JP6092163B2 - 溶接装置及び溶接方法 - Google Patents

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本発明は、溶接装置及び溶接方法に関する。
従来、COレーザやYAG(Yttrium Aluminium Garnet)レーザ等のレーザ発振器を溶接対象に照射するレーザ溶接装置が知られている。レーザ溶接装置は、レーザがビーム状に細く(例えば、φ0.1mm〜0.6mm程度)照射されるため、照射方向の溶け込みを深くすることができる利点がある。一方で、レーザ溶接装置は、レーザがビーム状に細く照射されるため、広範な範囲を溶接することができず、開先裕度が狭いという欠点がある。
また、他の溶接装置として、アーク溶接装置が知られている。アーク溶接装置は、電源から得られる電力によって、溶接対象と電極との間にアークを発生させ、そのアーク熱を利用して金属を接合する装置である。アーク溶接装置は、入熱幅が広い一方で溶け込みが浅いという特徴がある。
そして、近年、レーザ溶接装置の欠点である開先裕度の狭さを補うために、アーク溶接装置を組み合わせたレーザ・アークハイブリッド溶接装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−101270号公報
特許文献1に開示されるようなレーザ・アークハイブリッド溶接装置は、レーザ溶接による溶け込みの深さを実現しつつ、開先裕度を広くすることができる。
しかしながら、特許文献1には、レーザ・アークハイブリッド溶接装置を溶接方向に沿って移動させる際に、どのように溶接方向に交差する平面におけるレーザ照射方向を調整するかについての開示がされていない。
レーザ・アークハイブリッド溶接装置は、溶接方向に沿って移動させる際に、レーザ照射方向を適切に調整しなければ、十分な強度を持った溶接部を形成することができない。例えば、操作者が手動でレーザ照射方向を調整する場合、適切な調整がされない場合がある。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、溶接対象に対するレーザ溶接部およびアーク溶接部の相対位置を移動させながら溶接方向に沿って溶接する際に、溶接方向に交差する平面におけるレーザ照射方向を適切に調整することが可能な溶接装置及び溶接方法を提供することにある。
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明の参考例に係る溶接装置は、レーザ発振器に接続され、前記レーザ発振器が発振するレーザを溶接対象に照射して溶接を行うレーザ溶接部と、電源に接続された溶接ワイヤを供給するワイヤ供給部を有するとともに前記溶接ワイヤを前記溶接対象に供給して溶接を行うアーク溶接部と、溶接対象に対する前記レーザ溶接部および前記アーク溶接部の相対位置を溶接方向に沿って移動させる移動機構と、操作者からの指示を受け付け、前記溶接方向に交差する平面における前記レーザ溶接部のレーザ照射方向の設定値を設定する設定部と、駆動源を駆動することにより前記レーザ照射方向が前記設定値に対応する方向となるように調整する照射方向調整部とを備える。
本発明の参考例に係る溶接装置によれば、レーザ溶接部とアーク溶接部とが移動機構によって溶接方向に沿って移動する際に、溶接方向に交差する平面におけるレーザ溶接部のレーザ照射方向が、操作者等が設定した設定値に基づいて照射方向調整部より調整された状態となる。したがって、溶接装置の操作者は、溶接方向に沿ってレーザ溶接部およびアーク溶接部を移動させながら適切なレーザ照射方向を手動で調整する必要がない。
このようにすることで、溶接対象に対するレーザ溶接部およびアーク溶接部の相対位置を移動させながら溶接方向に沿って溶接する際に、溶接方向に交差する平面におけるレーザ照射方向を適切に調整することが可能な溶接装置を提供することができる。
本発明の第1態様の溶接装置は、前記溶接対象が、第1の板材に第2の板材の端面を突き合わせた部分に形成された隅肉溶接部であり、前記設定部は、前記レーザ照射方向が、前記隅肉溶接部に含まれるビード部に存在する亀裂の進展方向となるように前記設定値を設定する。
このようにすることで、隅肉溶接部に含まれるビード部に亀裂が存在する場合に、その進展方向にレーザが照射されるので、ビード部の亀裂の更なる進展を防止することができる。
本発明の第2態様の溶接装置は、前記溶接対象が、第1の板材に第2の板材の端面を突き合わせた部分に形成された隅肉溶接部であり、前記設定部は、前記レーザ照射方向が、前記隅肉溶接部に含まれるビード部に存在する亀裂の進展方向と交差し前記第1の板材と前記第2の板材の未溶着部分に近接した該ビード部に向かう方向となるように前記設定値を設定する。
このようにすることで、溶接部に含まれるビード部に亀裂が存在し、かつ第1の板材と第2の板材の未溶着部分が存在する場合に、ビード部の亀裂の更なる進展を防止しつつ未溶着部分の溶接強度を向上させることができる。
上記第2態様の溶接装置においては、前記設定部は、前記レーザ照射方向が、前記亀裂の進展方向における前記ビード部の両端部を結ぶ直線の中点と交差する方向となるように前記設定値を設定してもよい。
このようにすることで、ビード部の亀裂の中央部分を溶接し、ビード部の亀裂の更なる進展を防止することができる。
本発明の第3態様の溶接装置は、前記溶接対象が、第1の板材に第2の板材の端面を突き合わせた部分に形成された隅肉溶接部であり、前記設定部は、前記レーザ照射方向が、前記第1の板材の前記隅肉溶接部近傍に存在する亀裂の該第1の板材の表面上の位置に向かう方向となるように前記設定値を設定する。
このようにすることで、第1の板材の表面上から進展する亀裂が存在する場合、第1の板材の表面に溶接部を形成して、第1の板材の内部で亀裂が進展することを防止することができる。
