JP6062297B2 - 非水電気化学デバイス用電解液及びリチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電気化学デバイス用電解液及びリチウムイオン二次電池に関する。
近年の電子技術の発展及び環境技術への関心の高まりに伴い、様々な電気化学デバイスが開発されている。特に、省エネルギー化を目的とした電気化学デバイス開発に対する要請が強く、省エネルギー化に貢献できる電気化学デバイスに対する期待はますます高くなっている。このような電気化学デバイスとしては、例えば、発電デバイスとして太陽電池が挙げられ、蓄電デバイスとして、二次電池、キャパシタ及びコンデンサ等が挙げられる。蓄電デバイスの代表例であるリチウムイオン二次電池は、従来、主に携帯機器用充電池として使用されていたが、近年では、ハイブリッド自動車及び電気自動車用電池としての使用も期待されている。
リチウムイオン二次電池は、一般に、リチウムを吸蔵及び放出可能な活物質を主体として構成された正極と負極とがセパレータを介して配された構成を有する。リチウムイオン二次電池の正極は、正極活物質としてのLiCoO、LiNiO又はLiMn等と、導電剤としてのカーボンブラック又は黒鉛等と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン、ラテックス又はゴム等とが混合された正極合剤が、アルミニウム等からなる正極集電体上に被覆されて形成される。また、負極は、負極活物質としてのコークス又は黒鉛等と、バインダーとしてのポリフッ化ビニリデン、ラテックス又はゴム等とが混合された負極合剤が、銅等からなる負極集電体上に被覆されて形成される。さらに、セパレータは、多孔性ポリオレフィン等により形成され、その厚さは数μmから数百μmと非常に薄い。正極、負極及びセパレータは、電池内で電解液に浸漬されている。電解液としては、例えば、LiPF又はLiBFのようなリチウム塩を、プロピレンカーボネート又はエチレンカーボネートのような非プロトン性溶媒に、あるいはポリエチレンオキシドのようなポリマーに溶解させた電解液が挙げられる。
リチウムイオン二次電池は、現在、携帯機器等の電池として主に用いられている。また、近年では、ハイブリッド自動車及び電気自動車等の自動車用途の電池としても展開が開始されており、リチウムイオン二次電池の用途及び市場はさらに大幅に拡大する傾向にある。
このようなリチウムイオン二次電池用の非水電解液の構成成分として、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンに代表される含フッ素カーボネート化合物が広く使用されている。これらの含フッ素カーボネート化合物は、電極の界面制御に寄与し、電解液の耐酸化性向上にも寄与しうる材料として、大変有用である。
電極の界面制御能(以下、「SEI成形能」ともいう。)とはリチウムイオン電池全般に要求される性能である。一般に、電池の負極表面ではSolid Electrolyte Interface(SEI)と呼ばれる非水電解液の分解生成物が保護皮膜としての役割を果たしており、含フッ素カーボネート化合物は優秀なSEI形成剤として広く利用されている。良好なSEIが形成されると非水電解液の還元分解が抑制でき、電池の充放電を安定して行うことができる。4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いた非水電解液は、このようなSEIが形成できることが報告されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。また最近では、SEIの概念が正極表面にも拡張され、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンを用いた非水電解液では、正極に由来する非水電解液の劣化も低減できることが報告されている(例えば、特許文献3、特許文献4参照)。
非水電解液の耐酸化性向上は、高電位の正極を用いて高電圧で駆動する電池で特に求められる性能である。スマートホンの長時間使用や電気自動車の長距離走行を可能にするためには高エネルギー密度の電池が要求されており、そのためには高電圧駆動の電池が必須である。しかし、従来の非水電解液を高電圧下で使用すると非水電解液が酸化分解し、電池劣化が著しい。ここで、含フッ素カーボネート化合物を非水電解液の構成成分として用いると、フッ素の効果により、耐酸化性が向上し、高電圧の条件でも安定して使用することができることが知られている(例えば、特許文献5、特許文献6参照)。
特開2008−140760号公報 特開2006−196250号公報 特開2008−97954号公報 特開2008−34334号公報 特開2008−108689号公報 国際公開2012/133902号公報
上記のとおり、フッ素含有環状カーボネート化合物に代表される、フッ素含有カーボネート化合物は良好な性能を示すが、反応性が高く不安定であることが課題である。従って、上記の良好な性能を発現させるためには、その反応性を電池作製直後のエージングやコンディショニングにて制御する必要があり、それが、含フッ素環状カーボネート化合物が使いにくいひとつの理由となっている。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、高温耐久性と耐酸化(高電圧)性能とを共に有する非水系二次電池を実現する非水電気化学デバイス用電解液、及び該非水電気化学デバイス用電解液を含むリチウムイオン二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、分子内にカーボネート基を2以上有する化合物を所定量、電解液に添加することによって、様々な電池使用条件において、より良好で安定したSEIが形成され、上記課題を解決できること見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は下記のとおりである。
〔1〕
フッ素原子を有するカーボネート化合物と、
該フッ素原子を有するカーボネート化合物100質量部に対して0.0001質量部以上10質量部以下の、カーボネート基を2以上有する化合物と、
リチウム塩と、
を含む、非水電気化学デバイス用電解液。
〔2〕
前記フッ素原子を有するカーボネート化合物が、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物を含む、前項〔1〕に記載の非水電気化学デバイス用電解液。
〔3〕
前記カーボネート基を2以上有する化合物が、環状カーボネート基を有する、前項〔1〕又は〔2〕に記載の非水電気化学デバイス用電解液。
〔4〕
2cP以下の粘度を有する非プロトン性溶媒をさらに含む、前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の非水電気化学デバイス用電解液。
〔5〕
前記非プロトン性溶媒が、フッ素原子を有する溶媒を含む、前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の非水電気化学デバイス用電解液。
〔6〕
前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の非水電気化学デバイス用電解液を含む、リチウムイオン二次電池用電解液。
〔7〕
前項〔1〕〜〔5〕のいずれか1項に記載の非水電気化学デバイス用電解液又は〔6〕に記載のリチウムイオン二次電池用電解液と、正極と、負極と、を備え、
前記正極は、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料な、1種以上の正極活物質を含有し、
