JP6100047B2 - 窒化ガリウム膜の形成方法、及び、窒化ガリウム膜の形成装置 - Google Patents

窒化ガリウム膜の形成方法、及び、窒化ガリウム膜の形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、シリコン基板に対して窒化ガリウム膜を形成する窒化ガリウム膜の形成方法、及び窒化ガリウム膜の形成装置に関する。
III族窒化物半導体の1つである窒化ガリウム系半導体は、紫外光から可視光に相当するエネルギーの直接遷移型のバンドギャップを有することから、発光ダイオードやレーザダイオード等の発光素子の形成材料として広く用いられている。また、窒化ガリウムは、例えばシリコンやガリウムヒ素等の他の半導体材料と比較して、電圧破壊に対する高い耐性を有することに加え、高い飽和電子速度を有する。そのため、窒化ガリウムは、上記発光装置の形成材料としてだけではなく、電子デバイスや受光素子等の形成材料としても広く用いられている。
こうした窒化ガリウムは一般に、バルク単結晶の製造が困難なために、有機金属化学気相成長法、分子線エピタキシー法等の他、例えば特許文献1に記載のような反応性スパッタ法によって、サファイア、炭化ケイ素等からなる基板上にエピタキシャル成長される。
上記文献に記載の方法では、まず、バッファ層と呼ばれる窒化アルミニウム膜が、反応性スパッタ法によってサファイア基板上に形成される。次いで、窒化ガリウム膜が、同じく反応性スパッタ法によってバッファ層上に形成される。これにより、サファイア基板の格子定数と窒化ガリウム膜の格子定数との不整合がバッファ層によって解消されることによって、窒化ガリウム膜が、バッファ層上にエピタキシャル成長することになる。
特開2008−294449号公報
ところで、上記サファイア基板は、絶縁体であるとともに、素子基板として用いられている他の基板よりも相対的に熱伝導性が低い。そこで、半導体であって、且つ、熱伝導性が相対的に高いシリコン基板が、窒化ガリウム膜の形成基板として用いられつつある。加えて、シリコン基板は、サファイア基板よりも安価で、且つ、大面積化の可能であることから、上記各種素子の製造にかかる費用が削減されることにもなる。
しかしながら、シリコン基板は、窒化ガリウムとの格子定数、熱膨張率等の物性値差がサファイア基板と比較して大きいことに加え、サファイア基板と比較して酸素や窒素等との反応性が高い。そのため、上述のような反応性スパッタ法によるバッファ層の形成が、シリコン基板に対して行われると、該シリコン基板の表面が容易に窒化される。これにより、シリコン基板の表面に少なからずアモルファス状の窒化シリコンが形成されてしまうために、バッファ層、ひいては、窒化ガリウム膜の結晶性が失われてしまう。
なお、こうした問題は、シリコン基板に対する窒化ガリウム膜の形成が、化学的に活性な窒素含有ガスを原料とする有機金属化学気相成長(MOCVD)法、プラズマによって活性化された窒素含有ガスを原料とするプラズマ援用分子線エピタキシー(RF−MBE)法等によって行われた場合にも共通するものである。
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シリコン基板に対して窒化ガリウム膜を形成する際に、窒化ガリウム膜の結晶性を高めることのできる窒化ガリウム膜の形成方法、及び窒化ガリウム膜の形成装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、及びその作用効果について記載する。
本発明の一態様は、アルミニウムターゲットを窒素含有ガスと希ガスとの混合ガスから生成したプラズマを用いてスパッタして、シリコン基板上に窒化アルミニウム膜を形成する工程と、前記窒化アルミニウム膜上に窒化ガリウム膜を形成する工程とを備える窒化ガリウム膜の形成方法であって、前記窒化アルミニウム膜を形成する前に、アルミニウムターゲットを希ガスから生成したプラズマを用いてスパッタして、前記シリコン基板上にアルミニウム膜を形成する工程を備え、前記アルミニウム膜及び前記窒化アルミニウム膜を形成するときの前記シリコン基板の温度を1000℃以上1200℃以下とする。
本発明の一態様では、シリコン基板に対して窒化ガリウム膜のバッファ層となる窒化アルミニウム膜を形成する前に、シリコン基板上にアルミニウム膜を形成するようにしている。そのため、窒化アルミニウム膜の形成に際して、アルミニウムターゲットを窒素含有ガスと希ガスとの混合ガスから生成されたプラズマを用いてスパッタしても、シリコン基板の表面が、混合ガス中に含まれる窒素イオンや窒素ラジカル等の窒化源にさらされにくくなる。それゆえに、シリコン基板の表面に窒化シリコンが形成されにくくなり、ひいては、シリコン基板上に形成される窒化アルミニウム膜、並びに窒化ガリウム膜の結晶性を高めることができる。
本発明の一態様では、前記窒化ガリウム膜を形成する工程では、前記アルミニウム膜を形成する工程にて前記アルミニウム膜が形成される真空槽とは異なる真空槽内で、前記窒化ガリウム膜が形成される。
窒化ガリウム膜の形成装置にて窒化ガリウム膜が形成されるときには、ガリウムや窒素を含む成膜種が、シリコン基板上だけでなく、窒化ガリウム膜の形成装置の内壁面にも付着し、付着した成膜種が内壁面から剥がれ落ちることによって、窒化ガリウム膜の形成装置内にはパーティクルが生じる。ここで、シリコン基板にアルミニウム膜が形成される前に、シリコン基板にパーティクルが付着すると、シリコン基板とパーティクルとの間で反応が起こることによって、シリコン基板上にアルミニウム膜が形成されにくくなってしまう。この点で、本発明の一態様によれば、窒化ガリウム膜の形成が、アルミニウム膜が形成される真空槽とは異なる真空槽にて行われるため、アルミニウム膜が形成される前のシリコン基板上にガリウムや窒素を含むパーティクルが付着しない。結果として、シリコン基板上にアルミニウム膜が形成されにくくなることが抑えられる。
本発明の一態様では、前記窒化ガリウム膜は、ガリウムターゲットを窒素含有ガスと希ガスとの混合ガスから生成されたプラズマを用いてスパッタすることで形成される。
本発明の一態様によれば、シリコン基板上のアルミニウム膜に積層された窒化アルミニウム上に、スパッタにより窒化ガリウム膜が形成される。そのため、スパッタにより形成された窒化ガリウム膜の結晶性を高めることができる。
本発明の一態様では、前記窒化アルミニウム膜を形成する工程が、前記シリコン基板と前記窒化アルミニウム膜との間に前記アルミニウム膜が存在する状態で終了される。
窒化アルミニウム膜の形成時には、シリコン基板上に形成されたアルミニウム膜が、混合ガスのプラズマにさらされることにより、アルミニウム膜は、その表面から窒化されることになる。そのため、シリコン基板上にアルミニウム膜が形成されているとはいえ、アルミニウム膜がその厚さ方向の全体にわたって窒化された場合、シリコン基板の表面も窒化されてしまう可能性が高くなる。
この点、本発明の一態様では、アルミニウム膜が、シリコン基板と窒化アルミニウム膜との間に残っている状態で、窒化アルミニウム膜の形成工程が終了される。そのため、窒化ガリウム膜を形成する工程など、窒化アルミニウム膜が形成された後の工程で基板が加熱される際にも、シリコン基板の表面の窒化が抑えられ、ひいては、窒化ガリウム膜の結晶性をより高めることができる。
本発明の一態様は、前記アルミニウム膜を形成する工程と、前記窒化アルミニウム膜を形成する工程とでは、同一のアルミニウムターゲットを用いて行い、前記窒化アルミニウム膜を形成した後に、前記アルミニウムターゲットに対して前記希ガスから生成されたプラズマを供給して、該アルミニウムターゲットの表面をクリーニングするクリーニング工程を更に備える。
