JP6075103B2 - エンドレスベルト状金属金型およびその製造方法 - Google Patents

エンドレスベルト状金属金型およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱可塑性フィルムの表面に微細な凹凸パターン構造を転写することにより微細パターン転写フィルムを製造するためのエンドレスベルト状金属金型、およびその製造方法に関する。本エンドレスベルト状金属金型は、拡散、集光、反射、透過等の光学的な機能を有する光学フィルム等、ミクロンサイズからナノサイズの微細パターンをその表面に必要とする微細パターン転写フィルムの製造装置に用いられる。
プリズムシート、光拡散シート、レンズシート等の光学フィルムに用いられる光学フィルムの製造方法として、表面に微細な凹凸パターンが形成されているエンドレスベルト状の金型の表面に、フィルムを押圧し、該フィルムの表面に金型の微細な凹凸パターンを転写する方法がある。さらに、長尺の熱可塑性材料からなるフィルムに適用可能で、巻き出しから転写工程を経て巻き取りまで連続的に処理される方法または装置が提案されている。
これらの方法は、微細パターンを表面に形成したエンドレスベルトからなる金型を適用して、加熱した金型に熱可塑性樹脂からなるフィルムを押圧してフィルム表面に微細凹凸構造を形成した後、金型を冷却してからフィルムを剥離する方法であり、金型の加熱および冷却は、エンドレスベルトからなる金型を加熱ロールおよび冷却ロールと接触させることにより行われ、フィルムへの微細パターンの転写は、加熱ロールと、加熱ロールと対向するニップロールとの間にエンドレスベルトからなる金型とフィルムを挟圧することにより行われるものである。この構造では、転写時の温度と、剥離時の温度をそれぞれ独立に制御できるので、転写時の金型温度を高く設定しても、剥離性が問題とならないので、高い精度での微細な凹凸パターンの転写が可能である(例えば、特許文献1、参照)。
このような微細パターンを表面に形成したエンドレスベルト状金型の製造方法としては、例えば、電鋳法により作成した金属平板の端部同士をつきあわせ溶接してエンドレスベルト状としたもの(例えば、特許文献2、参照)や、エンドレスベルトの表面に接着層を介して、電鋳板を貼り付けたもの(例えば、特許文献3、参照)、エンドレスベルトをロールに嵌合して旋削加工機にてパターンを切削したもの(例えば、特許文献1、参照)などが挙げられる。
特開2012−210760号公報 特開2007−268866号公報 特開2009−78521号公報
しかしながら、特許文献2に記載の方法にて製造したエンドレスベルト状金型においては、ニッケル等の電鋳板同士をつきあわせ溶接するため、溶接強度が不足する。電鋳板の降伏応力は材料・処方などにより異なるが、ニッケル電鋳板で300MPa程度であり、一般にエンドレスベルトとして使用されるステンレス鋼の800〜1,200MPaに対して大幅に劣る。かつ、ステンレス鋼板では突き合わせ溶接を行っても大きな強度低下が生じ難いのに対し、ニッケル電鋳では溶接部分の強度が低下しやすい。このため、特に、加熱ロールと冷却ロールとの間にエンドレスベルトが懸架される構成においては、ベルトが繰り返し曲げ伸ばされるため、溶接部からベルトが破断しやすく、実用的耐久性が得られないという問題があった。
また、特許文献3に記載の方法にて製造したエンドレスベルト状金型においては、電鋳板貼り付けの端部が不均一に曲げ伸ばされるために剥がれやすいという問題があった。
一方、特許文献1に記載のように、エンドレスベルトを嵌合した金属ロールを旋盤加工機にて切削する場合、上記のような問題はないが、嵌合精度が加工精度に影響し、例えば、片寄って嵌合されることにより、周方向にベルトの厚みが変動するなどの問題が生じやすい。また、旋盤加工機での加工に適した形状、例えば、周方向に連続する溝などについては、ロールのふれ精度を小さくすることのみで高精度に形状加工を行えるが、周方向に対して特定の角度を有する方向の溝や、蛇行する溝などについては、ロールの回転と、切削工具またはロールの軸方向移動とを同期させて加工を行う必要があり、周方向の溝に対して精度が劣りやすい。
また、溝深さが変化している場合や、溝そのものが断続している場合には、ロールの回転と、切削工具のロール径(切削深さ)方向への移動とを同期させて行う必要があり、すなわち、主軸の割り出し精度により加工限界が決まってしまう。
特に、エンドレスベルトの周長が大きくなるほど、嵌合するロール径も大きくなり、ふれ精度の問題を解消できたとしても、小径ロールに嵌合した場合と同等のパターン形状精度を得ることが困難である。これは例えば、一般的な精密旋盤加工機として、主軸の割り出し精度0.001°工具軸の精度0.1μmの加工機の場合、周長100mmのエンドレスベルトであれば、周方向の位置決め精度が0.3μmで工具軸の精度に対して大きくは劣らないが、周長1,000mmのエンドレスベルトでは、周方向の位置決め精度が2.8μmとなり、工具軸精度に大きく劣ることになるためである。そのため、蛇行溝や離散溝など、周方向に溝の周期の1/10〜1/100程度の高度な位置決め精度が必要となる加工の場合、上記旋盤加工機においては、微細な凹凸パターンの繰り返し周期がエンドレスベルトの周長の1/3,600以下では、高精度な加工を行えない問題があった。
また、さらに周長の大きな、例えば周長2,000mm以上のエンドレスベルト状金型を製造しようとすると、嵌合するロールの直径が700mm近くになり、実用上加工可能な高精度な旋盤加工機がないか、仮にあっても非常に限られるという問題があった。
