JP6061878B2 - コーティング組成物の製造方法、及びコーティング膜の回復方法 - Google Patents

コーティング組成物の製造方法、及びコーティング膜の回復方法 Download PDF

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Description

本発明は、コーティング組成物及びその製造方法、コーティング物品、並びにコーティング膜の回復方法に関する。詳細には、本発明は、撥水性に優れたコーティング膜を形成するだけでなく、使用によってコーティング膜の撥水性が低下した場合であっても、加熱するだけで撥水性を容易に回復させることができるコーティング膜を形成することが可能なコーティング組成物及びその製造方法、並びに当該特性を有するコーティング膜を有するコーティング物品及びコーティング膜の回復方法に関する。
空調設備、送電設備、通信設備などの各種設備に用いられる部材は、ガラス、金属、セラミックなどの様々な材料を用いて製造されているが、部材の表面に水、氷、霜、雪などが付着することによって設備の性能が低下することがある。そのため、これらの設備の性能低下を抑制する方法として、部材の表面に撥水性を付与することにより、水、氷、霜、雪などの付着を防止する方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、疎水性溶媒を65質量%以上含有する有機溶媒中に平均一次粒子径が100nm以下の疎水性微粒子を分散させたコーティング組成物を用いてコーティング膜を形成する方法が提案されている。また、特許文献2には、平均粒子径が1〜1000μmの炭素質微粒子、バインダー樹脂組成物及び揮発性溶媒を含有する下地膜形成用組成物を用いて基材上に下地膜を形成した後、平均一次粒子径が5〜500nmの疎水性微粒子、バインダー樹脂組成物及び揮発性溶媒を含有する仕上げ膜用組成物を用いて下地膜上に撥水性仕上げ膜を形成することで2層構造のコーティング膜を形成する方法が提案されている。引用文献1及び2のコーティング膜は、疎水性微粒子の存在に起因して表面に形成された微細な凹凸構造により、撥水性が高められている。
特開2010−155727号公報 特開2013−123660号公報
しかしながら、特許文献1及び2のコーティング膜は、初期の撥水性は良好であるものの、使用に伴って表面の微細な凹凸構造が次第に平坦化する結果、撥水性が低下してしまうという問題がある。そして、初期の撥水性を回復させるためには、コーティング膜を一旦除去した後にコーティング膜を再度形成する必要があった。
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、コーティング膜の撥水性が低下した場合に、コーティング膜を再度形成することなく撥水性を容易に回復させることができるコーティング膜を形成することが可能なコーティング組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、使用に伴ってコーティング膜の撥水性が低下した場合に、コーティング膜を再度形成することなく撥水性を容易に回復させることができるコーティング物品、及びコーティング膜の回復方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の問題を解決すべく鋭意研究した結果、疎水性微粒子を含むコーティング組成物に熱膨張性マイクロカプセルを所定の方法及び割合にて配合することにより、加熱するだけでコーティング膜の撥水性を容易に回復させることができるコーティング組成物が得られることを見出した
すなわち、本発明は、溶剤に溶解したバインダー樹脂に高圧分散装置を用いて疎水性微粒子を分散させた後、熱膨張性マイクロカプセルを混合攪拌するコーティング組成物の製造方法であって、前記バインダー樹脂に対する前記疎水性微粒子の質量比が0.4以上であり、且つ前記バインダー樹脂に対する前記熱膨張性マイクロカプセルの質量比が0.05以上であることを特徴とするコーティング組成物の製造方法である。
また、本発明は、前記コーティング組成物の製造方法によってコーティング組成物を製造し、前記コーティング組成物を基材に塗布して乾燥させることによってコーティング膜を形成し、前記コーティング膜の撥水性が低下した場合に、前記コーティング膜を加熱することによって撥水性を回復させることを特徴とするコーティング膜の回復方法である。
本発明によれば、コーティング膜の撥水性が低下した場合に、コーティング膜を再度形成することなく撥水性を容易に回復させることができるコーティング膜を形成することが可能なコーティング組成物及びその製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、使用に伴ってコーティング膜の撥水性が低下した場合に、コーティング膜を再度形成することなく撥水性を容易に回復させることができるコーティング物品、及びコーティング膜の回復方法を提供することができる。
本発明のコーティング組成物を用いて形成されたコーティング膜を有するコーティング物品の拡大断面図である。 熱膨張性マイクロカプセルと、当該熱膨張性マイクロカプセルよりも熱膨張開始温度が低い別の熱膨張性マイクロカプセルとを含む本発明のコーティング組成物を用いて形成されたコーティング膜を有するコーティング物品の拡大断面図である。
実施の形態1.
