JP6087132B2 - ゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法 - Google Patents

ゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6087132B2
JP6087132B2 JP2012278621A JP2012278621A JP6087132B2 JP 6087132 B2 JP6087132 B2 JP 6087132B2 JP 2012278621 A JP2012278621 A JP 2012278621A JP 2012278621 A JP2012278621 A JP 2012278621A JP 6087132 B2 JP6087132 B2 JP 6087132B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
shaft
inches
value
ifc
swing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012278621A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013226375A (ja
Inventor
植田 勝彦
勝彦 植田
雅敏 加藤
雅敏 加藤
弘祐 岡崎
弘祐 岡崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Dunlop Sports Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Rubber Industries Ltd
Dunlop Sports Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Rubber Industries Ltd, Dunlop Sports Co Ltd filed Critical Sumitomo Rubber Industries Ltd
Priority to JP2012278621A priority Critical patent/JP6087132B2/ja
Publication of JP2013226375A publication Critical patent/JP2013226375A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6087132B2 publication Critical patent/JP6087132B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Golf Clubs (AREA)

Description

本発明はゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法に関する。
ゴルファーにとってボールの飛距離を延ばすとともにボールを狙った方向・角度に飛ばすことは永遠のテーマである。そのためには、自身のスイングに合ったゴルフクラブを使用することが重要である。
ゴルファーに合ったゴルフクラブを選定することは一般にフィッティングと称されている。このフィッティングを効果的に行うためには、ゴルフクラブの全重量、クラブヘッドの重量、ゴルフクラブの長さなど種々のファクターを考慮する必要があるが、とりわけ、ゴルフクラブのシャフトの物性がフィッティングの良否に大きく影響する。
例えば、シャフトの物性の一つとしてフレックスがある。このフレックスは、シャフトの硬さ(剛性)を表しており、順式フレックスは、図36に示されるように、シャフト20のチップ端20aから129mmの点を荷重点Wとし、この荷重点Wからシャフト20のバット端側に824mmの点を支点Aとし、この支点Aからバット端側に140mmの位置を作用点Bとして、前記荷重点Wに2.7kgfの荷重Wtを掛けたときの前記チップ端20aの変位量である。この変位量F1(この値を順式フレックスという)に対して、或る値f1〜或る値f2までのものをXシャフトとするなどの定義によりフレックスが定められている。
一般に、フレックスは、ヘッド速度の大小に応じて適合する硬さが推奨されており、ヘッド速度が比較的遅いゴルファーには撓みやすいシャフトが勧められ、一方、ヘッド速度が比較的速いゴルファーには硬いシャフトが勧められる。しかし、このフレックスは、統一された規格がなく、メーカー毎に異なる基準で定められている。そして、適合するフレックスの値の選定は、フィッティングを行う者(フィッター)の経験と勘に頼ることが多く、選定結果は客観的ではなく個人差がある。
また、他のシャフトの物性として調子がある。この調子は、図37に示されるように、シャフト20のチップ端20aから12mmの位置を作用点Cとし、この作用点Cからシャフト20のバット端側に140mmの点を支点Dとし、この支点Dからバット端側に776mmの点を荷重点Wとして、当該荷重点Wに1.3kgfの荷重Wtを掛けたときのバット端20bの変位量F2(この値を逆式フレックスという)を求め、このF2と前述したF1(順式フレックス)の値から次の式(1)にしたがいTを計算し、このTの値の大小で先調子なのか、又は手元調子なのかを決めている。
T=F2/(F1+F2)×100 ・・・・・・(1)
この調子を用いたゴルフクラブの選定についても、前述したフレックスを用いる場合と同じく、フィッティングを行う者の経験と勘に頼らざるを得ず、選定結果は客観的ではなく個人差がある。
そこで、フィッティングに際し、ゴルファーに実際にスイングをしてもらい、そのスイングの計測結果からフィッティングを行うことが提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
特許文献1には、ゴルフスイングにおいて用いるゴルフクラブのゴルフクラブモデルを生成するモデル生成ステップと、ゴルフクラブモデルを用いてゴルフスイングを再現するために、ゴルフクラブモデルに所定の境界条件を与えてゴルフクラブモデルのスイング挙動を演算し、ゴルフスイングにおけるゴルフクラブモデルの所望の動的特性値を算出する特性値算出ステップと、この特性値算出ステップを、生成されるゴルフクラブモデルの種類を変えながら繰り返し行うことで複数のゴルフクラブモデルそれぞれについて動的特性値を求める繰り返しステップと、この繰り返しステップで求められた複数の動的特性値のうち、動的特性値の最大値及び最小値を抽出し、当該最大値と最小値との差に基づいて、ゴルフスイングの特徴を分類して評価するスイング評価ステップとを有する、ゴルフスイングの評価方法が開示されている。
また、特許文献2は、クラウン部に、ゴルフクラブシャフトが装着されるホーゼル部が設けられたゴルフクラブヘッドを有するゴルフクラブのスイング評価方法であって、前記ゴルフクラブヘッドを水平面に設置した状態において、ゴルフクラブシャフトの軸線を含むとともに、水平面に対して直交する平面と、ゴルフクラブヘッドのクラウン部とが交わる交線上における少なくとも10mm離れた2点について、ゴルフクラブのスイング時の速度をそれぞれ計測し、前記各点の速度に基づいてスイングを評価するスイングの評価方法が開示されている。
特開2006−230466号公報 特開2009−18043号公報
しかし、特許文献1記載の方法では、用いる装置が大型であり、設置場所が限られる。また、大規模な演算装置が必要であり、コストが高くつくという問題がある。
また、特許文献2記載の方法では、スイングの評価をインパクトだけで行っており、アドレスからトップを経てインパクトに至るスイング全体の特徴を反映させたものではない。したがって、ゴルファーのスイングに適合したシャフトを選定できないことがあり、改良が望まれていた。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、使用する装置の小型化及び軽量化が可能であるため設置場所の選択範囲が広く、且つ、スイング全体を反映させた、より詳細なシャフトスペックに基づきフィッティングすることができる、ゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法を提供することを目的としている。
(1)本発明のゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法(以下、単に「フィッティング方法」ともいう)は、ゴルファーのスイングに基づいて当該ゴルファーにマッチしたシャフトを選定するフィッティング方法であって、
3軸回りの角速度を計測可能なセンサがグリップに取り付けられたゴルフクラブでゴルフボールを打撃して前記センサからの計測値を得る工程と、
前記計測値からスイングにおけるアドレス、トップ及びインパクトを決定する工程と、
前記計測値から得られる以下の(a)〜(d)のスイング特徴量を用いてゴルファーにマッチしたシャフトを選定する工程と
を含むことを特徴としている。
(a)トップ付近でのコック方向のグリップ角速度の変化量
(b)トップから、ダウンスイング途中であってコック方向のグリップ角速度が最大となるときまでの当該コック方向のグリップ角速度の平均値
(c)ダウンスイング途中であってコック方向のグリップ角速度が最大となるときから、インパクトまでの当該コック方向のグリップ角速度の平均値
(d)トップからインパクトまでのコック方向のグリップ角速度の平均値
本発明のフィッティング方法では、ゴルファーのスイング中の限られた局面だけでなく、トップからインパクトに至るスイング全体を反映させた4つのスイング特徴量に基づいてシャフトを選定することができるので、より詳細なシャフトスペックに基づきフィッティングすることができる。その結果、当該ゴルファーにとって、より性能(飛距離、方向性及び振り易さ)が優れたシャフトを提供することができる。
また、本発明のフィッティング方法では、クラブのグリップ端にセンサを取り付けるだけでスイング特徴を定量化することができ、従来のカメラなどの大掛かりな設備が不要になるので、フィッティングのための設備のコストが小さくて済む。さらに、データは無線でデータ解析装置に配信することができ、設備全体の構成を簡素化することができ、これにより、持ち運びや設置・撤去も簡単に行うことができる。
(2)前記(1)のフィッティング方法において、前記(a)〜(d)は、それぞれシャフトのチップ端から36インチ、26インチ、16インチ及び6インチの4つの位置における当該シャフトの曲げ剛性に対応するものとして選定され、
予め試打により作成された、前記(a)〜(d)それぞれのスイング特徴量とシャフトの曲げ剛性との関係を表す近似式と、前記計測値から得られる(a)〜(d)のスイング特徴量とから、シャフトのチップ端から36インチ、26インチ、16インチ及び6インチの4つの位置における当該シャフトの曲げ剛性を取得し、
予め前記4つの位置における曲げ剛性が測定された複数のシャフトの中から、取得した4つの位置におけるシャフトの曲げ剛性に基づいてゴルファーにマッチしたシャフトを選定するものとすることができる。
(3)前記(2)のフィッティング方法において、前記4つの位置における曲げ剛性のそれぞれについて、取得された曲げ剛性値に応じて複数段階のランク値のうちいずれかを付与し、
予め前記4つの位置における曲げ剛性が測定され且つ測定された曲げ剛性値に応じて複数段階のランク値のうちいずれかが付与された複数のシャフトの中から、付与された4つの位置におけるランク値に基づいてゴルファーにマッチしたシャフトを選定することが好ましい。
(4)前記(2)又は(3)のフィッティング方法において、ユーザーのゴルフクラブの長さが、前記複数のシャフトの中から選定されたシャフトを有するゴルフクラブの長さと異なる場合、両長さの差に基づいて、ゴルフクラブの総重量を変更することが好ましい。
(5)前記(1)のフィッティング方法において、前記(a)〜(d)は、それぞれシャフトのチップ端から36インチ、26インチ、16インチ及び6インチの4つの位置における当該シャフトの曲げ剛性に対応するものとして選定され、
予め試打により作成された、前記(a)〜(d)それぞれのスイング特徴量とシャフトの曲げ剛性との関係を表す近似式と、前記計測値から得られる(a)〜(d)のスイング特徴量とから、シャフトのチップ端から36インチ、26インチ、16インチ及び6インチの4つの位置における当該シャフトの曲げ剛性を取得し、
取得された曲げ剛性値に応じて複数段階のランク値のうちいずれかを付与し、
縦軸を付与されたランク値とし、横軸をシャフトの一端から他端までの距離とする平面座標に前記4つの位置におけるランク値をプロットすることで得られる、当該ランク値の変化の形状パターンを取得し、
予め前記形状パターンが求められている複数のシャフトの中から、前記取得された形状パターンに対応するシャフトを選択するものとすることができる。
(6)前記(5)のフィッティング方法において、前記平面座標の横軸が、シャフトの手元側端部から先端側端部に向かう距離とすることができる。
(7)前記(5)又は(6)のフィッティング方法において、前記形状パターンに基づいて選択されたシャフトであって、予め前記4つの位置における曲げ剛性が測定され且つ測定された曲げ剛性値に応じて複数段階のランク値のうちいずれかが付与された複数のシャフトの中から、付与された4つの位置におけるランク値に基づいてゴルファーにマッチしたシャフトを選定することができる。
(8)前記(7)のフィッティング方法において、前記ランク値に基づいてシャフトを選定するに際し、以下の一致度にしたがってシャフトを選定することが好ましい。
Figure 0006087132
