JP6061408B2 - ナチュラトロンスパッタ装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ナチュラトロンスパッタ装置に関し、特に、情報通信関連分野における光導波路デバイスや、SAW(表面弾性波)フィルタ等への応用が期待される酸化物薄膜の作成に適したものである。
従来、スパッタ現象を利用して基板の表面に薄膜を形成するスパッタ装置としては、高周波式、マグネトロン式、対向ターゲット式、(ミラートロン)等、種々の方式のスパッタ装置が提案されている。その中でも、ミラートロンスパッタ装置は、薄膜形成速度が極めて速いことから、近年、極めて有効なスパッタ装置として注目されるに至った。
ミラートロンスパッタ装置として、一つのターゲットに対する総エロージョン量を増やして、該ターゲットの交換頻度を少なくすることを目的とする、特許文献1に記載のミラートロンスパッタ装置が知られている。特許文献1に記載のミラートロンスパッタ装置において、ターゲット間に形成される磁場空間は、磁束密度の高い周辺部と、磁束密度の低い中央部とを有する、カルデラ状の磁場分布となる。これにより、ターゲットは、略均一の深さを有する凹状にエロージョンされる。
日本国特許第3505459号公報
特許文献1におけるミラートロンスパッタ装置では、ターゲットの交換頻度が少なくなることで、成膜時間効率の向上および成膜処理にかかるコストの低減に成功している。さらには、磁場空間において周辺部の磁束密度が高いことで、プラズマは、磁場空間内に閉じ込められる。これにより、プラズマが基板を叩くことを防止して、成膜中の膜表面に多数のダングリンボンドが発生することを防止している。
また、反応性スパッタの場合、反応性ガスは、磁場空間内に進入し難い。これにより、反応性ガスがターゲットと反応することに起因する、ターゲット表面への酸化物、窒化物等の誘電膜の形成を防止して、異常アーク放電の発生を抑制している。
特許文献1のミラートロンスパッタ装置における利点をより生かすことを目的として、より汎用性に富むスパッタ装置の提供が求められている。すなわち、特許文献1のミラートロンスパッタ装置において形成される磁場空間の特徴を維持しつつ、ターゲット材料の種類等に応じて、より適した磁場空間を形成するミラートロンスパッタ装置の提供が求められている。
本発明は、斯かる事情に鑑み、様々なニーズに応じた、汎用性の高いナチュラトロンスパッタ装置を提供することを目的とする。
本発明に係るナチュラトロンスパッタ装置は、真空容器内に、間隔をおいて互いに対向配置された一対のターゲットと、前記一対のターゲットのそれぞれの背面側に配置され、前記一対のターゲット間に磁場空間を形成する一対の磁石とを有するスパッタ部を備え、前記一対のターゲット間の側方に、前記磁場空間に臨んで基板が配置されるナチュラトロンスパッタ装置において、前記一対の磁石は、前記一対のターゲットを介して異極が対向するように配置され、前記一対の磁石のそれぞれは、ターゲットの周縁に沿って、該ターゲットの背面と対向した筒形状の主磁石と、前記主磁石に包囲された補足磁石とを有し、 前記主磁石と前記補足磁石とは、前記ターゲットの背面側が同極となるように配置され、前記一対の磁石のうちの少なくともターゲットの背面側にN極を向けた一方の磁石は、補足磁石のN極からの磁力線を対向するターゲットに向けて走らせるべく、補足磁石のN極の端面が、主磁石のS極の端面よりもターゲット側に位置するように、主磁石と補足磁石とが、前記一対のターゲットの背面に対して接離する方向に相対移動可能に構成されていることを特徴とする。
また、本発明の一態様として、スパッタ部は、前記補足磁石を前記ターゲットの背面に対して進退可能に保持する補足磁石保持部を有していてもよい。
また、本発明の他態様として、前記主磁石は、角筒形状であってもよい。
