JP6084050B2 - 導電性複合粒子およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、酸化チタン粒子の表面に、酸化錫微粒子が形成された導電性複合粒子に関する。この導電性複合粒子は、高比表面積であり、燃料電池の電極触媒層の白金ナノ粒子触媒の担体として適している。
現在、環境問題を考慮し、NOxまたはSOx等の排出量が少なく、エネルギー変換効率が高いエネルギー源として、燃料電池の実用化が検討されている。特に、固体高分子型燃料電池は、低温で動作し、高出力密度であり、発電反応で水のみが生成される、という特徴を有しており、実用化の検討が盛んに行われている。また、燃料として可搬性に優れるメタノールを直接用いる直接型メタノール燃料電池も、実用化の検討が行われている。
燃料電池は、一般に、電解質を、燃料極(アノード)および空気極(カソード)の各電極でサンドイッチして構成されており、各電極は、発電反応を行うための電極触媒層を有している。図1に、燃料電池の断面構造の模式図の一例を示す。燃料電池1は、電解質膜20を、燃料極10と空気極30でサンドイッチして構成されている。燃料極10は、燃料極触媒層11と、集電体である多孔質支持層12とを有しており、空気極30は、空気極触媒層31と、集電体である多孔質支持層32とを有している。燃料極触媒層11や空気極触媒層31で使用される電極触媒には、通常、白金ナノ粒子が担持されたカーボンブラックやアセチレンブラックなどの炭素材料が使用されている。
ここで、空気極触媒層で使用される触媒担体は、酸化に対する耐性が高くなければならず、炭素材料では不十分である。炭素材料が酸化されると、触媒の剥離が発生してしまうためである。この酸化に対する耐性の要求を満たす材料として、金属酸化物が挙げられるが、固体高分子型燃料電池の触媒層は、強酸性の環境で使用されるため,触媒担体には強酸に対する耐性も求められる。したがって、空気極触媒層の触媒担体には、酸化に対する耐性と、強酸に対する耐性とが要求される。
また、固体高分子形燃料電池の燃料極触媒層の触媒の問題点のひとつに、白金の一酸化炭素被毒がある。この一酸化炭素被毒に対しては、カーボンブラック・白金複合電極触媒に、金属酸化物である酸化錫(SnO)を添加することが有効であることが、報告されている(非特許文献1)。なお、酸化錫は、高導電性であることも、触媒担体として適している。
本発明者らは、白金ナノ粒子触媒の担体として、酸化錫微粒子を検討したが、白金ナノ粒子触媒を担持させるために高比表面積にした酸化錫微粒子は、ハンドリング性が悪く、高コストである、という欠点がある。この欠点を改良するために、公知技術(特許文献1)に基づき、酸化に対する耐性と、強酸に対する耐性を有し、かつ安価な酸化チタン粒子の表面上に酸化錫層を形成したが、酸化チタン粒子表面に形成される酸化錫が一体に連なった平滑な膜状の構造であり、比表面積が小さいため、白金ナノ粒子触媒を担持させるとき、白金ナノ粒子触媒同士が凝集してしまうことがわかった。しかし、酸化錫層の比表面積を大きくするだけでは、酸化錫層が、酸化チタン粒子から剥離してしまう、という問題があった。また、酸化錫被覆酸化チタン粒子を、燃料電池が作動する高温で長時間保持すると、酸化チタン中のチタンが、酸化錫に拡散し、酸化錫の導電性が低下してしまう、という問題があった。
特開昭61−236612号公報
「ナノの世界を操作する 脇慶子研究室〜創造エネルギー専攻」、LANDFALL(ランドフォール)、東京工業大学生協LANDFALL編集委員会、2007年1月、第59巻、p.1〜3
上述のように、空気極触媒層の触媒担体には、酸化に対する耐性と、強酸に対する耐性が求められ、燃料極触媒層の触媒担体には、白金ナノ粒子触媒の一酸化炭素被毒の抑制が求められる。また、燃料電池の電極触媒層で使用される触媒担体には、一般的に、高比表面積で、高導電性であり、長時間の燃料電池運転後にも、構成されている材料間での剥離や、構成されている材料に含有される元素による拡散が発生せず、導電性が低下しないことが要求される。本発明は、酸化に対する耐性と強酸に対する耐性とを有する、酸化錫と酸化チタンで構成され;高導電性であり、白金ナノ粒子触媒の一酸化炭素被毒対策に有効な酸化錫層を、安価な酸化チタン粉末の表面上に被覆する、高導電性の導電性複合粒子であって、白金ナノ粒子触媒を担持させるために比表面積が大きく、かつ酸化チタン粒子からの酸化錫層の剥離が抑制され、さらに、酸化錫へのチタンの拡散を抑えることにより、長時間の燃料電池運転後の導電性低下が抑制される導電性複合粒子を提供することを課題とする。
本発明者らは、酸化錫と酸化チタンで構成される、高導電性の導電性複合粒子について、鋭意研究を行い、酸化チタン粒子の比表面積と、酸化錫微粒子層を形成した導電性複合粒子の比表面積を、特定の割合にすることにより、白金ナノ粒子触媒の担持に適した高比表面積でありながら、酸化錫微粒子層の剥離を防止することができ、さらに、酸化チタン粒子表面と酸化錫微粒子層との界面に、Pが存在すると、酸化錫へのチタンの拡散を抑制し、長時間の燃料電池運転後の導電性低下が抑制される導電性複合粒子が得られることを見出した。本発明は、以下に示す構成によって上記課題を解決した導電性複合粒子、導電性複合粒子の製造方法、燃料電池の電極触媒層用組成物、燃料電池の電極触媒層、および燃料電池に関する。