前記負極は、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料及び金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の負極活物質を含有する、
リチウムイオン二次電池。
〔8〕
前記正極活物質は、リチウム含有化合物を含む、前項〔7〕に記載のリチウムイオン二次電池。
〔9〕
前記負極活物質は、金属リチウム、炭素材料、珪素材料、及び、リチウムと合金形成が可能な元素を含む材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含む、前項〔7〕又は〔8〕に記載のリチウムイオン二次電池。
本発明によると、高温耐久性と耐酸化(高電圧)性能とを共に有する非水系二次電池を実現する非水電気化学デバイス用電解液、及び該非水電気化学デバイス用電解液を含むリチウムイオン二次電池を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」ともいう。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
〔非水電気化学デバイス用電解液〕
本実施形態に係る非水電気化学デバイス用電解液(以下、「非水電解液」ともいう。)は、
フッ素原子を有するカーボネート化合物と、
該フッ素原子を有するカーボネート化合物100質量部に対して0.0001質量部以上10質量部以下の、カーボネート基を2以上有する化合物と、
リチウム塩と、を含む。
〔フッ素原子を有するカーボネート化合物〕
本実施形態に係る非水電解液はフッ素原子を有するカーボネート化合物を含む。フッ素原子を有するカーボネート化合物は、本実施形態に係る非水電解液中で、電極電解液界面制御(Solid Electrolyte Interface(SEI)形成),電解液の耐酸化性(高電圧特性)向上という機能を果たす。ここで、「フッ素原子を有するカーボネート化合物」とは、カーボネート基(−O−(C=O)−O−)とフッ素原子を1つ以上有する化合物をいう。このようなフッ素原子を有するカーボネート化合物としては、特に限定されないが、例えば、下記式(1)又は(2)で表される化合物が挙げられる。このなかでも、式(1)で表される化合物のような、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物が好ましい。環状カーボネート化合物を含むことにより、フッ素原子を有するカーボネート化合物の有する機能がより優れる傾向にある。フッ素原子を有するカーボネート化合物は、1つのカーボネート基を有する化合物であることが好ましい。
(式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は含フッ素アルキル基を示し、R1〜R4のいずれか1つ以上はフッ素原子を1つ以上含む。)
(式(2)中、Ra、Rbは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基又は含フッ素アルキル基を示し、Ra又はRbのいずれか1つ以上はフッ素原子を1つ以上含む。)
式(1)中、R1〜R4は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は含フッ素アルキル基を示し、R1〜R4のいずれか1つ以上はフッ素原子を1つ以上含む。R1〜R4の少なくとも1つ以上は、フッ素原子、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、又はトリフルオロメチル基を示すことが好ましい。このような基を有するカーボネート化合物を用いることにより、高温耐久性、耐酸化(高電圧)性能をはじめ、様々な電池の特性がより向上する傾向にある。このような式(1)で表される化合物としては、特に限定されないが、例えば、4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、cis−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、trans−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジフルオロ−5−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−フルオロメチル―1,3−ジオキソラン―2−オン、4,4−ジフルオロメチル―1,3−ジオキソラン―2−オン、4,4,4−トリフルオロメチル―1,3−ジオキソラン‐2―オンが好ましい。このなかでも、4−フルオロ―1,3−ジオキソラン―2−オン、4,4−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、cis−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン、trans−4,5−ジフルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンがより好ましい。
式(2)中、Ra、Rbは、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基又は含フッ素アルキル基を示し、Ra又はRbのいずれか1つ以上はフッ素原子を1つ以上含む。このようなRa、Rbとしては、特に限定されないが、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル着、1−フルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基、1,1,2−トリフルオロエチル基、1,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,1,2−テトラフルオロエチル基、1,1,2,2,−テトラフルオロエチル基、1,1,1,2,2,−ペンタフルオロエチル基のいずれかであることが好ましい。このなかでも、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル着、1−フルオロエチル基、1,1−ジフルオロエチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、2−フルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、1,2−ジフルオロエチル基であることがより好ましい。このような基を有するカーボネート化合物を用いることにより、高温耐久性、耐電圧性能をはじめ、様々な電池の特性がより向上する傾向にある。
これらのフッ素原子を有するカーボネート化合物は1種を単独で用いることも、2種以上の化合物を併用することもできる。2種以上の化合物を併用する時の両者の混合比は任意に選択することができる。
フッ素原子を有するカーボネート化合物は、非水電解液の総量100質量%に対して、0.1〜50質量%含まれることが好ましく、0.2〜20質量%含まれることがより好ましく、0.1〜15質量%含まれることがさらに好ましい。含有量が上記範囲内であることにより、フッ素原子を有するカーボネート化合物の有する機能がより優れ、またイオン伝導も優れる傾向にある。
〔カーボネート基を2以上有する化合物〕