また、本発明の別の態様として、前記主磁石は、長方形の角筒形状であり、前記補足磁石は、前記主磁石の長辺に対応する内周面と略平行に延びる一対の対向面を有する方形に形成され、且つ前記主磁石の内周面に囲まれた領域の中央部に配置されていてもよい。
以上の如く、本発明に係るナチュラトロンスパッタ装置によれば、様々なニーズに応じた、汎用性の高いナチュラトロンスパッタ装置を提供できる。
本発明の一実施形態に係るナチュラトロンスパッタ装置の概略構成図を示す。 同実施形態の磁石の配置態様を示し、(a)は、側面図、(b)は、(a)のP矢視図を示す。 参考例にかかる中間面での位置と磁束密度との関係の一例を示す。 参考例にかかる中間面での位置と磁束密度との関係の一例を示す。 参考例にかかる中間面での位置と磁束密度との関係の一例を示す。 同実施形態における中間面での位置と磁束密度との関係の一例を示す。 同実施形態における中間面での位置と磁束密度との関係の一例を示す。 同実施形態における中間面での位置と磁束密度との関係の一例を示す。
以下、本発明に係るナチュラトロンスパッタ装置の一実施形態について、図面を参酌しつつ説明する。図1は、本実施形態に係るナチュラトロンスパッタ装置の概略構成図を示す。
本実施形態に係るナチュラトロンスパッタ装置2は、真空容器1内に、スパッタ部100を備える。スパッタ部100は、一対のターゲットホルダ3a,3b、および間隔をおいて対向配置される一対の板状のターゲット9を有する。たとえば、一対の板状のターゲット9は、一対のターゲットホルダ3a,3bによって、互いが平行になるようにナチュラトロンスパッタ装置2に支持されている。
一対のターゲットホルダ3a,3bのそれぞれは、第一筒体4、第一フランジ5、第二フランジ6、第三フランジ7、および支持板8、補足磁石11、主磁石12、補足磁石保持部13、および蓋部17を含む。第一筒体4は、角筒状を有し、ナチュラトロンスパッタ装置2本体に固定される。第一フランジ5は、第一筒体4の一端側の開口部に固定される。第二フランジ6は、第一フランジ5に固定される。第三フランジ7は、第二フランジ6に固定される。支持板8は、第三フランジ7に固定され、方形状を有する。
また、第一筒体4の内側には、第二フランジ6および第三フランジ7の内面に一端が固定された第二筒体10が配置されている。第二筒体10は、第一筒体4と同心にして配置されている。第二筒体10の内面には、一対のターゲット9間に磁場空間Hを形成するための磁石が配置されている。磁石は、補足磁石11および主磁石12を有する。補足磁石11および主磁石12は、一対のターゲット9の背面側に位置するように配置されている。
なお、一対の主磁石12a,12bは、磁力線が一方のターゲットホルダ3aから他方のターゲットホルダ3bに向かって走る、対向する部分が対極をなすように配置される。すなわち、一方のターゲットホルダ3aの主磁石12aのN極は、他方のターゲットホルダ3bの主磁石12bを向くように配置される。他方のターゲットホルダ3bの主磁石12bのS極は、一方のターゲットホルダ3aの主磁石12aを向くように配置される。
主磁石12は、一対のターゲット9側に一方の開口部が向けられた筒形状を有する。補足磁石11は、主磁石12の筒形状の内部に配置される。補足磁石保持部13a,13bのそれぞれは、それぞれのターゲット9,9の背面側に、補足磁石11a,11bをそれぞれ保持する。補足磁石保持部13a,13bは、主磁石12a,12bにそれぞれ係止される。少なくとも一方の補足磁石保持部13は、主磁石12から一対のターゲット9への方向における、主磁石12に対する補足磁石11の位置を変更可能に、補足磁石11を保持する。
たとえば、補足磁石保持部13は、レール部30とレール部30を滑動する滑動部31とを有する。レール部30は、筒形状を有する主磁石12の内接面に係止される。レール部30は、筒形状である主磁石12の両開口面の方向に向かって伸びている。レール部30は、主磁石12の両開口面に対して垂直な方向に伸びているのが好ましい。
