JP6099580B2 - ボルト締結方法およびボルト締結装置 - Google Patents
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Description
しかし、被締結部材に加える応力は、クリープ防止の点から、被締結部材と使用環境の温度によって決まる値以下である必要があり、この応力値とボルト座面の面積から、ボルト締付け軸力の上限が規定される。
すなわち、被締結部材の固定に必要な軸力に低下する軸力を加えた締付け軸力でボルトを締結する方法では、締付け軸力に上限があり、ボルト座面の塑性変形による軸力低下を抑制できない場合があるとの問題があった。
また、まず、ボルト頭部と被締結部材との間に被締結部材より柔らかい座金が介装されたボルトに、その軸方向への荷重を加えて、座金を陥没させる。次に、ボルトにナットを取り付けて被締結部材を締付ける方法である(例えば特許文献2参照)。
引用文献1に記載のボルトによる被締結部材の締結方法において、ボルト頭部と被締結部材との間に座金を設置すると、被締結部材の座金との接触面(座金接触面と記す)が塑性変形する。ボルトでの締付けを緩めた後の本締結では、ボルトを回転させるので、ボルトと座金の摩擦により、座金が移動する。
すなわち、座金が、被締結部材の予め塑性変形させた部分から逸脱し、被締結部材の新たな部分での塑性変形が生じ、締結したボルトの軸力低下が生じるとの問題があった。
すなわち、被締結部材に形成した雌ねじに、ボルトを回転させて捩じ込むことが必要な、被締結部材のボルトによる締結には用いることができないとの問題があった。
一方の被締結部材と他方の被締結部材とをボルトで締結するボルト締結方法であって、
上記一方の被締結部材のボルト孔に挿入されている上記ボルトにおけるボルト頭部に加圧力を付与して、上記ボルトのボルト胴部に嵌められた座金が接している一方の被締結部材の表面を塑性変形させて加工硬化させる加工硬化工程と、上記加圧力を解放する解放工程と、上記ボルト胴部を上記他方の被締結部材に形成された雌ねじ孔に捩じ込んで、予め決められている規定トルクで上記一方の被締結部材と上記他方の被締結部材とを締結する締結工程とを順番に行っており、
上記ボルト頭部に付与する加圧力を、上記規定トルクで発生するボルト軸力より大きくしており、
上記加工硬化工程において塑性変形させて加工硬化させた上記一方の被締結部材の表面に対する上記座金の位置を固定した状態で、上記解放工程および上記締結工程を行うものである。
一方の被締結部材と他方の被締結部材とをボルトで締結するボルト締結装置であって、
上記一方の被締結部材を支持する第1の支持部と、上記他方の被締結部材を支持する第2の支持部と、上記第1の支持部の上方の位置に上下方向に移動可能に設置されており、且つ下方の端部にドライバビット部が設けられているロッドと、上記第1の支持部の上方の位置に設置されており、且つボルト胴部に嵌められて上記一方の被締結部材の表面に接して配設されている座金を固定する座金固定手段と、上記ロッドを介してボルト頭部に加圧力を付与する加圧手段と、上記ロッドを介して上記ボルトを回転させる回転機構と、を備え、
上記座金固定手段が、上記ロッドの外周側で同心円状に且つ上下方向に移動可能に設置されているとともに、上記座金を先端部で掴んで固定する座金固定機構であり、
上記座金固定機構が、同心円状に配置されている外周側の座金固定ドローバと中間の座金固定テーパフランジと内周側の座金固定コレットとで形成されており、
上記加圧手段がパンチング機構であることを特徴とする。
また、本発明に係るボルト締結装置は、
一方の被締結部材と他方の被締結部材とをボルトで締結するボルト締結装置であって、
