JP6091294B2 - 列車先頭位置の検出方法及び検出装置 - Google Patents
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Description
近年、新幹線及び在来線や地下鉄などにおいては、乗客のプラットホームからの転落や列車との接触事故の防止などを目的とした安全対策の一つとして、プラットホーム上に可動柵やホームドアが設置されるようになってきている。
特許文献1は、停止動作中の列車の前面に対してスポット状の測定光を左右方向に沿ってライン状に走査しつつ照射する距離センサを用いて、当該距離センサから列車の前面までの距離を測定し、測定された距離に基づいて、列車の停止状態及び停止位置を検出する列車停止位置の検出方法を開示する。
しかしながら、特許文献1の技術は、停止動作中の列車の前面に対してスポット状の測定光を照射するものであるため、測定光の正常な照射や反射が実現されていなければ、走行体の先頭位置を誤って検知する可能性がある。
また、駅のホームなどに捨てられたゴミなどの障害物や列車幅相当の障害物が、列車が走行する軌道内に進入し、これら障害物までの距離を列車の先頭までの距離であると誤判定する可能性もある。特許文献1の技術は、上記した状況に対応するものとなっておらず、特許文献1の技術だけでは、正確な列車の先頭位置を検出することが困難である。
すなわち、本発明に係る列車先頭位置の検出方法は、停止動作中の列車の前面に対してスポット状の測定光を左右方向に沿ってライン状にスキャンしつつ照射する距離センサを用いて、当該距離センサから列車の前面までの距離を測定し、測定された距離に基づいて、列車の先頭位置を検出する列車先頭位置の検出方法において、前記距離センサから得られた距離データに対して、降雨による誤検知の回避処理を行い、列車の先頭位置を検出するものであり、前記降雨による誤検知の回避処理は、前記距離センサから得られた距離データを、測定光のスキャンの連続性を基にしてグループ化すると共に、距離データの個数が最も多いグループを選択し、選択されたグループに属する距離データを基にして列車の先頭位置を決定することを特徴とする。
する。
[列車先頭の検出のための基礎技術]
本発明に係る列車先頭位置の検出装置1は、新幹線、在来線、新交通システムなどの駅のホーム2に設置されて、このホーム2に停止する列車3の先頭位置、言い換えれば、列車3の停止位置を検出するものである。
図1に示すように、本実施形態の検出装置1は、停止動作中の列車3の前面に対して測定光5を照射して、この列車3の前面までの距離を測定する距離センサ6と、距離センサ6で測定された距離に基づいて、列車3の前面までの距離を検出する検出部7と、を有している。なお、「停止動作中」とは、停止目標位置に停止すべく列車3が手動または自動で減速されている状態にあることを意味する。
距離センサ6の具体的な設置場所としては、ホーム2上に設置してもよく、プラットホーム2の下の空いている空間に設置してもよい。列車3の進行方向に対して前方で且つ左右方向斜めから照射可能な位置に距離センサ6を設置する。
次に、検出部7で行われる信号処理、具体的には本発明の列車停止位置の検出方法につて説明する。
このとき、1回の測定光5の照射につき、距離センサ6では、列車3の前面までの距離と測定光5の照射角度とが計測される。このようにして得られた測定結果は、角度と距離とで示される極座標でのデータであり、このままでは、列車3までの距離がわかりづらい。そこで、本発明の検出方法では、距離センサ6で測定された測定結果(極座標データ)を直交座標データに変換する。
図3(b)には、図3(a)の一部、列車3の先頭部分のみ対応する10個の距離データが示されている。
[誤検知について]
ところで、「発明が解決しようとする課題」にて精説したように、上述した列車停止位置の検出装置1は、停止動作中の列車3の前面に対して測定光5を照射するものであるため、測定光5の正常な照射や反射が実現されていなければ、列車3の先頭位置を誤検知する虞がある。
[降雨による誤検知の回避処理]
まず、検知部内で行われる「降雨による誤検知の回避処理」について述べる。
