JP2010195965A - インクジェット顔料インク用バインダー - Google Patents

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Abstract

【課題】非常に高いレベルの耐擦過性を有し、かつ高光沢の印刷画像を形成可能なインクに使用可能なインクジェット顔料インク用バインダー、該バインダーを含むインクジェット印刷用顔料インクを提供する。
【解決手段】テトラヒドロフランとネオペンチルグリコールとを共重合して得られるポリエーテルポリオール(a1)と親水性基含有ポリオール(a2)とを含有するポリオール(a)及びポリイソシアネート(b)を反応させて得られる親水性基とを有するウレタン樹脂バインダー(A)と、水系媒体を含有してなるインクジェット顔料インク。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット印刷に使用可能な顔料インク用のバインダー及びそれを含むインクジェット印刷用の顔料インクに関する。
近年、成長が著しいインクジェット印刷関連業界では、インクジェットプリンターの高性能化やインクの改良等が飛躍的に進み、一般家庭でも容易に銀塩写真並みの高光沢で高精細な画像を得ることが可能となりつつある。
なかでもインクについては、従来の染料インクから顔料インクへの移行や、溶剤系から水系への移行等の、高画質化や環境負荷低減を目的とした改良が急速に進められており、現在は、水系の顔料インクをベースとしたインク開発が積極的に行われている。
また、前記インクには、インクジェットプリンター等の高性能化に伴って、年々、一層高いレベルの性能が要求されるようになっており、従来の高光沢で高鮮明な画像の形成といった特性のほかに、例えば、印刷画像表面に摩擦等の外力が加わった場合に生じうる、顔料の欠落に起因した印刷画像の劣化等を防止できるレベルの耐擦過性が、近年強く求められている。
前記耐擦過性に優れた水系顔料インクとしては、顔料間の密着性を向上させうるバインダー樹脂を、顔料や水系媒体と混合したインクが知られており、例えば、顔料と水系媒体とバインダー樹脂とを含むインクジェット記録用インクであって、前記バインダー樹脂が有機ジイソシアネートとポリオキシエチレングリコール由来の構造を有するジオールとを反応させて得られる、10〜20mgKOH/gの酸価と2000〜100000の数平均分子量とを有するカルボキシル基含有ポリウレタン樹脂であり、インク全体に対する前記ポリオキシエチレングリコール由来の構造の割合が1〜10重量%であるインクが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
前記インクジェット記録用インクを用いて印刷して得られた画像は、例えば紙間の擦れ等に起因した顔料の脱落を防止できる等、ある程度の耐擦過性を有するものであった。
しかし、インクジェット印刷物の使用分野が広範となるのに伴い、より一層の高いレベルの耐擦過性が求められるなかで、前記インクジェット記録用インクを用いて形成された印刷画像は、例えば極所的に強い外力が加わった場合等に、依然として顔料の脱落等に起因した印刷画像の色落ちや劣化や損傷を引き起こす場合があった。
特開2000−1639号公報
本発明が解決しようとする課題は、非常に高いレベルの耐擦過性を有し、かつ高光沢の印刷画像を形成可能なインクに使用可能なインクジェット顔料インク用バインダー、該バインダーを含むインクジェット印刷用顔料インクを提供することである。
本発明者等は、前記特許文献1記載のバインダー樹脂が有するポリオキシエチレングリコール由来の構造単位のような、エーテル系の構造が、耐擦過性に優れた印刷画像の形成に寄与していると考え、様々なエーテル系構造をバインダー樹脂に導入し検討を進めた。
例えば、テトラヒドロフランの開環重合体であるポリテトラメチレングリコールとポリイソシアネートとを反応させて得られるウレタン樹脂バインダーを検討した。
しかし、前記したバインダーを含むインクでは、実用上十分な耐擦過性を備えた印刷画像を形成することは困難であった。
そこで、前記したようなエーテル系構造を導入しうるポリオールと、その他のポリオールとを組み合わせ使用することによって、前記問題点の改善に取り組んだ。
例えば、前記ポリテトラメチレングリコールと、ネオペンチルグリコール等の低分子量ポリオールとを含むポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させて得られるウレタン樹脂バインダー等を検討した。
しかし、前記バインダーを含むインクであっても、依然として十分な耐擦過性を備えた印刷画像を形成することは困難であった。
以上のように、様々なポリオールやポリイソシアネートの組み合わせを更に検討するなかで、テトラヒドロフランとネオペンチルグリコールとを共重合して得られたポリエーテルポリオール由来の構造単位を有する水性ウレタン樹脂バインダー含有のインクが、予想外にも、インクジェット印刷をした場合に、非常に優れた耐擦過性を有する印刷画像を形成できることを見出し、本発明を開発するに至った。
即ち、本発明は、テトラヒドロフランとネオペンチルグリコールとを共重合して得られるポリエーテルポリオール(a1)と親水性基含有ポリオール(a2)とを含有するポリオール(a)及びポリイソシアネート(b)を反応させて得られる親水性基とを有するウレタン樹脂(A)、ならびに、水系媒体を含有してなるインクジェット顔料インク用バインダーに関するものである。
本発明のインクジェット顔料インク用バインダーを含むインクジェット印刷用顔料インクであれば、強い外力が加わった場合であっても顔料の脱落等を引き起こすことなく、高精細で鮮明な印刷画像を維持することが可能である。
本発明は、テトラヒドロフランとネオペンチルグリコールとを共重合して得られるポリエーテルポリオール(a1)と親水性基含有ポリオール(a2)とを含有するポリオール(a)及びポリイソシアネート(b)を反応させて得られるウレタン樹脂(A)、水系媒体、ならびに、必要に応じてその他の成分を含有してなるインクジェット顔料インク用バインダー