以下、本発明のコーティング組成物及びその製造方法、コーティング物品、並びにコーティング膜の回復方法について図面を用いて説明する。
図1は、本発明のコーティング組成物を用いて形成されたコーティング膜を有するコーティング物品の拡大断面図である。図1において、(a)はコーティング膜が形成された直後のコーティング物品、(b)は(a)のコーティング物品を一定期間使用した後のコーティング物品、(c)は(b)のコーティング物品についてコーティング膜の回復方法を行った後のコーティング物品の拡大断面図である。
図1に示すように、コーティング物品は、基材1と、基材1上に形成されたコーティング膜2とを有する。コーティング膜2は、コーティング組成物を基材1に塗布して乾燥させることによって形成される。このようにして形成されるコーティング膜2は、図1(a)に示されるように、微細な凹凸構造を表面に有しており、この凹凸構造によってコーティング膜2の撥水性が高められている。
コーティング膜2を与えるコーティング組成物は、疎水性微粒子3、熱膨張性マイクロカプセル4、バインダー樹脂5及び溶剤を含む。本発明において好ましいコーティング組成物は、疎水性微粒子3、熱膨張性マイクロカプセル4、バインダー樹脂5及び溶剤から本質的になる。ここで、本明細書において「本質的になる」とは疎水性微粒子3、熱膨張性マイクロカプセル4、バインダー樹脂5及び溶剤を必須成分として含み、本発明の効果を阻害しない範囲において必須成分以外の任意成分を含むことができることを意味する。また、本発明のコーティング組成物において、疎水性微粒子3及び熱膨張性マイクロカプセル4は、溶剤に溶解したバインダー樹脂5に分散している。
疎水性微粒子3は、コーティング組成物から形成されるコーティング膜2の表面に微細な凹凸構造を形成する成分である。
疎水性微粒子3としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。疎水性微粒子3の例としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキルフェノール樹脂、ロジンエステル樹脂などの疎水性樹脂から形成される微粒子が挙げられる。
また、疎水性微粒子3として、各種微粒子の表面を疎水化処理したものも用いることができる。微粒子の表面を疎水化処理する方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。例えば、微粒子の表面に、フッ素、アルキル基などの疎水性基を導入することによって微粒子の表面を疎水化することができる。具体的には、シリル化剤、シランカップリング剤、アルキルアルミニウムなどの有機金属化合物を用いて微粒子の表面処理を行えばよい。
本発明において好ましい疎水性微粒子3としては、表面を疎水化処理したシリカ微粒子である。ここで、本明細書において「シリカ」とは、二酸化ケイ素(SiO)を一般に意味するが、SiO以外のケイ素酸化物を含んでいてもよい。疎水性微粒子3として、表面を疎水化処理したシリカ微粒子を用いることにより、コーティング膜2の撥水性が向上する傾向にある。
なお、疎水性微粒子3は、単一の種類だけでなく、2種以上の種類を組み合わせて用いることができる。
また、上記のような特徴を有する疎水性粒子3は、市販品としても入手可能であり、例えば、商品名「アエロジル200」(日本アエロジル株式会社製)、商品名「アエロジル300」(日本アエロジル株式会社製)、商品名「アエロジル380」(日本アエロジル株式会社製)、商品名「アエロジル90G」(日本アエロジル株式会社製)、商品名「アエロジルOX50」(日本アエロジル株式会社製)、商品名「アエロジルR972」(日本アエロジル株式会社製)、商品名「アエロジル972V」(日本アエロジル株式会社製)、商品名「アエロジルR972CF」(日本アエロジル株式会社製)、商品名「アエロジルR974」(日本アエロジル株式会社製)、商品名「アエロジルR812」(日本アエロジル株式会社製)、商品名「アエロジルR805」(日本アエロジル株式会社製)、商品名「アエロジルRX200」(日本アエロジル株式会社製)、商品名「アエロジルRX300」(日本アエロジル株式会社製)、商品名「アエロジルRY200」(日本アエロジル株式会社製)、商品名「WACKER HDK H15」(旭化成ワッカーシリコーン社製)、商品名「WACKER HDK H15」(旭化成ワッカーシリコーン社製)、商品名「WACKER HDK H18」(旭化成ワッカーシリコーン社製)、商品名「WACKER HDK H20」(旭化成ワッカーシリコーン社製)、商品名「WACKER HDK H30」(旭化成ワッカーシリコーン社製)、商品名「レオロシールHM20S」(株式会社トクヤマ製)、商品名「レオロシールHM30S」(株式会社トクヤマ製)、商品名「レオロシールHM40S」(株式会社トクヤマ製)、商品名「レオロシールZD30S」(株式会社トクヤマ製)、商品名「レオロシールDM30S」(株式会社トクヤマ製)などを用いてもよい。