本発明の目的は、上記の問題を解消することであり、熱可塑性フィルムの表面に押圧して微細パターンを転写形成するためのエンドレスベルト状金属金型であって、十分な強度と高精度な微細形状とを有するベルト状金属金型を、形状自由度が高く、また、周長の大きな金型であっても、高精度かつ安価に製造する方法を提供することにある。
本発明は上記課題を解決するために、下記の構成を採る。
(1)基層とめっき層とを有する1枚以上の金属平板からなり、前記金属平板の端部において、前記基層が露出しており、該端部に露出した基層同士がつきあわせ溶接されてなるエンドレスベルト状金属金型であって、前記めっき層に微細パターンを有することを特徴とするエンドレスベルト状金属金型。
(2)前記基層の材質がステンレス鋼であり、前記めっき層がニッケルめっき層であって、前記エンドレスベルト状金属金型の総厚さが0.05〜0.3mmであり、かつ、前記ニッケルめっき層の厚さがエンドレスベルト状金属金型の総厚さの1/2以下であることを特徴とする(1)に記載のエンドレスベルト状金属金型。
(3)前記微細パターンが、少なくとも前記エンドレスベルト状金属金型の周方向に周期的に形成されたものであって、前記微細パターンの周期Pと、前記エンドレスベルト状金属金型の周長Lとの関係が、P≦L/3,600であることを特徴とする(1)または(2)に記載のエンドレスベルト状金属金型。
(4)前記エンドレスベルト状金属金型の周長Lが2,000mm以上であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のエンドレスベルト状金属金型。
また本発明では下記の製造方法も提供する。
(5)1枚以上の金属平板の少なくとも一方の基層に端部を除いてめっきを施し、めっき層を形成した後、前記めっき層を切削することで微細パターンを形成し、その後、前記微細パターンが形成されためっき層を外面にして、前記金属平板の端部の基層同士をつきあわせ溶接してエンドレスベルト化することを特徴とするエンドレスベルト状金属金型の製造方法。
(6)前記金属平板が、少なくとも第1の金属平板と、第2の金属平板とを含む複数の金属平板であって、前記第1の金属平板のめっき層に形成された第1の微細パターンと、前記第2の金属平板のめっき層に形成された第2の微細パターンとが異なるパターンであることを特徴とする(5)に記載のエンドレスベルト状金属金型の製造方法。
さらに本発明では下記の製造装置も提供する。
(7)(1)〜(4)のいずれかに記載のエンドレスベルト状金属金型、または、(5)もしくは(6)に記載の製造方法にて製造されたエンドレスベルト状金属金型と、前記エンドレスベルト状金属金型を加熱するための加熱ロールと、加熱ロールと平行に配置されたニップロールと、前記両ロールを用いた挟圧手段とを少なくとも備えた加圧機構と、前記エンドレスベルト状金属金型を冷却するための冷却ロールと、前記エンドレスベルト状金属金型に密着したフィルムを剥がすための剥離ロールと、前記加熱ロールおよび/または前記冷却ロールを回転させて、前記エンドレスベルト状金属金型を搬送する搬送機構とを備えた微細パターン転写フィルムの製造装置。
本発明によれば、熱可塑性フィルムの表面に押圧して微細パターンを転写形成するためのエンドレスベルト状金属金型を、1枚以上の金属平板の基層に端部を除いてめっきを施した後、めっき層を切削することで微細パターンを形成し、その後微細パターンが形成されためっき層を外面にして、金属平板の端部同士をつきあわせ溶接して製造することにより、十分な強度と高精度微細パターンとを有し、形状自由度が高く、金型の大きさに依存することなく高精度かつ安価に製造できる。
本発明の一実施形態における、エンドレスベルト状金属金型の構造を示す概略図である。 本発明を適用した微細パターン転写フィルムの製造装置の一実施形態の断面概略図である。 本発明の一実施形態において、金属平板をめっきする際の金属平板保持方法を示す概略図である。
本発明のエンドレスベルト状金属金型は、基層とめっき層とを有する1枚以上の金属平板からなり、金属平板の端部において、露出している基層同士がつきあわせ溶接され、めっき層に微細パターンを有することを特徴とするものである。
図1に、本発明の実施形態の一例である、エンドレスベルト状金属金型の構造を示す。
図1に示すように、本発明のエンドレスベルト状金属金型には、基層31とめっき層32とを有する金属平板33が、1枚または複数枚(図1では3枚)使用される。金属平板33の端部は基層31が露出しており、この露出部34において、基層がつきあわせ溶接され、エンドレスベルト化されている。めっき層32には、微細パターン35が形成されている。
[基層、めっき層]
基層が露出しているとは、基層の表面に形成されているめっき層が存在しない状態をいう。
基層の材質は、エンドレスベルトとして使用される強度を保つことができれば特に制約はないが、つきあわせ溶接部においても十分な強度を有する必要から、SUS301、SUS304、SUS631、15-7PH、などのステンレス鋼が使用されることが好ましい。エンドレスベルト使用のための必要強度は実使用条件と板厚等により決まるが、降伏応力300MPa以上が好ましく、より好ましくは500MPa以上である。これらステンレス鋼の溶接部における降伏応力は600〜1,200MPa程度であり、エンドレスベルトとしての使用に十分耐えうる。しかし、このようなステンレス鋼においては、一般に微細パターン形成に用いられる単結晶・多結晶などのダイヤモンド工具が、ステンレス鋼切削時に発熱により損耗する場合がある。