はじめに、本発明で使用するウレタン樹脂(A)について説明する。
前記ウレタン樹脂(A)は、テトラヒドロフランとネオペンチルグリコールとを共重合して得られるポリエーテルポリオール(a1)由来の構造を有することが非常に重要である。具体的には、前記ポリエーテルポリオール(a1)由来の構造とは下記一般式(I)に示されるような構造である。かかる構造を有するウレタン樹脂(A)を使用することによって、ウレタン樹脂(A)の凝集力が特異的に向上し、その結果、インクジェット印刷に求められる耐擦過性の著しい向上効果が奏されるものと考えられる。
Figure 2010195965
(一般式(I)中のm及び(10−m)は各構造単位のモル比を表し、mは1〜9を表す。)
前記一般式(I)中のm及び(10−m)は、それぞれ前記テトラヒドロフラン由来の構造単位とネオペンチルグリコール由来の構造単位とのモル比を示すものであって、mが1〜9の範囲の数であるものを使用することが好ましく、mが4〜6であるものを使用することがより好ましい。
前記ウレタン樹脂(A)は、前記ウレタン樹脂(A)全体に対して前記一般式(I)で示される構造を20〜80質量%の範囲で有することが好ましく、40〜65質量%の範囲であることが、耐擦過性とともにインクジェット印刷用顔料インクの保存安定性を向上する上で好ましい。
また、前記ウレタン樹脂(A)は、水系媒体中に溶解または分散しうるものであって、親水性基を有する。
前記親水性基としては、例えばカルボキシル基やスルホン酸基等のアニオン性基や、カチオン性基を使用することができ、なかでもカルボキシル基やカルボキシレート基、スルホン酸基及びスルホネート基等のアニオン性基を使用することが好ましい。
前記親水性基は、前記ウレタン樹脂(A)全体に対して50〜1000mmol/kgの範囲で存在することが好ましい。
また、前記ウレタン樹脂(A)は、良好なインク吐出性と耐擦過性とを両立する観点から、20000〜100000の重量平均分子量を有するものが好ましく、30000〜50000がより好ましい。
前記ウレタン樹脂(A)としては、テトラヒドロフランとネオペンチルグリコールとを共重合して得られるポリエーテルポリオール(a1)と親水性基含有ポリオール(a2)とを含有するポリオール(a)及びポリイソシアネート(b)を反応させて得られるものを使用することができる。
前記ウレタン樹脂(A)の製造に使用可能なポリエーテルポリオール(a1)は、テトラヒドロフランとネオペンチルグリコールとを共重合して得られるものであって、テトラヒドロフランの開環した構造とネオペンチルグリコール由来の分岐構造とによって構成されるポリエーテルポリオールである。
前記ポリエーテルポリオール(a1)は、前記テトラヒドロフランの開環した構造と、前記ネオペンチルグリコール由来の構造単位とからなる、いわゆるA−B型のブロック共重合体であっても、A−B−A型のブロック共重合体であってもよい。
前記ポリエーテルポリオール(a1)は、例えばテトラヒドロフランとネオペンチルグリコールとを、開環重合触媒の存在下で反応させることによって製造することができる。具体的には、ネオペンチルグリコールを開始剤として、テトラヒドロフランを開環重合することによって製造することができる。
前記開環重合触媒としては、特に制限されず公知のものを使用することができ、例えばクロロスルホン酸やフルオロスルホン酸等を使用することができる。
前記ポリエーテルポリオール(a1)としては、500〜5000の数平均分子量を有するものを使用することが好ましく、500〜3500の数平均分子量を有するもの使用することが、インクの保存安定性と耐擦過性を両立する上でより好ましい。
前記ポリエーテルポリオール(a1)は、前記ポリエーテルポリオール(a)全体に対して50〜99質量%の範囲で使用することがインクの保存安定性と耐擦過性を両立する上でより好ましい。
また、前記ポリオール(a)としては、前記ポリエーテルポリオール(a1)の他に、ウレタン樹脂(A)中に親水性基を導入しうる、例えば親水性基含有ポリオール(a2)等を使用することができる。
前記親水性基含有ポリオール(a2)としては、例えば、アニオン性基含有ポリオール、カチオン性基含有ポリオール、及びノニオン性基含有ポリオールを使用することができ、なかでもアニオン性基含有ポリオールを使用することが好ましい。
前記アニオン性基含有ポリオールとしては、例えばカルボキシル基含有ポリオールや、スルホン酸基含有ポリオールを使用することができる。
前記カルボキシル基含有ポリオールとしては、例えば2,2’−ジメチロールプロピオン酸、2,2’−ジメチロールブタン酸、2,2’−ジメチロール酪酸、2,2’−ジメチロール吉草酸等を使用することができ、なかでも2,2’−ジメチロールプロピオン酸を使用することが好ましい。また、前記カルボキシル基含有ポリオールと各種ポリカルボン酸とを反応させて得られるカルボキシル基含有ポリエステルポリオールも使用することもできる。
前記スルホン酸基含有ポリオールとしては、例えば5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホフタル酸、5[4−スルホフェノキシ]イソフタル酸等のジカルボン酸、及びそれらの塩と、前記低分子量ポリオールとを反応させて得られるポリエステルポリオールを使用することができる。
前記カルボキシル基含有ポリオールやスルホン酸基含有ポリオールは、前記ポリオール(a)全体に対して5〜20質量%の範囲で使用することが、耐擦過性や保存安定性の点で好ましい。より具体的には、前記ウレタン樹脂(A)の酸価が20〜60となる範囲で使用することが好ましい。
前記アニオン性基は、それらの一部または全部が塩基性化合物等によって中和されていることが、良好な水分散性を発現するうえで好ましい。
前記アニオン性基を中和する際に使用可能な塩基性化合物としては、例えばアンモニア、トリエチルアミン、モルホリン、モノエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の沸点が200℃以上の有機アミンや、NaOH、KOH、LiOH等を含む金属水酸化物等を使用することができる。前記塩基性化合物は、得られるコーティング剤の水分散安定性を向上させる観点から、塩基性化合物/アニオン性基=0.5〜3.0(モル比)となる範囲で使用することが好ましく、0.9〜2.0(モル比)となる範囲で使用することがより好ましい。
