JP6087571B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。詳細には、本発明は、レースにおいて使用される空気入りタイヤに関する。
図9に示されているのは、従来の空気入りタイヤ2である。このタイヤ2は、四輪自動車に装着される。このタイヤ2は、主として、レースにおいて使用される。
このタイヤ2は、ベルト4を備えている。ベルト4は、トレッド6の半径方向内側において、カーカス8と積層されている。ベルト4は、内側層10a及び外側層10bからなる。内側層10a及び外側層10bは、並列された多数のコードを含んでいる。これらコードは、赤道面に対して傾斜している。
このタイヤ2は、バンド12をさらに備えている。バンド12は、トレッド6とベルト4との間に位置している。バンド12は、螺旋状に巻かれたコードを含んでいる。コードは、実質的に周方向に延びている。このバンド12と前述のベルト4とは、補強層を構成する。
図から明らかなように、ベルト4の端14では内側層10aが折り返されている。このタイヤ2では、外側層10bの端16及びバンド12の端18が内側層10aで包み込まれている。このタイヤ2の補強層は、いわゆるフォールド構造を有する。このような補強層を有するタイヤ2の一例が、特開2009−298236公報に開示されている。
特開2009−298236公報
前述したように、ベルト4の端14では内側層10aが折り返されている。補強層は、その端部において、大きな剛性を有する。この補強層の剛性は特異である。この補強層は、タイヤ2の耐摩耗性に影響する。このタイヤ2には、偏摩耗が生じやすいという問題がある。
前述したように、外側層10bの端16及びバンド12の端18は内側層10aで包み込まれている。このタイヤ2では、外側層10bの端16及びバンド12の端18が耐久性に与える影響は小さい。しかし、内側層10aの端20は補強層の外側部分に位置している。補強層において、内側層10aの端20は露出している。この内側層10aの端20は、耐久性に影響する。特に、このタイヤ2がネガティブキャンバーを有して四輪自動車の車体に装着された場合、車体側において、この内側層10aの端20が耐久性に顕著に影響する。
本発明の目的は、耐摩耗性及び耐久性に優れる空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、その外面がトレッド面をなすトレッドと、このトレッドよりも半径方向内側に位置するベルトとを備えている。このベルトは、並列された多数のコードを含んでいる。それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜している。このベルトは、一枚のプライを用いて形成されている。このベルトの両端のそれぞれでは、このプライは折り返されている。この折り返しにより、内層と、この内層よりも半径方向外側に位置する中間層と、この中間層よりも半径方向外側に位置する外層とが形成されている。上記中間層は、上記プライの第一端を含んでいる。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記コードは有機繊維からなる。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記外層は上記プライの第二端を含んでいる。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記ベルトは、上記プライとともに、ゴム組成物からなる介在層を用いて形成されている。上記プライの折り返しにおいて、この介在層はこのプライの第一端に宛がわれる。このプライは、この介在層の周りにて折り返される。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記プライの第一端における、上記ベルトの厚みは2.0mm以上4.5mm以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤは四輪自動車用である。このタイヤがこの四輪自動車の車体にネガティブキャンバー角を有して装着される場合、上記プライの第一端が車体側に位置するように、このタイヤはこの四輪自動車に装着される。このタイヤがこの四輪自動車の車体にポジティブキャンバー角を有して装着される場合、上記プライの第二端が車体側に位置するように、このタイヤはこの四輪自動車に装着される。
本発明に係る空気入りタイヤでは、ベルトの剛性は特異でない。このタイヤには、偏摩耗は生じにくい。ベルトをなすプライの第一端は、このプライで包み込まれている。このベルトにおいて、プライの第一端は露出していない。このタイヤでは、このプライの第一端が耐久性に与える影響は小さい。このタイヤは、耐摩耗性及び耐久性に優れる。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤの一部が示された拡大断面図である。 図3は、図1のタイヤの他の一部が示された拡大断面図である。 図4は、図1のタイヤの製造の様子が示された模式図である。 図5は、図1のタイヤのベルトに含まれるコードの様子が示された概略図である。 図6は、図1のタイヤをリムに嵌め合わせた様子が示された断面図である。 図7は、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図8は、図7のタイヤの製造の様子が示された模式図である。 図9は、従来のタイヤの一部が示された断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ22が示されている。図1において、上下方向がタイヤ22の半径方向であり、左右方向がタイヤ22の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ22の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ22の赤道面を表す。このタイヤ22の形状は、赤道面に対して対称である。
このタイヤ22は、トレッド24、サイドウォール26、ビード28、カーカス30、ベルト32、インナーライナー34、チェーファー36及びフィラー部38を備えている。このタイヤ22は、チューブレスタイプである。このタイヤ22は、レース用の四輪自動車に装着される。このタイヤ22は、四輪自動車用である。