ここで、計算IFCは計算により取得されたランク値であり、データベースIFCは、複数のシャフトについて4つの位置で予め測定された曲げ剛性値に基づいて算出され且つデータベースに記憶されているランク値である。計算36IFC、計算26IFC、計算16IFCおよび計算6IFCは、それぞれ計算により取得された、シャフトチップ端から36インチ、26インチ、16インチおよび6インチでのランク値である。また、データ36IFC、データ26IFC、データ16IFCおよびデータ6IFCは、それぞれ複数のシャフトについて予め測定された曲げ剛性値に基づいて算出され且つデータベースに記憶されている、シャフトチップ端から36インチ、26インチ、16インチおよび6インチでのランク値である。
(9)前記(1)〜(8)のフィッティング方法において、ヘッド速度に応じて複数の近似式が作成されることが好ましい。
本発明のフィッティング方法によれば、使用する装置の小型化及び軽量化が可能であるため設置場所の選択範囲が広く、且つ、スイング全体を反映させた、より詳細なシャフトスペックに基づきフィッティングすることができる。
スイング中のシャフトの撓みの挙動を説明する図である。 本発明のフィッティング方法において曲げ剛性が測定されるシャフトの4つの位置を説明する図である。 本発明における曲げ剛性の測定方法を説明する図である。 本発明におけるスイング特徴量を計測する方法を説明する図である。 センサが取り付けられたゴルフクラブの一部拡大斜視図である。 (a)は図5に示されるセンサの平面図であり、(b)は同センサの側面図である。 スイングにおけるアドレス及びテイクバックを示す図である。 スイングにおけるトップ及びダウンスイングを示す図である。 スイングにおけるダウンスイング及びインパクトを示す図である。 スイングにおけるフォロースルー及びフィニッシュを示す図である。 スイングにおけるコック方向の角速度の時間経過にしたがう変化を示す図である。 振り易さの評価基準を説明する図である。 本発明の第1実施形態に係るフィッティング方法において、「6インチ」の測定点におけるスイング特徴量(4)と曲げ剛性(EI値)との関係を示す図である。 同「6インチ」の測定点におけるEI値算出のフローを示す図である。 同「16インチ」の測定点におけるスイング特徴量(3)と曲げ剛性(EI値)との関係を示す図である。 同「16インチ」の測定点におけるEI値算出のフローを示す図である。 同「26インチ」の測定点におけるスイング特徴量(2)と曲げ剛性(EI値)との関係を示す図である。 同「26インチ」の測定点におけるEI値算出のフローを示す図である。 同「36インチ」の測定点におけるスイング特徴量(1)と曲げ剛性(EI値)との関係を示す図である。 同「36インチ」の測定点におけるEI値算出のフローを示す図である。 本発明の効果の検証に用いる5本のシャフトのフレックス及び調子の説明図である。 本発明の第2実施形態に係るフィッティング方法において、「6インチ」の測定点におけるスイング特徴量(4)と曲げ剛性(EI値)との関係を示す図である。 同「6インチ」の測定点におけるEI値算出のフローを示す図である。 同「16インチ」の測定点におけるスイング特徴量(3)と曲げ剛性(EI値)との関係を示す図である。 同「16インチ」の測定点におけるEI値算出のフローを示す図である。 同「26インチ」の測定点におけるスイング特徴量(2)と曲げ剛性(EI値)との関係を示す図である。 同「26インチ」の測定点におけるEI値算出のフローを示す図である。 同「36インチ」の測定点におけるスイング特徴量(1)と曲げ剛性(EI値)との関係を示す図である。 同「36インチ」の測定点におけるEI値算出のフローを示す図である。 第2実施形態に係るフィッティング方法においてランク値を求めるに際し、例外要因として考慮した4つの要因の一覧表である。 第2実施形態に係るフィッティング方法において提案シャフトを決定するフローを示す図である。 インチ毎のランク値の変化パターンの一覧表である。 インチ毎のランク値の変化パターンを決定するフローの前半を示す図である。 インチ毎のランク値の変化パターンを決定するフローの後半を示す図である。 インチ毎のランク値の変化パターンと、これによって選択されるシャフトタイプとの対応関係を示す表である。 順式フレックスの測定方法を説明する図である。 逆式フレックスの測定方法を説明する図である。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明のフィッティング方法の実施の形態を詳細に説明する。
[第1実施形態]
〔本発明のフィッティング方法の原理〕
本発明のフィッティング方法の実施の形態を説明する前に、本発明のフィッティング方法の原理ないし理論的背景について説明する。本発明者らは、ゴルフクラブのシャフトの曲げが、トップからインパクトに向けてスイングが進行するにしたがい当該シャフトの手元側から先端側に伝わることに着目した。そして、或るゴルファーのトップからインパクトまでの時間に伴うスイング特徴(スイング特徴の内容については後述する)と、当該ゴルファーにマッチしたシャフトのインチ毎の硬さとの間には相関関係があるという仮定のもと、鋭意研究・検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、ボールを打撃するときのゴルファーのスイングは、アドレス→トップ→インパクトと推移するが、その際、ゴルフクラブのシャフトは、当該ゴルフクラブの先端に比較的重量が大きいヘッドが存在するため、その慣性により曲げが生じる。この曲げは、スイングの全過程において、シャフトの同一箇所に生じるのではなく、図1に示されるように、トップからインパクトに向けてシャフトの手元側から先端側に伝わる。換言すれば、トップからインパクトに向けてスイングが進行するにしたがい、シャフトにおける曲げの位置が当該シャフトの手元側から先端側に移動する。
具体的に、アドレスからテイクバックを行い、トップに至った時点(図1において(1)で示される時点)では、シャフトの手元付近に曲げが生じる。ついで、切り返しを行い、ダウンスイング初期(図1において(2)で示される時点)に至ると、曲げはシャフトの先端側にやや移動する。さらに、ゴルファーの腕が水平になる時点(図1において(3)で示される時点)では、曲げはシャフト中央よりも先端側に移動する。そして、インパクト直前(図1において(4)で示される時点)では、曲げはシャフトの先端付近まで移動する。
このようにスイング時におけるシャフトの曲げが、トップからインパクトに向けてシャフトの手元側から先端側に伝わることに鑑み、本発明者は、前記時間帯(1)〜(4)におけるゴルファーのスイング特徴に着目し、シャフトのインチ毎に最適な曲げ剛性を選定することを試みた。
具体的に、図2に示されるように、シャフト20を4つの領域に分割して、各領域中の1点の曲げ剛性を定義した。本実施形態および後述する第2実施形態では、シャフト20のチップ端20aから36インチの箇所を測定点(1)とし、26インチの箇所を測定点(2)とし、16インチの箇所を測定点(3)とし、6インチの箇所を測定点(4)としている。そして、シャフト20の4つの測定点における曲げ剛性を計測し、数値化している。なお、本明細書において、「インチ毎の」とは、1インチの、2インチの、・・・という意味ではなく、「シャフトの一端から所定インチの距離にある複数の箇所について、各箇所の」という意味であり、本実施形態における「所定インチ」とは、前述したようにシャフト20のチップ端20aから36インチ、26インチ、16インチ、6インチである。また、本実施形態では、シャフトの曲げ剛性を測定する4つの測定を、当該シャフトのチップ端から36インチ、26インチ、16インチ、及び6インチとしているが、このインチ数は、本発明において特に限定されるものではなく、各インチ数に対して、±数インチの幅内で変更することが可能である。例えば、測定点(1)をシャフトのチップ端から36±2インチとすることができる。
シャフトのインチ毎の曲げ剛性(EI値:N・m)は、例えばインテスコ社製の2020型計測機(最大荷重500kgf)を用いて図3に示されるようにして測定することができる。
具体的に、2つの支持点11、12においてシャフト20を下方から支えつつ、測定点Pに上方から荷重Fを加えたときのたわみ量αを測定する。測定点Pは、本実施形態の場合、シャフト20のチップ端20aから36インチ、26インチ、16インチ及び6インチの4箇所である。支持点11と支持点12との間の距離(スパン)は200mmである。また、測定点Pは、支持点11と支持点12の中間点である。上方から荷重Fを加える圧子13の先端は、シャフト20を傷付けないように丸められている。圧子13の先端の断面形状は、シャフト軸方向に平行な断面において、10mmの曲率半径を有している。シャフト軸方向に対して垂直な方向の断面において、圧子13の先端の断面形状は直線であり、その長さは45mmである。
支持体14は、支持点11においてシャフト20を下方から支持する。支持体14の先端は、凸状の丸みを有している。支持体14の先端の断面形状は、シャフト軸方向に対して平行な断面において15mmの曲率半径を有する。シャフト軸方向に対して垂直な断面において、支持体14の先端の断面形状は直線であり、その長さは50mmである。支持体15の形状は支持体14と同一である。支持体15は、支持点12においてシャフト20を下方から支持する。支持体15の先端は、凸状の丸みを有している。支持体15の先端の断面形状は、シャフト軸方向に対して平行な断面において15mmの曲率半径を有する。シャフト軸方向に対して垂直な断面において、支持体15の先端の断面形状は直線であり、その長さは50mmである。
前述した支持体14及び支持体15を固定した状態で、圧子13を5mm/minの速度で下方へ移動させる。そして、荷重Fが20kgに達した時点で圧子13の移動を終了させる。圧子13の移動を終了させた瞬間におけるシャフト20のたわみ量α(mm)を測定し、以下の式(2)にしたがって曲げ剛性EI(N・m)を計算する。
曲げ剛性EI(N・m)=32.7/α ・・・・・・(2)
そして、測定されたシャフトのインチ毎の曲げ剛性を指標としてフィッティングが行われる。インチ毎のシャフトの硬さ(曲げ剛性)は、トップからインパクトまでの時間に伴うスイング特徴と相関関係があり、個々のゴルファーにおける前記スイング特徴が分かれば、その特徴に合ったインチ毎のシャフトの硬さを決めることができる。スイング中のシャフトの曲げないし変形(たわみ量)は、前述したように、トップからダウンスイングにかけてシャフトの手元側から先端側に曲げが伝わっていく。本発明では、この曲げの伝わりに着目し、トップ付近のシャフトの撓み量がトップ付近のグリップの挙動(角速度)の速い遅いに関係があることから、この速度が速いゴルファーには硬めのシャフトを提供し、遅いゴルファーには軟らかめのシャフトを提供する。
本実施形態では、前述した方法によりインチ毎に測定されたシャフトの曲げ剛性に応じて複数段階のランク値のうちいずれかの値を付与している。具体的に、曲げ剛性に応じて10段階のIFCのうちいずれかの値を付与している。このIFCは、International Flex Cord(インターナショナル・フレックス・コード)の略であり、シャフトの硬さを表すものとして本出願人により提案されている指標である。
以下の表1〜4は、それぞれ測定点(1)〜(4)におけるシャフトのEI値からIFCへの変換表である。シャフトの硬さを10段階に分ける方法として、市販されている全てのシャフトを対象にして10段階に分ける方法や、使用頻度などを考慮して、フィッターがユーザーに提供しようとして用意したシャフトの範囲内で10段階に分ける方法など、いくつかの方法が考えられるが、本実施形態では、後者の方法によりフィッティングを行っている。
Figure 0006087132
Figure 0006087132
Figure 0006087132
Figure 0006087132
〔スイング特徴量〕
本発明では、図4に示されるように、ゴルフクラブのフィッティングを希望するゴルファーに実際にスイングをしてもらい、そのスイングから、当該ゴルファーに特有のスイング特徴量を計測している。ゴルフクラブ1のグリップエンドには、図5〜6に示されるように、3軸回りの角速度を計測することができるセンサ2がアダプター3を介して取り付けられている。センサ2は、平面視正方形状の箱体からなるケーシング2aを備えており、このケーシング2aは、両面テープ、接着剤、ねじ止めなどによりグリップエンドに固定することができる。図4に示される例では、ゴルファーGは右利きであり、所定位置にセットされたボールBを打撃するためのスイングを開始する直前のアドレス状態である。
なお、フィッティングの精度を向上させるために、ユーザーのマイクラブの長さが、データベースに記憶されているシャフトに基づくゴルフクラブの長さと異なる場合は、データベースで準備したクラブ長さ相当のクラブ総重量に変更することで、当該ユーザーにマッチしたシャフトを選定することができる。例えば、データベースに記憶されているクラブの長さが45インチであり、ユーザーのクラブ長さA(mm)が、45インチ(=1143mm)と異なる場合、計測のためにスイングするクラブの総重量を次の式により算出したもの(45インチ相当の総重量)に変更して、フィッティングを行う。
(計測に活用するクラブ総重量)=(A−1143)×0.377+(マイクラブのクラブ総重量)
センサ2は無線式であり、測定されたデータは、無線により、データ解析装置としてのコンピュータ10に内蔵された無線受信装置(図示せず)に送信される。無線通信として、例えばBluetooth(ブルートゥース(Bluetoothは登録商標である。))の規格及び技術を用いることができる。
