JP6091446B2 - 電動機制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、位置センサを用いることなく、電動機を停止状態から高速状態に至る広い速度範囲で駆動制御する電動機制御装置に関するものである。
一般に、電力変換器を用いて交流電動機を駆動する場合、電流センサや位置センサなどが用いられ、位置センサで検出した回転子の磁極位相に応じて指令電圧を印加するベクトル制御が行われる。電力変換器は、交流電力系統と直流電力系統との間に接続され、電力を直流−交流変換する装置であり、蓄電池等から直流電力が供給され、電動機を駆動するために交流電力を出力する。
一方、位置センサは、電動機の回転子の磁極位相を検出する装置であり、エンコーダやレゾルバといった種類のものがある。一般に、位置センサはコストが高く耐久性にも劣るので、位置センサを用いないで電動機をベクトル制御する方法がいくつか知られている。
例えば、特許文献1は、電動機の巻線にその駆動用の電流が供給されていない状態で、多相の各巻線の組合わせに対して所定の電圧ベクトルを印加し、印加した電圧ベクトルに応じて多相の各巻線に流れる電流の挙動を計測してこの電流の挙動から回転子の磁極位相を検出する電気角検出装置およびこれを用いた同期モータの駆動装置を開示する。
また、例えば、特許文献2は、回転二軸上の電流指令と電流とから電圧指令を出力する電流制御器と、回転二軸上の電流と電圧指令に基づき角周波数と推定回転子磁束と推定回転速度とを演算する適応オブザーバとを備え、インバータにより同期電動機を制御する同期電動機の制御装置を開示する。
更に、例えば、特許文献3は、電動機が所定回転数以上で回転している場合は、誘起電圧を利用する第1の検出方法で磁極位相の検出を試み、誘起電圧による位置検出ができない所定回転数未満では、位置検出用の電圧信号を多重する第2の検出方法により磁極位相の検出を行い、電動機を制御する電動機の制御装置を開示する。
そして、電動機の回転子の回転数を検出し、この回転数の大きさに応じて第1および第2の検出方法を選択するのが一般的で、検出方法の切り換え時には、磁極位相推定手段の過渡状態や演算遅れなどによって推定磁極位相の位相飛びが発生する可能性があるため、切り換え後の磁極位相推定手段の推定値が確立するまでの所定時間、現在の電動機の速度に応じた位相量Δθを用いて推定磁極位相を位相切換部で補償している。
特開平7−177788号公報(請求項1、5等参照) 特許第4672236号公報(請求項1等参照) 特開2002−315386号公報(請求項14、図7、8等参照)
従来の特許文献1の装置では、磁極位相推定用の電圧ベクトルを印加して停止状態から駆動しても、回転速度が高くなるに従って、電圧ベクトルを印加する時間内での磁極位相の変化分が無視できなくなり、高速域では正しく磁極位相の推定ができないという課題があった。
また、特許文献2の装置は、誘起電圧を利用する方法であり、回転子が回転動作を起こさなければ電圧が発生せず、停止状態では磁極位相を検出することができないという課題があった。
これらに対し、特許文献3の装置は、電動機が所定回転数以上で回転している場合に、誘起電圧を利用して磁極位相を推定する第1の検出方法を担う第1の磁極位置推定手段と、誘起電圧による位置検出ができない所定回転数未満の場合に、位置検出用の電圧信号を多重化することで磁極位相を推定する第2の検出方法を担う第2の磁極位相推定手段とを備えている。
そして、両検出方法の切り換えのため、両推定手段とは別に、切り換え後の磁極位相推定手段の推定値が確立するまでの所定時間、推定磁極位相を補償するための位相切換部を備え、現在の電動機の速度に応じた位相量Δθを用いて、両推定手段による推定磁極位相θ1、θ3とは別の推定磁極位相θ2を生成する(特許文献3の段落0048、0049および図8参照)。
このため、切り換え時における回転速度の変化等を考慮すると、位相切換部により推定磁極位相を補償する切換時間を一定量長く設定する必要があり、位相誤差が大きくなって安定に電動機を駆動し続けることが難しいという課題があった。
この発明は、これら従来の課題を解決するためになされたもので、位置センサを用いないで電動機を駆動制御する装置において、回転子が停止している状態から高速で回転動作する状態においても、精度良く回転子の磁極位相を推定して、安定に電動機を駆動することができる電動機制御装置を得ることを目的とする。
この発明に係る電動機制御装置は、複数のスイッチング素子から構成され直流電源からの直流電圧を変換して電動機に供給する交流電圧を出力する電力変換部、制御系上位から入力される指令値に基づき交流電圧指令値を生成して出力する電圧指令生成部、交流電圧指令値に基づき電力変換部のスイッチング素子をオンオフ制御するゲート信号を生成して出力するゲート信号生成手段、電動機の各相に流れる電流を検出する電流検出器、電動機の回転速度が予め定められた設定速度以下の条件下で電動機の磁極位相および速度を演算により推定し第一位相信号および第一速度信号として出力する第一位相推定手段、電動機の回転速度が設定速度以上の条件下で電動機の磁極位相および速度を演算により推定し第二位相信号および第二速度信号として出力する第二位相推定手段、および第一位相信号と第二位相信号とを入力し、電動機の回転速度または該回転速度に相当する情報に基づき比較的低速域から高速域へのまたは比較的高速域から低速域への移行時、移行前の位相推定手段による速度信号が設定速度に達した時点で、当該時点における移行前の位相推定手段の演算での情報を初期値として移行後の位相推定手段が演算を開始し予め定められた設定時間経過後、移行前の位相推定手段による位相信号を移行後の位相推定手段による位相信号に直接切り換える位相切換部を備え、電圧指令生成部は、位相信号に基づいて電流検出器により検出された各相の電流値を直交二相座標の直交二相電流検出値に変換して出力する第二座標変換部、指令値と直交二相電流検出値とに基づいて直交二相座標の直交二相電圧指令値を生成して出力する直交二相電圧指令生成部、および位相信号に基づいて直交二相電圧指令値を交流電圧指令値に変換して出力する第一座標変換部を備えたものである。
また、この発明の更なる電動機制御装置は、複数のスイッチング素子から構成され直流電源からの直流電圧を変換して電動機に供給する交流電圧を出力する電力変換部、制御系上位から入力される指令値に基づき交流電圧指令値を生成して出力する電圧指令生成部、交流電圧指令値に基づき電力変換部のスイッチング素子をオンオフ制御するゲート信号を生成して出力するゲート信号生成部、電動機の各相に流れる電流を検出する電流検出器、電動機の回転速度が予め定められた設定速度以下の条件下で電動機の磁極位相を演算により推定し第一位相信号として出力する第一位相推定手段、電動機の回転速度が設定速度以上の条件下で電動機の磁極位相を演算により推定し第二位相信号として出力する第二位相推定手段、および第一位相信号と第二位相信号とを入力し、電動機の回転速度または該回転速度に相当する情報に基づき第一位相信号または第二位相信号のいずれか一方を選択して位相信号として出力する位相切換部を備え、