トレッド24は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド24は、路面と接地するトレッド面40を形成する。このトレッド面40には、溝は刻まれていない。このタイヤ22は、スリックタイプである。このトレッド面40に溝が刻まれて、トレッドパターンが形成されてもよい。
図示されていないが、トレッド24はベース層とキャップ層とを有している。キャップ層は、ベース層の半径方向外側に位置している。キャップ層は、ベース層に積層されている。ベース層は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。ベース層の典型的な基材ゴムは、天然ゴムである。キャップ層は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
サイドウォール26は、架橋ゴムからなる。サイドウォール26の半径方向外側の部分は、トレッド24と接合されている。サイドウォール26は、トレッド24の端42の部分から半径方向略内向きに延びている。サイドウォール26は、軸方向において、カーカス30よりも外側に位置している。サイドウォール26は、カーカス30の損傷を防止する。
ビード28は、半径方向においてサイドウォール26よりも内側に位置している。ビード28は、コア44と、このコア44から半径方向外向きに延びるエイペックス46とを備えている。コア44は、リング状である。コア44は、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。エイペックス46は、半径方向外向きに先細りである。エイペックス46は、高硬度な架橋ゴムからなる。
カーカス30は、第一カーカスプライ48a及び第二カーカスプライ48bからなる。第一カーカスプライ48a及び第二カーカスプライ48bは、両側のビード28の間に架け渡されており、トレッド24及びサイドウォール26に沿っている。第一カーカスプライ48aは、コア44の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、第一カーカスプライ48aには、主部48amと折り返し部48awとが形成されている。第二カーカスプライ48bは、コア44の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、第二カーカスプライ48bには、主部48bmと折り返し部48bwとが形成されている。このタイヤ22では、第一カーカスプライ48aの折り返し部48awの端48aeは、半径方向において、第二カーカスプライ48bの折り返し部48bwの端48beよりも外側に位置している。
それぞれのカーカスプライ48は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。各コードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス30はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。カーカス30が、1枚のカーカスプライ48から形成されてもよい。
ベルト32は、トレッド24よりも半径方向内側に位置している。ベルト32は、カーカス30よりも半径方向外側に位置している。ベルト32は、カーカス30と積層されている。ベルト32は、カーカス30を補強する。
ベルト32は、赤道面からトレッド24の第一端42aに向かって延在している。ベルト32の第一端50aは、トレッド24の第一端42aの近傍に位置している。ベルト32は、赤道面からこのトレッド24の第二端42bに向かって延在している。ベルト32の第二端50bは、トレッド24の第二端42bの近傍に位置している。このベルト32は、トレッド24の第一端42aの側から赤道面を経由してこのトレッド24の第二端42bに向かってカーカス30に沿って延在している。このベルト32は、トレッド24の第二端42bの側から赤道面を経由してこのトレッド24の第一端42aに向かってカーカス30に沿って延在している。このタイヤ22では、軸方向において、ベルト32の幅はトレッド24の幅よりも若干小さい。ベルト32の軸方向幅は、トレッド24の軸方向幅の0.7倍以上が好ましく、0.99倍以下が好ましい。このベルト32は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。言い換えれば、このベルト32は並列された多数のコードを含んでいる。それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜している。
インナーライナー34は、カーカス30の内側に位置している。インナーライナー34は、カーカス30の内周面を覆う。インナーライナー34は、架橋ゴムからなる。インナーライナー34には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー34の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー34は、タイヤ22の内圧を保持する。
チェーファー36は、ビード28の近傍に位置している。タイヤ22がリムに組み込まれると、このチェーファー36がリムと当接する。この当接により、ビード28の近傍が保護される。このチェーファー36は、布とこの布に含浸したゴムとからなる。
フィラー部38は、ビード28の近傍に位置している。フィラー部38は、ビード28を囲っている。フィラー部38は、ビード28とカーカス30との間に位置している。フィラー部38は、タイヤ22のビード28の部分を補強する。このタイヤ22では、フィラー部38は第一フィラー52a及び第二フィラー52bからなる。第一フィラー52aは、カーカス30に沿って半径方向に延びている。第二フィラー52bは、コア44の周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返されている。このタイヤ22では、第一フィラー52aの内側部分が第二フィラー52bの一部と重なり合っている。それぞれのフィラー52は、架橋ゴムからなる。