本実施形態に係る非水電解液は、カーボネート基を2以上有する化合物を含む。カーボネート基を2以上有する化合物は、環状カーボネート基を有することが好ましい。環状カーボネート基を有することにより、電極電解液界面制御能が向上し,長期の電池特性(サイクル特性)がより優れる傾向にある。また、カーボネート基を2以上有する化合物は、他の官能基を含んでもよい。このようなカーボネート基を2以上含む化合物を用いることにより、充放電でフッ素原子を有するカーボネート化合物に由来するSEIが生成する際に、SEIの中にカーボネート基を2以上含む化合物に由来する物質を含ませることができる。カーボネート基を2以上有する化合物はフッ素原子を有するカーボネート化合物との親和性や反応性が優れるため、欠陥やムラの少ない、安定で良好なSEIを形成することができ、高温耐久性、耐電圧性能等の電池特性をより向上させる。なお、カーボネート基を2以上有する化合物は、上記フッ素原子を有するカーボネート化合物に該当するものを除く。
カーボネート基を2以上有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、下記式(3)に示す化合物があげられる。
X−Z−Y (3)
(X及びYは、それぞれ独立に、下記式(4)又は式(5)に示す基であり、ZはO、S、SO、炭素数が1〜4の2価の炭化水素基、又は、エステル基、カーボネート基、エーテル基、チオエーテル基、若しくはスルホニル基を有する2価の基である。)
(式(4)中、Ri、Rii、Riiiは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は含フッ素アルキル基を示す。Rivは、単結合又は炭素数1〜3のアルキレン基又は含フッ素アルキレン基を示す。)
(式(5)中、RAは炭素数1〜5のアルキル基又は含フッ素アルキル基を示し、RBは炭素数1〜5のアルキレン基又は含フッ素アルキレン基を示す。)
式(3)中、Zは、O(エーテル基)、S(チオエーテル基)、SO(スルホニル基)、炭素数が1〜4の2価の炭化水素基、又は、エステル基、カーボネート基、エーテル基、チオエーテル基、若しくはスルホニル基を有する2価の基である。このなかでも、O(エーテル基)、メチレン基、エチレン基、又は、エーテル基、カーボネート基、若しくはエステル基を有する2価の基が好ましく、O(エーテル基)、炭素数1又は2の、エーテル構基、カーボネート基、若しくはエステル基を有する2価の基がさらに好ましい。
上記式(4)中、Ri、Rii、Riiiは、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基又は含フッ素アルキル基を示し、水素原子、フッ素原子、メチル基又は含フッ素アルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましい。
上記式(4)中、Rivは、単結合又は炭素数1〜3のアルキレン基又は含フッ素アルキレン基を示し、単結合、メチル基又は含フッ素アルキレン基が好ましく、単結合又はメチレン基であることがより好ましい。
上記式(5)中、RAは、炭素数1〜5のアルキル基又は含フッ素アルキル基を示し、メチル基、エチル基、又は含フッ素アルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。
上記式(5)中、RBは、炭素数1〜5のアルキレン基又は含フッ素アルキレン基を示し、メチレン基、エチレン基又は含フッ素アルキレン基であることが好ましく、メチレン基又はエチレン基であることがより好ましい。
これらのカーボネート基を2以上有する化合物は常法によって合成して、電解液に添加することもできるし、電解液中でin―situで合成することもできる。
カーボネート基を2以上有する化合物は、フッ素原子を有するカーボネート化合物100質量部に対して0.0001質量部以上10質量部以下の量で含まれる。好ましくは0.0001質量部以上1質量部以下の量であり、より好ましくは0.0001質量部以上0.1質量部以下の量である。添加量が上記範囲内であることにより、フッ素原子を有するカーボネート化合物とカーボネート基を2以上有する化合物とが良好に親和し、安定なSEIが形成され、高温耐久性及び耐電圧性能等の電池特性がより安定化する。
〔リチウム塩〕
本実施形態に係る非水電解質は、リチウム塩を含む。リチウム塩としては、特に限定されないが、例えば、炭素原子をアニオンに含まない無機リチウム塩と、炭素原子をアニオンに含む有機リチウム塩とが挙げられる。なお、リチウム塩としては、無機リチウム塩又は有機リチウム塩を1種単独で用いても、これらを併用してもよい。
上記無機リチウム塩は、特に限定されず、通常の非水電解質として用いられているものを使用することができる。このような無機リチウム塩としては、特に限定されないが、例えば、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiSiF、LiSbF、LiAlO、LiAlCl、Li1212−b(bは0〜3の整数)、多価アニオンと結合されたリチウム塩等が挙げられる。これら無機リチウム塩は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。この中でも、フッ素原子を有する無機リチウム塩が好ましい。このような無機リチウム塩を用いることにより、正極集電箔の表面に不動態皮膜を形成するため、内部抵抗の増加を抑制する観点から好ましい。また、リン原子又はホウ素原子を有する無機リチウム塩も好ましく、LiPF、及びLiBFからなる群より選ばれる1種以上の無機リチウム塩がより好ましく、LiPFがさらに好ましい。このような無機リチウム塩を用いることにより、遊離のフッ素原子を放出しやすくなる傾向にある。
上記有機リチウム塩も、特に限定されず、通常の非水電解質として用いられているものを使用することができる。このような有機リチウム塩としては、特に限定されないが、例えば、LiN(SOCF、LiN(SO等のLiN(SO2m+1(mは1〜8の整数)で表される有機リチウム塩;LiPF(CF)等のLiPF(C2p+16−n(nは1〜5の整数、pは1〜8の整数)で表される有機リチウム塩;LiBF(CF)等のLiBF(C2s+14−q(qは1〜3の整数、sは1〜8の整数)で表される有機リチウム塩;LiB(Cで表されるリチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB);ハロゲン化LiBOB;LiBF(C)で表されるリチウムオキサラトジフルオロボレート(LiODFB);LiB(Cで表されるリチウムビス(マロネート)ボレート(LiBMB);LiPF(C)で表されるリチウムテトラフルオロオキサラトフォスフェート;下記式(5a)、(5b)及び(5c)で表される有機リチウム塩が挙げられる。
LiC(SO)(SO)(SO) (5a)
LiN(SOOR)(SOOR) (5b)
LiN(SO)(SOOR) (5c)
(式中、R、R、R、R、R、R及びRは、互いに同一であっても異なっていてもよく、炭素数1〜8のパーフルオロアルキル基を示す。)
このなかでも、ホウ素原子を有する有機リチウム塩が好ましい。リチウム塩は、構造上安定であり、また、フッ素原子を有するカーボネート化合物の2量体化をより抑制することができる傾向にある。
また、有機配位子を有する有機リチウム塩を用いることが好ましく、具体的には、LiBOB、ハロゲン化LiBOB、LiODFB及びLiBMBを用いることがより好ましく、LiBOBを用いることがさらに好ましい。このような有機リチウム塩を用いることにより、有機配位子が電気化学的な反応に関与してSEIを電極表面に形成するため、正極を含めた内部抵抗の増加をより抑制できる傾向にある。上記有機リチウム塩は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
