ところが、特許文献1のように、製品領域に対応した四隅にアライメントマークを形成する場合、樹脂フィルムの変形や縮みが生じると、製品領域の四隅と中央部とでは製品ピッチが異なってしまう。このような場合、製品領域の外側となる四隅のアライメントマークで位置合わせを行っても、製品領域の中央部では配線パターンと露光用マスクとの位置が合わなくなる。この露光用マスクの位置ズレによって、貫通導体と配線パターンとで接続不良が発生してしまうことがある。特に、表層側の部品接続用端子はファインピッチで形成する必要があり、それに繋がる貫通導体の直径も小さくなっている。このため、露光用マスクの位置合わせは非常に困難となる。
また、特許文献2のように、製品領域にアライメントマークを形成すると、配線パターンの近傍で露光用マスクの位置合わせが行われるため、露光用マスクの位置ズレが少なくなる。しかしながら、露光用マスクの位置合わせにアライメントマークを利用した後、そのアライメントマークの凹部が上層側の樹脂絶縁層で埋められている。この場合、アライメントマークの跡が製品として残ってしまう。また、アライメントマークの形成部分は他の部分と比較して強度が弱くなり、アライメントマークの部分にクラックが発生することが考えられる。さらに、アライメントマークの凹部を樹脂で埋める際に隙間が生じることも考えられ、製品信頼性を保ち難くなる。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、貫通導体に接続する配線導体層を位置精度良く形成し、接続信頼性に優れた配線基板を製造することができる配線基板の製造方法を提供することにある。
そして上記課題を解決するための手段(手段1)としては、樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層の表面上に形成された配線導体層と、前記配線導体層及び前記樹脂絶縁層を貫通する貫通導体とを備えた配線基板の製造方法であって、前記樹脂絶縁層となる樹脂絶縁材の片面または両面に、前記配線導体層となる金属層が形成された樹脂フィルムを準備する準備工程と、前記樹脂フィルムの前記樹脂絶縁材及び前記金属層を貫通する貫通穴を形成する貫通穴形成工程と、前記樹脂フィルムの前記金属層の表面上に形成されるマークであって、その周囲と反射率が異なるアライメントマークをレーザ加工により形成するマーク形成工程と、前記貫通穴内に前記貫通導体を充填形成する貫通導体形成工程と、前記アライメントマークを形成した前記金属層上に感光性のフォトレジスト材を形成し、前記配線導体層の配線パターン及び位置決め用マークが予め形成された露光用マスクを、前記アライメントマークに対して前記位置決め用マークを位置合わせした状態で前記フォトレジスト材上に配置するマスク配置工程と、前記露光用マスクを介して前記フォトレジスト材の露光を行った後に現像を行うことで、前記金属層をエッチングするためのエッチングレジストをパターン形成するレジスト形成工程と、前記金属層において前記エッチングレジストのレジストパターンから露出する部分であって前記アライメントマークの形成部分を含むパターン非形成部をエッチングにより除去し、前記配線導体層を形成する導体層形成工程と、前記配線導体層上に残存する前記エッチングレジストを除去するレジスト除去工程とを含むことを特徴とする配線基板の製造方法がある。
手段1に記載の発明によると、マーク形成工程において、金属層の表面上にアライメントマークが形成され、マスク配置工程では、金属層の表面においてアライメントマークとその周囲の反射率の違いによってアライメントマークの位置が判別される。従って、そのアライメントマークに対して位置決め用マークを位置合わせした状態で露光用マスクをフォトレジスト材上に正確に配置することができる。また、導体層形成工程では、エッチングレジストを介して金属層をエッチングすることで配線導体層の各配線パターンが形成されるのと同時に、アライメントマークの形成部分がエッチングにより除去される。このようにすると、製品領域にアライメントマークを形成することができる。このため、樹脂フィルムや金属層に変形や縮みがあっても、製品領域にて露光用マスクの位置合わせを正確に行うことができ、貫通導体に接続する配線導体層を位置精度良く形成することができる。さらに、アライメントマークは製品として残らないため、アライメントマークが残ることによる強度や特性の変化を回避することができる。従って、本発明の製造方法によれば、接続信頼性に優れた配線基板を製造することができる。