滑動部31は、レール部30を滑動可能にレール部30に係止される。また、滑動部31は、補足磁石11を係止する。滑動部31は、補足磁石11の両磁極を結ぶ線に対して垂直となる面のいずれかの位置で補足磁石11を係止する。
滑動部31は、一対のターゲット9方向にレール部30を滑動することで、補足磁石11を一対のターゲット9に近づける。滑動部31は、一対のターゲット9と逆方向にレール部30を滑動することで、補足磁石11を9から遠ざける。滑動部31が補足磁石11をターゲット9に近づけることで、補足磁石11間の磁束密度を高くすることができる。滑動部31が補足磁石11をターゲット9から遠ざけることで、補足磁石11間の磁束密度を低くすることができる。
主磁石12の両端(両磁極)のうち、相手のターゲットホルダ3と反対側の端部(磁極)には、ブロック状のヨーク14が接合されている。たとえば、ヨーク14は、ステンレス製(磁性体)であってよい。ヨーク14の存在により、主磁石12の両端のうち、相手のターゲットホルダ3側の端部から回帰する磁力線は、ヨーク14の両端のうち、主磁石12との接合端と反対側に位置する端部に戻されることになる。これにより、該回帰磁力線の直線化が図られる。なお、ヨーク14は、第二筒体10にネジ止め可能となっている。ヨーク14と主磁石12とは、それぞれの端面に塗布された接着剤により接合されている。
ターゲットホルダ3の一端部(相手のターゲットホルダ3側の端部)には、ターゲット9の表面を覆うようにシールドカバー16が外装される。シールドカバー16には、開口16aが形成されている。開口16aは、ターゲット9表面の所定領域のみを臨出するように、この所定領域に対応して形成されている。シールドカバー16は、たとえばSUS306の板状態で構成され、アース電位(0V)とされる。
一対のターゲットホルダ3の側方には、板状の隔壁18が配置されている。隔壁18には、一対のターゲット9間の空間領域に臨む開口18aが形成されている。本実施形態においては、開口18aは方形状に形成されている。方形状は、一対のターゲット9の縦方向(図1の紙面の上下方向)の長さに対応する縦辺(図1の紙面の上下方向)と、一対のターゲット間の距離に対応する横辺(図1の紙面の平行方向)とを有する。開口18aの配置は、一対のターゲット9間の空間領域の横断面(隔壁18と平行方向)と略一致する配置となる。
ガス供給パイプ19,19は、隔壁18の外側であって、端縁近傍位置に配置される。ガス供給パイプ19,19は、酸素ガスや窒素ガス等の反応性ガスを供給する。ガス供給パイプ20は、ガス供給パイプ19と反対側におけるターゲット9,9間の側方位置に配置される。ガス供給パイプ20は、ガス供給パイプ19とは別の経路にして、アルゴンガス等の不活性ガスを供給する。
基板22は、隔壁18の外側であって、一対のターゲット9間の側方位置に、一対のターゲット9間に臨んで配置される。ガス供給パイプ19は、ガス噴出し孔(図示しない)から基板22側に向けて、ガス供給パイプ19内の反応性ガスを吹き出す。なお、基板22は、フィルム等であってもよい。
ガス供給パイプ19は、反応性ガスの流量制御を可能とする。反応性ガスの流量制御が可能であることで、ガス供給パイプ19は、スパッタ粒子の化合物の組成をかえることができる。たとえば、一対のターゲット9の材質がシリコン(Si)である場合、酸化シリコン(SiOx)のXは、0から2まで変化させることができる。
本実施形態に係るナチュラトロンスパッタ装置2は、反応性ガスの活性度を高める施策として、ガス供給パイプ19および基板22に直流(DC)や高周波(RF)の電圧をそれぞれ印加できる。これにより、ナチュラトロンスパッタ装置2は、反応性ガスをイオン化させることができる。また、ナチュラトロンスパッタ装置2は、基板22の表面付近に光や粒子ビームを照射して、反応性ガスを励起状態にすることができる。また、ナチュラトロンスパッタ装置2は、基板22にバイアス電圧を印加して、反応性ガスをイオン化させる構成(図示しない)を採用することができる。