本発明の一態様では、窒化アルミニウム膜を形成した後にアルミニウムターゲットの表面が希ガスでスパッタされるため、後続するシリコン基板に対してアルミニウム膜を形成するとしても、後続するシリコン基板の表面に窒素が供給されにくくなる。それゆえに、単一のアルミニウムターゲットを用いてアルミニウム膜と窒化アルミニウム膜とを形成しても、シリコン基板の表面が窒化されにくくなるため、窒化ガリウム膜の結晶性が高められるという効果を連続して処理される複数のシリコン基板上で得られる。
本発明の一態様は、前記アルミニウム膜の形成工程を行う前に、前記シリコン基板の表面に形成された自然酸化膜を除去する工程を更に備え、前記自然酸化膜を除去するときの前記シリコン基板の温度を1000℃以上とし、前記自然酸化膜を除去する工程は、前記アルミニウム膜が形成される真空槽にて行われる。
本発明の一態様では、シリコン基板の表面に形成された自然酸化膜を除去するようにしている。そのため、自然酸化膜の形成されたシリコン基板に対して窒化ガリウム膜が形成されるよりも、窒化ガリウム膜の結晶性を高めることができる。
本発明の一態様は、前記アルミニウム膜を形成する工程では、該アルミニウム膜の厚さを1nm以上10nm以下とする。
本願発明者らは、シリコン基板上に形成されるアルミニウム膜の厚さが、1nm以上10nm以下であるときに、該アルミニウム膜上に形成される窒化アルミニウム膜の結晶性が高められ、且つ、上記範囲に含まれている限りは、窒化アルミニウム膜の結晶性が同程度に高められることを見出した。
この点、本発明の一態様では、シリコン基板上に形成されるアルミニウム膜の厚さを1nm以上10nm以下としていることから、アルミニウム膜上に形成される窒化アルミニウム膜の結晶性、及び該窒化アルミニウム膜上に形成される窒化ガリウム膜の結晶性を高めることができる。
本発明の一態様は、窒化ガリウム膜の形成装置が、希ガスから生成されるプラズマ中でアルミニウムターゲットをスパッタしてシリコン基板上にアルミニウム膜を形成するアルミニウム膜形成部と、窒素含有ガスと希ガスとの混合ガスから生成されるプラズマ中でアルミニウムターゲットをスパッタして前記アルミニウム膜上に窒化アルミニウム膜を形成する窒化アルミニウム膜形成部と、前記窒化アルミニウム膜上に窒化ガリウム膜を形成する窒化ガリウム膜形成部とを備え、前記アルミニウム膜形成部及び前記窒化アルミニウム膜形成部は、前記シリコン基板を1000℃以上1200℃以下に加熱する基板ステージを備える。
本発明の一態様では、窒化アルミニウム膜形成部が、シリコン基板に対して窒化アルミニウム膜を形成する前に、アルミニウム膜形成部が、シリコン基板上にアルミニウム膜を形成するようにしている。そのため、窒化アルミニウム膜の形成に際して、アルミニウムターゲットを窒素含有ガスと希ガスとの混合ガスから生成されたプラズマを用いてスパッタしても、シリコン基板の表面が、混合ガス中に含まれる窒素イオンや窒素ラジカル等の窒化源にさらされにくくなる。それゆえに、シリコン基板の表面に窒化シリコンが形成されにくくなり、ひいては、シリコン基板上に形成される窒化アルミニウム膜、並びに窒化ガリウム膜の結晶性を高めることができる。
本発明の一態様では、前記窒化ガリウム膜形成部は、前記アルミニウム膜形成部の搭載される真空槽とは異なる真空槽に搭載されている。
本発明の一態様によれば、本発明の一態様によれば、アルミニウム膜が形成される前のシリコン基板上にガリウムや窒素を含むパーティクルが付着しないため、シリコン基板上にアルミニウム膜が形成されにくくなることが抑えられる。
本発明の一態様は、前記窒化ガリウム膜形成部は、ガリウムターゲットと、窒素含有ガス及び希ガスを供給するガス供給部と、前記窒素含有ガスと前記希ガスとの混合ガスからプラズマを生成するプラズマ生成部とを備える。
本発明の一態様では、窒化ガリウム膜形成部が、プラズマ生成部によってガス供給部から供給された混合ガスからプラズマを生成し、これにより、ガリウムターゲットをスパッタすることで、窒化ガリウム膜を形成する。そのため、スパッタにより形成された窒化ガリウム膜の結晶性を高めることができる。
本発明における窒化ガリウム膜の形成装置を具体化した第1実施形態であるスパッタ装置の全体構成を示す概略図。 スパッタ装置を構成する各構成要素の駆動の態様を示すタイミングチャート。 (a)〜(e)本発明における窒化ガリウム膜の形成方法を具体化した第1実施形態を工程順に示す工程図。 (a)Al膜上に形成されたAlN膜に対するωスキャンによって得られたX線ロッキングカーブ(b)Si基板上に形成されたAlN膜に対するωスキャンによって得られたX線ロッキングカーブを示す図。 Al膜上に形成されたAlN膜に対するωスキャンによって得られたX線ロッキングカーブを示す図。 Al膜の厚さとAlN(0002)におけるX線ロッキングカーブの半値幅との関係を示すグラフ。 (a)AlN膜上に形成されたGaN膜のX線回折におけるGaN(10−12)反射付近のΦスキャン測定結果を示す図(b)Al膜とAlN膜との上に形成されたGaN膜のX線回折におけるGaN(10−12)反射付近のΦスキャン測定結果を示す図。 本発明における窒化ガリウム膜の形成装置を具体化した第2実施形態であるスパッタ装置の全体構成を示す概略図。 スパッタ装置の備える真空槽の構成を内部構造とともに示す概略図。
[第1実施形態]
以下、本発明における窒化ガリウム膜の形成方法をスパッタ法として具体化した第1実施形態、及び窒化ガリウム膜の形成装置をスパッタ装置として具体化した第1実施形態について、図1〜図7を参照して説明する。
[スパッタ装置の全体構成]
まず、窒化ガリウム膜の形成装置を具体化した第1実施形態であるスパッタ装置について、図1を参照して説明する。
図1に示されるように、スパッタ装置10が有する真空槽11には、該真空槽11内に基板Sを搬出入するためのゲートバルブ12が取り付けられている。なお、真空槽11内に搬入される処理前の基板Sは、自然酸化膜が表面に形成されたシリコン基板(Si基板)である。
また、真空槽11には、該真空槽11内を所定圧力に減圧する排気部13が接続されている。排気部13は、例えば、真空ポンプと、真空ポンプの排気流量を調整するバルブとから構成されている。さらに、真空槽11には、該真空槽11内に窒素含有ガスを供給する窒素含有ガス供給部14と、同真空槽11内に希ガスを供給する希ガス供給部とが連結されている。窒素含有ガス供給部14は、窒素含有ガスとしての窒素ガス(Nガス)を所定流量にて真空槽11内に供給するマスフローコントローラである。また、希ガス供給部15は、希ガスとしてのアルゴンガス(Arガス)を所定流量にて真空槽11内に供給するマスフローコントローラである。
スパッタ装置10にて、基板Sに対する所定の処理が行われるときには、排気部13の排気流量と、上記窒素含有ガス供給部14及び希ガス供給部15の各々から供給されるガスの流量とによって、真空槽11内が所定の圧力とされる。
真空槽11内には、上記基板Sを保持する円板状の基板ステージ16が搭載されている。基板ステージ16には、該基板ステージ16に接続された図示されない回転軸を介してステージモータ17が接続されている。ステージモータ17は、基板Sに対して所定の処理が行われるときに回転駆動することで、基板ステージ16、並びに基板ステージ16に保持された基板Sをこれらの周方向に回転させる。
また、基板ステージ16に内設された図示されないヒータ電極には、基板ステージ16の温度を上昇させるヒータ電源18が接続されている。ヒータ電源18は、基板Sに対する所定の処理が行われるときに、ヒータ電極を加熱することによって、基板ステージ16に保持された基板Sを所定の温度に加熱する。