そこで、エンドレスベルト状金属金型表面の微細パターンの形状精度および面粗さ精度を高めるため、ダイヤモンドでの切削性良好なめっき層をステンレス鋼の表面に形成することが好ましい。めっき層に要求される機能は、微細パターンの形状精度、面粗さ精度および、金型使用時の十分な強度などであり、工具形状の正確な転写が可能な非晶のニッケルめっきや銅めっきが好ましく、特に、ニッケルめっきが好ましい。
一方、例えば、ニッケル電鋳板のように基層のない材料では、溶接そのものが困難であったり、溶接部強度が不足したりするなどエンドレスベルト状金属金型としての使用が困難となる場合がある。
ニッケルめっき層の厚さはエンドレスベルト状金属金型の総厚さの1/2以下であることが好ましい。ベルト状金属金型の総厚さに対してニッケルめっき層の厚さが1/2より大きくなると、加熱ロールおよび冷却ロールでの曲げにより、基層とニッケルめっき層との境界面で剥離が発生する場合があるためである。また、基層との境界面付近では、ニッケルめっき層の品質が安定し難いため、ニッケルめっき層の厚さは0.02mm以上であることが好ましい。
ニッケルめっき層の厚さは上記と、微細パターン深さに応じて任意であるが、好ましくは、0.02〜0.1mmである。
[エンドレスベルト状金属金型]
エンドレスベルト状金属金型の総厚さは0.05〜0.3mmの範囲とすることが好ましい。これは、例えば図2に示す微細パターン転写フィルムの製造装置において、加熱ロールと冷却ロールとに懸架して使用する際に、0.05mmより薄い厚みでは張力によりエンドレスベルト状金属金型が破断あるいは塑性変形する場合があるためである。一方、0.3mmよりも厚みが大きい場合、エンドレスベルト状金属金型の曲げ剛性が大きくなりすぎて、加熱ロールおよび冷却ロールに懸架したり、これらのロールに懸架した状態で搬送させたりすることが難しくなる場合があるためである。
ここで、めっき層の一部に凹み形状などの微細パターンがある場合、総厚さは微細パターンのうち最も凸となっている部分の厚さをいう。
本発明のエンドレスベルト状金属金型の製造方法は、1枚以上の金属平板の少なくとも一方の基層に端部を除いてめっきを施し、めっき層を形成した後、めっき層を切削することで微細パターンを形成し、その後、微細パターンが形成されためっき層を外面にして、金属平板の端部の基層同士をつきあわせ溶接してエンドレスベルト化することを特徴とするものである。
端部はつきあわせ溶接ができれば、基層が露出している面積に特に制限はない。
ここでつきあわせ溶接とは、板厚が同じ材料同士を同じ面内で溶接することをいう。
また、基層同士をつきあわせ溶接するとは、露出した基層端部同士をつきあわせ溶接することをいう。寸法精度および強度の観点から、基層端部同士を密着させて、密着部分にレーザーまたはマイクロプラズマを照射することで基層を溶融させ一体化させるレーザー溶接またはマイクロプラズマ溶接によるつきあわせ溶接が好ましい。
[めっき層の形成]
めっき層を形成する方法としては、めっき中の金属平板の平面度を保てる方法であればよく、例えば、図3のように、基層31を剛体平面板15にボルト固定したり、磁性ステンレス鋼平板を使用しマグネットブロックにチャックしたりするなど、支持部材で支持した状態でめっきを行うことが好ましい。
但し、めっき浴中で熱膨張があるため、支持部材と金属平板との線膨張率を合わせることが好ましい。このため、支持部材の材質を金属平板と同じものとすることが好ましい。この際、後工程での溶接に備え金属平板の溶接端部をマスキングテープ16などによりマスクし、めっきがのらない状態とすることが好ましい。これは、基層とめっき層両層を同時につきあわせ溶接しようとしても、溶接できないか、もしくは、たとえ溶接ができた場合でも溶接強度が保たれないため、これを防ぐことが狙いである。めっき時に溶接端部をマスクしておくことで、金属平板の端部の基層を露出させ、これにより溶接強度が高い基層単層同士を金属平板の端部においてつきあわせ溶接でき、エンドレスベルトとして十分な溶接強度が得られることになる。
ボルト固定部分やマスク部分の一部については後工程での要否に従いめっき後に基層を切断して除去することが可能である。但し、マスク部の一部は後工程でのつきあわせ溶接のために1〜10mm程度の幅で残しておくことが好ましい。
[微細パターン]
次いで、めっきを施し、めっき層が形成された金属平板に、このめっき層を切削することで、微細パターンを形成する。ここで、めっき層が形成された金属平板は、十分平面度を保たれているため、平板式加工機によって高精度切削加工を施すことが可能である。
ここで微細パターンとは、深さ10nm〜100μm、好ましくは深さ1μm〜50μmの凹み形状が、少なくともエンドレスベルト状金属金型の幅方向に、ピッチ10nm〜1mm、好ましくはピッチ1μm〜100μmで周期的に繰り返された形状のことを示す。凹み形状としては、ベルトの周方向を長手方向として、長手方向に垂直な断面の形状が三角形状や、矩形状、半円形状、半楕円形状である溝が複数個ストライプ状に並んでいるもの等が挙げられる。また、凹みが全面積の1/2以上を占め、高さ10nm〜100μm、好ましくは高さ1μm〜50μmの凸形状が、少なくともエンドレスベルト状金属金型の幅方向に、ピッチ10nm〜1mm、好ましくはピッチ1μm〜100μmで周期的に繰り返された形状であってもよい。
溝の長手方向は、ベルトの周方向に一致している必要はなく、ベルトの周方向に特定の角度を有する方向を長手方向とする溝であってもよい。また、ベルトの周方向に、溝の幅方向位置が変動する蛇行溝であってもよい。
溝の深さについても、溝の長手方向に沿って一定である必要はなく、溝深さが変化する揺動溝であったり、溝が断続する断続溝であったりしてもよい。
二方向以上の溝が、例えばベルトの周方向に対して時計回りに45°傾いた溝と、ベルトの周方向に対して反時計回りに45°傾いた溝といったように交差していてもよい。