図2は、同実施形態の磁石の配置態様を示し、図2(a)は側面図、図2(b)は、(a)のP矢視図を示す。それぞれのターゲットホルダ3において、磁場発生手段は、5つの磁石を有する。5つの磁石は、4つの主磁石12A、12B、12C、12Dと、1つの補足磁石11とを含む。主磁石12A、12B、12C、12Dのそれぞれは、方形の各辺位置に配置される。これにより、主磁石12A、12B、12C、12Dは、ターゲット9側に一方の開口部が向けられた筒形状を有する。より具体的には、磁石が方形の各辺位置に配置される角筒形状を有する。対向する一対の主磁石12C、12Dは、他の一対の主磁石12A、Bよりも縦方向に長く形成されている。これにより、方形は、対向する一対の主磁石12C、12Dを対向する他方の一対の主磁石12A、12Bよりも長く形成することで長方形となる。すなわち、主磁石12A、12B、12C、12Dは、側面視長方形状となっている。
補足磁石11は、ターゲット9と主磁石12A、12B、12C、12Dとで囲まれた角筒状の内部に配置される。補足磁石11は、長辺側の対向する一対の主磁石12C、12Dと略平行に長い方形を有し、対向する一対の主磁石12A、12Bの中間位置に配置される。
磁場空間は、周辺部では磁束密度が高く、中央部では磁束密度が低い、カルデラ状の磁場分布を有する。主磁石12と補足磁石11は、カルデラ状の磁場分布を維持しつつ、協働して、周辺部での磁束密度に対する中央部での磁束密度を相対的に変化させる。
主磁石12a,12b間の中間面をQとする。主磁石12,・・・の中心軸線と中間面Qとが交わる点をAとする。主磁石12aと12bとを結ぶ線と中間面Qとが交わる点をBとする。中間面Q上の中心部付近、すなわちA点を含む周辺領域において、磁束密度は、最小となる。中間面Q上の端部付近、すなわちB点の近傍領域において、磁束密度は、最大となる。
図3から図8は、同実施形態における中間面での位置と磁束密度との関係の一例を示す。X軸は、中間面Q上における位置を示し、Y軸は、磁束密度の高さを示す。
参考例として、主磁石12と補足磁石11とが一対のターゲット9に向かう方向に異極を向けている場合について説明する。図3から図5は、主磁石12と補足磁石11とが一対のターゲット9に向かう方向に異極を向けている場合を示す。たとえば、主磁石12が一対のターゲット9に向かう方向にN極を向けている場合、図3から図5は、補足磁石11が一対のターゲット9に向かう方向にS極を向けている場合を示す。すなわち、図3から図5は、主磁石12および補足磁石11が異極である場合を示す。
図6から図8は、主磁石12と補足磁石11とが一対のターゲット9に向かう方向に同極を向けている場合を示す。たとえば、主磁石12が一対のターゲット9に向かう方向にN極を向けている場合、図6から図8は、補足磁石11がターゲット9に向かう方向にN極を向けている場合を示す。すなわち、図6から図8は、主磁石12および補足磁石11が同極である場合を示す。
図3では、補足磁石11a,11b間に働く磁力が弱い場合、図4では、補足磁石11a,11b間に働く磁力が中程度の場合、図5では、補足磁石11a,11b間に働く磁力が強い場合を示す。また、図4では、補足磁石11a,11b間に働く磁力が弱い場合、図5では、補足磁石11a,11b間に働く磁力が中程度の場合、図6では、補足磁石11a,11b間に働く磁力が強い場合を示す。
一対のターゲット9間での磁束密度は、A点を含む周辺領域において最小となる。一対のターゲット9間での磁束密度は、B点の近傍領域において最大となる。磁束密度の最大値Hは、主磁石12および補足磁石11を異極とする場合に比べ、主磁石12および補足磁石11を同極とする場合により高くなる。また、主磁石12および補足磁石11が異極である場合、磁束密度の最大値Hは、補足磁石11a,11b間に働く磁力が強いほど、低くなる。主磁石12および補足磁石11が同極である場合、磁束密度の最大値Hは、補足磁石11a,11b間に働く磁力が強いほど、高くなる。