また、前記カチオン性基含有ポリオールとしては、例えば3級アミノ基含有ポリオールを使用することができ、具体的にはN−メチル−ジエタノールアミンや、1分子中にエポキシを2個有する化合物と2級アミンとを反応させて得られるポリオールなどを使用することができる。
前記カチオン性基は、その一部または全部が、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グルタル酸、酒石酸、アジピン酸等の酸性化合物で中和されていることが好ましい。
また、前記カチオン性基としての3級アミノ基は、その一部または全部が4級化されていることが好ましい。前記4級化剤としては、例えばジメチル硫酸、ジエチル硫酸、メチルクロライド、エチルクロライド等を使用することができ、ジメチル硫酸を使用することが好ましい。
また、前記ノニオン性基含有ポリオールとしては、エチレンオキサイド由来の構造単位を有するポリアルキレングリコール等を使用することができる。
また、前記ポリオール(a)としては、前記ポリエーテルポリオール(a1)や前記親水性基含有ポリオール(a2)の他に、必要に応じてその他のポリオールを併用することができる。
例えば、ポリエチレングリコール等の前記ポリオール(a1)以外のポリエーテルポリオールや、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ビスフェノールAにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドが付加したポリオール等を使用することができる。なかでも、ポリエーテルポリオールやポリカーボネートポリオールを併用することが、経時的な耐擦過性の低下を防止する観点から好ましい。
また、前記ウレタン樹脂(A)の製造に使用するポリイソシアネート(b)としては、例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、クルードジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの脂肪族ポリイソシアネートあるいは脂環式構造を有するポリイソシアネートを使用することができる。これらのなかでも、無黄変である脂肪族ポリイソシアネートを使用することが好ましい。
また、前記ウレタン樹脂(A)を製造する方法としては、例えば無溶剤下または有機溶剤の存在下で、前記ポリオール(a1)及び親水性基含有ポリオール等を含むポリオール(a)と前記ポリイソシアネート(b)とを反応させることでウレタンプレポリマーを製造し、次いで、前記ウレタンプレポリマー中の親水性基を必要に応じて中和したものを、水系媒体中に混合し水性化する際に、必要に応じて鎖伸長剤と混合し、反応させることによって製造することができる。
前記ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)との反応は、例えば、前記ポリオール(a)が有する水酸基に対する、前記ポリイソシアネート(b)が有するイソシアネート基の当量割合が、0.8〜2.5の範囲で行うことが好ましく、0.9〜1.5の範囲で行うことがより好ましい。
また、前記ウレタン樹脂(A)を製造する際に使用可能な有機溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類;アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を、単独で使用または2種以上を使用することができる。
また、前記ウレタン樹脂(A)を製造する際に使用できる鎖伸長剤としては、ポリアミンや、その他活性水素原子含有化合物等を使用することができる。
前記ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン等のジアミン類;N−ヒドロキシメチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシエチルアミノエチルアミン、N−ヒドロキシプロピルアミノプロピルアミン、N−エチルアミノエチルアミン、N−メチルアミノプロピルアミン等の1個の1級アミノ基と1個の2級アミノ基を含有するジアミン類;ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン類;ヒドラジン、N,N’−ジメチルヒドラジン、1,6−ヘキサメチレンビスヒドラジン等のヒドラジン類;コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド類;β−セミカルバジドプロピオン酸ヒドラジド、3−セミカルバジッド−プロピル−カルバジン酸エステル、セミカルバジッド−3−セミカルバジドメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン等のセミカルバジド類を使用することができる。
前記その他活性水素含有化合物としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレンリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、サッカロース、メチレングリコール、グリセリン、ソルビトール等のグリコール類;ビスフェノールA、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、水素添加ビスフェノールA、ハイドロキノン等のフェノール類、及び水等を、本発明のコーティング剤の保存安定性が低下しない範囲内で単独で使用または2種以上を併用することができる。
前記鎖伸長剤は、ポリアミンが有するアミノ基と過剰のイソシアネート基との当量比が、1.9以下(当量比)となる範囲で使用することが好ましく、0.3〜1.0(当量比)の範囲で使用することがより好ましい。