疎水性微粒子3の平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは100nm以下、より好ましくは5nm以上100nm以下、最も好ましくは10nm以上50nm以下である。ここで、本明細書において「疎水性微粒子3」とは、疎水性微粒子3の一次粒子又は二次粒子を意味し、また「疎水性微粒子3の平均粒子径」とは、動的光散乱法により測定された疎水性微粒子3の粒子径の平均値を意味する。具体的には、「疎水性微粒子3の平均粒子径」とは、動的光散乱法により測定された疎水性微粒子3の累積50%の粒子径(D50)のことを意味する。疎水性微粒子3の平均粒子径が100nmを超えると、コーティング膜2の表面の凹凸構造が大きくなりすぎてしまい、液体の接触面積が低下しない結果、所望の撥水性が得られないことがある。また、コーティング膜2の表面の凹凸構造が大きいと、外部からの物理的な刺激(例えば、異物の衝突、摩擦など)によってコーティング膜2の表面形状が変化し易くなり、撥水性が損なわれ易くなることがある。また、疎水性微粒子3の平均粒子径が5nm未満であると、疎水性微粒子3が凝集し易くなるため、コーティング組成物の流動性が低下し、基材1に対するコーティング組成物の均一な塗布が難しくなることがある。
熱膨張性マイクロカプセル4も同様に、コーティング組成物から形成されるコーティング膜2の表面に微細な凹凸構造を形成する成分である。また、熱膨張性マイクロカプセル4は、コーティング膜2の撥水性が低下した場合に、コーティング膜2を加熱して熱膨張性マイクロカプセル4を膨張させることにより、コーティング膜2の表面の微細な凹凸構造を再生してコーティング膜2の撥水性を回復させる成分でもある。
図1(b)に示されるように、コーティング膜2を有するコーティング物品は、その使用に伴い、コーティング膜2の表面の微細な凹凸構造が次第に少なくなる結果、コーティング膜2の撥水性が低下する。そこで、本発明では、コーティング膜2に熱膨張性マイクロカプセル4を予め導入しておき、コーティング膜2の表面の微細な凹凸構造が少なくなった場合に、コーティング膜2を加熱して熱膨張性マイクロカプセル4を膨張させることにより、図1(c)に示されるように、コーティング膜2の表面の微細な凹凸構造を再生してコーティング膜2の撥水性を回復させる。
熱膨張性マイクロカプセル4としては、加熱することで膨張するものであれば特に限定されない。熱膨張マイクロカプセル4の例としては、低沸点炭化水素をガスバリア性のある熱可塑性高分子殻でマイクロカプセル状に包み込んだ微小球体が挙げられる。ここで、低沸点炭化水素としては、特に限定されないが、炭素数1〜8の炭化水素、例えば、イソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘキサン、オクタン、イソオクタンなどを用いることができる。また、殻として使用される熱可塑性高分子としては、特に限定されないが、塩化ビニリデン系共重合体、アクリロニトリル系共重合体、塩化ビニリンデン−アクリロニトリル共重合体などを用いることができる。
熱膨張性マイクロカプセル4は、加熱することによって熱可塑性高分子殻が軟化するとともに、殻内のガス圧が増すことで体積が数倍に急激に膨張する。本発明では、この膨張力を利用することにより、コーティング膜2の表面の微細な凹凸構造を再生する。
加熱による熱膨張性マイクロカプセル4の体積膨張率としては、特に限定されないが、加熱前の熱膨張性マイクロカプセル4の体積を基準として、好ましくは1.1倍以上10.0倍以下、より好ましくは1.5倍以上9.0倍以下である。熱膨張性マイクロカプセル4の体積膨張率が1.1倍未満であると、微細な凹凸構造が表面に十分に形成されない結果、コーティング膜2の撥水性を十分に回復させることができないことがある。一方、熱膨張性マイクロカプセル4の体積膨張率が10.0倍を超えると、コーティング膜2の表面の凹凸構造が大きくなりすぎてしまい、液体の接触面積が低下しない結果、所望の撥水性が得られないことがある。
熱膨張性マイクロカプセル4は、乳化重合によって一般に合成することができる。例えば、分散剤が入った水中に、熱可塑性高分子殻を形成するポリマーの単量体、重合開始剤、及び発泡剤(低沸点炭化水素)を投入し、高速で攪拌して乳化させる。その後、重合反応によって得た水分散微粒子を乾燥することによって、熱膨張性マイクロカプセル4を得ることができる。
熱膨張性マイクロカプセル4の平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは5μm以上50μm以下、より好ましくは5μm以上30μm以下である。ここで、本明細書において「熱膨張性マイクロカプセル4の平均粒子径」とは動的光散乱法により測定された熱膨張性マイクロカプセル4の粒子径の平均値を意味する。具体的には、「熱膨張性マイクロカプセル4の平均粒子径」とは、動的光散乱法により測定された熱膨張性マイクロカプセル4の累積50%の粒子径(D50)のことを意味する。この範囲の平均粒子径を有する熱膨張性マイクロカプセル4を用いることにより、コーティング膜2の表面に微細な凹凸構造を安定して形成することができる。熱膨張性マイクロカプセル4の平均粒子径が5μm未満であると、熱膨張後に熱可塑性高分子殻の強度が脆くなったり、微細な凹凸構造が十分に形成されない結果、コーティング膜2の撥水性を十分に回復させることができないことがある。一方、熱膨張性マイクロカプセル4の平均粒子径が50μmを超えると、コーティング膜2の表面の凹凸構造が大きくなりすぎてしまい、液体の接触面積が低下しない結果、所望の撥水性が得られないことがある。