電圧指令生成部は、位相信号に基づいて電流検出器により検出された各相の電流値を直交二相座標の直交二相電流検出値に変換して出力する第二座標変換部、指令値と直交二相電流検出値とに基づいて直交二相座標の直交二相電圧指令値を生成して出力する直交二相電圧指令生成部、および位相信号に基づいて直交二相電圧指令値を交流電圧指令値に変換して出力する第一座標変換部を備え、
ゲート信号生成部は、電圧指令生成部により生成された交流電圧指令値に基づき電動機を駆動するためスイッチング素子をオンオフ制御するゲート信号を生成し駆動ゲート信号として出力する駆動制御部、第一位相推定手段により電動機の磁極位相を推定する目的で電動機に一連の電圧パルスを印加するためスイッチング素子をオンオフ制御するゲート信号を生成し磁極位相検出ゲート信号として出力するパルス生成部、および駆動ゲート信号と磁極位相検出ゲート信号とを入力し、第一位相推定手段が動作する期間では、時分割で予め定められた周期で駆動区間と磁極位相検出区間とを交互に設定し、駆動区間では駆動ゲート信号を磁極位相検出区間では磁極位相検出ゲート信号をそれぞれ出力するゲート切換部を備えたものである。
また、この発明の更なる電動機制御装置は、複数のスイッチング素子から構成され直流電源からの直流電圧を変換して電動機に供給する交流電圧を出力する電力変換部、制御系上位から入力される指令値に基づき交流電圧指令値を生成して出力する電圧指令生成部、交流電圧指令値に基づき電力変換部のスイッチング素子をオンオフ制御するゲート信号を生成して出力するゲート信号生成部、電動機の各相に流れる電流を検出する電流検出器、電動機の回転速度が予め定められた設定速度以下の条件下で電動機の磁極位相を演算により推定し第一位相信号として出力する第一位相推定手段、電動機の回転速度が設定速度以上の条件下で電動機の磁極位相を演算により推定し第二位相信号として出力する第二位相推定手段、および第一位相信号と第二位相信号とを入力し、電動機の回転速度または該回転速度に相当する情報に基づき第一位相信号または第二位相信号のいずれか一方を選択して位相信号として出力する位相切換部を備え、
電圧指令生成部は、位相信号に基づいて電流検出器により検出された各相の電流値を直交二相座標の直交二相電流検出値に変換して出力する第二座標変換部、指令値と直交二相電流検出値とに基づいて直交二相座標の直交二相電圧指令値を生成して出力する直交二相電圧指令生成部、および位相信号に基づいて直交二相電圧指令値を交流電圧指令値に変換して出力する第一座標変換部を備え、
ゲート信号生成部は、電圧指令生成部により生成された交流電圧指令値に基づき電動機を駆動するためスイッチング素子をオンオフ制御するゲート信号を生成し駆動ゲート信号として出力する駆動制御部、第一位相推定手段により電動機の磁極位相を推定する目的で電動機に一連の電圧パルスを印加するためスイッチング素子をオンオフ制御するゲート信号を生成し磁極位相検出ゲート信号として出力するパルス生成部、および駆動ゲート信号と磁極位相検出ゲート信号とを入力し、第一位相推定手段が動作する期間では、時分割で予め定められた周期で駆動区間と磁極位相検出区間とを交互に設定し、駆動区間では駆動ゲート信号を磁極位相検出区間では磁極位相検出ゲート信号をそれぞれ出力し、第二位相推定手段が動作する期間では、駆動ゲート信号のみを出力するゲート切換部を備え、
第一位相推定手段は、磁極位相検出ゲート信号に基づき電動機に一連の電圧パルスを印加したとき電流検出器で検出される前記各相の電流値により電動機の磁極位相を演算し第一位相信号として出力するものである。
以上のように、この発明に係る電動機制御装置における位相切換部は、比較的低速域から高速域に移行するときは、第一位相信号から第二位相信号へ、また、比較的高速域から低速域に移行するときは、第二位相信号から第一位相信号へ、それぞれ直接連続的に切り換えるので、この移行動作の過渡時に、第一、第二位相信号とは異なる位相信号を別途演算出力する必要が無く、特に移行時の制御が簡便となり、位相推定精度も良好となる。
従って、位置センサを用いることなく、従って、低コストで耐久性に優れ、電動機を停止状態から高速状態に至る広い速度範囲で、精度良く回転子の磁極位相を推定して、安定に電動機を駆動することができる電動機制御装置を得ることが出来る。
この発明の実施の形態1による電動機制御装置の全体構成を示すブロック図である。 図1の電力変換部10の内部構成を示す回路図である。 図1のパルス生成部5が出力する電圧ベクトルを示す図である。 図3の電圧ベクトルを印加したときに流れる電流波形を示す図である。 図1のゲート切換部7の動作を説明するための図である。 図1の位相推定部6の内部構成を示すブロック図である。 図6の位相演算部17で演算される各相の電流偏差と磁極位相との関係を示す線図である。 図1の磁束推定器8の内部構成を示すブロック図である。 図1の位相切換部9の動作を説明するための図である。 この発明の実施の形態2による電動機制御装置の位相推定部6の構成を示すブロック図である。 この発明の実施の形態3による電動機制御装置の位相切換部9の動作を説明するための図である。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による電動機制御装置の全体構成を示す図である。直交二相電圧指令生成部1は、図1では図示されていない制御系上位から入力されるトルク指令値および後述する第二座標変換部3により直交二相座標に変換された電流情報(直交二相電流検出値)id、iqにより、直交二相電圧指令値vd*、vq*を計算し、後述する第一座標変換部2に出力する。
直交二相電圧指令生成部1では、例えば、式(1)に示す、トルク指令値から求めた直交二相電流指令値id*、iq*と直交二相電流検出値id、iqとの偏差を用いたPI制御の演算を行うことによって、直交二相電圧指令値vd*、vq*を計算することができる。
Figure 0006091446
式(1)において、Kpは比例ゲイン、Kiは積分ゲインである。
式(1)により計算された直交二相電圧指令値vd*、vq*は、第一座標変換部2に入力され、式(2)に示す変換式により、三相交流座標系で表された三相交流電圧指令値vu*、vv*、vw*に変換される。
Figure 0006091446
式(2)において、角度θは、三相交流のU相を基準の0度とし、回転子の界磁磁束の方向をd軸とした磁極位相の方向を示している。
第一座標変換部2は、後述する位相切換部9から出力される位相信号θmに基づいて、式(2)に示す演算(θ=θm)を行い、直交二相電圧指令値vd*、vq*を三相交流電圧指令値vu*、vv*、vw*に変換して、駆動制御部としてのPWM制御部4に出力する。
第二座標変換部3は、電流に関して三相交流座標系から直交二相座標系への変換を行う。即ち、第二座標変換部3は、位相信号θmに基づいて、電流検出器11、12、13で検出された、電動機、ここでは永久磁石埋込型のPMモータ14の各相に流れる三相交流電流iu、iv、iwを、式(3)に示す変換式により、直交二相電流検出値id、iqに変換して直交二相電圧指令生成部1に出力する。
Figure 0006091446
なお、直交二相電圧指令生成部1と、第一座標変換部2と、第二座標変換部3とで電圧指令生成部50を構成する。
