JP4901623B2 - 打ち抜き穴広げ性に優れた高強度薄鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、打ち抜き穴広げ性に優れた高強度薄鋼板およびその製造方法に関するものである。
近年、自動車の燃費向上などのために軽量化を目的として、Al合金等の軽金属や高強度鋼板の自動車足回り部品への適用が進められている。ただし、Al合金等の軽金属は比強度が高いという利点があるものの鋼に比較して著しく高価であるため、その適用は特殊な用途に限られている。従って、自動車足回り部品の軽量化を推進するためには安価な高強度鋼板の適用が強く求められている。
一般に鋼板は高強度になるほど延性が低下して成形性が悪くなるため、成形性と強度を両立させることが求められている。特に、自動車足回り部品では、伸びフランジ成形が行われる場合が多いため、それらに適用される場合が多い熱延高強度鋼板では、強度と打ち抜き穴広げ性(伸びフランジ成形性)の両立が重要である。打ち抜き穴広げ性とは、打ち抜きにより剪断された鋼板の打ち抜き端面の成形性であり、変形により打ち抜き端面に生じた亀裂の伝播しやすさによってその成形性が定まり、通常「打ち抜き穴広げ率(λ)」により測定される。
打ち抜き穴広げ率(λ)とは、図1(a)の打ち抜き金型の模式図に示すように、まず、材料4を打ち抜きダイ2及びしわ押さえ3で固定し、次に図1(b)の打ち抜き図に示すように、打ち抜きポンチ1を移動させることにより材料4を剪断部分5及び被剪断部分6に分離し、得られる被剪断部分6の打ち抜き穴を図1(c)の穴拡げ試験の図に示すようにポンチ7の移動9で押し広げて穴径の拡大10をし、打ち抜き端面8に入った亀裂が板厚貫通した時点での穴径の、初期穴径に対する拡大率である。即ち、打ち抜き穴広げ率(λ)=(d−d)/d×100(%)で表すことができる。ここで、dはポンチが移動し、打ち抜き端面8の亀裂が板厚を貫通した時点の穴径、dは初期穴径を意味する。この試験を打ち抜き穴広げ試験と呼ぶ。この打ち抜き抜き穴広げ率(λ)に対しては、打ち抜き金型のクリアランス(Cl)(図1(a)でs/t×100(%)、ここで、tは板厚、sは間隙)も重要な影響因子であり、通常クリアランスは12.5%で試験が行われるが、実際の部品の製造工程における打ち抜きは、金型の取り付け精度や金型磨耗等の問題から5〜20%の間で変動する。
打ち抜き穴広げ性は延性破壊と関係した特性であるため、その特性値(打ち抜き穴広げ率(λ))にはばらつきを生ずる。従って、伸びフランジ成形における成形性を良好とするためには、打ち抜き穴広げ率(λ)を改善することが重要であるが、同時にそのばらつき(標準偏差)も下げることが求められている。現在、求められている強度と打ち抜き穴広げ性のレベルは、足回り部品にて十分な軽量化効果を得るためには、TSが780MPa級で80%(平均値)以上が求められている。かつ、より厳しい加工が行われる部品が対象の際はそのばらつき(標準偏差)を12%以下、このましくは8%以下とすることが求められている。
また、実際の部品の製造工程の打ち抜きでは、打ち抜きクリアランスは金型の取り付け精度等の問題から一定値に管理することは難しく、大よそ5〜20%の間の範囲で変動する。そのため、実際の工程で打ち抜き穴広げ成形での成形不良を無くすには、前述の打ち抜き穴広げ率(λ)、及びそのばらつきの目標を、実際の工程の打ち抜きクリアランスの変動範囲である5〜20%の間の打ち抜きクリアランスで達成しなければならない。
打ち抜き穴広げ性に優れた高強度熱延鋼板として、Ti、Nbを添加することにより第二相を低減し主相であるポリゴナルフェライト中にTiC、NbCを析出強化させることによって得る発明が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、高い伸びフランジ性を得るために面積率で85%以上のポリゴナルフェライトが必須であるが、85%以上のポリゴナルフェライトを得るためには熱間圧延後にフェライト粒の成長を促進するため長時間の保持が必要であり、操業コスト上好ましくない。
また、Ti、NbをC当量以上添加しミクロ組織をフェライト単相にすると共にCuを添加し、TiC、NbCと共にε−Cuを析出させることにより、高強度化した伸びフランジ加工性の優れた高強度熱延鋼板を得る発明が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、フェライト相にε−Cuを析出させているため、延性が低下して加工性が悪くなる可能性がある。
以上の技術は高い穴広げ性を狙ったものであるが、そのばらつきを低減する技術については触れられていない。