また、本発明で使用するウレタン樹脂(A)は、ウレア結合を有していてもよい。ウレア結合は活性水素を持ったアミンとイソシアネートとの反応によってウレタン樹脂中に導入することができる。前記ウレア結合は、前記ウレタン樹脂(A)全体に対して0〜10質量%の範囲であることが好ましい。
また、前記方法で製造したウレタン樹脂(A)の水性化は、たとえば、次のような方法で行うことができる。
〔方法1〕ポリオール(a)とポリイソシアネート(b)とを反応させて得られたウレタンプレポリマーの親水基の一部又は全てを中和又は4級化した後、水を投入して水溶解または水分散せしめ、その後に前記と同様の鎖伸長剤を用いて鎖伸長することによりウレタン樹脂(A)を水溶解または水分散させる方法。
〔方法2〕ウレタンプレポリマーと前記と同様の鎖伸長剤とを、反応容器中に一括又は分割して仕込み、鎖伸長反応させることでウレタン樹脂(A)を製造し、次いで得られたポリウレタン樹脂中の親水基の一部又は全てを中和又は4級化した後、水を投入して水分散せしめる方法。
前記〔方法1〕〜〔方法2〕では、必要に応じて乳化剤を使用してもよい。また、水溶解や水分散の際には、必要に応じてホモジナイザー等の機械を使用しても良い。
前記乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合体等のノニオン系乳化剤;オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、アルカンスルフォネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム塩等のアニオン系乳化剤;アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等のカチオン系乳化剤が挙げられる。なかでも本発明のコーティング剤の優れた保存安定性を維持する観点から、基本的にアニオン性又はノニオン性の乳化剤を使用することが好ましい。また、本発明のコーティング剤の混和安定性を維持可能な範囲であれば、例えばカチオン性の乳化剤と両性の乳化剤とを併用してもよい。
また、本発明のバインダーを製造する際には、ウレタン樹脂(A)の水分散性を助ける助剤として、親水基含有化合物を使用してもよい。
かかる親水基含有化合物としては、アニオン性基含有化合物、カチオン性基含有化合物、両性基含有化合物、又はノニオン性基含有化合物を用いることができるが、本発明のコーティング剤の優れた保存安定性を維持する観点から、ノニオン性基含有化合物を使用することが好ましい。
前記ノニオン性基含有化合物としては、分子内に少なくとも1個以上の活性水素原子を有し、かつエチレンオキシドの繰り返し単位からなる基、及びエチレンオキシドの繰り返し単位とその他のアルキレンオキシドの繰り返し単位からなる基からなる群から選ばれる少なくとも一つの官能基を有する化合物を使用することができる。
例えば、エチレンオキシドの繰り返し単位を少なくとも30質量%以上含有し、ポリマー中に少なくとも1個以上の活性水素原子を含有する数平均分子量300〜20,000のポリオキシエチレングリコール又はポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体グリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシブチレン共重合体グリコール、ポリオキシエチレン−ポリオキシアルキレン共重合体グリコール又はそのモノアルキルエーテル等のノニオン基含有化合物又はこれらを共重合して得られるポリエステルポリエーテルポリオールなどの化合物を使用することが可能である。
また、本発明で使用する水系媒体としては、水、水と混和する有機溶剤、及び、これらの混合物が挙げられる。水と混和する有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n−及びイソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;ポリアルキレングリコールのアルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン等のラクタム類、等が挙げられる。本発明では、水のみを用いても良く、また水及び水と混和する有機溶剤との混合物を用いても良く、水と混和する有機溶剤のみを用いても良い。安全性や環境に対する負荷の点から、水のみ、又は、水及び水と混和する有機溶剤との混合物が好ましく、水のみが特に好ましい。
以上の方法で得られたウレタン樹脂(A)と水系媒体とを含むウレタン樹脂組成物は、印刷物の耐擦過性を飛躍的に向上させることができるため、もっぱらインクジェット印刷向け顔料インク用バインダーに好適に使用することができる。
前記インクジェット印刷向け顔料インク用バインダー中における前記ウレタン樹脂(A)の割合は、インクの保存安定性と優れた耐擦過性を両立する観点から、1〜10質量%の範囲であることが好ましい。
次に、本発明のインクジェット印刷用顔料インクについて説明する。
本発明のインクジェット印刷用顔料インクは、前記インクジェット顔料インク用バインダー、顔料、水系媒体及びその他必要に応じて各種の添加剤を含有するものである。
前記顔料としては、公知慣用の無機顔料や有機顔料を使用することができる。
前記無機顔料としては、例えば酸化チタン、アンチモンレッド、ベンガラ、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等を使用することができる。
前記有機顔料としては、例えば、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、アゾ系顔料等の有機顔料を使用することができる.これらの顔料は2種類以上のものを併用することができる.また,これらの顔料が表面処理されており,水系媒体に対して自己分散能を有しているものであっても良い。
また、前記添加剤としては、例えば高分子分散剤や粘度調整剤、湿潤剤、消泡剤、界面活性剤、防腐剤、pH調整剤、キレート化剤、可塑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤をはじめ、従来のインクジェット印刷用インクのバインダーに使用されていたアクリル樹脂等を使用することができる。