マーク形成工程では、金属層側を加工することでその金属層を貫通しない非貫通穴をアライメントマークとして形成してもよい。アライメントマークとしての非貫通穴は、樹脂絶縁層を傷つけることなく金属層に形成することができる。また、非貫通穴とその周囲では反射率が異なるため、アライメントマークとして容易に認識できる。さらに、アライメントマークを利用したマスク配置工程の後、そのアライメントマークを金属層のエッチングによって除去することができる。
マーク形成工程において、樹脂フィルムの金属層上に、その表面とは反射率が異なりエッチングにより除去可能なマーク用金属層をアライメントマークとして形成してもよい。このようなマーク用金属層をアライメントマークとして形成する場合でも、金属層のエッチング時に除去することができる。また、マーク用金属層は、形成材料や表面粗度を変えることでその周囲の金属層と反射率を異ならせることができるため、アライメントマークとして容易に認識できる。
貫通穴形成工程では、貫通穴をレーザ加工により形成し、マーク形成工程では、貫通穴を基準に、アライメントマークの非貫通穴をレーザ加工により形成してもよい。また、貫通穴形成工程とマーク形成工程との両工程を同時に行い、同じレーザ加工装置を用いたレーザ加工により、貫通穴とアライメントマークとを形成してもよい。このようにすると、貫通導体が形成される貫通穴に対して正確な位置にアライメントマークを形成することができる。従って、貫通導体に繋がる配線導体層を正確な位置にパターン形成することができ、従来のように貫通導体が配線導体層の配線パターンに接続されないといった問題を確実に回避することができる。また、比較的直径が小さい貫通穴やアライメントマークをレーザ加工によって正確に形成することができるため、配線基板の高密度化や微細化を図ることができる。
マーク形成工程において、アライメントマークは、配線導体層の形成予定領域に対して、100μm以上5000μm以下の距離を離して形成される。このようにすると、配線導体層の配線パターンを位置ずれなく正確に形成することができ、接続信頼性に優れた配線基板を製造することができる。
貫通導体形成工程において、貫通穴に導電性ペーストを充填することで貫通導体を形成した後、マーク形成工程において、アライメントマークの非貫通穴を形成してもよい。この場合、アライメントマークの凹部に導電性ペーストが充填されることがなく、金属層のエッチング時にアライメントマークを確実に除去することができる。
また、マーク形成工程を貫通導体形成工程よりも先に行った後、貫通導体形成工程では、貫通穴に導電性ペーストを充填することで貫通導体を形成するとともに、アライメントマークの非貫通穴にも導電性ペーストを充填してもよい。ここで、導電性ペーストとしては、エッチングにより除去可能な金属材料を含むものを用いる。この場合、導体層形成工程のエッチング時に、非貫通穴内の導電性ペーストをエッチング除去することが可能となるため、アライメントマークを製品として残さずに配線基板を製造することができる。
準備工程では、樹脂絶縁材の表面に金属層としての金属箔を貼り付けた金属箔付き樹脂フィルムを準備してもよい。また、準備工程において、樹脂絶縁材の表面に金属層としてのめっき層やスパッタ層を形成した樹脂フィルムを準備してもよい。
配線基板は、複数の樹脂絶縁層と複数の配線導体層とが積層された樹脂絶縁部と、樹脂絶縁部の下層側に設けられ、複数のセラミック絶縁層と複数の導体層とが積層されたセラミック基板部とを備える電子部品検査用配線基板であってもよい。この場合、電子部品検査用配線基板における配線導体層を精度良く形成できるため、多数の端子が密集してアレイ状に配置されている電子部品を確実に検査することができる。
電子部品検査用配線基板において、樹脂絶縁部の最表層となる樹脂絶縁層上の中央部には、配線導体層として、アレイ状に配設された複数の部品接続用端子を有し、アライメントマークは、各部品接続用端子の形成予定領域近傍であってその形成予定領域の角部に対応した少なくとも3箇所に設けられていてもよい。このようにすると、アライメントマークを利用して露光用マスクを正確な位置に配置させることができ、貫通導体に接続する部品接続用端子を確実にパターン形成することができる。
アライメントマークは、配線基板の製品領域に形成されていてもよい。また、アライメントマークは、配線基板の製品領域の外側であってその製品領域の近傍に設けられていてもよい。