また、せん断加工端面が伸びフランジ成形される場合等の成形性指標である穴広げ率(λ)のバラツキが少ないバーリング性高強度薄鋼板およびその製造方法に関する発明として、C:0.01〜0.1%、Si:0.01〜2%、Mn:0.05〜3%、P≦0.1%、S≦0.01%、Al:0.005〜0.02%、N≦0.005%、Ca:0.0005〜0.003%、Ti:0.005〜0.3%を含み、さらにTi−(48/12)C−(48/14)N−(48/32)S≧−0.03%、を満たす範囲でTiを含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼であって、鋼中に含まれるTiを含む窒化物の平均円相当径が7μm以下とした発明が提案されている(例えば、特許文献4参照)。この発明は、穴広げ性を劣化させる鉄炭化物(セメンタイト)を析出させないようにし、かつ穴広げ性のバラツキを与える粗大なTiNを析出させないようにしたものである。
この技術は、穴広げ率(λ)のばらつきの低減を狙ったものであるが、実施例に示される穴広げ率(λ)及びそのばらつきは、一定の打ち抜きクリアランスに対して測定されたものであり、実際の工程でのクリランスの変動があっても十分な穴広げ率や低い穴広げ率のばらつきが得る技術は開示されていない。また、穴広げ率のばらつきの測定において、24枚の試験片での穴広げ率の最大値と最小値の差をその指標としているが、統計的にはこの値も期待値を中心としてばらつきを持った分布を持つものと考えられ、この差がばらつき(期待値)そのものを示す訳ではないので、上に開示された技術のばらつき低減効果は不明確である。
特開平6−200351号公報 特開平7−70696号公報 特開平8−157957号公報 特開平16−250749号公報
本発明は、上記実情に鑑み、打ち抜き穴広げ性に優れ、かつそのばらつきの小さい高強度薄鋼板およびその製造方法を提供することを課題とするものである。
本発明者らは、高強度熱延薄鋼板の穴広げ成形性の改善のため、その打ち抜き端面先端での亀裂の成長過程について調査し、(1)硬質相と軟質相の界面から生じた空孔(ボイド)が成長、連結し亀裂を成長させる、(2)板面と平行なクラックが生じ、成長して、亀裂を成長させる、の二つの原因があることが判明した。そして、それらの抑制のためには、各々、(1)軟質な相の生成を抑制し、硬さを均一化する、(2)集合組織の特定方向への配向を抑える、ことが重要であることを知見した。ここで、(2)の板面方向のクラックを発生させる集合組織(結晶方位)とは、諸々の比較検討の結果、圧延方向に向いた<110>方位であると推定された。
また、穴広げ率(λ)のばらつきを低減させる条件についても鋭意検討を行い、上述した圧延集合組織を持ったコロニーサイズが大きい場合に穴広げ率のばらつきが生じ、それをできるだけ微細することにより、それが達成されることを知見した。これは、粗大な該コロニーにより亀裂の発生、伝播のばらつきが生じているためと推定される。
そして、以上の組織を得るためには、B添加した上で、粗圧延条件(歪速度上限、温度下限)、仕上げ圧延条件(下限温度)により圧延集合組織を抑制し、かつ圧延集合組織を持ったコロニーを微細化し、ランアウトテーブルにてB量により定まる下限冷却速度以上で急冷却を行う事により軟質な組織を抑制し、硬さを均一化することが重要であることが判明した。
表1に示す成分の鋼Pを、粗圧延の最大のパス歪速度(/秒)を0.1〜0.2(/秒)、粗圧延温度≧1050℃、仕上げ圧延温度は900〜980℃、ROT冷却速度を、25〜70℃/秒、巻き取り温度を470〜500℃として、熱間圧延し、厚さ3.2mmの熱延鋼板とした。得られた熱延鋼板の機械的特性、集合組織を調査した。
Figure 0004901623
得られた熱延板の引張試験は、供試材を、まずJIS Z 2201記載の5号試験片に加工し、JIS Z 2241記載の試験方法に従って行った。一方、打ち抜き穴広げ率(λ)については、日本鉄鋼連盟規格JFS T 1001−1996記載の穴広げ試験方法に従って評価した。ただし、ここでは、前述の実工程での打ち抜きクリアランスの変動範囲に対応して、打ち抜きクリアランスを5、10、20%の3水準とした。穴広げ率(λ)のばらつきを評価するため、各々の材料、クリアランスの水準毎に、穴広げ試験片を50枚準備し、それらによる穴広げ率(λ)の平均値、及び標準偏差を求めた。
また、幅方向1/4W部から幅方向断面(圧延方向と直角な断面)のX線回折試験片を加工し、幅方向と平行な、(即ち、圧延方向を向いた){110}面の面強度(全厚平均、ランダム比、以後単に{110}面強度と記す)を求めた。また、幅方向1/4W部から圧延方向断面(幅方向と直角な断面)の埋め込みサンプルを作成し、研磨した後、1/4t部にて30箇所で荷重10gにてビッカース硬さ試験を行い、その平均値およびばらつき(標準偏差)を求めた。
