JP6068031B2 - 時刻同期装置、時刻同期方法、および時刻同期プログラム - Google Patents

時刻同期装置、時刻同期方法、および時刻同期プログラム Download PDF

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Description

本発明は時刻同期装置、時刻同期方法、および時刻同期プログラムに関し、特にネットワークの停止状態がある非対称遅延環境にあっても出力クロック信号における周波数揺らぎを低減して高精度の時刻同期を実現しうる時刻同期装置等に関する。
無線通信において、無線基地局間の時刻の同期についてはますます高精度化が要求されている。特に次世代の高速無線通信規格として広まりつつあるLTE(Long Term Evolution)などでは、無線基地局間の時刻の同期は一般的には50ppb以下が要求されているが、顧客によっては1ppb以下、即ち1億分の1秒以下という高精度の同期が要求される場合も実際にある。
このような高精度の時刻同期を実現するプロトコルが、非特許文献1に記載のIEEE(Institute of Electrical and Electronic Engineers)によって制定されたIEEE1588v2である。このプロトコルは、それ自体が上り回線と下り回線の遅延構成が同一である対称遅延環境を前提として策定されたものであるので、上り回線と下り回線の遅延構成が同一でない非対称遅延環境では、高精度の時刻同期をしにくいという点が当初から問題とされてきた。
IEEE1588v2で「1ppb」以下という時刻同期精度の厳しい要求を満足させるためには、パケット信号の位相雑音に相当する位相の揺らぎを除去する必要がある。この位相揺らぎを、以後パケットジッタ・ワンダという。周波数10Hz以上の成分をパケットジッタ、10Hz未満の成分をパケットワンダというが、ここではそれらを特に区別する必要性はないので、一括してパケットジッタ・ワンダと呼ぶことにする。
このパケットジッタ・ワンダを除去するには、クロック信号生成の段階でソフトウェア的に除去する方法と、もしくは外部PLL(Phase Locked Loop、位相比較回路)を通すことによって除去する方法という、大きく分けて2種類の方法がある。
このうち、前者のソフトウェアで除去する方法は、様々なベンダから提案されているが、ITU−T(International Telecommunication Union- Telecommunication Standardization Sector)でも検討されているように、クロック信号生成のソフトウェアだけでは要求された「1ppb」以下という性能を満たすことは一般的に困難である。このため、マスタ装置とスレーブ装置の中間にBC(Boundary Clock)もしくはTC(Transparent Clock)といったクロック装置が必要となる。
これに対して、後者の外部PLLで除去する方法は、発生したパケットジッタ・ワンダを抑制するだけでよいので、BCやTCといった装置を新たに配備する必要がなく、ネットワーク全体としてのコストを安価に抑制することができる。
図6は、既存技術に係る時刻同期装置901の構成について示す説明図である。時刻同期装置901は、IEEE1588v2プロトコル部910と、IEEE1588v2パケット検出部920と、ディジタルPLL部930とから構成されている。IEEE1588v2プロトコル部910は、IEEE1588v2プロトコルに準拠する通信によって外部からクロック信号および受信パケットを受信し、これに応じてスレーブ時刻を生成する。
より具体的には、IEEE1588v2プロトコル部910は、外部クロックを基にスレーブ側の時刻を生成するスレーブ時刻タイマ機能911、受信パケットをキャプチャするパケットキャプチャ機能912、時刻オフセットを算出して出力するスレーブ時刻計算機能913、およびスレーブ時刻タイマ機能911で生成されたスレーブ時刻に時刻オフセットを加算してスレーブ時刻を調整する時刻加算器914を含む。
スレーブ時刻計算機能913は、パケットキャプチャ機能912で受信パケットとスレーブ時刻とから算出された各数値を元に時刻オフセットを算出し、これを時刻加算器914に出力する。そして、この時刻加算器914からの出力が、周波数揺らぎ成分除去前の時刻信号(1pps)としてディジタルPLL部930に出力される。
ディジタルPLL部930は、非対称遅延環境に起因するパケットジッタ・ワンダ除去性能を持ちかつ後述のホールドオーバ機能を持ち、これによって時刻加算器14から出力された時刻信号(1pps)から周波数揺らぎ成分を除去し、要求精度1ppb以内を満たす時刻信号を出力する。かつ、ディジタルPLL部930の位相ノイズ遮断周波数=1mHzである。
ディジタルPLL部930は、一般的なホールドオーバ機能付き完全積分型ディジタルPLL構成を備える。即ち、位相比較器931、ディジタルアンプ932、完全積分器933、ホールドオーババッファ934、選択器935、D/Aコンバータ936、VC−OCXO937、および分周器938を含む。
位相比較器931は、時刻加算器914から出力された時刻信号(1pps)と後述のVC−OCXO937からの出力信号から分周器938によって分周された再生信号との位相差を検出する。ディジタルアンプ932は、位相比較器931から出力された一次ループ信号を増幅する。完全積分器933は、ディジタルアンプ932から出力された二次ループ信号の増幅および積分処理を行う。ホールドオーババッファ934は、完全積分器933からの出力データを平均化してホールドオーバ機能を実現する。
選択器935は、後述のIEEE1588v2パケット検出部920のシンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能921からの出力に応じて、完全積分器933とホールドオーババッファ934のうちどちらからの出力信号を後続のD/Aコンバータ機能936に出力するかを選択する。D/Aコンバータ936は、選択器935で選択されたディジタル信号を電圧信号(アナログ信号)に変換する。
VC−OCXO937(Voltage Controlled / Oven Controlled Crystal Oscillator)は、D/Aコンバータ936から出力された電圧信号を周波数信号に変換する。分周器938は、VC−OCXO937からの出力信号を分周し、これが最終的に要求精度1ppb以内を満たす時刻信号として外部に出力されると同時に、前述の位相比較器931にも入力される。