熱膨張性マイクロカプセル4の熱膨張開始温度は、熱可塑性高分子殻の種類、厚さ、内包される低沸点炭化水素の種類などによって変化するが、本発明では、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃〜140℃である。熱膨張性マイクロカプセル4の熱膨張開始温度が60℃未満であると、通常の外気温であっても、直射日光などの影響によって局所的に温度が上昇し、意図しない熱膨張が発生することがあるため好ましくない。
上記のような特徴を有する熱膨張性マイクロカプセル4は、市販品としても入手可能であり、例えば、商品名「ADVANCELL EML101」(積水化学株式会社製)、商品名「ADVANCELL EML302」(積水化学株式会社製)、商品名「マツモトマイクロスフェアー F−30」(松本油脂製薬株式会社製)、商品名「マツモトマイクロスフェアー F−36」(松本油脂製薬株式会社製)、商品名「マツモトマイクロスフェアー F−48」(松本油脂製薬株式会社製)、商品名「マツモトマイクロスフェアー F−80GS」(松本油脂製薬株式会社製)などを用いることができる。
熱膨張性マイクロカプセル4としては、単一種類の熱膨張性マイクロカプセル4を用いることができるが、熱膨張開始温度が異なる2種以上の熱膨張性マイクロカプセル4を用いてもよい。2種類以上の熱膨張性マイクロカプセル4を組み合わせて用いることにより、加熱による微細な凹凸構造の再生を段階的に行うことができるため、複数回にわたってコーティング膜2の撥水性の回復を行うことができる。
図2は、熱膨張性マイクロカプセル4と、熱膨張性マイクロカプセル4よりも熱膨張開始温度が低い別の熱膨張性マイクロカプセル6とを含むコーティング組成物を用いて形成されたコーティング膜2を有するコーティング物品の拡大断面図である。図2において、(a)はコーティング膜2が形成された直後のコーティング物品、(b)は熱膨張性マイクロカプセル6の熱膨張開始温度でコーティング膜2の回復方法を行った後のコーティング物品、(C)は(b)のコーティング物品を一定期間使用した後のコーティング物品、(D)は熱膨張性マイクロカプセル4の熱膨張開始温度でコーティング膜2の回復方法を行った後のコーティング物品の拡大断面図である。
熱膨張開始温度の異なる2種類の熱膨張性マイクロカプセル4,6を含むコーティング組成物を用いて形成されるコーティング膜2は、図2(a)に示されるように、微細な凹凸構造を表面に有しており、この凹凸構造によってコーティング膜2の撥水性が高められている。
ところが、コーティング膜2を有するコーティング物品は、その使用に伴い、コーティング膜2の表面の微細な凹凸構造が次第に少なくなる結果、コーティング膜2の撥水性が次第に低下する。そこで、熱膨張性マイクロカプセル6の熱膨張開始温度でコーティング膜2の回復を行うことにより、図2(b)に示されるように、コーティング膜2の表面の微細な凹凸構造を再生してコーティング膜2の撥水性を回復させる。
撥水性が回復したコーティング膜2を有するコーティング物品は、その使用に伴い、図2(c)に示されるように、コーティング膜2の微細な凹凸構造が次第に少なくなる結果、コーティング膜2の撥水性が再度低下する。そこで、熱膨張性マイクロカプセル4の熱膨張開始温度でコーティング膜2の回復を行うことにより、図2(d)に示されるように、コーティング膜2の表面の微細な凹凸構造を再生してコーティング膜2の撥水性を回復させる。
バインダー樹脂5は、コーティング膜2のベースであり、疎水性微粒子3及び熱膨張性マイクロカプセル4を担持する成分である。
バインダー樹脂5としては、溶剤に溶解し且つ疎水性であれば特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。本発明において好ましいバインダー樹脂5は、熱膨張性マイクロカプセル4の熱膨張開始温度よりもガラス転移温度が低い熱可塑性の樹脂である。このような特性を有するバインダー樹脂5であれば、熱膨張性マイクロカプセル4の熱膨張開始温度でコーティング膜2の回復を行う場合、バインダー樹脂5が熱膨張性マイクロカプセル4の膨張を阻害することなく、バインダー樹脂5が容易に変形することが可能になる。一方、熱膨張性マイクロカプセル4の熱膨張開始温度よりもバインダー樹脂5のガラス転移温度が高いと、熱膨張性マイクロカプセル4の膨張が阻害されてしまうと共に、バインダー樹脂5にクラックが発生することがある。
バインダー樹脂5の例としては、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられるが、疎水性微粒子3及び熱膨張性マイクロカプセル4の分散性の観点からフッ素樹脂が好ましい。