〔1〕酸化チタン粒子の表面が、酸化錫微粒子層で被覆された導電性複合粒子であって、導電性複合粒子の比表面積が、酸化チタン粒子の比表面積の2〜20倍であり、透過電子顕微鏡に付属のエネルギー分散型X線分光分析で、酸化チタン粒子表面と酸化錫微粒子層との界面にPが存在することを特徴とする、導電性複合粒子。ここで、酸化錫微粒子とは、平均粒径が30nm以下のものをいい、酸化錫微粒子層とは、酸化チタン粒子の表面を、酸化錫微粒子が0.1μm以下の厚さで被覆しているものをいう。
〔2〕(A)酸化チタン粒子と、Pを含む分散剤と、水とを含む、酸化チタン粒子含有分散液に、SnClを溶解した水溶液を滴下し、酸化チタン粒子表面に、水酸化錫からなる被覆層を析出させる工程、
(B)水酸化錫からなる被覆層を析出させた酸化チタン粒子を、300〜1000℃で加熱する工程、
を、この順に含むことを特徴とする、上記〔1〕記載の導電性複合粒子の製造方法。
〔3〕上記〔1〕記載の導電性複合粒子と、分散媒とを含有する、燃料電池の電極触媒層用組成物。
〔4〕上記〔1〕記載の導電性複合粒子を含有する、燃料電池の電極触媒層。
〔5〕上記〔4〕記載の燃料電池の電極触媒層を備える、燃料電池。
本発明〔1〕によれば、導電性複合粒子は、酸化に対する耐性と、強酸に対する耐性を有する、酸化チタン粒子と酸化錫微粒子層で構成され;高導電性であり、白金ナノ粒子触媒の一酸化炭素被毒対策に有効な酸化錫が、安価な酸化チタン上に形成され、酸化チタン粒子の比表面積と、酸化錫微粒子層を形成した導電性複合粒子の比表面積を、特定の割合にすることにより、白金ナノ粒子触媒の担持に適した高比表面積であり、かつ酸化チタン粒子からの酸化錫層の剥離が抑制されるため、導電性複合粒子は、白金ナノ粒子触媒の担体として適している。さらに、酸化チタン粒子表面と酸化錫微粒子層との界面に、Pが存在するため、酸化チタン粒子中のチタンの、酸化錫微粒子層への拡散を抑制し、燃料電池が作動する高温での保持後にも高導電性である、すなわち経時変化の少ない燃料電池の電極を提供することができる。酸化チタン粒子表面と酸化錫微粒子層との界面に存在するPは、酸化チタン粒子中のチタンと、リン酸塩を形成することにより、酸化チタン粒子中のチタンの、酸化錫微粒子層への拡散を抑制する、と考えられる。この導電性複合粒子は、空気極触媒層の白金ナノ粒子触媒担体としても、燃料極触媒層の白金ナノ粒子触媒担体としても適している。本発明〔2〕によれば、本発明〔1〕の導電性複合粒子を製造することができる。本発明〔3〕によれば、白金ナノ粒子触媒の担体として適している本発明〔1〕の導電性複合粒子を含有する燃料電池の電極触媒層を、容易に形成可能な組成物を提供することができる。本発明〔4〕の燃料電池の電極触媒層に含有される本発明〔1〕の導電性複合粒子は、酸化に対する耐性と、強酸に対する耐性を有する、酸化チタン粒子と酸化錫微粒子層で構成され;導電性複合粒子は、導電性が高く、白金ナノ粒子触媒の担持に適した高比表面積であり、かつ酸化チタン粒子からの酸化錫層の剥離が抑制され、さらに、長時間の燃料電池運転後にも高導電性であるので、経時変化の少ない燃料電池の電極触媒層を提供することができる。本発明〔5〕によれば、本発明〔4〕の経時変化の少ない燃料電池の電極触媒層を備える、高信頼性の燃料電池を提供することが可能である。
燃料電池の断面構造の模式図の一例である。 実施例1で作製した導電性複合粒子の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1で作製した導電性複合粒子の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例1で作製した導電性複合粒子の透過電子顕微鏡付属のエネルギー分散型X線分光分析装置によるTiマッピングである。 実施例1で作製した導電性複合粒子の透過電子顕微鏡付属のエネルギー分散型X線分光分析装置によるSnマッピングである。 実施例1で作製した導電性複合粒子の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例1で作製した導電性複合粒子を、透過電子顕微鏡付属のエネルギー分散型X線分光分析装置で定量分析したポイントを示す透過型電子顕微鏡写真である。 実施例5で作製した導電性複合粒子を、透過電子顕微鏡付属のエネルギー分散型X線分光分析装置で定量分析したポイントを示す透過型電子顕微鏡写真である。
以下、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明する。なお、%は特に示さない限り、また数値固有の場合を除いて質量%である。
〔導電性複合粒子〕
本発明の導電性複合粒子は、酸化チタン粒子の表面が、酸化錫微粒子層で被覆された導電性複合粒子であって、導電性複合粒子の比表面積が、酸化チタン粒子の比表面積の2〜20倍であり、透過電子顕微鏡に付属のエネルギー分散型X線分光分析で、酸化チタン粒子表面と酸化錫微粒子層との界面にPが存在することを特徴とする。このPは、酸化チタン粒子表面に、酸化錫微粒子層の前駆体である水酸化錫からなる被覆層を析出させる時に、Pを含む分散剤を添加しておき、この後、水酸化錫層が表面に析出した酸化チタン粒子を加熱することにより、酸化チタン粒子表面と酸化錫微粒子層との界面に存在させることができる。このPは、酸化チタン粒子中のチタンと、リン酸塩を形成することにより、酸化チタン粒子中のチタンの、酸化錫微粒子層への拡散を抑制する、と考えられる。ここで、酸化錫微粒子とは、平均粒径が30nm以下のものをいい、酸化錫微粒子層とは、酸化チタン粒子の表面を、酸化錫微粒子が0.1μm以下の厚さで被覆しているものをいう。酸化錫微粒子の平均粒径が30nmを超えると、白金ナノ粒子触媒の担持量が不足してしまい、酸化錫微粒子層の厚さが、0.1μmを超えると、酸化錫微粒子層が酸化チタン粒子から剥離してしまう。ここで、酸化錫微粒子の平均粒径と、酸化錫微粒子層の厚さは、透過型電子顕微鏡(TEM)写真による観察結果から算出する(n=20)。