このタイヤ22では、ベルト32は一枚のプライ54からなる。このベルト32は、一枚のプライ54を用いて形成されている。図から明らかなように、ベルト32の両端50のそれぞれでは、プライ54が折り返されている。この折り返しにより、内層56a、中間層56b及び外層56cが形成されている。言い換えれば、このベルト32は内層56a、中間層56b及び外層56cを備えている。内層56aは、半径方向においてベルト32の内側部分を形成している。外層56cは、半径方向においてベルト32の外側部分を形成している。中間層56bは、内層56a及び外層56cに挟まれている。言い換えれば、中間層56bは内層56aよりも半径方向外側に位置している。外層56cは、中間層56bよりも半径方向外側に位置している。このタイヤ22では、中間層56bがプライ54の第一端58aを含み、外層56cがこのプライ54の第二端58bを含んでいる。
前述したように、このタイヤ22では、1枚のプライ54を折り返すことにより内層56a、中間層56b及び外層56cを有するベルト32が形成されている。このため、ベルト32の赤道面から第一端50aまでの部分と、このベルト32の赤道面から第二端50bまでの部分とでは、構成が僅かに異なっている。本明細書では、ベルト32の赤道面から第一端50aまでの部分は第一部Rと称される。このベルト32の、赤道面から第二端50bまでの部分は、第二部Lと称される。
図2に示されているのは、図1に示されたタイヤ22の一部である。この図2には、ベルト32の第一部Rが示されている。第一部Rは、プライ54の第一端58aを含んでいる。図から明らかなように、プライ54の第一端58aの周りにて、このプライ54が半径方向内側から外側に向かって折り返されている。この第一部Rでは、内層56aは外層56cと連続している。中間層56bは、内層56a及び外層56cとは連続していない。
図3に示されているのは、図1に示されたタイヤ22の他の一部である。この図3には、ベルト32の第二部Lが示されている。第二部Lは、プライ54の第二端58bを含んでいる。図から明らかなように、プライ54の第二端58bは折り返されたプライ54の外側に積層されている。この第二部Lでは、内層56aは中間層56bと連続している。外層56cは、内層56a及び中間層56bとは連続していない。
このタイヤ22は、次のようにして製造される。並列された多数のコードとともにトッピングゴムが押し出され、シートが形成される。このシートが裁断され、プライ54が形成される。この裁断のとき、このプライ54に含まれるコードの傾斜角度が調整される。図4(a)に示されているのは、形成直後のプライ54の様子である。このプライ54は、広げられている。この紙面において、左側に位置するプライ54の端が第一端58aであり、右側に位置するプライ54の端が第二端58bである。
このタイヤ22の製造方法では、プライ54の第一端58aが持ち上げられ、このプライ54が折り返される。これにより、プライ54の第一端58aがこのプライ54に積層される。この状態が、図4(b)に示されている。
この製造方法では、プライ54の第二端58bが持ち上げられ、このプライ54がさらに折り返される。このとき、プライ54は、このプライ54の第一端58aの周りにて、折り返される。そして、このプライ54の第二端58bがこのプライ54に積層される。このようにして、ベルト32が得られる。この状態が、図4(c)に示されている。
図示されていないが、この製造方法では、ベルト32は、トレッド24、サイドウォール26等の部材とアッセンブリーされる。これにより、ローカバー(未架橋タイヤとも称される。)が得られる。
ローカバーはモールドに投入される。ローカバーの外面は、モールドのキャビティ面と当接する。ローカバーの内面は、ブラダー又は中子に当接する。ローカバーは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、図1に示されたタイヤ22が得られる。
前述したように、このタイヤ22では、ベルト32は内層56a、中間層56b及び外層56cを備えている。しかもこのベルト32は並列された多数のコードを含み、これらコードは赤道面に対して傾斜している。このベルト32は、タイヤ22のトレッド24の部分の剛性に寄与しうる。このタイヤ22は、操縦安定性及び旋回性に優れる。
このタイヤ22では、内層56a、中間層56b及び外層56cは略同等の軸方向幅を有している。このタイヤ22のベルト32は全体として、一様な剛性を有している。このベルト32の剛性は特異でない。このベルト32は、偏摩耗の発生を抑制しうる。このタイヤ22には、偏摩耗は生じにくい。このタイヤ22は、耐摩耗性に優れる。
このタイヤ22では、ベルト32の両端50のそれぞれにおいて、プライ54が折り返されている。この折り返しは、タイヤ22の剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ22は、操縦安定性及び旋回性に優れる。
このタイヤ22では、プライ54の第一端58aはこのプライ54により包み込まれている。ベルト32の第一部Rにおいて、プライ54の第一端58aは露出していない。このベルト32は、フォールド構造を有する。このタイヤ22では、そのショルダー領域におけるベルト32が効果的に拘束される。このタイヤ22では、このプライ54の第一端58aが耐久性に与える影響は小さい。このタイヤ22は、耐久性に優れる。
このタイヤ22では、プライ54の第二端58bはベルト32の外面に露出しているが、このプライ54の第一端58aはこのベルト32の外面に露出していない。このため、ベルト32の外面からトレッド面40までの長さ(トレッド24の厚さとも称される。)は軸方向において略一様である。一様な厚みを有するトレッド24は、偏摩耗の発生を抑えうる。このタイヤ22は、耐摩耗性に優れる。
このタイヤ22では、一枚のプライ54を折り返すことにより形成されたベルト32の、内層56a、中間層56b及び外層56cのうち、中間層56bがこのプライ54の第一端58aを含み、外層56cがこのプライ54の第二端58bを含んでいる。このため、図5に示されているように、中間層56bに含まれるコード60bの傾斜方向は内層56aに含まれるコード60aの傾斜方向とは逆である。外層56cに含まれるコード60cの傾斜方向は、この中間層56bに含まれるコード60bの傾斜方向と同等である。このタイヤ22では、その内部に空気を充填したときに各コード60に掛かる張力は、内層56a及び中間層56bに含まれるコード60a、60bにおいて大きく、外層56cに含まれるコード60cにおいて小さい。しかもこの外層56cに含まれるコード60cの傾斜方向はこの外層56cの内側に位置する中間層56bのそれと同等である。このため、この外層56cに含まれるコード60cに掛かる張力はかなり小さい。このタイヤ22で高速走行しても、この外層56cに含まれるコード60cは切れにくい。このタイヤ22は、高速走行時における耐久性に優れる。