上記第3態様の溶接装置において、前記設定部は、前記レーザ照射方向が、前記隅肉溶接部に含まれるビード部に存在する亀裂の進展方向における前記ビード部の両端部を結ぶ直線の中点と交差する方向となるように前記設定値を設定してもよい。
このようにすることで、溶接部に含まれるビード部に亀裂が存在する場合に、ビード部の亀裂の更なる進展を防止することができる。
本発明の第1態様から第3態様の溶接装置において、前記溶接方向に交差する平面における前記レーザ溶接部のレーザ照射方向と、前記溶接方向と交差する平面における前記アーク溶接部のワイヤ供給方向とがなす相対角度を調整可能な角度調整部を備える構成としてもよい。
このようにすることで、レーザ照射方向に対して適切な方向からアーク溶接部のワイヤを供給できるように、レーザ照射方向に対するワイヤ供給方向を適切に調整することができる。
上記構成の溶接装置において、前記角度調整部は、前記ワイヤ供給方向と前記第1の板材の延在方向がなす角度および前記ワイヤ供給方向と前記第2の板材の延在方向がなす角度を、それぞれ3°以上とするように前記相対角度を調整するようにしてもよい。
このようにすることで、ワイヤ供給方向と第1の板材の延在方向がなす角度が3°より小さくなり、アーク放電が第1の板材側に引き寄せられることによる不具合を防止することができる。同様に、ワイヤ供給方向と第2の板材の延在方向がなす角度が3°より小さくなり、アーク放電が第2の板材側に引き寄せられることによる不具合を防止することができる。
上記構成の溶接装置においては、前記第1の板材が水平方向に延在しており、前記隅肉溶接部が、前記第2の板材の端面を前記第1の板材の下面から突き合わせた部分に形成されており、前記角度調整部は、前記ワイヤ供給方向と前記第1の板材の延在方向がなす角度が83°以上かつ97°以下とならないように前記相対角度を調整するようにしてもよい。
このようにすることで、ワイヤ供給方向が鉛直方向上向きとなって溶接時に飛散するスパッタ等が鉛直方向下方のレーザ溶接部およびアーク溶接部に落下しやすくなる不具合を防止することができる。
本発明の第1態様から第3態様の溶接装置において、前記溶接対象が鋼床版であり、前記第1の板材が該鋼床版を構成する平板上のデッキプレートであり、前記第2の板材が該鋼床版を構成する横断面が略U型のリブ部材であってもよい。
このようにすることで、デッキプレートに略U型のリブ部材を隅肉溶接により溶接した鋼床版の溶接による補修を行うことが可能な溶接装置を提供することができる。
本発明の溶接方法は、レーザ発振器に接続され、前記レーザ発振器が発振するレーザを溶接対象に照射して溶接を行うレーザ溶接部と、電源に接続された溶接ワイヤを供給するワイヤ供給部を有するとともに前記溶接ワイヤを前記溶接対象に供給して溶接を行うアーク溶接部とを備える溶接装置を用いた溶接方法であって、前記溶接対象に対する前記レーザ溶接部および前記アーク溶接部の相対位置を溶接方向に沿って移動させる移動工程と、操作者からの指示を受け付け、前記溶接方向に交差する平面における前記レーザ溶接部のレーザ照射方向の設定値を設定する設定工程と、駆動源を駆動することにより前記レーザ照射方向が前記設定値に対応する方向となるように調整する照射方向調整工程とを備え、前記溶接対象が、第1の板材に第2の板材の端面を突き合わせた部分に形成された隅肉溶接部であり、前記設定工程は、前記レーザ照射方向が、前記隅肉溶接部に含まれるビード部に存在する亀裂の進展方向となるように前記設定値を設定する
本発明に係る溶接方法によれば、レーザ溶接部とアーク溶接部とが移動機構によって溶接方向に沿って移動する際に、溶接方向に交差する平面におけるレーザ溶接部のレーザ照射方向が、操作者等が設定した設定値に基づいて調整工程より調整された状態となる。したがって、溶接装置の操作者は、溶接方向に沿ってレーザ溶接部およびアーク溶接部を移動させながら適切なレーザ照射方向を手動で調整する必要がない。
このようにすることで、溶接対象に対するレーザ溶接部およびアーク溶接部装置の相対位置を移動させながら溶接方向に沿って溶接する際に、溶接方向に交差する平面におけるレーザ照射方向を適切に調整することが可能な溶接方法を提供することができる。
本発明によれば、溶接対象に対するレーザ溶接部およびアーク溶接部の相対位置を移動させながら溶接方向に沿って溶接する際に、溶接方向に交差する平面におけるレーザ照射方向を適切に調整することが可能な溶接装置及び溶接方法を提供することができる。
一実施形態のハイブリッド溶接装置を示す概略構成図である。 図1に示すレーザヘッドおよびアークトーチを示す正面図である。 図1に示すレーザヘッド及びアークトーチを示す右側面図である。 図1に示すレーザヘッド及びアークトーチを示す平面図である。 一実施形態のハイブリット溶接装置の溶接対象の鋼床版を示す横断面図である。 図5に示す鋼床版のA−A矢視断面図である。 図5に示す鋼床版の隅肉溶接部の部分拡大図であり、レーザ照射方向の一例を示す図である。 図5に示す鋼床版の隅肉溶接部の部分拡大図であり、レーザ照射方向の一例を示す図である。 図5に示す鋼床版の隅肉溶接部の部分拡大図であり、レーザ照射方向の一例を示す図である。 図5に示す鋼床版の隅肉溶接部の部分拡大図であり、ワイヤ供給方向の一例を示す図である。
以下、本発明の一実施形態のハイブリッド溶接装置について、図1を参照しながら説明する。
図1は本実施形態のハイブリッド溶接装置100を示す概略構成図である。
ハイブリッド溶接装置100は、溶接対象200に対する相対位置を溶接方向に沿って移動させて溶接を行う溶接装置である。ハイブリッド溶接装置100は、溶接対象200が固定された状態でハイブリッド溶接装置100を移動させることにより相対位置を一定方向(この方向を溶接方向という。)に沿って移動させる方式の装置である。