IEEE1588v2パケット検出部920は、シンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能921を備える。シンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能921は、受信パケットを監視してシンク(Sync)メッセージが当該受信パケットに含まれているか否かを検出し、その検出結果に応じて選択器935で完全積分器933とホールドオーババッファ934のうちどちらからの出力信号を選択するかを決定する制御信号を出力する。
より具体的には、通常の状態では選択器935は完全積分器933からの出力信号を選択しているが、受信パケットに予め与えられた所定の時間に亘ってシンク(Sync)メッセージが検出されなければ、シンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能921は選択器935にホールドオーババッファ934からの出力信号を選択させ、その後シンク(Sync)メッセージが再び検出されれば、完全積分器933からの出力信号を選択する通常の状態に戻す。
図7は、図6に示した時刻同期装置901で、上り回線(スレーブ→マスター方向)と下り回線(マスター→スレーブ方向)のいずれにおいても遅延が全くない理想的な遅延環境を仮定した場合の、各パケットの遅延の分布を示すグラフである。ここで、パケット送信間隔=125msと想定されている。このグラフでは、上り回線と下り回線のいずれも遅延が全くないので、全パケットが遅延時間「0s」に分布している。
図8は、図7に示した理想的な遅延環境で、IEEE1588v2プロトコル部910内で算出された時刻オフセットの周波数成分を高速フーリエ変換(FFT)した結果を示すグラフである。パケット送信間隔=125ms、即ち信号周波数=8Hzであるので、周波数成分の最大周波数は理論上4Hzとなる。この周波数成分はパケットの位相雑音に相当するものであり、即ちパケットジッタ・ワンダである。
図9は、図8に示したパケットジッタ・ワンダを位相ノイズ遮断周波数=1mHz(=0.001Hzであるので、直流ループゲイン=2π×1mHz=0.00628)であるディジタルPLL部930を通して出力される周波数成分を示すグラフである。ここで、図9に示した周波数成分を積分する。積分条件は、サンプリング周波数:8Hz、FFTポイント数:65536個である(本明細書で以後行われる積分についても、これと同条件とする)。これより、位相雑音成分(位相変動量)は約30ns程度となる。
既知の関数である以下の数1〜3より、周波数変動量(ppm)は以下の数4〜5のように求められる。
Figure 0006068031
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これらの関係より、図9から求められる周波数変動量(ppm)は0.00628×30ns≒0.19ppbとなる。これは、要求事項である「1ppb」以下を満たす。ただしこれは、前述のように「上り回線と下り回線のいずれにおいても遅延が全くない理想的な遅延環境」を仮定した場合の数字である。
図10〜11は、図6に示した時刻同期装置901で、ITU−T G.8261(非特許文献2)の「テストケース12」に従った負荷変動時の遅延環境を仮定した場合の、各パケットの遅延の分布を示すグラフである。
この「テストケース12」とは、実際の回線における遅延環境を想定した負荷モデルとしてITU−Tが勧告したテストケースであり、より具体的にはマスタ→スレーブ方向の負荷を80%とし、スレーブ→マスタ方向の負荷を20%としたものである。図10はマスタ→スレーブ方向の遅延分布を、図11はスレーブ→マスタ方向の遅延分布を各々示している。
図12は、図10〜11に示したITU−T G.8261の「テストケース12」に従った遅延環境で、IEEE1588v2プロトコル部910内で算出された時刻オフセットの周波数成分を高速フーリエ変換(FFT)した結果を示すグラフである。図13は、図12に示した周波数成分を、図9と同一の条件で積分して得られる結果を示すグラフである。これより、位相雑音成分(位相変動量)は約50ns程度となる。
これと前述の数5とから、周波数変動量(ppm)は0.00628×50ns≒0.31ppbとなる。これも要求事項である「1ppb」以下を満たす。このように、パケットジッタ・ワンダ成分が非対称遅延環境のみに起因する場合は、位相ノイズ遮断周波数が1mHzであるPLL回路(ディジタルPLL部930)を実装すれば、要求事項である「1ppb」以下を満足することができる。
これに関連する技術文献として、次の各特許文献がある。その中でも特許文献1には、GPS信号によって高精度の時刻同期を実現するというタイミング同期装置について記載されている。特許文献2には、スレーブ→マスタの第一遅延量とその逆方向の第二遅延量から時刻の差分を計算して時刻を同期させるという時刻同期システムについて記載されている。
特許文献3には、伝送網側とGPS側のクロックの比較によって時刻を同期させるという時刻同期網について記載されている。特許文献4には、正確に時刻同期が取れているか否かをスレーブ側で確証可能というクロック同期システムについて記載されている。特許文献5には、クライアント側でタイムサーバから受信したクロック信号との間の誤差を計算してこれを0に収束させていくというタイミングシステムについて記載されている。非特許文献1には前述のようにIEEE1588v2プロトコルが、非特許文献2には前述のように負荷モデルのテストケースが、各々記載されている。
特開2012−004914号公報 特開2011−135482号公報 特開2010−278456号公報 特開2011−029918号公報 特表2011−525308号公報
IEEE P1588 TM/D1, "Draft Standard for a Precision Clock Synchronization Protocol for Networked Measurement and Control Systems", June, 2007. "Recommendation G.8261/Y.1361 (04/08) : Timing and synchronization aspects in packet networks",International Telecommunication Union - Telecommunication Standardization Sector, 12.March, 2009.