タイヤ22の内部に充填した空気は、ベルト32に対し、その軸方向幅を収縮させるように作用する。前述したように、このタイヤ22では、一枚のプライ54を折り返すことにより形成されたベルト32の、内層56a、中間層56b及び外層56cのうち、外層56cに含まれるコード60cに掛かる張力が最も小さい。このため、この外層56cは、この外層56cの内側に位置する、内層56a及び中間層56bの収縮を効果的に抑制しうる。このタイヤ22では、外層56cだけでなく、内層56a及び中間層56bも、剛性の向上に効果的に寄与しうる。このタイヤ22のベルト32は、コーナリングパワーの発生に寄与しうる。このタイヤ22は、操縦安定性に優れる。
前述したように、このタイヤ22のベルト32は、コード60を含むプライ54を折り返すことにより得られる。プライ54の折り返しの観点から、このコード60としては、その材質がスチールとされたコードよりも有機繊維からなるコードが好ましい。この有機繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
図2において、両矢印DRはベルト32の第一端50aからプライ54の第一端58aまでの軸方向距離を表している。このタイヤ22では、操縦安定性、耐久性及び耐摩耗性の観点から、この距離DRは7mm以下が好ましい。ベルト32の形成の容易の観点から、この距離DRは、2mm以上が好ましい。
図3において、両矢印DLはベルト32の第二端50bからプライ54の第二端58bまでの軸方向距離を表している。このタイヤ22では、操縦安定性、耐久性及び耐摩耗性の観点から、この距離DLは7mm以下が好ましい。ベルト32の形成の容易の観点から、この距離DLは、1mm以上が好ましい。
図5において、角度αは内層56aに含まれるコード60aが赤道面に対してなす角度(以下、傾斜角度)を表している。角度βは、中間層56bに含まれるコード60bの傾斜角度を表している。角度γは、外層56cに含まれるコード60cの傾斜角度を表している。
このタイヤ22では、操縦安定性の観点から、傾斜角度αの絶対値は、10°以上が好ましく、35°以下が好ましい。傾斜角度βの絶対値は、10°以上が好ましく、35°以下が好ましい。傾斜角度γの絶対値は、10°以上が好ましく、35°以下が好ましい。
このタイヤ22では、操縦安定性の観点から、ベルト32の内層56aにおけるコード60aの密度は40エンズ/5cm以上が好ましく、68エンズ/5cm以下が好ましい。このベルト32の中間層56bにおけるコード60bの密度は40エンズ/5cm以上が好ましく、68エンズ/5cm以下が好ましい。このベルト32の外層56cにおけるコード60cの密度は40エンズ/5cm以上が好ましく、68エンズ/5cm以下が好ましい。なお、このベルト32の内層56aにおけるコード60aの密度は、内層56aにおけるコード60aの長手方向に垂直な断面において、この内層56aの5cm幅あたりに存在するコード60aの断面の数(エンズ)が計測されることにより得られる。中間層56bのコード60bの密度及び外層56cのコード60cの密度も、この内層56aと同様にして計測される。
図6には、タイヤ22が四輪自動車の車体(図示されず)に装着されている様子が示されている。図示されているように、車体への装着に際して、タイヤ22はリム62に嵌め合わされる。この紙面において、右側が車体側(内側(IN)とも称される)であり、左側が車体の外側(OUT)である。図6中、符号CAで示されているのはキャンバー角である。タイヤ22は通常、キャンバー角CAを有して、四輪自動車の車体に装着される。なお、このキャンバー角CAはタイヤ22の赤道面(図6中の符号CLで示された一点鎖線)が鉛直線(図6中の符号VLで示された直線)に対してなす角度により表される。このキャンバー角CAが負の値で表される場合、このキャンバー角CAはネガティブキャンバー角と称される。このキャンバー角CAが正の値で表される場合、このキャンバー角CAはポジティブキャンバー角と称される。この図6においては、キャンバー角CAは負の値で表される。この図6に示されたタイヤ22は、ネガティブキャンバー角を有して四輪自動車の車体に装着されている。
前述したように、このタイヤ22では、プライ54の第二端58bはベルト32の外面に露出しているが、このプライ54の第一端58aはこのベルト32の外面に露出していない。図から明らかなように、このタイヤ22は、ベルト32を形成するプライ54の第一端58aが車体側に位置するように、四輪自動車に装着されている。このようにしてこのタイヤ22が四輪自動車に装着された場合、プライ54の第二端58bが車体側に位置するようにこのタイヤ22が四輪自動車に装着された場合に比べて、プライ54の端58による耐久性への影響が効果的に抑制される。このタイヤ22では、特に、ベルト32の端50における損傷が防止される。なお、このタイヤ22が四輪自動車の車体にポジティブキャンバー角を有して装着される場合においては、プライ54の第二端58bが車体側に位置するように、このタイヤ22が四輪自動車に装着されるのが好ましい。
本発明では、タイヤ22の各部材の寸法及び角度は、タイヤ22が正規リム62に組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ22に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ22には荷重がかけられない。本明細書において正規リム62とは、タイヤ22が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リム62である。本明細書において正規内圧とは、タイヤ22が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。このタイヤ22が乗用車用である場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。後述するタイヤも同様にして、タイヤの各部材の寸法及び角度が測定される。