基板ステージ16の上方には、基板Sに対する各種金属膜の形成に用いられるアルミニウムカソード21Aとガリウムカソード21Gとが搭載されている。アルミニウムカソード21Aは、バッキングプレート22Aと、真空槽11内に表面をさらすようにバッキングプレート22Aに取り付けられたアルミニウムターゲットTAと、バッキングプレート22Aを挟んでアルミニウムターゲットTAとは反対側に配置された磁気回路23Aとを有している。バッキングプレート22Aには、該バッキングプレート22Aを介してアルミニウムターゲットTAに電力を供給するアルミニウムターゲット電源24Aが接続されている。アルミニウムターゲット電源24Aは、例えば、周波数が13.5MHzである高周波電力を出力する高周波電源であって、上記基板Sに対して各種金属膜を形成するときに、アルミニウムターゲットTAに対して電力を供給することで、真空槽11内のガスからプラズマを生成する。
ガリウムカソード21Gは、上記アルミニウムカソード21Aと同様、バッキングプレート22Gと、ガリウムターゲットTGと、磁気回路23Gとを有している。バッキングプレート22Gには、上記アルミニウムターゲット電源24Aと同様のガリウムターゲット電源24Gが接続されているとともに、バッキングプレート22Gを介してガリウムターゲットTGを冷却する冷却部25が接続されている。冷却部25は、例えばバッキングプレート22Gに形成された水路内を流れる冷媒を所定温度とすることによって、ガリウムターゲットTGを固相に維持する。これにより、ガリウムターゲットTGの配置における自由度が高められる。
なお、上記カソード21A,21Gは、基板Sの表面に対する法線と、各カソード21A,21Gが有するターゲットTA,TGの表面に対する法線とが、所定の角度にて交差するように真空槽11に取り付けられている。
真空槽11内には、該真空槽11の内壁面に沿った形状のシャッタ26が配設されている。シャッタ26は、上記ターゲットTA,TGのいずれかの表面を露出させる開口部26aを有するとともに、基板ステージ16の回りを囲んでいる。シャッタ26には、シャッタ26を回転させるシャッタモータ27が、図示されない回転軸を介して連結されている。シャッタモータ27は、シャッタ26を回転させることで、ターゲットTA,TGの表面に対する開口部26aの位置を相対移動させ、これにより、開口部26aから露出させるターゲットをアルミニウムターゲットTAとガリウムターゲットTGとに切り替える。
シャッタ26は、一方のターゲットがスパッタされるときに、他方のターゲットの表面を覆うことで、ターゲット表面に対してスパッタ粒子が付着することを抑える。また、シャッタ26は、各ターゲットTA,TGからのスパッタ粒子が、真空槽11の内壁面に付着することを抑える。
こうしたスパッタ装置10には、ゲートバルブ12、排気部13、窒素含有ガス供給部14、希ガス供給部15、ステージモータ17、各電源18,24A,24G、及びシャッタモータ27が接続されるとともに、これらの駆動を制御する制御部10Cが搭載されている。また、制御部10Cには、ゲートバルブ12、排気部13、窒素含有ガス供給部14、希ガス供給部15、ステージモータ17、各電源18,24A,24G、及びシャッタモータ27の出力に関するプロセスステップ毎の設定値が、プロセスレシピとして記憶されている。
制御部10Cは、上記プロセスレシピを読み出した後、プロセスレシピを構成するプロセスステップ毎に、そのプロセスステップに定められた設定値を読み出して、該読み出した設定値に応じた指令を生成する。そして、制御部10Cは、上記ゲートバルブ12、ステージモータ17、シャッタモータ27、排気部13、各ガス供給部14,15、及び各電源18,24A,24Gを駆動する駆動部にて、各々の指令に応じた駆動信号を生成して出力する。
なお、アルミニウム膜形成部は、アルミニウムターゲットTA、アルミニウムターゲット電源24A、バッキングプレート22A、及び、希ガス供給部15によって構成されている。また、窒化アルミニウム膜形成部は、アルミニウムターゲットTA、アルミニウムターゲット電源24A、バッキングプレート22A、窒素含有ガス供給部14、及び希ガス供給部15から構成されている。また、窒化ガリウム膜形成部は、ガリウムターゲットTG、ガリウムターゲット電源24G、バッキングプレート22G、窒素含有ガス供給部14、及び希ガス供給部15によって構成されている。このうち、窒素含有ガス供給部14及び希ガス供給部15がガス供給部を構成し、ガリウムターゲット電源24G、及びバッキングプレート22Gがプラズマ生成部を構成している。
[スパッタ装置の作用]
次に、図2及び図3を参照して、上記スパッタ装置10の作用として、該スパッタ装置10の動作の一つであるSi基板に対する窒化ガリウム膜(GaN膜)の形成処理の作用について説明するとともに、本発明の窒化ガリウム膜の形成方法を具体化した第1実施形態について説明する。
GaN膜の形成処理が行われるときには、まず、制御部10Cから排気部13に対して排気指令に応じた駆動信号が出力されることにより、真空槽11内が、所定圧力にまで減圧される。また、制御部10Cからシャッタモータ27に対して指令に応じた駆動信号が出力されることで、シャッタモータ27の回転位置が所定位置に維持される。これにより、シャッタ26が、上記2つのターゲットTA,TGの表面を覆う位置に維持される。
真空槽11内が減圧されると、図2に示されるように、タイミングT1にて、制御部10Cからゲートバルブ12に対して開閉指令に応じた駆動信号が出力されることにより、開かれたゲートバルブ12から基板Sが搬入されるとともに、基板Sの搬入が完了すると、ゲートバルブ12が再び閉じられる。真空槽11に搬入された基板Sは、上記基板ステージ16上に載置される。なお、基板Sは、Si基板31の表面に自然酸化膜32が形成された構造である(図3(a)参照)。
基板Sが基板ステージ16上に載置されると、タイミングT2にて、制御部10Cからヒータ電源18に対して加熱指令に応じた駆動信号が出力されることにより、基板ステージ16並びに基板Sの温度が1000℃にまで加熱される。そして、タイミングT3までの所定期間にわたって基板Sの温度が1000℃に維持されると、Si基板31上の自然酸化膜32が除去される(自然酸化膜除去工程:図3(b)参照)。
このように、自然酸化膜32の除去が、スパッタ装置10内での加熱によって行われるため、該自然酸化膜32の除去がウェットエッチングによって行われる場合と比較して、Si基板31表面の洗浄を含めたGaN膜の形成を簡便に行うことができる。
自然酸化膜32が除去されると、タイミングT3にて、制御部10Cから希ガス供給部15に対して供給指令に応じた駆動信号が出力されることにより、Arガスが、150sccmの流量で真空槽11内に供給される。また、タイミングT3にて、制御部10Cからシャッタモータ27に対して開放指令に応じた駆動信号が出力されることにより、シャッタモータ27が所定の回転位置にまで回転駆動される。これにより、シャッタ26の開口部26aが、アルミニウムターゲットTAと対向する位置にまで移動する。シャッタ26の開口部26aが移動すると、タイミングT4にて、制御部10Cからシャッタモータ27に対して停止指令に応じた信号が出力されることにより、シャッタモータ27が所定の回転位置に維持される。これにより、シャッタ26の開口部26aが、アルミニウムターゲットTAと対向する位置に維持される。