リチウム塩は、本実施形態に係る非水電解液中に0.1〜5mol/Lの濃度で含有されることが好ましく、0.5〜3mol/Lの濃度で含有されることがより好ましく、0.8〜2mol/Lの濃度で含有されることがさらに好ましい。リチウム塩の濃度が上記範囲内であることにより、非水電解液の導電率が高い状態に保たれ、これを用いた非水二次電池の充放電効率も高い状態に保たれる。
〔溶媒〕
本実施形態に係る非水電解液は、他の非水溶媒をさらに併用してもよい。他の非水溶媒を用いることにより、リチウム塩の溶解性、伝導度及び電離度がより向上する傾向にある。このような他の非水溶媒としては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール及びオクタノール等の、上記モノアルコール及び上記多価アルコール以外のアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン等の酸エステル類;ジメチルケトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、3−ペンタノン及びアセトン等のケトン類;ペンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、フルオロベンゼン及びヘキサフルオロベンゼン等の炭化水素類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、クラウンエーテル類、グライム類、テトラヒドロフラン及び含フッ素エーテル等のエーテル類;N,N−ジメチルアセトアミド及びN,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;エチレンジアミン及びピリジン等のアミン類;プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネート、トランス−2,3−ブチレンカーボネート、シス−2,3−ブチレンカーボネート、1,2−ペンチレンカーボネート、トランス−2,3−ペンチレンカーボネート、シス−2,3−ペンチレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、トリフルオロメチルエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート及びメチルトリフルオロエチルカーボネート等のカーボネート類;アセトニトリル、プロピオニトリル、アジポニトリル、スクシノニトリル、マロノニトリル及びメトキシアセトニトリル等のニトリル類;N−メチルピロリドン(NMP)等のラクタム類;スルホラン及び3−メチルスルホラン、ジメチルスルホン及びエチルメチルスルホン等のスルホン類;プロパンスルトン及びブタンスルトン等のスルホン酸エステル類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;シリコンオイル及び石油等の工業オイル類;並びに、食用油が挙げられる。
また、非水溶媒として、イオン液体を用いることもできる。イオン液体とは、有機カチオンとアニオンとを組み合わせたイオンからなる液体である。
有機カチオンとしては、特に限定されないが、例えば、ジアルキルイミダゾリウムカチオン、トリアルキルイミダゾリウムカチオン等のイミダゾリウムイオン;テトラアルキルアンモニウムイオン;アルキルピリジニウムイオン;ジアルキルピロリジニウムイオン;及びジアルキルピペリジニウムイオンが挙げられる。
これらの有機カチオンのカウンターとなるアニオンとしては、特に限定されないが、例えば、PFアニオン、PF(Cアニオン、PF(CFアニオン、BFアニオン、BF(CFアニオン、BF(CF)アニオン、ビスオキサラトホウ酸アニオン、Tf(トリフルオロメタンスルフォニル)アニオン、Nf(ノナフルオロブタンスルホニル)アニオン、ビス(フルオロスルフォニル)イミドアニオン、ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミドアニオン、ビス(ペンタフルオロエタンスルフォニル)イミドアニオン、ジシアノアミンアニオン、ハロゲン化物アニオンを用いることができる。
上記非水溶媒は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オンよりも粘度の低い非プロトン性溶媒)
非水溶媒は4−フルオロ−1,3−ジオキソラン−2−オン(以下、「FEC」ともいう。)よりも粘度の低い非プロトン性溶媒をさらに含むことが好ましい。具体的には、2cP以下の粘度を有する非プロトン性溶媒をさらに含むことが好ましい。このような非プロトン性溶媒を用いることにより、非水二次電池の充放電に寄与するリチウムイオンの移動度がより高められる傾向にある。このような非プロトン性溶媒としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子を有する非プロトン性溶媒、鎖状カーボネート化合物、又は鎖状エーテル化合物が挙げられる。
上記フッ素原子を有する非プロトン性溶媒としては、特に限定されないが、例えば、鎖状カーボネート化合物や鎖状エーテル化合物としては、水素原子の少なくとも1つがフッ素原子で置換させたものを用いることもできる。
上記鎖状カーボネート化合物としては、特に限定されないが、例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルブチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルフルオロメチルカーボネート,ジフルオロメチルカーボネート及びメチルトリフルオロエチルカーボネートが挙げられる。
上記鎖状エーテル化合物としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、クラウンエーテル類、グライム類、テトラヒドロフラン及び含フッ素エーテルが挙げられる。
なお、粘度は粘度計により測定することができる。
(フッ酸)
また、本実施形態に係る非水電解液は、フッ酸を0.5〜50ppm含有していることが好ましく、1〜30ppm含有していることがより好ましく、2〜20ppm含有していることがさらに好ましい。フッ酸の含有率が上記範囲であることにより、SEI膜の継続的な修復、形成がより容易となる傾向にある。
(水)
本実施形態に係る非水電解液は、水分を含まないことが好ましいが、本実施形態の課題解決を阻害しない範囲であれば、ごく微量の水分を含有してもよい。そのような水分の含有量は、非水電解液の全量に対して、0〜100ppmであることが好ましく、1〜50ppmであることがより好ましく、1〜30ppmであることがさらに好ましい。
(添加剤)
本実施形態に係る非水電解液は、必要に応じて、添加剤をさらに含有してもよい。本実施形態で用いる添加剤としては、特に限定されないが、例えば、リチウム塩を溶解する溶媒としての役割を担う物質が挙げられる。このような物質は、上記の非水溶媒と実質的に重複してもよい。また、添加剤は、本実施形態に係る非水電解液及び非水二次電池の性能向上に寄与する物質であることが好ましく、電気化学的な反応には直接関与しない物質を用いることもできる。なお、添加剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