図2に、後述する実施例1で作製した導電性複合粒子の走査型電子顕微鏡写真を示す。また、実施例1で作製した導電性複合粒子について、図3に透過型電子顕微鏡写真を、図4に透過電子顕微鏡付属のエネルギー分散型X線分光分析装置(EDS)によるTiマッピングを、図5に同装置によるSnマッピングを示す。図2から、導電性複合粒子は、表面に微細粒子が存在することがわかる。図3から、微細粒子が、層状で、導電性複合粒子の表面に存在することがわかる。さらに、図4および図5から、酸化チタン粒子の表面に、酸化錫微粒子層が存在することが確認できる。
次に、図6に、実施例1で作製した導電性複合粒子の透過型電子顕微鏡写真を、図7に、実施例1で作製した導電性複合粒子を、透過電子顕微鏡付属のエネルギー分散型X線分光分析装置(EDS)で定量分析したポイントを示す透過型電子顕微鏡写真を示す。また、図8に、実施例5で作製した導電性複合粒子を、透過電子顕微鏡付属のエネルギー分散型X線分光分析装置で定量分析したポイントを示す透過型電子顕微鏡写真を示す。図7で、酸化チタン粒子表面と酸化錫微粒子層との界面であるポイント4〜6では、Pが0.71〜1.88原子%であり、Pが存在する。一方、酸化チタン粒子内部のポイント7〜9では、Pは、0〜0.24原子%である。酸化錫微粒子層であるポイント1〜3では、Pが1.74〜2.59原子%である。酸化錫微粒子層中でPが存在する場所は、明確ではないが、酸化錫微粒子表面であると推測され、酸化錫微粒子表面のPが、酸化錫微粒子中の錫の拡散を抑制すると考えられる。また、図8で、酸化チタン粒子表面と酸化錫微粒子層との界面であるポイント2では、Pが5.03原子%であり、Pが存在する。ここで、O、P、TiおよびSnの定量分析は、日本電子(株)製電界放射型透過電子顕微鏡(型番:JEM−2010F)に付属のエネルギー分散型X線分光分析装置(EDS)により、加速電圧:200kV、プローブ径:1nmの測定条件で行い、5回測定での平均値とする。
酸化チタン粒子表面と酸化錫微粒子層との界面に存在するPの含有量が0.71原子%未満であると、酸化錫へのチタンの拡散抑制が不十分になり易く、長時間の燃料電池運転後の導電性が低下してしまい易い。また、酸化チタン粒子表面と酸化錫微粒子層との界面に存在するPを、上述のエネルギー分散型X線分光分析装置を用い、スポット系:1nmで分析した結果では、Pの含有量の最大値は、5.03原子%であった。
導電性複合粒子のBET比表面積は、酸化チタン粒子のBET比表面積の2〜20倍であるため、白金ナノ粒子触媒の担持に適しており、5〜15倍であると好ましい。導電性複合粒子のBET比表面積が、酸化チタン粒子のBET比表面積の2倍未満であると、白金ナノ粒子触媒の担持量が不足し、20倍を超えると、酸化錫微粒子層が酸化チタン粒子から剥離してしまう。ここで、比表面積は、QUANTACHROME社製窒素吸着測定装置(型番:AUTOSORB−1)を用いた窒素吸着によるBET法で、測定する。
酸化チタン粒子の比表面積は、1〜10m/gであると、好ましい。1m/g未満では、導電性複合粒子の比表面積を高くしにくく、10m/gを超えると、酸化チタン粒子の凝集力が強くなり、均一に分散させにくくなる。
酸化チタンの結晶形は、特に限定されるわけではないが、ルチル型が好ましい。アナターゼ型やブルッカイト型では、熱安定性、結晶安定性が、ルチル型よりも劣る為、触媒用途に適していないと思われる。かつ、表面に酸化錫微粒子の前駆体を、共沈法等により析出、または形成し難いので工夫が必要である。
酸化錫微粒子層は、酸化チタン粒子に導電性を付与し、さらに、白金ナノ粒子触媒を担持するために、多孔質であると好ましい。ここで、酸化錫は、その一部がSnO2−δ(式中、δは0〜0.5である)の構造に還元されていると、導電性の点から、好ましい。また、酸化錫は、Sb、P、F、Cl等でドープされていると、還元されている酸化錫の導電性等を安定化させることができ、より好ましい。
酸化錫が、Sbでドープされる場合には、SnOとSbの合計:100質量部に対して、Sbを、0質量部より多く、25質量部以下で含むことが好ましい。25重量部より多いと、不純物が析出することにより剥離しやすくなる、白金触媒が担持しにくくなるという問題がある。ここで、SnとSbの分析は、ICP法で行い、SnはすべてSnOであり、SbはすべてSbであるものとして、計算する。
酸化錫微粒子層を構成する酸化錫微粒子の平均粒径は、1〜20nmであると、高比表面積化による白金ナノ粒子触媒の担持量増加の観点から好ましい。
酸化錫微粒子層は、0.005〜0.07μmの厚さであると、高比表面積化による白金ナノ粒子触媒の担持量増加、酸化チタン粒子への導電性付与の観点から好ましい。
酸化錫微粒子層は、導電性複合粒子:100質量部に対して、20〜70質量部であると、比表面積、導電性の観点から好ましい。
導電性複合粒子の圧粉体抵抗率は、10000Ω・cm未満であると好ましい。ここで、導電性複合粒子の圧粉体抵抗率は、三菱化学アナリテック製粉体抵抗測定システム(型番:MCP−PD51)型を用い、試料質量を5.0gとし、9.8MPaの圧力下で測定する。