図14〜15は、図6に示した時刻同期装置901で、ITU−T G.8261の「テストケース15」に従った負荷変動時の遅延環境を仮定した場合の、各パケットの遅延の分布を示すグラフである。
「テストケース15」も、前述の「テストケース12」と同様に実際の回線における遅延環境を想定した負荷モデルとしてITU−Tが勧告したテストケースであり、より具体的にはマスタ→スレーブ方向の負荷を40%とし、スレーブ→マスタ方向の負荷を30%とした構成で、かつネットワークの停止状態(10秒もしくは100秒)がある負荷モデルである。図14はマスタ→スレーブ方向の遅延分布を、図15はスレーブ→マスタ方向の遅延分布を各々示している。
図16は、図14〜15に示したITU−T G.8261のテストケース15に従った遅延環境で、IEEE1588v2プロトコル部910内で算出された時刻オフセットの周波数成分を高速フーリエ変換(FFT)した結果を示すグラフである。図17は、図16に示した周波数成分を、図9および図13と同一の条件で積分して得られる結果を示すグラフである。これより、位相雑音成分(位相変動量)は約4354ns程度となる。
これと前述の数5とから、周波数変動量(ppm)は0.00628×4354ns≒27ppbとなる。これは、要求事項である「1ppb」以下を満たしていない。このITU−T G.8261の「テストケース15」のように、非対称遅延環境であることに加えてネットワークの停止状態があるネットワーク環境では、PLL回路を実装するだけでは「1ppb」以下の要求事項を満たすことができない。
ディジタルPLL部930に内蔵されているホールドオーババッファ934(ホールドオーバ機能)によって、通常の場合は非対称遅延環境に起因するパケットジッタ・ワンダを除去することはできる。しかしながら、ある一定時間以上シンク(Sync)メッセージが受信できない場合にホールドオーバ機能が起動され、その後にシンクメッセージが受信された場合にすぐにホールドオーバ機能を停止すると、そのホールドオーバ機能を停止させた際にIEEE1588v2プロトコル部910内部で時刻オフセット値の再計算が行われることになる。
その再計算が行われるために、出力信号が変動し、出力周波数も変動することになる。そのことが、前述のような「非対称遅延環境であることに加えてネットワークの停止状態があるネットワーク環境」では出力クロック信号における周波数揺らぎを「1ppb」以下という要求事項を満たすことができないという現象の原因となっている。この問題を解決しうる技術は、前述の特許文献1〜5、および非特許文献1〜2のいずれにも記載されていない。
本発明の目的は、非対称遅延環境であり、かつネットワークの停止状態があるネットワーク環境にあっても、周波数揺らぎを1ppb以下に低減し、高精度の時刻同期を実現しうる時刻同期装置、時刻同期方法、および時刻同期プログラムを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明に係る時刻同期装置は、外部から受信するクロック信号および受信パケットに応じて時刻信号を生成し、複数拠点間の周波数タイミングを同期させる時刻同期装置であって、特定の通信プロトコルに従って通信パケットを受信し、これに従って前記時刻信号を生成するパケット受信部と、前記パケット受信部による受信パケットに含まれるシンク(Sync)メッセージに従って前記時刻信号から周波数揺らぎ成分を除去するPLL回路部と、前記受信パケットおよび当該受信パケット内部の時刻オフセット値を常時監視し、当該受信パケット中に前記シンク(Sync)メッセージが検出できずに経過した経過時間が予め与えられた制限時間以上であるか否かを判定するパケット検出部とを備え、前記PLL回路部が、一定のタイミングで前記時刻信号から非対称遅延環境に起因するパケットジッタおよびワンダを除去するホールドオーバ機能を備え、前記パケット検出部が、前記経過時間が前記制限時間を越えた場合に前記PLL回路の前記ホールドオーバ機能を強制的に起動するシンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能と、予め外部から与えられた周波数安定度の要求値を前記PLL回路部に固有の直流ループゲインで除算する事によって閾値を算出し、前記ホールドオーバ機能が起動されている状態で前記受信パケット中に前記シンク(Sync)メッセージを再度検出した場合に、前記時刻オフセット値の安定度が前記閾値以下となると、前記時刻オフセット値が安定したと判断して前記ホールドオーバ機能を停止させる時刻オフセット安定度モニタ機能と、を有する、ことを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る時刻同期方法は、外部から受信するクロック信号および受信パケットに応じて時刻信号を生成し、複数拠点間の周波数タイミングを同期させる時刻同期装置にあって、特定の通信プロトコルに従ってパケット受信部が通信パケットを受信し、この通信パケットに従って前記パケット受信部が前記時刻信号を生成し、前記パケット受信部による受信パケットに含まれるシンク(Sync)メッセージに従って前記時刻信号からPLL回路部が周波数揺らぎ成分を除去し、前記受信パケットおよび当該受信パケット内部の時刻オフセット値を常時監視して当該受信パケット中に前記シンク(Sync)メッセージが検出できずに経過した経過時間が予め与えられた制限時間以上であるか否かをパケット検出部が判定し、前記経過時間が前記制限時間を越えた場合に、前記パケット検出部が前記PLL回路が備える、一定のタイミングで前記時刻信号から非対称遅延環境に起因するパケットジッタおよびワンダを除去するホールドオーバ機能を強制的に起動し、予め外部から与えられた周波数安定度の要求値を前記PLL回路部に固有の直流ループゲインで前記パケット検出部が除算する事によって閾値を算出し、前記ホールドオーバ機能が起動されている状態で前記パケット検出部が前記受信パケット中に前記シンク(Sync)メッセージを再度検出した場合に、前記時刻オフセット値の安定度が前記閾値以下となると、前記時刻オフセット値が安定したと前記パケット検出部が判断して前記ホールドオーバ機能を停止させることを特徴とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る時刻同期プログラムは、外部から受信するクロック信号および受信パケットに応じて時刻信号を生成し、複数拠点間の周波数タイミングを同期させる時刻同期装置にあって、この時刻同期装置が、特定の通信プロトコルに従って通信パケットを受信し、これに従って前記時刻信号を生成するパケット受信部と、前記パケット受信部による受信パケットに含まれるシンク(Sync)メッセージに従って前記時刻信号から周波数揺らぎ成分を除去するPLL回路部と、前記受信パケットおよび当該受信パケット内部の時刻オフセット値常時監視するパケット検出部とを有するものであると共に、前記パケット検出部が備えるプロセッサに、前記受信パケット中に前記シンク(Sync)メッセージが検出できずに経過した経過時間が予め与えられた制限時間以上であるか否かを判定する手順、前記経過時間が前記制限時間を越えた場合に、前記PLL回路が備える、一定のタイミングで前記時刻信号から非対称遅延環境に起因するパケットジッタおよびワンダを除去するホールドオーバ機能を強制的に起動する手順、予め外部から与えられた周波数安定度の要求値を前記PLL回路部に固有の直流ループゲインで除算する事によって閾値を算出する手順、前記ホールドオーバ機能が起動されている状態で前記受信パケット中に前記シンク(Sync)メッセージを再度検出したか否かを判定する手順、前記シンク(Sync)メッセージを再度検出した場合に、前記時刻オフセット値の安定度が前記閾値以下となると、前記時刻オフセット値が安定したと判定する手順、および前記時刻オフセット値が安定したと判断してから前記ホールドオーバ機能を停止させる手順を実行させることを特徴とする。
本発明は、上記したように、ホールドオーバ機能が起動されている状態で受信パケット中にシンク(Sync)メッセージを再度検出した場合に、時刻オフセット値が安定してからホールドオーバ機能を停止するように構成したので、時刻オフセット値の再計算に起因するパケットジッタおよびワンダの発生を大幅に抑制することが可能となる。
これによって、非対称遅延環境であり、かつネットワークの停止状態があるネットワーク環境にあっても、周波数揺らぎを1ppb以下に低減し、高精度の時刻同期を実現できるという優れた特徴を持つ時刻同期装置、時刻同期方法、および時刻同期プログラムを提供することができる。
本実施形態に係る時刻同期装置の構成について示す説明図である。 図1に示した時刻同期装置を利用した無線通信システムの一例を示す説明図である。 図1に示した時刻同期装置の動作、特にシンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能および時刻オフセット安定度モニタ機能の動作について示すフローチャートである。 図1に示した時刻同期装置で、図3に示した動作を行った場合のIEEE1588v2プロトコル部からの出力信号の周波数成分を示すグラフである。 図4に示したIEEE1588v2プロトコル部からの出力信号をディジタルPLL部に通した場合の出力信号の周波数成分を示すグラフである。 既存技術に係る時刻同期装置の構成について示す説明図である。 図6に示した時刻同期装置で、上り回線(スレーブ→マスター方向)と下り回線(マスター→スレーブ方向)のいずれにおいても遅延が全くない理想的な遅延環境を仮定した場合の、各パケットの遅延の分布を示すグラフである。 図7に示した理想的な遅延環境で、IEEE1588v2プロトコル部内で算出された時刻オフセットの周波数成分を高速フーリエ変換(FFT)した結果を示すグラフである。 図8に示したパケットジッタ・ワンダを位相ノイズ遮断周波数=1mHzであるディジタルPLL部を通して出力される周波数成分を示すグラフである。 図6に示した時刻同期装置で、ITU−T G.8261のテストケースに従った負荷変動時の遅延環境を仮定した場合の、各パケットのマスタ→スレーブ方向の遅延の分布を示すグラフである。 図6に示した時刻同期装置で、ITU−T G.8261のテストケースに従った負荷変動時の遅延環境を仮定した場合の、各パケットのスレーブ→マスタ方向の遅延の分布を示すグラフである。 図10〜11に示したITU−T G.8261のテストケース12に従った遅延環境で、IEEE1588v2プロトコル部内で算出された時刻オフセットの周波数成分を高速フーリエ変換(FFT)した結果を示すグラフである。 図13は、図12に示した周波数成分を、図9と同一の条件で積分して得られる結果を示すグラフである。 図6に示した時刻同期装置で、ITU−T G.8261のテストケース15に従った負荷変動時の遅延環境を仮定した場合の、各パケットのマスタ→スレーブ方向の遅延の分布を示すグラフである。 図6に示した時刻同期装置で、ITU−T G.8261のテストケース15に従った負荷変動時の遅延環境を仮定した場合の、各パケットのスレーブ→マスタ方向の遅延の分布を示すグラフである。 図14〜15に示したITU−T G.8261のテストケース15に従った遅延環境で、IEEE1588v2プロトコル部内で算出された時刻オフセットの周波数成分を高速フーリエ変換(FFT)した結果を示すグラフである。 図16に示した周波数成分を、図9および図13と同一の条件で積分して得られる結果を示すグラフである。
(実施形態)
以下、本発明の実施形態の構成について添付図1に基づいて説明する。
最初に、本実施形態の基本的な内容について説明し、その後でより具体的な内容について説明する。
本実施形態に係る時刻同期装置1は、外部から受信するクロック信号および受信パケットに応じて時刻信号を生成し、複数拠点間の周波数タイミングを同期させる時刻同期装置である。この時刻同期装置1は、特定の通信プロトコル(IEEE1588v2)に従って通信パケットを受信し、これに従って時刻信号を生成するパケット受信部(IEEE1588v2プロトコル部10)と、パケット受信部による受信パケットに含まれるシンク(Sync)メッセージに従って時刻信号から周波数揺らぎ成分を除去するPLL回路部(ディジタルPLL部30)と、受信パケットを常時監視し、当該受信パケット中にシンク(Sync)メッセージが検出できずに経過した経過時間が予め与えられた制限時間以上であるか否かを判定するパケット検出部(IEEE1588v2パケット検出部20)とを有する。そして、PLL回路部30が、時刻信号から非対称遅延環境に起因するパケットジッタおよびワンダを除去するホールドオーバ機能(ホールドオーババッファ34)を備える。
さらに、パケット検出部20が、経過時間が制限時間を越えた場合にPLL回路のホールドオーバ機能を強制的に起動するシンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能21と、ホールドオーバ機能が起動されている状態で受信パケット中にシンク(Sync)メッセージを再度検出した場合に、受信パケット内部の時刻オフセット値が安定しているか否かを判定し、時刻オフセット値が安定したと判断してからホールドオーバ機能を停止させる時刻オフセット安定度モニタ機能22とを備える。
また、時刻オフセット安定度モニタ機能22が、シンク(Sync)メッセージを再度検出されてから、時刻オフセット値の安定度が予め与えられた閾値(安定時刻閾値)以下となった場合に時刻オフセット値が安定したと判断する時刻オフセット安定度モニタ機能22を備える。この時刻オフセット安定度モニタ機能22は、予め外部から与えられた周波数安定度の要求値をPLL回路部に固有の直流ループゲインで除算する事によって閾値を算出する。