添加剤としては、特に限定されないが、例えば、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネートに代表される不飽和結合含有環状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトンに代表されるラクトン;1,2−ジオキサンに代表される環状エーテル;メチルホルメート、メチルアセテート、メチルプロピオネート、メチルブチレート、エチルホルメート、エチルアセテート、エチルプロピオネート、エチルブチレート、n−プロピルホルメート、n−プロピルアセテート、n−プロピルプロピオネート、n−プロピルブチレート、イソプロピルホルメート、イソプロピルアセテート、イソプロピルプロピオネート、イソプロピルブチレート、n−ブチルホルメート、n−ブチルアセテート、n−ブチルプロピオネート、n−ブチルブチレート、イソブチルホルメート、イソブチルアセテート、イソブチルプロピオネート、イソブチルブチレート、sec−ブチルホルメート、sec−ブチルアセテート、sec−ブチルプロピオネート、sec−ブチルブチレート、tert−ブチルホルメート、tert−ブチルアセテート、tert−ブチルプロピオネート、tert−ブチルブチレート、メチルピバレート、n−ブチルピバレート、n−ヘキシルピバレート、n−オクチルピバレート、ジメチルオキサレート、エチルメチルオキサレート、ジエチルオキサレート、ジフェニルオキサレート、マロン酸エステル、フマル酸エステル、マレイン酸エステルに代表されるカルボン酸エステル;N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドに代表されるアミド;エチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、ブチレンサルファイト、ペンテンサルファイト、スルホラン、3−メチルスルホラン、3−スルホレン、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−プロパンジオール硫酸エステル、テトラメチレンスルホキシド、チオフェン1−オキシドに代表される環状硫黄化合物;モノフルオロベンゼン、ビフェニル、フッ素化ビフェニルに代表される芳香族化合物;ニトロメタンに代表されるニトロ化合物;シッフ塩基;シッフ塩基錯体;オキサラト錯体、置換又は無置換のベンゼン、ビフェニル、ナフタレン、ターフェニルに代表される芳香族化合物;リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、フッ素置換のリン酸又は亜リン酸エステルに代表されるリン酸;亜リン酸エステル、ジフルオロリン酸塩、モノフルオロリン酸塩、硝酸塩、炭酸塩に代表される塩構造のもの;メタノール、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フルオロエタノール等のアルコール類が挙げられる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本実施形態に係る非水電気化学デバイス用電解液は、特に限定されないが、例えば、リチウムイオン二次電池用電解液、リチウムイオンキャパシタ用電解液、リチウム空気電池用電解液などの電気化学デバイスに用いることができる。特にリチウムイオン二次電池用電解液として用いることにより、高温耐久性と耐電圧性能とを共に有する非水二次電池を実現することができる。
〔リチウムイオン二次電池〕
本実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、上記非水電解液又はリチウムイオン二次電池用電解液と、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な、1種以上の材料を含有する正極と、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料及び金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する負極と、を備える。正極、負極及びセパレータは、例えば下記に説明するものである。
〔正極〕
正極は、リチウムイオン二次電池の正極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。正極は、正極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な1種以上の材料を含有する。そのような正極活物質としては、特に限定されないが、例えば、リチウム含有化合物;トンネル構造及び層状構造の金属カルコゲン化物及び金属酸化物;オリビン型リン酸化合物;リチウム以外の金属の酸化物;導電性高分子が挙げられる。正極活物質としてリチウム含有化合物を用いることにより、より高電圧で、より高エネルギー密度のリチウムイオン二次電池を得ることができる傾向にある。
上記リチウム含有化合物としては、特に限定されないが、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物及びリチウムと遷移金属元素とを含むケイ酸金属化合物等が挙げられる。
上記リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物としては、特に限定されないが、例えば、下記式(6a)及び(6b)で表される化合物が挙げられる。より具体的には、LiCoOに代表されるリチウムコバルト酸化物;LiMnO、LiMn、LiMnに代表されるリチウムマンガン酸化物;LiNiOに代表されるリチウムニッケル酸化物;LiMO(MはNi、Mn、Co、Al及びMgからなる群より選ばれる2種以上の元素を示し、zは0.9超1.2未満の数を示す)で表されるリチウム含有複合金属酸化物が挙げられる。このなかでも、リチウムと、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、バナジウム(V)及びチタン(Ti)からなる群より選ばれる1種以上の遷移金属元素とを含む複合酸化物並びにリン酸化合物が好ましい。このようなリチウム含有化合物を用いることにより、より高い電圧が得られる傾向にある。下記式(6a)で表される化合物は一般に層状構造を有する。当該化合物としては、構造を安定化させる等の目的から、遷移金属元素の一部をAl、Mg、その他の遷移金属元素で置換したり結晶粒界に含ませたりしたもの、酸素原子の一部をフッ素原子等で置換したものも挙げられる。さらに、正極活物質表面の少なくとも一部に他の正極活物質を被覆したものも挙げられる。
LiMO (6a)
Li (6b)
(式中、Mは遷移金属から選ばれる1種以上の金属を示し、xは0〜1の数、yは0〜2の数を示す。)
リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物としては、特に限定されないが、例えば、LiFePOで表されるリン酸鉄オリビン;式(7b)で表される化合物が挙げられる。下記式(7b)で表される化合物は一般にオリビン構造を有する。当該化合物において、構造を安定化させる等の目的から、遷移金属元素の一部をAl、Mg、Co、Tiその他の遷移金属元素で置換したり結晶粒界に含ませたりしたもの、酸素原子の一部をフッ素原子等で置換したものも挙げられる。さらに、正極活物質表面の少なくとも一部に他の正極活物質を被覆したものも挙げられる。
LiIIPO (7b)
(式中、MIIは1種以上の遷移金属元素を示し、wの値は電池の充放電状態によって異なるが、通常wは0.05〜1.10の数を示す。)
上記リチウムと遷移金属元素とを含むケイ酸金属化合物としては、特に限定されないが、例えば、LiSiOで示される化合物が挙げられる。ここで、Mは上記式(6a)と同義であり、tは0〜1の数、uは0〜2の数を示す。
上記オリビン型リン酸化合物としては、特に限定されないが、例えば、リン酸マンガンオリビン、リン酸コバルトオリビンが挙げられる。
上記リチウム以外の金属の酸化物としては、特に限定されないが、例えば、S、MnO、FeO、FeS、V、V13、TiO、TiS、MoS及びNbSeが挙げられる。