センサ2は、3軸方向(x軸方向、y軸方向、及びz軸方向)回りの角速度を計測することができる角速度センサ(図示せず)を内蔵している。センサ2は、更に、A/D変換器、CPU、無線インターフェース、無線アンテナ及び電源を備えている。電源としては、例えばボタン型のリチウムイオン電池などを用いることができる。電池は充電可能なものであってもよい。そして、センサ2は、電池を充電するための充電回路を備えていてもよい。使用可能なセンサ2の例としては、ワイヤレステクノロジー社製のWAA−010(商品名)をあげることができる。
なお、センサ2からの信号を受信する前記無線受信装置は、無線アンテナ、無線インターフェース、CPU及びネットワークインターフェースを備えている。
データ解析装置としてのコンピュータ10は、キーボード4及びマウス5からなる入力部6と、表示部7とを備えている。また、図示していないが、コンピュータ10は、ハードディスク、メモリ、CPU及びネットワークインターフェースを備えている。
センサ2は、x軸、y軸及びz軸の各軸回りの角速度を検知する。これらの角速度はアナログ信号として得られ、このアナログ信号は、センサ2に内蔵されているA/D変換器によってデジタル信号に変換される。A/D変換器からの出力はCPUに伝達されて1次フィルタリングなどの演算処理が実行される。こうしてセンサ2内で処理されたデータは、無線インターフェースを介して、無線アンテナからコンピュータ10に内蔵された無線受信装置に送信される。
センサ2から送信されたデータは、無線受信装置側の無線アンテナを介して、無線インターフェースによって受信される。受信されたデータは、コンピュータ10のCPUで演算処理される。
コンピュータ10に送られたデータは、ハードディスクなどのメモリ資源に記録される。ハードディスクには、データ処理などに必要なプログラム及びデータなどが記憶されている。このプログラムは、CPUに、必要なデータ処理を実行させる。CPUは、各種の演算処理を実行可能であり、演算結果は、表示部7又は図示しない印刷装置などによって出力される。
センサ2のグリップエンドへの取付に際しては、計測軸とゴルフクラブ1との関係が考慮される。本実施形態では、センサ2のz軸がゴルフクラブ1のシャフト軸に一致している。センサ2のx軸は、ゴルフクラブ1のヘッド1aのトウーヒール方向に沿うように配向される。また、センサ2のy軸は、ヘッド1aのフェース面の法線方向に沿うように配向される。このようにセンサ2を取り付けることで、演算を簡略化することができる。
本実施形態では、局座標系が考慮され、この局座標系のx軸、y軸及びz軸は、三次元直交座標系である。本実施形態では、z軸が前記ゴルフクラブ1のシャフト軸とされ、x軸は、ヘッド1aのトウーヒール方向に沿うように配向される。また、y軸は、打球方向に沿うように配向される。
すなわち、局座標系のz軸は、センサ2のz軸に一致しており、局座標系のy軸は、センサ2のy軸に一致している。また、局座標系のx軸は、センサ2のx軸に一致している。
センサ2によって、時系列的に連続した複数のデータを得ることができる。単位時間当たりのデータ数は、サンプリング周波数に依存する。
図7〜10は、ゴルファーによるアドレスからフィニッシュまでのスイングを説明する図である。スイングには、インパクト後のフォールスルーが含まれるが、本発明では、アドレスからインパクトまでのスイングの特徴に着目している。
図7〜10は、ゴルファーを正面から見た図である。スイングの始まりはアドレスであり、スイングの終わりはフィニッシュと呼ばれている。スイングは、(S1)、(S2)、(S3)、(S4)、(S5)、(S6)、(S7)、(S8)の順で進行する。図7の(S1)がアドレスであり、(S2)がテイクバックである。図8の(S3)がトップ(トップオブスイング)である。通常、トップでは、スイング中におけるヘッドの移動速度が最小である。図8の(S4)はダウンスイングである。図9の(S5)もダウンスイングであるが、図8の(S4)よりもダウンスイングが進行した状態である。図9の(S6)はインパクトであり、ゴルフクラブ1のヘッド1aとボールBとが衝突した瞬間である。図10の(S7)はフォロースルーであり、(S8)はフィニッシュである。フィニッシュで、スイングが終了する。
本実施形態では、前述したスイングにおける種々の段階のうちトップ付近からインパクトに至るダウンスイング中のコック方向の角速度ωyに着目し、時間経過にしたがって当該角速度ωyを細分化して定量化する。なお、本明細書において「トップ付近」とは、トップ直前の所定時間及びトップ直後の所定時間を含む時間帯を意味しており、具体的には、例えばトップ−50msから、トップ+50msまでの100msの時間帯を意味している。
図11は、或るスイングにおけるアドレスからインパクトまでの時間(s)とコック方向の角速度ωy(deg/s)との関係を示している。本実施形態では、図11に示されるように、スイングの時間経過にしたがって4つのスイング特徴(1)〜(4)を設定し、各スイング特徴を定量化している。
スイング特徴量(a)としてのスイング特徴量(1)は、トップ付近のコック方向の角速度ωyの傾きであり、例えばトップから50ms前の角速度ωyと、トップから50ms後の角速度ωyとの和で表すことができる。このスイング特徴量(1)は、前述したシャフトのチップ端から36インチの測定点における曲げ剛性と相関関係がある。
スイング特徴量(b)としてのスイング特徴量(2)は、トップから、角速度ωyが最大となる時点までの当該角速度ωyの平均値である。トップからインパクトまでの角速度ωyにおける最大値を求め、トップから、この最大値となる時点までの角速度ωyの累積値を、トップから、前記最大値となる時点までの時間で除することにより前記平均値を求めることができる。このスイング特徴量(2)は、前述したシャフトのチップ端から26インチの測定点における曲げ剛性と相関関係がある。
スイング特徴量(c)としてのスイング特徴量(3)は、角速度ωyが最大となる時点からインパクトまでの当該角速度ωyの平均値であり、前記最大値となる時点からインパクトまでの角速度ωyの累積値を、前記最大値となる時点からインパクトまでの時間で除することにより前記平均値を求めることができる。このスイング特徴量(3)は、前述したシャフトのチップ端から16インチの測定点における曲げ剛性と相関関係がある。
スイング特徴量(d)としてのスイング特徴量(4)は、トップからインパクトまでの角速度ωyの平均値であり、トップからインパクトまでの角速度ωyの累積値を、トップからインパクトまでの時間で除することにより前記平均値を求めることができる。このスイング特徴量(4)は、前述したシャフトのチップ端から6インチの測定点における曲げ剛性と相関関係がある。
以上のスイング特徴量(1)〜(4)は、フィッティングを希望するゴルファーに所定数のボール、例えば5球のボールを試打してもらい、各打球時に算出したスイング特徴量の平均を当該ゴルファーのスイング特徴量と設定することができる。
〔インチ毎のシャフト剛性の算出〕
ついで、算出されたスイング特徴量(1)〜(4)に基づいて、当該ゴルファーに適したインチ毎のシャフト剛性を計算する。この計算に先立って、予め各スイング特徴量について、スイング特徴量と好ましいシャフトの曲げ剛性(EI値)との関係を表す近似式を求めておく。この近似式は、複数のテスターに試打をしてもらうことでデータを収集し、このデータに基づいて作成する。近似式の信頼性を高める観点からは、テスターの数は多い方が好ましい。本実施形態では、テスターを、ハンディが20以下の中級者又は上級者とした。各テスターに対し、予め用意した複数のゴルフクラブ(ドライバー)の中から普段使用しているゴルフクラブの重量、長さ及びフレックス(又は調子)を基準にして数本のゴルフクラブを選定し、この数本のゴルフクラブについてそれぞれ数球、例えば6球試打(ミスショットを除く)してもらい、後述する基準にしたがって振り易いゴルフクラブを選定してもらった。
振り易いゴルフクラブは、「飛距離」、「方向性」及び「振り易さ」の3つの項目について、例えば以下の表5に示される評価基準にしたがい点数化し、得点合計が1.5点以上のクラブを振り易いクラブと判断する。選定した数本のゴルフクラブは、シャフト部分が黒塗りであり、テスターに対してランダムに提供された。これにより、テスターはどのクラブで打っているのかを判断することができないようにした。試打は、3球×クラブ本数を2セット行い、振り易さのアンケートは、或るクラブについて3球試打したら、その都度点数を確認してもらった。
Figure 0006087132
図13は、前記のようにして予め作成された「6インチ」の測定点におけるスイング特徴量(4)と曲げ剛性(EI値)との関係を示す図であり、図14は、「6インチ」の測定点におけるEI値算出のフローを示す図である。なお、図14において、「ωy4」は、コック方向の角速度のスイング特徴量(4)のことである。後出する図16、18,20においても同様である。
本実施形態では、EI値算出の精度を向上させるために、1つの近似式だけではなく3つの近似式を予め用意している。スイング特徴量(4)と「6インチ」の測定点におけるEI値との関係を1つの近似式で表すことも可能であるが、トップ付近におけるx軸方向の角速度ωxが極端に小さいゴルファーやヘッド速度がかなり小さいゴルファーなど平均的なスイングから外れたゴルファーに対しては、1つの近似式では信頼性の高いEI値を算出することができない場合がある。そこで、平均的なゴルファーに対応する通常の近似式とともに、本実施形態では、例外(1)近似式と、例外(2)近似式とを用意している。
まず、ステップS1において、例外処理(1)が実行される。具体的に、トップ付近におけるx軸方向の角速度ωxがωx<−300であり、且つ、トップからインパクトまでのy軸方向の角速度ωyの平均値とトップからインパクトまでのx軸方向の角速度ωxの平均値との比(ωy(全体)/ωx(全体))が0.55以下であるか否かが判断され、Yesの場合は、図13において一点鎖線で示される例外(1)近似式を用いてEI値が算出される。
一方、ステップS1においてNoの場合は、ステップS2に進んで例外処理(2)が実行される。この例外処理(2)では、以下の5つの条件(a)〜(e)のうち少なくとも1つが満たされているか否かが判断される。
(a)トップからインパクトまでのz軸方向の角速度ωzの累積値が極端に大きく、ωz>270である。
(b)ヘッド速度が41.0m/s未満である。
(c)トップ付近におけるx軸方向の角速度ωxが、ωx>0である。
(d)トップからインパクトまでのy軸方向の角速度ωyの平均値とトップからインパクトまでのx軸方向の角速度ωxの平均値との比(ωy(全体)/ωx(全体))が2.0以上である。
(e)トップからインパクトまでのy軸方向の角速度ωyの平均値とトップからインパクトまでのx軸方向の角速度ωxの平均値との比(ωy(全体)/ωx(全体))が1.5以上であり、且つ、スイング特徴量(4)が800よりも大きい。
ステップS2においてYesの場合は、図13において破線で示される例外(2)近似式を用いてEI値が算出される。一方、ステップS2においてNoの場合は、図13において実線で示される通常近似式を用いてEI値が算出される。
通常近似式、例外(1)近似式及び例外(2)近似式は、いずれも最小二乗法による回帰直線を表す一次式とすることができる。各式の傾きと切片を次の表6に示す。
Figure 0006087132
図15は、前記のようにして予め作成された「16インチ」の測定点におけるスイング特徴量(3)と曲げ剛性(EI値)との関係を示す図であり、図16は、「16インチ」の測定点におけるEI値算出のフローを示す図である。
まず、ステップS11において、例外処理(3)が実行される。具体的に、以下の3つの条件(f)〜(h)のうち少なくとも1つが満たされているか否かが判断される。
(f)トップからインパクトまでのy軸方向の角速度ωyの平均値とトップからインパクトまでのx軸方向の角速度ωxの平均値との比(ωy(全体)/ωx(全体))が1.5以上である。
(g)ヘッド速度(HS)が41m/s未満であり、且つ、スイング特徴量(3)が800よりも大きい。
(h)トップ付近におけるx軸方向の角速度ωxが−300よりも小さく、且つ、トップからインパクトまでのy軸方向の角速度ωyの平均値とトップからインパクトまでのx軸方向の角速度ωxの平均値との比(ωy(全体)/ωx(全体))が0.55以下である。
ステップS11においてYesの場合は、図15において一点鎖線で示される例外(3)近似式を用いてEI値が算出される。一方、ステップS11においてNoの場合は、ステップS12に進んで例外処理(4)が実行される。この例外処理(4)では、ヘッド速度が41m/s未満であり、且つ、スイング特徴量(3)が800よりも小さいか否かが判断される。
ステップS12においてYesの場合は、図15において破線で示される例外(4)近似式を用いてEI値が算出される。一方、ステップS12においてNoの場合は、図15において実線で示される通常近似式を用いてEI値が算出される。
通常近似式、例外(3)近似式及び例外(4)近似式は、いずれも最小二乗法による回帰直線を表す一次式とすることができる。各式の傾きと切片を次の表7に示す。
Figure 0006087132
図17は、前記のようにして予め作成された「26インチ」の測定点におけるスイング特徴量(2)と曲げ剛性(EI値)との関係を示す図であり、図18は、「26インチ」の測定点におけるEI値算出のフローを示す図である。このスイング特徴量(2)については、ゴルファーのヘッド速度に応じて3つの近似式が設定されている。すなわち、ヘッド速度が41m/sよりも小さい場合(ケース1)、41m/s以上であり45m/s以下である場合(ケース2)、及び45m/sよりも大きい場合(ケース3)のそれぞれについて近似式が設定されている。