また、ハイブリッド溶接装置100は、例えば、橋梁等に用いられる鋼床版の溶接に用いることが可能である。橋梁等に既設の鋼床版の溶接部を補修する場合、鉛直方向の下方から上方に向けて溶接を行う必要があるが、本実施形態のハイブリッド溶接装置100は、上方に向けた溶接、下方に向けた溶接を含め、任意の方向の溶接に適用可能である。
図1に示すように、ハイブリッド溶接装置100は、レーザ発振器60と、レーザ発振器60が発振するレーザを伝達する光ファイバ70と、光ファイバ70に接続されたレーザヘッド10とを備える。レーザ発振器60は、例えば、数kW程度の発振出力が得られるCOレーザやYAG(Yttrium Aluminium Garnet)レーザ等を用いることができる。レーザヘッド10(レーザ溶接部)は、光ファイバ70を介して伝達されるレーザ発振器60が発振するレーザを集光レンズ(不図示)により集光して溶接対象200の表面に照射し、溶接対象200の一部を溶かすことで溶接を行う。溶接対象200の表面に照射されるレーザのビーム径は、例えばφ0.1mm〜0.6mm程度となる。
ハイブリッド溶接装置100は、また、電源40と、ワイヤフィーダ30(ワイヤ供給部)と、アークトーチ20(アーク溶接部)とを備える。ワイヤフィーダ30は、電源40に接続された溶接ワイヤ21をアークトーチ20に供給するものである。アークトーチ20は、例えば、MIG(Metal Inert Gas welding)溶接を行うものである。MIG溶接は、溶接ワイヤ21が電極線として用いられ、溶接ワイヤ21の先端と溶接対象200との間にアークを発生させることにより、溶接ワイヤ21と溶接対象200を同時に溶融させて溶接する方式である。
アークトーチ20は、溶接により形成される溶接部の大気元素との反応による特性劣化を防ぐために、不活性ガス供給部(不図示)からアルゴンやヘリウム等の不活性ガスの供給を受ける。したがって、溶接ワイヤ21と溶接対象200とが溶融して形成される溶接部は、不活性ガス雰囲気において形成される。
ハイブリッド溶接装置100は、また、コントローラ50を備える。コントローラ50は、レーザ発振器60によるレーザ発振、電源40が出力する電流、及びワイヤフィーダ30によるワイヤ供給量を制御する装置である。図1には1つのコントローラ50がレーザ発振器60、ワイヤフィーダ30、電源40にそれぞれ接続されている例を示したが、他の態様であってもよい。例えば、レーザ発振器60、ワイヤフィーダ30、電源40にそれぞれ別個のコントローラが接続されている態様であってもよい。また、レーザ発振器60、ワイヤフィーダ30、電源40自体に、それらを制御するためのコントローラが組み込まれている態様であってもよい。
ハイブリッド溶接装置100は、更に、照射方向調整機構90(照射方向調整部)と、移動機構91と、設定部92とを備えている。
照射方向調整機構90は、溶接方向に交差する平面におけるレーザヘッド10のレーザ照射方向を調整する機構である。照射方向調整機構90は、後述する図2に示すレーザ照射角度βを、コントローラ50からの指示に応じて、モータ等により構成される駆動源(不図示)を駆動することにより調整する機構である。また、照射方向調整機構90は、駆動源によってレーザヘッド10の位置も調整することができる。
移動機構91は、溶接対象200に対するレーザヘッド10およびアークトーチ20の相対位置を溶接方向に沿って移動させる機構である。移動機構91によりハイブリッド溶接装置100は、鋼床版等の既設の溶接対象200に対し、自装置を相対的に移動させながら溶接を行うことができる。
設定部92は、ハイブリッド溶接装置100の操作者からの指示を受け付け、レーザ照射角度βの設定値を設定するものである。ハイブリッド溶接装置100の操作者がレーザ照射角度βとして設定したい所望の値を入力することにより、レーザ照射角度βの設定値が設定される。設定部92が設定値を設定するとその設定値はコントローラ50に伝達される。コントローラ50は、伝達された設定値に基づいて、レーザ照射角度βが設定値に対応する角度となるように照射方向調整機構90を制御する。
設定部92は、移動機構91を動作させるための指示をハイブリッド溶接装置100の操作者から受け付ける機能も備えている。ハイブリッド溶接装置100の操作者が移動機構91の動作として設定したい所望の値を入力することにより、移動機構91の動作(移動開始,移動停止,移動速度等の各種の動作)の設定値が設定される。設定部92が設定値を設定するとその設定値はコントローラ50に伝達される。コントローラ50は、伝達された設定値に基づいて、移動機構91を制御する。
次に、図2〜図4を用いて、ハイブリッド溶接装置100が更に備える角度調整機構(角度調整部)80について説明する。図2は、本実施形態のレーザヘッド10及びアークトーチ20を示す正面図である。図3は、本実施形態のレーザヘッド10及びアークトーチ20を示す右側面図である。図4は、本実施形態のレーザヘッド10及びアークトーチ20を示す上面図である。図3に示す溶接方向の矢印は、ハイブリッド溶接装置100が溶接対象200に対して相対的に移動する方向を示す。図2および図3は、板状の溶接対象200の表面に、板状の溶接対象201の端面を突き合わせた状態で隅肉溶接を行う状態を示している。
図2〜図4に示すように、角度調整機構80は、スライドプレート81と、スライド部材82と、スライドプレート83と、スライドプレート84と、ボルト85とを備えている。図2に示すように、スライドプレート81には、スライド部材82が挿入される挿入穴86が設けられている。スライド部材82は、挿入穴86に挿入された状態でスライド部材82に設けられた締結穴(不図示)にボルト87が締結されることにより、スライドプレート81に固定される。
図2に示す挿入穴86は、レーザヘッド10の中心軸X1とアークトーチ20の中心軸X2との交点Pを中心とした円の円周上に沿って延在する穴である。挿入穴86に挿入されるスライド部材82の位置を調整することにより、交点Pの位置を固定したままレーザヘッド10の中心軸X1とアークトーチ20の中心軸X2とがなす相対角度αを調整することができる。
レーザヘッド10の中心軸X1の軸方向はレーザヘッド10のレーザ照射方向と一致しており、この方向がレーザ溶接による溶け込み方向となる。また、アークトーチ20の中心軸X2の軸方向はアークトーチ20が溶接ワイヤ21を供給する方向(ワイヤ供給方向)と一致しており、この方向がアーク溶接における肉盛りの進展方向となる。
したがって、相対角度αは、ハイブリッド溶接装置100の溶接方向(図3に示す方向)に交差する平面(直交する平面)におけるレーザヘッド10のレーザ照射方向と、溶接方向と交差する平面(直交する平面)におけるアークトーチ20のワイヤ供給方向とがなす相対角度である。角度調整機構80のうち、スライドプレート81と、スライド部材82と、ボルト87とが、第1相対角度αを調整する機構(第1角度調整部)となっている。
図3に示すように、スライドプレート83及びスライドプレート84には、それぞれ、2カ所に平行して延在する一対のボルト挿入穴が設けられている。ボルト85は、一対のボルト挿入穴に挿入された状態でレーザヘッド10の所定箇所に設けられているボルト締結穴(不図示)に締結される。スライドプレート84の端部はスライドプレート81に固定されている。ボルト85の締結を緩めた状態でスライドプレート83を移動させることにより、レーザヘッド10に対するアークトーチ20の鉛直方向(図3中のZで示す方向)の位置を調整することができる。また、ボルト84の締結を緩めた状態でスライドプレート84を移動させることにより、レーザヘッド10に対するアークトーチ20の水平方向(図3中のXで示す方向)の位置を調整することができる。アークトーチ20の鉛直方向及び水平方向の位置は、ボルト85を締結することにより固定される。
図2及び図3に示すように、アークトーチ20はスライド部材82に固定されているが、スライド部材82に対する取り付け角度を任意に調整できる取り付け角度調整機構が備わっている。レーザヘッド10に対するアークトーチ20の鉛直方向及び水平方向を調整した上で、アークトーチ20のスライド部材82に対する取り付け角度を調整することにより、溶接方向におけるレーザヘッド10の中心軸X1とアークトーチ20の中心軸X2とがなす相対角度θ1(第2相対角度)を調整することができる。
前述したように、レーザヘッド10の中心軸X1の軸方向はレーザヘッド10のレーザ照射方向と一致しており、アークトーチ20の中心軸X2の軸方向はアークトーチ20が溶接ワイヤ21を供給するワイヤ供給方向と一致している。
したがって、第2相対角度θ1は、ハイブリッド溶接装置100の溶接方向(図3に示す方向)におけるレーザヘッド10のレーザ照射方向と、溶接方向におけるアークトーチ20のワイヤ供給方向とがなす相対角度である。角度調整機構80のうち、スライドプレート83と、スライドプレート84と、取り付け角度調整機構とが、第2相対角度θ1を調整する機構(第2角度調整部)となっている。第2相対角度θ1は、ハイブリッド溶接装置100が溶接対象200に対して移動する速度(溶接速度)やレーザヘッド10のレーザ照射強度等の種々の条件に応じて、十分な強度の溶接部を形成可能となるように角度調整機構80を用いて適宜調整される。
図3において、角度θ2は、溶接方向に沿った平面における、溶接方向に対するレーザヘッド10のレーザ照射方向の角度を示すものである。また、角度θ3は、溶接方向に沿った平面における、溶接方向に対するアークトーチ20のワイヤ供給方向の角度を示すものである。
前述した角度θ1と角度θ2,θ3とは、以下の式(1)の関係となっている。
θ2=θ1+θ3 (1)
ここで、角度θ2は、予め固定された角度であり、角度θ1は前述した角度調整機構80により調整される角度である。したがって、角度θ2を角度調整機構80によって調整することにより、角度θ3も調整される。
角度θ2としては、例えば、5°以上で175°未満となるように設定するのが望ましい。ただし、アークトーチ20やレーザヘッド10自体が、溶接対象200,201に接触しない範囲で角度θ2を設定する。角度θ2を5°以上で175°未満となるように設定しているのは、角度θ2を5°未満あるいは175°以上とすると、溶接対象200の表面に対して略平行に近くレーザ光が照射されるためレーザ光の照射位置が安定せず、また十分な溶け込みを得ることができないからである。
角度θ3としては、例えば、3°以上で20°未満となるか、160°より大きく177°以下となるように設定するのが望ましい。ただし、アークトーチ20やレーザヘッド10自体が、溶接対象200,201に接触しない範囲で角度θ3を設定する。
図3において、仮想溶接線11は、レーザヘッド10が目標とする溶接位置の集合を示し、板状の溶接対象200が延在する延在方向に沿って延びる線である。仮想溶接線11の延在する方向は、溶接方向と一致している。仮想溶接線11は、レーザヘッド10が照射目標位置として各種のパラメータを設定する位置を示すが、「仮想」としているのは、現実の溶接は溶接対象200の表面において行われるからである。
図3において、点12は仮想溶接線11とアークトーチ20の中心軸X2の交点を示し、点13は仮想溶接線11とレーザヘッド10の中心軸X1の交点を示す。点12と点13の仮想溶接線11に沿った距離は、例えば、0〜10mmの範囲に設定するのが望ましい。この距離が離れすぎると、レーザヘッド10によるレーザ照射により溶融した溶接対象200に対してアークトーチ20による溶接を行うまでに時間差が生じてしまうからである。
次に、図5から図9を用いて本実施形態におけるレーザ照射方向の調整について説明する。