上記導電性高分子としては、特に限定されないが、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びポリピロールが挙げられる。
正極活物質は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
正極活物質の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは0.05μm〜100μmであり、より好ましくは1μm〜10μmである。透過型電子顕微鏡にて観察した粒子100個をランダムに抽出し、画像解析ソフト(例えば、旭化成エンジニアリング株式会社製の画像解析ソフト、商品名「A像くん」)で解析し、その相加平均を算出することでも得られる。この場合、同じ試料に対して、測定方法間で数平均粒子径が異なる場合は、標準試料を対象として作成した検量線を用いてもよい。
(正極の製造方法)
正極は、例えば、下記のようにして得られる。すなわち、まず、上記正極活物質に対して、必要に応じて、導電助剤やバインダー等を加えて混合した正極合剤を溶剤に分散させて正極合剤含有ペーストを調製する。次いで、この正極合剤含有ペーストを正極集電体に塗布し、乾燥して正極合剤層を形成し、それを必要に応じて加圧し厚みを調整することによって、正極が作製される。
ここで、正極合剤含有ペースト中の固形分濃度は、好ましくは30〜80質量%であり、より好ましくは40〜70質量%である。
正極集電体は、特に限定されないが、例えば、アルミニウム箔、又はステンレス箔等の金属箔が挙げられる。
〔負極〕
負極は、リチウムイオン二次電池の負極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものであってもよい。負極は、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料及び金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の材料を含有する。このような負極は、負極活物質として、金属リチウム、炭素材料、珪素材料、リチウムと合金形成が可能な元素を含む材料、及び、リチウム含有化合物からなる群より選ばれる1種以上を含有すると好ましい。このなかでも、金属リチウム、炭素材料、珪素材料、及びリチウムと合金形成が可能な元素を含む材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含有するとより好ましい。このような負極活物質を用いることにより、電池容量により優れる傾向にある。
上記炭素材料としては、特に限定されないが、例えば、ハードカーボン、ソフトカーボン、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、グラファイト、炭素コロイド、カーボンブラックが挙げられる。これらのうち、コークスとしては、特に限定されないが、例えば、ピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークスが挙げられる。また、有機高分子化合物の焼成体としては、特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂やフラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものである。なお、本実施形態においては、負極活物質に金属リチウムを採用した電池もリチウムイオン二次電池に含めるものとする。
上記珪素材料としては、特に限定されないが、例えば、結晶性珪素化合物,アモルファス珪素化合物,有機ケイ素化合物,珪素と金属とのアロイや合金等が挙げられる。また,ナノ珪素材料や繊維状珪素材料等の各種形態の珪素材料等が挙げられる。
さらに、上記リチウムと合金を形成可能な元素を含む材料としては、特に限定されないが、例えば、金属又は半金属の単体であっても合金であっても化合物であってもよく、またこれらの1種又は2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものであってもよい。
なお、本明細書において、「合金」には、2種以上の金属元素からなるものに加えて、1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とを有するものも含む。また、合金が、その全体として金属の性質を有するものであれば非金属元素を有していてもよい。その合金の組織には固溶体、共晶(共融混合物)、金属間化合物又はこれらのうちの2種以上が共存する。
このような金属元素及び半金属元素としては、特に限定されないが、例えば、チタン(Ti)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、アルミニウム、インジウム(In)、ケイ素(Si)、亜鉛(Zn)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ヒ素(As)、銀(Ag)、ハフニウム(Hf)、ジルコニウム(Zr)及びイットリウム(Y)が挙げられる。
これらの中でも、長周期型周期表における4族又は14族の金属元素及び半金属元素が好ましく、特に好ましいのはチタン、ケイ素及びスズである。
スズの合金としては、特に限定されないが、例えば、スズ以外の第2の構成元素として、ケイ素、マグネシウム(Mg)、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン(Ti)、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン及びクロム(Cr)からなる群より選ばれる1種以上の元素を有するものが挙げられる。
ケイ素の合金としては、特に限定されないが、例えば、ケイ素以外の第2の構成元素として、スズ、マグネシウム、ニッケル、銅、鉄、コバルト、マンガン、亜鉛、インジウム、銀、チタン、ゲルマニウム、ビスマス、アンチモン及びクロムからなる群より選ばれる1種以上の元素を有するものが挙げられる。
チタンの化合物、スズの化合物及びケイ素の化合物としては、特に限定されないが、例えば酸素(O)又は炭素(C)を有するものが挙げられ、チタン、スズ又はケイ素に加えて、上述の第2の構成元素を有していてもよい。
リチウム含有化合物も挙げられる。リチウム含有化合物としては、正極材料として例示したものと同じものを用いることができる。
負極活物質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
負極活物質の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは0.1μm〜100μm、より好ましくは1μm〜10μmである。負極活物質の数平均粒子径は、正極活物質の数平均粒子径と同様にして測定される。
(負極の製造方法)
負極は、例えば、下記のようにして得られる。すなわち、まず、上記負極活物質に対して、必要に応じて、導電助剤やバインダー等を加えて混合した負極合剤を溶剤に分散させて負極合剤含有ペーストを調製する。次いで、この負極合剤含有ペーストを負極集電体に塗布し、乾燥して負極合剤層を形成し、それを必要に応じて加圧し厚みを調整することによって、負極を作製することができる。
ここで、負極合剤含有ペースト中の固形分濃度は、好ましくは30〜80質量%であり、より好ましくは40〜70質量%である。
負極集電体は、特に限定されないが、例えば、銅箔、ニッケル箔又はステンレス箔等の金属箔が挙げられる。