上記一方の被締結部材を支持する第1の支持部と、上記他方の被締結部材を支持する第2の支持部と、上記第1の支持部の上方の位置に上下方向に移動可能に設置されており、且つ下方の端部にドライバビット部が設けられているロッドと、上記第1の支持部の上方の位置に設置されており、且つボルト胴部に嵌められて上記一方の被締結部材の表面に接して配設されている座金を固定する座金固定手段と、上記ロッドを介してボルト頭部に加圧力を付与する加圧手段と、上記ロッドを介して上記ボルトを回転させる回転機構と、を備え、
上記座金固定手段が、上記ロッドの外周側で同心円状に且つ上下方向に移動可能に設置されているとともに、上記座金を先端部で掴んで固定する座金固定機構であり、
上記座金固定機構が、同心円状に配置されている外周側の座金固定ドローバと中間の座金固定テーパフランジと内周側の座金固定コレットとで形成されており、
上記回転機構が、上記加圧手段を兼ねていることを特徴とする。
図1は、本発明の実施の形態1に係わるボルト締結装置を示す斜視模式図である。
図1は、本実施の形態のボルト締結装置100にセットされている被締結部材も示している。そこで、まず、被締結部材について説明する。
図2は、本発明の実施の形態1に係わるボルト締結装置にセットされる被締結部材を示す断面模式図(a)とこの断面模式図の点線で囲んだ部分の拡大図(b)とである。
図2に示すように、本実施の形態のボルト締結装置100にセットされる被締結部材は、ブラケット1およびフレーム2とでなる一方の被締結部材と、逆側ブラケット3でなる他方の被締結部材とで形成されている。
ボルト孔5には、一方の被締結部材と他方の被締結部材とを締結して固定するボルト4におけるボルト胴部4bが挿入されている。
ボルト4におけるボルト頭部4aとブラケット1との間には、ボルト胴部4bに嵌めた座金6が装着されている。
そして、ボルト4によるブラケット1およびフレーム2と逆側ブラケット3との固定は、ボルト胴部4bをボルト孔5に挿入するとともに、ボルト胴部4bに形成された雄ねじを、逆側ブラケット3に形成された雌ねじ孔3aに捩じ込むことにより、行われる。
ブラケット1と逆側ブラケット3とフレーム2とには、鉄やステンレス等より耐力が低いとともに、クリープ開始温度が低く運転環境においてクリープを生じ易い材料であるアルミ合金等が用いられる。そして、ブラケット1と逆側ブラケット3とフレーム2とに用いられるアルミ合金等は、鉄やステンレス等より線膨張係数が大きく、高温環境において熱応力を生じ易い。
図3は、本発明の実施の形態1に係わるボルト締結装置において、ロッドがボルトと接触している状態を示す断面模式図である。
図1と図3とに示すように、本実施の形態のボルト締結装置100は、一方の被締結部材を形成するフレーム2を支持する第1の支持部12と、他方の被締結部材を形成する逆側ブラケット3を支持する第2の支持部14と、ブラケット1を加圧するプレス部11と、下方の端部にドライバビット部9が設けられているロッド8と、ボルト胴部4bに嵌められており且つ一方の被締結部材の表面に接して配設されている座金6を固定する座金固定手段とを備えている。
本実施の形態では、加圧手段はパンチング機構であり、座金固定手段は先端部で座金を掴んで固定する座金固定機構10である。
本実施の形態では、ロッド8と座金固定機構10とは4セットであるが、これに限定されるものではない。
固定部12bは、フレーム2が通過できるサイズの中空部と、フレーム2の側壁部でフレーム2を支持するクランプ部12cとが設けられたブロック体である。すなわち、固定部12bは、フレーム2を囲んでいる。
可動部12aは、フレーム2を載置する面と平行な方向に往復動可能にして、固定部12bの内周側に設置されている。
また、可動部12aは、フレーム2の下面と接する。
そして、第2の支持部14は、逆側ブラケット3を載置するとともに、逆側ブラケット3をフレーム2の下面に接触させる。
プレス部11は、第1の支持部12の上方の位置で、上下方向に往復動可能にして設置されている。
そして、プレス部11は、第2の支持部14により逆側ブラケット3をフレーム2に接触させた状態で、ブラケット1に荷重を加える。
座金固定機構10は、ロッド8の外周側で同心円状に配設されているとともに、第1の支持部12の上方の位置に、上下方向に往復動可能にして設置されている。
