JP4795174B2 - スパッタリング装置 - Google Patents

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Description

本発明は、スパッタリング装置に係り、更に詳しくは、シート状プラズマ中の荷電粒子をターゲットに衝突させてなるスパッタリング技術の改良に関する。
円柱状のプラズマを、同じ磁極(例えばN極)同士を互いに対向させて強力な反発磁界を発生するような永久磁石の対で挟み、これにより、均一かつ高密度のシート状プラズマを形成できることが提案されている(従来例としての特許文献1参照)。
また、大直径空芯コイルで発生させた弱磁場をイオンプレーティング装置の容器にかけることにより(数ガウスから20ガウス程度まで)、シート状プラズマの厚みが自由に変化(20cm〜数cm)することが知られている(従来例としての特許文献2参照)。
更に、シート状プラズマをターゲットと基板との間の成膜空間に導いて、これにより、シート状プラズマ中の荷電粒子(正イオン)を用いたスパッタリングによりターゲット材料(スパッタ粒子)を叩き出した後に、当該スパッタ粒子をシート状プラズマに通して電離させ基板表面に飛散、堆積させるといった、スパッタリング技術が開発されている(従来例としての特許文献3参照)。
特公平4−23400号公報 特開平8−22802号公報 特開2005−179767号公報
本件発明者等は、シート状プラズマを用いたスパッタリング装置内の磁界を支配する装置のパラメータ(例えば、電磁コイルの電流量や永久磁石の強度等)の最適化に取り組んでいる。とりわけ、当該パラメータとターゲットのスパッタ速度(基板へのスパッタ粒子の成膜速度)との間の相関性は、シート状プラズマの性能を決定付ける重要な事項であるにも拘らず、従来例には、この相関性について何等記載も示唆もされていない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、スパッタリング用ターゲットのスパッタ速度を磁界に基づき容易に調整可能なシート状プラズマによるスパッタリング装置を提供することを目的とする。
本件発明者等による鋭意研究の結果、バイアス電圧によるターゲットへのシート状プラズマ中の荷電粒子の入射量に対応するターゲット電流量(ひいてはターゲットのスパッタ速度)が、シート状プラズマの幅方向の形状を整えるための電磁コイルの対により作られるコイル磁界に基づき調整できることを見出した。そして、このような両者間の相関性を裏付ける現象として、当該電磁コイルの巻線を流れるコイル電流の電流量を変更すれば、シート状プラズマの厚みを変えられることが確認された。
よって、本発明は、このような知見に基づき案出されたものであり、本発明のスパッタリング装置は、輸送方向の中心に対し略等密度分布するプラズマを放電により形成して、前記プラズマを前記輸送方向に向けて放出可能なプラズマガンと、前記輸送方向に延びる輸送空間を有するシート状プラズマ形成室と、前記シート状プラズマ形成室の輸送空間を前記輸送方向に対して交差する向きに挟み、互いに同極同士が向き合った磁界発生手段の対と、前記シート状プラズマ形成室の輸送空間を取り囲む電磁コイルと、前記輸送空間に連通する真空成膜室と、前記真空成膜室内に配置されたターゲットを、前記輸送方向に沿った向きに挟み、互いに異極同士が向き合った電磁コイルの対と、前記ターゲットにバイアス電圧を印加する電源と、を備え、前記プラズマは、前記輸送空間を移動する間に、前記磁界発生手段の対の磁界および前記電磁コイルのコイル磁界によりシート状に拡がり、前記バイアス電圧による前記ターゲットへの前記シート状プラズマ中の荷電粒子の入射に基づくターゲット電流量が、前記電磁コイルの対のコイル磁界に基づき調整される装置である。
より具体的には、前記電磁コイルの対の巻線を流れるコイル電流の電流量を変更することにより、前記ターゲットに平行に拡がる前記シート状プラズマの厚みが調整される装置である。
このように電磁コイルの対の巻線を流れるコイル電流に基づきシート状プラズマの厚みを変更できるため、ターゲットのスパッタ速度が、電磁コイルの対により作られるコイル磁界に基づき調整され得る。その結果、基板への成膜粒子の成膜速度の向上や微調整が行える。