前記高分子分散剤としては、例えばアクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂等を使用することができ、それらはランダム型、ブロック型、グラフト型のいずれのものも使用することができる。前記高分子分散剤を使用する際には、高分子分散剤を中和するために酸または塩基を併用しても良い。
前記インクジェット印刷用顔料インクは、例えば以下の製造方法によって調製することができる。
(1)前記顔料と前記水系媒体と前記インクジェット顔料インク用バインダーと必要に応じて前記添加剤とを、各種の分散装置を用いて一括して混合しインクを調製する方法。
(2)前記顔料と前記水系媒体と必要に応じて前記添加物とを、各種の分散装置を用いて混合することで顔料の水系分散体を調製し、次いで、前記顔料の水分散体と前記インクジェット顔料インク用バインダーと、必要に応じて水系媒体と添加物とを、各種の分散装置を用いて混合しインクを調製する方法。
上記(2)に記載したインクの製造方法で使用する顔料の水系分散体は、例えば以下の方法によって調製することができる。
(i)顔料、及び、高分子分散剤等の添加剤を2本ロールやミキサー等を用いて予備混練して得られた混練物と、水系媒体とを各種の分散装置を用いて混合することによって顔料の水系分散体を調製する方法。
(ii)顔料と高分子分散剤を各種の分散装置を用いて混合した後、前記高分子分散剤の溶解性をコントロールすることによって該高分子分散剤を前記顔料の表面に堆積させ、更に分散装置を用いてそれらを混合することで顔料の水系分散体を調製する方法。
(iii)顔料と前記添加物とを各種の分散装置を用いて混合し、次いで前記混合物と樹脂エマルジョンとを分散装置を用いて混合することによって顔料の水系分散体を調製する方法。
前記インクジェット印刷用顔料インクの製造に使用可能な分散装置としては、例えば、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミル、ナノマイザーなどを、単独または、2種類以上組み合わせて使用することができる。
前記方法で得られたインクジェット印刷用顔料インク中には、概ね250nm以上の粒子径を有する粗大粒子が存在する場合がある。前記粗大粒子は、プリンターノズルの詰まり等を引き起こし、インク吐出特性を劣化させる場合があるため、前記顔料の水系分散体の調製後、またはインクの調製後に遠心分離又は濾過処理等の方法によって、粗大粒子を除去することが好ましい。
前記で得たインクジェット印刷用顔料インクは、200nm以下の体積平均粒子径を有するものを使用することが好ましく、特に写真画質のようにより一層高光沢の画像を形成する場合には、80〜120nmの範囲であることがより好ましい。
また、前記インクジェット印刷用顔料インクは、インクジェット印刷用顔料インク全体に対して、前記ウレタン樹脂(A)を0.2〜10質量%、水系媒体を50〜95質量%、顔料を0.5〜15質量%含むことが好ましい。
前記方法で得られた本発明のインクジェット印刷用顔料インクは、もっぱらインクジェットプリンターを用いたインクジェット印刷に使用することができ、例えば紙やプラスチックフィルム、金属フィルムまたはシート等の基材に対するインクジェット印刷に使用することができる。インクジェットの方式は特に限定するものではないが、連続噴射型(荷電制御型、スプレー型など)、オンデマンド型(ピエゾ方式、サーマル方式、静電吸引方式など)などの公知の方式を適用することができる。
以下、本発明を実施例と比較例により、一層、具体的に説明する。
[実施例1]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエーテルポリオール(「PTXG1800」旭化成せんい株式会社製、数平均分子量1800、テトラヒドロフランとネオペンチルグリコールの共重合体) 158.7質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸 7.1質量部、及びイソホロンジイソシアネート 31.3質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン 106.1質量部の存在下で4時間反応させ、希釈溶剤としてメチルエチルケトン 41.6質量部を追加し、更に反応を継続した。
反応物の重量平均分子量が20000から50000の範囲に達した時点で、メタノール0.9質量部投入することで反応を終了し、ウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液に10質量%水酸化カリウム水溶液を29.6質量部加えることで前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水836.9質量部を加え十分に攪拌することによりウレタン樹脂の水分散体を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の水分散体をエージング、脱溶剤することによって不揮発分20質量%のインクジェット顔料インク用のバインダーを得た。
[実施例2]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエーテルポリオール(「PTXG1800」旭化成せんい株式会社、数平均分子量1800) 127.7質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸 18.4質量部、及びイソホロンジイソシアネート 46.2質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン 103.5質量部の存在下で4時間反応させ、希釈溶剤としてメチルエチルケトン 40.2質量部を追加し、更に反応を継続した。