また、同じく、幅方向1/4W部の圧延方向断面の埋め込みサンプルを研磨し、後方散乱電子回折像法(EBSP法)にて、1/4t部の400μm×400μmの視野での結晶方位の分布を調べた。そして、特に、結晶の<110>方位が、鋼板の圧延方向から10°以内の方向と平行な結晶粒の分布を調べた。ここで、その方位の結晶粒を調べたのは前述のように、これが穴広げ成形時に板面方向のクラックを発生させると推定されるためである。図2は、1/4t部、圧延方向断面400μm×400μmの後方散乱電子回折像法(EBSP法)による結晶方位解析結果図である。得られた結晶方位解析結果図の分布から、<110>方位が圧延方向(から10°以内の方位)と平行である結晶粒の集合からなるコロニーの最大のサイズ(圧延方向の長さ)Lを求めた。図2に、該コロニーの調査結果例とその最大サイズLの定義を示す。
図3にX線回折による{110}面強度、硬さのばらつき(標準偏差)/硬さの平均値〔σ(Hv)/平均(Hv)]と打ち抜き穴広げ率(λ)の関係を示す。図中に数字で示す打ち抜き穴広げ率(λ)は、クリアランス(Cl)=5%、15%、20%の打ち抜き穴広げ試験の各々のクリアランス毎の平均値(n=20)の最小値と最大値を示している。図中の白丸は穴拡げ率80%以上、黒丸は穴拡げ率80%未満を示している。これより、{110}面強度≦1.7、かつ、硬さのばらつき(標準偏差)/硬さの平均値を0.2以下とすることにより、クリアランス=5〜20%で、打ち抜き穴広げ率(λ)を平均で80%以上とすることができることが分かる。したがって、本発明の高強度薄鋼板では{110}面強度≦1.7、かつ、硬さのばらつき(標準偏差)/硬さの平均値〔σ(Hv)/平均(Hv)]を0.2以下と規定した。
本発明者らは、所定の{110}面強度とする条件について鋭意検討し、主に粗圧延条件により定まり、それを低い歪速度で行うこと、及びできるだけ高温で行うことが重要であることを知見した。
図4に、上試験での粗圧延での最大歪速度と、圧延方向を向いた{110}面強度の関係を示す。これから、粗圧延の最大の歪速度が小さいほど{110}面強度は小さくなり、それが0.15(/秒)以下の時に所定の{110}面強度が得られている。また、その効果は粗圧延の温度(最終パス)が低い場合に得られないことが分かる。
ここで、粗圧延の最大の歪速度とは、加熱炉から抽出後行われる粗圧延の10パス程度の圧下の中で、歪速度が最大であったパスの歪速度であり以下の式から求めた値である。
ε*:パス歪み速度(S−1
ε*=(v/(R×h0.5)×(1/r0.5)×ln{1/(1−r)}
ここで、h:パス入側板厚(mm)、h:パス出側板厚(mm)、r=(h−h)/h、R:ロール径(mm)、v:パス出側速度(mm/秒)を意味する。
図4の傾向が得られるのは以下の理由が考えられる。圧延方向に配向した{110}集合組織は、粗圧延、仕上げ圧延工程で、大きな圧延歪が加わった状態からの静的な回復、再結晶、変態により発達するものと考えられるが、粗圧延を高温、低歪速度で行うことにより、圧下中の動的な再結晶または動的な回復が起き比較的小さい歪で組織(結晶性)が回復し、組織の配向性を低減することができるためと考えられる。
本発明者らは更に、粗圧延の温度域についても検討し、再結晶しにくい成分であるほどそれを促すために高温で粗圧延を行う必要があり、その下限温度T(℃)に対してはBの影響が大きく、その下限温度は下式となることを知見した。
T(℃)=1050+2×B(ppm)
図5に、ROT冷却速度(CR℃/秒)と硬さばらつき〔σ(Hv)/平均(Hv)]の関係を示す。これより、冷却速度を上げるほど硬さのばらつきが低減しており44℃/秒以上で所定の硬さばらつきが得られることが分かる。これは、冷却速度が大きいほど高温で生成する軟質な組織が生成しにくくなるためと考えられる。この下限のROT冷却速度と成分の関係について本発明者らは鋭意検討を行い、フェライト変態を遅くする元素を添加することにより軟質なフェライトが生成しにくくなるので下限の冷却速度は小さくなり、特にBの影響が大きく、B量と下限冷却速度の関係が下記で表されることを知見した。
ROT下限冷却速度CR(℃/秒)=56−1.8×B(ppm)
次に、穴広げ率(λ)のばらつきを低減させる条件について検討を行った結果について説明する。