同じくタイミングT4では、制御部10Cからアルミニウムターゲット電源24Aに対して供給指令に応じた駆動信号が出力されることにより、150W(1.33W/cm)の高周波電力がアルミニウムターゲットTAに供給される。これにより、真空槽11内のArガスからプラズマが生成されるとともに、該プラズマによってアルミニウムターゲットTAがスパッタされる。こうしたArガス及び電力の供給がタイミングT5まで維持されることにより、Si基板31上に5nmのアルミニウム膜(Al膜)33が形成される(Al膜形成工程:図3(c)参照)。
Al膜33が形成されると、タイミングT5にて、制御部10Cから希ガス供給部15に対して供給指令に応じた駆動信号が出力されることで、Arガスが、45sccmの流量で真空槽11内に供給される。また、同じくタイミングT5では、制御部10Cから窒素含有ガス供給部14に対して供給指令に応じた駆動信号が出力されることで、Nガスが、10sccmの流量で真空槽11内に供給される。
なお、このとき、アルミニウムターゲット電源24AからアルミニウムターゲットTAへの電力の供給は維持されている。これにより、真空槽11内のArガスとNガスとの混合ガスからプラズマが生成されるとともに、該プラズマによってアルミニウムターゲットTAがスパッタされる。こうしたArガス、Nガス、及び電力の供給がタイミングT6まで維持されることにより、40nmの窒化アルミニウム膜(AlN膜)34がAl膜33上に形成される(AlN膜形成工程:図3(d)参照)。
こうしてAlN膜34が形成されているときには、Si基板31の表面がAl膜33で覆われている。そのため、Si基板31の表面が、プラズマ中に含まれるNイオンやNラジカル等の窒化源にさらされにくくなる。それゆえに、Si基板31の表面が窒化されにくくなる。
しかも、AlN膜34の形成工程は、先のAl膜形成工程にてSi基板31上に形成されたAl膜33の全てが窒化される前に、すなわちSi基板31上に形成されたAl膜33が、Si基板31とAlN膜34との間に残っている状態で終了される。そのため、Si基板31の表面が、後続する工程での加熱によっても窒化されにくくなる。それゆえに、AlN膜34は、結晶性が高められた状態でAl膜33上に形成されることになる。
AlN膜34が形成されると、タイミングT6にて、制御部10Cからアルミニウムターゲット電源24Aに対して停止指令に応じた信号が出力されることで、アルミニウムターゲットTAに対する電力の供給が停止される。同じくタイミングT6では、制御部10Cからシャッタモータ27に対して開放指令に応じた駆動信号が出力されることにより、シャッタモータ27が所定の回転位置にまで回転駆動される。これにより、シャッタ26の開口部26aが、ガリウムターゲットTGと対向する位置にまで移動する。シャッタ26の開口部26aが移動すると、タイミングT7にて、制御部10Cからシャッタモータ27に対して停止指令に応じた信号が出力されることで、シャッタモータ27が所定の回転位置に維持される。これにより、シャッタ26の開口部26aが、ガリウムターゲットTGと対向する位置に維持される。
同じくタイミングT7では、制御部10Cからガリウムターゲット電源24Gに対して電力指令が出力されることにより、150W(1.33W/cm)の高周波電力がガリウムターゲットTGに供給される。また、同じくタイミングT7では、制御部10Cからヒータ電源18に対して降温指令に応じた駆動信号が出力されることで、基板ステージ16並びに基板Sの温度が800℃に変更される。なお、このとき、Arガス及びNガスは、上記タイミングT6と同流量に維持されている。
こうしたArガス、Nガス、及び電力の供給がタイミングT8まで維持されることにより、2μmのGaN膜35がAlN膜34上に形成される(GaN膜形成工程:図3(e)参照)。先のAl膜形成工程、AlN膜形成工程、及びGaN膜形成工程により、単一のSi基板31に対してAl膜33、AlN膜34、及びGaN膜35の各々が一層ずつ形成される。
こうして形成されたGaN膜35の下層には、結晶性の高められたAlN膜34が形成されている。そのため、AlN膜34を構成する結晶にならってエピタキシャル成長するGaN膜35の結晶性も自ずと高められることになる。
また、Si基板31上の自然酸化膜32が除去されているため、自然酸化膜32が形成されているSi基板31に対してGaN膜35が形成されるよりも、GaN膜35の結晶性を高めることができる。
GaN膜35が形成されると、タイミングT8にて、制御部10Cから希ガス供給部15に対して停止指令に応じた信号が出力されることで、Arガスの供給が停止される。同じくタイミングT8では、制御部10Cから窒素含有ガス供給部14に対して供給指令に応じた駆動信号が出力されることで、Nガスが、100sccmの流量で真空槽11内に供給される。また、同じくタイミングT8では、制御部10Cからガリウムターゲット電源24G及びヒータ電源18の各々に対して停止指令及び降温指令に応じた信号が出力されることで、ガリウムターゲットTGに対する電力の供給と、基板ステージ16並びに基板Sの加熱が停止される。こうしたNガスの供給がタイミングT9まで維持されることで、基板SがNガス雰囲気にて冷却される。
基板Sの冷却が完了すると、タイミングT9にて、制御部10Cから窒素含有ガス供給部14に対して停止指令に応じた信号が出力されることで、Nガスの供給が停止される。これにより、真空槽11内が所定の圧力にまで減圧される。
ガスの供給が停止されると、タイミングT10にて、制御部10Cからゲートバルブ12に対して開閉指令に応じた駆動信号が出力されることで、開かれたゲートバルブ12から処理後の基板Sが搬出されるとともに、基板Sの搬出が完了すると、再びゲートバルブ12が閉じられる。
処理後の基板Sが搬出されると、タイミングT11にて、制御部10Cから希ガス供給部15に対して供給指令に応じた駆動信号が出力されることで、Arガスが、150sccmの流量で真空槽11内に供給される。また、同じくタイミングT11では、制御部10Cからシャッタモータ27に対して開放指令に応じた駆動指令が出力されることで、シャッタモータ27が、所定の回転位置にまで回転駆動される。これにより、シャッタ26の開口部26aが、アルミニウムターゲットTAと対向する位置にまで移動する。シャッタ26の開口部26aが移動すると、タイミングT12にて、制御部10Cからシャッタモータ27に対して停止指令に応じた信号が出力されることで、シャッタモータ27が、所定の回転位置で維持される。これにより、シャッタ26の開口部26aは、アルミニウムターゲットTAと対向する位置で維持される。
同じくタイミングT12では、制御部10Cからアルミニウムターゲット電源24Aに対して供給指令に応じた駆動信号が出力されることで、150W(1.33W/cm)の高周波電力が、アルミニウムターゲットTAに対して供給される。これにより、真空槽11内のArガスからプラズマが生成されるとともに、該プラズマによってアルミニウムターゲットTAがスパッタされる。
これにより、上記AlN膜の形成工程にて表面に形成された窒化物が、アルミニウムターゲットTAから取り除かれる。そのため、複数の基板Sに対して連続してGaN膜の形成を行ったとしても、先行する基板Sに対するAlN膜34の形成により、アルミニウムターゲットTAの表面に形成された窒化物は、後続する基板Sに対してAl膜33を形成する以前に取り除かれる。それゆえに、後続する基板Sの表面に対してAl膜33を形成するときに、該基板Sの表面、つまりはSi基板31の表面に窒素が供給されにくくなる。したがって、単一のアルミニウムターゲットTAを用いてAl膜33とAlN膜34とを順に形成するとともに、これら膜の形成が複数の基板Sに対して行われたとしても、基板Sの表面が窒化されにくくなる。