アライメントマークは、幅が50μm以下であってもよい。また、アライメントマークのサイズは、貫通穴よりも大きくてもよい。具体的には、例えば、高集積化された配線基板では、貫通導体(貫通穴)の直径は、35μm以下となる場合がある。この場合、アライメントマークの幅を40μm以上50μm以下とすると、貫通導体に対する露光用マスクの位置決めを確実に行うことができる。
樹脂フィルムにおける金属層の厚さが10μm以下であると、配線パターンの高密度化や微細化を図ることができる。また、アライメントマークの非貫通穴は、深さが金属層の厚さの1/2以上であってもよい。例えば、金属層の厚さが10μmである場合、アライメントマークは、5μm以上10μm未満の深さで形成される。このようにすると、アライメントマークとその周囲との反射率を異ならせることができ、アライメントマークを確実に認識できる。
樹脂絶縁層は、ポリイミド系の熱硬化性樹脂からなる第1樹脂層と、第1樹脂層の両面に形成され、ポリイミド系の熱可塑性樹脂からなる第2樹脂層とにより構成されていてもよい。この場合、加圧及び加熱を行うことにより、第2樹脂層が接着層として機能するため、複数の樹脂絶縁層を一体化した多層配線基板を確実に製造することができる。
樹脂絶縁層は、ポリイミド系の樹脂以外の樹脂を用いて形成されるものでもよく、絶縁性、耐熱性、耐湿性等を考慮して適宜選択することができる。また、樹脂絶縁層は、樹脂とガラス繊維(ガラス織布やガラス不織布)やポリアミド繊維等の有機繊維との複合材料、あるいは、連続多孔質PTFE等の三次元網目状フッ素系樹脂基材に熱硬化性樹脂を含浸させた樹脂−樹脂複合材料等を使用してもよい。
以下、本発明を電子部品検査用配線基板に具体化した一実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施の形態の電子部品検査用配線基板の概略構成を示す断面図であり、図2は、その電子部品検査用配線基板の上面図である。
図1及び図2に示される電子部品検査用配線基板10は、ICチップの電気検査を行うための検査装置の一部に使用される部品である。電子部品検査用配線基板10は、樹脂絶縁部20とその樹脂絶縁部20の下層側に設けられるセラミック基板部30とを備える。電子部品検査用配線基板10は、縦横の長さが10cm程度、厚さが4mm程度の基板であり、使用時において配線基板10の主面11(樹脂絶縁部20の表面)が検査対象である電子部品に向けて配置される。
セラミック基板部30には、複数のセラミック絶縁層31,32,33と複数の導体層34とが積層されている。セラミック絶縁層31〜33は、例えばアルミナの焼結体であり、導体層34は、例えばタングステン、モリブデン、又はこれらの合金のメタライズ層である。セラミック基板部30において、各セラミック絶縁層31〜33には厚さ方向に貫通する貫通穴36が形成されており、その貫通穴36内には層間の導体層34に接続されるビア導体37が形成されている。各貫通穴36は断面円形状をなしており、それらの内径は60μm程度である。各ビア導体37も断面円形状をなしており、それらの外径は60μm程度である。ビア導体37は、導体層34と同様にタングステン、モリブデン、又はこれらの合金のメタライズ層からなる。さらに、配線基板10の裏面12(セラミック基板部30の裏面)には、複数の裏面側端子38がほぼ全域にわたってアレイ状に形成されている。各裏面側端子38は断面円形状をなし、裏面側端子38の直径は、1.0mm程度に設定されている。
樹脂絶縁部20には、複数の樹脂絶縁層21,22と複数の配線導体層23とが積層されている。樹脂絶縁層21,22は、例えばポリイミド系樹脂からなる絶縁層である。具体的には、樹脂絶縁層21,22は、ポリイミド系の熱硬化性樹脂からなる第1樹脂層24と、第1樹脂層24の両面に形成され、ポリイミド系の熱可塑性樹脂からなる第2樹脂層25とにより構成されている。本実施の形態において、樹脂絶縁層21,22を構成する第1樹脂層24の厚みは20μm程度であり、第2樹脂層25の厚みは5μm程度である。つまり、樹脂絶縁層21,22は30μm程度である。また、配線導体層23は、例えば銅からなる導体層であり、その厚みは5μm程度である。樹脂絶縁部20において、樹脂絶縁層21,22及び配線導体層23を貫通する貫通穴26が形成されており、その貫通穴26内には層間の配線導体層23に接続されるビア導体27(貫通導体)が形成されている。樹脂絶縁部20の貫通穴26及びビア導体27も断面円形状をなす。貫通穴26の内径及びビア導体27の外径は、40μm程度である。