このように、導電性複合粒子は、酸化チタン粒子表面と接触する酸化錫微粒子層との界面にPが存在し、このPが、長時間の燃料電池運転中に、酸化チタン粒子中のチタンが、酸化錫微粒子層に拡散することを抑制するため、燃料電池の長時間運転での劣化の加速試験である高温保持試験後の圧粉体抵抗率の増加が3%未満以下であり、経時変化が少ない高信頼性の燃料電池の電極触媒層を提供することができる。
〔導電性複合粒子の製造方法〕
本発明の導電性複合粒子の製造方法は、
(A)酸化チタン粒子と、Pを含む分散剤と、水とを含む、酸化チタン粒子含有分散液に、SnClを溶解した水溶液を滴下し、酸化チタン粒子表面に、水酸化錫からなる被覆層を析出させる工程、
(B)水酸化錫からなる被覆層を析出させた酸化チタン粒子を、300〜1000℃で加熱する工程、
を、この順に含むことを特徴とする。
(A)工程で、酸化チタン粒子表面に、水酸化錫からなる被覆層を析出させるための、酸化チタン粒子含有分散液への、SnClを溶解した水溶液の滴下は、10〜90℃、pH3〜9で、10分〜6時間かけて行うと、被覆後の導電性複合粒子の比表面積の観点から好ましい。ここで、酸化チタン粒子については、上述のとおりである。
酸化チタン粒子含有分散液に含有されるPを含む分散剤としては、無機リン酸塩、リン酸エステルとその塩が挙げられる。無機リン酸塩は、化学的に安定であることから、表面処理業界において広く用いられており、特に、リン酸亜鉛皮膜は,防錆・潤滑・塗装下地用途などに幅広く採用されている。リン酸鉄以外のリン酸塩であれば、得られる被膜が、結晶性であり、皮膜結晶自体にイオン透過性がないことが知られており、酸化チタン粒子表面と酸化錫微粒子層との界面に存在するPを含有する皮膜として適している。
無機リン酸塩としては、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム等が挙げられ、リン酸二水素ナトリウムが好ましい。
リン酸エステルとその塩としては、ADEKA製モノアルキルリン酸塩(品名:アデカコール);
東邦化学工業製ラウリルリン酸アルキルエーテルリン酸エステル(品名:フオスフアノール ED−200、LB−400、LS−500、ML−240、RB−410、RD−720、RL−210、RP−710、RS−610、GB−520、LP−700、ML−220、RA−600、RD−510Y、RD−720N、RL−310、RS−410、RS−710);
第一工業製薬製ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル(品名:プライサーフ A212C、A215C)、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルリン酸エステル(品名:プライサーフ AL、AL12H)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル(品名:プライサーフ A208F)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩(品名:プライサーフ M208F)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル(品名:プライサーフ A208N、A210D)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステル(品名:プライサーフ A208B、A219B)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸エステルモノエタノールアミン塩(品名:プライサーフ DB−01、DB−02)、アルキルリン酸エステルナトリウム(品名:プライサーフ DBS)、アルキルリン酸エステルモノエタノールアミン塩(品名:プライサーフ DOM);
日光ケミカルズ製ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸(品名:NIKKOL DLP−10)、ポリオキシエチレンオレイルエーテルリン酸ナトリウム(品名:NIKKOL DOP−8NV)、ポリオキシエチレンアルキル(C12〜15)エーテルリン酸(品名:NIKKOL DDP−2)、ポリオキシエチレンアルキル(C12〜15)エーテルリン酸 (品名:NIKKOL DDP−4)、ポリオキシエチレンアルキル(C12〜15)エーテルリン酸(品名:NIKKOL DDP−6)、酸化エチレンを平均8モル付加したポリオキシエチレンアルキル(C12〜15)エーテルリン酸(品名:NIKKOL DDP−8)、酸化エチレンを平均10モル付加したポリオキシエチレンアルキル(C12〜15)エーテルリン酸(品名:NIKKOL DDP−10)、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム(品名:NIKKOL TLP−4)、ポリオキシエチレンセチルエーテルリン酸ナトリウム(品名:NIKKOL TCP−5)、リン酸トリオレイル(品名:NIKKOL TOP−0V)、ポリオキシエチレンアルキル(C12〜15)エーテルリン酸(品名:NIKKOL TDP−2)、ポリオキシエチレンアルキル(C12〜15)エーテルリン酸(品名:NIKKOL TDP−6)、ポリオキシエチレンアルキル(C12〜15)エーテルリン酸(品名:NIKKOL TDP−8)、ポリオキシエチレンアルキル(C12〜15)エーテルリン酸(品名:NIKKOL TDP−10);