アルミニウムターゲットTAに対する電力の供給が所定時間維持されると、タイミングT13にて、制御部10Cから希ガス供給部15に対して停止指令に応じた信号が出力されることで、Arガスの供給が停止される。同じくタイミングT13では、制御部10Cからアルミニウムターゲット電源24Aに対して停止指令に応じた信号が出力されることで、アルミニウムターゲットTAに対する電力の供給が停止される(アルミニウムターゲットクリーニング工程)。
また、同じくタイミングT13では、制御部10Cからシャッタモータ27に対して閉鎖指令に応じた駆動信号が出力されることで、シャッタモータ27が所定の回転位置にまで回転駆動される。これにより、シャッタ26が、タイミングT14にて、2つのターゲットTA,TGを覆う位置にまで上記開口部26aが移動する。
こうしてアルミニウムターゲットのクリーニングが行われた後に、処理前の基板Sが上記ゲートバルブ12から真空槽11内に搬入されることで、該基板Sに対してアルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、及び窒化ガリウム膜がこの順に形成される。
[試験例]
[AlN層の結晶性]
アルミニウムターゲットを以下の条件でスパッタすることによって、直径200mmのSi(111)基板に5nmのAl膜を形成した。なお、アルミニウムターゲット表面とSi(111)基板の表面との距離を60mmとした。
[Al膜形成条件]
・アルミニウム電源出力周波数 13.5MHz
・アルミニウム電源出力電力 150W(1.33W/cm
・真空槽内の圧力 0.65Pa
・Arガス流量 150sccm
・基板温度 800℃
そして、真空槽内に供給されるガスの種類並びに流量を、上記Al膜形成条件から以下のように変更して、Al膜上に40nmのAlN膜を形成した。
[AlN膜形成条件]
・Arガス流量 45sccm
・Nガス流量 10sccm
こうして形成されたAlN膜の結晶性を評価するために、X線回折によって(002)面のロッキングカーブを測定した。ωスキャンによるロッキングカーブの測定結果を図4(a)に示す。図4(a)に示されるように、ロッキングカーブの半値幅は1.2°であることが認められた。
また、40nmのAlN膜をSi(111)基板に対して直に形成し、該AlN膜における(002)面のロッキングカーブを上述の方法によって測定した。なお、AlN膜の形成は、上記AlN膜形成条件にて行った。ただし、真空槽内にプラズマを形成するときにのみ、Arガス及びNガスの供給を以下の条件とした。
[プラズマ形成条件]
・Arガス流量 150sccm
・Nガス流量 50sccm
こうして形成されたAlN膜のロッキングカーブの測定結果を図4(b)に示す。図4(b)に示されるように、ロッキングカーブの半値幅は2.0°よりも大きい値であることが認められた。
つまり、Si基板の表面にAl膜を形成した後に、Si基板に対してAlN膜を形成することにより、Al膜を形成しない場合と比較して、Si基板の表面における窒化が抑えられ、これによりAlN膜の結晶性が高められることが認められた。
また、上記Al膜形成条件及びAlN膜形成条件から、基板温度のみを1000℃に変更して、Si(111)基板上にAl膜とAlN膜とをこの順に形成した。そして、AlN膜における(002)面のロッキングカーブを上述の方法によって測定した。この測定結果を図5に示す。図5に示されるように、ロッキングカーブの半値幅は0.38°であることが認められた。このように、Al膜及びAlN膜を形成するときの温度が1000℃であると、AlN膜の結晶性がより高められることが認められた。なお、Si基板の変形が起こらない1200℃以下の範囲においては、Al膜及びAlN膜を形成するときのSi基板の温度が高いほど、AlN膜の結晶性が高められることが認められた。
このように、Al膜及びAlN膜を形成するときのSi(111)基板の温度を1000℃以上1200℃以下とすれば、(002)面におけるロッキングカーブの半値幅が0.5°以下という結晶性の高いAlN膜を得られることが認められた。
[Al膜の厚さとAlN膜の結晶性との関係]
Si(111)基板上に、0nm〜12nmのAl膜と、40nmのAlN膜とをこの順に形成し、AlN膜における(0002)面のロッキングカーブを測定した。こうして測定されたロッキングカーブ(XRC)の半値幅を図6に示す。なお、Al膜の形成条件、及びAlN膜の形成は、上記各条件から基板温度のみを1000℃に変更した条件にて行った。また、ロッキングカーブの測定方法は上記と同様とした。
図6に示されるように、Al膜の厚さが0nmから1nmまでの範囲では、Al膜の厚さが大きくなるに従って、半値幅が小さくなることが認められた。そして、Al膜の厚さが1nm以上10nm以下の範囲では、Al膜の厚さにかかわらず、半値幅が0.5°程度の略同じ値であることが認められた。これに対し、Al膜の厚さが10nmより大きい範囲では、Al膜の厚さが大きくなるに従って、半値幅が大きくなることが認められた。このように、Al膜の厚さが1nm以上10nm以下であるときに、AlN膜の結晶性が高められることが認められた。
なお、Al膜の厚さが1nmよりも薄いときには、Si基板の表面に対して部分的にAl膜が形成されているのみであるために、Al膜によって覆われていないSi基板の表面が窒化し、その結果、AlN膜の結晶性が相対的に低くなると考えられる。他方、Al膜の厚さが10nmよりも厚いときには、Al膜の厚さが大きくなることによって、Al膜の結晶性に対するSi基板とAl膜との格子不整合の影響が大きくなり、その結果、Al膜そのものの結晶性、並びにAlN膜の結晶性が相対的に低くなると考えられる。
また、Al膜上に形成したAlN膜の厚さが、上記以外の厚さであっても、Al膜を形成した場合に、AlN膜のロッキングカーブの値がSi基板上にAl膜を形成しない場合よりも小さくなることが認められた。
[GaN膜の結晶性]
Si(111)基板上に、5nmのAl膜と、40nmのAlN膜とをこの順に形成した後、ガリウムターゲットを以下の条件にてスパッタして2μmのGaN膜を形成した。なお、Al膜の形成条件と、AlN膜の形成条件とは、上記と同一の条件とした。また、ガリウムターゲットの表面とSi(111)基板の表面との距離を60mmとした。
[GaN膜形成条件]
・ガリウム電源出力周波数 13.5MHz
・ガリウム電源出力電力 150W(1.33W/cm
・真空槽内の圧力 0.65Pa
・Arガス流量 45sccm
・Nガス流量 10sccm
・基板温度 800℃
こうして形成されたGaN膜の結晶性を評価するために、X線回折によって(10−12)面のロッキングカーブを測定したところ、ロッキングカーブの半値幅は0.592°であることが認められた。また、このGaN膜における(0002)面のロッキングカーブをωスキャンにより測定したところ、ロッキングカーブの半値幅が0.335°であることが認められた。さらに、GaN(10−12)反射付近のΦスキャン測定を行った。この測定結果を図7(a)に示す。図7(a)に示されるように、結晶の面内配向のばらつき、すなわち結晶のモザイク性が小さいことが認められた。
また、Si(111)基板上に、40nmのAlN膜を直に形成した後、2μmのGaN膜を形成し、該GaN膜における(10−12)面のロッキングカーブを上述の方法によって測定した。なお、AlN膜の形成は、上記Al膜を形成しないときの条件にて行うとともに、GaN膜の形成は、上記GaN層形成条件にて行った。X線解析によって(10−12)面のロッキングカーブを測定したところ、ロッキングカーブの半値幅は1.346°であることが認められた。また、このGaN膜における(0002)面のロッキングカーブをωスキャンにより測定したところ、ロッキングカーブの半値幅が0.698°であることが認められた。また、GaN(10−12)反射付近のΦスキャン測定を行った。この測定結果を図7(b)に示す。図7(b)に示されるように、Al膜を形成した場合と比較して結晶の面内配向のばらつき、すなわち結晶のモザイク性が大きいことが認められた。