まず、図2(b)に示すように、列車先頭部において、列車先頭部から外れた部分には、手すり、ヘッドライト、行先表示板や化粧板、連結枠など、検出誤差を生じやすく先頭位置を規定しない構造を有する場合が多い。そこで、これらの構造を有する領域を除いた部分を探索領域Gとして設定し、この領域内での測定光5のスキャンデータ(測定光5を走査して得られた距離データ)について着目する。探索領域Gは、列車中央部を含む縦長の領域であり、図2(b)のように、列車3が走行する軌道4の幅方向中央であって、当該軌道4に沿って所定長さを有する長方形の領域を設定している。この探索領域Gは距離センサ6の前面側に設定されている。
図3(a)は、この探索領域Gにおいて得られたスキャンデータ(距離データ)であり、その一部分(列車3の先頭位置に対応する部分)を拡大したものが、図3(b)である。
すなわち、図4に示すように、測定光5のスキャンラインは、No.1〜No.12まであるとする。そのうち、No.1〜No.8までは、スキャン数が1つずつ増えることに、探索領域G内にそれぞれの距離データ(図4での丸印)を得ることができる。その後のNo.9、No.10のスキャンラインでは、探索領域G外にデータが存在し、No.11、No.12で新たに探索領域G内に距離データを得ることができている。
クラスタリングを行うようにする。
しかしながら、図4を精査すると、第1グループの中、No4のスキャンで得られた距離データは、他の距離データとはやや異なる値を有している。このNo4の距離データは、図3のBのデータに対応するものである。
そこで、本発明では、このような外乱を排除するための処理も合わせて行う。
すなわち、図5に示すように、第1グループに属する距離データのY座標値(軌道4に沿った距離センサ6〜列車3までの距離)に着目し、係るY座標値のヒストグラムを作成する。その後、作成したヒストグラムにおける最頻値(モード値)となる階級を選定する。その後、選定された階級の範囲に属する距離データのみに着目し、その中で最も小さいY座標値をもつものに着目する。この最も小さいY座標値を、「距離センサ6〜列車3前面までの距離」すなわち「列車先頭位置」とする。列車3の先頭部分の前方に存在した雨滴による距離データは、単発で存在することと考えられ、雨滴による距離データが最頻値となることはない。そのため、この処理を行うことで、雨滴による外乱を確実に排除できるようになる。
以上まとめれば、雨滴や雪粒などの測定点は、空間的・時間的に不連続な孤立点として現れることがほとんどである。それ故、降雨による誤検知の回避処理により、距離データをクラスタリングする処理、及び距離データの最頻値を取る処理(モード処理)を連続して行うことで、雨滴などの外乱に起因する信頼性の低い測定点群と判定し、除去することが可能となる。
[障害物による誤検知の回避処理]
次に、検知部内で行われる「障害物による誤検知の回避処理」について述べる。
前述した「降雨による誤検知の回避処理」を行うことで、通常であれば、列車3の先頭位置を確実に検出することが可能である。
まず、前述の降雨による誤検知の回避処理により、列車3の先頭位置を示す距離データ(図5のF)が求まったとする。
その後、図6に示す如く、列車3の先頭位置Fを右端部に含み、左側に延びるような長方形の近傍領域Hを設定する。この近傍領域Hは、Y方向(列車進行方向)には列車3の形状から決定される所定の範囲を有し、X方向に列車幅方向には両側の車両限界までの幅、乃至は列車幅方向にはレール中心から車両限界までの幅を持つものとする。
以上述べた障害物による誤検知の回避処理を行うことで、ゴミ袋などの障害物がレール内に進入した場合など、列車3の先頭部に比して小さい物体(障害物)による誤検知を確実に防ぐことができるようになる。この障害物による誤検知の回避処理における近傍領域HをX方向に列車3の両側の車両限界までの幅とすることで、列車先頭部と同等の大きさより小さい障害物による誤検知を確実に排除することが可能となる。一方で、近傍領域HをX方向にレール中心から車両限界までの幅とすることで、列車3のフロントに配置される化粧板などの影響による誤検知を確実に排除することが可能となる。
[列車幅相当の障害物による誤検知の回避処理]
最後に、検出部7内で行われる「列車幅相当の障害物による誤検知の回避処理」について述べる。
その上で、列車3の先頭位置FがY軸に沿って時間と共に連続的に移動するか否かを確認する。列車3の先頭位置Fが突然現れたり(不連続に出没したり)する場合は、列車幅相当の障害物などにより距離センサ6から異常値を出力するようになった等と判断し、誤検知状態を認知することにする。
[誤検知の回避処理の手順]
以上述べた、誤検知の回避処理は、検知部内にて、以下の順番により実施される。