旋盤加工機においては加工が非常に困難な同心円状に配置された溝や折り返しのある溝形状でであってもよい。
平板式加工機においては、旋盤加工機と異なり、ふれ精度などの加工方向に依存した問題が発生し難く、高精度加工が容易である。特に、ベルトの周方向に対して特定の角度を有する方向の溝や、蛇行溝などを精度良く加工することができる。これは、ワークサイズに依存して大きく精度を落とす軸がないためであり、蛇行溝や、離散溝などのベルト状金属金型の周方向に高度な位置決め精度が要求される形状において、特に、微細パターンが、エンドレスベルト状金属金型の周方向に周期的に形成されてあって、その微細パターンの周期Pがベルト状金属金型の周長Lの1/3,600以下となる細かな形状であっても、高精度な加工が可能である。
ここで、微細パターンが、エンドレスベルト状金属金型の周方向に周期的に形成されるとは、微細パターンの深さがベルトの周方向に変化したり、微細パターンが周方向に断続的に形成されたり、微細パターンがベルトの幅方向に蛇行しながら周方向に連続したりするように、微細パターンが変化するものであって、その変化が少なくともベルトの周方向に繰り返されるものをいい、周期Pとは、そのベルトの周方向の繰り返しの長さをいう。
また、エンドレスベルト状金属金型の周長Lとは、ベルトの内周面に沿ったベルトの周方向の最短長さをいう。
また、本方法において、複数の金属平板を用いてエンドレスベルト状金属金型を製造する場合、個々の金属平板を小さくし、その分、使用する金属平板の枚数を増やしてエンドレスベルト状金属金型を製造することができる。この場合、小型の精密加工機で高精度に切削加工を行うことが可能となる。特に、実用上加工可能な高精度な旋盤加工機がなく、旋削加工方法では精度の低い加工しか行えなかった周長Lが2,000mm以上のエンドレスベルト状金属金型であっても、分割して平板加工機を用い加工することで、微細形状の加工精度を悪化させることなく加工することが可能である。周長Lの上限は特に制限がないが、生産性を考慮すると10,000mmが上限である。
なお、平板式加工機によって切削加工を行う際には、金属平板をめっき時に使用した支持部材に固定したまま加工を行ってもよいし、めっき時の支持部材から取り外し、金属平板のみを真空吸着やマグネット吸着等の公知の方法で固定して加工を行ってもよい。新たに、切削加工用の支持部材に固定して加工を行うことも可能である。
[エンドレスベルト状金属金型の製造方法]
このようにしてめっき層に微細パターンを形成した金属平板を、めっきの施されていない端部の基層同士でつきあわせ溶接し、エンドレスベルト状金属金型を形成する。エンドレスベルト状金属金型の形成に使用する金属平板は、1枚の板のみを使用して、その両端部の基層同士をつきあわせることでエンドレスベルト状金属金型としてもよいし、複数枚の金属平板の端部の基層同士をつきあわせ溶接してエンドレスベルト状金属金型としてもよい。また、広幅のエンドレスベルト状金属金型を製作するために、エンドレスベルト状金属金型の幅方向に金属平板同士をつきあわせ溶接することも可能である。
平板式加工機での高精度切削加工が可能である1,000mm×1,000mm以下の金属平板を複数枚つきあわせ溶接してエンドレスベルト状金属金型とすることが、加工機選択の自由度や金属平板のハンドリングなどの面からも好ましい。
このように、複数の金属平板を用いてエンドレスベルト状金属金型を製造する場合、各金属平板に施される微細パターンの形状は同一であってもよいが、異なるパターンとすることも可能である。
異なるパターンとは、パターンの長手方向に垂直な断面からみたパターン断面の形状が異なるか、ベルトの幅方向における溝の繰り返し周期または繰り返し数が異なるか、ベルトの長さ方向に平均した溝深さが1.2倍以上異なるかの少なくともいずれかであることをいう。
本発明におけるエンドレスベルト状金属金型であれば、このように、例えば、V字形状の溝と半円形状のレンチキュラー溝というように断面形状の異なる形状とすることもできるし、同一形状であっても、ベルトの幅方向における溝の繰り返し周期を異なるものとしたり、溝深さを異なるものとしたりするなどが可能であり、このようなエンドレスベルト状金属金型を利用すれば、後で述べる微細パターン転写フィルムの製造に際して、複数の異なる微細パターンを有する製品を同時並行的に生産することが可能である。
[微細パターン転写フィルムの製造装置]
このようにして製造したエンドレスベルト状金属金型は、図2に示す微細パターン転写フィルムの製造装置1に好適に用いることができる。微細パターン転写フィルムの製造装置1は、エンドレスベルト状金属金型3と、エンドレスベルト状金属金型が懸架された加熱ロール4および、前記エンドレスベルト状金属金型を冷却するための冷却ロール5を有する。また、前記エンドレスベルト状金属金型を加熱するための加熱ロール4と平行に配置され、成形用フィルム2を加圧成形するニップロール6と、成形後のフィルムをエンドレスベルト状金属金型3より剥離する剥離ロール7を備えている。そして加熱ロール4と加熱ロール4と平行に配置されたニップロール6は、両ロールでエンドレスベルト状金属金型3と成形用フィルム2を挟んで加圧するために、少なくともどちらか一方が狭圧手段14に接続され、加圧機構として構成されている。また、加熱ロール4と冷却ロール5に懸架したエンドレスベルト状金属金型3を周回させるように搬送するための搬送機構として、加熱ロール4および/または冷却ロール5を回転駆動する駆動部を備えている。また、成形用フィルムの巻き出し、巻き取り用として、巻出ロール9、巻取ロール10を備えており、さらに、成形用フィルム2の搬送経路に合うようにガイドロール8を1本ないしは複数備えている。