図3から図8のそれぞれにおける磁束密度の最大値Hを、それぞれH1、H2、H3、H1’、H2’、H3’とすると、
H3<H2<H1<H1’<H2’<H3’
となる。
磁束密度の最大値と最小値との差Dは、主磁石12および補足磁石11を異極とする場合に比べ、主磁石12および補足磁石11を同極とする場合により小さくなる。また、主磁石12および補足磁石11が異極である場合、磁束密度の最大値と最小値との差Dは、補足磁石11a,11b間に働く磁力が強いほど、大きくなる。主磁石12および補足磁石11が同極である場合、磁束密度の最大値と最小値との差Dは、補足磁石11a,11b間に働く磁力が強いほど、小さくなる。
図3から図8のそれぞれにおける磁束密度の最大値と最小値との差Dを、それぞれD1、D2、D3、D1’、D2’、D3’とすると、
D3>D2>D1>D1’>D2’>D3’
となる。
磁束密度の2つの最大値間の距離Wは、主磁石12および補足磁石11を異極とする場合に比べ、主磁石12および補足磁石11を同極とする場合により広くなる。また、主磁石12および補足磁石11が異極である場合、磁束密度の2つの最大値間の距離Wは、補足磁石11a,11b間に働く磁力が強いほど、狭くなる。主磁石12および補足磁石11が同極である場合、磁束密度の2つの最大値間の距離Wは、補足磁石11a,11b間に働く磁力が強いほど、広くなる。
図3から図8のそれぞれにおける磁束密度の2つの最大値間の距離Wを、それぞれW1、W2、W3、W1’、W2’、W3’とすると、
W3<W2<W1<W1’<W2’<W3’
となる。
以上より、本実施形態係るナチュラトロンスパッタ装置によれば、主磁石と補足磁石とが協働して周辺部での磁束密度に対する中央部での磁束密度を相対的に変化させることにより、一つの装置で柔軟な磁場空間の変化を得ることができる。これにより、ターゲットの種類、反応性ガスの種類、基板の材質など、様々な状況や目的に応じた磁場空間を得ることができる。したがって、汎用性の高い、利用者のニーズに合うナチュラトロンスパッタ装置を得ることができる。
汎用性の高いナチュラトロンスパッタ装置を得ることができるので、状況にあわせて部品を交換する必要がない。すなわち、状況にあわせて、磁力の異なる主磁石への交換を必要としない。そのため、装置のメンテナンスや調整が容易であり、成膜処理にかかるコストの低減を図ることができる。
かかる構成によれば、主磁石および補足磁石を有する磁石は、ターゲット間に磁場空間を形成する。磁石は、周辺部の磁力線を密、中央部に向かうほど磁力線を疎とする磁場空間を形成する。磁場空間は、カルデラ状の磁場分布となる。すなわち、磁場空間は、磁束密度の高い周辺部と、磁束密度の低い中央部とを有する。主磁石および補足磁石は、協働して、周辺部の磁場の強度に対する中央部の磁場の強度を相対的に変化させる。すなわち、主磁石および補足磁石は、カルデラ状の磁場分布を維持しつつ、スパッタの目的に応じて、周辺部の磁場の強度に対する中央部の磁場の強度を相対的に変化させる。ターゲットは、スパッタされることで、略均一の深さを有する凹状にエロージョンされる。
かかる構成によれば、補足磁石保持部は、主磁石からターゲットへの方向における、主磁石の位置に対して保持する補足磁石の位置を変更する。補足磁石保持部は、補足磁石の位置を変更することで、補足磁石による磁場空間への影響を変化させる。すなわち、補足磁石保持部は、補足磁石の位置をターゲットから離すことで、補足磁石による磁場空間への影響を減じる。また、補足磁石保持部は、補足磁石の位置をターゲットに近づけることで、補足磁石による磁場空間への影響を増加させる。これにより、補足磁石保持部は、補足磁石の位置を変更することで、周辺部での磁束密度に対する中央部での磁束密度を相対的に変化させる。