PWM制御部4は、三相交流電圧指令値vu*、vv*、vw*をPWM(パルス幅変調)処理することによって後述する電力変換部10を駆動するためのゲート信号(駆動ゲート信号)に変換し、後述するゲート切換部7に出力する。
三相交流電圧指令値のPWM処理では、一般に、三角波キャリア信号との振幅比較処理を行うことによりPWM処理する。
なお、ここでは、駆動制御部として、PWM処理により駆動ゲート信号としてのPWMゲート信号を生成するPWM制御部としたが、例えば、PAM(パルス振幅変調)処理により駆動ゲート信号を生成するPAM制御部としてもよい。
ゲート切換部7は、後段で更に詳述するが、PWM制御部4からの駆動ゲート信号と、後述するパルス生成部5で生成される磁極位相検出ゲート信号とを切り換えゲート信号UP〜WNを電力変換部10へ出力する。
なお、PWM制御部4と、パルス生成部5と、ゲート切換部7とでゲート信号生成部51を構成する。
図2は、図1の電力変換部10の内部構成を示す回路図である。ここでは、一例として、三相交流に対応した電力変換部の構成を示している。図2において、VDCは直流電源の正側であり、VGNDは直流電源の負側を表している。電力変換部10では、図に示すように、6個のスイッチング素子S1〜S6がそれぞれのアームに配置・接続され、スイッチング素子と並列に6個のダイオードが配置・接続されている。ゲート信号UP〜WNに基づき、これらのスイッチング素子S1〜S6をオンオフ制御することにより、U相、V相、W相に該当する三相交流信号を生成し、動作周波数や電圧指令値を所望の値に制御した交流信号を出力してPMモータ14を駆動する。
図1において、電力変換部10は、ゲート切換部7から入力されたゲート信号に基づいて、各スイッチング素子のスイッチング処理を行い、三相交流電圧vu、vv、vwをPMモータ14に出力する。PMモータ14は、一例として、回転子に永久磁石を用いた同期電動機を制御対象として記している。電流検出器11、12、13は、電力変換部10とPMモータ14との間に流れる三相交流電流iu、iv、iwを検出する。
次に、パルス生成部5により生成される磁極位相検出ゲート信号に基づき停止状態を含む比較的低速域で、磁極位相を推定する第一位相推定手段としての位相推定部6およびその位相推定方法について説明する。
図3は、パルス生成部5からの磁極位相検出ゲート信号によってPMモータ14に出力する電圧ベクトルを示した図である。P1〜P6は、回転子の磁極位相を推定するために出力する各電圧ベクトルを表している。例えば、電圧ベクトルP1では、図2に示す電力変換部10のスイッチング素子S1、S4、S6をオンさせる。このとき、ゲート制御としては、UP、VN,WNのゲート信号をアクティブにする。電圧ベクトルP1の状態では、電流はスイッチング素子S1から、S4、S6へと流れることになる。
同様に、電圧ベクトルP2では、図2に示す電力変換部10のスイッチング素子S1、S3、S6をオンさせる。このとき、ゲート制御としては、UP、VP,WNのゲート信号をアクティブにする。電圧ベクトルP2の状態では、スイッチング素子S1、S3から、S6へと流れる。電圧ベクトルP3〜P6も同様の制御動作を行い、それぞれ異なる方向に電流が流れるように制御される。
図4は、各電圧ベクトルを印加したときの電流波形を示した図である。図4中のパルス波形は、スイッチング素子に入力するパルス信号のタイミングを示しており、パルス信号がオン→オフに変化するときに各相電流はピーク値となる。また、一連のパルス信号により各相に印加される電圧のパターンはそれぞれ異なるパターンとなる。これらの6種類の電圧ベクトルを連続的に出力することにより、磁極位相による電流の流れ方の違いが表れることになる。
図4において、電圧ベクトルP1の状態では、U相には正の電流が流れ、V相とW相には、U相のほぼ半分の大きさの逆向きの電流が流れる。電圧ベクトルP1に続く電圧ベクトルP4では、U相には負の電流が流れ、V相とW相には、U相のほぼ半分の大きさの逆向きの電流が流れる。このようにして、6種類の電圧ベクトルを連続的に印加する。各々の電圧ベクトルの印加で流れる相電流iu、iv、iwを図4のように定義する。この各相電流のピーク値iu1〜iu6、iv1〜iv6、iw1〜iw6を用いることにより、回転子の磁極位相を推定することが可能となる。
パルス生成部5における電圧ベクトルの出力タイミングの管理においては、図4に示す順番で6個の電圧ベクトルを出力する。このとき、各々の電圧ベクトルの間の区間では、すべてのゲート信号をオフにし、パルス状の電流を一端ゼロに収束させる。位相推定部6での電流検出の取り込みタイミングの管理では、図4における各電流値のピーク値を取り込んで演算を行うように制御する。電圧ベクトルを出力する順番については、図4に示す順番が好ましいが、必ずしも図4に示す順番でなくても良く、一連のパルス信号により各相に印加される電圧のパターンがそれぞれ異なるパターンとなるようにすれば良い。
図5は、ゲート切換部7の動作、即ち、PWM制御部4からのPWMゲート信号とパルス生成部5からの磁極位相検出ゲート信号との切り換えを行うタイミングを示す。
この発明で停止状態から予め定められた所定の設定速度までの速度範囲においては、位相推定部6が磁極位相推定の動作を担うが、この位相推定部6が動作する期間では、ゲート切換部7により、PWM制御部4からのPWMゲート信号とパルス生成部5からの磁極位相検出ゲート信号とを時分割により予め定められた所定の周期で交互に出力する。
その結果、PWMゲート信号を出力するPWM区間では、トルク指令値に基づいた電圧指令を出力して、指令値どおりのトルクを出力するように制御し、磁極位相検出ゲート信号を出力する磁極位相検出区間では、トルク出力を一時停止して、磁極位相検出のためのパルス出力を行い、磁極位相を推定する。
磁極位相検出区間は、出力するパルスのパルス幅にもよるが、PWM区間に比べてできるだけ短い期間が好ましい。例えば、PWM区間が15ms程度で、磁極位相検出区間において出力するパルスの繰り返し周期が数百μs程度、磁極位相検出区間全体が5ms程度である。
位相推定部6は、図3に示した各電圧ベクトルにより発生したパルス電流のピーク値を取り込んで回転子の磁極位相を推定する。
図6は、位相推定部6の内部構成を示すブロック図である。図6において、入力端子15には、図1における電流検出器11、12、13で検出された各相の電流値iu、iv、iwが入力される。入力端子16には、パルス生成部5からのタイミング管理信号が入力される。
位相演算部17は、出力する電圧ベクトルのゲート信号に同期して電流のピーク値を取り込み演算により磁極位相θpを推定して出力する。以下、位相演算部17における磁極位相θpの計算方法についてその一例を説明する。
先ず、パルス電流のピーク値iu1〜iu6、iv1〜iv6、iw1〜iw6を用いて、式(4)により、電流偏差ΔxU、ΔxV、ΔxWを求める。
Figure 0006091446
ここで、電流偏差ΔxU、ΔxV、ΔxWは、U相、V相、W相の各方向に印加した電圧ベクトルにおいて、180度逆向きに印加した場合との電流偏差を示している。
3種類の電流偏差ΔxU、ΔxV、ΔxWを用いて磁極位相を推定することが可能である。例えば、回転子のd軸が、U相と同じ方向(θ=0度)を向いているとき、永久磁石の磁石磁束と電機子電流が作る磁束とが同じ方向となるので、磁気飽和を起こし易い状態となる、その結果、大きな電機子電流を流すことによって磁気飽和の状態が発生すれば、ΔxUは0度で最大値を示す。