図4には、座金固定機構10で固定される座金6も示されている。
図4に示すように、座金固定機構10は、外周側の座金固定ドローバ10aと中間の座金固定テーパフランジ10bと内周側の座金固定コレット10cとを、同心円状に配置して形成されている。
図示しないが、座金固定コレット10cの内周側を、座金固定コレット10cと接触することなしに、ロッド8が貫いて配設されている。
そして、座金固定テーパフランジ10bからの力を受け、座金固定コレット10cも矢印Mで示す径方向に移動して、座金6を固定する。
まず、図3を用いて本実施の形態のボルト締結方法における第1の工程を説明する。
図3には、被締結部材、ボルト4および座金6も示している。
図3に示すように、第1の工程は、ロッド8が、矢印V1で示すブラケット1の方向に移動して、ドライバビット部9をボルト頭部4aに形成された回転伝達孔に挿入する。さらに、ボルト胴部4bをボルト孔5に挿入したボルト4を、ボルト頭部4aが座金6と接するまで、移動する。
図5には、被締結部材、ボルト4および座金6も示している。
図5に示すように、第2の工程は、まず、座金固定機構10が、矢印V1で示すブラケット1の方向に移動して、ブラケット1と接している座金6を、回転および芯ずれがおこらないように固定する。
パンチング機構により付与される加圧力は、ブラケット1およびフレーム2と逆側ブラケット3とを締結するために、予め決められている規定トルクで生じるボルト軸力より大であれば良く、この軸力とボルト締結後の運転負荷で生じる力との和より大であれば、さらに良い。
図6には、被締結部材、ボルト4および座金6も示している。
図6に示すように、第3の工程は、座金6が座金固定機構10で固定された状態で、パンチング機構によりボルト頭部4aに付与されている加圧力が解放される。
また、逆側ブラケット3の移動により、逆側ブラケット3の雌ねじ孔3aと、ボルト胴部4bの先端とが接触して、さらに、ボルト4をボルト頭部4aが座金6から離れる方向に移動する。この時、ボルト頭部4aの回転伝達孔にドライバビット部9を挿入している状態で、ロッド8が、矢印V2で示すブラケット1から離れる方向に移動する。
図7には、被締結部材、ボルト4および座金6も示している。
図7に示すように、第4の工程は、プレス部11が、矢印V1で示すブラケット1の方向に移動して、ブラケット1に荷重を加えて、フレーム2とブラケット1との接触面およびフレーム2と逆側ブラケット3との接触面を密着させる。
本実施の形態では、同時に4本のボルト4で締結しているが、別々に締結しても良い。
図8には、被締結部材、ボルト4および座金6も示している。
図8に示すように、第5の工程は、座金固定機構10が、座金6の固定を解放して、ロッド8とともに、矢印V2で示すブラケット1から離れる方向に移動する。この時、プレス部11も、矢印V2で示すブラケット1から離れる方向に移動して、ブラケット1およびフレーム2と逆側ブラケット3との締結が完了する。
すなわち、本実施の形態のボルト締結法は、第1から第5の工程を順番に行うことにより、被締結部材をボルトで締結する。
それゆえ、締結時のボルト4の回転によりブラケット1を塑性変形させて加工硬化した部分から座金6がずれるのを、防止できる。
すなわち、一方の被締結部材と他方の被締結部材とをボルト4で締結する時の座金6の位置ずれがなくなるので、座金6が、予め形成された加工硬化部から逸脱して、一方の被締結部材であるブラケット1の塑性変形されていない部分と接触するのを防止できる。
それゆえ、一方の被締結部材と他方の被締結部材とをボルトで締結した後に、熱応力や慣性力等の運転負荷が加わっても、一方の被締結部材であるブラケット1の新たな部分での塑性変形がなく、なじみによりボルト軸力が低下するのを抑制できる。