反応物の重量平均分子量が20000から50000の範囲に達した時点で、メタノール 1.3質量部投入することで反応を終了し、ウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液に10質量%水酸化カリウム水溶液を76.9質量部加えることで前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水797.8質量部を加え十分に攪拌することによりウレタン樹脂の水分散体を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の水分散体をエージング、脱溶剤することによって不揮発分20質量%のインクジェット顔料インク用のバインダーを得た。
[実施例3]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエーテルポリオール(「PTXG1800」旭化成せんい株式会社、数平均分子量1800) 86.7質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸 33.4質量部、及びイソホロンジイソシアネート 66.0質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン 100.2質量部の存在下で4時間反応させ、希釈溶剤としてメチルエチルケトン 38.3質量部を追加し、更に反応を継続した。
反応物の重量平均分子量が20000から50000の範囲に達した時点で、メタノール 1.9質量部投入することで反応を終了し、ウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液に10質量%水酸化カリウム水溶液を139.6質量部加えることで前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水746.2質量部を加え十分に攪拌することによりウレタン樹脂の水分散体を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の水分散体をエージング、脱溶剤することによって不揮発分20質量%のインクジェット顔料インク用のバインダーを得た。
[実施例4]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエーテルポリオール(「PTXG1800」旭化成せんい株式会社、数平均分子量1800) 127.7質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸 18.4質量部、及びイソホロンジイソシアネート 46.2質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン 103.5質量部の存在下で4時間反応させ、希釈溶剤としてメチルエチルケトン 40.2質量部を追加し、更に反応を継続した。
反応物の重量平均分子量が15000から20000の範囲に達した時点で、メタノール 1.3質量部投入することで反応を終了し、ウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液に10質量%水酸化カリウム水溶液を76.9質量部加えることで前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水797.8質量部を加え十分に攪拌することによりウレタン樹脂の水分散体を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の水分散体をエージング、脱溶剤することによって不揮発分20質量%のインクジェット顔料インク用のバインダーを得た。
[実施例5]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエーテルポリオール(「PTXG1800」旭化成せんい株式会社、数平均分子量1800) 127.7質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸 18.4質量部、及びイソホロンジイソシアネート 46.2質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン 103.5質量部の存在下で4時間反応させ、希釈溶剤としてメチルエチルケトン 47.9質量部を追加し、更に反応を継続した。
反応物の重量平均分子量が100000から120000の範囲に達した時点で、メタノール 1.3質量部投入することで反応を終了し、ウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液に10質量%水酸化カリウム水溶液 76.9質量部加えることで前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水797.8質量部を加え十分に攪拌することによりウレタン樹脂の水分散体を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の水分散体をエージング、脱溶剤することによって不揮発分20質量%のインクジェット顔料インク用のバインダーを得た。
[実施例6]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエーテルポリオール(「PTXG1800」旭化成せんい株式会社、数平均分子量1800) 132.8質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸 19.1質量部、及びイソホロンジイソシアネート 48.1質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン 107.7質量部の存在下で4時間反応させ、希釈溶剤としてメチルエチルケトン 41.8質量部を追加し、更に反応を継続した。
反応物の重量平均分子量が20000から50000の範囲に達した時点で、メタノール 1.4質量部投入することで反応を終了し、ウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。