一方、回転子のd軸が、U相と反対の方向(θ=180度)を向いているときは、逆に最も磁気飽和を起こしにくい状態であり、ΔxUは最小値を示すことになる。その結果、図3に示したP1〜P6の電圧ベクトルを印加すると、電流偏差ΔxU、ΔxV、ΔxWは、回転子の磁極位相に従って、図7に示すような、120度の位相差を有する正弦波形の特性を示す。この特性を用いることにより、この電流偏差ΔxU、ΔxV、ΔxWの値から磁極位相θpを推定することができる。
以上説明したように、磁極位相検出ゲート信号に基づくP1〜P6の電圧ベクトルの大きさとパルス幅は、これら電圧ベクトルがPMモータ14に印加されたとき、その鉄心の一部に磁気飽和が発生する条件、即ち、磁気特性に非線形性が現れる条件の値に設定する。この条件を満たすとき、この非線形性に基づいて磁極位相を推定することができる。
演算は先ず、位相が120度ずれているU相、V相,W相の三相の電流偏差ΔxU、ΔxV、ΔxWを、式(5)により、直交する二相座標系のα軸、β軸上の電流偏差Δxα、Δxβ値に変換する。
Figure 0006091446
このとき、α軸はU相と同じ向きにとった座標軸であり、β軸はα軸と直交する座標軸である。
式(5)から、電流偏差が示す位相θptは、式(6)で計算することが出来る。
Figure 0006091446
ここで、Δxα、Δxβの正負の符号による0〜2πまでの区間を考慮し、式(7)により、条件判定すれば、0〜2πの全位相領域において回転子の磁極位相θpを推定することが出来る。
Figure 0006091446
位相演算部17は、上記のとおり、回転子の磁極位相θpを求めるが、この磁極位相θpを検出するための電圧ベクトルは、数百μs間隔など一定周期ごとに印加され、一連の磁極位相検出のためのパルス電圧群は数ms間隔など一定周期ごとに印加されるので、先の図5下段に示すように、磁極位相θpも、同様に同じ一定周期ごとに計算されることになる。従って、磁極位相θpを用いて、PMモータ14を駆動するためには連続的な位相信号θsに変換する必要がある。
図6において、速度演算部18は、間欠的に検出される位相信号θpを用いて回転速度ωを計算する。回転速度ωは、磁極位相θpを微分演算することにより求めることができる。計算された回転速度ωは、ノイズ等を除去するための低域通過フィルタ(LPF)19に入力される。
LPF19の出力(第一速度信号)ωsは、出力端子24から出力されるとともに速度補正部20に入力される。速度補正部20では、式(8)により、後段の積分演算部21で位相に変換するための補正速度ωs’を求める。
Figure 0006091446
ここで、Δωsは、加速度情報で、ここでは、磁極位相検出区間毎に演算される回転速度ωの単位時間当たりの変化量として計算する。また、Tsは、一定時間、例えば、電圧指令値の更新周期や電流検出器11〜13で電流瞬時値を検出する周期等が該当するサンプリング周期を採用する。
なお、この事例では、加速度情報Δωsは、以上のように、LPF19から入力される回転速度ωsの単位時間当たりの変化量から求めたが、この方法以外に、例えば、直交二相電圧指令生成部1に入力されているトルク指令値Trefに基づき、式(9)により計算することも可能である。
Figure 0006091446
ここで、αは、PMモータ14を含む回転系全体の慣性モーメントに依存する係数で、この係数αにトルク指令値Trefを乗算することで、PWM区間における速度の変化分である加速度情報Δωsを推定することが出来る。
速度補正部20の出力ωs’は、積分演算部21に入力される。積分演算部21は、補正速度ωs’を積分して補正磁極位相θiを出力する。切換処理部22は、位相演算部17の出力する磁極位相θpと、積分演算部21の出力する補正磁極位相θiとを切り換え、第一位相信号θsとして出力端子23から出力する。
即ち、切換処理部22は、先の図5下段に示すように、磁極位相検出区間で磁極位相が演算された検出時点では位相演算部17で演算された磁極位相θpを選択し、該検出時点を除く時点では補正磁極位相θiを選択し第一位相信号θsとして出力する。
以上のように、PMモータ14の駆動中、位相演算部17からの磁極位相θpが得られないPWM区間で動作している期間では、補正速度ωs’を積分加算した補正磁極位相θiを出力することにより、連続的な位相信号θsが得られる。
この補正により、数十ミリ秒の間、磁極位置検出を行わなくとも安定にPMモータ14を駆動制御することができる。
ここで、PMモータ14が停止している状態においても、図4に示すパルス電流のピーク値iu1〜iu6、iv1〜iv6、iw1〜iw6を検出することができるため、磁極位相を推定することが可能である。また、PMモータ14が停止している状態では、間欠的に検出された位相信号θpが常に同じ値となり、速度演算部18では回転速度ωは0と演算されることになる。
なお、図1の制御構成に示したブロックの外部に速度を検出する速度センサを備えているときには、速度演算部18を省略して、外部から入力される速度情報を速度補正部20に入力し、積分演算部21から補正磁極位相θiを求めることも可能である。
更に、以上の形態例では、PMモータとして三相の同期電動機を例にとって説明したが、本発明は、三相以上の多相の同期電動機にも適用できる。以下の実施の形態においても同様である。
三相の同期電動機の場合は、60度ずつ6種類のパルスで位相検出可能であるが、6相の電動機の場合は、各相が60度の位相差を持つため、本発明に記したような同様のパルスで30度ずつ位相の異なる複数種の電圧ベクトルを印加して磁極位相が検出可能となる。このように本発明は、三相以上の多相の同期電動機にも適用できる。
但し、PMモータ14の回転速度が上昇し、磁極位相検出のための電圧ベクトル印加時間の間に磁極位相の変化分が無視できなくなる速度(上述した所定の設定速度が該当)に達すると、もはや信頼性の高い磁極位相が得られないので、PMモータの磁気飽和特性に基づいて磁極位相を推定する位相推定部6に替わって、後述する第二位相推定手段としての磁束推定器8により、回転に伴う誘起電圧を利用して磁極位相を推定する。
このため、ゲート切換部7は、それまでPWMゲート信号と磁極位相検出ゲート信号とを時分割で出力していた動作に替わって、PWM制御部4からのPWMゲート信号のみを常に出力し続ける。
図8は、磁束推定器8の内部構成を示すブロック図である。既述したとおり、この磁束推定器8は回転に伴う誘起電圧を利用して磁極位相を推定するもので、先の特許文献2で紹介されているものと基本的に同様であるが、以下、本発明での適用例に則してその構成動作の概略について説明する。
図8において、第三座標変換部27は、入力端子25に入力された電圧指令値vu*、vv*、vw*を位相推定部38の出力する推定位相θ0を用いて静止二軸上であるα−β軸上の電圧指令ベクトルvαs*、vβs*に変換する。
第四座標変換部28は、入力端子26に入力された電流検出値iu、iv、iwを位相推定部38の出力する推定位相θ0を用いてα−β軸上の電流ベクトルiαs、iβsに変換する。ここで、PMモータの電機子抵抗をR、電機子インダクタンスをL、推定速度をωr0とし、行列A、B、C1、C2、Hを式(10)のように定義する。