図6、図7にそれぞれ{110}面強度と打ち抜き穴拡げ率ばらつき[σ(λ)%]、硬さばらつき〔σ(Hv)/平均(Hv)]と打ち抜き穴広げ率ばらつき[σ(λ)%]の関係を示しているが、それらの指標とは相関は見られない。図8に、EBSP法で測定した、<110>方位が圧延方向(から10°以内の方位)と平行である結晶粒の集合からなるコロニーの最大のサイズ(圧延方向の長さ)Lと打ち抜き穴広げ率(λ)ばらつき[σ(λ)%]の関係を示すが、そのコロニーの最大のサイズ(圧延方向の長さ)Lを小さくすることにより、穴広げ率ばらつきを低減できることが判明した。この理由として、<110>方位が圧延方向(から10°以内の方位)と平行である結晶粒に、板面方向にクラックを発生させやすい{111}、{100}面が板面と平行な集合組織が多く含まれているために、その結晶粒が多く連結し大きなコロニーを形成することにより、打ち抜き端面亀裂先端で粗大な板面平行のクラックが亀裂先端の応力状態に対応して偶発的に入りやすくなり、打ち抜き穴広げ率(λ)のばらつきを生じている可能性が考えられる。
図9に、<110>方位が圧延方向(から10°以内の方位)と平行である結晶粒の集合からなるコロニーの最大のサイズ(圧延方向の長さ)Lと打ち抜き穴広げ率(λ)の関係を示すが、打ち抜き穴広げ率(λ)の絶対値は、そのコロニーの最大のサイズの長さが短いほどに大きくなる傾向は見られるが大きな改善効果ではない。
図10に、仕上げ圧延温度(FT−(Ar3+130)℃)と<110>方位が圧延方向と平行である結晶粒コロニー最大サイズLの関係を示している。FTがAr3+130℃以上の高温(FT≧Ar3+130℃)であれば、<110>が圧延方向と平行である結晶粒コロニーの最大サイズは小さくなる。これは、仕上げ圧延温度が高いほど、仕上げ圧延段階での回復、再結晶がより進むため、仕上げ圧延段階終了段階でのオーステナイト粒形状がより伸長していないため、オーステナイト粒形状に対応して生成すると思われる該コロニーの形状もあまり伸張していないため、その最大サイズも小さくなることが理由として考えられる。
以上を基に為された本発明の要旨は次のとおりである。
(1)質量%にて、
C:0.01〜0.1%、
Si:0.01〜2%、
Mn:0.05〜3%、
P≦0.1%、
S≦0.01%、
Al:0.005〜2.0%、
N≦0.01%、
B:0.0005〜0.0030、
Ti:0.005〜0.3%を含み、
さらにTi−(48/12)C−(48/14)N−(48/32)S≧−0.03%を満たす範囲でTiを含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼板であって、その鋼板の硬さのばらつきをその平均値で除した値が0.2以下であり、かつ、圧延方向の{110}面の面強度が1.7以下であることを特徴とする打ち抜き穴広げ性に優れた高強度薄鋼板。
(2)<110>方位が圧延方向と平行である結晶粒により形成されるコロニーの最大長さが100μm以下であることを特徴とする前記(1)に記載の打ち抜き穴広げ性に優れた高強度薄鋼板。
(3)前記鋼がさらに、質量%で、
Nb:0.001〜0.06%、
Ca:0.0005〜0.01%、
Cu:0.01〜2%、
Ni:0.01〜1%、
Mo:0.05〜1%、
V:0.02〜0.5%、
Cr:0.01〜1%
の一種または二種以上を含有することを特徴とする、前記(1)または(2)に記載の打ち抜き穴広げ性に優れた高強度薄鋼板。
(4)前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の組成を有する鋳片を加熱した後、粗圧延を行い、次に仕上げ圧延、冷却、巻き取りにより熱延鋼板とする熱延工程において、1200℃以上に加熱した後、粗圧延のパスを全てT(℃)=1050+2×B(ppm)で示される温度以上で、歪速度0.15(/秒)以下で行い、その後仕上げ圧延を行い、Ar3温度以上の温度域で仕上圧延を終了し、その後、B添加量に応じて、CR(℃/秒)=56−1.8×B(ppm)以上の冷却速度で700℃以下まで冷却し、350℃以上700℃以下の温度で巻き取ることを特徴とする打ち抜き穴広げ性に優れた高強度薄鋼板の製造方法。
(5)前記仕上げ圧延の終了温度がAr3+130℃以上とすることを特徴とする前記(4)に記載の打ち抜き穴広げ性に優れた高強度薄鋼板の製造方法。
本発明によれば、打ち抜き穴広げ成形時に、打ち抜き端面先端の亀裂の伝播を防止でき、強度と打ち抜き穴広げ性の両立が達成でき、かつ、穴広げ性のばらつきも小さい鋼板を得ることができる。
以下に本発明の詳細を説明する。
まず、打ち抜き穴広げ性に優れた高強度熱延薄鋼板とするために必要な鋼板のミクロ組織の要件について説明する。