また、図2に示されるように、配線基板10の主面11(樹脂絶縁部20の表面)上の中央部分には、配線導体層23を構成する複数の主面側端子28(部品接続用端子)がアレイ状に形成されている。主面側端子28は断面円形状をなし、その直径は例えば60μm程度に設定されている。これら主面側端子28は、ビア導体27を介して内層側の配線導体層23に接続され、さらにセラミック基板部30の導体層34やビア導体37を介して裏面側端子38に接続される。
次に、本実施の形態における電子部品検査用配線基板10の製造方法を説明する。
先ず、アルミナ粉末を主成分とするセラミック材料を用いてグリーンシートを複数枚形成する。そして、複数枚のグリーンシート41に対し、レーザ照射加工、パンチング加工、ドリル加工等による穴あけを行って、所定の位置に複数の貫通穴36を多数形成する(図3参照)。その後、従来周知のペースト印刷装置(図示略)を用い、各グリーンシート41の貫通穴36に導電性ペースト(例えばタングステンペースト)を充填し、未焼成のビア導体37を形成する。さらに、従来周知のペースト印刷装置を用いて、導電性ペーストを印刷して未焼成の導体層34や裏面側端子38を形成する(図4参照)。なお、導電性ペーストの充填及び印刷の順序は逆にしてもよい。
そして、導電性ペーストの乾燥後、それら複数枚のグリーンシート41を積み重ねて配置し、シート積層方向に押圧力を付与することにより、各グリーンシート41を圧着、一体化してセラミック積層体43を形成する(図5参照)。次に、セラミック積層体43を脱脂し、さらに所定温度で所定時間焼成を行う。その結果、グリーンシート41のアルミナ及びペースト中のタングステンが同時焼結し、セラミック基板部30が形成される。
また、樹脂絶縁部20を以下の手法で作製する。具体的には、図6に示されるように、樹脂絶縁層21,22となる樹脂絶縁材45の片面46(図6では上面)に、配線導体層23となる銅箔47が形成された銅箔付き樹脂フィルム48を準備する(準備工程)。なお、樹脂絶縁材45は、ポリイミド系の熱硬化性樹脂からなる第1樹脂層24と、第1樹脂層24の両面に配設されポリイミド系の熱可塑性樹脂からなる第2樹脂層25とから構成される。そして、樹脂絶縁材45の上面46側に、厚さが5μmである銅箔47が貼り付けられている。
次に、図7に示されるように、レーザ加工により、樹脂フィルム48の樹脂絶縁材45及び銅箔47を貫通する貫通穴26を形成する(貫通穴形成工程)。またこれと同時に、レーザ加工により、銅箔47側を加工することでその銅箔47を貫通しない円形の非貫通穴をアライメントマーク51として形成する(マーク形成工程)。本実施の形態では、貫通穴26とアライメントマーク51とは、同じレーザ加工装置を用い、レーザ加工条件を変更して形成する。ここで、貫通穴26の内径は40μm程度であり、アライメントマーク51の非貫通穴の内径は、貫通穴26よりも大きく、例えば50μm程度である。また、アライメントマーク51(非貫通穴)の深さは3μmである。このようにアライメントマーク51を形成すると、アライメントマーク51の周囲の光沢のある銅箔47の表面と比較して、アライメントマーク51の表面粗度が大きくなる。さらに、アライメントマーク51は、銅箔47よりも低い位置にある。このため、アライメントマーク51の周囲よりも光の反射率は低くなる。
本実施の形態では、アライメントマーク51は、貫通穴26の近傍であって配線導体層23が形成されない製品領域に形成される。具体的には、アライメントマーク51は、ビア導体27に繋がる配線導体層23(各主面側端子28や内層側の配線パターン)の形成予定領域R1に対して、100μm以上5000μm以下の距離を離して形成される。なお、本実施の形態では、配線導体層23の形成予定領域R1の近傍であってその形成予定領域R1の角部に対応した4箇所に設けられる。例えば、最表層の樹脂絶縁層21となる樹脂フィルム48では、上面46の中央部分において各貫通穴26がアレイ状に形成されている矩形領域が形成予定領域R1となり、その形成予定領域R1の角部近傍にアライメントマーク51が形成される(図8参照)。
次いで、ペースト印刷充填装置(図示略)を用い、図9に示されるように、樹脂フィルム48の貫通穴26内に銅粉末を主成分とする導電性ペースト(銅ペースト)を充填し、ビア導体27(貫通導体)を形成する(貫通導体形成工程)。その後150℃で1時間加熱する。