Figure 0006091446
ここで、行列Hのh11、h12、h21、h22、h31、h32、h41、h42の値は、回転速度に応じて各増幅ゲインの値を変更するよう制御する。
ゲイン行列演算器30は、行列Bに電圧指令ベクトル(vαs*、vβs*)Tを乗算した結果を出力する。なお、Tは転置行列を表す。加減算器29は、電流ベクトルiαs、iβsと後述する推定電流iαs0、iβs0とを図8に示した符号に従って加減算して電流偏差ベクトル(eα、eβ)Tを出力する。ゲイン行列演算器31は、電流偏差ベクトル(eα、eβ)Tに行列Hを乗算した結果を増幅偏差ベクトル(e1、e2、e3、e4)Tとして出力する。加減算器32は、ゲイン行列演算器30の出力とゲイン行列演算器31の出力と後述するゲイン行列演算器33の出力とを図8に示した符号に従って加減算したベクトルを出力する。
積分器34は、加減算器32が出力するベクトルを要素毎に積分し、α−β軸上の推定電機子反作用ベクトルpαs0、pβs0、およびα−β軸上の推定磁束ベクトルpαr0、pβr0を、ベクトル(pαs0、pβs0、pαr0、pβr0)Tとして出力する。ゲイン行列演算器33は、推定速度ωr0に基づいて式(10)の行列Aを得るとともに、この行列Aにベクトル(pαs0、pβs0、pαr0、pβr0)Tを乗算した結果を出力する。
Figure 0006091446
この一連の演算では、積分器34の入力が、式(11)の各行列の右辺に相当するようになっている。また、式(11)の左辺はベクトル(pαs0、pβs0、pαr0、pβr0)Tの微分であり、積分器34の入力でもあるから、積分器34の出力はベクトル(pαs0、pβs0、pαr0、pβr0)Tとなる。
以上のように、α−β軸上の電圧指令ベクトル(vαs*、vβs*)Tおよび増幅偏差ベクトル(e1、e2、e3、e4)Tが与えられれば、α−β軸上の推定電機子反作用ベクトルpαs0、pβs0、およびα−β軸上の推定磁束ベクトルpαr0、pβr0を得ることができる。
速度推定部35は、入力される推定磁束ベクトル(pαr0、pβr0)Tと電流偏差ベクトル(eα、eβ)Tとに基づいて式(12)式の演算を行い、推定速度(第二速度信号)ωr0を出力する。
Figure 0006091446
ここで、sはラプラス演算子(微分演算子)、kpは比例ゲイン、kiは積分ゲインである。
ゲイン行列演算器36は、式(13)の行列演算を行い、推定電流(iαs0、iβs0)Tを出力する。また、ゲイン行列演算器37は、式(14)の行列演算を行い、推定磁束ベクトル(pαr0、pβr0)Tを出力する。
Figure 0006091446
位相推定部38は、入力される推定磁束ベクトル(pαr0、pβr0)Tに基づいて式(15)の演算を行い、推定位相(第二位相信号)θ0を出力する。
Figure 0006091446
以上のように、磁束推定器8は、PMモータ14の推定位相θ0と推定速度ωr0を演算して出力する。
なお、式(12)に示したPI演算における初期値として、位相推定部6で計算した推定速度ωsを設定すると、切り換え後、磁束推定器8の動作が収束・安定するまでの時間が短縮される。
また、位相推定方法としては、単純に推定速度ωr0を積分して求めることが可能であり、このとき位相推定部6で求めた位相θsを初期値として入力し、推定速度ωr0を積分加算していく。
また、磁束推定器8は、式(16)に示す電動機の電圧方程式に基づいて速度を推定することも可能である。
Figure 0006091446
位相切換部9は、位相推定部6からの推定速度(第一速度信号)ωsまたは磁束推定器8からの推定速度(第二速度信号)ωr0に基づき、位相推定部6の出力する推定位相(第一位相信号)θsと磁束推定器8の出力する推定位相(第二位相信号)θ0とを切り換えて位相信号θmを出力する。次に、推定位相θsと推定位相θ0の切り換え方法について説明する。
図9は、位相推定部6による位相推定動作から磁束推定器8による位相推定動作へ切り換えるときのタイミングを表した図である。この場合、位相推定部6による推定速度ωsが既述した所定の設定速度に到達すると、その到達時点に基づき、切り換え前の最終の磁極位相検出区間で推定位相θpが得られた(A)点で、ゲート切換部7は、PWMゲート信号のみを出力する動作に移行してPWM区間に入る。この(A)点のタイミングで、磁束推定器8に初期値として推定速度ωsを与えて動作させた後、予め定められた所定の設定時間(磁束推定器動作区間)が経過し磁束推定器8の動作が安定した(B)点のタイミングで、制御に用いる位相信号θmを、推定位相θsから推定位相θ0に切り換える。
先の図6で説明したように、位相推定部6は、連続した推定位相θsを出力しており、かつ、磁束推定器8が演算動作を立ち上げその動作が安定し精度の高い推定位相θ0が得られた段階で、θsを直接θ0に切り換えるので、特に移行時の制御が簡便となり、従来の特許文献3で説明したような不具合は発生せず、位相推定精度も良好となり安定にPMモータを駆動制御することが出来る。
この磁束推定器動作区間中は新たな磁極位相推定が行われないので、PMモータが脱調しないよう数十ms程度の時間に留める必要がある。
なお、図9の(A)点において磁束推定器8の動作を開始する時の初期値として、(C)点における出力電圧指令値vu*、vv*、vw*や検出電流値iu、iv、iwを設定することも可能であり、これらの両方あるいは一方を磁束推定器8の入力の初期値として与えることにより、磁束推定器8の動作を早急に安定させ、磁束推定器動作区間を短縮させることが出来る。
位相切換部9により、位相推定部6の出力する推定位相θsと磁束推定器8の出力する推定位相θ0とを切り換える場合、前者θsから後者θ0に切り換えるときは、位相推定部6の出力する推定速度ωsを基準に、後者θ0から前者θsに切り換えるときは、磁束推定器8の出力する推定速度ωr0を基準に行うのが一般的であるが、これらを、直流交流変換動作における変調率、例えば、式(17)で算出する変調率mを基準に切り換えることも可能である。
Figure 0006091446
ここで、vd*、vq*は、直交二相電圧指令値、vdcは、電力変換部10の直流電源の電圧である。
なお、磁束推定器8の出力する推定位相θ0から位相推定部6の出力する推定位相θsに切り換える場合、位相推定部6は、磁束推定器8のように、特にその出力が安定するまでの時間を確保する必要がないので、所定の設定速度に達したときに瞬時に切り換えてよい。
以上のように、この発明の実施の形態1に係る電動機制御装置においては、比較的低速域で磁極位相を推定して推定位相θsを出力する位相推定部6と比較的高速域で磁極位相を推定して推定位相θ0を出力する磁束推定器8とを備え、所定の設定速度で推定位相θsから推定位相θ0に、または、推定位相θ0から推定位相θsに直接切り換えるようにしたので、位置センサを用いることなく、従って、低コストで耐久性に優れ、電動機を停止状態から高速状態に至る広い速度範囲で、精度良く回転子の磁極位相を推定して、安定に電動機を駆動制御することが出来る。
実施の形態2.