距離データが存在するなら(S2でYes)、「降雨による誤検知の回避処理」を行う
。降雨による誤検知の回避処理は、先頭検知範囲内の測定点を抽出する処理S3、最大クラスタを抽出する処理S4を有する。合わせて、降雨による誤検知の回避処理は、Y座標値でヒストグラムを作成する処理S5、最頻値のグループを抽出する処理S6、最頻値グループ中のY座標の最小値の点を列車3の先頭位置として抽出する処理S7を有する。なお、「S3、S4」と「S5〜S7」を実行する順序を逆にしてもよい。つまり、「S5〜S7」を行った後に「S3、S4」を実行してもよい。
以上の処理を行うことで、降雨、降雪など検出に対する外乱が存在する際にも、正確に走行体の前面を抽出して、軌道4上を走行する列車3の先頭位置を確実に検出することができるようになる(S12)。
2 ホーム
3 列車
4 軌道
5 測定光
6 距離センサ
7 検出部
Claims (5)
- 停止動作中の列車の前面に対してスポット状の測定光を左右方向に沿ってライン状にスキャンしつつ照射する距離センサを用いて、当該距離センサから列車の前面までの距離を測定し、測定された距離に基づいて、列車の先頭位置を検出する列車先頭位置の検出方法において、
前記距離センサから得られた距離データに対して、降雨による誤検知の回避処理を行い、列車の先頭位置を検出するものであり、
前記降雨による誤検知の回避処理は、前記距離センサから得られた距離データを、測定光のスキャンの連続性を基にしてグループ化すると共に、距離データの個数が最も多いグループを選択し、
選択されたグループに属する距離データを基にして列車の先頭位置を決定することを特徴とする列車先頭位置の検出方法。 - 停止動作中の列車の前面に対してスポット状の測定光を左右方向に沿ってライン状にスキャンしつつ照射する距離センサを用いて、当該距離センサから列車の前面までの距離を測定し、測定された距離に基づいて、列車の先頭位置を検出する列車先頭位置の検出方法において、
前記距離センサから得られた距離データに対して、降雨による誤検知の回避処理を行い、列車の先頭位置を検出するものであり、
前記降雨による誤検知の回避処理は、前記距離センサから得られた距離データを、測定光のスキャンの連続性を基にしてグループ化すると共に、距離データの個数が最も多いグループを選択して、
選択されたグループに属する距離データを用いて、ヒストグラムを作成し、
作成されたヒストグラムにおいて所定の統計値を含む階級を選択し、
選択された階級に属する距離データを基にして列車の先頭位置を決定することを特徴とする列車先頭位置の検出方法。 - 前記距離センサから得られた距離データに対して、前記降雨による誤検知の回避処理を行った上で、障害物による誤検知の回避処理を行い、列車の先頭位置を検出するものであり、
前記障害物による誤検知の回避処理は、前記降雨による誤検知の回避処理で得られた列車の先頭位置を含む領域を設定し、該領域内に存在する距離データの個数が所定の個数以上存在する際に、前記列車の先頭位置が正しいものであると判定することを特徴とする請求項1または2に記載の列車先頭位置の検出方法。 - 前記距離センサから得られた距離データに対して、前記降雨による誤検知の回避処理を適用した上で、前記障害物による誤検知の回避処理の後で、列車の幅と略同じ幅乃至は長さを有する障害物である列車幅相当の障害物による誤検知の回避処理を行い、列車の先頭位置を検出するものであり、
前記列車幅相当の障害物による誤検知の回避処理は、
列車の中央部を含む縦長の領域として設定した探索領域である検知エリアの長手方向両側に進入領域を設定し、中央部に比較領域を設定し、列車先頭位置が、まず、前記検知エリアの前記進入領域内に入り、その後、前記比較領域へと移動するように列車の先頭位置が時間と共に連続的に変化する際に、前記列車の先頭位置が正しいものであると判定することを特徴とする請求項3に記載の列車先頭位置の検出方法。 - 停止動作中の列車の前面に対してスポット状の測定光を左右方向に沿ってライン状にスキャンしつつ照射して、当該距離センサから列車の前面までの距離を測定する距離センサと、
請求項1〜4のいずれかに記載された列車停止位置の検出方法により、列車の先頭位置を検出する検出部と、
を有していることを特徴とする列車先頭位置の検出装置。
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