また、前記ターゲットを装着するターゲットホルダと、前記シート状プラズマ中の荷電粒子により叩き出された前記ターゲットの材料を堆積する基板を装着する基板ホルダと、を備え、前記ターゲットおよび前記基板は、前記シート状プラズマの厚み方向に間隔を隔て、かつ前記シート状プラズマを挟むようにして、前記真空成膜室内に互いに対向して配置される装置であっても良い。
本発明によれば、スパッタリング用ターゲットのスパッタ速度を磁界に基づき容易に調整可能なシート状プラズマによるスパッタリング装置が得られる。
図1は本実施形態のスパッタリング装置の一構成例を示す概略図である。以下、図1を参照しながらこのスパッタリング装置について説明する。
なおここでは便宜上、図1に示す如く、プラズマ輸送の方向をZ方向にとり、このZ方向に直交し、かつ棒磁石24A、24B(後記)の磁化方向をY方向にとり、これらのZ方向およびY方向の両方に直交する方向をX方向にとって、このスパッタリング装置の構成を述べる。
本実施形態のスパッタリング装置100は、図1に示す如くYZ平面において略十字形をなしており、プラズマ輸送の方向(Z方向)から見て順番に、プラズマを高密度に生成するプラズマガン40と、Z方向の軸を中心とした円筒状の非磁性(例えばステンレス製やガラス製)のシート状プラズマ形成室20と、Y方向の軸を中心とした円筒状の非磁性(例えばステンレス製)の真空成膜室30と、を備える。なおこれらの各部40、20、30は、プラズマを輸送する通路を介して互いに気密状態を保って連通されている。
プラズマガン40は、減圧可能な放電空間(不図示)を有し、このプラズマガン40のZ方向の一端は、この放電空間を塞ぐようにフランジ11(カソードマウント)が配置されている。このフランジ11には、プラズマ放電誘発用の熱電子を放出するカソードKが配置されているとともに、プラズマ放電により電離される放電ガスとしてのアルゴン(Ar)ガスをこの放電空間に導くガス導入手段(不図示)が設けられている。
また、プラズマガン40の放電空間の適所には、カソードKとの間でプラズマ放電(グロー放電)を維持するため、直流電源V1と適宜の抵抗Rv、R1、R2の組合せにより所定のプラス電圧を印加された一対のグリット電極G1、G2(中間電極)が配置され、このようなプラズマ放電により、プラズマガン40の放電空間には、荷電粒子(ここではAr+と電子)の集合体としてのプラズマが形成される。
なおここでは、直流電源V1に基づく低電圧かつ大電流の直流アーク放電により、カソードKとアノードA(後記)との間に高密度のプラズマ放電を可能にする、公知の圧力勾配型のプラズマガン40が採用されている。
プラズマガン40の周囲には、このプラズマガン40の側面周囲を取り囲むように、円環状の第1の電磁コイル12(空心コイル)が配設され、この第1の電磁コイル12の巻線に電流を流すことにより、プラズマガン40の放電空間にはコイル磁界に基づく磁束密度のZ方向の勾配が形成される。このような磁束密度のZ方向の勾配により、プラズマを構成する荷電粒子は、この放電空間からZ方向(アノードAに向かう方向)に運動するよう、磁力線の回りを旋回しながらZ方向に進み、これらの荷電粒子の集合体としてのプラズマが、Z方向の輸送中心P(図2参照)に対して略等密度分布してなる円柱状のプラズマ(以下、「円柱状プラズマ22」という)として、プラズマガン40のZ方向の他端とシート状プラズマ形成室20のZ方向の一端との間に介在する通路(不図示)を介してシート状プラズマ形成室20へ引き出される。
シート状プラズマ形成室20は、Z方向の軸を中心とした円柱状の減圧可能な輸送空間21を有し、この輸送空間21は、バルブ26により開閉可能な排気口から真空ポンプ25(例えばターボポンプ)により真空引きされ、これにより、当該輸送空間21は円柱状プラズマ22を輸送可能なレベルの真空度にまで速やかに減圧される。
シート状プラズマ形成室20の側面周囲には、このシート状プラズマ形成室20を取り囲み、円柱状プラズマ22のZ方向の推進力を発生する円環状の第2の電磁コイル23(空心コイル)が配設されている。なお、第2の電磁コイル23の巻線には、カソードK側をS極、アノードA側をN極とする向きの電流が通電されている。
また、この第2の電磁コイル23のZ方向の前方側(アノードAに近い側)には、このシート状プラズマ形成室20(輸送空間21)をY方向の向きに挟み、互いに同極(ここではN極)が対向するようにして、Y方向に磁化され、かつX方向に延びる一対の角形の棒磁石24A、24B(永久磁石;磁界発生手段の対)が、Y方向に所定の間隔を隔てて配設されている。