かかる構成によれば、主磁石が筒形状を有することで、補足磁石は、主磁石の筒形状の内部に配置できる。補足磁石が主磁石の筒形状の内部に配置できるので、主磁石と補足磁石とは、一対のターゲットの背面からターゲット間に磁場空間を形成できる。主磁石と補足磁石とは、協働して磁場空間を形成する。
かかる構成によれば、主磁石電流変化部は、少なくとも一方が電磁石である主磁石の電流値を変化させる。また、補足磁石電流変化部は、少なくとも一方が電磁石である補足磁石の電流値を変化させる。主磁石または補足磁石は、電流値の変化に応じて、磁場空間での磁束密度を変化させる。すなわち、主磁石または補足磁石は、磁場空間に対して、電流値が高くなることで高い磁束密度を磁場空間に提供し、電流値が低くなることで低い磁束密度を磁場空間に提供する。主磁石および補足磁石は、カルデラ状の磁場分布を維持しつつ、協働して周辺部での磁束密度に対する中央部での磁束密度を相対的に変化させる。
また、補足磁石保持部が主磁石からターゲットへの方向における、主磁石の位置に対して保持する補足磁石の位置を変更する場合、補足磁石は、電流値の変化および位置の変化に応じて、磁場空間に影響を与える。すなわち、補足磁石は、電流値が高い程、磁場空間に対して高い磁束密度を提供するとともに、ターゲットへの距離が近い程、磁場空間に対して高い磁束密度を提供する。主磁石および補足磁石は、カルデラ状の磁場分布を維持しつつ、協働して周辺部での磁束密度に対する中央部での磁束密度を相対的に変化させる。
なお、本発明に係るナチュラトロンスパッタ装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。さらに、下記の各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
主磁石12a,12bの少なくとも一方は、電磁石であってもよい。この場合、ナチュラトロンスパッタ装置2は、主磁石12として採用された電磁石に流す電流を変化させる主磁石電流変化部を有する。また、補足磁石11a,11bの少なくとも一方は、電磁石であってもよい。この場合、ナチュラトロンスパッタ装置2は、補足磁石11として採用された電磁石に流す電流を変化させる補足磁石電流変化部を有する。
主磁石電流変化部は、主磁石12に流れる電流値を変化させることで、主磁石の位置を変えることなく一対のターゲット9間の磁場空間を変化させる。また、補足磁石電流変化部は、補足磁石11に流れる電流値を変化させることで、補足磁石11の位置を変えることなく一対のターゲット9間の磁場空間を変化させる。補足磁石保持部13が補足磁石11の位置を変更しない場合、補足磁石電流変化部は、補足磁石11に流れる電流値を変化させることで磁場空間を調整してもよい。
主磁石電流変化部と補足磁石電流変化部とは、一つの電流変化部であってもよい。一つの電流変化部は、主磁石の電流値を変化させる機能と、補足磁石の電流を変化させる機能とを有する。また、主磁石および補足磁石の少なくとも一方は、永久磁石と電磁石とを組み合わせて構成されてもよい。
このような変形例により、一対のターゲット9間に形成する磁場空間を柔軟に変化させることができる。また、補足磁石11を電磁石とすることにより、補足磁石11の位置の変更と組み合わせて、補足磁石11a,11b間の磁束密度をより繊細に変更することができる。さらには、主磁石12および補足磁石11を電磁石とすることで、永久磁石を利用する場合に比べ、ターゲット9,9間に発生する磁束密度をより高くすることを期待できる。それにより、より多くの状況に応じた、汎用性の高いナチュラトロンスパッタ装置を提供することができる。