日光ケミカルズ製水添レシチン(品名:NIKKOL レシノールシリーズ)等が挙げられ、炭素数が2〜5のカルボン酸エステル基を持つものが好ましい。
(A)工程で用いる酸化チタン粒子含有分散液:100質量部に対して、酸化チタン粒子は、被覆後の導電性複合粒子の比表面積と導電性の観点から0.5〜5質量部であると好ましく、Pを含む分散剤は、酸化錫へのチタン拡散抑制の観点から0.1〜1.0質量部であると好ましい。
(B)工程で、水酸化錫からなる被覆層を析出させた酸化チタン粒子を加熱する工程は、300〜1000℃で行う。300℃未満では、水酸化錫が酸化錫に分解しきらず、1000℃を超えると、酸化錫が粗大になり、比表面積が小さくなってしまう。また、水酸化錫からなる被覆層を析出させた酸化チタン粒子を加熱する工程は、空気中、窒素等の不活性ガス雰囲気、またはアルゴン+水素等の還元ガス雰囲気中で、水酸化錫を酸化錫に分解すればよく、10分〜6時間行うと、作業工程時間の観点から好ましい。
以下、酸化錫として、Sbドープ酸化錫を使用する導電性複合粒子の製造方法の一例を、説明する。まず、(A)酸化チタン粒子と、Pを含む分散剤を、水に加え、温度:10〜90℃で撹拌しながら加熱保持し、酸化チタン粒子を均一に分散させ、酸化チタン粒子含有分散液を調製する。この酸化チタン粒子含有分散液に、SnClとSbClを溶解した水溶液を、10〜90℃、pH3〜9で、10分〜6時間かけて滴下し、酸化チタン粒子表面に、Sb含有水酸化錫からなる被覆層を析出させる。次に、表面に、Sb含有水酸化錫からなる被覆層を析出させた酸化チタン粒子を濾別し、洗浄する。この後、(B)空気中、窒素等の不活性ガス雰囲気、またはアルゴン+水素等の還元ガス雰囲気中、300〜1000℃で10分〜6時間加熱することにより、導電性複合粒子を得ることができる。
〔燃料電池の電極触媒層用組成物〕
本発明の燃料電池の電極触媒層用組成物(以下、電極触媒層用組成物という)は、上記導電性複合粒子と、分散媒とを含有する。電極触媒層は、燃料極触媒層および空気極触媒層からなる群より選択される少なくとも1種の触媒層である。導電性複合粒子に、白金ナノ粒子を担持させる方法としては、電極触媒層用組成物中の導電性複合粒子に、白金ナノ粒子触媒を担持させても良いが、作業性の観点から、予め導電性複合粒子に白金ナノ粒子触媒を担持させた後、電極触媒層用組成物とする方が好ましい。ここで、白金ナノ粒子触媒を担持させる方法は、導電性複合粒子を分散させた溶液中に、白金ナノ粒子分散液を撹拌しながら添加した後、乾燥する等の公知の方法でよい。
分散媒は、導電性複合粒子を分散し、かつ電極触媒層用組成物の成膜性を向上させる。分散媒としては、水が好ましい。分散媒は、電極触媒層用組成物:100質量部に対して、50〜99質量部が好ましい。
電極触媒層用組成物は、バインダーを含むと、電極触媒層用組成物の密着強度を高くするため、好ましい。バインダーとしては、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリエステル等のポリマー型バインダーや、金属石鹸、金属錯体、金属アルコキシド、金属アルコキシドの加水分解物等のノンポリマー型バインダーが挙げられる。
電極触媒層用組成物は、本発明の本発明の目的を損なわない範囲で、さらに必要に応じ、酸化防止剤、レベリング剤、揺変剤、フィラー、応力緩和剤、導電性ポリマー、その他の添加剤等を配合することができる。
電極触媒層用組成物は、導電性複合粒子を含む所望の成分を、常法により、ペイントシェーカー、ボールミル、サンドミル、セントリミル、三本ロール等によって混合し、導電性複合粒子等を分散させ、作製することができる。無論、通常の攪拌操作によって製造することもできる。
〔電極触媒層〕
上述のようにして得られた電極触媒層用組成物を、キャリアテープ等の上に、所望の厚さになるように湿式塗工した後、乾燥、場合により焼成することにより、燃料電池の電極触媒層を製造することができる。また、電極極触媒層は、キャリアテープの代わりに、電解質膜上、または集電体である多孔質支持層上に、電極触媒層用組成物を、所望の厚さになるように湿式塗工した後、乾燥、場合により焼成して形成することができる。
湿式塗工法は、スプレーコーティング法、ディスペンサーコーティング法、ナイフコーティング法、スリットコーティング法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法またはダイコーティング法のいずれかであることが好ましいが、これに限られるものではなく、あらゆる方法を利用できる。
上述のように、燃料電池の電極触媒層に含有される導電性複合粒子は、酸化に対する耐性と、強酸に対する耐性を有する、酸化チタン粒子と酸化錫微粒子層で構成され;導電性複合粒子は、導電性が高く、長時間の燃料電池運転後にも高導電性である。したがって、得られる燃料電池の電極触媒層は、長時間の燃料電池運転での経時変化が少ないので、高信頼性の燃料電池を製造することができる。
〔燃料電池〕