それゆえ、防水等の目的で、ブラケット1とフレーム2との間および逆側ブラケット3とフレーム2との間の少なくとも一方にOリング等を設置しても、ブラケット1および逆側ブラケット3を、傾斜させること無しにボルト4で締結することができる。
本実施の形態では、4本のボルト4を同時に回転させて、ブラケット1およびフレーム2と逆側ブラケット3とを締結している。しかし、プレス部11でブラケット1に荷重を加えているので、個別にボルト4を回転させて締結しても、一方の被締結部材であるブラケット1を傾けることなしに、締結できる。
また、本実施の形態のボルト締結装置100では、ブラケット1およびフレーム2と、逆側ブラケット3とを、ボルトで締結する場合、ボルト4による締結軸力が、パンチング機構で一方の被締結部材であるブラケット1を塑性変形させる加圧力より小さくて良いので、締結された一方の被締結部材の座金接触面7の面圧を低く保つことができ、一方の被締結部材のクリープ開始温度を高くできる。
R(%)=(運転負荷後の軸力)×100/(運転負荷前の軸力)・・・(1)
第2例は、ブラケット1の座金接触面7の表面粗さがRz27の被締結部材のものであり、(A)の場合はR=96(%)を維持しており、(B)の場合はR=79(%)に低下している。
第3例は、ブラケット1の座金接触面7の表面粗さがRz125の被締結部材のものであり、(A)の場合はR=97(%)を維持しており、(B)の場合はR=75(%)に低下している。
これに対して、本実施の形態のボルト締結装置100を用い、本実施の形態のボルト締結法で締結した被締結部材は、運転負荷をかけた後においても、ボルト軸力の低下がほとんどない。特に、表面粗さが粗いものほど、ボルト軸力の低下が少なかった。
すなわち、本実施の形態のボルト締結装置、および、この装置を用いた本実施の形態のボルト締結法は、ボルト締結後に熱応力や慣性負荷等の運転負荷が作用しても、被締結部材を締結しているボルトの軸力低下を防止することができる。
本実施の形態のボルト締結装置200について説明する。
図9は、本発明の実施の形態2に係わるボルト締結装置を示す斜視模式図である。
図10は、本発明の実施の形態2に係わるボルト締結装置において、座金固定機構が座金を固定している状態を示す断面模式図である。
図9と図10とに示すように、本実施の形態のボルト締結装置200は、一方の被締結部材を形成するフレーム2を支持する第1の支持部22が、クランップ部22cを設けた固定部のみであり、他方の被締結部材を形成する逆側ブラケット3を支持する第2の支持部24が、第1の支持部22の中空部の位置で固定されており、回転機構が加圧手段も兼ねている以外、実施の形態1のボルト締結装置100と同様である。
まず、図10を用いて本実施の形態のボルト締結方法における第1の工程を説明する。
図10に示すように、第1の工程は、ロッド8が矢印V1で示すブラケット1の方向に移動して、ドライバビット部9をボルト頭部4aに形成された回転伝達孔に挿入する。同時に、座金固定機構10が、矢印V1で示すブラケット1の方向に移動して、座金6を固定する。
図11には、被締結部材、ボルト4および座金6も示している。
図11に示すように、第2の工程は、回転機構によりロッド8を介してボルト4を回転して、ボルト胴部4bの雄ねじを逆側ブラケット3の雌ねじ孔3aに捩じ込む。
すると、ロッド8とともにボルト4が矢印V1で示す方向に移動して、ボルト頭部4aが座金6と接する。
図12には、被締結部材、ボルト4および座金6も示している。
図12に示すように、第3の工程は、プレス部11が、矢印V1で示すブラケット1の方向に移動して、ブラケット1に荷重を加えて、フレーム2とブラケット1との接触面およびフレーム2と逆側ブラケット3との接触面を密着させる。
このボルト軸力は、ブラケット1およびフレーム2と逆側ブラケット3とを締結するために予め決めてある規定トルクより大きなトルクで発生するボルト軸力である。
図13には、被締結部材、ボルト4および座金6も示している。