微細パターン転写フィルムの製造装置1による一連の成形の動作は以下のとおりである。巻出ロール9より巻き出した成形用フィルム2を加熱ロール4により加熱されたエンドレスベルト状金属金型3上に供給する。エンドレスベルト状金属金型3と積層された成形用フィルム2はニップロール6によりエンドレスベルト状金属金型3の微細パターン面3aに押し付けられ、成形用フィルムの成形面2aにエンドレスベルト状金属金型3の表面の形状に対応する形状、すなわちエンドレスベルト状金属金型3の微細パターンとは逆パターンの微細パターンが転写成形される。その後、成形用フィルム2は、成形用フィルムの成形面2aにエンドレスベルト状金属金型3が密着した状態で冷却ロール5の外表面まで搬送される。成形用フィルム2は、冷却ロール5によってエンドレスベルト状金属金型3を介して熱伝導により冷却された後、剥離ロール7によってエンドレスベルト状金属金型3から剥離され、巻取ロール10に巻き取られる。上記の動作が連続的に行われる。
ニップロール6は芯層の外表面に弾性層11を被覆した構造である。芯層は、強度および加工精度が求められ、例えば鋼や繊維強化樹脂、セラミックス、アルミ合金などが適用される。また、弾性層11は、押圧力により変形する層であり、ゴムに代表される樹脂層もしくはエラストマー材質が好ましく適用される。芯層はその両端部で軸受13によって回転支持されており、さらに前記軸受13は、シリンダなどの狭圧手段14と接続されている。ニップロール6はこの狭圧手段14のストロークにより開閉し、成形用フィルム2を挟圧または開放する。
また、ニップロール6は所望のプロセスやフィルム材質に合わせて、温調機構を有してもよい。温調機構としては、ロール内部を中空にしてカートリッジヒーターや誘導加熱装置を埋め込んだり、内部に流路を加工して油や水、蒸気等の熱媒を流したりすることにより、ロール内部から加熱する構造でもよい。また、ロール外表面付近に赤外線加熱ヒーターを設置して、ロール外表面から加熱する構造でもよい。
ニップロール6の弾性層11の耐熱性は、160℃以上の耐熱温度を有するものが好ましく、さらに好ましくは180℃以上の耐熱温度を有するものが好ましい。ここで耐熱温度とはその温度で24時間放置したときの引張強さの変化率が10%を超えるときの温度をいう。なお、耐熱温度の上限はニップロールの耐久性の観点から400℃以下が好ましい。
弾性層11の材質としては、例えばゴムを用いる場合には、シリコーンゴムやEDPM(エチレンプロピレンジエンゴム)、ネオプレン、CSM(クロロスルホン化ポリエチレンゴム)、ウレタンゴム、NBR(ニトリルゴム)、エボナイトなどを用いることができる。更に高い弾性率と硬度を求める場合には、カレンダーローラ用樹脂としてゴムメーカ各社から販売されている上記ゴムに特殊な処方を用いたものや、じん性を向上させた硬質耐圧樹脂(例:ポリエステル樹脂)を用いることができる。
次に、ニップロール6とエンドレスベルト状金属金型3を挟んで対向する加熱ロール4について説明する。加熱ロール4はニップ時に荷重を受けるので、強度および加工精度が求められ、さらに加熱手段を含むことが好ましい。材質としては、例えば鋼や繊維強化樹脂、セラミックス、アルミ合金などが挙げられる。また、加熱手段としては内部を中空にしてカートリッジヒーターや誘導加熱装置を設置したり、内部に流路を加工して油や水、蒸気等の熱媒を流したりすることにより、ロール内部から加熱する構造でもよい。また、ロール外表面付近に赤外線加熱ヒーターや誘導加熱装置を設置して、ロール外表面から加熱する構造でもよい。
加熱ロール4の表面には、硬質クロムめっき、セラミック溶射、ダイヤモンド・ライク・カーボン・コーティングなどの高硬度皮膜の形成処理を施すことが好ましい。なぜなら、加熱ロール4は常にエンドレスベルト状金属金型3と接触しているうえ、ニップロール6による押圧力を受けるため、その表面は非常に磨耗しやすく、加熱ロール4の表面が磨耗したり、傷が入ったりすると、フィルムの転写ムラや、フィルムへのロール表面形状の転写といった問題が生じる場合があるためである。
上記の加熱ロール4とニップロール6との間に成形用フィルム2とエンドレスベルト状金属金型3を積層した状態で挟圧する。
冷却ロール5は例えば内部に通水路が設けられ、一定の温度の水を連続して循環させる水冷式の冷却手段などによって冷却されることが好ましい。そしてエンドレスベルト状金属金型3との接触面における熱伝導によりエンドレスベルト状金属金型3を冷却する。
各ロールの端部は、ころがり軸受などにより回転支持される。加熱ロール4はモータ等の駆動手段と連結され、速度を制御しながら回転可能となっている。また冷却ロール5はエンドレスベルト状金属金型3を通じて、加熱ロール4の駆動力により回転することが好ましい。搬送速度は微細パターンの成形性と成形フィルムの生産性のバランスを考慮して決定されるが、微細パターンを高精度に転写しながら生産性を高くするために、速度は1〜30m/分の範囲より決定されることが好ましい。ニップロール6の駆動手段は、加熱ロール4の端部とチェーンまたはベルトなどで連結し、加熱ロール4と連動して回転できるようにしたり、あるいは、加熱ロール4と速度を同期可能なモータなどを用いて独立して回転させたりすることが好ましいが、回転自在の構造とし、成形用フィルム2との摩擦によって回転されるようにしてもよい。
巻出ロール9および巻取ロール10はともに成形用フィルム2を巻きつけるコアを固定できる構造となっており、端部はモータ等の駆動手段と連結され、速度を制御しながら回転可能となっている。また、トルク制御により、成形用フィルム2に与えられる張力を調整できることが好ましい。