本発明の鋼では、金属組織の硬さのばらつきをその平均値で除した値を0.2以下とする必要がある。これは、組織の硬さのばらつきがあることにより、変形時にその界面にボイドが生じ、亀裂を伝播させやすくし、穴広げ率(λ)を低下させるためである。
本発明の鋼のミクロ組織は、特に規定はないが、上記の条件の条件を満たすためには、比較的高温の変態で現れる軟質のポリゴナルフェライトは避け、比較的低温で生成したアシキュラーフェライト、または、更に低温の変態で現れるベイナイト、またはそれらの混合組織とすることが好ましい。
本発明者らは、圧延方向を向いた{110}面が多いことにより、板面方向に配向した{100}、{111}面強度も増加し、それらにより打ち抜き穴広げ加工時に端面亀裂先端で板厚方向に平行なクラックを発生させ、打ち抜き穴広げ性を劣化させる原因となることを知見した。従って、本発明の鋼は、圧延方向を向いた{110}面の面強度を1.7以下とする必要がある。
更に、本発明の鋼において、打ち抜き穴広げ率(λ)のばらつき(標準偏差)を低減することが要求される場合には、特に、<110>方位が圧延方向と平行である結晶粒コロニー最大サイズLが100μm以下とすることが望ましい。これは、この結晶粒コロニー最大サイズLが大きいと打ち抜き端面の亀裂先端で粗大なクラックが偶発的に入りやすくなるためと推定される。この最大サイズLは、加工の厳しい用途に対応するため穴広げ率ばらつきをより低減するためには、さらに60μm以下とすることが望ましい。
続いて、本発明の鋼板の化学成分の限定理由について説明する。
Cは、0.1%超含有していると加工性及び溶接性が劣化するので、0.1%以下とする。また0.01%未満であると強度が低下するので、0.01%以上、好ましくは0.025%以上とする。
Siは、予備脱酸に必要な元素であると共に固溶強化元素として強度上昇に有効である。所望の強度を得るためには0.01%以上含有する必要がある。しかし、2%超とした場合、変態点が過度に高温となるため、本発明に必要な圧延温度の確保が困難となるためその上限は2.0%とする。以上の理由から、Siの含有量は、0.01%以上、2%以下とする。
Mnは、固溶強化元素として強度上昇に有効である。所望の強度を得るためには0.05%以上必要である。また、Mn以外にSによる熱間割れの発生を抑制するTiなどの元素が十分に添加されない場合には、質量%でMn/S≧20となるMn量を添加することが望ましい。一方、3%超添加するとスラブ割れを生ずるため、3%以下、好ましくは2%以下とする。
Pは、不可避的に含有される不純物元素であり低いほど望ましく、0.1%超含有すると加工性や溶接性に悪影響を及ぼすと共に疲労特性も低下させるので、0.1%以下とする。しかし、厳しい成形を受け、また疲労特性も要求される自動車足回り部品用途に用いられ、実使用されるためには、Pは好ましくは0.02%以下、より好ましくは0.01%以下とする必要がある。
Sは、Pと同様に不可避的に含有される不純物元素であり、多すぎるとMnS等の粗大な介在物となって成形性を劣化させるので、0.01%以下とする必要がある。厳しい加工を受ける部品用途で、厳しい成形に耐えうる材質とするためには、0.003%以下とすることが好ましい。
A1は、溶鋼の脱酸に必要な元素であるので、その効果を得るには0.005%以上含有させる必要がある。また更には、固溶強化により鋼を強化し、強度を得るためには、積極的に添加することが好ましい。しかし、過多に添加すると、変態点を極度に上昇させ、本発明に必要な圧延温度の確保が困難となるためその上限は2.0%、好ましくは1.0%とする。
Nは、Cよりも高温にてTiおよびNbと析出物を形成し、Cを固定するのに有効なTi及びNbを減少させるばかりでなく、穴広げ率(λ)のばらつきを増大させる大きなサイズのTi窒化物を形成する。従って極力低減させるべきであるが、0.01%以下ならば許容できる範囲である。しかし、過多にあると、粗大なTiとの析出物が析出するので、0.005%以下とすることが好ましい。
Tiは、本発明における最も重要な元素の一つである。すなわち、Tiは析出強化により鋼板の強度上昇に寄与する。ただし、0.005%未満ではこの効果が不十分であり、0.3%超含有してもその効果が飽和するだけでなく合金コストの上昇を招く。従ってTiの含有量は0.005%以上、0.3%以下とするが、好ましくは0.005〜0.2%である。