図13に示すように、第4の工程は、回転機構によりロッド8を介してボルト4を、矢印V2で示す方向に送られるように逆回転させて、ボルト軸力によりボルト頭部4aに付与された加圧力を解放する。
図14には、被締結部材、ボルト4および座金6も示している。
図14に示すように第5の工程は、再度、回転機構によりロッド8を介してボルト4を、矢印V1で示す方向に送られるように回転して、逆側ブラケット3に形成された雌ねじ孔3aにボルト胴部4bを捩じ込む。そして、予め決めてある規定トルクにより、ボルト4でブラケット1およびフレーム2と逆側ブラケット3とを締結する。
すなわち、本実施の形態のボルト締結法は、第1から第6の工程を順番に行うことにより、被締結部材をボルトで締結する。
また、本実施の形態のボルト締結装置200は、第1の支持部22が可動部不要であり、第2の支持部24が可動機構不要であり、回転機構が加圧手段も兼ねているので、装置構成が単純になり、装置コストを低減できる。
また、本実施の形態のボルト締結方法では、ブラケット表面を塑性変形するためにボルト頭部4aに付与される加圧力が、回転機構でボルト胴部4bを他方の被締結部材である逆側ブラケット3の雌ねじ3aに捩じ込んだ時のボルト軸力によるので、逆側ブラケット3が、ブラケット1の表面を塑性変形する時の障害にならない。
本実施の形態のボルト締結装置300について説明する。
図15は、本発明の実施の形態3に係わるボルト締結装置を示す断面模式図である。
図15に示すように、本実施の形態のボルト締結装置300は、座金固定手段として、座金固定機構に替えて、座金の6の周囲に接着剤を塗布する、座金接着剤塗布機構15を用いている以外、実施の形態2のボルト締結装置200と同様である。
そして、座金接着剤塗布機構15は、設置されるブラケット1のボルト孔5の脇であって且つ第1の支持部22の上方の位置に、ロッド8の回りを円運動可能にして設置されている。
本実施の形態のボルト締結装置300は、締結に用いるボルト数と同数の座金接着剤塗布機構15を備えているが、座金接着剤塗布機構15を移動する機構を備えて、各座金6における接着剤塗布位置に移動できれば、ボルト数より少なくても良い。
図16は、本発明の実施の形態3に係わるボルト締結装置を用いたボルト締結法における第1の工程を説明する断面模式図である。
図16には、被締結部材、ボルト4および座金6も示している。
回転機構によりロッド8を介してボルト4を、矢印V1で示す方向に送られるように回転して、逆側ブラケット3に形成された雌ねじ孔3aにボルト胴部4bを捩じ込む。そして、ボルト胴部4bを捩じ込んだ時に発生するボルト軸力により、ボルト頭部4aに付与される加圧力で座金6を加圧して、ブラケット1の座金接触面7を塑性変形させて加工硬化する。
このボルト軸力は、ブラケット1およびフレーム2と逆側ブラケット3とを締結するために予め決めてある規定トルクより大きなトルクで発生するボルト軸力である。
図17には、被締結部材、ボルト4および座金6も示している。
図17に示すように、第2の工程は、座金接着剤塗布機構15が、矢印Rで示す方向に回転しながら、ボルト頭部4aに付与された加圧力でブラケット1に押し付けられている座金6の外周部に、接着剤15aを塗布するとともに、接着剤15aを硬化させて座金6をブラケット1の表面に固定する。
図18に示すように、座金接着剤塗布機構15は、ロッド8の周囲を廻りながら、接着剤15aを吐出することにより、座金6の外周部に接着剤を塗布する。
図19には、被締結部材、ボルト4および座金6も示している。
図19に示すように、第3の工程は、回転機構によりロッド8を介してボルト4を、矢印V2で示す方向に送られるように逆回転させて、ボルト軸力によりボルト頭部4aに付与された加圧力を解放する。
図20には、被締結部材、ボルト4および座金6も示している。
図20に示すように、第4の工程は、再度、回転機構によりロッド8を介してボルト4を、矢印V1で示す方向に送られるように回転して、予め決めてある規定トルクにより、ブラケット1およびフレーム2と逆側ブラケット3とを締結する。