図10は、この発明の実施の形態2による電動機制御装置の位相推定部6の構成を示すブロック図である。実施の形態2に係る電動機制御装置は、実施の形態1とは異なり、位相推定部6における位相演算方法として、磁気飽和特性を利用して磁極位相を推定する機能に加えて、電動機に突極性の特性がある、即ち、磁極位相に依存したインダクタンス特性を有するときにはその特性を利用して回転子の磁極位相を推定し、より少ない電流で磁極位相を推定可能な構成としたものである。
後者の磁極位相の推定では、後述するように、磁気飽和特性を利用する必要が無く、従って、印加する電圧ベクトルの大きさ・パルス幅を小さくして流れる電流を低減することが出来る。
図10は、実施の形態1と同様、位相推定部6のブロック構成を示しており、図6と同一あるいは相当部分には、同一の符号を付して個々の説明は適宜省略するものとする。図6と異なるのは、図6の位相演算部(ここでは、第一位相演算部と呼称)17に加えて、第二位相演算部41を備えた点であり、以下、この部分を中心に説明する。
図10において、第二位相演算部41には、PMモータ14に流れる各相の電流iu,iv,iw、およびタイミング信号が入力されるとともに、第一位相演算部17から磁極位相の初期値θpと積分演算部21からの補正磁極位相θiが入力される。入力された電流値iu,iv,iwを用いて、磁極位相θp’の推定演算を行う。
このとき、第一位相演算部17において、各電圧ベクトルにより発生したパルス電流のピーク値を用いて回転子の磁極位相を推定するところは実施の形態1と同様であるが、第二位相演算部41における磁極位相の計算方法が実施の形態1と異なる。
第一位相演算部17の推定演算では、PMモータ14に印加される電圧ベクトルが鉄心の一部に磁気飽和を発生させるような大きさ・パルス幅の第一磁極位相検出ゲート信号がパルス生成部5から出力されるが、第二位相演算部41の推定演算では、磁気飽和を発生させる必要が無いので第一磁極位相検出ゲート信号の小さい大きさ・パルス幅の第二磁極位相検出ゲート信号がパルス生成部5から出力される。
以下、第二位相演算部41が行う位相推定方法の一例を説明する。先ず、第二磁極位相検出ゲート信号によって流れるパルス電流のピーク値iu1〜iu6、iv1〜iv6、iw1〜iw6を用いて以下の式(18)により、電流絶対値の平均値ΔxU’、ΔxV’、ΔxW’を求める。
Figure 0006091446
電流絶対平均値ΔxU’、ΔxV’、ΔxW’は、U相、V相、W相の各方向に印加した電圧ベクトルによって発生した電流について、さらに各相での180度逆向きに印加した場合との電流平均値を示している。3種類の電流絶対平均値ΔxU’、ΔxV’、ΔxW’を用いて磁極位相を推定することができる。
突極性の特性を有する電動機では、回転子の磁極位相に応じて、インダクタンスの違いが発生し、同じ電圧を印加したとしても流れる電機子電流の大きさに差が表れる。例えば、回転子のd軸が、U相と同じ方向(θ=0度)を向いているとき、あるいは、回転子のd軸が、U相と90度進んだ(あるいは遅れた)方向(θ=90度)を向いているときでは、インダクタンスが異なり、その結果、図3に示したP1〜P6の電圧ベクトルを印加すると、電流絶対平均値ΔxU’、ΔxV’、ΔxW’は、回転子の磁極位相に従って、120度の位相差を有する正弦波形の特性を示すことがある。
この磁極位相に依存したインダクタンス特性を用いることにより、電流絶対平均値ΔxU’、ΔxV’、ΔxW’の値から磁極位相を推定することができる。
このとき印加する電圧ベクトルの大きさ・パルス幅は、磁気特性に非線形性が現れる条件ではなく、磁気特性に非線形性が現れる条件よりも小さい大きさ・パルス幅であっても良い。
しかし、磁極位相に従ったインダクタンスの差はπ[rad](180度)周期で表れる。そのため、0〜π[rad]およびπ〜2π[rad]の区間を区別する方策が必要となる。
その方策について記すと、先ず、位相が120度離れているU相、V相,W相の三相交流軸上の電流絶対平均値ΔxU’、ΔxV’、ΔxW’を、式(19)により、直交する二相座標系のα軸、β軸上の値Δxα’、Δxβ’に変換する。
Figure 0006091446
式(19)に基づき、θppを式(20)で定義する。
Figure 0006091446
そして、符号を考慮し、第二位相演算部41が演算出力する磁極位相をθp’とすると、磁極位相θp’は、θppを使って式(21)により求めることが出来る。
Figure 0006091446
以上のように、式(21)により、0〜π[rad]の領域における回転子の磁極位相θppを計算することができる。
先に述べたとおり、本実施の形態2では、更に、0〜π[rad]およびπ〜2π[rad]の位相を区別する手段が必要となる。
そのため、第一位相演算部17において検出した磁極位相θpを利用する。本実施の形態2では、印加した電圧ベクトルから、2つの方法で磁極位相の演算を行い、第一位相演算部17で演算した磁極位相θpは、第二位相演算部41の初期値として与える。
例えば、PMモータ14の回転子が停止している初期状態で、1回目の位相演算動作を行い、第一位相演算部17は第一磁極位相演算値θpを、第二位相演算部41は第二磁極位相演算値θp’を得る。そして、両演算値θpとθp’とが一致するように、演算値θpを使って演算値θp’を補正する。
具体的には、演算値θp’にπ[rad]加算することにより演算値θpに近づくか否かを判定する。判定が前者、即ち、「近づく」であれば、θp’+π≒θpと想定されるので、第二位相演算部41は、内部で得た演算値θp’にπを加算した値θp’+πを位相信号θp’として切換処理部22に出力する。
また、上記判定が後者、即ち「否(遠のく)」であれば、θp’≒θpと想定されるので、第二位相演算部41は、内部で得た演算値θp’をそのまま位相信号θp’として切換処理部22に出力する。
以上のように、位相推定部6は、上記した、最初の位相演算の結果に基づく補正処理を施すことで得られる磁極位相θp’とこのθp’に基づきPWM区間に出力するための補正磁極位相θiとを切換処理部22で切り換えて第一位相信号θsとして出力する動作を継続する。
なお、この場合、演算値θp’とθiとの偏差が異常に大きくならないよう、この偏差を監視し、式(22)により必要な修正を行うのが望ましい。
Figure 0006091446
即ち、突極性によるインダクタンスの変化は、磁極位相の2π[rad]周期ではなく、π[rad]の周期で現れる。従って、何らの処理も施さないと、位相信号の推定誤差がπ[rad]を越え制御に大きな支障を来す可能性がある。そこで、第一位相演算部17により、磁気飽和現象を利用して算出された演算値θpで較正した後、第二位相演算部41により算出する第一位相信号θsがπ[rad]以上ずれないようにする訳である。
なお、式(18)に示すピーク電流の計算では、2つの電流値の絶対平均値を用いずに、ひとつの電流絶対値で計算しても同様の効果が得られる。
以上のように、この発明の実施の形態2に係る電動機制御装置の位相推定部6においては、PMモータ14の磁気飽和特性を利用して磁極位相を推定する第一位相演算部17と突極性を利用して磁極位相を推定する第二位相演算部41とを備え、最初に、両演算部からの演算値により演算値の補正を行った後は、第二位相演算部41の演算値に基づき第一位相信号θsを出力するようにしたので、PMモータ14に印加する電圧ベクトルの大きさ・パルス幅をより小さいものとして、従って、より少ない電流で磁極位相の推定演算が可能となる。
実施の形態3.