まず、ステップS21において、ヘッド速度に関し、ケース1、ケース2及びケース3のいずれかであるかが判断される。ケース1の場合は、図17において一点鎖線で示される近似式を用いてEI値が算出される。また、ケース2の場合は、ステップS22に進んで例外処理(5)が実行される。この例外処理(5)では、トップ付近におけるx軸方向の角速度ωxが0よりも大きいか否かが判断される。
ステップS22においてYesの場合は、図17において一点鎖線で示される近似式を用いてEI値が算出される。一方、ステップS22においてNoの場合は、ステップS23に進んで例外処理(6)が実行される。この例外処理(6)では、フィッティングを行うゴルファーが普段使用しているクラブ(マイクラブ)の重量が305g未満であるか否かが判断される。
ステップS23においてYesの場合は、図17において一点鎖線で示される近似式を用いてEI値が算出される。一方、ステップS23においてNoの場合は、図17において実線で示される近似式を用いてEI値が算出される。
また、ステップS21においてケース3の場合は、ステップS24に進んで例外処理(7)が実行される。この例外処理(7)では、z軸方向の角速度ωzが270よりも大きいか否かが判断される。ステップS24においてYesの場合は、図17において実線で示される近似式を用いてEI値が算出される。
一方、ステップS24においてNoの場合は、ステップS25に進んで例外処理(8)が実行される。この例外処理(8)では、フィッティングを行うゴルファーが普段使用しているクラブ(マイクラブ)の重量が318g未満であるか否かが判断される。ステップS25においてYesの場合は、図17において実線で示される近似式を用いてEI値が算出される。一方、ステップS25においてNoの場合は、図17において破線で示される近似式を用いてEI値が算出される。
ケース(1)の近似式、ケース(2)の近似式及びケース(3)の近似式は、いずれも最小二乗法による回帰直線を表す一次式とすることができる。各式の傾きと切片を次の表8に示す。
Figure 0006087132
図19は、前記のようにして予め作成された「36インチ」の測定点におけるスイング特徴量(1)と曲げ剛性(EI値)との関係を示す図であり、図20は、「36インチ」の測定点におけるEI値算出のフローを示す図である。このスイング特徴量(1)についても、ゴルファーのヘッド速度に応じて3つの近似式が設定されている。すなわち、ヘッド速度が41m/sよりも小さい場合(ケース1)、41m/s以上であり45m/s以下である場合(ケース2)、及び45m/sよりも大きい場合(ケース3)のそれぞれについて近似式が設定されている。
まず、ステップS31において、ヘッド速度に関し、ケース1、ケース2及びケース3のいずれかであるかが判断される。ケース1の場合は、図19において一点鎖線で示される近似式を用いてEI値が算出される。また、ケース2の場合は、ステップS32に進んで例外処理(5)が実行される。この例外処理(5)では、トップ付近におけるx軸方向の角速度ωxが0よりも大きいか否かが判断される。
ステップS32においてYesの場合は、図19において一点鎖線で示される近似式を用いてEI値が算出される。一方、ステップS32においてNoの場合は、ステップS33に進んで例外処理(6)が実行される。この例外処理(6)では、フィッティングを行うゴルファーが普段使用しているクラブ(マイクラブ)の重量が305g未満であるか否かが判断される。
ステップS33においてYesの場合は、図19において一点鎖線で示される近似式を用いてEI値が算出される。一方、ステップS33においてNoの場合は、図19において実線で示される近似式を用いてEI値が算出される。
また、ステップS31においてケース3の場合は、ステップS34に進んで例外処理(7)が実行される。この例外処理(7)では、z軸方向の角速度ωzが270よりも大きいか否かが判断される。ステップS34においてYesの場合は、図19において実線で示される近似式を用いてEI値が算出される。
一方、ステップS34においてNoの場合は、ステップS35に進んで例外処理(8)が実行される。この例外処理(8)では、フィッティングを行うゴルファーが普段使用しているクラブ(マイクラブ)の重量が318g未満であるか否かが判断される。ステップS35においてYesの場合は、図19において実線で示される近似式を用いてEI値が算出される。一方、ステップS35においてNoの場合は、図19において破線で示される近似式を用いてEI値が算出される。
ケース(1)の近似式、ケース(2)の近似式及びケース(3)の近似式は、いずれも最小二乗法による回帰直線を表す一次式とすることができる。各式の傾きと切片を次の表9に示す。
Figure 0006087132
〔インチ毎のIFCの算出〕
前述した方法によりインチ毎に算出されたシャフトのEI値について、例えば前記表1〜4に示される変換表を用いて、10段階のIFCのうちいずれかの値を算出する。本実施形態では、前述したように、使用頻度などを考慮して、フィッターがユーザーに提供しようとして用意したシャフトの範囲内で10段階に分ける方法を採用している。
〔シャフトの選定〕
以上のようにして、フィッティングを行うゴルファーについて、インチ毎のIFCが算出される。算出されるIFCの例として、36インチ:5、26インチ:4、16インチ:4、6インチ:2をあげることができる。
そして、この計算結果と最もマッチするシャフトをデータベースから選定する。データベースには、予め複数種類のシャフトについて計測されたインチ毎のIFC、重量などのデータが記憶されている。このデータベースを用いて、以下の式(3)に示される「一致度」をデータベースに記憶されている全てのクラブについて計算し、その値が最も小さいクラブをゴルファーに提案する。なお、本明細書における「一致度」は、一致している度合いを意味するのではなく、式(3)から明らかなように、その値が小さいほど計算結果に近い曲げ剛性を有するシャフトであるということを意味する指標である。一致度が0とは、計算結果と同じインチ毎の曲げ剛性を有するシャフトであるということである。
Figure 0006087132
また、一致度が同程度に小さいシャフトが複数本存在する場合は、ユーザーに複数本提案してもよいし、ユーザーの要望を考慮して1本に絞り込んでもよい。絞込みの基準としては、振り易さを重視して、シャフト手元側の「36インチ」又は「26インチ」におけるIFCの一致度を優先させる方法や、パフォーマンス(飛距離、方向性)を重視して、シャフト先端側の「16インチ」又は「6インチ」におけるIFの一致度を優先させる方法がある。
また、本実施形態では、前述した「一致度」に基づく選定を行うに際し、事前にフィッティングを行うゴルファーに対しマイクラブ重量のヒヤリングを実施している。ヒヤリングの結果に基づき、データベースに記憶されている複数本のシャフトの中から、ゴルファーのマイクラブ重量±5gの範囲内のシャフトの中からフィッティングを行う。選定されたシャフトを備えたゴルフクラブの重量が普段使用しているマイクラブの重量に比べて大きく変化すると、タイミングがとりにくくなり、振り難くなることから、ゴルファーのパフォーマンスが発揮できなくなる惧れがある。これを確実に防止するために、ゴルファーのマイクラブ重量±5gの範囲内のシャフトの中からフィッティングを行うことが好ましい。
〔検証結果〕
シャフトを自在に交換することができるシャフト交換式のゴルフクラブを作製し、このゴルフクラブを用いて本実施形態に係るフィッティング方法の有効性の検証を行った。
S又はXシャフトを使用しているシングル相当のテスターを対象として実験を行った。テスターの数は23名であり、ヘッド速度は41〜51m/s程度であった。
まず、センサがグリップに取り付けられたゴルフクラブを用いてボールを試打してもらい、テスターのスイング特徴量を計測し、このスイング特徴量から当該テスターにマッチする曲げ剛性を有する1本のシャフトをデータベースから決定した。このデータベースには、予めインチ毎のIFCが算出された59本のシャフトのデータが記憶されている。
ついで、59本のシャフトの中からテスターのマイクラブ±5g以内であって、シャフト特性(フレックス、調子)が異なる5本のシャフトを用いて試打してもらった。5本のシャフトは、図21に示されるように、フレックス(硬さ)及び調子について、硬くて先調子、硬くて中位の調子、中位の硬さで中位の調子、柔らかくて中位の調子、及び、軟らかくて手元調子、という特性を有していた。重量別に、このような5つのパターンの特性を有するシャフトを準備しておいた。
試打の結果、大きな飛距離があり、球筋が曲がらず、振りやすいクラブが5本のうち1本である場合、そのクラブのシャフト特性に近いシャフトが選定されているか否か、2本以上存在する場合は、それらシャフトを含む楕円内(図21の斜線部分参照)に選定したシャフトが含まれているか又は近傍に存在するか否かを評価基準とした。
23名のテスターについて、フィッティングしたクラブが楕円内に含まれる場合を「正解」とした。結果は、23名中、21名のテスターについて正しくフィッティングされていたことを確認した。正解率は、(21/23)×100≒91%であった。そして、効果があった(正解であった)21名について、飛距離、方向性及び振り易さに関し、どの程度の効果があったかを確認した。21名の平均値として、飛距離は5.5ヤードアップし、方向性はセンターへ12ヤード向かい、振り易さは1.0ポイント改善されたことが確認された。なお、振り易さの評価は、図12に示されるように、9段階の評価(「5」がどちらでもない)に基づいている。
[第2実施形態]
つぎに本発明のフィッティング方法の第2実施形態について説明する。
この第2実施形態では、ヘッドスピードが遅いゴルファーにも適用できるようにスイング特徴量からEI値を算出する際に用いる近似式の数を増やしている。また、EI値から求められるIFCの値から直ちに一致度(前記式(3)参照)を求めるのではなく、インチ毎のIFC値がシャフトのグリップ側(手元側)からヘッド側(先端側)に向けてどのように変化しているかを示すIFC値変化パターンに基づいて、このIFC値変化パターンに近いIFC値変化パターンを備えたシャフト群を選択し、ついでこの選択されたシャフト郡について、IFCの値から算出される一致度に基づいてゴルファーにフィットするシャフトを選択している。また、一致度の算出方法においても、第1実施形態では、差の絶対値の和を一致度としているが、第2実施形態では、かかる和以外に、IFC値変化パターンの差も考慮して一致度を算出している。
なお、第2実施形態におけるスイング特徴量(1)〜(4)の意義およびそれらの求め方は、第1実施形態と同様であるので、簡単のため、それらの説明は省略する。
本実施形態においても、図3を用いて説明した方法によりインチ毎に測定されたシャフトの曲げ剛性に応じて複数段階のランク値のうちいずれかの値を付与している。具体的に、曲げ剛性に応じて10段階のIFCのうちいずれかの値を付与している。このIFCは、第1実施形態において用いたIFCに対し、段階間の境界値などに修正を加えた修正IFCである。
以下の表10〜13は、それぞれ測定点(1)〜(4)におけるシャフトのEI値からIFCへの変換表である。シャフトの硬さを10段階に分ける方法として、市販されている全てのシャフトを対象にして10段階に分ける方法や、使用頻度などを考慮して、フィッターがユーザーに提供しようとして用意したシャフトの範囲内で10段階に分ける方法など、いくつかの方法が考えられるが、本実施形態では、前者の方法によりフィッティングを行っている。
Figure 0006087132
Figure 0006087132
Figure 0006087132
Figure 0006087132
〔インチ毎のシャフト剛性の算出〕
本実施形態においても、第1実施形態と同様、算出されたスイング特徴量(1)〜(4)に基づいて、当該ゴルファーに適したインチ毎のシャフト剛性を計算する。この計算に先立って、予め各スイング特徴量について、スイング特徴量と好ましいシャフトの曲げ剛性(EI値)との関係を表す近似式を求めておく。この近似式は、複数のテスターに試打をしてもらうことでデータを収集し、このデータに基づいて作成する。近似式の汎用性を高める観点からは、テスターの数は多い方が好ましい。本実施形態では、テスターを、第1実施形態よりも軽量なゴルフクラブを使用しており、ハンディキャップが20以下の方とした。各テスターに対し、予め用意した複数のゴルフクラブ(ドライバー)の中から普段使用しているゴルフクラブの重量、長さ及びフレックス(又は調子)を基準にして数本のゴルフクラブを選定し、この数本のゴルフクラブについてそれぞれ数球、例えば6球試打(ミスショットを除く)してもらい、後述する基準にしたがって振り易いゴルフクラブを選定してもらった。
振り易いゴルフクラブは、「飛距離」、「方向性」及び「振り易さ」の3つの項目について、前述した表5に示される評価基準にしたがい点数化し、得点合計が1.5点以上のクラブを振り易いクラブと判断する。選定した数本のゴルフクラブは、シャフト部分が黒塗りであり、テスターに対してランダムに提供された。これにより、テスターはどのクラブで打っているのかを判断することができないようにした。試打は、3球×クラブ本数を2セット行い、振り易さのアンケートは、或るクラブについて3球試打したら、その都度点数を確認してもらった。
図22は、前記のようにして予め作成された「6インチ」の測定点におけるスイング特徴量(4)と曲げ剛性(EI値)との関係を示す図であり、図23は、「6インチ」の測定点におけるEI値算出のフローを示す図である。なお、図23および後出する図25、27,29における「ωy1」などの指標の意味は以下のとおりである。
ωy1:トップ付近におけるy軸周りの角速度変化量
ωy2:トップからωy最大値までのy軸周りの平均角速度