さらに、打ち抜き穴広げ性を劣化させるセメンタイト等の炭化物の原因となるCを析出固定し、バーリング加工性の向上に寄与するためには、析出物のTiとCの割合からして、Ti−(48/12)C≧0であることが望ましいが、SおよびNはCよりも比較的高温域でTiと析出物を形成するので、上記条件を満たすためには必然的にTi−(48/12)C−(48/14)N−(48/32)S≧0%の条件を満たすことが望ましい。ただし、Ti−(48/12)C−(48/14)N−(48/32)S≧−0.03%であれば、例えば780MPa級の鋼板であっても穴広げ率(λ)穴広げ性がそれほど劣化せず、許容できる範囲なので、本発明においてTiとC、N、Sの関係は、Ti−(48/12)C−(48/14)N−(48/32)S≧−0.03%とする。
一方、本発明の鋼においては、粒界強度を高くし成形段階での割れを防ぐ観点から、粒界に微量の固溶Cを残留させておくことが好ましい。この観点から、Ti−(48/12)C−(48/14)N−(48/32)S≦0.03%とすることが好ましい。さらに好ましくは、0.025%以下である。
Bは、本発明において、最も重要な元素である。本発明においては、ROT(ランアウトテーブル)冷却中に比較的高温で生成する軟質のフェライトを抑制し組織の硬さをより均一とする必要がある。本発明では、Bを添加することによりフェライトを生成しにくくし、それに加えてROTで急冷却を行うことにより軟質なフェライトを抑制している。B量が少ないとROTで十分な冷却速度を得ることが困難となるので、その下限を0.0005%とする。一方、0.0030%より多く添加してもその効果は飽和するので、Bの添加量は0.0005%以上、0.0030%以下とするが、好ましくは0.0005〜0.0020%である。
Caは、溶鋼脱酸時に微細な酸化物を多数分散させるために必要な元素であり添加することが好ましい。その効果を得るためには0.0005%以上添加する。一方、0.01%超添加してもその効果が飽和するので、その上限を0.01%とする。
Nbは、本発明において、析出強化により強度を得る重要な元素の一つであり、添加することが好ましい。しかし、Nbの含有量が0.001%未満では十分な強度増加の効果は得られず、一方、0.06%超ではその効果は飽和する。以上の理由からNbの含有量は、0.001%以上、0.06%以下とするが、好ましくは0.01〜0.05%である。
Cuは、固溶状態で疲労特性を改善する効果があり、必要に応じ添加する。ただし0.01%未満ではその効果は少なく、2%を超えて含有しても効果が飽和する。そこでCuの含有量は0.01〜2%の範囲とする。
Niは、Cu含有による熱間脆性防止のために必要に応じ添加する。ただし、0.01%未満ではその効果が少なく、1%を超えて添加してもその効果が飽和するので、0.1〜1%とする。
さらに、強度を付与するために、Mo,V,Crの析出強化もしくは固溶強化元素の一種または二種以上を添加しても良い。ただし、それぞれ0.05%、0.02%、0.01%未満ではその効果を得ることができない。また、それぞれ1%、0.5%、1%を超え添加しても、その効果は飽和する。
次に、本発明の製造方法の限定理由について、以下に詳細に述べる。
鋳片(スラブ)の再加熱温度については、1200℃未満での加熱はTiおよび/またはNbを含む析出物がスラブ中で再溶解せず粗大化し析出強化能を失うばかりでなく、打ち抜き穴広げ性にとって望ましいサイズと分布のTiおよび/またはNbを含む析出物が析出しなくなるので、鋳片の再加熱温度は1200℃以上とする必要がある。上限について、特に制限はないが、1400℃以上であると、スケールオフ量が多量になり歩留まりが低下するので、再加熱温度は1400℃未満が望ましい。
粗圧延に関しては、集合組織を制御するため以下のように規定する。圧延方向に向いた{110}集合組織は、粗圧延、仕上げ圧延工程で、大きな圧延歪が加わった状態からの静的な回復、再結晶、変態により発達するものと考えられる。これを防ぐためには、粗圧延を高温、低歪速度で行い、圧下中の動的な再結晶または動的な回復を起こして比較的小さい歪で組織(結晶性)を回復させ、組織の配向性を低減させることが重要と考えられる。これにより上記の集合組織の面強度を所定以下とするためには、粗圧延の全パスをできるだけ高温で、かつ低い歪速度(0.15(/秒)以下)で行う必要がある。粗圧延の最低の温度は、B量が多いほど再結晶しにくくなるためB量に応じてその下限温度が変わるので、下式で表されるT(℃)以上とする必要がある。
T(℃)=1050+2×B(ppm)
また、ここで、歪速度は以下の式から求めるものとする。
ε*:パス歪み速度(S−1
ε*=(v/(R×h0.5)×(1/r0.5)×ln{1/(1−r)}
ここで、h:パス入側板厚(mm)、h:パス出側板厚(mm)、r=(h−h)/h、R:ロール径(mm)、v:パス出側速度(mm/秒)を意味する。