図示しないが、第5の工程では、ロッド8が、ブラケット1から離れる方向に移動する。この時、プレス部11も、ブラケット1から離れる方向に移動して、ブラケット1およびフレーム2と逆側ブラケット3との締結が完了する。
すなわち、本実施の形態のボルト締結法は、第1から第5の工程を順番に行うことにより、被締結部材をボルトで締結する。
次に、一方の被締結部材であるブラケット1およびフレーム2と、他方の被締結部材である逆側ブラケット3とを、本実施の形態のボルト締結装置300を用い、上記ボルト締結方法で締結した場合(A)と、一方の被締結部材であるブラケット1を塑性変形処理することなしにボルト締結した場合(B)とについて、上記(1)式で示す運転負荷をかけた後の被締結部材のボルト軸力保持率R(%)を例示する。
第2例は、ブラケット1の座金接触面7の表面粗さがRz27の被締結部材のものであり、(A)の場合はR=92(%)を維持しており、(B)の場合はR=79(%)に低下している。
第3例は、ブラケット1の座金接触面7の表面粗さがRz125の被締結部材のものであり、(A)の場合はR=90(%)を維持しており、(B)の場合はR=75(%)に低下している。
これに対して、本実施の形態のボルト締結装置300を用いて、本実施の形態のボルト締結法で締結した被締結部材は、運転負荷をかけた後においても、ボルト軸力の低下が少なかった。
すなわち、本実施の形態のボルト締結装置300、および、この装置を用いた本実施の形態のボルト締結法は、ボルト締結後に熱応力や慣性負荷等の運転負荷が作用しても、被締結部材を締結しているボルトの軸力低下を少なくできる。
本発明の実施の形態4に係るボルト締結法は、被締結部材の座金接触面7を塑性変形させるための、パンチング機構によるロッド8を介したボルト頭部4aへの加圧力の付与を、継続して行うのではなく、断続的に繰り返して行う以外、実施の形態1のボルト締結法と同様である。
図21は、加圧時間とボルト頭部に断続的に繰り返して付与する加圧力との関係を示す模式図(a)および加圧時間とボルト軸力との関係を示す模式図(b)である。
図21に示すように、ボルト頭部4aに、断続的に繰り返して付与する加圧力の回数が10回以上になると、塑性変形の進行が停止する。すなわち、継続的に加圧力を付与する場合より、塑性変形の進行が停止するまでの時間を短くできる。
4 ボルト、4a ボルト頭部、4b ボルト胴部、5 ボルト孔、6 座金、
7 座金接触面、8 ロッド、9 ドライバビット部、10 座金固定機構、
10a 座金固定ドローバ、10b 座金固定テーパフランジ、
10c 座金固定コレット、11 プレス部、12 第1の支持部、
12a 可動部、12b 固定部、12c クランプ部、14 第2の支持部、
15 座金接着剤塗布機構、15a 接着剤、22 第1の支持部、
22c クランプ部、24 第2の支持部、100,200,300 ボルト締結装置。
Claims (8)
- 一方の被締結部材と他方の被締結部材とをボルトで締結するボルト締結方法であって、
上記一方の被締結部材のボルト孔に挿入されている上記ボルトにおけるボルト頭部に加圧力を付与して、上記ボルトのボルト胴部に嵌められた座金が接している一方の被締結部材の表面を塑性変形させて加工硬化させる加工硬化工程と、上記加圧力を解放する解放工程と、上記ボルト胴部を上記他方の被締結部材に形成された雌ねじ孔に捩じ込んで、予め決められている規定トルクで上記一方の被締結部材と上記他方の被締結部材とを締結する締結工程とを順番に行っており、
上記ボルト頭部に付与する加圧力を、上記規定トルクで発生するボルト軸力より大きくしており、
上記加工硬化工程において塑性変形させて加工硬化させた上記一方の被締結部材の表面に対する上記座金の位置を固定した状態で、上記解放工程および上記締結工程を行うボルト締結方法。 - 上記加工硬化工程における加圧力の付与が、パンチングで行われ、