図5は、本実施形態のハイブリット溶接装置100の溶接対象の鋼床版500を示す横断面図である。また、図6は、図5に示す鋼床版500のA−A矢視断面図である。
図5に示す鋼床版500は、主に車両が走行する橋梁に用いられるものであり、平板上のデッキプレート501と、横断面が略U型のリブ部材502,503,504を備えている。図5に示す鋼床版500は、3つのリブ部材502,503,504を備えるが、より多数のリブ部材を備える鋼床版500としてもよい。
溶接対象である鋼床版500は、水平方向に延在する板状のデッキプレート501(第1の板材)に板状のリブ部材502,503,504(第2の板材)の端面をデッキプレート501の下面から突き合わせたものである。鋼床版500は、デッキプレート501とリブ部材502,503,504が突き合わされた部分に隅肉溶接部505,506,507,508,509,510を有している。これらの隅肉溶接部505,506,507,508,509,510は、予め溶接により形成されたものである。本実施形態のハイブリッド溶接装置100は、予め鋼床版500に形成された隅肉溶接部およびその周辺に発生した損傷を補修するために再度の溶接を行うものである。
図5に示すように、リブ部材502,503,504は、横断面が略U型となっており、横断面における2箇所の端面がデッキプレート501に連結されている。デッキプレート501にリブ部材502,503,504の端面が突き合わされた状態では、閉じられた空間が形成される。したがって、閉じられた空間側からはデッキプレート501とリブ部材の溶接することができない。
したがって、本実施形態の鋼床版500の隅肉溶接部は、リブ部材の端面の片側のみが溶接されたものとなっている。
図5および図6に示すように、ハイブリッド溶接装置100は、接地面520上に配置された移動機構91を備えており、移動機構91によって溶接方向に沿って移動可能となっている。また、ハイブリッド溶接装置100は、レーザヘッド10およびアークトーチ20が隅肉溶接部507に近接した状態で配置されている。
したがって、本実施形態のハイブリッド溶接装置100は、レーザヘッド10およびアークトーチ20による溶接を行いつつ、移動機構91によって溶接方向に沿って移動することで、溶接方向に連続的に溶接を行うことが可能となっている。
図7から図9は、設定部92および照射方向調整機構90を用いて、溶接方向に交差する平面におけるレーザ照射方向を調整する調整方法を説明する図である。図7から図9は、図5に示す鋼床版500の隅肉溶接部507の部分拡大図であり、レーザ照射方向の一例を示す図である。
以下で説明するように、隅肉溶接部507には、使用環境や使用状況に応じて、各箇所で異なるタイプの亀裂等の損傷が発生するのが通常である。そして、異なるタイプの損傷に対しては、それぞれの損傷に適した補修を行うのが望ましい。以下では、図7,図8,図9に示す3パターンの損傷について説明し、各パターンに対して望ましい補修を行うことについて説明する。
図7に示す隅肉溶接部507は、溶着金属が帯状に盛り上がった部分であるビード73を有しており、ビード73によってデッキプレート501とリブ部材502が溶着されている。
基準軸71は、仮想溶接線11を通過するとともにデッキプレート501が延在する方向に延びる直線である。また、基準軸72は、仮想溶接線11を通過するとともにリブ部材502が延在する方向に延びる直線である。基準軸71と基準軸72とがなす角は角度A1となっている。
端面76は、ビード73において、デッキプレート501の表面とリブ部材502の端面が対向する部分において、デッキプレート501とリブ部材502によって閉じた空間に接する面である。図7に示す例では、ビード73がリブ部材502の板厚に渡って存在しており、デッキプレート501とリブ部材502との間に未溶着部分が存在していない。
図7に示す隅肉溶接部507のビード73には外面から仮想溶接線11に至るクラック74(亀裂)が存在している。一方、図7に示す隅肉溶接部507では、未溶着部が存在せず、デッキプレート501にクラックが存在しない。
そこで、図7に示す状態の隅肉溶接部507を補修するために、操作者は、溶接方向に交差する平面におけるレーザ照射角度βにより定まるレーザ照射方向が、基準軸71とクラック74の進展方向(図7中の角度A2)となるように設定部92の設定値の入力をする。操作者の入力を受け付けた設定部92は、操作者の操作に応じた設定値を設定し、設定値をコントローラ50に伝達する。
設定値が伝達されたコントローラ50は、レーザ照射角度βが設定値に応じた角度A2となるように照射方向調整機構90を制御する。照射方向調整機構90は、コントローラ50により制御されることにより、溶接方向に交差する平面におけるレーザヘッド10のレーザ照射角度βが角度A2となるように調整する。図7は、レーザ照射角度βが角度A2となるように調整された状態を示している。
図8に示す隅肉溶接部507は、ビード73にクラック74が存在している点は図7に示す例と同様である。図8に示す隅肉溶接部507では、リブ部材502の板厚に渡るビード73が存在しておらず、デッキプレート501とリブ部材502との間に未溶着部分が存在する。図8に示すビード73は、図7に示すビード73に比べ、端面76が後退している。この端面76に近接する領域が未溶着部分となっている。
図8に示す状態の隅肉溶接部507を補修するために、操作者は、レーザ照射方向の延長線上に端面76の中央部分が配置されるように設定部92の設定値の入力をする。この際、操作者は、レーザ照射方向の延長線がクラック74の端部B1,B2の中点B3と交差する角度(図8中の角度A3)となるように設定部92の設定値の入力をする。操作者の入力を受け付けた設定部92は、操作者の操作に応じた設定値を設定し、設定値をコントローラ50に伝達する。