上記第2の電磁コイル23の巻線に電流を流すことによりシート状プラズマ形成室20の輸送空間21に作られるコイル磁界と、棒磁石24A、24Bによりこの輸送空間21に作られる磁石磁界との相互作用により、シート状プラズマ形成室20の輸送空間21を円柱状プラズマ22がZ方向に移動する間に、この円柱状プラズマ22は、その輸送方向(Z方向)の輸送中心Pを含むXZ平面(以下、「主面S」という)に沿って拡がる、均一なシート状のプラズマ(以下、「シート状プラズマ27」という)に変形される。
以下、第2のコイル23および一対の棒磁石24A、24Bによる磁界相互作用に基づく、円柱状プラズマ22からシート状プラズマ27に変形する方法について、図2を参照しつつ述べる。
図2は、シート状プラズマの形成法の概略を説明する模式図であり、図2(a)は、棒磁石のZ方向略中央付近のXY平面に平行な断面の模式図であり、図2(b)は、棒磁石のX方向略中央付近のYZ平面に平行な断面の模式図である。
なお、図2中の符号Bx、ByおよびBzは各々、図1中のX方向、Y方向およびZ方向の磁束密度ベクトル成分を表している。
図2(b)から理解されるとおり、第2の電磁コイル23のコイル磁界により、棒磁石24A、24Bに到達する前の円柱状プラズマ22のZ方向に作用する初期の磁束密度成分Bz0が形成されている。このとき、初期の磁束密度成分Bz0と、一対の棒磁石24A、24Bが作るZ方向の磁束密度成分Bzとの間の大小関係を適正に保つように、第2の電磁コイル23の配置や第2の電磁コイル23の巻線に流す電流量を設定する必要がある。両者間の適正な関係を保たなければ、円柱状プラズマ22をシート状プラズマ27に変形する際の、プラズマの形態が乱れて(例えば、いわゆる角の発生)、主面Sに沿って、円柱状プラズマ22を均一に拡げ難くなると考えられている。
次に、図2(a)から理解されるとおり、XY平面上には、一対の棒磁石24A、24BのN極面から互いに輸送中心Pに近づく、磁束密度のY方向成分Byの対が形成されるとともに、これらの棒磁石24A、24BのN極面と平行に輸送中心Pから互いに離れる、磁束密度のX方向成分Bxの対が形成されている。
磁束密度のY方向成分Byの対については、棒磁石24A、24BのN極面を互いに対向配置させていることから、これらのN極面から輸送中心Pに近づくに連れて、そのY方向成分に互いに相殺され、これらの磁束密度のY成分に適宜のマイナス勾配を持たせることができる。
このような磁束密度のY方向成分Byの勾配は、図2(a)の矢印で示す如く、輸送中心Pに向かってY方向に円柱状プラズマ22を圧縮する方向に荷電粒子を運動させ、これにより、円柱状プラズマ22中の荷電粒子は、磁力線の回りを旋回しながら輸送中心Pの方向に進む。
一方、磁束密度のX方向成分Bxの対については、棒磁石24A、24Bの配置やその磁場強度の適切な設計により、輸送中心PからX方向に離れるに連れて、これらの磁束密度のX成分に適宜のマイナス勾配を持たせるように調整できる。
このような磁束密度のX方向成分Bxの勾配は、図2(a)の矢印で示す如く、円柱状プラズマ22を主面S(XZ平面)に沿って拡げる方向に荷電粒子を運動させ、これにより、円柱状プラズマ22中の荷電粒子は、磁力線の回りを旋回しながら輸送中心Pから離れる方向に進む。
こうして、円柱状プラズマ22は、シート状プラズマ形成室20をZ方向に移動する間に、第2の電磁コイル23および棒磁石24A、24Bによる磁界相互作用に基づいて、主面Sに沿ったシート状プラズマ27に均一に変形される。なお、シート状プラズマ27の幅、厚みおよび荷電粒子密度分布等は、これらの磁束密度Bx、By、Bz、Bz0を適宜変更することにより、調整可能である。
このようにして変形されたシート状プラズマ27は、図1に示す如く、シート状プラズマ形成室20のZ方向の他端と真空成膜室30の側壁との間に介在する、シート状プラズマ27の通過用のスリット状のボトルネック部28を介して真空成膜室30へ引き出される。なお、ボトルネック部28の間隔(Y方向寸法)および厚み(Z方向寸法)並びに幅(X方向寸法)は、シート状プラズマ27を適切に通過するように設計されている。