次いで、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液にトリエチルアミンを14.4質量部加えることで前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水716.9質量部を加え十分に攪拌することによりウレタン樹脂の水分散体を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の水分散体をエージング、脱溶剤することによって不揮発分20質量%のインクジェット顔料インク用のバインダーを得た。
[比較例1]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエーテルポリオール(「PTMG2000」三菱化学工業株式会社製のポリテトラメチレングリコール、数平均分子量2000) 129.1質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸 18.4質量部、及びイソホロンジイソシアネート 44.8質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン 103.5質量部の存在下で4時間反応させ、希釈溶剤としてメチルエチルケトン 40.2質量部を追加し、更に反応を継続した。
反応物の重量平均分子量が20000から50000の範囲に達した時点で、メタノール 1.3質量部を投入することで反応を終了し、ウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液に10質量%水酸化カリウム水溶液を 76.9質量部加えることで前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水 797.8質量部を加え十分に攪拌することによりウレタン樹脂の水分散体を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の水分散体をエージング、脱溶剤することによって不揮発分20質量%のインクジェット顔料インク用のバインダーを得た。
[比較例2]
温度計、窒素ガス導入管、攪拌器を備えた窒素置換された容器中で、ポリエーテルポリオール(「PTMG2000」三菱化学工業株式会社製のポリテトラメチレングリコール、数平均分子量2000)78.6質量部、2,2―ジメチロールプロピオン酸 18.4質量部、ネオペンチルグリコール 56.1重量部、及びイソホロンジイソシアネート 39.2質量部を、有機溶剤としてのメチルエチルケトン 103.5質量部の存在下で4時間反応させ、希釈溶剤としてメチルエチルケトン 36.9質量部を追加し、更に反応を継続した。
反応物の重量平均分子量が20000から50000の範囲に達した時点で、メタノール 4.6質量部を投入することで反応を終了し、ウレタン樹脂の有機溶剤溶液を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の有機溶剤溶液に10質量%水酸化カリウム水溶液を 76.9質量部加えることで前記ウレタン樹脂が有するカルボキシル基の一部または全部を中和し、さらに水 797.8質量部を加え十分に攪拌することによりウレタン樹脂の水分散体を得た。
次いで、前記ウレタン樹脂の水分散体をエージング、脱溶剤することによって不揮発分20質量%のインクジェット顔料インク用のバインダーを得た。
調製例1(キナクリドン系顔料の水系分散体)
ビニル重合体(スチレン/アクリル酸/メタクリル酸=77/10/13(質量比)であり、重量平均分子量が11000、酸価156mgKOH/g)を1500g、キナクリドン系顔料(クロモフタールジェットマジェンタDMQ、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を4630g、フタルイミドメチル化3,10−ジクロロキナクリドン(1分子あたりの平均フタルイミドメチル基数が1.4)を380g、ジエチレングリコールを2600g、及び34質量%水酸化カリウム水溶液688gを、容量50LのプラネタリーミキサーPLM−V−50V(株式会社井上製作所製)に仕込み、ジャケットを加温し、内容物温度が60℃になるまで低速(自転回転数:21回転/分,公転回転数:14回転/分)で混練を行い、内容物温度が60℃に達した後、高速(自転回転数:35回転/分,公転回転数:24回転/分)に切り替え、4時間、混練を継続した。
前記混練物に、2時間で総量8000gの60℃に加温したイオン交換水を加え、不揮発分が37.9質量%の着色樹脂組成物を得た。
前記方法で得た着色樹脂組成物の12kgに、ジエチレングリコール744gと、イオン交換水7380gとを少量ずつ添加しながら分散撹拌機で撹拌し、水系顔料分散液の前駆体(分散処理前の水系顔料分散液)を得た。
次いで、この水系顔料分散液前駆体の18kgを、ビーズミル(浅田鉄工(株)製ナノミルNM−G2L、ビーズφ;0.3mmのジルコニアビーズ、ビーズ充填量;85%、冷却水温度;10℃、回転数;2660回転/分(ディスク周速:12.5m/sec)、送液量;200g/10秒)を用いて処理し、前記ビーズミルの通過液を13000G×10分の遠心処理した後、有効孔径0.5μmのフィルターにより濾過処理を行うことによってキナクリドン系顔料の水系顔料分散液を得た.この水系顔料分散体中のキナクリドン系顔料濃度は14.9質量%であった。
インクジェット顔料インクの調製
キナクリドン系顔料の濃度が4質量%で、かつウレタン樹脂の濃度が1質量%となるよう、前記実施例1〜6及び比較例1〜2で得たインクジェット顔料インク用のバインダーと、調製例1で得たキナクリドン系顔料と、2−ピロリジノンと、トリエチレングリコールモノブチルエーテルと、グリセリンと、界面活性剤(サーフィノール440、エアープロダクツ社製)とイオン交換水とを、下記配合割合にしたがって混合、攪拌することによって、インクジェット印刷用顔料インクを調製した。
(インクジェット顔料インクの配合割合)
・調製例1で得たキナクリドン系顔料水系分散体(顔料濃度14.9%);26.8g
・2−ピロリジノン;8.0g