設定値が伝達されたコントローラ50は、レーザ照射角度βが設定値に応じた角度A3となるように照射方向調整機構90を制御する。照射方向調整機構90は、コントローラ50により制御されることにより、溶接方向に交差する平面におけるレーザヘッド10のレーザ照射角度βが角度A3となるように調整する。
図9に示す隅肉溶接部507は、ビード73にクラック74が存在している点、未溶着部が存在する点は図8に示す例と同様である。図9に示す隅肉溶接部507では、デッキプレート501に板厚方向に延びるクラック77(亀裂)が存在している。
図9に示す状態の隅肉溶接部507を補修するために、操作者は、レーザ照射方向の延長線上に、クラック77のデッキプレート501の表面上の位置が存在するように、設定部92の設定値の入力をする。この際、操作者は、レーザ照射方向の延長線がクラック74の端部B4,B5の中点B6と交差する角度(図9中の角度A4)となるように設定部92の設定値の入力をする。操作者の入力を受け付けた設定部92は、操作者の操作に応じた設定値を設定し、設定値をコントローラ50に伝達する。
設定値が伝達されたコントローラ50は、レーザ照射角度βが設定値に応じた角度A4となるように照射方向調整機構90を制御する。照射方向調整機構90は、コントローラ50により制御されることにより、溶接方向に交差する平面におけるレーザヘッド10のレーザ照射角度βが角度A4となるように調整する。
以上の図7から図9で説明したように、ハイブリッド溶接装置100の操作者は、隅肉溶接部507に存在するクラック等の損傷状態に応じて適切な設定値を設定部92に入力する。適切な設定値を入力することにより、ハイブリッド溶接装置100は、溶接方向に交差する平面におけるレーザ照射方向を、隅肉溶接部507の損傷状態に応じた適切な角度に調整することができる。
次に、図10を用いて、溶接方向に交差する平面におけるワイヤ供給方向とデッキプレート501の延在方向がなす角度の調整について説明する。図10は、図5に示す鋼床版500の隅肉溶接部507の部分拡大図であり、ワイヤ供給方向の一例を示す図である。
前述したように、レーザヘッド10のレーザ照射方向は、操作者の設定値の入力により適宜調整することができる。一方、レーザヘッド10の中心軸X1とアークトーチ20の中心軸X2とがなす相対角度αは、角度調整機構80により調整可能となっている。
角度調整機構80により相対角度αは任意に設定可能であるが、アークトーチ20の中心軸X2とデッキプレート501の延在方向がなす角度A7については、以下の式(2)と式(3)のいずれかを満たす範囲とするのが望ましい。
3°≦A7<83° (2)
97°<A7≦A1−3° (3)
なお、式(2),(3)において3°としている角度は図10における角度A6に対応している。また、式(2),(3)において83°および97°としている角度は図10における角度A5に対応している。
式(2)および(3)が示す条件は、アークトーチ20をデッキプレート501およびリブ部材502に近づけ過ぎないようにすることである。
このようにしているのは、ワイヤ供給方向とデッキプレート501の延在方向がなす角度が3°より小さくなり、アーク放電がデッキプレート501側に引き寄せられることによる不具合を防止するためである。同様に、ワイヤ供給方向とリブ部材502の延在方向がなす角度が3°より小さくなり、アーク放電がリブ部材502側に引き寄せられることによる不具合を防止するためである。
式(2)および(3)が示す他の条件は、アークトーチ20を垂直方向に近づけ過ぎないようにすることである。
このようにしているのは、ワイヤ供給方向が鉛直方向上向きとなって溶接時に飛散するスパッタ等が鉛直方向下方のレーザヘッド10およびアークトーチ20に落下しやすくなる不具合を防止するためである。
以上説明したように、本実施形態によれば、レーザヘッド10とアークトーチ20とが移動機構91によって溶接方向に沿って移動する際に、溶接方向に交差する平面におけるレーザヘッド10のレーザ照射方向が、操作者等が設定した設定値に基づいて照射方向調整機構90より調整された状態となる。したがって、ハイブリッド溶接装置100の操作者は、溶接方向に沿ってレーザヘッド10およびアークトーチ20を移動させながら適切なレーザ照射方向を手動で調整する必要がない。
このようにすることで、溶接対象に対するレーザヘッド10およびアークトーチ20の相対位置を移動させながら溶接方向に沿って溶接する際に、溶接方向に交差する平面におけるレーザ照射方向を適切に調整することが可能なハイブリッド溶接装置100を提供することができる。
また、本実施形態によれば、溶接対象が、デッキプレート501にリブ部材502の端面を突き合わせた部分に形成された隅肉溶接部507であり、設定部92は、レーザ照射方向が、隅肉溶接部507に含まれるビード73に存在するクラック74の進展方向となるように設定値を設定する。
このようにすることで、隅肉溶接部507に含まれるビード73に亀裂が存在する場合に、その進展方向にレーザが照射されるので、ビード73の亀裂の更なる進展を防止することができる。
また、本実施形態によれば、溶接対象が、デッキプレート501にリブ部材502の端面を突き合わせた部分に形成された隅肉溶接部507であり、設定部90は、レーザ照射方向が、隅肉溶接部507に含まれるビード73に存在するクラック74の進展方向と交差しデッキプレート501とリブ部材507の未溶着部分に近接したビード73に向かう方向となるように設定値を設定する。
このようにすることで、隅肉溶接部507に含まれるビード73にクラック74が存在し、かつデッキプレート501とリブ部材502の未溶着部分が存在する場合に、ビード73のクラック74の更なる進展を防止しつつ未溶着部分の溶接強度を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、設定部92は、レーザ照射方向が、クラック74の進展方向におけるビード73の両端部B1、B2を結ぶ直線の中点B3と交差する方向となるように設定値を設定する。
このようにすることで、ビード73のクラック74の中央部分を溶接し、ビード73のクラック74の更なる進展を防止することができる。
また、本実施形態によれば、溶接対象が、デッキプレート501にリブ部材502の端面を突き合わせた部分に形成された隅肉溶接部507であり、設定部92は、レーザ照射方向が、デッキプレート501の隅肉溶接部507近傍に存在するクラック77のデッキプレート501の表面上の位置に向かう方向となるように設定値を設定する。
このようにすることで、デッキプレート501の表面上から進展するクラック77が存在する場合、デッキプレート501の表面に溶接部を形成して、デッキプレート501の内部でクラック77が進展することを防止することができる。
また、設定部92は、レーザ照射方向が、隅肉溶接部507に含まれるビード73に存在するクラック74の進展方向となるように設定値を設定してもよい。
このようにすることで、溶接部に含まれるビード73にクラック74が存在する場合に、ビード73のクラック74の更なる進展を防止することができる。
また、本実施形態によれば、溶接方向に交差する平面におけるレーザヘッド10のレーザ照射方向と、溶接方向と交差する平面におけるアークトーチ20のワイヤ供給方向とがなす相対角度を調整可能な角度調整機構80を備える。
このようにすることで、レーザ照射方向に対して適切な方向からアークトーチ20のワイヤを供給できるように、レーザ照射方向に対するワイヤ供給方向を適切に調整することができる。
また、角度調整機構80は、ワイヤ供給方向とデッキプレート501の延在方向がなす角度A6およびワイヤ供給方向とリブ部材502の延在方向がなす角度A6を、それぞれ3°以上とするように相対角度αを調整する。
このようにすることで、ワイヤ供給方向とデッキプレート501の延在方向がなす角度が3°より小さくなり、アーク放電がデッキプレート501側に引き寄せられることによる不具合を防止することができる。同様に、ワイヤ供給方向とリブ部材502の延在方向がなす角度が3°より小さくなり、アーク放電がリブ部材502側に引き寄せられることによる不具合を防止することができる。
また、本実施形態によれば、デッキプレート501が水平方向に延在しており、隅肉溶接部507が、リブ部材502の端面をデッキプレート501の下面から突き合わせた部分に形成されている。角度調整機構80は、ワイヤ供給方向とデッキプレート501の延在方向がなす角度が83°以上かつ97°以下とならないように相対角度αを調整する。
このようにすることで、ワイヤ供給方向が鉛直方向上向きとなって溶接時に飛散するスパッタ等が鉛直方向下方のレーザヘッド10およびアークトーチ20に落下しやすくなる不具合を防止することができる。
〔他の実施形態〕
前述した実施形態のハイブリッド溶接装置100は、溶接対象200が固定された状態でハイブリッド溶接装置100を移動させることにより相対位置を溶接方向に沿って移動させる方式の装置であったが他の方式の装置であってもよい。
例えば、ハイブリッド溶接装置100自体は移動せず、レーザヘッド10およびアークトーチ20を含む溶接機構を、アーム機構(不図示)等によって溶接方向に沿って移動させる方式の装置であってもよい。
前述した実施形態のハイブリッド溶接装置100は、図3に示すように溶接方向に移動する際に、レーザヘッド10による溶接が行われた後にアークトーチ20による溶接が行われるものであったが、他の態様であってもよい。
例えば、溶接方向に移動する際に、アークトーチ20による溶接が行われた後にレーザヘッド10による溶接が行われるようにしてもよい。
前述した実施形態のハイブリッド溶接装置100は、予め鋼床版500に形成された隅肉溶接部およびその周辺に発生した損傷を補修するものであったが、他の態様であってもよい。例えば、デッキプレート501に新規にリブ部材502,503,504を溶接により接合し、新規の鋼床版500を製造する態様であってもよい。
この場合、接地面520にデッキプレート501を設置し、その上にリブ部材502,503,504を載置した状態で、鉛直方向の上方から下方に向けたレーザ照射方向にしてハイブリッド溶接装置100を動作させるのが望ましい。
前述した実施形態では、操作者が隅肉溶接部507の損傷状態に応じた適切な設定値を入力するものであったが、他の態様であってもよい。
例えば、隅肉溶接部507の損傷状態を予め損傷検出装置(不図示)等により検出して適切な設定値を記憶部(不図示)に記憶させておき、設定部92が記憶部に記憶された設定値を読み出して設定値を設定するようにしてもよい。
さらに、溶接方向に沿った複数箇所の隅肉溶接部507の損傷状態を記憶部に記憶しておくようにしてもよい。この場合、移動機構91がハイブリッド溶接装置100を溶接方向に沿って移動させるのに伴って、設定部92が溶接方向の各位置に応じたレーザ照射方向の設定値を記憶部から読み出して設定値を設定するのが望ましい。このようにすることで、溶接方向に沿って移動しながら各位置に応じた適切なレーザ照射方向を調整可能なハイブリッド溶接装置100を提供することができる。
10 レーザヘッド(レーザ溶接部)
11 仮想溶接線
20 アークトーチ(アーク溶接部)
30 ワイヤフィーダ(ワイヤ供給部)
40 電源
50 コントローラ
74 クラック(亀裂)
80 角度調整機構(第1角度調整部,第2角度調整部)
90 照射方向調整機構(照射方向調整部)
91 移動機構
92 設定部
100 ハイブリッド溶接装置
200,201 溶接対象
500 鋼床版
501 デッキプレート
502,503,504 リブ部材
X1 レーザヘッドの中心軸
X2 アークトーチの中心軸
α 相対角度