以上の構成を備える事により、この時刻同期装置1は、周波数揺らぎを1ppb以下に低減し、高精度の時刻同期を実現できるものとなる。
以下、これをより詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る時刻同期装置1の構成について示す説明図である。時刻同期装置1は、IEEE1588v2プロトコル部10と、IEEE1588v2パケット検出部20と、ディジタルPLL部30とから構成されている。
図2は、図1に示した時刻同期装置1を利用した無線通信システム100の一例を示す説明図である。無線通信システム100は、マスタ装置110と、複数台のスレーブ装置120、130…が、パケット通信網140を介して相互に接続されて構成される。マスタ装置110およびスレーブ装置120、130…はいずれも公衆無線通信網の地上局であり、多数の端末機器(図示せず)との間で通信を行っている。
そして、マスタ装置110からクロック信号および受信パケットがパケット通信網140を介して各スレーブ装置120、130…に向けて送信される。各スレーブ装置120、130…はいずれも、図1に示した時刻同期装置1を装備しており、これによってマスタ装置110との間で同期した時刻信号(スレーブ時刻)を生成して出力する。
図1に戻って、IEEE1588v2プロトコル部10は、IEEE1588v2プロトコルに準拠する通信によって外部からクロック信号および受信パケットを受信し、これに応じてスレーブ時刻を生成する。IEEE1588v2プロトコルには、受信パケットだけでなく送信パケットも含まれるが、本実施形態は送信パケットには特に依存しないので、図1には受信パケットにまつわる要素のみを図示し、送信パケットにまつわる要素については図示しないことにする。
より具体的には、IEEE1588v2プロトコル部10は、外部クロックを基にスレーブ側の時刻を生成するスレーブ時刻タイマ機能11、受信パケットをキャプチャするパケットキャプチャ機能12、時刻オフセットを算出して出力するスレーブ時刻計算機能13、およびスレーブ時刻タイマ機能11で生成されたスレーブ時刻に時刻オフセットを加算してスレーブ時刻を調整する時刻加算器14を含む。この時刻加算器14からの出力が、周波数揺らぎ成分除去前の時刻信号(1pps)としてディジタルPLL部30に出力される。
ここでスレーブ時刻計算機能13は、パケットキャプチャ機能12で受信パケットとスレーブ時刻とから算出された各数値、即ちシンク(Sync)メッセージ送出時間t1、シンク(Sync)メッセージ到着時間t2、シンク(Sync)メッセージ到着時のディレイリクエスト(Deley_Req)メッセージ送出時間t3、およびディレイリクエスト(Deley_Req)到着時間t4を元に時刻オフセットを算出し、これを時刻加算器14と、後述のIEEE1588v2パケット検出部20の時刻オフセット安定度モニタ機能22とに出力する。
ディジタルPLL部30は、非対称遅延環境に起因するパケットジッタ・ワンダ除去性能を持ちかつ後述のホールドオーバ機能を持ち、これによって時刻加算器14から出力された時刻信号(1pps)から周波数揺らぎ成分を除去し、要求精度1ppb以内を満たす時刻信号を出力する。
ディジタルPLL部30は、一般的なホールドオーバ機能付き完全積分型ディジタルPLL構成を備える。即ち、位相比較器31、ディジタルアンプ32、完全積分器33、ホールドオーババッファ34、選択器35、D/Aコンバータ36、VC−OCXO37、および分周器38を含む。
位相比較器31は、時刻加算器14から出力された時刻信号(1pps)と後述のVC−OCXO37からの出力信号から分周器38によって分周された再生信号との位相差を検出する。ディジタルアンプ32は、位相比較器31から出力された一次ループ信号を増幅する。完全積分器33は、ディジタルアンプ32から出力された二次ループ信号の増幅および積分処理を行う。ホールドオーババッファ34は、完全積分器33からの出力データを平均化してホールドオーバ機能を実現する。
選択器35は、後述のIEEE1588v2パケット検出部20のシンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能21からの出力に応じて、完全積分器33とホールドオーババッファ34のうちどちらからの出力信号を後続のD/Aコンバータ機能36に出力するかを選択する。D/Aコンバータ36は、選択器35で選択されたディジタル信号を電圧信号(アナログ信号)に変換する。
VC−OCXO37(Voltage Controlled / Oven Controlled Crystal Oscillator)は、D/Aコンバータ36から出力された電圧信号を周波数信号に変換する。分周器38は、VC−OCXO37からの出力信号を分周し、これが最終的に要求精度1ppb以内を満たす時刻信号として外部に出力されると同時に、前述の位相比較器31にも入力される。
IEEE1588v2パケット検出部20は、シンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能21と、時刻オフセット安定度モニタ機能22とを備える。シンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能21は、受信パケットを監視してシンク(Sync)メッセージが当該受信パケットに含まれているか否かを検出し、その検出結果に応じて選択器35で完全積分器33とホールドオーババッファ34のうちどちらからの出力信号を選択するかを決定する制御信号を出力する。
時刻オフセット安定度モニタ機能22は、スレーブ時刻計算機能13から出力される時刻オフセット信号の安定度、より具体的には時刻オフセット信号の単位時間当たりの変動量を検出し(それ自体は公知技術である)、検出された安定度を後述の閾値と比較し、その比較結果をシンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能21に出力する。
この時刻オフセット安定度モニタ機能22に対しては、外部から周波数安定度の要求値が予め入力されている。そして、直流ループゲインの数値はディジタルPLL部30に固有の数値として予め与えられているので、前述の数4に従って、要求値を直流ループゲインで除算すれば、時刻オフセットが安定する「安定時刻」となるので、これを「安定時刻閾値」とする。
図3は、図1に示した時刻同期装置1の動作、特にシンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能21および時刻オフセット安定度モニタ機能22の動作について示すフローチャートである。通信動作が行われている間、シンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能21は受信パケットを監視してシンク(Sync)メッセージが当該受信パケットに含まれているか否かを検出する(ステップS201)。シンク(Sync)メッセージが受信パケットに含まれていれば、通常動作を継続する。