またここでの真空成膜室30としては、例えば、シート状プラズマ27中のAr+の衝突エネルギにより平板状のターゲット35BのCu材料をスパッタ粒子として叩き出す真空スパッタリング装置が採用されている。なお、このシート状プラズマ27は、上記ターゲット35Bおよび後記の平板状の基板34Bに対し平行に拡がっている。
真空成膜室30は、Y方向の軸を中心とした円柱状の減圧可能な、スパッタリングプロセス用の成膜空間31を有し、この成膜空間31は、バルブ37により開閉可能な排気口から真空ポンプ36(例えばターボポンプ)により真空引きされ、これにより、当該成膜空間31はスパッタリングプロセス可能なレベルの真空度にまで速やかに減圧される。
ここで成膜空間31は、その機能上、上下方向(Y方向)において、ボトルネック部28の間隔に対応する水平面(XZ平面)に沿った中央空間を境にして、板状の銅製のターゲット35Bを格納する囲い部により区画されたターゲット空間と、板状の基板34Bを格納する囲い部により区画された基板空間と、に区分けして理解され得る。
つまり、ターゲット35Bは、ターゲットホルダ35Aに装着された状態において、中央空間の上方に位置するターゲット空間内に格納され、適宜のアクチュエータ(不図示)によりターゲット空間内を上下(Y方向)に移動可能に構成されている。一方、基板34Bは、基板ホルダ34Aに装着された状態において、中央空間の下方に位置する基板空間内に格納され、適宜のアクチュエータ(不図示)により基板空間内を上下(Y方向)に移動可能に構成されている。
なお上記中央空間は、真空成膜室30においてシート状プラズマ27の主成分を輸送させる空間である。
このようにして、ターゲット35Bおよび基板34Bは互いに、シート状プラズマ27の厚み方向(Y方向)に一定の好適な間隔を隔てるようにして、このシート状プラズマ27(中央空間)を挟み、成膜空間31内に対向して配置されている。
また、ターゲット35Bには、スパッタリングプロセス中には、直流電源V3により数百ボルトの範囲内で変更可能な可変バイアス電圧(マイナス電圧)が印加される。これにより、シート状プラズマ27中のAr+がターゲット35Bに向かって引き付けられる。その結果、Ar+とターゲット35Bとの間の衝突エネルギによりターゲット35Bのスパッタ粒子(例えばCu粒子)が、ターゲット35Bから基板34Bに向かって叩き出される。
また、ターゲット35Bと直流電源V3との間には、電流計50が配設され、これにより、バイアス電圧によるターゲット35Bへのシート状プラズマ27中のAr+の入射量が、ターゲット電流量(Ar+のイオン電流量)として電流計50により検知できるように構成されている。
また、基板34Bには、スパッタリングプロセス中には、直流電源V2によりバイアス電圧(マイナス電圧)が印加され、これにより、シート状プラズマ27により、電子を剥ぎ取られて電離されたスパッタ粒子(例えばCuイオン)が、基板34Bに向かって加速され、この基板34Bに対し付着強度を高めて堆積される。
次に、ボトルネック部28から見て、Z方向に対向する位置の真空成膜室30の周辺構成を説明する。
当該位置の真空成膜室30の側壁にはアノードAが配置され、この側壁とアノードAとの間には、プラズマ通過用の通路29が設けられている。
アノードAは、カソードKとの間で適宜のプラス電圧(例えば100V)を印加され、これにより、カソードKおよびアノードAの間の直流アーク放電によるシート状プラズマ27中の荷電粒子(特に電子)を回収する役割を担っている。
また、アノードAの裏面(カソードKに対する対向面の反対側の面)には、アノードA側をS極、大気側をN極とした永久磁石38が配置されている。このため、この永久磁石38のN極から出てS極に入るXZ平面に沿った磁力線により、アノードAに向かうシート状プラズマ27の幅方向(X方向)の拡散を抑えるようにシート状プラズマ27が幅方向に収束され、シート状プラズマ27の荷電粒子が、アノードAに適切に回収され得る。
また、円環状の第3および第4の電磁コイル32、33(空心コイル)は、互いに対をなして、真空成膜室30の側壁を臨むようにして、成膜空間31内のターゲット35Bおよび基板34BをZ方向の向きに挟み、異極同士(ここでは、第3の電磁コイル32はN極、第4の電磁コイルはS極)を向かい合わせて配置されている。