図7には、本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤ64が示されている。図7において、上下方向がタイヤ64の半径方向であり、左右方向がタイヤ64の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ64の周方向である。図7において、一点鎖線CLはタイヤ64の赤道面を表す。このタイヤ64の形状は、赤道面に対して対称である。
このタイヤ64は、ベルト66を備えている。図7に示されているのは、このベルト66の第一部Rである。図示されていないが、このベルト66の第二部Lは図1に示されたタイヤ22のベルト32の一部をなす第二部L(図3参照)と同等の構成を有している。
このタイヤ64では、ベルト66以外の構成は、図1に示されたタイヤ22と同等である。このタイヤ64は、このベルト66以外に、トレッド68、サイドウォール70、カーカス72及びインナーライナー74を備えている。図示されていないが、このタイヤ64は、ビード、チェーファー及びフィラー部も備えている。
このタイヤ64のベルト66は、一枚のプライ76と、介在層78とを用いて形成されている。プライ76は、図1に示されたタイヤ22のベルト32のためのプライ54と同等である。介在層78は、架橋されたゴム組成物からなる。このベルト66は、この介在層78を含むこと以外は、図1に示されたタイヤ22のベルト32と同等の構成を有している。したがって、このベルト66の両端80のそれぞれでは、プライ76が折り返されている。この折り返しにより、内層82aと、この内層82aよりも半径方向外側に位置する中間層82bと、この中間層82bよりも半径方向外側に位置する外層82cとが形成されている。中間層82bがプライ76の第一端84aを含み、外層82cがこのプライ76の第二端を含んでいる。
介在層78のゴム組成物は、基材ゴムを含む。この基材ゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリクロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びイソブチレン−イソプレン共重合体が例示される。この基材ゴムが、2種以上のゴムから構成されてもよい。このゴム組成物は、充填剤としてのカーボンブラックを含むことができる。このゴム組成物は、カーボンブラック以外の他の充填剤を併用することもできる。この他の充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミナ、クレー、タルク及び酸化マグネシウムが例示される。このゴム組成物は、軟化剤、粘着性付与剤、硫黄などの架橋剤、加硫促進剤、架橋助剤、老化防止剤等の薬品も含むことができる。このゴム組成物は、バンバリーミキサー等の混練機を用いて基材ゴム、充填剤等を混ぜ合わせることにより得られる。
このタイヤ64のベルト66は、次のようにして形成される。並列された多数のコードとともにトッピングゴムが押し出され、シートが形成される。このシートが裁断され、プライ76が形成される。この裁断のとき、このプライ76に含まれるコードの傾斜角度が調整される。図8(a)に示されているのは、形成直後のプライ76の様子である。このプライ76は、広げられている。この紙面において、左側に位置するプライ76の端が第一端84aであり、右側に位置するプライ76の端が第二端84bである。
このベルト66の形成では、プライ76の第一端84aが持ち上げられ、このプライ76が折り返される。これにより、プライ76の第一端84aがこのプライ76に積層される。この状態が、図8(b)に示されている。
ゴム組成物が押し出され、未架橋状態にある介在層78が形成される。図8(c)に示されているように、この介在層78はプライ76の第一端84aに宛がわれる。
このベルト66の形成では、プライ76の第二端84bが持ち上げられ、このプライ76がさらに折り返される。このとき、プライ76は、このプライ76の第一端84aに宛がわれた介在層78の周りにて、折り返される。そして、このプライ76の第二端84bがこのプライ76に積層される。このようにして、ベルト66が得られる。この状態が、図8(d)に示されている。このベルト66が、トレッド68、サイドウォール70等の部材とアッセンブリーされ、ローカバーが得られる。このローカバーから、図1に示されたタイヤ22と同様にして、図7に示されたタイヤ64が得られる。
このタイヤ64のベルト66は、内層82a、中間層82b及び外層82cを備えている。図示されていないが、このベルト66は並列された多数のコードを含んでいる。それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜している。このベルト66は、タイヤ64のトレッド68の部分の剛性に寄与しうる。このタイヤ64は、操縦安定性及び旋回性に優れる。
図示されていないが、このタイヤ64では、内層82a、中間層82b及び外層82cは略同等の軸方向幅を有している。このタイヤ64のベルト66は全体として、一様な剛性を有している。このベルト66の剛性は特異でない。このベルト66は、偏摩耗の発生を抑制しうる。このタイヤ64には、偏摩耗は生じにくい。このタイヤ64は、耐摩耗性に優れる。
このタイヤ64では、ベルト66の両端80のそれぞれにおいて、プライ76が折り返されている。この折り返しは、タイヤ64の剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ64は、操縦安定性及び旋回性に優れる。
このタイヤ64では、プライ76の第一端84aはこのプライ76により包み込まれている。ベルト66の第一部Rにおいて、プライ76の第一端84aは露出していない。このベルト66は、フォールド構造を有する。このタイヤ64では、そのショルダー領域におけるベルト66が効果的に拘束される。このタイヤ64では、このプライ76の第一端84aが耐久性に与える影響は小さい。このタイヤ64は、耐久性に優れる。
このタイヤ64では、プライ76の第二端84bはベルト66の外面に露出しているが、このプライ76の第一端84aはこのベルト66の外面に露出していない。このため、このタイヤ64のトレッド68の厚さは軸方向において略一様である。一様な厚みを有するトレッド68は、偏摩耗の発生を抑えうる。このタイヤ64は、耐摩耗性に優れる。