その後、図10に示されるように、樹脂フィルム48において、アライメントマーク51を形成した銅箔47上に感光性のドライフィルム53(フォトレジスト材)を貼り付ける。また、樹脂フィルム48において銅箔47のない下面54側にもドライフィルム53を貼り付ける。そして、図11及び図12に示されるように、銅箔47に貼り付けたドライフィルム53の上に、配線導体層23の配線パターン56や位置決め用マーク57が予め形成された露光用マスク58を配置する(マスク配置工程)。露光用マスク58の位置決め用マーク57は円環状であり、アライメントマーク51の直径よりも大きな直径(具体的には、内径が60μm)を有している。そして、銅箔47上のアライメントマーク51に対して、露光用マスク58の位置決め用マーク57の中心位置を合わせた状態で露光用マスク58を配置する。なおここで、アライメントマーク51は、周囲の銅箔47表面と比較して光の反射率が異なる。このため、アライメントマーク51の位置を容易に認識でき、そのアライメントマーク51を基準に露光用マスク58が正確に配置される。
次いで、露光用マスク58を介してドライフィルム53の露光を行った後に現像を行い、図13に示されるように、銅箔47をエッチングするためのエッチングレジスト60をパターン形成する(レジスト形成工程)。なお、樹脂フィルム48の下面54側には、その下面54全体を覆うようにエッチングレジスト61が形成される。またここで、樹脂フィルム48の上面46において、露光用マスク58の位置決め用マーク57の下部であってアライメントマーク51の周囲には円環状のレジストパターン62が残るが、そのレジストパターン62は不要である。このため、アライメントマーク51の周囲のレジストパターン62をカッターなどを用いて削り取るなどして除去する。
そして、銅箔47においてエッチングレジスト60のレジストパターン62から露出する部分であってアライメントマーク51の形成部分を含むパターン非形成部をエッチングにより除去し、配線導体層23(主面側端子28)を形成する(導体層形成工程)。その後、剥離液に接触させることにより、配線導体層23上に残存するエッチングレジスト60を除去するとともに、下面54側のエッチングレジスト61を除去する。
この結果、図14に示されるように、主面側端子28とその端子28に接続されるビア導体27とを有する樹脂絶縁層21が形成される。また、上述した準備工程〜導体層形成工程を同様に行うことで、配線導体層23の配線パターンとその配線パターンに接続されるビア導体27とを有する樹脂絶縁層22が形成される。
次いで、セラミック基板部30の上層側に、樹脂絶縁層21と樹脂絶縁層22とを積層配置し、350℃程度の温度に加熱しつつ75kgf/cm2程度の圧力で加圧する。この結果、図1に示されるように、樹脂絶縁部20とセラミック基板部30とが一体化した電子部品検査用配線基板10が製造される。なお、上記製造工程において、樹脂絶縁層21及び樹脂絶縁層22を加圧積層した後セラミック基板部30に積層して電子部品検査用配線基板10を製造してもよい。
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
(1)本実施の形態では、マーク形成工程において、製品領域における貫通穴26(ビア導体27)の近傍にアライメントマーク51が形成されている。このため、樹脂フィルム48や銅箔47に変形や縮みがあっても、貫通穴26の近傍で露光用マスク58の位置合わせを正確に行うことができ、ビア導体27に接続する配線導体層23を位置精度良く形成することができる。さらに、導体層形成工程でアライメントマーク51の形成部分がエッチングにより除去されるため、アライメントマーク51は製品として残らない。このため、アライメントマーク51が残ることによる強度や特性の変化を回避することができる。従って、本実施の形態の製造方法によれば、接続信頼性に優れた電子部品検査用配線基板10を製造することができる。
(2)本実施の形態では、マーク形成工程において、銅箔47の表面を加工することでその銅箔47を貫通しない非貫通穴をアライメントマーク51として形成している。このアライメントマーク51としての非貫通穴は、樹脂絶縁層21,22を傷つけることなく銅箔47に形成することができる。また、非貫通穴とその周囲では反射率が異なるため、アライメントマーク51として容易に認識できる。さらに、アライメントマーク51を利用したマスク配置工程の後、そのアライメントマーク51を銅箔47のエッチングによって除去することができる。