上記座金の固定が、先端部で上記座金を掴む座金固定機構で行われ、上記加工硬化工程から上記締結工程までの間、上記座金を上記一方の被締結部材の表面に接して固定していることを特徴とする請求項1に記載のボルト締結方法。 - 上記加工硬化工程における加圧力の付与が、上記締結工程で予め決められている規定トルクより大きなトルクで上記ボルト胴部を上記他方の被締結部材に形成された雌ねじ孔に捩じ込んで発生させたボルト軸力で行われ、
上記座金の固定が、先端部で上記座金を掴む座金固定機構で行われ、上記加工硬化工程から上記締結工程までの間、上記座金を上記一方の被締結部材の表面に接して固定していることを特徴とする請求項1に記載のボルト締結方法。 - 上記加工硬化工程における加圧力の付与が、上記締結工程で予め決められている規定トルクより大きなトルクで上記ボルト胴部を上記他方の被締結部材に形成された雌ねじ孔に捩じ込んで発生させたボルト軸力で行われ、
上記座金の固定が、上記加工硬化工程により塑性変形させて加工硬化させた上記一方の被締結部材の表面に対する上記座金の周囲に塗布した接着剤で行われ、上記解放工程から上記締結工程までの間、上記座金を上記一方の被締結部材の表面に接して固定していることを特徴とする請求項1に記載のボルト締結方法。 - 上記加工硬化工程における加圧力の付与が、断続的に繰り返して行われることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のボルト締結方法。
- 一方の被締結部材と他方の被締結部材とをボルトで締結するボルト締結装置であって、
上記一方の被締結部材を支持する第1の支持部と、上記他方の被締結部材を支持する第2の支持部と、上記第1の支持部の上方の位置に上下方向に移動可能に設置されており、且つ下方の端部にドライバビット部が設けられているロッドと、上記第1の支持部の上方の位置に設置されており、且つボルト胴部に嵌められて上記一方の被締結部材の表面に接して配設されている座金を固定する座金固定手段と、上記ロッドを介してボルト頭部に加圧力を付与する加圧手段と、上記ロッドを介して上記ボルトを回転させる回転機構と、を備え、
上記座金固定手段が、上記ロッドの外周側で同心円状に且つ上下方向に移動可能に設置されているとともに、上記座金を先端部で掴んで固定する座金固定機構であり、
上記座金固定機構が、同心円状に配置されている外周側の座金固定ドローバと中間の座金固定テーパフランジと内周側の座金固定コレットとで形成されており、
上記加圧手段がパンチング機構であることを特徴とするボルト締結装置。 - 一方の被締結部材と他方の被締結部材とをボルトで締結するボルト締結装置であって、
上記一方の被締結部材を支持する第1の支持部と、上記他方の被締結部材を支持する第2の支持部と、上記第1の支持部の上方の位置に上下方向に移動可能に設置されており、且つ下方の端部にドライバビット部が設けられているロッドと、上記第1の支持部の上方の位置に設置されており、且つボルト胴部に嵌められて上記一方の被締結部材の表面に接して配設されている座金を固定する座金固定手段と、上記ロッドを介してボルト頭部に加圧力を付与する加圧手段と、上記ロッドを介して上記ボルトを回転させる回転機構と、を備え、
上記座金固定手段が、上記ロッドの外周側で同心円状に且つ上下方向に移動可能に設置されているとともに、上記座金を先端部で掴んで固定する座金固定機構であり、
上記座金固定機構が、同心円状に配置されている外周側の座金固定ドローバと中間の座金固定テーパフランジと内周側の座金固定コレットとで形成されており、
上記回転機構が、上記加圧手段を兼ねていることを特徴とするボルト締結装置。 - 上記一方の被締結部材に荷重を加えるプレス部が、上記第1の支持部の上方の位置に、上下方向に移動可能に設置されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載のボルト締結装置。
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