なお、Al膜の厚さが、1nm以上10nm以下の範囲では、GaN膜における(0002)面のロッキングカーブの半値幅が、上述と略同様の値であって、Al膜を形成しない場合よりも小さい値であることが認められた。また、Al膜の厚さが、0nmより大きく1nm未満の範囲では、GaN膜のロッキングカーブの半値幅は、Al膜の厚さが1nm以上10nm以下の範囲であるときよりは大きい値であるものの、Al膜を形成しない場合よりも小さい値であることが認められた。他方、Al膜の厚さが10nmよりも大きい範囲では、Al膜の厚さが0.1μmを超えたときに、Al膜を形成しない場合よりも上記ロッキングカーブの半値幅が大きくなることが認められた。これは、上述したように、Si基板表面の窒化よりも、Si基板とAl膜との格子不整合の方が、AlN膜の結晶性に対して影響しているためと考えられる。
また、Al膜上に形成されるAlN膜の厚さ及びGaN膜の厚さは、上記以外の厚さであっても、GaN膜のロッキングカーブの値は、Al膜を形成した場合に、Al膜を形成しない場合よりも小さくなることが認められた。
以上説明したように、上記第1実施形態によれば以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)Si基板31に対してGaN膜35のバッファ層となるAlN膜34を形成する前に、Si基板31上にAl膜33を形成するようにしている。そのため、AlN膜34の形成に際して、アルミニウムターゲットTAをNガスとArガスとの混合ガスから生成されたプラズマを用いてスパッタしたとしても、Si基板31の表面が、混合ガス中に含まれる窒素イオンや窒素ラジカル等の窒化源にさらされにくくなる。それゆえに、Si基板31に対してAlN膜34を介してGaN膜35を形成しても、Si基板31の表面が窒化されることを抑えられる。
(2)Al膜33が、Si基板31とAlN膜34との間に残っている状態で、AlN膜34の形成工程が終了される。そのため、Si基板31表面の窒化がより抑えられるようになる。
(3)複数の基板Sに対してGaN膜35の形成を行うときに、先行する基板Sに対してGaN膜35を形成した後、アルミニウムターゲットTAの表面をArガスでスパッタした上で、後続する基板Sに対してAl膜を形成するようにしている。そのため、先行する基板Sに対するAlN膜34の形成が行われることで、アルミニウムターゲットTAの表面が窒化されていたとしても、後続する基板Sの表面、つまりSi基板31の表面に窒素が供給されにくくなる。それゆえに、単一のアルミニウムターゲットTAを用いてAl膜33とAlN膜34とを形成しても、Si基板31の表面が窒化されにくくなる。
(4)Si基板31に形成された自然酸化膜32を加熱により除去するようにしている。そのため、従来多用されているウェットエッチングによって自然酸化膜32を除去するよりも、Si基板31の洗浄からGaN膜35の形成までを簡便な方法にて行うことができる。
(5)Si基板31上に形成されるAl膜33の厚さを1nm以上10nm以下としているため、Al膜33上に形成されるAlN膜34の結晶性、及び該AlN膜34上に形成されるGaN膜35の結晶性を高めることができる。
[第2実施形態]
以下、本発明における窒化ガリウム膜の形成方法をスパッタ法として具体化した第2実施形態、及び窒化ガリウム膜の形成装置をスパッタ装置として具体化した第2実施形態について、図8及び図9を参照して説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態と比較して、スパッタ装置の構成が異なる。そのため、以下では、こうした相違点を説明し、その他の説明を省略する。また、以下では、スパッタ装置の全体構成、スパッタ装置の備える成膜室の構成、スパッタ装置の作用を順に説明する。
[スパッタ装置の全体構成]
図8を参照してスパッタ装置の全体構成を説明する。
図8に示されるように、スパッタ装置40は、搬送ロボット41Rの搭載された搬送室41を備え、搬送室41には、搬出入室42と、アルミニウム成膜室43と、ガリウム成膜室44とが連結されている。搬送室41と各処理室42〜44との間には、搬送室41と各処理室42〜44との間の連通と閉鎖とを行うゲートバルブが取り付けられている。
搬出入室42は、スパッタ装置40の外部からスパッタ装置40の内部に処理前の基板Sを搬入し、搬送室41に搬出する。搬出入室42は、処理後の基板Sを搬送室41から搬入し、スパッタ装置40の外部に搬出する。
アルミニウム成膜室43は、搬出入室42から搬入した処理前の基板Sに、Al膜とAlN膜とを順に形成し、処理後の基板Sを搬出入室42に搬出する。ガリウム成膜室44は、アルミニウム成膜室43での処理後の基板SにGaN膜を形成し、ガリウム成膜室44での処理後の基板Sを搬送室41に搬出する。搬送室41の搬送ロボット41Rは、搬送室41内にて、各処理室42〜44に搬入する基板Sを搬出元から搬出先に向けて搬送する。
なお、アルミニウム成膜室43とガリウム成膜室44とでは、各処理室43,44が所定の圧力に減圧された状態で成膜が行われる。一方、搬送室41では、搬送室41内が所定の圧力に減圧された状態で基板Sの搬送が行われてもよいし、大気圧の状態で基板Sの搬送が行われてもよい。搬送室41での基板Sの搬送が所定の圧力に減圧された状態で行われる場合には、搬出入室42では、基板Sを外部から搬入するとき、及び、基板Sを外部に搬出するときに、搬送室41内が大気圧の状態とされることが好ましい。一方、搬出入室42では、基板Sを搬送室41に搬送するとき、及び、基板Sを搬送室41から搬入するときに、搬送室41内が所定の圧力に減圧されることが好ましい。搬送室41での基板Sの搬送が大気圧の状態で行われる場合には、搬出入室42内も大気圧の状態にされることが好ましい。
[各成膜室の構成]
図9を参照して、スパッタ装置40の備える各処理室43,44の構成を説明する。なお、アルミニウム成膜室43とガリウム成膜室44とでは、形成する膜が異なるものの、成膜に関わる構成は略同様である。そのため、以下では、アルミニウム成膜室43の構成を説明することで、ガリウム成膜室44の説明に代える。
図9に示されるように、アルミニウム成膜室43の真空槽51の下方には、基板Sを保持する基板ステージ52が設置され、基板ステージ52の上方には、カソード53が搭載されている。カソード53は、基板ステージ52と略平行をなす状態で向かい合うターゲットTと、ターゲットTにおける基板ステージ52とは向かい合わない面に取り付けられたバッキングプレート54とを備えている。なお、カソード53には、バッキングプレート54に対してターゲットTとは反対側に、ターゲットTにおける基板ステージ52と向かい合う面に漏洩磁場を形成する磁気回路が搭載されていてもよい。また、アルミニウム成膜室43のターゲットTの形成材料には、アルミニウムが用いられる一方、ガリウム成膜室44のターゲットTの形成材料には、ガリウムが用いられる。バッキングプレート54には、バッキングプレート54を介してターゲットTに電力を供給するターゲット電源55が接続されている。
真空槽51には、真空槽51内を所定の圧力に減圧する排気部56と、成膜に用いられるガスを所定の流量で真空槽51内に供給するガス供給部57が接続されている。ガス供給部57は、スパッタガスとしての希ガス、例えばArガスと、反応ガスとしての窒素含有ガス、例えばNガスとを真空槽51内に供給する。
[スパッタ装置の作用]