(3)本実施の形態では、貫通穴形成工程とマーク形成工程との両工程を同時に行い、同じレーザ加工装置を用いたレーザ加工により、貫通穴26とアライメントマーク51とが形成されている。このようにすると、貫通穴26に対して正確な位置にアライメントマーク51を形成することができ、ビア導体27に繋がる配線導体層23を正確な位置にパターン形成することができる。従って、従来技術のようにビア導体27と配線導体層23の配線パターンや主面側端子28とで接続不良が発生してしまうといった問題を確実に回避することができる。また、比較的直径が小さい貫通穴26やアライメントマーク51をレーザ加工によって正確に形成することができるため、配線基板10の高密度化や微細化を図ることができる。
(4)本実施の形態では、マーク形成工程において、アライメントマーク51は、配線導体層23の形成予定領域R1に対して、100μm以上5000μm以下の距離を離して形成される。このようにすると、配線導体層23の配線パターンや部品接続端子である主面側端子28を位置ずれなく正確に形成することができ、接続信頼性に優れた電子部品検査用配線基板10を製造することができる。
(5)本実施の形態の電子部品検査用配線基板10では、樹脂絶縁層21,22は、ポリイミド系の熱硬化性樹脂からなる第1樹脂層24と、第1樹脂層24の両面に形成され、ポリイミド系の熱可塑性樹脂からなる第2樹脂層25とにより構成されている。この場合、各樹脂絶縁層21,22とセラミック基板部30との積層工程で加圧及び加熱を行うことにより、第2樹脂層25が接着層として機能するため、複数の樹脂絶縁層21,22とセラミック基板部30とを一体化した配線基板10を確実に製造することができる。
なお、本発明の実施の形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施の形態では、レーザ加工によって非貫通穴のアライメントマーク51を形成していたがこれに限定されるものではない。図15に示されるように、樹脂フィルム48の銅箔47上に、その表面とは反射率が異なり銅箔47のエッチングで除去可能なマーク用金属層71をアライメントマークとして形成してもよい。なお、このマーク用金属層71のアライメントマークは、めっき、スパッタリング、導電性ペーストの印刷等の手法で形成する。但し、マーク用金属層71は、数μm程度の厚さとなるよう薄く形成する。ここで、マーク用金属層71が厚くなると、その上面にドライフィルム53を貼り付け難くなるが、マーク用金属層71を数μm程度と薄く形成することで、ドライフィルム53を確実に貼り付けることができる。
・非貫通穴のアライメントマーク51の形成方法としては、上記実施の形態のようにレーザ加工に限定されるものではなく、エッチングやパンチング加工など他の手法を用いてもよい。さらに、貫通導体形成工程において、貫通穴26に導電性ペーストを充填することでビア導体27を形成する際に、アライメントマーク51の非貫通穴にも導電性ペーストを充填してもよい。なお、導電性ペーストとしては銅粉末を含む銅ペーストを用いる。この場合、銅箔47の表面と銅ペーストの表面とでは光の反射率が異なるため、アライメントマーク51を容易に認識できる。また、導体層形成工程での銅箔47のエッチング時において、アライメントマーク51とともに非貫通穴内の導電性ペーストも同時に除去することができる。従って、アライメントマーク51を製品として残さずに配線基板を製造することができる。
・上記実施の形態では、貫通穴形成工程と同時にアライメントマーク51を形成するものであったが、これに限定されるものではない。例えば、貫通穴形成工程及び貫通導体形成工程を行った後に、マーク形成工程を行ってアライメントマーク51を形成してもよい。この場合、アライメントマーク51は、貫通穴形成工程で形成した貫通穴26を基準として予め決められた位置に形成される。さらに、上記実施の形態では、貫通導体形成工程の後に、導体層形成工程を行うものであったが、導体層形成工程を先に行った後に貫通導体形成工程を行ってもよい。