剥離ロール7は冷却ロール5と同様に冷却手段を有しており、成形用フィルム2を裏面側から冷却し、エンドレスベルト状金属金型3からの剥離を補助する役割を果たす。剥離ロール7の成形用フィルム2に対する押圧力は特に制限されず、剥離ロール7の周面が成形用フィルム2の裏面に密着していればよい。
[微細パターン転写フィルムの製造方法]
上記の装置を用いて微細パターンが表面に形成された微細パターン転写フィルムの製造方法を説明する。
本発明の微細パターン転写フィルムの製造方法は、基層とめっき層を有する1枚以上の金属平板からなり、金属平板の端部において、露出している基層同士がつきあわせ溶接され、めっき層に微細パターンを有するエンドレスベルト状金属金型を使用し、該エンドレスベルト状金属金型を加熱された加熱ロールに抱かせながら加熱する金型加熱工程と、フィルムの転写側表面と前記エンドレスベルト状金属金型の微細めっき表面とを密着させた状態で、前記加熱ロールを含む一対のロールによりニップ加圧する加圧転写工程と、加圧後の前記エンドレスベルト状金属金型と前記フィルムを密着させたまま冷却ゾーンまで搬送する搬送工程と、前記冷却ゾーンでエンドレスベルト状金属金型とフィルムを密着させたままエンドレスベルト状金属金型側から冷却する金型冷却工程と、冷却後のエンドレスベルト状金属金型とフィルムとを剥離する剥離工程と、を少なくも含むことにより、エンドレスベルト状金属金型の表面に形成された微細パターンを、加熱したフィルムの表面に転写することにより微細パターン転写フィルムを製造するものである。
本発明の実施形態の一例を図2を用いて説明する。
まず準備段階として、成形用フィルム2を巻出ロール9より引き出し、ニップロール6を開放した状態で、加熱ロール4と冷却ロール5に懸架されたエンドレスベルト状金属金型3上に沿わせ、剥離ロール7を経由し、巻取ロール10で巻き取っている状態とする。
続いて、駆動手段により成形用フィルム2を低速で搬送しながら、加熱ロール4の加熱手段及び冷却ロール5の冷却手段を作動し、加熱ロール4及び冷却ロール5の表面温度が所定の温度になるまで温調する。搬送しながら温調する理由は、搬送していないと成形用フィルム2の加熱ロール4上に位置する部分が蓄熱し、そこでフィルムが溶けて破れてしまう場合があるからである。加熱ロール4の表面温度、冷却ロール5の表面温度の条件は、成形用フィルム2の材質、エンドレスベルト状金属金型3の微細パターンの形状、アスペクト比等に依存し、加熱ロール4の表面温度は180〜250℃、冷却ロール5の表面温度は20〜80℃で設定されるのが好ましい。また、温調中の搬送速度は0.1〜5m/分とすることが好ましく、0.1〜1m/分とすることがより好ましい。
加熱ロール4及び冷却ロール5の表面温度が設定値まで温調されたら、フィルムを成形速度で搬送すると同時に、ニップロール6を閉じ、加熱ロール4とニップロール6で成形用フィルム2及びエンドレスベルト状金属金型3を加圧し、エンドレスベルト状金属金型3の微細パターン面3aの形状を成形用フィルム2の成形面2aに転写する。このときの条件として、フィルムの成形速度は1〜30m/分、ニップ圧力は80〜120MPaの範囲が好ましい。
フィルムの連続転写は、エンドレスベルト状金属金型3の周回動作に合わせて各工程を並べると、金型加熱工程、加圧転写工程、搬送工程、金型冷却工程、剥離工程から構成される。エンドレスベルト状金属金型3は加熱ロール4と接触する部分において、常に高温の加熱ロール4からの熱伝導により加熱され、加熱ロール4とニップロール6によって挟圧されるまでに、エンドレスベルト状金属金型3の温度は加熱ロール4の表面温度まで昇温される(金型加熱工程)。成形用フィルム2は、加熱ロール4とニップロール6による挟圧部において加熱されたエンドレスベルト状金属金型3に押し当てられ、軟化したフィルムを構成する樹脂がエンドレスベルト状金属金型3の微細パターン面3aのパターン内に充填される(加圧転写工程)。エンドレスベルト状金属金型3に狭圧されたフィルムは、エンドレスベルト状金属金型3に密着したまま冷却ゾーンまで搬送される(搬送工程)。
ここで、本発明のエンドレスベルト状金属金型を使用して、成形用フィルムに微細パターンを転写成形する際、エンドレスベルト上の溶接部分は、めっき膜の厚み分、周囲に対して凹みであるため、軟化した樹脂はこの凹み部分にも充填され、フィルムには凸形状が形成される。めっき層厚みは微細パターンの高さより大きいため、この部分がフィルムにおける大突起となり、加熱ロールから冷却ロールまでの、エンドレスベルト状金属金型へのフィルム密着を促進する。このことは、特に、微細パターンそのものの高さが低い場合やアスペクト比が小さく、微細パターンそのものでの密着だけでは、加熱ロールから冷却ロールまでの間にエンドレスベルト状金属金型からフィルムが剥がれて成形不良となりやすい場合において、密着を補強する働きとなるため、より高精度な微細パターン転写を可能とする。
冷却ゾーンとはエンドレスベルト状金属金型3と冷却ロール5が接触している範囲を示す。フィルムは該冷却ゾーンにおいて、冷却ロール5との熱伝導により、エンドレスベルト状金属金型3ごとフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度以下まで冷却される(冷却工程)。冷却後のフィルムは剥離ロール7により、エンドレスベルト状金属金型3から連続的に剥がすように離型される(剥離工程)。剥離後のフィルムは巻取ロール10に巻き取られる。