スパッタ装置40にてGaN膜が形成されるときには、まず、搬出入室42が処理前の基板Sをスパッタ装置40内に搬入し、搬送室41が搬出入室42から搬入された基板Sをアルミニウム成膜室43まで搬送する。処理前の基板Sがアルミニウム成膜室43の基板ステージ52によって保持されると、ガス供給部57がArガスを供給し、かつ、ターゲット電源55がターゲットTに電力を供給することによって、真空槽51内にArガスからプラズマが生成される。真空槽51内にプラズマが生成されることによってターゲットTがスパッタされ、基板S上にAl膜が形成される。次いで、ガス供給部57がArガスとNガスとを供給することによって、真空槽51内に混合ガスからプラズマが生成され、基板S上にAlN膜が形成される。
アルミニウム成膜室43にて処理された基板Sは、搬送室41を経由してガリウム成膜室44に搬入される。基板Sがガリウム成膜室44の基板ステージ52によって保持されると、ガス供給部57がArガスとNガスとを真空槽51内に供給し、かつ、ターゲット電源55がターゲットTに電力を供給することによって、真空槽51内に混合ガスからプラズマが生成される。真空槽51内にプラズマが生成されることによってターゲットTがスパッタされ、基板SのAlN膜上に、例えば、厚さが0.5μm以上であるGaN膜が形成される。
上述のように、ガリウム成膜室44では、厚さが0.5μm以上のGaN膜が形成される。そのため、例えば、アルミニウム成膜室43のように、厚さが1nm以上10nm以下のアルミニウム膜が形成される場合と比較して、ガリウム成膜室44での成膜時間は長くなる。それゆえに、ガリウム成膜室44の真空槽51の内壁面には、ターゲットTのスパッタによってターゲットTから放出されたGaの粒子や、Gaの粒子が窒化されたGaNの粒子が堆積しやすくなる。結果として、ガリウム成膜室44内には、真空槽51の内壁面から剥がれ落ちたGaやNを含むパーティクルが生じやすくなる。
ここで、基板SへのAl膜、AlN膜、及び、GaN膜の形成が1つの真空槽内で行われる場合には、処理前の基板Sが真空槽内に搬入されると、基板SにGaやNを含むパーティクルが付着しやすい。これにより、基板Sと基板Sに付着したパーティクルとの間で反応が起こることによって、基板S上にAl膜が形成されにくくなってしまう。
この点で、上述した実施形態では、Al膜及びAlN膜が形成されるアルミニウム成膜室43と、GaN膜が形成されるガリウム成膜室44とが個別に真空槽51を備え、Al膜及びAlN膜と、GaN膜とは相互に異なる真空槽51内で形成される。そのため、Al膜が形成される前の基板SにGaやNを含むパーティクルが付着しない。それゆえに、基板S上にAl膜が形成されにくくなることを抑えられる。結果として、GaN膜を備える素子の歩留まりが高められる。
以上説明したように、上記第2実施形態によれば、上記(1)、(2)、(4)、(5)の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(6)Al膜が形成される前の基板SにGaやNを含むパーティクルが付着しないため、基板S上にAl膜が形成されにくくなることが抑えられる。
なお、上記各実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・AlN膜34の形成工程において、Al膜33の全体が窒化されてもよい。こうした構成であっても、Si基板31の表面にAl膜33が形成されていない場合と比較して、Si基板31の表面が窒化されることを抑えることは可能である。
・1枚のSi基板31に対してAl膜33、AlN膜34、及びGaN膜35を形成する毎にアルミニウムターゲットTAのクリーニングを行うのではなく、複数のSi基板31に対してAl膜33,AlN膜34、及びGaN膜35の形成を行う毎にアルミニウムターゲットTAのクリーニングを行うようにしてもよい。こうした構成であっても、アルミニウムターゲットTAのクリーニングを全く行わない構成と比較して、Si基板31の表面に対するNの供給を起こりにくくすることは可能である。
・アルミニウムターゲットTAのクリーニングを行わなくともよい。こうした構成であっても、表面が窒化されているとはいえ、アルミニウムターゲットTAをArガスでスパッタして、Si基板31の表面にAl膜33を形成する。そのため、Si基板31の窒化がより起こりやすいAlN膜34を形成する工程にてSi基板31の表面の窒化を抑えられる分、Si基板31の表面にAlN膜を直に形成する場合と比較して、Si基板31表面の窒化を抑えることができる。
・Si基板31の表面に形成された自然酸化膜32の除去は、ウェットエッチング等、スパッタ装置10での加熱以外の方法で行うようにしてもよい。ただし、上述のように、自然酸化膜32を加熱によって行うことにより、ウェットエッチングを行うよりも、シリコン基板の洗浄から窒化ガリウム膜の形成までをより簡便な方法にて行うことができる。
・Al膜33の厚さは、Al膜33とSi基板31との格子不整合により、Si基板31に対して直にAlN膜34が形成されたときよりもAlN膜34、ひいてはGaN膜35の結晶性が低下しない範囲で、任意の厚さとすればよい。
・基板Sは、スパッタ装置10に搬入される前に、ウェットエッチング等によって自然酸化膜が除去されたシリコン基板であってもよい。
・窒素含有ガスは、上記Nガスの他、例えばNHガス等であってもよい。
・希ガスは、上記Arガスの他、例えばヘリウムガス、ネオンガス、クリプトンガス、及びキセノンガスのいずれか、あるいは、これら希ガスを混合したガスであってもよい。
・アルミニウムターゲット電源24A及びガリウムターゲット電源24Gは、各ターゲットTA,TGに直流電力を供給する直流電源であってもよく、また、上記高周波電源と直流電源との両方からなる構成であってもよい。なお、各ターゲット電源24A,24Gが高周波電源と直流電源との両方を備える場合、高周波電源と直流電源とから同時に電力を出力してもよく、また、高周波電源と直流電源とから互いに異なるタイミングにて電力を出力してもよい。要は、電源の種類及び電力の供給態様は、真空槽11内のガスからプラズマを形成可能な範囲で、適宜変更可能である。
・各カソード21A,21Gは、基板Sの表面に対する法線と、ターゲットTA,TGの表面に対する法線とが平行になるように、真空槽11に取り付けられていてもよい。
・スパッタ装置10は、2つのアルミニウムカソードを有し、そして、一方のアルミニウムカソードをAl膜33の形成に用い、他方のアルミニウムカソードをAlN膜34の形成に用いるようにしてもよい。こうした構成によれば、アルミニウムターゲットTAをクリーニングする工程を割愛することができる。
・第2実施形態におけるスパッタ装置40では、AlN膜の形成が、所望とする厚さのAlN膜の形成が可能であれば、ガリウム成膜室44にて行われてもよい。こうした構成では、ガリウム成膜室44には、ターゲットTの基板ステージ52と向かい合う面の全体を覆った状態と、同面の全体を真空槽51内に露出させる状態とで切り替えるシャッタが設けられていることが好ましい。そして、ガリウム成膜室44にてAlN膜が形成されているときには、ターゲットTの基板ステージ52と向かい合う面がシャッタによって覆われた状態にされ、かつ、GaN膜が形成されるときには、ターゲットTの基板ステージ52と向かい合う面がシャッタによって覆われていない状態とされればよい。なお、シャッタは、ターゲットTの基板ステージ52と向かい合う面の一部を覆う構成でもよいし、同面の一部を真空槽51内に露出させる構成でもよい。こうした構成であっても、シャッタが設けられていない構成と比べて、Al膜とGaN膜との間に所定の厚さを有したAlN膜が形成されやすくなる。