正極及び負極の作製にあたって、必要に応じて用いられる導電助剤としては、特に限定されないが、例えば、グラファイト、アセチレンブラック及びケッチェンブラックに代表されるカーボンブラック、並びに炭素繊維が挙げられる。導電助剤の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは0.1μm〜100μmであり、より好ましくは1μm〜10μmであり、正極活物質の数平均粒子径と同様にして測定される。また、バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム及びフッ素ゴムが挙げられる。
〔セパレータ〕
本実施形態のリチウムイオン電池は、正負極の短絡防止等の安全性付与ために、正極と負極との間にセパレータ備える。セパレータとしては、イオン透過性が大きく、機械的強度に優れる絶縁性の薄膜が好ましい。
本実施形態におけるセパレータの材質は、特に限定されないが、例えば、セラミック、ガラス、樹脂及びセルロースが挙げられる。樹脂としては、合成樹脂であっても天然樹脂(天然高分子)であってもよく、また、有機樹脂であっても無機樹脂であってもよいが、セパレータとしての性能に優れるという観点から、有機樹脂であることが好ましい。
有機樹脂としては、特に限定されないが、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、並びに、液晶ポリエステル及びアラミド等の耐熱樹脂が挙げられる。
また、無機樹脂としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂などが挙げられる。
セパレータの材質は、耐熱性の観点から、セラミック及びガラスが好ましく、ハンドリング性及び耐熱性の観点から、ポリエステル、ポリアミド、液晶ポリエステル、アラミド、及びセルロースが好ましい。また、コスト及び加工性の観点から、ポリオレフィンが好ましい。これらの材質のうち、樹脂を採用する場合、単独重合体でも共重合体でもよく、また、複数種の樹脂の混合体及びアロイを用いてもよい。
また、セパレータは、複数の材質の膜を積層した積層体であってもよい。セパレータが積層体の場合、各層の材質が互いに同じものであっても異なるものであってもよい。
(セパレータの製造方法)
積層体のセパレータを作製する場合、ある層を別の層上に形成することを繰り返すことで順に積層して、すなわち逐次多層化して作製してもよく、それぞれ別に作製した複数の膜を張り合わせることで積層体を作製してもよい。
本実施形態におけるセパレータの形態としては、例えば、合成樹脂を製膜して製造した合成樹脂性微多孔膜、合成樹脂又は天然高分子を紡糸した繊維、ガラス繊維又はセラミック繊維を加工した織布、不織布、編布、抄紙、並びに、合成樹脂、セラミック粒子及びガラスの微粒子を配列して作製した膜が挙げられる。
本実施形態におけるセパレータは、膜の補強、充放電の補助、耐熱性向上等の観点から、上記以外の成分、例えば、有機フィラー、無機フィラー、有機粒子、無機粒子をセパレータの表面及び/又は内部に含んでもよい。
〔リチウムイオン二次電池の作製方法〕
本実施形態におけるリチウムイオン二次電池の作製方法としては、一般的な方法を用いればよく、特に限定されないが、例えば下記の方法を選択することができる。
まず、電池ケース(外装)に、正極、負極及びセパレータを用いて作製された積層体を収容することで電池構造体を作製する。そして、その中に、本実施形態の電解液を注入することで電池を作製することができる。
積層体は、例えば、まず、正極と負極とを、その間にセパレータを介在させた積層状態で巻回して巻回構造の積層体に成形したり、それらを折り曲げや複数層の積層等によって、交互に積層した複数の正極と負極との間にセパレータが介在する積層体に成形したりすることで作製できる。
本実施形態における電池の製造方法においては、電池内部を加圧したり、減圧したりする工程を含むこともできる。加圧や減圧の方法は特に限定されず、また、上記加熱と、減圧や加圧を同時に行っても別々に行ってもよい。これらの工程を経ることにより、電池構造体の電極及びセパレータへの電解液の含浸性が向上し得ることがある。
上述の各工程を経た後、必要に応じて、電池構造体に残りの部材を組み込んだり、電池ケース(外装)が完全に密閉(シール)されていない場合には密閉したりして、電池を得ることができる。なお、必要に応じて、上述の各工程を経た後に、電池の余剰部を除去する等形状を整えたり、電池の再締め付けや再シールを行ったりしてもよい。
本実施形態における電池の形状は、特に限定されず、例えば、円筒形、楕円形、角筒型、ボタン形、コイン形、扁平形及びラミネート形が好ましい。その中でも、コイン型、円筒型、角筒型、扁平型及びラミネート型がより好ましく、コイン型及びラミネート型がさらに好ましい。このような形状の電池は、電解液と電池構造体との親和性をより高めることができ、本実施形態における電解液が有する様々な性能を一層高く発現し、また、電池の製造も比較的容易である。また、電池の大きさについても特に限定されず、複数個の電池を重ねたり並べたりする構造も、多数種の電池を併用することも可能である。また、ラミネート型の電池の中でも、軽量性、耐久性、取扱い性及びコスト等の観点から、電池ケース(外装)が、アルミニウムラミネート材のようにアルミニウムフィルムと樹脂とを積層して構成されるものであることがさらに好ましい。
本実施形態のリチウムイオン二次電池は、初回充電により電池として機能し得るが、初回充電の際に含フッ素カーボネートを含む電解液の一部が分解することにより安定化する。本実施形態における初回充電の方法について特に制限はないが、初回充電は0.001〜0.3Cで行われることが好ましく、0.002〜0.25Cで行われることがより好ましく、0.003〜0.2Cで行われることがさらに好ましい。また、初回充電が定電圧充電を途中に経由して行われることも好ましい結果を与える。なお、定格容量を1時間で放電する定電流が1Cである。リチウム塩が電気化学的な反応に関与する電圧範囲を長く設定することによって、SEIが電極表面に形成され、正極を含めた内部抵抗の増加を抑制する効果がある。また、反応生成物が負極のみに強固に固定化されることなく、何らかの形で正極やセパレータ等、負極以外の部材にも良好な効果を与えるため、電解液に溶解したリチウム塩の電気化学的な反応を考慮して初回充電を行うことは非常に有効である。
本実施形態の非水二次電池は、直列あるいは並列につないで使用することもできる。なお、電池パックの充放電状態を管理する観点から、使用電圧範囲は2〜5Vであることが好ましく、2.5〜4.9Vであることがより好ましい。
以下、実施例等によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、非水二次電池の各種特性は下記のようにして測定、評価した。
(1)非水電解液の調製
非水電解液を構成する成分を所定量準備し、アルゴン雰囲気下で撹拌することで電解液を得た。組成を表1に示す。
(2)リチウムイオン二次電池の作製
(正極の作製)
下記正極活物質と、下記導電助剤と、PVdFとを、混合酸化物:グラファイト炭素粉末:アセチレンブラック粉末:PVdF=100:4.2:1.8:4.6の質量比で混合した。得られた混合物にN−メチル−2−ピロリドンを固形分68質量%となるように投入してさらに混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ20μmのアルミニウム箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のものを直径16mmの円盤状に打ち抜いて正極を得た。
(正極原料)
正極活物質:
数平均粒子径11μmのリチウム、ニッケル、マンガン及びコバルト混合酸化物
導電助剤:
数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末