シンク(Sync)メッセージが予め決められた時間に亘って受信パケットに検出されなければ(ステップS201がイエス)、シンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能21は選択器35に対して、ホールドオーババッファ34からの出力信号を後続のD/Aコンバータ機能36に出力するよう選択させる制御信号を発する(ステップS202)。そしてシンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能21が、受信パケットからシンク(Sync)メッセージを再び検出すれば(ステップS203)、時刻オフセット安定度モニタ機能22からの制御信号を待つ状態となる。
ディジタルPLL部30に固有の数値として予め与えられた直流ループゲインから前述の数4〜5に従って、安定度の要求値を直流ループゲインで除算すれば、時刻オフセットが安定する「安定時刻閾値」となる。時刻オフセット安定度モニタ機能22は、スレーブ時刻計算機能13から出力される時刻オフセット信号の安定度を検出して、これをこの「安定時刻閾値」と比較する(ステップS204)。
時刻オフセット信号の安定度が「安定時刻閾値」以下となれば(ステップS204がイエス)、時刻オフセット安定度モニタ機能22はシンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能21に対してその旨を知らせる制御信号を発する。シンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能21はこれを受けて、選択器35に対して、完全積分器33からの出力信号を後続のD/Aコンバータ機能36に出力するよう選択させる制御信号を発する(ステップS205)。以上でステップS201の処理に戻る。
上記のステップS202の処理は、受信パケットからシンク(Sync)メッセージが検出されなくなった場合に、強制的にホールドオーバ機能を動作させるという意味がある。そして、ステップS203〜205の処理で、シンク(Sync)メッセージが復旧してから時刻オフセットが十分に安定してからホールドオーバ機能を解除している。この動作の目的は、シンク(Sync)メッセージが復旧した際、IEEE1588v2プロトコル内の時刻オフセット計算が追いつかず、時刻情報が一時的に不安定な状態となることを回避するためである。
その判断に使用される「安定時刻閾値」は、時刻オフセット安定度モニタ機能22に外部から予め入力された1pps周波数安定度が「1ppb」以下であり、かつディジタルPLL部30が位相ノイズ遮断周波数「1mHz」のPLLで構成されたものである場合、前述の数4から、「1ppb」をPLLの直流ループゲイン「0.00628」で除算すれば、「安定時刻閾値=1ppb/0.00628=159ns」と算出することができる。
時刻オフセット安定度モニタ機能22は、ステップS202でシンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能21を強制的に動作させ、シンク(Sync)メッセージが再び検出されてかつ時刻オフセット信号が安定してからホールドオーバ機能を解除させる。
図4は、図1に示した時刻同期装置1で、図3に示した動作を行った場合のIEEE1588v2プロトコル部10からの出力信号の周波数成分を示すグラフである。図5は、図4に示したIEEE1588v2プロトコル部10からの出力信号をディジタルPLL部30に通した場合の出力信号の周波数成分を示すグラフである。
この図5の周波数成分を積分して算出される位相雑音成分は約59ns程度である。即ち、前述の式5から「周波数変動量=0.00628×59ns≒0.37ppb」と算出することができる。即ち、要求事項である1pps周波数安定度「1ppb以下」を満たしている。
ここで、たとえば要求事項が「1ppb」ではなく、より一般的な「50ppb」でよい場合は、上記と同様にして「安定時刻=50ppb/0.00628≒8μs」と算出することができる。このように、様々な顧客要求事項に対応して安定時刻を設定して、それに従って動作させることが、本実施形態では可能である。また、ディジタルPLL部30の位相ノイズ遮断周波数が「1mHz」以外である場合についても、ディジタルPLL部30に固有の数値である直流ループゲインを前述の数4〜5から求めて、その上で上記の方式を適用することができる。
このシンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能21および時刻オフセット安定度モニタ機能22は、論理演算回路などによってハードウェア的に構成してもよいし、またマイクロプロセッサで動作するプログラムなどによってソフトウェア的に構成してもよい。
(実施形態の全体的な動作)
次に、上記の実施形態の全体的な動作について説明する。
本実施形態に係る時刻同期方法は、外部から受信するクロック信号および受信パケットに応じて時刻信号を生成し、複数拠点間の周波数タイミングを同期させる時刻同期装置1にあって、特定の通信プロトコルに従ってパケット受信部10が通信パケットを受信し、この通信パケットに従ってパケット受信部が時刻信号を生成し、パケット受信部による受信パケットに含まれるシンク(Sync)メッセージに従って時刻信号からPLL回路部30が周波数揺らぎ成分を除去し、受信パケットおよび当該受信パケット内部の時刻オフセット値を常時監視して当該受信パケット中にシンク(Sync)メッセージが検出できずに経過した経過時間が予め与えられた制限時間以上であるか否かをパケット検出部20が判定し(図3・ステップS201)、経過時間が制限時間を越えた場合に、パケット検出部がPLL回路が備える、一定のタイミングで時刻信号から非対称遅延環境に起因するパケットジッタおよびワンダを除去するホールドオーバ機能を強制的に起動し(図3・ステップS202)、ホールドオーバ機能が起動されている状態でパケット検出部が受信パケット中にシンク(Sync)メッセージを再度検出したか否かを判定し(図3・ステップS203)、シンク(Sync)メッセージを再度検出した場合に、受信パケット内部の時刻オフセット値が安定しているか否かをパケット検出部が判定し(図3・ステップS204)、時刻オフセット値が安定したと判断してからパケット検出部がホールドオーバ機能を停止させる(図3・ステップS205)。
また、上記図3・ステップS204の処理で、時刻オフセット値の安定度が予め与えられた閾値以下となった場合に時刻オフセット値が安定したと判断する。そして、その閾値は、予め外部から与えられた周波数安定度の要求値をPLL回路部に固有の直流ループゲインで除算する事によって算出される。