・トリエチレングリコールモノブチルエーテル;8.0g
・グリセリン;3.0g
・界面活性剤(サーフィノール440、エアープロダクツ社製);0.5g
・イオン交換水;48.7g
・前記実施例1〜6及び比較例1〜2で得たインクジェット顔料インク用のバインダー(不揮発分20質量%);5.0g
〔インクジェット印刷用顔料インクの保存安定性〕
前記で得たインクジェット印刷用顔料インクの粘度と、該顔料インク中の分散粒子の粒子径を測定した。なお、前記粘度測定は東機産業(株)製のVISCOMETER TV−22を使用し、前記粒子径の測定は、日機装(株)社製のマイクロトラック UPA EX150を使用した。
次に、前記顔料インクをスクリュー管等のガラス容器に密栓し、70℃の恒温器で4週間の加熱試験を行った後の、前記顔料インクの粘度と、該顔料インク中の分散粒子の粒子径を、前記と同様の方法で測定した。
前記加熱試験前のインクの粘度及び粒子径に対する、加熱試験後の粘度及び粒子径の変化を、それぞれ下記式に基づいて算出し、顔料インクの保存安定性を評価した。
(式I)
[(加熱試験後の顔料インク中の分散粒子の粒子径)/(加熱試験前の顔料インク中の分散粒子の粒子径)]×100
[判定基準]
○: 粒子径の変化の割合が、5%未満
△: 粒子径の変化の割合が、5%以上10%未満
×: 粒子径の変化の割合が、10%以上
(式II)
[(加熱試験後の顔料インクの粘度)/(加熱試験前の顔料インクの粘度)]×100
[判定基準]
○: 粘度の変化の割合が、2%未満
△: 粘度の変化の割合が、2%以上5%未満
×: 粘度の変化の割合が、5%以上
(インク吐出性の評価)
前記のインクジェット顔料インクを黒色インクカートリッジに充填したPhotosmart D5360(ヒューレットパッカード社製)にて、診断ページを印刷しノズルの状態を確認した。1ページあたり18cm×25cmの領域の印字濃度設定100%のベタ印刷を連続で20ページ実施した後、再度診断ページを印刷しノズルの状態を確認した。連続ベタ印刷の前後でのノズルの状態変化をインク吐出性として評価した。評価基準を以下に記す。
[判定基準]
○:ノズルの状態に変化がないもの
△:インクは吐出するが,吐出方向異常ノズルが発生するもの
×:インクの不吐出が発生するもの
〔インクジェット印刷用顔料インクの印刷性能評価〕
(光沢)
インクジェット印刷専用紙である写真用紙(光沢)[HPアドバンスフォト用紙 ヒューレットパッカード社製]の印刷面に、市販のサーマルジェット方式インクジュットプリンター(Photosmart D5360;ヒューレットパッカード社製)を用い、前記顔料インクを黒色インクカートリッジに充填し、印字濃度設定100%のベタ印刷を行った。
24時間室温にて放置後、該印刷部の任意の3箇所の光沢を、マイクロヘイズプラス(株式会社 東洋精機製作所製)を用いて20度の光沢を測定し、その平均値を算出した。
(耐擦過性)
写真印刷用紙(光沢)[HPアドバンスフォト用紙 ヒューレットパッカード社製]の印刷面に、市販のサーマルジェット方式インクジュットプリンター(Photosmart D5360;ヒューレットパッカード社製)を用い、前記顔料インクを黒色インクカートリッジに充填し、印字濃度設定100%のベタ印刷を行った。
前記印刷物を常温下で10分間乾燥した後、印刷面を爪で擦過し、該印刷面の色等のこすれ具合を目視で評価した。評価基準を以下に記す。
[判定基準]
A: 印刷面に傷は全くなく、印材の剥離等もみられなかった。
B: 印刷表面に若干の傷が発生したものの、色材の剥離等はみられなかった。
C: 印刷表面に著しい傷が発生し、色材の剥離等もみられた。
Figure 2010195965
Figure 2010195965
表1及び2中の略号を以下に説明する。
「PTXG1800」;旭化成せんい株式会社製、数平均分子量1800、テトラヒドロフランとネオペンチルグリコールとの共重合体
「PTMG2000」;三菱化学工業株式会社製のポリテトラメチレングリコール、数平均分子量2000。
「NPG」;ネオペンチルグリコール
「DAMPA」;2,2―ジメチロールプロピオン酸
「IPDI」;イソホロンジイソシアネート

Claims (8)

  1. テトラヒドロフランとネオペンチルグリコールとを共重合して得られるポリエーテルポリオール(a1)と親水性基含有ポリオール(a2)とを含有するポリオール(a)及びポリイソシアネート(b)を反応させて得られるウレタン樹脂(A)、ならびに、水系媒体を含有してなるインクジェット顔料インク用バインダー。
  2. 前記ポリウレタン樹脂(A)が、20000〜100000の範囲の重量平均分子量を有するものである、請求項1に記載のインクジェット顔料インク用バインダー。
  3. 前記ポリエーテルポリオール(a1)が、下記一般式(I)で示される構造を有するものである、請求項1に記載のインクジェット顔料インク用バインダー。
    Figure 2010195965
    (一般式(I)中のm及び(10−m)は各構造単位のモル比を表し、mは1〜9を表す。)
  4. 前記ポリエーテルポリオール(a1)が500〜3500の数平均分子量を有するものである、請求項1に記載のインクジェット顔料インク用バインダー。
  5. 前記ポリウレタン樹脂(A)が20〜60の範囲の酸価を有するものである、請求項1に記載のインクジェット顔料インク用バインダー。
  6. 前記ポリウレタン樹脂(A)の有する親水性基がカルボキシレート基であって、前記カルボキシレート基が、カルボキシル基を沸点が200℃以上の有機アミンまたは金属水酸化物を用いて中和したものである、請求項1に記載のインクジェット顔料インク用バインダー。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載のインクジェット顔料インク用バインダーと、顔料と、水系媒体とを含有してなるインクジェット印刷用顔料インク。
  8. 請求項7に記載のインクジェット印刷用顔料インクによって印刷の施された印刷物。
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