このタイヤ64では、一枚のプライ76を折り返すことにより形成されたベルト66の、内層82a、中間層82b及び外層82cのうち、中間層82bがこのプライ76の第一端84aを含み、外層82cがこのプライ76の第二端84bを含んでいる。このため、図1に示されたタイヤ22のベルト32と同様、中間層82bに含まれるコードの傾斜方向は内層82aに含まれるコードの傾斜方向とは逆である。外層82cに含まれるコードの傾斜方向は、この中間層82bに含まれるコードの傾斜方向と同等である。このタイヤ64では、その内部に空気を充填したときに各コードに掛かる張力は、内層82a及び中間層82bに含まれるコードにおいて大きく、外層82cに含まれるコードにおいて小さい。しかもこの外層82cに含まれるコードの傾斜方向はこの外層82cの内側に位置する中間層82bのそれと同等である。このため、この外層82cに含まれるコードに掛かる張力はかなり小さい。このタイヤ64で高速走行しても、この外層82cに含まれるコードは切れにくい。このタイヤ64は、高速走行時における耐久性に優れる。
タイヤ64の内部に充填した空気は、ベルト66に対し、その軸方向幅を収縮させるように作用する。前述したように、このタイヤ64では、一枚のプライ76を折り返すことにより形成されたベルト66の、内層82a、中間層82b及び外層82cのうち、外層82cに含まれるコードに掛かる張力が最も小さい。このため、この外層82cは、この外層82cの内側に位置する、内層82a及び中間層82bの収縮を効果的に抑制しうる。このタイヤ64では、外層82cだけでなく、内層82a及び中間層82bも、剛性の向上に効果的に寄与しうる。このタイヤ64のベルト66は、コーナリングパワーの発生に寄与しうる。このタイヤ64は、操縦安定性に優れる。
前述したように、このタイヤ64のベルト66は、コードを含むプライ76を折り返すことにより得られる。プライ76の折り返しの観点から、このコードとしては、その材質がスチールとされたコードよりも有機繊維からなるコードが好ましい。この有機繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
前述したように、このタイヤ64のベルト66は、プライ76とともに介在層78を用いて形成されている。このプライ76は、このプライ76の第一端84aに宛がわれた介在層78の周りにて、折り返されている。図7から明らかなように、このタイヤ64のベルト66の第一端50aの部分には段差は形成されない。ベルト66の端80の部分が平坦状とされているので、このタイヤ64のショルダーには特異な剛性を有する部分が形成されにくい。介在層78は、タイヤ64の操縦安定性及び旋回性のさらなる向上に寄与しうる。しかもこの介在層78がプライ76の折り返しにおけるエアーの巻き込みを抑制しうるので、このエアーの残留によるベルト66の端80の部分の損傷が防止される。このタイヤ64は、耐久性にも優れる。
このタイヤ64では、介在層78が存在しているので、プライ76の折り返しによりコードが密に詰まることが防止される。このタイヤ64では、ベルト66の端80の部分におけるコードの密度が適正に維持される。コード間に存在するトッピングゴムの量が適正であるので、ベルト66の端80の部分におけるルースの発生が効果的に防止される。このタイヤ64は、耐久性に優れる。
図7において、両矢印Tで示されているのはプライ76の第一端84aにおけるベルト66の厚みである。このタイヤ64では、厚みTは2.0mm以上4.5mm以下が好ましい。この厚みTが2.0mm以上に設定されることにより、介在層78が耐久性の向上に寄与しうる。この観点から、この厚みTは2.5mm以上がより好ましい。この厚みが4.5mm以下に設定されることにより、ベルト66の端80の部分における剛性が適切に維持される。このタイヤ64は、操縦安定性及び耐摩耗性に優れる。この観点から、この厚みTは4.0mm以下がより好ましい。なお、この厚みTが4.5mmよりも大きくなると、半径方向外向きに突出する突起が形成されるので、好ましくない。
このタイヤ64では、介在層78の硬度は55以上75以下が好ましい。この硬度が55以上に設定されることにより、介在層78が耐久性の向上に寄与しうる。この観点から、この硬度は62以上がより好ましい。この硬度が75以下に設定されることにより、ベルト66の端80の部分における剛性が適切に維持される。このタイヤ64は、操縦安定性及び耐摩耗性に優れる。この観点から、この硬度は68以下がより好ましい。なお、硬度は、「JIS−K6253」の規定に準拠して、23℃の環境下で、タイプAのデュロメータによって測定される。
前述したように、このタイヤ64では、プライ76の第二端84bはベルト66の外面に露出しているが、このプライ76の第一端84aはこのベルト66の外面に露出していない。このタイヤ64が四輪自動車の車体にネガティブキャンバー角を有して装着される場合は、プライ76の第一端84aが車体側に位置するように、このタイヤ64が四輪自動車に装着されるのが好ましい。この四輪自動車の車体にポジティブキャンバー角を有して装着される場合は、プライ76の第二端84bが車体側に位置するように、このタイヤ64が四輪自動車に装着されるのが好ましい。これにより、ベルト66の端80における損傷が効果的に防止される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1−3に示された基本構成を備え、下記の表1に示された仕様を備えた、実施例1の四輪自動車用の空気入りタイヤ(サイズ=265/35R18)を得た。このタイヤのベルトは、並列された多数のコードを備えている。このコードは、アラミド繊維からなる。このコードの構成は、1100dtex/2とされた。このベルトの各層におけるコードの密度は、60エンズ/5cmとされた。このベルトは、一枚のプライを用いて形成されている。ベルトの中間層がプライの第一端を含み、外層がこのプライの第二端を含んでいる。この実施例1では、中間層に含まれるコードの傾斜方向は内層に含まれるコードの傾斜方向とは逆である。外層に含まれるコードの傾斜方向は、この中間層に含まれるコードの傾斜方向と同等である。このベルトには、介在層は設けられていない。このベルトの第一端の部分には、段差が形成されている。このことが、表中、「Y」で表されている。プライの第一端における、ベルトの厚みTは1.5mmであった。
[実施例2]
中間層がプライの第一端aを含み、内層がこのプライの第二端bを含むように、プライを折り返してベルトを形成した他は実施例1と同様にして、実施例2のタイヤを得た。この実施例2では、中間層に含まれるコードの傾斜方向は内層に含まれるコードの傾斜方向とは逆である。外層に含まれるコードの傾斜方向は、この中間層に含まれるコードの傾斜方向とは逆である。