ここで、上記各動作ステップについては、これをコンピュータで実行可能にプログラム化し、これらを前記各ステップを直接実行するパケット検出部20の備えるプロセッサに実行させるようにしてもよい。本プログラムは、非一時的な記録媒体、例えば、DVD、CD、フラッシュメモリ等に記録されてもよい。その場合、本プログラムは、記録媒体からコンピュータによって読み出され、実行される。
この動作により、本実施形態は以下のような効果を奏する。
本実施形態は、IEEE1588v2パケットを常時監視し、Syncメッセージが停止した時に非対称遅延環境に起因するパケットジッタ・ワンダ除去性能を持ったホールドオーバ機能付きPLL回路で、強制的にホールドオーバ機能を動作させる。そして、Syncメッセージが再び検出された際、時刻オフセット値が安定してからこのホールドオーバ機能を停止させる。より具体的には、時刻オフセット信号の単位時間当たりの変動量を安定度として検出し、検出された安定度を周波数安定度の要求値を直流ループゲインで除算して求めた「安定時刻閾値」とを比較し、安定度が安定時刻閾値以下であれば時刻オフセット値が安定したものと判断する。
これによって、本実施形態は、非対称遅延環境であり、かつネットワークの停止状態があるネットワーク環境にあっても、時刻オフセット値の再計算に起因するパケットジッタおよびワンダの発生を大幅に抑制して、「1ppb」以下という時刻同期精度の要求値を実現可能とするものである。
これまで本発明について図面に示した特定の実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、本発明の効果を奏する限り、これまで知られたいかなる構成であっても採用することができる。
上述した実施形態について、その新規な技術内容の要点をまとめると、以下のようになる。なお、上記実施形態の一部または全部は、新規な技術として以下のようにまとめられるが、本発明は必ずしもこれに限定されるものではない。
(付記1) 外部から受信するクロック信号および受信パケットに応じて時刻信号を生成し、複数拠点間の周波数タイミングを同期させる時刻同期装置であって、
特定の通信プロトコルに従って通信パケットを受信し、これに従って前記時刻信号を生成するパケット受信部と、
前記パケット受信部による受信パケットに含まれるシンク(Sync)メッセージに従って前記時刻信号から周波数揺らぎ成分を除去するPLL回路部と、
前記受信パケットおよび当該受信パケット内部の時刻オフセット値を常時監視し、当該受信パケット中に前記シンク(Sync)メッセージが検出できずに経過した経過時間が予め与えられた制限時間以上であるか否かを判定するパケット検出部とを備え、
前記PLL回路部が、一定のタイミングで前記時刻信号から非対称遅延環境に起因するパケットジッタおよびワンダを除去するホールドオーバ機能を備えることを特長とする時刻同期装置。
(付記2) 前記パケット検出部が、
前記経過時間が前記制限時間を越えた場合に前記PLL回路の前記ホールドオーバ機能を強制的に起動するシンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能と、
前記ホールドオーバ機能が起動されている状態で前記受信パケット中に前記シンク(Sync)メッセージを再度検出した場合に、前記時刻オフセット値が安定しているか否かを判定し、前記時刻オフセット値が安定したと判断してから前記ホールドオーバ機能を停止させる時刻オフセット安定度モニタ機能と
を有することを特長とする、付記1に記載の時刻同期装置。
(付記3)前記時刻オフセット安定度モニタ機能が、前記シンク(Sync)メッセージを再度検出されてから、前記時刻オフセット値の安定度が予め与えられた閾値以下となった場合に前記時刻オフセット値が安定したと判断することを特長とする、付記2に記載の時刻同期装置。
(付記4) 前記時刻オフセット安定度モニタ機能が、予め外部から与えられた周波数安定度の要求値を前記PLL回路部に固有の直流ループゲインで除算する事によって前記閾値を算出することを特長とする、付記3に記載の時刻同期装置。
(付記5) 外部から受信するクロック信号および受信パケットに応じて時刻信号を生成し、複数拠点間の周波数タイミングを同期させる時刻同期装置にあって、
特定の通信プロトコルに従ってパケット受信部が通信パケットを受信し、
この通信パケットに従って前記パケット受信部が前記時刻信号を生成し、
前記パケット受信部による受信パケットに含まれるシンク(Sync)メッセージに従って前記時刻信号からPLL回路部が周波数揺らぎ成分を除去し、
前記受信パケットおよび当該受信パケット内部の時刻オフセット値を常時監視して当該受信パケット中に前記シンク(Sync)メッセージが検出できずに経過した経過時間が予め与えられた制限時間以上であるか否かをパケット検出部が判定し、
前記経過時間が前記制限時間を越えた場合に、前記パケット検出部が前記PLL回路が備える、一定のタイミングで前記時刻信号から非対称遅延環境に起因するパケットジッタおよびワンダを除去するホールドオーバ機能を強制的に起動し、
前記ホールドオーバ機能が起動されている状態で前記パケット検出部が前記受信パケット中に前記シンク(Sync)メッセージを再度検出したか否かを判定し、
前記シンク(Sync)メッセージを再度検出した場合に、前記受信パケット内部の時刻オフセット値が安定しているか否かを前記パケット検出部が判定し、
前記時刻オフセット値が安定したと判断してから前記パケット検出部が前記ホールドオーバ機能を停止させることを特長とする時刻同期方法。
(付記6) 前記受信パケット内部の時刻オフセット値が安定しているか否かを前記パケット検出部が判定する処理が、前記時刻オフセット値の安定度が予め与えられた閾値以下となった場合に前記時刻オフセット値が安定したと判断することを特長とする、付記5に記載の時刻同期方法。
(付記7) 前記受信パケット内部の時刻オフセット値が安定しているか否かを前記パケット検出部が判定する処理が、予め外部から与えられた周波数安定度の要求値を前記PLL回路部に固有の直流ループゲインで除算する事によって前記閾値を算出することを特長とする、付記6に記載の時刻同期方法。
(付記8) 外部から受信するクロック信号および受信パケットに応じて時刻信号を生成し、複数拠点間の周波数タイミングを同期させる時刻同期装置にあって、
この時刻同期装置が、特定の通信プロトコルに従って通信パケットを受信し、これに従って前記時刻信号を生成するパケット受信部と、前記パケット受信部による受信パケットに含まれるシンク(Sync)メッセージに従って前記時刻信号から周波数揺らぎ成分を除去するPLL回路部と、前記受信パケットおよび当該受信パケット内部の時刻オフセット値を常時監視するパケット検出部とを有するものであると共に、
前記パケット検出部が備えるプロセッサに、