図11は、この発明の実施の形態3による電動機制御装置の位相切換部9による切り換え動作のタイミングを表した図である。
実施の形態3による電動機制御装置は、実施の形態1とは異なり、位相切換部9における切換方法として、位相推定部6の出力する第一位相信号θsから磁束推定器8が出力する第二位相信号θ0に切り換えるときに、PWM区間として駆動用の電流が流れている状態で磁束推定器8の動作を開始して、一定時間経過後に制御に用いる位相信号θmを、磁束推定器8が出力する第二位相信号θ0に切り換える。
更に具体的に、図11を参照して説明する。位相推定部6による推定速度ωsが既述した所定の設定速度に到達すると、その到達時点に基づき、切り換え前の最終の磁極位相検出区間で推定位相θpが得られた(A)点で、ゲート切換部7は、PWMゲート信号のみを出力する動作に移行してPWM区間に入る。そして、この(A)点から(D)点までの予め定められた所定の第一設定時間PWMゲート信号に基づく駆動動作を続けた後、(D)点のタイミングでの駆動状態の出力電圧指令値vu*、vv*、vw*、および検出電流値iu、iv、iwや推定速度ωsを初期値に設定して磁束推定器8を動作させた後、予め定められた所定の第二設定時間(磁束推定器動作区間)が経過し磁束推定器8の動作が安定した(E)点のタイミングで、制御に用いる位相信号θmを、推定位相θsから推定位相θ0に切り換える。
この場合、PMモータ14の駆動動作が一定量進んだ状態から磁束推定器8の動作が開始されるので、(D)点から(E)点に至る磁束推定器動作区間が、実施の形態1の場合より短縮することが出来る。
以上のように、この発明の実施の形態3に係る電動機制御装置の位相切換部9においては、第一設定時間PWMゲート信号に基づく駆動動作を続けた後、磁束推定器8の動作を開始し、その後、第二設定時間(磁束推定器動作区間)が経過したタイミングで、制御に用いる位相信号θmを、推定位相θsから推定位相θ0に切り換えるようにしたので、動作を安定させるために確保する磁束推定器動作区間を短縮することが出来る。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1 直交二相電圧指令生成部、2 第一座標変換部、3 第二座標変換部、
4 PWM制御部、5 パルス生成部、6 位相推定部、7 ゲート切換部、
8 磁束推定器、9 位相切換部、10 電力変換部、11〜13 電流検出器、
14 PMモータ、17 (第一)位相演算部、18 速度演算部、20 速度補正部、21 積分演算部、22 切換処理部、41 第二位相演算部、50 電圧指令生成部、51 ゲート信号生成部。

Claims (15)

  1. 複数のスイッチング素子から構成され直流電源からの直流電圧を変換して電動機に供給する交流電圧を出力する電力変換部、制御系上位から入力される指令値に基づき交流電圧指令値を生成して出力する電圧指令生成部、前記交流電圧指令値に基づき前記電力変換部のスイッチング素子をオンオフ制御するゲート信号を生成して出力するゲート信号生成部、前記電動機の各相に流れる電流を検出する電流検出器、前記電動機の回転速度が予め定められた設定速度以下の条件下で前記電動機の磁極位相および速度を演算により推定し第一位相信号および第一速度信号として出力する第一位相推定手段、前記電動機の回転速度が前記設定速度以上の条件下で前記電動機の磁極位相および速度を演算により推定し第二位相信号および第二速度信号として出力する第二位相推定手段、および前記第一位相信号と前記第二位相信号とを入力し、前記電動機の回転速度または該回転速度に相当する情報に基づき比較的低速域から高速域へのまたは比較的高速域から低速域への移行時、移行前の位相推定手段による速度信号が前記設定速度に達した時点で、当該時点における前記移行前の位相推定手段の演算での情報を初期値として移行後の位相推定手段が演算を開始し予め定められた設定時間経過後、前記移行前の位相推定手段による位相信号を前記移行後の位相推定手段による位相信号に直接切り換える位相切換部を備え、
    前記電圧指令生成部は、前記位相信号に基づいて前記電流検出器により検出された前記各相の電流値を直交二相座標の直交二相電流検出値に変換して出力する第二座標変換部、前記指令値と前記直交二相電流検出値とに基づいて直交二相座標の直交二相電圧指令値を生成して出力する直交二相電圧指令生成部、および前記位相信号に基づいて前記直交二相電圧指令値を前記交流電圧指令値に変換して出力する第一座標変換部を備えた電動機制御装置。
  2. 複数のスイッチング素子から構成され直流電源からの直流電圧を変換して電動機に供給する交流電圧を出力する電力変換部、制御系上位から入力される指令値に基づき交流電圧指令値を生成して出力する電圧指令生成部、前記交流電圧指令値に基づき前記電力変換部のスイッチング素子をオンオフ制御するゲート信号を生成して出力するゲート信号生成部、前記電動機の各相に流れる電流を検出する電流検出器、前記電動機の回転速度が予め定められた設定速度以下の条件下で前記電動機の磁極位相を演算により推定し第一位相信号として出力する第一位相推定手段、前記電動機の回転速度が前記設定速度以上の条件下で前記電動機の磁極位相を演算により推定し第二位相信号として出力する第二位相推定手段、および前記第一位相信号と前記第二位相信号とを入力し、前記電動機の回転速度または該回転速度に相当する情報に基づき前記第一位相信号または前記第二位相信号のいずれか一方を選択して位相信号として出力する位相切換部を備え、
    前記電圧指令生成部は、前記位相信号に基づいて前記電流検出器により検出された前記各相の電流値を直交二相座標の直交二相電流検出値に変換して出力する第二座標変換部、前記指令値と前記直交二相電流検出値とに基づいて直交二相座標の直交二相電圧指令値を生成して出力する直交二相電圧指令生成部、および前記位相信号に基づいて前記直交二相電圧指令値を前記交流電圧指令値に変換して出力する第一座標変換部を備え、
    前記ゲート信号生成部は、前記電圧指令生成部により生成された前記交流電圧指令値に基づき前記電動機を駆動するため前記スイッチング素子をオンオフ制御するゲート信号を生成し駆動ゲート信号として出力する駆動制御部、前記第一位相推定手段により前記電動機の磁極位相を推定する目的で前記電動機に一連の電圧パルスを印加するため前記スイッチング素子をオンオフ制御するゲート信号を生成し磁極位相検出ゲート信号として出力するパルス生成部、および前記駆動ゲート信号と前記磁極位相検出ゲート信号とを入力し、前記第一位相推定手段が動作する期間では、時分割で予め定められた周期で駆動区間と磁極位相検出区間とを交互に設定し、前記駆動区間では前記駆動ゲート信号を前記磁極位相検出区間では前記磁極位相検出ゲート信号をそれぞれ出力するゲート切換部を備えた電動機制御装置。
  3. 前記ゲート切換部は、前記第二位相推定手段が動作する期間では、前記駆動ゲート信号のみを出力する請求項2記載の電動機制御装置。
  4. 複数のスイッチング素子から構成され直流電源からの直流電圧を変換して電動機に供給する交流電圧を出力する電力変換部、制御系上位から入力される指令値に基づき交流電圧指令値を生成して出力する電圧指令生成部、前記交流電圧指令値に基づき前記電力変換部のスイッチング素子をオンオフ制御するゲート信号を生成して出力するゲート信号生成部、前記電動機の各相に流れる電流を検出する電流検出器、前記電動機の回転速度が予め定められた設定速度以下の条件下で前記電動機の磁極位相を演算により推定し第一位相信号として出力する第一位相推定手段、前記電動機の回転速度が前記設定速度以上の条件下で前記電動機の磁極位相を演算により推定し第二位相信号として出力する第二位相推定手段、および前記第一位相信号と前記第二位相信号とを入力し、前記電動機の回転速度または該回転速度に相当する情報に基づき前記第一位相信号または前記第二位相信号のいずれか一方を選択して位相信号として出力する位相切換部を備え、