フッ素樹脂としては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フルオロオレフィン共重合体などが挙げられる。フルオロオレフィン共重合体を与えるモノマー成分としては、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、各種置換基を有するビニルエステルなどが挙げられる。
また、バインダー樹脂5は、市販品としても入手可能であり、例えば、商品名「フルオネート(大日本インキ株式会社製)」、商品名「ゼッフル(ダイキン工業株式会社製)」、商品名「ルミフロン(旭硝子株式会社製)」、商品名「セフラルコート(セントラル硝子株式会社製)」などを用いることができる。
バインダー樹脂5を溶解する溶剤としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。溶剤は、一般に、極性又は非極性の有機溶剤である。溶剤の例としては、フッ素系溶剤;塩素系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤;脂肪族炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤;メチルイソブチルケトン、アセトンなどのケトン系溶剤;エーテル系溶剤などが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明のコーティング組成物において、バインダー樹脂5に対する疎水性微粒子3の質量比(すなわち、疎水性微粒子3の質量/バインダー樹脂5の質量)は、0.4以上、好ましくは0.5以上4以下、より好ましくは1以上3以下である。当該質量比の範囲であれば、疎水性微粒子3の存在により、コーティング膜2の表面に微細な凹凸構造を十分に形成することができ、コーティング膜2の撥水性を向上させることができる。当該質量比が0.4未満であると、コーティング膜2の表面に微細な凹凸構造を十分に形成することができず、所望の撥水性を有するコーティング膜2を得ることができない。一方、当該質量比が4を超えると、バインダー樹脂5の量が少なすぎてしまい、所望の強度を有するコーティング膜2が得られず、コーティング膜2が基材1から剥離してしまうことがある。
本発明のコーティング組成物において、バインダー樹脂5に対する熱膨張性マイクロカプセル4の質量比は、0.05以上、好ましくは0.1以上1以下である。当該質量比の範囲であれば、熱膨張性マイクロカプセル4の存在により、コーティング膜2の表面に微細な凹凸構造を十分に形成することができ、コーティング膜2の撥水性を向上させることができる。当該質量比が0.05未満であると、コーティング膜2の表面に微細な凹凸構造を十分に形成することができず、所望の撥水性を有するコーティング膜2を得ることができない。一方、当該質量比が1を超えると、バインダー樹脂5の量が少なすぎてしまい、所望の強度を有するコーティング膜2が得られず、コーティング膜2が基材1から剥離してしまうことがある。
本発明のコーティング組成物は、疎水性微粒子3、熱膨張性マイクロカプセル4、バインダー樹脂5及び溶剤を必須成分として含有するが、本発明の効果を阻害しない範囲で、分散剤、レベリング剤、蒸発抑制剤、付着性改良剤などの公知の添加剤を添加してもよい。
本発明のコーティング組成物は、上記の成分を攪拌混合することによって製造することができる。ただし、本発明のコーティング組成物は、各成分を均一に分散させる必要がある一方、強い剪断力をかけて分散させると熱膨張性マイクロカプセル4が破壊されてしまい、本発明の効果が十分に得られない。そのため、熱膨張性マイクロカプセル4の破壊を防止する観点から、溶剤に溶解したバインダー樹脂5に高圧分散装置を用いて疎水性微粒子3を分散させた後、熱膨張性マイクロカプセル4を混合攪拌する必要がある。
溶剤に溶解したバインダー樹脂5に高圧分散装置を用いて疎水性微粒子3を予め分散させることにより、コーティング組成物中に疎水性微粒子3を均一に分散させることができるため、均質なコーティング膜2を形成することが可能になる。
高圧分散装置としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。その中でも、キャビテーション効果を利用した高圧分散装置であることが好ましい。ここで、本明細書において「キャビテーション効果を利用した高圧分散装置」とは、粒子が分散した液体を高圧、高速で細管内を通過させた際のキャビテーション及び剪断力により粒子を微細化及び/又は高分散化する装置のことを意味する。また、「キャビテーション効果」とは、高速で流れる液体中で局所的に圧力の低い部分が気化し、短時間で気泡が生まれ、また短時間で気泡が潰れて消滅する現象のことを意味する。このような高圧分散装置は、市販品としても入手可能であり、例えば、高圧湿式メディアレス微粒化装置(ナノマイザー株式会社)、湿式キャビテーションミル微粒化・ナノ分散装置(アドバンスト・ナノ・テクノロジィ株式会社)などを用いることができる。
溶剤に溶解したバインダー樹脂5に高圧分散装置を用いて疎水性微粒子3を分散させる際の条件としては、特に限定されず、使用する高圧分散装置に応じて適宜設定すればよい。