また、スパッタ部100は、第二筒体10のターゲット9と反対側の開口に蓋をする蓋部17をさらに備えてもよい。蓋部17は、スリット(図示しない)を有する。スリットは、補足磁石保持部13に変わり、補足磁石11の位置を変更可能に保持する。すなわち、スリットは、挿通された補足磁石11を保持する。補足磁石11は、一対のターゲット9方向またはその逆方向へとスリットを摺動することで、補足磁石の11の位置は変更される。これにより、第二筒体10内のスペースを考慮して、補足磁石保持部13を設置せずとも、補足磁石11の位置を変更可能に設置できる。
また、ナチュラトロンスパッタ装置2は、複数のスパッタ部を真空容器1内に並列に備えても良い。複数のスパッタ部は、少なくとも一つのスパッタ部100を有してよい。この場合、基板22は、複数のスパッタ部のそれぞれを搬送される。基板22は、複数のスパッタ部のそれぞれが有するターゲットの材料を積層する。
これにより、基板22は、搬送されることで複数の材料を積層できるので、成膜処理の自動化を図ることができ、生産効率を上げることができる。また、1つの真空容器1内に複数種類のスパッタ部を組み合わせて利用できるので、複数のナチュラトロンスパッタ装置を並列する場合に比べ、メンテナンスが容易となる。結果として、成膜処理にかかるコストを抑えることができる。
なお、主磁石12は、円筒形であってもよい。補足磁石11は、円筒形の主磁石12の内部に配置されてもよい。これにより、ターゲット9の形が円形である場合であっても、適切に主磁石12および補足磁石11を配置でき、様々なニーズに応じた、汎用性の高いナチュラトロンスパッタ装置を提供できる。
1 真空容器
2 ナチュラトロンスパッタ装置
3 ターゲットホルダ
4 第一筒体
5 第一フランジ
6 第二フランジ
7 第三フランジ
8 支持板
9 ターゲット
10 第二筒体
11 補足磁石
12 主磁石
13 補足磁石保持部
14 ヨーク
16 シールドカバー
16a 開口
17 蓋部
18 隔壁
18a 開口
19 ガス供給パイプ
20 ガス供給パイプ
22 基板
30 レール部
31 滑動部
100 スパッタ部

Claims (4)

  1. 真空容器内に、間隔をおいて互いに対向配置された一対のターゲットと、前記一対のターゲットのそれぞれの背面側に配置され、前記一対のターゲット間に磁場空間を形成する一対の磁石とを有するスパッタ部を備え、前記一対のターゲット間の側方に、前記磁場空間に臨んで基板が配置されるナチュラトロンスパッタ装置において、
    前記一対の磁石は、前記一対のターゲットを介して異極が対向するように配置され、
    前記一対の磁石のそれぞれは、ターゲットの周縁に沿って、該ターゲットの背面と対向した筒形状の主磁石と、前記主磁石に包囲された補足磁石とを有し、
    前記主磁石と前記補足磁石とは、前記ターゲットの背面側が同極となるように配置され
    前記一対の磁石のうちの少なくともターゲットの背面側にN極を向けた一方の磁石は、補足磁石のN極からの磁力線を対向するターゲットに向けて走らせるべく、補足磁石のN極の端面が、主磁石のS極の端面よりもターゲット側に位置するように、主磁石と補足磁石とが、前記一対のターゲットの背面に対して接離する方向に相対移動可能に構成されていることを特徴とするナチュラトロンスパッタ装置。
  2. 前記スパッタ部は、前記補足磁石を前記ターゲットの背面に対して進退可能に保持する補足磁石保持部を有する請求項1に記載のナチュラトロンスパッタ装置。
  3. 前記主磁石は、角筒形状である請求項1又は2に記載のナチュラトロンスパッタ装置。
  4. 前記主磁石は、長方形の角筒形状であり、前記補足磁石は、前記主磁石の長辺に対応する内周面と略平行に延びる一対の対向面を有する方形に形成され、且つ前記主磁石の内周面に囲まれた領域の中央部に配置された請求項1〜のいずれか1項に記載のナチュラトロンスパッタ装置。
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