    前記電圧指令生成部は、前記位相信号に基づいて前記電流検出器により検出された前記各相の電流値を直交二相座標の直交二相電流検出値に変換して出力する第二座標変換部、前記指令値と前記直交二相電流検出値とに基づいて直交二相座標の直交二相電圧指令値を生成して出力する直交二相電圧指令生成部、および前記位相信号に基づいて前記直交二相電圧指令値を前記交流電圧指令値に変換して出力する第一座標変換部を備え、
    前記ゲート信号生成部は、前記電圧指令生成部により生成された前記交流電圧指令値に基づき前記電動機を駆動するため前記スイッチング素子をオンオフ制御するゲート信号を生成し駆動ゲート信号として出力する駆動制御部、前記第一位相推定手段により前記電動機の磁極位相を推定する目的で前記電動機に一連の電圧パルスを印加するため前記スイッチング素子をオンオフ制御するゲート信号を生成し磁極位相検出ゲート信号として出力するパルス生成部、および前記駆動ゲート信号と前記磁極位相検出ゲート信号とを入力し、前記第一位相推定手段が動作する期間では、時分割で予め定められた周期で駆動区間と磁極位相検出区間とを交互に設定し、前記駆動区間では前記駆動ゲート信号を前記磁極位相検出区間では前記磁極位相検出ゲート信号をそれぞれ出力し、前記第二位相推定手段が動作する期間では、前記駆動ゲート信号のみを出力するゲート切換部を備え、
    前記第一位相推定手段は、前記磁極位相検出ゲート信号に基づき前記電動機に一連の電圧パルスを印加したとき前記電流検出器で検出される前記各相の電流値により前記電動機の磁極位相を演算し前記第一位相信号として出力する電動機制御装置。
  5. 前記パルス生成部は、前記磁極位相検出ゲート信号として、該磁極位相検出ゲート信号に基づく電圧パルスが前記電動機に印加されたとき前記電動機の鉄心の一部に磁気飽和が発生する大きさ・パルス幅のものを生成し、
    前記第一位相推定手段は、前記磁極位相検出ゲート信号に基づき前記電動機に一連の電圧パルスを印加したとき前記電流検出器で検出される前記各相の電流値により前記電動機の磁極位相を演算し前記第一位相信号として出力する請求項4記載の電動機制御装置。
  6. 前記電動機が、磁極位相に依存したインダクタンス特性を有する場合、
    前記パルス生成部は、前記磁極位相検出ゲート信号として、該磁極位相検出ゲート信号に基づく電圧パルスが前記電動機に印加されたとき、それぞれ前記電動機の鉄心の一部に磁気飽和が発生する大きさ・パルス幅の第一磁極位相検出ゲート信号と、前記電動機の鉄心に磁気飽和が発生しない大きさ・パルス幅の第二磁極位相検出ゲート信号とを生成し、
    前記第一位相推定手段は、前記第一磁極位相検出ゲート信号に基づき前記電動機に一連の電圧パルスを印加したとき前記電流検出器で検出される前記各相の電流値により前記電動機の磁極位相を演算する第一位相演算部と、前記第二磁極位相検出ゲート信号に基づき前記電動機に一連の電圧パルスを印加したとき前記電流検出器で検出される前記各相の電流値により前記電動機の磁極位相を演算し、該演算値を前記第一位相演算部による演算値に基づいて補正した磁極位相を前記第一位相信号として出力する第二位相演算部とを備えた請求項4記載の電動機制御装置。
  7. 前記電動機が停止した状態で、それぞれ前記第一位相演算部および前記第二位相演算部により第一磁極位相演算値および第二磁極位相演算値を求める1回目の位相演算動作を行い、前記第二位相演算部は、前記1回目の位相演算動作で得られた前記第二磁極位相演算値にπ(rad)加算することにより該加算した第二磁極位相演算値が前記第一磁極位相演算値に近づくか否かを判定し、それぞれ、前者の場合は、前記第二磁極位相演算値にπ(rad)加算し、後者の場合は、前記第二磁極位相演算値をそのまま採用する前記補正を行った磁極位相を前記第一位相信号として出力する請求項6記載の電動機制御装置。
  8. 前記第一位相推定手段は、前記磁極位相検出ゲート信号または前記第二磁極位相検出ゲート信号を出力する前記磁極位相検出区間毎に演算される磁極位相から前記電動機の回転速度を演算する速度演算部、前記電動機の加速度情報に基づき前記駆動ゲート信号を出力する前記駆動区間において前記速度演算部で演算した回転速度を補正して補正速度を出力する速度補正部、前記補正速度を積分して補正磁極位相を出力する積分演算部、および前記磁極位相検出区間で磁極位相が演算された検出時点では該演算された磁極位相を選択し、前記検出時点を除く時点では前記補正磁極位相を選択し前記第一位相信号として出力する切換処理部を備えた請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の電動機制御装置。
  9. 前記電動機の加速度情報は、前記磁極位相検出区間毎に演算される前記電動機の回転速度の単位時間当たりの変化量とした請求項8記載の電動機制御装置。
  10. 前記指令値としてトルク指令値が入力される場合、前記電動機の加速度情報は、前記電動機を含む回転系全体の慣性モーメントに依存する係数と前記トルク指令値との乗算値とした請求項8記載の電動機制御装置。
  11. 前記第二位相推定手段は、前記駆動ゲート信号に基づき前記電動機に前記交流電圧指令値による交流電圧を印加したとき前記交流電圧指令値と前記電流検出器で検出される前記各相の電流値とにより前記電動機の磁極位相を演算し前記第二位相信号として出力する請求項4から請求項10のいずれか1項に記載の電動機制御装置。
  12. 前記第一位相推定手段は、前記第一位相信号とともに第一速度信号を演算して出力するものとし、前記第二位相推定手段は、前記第二位相信号とともに第二速度信号を演算して出力するものとし、前記位相切換部は、前記第一位相信号から前記第二位相信号への切り換えは、前記第一速度信号が前記設定速度以上となる時点に基づき、前記第二位相信号から前記第一位相信号への切り換えは、前記第二速度信号が前記設定速度以下となる時点に基づき行う請求項10記載の電動機制御装置。
  13. 前記回転速度に相当する情報として、直流交流変換動作における変調率を前記直流電圧と前記直交二相電圧指令値とから演算し、前記位相切換部は、前記第一位相信号と前記第二位相信号との切り換えを、前記変調率に基づき行う請求項11記載の電動機制御装置。
  14. 前記第一位相信号から前記第二位相信号に切り換える場合、前記第二位相推定手段は、切り換え前の前記磁極位相検出区間の終了時点で動作を開始し、前記位相切換部は、前記第二位相推定手段が前記動作を開始した後予め定められた設定時間の経過後、出力する前記位相信号を前記第一位相信号から前記第二位相信号に切り換える請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の電動機制御装置。
  15. 前記第一位相信号から前記第二位相信号に切り換える場合、前記第二位相推定手段は、切り換え前の前記磁極位相検出区間の終了時点から予め定められた第一設定時間の経過後動作を開始し、前記位相切換部は、前記第二位相推定手段が前記動作を開始した後予め定められた第二設定時間の経過後、出力する前記位相信号を前記第一位相信号から前記第二位相信号に切り換える請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の電動機制御装置。
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