なお、ホモジナイザーなどの一般的な分散装置を用いた場合、コーティング組成物中の疎水性微粒子3の分散が十分ではなく、均質なコーティング膜2を得ることが難しい。
熱膨張性マイクロカプセル4は、上記のようにして得られた分散物に配合され、攪拌混合することによって、熱膨張性マイクロカプセル4の破壊を防止しつつ、均一な分散が可能になる。また、熱膨張性マイクロカプセル4は、それ自体を単独で配合してもよいが、溶剤に添加した状態で配合してもよい。
攪拌混合方法としては、強い剪断力を与えない方法であれば特に限定されない。攪拌混合方法の例としては、振盪器を用いた振盪攪拌などが挙げられる。
上記のようにして製造されるコーティング組成物は、基材1に塗布して乾燥させることによってコーティング膜2を形成することができる。
コーティング膜2を形成することができる基材1としては、特に限定されず、用途に応じて各種材質のものを用いることができる。基材1の例としては、アルミニウム基板、ステンレス基板などの金属基板、ガラス基板、及びプラスチック基板などが挙げられる。また、これらは、単独の基材又は2種以上の複合基材であってよい。
コーティング組成物から形成されるコーティング膜2は、疎水性微粒子3及び熱膨張性マイクロカプセル4の存在により、微細な凹凸構造を表面に有する。この微細な凹凸構造は、コーティング膜2の撥水性を高め、水の接触角が150°以上の超撥水性を与えることができる。
コーティング膜2が形成されたコーティング物品は、その使用に伴って表面の微細な凹凸構造が減少し、コーティング膜2の撥水性が低下する。しかしながら、コーティング膜2の撥水性が低下した場合に、コーティング膜2を加熱することによって熱膨張性マイクロカプセル4を膨張させることにより、コーティング膜2の表面に微細な凹凸構造を再形成し、コーティング膜2の撥水性を回復させることができる。
コーティング膜2の撥水性を回復させる場合、コーティング膜2の加熱温度としては、熱膨張性マイクロカプセル4の熱膨張開始温度以上であれば特に限定されない。コーティング膜2の加熱温度は、一般に60℃以上、好ましくは70℃〜140℃である。
加熱方法としては、特に限定されず、当該技術分野において公知の方法を用いることができる。加熱方法の例としては、ヒーターなどが挙げられる。
上記の方法によれば、従来のようにコーティング膜2を除去した後にコーティング膜2を再形成する必要がなく、コーティング膜2の撥水性を容易に回復させることができる。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲で種々の応用が可能である。
実施例及び比較例における下記の特性評価は、次の手順に従った。
(1)コーティング膜の初期の撥水性評価
協和界面科学製のDM301型接触角計を用い、大気中(約25℃)で2μLの水滴をコーティング膜に滴下して、水滴の静的接触角を測定した。撥水性の評価は、下記評価基準に基づいて行った。
○:水の接触角が150°以上
×:水の接触角が150°未満
(2)コーティング膜の回復後の撥水性評価
コーティング膜を摩耗試験(荷重80g、10往復)によって劣化処理した後、熱膨張性マイクロカプセルの熱膨張開始温度で5分間ヒーターを用いて加熱して回復処理を行った。次に、協和界面科学製のDM301型接触角計を用い、大気中(約25℃)で2μLの水滴を回復処理後のコーティング膜に滴下して、水滴の静的接触角を測定した。撥水性の評価は、下記評価基準に基づいて行った。
○:水の接触角が150°以上
×:水の接触角が150°未満
(実施例1)
一次粒子の平均粒子径が約12nmの疎水性シリカ(疎水性微粒子、商品名「アエロジルRX200」、日本アエロジル株式会社製)3.0質量部を、酢酸ブチル(溶剤)92.5質量部に溶解したバインダー樹脂(商品名「ルミフロンLF―200」、ガラス転移温度35℃、旭硝子株式会社製)3.0質量部に添加し、湿式微粒化装置(ナノヴェイタC―ES、吉田機械興業株式会社製)を用いて混合及び分散処理を行った後、平均粒子径が10μmの熱膨張性マイクロカプセルA(商品名「マツモトマイクロスフェアー F−36」、熱膨張開始温度70℃、体積膨張率9倍、松本油脂製薬株式会社製)1.5質量部をさらに添加し、振盪撹拌してコーティング組成物を得た。次に、得られたコーティング組成物を基材(スライドグラス)上に塗布及び乾燥してコーティング膜を形成した。
(実施例2)
熱膨張性マイクロカプセルとして、熱膨張性マイクロカプセルA0.75質量部及び平均粒子径が10μmの熱膨張性マイクロカプセルB(商品名「マツモトマイクロスフェアー FN−100S」、熱膨張開始温度125℃、体積膨張率5倍、松本油脂製薬株式会社製)0.75質量部を用いたこと以外は実施例1と同様にしてコーティング組成物を得た。次に、得られたコーティング組成物を基材(スライドグラス)上に塗布及び乾燥してコーティング膜を形成した。
(実施例3)