本発明の燃料電池は、上述の燃料電池の電極触媒層を備える。図1に、燃料電池の断面構造の模式図の一例を示す。燃料電池1は、電解質膜20を、燃料極10と空気極30でサンドイッチして構成されている。燃料極10は、燃料極触媒層11と、集電体である多孔質支持層12とを有しており、空気極30は、空気極触媒層31と、集電体である多孔質支持層32を有している。本発明の燃料電池の電極触媒層に含まれる導電性複合粒子は、酸化に対する耐性と、強酸に対する耐性を有する、酸化錫微粒子層と安価な酸化チタン粒子とで構成されている観点から、空気極触媒層31での使用に適しており、白金ナノ粒子触媒の一酸化炭素被毒対策に有効な酸化錫微粒子を有する観点から、燃料極触媒層11での使用に適している。燃料電池1としては、固体高分子型燃料電池、直接型メタノール燃料電池、リン酸型燃料電池等が挙げられ、白金ナノ粒子触媒の一酸化炭素被毒の問題が顕著な固体高分子型燃料電池であると好ましい。燃料電池1が、固体高分子型燃料電池である場合には、電解質膜20には、フッ素系イオン交換膜等が用いられ、多孔質支持層12、32には、多孔質のカーボンペーパー等が用いられる。
燃料電池1は、多孔質支持層12、燃料極触媒層11、電解質膜20、空気極触媒層31、多孔質支持層32の順になるように積層して製造することができる。
得られた燃料電池の電極触媒層は、導電性複合粒子を含有する。この導電性複合粒子は、酸化に対する耐性と、強酸に対する耐性を有する酸化錫微粒子層と酸化チタン粒子で構成され;白金ナノ粒子触媒を担持させる酸化錫微粒子層は、白金の一酸化炭素被毒への耐性が高く;導電性複合粒子は、高導電性であり、長時間の燃料電池運転後にも導電性の低下が抑制されるので、この燃料電池の電極触媒層を備える燃料電池は、高信頼性である。
以下に、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1〕
水:800cmに、5m/gの比表面積を有する市販の酸化チタン粒子:30gと燐化学工業製リン酸二水素ナトリウム:1.5gを加え、温度:90℃で撹拌しながら加熱保持し、酸化チタン粒子を均一に分散させ、酸化チタン粒子含有分散液を調製した。撹拌を続けながら、この酸化チタン粒子含有分散液に、水:200cmにSnCl:40gとSbCl:2.1gを溶解した塩化錫水溶液、および水酸化ナトリウム水溶液を、25℃、pH3〜9の範囲で0.5時間かけて滴下し、加水分解させて、酸化チタン粒子表面に、Sb含有水酸化錫からなる被覆層を析出させた白色のスラリーを得た。次に、表面に、Sb含有水酸化錫からなる被覆層を析出させた酸化チタン粒子を濾別し、洗浄した後、空気中、500℃で2時間加熱することにより、実施例1の導電性複合粒子を得た。
〔実施例2〕
リン酸二水素ナトリウムの代わりに、第一工業製薬製ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル(品名:プライサーフ A212C):5gを加え、温度:50℃で撹拌しながら、酸化チタン粒子含有分散液を調製したこと、酸化チタン粒子含有分散液に、塩化錫水溶液および水酸化ナトリウム水溶液を、1時間かけて滴下したこと、Sb含有水酸化錫からなる被覆層を析出させた酸化チタン粒子を、窒素中、600℃で2時間加熱したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の導電性複合粒子を得た。
〔実施例3〕
水:800cmに、1m/gの比表面積を有する市販の酸化チタン粒子:30gと第一工業製薬製ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル(品名:プライサーフ A212C):3gを加え、温度:20℃で撹拌しながら、酸化チタン粒子含有分散液を調製したこと、水:200cmにSnCl:20gとSbCl:1.0gを溶解して塩化錫水溶液を調製したこと、酸化チタン粒子含有分散液に、塩化錫水溶液および水酸化ナトリウム水溶液を、1時間かけて滴下したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の導電性複合粒子を得た。
参考例1
水:800cmに、10m/gの比表面積を有する市販の酸化チタン粒子:30gと東邦化学工業製ラウリルリン酸アルキルエーテルリン酸エステル(品名:フオスフアノール ED−200):5gを加え、温度:50℃で撹拌しながら、酸化チタン粒子含有分散液を調製したこと、水:200cmにSnCl:30gとSbCl:1.6gを溶解して塩化錫水溶液を調製したこと、酸化チタン粒子含有分散液に、塩化錫水溶液および水酸化ナトリウム水溶液を、1時間かけて滴下したこと以外は、実施例1と同様にして、参考例1の導電性複合粒子を得た。
〔実施例5〕
リン酸二水素ナトリウムの添加量を5.0gにして酸化チタン粒子含有分散液を調製したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例5の導電性複合粒子を得た。
参考例2
リン酸二水素ナトリウムの添加量を5.0gにして、酸化チタン粒子含有分散液を調製したこと、水:200cmにSnCl:40gを溶解して、SbClを添加しないで塩化錫水溶液を調製したこと、酸化チタン粒子含有分散液に、塩化錫水溶液および水酸化ナトリウム水溶液を、1時間かけて滴下したこと、水酸化錫からなる被覆層を析出させた酸化チタン粒子を1000℃で加熱したこと以外は、実施例1と同様にして、参考例2の導電性複合粒子を得た。
〔実施例7〕
リン酸二水素ナトリウムの添加量を5.0gにして、酸化チタン粒子含有分散液を調製したこと、酸化チタン粒子含有分散液に、塩化錫水溶液および塩化錫水溶液水酸化ナトリウム水溶液を、1時間かけて滴下したこと、水酸化錫からなる被覆層を析出させた酸化チタン粒子を300℃で加熱したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例7の導電性複合粒子を得た。