より詳しくは、第3の電磁コイル32は、第3の電磁コイル32の巻線が、一対の棒磁石24A、24Bと真空成膜室30との間のZ方向の適所を取り囲むよう配置され、第4の電磁コイル33は、第4の電磁コイル33の巻線が、真空成膜室30の側壁とアノードAとの間のZ方向の適所を取り囲むよう配置されている。
このような第3および第4の電磁コイル32、33の対の巻線に電流を流すことにより作られるコイル磁界(例えば10G〜300G程度のミラー磁界)によれば、シートプラズマ27の幅方向(X方向)の形状が、真空成膜室30の成膜空間31を跨ぐようにシート状プラズマ27がZ方向に移動する間に、シート状プラズマ27中の荷電粒子の拡散を適切に抑えるように整形される。
ここで、第3および第4の電磁コイル32、33の巻線に流すコイル電流量(A)と、電流計50により検知された、バイアス電圧によるターゲット35Bへのシート状プラズマ27中のAr+の入射に基づくターゲット電流量(A)との間の相関性を検証した結果を述べる。
図3は、横軸にコイル電流量をとり、縦軸にターゲット電流量をとって、両者の相関性を示した図である。なお、直流電源V3によりターゲット35Bに印加させるバイアス電圧Vaには、Va=500VとVa=800Vとが採用されている。
図3から理解されるとおり、上記コイル電流量を略13Aから略26Aに増加させると(第3および第4の電磁コイル32、33の対により作られるコイル磁界の磁束密度を高めると)、Va=500Vの場合には上記ターゲット電流量が略1.23Aから略1.06Aに減少し、Va=800Vの場合には上記ターゲット電流量が略1.26Aから略1.01Aに減少することが分かった。つまり、同じバイアス電圧Vaであっても、コイル電流量を変更することにより、バイアス電圧Vaに応じてターゲット電流量が適切に決定できるようになる。換言すれば、バイアス電圧Vaによるターゲット35Bへのシート状プラズマ27中のAr+の入射量に対応するターゲット電流量は、シート状プラズマ27の幅方向の形状を整えるための第3および第4の電磁コイル32、33の対により作られるコイル磁界(磁束密度)に基づき調整され得ると言える。そして、バイアス電圧Vaによるターゲット35Bへのシート状プラズマ27中のAr+の入射量の多少は、ターゲット35Bのスパッタ速度(ひいては基板34BへのCu粒子の成膜速度)の多少に比例的に反映されることから、ターゲット35Bのスパッタ速度が、第3および第4の電磁コイル32、33の対により作られるコイル磁界(磁束密度)に基づき調整され得る。その結果、基板34BへのCu粒子の成膜速度の向上や微調整が行える。
次に、上記コイル電流量の変更に際して、シート状プラズマ27の状態を目視観察した結果を述べる。当該目視観察によれば、コイル電流量を略13Aから略26Aに増やすに連れて、シート状プラズマ27の厚みが薄くなることが確認された。このような現象から、本件発明者等は、図3に示したコイル電流量とターゲット電流量との間の相関関係の要因を以下のように推定している。
図4は、シート状プラズマとターゲットとの位置関係を示した図であって、コイル電流量とターゲット電流量との間の相関関係を説明する模式図である。図4(a)は、コイル電流量が多い場合(第3および第4の電磁コイル32、33の対により作られるコイル磁界の磁束密度が高い場合)において、シート状プラズマ27とターゲット35Bとの間の位置関係を示した図であり、図4(b)は、コイル電流量が少ない場合(第3および第4の電磁コイル32、33の対により作られるコイル磁界の磁束密度が低い場合)において、シート状プラズマ27とターゲット35Bとの間の位置関係を示した図である。
図4(a)、(b)に示したシート状プラズマ27とターゲット35Bとの間の位置関係から理解されるとおり、コイル電流量を多くすることによりシート状プラズマ27の厚みt1が薄めになる一方(例えばt1=1mm程度)、コイル電流量を少なくすることによりシート状プラズマ27の厚みt2が厚めになる(例えばt2=10mm程度)。
このため、図4(b)に示したシート状プラズマ27のターゲット側の面27Cとターゲット35Bのプラズマ側の面35Cとの間の間隔L2は、図4(a)に示したシート状プラズマ27のターゲット側の面27Cとターゲット35Bのプラズマ側の面35Cとの間の間隔L1より狭くなる。よって、コイル電流量を少なくすれば、ターゲット35Bおよびシート状プラズマ27間の距離が狭まり、その結果、ターゲット電流量が増加したものと考えられる。