熱膨張性マイクロカプセルとして、熱膨張性マイクロカプセルA0.5質量部、熱膨張性マイクロカプセルB0.5質量部及び平均粒子径が30μmの熱膨張性マイクロカプセルC(商品名「ADVANCELL EHM401」、熱膨張開始温度140℃、体積膨張率5倍、積水化学株式会社製)0.5質量部を用いたこと以外は実施例1と同様にしてコーティング組成物を得た。次に、得られたコーティング組成物を基材(スライドグラス)上に塗布及び乾燥してコーティング膜を形成した。
(実施例4)
一次粒子の平均粒子径が約12nmの疎水性シリカ(疎水性微粒子、商品名「アエロジルRX200」、日本アエロジル株式会社製)の配合量を1.5質量部、及び酢酸ブチル(溶剤)の配合量を94質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にしてコーティング組成物を得た。次に、得られたコーティング組成物を基材(スライドグラス)上に塗布及び乾燥してコーティング膜を形成した。
(実施例5)
一次粒子の平均粒子径が約12nmの疎水性シリカ(疎水性微粒子、商品名「アエロジルRX200」、日本アエロジル株式会社製)の配合量を12質量部、及び酢酸ブチル(溶剤)の配合量を83.5質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にしてコーティング組成物を得た。次に、得られたコーティング組成物を基材(スライドグラス)上に塗布及び乾燥してコーティング膜を形成した。
(実施例6)
酢酸ブチル(溶剤)の配合量を93.7質量部、及び熱膨張性マイクロカプセルAの配合量を0.3質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にしてコーティング組成物を得た。次に、得られたコーティング組成物を基材(スライドグラス)上に塗布及び乾燥してコーティング膜を形成した。
(実施例7)
酢酸ブチル(溶剤)の配合量を91質量部、及び熱膨張性マイクロカプセルAの配合量を3質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にしてコーティング組成物を得た。次に、得られたコーティング組成物を基材(スライドグラス)上に塗布及び乾燥してコーティング膜を形成した。
(比較例1)
比較例1では、熱膨張性マイクロカプセルを含有しないコーティング組成物を調製した。すなわち、一次粒子の平均粒子径が約12nmの疎水性シリカ(疎水性微粒子、商品名「アエロジルRX200」、日本アエロジル株式会社製)3.0質量部を、酢酸ブチル(溶剤)94質量部に溶解したバインダー樹脂(商品名「ルミフロンLF―200」、ガラス転移温度35℃、旭硝子株式会社製)3.0質量部に添加し、湿式微粒化装置(ナノヴェイタC―ES、吉田機械興業株式会社製)を用いて混合及び分散処理を行うことによってコーティング組成物を得た。次に、得られたコーティング組成物を基材(スライドグラス)上に塗布及び乾燥してコーティング膜を形成した。
(比較例2)
比較例2では、湿式微粒化装置を使用せずにコーティング組成物を調製した。すなわち、湿式微粒化装置の代わりに振盪器を用いて振盪攪拌を行ったこと以外は実施例1と同様にしてコーティング組成物を得た。次に、得られたコーティング組成物を基材(スライドグラス)上に塗布及び乾燥してコーティング膜を形成した。
(比較例3)
比較例3では、全ての成分を混合した後、湿式微粒化装置を用いて分散処理を行うことでコーティング組成物を調製した。すなわち、一次粒子の平均粒子径が約12nmの疎水性シリカ(疎水性微粒子、商品名「アエロジルRX200」、日本アエロジル株式会社製)3.0質量部、及び熱膨張性マイクロカプセルA1.5質量部を、酢酸ブチル(溶剤)92.5質量部に溶解したバインダー樹脂(商品名「ルミフロンLF―200」、ガラス転移温度35℃、旭硝子株式会社製)3.0質量部に添加し、湿式微粒化装置(ナノヴェイタC―ES、吉田機械興業株式会社製)を用いて混合及び分散処理を行うことでコーティング組成物を得た。次に、得られたコーティング組成物を基材(スライドグラス)上に塗布及び乾燥してコーティング膜を形成した。
(比較例4)
比較例4では、全ての成分を混合した後、振盪器を用いて分散処理を行うことでコーティング組成物を調製した。すなわち、湿式微粒化装置の代わりに振盪器を用いたこと以外は比較例3と同様にしてコーティング組成物を得た。次に、得られたコーティング組成物を基材(スライドグラス)上に塗布及び乾燥してコーティング膜を形成した。
(比較例5)
比較例5では、バインダー樹脂に対する疎水性微粒子(疎水性シリカ)の質量比が0.4未満であるコーティング組成物を調製した。すなわち、一次粒子の平均粒子径が約12nmの疎水性シリカ(疎水性微粒子、商品名「アエロジルRX200」、日本アエロジル株式会社製)の配合量を1.0質量部、及び酢酸ブチル(溶剤)の配合量を94.5質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にしてコーティング組成物を得た。次に、得られたコーティング組成物を基材(スライドグラス)上に塗布及び乾燥してコーティング膜を形成した。
(比較例6)