ωy2:ωy最大値からインパクトタイミングまでのy軸周りの平均角速度
ωy2:トップからインパクトタイミングまでのy軸周りの平均角速度
ωx1:トップ付近におけるx軸周りの角速度変化量
ωz4:トップからインパクトタイミングまでのz軸周りの平均角速度
ωx4/ωy4:(トップからインパクトタイミングまでのz軸周りの平均角速度)/(トップからインパクトタイミングまでのz軸周りの平均角速度)
本実施形態では、EI値算出の精度を向上させるために、1つの近似式だけではなく3つ又は4つの近似式を予め用意している。各スイング特徴量とインチ毎の測定点におけるEI値との関係を1つの近似式で表すことも可能であるが、ヘッド速度がかなり小さいゴルファーや、ωxやωzの動きが特徴的な動きをしているなど平均的なスイングから外れたゴルファーに対しては、1つの近似式では信頼性の高いEI値を算出することができない場合がある。そこで、本実施形態では、複数の近似式を用意している。
具体的に、本実施形態では、図30に示されるようなスイングを行うゴルファーに対しては、コック方向の動き(ωyが関連する)だけでなく、ローテーション(シャフト軸周りの回転のこと)やゴルファーの手の甲方向の動きも考慮した近似式としている。
図30は、4つの例外要因を示している。このうち、例外要因1および例外要因3は、ゴルファーの手の甲方向の動きに関連しており、それぞれトップにおいてフェースが極端に開いている場合および極端に閉じている場合に対応している。また、例外要因2および例外要因4は、ローテーションに関連しており、それぞれローテーションが極端に大きい場合および極端に小さい場合に対応している。
例外要因1は、ヘッドスピードが42m/sより大きく、且つ、トップでフェースが極端に開く場合である。トップにおいてフェースが開き易い場合、切り返し直後にグリップは一旦フェースが開く。先調子のシャフトであると、よりフェースが開いてインパクト直前でフェースが戻らない、すなわちフェースが遅れる可能性がある。したがって、元調子系のシャフトとなるようなEI値が算出される近似式を提案する。この提案した近似線を使うことで、ヘッド速度のみを考慮したランク値に対して、図30の例外要因1に記載したように変更されることになる。
例外要因2は、ヘッドスピードが42m/sより大きく、且つ、ローテーションが極端に大きい場合である。ローテーションが極端に大きい場合、先調子のシャフトであると、よりフェースが返るため、ボールが左に飛びやすくなるという不適切な状態になる可能性がある。したがって、したがって、特に、手元側の硬さを低くすることで、先調子ではなく中調子傾向のシャフトとなるようなEI値が算出される近似式を提案する。この提案した近似線を使うことで、ヘッド速度のみを考慮したランク値に対して、図30の例外要因2に記載したように変更されることになる。
例外要因3は、ヘッドスピードが42m/s以下であり、且つ、トップでフェースが極端に閉じる場合である。トップにおいてフェースが閉じ易い場合、先調子のシャフトであると、さらにフェースが閉じてしまう可能性がある。したがって、元調子系のシャフトとなるようなEI値が算出される近似式を提案する。この提案した近似線を使うことで、ヘッド速度のみを考慮したランク値に対して、図30の例外要因3に記載したように変更されることになる。
例外要因4は、ヘッドスピードが42m/s以下であり、且つ、ローテーションが極端に小さい場合である。ローテーションが小さい場合、少しヘッドを走らせる必要がある。そのために、手元側を少し硬くして先調子系のシャフトとなるようなEI値が算出される近似式を提案する。この提案した近似線を使うことで、ヘッド速度のみを考慮したランク値に対して、図30の例外要因4に記載したように変更されることになる。なお、ヘッドスピードが遅いゴルファーについて、先端側をこれ以上柔らかくするシャフトが存在しないためである。
まず、「6インチ」の測定点におけるEI値算出の方法について説明する。「6インチ」の測定点におけるEI値算出に用いられる近似式EI(6)は以下の近似式(6−1)〜(6−3)のいずれかである。
近似式(6−1):EI(6)=0.012×ωy4+22.5
近似式(6−2):EI(6)=0.012×ωy4+16.5
近似式(6−3):EI(6)=0.012×ωy4+13.5
ステップS41において、ヘッドスピード(HS)が42m/sより大きく、且つ、ωx4/ωy4が0.55以上であり、且つ、ωx1が−300より小さいか否かが判断され、Yesの場合は前記近似式(6−1)を用いてEI値が算出される。
一方、ステップS41においてNoの場合は、ステップS42に進む。ステップS42では、ヘッドスピードに関し、ケース1、ケース2およびケース3のいずれであるかが判断される。ヘッドスピードが45m/s以上のケース1であると判断されると、前記近似式(6−2)を用いてEI値が算出される。ヘッドスピードが45m/s未満であり且つ42m/sより大きいケース2であると判断されると、ステップS43に進む。ヘッドスピードが42m以下のケース3であると判断されると、ステップS44に進む。
ステップS43において、ωz4が250以上であり、且つ、ωx4/ωy4が1.25以上であるか否かが判断される。Yesの場合は前記近似式(6−3)を用いてEI値が算出され、Noの場合は前記近似式(6−2)を用いてEI値が算出される。
ステップS44において、ωx4/ωy4が1.5以上であり、且つ、ωx1が0以上であり、且つ、ωz4が75以上であるか否かが判断される。Yesの場合は前記近似式(6−2)を用いてEI値が算出され、Noの場合は前記近似式(6−3)を用いてEI値が算出される。
図24は、前記のようにして予め作成された「16インチ」の測定点におけるスイング特徴量(3)と曲げ剛性(EI値)との関係を示す図であり、図25は、「16インチ」の測定点におけるEI値算出のフローを示す図である。「16インチ」の測定点におけるEI値算出に用いられる近似式EI(16)は以下の式(16−1)〜(16−4)のいずれかである。
近似式(16−1):EI(16)=0.0143×ωy3+30.0
近似式(16−2):EI(16)=0.0140×ωy3+23.2
近似式(16−3):EI(16)=0.0100×ωy3+20.5
近似式(16−4):EI(16)=0.00643×ωy3+19.0
ステップS51において、ヘッドスピード(HS)が42m/sより大きく、且つ、ωx4/ωy4が0.55以上であり、且つ、ωx1が−300より小さいか否かが判断され、Yesの場合は前記近似式(16−1)を用いてEI値が算出される。
一方、ステップS51においてNoの場合は、ステップS52に進む。ステップS52では、ヘッドスピードに関し、ケース1、ケース2、ケース3およびケース4のいずれであるかが判断される。ヘッドスピードが45m/s以上のケース1であると判断されると、前記近似式(16−2)を用いてEI値が算出される。ヘッドスピードが45m/s未満であり且つ42m/sより大きいケース2であると判断されると、ステップS43に進む。ヘッドスピードが42m/s以下であり且つ38m/sより大きいケース3であると判断されると、ステップS54に進む。ヘッドスピードが38m以下のケース4であると判断されると、ステップS55に進む。
ステップS53において、ωz4が250以上であり、且つ、ωx4/ωy4が1.25以上であるか否かが判断される。Yesの場合は前記近似式(16−3)を用いてEI値が算出され、Noの場合は前記近似式(16−2)を用いてEI値が算出される。
ステップS54において、ωx4/ωy4が1.5以上であり、且つ、ωx1が0以上であり、且つ、ωz4が75以上であるか否かが判断される。Yesの場合は前記近似式(16−2)を用いてEI値が算出され、Noの場合は前記近似式(16−3)を用いてEI値が算出される。
ステップS55において、ωx4/ωy4が1.5以上であり、且つ、ωx1が0以上であり、且つ、ωz4が75以上であるか否かが判断される。Yesの場合は前記近似式(16−3)を用いてEI値が算出され、Noの場合は前記近似式(16−4)を用いてEI値が算出される。
図26は、前記のようにして予め作成された「26インチ」の測定点におけるスイング特徴量(2)と曲げ剛性(EI値)との関係を示す図であり、図27は、「26インチ」の測定点におけるEI値算出のフローを示す図である。「26インチ」の測定点におけるEI値算出に用いられる近似式EI(26)は以下の式(26−1)〜(26−4)のいずれかである。
近似式(26−1):EI(26)=0.0143×ωy2+30.0
近似式(26−2):EI(26)=0.0140×ωy2+23.2
近似式(26−3):EI(26)=0.0100×ωy2+20.5
近似式(26−4):EI(26)=0.00643×ωy2+19.0
ステップS61において、ヘッドスピードに関し、ケース1、ケース2、ケース3およびケース4のいずれであるかが判断される。ヘッドスピードが45m/s以上のケース1であると判断されると、ステップS62に進む。ヘッドスピードが45m/s未満であり且つ42m/sより大きいケース2であると判断されると、ステップS63に進む。ヘッドスピードが42m/s以下であり且つ38m/sより大きいケース3であると判断されると、ステップS64に進む。ヘッドスピードが38m以下のケース4であると判断されると、前記近似式(26−4)を用いてEI値が算出される。
ステップS62において、ωz4が250以上であるか否かが判断される。Yesの場合は前記近似式(26−2)を用いてEI値が算出され、Noの場合は前記近似式(26−1)を用いてEI値が算出される。
ステップS63において、ωz4が250以上であり、且つ、ωx4/ωy4が1.25以上であるか否かが判断される。Yesの場合は前記近似式(26−3)を用いてEI値が算出され、Noの場合は前記近似式(26−2)を用いてEI値が算出される。
ステップS64において、ωx4/ωy4が1.5以上であり、且つ、ωx1が0以上であり、且つ、ωz4が75以上であるか否かが判断される。Yesの場合は前記近似式(26−4)を用いてEI値が算出され、Noの場合は前記近似式(26−3)を用いてEI値が算出される。
図28は、前記のようにして予め作成された「36インチ」の測定点におけるスイング特徴量(1)と曲げ剛性(EI値)との関係を示す図であり、図29は、「36インチ」の測定点におけるEI値算出のフローを示す図である。「36インチ」の測定点におけるEI値算出に用いられる近似式EI(36)は以下の式(36−1)〜(36−4)のいずれかである。
近似式(36−1):EI(36)=0.057×ωy1+71.0
近似式(36−2):EI(36)=0.035×ωy1+70.3
近似式(36−3):EI(36)=0.026×ωy1+68.2
近似式(36−4):EI(36)=0.0095×ωy1+66.1
ステップS71において、ヘッドスピードに関し、ケース1、ケース2、ケース3およびケース4のいずれであるかが判断される。ヘッドスピードが45m/s以上のケース1であると判断されると、ステップS72に進む。ヘッドスピードが45m/s未満であり且つ42m/sより大きいケース2であると判断されると、ステップS73に進む。ヘッドスピードが42m/s以下であり且つ38m/sより大きいケース3であると判断されると、ステップS74に進む。ヘッドスピードが38m以下のケース4であると判断されると、前記近似式(36−4)を用いてEI値が算出される。
ステップS72において、ωz4が250以上であるか否かが判断される。Yesの場合は前記近似式(36−2)を用いてEI値が算出され、Noの場合は前記近似式(36−1)を用いてEI値が算出される。
ステップS73において、ωz4が250以上であり、且つ、ωx4/ωy4が1.25以上であるか否かが判断される。Yesの場合は前記近似式(36−3)を用いてEI値が算出され、Noの場合は前記近似式(36−2)を用いてEI値が算出される。
ステップS74において、ωz4が75未満であるか否かが判断される。Yesの場合は前記近似式(36−2)を用いてEI値が算出され、Noの場合は前記近似式(36−3)を用いてEI値が算出される。
ステップS75において、ωz4が75未満であるか否かが判断される。Yesの場合は前記近似式(36−3)を用いてEI値が算出され、Noの場合は前記近似式(36−4)を用いてEI値が算出される。
〔インチ毎のIFCの算出〕
前述した方法によりインチ毎に算出されたシャフトのEI値について、例えば前記表10〜13に示される変換表を用いて、10段階のIFCのうちいずれかの値を算出する。本実施形態では、前述したように、市販されている全てのシャフトを対象にして10段階に分ける方法を採用している。
〔シャフトの選定〕
つぎに計算により算出されたIFC値を用いてゴルファーに適したシャフトが選定される。図31は、本実施形態において、提案シャフトを決定する方法を示すフローである。
まず、本実施形態では、ステップS81において、インチ毎のIFC値や重量などのスペックがデータベースに記憶されている複数本(例えば、百数十本)のシャフトの中から、シャフトの重量により最初の絞込みを行う。具体的に、例えば基準シャフト(フィッティングを希望するゴルファーが普段使用しているマイクラブにおけるシャフトの重量)±5gの範囲内のシャフトに絞り込む。
ついでステップS82において、横軸をシャフトの手元側から先端側への距離とし、縦軸をIFC値(ランク値)とする平面座標上に算出されたインチ毎のIFC値をプロットし、4つの点を結んだときに得られる形状パターンに基づいて第2の絞込みを行う。このような形状パターンは、図32に示されるように、11のパターンが考えられる。
