4質量%であり、バインダーとしてポリウレタンを含有しないインクジェット印刷用インクを調製した。
(ポリウレタンを含有しないインクジェット印刷用インクの配合量)
・調製例1で得た顔料分散体(顔料濃度14.2質量%);28.5g
・2−ピロリジノン;8g
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル;8g
・グリセリン;3g
・サーフィノール440(エアープロダクツ社製、界面活性剤);0.5g
・イオン交換水;52g
前記バインダーとしてポリウレタンを含有しないインクジェット印刷用インクを調製した直後の粘度に対する、実施例、参考例及び比較例で得たポリウレタンを含有するインクジェット印刷用インクの前記粘度の割合を、下記(式III)に基づいて算出し、下記判定基準に従って評価した。
(式III)
[1−{(実施例、参考例及び比較例で得たポリウレタンを含有する各インクジェット印刷用インクの粘度)/(ポリウレタンを含有しない前記インクジェット印刷用インクの粘度)}]×100
[判定基準]
A: 粘度の変化の割合が+5%未満であり、インクジェット印刷用インクを用いて繰り返し印刷した場合であっても、インクの吐出方向の異常やインク吐出ノズルの詰まりを引き起こすことはなかった。
B: 粘度の変化の割合が+5%以上〜+7.5%未満であり、インクジェット印刷用インクを用いて繰り返し印刷した場合であっても、ほとんど、インクの吐出方向の異常やインク吐出ノズルの詰まりを引き起こすことはなかった。
C: 粘度の変化の割合が+7.5%以上〜10%未満であり、インクジェット印刷用インクを用いて繰り返し印刷した場合に、若干のインク吐出方向の異常や、インク吐出ノズルの先端にインクが付着する場合があった。
D: 粘度の変化の割合が+15%以上であり、インクジェット印刷用インクを用いて繰り返し印刷した場合に、インクの吐出方向の異常を引き起こす場合や、インク吐出ノズルの詰まりを引き起こす場合があった。
〔インクの吐出安定性の評価〕
前記インクジェット印刷用インクを黒色インクカートリッジに充填したPhotosmart D5360(ヒューレットパッカード社製)を用い、診断ページを印刷しノズルの状態を確認した。1ページあたり18cm×25cmの領域の印字濃度設定100%のベタ印刷を連続で20ページ、50ページ及び100ページ実施した後、再度診断ページを印刷しノズルの状態を確認した。連続ベタ印刷の前後でのノズルの状態変化をインク吐出性として評価した。評価基準を以下に記す。
[判定基準]
A:ノズルの状態に変化がなく、吐出異常が発生していないもの
B:ノズルへの若干のインクの付着が確認されたものの、インクの吐出方向の異常は発生していないもの
C:前記ベタ印刷を連続で100ページ実施した後に、インクの吐出方向の異常やインクの不吐出が生じたもの
D:前記ベタ印刷を連続で50ページ実施した後に、インクの吐出方向の異常やインクの不吐出が生じたもの
E:前記ベタ印刷を連続で20ページ実施した後に、インクの吐出方向の異常やインクの不吐出が生じたもの
F:印刷途中でインクの吐出方向の異常やインクの不吐出が生じ、連続して20ページの印刷を完了できなかったもの
Figure 0006102227
Figure 0006102227


Figure 0006102227

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)で示されるヒダントイン構造を有するポリウレタン(A)及び水性媒体(B)を含有するインク用バインダーであって、
    前記ポリウレタン(A)が、前記ポリウレタン(A)全体に対して前記一般式(1)で示される構造を3質量%〜30質量%の範囲で有するものであることを特徴とするインク用バインダー。
    Figure 0006102227
    〔一般式(1)中のR及びRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表す。
  2. 前記ポリウレタン(A)が、上記一般式(1)で示されるヒダントイン構造を含む下記一般式(1−1)で示される構造を有するものである請求項1に記載のインク用バインダー。
    Figure 0006102227
    〔一般式(1−1)中のR及びRは、それぞれ独立して水素原子またはアルキル基を表し、R及びRは、それぞれ独立してアルキレン基を表す。〕
  3. 前記ポリウレタン(A)中におけるウレア結合の存在割合が、前記ポリウレタン(A)全体に対して0質量%〜2質量%の範囲である請求項1に記載のインク用バインダー。
  4. 顔料及び顔料分散剤を含有する顔料分散体と、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク用バインダーとを含有することを特徴とするインク。
  5. 顔料及び顔料分散剤を含有する顔料分散体と、請求項1〜3のいずれか1項に記載のインク用バインダーとを含有することを特徴とするインクジェット印刷用インク。
  6. 請求項4記載のインクまたは請求項5記載のインクジェット印刷用インクによって印刷された印刷物。
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