比較例6では、バインダー樹脂に対する熱膨張性マイクロカプセルの質量比が0.05未満であるコーティング組成物を調製した。すなわち、酢酸ブチル(溶剤)の配合量を93.9質量部、及び熱膨張性マイクロカプセルAの配合量を0.1質量部に変更したこと以外は実施例1と同様にしてコーティング組成物を得た。次に、得られたコーティング組成物を基材(スライドグラス)上に塗布及び乾燥してコーティング膜を形成した。
上記の実施例及び比較例について、上記(1)及び(2)の特性を評価した結果を表1に示す。
Figure 0006061878
表1の結果に示されているように、実施例1〜7のコーティング組成物を用いて形成されたコーティング膜は、初期だけでなく、摩耗試験後に回復処理を行った後においても水の接触角が150°以上の超撥水性を示した。
これに対して比較例1のコーティング組成物から形成されたコーティング膜は、初期に150°以上の超撥水性を示したものの、熱膨張性マイクロカプセルを含有していないため、摩耗試験後に撥水性が回復しなかった。比較例2及び4のコーティング組成物は、湿式微粒化装置を使用せずに調製したため、疎水性微粒子が十分に分散せず、所望の撥水性を示すコーティング膜を形成することができなかった。比較例3のコーティング組成物は、熱膨張性マイクロカプセルを配合してから湿式微粒化装置による分散処理を行ったため、その際に熱膨張性マイクロカプセルが破壊されてしまい、摩耗試験後に撥水性が回復しなかった。比較例5のコーティング組成物は、疎水性微粒子の割合が少なすぎたため、所望の撥水性を示すコーティング膜を形成することができなかった。比較例6のコーティング組成物は、初期に150°以上の超撥水性を示したものの、熱膨張性マイクロカプセルの割合が少なすぎたため、摩耗試験後に撥水性が回復しなかった。
以上の結果からわかるように、本発明によれば、コーティング膜の撥水性が低下した場合に、コーティング膜を再度形成することなく撥水性を容易に回復させることができるコーティング膜を形成することが可能なコーティング組成物及びその製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、使用に伴ってコーティング膜の撥水性が低下した場合に、コーティング膜を再度形成することなく撥水性を容易に回復させることができるコーティング物品、及びコーティング膜の回復方法を提供することができる。
1 基材、2 コーティング膜、3 疎水性微粒子、4 熱膨張性マイクロカプセル、5 バインダー樹脂、6 別の熱膨張性マイクロカプセル。

Claims (9)

  1. 溶剤に溶解したバインダー樹脂に高圧分散装置を用いて疎水性微粒子を分散させた後、熱膨張性マイクロカプセルを混合攪拌するコーティング組成物の製造方法であって、
    前記バインダー樹脂に対する前記疎水性微粒子の質量比が0.4以上であり、且つ前記バインダー樹脂に対する前記熱膨張性マイクロカプセルの質量比が0.05以上であることを特徴とするコーティング組成物の製造方法。
  2. 前記熱膨張性マイクロカプセルは、熱膨張開始温度が異なる2種以上の熱膨張性マイクロカプセルであることを特徴とする請求項1に記載のコーティング組成物の製造方法
  3. 前記バインダー樹脂に対する前記疎水性微粒子の質量比が0.5以上4以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のコーティング組成物の製造方法
  4. 前記バインダー樹脂に対する前記熱膨張性マイクロカプセルの質量比が0.1以上1以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のコーティング組成物の製造方法
  5. 前記膨張性マイクロカプセルは、5μm以上50μm以下の平均粒子径を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のコーティング組成物の製造方法
  6. 前記熱膨張性マイクロカプセルは、1.1倍以上10.0倍以下の体積膨張倍率を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のコーティング組成物の製造方法
  7. 前記疎水性微粒子は、5nm以上100nm以下の平均粒子径を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のコーティング組成物の製造方法
  8. 前記バインダー樹脂のガラス転移温度は、前記熱膨張性マイクロカプセルの熱膨張開始温度よりも低いことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のコーティング組成物の製造方法
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のコーティング組成物の製造方法によってコーティング組成物を製造し、前記コーティング組成物を基材に塗布して乾燥させることによってコーティング膜を形成し、前記コーティング膜の撥水性が低下した場合に、前記コーティング膜を加熱することによって撥水性を回復させることを特徴とするコーティング膜の回復方法。
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