なお、このようなコイル電流量を変更しなくても、アクチュエータによりターゲット35Bをシート状プラズマ27に近づければ、同様にターゲット電流量を増加できる。しかしこのようにすれば、シート状プラズマ27に接近したターゲット35Bが、シート状プラズマ27中の電子温度により熱ダメージを受ける場合がある。
これに対し本実施形態の如く、コイル電流量を少なくして、シート状プラズマ27の厚みを厚めにすれば、シート状プラズマ27中の電子密度が低くなり、ターゲット35Bの熱ダメージは、その分緩和され好適である。
以上に述べたスパッタリング装置100によれば、第3および第4の電磁コイル32、33の対の巻線を流れるコイル電流に基づきシート状プラズマ27の厚みを変更できる。このため、ターゲット35Bのスパッタ速度が、第3および第4の電磁コイル32、33の対により作られるコイル磁界(磁束密度)に基づき調整され得る。その結果、基板34BへのCu粒子の成膜速度の向上や微調整が行える。
本発明は、シート状プラズマの荷電粒子によってターゲットをスパッタリングする真空スパッタリング装置に利用できる。
本発明の実施形態に係るスパッタリング装置の構成例を示す概略図である。 シート状プラズマの形成法の概略を説明する模式図である。 横軸にコイル電流量をとり、縦軸にターゲット電流量をとって、両者の相関性を示した図である。 シート状プラズマとターゲットとの位置関係を示した図であって、(a)はコイル電流量が多い場合の位置関係、(b)はコイル電流量が少ない場合の位置関係を示した図である。
符号の説明
11 フランジ
12 第1の電磁コイル
20 シート状プラズマ形成室
21 輸送空間
22 円柱状プラズマ
23 第2の電磁コイル
24A、24B 棒磁石
25、36 真空ポンプ
26、37 バルブ
27 シート状プラズマ
27C シート状プラズマのターゲット側の面
28 ボトルネック部
29 通路
30 真空成膜室
31 成膜空間
32 第3の電磁コイル
33 第4の電磁コイル
34A 基板ホルダ
34B 基板
35A ターゲットホルダ
35B ターゲット
35C ターゲットのプラズマ側の面
38 永久磁石
40 プラズマガン
100 スパッタリング装置
A アノード
K カソード
P 輸送中心
S 主面
V1、V2、V3 直流電源

Claims (3)

  1. 輸送方向の中心に対し略等密度分布するプラズマを放電により形成して、前記プラズマを前記輸送方向に向けて放出可能なプラズマガンと、
    前記輸送方向に延びる輸送空間を有するシート状プラズマ形成室と、
    前記シート状プラズマ形成室の輸送空間を前記輸送方向に対して交差する向きに挟み、互いに同極同士が向き合った磁界発生手段の対と、
    前記シート状プラズマ形成室の輸送空間を取り囲む電磁コイルと、
    前記輸送空間に連通する真空成膜室と、
    前記真空成膜室内に配置されたターゲットを、前記輸送方向に沿った向きに挟み、互いに異極同士が向き合った電磁コイルの対と、
    前記ターゲットにバイアス電圧を印加する電源と、を備え、
    前記プラズマは、前記輸送空間を移動する間に、前記磁界発生手段の対の磁界および前記電磁コイルのコイル磁界によりシート状に拡がり、
    前記バイアス電圧による前記ターゲットへの前記シート状プラズマ中の荷電粒子の入射に基づくターゲット電流量が、前記電磁コイルの対のコイル磁界に基づき調整されるスパッタリング装置。
  2. 前記電磁コイルの対の巻線を流れるコイル電流の電流量を変更することにより、前記ターゲットに平行に拡がる前記シート状プラズマの厚みが調整される請求項1記載のスパッタリング装置。
  3. 前記ターゲットを装着するターゲットホルダと、
    前記シート状プラズマ中の荷電粒子により叩き出された前記ターゲットの材料を堆積する基板を装着する基板ホルダと、を備え、
    前記ターゲットおよび前記基板は、前記シート状プラズマの厚み方向に間隔を隔て、かつ前記シート状プラズマを挟むようにして、前記真空成膜室内に互いに対向して配置される請求項2記載のスパッタリング装置。
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