第1の形状パターンは、シャフトの先端側に向かうにしたがいIFC値が徐々に大きくなる右上がりの形状パターンであり、第2の形状パターンは、シャフトの先端側に向かうにしたがいIFC値が徐々に小さくなる右下がりの形状パターンである。第3の形状パターンは、第1のパターンほどではないがシャフトの先端側に向かうにしたがいIFC値が徐々に大きくなるやや右上がりの形状パターンであり、第4の形状パターンは、同じく第2のパターンほどではないがシャフトの先端側に向かうにしたがいIFC値が徐々に小さくなるやや右下がりの形状パターンである。
また、第5の形状パターンは、中央の16インチ及び26インチの各測定点のIFC値が、両端の6インチ及び36インチの各測定点のIFC値よりも小さく、且つ、同程度の小ささである凹フラットの形状パターンである。第6の形状パターンは、第5の形状パターンとは逆に、中央の16インチ及び26インチの各測定点のIFC値が、両端の6インチ及び36インチの各測定点のIFC値よりも大きく、且つ、同程度の大きさである凸フラットの形状パターンである。
また、第7の形状パターンは、手元側の36インチの測定点でのIFC値を基準値として、26インチでは、この基準値よりも大きくなり、16インチでは前記基準値よりも小さくなり、6インチでは、前記基準値程度の大きさとなるNフラットの形状パターンである。第8の形状パターンは、第7の形状パターンとは逆に、手元側の36インチの測定点でのIFC値を基準値として、26インチでは、この基準値よりも小さくなり、16インチでは前記基準値よりも大きくなり、6インチでは、前記基準値程度の大きさとなる逆Nフラットの形状パターンである。
また、第9の形状パターンは、シャフトの先端側に向かうにしたがいIFC値が徐々に大きくなる傾向を示すが、その程度が第3の形状パターンよりも小さい、ほぼフラットな右上がりの形状パターンであり、第10の形状パターンは、同じくシャフトの先端側に向かうにしたがいIFC値が徐々に小さくなる傾向を示すが、その程度が第4の形状パターンよりも小さい、ほぼフラットな右下がりの形状パターンである。
また、第11の形状パターンは、4箇所の測定点におけるIFC値が全く等しいか、ほぼ等しい(例えば、1つの測定点のIFC値だけが他の測定点のIFC値よりも「1」だけ小さいか、大きいような場合)フラットな形状パターンである。
前述した形状パターンは、算出されたIFC値を平面座標上にプロットし、プロットされた4つの点を結ぶことで判断することもできるが、本実施形態では、図33〜34に示されるフローチャートにしたがって判断している。
まず、ステップS101において、判断指標として、以下のA〜Eを計算する。
A=IFC36−IFC6
B=(IFC36+IFC26)/2−(IFC16+IFC6)/2
C=IFC36−IFC26
D=IFC16−IFC6
E=abs(IFC26−IFC16)
ここで、IFC36、IFC26、IFC16およびIFC6は、それぞれ、前述した表10〜13を用いて算出された、シャフト先端から36インチ、26インチ、16インチおよび6インチにおけるIFC値であり、absは絶対値を示している。
ステップS102において、A≦−3であるか否かが判断される。Yesの場合は前述した第1の形状パターン(右上がり)であると判断され、Noの場合はステップS103に進む。
ステップS103において、A≧3であるか否かが判断される。Yesの場合は前述した第2の形状パターン(右下がり)であると判断され、Noの場合はステップS104に進む。
ステップS104において、A≦−1且つB≦−1.5であるか否かが判断される。Yesの場合は前述した第3の形状パターン(やや右上がり)であると判断され、Noの場合はステップS105に進む。
ステップS105において、A≧1且つB≧2.0であるか否かが判断される。Yesの場合は前述した第4の形状パターン(やや右下がり)であると判断され、Noの場合はステップS106に進む。
ステップS106において、C≧1且つD≦−1且つ両判断指標とも絶対値が2以上であるか否かが判断される。Yesの場合は前述した第5の形状パターン(凹フラット)であると判断され、Noの場合はステップS107に進む。
ステップS107において、C≧1且つD≦−1且つE≧1であるか否かが判断される。Yesの場合は前述した第5の形状パターン(凹フラット)であると判断され、Noの場合はステップS108に進む。
ステップS108において、C≦−1且つD≧1且つ両判断指標とも絶対値が2以上であるか否かが判断される。Yesの場合は前述した第6の形状パターン(凸フラット)であると判断され、Noの場合はステップS109に進む。
ステップS109において、C≦−1且つD≧1且つE≧1であるか否かが判断される。Yesの場合は前述した第6の形状パターン(凸フラット)であると判断され、Noの場合はステップS110に進む。
ステップS110において、C≦−1且つD≧−1且つ両判断指標とも絶対値が2以上であるか否かが判断される。Yesの場合は前述した第7の形状パターン(Nフラット)であると判断され、Noの場合はステップS111に進む。
ステップS111において、C≦−1且つD≧1且つE≧2であるか否かが判断される。Yesの場合は前述した第7の形状パターン(Nフラット)であると判断され、Noの場合はステップS112に進む。
ステップS112において、C≦1且つD≧1且つ両判断指標とも絶対値が2以上であるか否かが判断される。Yesの場合は前述した第8の形状パターン(逆Nフラット)であると判断され、Noの場合はステップS113に進む。
ステップS113において、C≦1且つD≧1且つE≧2であるか否かが判断される。Yesの場合は前述した第8の形状パターン(逆Nフラット)であると判断され、Noの場合はステップS114に進む。
ステップS114において、A≦−2且つC=0且つD≦−2であるか否かが判断される。Yesの場合は前述した第9の形状パターン(ほぼフラットな右上がり)であると判断され、Noの場合はステップS115に進む。
ステップS115において、A≦−2且つC≦−2且つD=0であるか否かが判断される。Yesの場合は前述した第9の形状パターン(ほぼフラットな右上がり)であると判断され、Noの場合はステップS116に進む。
ステップS116において、B=1.5であるか否かが判断される。Yesの場合は前述した第10の形状パターン(ほぼフラットな右下がり)であると判断され、Noの場合はステップS117に進む。
ステップS117において、A≧2且つC=0且つD≧2であるか否かが判断される。Yesの場合は前述した第10の形状パターン(ほぼフラットな右下がり)であると判断され、Noの場合はステップS118に進む。
ステップS118において、A≧2且つC≧2且つD=2であるか否かが判断される。Yesの場合は前述した第10の形状パターン(ほぼフラットな右下がり)であると判断され、Noの場合は前述した第11の形状パターン(フラット)であると判断する。
ステップS82における形状パターンに基づく第2の絞込みは、予め用意された複数のシャフトの中から行われる。これら複数のシャフトは、当該シャフトの4つの位置で測定されたEI値からIFC値が決定され、さらに得られたIFC値から前述した形状パターンが決定され、その結果はシャフトに関連付けられてデータベースに記憶されている。
本実施形態における第2の絞込みは、単純な1対1の対応ではなく、図35の対応テーブルに示されるように類似の形状パターンも選択されるように構成されている。例えば、計算により得られた形状パターンが第1の形状パターンである場合、右上がりの第1の形状パターンのシャフトだけではなく、やや右上がりの第3の形状パターンのシャフトも選択される。なお、第5の形状パターン(凹フラット)および第6の形状パターン(凸フラット)では、計算により得られるIFC値の並び方によっては、右上がりまたは右下がりが選択されるようにすることもできる。例えば、IFC値が「4565」の場合は右上がりも選択される(図35の△印参照)。また、例えばIFC値が「4543」の場合は右下がりも選択される(図35の▲印参照)。すなわち、第5または第6の形状パターンと判断される場合において、前記判断指標Aが−1以下のときは△が○に追加され、Aが1以上のときは▲が○に追加される。
ついで、ステップS83において、ステップS82で選択されたシャフトの中から、計算されたIFC値に最も近いIFC値を有するシャフト、換言すれば計算されたIFC値と最もマッチするシャフトが選択される。データベースには、前述した形状パターンの基礎をなすインチ毎のIFC値が記憶されている。このデータベースを用いて、以下に示される「一致度」をデータベースに記憶されているシャフトであってステップS82で選択されたシャフトについて計算し、その値が最も小さいクラブをゴルファーに提案する。
Figure 0006087132
ここで、計算IFCは計算により取得されたIFCであり、データベースIFCは、複数のシャフトについて4つの位置で予め測定されたEI値に基づいて算出され且つデータベースに記憶されているIFCである。計算36IFC、計算26IFC、計算16IFCおよび計算6IFCは、それぞれ計算により取得された、シャフトチップ端から36インチ、26インチ、16インチおよび6インチでのIFCである。また、データ36IFC、データ26IFC、データ16IFCおよびデータ6IFCは、それぞれ複数のシャフトについて予め測定されたEI値に基づいて算出され且つデータベースに記憶されている、シャフトチップ端から36インチ、26インチ、16インチおよび6インチでのIFCである。
本実施形態では、IFC値の差の絶対値の和だけに基づいて一致度を計算する第1実施形態と異なり、シャフト軸方向に沿ったIFC値の変化のパターン、すなわちIFC値の並び方の傾向を考慮して、シャフトの絞込みを行い、絞り込まれたシャフトについて一致度を計算している。
曲げ剛性の変化の形状パターンを考慮することで、よりユーザーにマッチしたシャフトを選定することができる。すなわち、IFC値の並び方が右上がり(元調子)なのか、右下がり(先調子)なのかの特徴を考慮せずに、単なる差分の絶対値の和だけを計算する場合、並び方が異なるシャフトを選択してしまうことがある。
例えば、以下の表14に示される例の場合、計算により算出されたIFC値は「2445」であり、右上がりの傾向である。今、IFC値が「2356」のシャフトと、IFC値が「3444」のシャフトがあるとすると、単なる差分の絶対値の和だけを計算すると、フラットタイプのシャフトBが選択されてしまう。一方、実際にユーザーにシャフトAとシャフトBとを試打してもらうと、右上がりのシャフトAの方が飛距離、方向性ともに適切であることが分かった。第2実施形態のように、IFC値の並び方も考慮したフィッティングを行うことで、より性能(飛距離・方向性・振り易さ)が優れたシャフトをゴルファーに提供することができる。
Figure 0006087132
〔検証結果〕
シャフトを自在に交換することができるシャフト交換式のゴルフクラブを作製し、このゴルフクラブを用いて本実施形態に係るフィッティング方法の有効性の検証を行った。
ヘッド速度が35.0m/s以上であり、マイクラブのクラブ総重量が290g以上であり、且つ、ハンディキャップが20までのテスターを対象として実験を行った。テスターの数は63名であった。
まず、センサがグリップに取り付けられたゴルフクラブを用いてボールを試打してもらい、テスターのスイング特徴量を計測し、このスイング特徴量から当該テスターにマッチする曲げ剛性を有する1本のシャフトをデータベースから、本実施形態における重量による絞込み(ステップS81)、形状パターンに基づく絞込み(ステップS82)、および一致度による絞込み(ステップS83)を経て決定した。このデータベースには、予めインチ毎のIFCが算出された127本のシャフトのデータが記憶されている。
ついで、127本のシャフトの中からテスターのマイクラブ±5g以内であって、シャフト特性(フレックス、調子)が異なる5本のシャフトを用いて試打してもらった。5本のシャフトは、図21に示されるように、フレックス(硬さ)及び調子について、硬くて先調子、硬くて中位の調子、中位の硬さで中位の調子、柔らかくて中位の調子、及び、軟らかくて手元調子、という特性を有していた。重量別に、このような5つのパターンの特性を有するシャフトを準備しておいた。
試打の結果、大きな飛距離があり、球筋が曲がらず、振りやすいクラブが5本のうち1本である場合、そのクラブのシャフト特性に近いシャフトが選定されているか否か、2本以上存在する場合は、それらシャフトを含む楕円内(図21の斜線部分参照)に選定したシャフトが含まれているか又は近傍に存在するか否かを評価基準とした。
63名のテスターについて、フィッティングしたクラブが楕円内に含まれる場合を「正解」とした。結果は、63名中、56名のテスターについて正しくフィッティングされていたことを確認した。正解率は、(56/63)×100≒89%であった。一方、同じテスターについて、第1実施形態に係るフィッティング方法で試験を行った場合、正解率は82%(52/63)であった。なお、第1実施形態における検証結果の正解率(91%)よりも正解率が低下したのは、テスターの数が増えたことと、ハンディキャップが多いゴルファーもテスターに含めたことが原因である。
なお、今回開示された実施の形態はすべての点において単なる例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、前記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内のすべての変更が含まれることが意図される。
1 ゴルフクラブ
2 センサ
2a ケーシング
10 コンピュータ(データ解析装置)
20 シャフト
20a チップ端
20b バット端
G ゴルファー
B ボール