・第2実施形態におけるスパッタ装置40の備えるアルミニウム成膜室43とガリウム成膜室44とは、搬送室41で連結された構成でなくともよく、アルミニウム成膜室43とガリウム成膜室44との各々が、独立したスパッタ装置として具体化されてもよい。この場合には、窒化ガリウム膜の形成装置として、図9に示される構成を備えるスパッタ装置を2つ備える構成であればよい。こうした構成であっても、上記(6)に準じた効果を得ることができる。
・第2実施形態のスパッタ装置40におけるアルミニウム成膜室43とガリウム成膜室44とが相互に独立したスパッタ装置である場合にも、第2実施形態のスパッタ装置40と同様、AlN膜の形成が、アルミニウム成膜室で行われてもよいし、ガリウム成膜室で行われてもよい。なお、AlN膜の形成がガリウム成膜室で行われる構成であれば、スパッタ装置40のガリウム成膜室44でAlN膜の形成が行われる場合と同様、ガリウム成膜室には、シャッタが設けられていることが好ましい。
・スパッタ装置は、スパッタ装置は、Al膜を形成するためのアルミニウムカソードが搭載された真空槽と、AlN膜を形成するためのアルミニウムカソードが搭載された真空槽と、ガリウムカソードが搭載された真空槽との3つの真空槽を有するようにしてもよい。こうした構成であっても、3つの真空槽の各々が、1つの搬送室に連結された構成でもよいし、3つの真空槽が相互に独立した構成でもよい。いずれの構成であっても、Al膜が形成される前の基板SにGaやNを含むパーティクルが付着しないため、上記(6)に準じた効果を得ることができる。
・スパッタ装置にて形成された窒化アルミニウム膜34上への窒化ガリウム膜の形成方法は、上述したスパッタ法に限らず、MOCVD法、HVPE法、及びMBE法等でもよい。なお、MOCVD法、HVPE法、及びMBE法によって形成された窒化ガリウム膜であっても、シリコン基板31上にアルミニウム膜と窒化アルミニウム膜とを形成した後に、窒化ガリウム膜を形成することによって、窒化ガリウム膜の結晶性が高められることが、発明者らによって認められている。
・GaN膜が形成されるSi基板は、上記(111)配向のSi基板に限らず、(110)配向、あるいはその他の結晶配向であってもよい。つまり、Si基板の結晶配向がどのようであれ、Si基板に対してAlN膜を形成する前にAl膜を形成することで、AlN膜、ひいてはGaN膜をエピタキシャル成長させやすくなる。
10,40…スパッタ装置、10C…制御部、11,51…真空槽、12…ゲートバルブ、13,56…排気部、14…窒素含有ガス供給部、15…希ガス供給部、16…基板ステージ、17…ステージモータ、18…ヒータ電源、21A…アルミニウムカソード、21G…ガリウムカソード、22A,22G…バッキングプレート、23A,23G…磁気回路、24A…アルミニウムターゲット電源、24G…ガリウムターゲット電源、25…冷却部、26…シャッタ、26a…開口部、27…シャッタモータ、31…シリコン(Si)基板、32…自然酸化膜、33…アルミニウム(Al)膜、34…窒化アルミニウム(AlN)膜、35…窒化ガリウム(GaN)膜、41…搬送室、41R…搬送ロボット、42…搬出入室、43…アルミニウム成膜室、44…ガリウム成膜室、52…基板ステージ、53…カソード、54…バッキングプレート、55…ターゲット電源、57…ガス供給部、S…基板、T…ターゲット、TA…アルミニウムターゲット、TG…ガリウムターゲット。

Claims (10)

  1. アルミニウムターゲットを窒素含有ガスと希ガスとの混合ガスから生成したプラズマを用いてスパッタして、シリコン基板上に窒化アルミニウム膜を形成する工程と、
    前記窒化アルミニウム膜上に窒化ガリウム膜を形成する工程と
    を備える窒化ガリウム膜の形成方法であって、
    前記窒化アルミニウム膜を形成する前に、
    アルミニウムターゲットを希ガスから生成したプラズマを用いてスパッタして、前記シリコン基板上にアルミニウム膜を形成する工程を備え
    前記アルミニウム膜及び前記窒化アルミニウム膜を形成するときの前記シリコン基板の温度を1000℃以上1200℃以下とす
    ことを特徴とする窒化ガリウム膜の形成方法。
  2. 前記窒化ガリウム膜を形成する工程では、
    前記アルミニウム膜を形成する工程にて前記アルミニウム膜が形成される真空槽とは異なる真空槽内で、前記窒化ガリウム膜が形成される
    請求項1に記載の窒化ガリウム膜の形成方法。
  3. 前記窒化ガリウム膜は、
    ガリウムターゲットを窒素含有ガスと希ガスとの混合ガスから生成されたプラズマを用いてスパッタすることで形成される
    請求項1又は2に記載の窒化ガリウム膜の形成方法。
  4. 前記窒化アルミニウム膜を形成する工程は、
    前記シリコン基板と前記窒化アルミニウム膜との間に前記アルミニウム膜が存在する状態で終了される
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の窒化ガリウム膜の形成方法。
  5. 前記アルミニウム膜を形成する工程と、前記窒化アルミニウム膜を形成する工程とでは、同一のアルミニウムターゲットを用いて行い、
    前記窒化アルミニウム膜を形成した後に、
    前記アルミニウムターゲットに対して前記希ガスから生成されたプラズマを供給して、該アルミニウムターゲットの表面をクリーニングするクリーニング工程を更に備える
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の窒化ガリウム膜の形成方法。
  6. 前記アルミニウム膜の形成工程を行う前に、
    前記シリコン基板の表面に形成された自然酸化膜を除去する工程を更に備え
    前記自然酸化膜を除去するときの前記シリコン基板の温度を1000℃以上とし、
    前記自然酸化膜を除去する工程は、前記アルミニウム膜が形成される真空槽にて行われ
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の窒化ガリウム膜の形成方法。
  7. 前記アルミニウム膜を形成する工程では、該アルミニウム膜の厚さを1nm以上10nm以下とする
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の窒化ガリウム膜の形成方法。
  8. 希ガスから生成されるプラズマ中でアルミニウムターゲットをスパッタしてシリコン基板上にアルミニウム膜を形成するアルミニウム膜形成部と、
    窒素含有ガスと希ガスとの混合ガスから生成されるプラズマ中でアルミニウムターゲットをスパッタして前記アルミニウム膜上に窒化アルミニウム膜を形成する窒化アルミニウム膜形成部と、
    前記窒化アルミニウム膜上に窒化ガリウム膜を形成する窒化ガリウム膜形成部とを備え
    前記アルミニウム膜形成部及び前記窒化アルミニウム膜形成部は、前記シリコン基板を1000℃以上1200℃以下に加熱する基板ステージを備える
    ことを特徴とする窒化ガリウム膜の形成装置。
  9. 前記窒化ガリウム膜形成部は、
    前記アルミニウム膜形成部の搭載される真空槽とは異なる真空槽に搭載されている
    請求項8に記載の窒化ガリウム膜の形成装置。
  10. 前記窒化ガリウム膜形成部は、
    ガリウムターゲットと、
    窒素含有ガス及び希ガスを供給するガス供給部と、
    前記窒素含有ガスと前記希ガスとの混合ガスからプラズマを生成するプラズマ生成部とを備える
    請求項8又は9に記載の窒化ガリウム膜の形成装置。
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