・上記実施の形態では、樹脂絶縁部20とセラミック基板部30とを備える電子部品検査用配線基板10に具体化したが、他の用途で使用される配線基板に本発明を具体化してもよい。例えば、複数の樹脂絶縁層からなる多層配線基板の製造時に本発明を具体化してもよいし、単層の樹脂絶縁層からなる配線基板の製造時に本発明を具体化してもよい。なお、単層の樹脂絶縁層からなる配線基板を製造する場合、準備工程において、樹脂絶縁材45の上面46及び下面54の両面に、配線導体層23となる銅箔47が形成された銅箔付き樹脂フィルム48を準備する。そして、樹脂絶縁材45と各銅箔47を貫通する貫通穴26を形成するとともに、樹脂絶縁材45の上面46及び下面54の各銅箔47にアライメントマーク51をそれぞれ形成する。そして、それらアライメントマーク51を基準にマスク配置工程を行い、さらにレジスト形成工程及び導体層形成工程を行うことで、樹脂絶縁層21,22の上面46及び下面54に配線導体層23をパターン形成する。
・上記実施の形態では、主面側端子28を形成した後に樹脂絶縁層21,22とセラミック基板部30とを加圧積層したが、工程の順序はこれに限定されるものではない。ビア導体27及びアライメントマーク51を形成した樹脂絶縁層21と、ビア導体27及び配線導体層23を有する樹脂絶縁層22とセラミック基板部30とを加圧積層した後に同様の方法で主面側端子28を形成してもよい。
・上記実施の形態において、導電性ペーストとして、銅粉末を含んで構成される銅ペーストを用いたが、これに限定されるものではない。銅以外の金属粉末、例えば銀粉末を含んで構成される銀ペーストを用いてもよいし、銅粉末と銀粉末とを含む導電性ペーストを用いてもよい。
・上記実施の形態においてセラミック絶縁層31〜33としてアルミナの焼結体を用いたが、これに限定されるものではない。アルミナ以外の、例えばガラス−セラミックでもよい。ガラス−セラミックを用いた場合、導体層34及びビア導体37は銀、銅、又はこれらの合金を用いる。
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
(1)手段1において、前記マーク形成工程では、前記樹脂フィルムの前記金属層上に、その表面とは反射率が異なり前記エッチングにより除去可能なマーク用金属層を前記アライメントマークとして形成することを特徴とする配線基板の製造方法。
(2)手段1において、前記貫通導体形成工程において、前記貫通穴に導電性ペーストを充填することで前記貫通導体を形成した後、前記マーク形成工程において、前記アライメントマークの前記非貫通穴を形成することを特徴とする配線基板の製造方法。
(3)手段1において、前記マーク形成工程を前記貫通導体形成工程よりも先に行った後、前記貫通導体形成工程では、前記貫通穴に導電性ペーストを充填することで前記貫通導体を形成するとともに、前記アライメントマークの前記非貫通穴にも前記導電性ペーストを充填するようにしたことを特徴とする配線基板の製造方法。
(4)手段1において、前記準備工程では、前記樹脂絶縁材の表面に前記金属層としての金属箔を貼り付けた金属箔付き樹脂フィルムを準備することを特徴とする配線基板の製造方法。
(5)手段1において、前記導体層形成工程では、前記貫通導体に接続する前記配線導体層の配線パターンが形成されることを特徴とする配線基板の製造方法。
(6)手段1において、前記配線基板は、複数の前記樹脂絶縁層と複数の前記配線導体層とが積層された樹脂絶縁部と、前記樹脂絶縁部の下層側に設けられ、複数のセラミック絶縁層と複数の導体層とが積層されたセラミック基板部とを備える電子部品検査用配線基板であることを特徴とする配線基板の製造方法。
(7)技術的思想(6)において、前記樹脂絶縁部の最表層となる前記樹脂絶縁層上の中央部には、前記配線導体層として、アレイ状に配設された複数の部品接続用端子を有し、前記アライメントマークは、各部品接続用端子の形成予定領域近傍であってその形成予定領域の角部に対応した少なくとも3箇所に設けられることを特徴とする配線基板の製造方法。
(8)手段1において、前記アライメントマークは、前記配線基板の製品領域に形成されることを特徴とする配線基板の製造方法。
(9)手段1において、前記アライメントマークは、幅が50μm以下であることを特徴とする配線基板の製造方法。
(10)手段1において、前記アライメントマークのサイズは、前記貫通穴よりも大きいことを特徴とする配線基板の製造方法。
(11)手段1において、前記アライメントマークの前記非貫通穴は、深さが前記金属層の厚さの1/2以上であることを特徴とする配線基板の製造方法。
(12)手段1において、前記金属層の厚さが、10μm以下であることを特徴とする配線基板の製造方法。
(13)手段1において、前記樹脂絶縁層は、ポリイミド系の熱硬化性樹脂からなる第1樹脂層と、前記第1樹脂層の両面に形成され、ポリイミド系の熱可塑性樹脂からなる第2樹脂層とにより構成されていることを特徴とする配線基板の製造方法。