本発明に適用される成形用フィルム2は、熱可塑性樹脂を主たる成分とした熱可塑性フィルムが用いられ、具体的に好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂ポリエーテル系樹脂、ポリエステルアミド系樹脂、ポリエーテルエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、あるいはポリ塩化ビニル系樹脂などからなるものである。この中でも、共重合するモノマー種が多様であり、かつそのことによって材料物性の調整が容易であるなどの理由から特にポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂またはこれらの混合物から選ばれる熱可塑性樹脂から主として形成されていることが好ましく、上述の熱可塑性樹脂を50質量%以上含むことがさらに好ましい。熱可塑性樹脂の含有量の上限は特にないが、好ましくは70質量%以下である。
成形用フィルム2は上述の樹脂の単体からなるフィルムであっても構わないし、複数の樹脂層からなる積層体であってもよい。この場合、単体フィルムと比べて、易滑性や耐摩擦性などの表面特性や、機械的強度、耐熱性を付与することができる。このように複数の樹脂層からなる積層体とした場合は、フィルム全体が前述の熱可塑性樹脂を主たる成分とする要件を満たすことが好ましいが、フィルム全体としては前記要件を満たしていなくても、少なくとも前記要件を満たす層が表層に形成されていれば容易に表面を形成することができる。特に、フィルムの成形性を良くするために金型温度を高温にしたい場合は、表層にガラス転移点が低く微細パターンを転写しやすい樹脂、芯層にガラス転移点が高く強度の強い樹脂、という構成のフィルムを用いることで、フィルムの平面性を維持しつつ、フィルムの成形性を高めることができる。
以下実施例を用いて本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
500mm×300mm、厚さ0.15mmのステンレス鋼(SUS631)板を2枚用い、それぞれ、300mmの辺に沿って両端部5mmずつをマスクして、その内側(490×300mm)となる部分にめっきを施した。めっきは無電界ニッケルめっきとし、めっき層の厚みを0.05mmとした。ニッケルめっきを施したステンレス鋼板を平板加工機上のマグネットチャックに乗せて固定し、ニッケルめっき層にダイヤモンドバイトで溝加工を施した。溝形状は、頂角90°、ピッチ25μmのV字形状(深さ12.5μm)とした。
この2枚のステンレス鋼板をステンレス鋼が露出している端部の基層同士でつきあわせ溶接し、幅300mm、周長1,000mmのエンドレスベルト状金属金型とした。
得られたエンドレスベルト状金属金型の微細パターンの精度は、計測時の誤差を含んで、ピッチ24.7〜25.2μm、深さ12.3〜12.6μmと良好であって、エンドレスベルト状金属金型としての使用にも問題がなかった。
(実施例2−1〜2−9)
実施例1同様の加工手順に従い、表1に示す基層厚さおよびめっき層厚さとして、エンドレスベルト状金属金型を製作した。
表1に示すように、総厚さにより使用できるロール径が異なるが、いずれもエンドレスベルト状金属金型として使用可能であった。
(実施例3)
実施例1と同様の加工手順に従い、使用するステンレス鋼板の枚数を増やしてエンドレスベルト状金属金型を製作した。
ステンレス鋼板の枚数を4枚とした以外は実施例1と同様に、めっき、溝加工とつきあわせ溶接とを行い、幅300mm、周長2,000mmのエンドレスベルト状金属金型とした。得られたベルト状金属金型の微細パターン形状の精度は、計測誤差を含んで、ピッチ24.6〜25.1μm、深さ12.2〜12.6μmと良好であり、エンドレスベルト状金属金型としての使用にも問題がなかった。
(実施例4)
実施例1と同様の加工手順に従い、めっきを施したステンレス鋼板の長手方向(500mmの方向)に断続的に溝加工を行った。断続溝加工の周期は0.2mmとし、この間に、深さ6μmの溝を溝底長さ65.7μm、溝上部の長さ143.3μmとなるよう加工した。長手方向の繰り返し数は2,449回とし、短手方向には60μmの間隔で、4,666列の加工を繰り返し、溝位置が千鳥状に配置されるようにした。
この加工を施したステンレス鋼板を2枚溶接して、実施例1と同様に、幅300mm、周長1,000mmのエンドレスベルト状金属金型を製作した。
このエンドレスベルト状金属金型において、断続溝形状の周期は、エンドレスベルト状金属金型の周長の1/10,000に相当するが、溝深さ、溝底長さ、溝上部長さ、繰り返し周期に問題なく、エンドレスベルト状金属金型としての使用にも問題がなかった。
(実施例5)
ステンレス鋼板を3枚用いて、周長1,500mmとした以外は実施例1と同じ方法でエンドレスベルト状金属金型を作成し、このエンドレスベルト状金属金型を使用して図2の熱インプリント装置にてフィルムへのインプリント成形を行った。
フィルム2には、ポリカーボネート樹脂を芯層とし、その両面に被転写層としてポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂を積層した、3層積層フィルムを共押出しにより作成し用いた。該フィルムの総厚みは200μm、各層の積層比(厚み比)はおよそ1:8:1であり、幅は320mmとした。
加熱ロール4は炭素鋼からなる筒状の芯材の表面に硬質クロムめっきをしたものを用いた。加熱ロール4の外径は180mm、幅方向長さは304mmとした。加熱手段には加熱ロール内部に備えた誘導加熱装置を用い、加熱ロール4の表面温度を210℃まで加熱した。
冷却ロール5は加熱ロール4と同様に、炭素鋼を芯材とし、表面に硬質クロムめっきをしたものを用いた。冷却ロール5は内部を循環する流水により、常に表面温度50℃に保った。