数平均粒子径48nmのアセチレンブラック粉末
PVdF
(負極の作製)
下記負極活物質と、下記バインダーとを、グラファイト炭素粉末(I):グラファイト炭素粉末(II):カルボキシメチルセルロース溶液:ジエン系ゴム=90:10:1.44:1.76の固形分質量比で全体の固形分濃度が45質量%になるように混合して、スラリー状の溶液を調製した。このスラリー状の溶液を厚さ10μmの銅箔の片面に塗布し、溶剤を乾燥除去した後、ロールプレスで圧延した。圧延後のもの直径16mmの円盤状に打ち抜いて負極をそれぞれ得た。
(負極原料)
負極活物質:
数平均粒子径12.7μmのグラファイト炭素粉末(I)
数平均粒子径6.5μmのグラファイト炭素粉末(II)
バインダー:
カルボキシメチルセルロース溶液(固形分濃度1.83質量%)
ジエン系ゴム(ガラス転移温度:−5℃、乾燥時の数平均粒子径:120nm、分散媒:水、固形分濃度40質量%)
(リチウムイオン二次電池の製造)
上述のようにして作製した正極と負極とをポリエチレンからなるセパレータ(膜厚25μm、空孔率50%、孔径0.1μm〜1μm)の両側に重ね合わせた積層体を、SUS製の円盤型電池ケースに挿入した。次いで、その電池ケース内に電解液を0.4mL注入し、積層体を電解液に浸漬した後、電池ケースを密閉してリチウムイオン二次電池(小型電池)を作製した。測定用のリチウムイオン二次電池は、1C=6.0mAとなるように作製した。作製した電池は0.2Cで充電し、0.3C放電することで初期コンディショニングを行って完成させた。
(3)評価
上述のようにして得られた電解液を用いて以下の電池評価を行った。これらの評価は、アスカ電子(株)製充放電装置ACD−01(商品名)及び二葉科学社製恒温槽PLM−63S(商品名)を用いて行った。
(3)−1 放電容量測定
6.0mAの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で充電し、合計8時間充電を行った。その後、定電流で3.0Vまで放電したときの放電容量を求めた。放電電流は6mA条件で行った。なお、この測定は25℃の環境下で行った。
(3)−2 高温サイクル試験
6.0mAの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で充電し、合計8時間充電を行った。その後、6.0mAの定電流で3.0Vまで放電し、ここまでを1サイクルの充放電サイクルとした。この充放電サイクルを50℃で100サイクル実施し、2サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の値を放電容量維持率(A)として算出した。
(3)−3 高電圧サイクル試験
6.0mAの定電流で充電し、4.5Vに到達した後、4.5Vの定電圧で充電し、合計8時間充電を行った。その後、6.0mAの定電流で3.0Vまで放電し、ここまでを1サイクルの充放電サイクルとした。この充放電サイクルを50℃で50サイクル実施し、2サイクル目に対する100サイクル目の放電容量の値を放電容量維持率(B)として算出した。
(3)−4 高温保存試験
2.0mAの定電流で充電し、4.2Vに到達した後、4.2Vの定電圧で充電し、合計8時間充電を行った。その後、3.0mAの定電流で3.0Vまでの放電を行った。続いて6.0mAの定電流で充電し、4.2Vの定電圧に達した後、4.2Vの定電圧で合計8時間充電を行い、充電が終了した後に充電状態の電池を50℃で20日間保管した。保管後のリチウムイオン二次電池について、25℃において6.0mAの定電流で3.0Vまでの放電を行った。このときの放電容量を残存容量として求めた。その後、再度6.0mAの定電流で4.2Vまで充電し、4.2Vに達した後に4.2Vの定電圧で合計8時間充電を行い、6.0mAの定電流で3.0Vまでの放電を行った。このときの放電容量を回復容量として求めた。
表1に電池評価の結果を示す。実施例1〜9に示すように、本発明の電解液を用いた電池ではいずれの組成においても良好な電池特性が認められた。一方、比較例においては、フッ素を原子を有しない場合には高温サイクル試験において低い性能となり、カーボネート基を2以上持つ化合物を有しない場合には高温サイクル試験と高温保存試験において低い性能となった。また、カーボネート基を2以上持つ化合物が多い場合には全てにおいて低い性能となり、カーボネート基を2つ持つ化合物の導入量は適正にする必要があることが示された。
FEC:4−フルオロ―1,3−ジオキソラン―2−オン
t−DFEC:4,5−ジフルオロ―1,3−ジオキソラン―2−オン(トランス体)
c−DFEC:4,5−ジフルオロ―1,3−ジオキソラン―2−オン(シス体)
FDMC、DFDMC(1)〜(2)、TFDMC:
含フッ素エーテル:ダイキン工業製 商品名T−1216
カーボネート(a)〜(c):
以上のように、本発明の非水電解質であれば、より良好で安定したSEIが形成されることで、高温耐久性と耐電圧性能とを共に有する非水二次電池を実現できることが示された。
本発明の非水電解液は、電気化学デバイス用の電解液、特に、リチウムイオン二次電池用の電解液として産業上の利用可能性を有する。

Claims (9)

  1. フッ素原子を有するカーボネート化合物と、
    該フッ素原子を有するカーボネート化合物100質量部に対して0.0001質量部以上10質量部以下の、カーボネート基を2以上有する化合物と、
    リチウム塩と、
    を含む、非水電気化学デバイス用電解液。
  2. 前記フッ素原子を有するカーボネート化合物が、フッ素原子を有する環状カーボネート化合物を含む、請求項1に記載の非水電気化学デバイス用電解液。
  3. 前記カーボネート基を2以上有する化合物が、環状カーボネート基を有する、請求項1又は2に記載の非水電気化学デバイス用電解液。
  4. 2cP以下の粘度を有する非プロトン性溶媒をさらに含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電気化学デバイス用電解液。
  5. 前記非プロトン性溶媒が、フッ素原子を有する溶媒を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電気化学デバイス用電解液。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電気化学デバイス用電解液を含む、リチウムイオン二次電池用電解液。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の非水電気化学デバイス用電解液又は請求項6に記載のリチウムイオン二次電池用電解液と、正極と、負極と、を備え、
    前記正極は、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料な、1種以上の正極活物質を含有し、
    前記負極は、リチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料及び金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の負極活物質を含有する、
    リチウムイオン二次電池。
  8. 前記正極活物質は、リチウム含有化合物を含む、請求項7に記載のリチウムイオン二次電池。
  9. 前記負極活物質は、金属リチウム、炭素材料、珪素材料、及び、リチウムと合金形成が可能な元素を含む材料からなる群より選ばれる1種以上の材料を含む、請求項7又は8に記載のリチウムイオン二次電池。
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