仕上げ圧延温度は、Ar3温度以下であった場合、圧延集合組織が強く現れ、穴広げ率(λ)が劣化する恐れがある。したがって、その下限はAr3温度以上とする。ここでAr3変態点温度とは、例えば以下の計算式(1)により鋼成分との関係で簡易的に示される。
Ar=868−396×C+25×Si−68×Mn−36×Ni−21×Cu−25×Cr+30×Mo
仕上げ圧延温度がAr3温度以上であっても、その中で比較的低温の場合、圧延中に伸張したオーステナイト粒が形成され、それが、最終的に圧延方向に伸張した<110>方位が圧延方向と平行である結晶粒コロニーを形成し、それが打ち抜き穴広げ率(λ)のばらつきを誘発させるので、圧延温度はできるだけ高温とすることが好ましい。また、圧延歪によるフェライト変態促進の効果をできるだけ抑制し、ROT冷却中で微細組織を生成させ硬さばらつきを抑えるためにも、圧延温度は高温ほど好ましい。それらの十分な効果を得て本願規定の組織を得るには、Ar3+130℃以上とすることが好ましい。
仕上げ温度の上限は、本発明の効果を得るためには特に定める必要はないが、操業上スケ−ル疵が発生する可能性があるため、1000℃以下とすることが望ましい。
本発明において、高温で生成する軟質なフェライト組織の生成を抑制し、硬さばらつきを低減するため、さらに配向性を低減した微細組織を得るためにも、Bを添加した上で、B量に応じてROT(ランアウトテーブル)での冷却速度を所定以上とする必要がある。
その限界の冷却速度[CR(℃/秒)]は、鋼成分により定まり、焼き入れ性が大きいほどフェライト変態しにくいため小さくてもよく、B量によって下記で示される。
CR(℃/秒)=56−1.8×B(ppm)
硬さばらつきを抑制するためには、この冷却速度で700℃以下まで冷却する必要がある。
次に巻取温度については、巻取温度が350℃未満では、十分なTiおよび/またはNbを含む析出物が生じなくなり、鋼中に過度に固溶Cが残留して加工性を低下させる恐れがあり、700℃超ではTiおよび/またはNbを含む析出物のサイズが粗大化し、析出強化による強度上昇に寄与しなくなるため、十分な強度が得られない。従って、巻取温度は350〜700℃とする。強度・穴広げ率(λ)のバランスを最大とするためには好ましくは400〜600℃とする。
熱間圧延工程終了後は必要に応じて酸洗し、またはスキンパスラインを通しても構わない。
以下に、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
表2に示す成分の鋼を転炉にて溶製した後、連続鋳造により鋳片とした。その後、表3に示す条件にて、再加熱を行い、粗圧延、仕上げ圧延、冷却、巻取りを行う事により熱延鋼板とした。
Figure 0004901623
Figure 0004901623
得られた熱延板の引張試験は、供試材を、まずJIS Z 2201記載の5号試験片に加工し、JIS Z 2241記載の試験方法に従って行った。一方、打ち抜き穴広げ率(λ)については、日本鉄鋼連盟規格JFS T 1001−1996記載の穴広げ試験方法に従って評価した。ただし、ここでは、上記の実工程での打ち抜きクリアランスの変動範囲に対応して、打ち抜きクリアランス(Cl)を5、10、20%の3水準とした。穴広げ率(λ)のばらつきを評価するため、各々の材料、クリアランスの水準毎に、穴広げ試験片を50枚準備し、それらによる穴広げ率(λ)の平均値、及び標準偏差を求めた。
また、幅方向1/4W部から圧延方向断面のX線回折試験片を加工し、圧延方向と平行な{110}面の面強度(全厚平均、ランダム比)を求めた。また、幅方向1/4W部から幅方向断面(幅方向を向いた断面)の埋め込みサンプルを作成し、研磨した後、1/4t部にて30箇所で荷重10gにてビッカース硬さ試験を行い、その平均値およびばらつき(標準偏差)を求めた。
また、同じく、幅方向1/4W部の幅方向断面の埋め込みサンプルを研磨し、後方散乱電子回折像法(EBSP法)、1/4t部の400μm×400μmの視野で、結晶粒の方位分布を測定し、<110>方位が圧延方向から10°以内の方向と平行である結晶粒のコロニーの最大サイズLを求めた。
以上の試験結果も表4に示している。
表4において、水準(1)〜(12)は本発明によるものであり、良好な強度・穴広げ性バランスが得られている。水準(1)、(2)では仕上げ圧延温度が特に高く(≧Ar3+130℃)、<110>方位が圧延方向と平行である結晶粒コロニーの最大サイズLが小さく、穴広げ率(λ)のばらつきも低減されている。
一方水準(13)では、粗圧延の歪速度が大きく、このため、圧延方向に配向した{110}面強度が高く、穴広げ性が劣化している。