Claims (9)

  1. ゴルファーのスイングに基づいて当該ゴルファーにマッチしたシャフトを選定するためにコンピュータを用いた、ゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法であって、
    3軸回りの角速度を計測可能なセンサがグリップに取り付けられたゴルフクラブでゴルフボールを打撃して取得される前記センサからの計測値を、前記コンピュータの受信手段で得る工程と、
    前記計測値からスイングにおけるアドレス、トップ及びインパクトを、前記コンピュータの演算処理手段で決定する工程と、
    前記計測値から得られる以下の(a)〜(d)のスイング特徴量を用いてゴルファーにマッチしたシャフトを、前記コンピュータの前記演算処理手段で選定する工程と
    を含むことを特徴とする、ゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法。
    (a)トップ付近でのコック方向のグリップ角速度の変化量
    (b)トップから、ダウンスイング途中であってコック方向のグリップ角速度が最大となるときまでの当該コック方向のグリップ角速度の平均値
    (c)ダウンスイング途中であってコック方向のグリップ角速度が最大となるときから、インパクトまでの当該コック方向のグリップ角速度の平均値
    (d)トップからインパクトまでのコック方向のグリップ角速度の平均値
  2. 前記(a)〜(d)は、それぞれシャフトのチップ端から36インチ、26インチ、16インチ及び6インチの4つの位置における当該シャフトの曲げ剛性に対応するものとして選定され、
    予め試打により作成された、前記(a)〜(d)それぞれのスイング特徴量とシャフトの曲げ剛性との関係を表す近似式と、前記計測値から得られる(a)〜(d)のスイング特徴量とから、シャフトのチップ端から36インチ、26インチ、16インチ及び6インチの4つの位置における当該シャフトの曲げ剛性を取得し、
    予め前記4つの位置における曲げ剛性が測定された複数のシャフトの中から、取得した4つの位置におけるシャフトの曲げ剛性に基づいてゴルファーにマッチしたシャフトを選定する、請求項1に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法。
  3. 前記4つの位置における曲げ剛性のそれぞれについて、取得された曲げ剛性値に応じて複数段階のランク値のうちいずれかを付与し、
    予め前記4つの位置における曲げ剛性が測定され且つ測定された曲げ剛性値に応じて複数段階のランク値のうちいずれかが付与された複数のシャフトの中から、付与された4つの位置におけるランク値に基づいてゴルファーにマッチしたシャフトを選定する、請求項2に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法。
  4. ユーザーのゴルフクラブの長さが、前記複数のシャフトの中から選定されたシャフトを有するゴルフクラブの長さと異なる場合、両長さの差に基づいて、ゴルフクラブの総重量を変更する、請求項2又は3に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法。
  5. 前記(a)〜(d)は、それぞれシャフトのチップ端から36インチ、26インチ、16インチ及び6インチの4つの位置における当該シャフトの曲げ剛性に対応するものとして選定され、
    予め試打により作成された、前記(a)〜(d)それぞれのスイング特徴量とシャフトの曲げ剛性との関係を表す近似式と、前記計測値から得られる(a)〜(d)のスイング特徴量とから、シャフトのチップ端から36インチ、26インチ、16インチ及び6インチの4つの位置における当該シャフトの曲げ剛性を取得し、
    取得された曲げ剛性値に応じて複数段階のランク値のうちいずれかを付与し、
    縦軸を付与されたランク値とし、横軸をシャフトの一端から他端までの距離とする平面座標に前記4つの位置におけるランク値をプロットすることで得られる、当該ランク値の変化の形状パターンを取得し、
    予め前記形状パターンが求められている複数のシャフトの中から、前記取得された形状パターンに対応するシャフトを選択する、請求項1に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法。
  6. 前記平面座標の横軸が、シャフトの手元側端部から先端側端部に向かう距離である、請求項5に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法。
  7. 前記形状パターンに基づいて選択されたシャフトについて、予め前記4つの位置における曲げ剛性が測定され且つ測定された曲げ剛性値に応じて複数段階のランク値のうちいずれかが付与された複数のシャフトの中から、付与された4つの位置におけるランク値に基づいてゴルファーにマッチしたシャフトを選定する、請求項5又は6に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法。
  8. 前記ランク値に基づいてシャフトを選定するに際し、以下の一致度にしたがってシャフトを選定する、請求項7に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法。
    Figure 0006087132
    ここで、計算IFCは計算により取得されたランク値であり、データベースIFCは、複数のシャフトについて4つの位置で予め測定された曲げ剛性値に基づいて算出され且つデータベースに記憶されているランク値である。計算36IFC、計算26IFC、計算16IFCおよび計算6IFCは、それぞれ計算により取得された、シャフトチップ端から36インチ、26インチ、16インチおよび6インチでのランク値である。また、データ36IFC、データ26IFC、データ16IFCおよびデータ6IFCは、それぞれ複数のシャフトについて予め測定された曲げ剛性値に基づいて算出され且つデータベースに記憶されている、シャフトチップ端から36インチ、26インチ、16インチおよび6インチでのランク値である。
  9. ヘッド速度に応じて複数の近似式が作成される、請求項〜8のいずれか1項に記載のゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法。
JP2012278621A 2012-03-30 2012-12-20 ゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法 Active JP6087132B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012278621A JP6087132B2 (ja) 2012-03-30 2012-12-20 ゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012081800 2012-03-30
JP2012081800 2012-03-30
JP2012278621A JP6087132B2 (ja) 2012-03-30 2012-12-20 ゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013226375A JP2013226375A (ja) 2013-11-07
JP6087132B2 true JP6087132B2 (ja) 2017-03-01