〔比較例1〕
水:800cmに、1m/gの比表面積を有する市販の酸化チタン粒子:30gと第一工業製薬製ポリオキシエチレントリデシルエーテルリン酸エステル(品名:プライサーフ A212C):5gを加え、温度:50℃で撹拌しながら、酸化チタン粒子含有分散液を調製したこと、水:200cmにSnCl:7.5gとSbCl:0.124gを溶解して塩化錫水溶液を調製したこと、酸化チタン粒子含有分散液に、塩化錫水溶液および水酸化ナトリウム水溶液を、3分かけて滴下したこと、Sb含有水酸化錫からなる被覆層を析出させた酸化チタン粒子を窒素中、1050℃で10時間加熱したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の導電性複合粒子を得た。
〔比較例2〕
水:800cmに、5m/gの比表面積を有する市販の酸化チタン粒子:30gを加え、リン酸二水素ナトリウムを添加しないで酸化チタン粒子含有分散液を調製したこと、塩化錫水溶液を使用しないで、酸化チタン粒子含有分散液に、エタノール:200cmにSnCl:75gを溶解した溶液を、2時間かけて滴下したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の導電性複合粒子を得た。
〔比較例3〕
水:800cmに、5m/gの比表面積を有する市販の酸化チタン粒子:30gを加え、リン酸二水素ナトリウムを添加しないで酸化チタン粒子含有分散液を調製したこと、水:200cmにSnCl:75gを溶解して、SbClを添加しないで塩化錫水溶液を調製したこと、酸化チタン粒子含有分散液に、塩化錫水溶液および水酸化ナトリウム水溶液を、3分かけて滴下したこと、水酸化錫からなる被覆層を析出させた酸化チタン粒子を800℃で加熱したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3の導電性複合粒子を得た。
〔比較例4〕
4.5m/gの比表面積を有する市販の酸化チタン粒子を使用した。
〔比較例5〕
67m/gの比表面積を有する三菱マテリアル製アンチモンドープ酸化錫粒子を使用した。
〔比較例6〕
リン酸二水素ナトリウムの添加量を0.5gにして、酸化チタン粒子含有分散液を調製したこと、水:200cmにSnCl:20gとSbCl:1gを溶解して塩化錫水溶液を調製したこと、酸化チタン粒子含有分散液に、塩化錫水溶液および水酸化ナトリウム水溶液を、1時間かけて滴下したこと、Sb含有水酸化錫からなる被覆層を析出させた酸化チタン粒子を1200℃で加熱したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例6の導電性複合粒子を得た。
〔比較例7〕
水:800cmに、1m/gの比表面積を有する市販の酸化チタン粒子:30gとリン酸二水素ナトリウム:3.0gを加えて、酸化チタン粒子含有分散液を調製したこと、水:200cmにSnCl:100gとSbCl:5.3gを溶解して塩化錫水溶液を調製したこと、酸化チタン粒子含有分散液に、塩化錫水溶液および水酸化ナトリウム水溶液を、3時間かけて滴下したこと、Sb含有水酸化錫からなる被覆層を析出させた酸化チタン粒子を1200℃で加熱したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例7の導電性複合粒子を得た。
〔比較例8〕
水:800cmに、1m/gの比表面積を有する市販の酸化チタン粒子:30gとリン酸二水素ナトリウム:3.0gを加えて、酸化チタン粒子含有分散液を調製したこと、水:200cmにSnCl:20gとSbCl:1.0gを溶解して塩化錫水溶液を調製したこと、酸化チタン粒子含有分散液に、塩化錫水溶液および水酸化ナトリウム水溶液を、1時間かけて滴下したこと、Sb含有水酸化錫からなる被覆層を析出させた酸化チタン粒子を250℃で30分加熱したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例8の導電性複合粒子を得た。
〔走査型電子顕微鏡、および透過型電子顕微鏡による観察〕
実施例1で作製した導電性複合粒子を、日立ハイテクノロジー製走査型電子顕微鏡で観察した。図2に、走査型電子顕微鏡写真を示す。また、実施例1で作製した導電性複合粒子を、日本電子製過型電子顕微鏡(型番:JEM−2010F)、および透過電子顕微鏡付属のEDSで観察した。図3に透過型電子顕微鏡写真を、図4に透過電子顕微鏡付属のEDSによるTiマッピングを、図5に同装置によるSnマッピングを示す。図2〜5から、導電性複合粒子は、酸化チタン粒子の表面が、多孔質の酸化錫微粒子層で被覆されていることがわかった。次に、図6に、実施例1で作製した導電性複合粒子の透過型電子顕微鏡写真を、図7に、透過電子顕微鏡付属のエネルギー分散型X線分光分析装置で定量分析したポイントを示す透過型電子顕微鏡写真を示し、表1に、各ポイントでの定量分析結果を示す。また、図8に、実施例5で作製した導電性複合粒子の透過電子顕微鏡写真と、透過電子顕微鏡付属のエネルギー分散型X線分光分析装置で定量分析したポイントを示す透過型電子顕微鏡写真を示し、表2に、各ポイントでの定量分析結果を示す。次に、表3に、実施例1〜7、比較例1〜8の酸化錫微粒子の状態の観察結果、酸化チタン粒子表面と酸化錫微粒子層との界面に存在するPの含有量(表3には、P含有量と記載した)を示す。ここで、O、P、TiおよびSnの定量分析は、日本電子(株)製電界放射型透過電子顕微鏡(型番:JEM−2010F)に付属のエネルギー分散型X線分光分析装置(EDS)により、加速電圧:200kV、プローブ径:1nmの測定条件で行い、5回測定での平均値とした。