水準(14)、(21)は、冷却速度が規定より小さいため、このため組織硬さのばらつきが大きくなっており、穴広げ性が劣化している。
水準(15)は、粗圧延温度が低いため、このため圧延方向に配向した{110}面が多く現れ、穴広げ性が劣化している。
水準(16)では、加熱温度が低すぎるため、十分な強度が得られていない。
水準(17)では、巻き取り温度が低すぎるため、十分な成形性(伸び、穴広げ率(λ))が得られていない。
水準(18)では、巻き取り温度が高すぎるため、十分な強度が得られていない。
水準(19)では、仕上げ圧延温度が低いため、穴広げ率(λ)が低い。
水準(20)では、C量が多くTi*が規定より高いため粗大な炭化物が生成しており穴広げ性は良好でない。
以上の実施例の結果から、本発明の要件を満たす高強度熱延薄鋼板は、強度と打ち抜き穴広げ性を両立し、更にそのばらつきの低減を低減する目標が達成できた。
Figure 0004901623
打ち抜き穴広げ試験を説明する図である。 <110>方位が圧延方向と平行である結晶粒コロニー及びその最大サイズLを示す図である。 集合組織、硬さばらつきと穴広げ率(λ)の関係を示す図である。 粗圧延の歪速度と{110}面強度の関係を示す図である。 冷却速度と硬さのばらつきの関係を示す図である。 {110}面強度と穴広げ率(λ)ばらつきの関係を示す図である。 硬さばらつきと穴広げ率(λ)ばらつきの関係を示す図である。 <110>方位が圧延方向と平行である結晶粒コロニー及びその最大サイズLと穴広げ率(λ)ばらつきの関係を示す図である。 <110>方位が圧延方向と平行である結晶粒コロニー及びその最大サイズLと穴広げ率(λ)の関係を示す図である。 圧延温度と<110>方位が圧延方向と平行である結晶粒コロニー及びその最大サイズLの関係を示す図である。
符号の説明
1ポンチ
2打ち抜きダイス
3しわ押さえ
4材料
5剪断部分
6被剪断部分
7穴拡げポンチ
8打ち抜き端面
9ポンチの移動
10穴径の拡大
t板厚
s隙間

Claims (5)

  1. 質量%にて、
    C:0.01〜0.1%、
    Si:0.01〜2%、
    Mn:0.05〜3%、
    P≦0.1%、
    S≦0.01%、
    Al:0.005〜2.0%、
    N≦0.01%、
    B:0.0005〜0.0030%、
    Ti:0.005〜0.3%
    を含み、さらに
    Ti−(48/12)C−(48/14)N−(48/32)S≧−0.03%
    を満たす範囲でTiを含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼板であって、その鋼板の硬さのばらつきをその平均値で除した値が0.2以下であり、かつ、圧延方向の{110}面の面強度が1.7以下であることを特徴とする打ち抜き穴広げ性に優れた高強度薄鋼板。
  2. <110>方位が圧延方向と平行である結晶粒により形成されるコロニーの最大長さが100μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の打ち抜き穴広げ性に優れた高強度薄鋼板。
  3. 前記鋼がさらに、質量%で、
    Nb:0.001〜0.06%、
    Ca:0.0005〜0.01%、
    Cu:0.01〜2%、
    Ni:0.01〜1%、
    Mo:0.05〜1%、
    V :0.02〜0.5%、
    Cr:0.01〜1%
    の一種または二種以上を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の打ち抜き穴広げ性に優れた高強度薄鋼板。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の組成を有する鋳片を加熱した後、粗圧延を行い、次に仕上げ圧延、冷却、巻き取りにより熱延鋼板とする熱延工程において、1200℃以上に加熱した後、粗圧延のパスを全てT(℃)=1050+2×B(ppm)で示される温度以上で、歪速度0.15(/秒)以下で行い、その後仕上げ圧延を行い、Ar3温度以上の温度域で仕上圧延を終了し、その後、B添加量に応じて、CR(℃/秒)=56−1.8×B(ppm)以上の冷却速度で700℃以下まで冷却し、350℃以上700℃以下の温度で巻き取ることを特徴とする打ち抜き穴広げ性に優れた高強度薄鋼板の製造方法。
  5. 前記仕上げ圧延の終了温度がAr3+130℃以上とすることを特徴とする請求項4に記載の打ち抜き穴広げ性に優れた高強度薄鋼板の製造方法。
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