Family

ID=49674705

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012278621A Active JP6087132B2 (ja) 2012-03-30 2012-12-20 ゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6087132B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10252106B2 (en) 2014-06-19 2019-04-09 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Golf swing analysis apparatus and golf club fitting apparatus
US9881137B2 (en) 2014-08-01 2018-01-30 Dunlop Sports Co. Ltd. Golf club fitting apparatus
US10773143B2 (en) 2015-09-03 2020-09-15 Sumitomo Rubber Industries, Ltd. Golf club fitting apparatus, method, and program

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4580154B2 (ja) * 2003-07-01 2010-11-10 美津濃株式会社 ゴルフクラブの質量選定方法、ゴルフクラブの長さ選定方法ならびにゴルフクラブの質量および長さ選定方法
JP2008212340A (ja) * 2007-03-02 2008-09-18 Bridgestone Sports Co Ltd ゴルフクラブ用シャフト
JP5461983B2 (ja) * 2009-12-25 2014-04-02 ブリヂストンスポーツ株式会社 シャフト選択支援装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013226375A (ja) 2013-11-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101398778B1 (ko) 골프 클럽의 샤프트의 피팅 방법
JP4184363B2 (ja) ゴルフクラブ選定方法
JP2013056074A (ja) スイング分析方法
JP2009240677A (ja) スイング分析装置
KR102089934B1 (ko) 골프 스윙에서의 임팩트 시간의 추출 방법
JP6087132B2 (ja) ゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法
JP5981195B2 (ja) ゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法
WO2014050801A1 (ja) ゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法
JP2004065964A (ja) 測定用ゴルフクラブおよび適したゴルフクラブを判定する方法ならびにゴルフクラブ
JP2003284802A (ja) ゴルファーに最適なゴルフクラブのためのシャフト選定方法、及びそのシステム。
JP6162398B2 (ja) ゴルフクラブのシャフトの分析表示装置、及び分析表示プログラム
JP6059878B2 (ja) ゴルフスイングにおけるインパクト時間の抽出方法
JP6152255B2 (ja) ゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法
US20230191224A1 (en) Indicator assembly for golf club capable of checking swing trajectory
JP5953115B2 (ja) ゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法
JP6153373B2 (ja) ゴルフクラブのシャフトのフィッティング方法
JP4525092B2 (ja) ゴルフクラブシャフトの剛性分布に対するゴルフスウィングの感度の評価方法およびゴルフスウィングの感度の評価装置
JP2005103127A (ja) ゴルフクラブの最適化設計方法およびゴルフクラブ・ゴルフボールの組み合わせの最適化設計方法
JP2024051378A (ja) ゴルフクラブのフィッティング装置、方法及びプログラム
Kwan Designing the World's Best Badminton Racket
JP6397959B2 (ja) スイング分析方法
JP4286026B2 (ja) ゴルフクラブセットおよびゴルフクラブシャフトセット
JP2005304774A (ja) ゴルフクラブの評価方法
JP2021058303A (ja) ゴルフクラブのフィッティング装置
JP2021058305A (ja) ゴルフクラブのフィッティング装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150914

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160920

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161020

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170110

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170201

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6087132

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250