[実施例6]
ベルトの第一部Rの構成を図7に示された通りとした他は実施例1と同様にして、実施例6の空気入りタイヤを得た。このタイヤのベルトは、プライ及び介在層を用いて形成されている。このことが、表中、「Y」で表されている。このベルトの第一端aの部分には、段差は形成されていない。このことが、表中、「N」で表されている。プライの第一端aにおける、ベルトの厚みTは3.5mmであった。介在層の硬度は、65とされた。
[実施例3−5及び7]
介在層の大きさを調整して、プライの第一端aにおける、ベルトの厚みTを下記の表1の通りとした他は実施例5と同様にして、実施例3−5及び7の空気入りタイヤを得た。実施例3では、ベルトの第一端の部分に、段差が認められたが、それ以外では、段差は認められなかった。
[比較例1]
比較例1は、従来のタイヤである。このタイヤは、図9に示された構成を有するベルトを備えている。このベルトには、介在層は設けられていない。このベルトの第一端a及び第二端bの部分には、段差が形成されている。このベルトの端部における厚み(図9中の、両矢印TB)は、3.2mmであった。
Figure 0006087571
[評価1−1(操縦安定性、偏摩耗及びベルト端損傷]
実施例1−2及び比較例1のタイヤを9.5JJのリムに組み込み、このタイヤに内圧が180kPaとなるように空気を充填した。このタイヤを、排気量が2600ccである競技車両の車体に、ネガティブキャンバー角(キャンバー角CA=2.8°)を有して装着した。このことが、表中、「N」で表されている。ドライバーに、この競技車両をレーシングサーキット(1周=4.5km)で運転させて、操縦安定性並びに偏摩耗及びベルト端損傷の有無に関する評価を実施した。実験1では、比較例1のタイヤを用いた。実験2では、実施例1のタイヤを用い、ベルトをなすプライの第一端aが車体側(IN)に位置するようにこのタイヤが車体に装着された。実験3では、実施例1のタイヤを用い、プライの第一端aが外側(OUT)に位置するようにこのタイヤが車体に装着された。実験4では、実施例2のタイヤを用い、プライの第一端aが車体側(IN)に位置するようにこのタイヤが車体に装着された。
[操縦安定性]
サーキットを平均時速160kmで10周走行させ、ドライバーによる、操縦安定性に関するフィーリング評価を行った。この結果が、比較例1のタイヤで得た結果を100とした指数で、下記の表2に示されている。数値が大きいほど好ましい。
[偏摩耗]
サーキットを平均時速160kmで走行させた。走行距離が150kmに到達した時点で、走行を終了し、タイヤを車体から取り外した。タイヤを解体し、トレッドの最大摩耗量と最小摩耗量とを計測した。この最大摩耗量と最小摩耗量との差を偏摩耗量とし、この偏摩耗量の逆数が、比較例1のタイヤで得た結果を100とした指数で、下記の表2に示されている。数値が大きいほど好ましい。
[ベルト端の損傷]
サーキットを平均時速160kmで走行させた。走行距離が150kmに到達した時点で、走行を終了し、タイヤを車体から取り外した。タイヤを解体し、ベルト端の損傷の有無を目視にて確認した。この結果が、下記の表2に示されている。この表2には、損傷が認められなかった場合が「G」で、損傷が認められた場合が「NG」で表されている。
[評価1−2(コードの切断)]
断面が三角形の先端を有する、スチール製の治具が準備された。先端は2つの斜面を有しており、両斜面がなす角度は、90°とされた。タイヤを9.5JJのリムに組み込んだ後、このタイヤの赤道上において、この治具がトレッドに宛がわれた。このタイヤに内圧が160kPaとなるように空気を充填した。このタイヤをネガティブキャンバー角(キャンバー角CA=2.8°)を有してドラム式走行試験機に装着し、5.88kNの縦荷重をタイヤに負荷した。このタイヤを、80km/hの速度で、半径が1.7mであるドラムの上を走行させた。走行距離が200kmに到達した時点で、走行を終了し、タイヤを車体から取り外した。タイヤを解体し、コードの切断の有無を目視にて確認した。この結果が、下記の表2に示されている。この表2には、切断が認められなかった場合が「G」で、切断が認められた場合が「NG」で表されている。なお、実験1では、比較例1のタイヤを用いた。実験2では、実施例1のタイヤを用い、ベルトをなすプライの第一端aが車体側(IN)となるようにこのタイヤが試験機に装着された。実験3では、実施例1のタイヤを用い、プライの第一端aが外側(OUT)となるようにこのタイヤが車体に装着された。実験4では、実施例2のタイヤを用い、プライの第一端aが車体側(IN)となるようにこのタイヤが車体に装着された。
Figure 0006087571
表2に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
[評価2(操縦安定性、偏摩耗、ベルト端損傷及びコード切断]
実施例1及び比較例1のタイヤを用いて、操縦安定性、偏摩耗、ベルト損傷及びコード切断に関する評価を行った。それぞれのタイヤを車体にポジティブキャンバー角(キャンバー角CA=2.8°)を有して装着した他は前述の評価1と同様にして、評価を行った。その結果が、下記の表3に示されている。なお、実験5では、比較例1のタイヤを用いた。実験6では、実施例1のタイヤを用い、ベルトをなすプライの第一端aが車体側(IN)に位置するようにこのタイヤが車体に装着された。実験7では、実施例1のタイヤを用い、プライの第一端aが外側(OUT)に位置するようにこのタイヤが車体に装着された。タイヤを車体にポジティブキャンバー角を有して装着されたことが、表中、「P」で表されている。
Figure 0006087571
表3に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
[評価3−1(ラップタイプ、操縦安定性、旋回性及び偏摩耗]
実施例1及び3−8並びに比較例1のタイヤを9.5JJのリムに組み込み、このタイヤに内圧が180kPaとなるように空気を充填した。このタイヤを、排気量が2600ccである競技車両の車体に、ネガティブキャンバー角(キャンバー角CA=2.8°)を有して装着した。ドライバーに、この競技車両をレーシングサーキット(1周=4.5km)で運転させて、ラップタイム、操縦安定性及び旋回性並びに偏摩耗の有無に関する評価を実施した。実験8では、比較例1のタイヤを用いた。実験9では、実施例1のタイヤを用いた。実験10では、実施例3のタイヤを用いた。実験11では、実施例4のタイヤを用いた。実験12では、実施例5のタイヤを用いた。実験13では、実施例6のタイヤを用いた。実験14では、実施例7のタイヤを用いた。実験9−14では、タイヤは、ベルトをなすプライの第一端aが車体側(IN)に位置するように車体に装着された。