前記受信パケット中に前記シンク(Sync)メッセージが検出できずに経過した経過時間が予め与えられた制限時間以上であるか否かを判定する手順、
前記経過時間が前記制限時間を越えた場合に、前記PLL回路が備える、一定のタイミングで前記時刻信号から非対称遅延環境に起因するパケットジッタおよびワンダを除去するホールドオーバ機能を強制的に起動する手順、
前記ホールドオーバ機能が起動されている状態で前記受信パケット中に前記シンク(Sync)メッセージを再度検出したか否かを判定する手順、
前記シンク(Sync)メッセージを再度検出した場合に、前記受信パケット内部の時刻オフセット値が安定しているか否かを判定する手順、
および前記時刻オフセット値が安定したと判断してから前記ホールドオーバ機能を停止させる手順
を実行させることを特長とする時刻同期プログラム。
本発明は、実施形態で記載したLTEの地上局以外にも、たとえばGPSの受信機など、特に高精度の時刻同期が要求される用途において利用可能である。
1 時刻同期装置
10 IEEE1588v2プロトコル部
11 スレーブ時刻タイマ機能
12 パケットキャプチャ機能
13 スレーブ時刻計算機能
14 時刻加算器
20 IEEE1588v2パケット検出部
21 シンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能
22 時刻オフセット安定度モニタ機能
30 ディジタルPLL部
31 位相比較器
32 ディジタルアンプ
33 完全積分器
34 ホールドオーババッファ
35 選択器
36 D/Aコンバータ
37 VC−OCXO
38 分周器
100 無線通信システム
110 マスタ装置
120、130 スレーブ装置
140 パケット通信網

Claims (3)

  1. 外部から受信するクロック信号および受信パケットに応じて時刻信号を生成し、複数拠点間の周波数タイミングを同期させる時刻同期装置であって、
    特定の通信プロトコルに従って通信パケットを受信し、これに従って前記時刻信号を生成するパケット受信部と、
    前記パケット受信部による受信パケットに含まれるシンク(Sync)メッセージに従って前記時刻信号から周波数揺らぎ成分を除去するPLL回路部と、
    前記受信パケットおよび当該受信パケット内部の時刻オフセット値を常時監視し、当該受信パケット中に前記シンク(Sync)メッセージが検出できずに経過した経過時間が予め与えられた制限時間以上であるか否かを判定するパケット検出部とを備え、
    前記PLL回路部が、一定のタイミングで前記時刻信号から非対称遅延環境に起因するパケットジッタおよびワンダを除去するホールドオーバ機能を備え
    前記パケット検出部が、
    前記経過時間が前記制限時間を越えた場合に前記PLL回路の前記ホールドオーバ機能を強制的に起動するシンク(Sync)メッセージ停止モニタ機能と、
    予め外部から与えられた周波数安定度の要求値を前記PLL回路部に固有の直流ループゲインで除算する事によって閾値を算出し、前記ホールドオーバ機能が起動されている状態で前記受信パケット中に前記シンク(Sync)メッセージを再度検出した場合に、前記時刻オフセット値の安定度が前記閾値以下となると、前記時刻オフセット値が安定したと判断して前記ホールドオーバ機能を停止させる時刻オフセット安定度モニタ機能と、
    を有する、
    ことを特徴とする時刻同期装置。
  2. 外部から受信するクロック信号および受信パケットに応じて時刻信号を生成し、複数拠点間の周波数タイミングを同期させる時刻同期装置にあって、
    特定の通信プロトコルに従ってパケット受信部が通信パケットを受信し、
    この通信パケットに従って前記パケット受信部が前記時刻信号を生成し、
    前記パケット受信部による受信パケットに含まれるシンク(Sync)メッセージに従って前記時刻信号からPLL回路部が周波数揺らぎ成分を除去し、
    前記受信パケットおよび当該受信パケット内部の時刻オフセット値を常時監視して当該受信パケット中に前記シンク(Sync)メッセージが検出できずに経過した経過時間が予め与えられた制限時間以上であるか否かをパケット検出部が判定し、
    前記経過時間が前記制限時間を越えた場合に、前記パケット検出部が前記PLL回路が備える、一定のタイミングで前記時刻信号から非対称遅延環境に起因するパケットジッタおよびワンダを除去するホールドオーバ機能を強制的に起動し、
    予め外部から与えられた周波数安定度の要求値を前記PLL回路部に固有の直流ループゲインで前記パケット検出部が除算する事によって閾値を算出し、
    前記ホールドオーバ機能が起動されている状態で前記パケット検出部が前記受信パケット中に前記シンク(Sync)メッセージを再度検出した場合に、前記時刻オフセット値の安定度が前記閾値以下となると、前記時刻オフセット値が安定したと前記パケット検出部が判断して前記ホールドオーバ機能を停止させる
    ことを特徴とする時刻同期方法。
  3. 外部から受信するクロック信号および受信パケットに応じて時刻信号を生成し、複数拠点間の周波数タイミングを同期させる時刻同期装置にあって、
    この時刻同期装置が、特定の通信プロトコルに従って通信パケットを受信し、これに従って前記時刻信号を生成するパケット受信部と、前記パケット受信部による受信パケットに含まれるシンク(Sync)メッセージに従って前記時刻信号から周波数揺らぎ成分を除去するPLL回路部と、前記受信パケットおよび当該受信パケット内部の時刻オフセット値常時監視するパケット検出部とを有するものであると共に、
    前記パケット検出部が備えるプロセッサに、
    前記受信パケット中に前記シンク(Sync)メッセージが検出できずに経過した経過時間が予め与えられた制限時間以上であるか否かを判定する手順、
    前記経過時間が前記制限時間を越えた場合に、前記PLL回路が備える、一定のタイミングで前記時刻信号から非対称遅延環境に起因するパケットジッタおよびワンダを除去するホールドオーバ機能を強制的に起動する手順、
    予め外部から与えられた周波数安定度の要求値を前記PLL回路部に固有の直流ループゲインで除算する事によって閾値を算出する手順、
    前記ホールドオーバ機能が起動されている状態で前記受信パケット中に前記シンク(Sync)メッセージを再度検出したか否かを判定する手順、
    前記シンク(Sync)メッセージを再度検出した場合に、前記時刻オフセット値の安定度が前記閾値以下となると、前記時刻オフセット値が安定したと判定する手順、
    および前記時刻オフセット値が安定したと判断してから前記ホールドオーバ機能を停止させる手順
    を実行させることを特徴とする時刻同期プログラム。
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