〔BET比表面積の測定〕
実施例1〜5、7参考例1、2、比較例1〜8のBET比表面積を、QUANTACHROME社製窒素吸着測定装置(型番:AUTOSORB−1)を用いた窒素吸着によるBET法で、測定した。次に、実施例1〜5、7、比較例1〜3、6〜8のBET比表面積と、原料である酸化チタン粒子のBET比表面積の比を求めた。表3に、これらの結果を示す。
〔圧粉体抵抗率〕
実施例1〜5、7参考例1、2、比較例1〜8の圧粉体抵抗率を、三菱化学アナリテック製粉体抵抗測定システム(型番:MCP−PD51)型を用い、試料質量を5.0gとし、9.8MPaの圧力下で測定した。表3に、結果を示す。なお、比較例4と比較例8の圧粉体抵抗率は、粉体抵抗測定システムの測定範囲外であった。
〔高温保持試験〕
燃料電池の長時間運転での劣化の加速試験として、実施例1〜5、7参考例1、2、比較例1〜3、6、7の粉末を、窒素雰囲気中で500℃、100時間保持する高温保持試験を行った。その後に、圧粉体抵抗率を測定し、高温保持試験前と比較し、圧粉体抵抗率が3%以上増加した試料を不合格(×)、圧粉体抵抗率の増加が3%未満、変化なし及び低下したものを合格(○)として、表3に示す。
表1からわかるように、酸化チタン粒子表面と酸化錫微粒子層との界面である表1のポイント4〜6では、Pが0.71〜1.88原子%と、Pが存在した。一方、酸化チタン粒子内部のポイント7〜9では、Pは、0〜0.24原子%であった。酸化錫微粒子層であるポイント1〜3では、Pが1.74〜2.59原子%であった。また、酸化チタン粒子表面と酸化錫微粒子層との界面である表2のポイント2では、Pが5.03原子%と、Pが存在した。
表3から明らかなように、実施例1〜5、7は、BET比表面積が所望の範囲内であり、圧粉体抵抗率が低く、また、透過電子顕微鏡に付属のエネルギー分散型X線分光分析で、酸化チタン粒子表面と酸化錫微粒子層との界面にPが存在するため、高温保持試験での結果も良好であった。したがって、白金ナノ粒子触媒を担持するための担体として適していることがわかった。これに対して、比較例1では、酸化チタン粒子の表面を被覆する酸化錫粒子の平均粒径が0.04〜0.05μmと粗大になり、酸化錫微粒子ではなく、導電性複合粒子の比表面積が、酸化チタン粒子の比表面積の1.9倍と低いため、白金ナノ粒子触媒の担持量が不足し、白金ナノ粒子触媒の担持に適さなかった。また、比較例2では、酸化錫微粒子からなる層ではなく、酸化錫が一体に連なった0.03〜0.04μm厚の膜状で酸化チタン粒子の表面を被覆し、酸化チタン粒子の比表面積に対する導電性複合粒子の比表面積の割合が非常に小さく、高温保持試験後に圧粉体抵抗率が3%以上増加した。酸化チタン粒子表面と酸化錫微粒子層との界面にPが存在しなかった比較例3では、高温保持試験後に圧粉体抵抗率が3%以上増加した。酸化チタン粒子表面と酸化錫微粒子層との界面にPが存在しなかったため、チタンの酸化錫への拡散が抑制されなかった、と考えられる。酸化チタン粒子を用いた比較例4は、導電性がなく、酸化錫微粒子を用いた比較例5では、凝集が激しく、ハンドリング性が悪かったため、高温保持試験後の圧粉体抵抗率の測定ができなかった。比較例6は、酸化チタン粒子の比表面積に対する導電性複合粒子の比表面積の割合が小さいため、白金ナノ粒子触媒の担持に適さず、酸化チタン粒子表面と酸化錫微粒子層との界面にPが存在したが、高温保持試験後に圧粉体抵抗率が3%以上増加した。酸化チタン粒子の比表面積に対する導電性複合粒子の比表面積の割合が大きい比較例7は、酸化錫微粒子層が厚く、酸化錫微粒子層が酸化チタン粒子から剥離し、白金ナノ粒子触媒の担持性が低下してしまった。比較例8は、酸化チタン粒子の表面に析出させた水酸化錫が加熱時に分解しきらなかったため、導電性が得られなかった。
1 燃料電池
10 燃料極
11 燃料極触媒層
12 多孔質支持層
20 電解質膜
30 空気極
31 空気極触媒層
32 多孔質支持層

Claims (5)

  1. 酸化チタン粒子の表面が、酸化錫微粒子層で被覆された導電性複合粒子であって、導電性複合粒子の比表面積が、酸化チタン粒子の比表面積の〜20倍であり、透過電子顕微鏡に付属のエネルギー分散型X線分光分析で、酸化チタン粒子表面と酸化錫微粒子層との界面にPが0.71〜5.03原子%存在することを特徴とする、導電性複合粒子。
  2. (A)酸化チタン粒子と、Pを含む分散剤と、水とを含む、酸化チタン粒子含有分散液に、SnClを溶解した水溶液を10〜90℃で滴下し、酸化チタン粒子表面に、水酸化錫からなる被覆層を析出させる工程、
    (B)水酸化錫からなる被覆層を析出させた酸化チタン粒子を、300〜1000℃で加熱する工程、
    を、この順に含むことを特徴とする、請求項1記載の導電性複合粒子の製造方法。
  3. 請求項1記載の導電性複合粒子と、分散媒とを含有する、燃料電池の電極触媒層用組成物。
  4. 請求項1記載の導電性複合粒子を含有する、燃料電池の電極触媒層。
  5. 請求項4記載の燃料電池の電極触媒層を備える、燃料電池。
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