[操縦安定性]
サーキットを平均時速160kmで10周走行し、ラップタイムを計測するとともに、ドライバーによる操縦安定性及び旋回性に関するフィーリング評価を行った。この結果が、ラップタイムについては最速ラップタイムで、それ以外については比較例1のタイヤで得た結果を100とした指数で、下記の表4及び5に示されている。数値が大きいほど好ましい。
[偏摩耗]
サーキットを平均時速160kmで走行させた。走行距離が150kmに到達した時点で、走行を終了し、タイヤを車体から取り外した。タイヤを解体し、トレッドの最大摩耗量と最小摩耗量とを計測した。この最大摩耗量と最小摩耗量との差を偏摩耗量とし、この偏摩耗量の逆数が、比較例1のタイヤで得た結果を100とした指数で、下記の表2に示されている。数値が大きいほど好ましい。
[評価3−2(耐久性)]
ECE30規格に準拠して、耐久性に関する評価を行った。速度を段階的に上昇させて、試作タイヤに損傷が生じた速度及び、その速度に到達してから損傷が生じるまでの時間を得た。速度は、230km/hから260km/hまで、10km/hずつ上昇させた。それぞれの速度に到達してから10分保持された。なお、260km/hにおいては、最大20分保持された。試作タイヤに損傷が生じた速度、及び、その速度に到達してから損傷が生じるまでの時間について、次のようにして格付けを行い、結果を数値化した。この数値に基づいて、耐久性に関する評価結果が、比較例1のタイヤで得た結果を100とした指数で下記の表4及び5に示されている。数値が大きいほど好ましい。
a)230km/hの速度で10分以内に損傷した場合の数値=85
b)240km/hの速度で10分以内に損傷した場合の数値=90
c)250km/hの速度で10分以内に損傷した場合の数値=95
d)260km/hの速度で10分以内に損傷した場合の数値=100
e)260km/hの速度で10分よりも長く20以内に損傷した場合の数値=105
f)260km/hの速度で20分保持しても損傷しなかった場合の数値=110
この耐久性に関する評価では、実施例1及び3−7並びに比較例1のタイヤを9.5JJのリムに組み込んだ後、このタイヤに内圧が180kPaとなるように空気を充填した。このタイヤをネガティブキャンバー角(キャンバー角CA=2.8°)を有してドラム式走行試験機に装着し、5.88kNの縦荷重をタイヤに負荷した。この状態で、走行試験が実施された。各実験に用いたタイヤは、下記の表4及び5に示された通りである。実験9−14では、タイヤは、ベルトをなすプライの第一端aが車体側(IN)となるように試験機に装着された。
Figure 0006087571
Figure 0006087571
表4及び5に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明されたタイヤは、様々な車両に適用されうる。
2、22、64・・・タイヤ
4、32、66・・・ベルト
6、24、68・・・トレッド
8、30、72・・・カーカス
12・・・バンド
50a、50b、50、80・・・端
54、76・・・プライ
56a、82a・・・内層
56b、82b・・・中間層
56c、82c・・・外層
58a、58b、84a、84b・・・端
60a、60b、60c・・・コード
62・・・リム
78・・・介在層

Claims (7)

  1. その外面がトレッド面をなすトレッドと、このトレッドよりも半径方向内側に位置するベルトとを備えており、
    このベルトが並列された多数のコードとトッピングゴムとからなり
    それぞれのコードが赤道面に対して傾斜しており、
    このベルトが、一枚のプライと、ゴム組成物からなる介在層とを用いて形成されており、
    このベルトの両端のそれぞれでは、このプライが折り返されており、
    この折り返しにより、内層と、この内層よりも半径方向外側に位置する中間層と、この中間層よりも半径方向外側に位置する外層とが形成されており、
    上記中間層が上記プライの第一端を含んでおり、
    上記プライの折り返しにおいて、この介在層がこのプライの第一端に宛がわれ、この介在層の周りにてこのプライが折り返されている、空気入りタイヤ。
  2. 上記コードが有機繊維からなる、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 上記外層が上記プライの第二端を含んでいる、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 上記プライの第一端における、上記ベルトの厚みが2.0mm以上4.5mm以下である請求項1から3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 四輪自動車用であり、
    この四輪自動車の車体にネガティブキャンバー角を有して装着される場合、上記プライの第一端が車体側に位置するように、この四輪自動車に装着され、
    この四輪自動車の車体にポジティブキャンバー角を有して装着される場合、上記プライの第二端が車体側に位置するように、この四輪自動車に装着される、請求項1からのいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 上記ベルトの第一端から上記プライの第一端までの軸方向距離が2mm以上7mm以下であり、
    上記ベルトの第二端から上記プライの第二端までの軸方向距離が1mm以上7mm以下である、請求項1から5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 上記内層、上記中間層及び上記外層のそれぞれにおいて、上記コードの密度が40エンズ/5cm以上68エンズ/5cm以下である、請求項1から6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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