β レーザ照射角度(レーザ照射方向)

Claims (10)

  1. レーザ発振器に接続され、前記レーザ発振器が発振するレーザを溶接対象に照射して溶接を行うレーザ溶接部と、
    電源に接続された溶接ワイヤを供給するワイヤ供給部を有するとともに前記溶接ワイヤを前記溶接対象に供給して溶接を行うアーク溶接部と、
    前記溶接対象に対する前記レーザ溶接部および前記アーク溶接部の相対位置を溶接方向に沿って移動させる移動機構と、
    前記溶接方向に交差する平面における前記レーザ溶接部のレーザ照射方向の設定値を設定する設定部と、
    前記設定部により設定された前記設定値に基づいて、前記レーザ照射方向を調整する照射方向調整部とを備え、
    前記溶接対象が、第1の板材に第2の板材の端面を突き合わせた部分に形成された隅肉溶接部であり、
    前記設定部は、前記レーザ照射方向が、前記隅肉溶接部に含まれるビード部に存在する亀裂の進展方向となるように前記設定値を設定する溶接装置。
  2. レーザ発振器に接続され、前記レーザ発振器が発振するレーザを溶接対象に照射して溶接を行うレーザ溶接部と、
    電源に接続された溶接ワイヤを供給するワイヤ供給部を有するとともに前記溶接ワイヤを前記溶接対象に供給して溶接を行うアーク溶接部と、
    前記溶接対象に対する前記レーザ溶接部および前記アーク溶接部の相対位置を溶接方向に沿って移動させる移動機構と、
    前記溶接方向に交差する平面における前記レーザ溶接部のレーザ照射方向の設定値を設定する設定部と、
    前記設定部により設定された前記設定値に基づいて、前記レーザ照射方向を調整する照射方向調整部とを備え、
    前記溶接対象が、第1の板材に第2の板材の端面を突き合わせた部分に形成された隅肉溶接部であり、
    前記設定部は、前記レーザ照射方向が、前記隅肉溶接部に含まれるビード部に存在する亀裂の進展方向と交差し前記第1の板材と前記第2の板材の未溶着部分に近接した該ビード部に向かう方向となるように前記設定値を設定する溶接装置。
  3. 前記設定部は、前記レーザ照射方向が、前記亀裂の進展方向における前記ビード部の両端部を結ぶ直線の中点と交差する方向となるように前記設定値を設定する請求項に記載の溶接装置。
  4. レーザ発振器に接続され、前記レーザ発振器が発振するレーザを溶接対象に照射して溶接を行うレーザ溶接部と、
    電源に接続された溶接ワイヤを供給するワイヤ供給部を有するとともに前記溶接ワイヤを前記溶接対象に供給して溶接を行うアーク溶接部と、
    前記溶接対象に対する前記レーザ溶接部および前記アーク溶接部の相対位置を溶接方向に沿って移動させる移動機構と、
    前記溶接方向に交差する平面における前記レーザ溶接部のレーザ照射方向の設定値を設定する設定部と、
    前記設定部により設定された前記設定値に基づいて、前記レーザ照射方向を調整する照射方向調整部とを備え、
    前記溶接対象が、第1の板材に第2の板材の端面を突き合わせた部分に形成された隅肉溶接部であり、
    前記設定部は、前記レーザ照射方向が、前記第1の板材の前記隅肉溶接部近傍に存在する亀裂の該第1の板材の表面上の位置に向かう方向となるように前記設定値を設定する溶接装置。
  5. 前記設定部は、前記レーザ照射方向が、前記隅肉溶接部に含まれるビード部に存在する亀裂の進展方向における前記ビード部の両端部を結ぶ直線の中点と交差する方向となるように前記設定値を設定する請求項に記載の溶接装置。
  6. 前記溶接方向に交差する平面における前記レーザ溶接部の前記レーザ照射方向と、前記溶接方向と交差する平面における前記アーク溶接部のワイヤ供給方向とがなす相対角度を調整可能な角度調整部を備える請求項から請求項のいずれか1項に記載の溶接装置。
  7. 前記角度調整部は、前記ワイヤ供給方向と前記第1の板材の延在方向がなす角度および前記ワイヤ供給方向と前記第2の板材の延在方向がなす角度を、それぞれ3°以上とするように前記相対角度を調整する請求項に記載の溶接装置。
  8. 前記第1の板材が水平方向に延在しており、
    前記隅肉溶接部が、前記第2の板材の端面を前記第1の板材の下面から突き合わせた部分に形成されており、
    前記角度調整部は、前記ワイヤ供給方向と前記第1の板材の延在方向がなす角度が83°以上かつ97°以下とならないように前記相対角度を調整する請求項または請求項に記載の溶接装置。
  9. 前記溶接対象が鋼床版であり、
    前記第1の板材が該鋼床版を構成する平板上のデッキプレートであり、
    前記第2の板材が該鋼床版を構成する横断面が略U型のリブ部材である請求項から請求項のいずれか1項に記載の溶接装置。
  10. レーザ発振器に接続され、前記レーザ発振器が発振するレーザを溶接対象に照射して溶接を行うレーザ溶接部と、電源に接続された溶接ワイヤを供給するワイヤ供給部を有するとともに前記溶接ワイヤを前記溶接対象に供給して溶接を行うアーク溶接部とを備える溶接装置を用いた溶接方法であって、
    前記溶接対象に対する前記レーザ溶接部および前記アーク溶接部の相対位置を溶接方向に沿って移動させる移動工程と、
    操作者からの指示を受け付け、前記溶接方向に交差する平面における前記レーザ溶接部のレーザ照射方向の設定値を設定する設定工程と、
    駆動源を駆動することにより前記レーザ照射方向が前記設定値に対応する方向となるように調整する照射方向調整工程とを備え
    前記溶接対象が、第1の板材に第2の板材の端面を突き合わせた部分に形成された隅肉溶接部であり、
    前記設定工程は、前記レーザ照射方向が、前記隅肉溶接部に含まれるビード部に存在する亀裂の進展方向となるように前記設定値を設定する溶接方法。
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