ニップロール6は外径が160mmの炭素鋼からなる筒状の芯材表面に、弾性層11としてポリエステル樹脂(硬度:ショア D80°)を20mmの厚みで被膜したものを用いた。
狭圧手段14には空気圧シリンダを用いてニップロール6に対し押圧力180kNを負荷した。 このとき、ニップロール6と成形用フィルム2との接触幅Bを、圧力測定フィルム(プレスケール、富士フィルム株式会社製)を用いて確認したところ全幅で6mmであり、成形用フィルム2に負荷される圧力が100MPaとなり、幅方向で均一であった。
フィルムの搬送速度を1m/分から最大20m/分まで徐々に上げていったところ、いずれの速度でもエンドレスベルト状金属金型が破断することなく、エンドレスベルト状金属金型に加工された微細パターンを均一に連続的にフィルムに転写することができた。20m/分でフィルム上に転写されたV字形状を計測したところ、ピッチ24.6〜25.2μm、高さ12.2〜12.5μmであった。
(比較例1)
実施例1と同様のステンレス鋼板を使用し、めっき時に両端部のマスクを行わず全面(500mm×300mm)めっきを施した以外は実施例1と同様に、めっきおよび溝加工を施した。この板を端部でつきあわせ溶接を試みたが、溶接時にニッケルの溶け落ちが不純物となり強度が出ず、エンドレスベルト状金属金型として成形することができなかった。
(比較例2)
実施例3と同じ4枚のステンレス鋼板をつきあわせ溶接して周長2,000mのベルト状金属金型とした後に、エンドレスベルト状金属金型の周長と等しい周長を持つ剛体ロールにエンドレスベルト状金属金型を嵌合し、嵌合した状態にて0.1mmのニッケルめっきを行い、このめっき層にダイヤモンドバイトで溝加工を施した。溝加工は旋盤加工機に剛体ロールを固定し、周長2,000m、すなわち、直径636.620mmのエンドレスベルト状金属金型を装着可能な高精度旋盤加工機がないため、比較的精度の低い旋盤加工機で加工を行い、V字形状のピッチ精度は、23.5〜26μm、深さ精度は、11〜13.5μmとばらつきが大きくなった。また、加工機のふれに起因すると見られる加工ムラによって、一部の溝において、稜線部分が変形する問題が生じた。
1:微細パターン転写フィルムの製造装置
2:成形用フィルム
2a:成形用フィルムの成形面
3:エンドレスベルト状金属金型
3a:エンドレスベルト状金属金型の微細パターン面
4:加熱ロール
5:冷却ロール
6:ニップロール
7:剥離ロール
8:ガイドロール
9:巻出ロール
10:巻取ロール
11:弾性層
13:軸受
14:狭圧手段
15:剛体平面板
16:マスキングテープ
31:基層
32:めっき層
33:金属平板
34:基層露出部
35:微細パターン

Claims (7)

  1. 材質がステンレス鋼である基層とめっき層とを有する1枚以上の金属平板からなり、前記金属平板の端部において、前記基層が露出しており、該端部に露出した基層同士がつきあわせ溶接されてなるエンドレスベルト状金属金型であって、前記めっき層に微細パターンを有することを特徴とするエンドレスベルト状金属金型。
  2. 記めっき層がニッケルめっき層であって、前記エンドレスベルト状金属金型の総厚さが0.05〜0.3mmであり、かつ、前記ニッケルめっき層の厚さがエンドレスベルト状金属金型の総厚さの1/2以下であることを特徴とする請求項1に記載のエンドレスベルト状金属金型。
  3. 前記微細パターンが、少なくとも前記エンドレスベルト状金属金型の周方向に周期的に形成されたものであって、前記微細パターンの周期Pと、前記エンドレスベルト状金属金型の周長Lとの関係が、P≦L/3,600であることを特徴とする請求項1または2に記載のエンドレスベルト状金属金型。
  4. 前記エンドレスベルト状金属金型の周長Lが2,000mm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のエンドレスベルト状金属金型。
  5. 材質がステンレス鋼の基層の一方の面に端部を除いてめっきを施し、めっき層を形成して、前記基層と前記めっき層とを有する金属平板を1枚以上作成した後、前記めっき層を切削することで微細パターンを形成し、その後、前記微細パターンが形成されためっき層を外面にして、前記金属平板の端部の基層同士をつきあわせ溶接してエンドレスベルト化することを特徴とするエンドレスベルト状金属金型の製造方法。
  6. 前記金属平板が、少なくとも第1の金属平板と、第2の金属平板とを含む複数の金属平板であって、前記第1の金属平板のめっき層に形成された第1の微細パターンと、前記第2の金属平板のめっき層に形成された第2の微細パターンとが異なるパターンであることを特徴とする請求項5に記載のエンドレスベルト状金属金型の製造方法。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載のエンドレスベルト状金属金型、または、請求項5もしくは6に記載の製造方法にて製造されたエンドレスベルト状金属金型と、前記エンドレスベルト状金属金型を加熱するための加熱ロールと、加熱ロールと平行に配置されたニップロールと、前記両ロールを用いた挟圧手段とを少なくとも備えた加圧機構と、前記エンドレスベルト状金属金型を冷却するための冷却ロールと、前記エンドレスベルト状金属金型に密着したフィルムを剥がすための剥離ロールと、前記加熱ロールおよび/または前記冷却ロールを回転させて、前記エンドレスベルト状金属金型を搬送する搬送機構とを備えた微細パターン転写フィルムの製造装置。
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