JP6054912B2 - 燃料電池及びその製造方法 - Google Patents
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Description
更に、近年では、燃料電池の積層された単セルの間などからガス(特に燃料ガス)がリーク(漏出)することを防止するために、燃料電池スタックを構成する各部材間(例えばインターコネクタとセパレータとの間など)において、燃料電池セルの外縁部分を枠状に囲むとともに、マニホールドの周囲を囲むように、シール材を配置する技術が開発されている。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、シール材の割れを防止するとともに、ガス漏れを好適に防止できる燃料電池及びその製造方法を提供することを目的とする。
また、積層方向から大きな力が加わった場合でも、コンプレッションシール材によって、過大な力がガラスシール材に加わることを抑制できるので、ガラスシール材が割れることを防止でき、この点からも好適にガス漏れを防止することができる。
(2)本発明は、第2態様として、前記貫通部材の張出部が、前記貫通部材と一体の部材である場合には、該一体の張出部と前記燃料電池の外側表面とによって、前記コンプレッションシール材と前記ガラスシール材とを前記積層方向から挟むことを特徴とする。
(3)本発明は、第3態様として、前記貫通部材はボルトであり、前記張出部が前記ボルトの頭部である場合には、該ボルトの頭部と前記燃料電池の外側表面とによって、前記コンプレッションシール材と前記ガラスシール材とを前記積層方向から挟むことを特徴とする。
(4)本発明は、第4態様として、前記貫通部材の張出部が、前記貫通部材に係合する部材である場合には、該係合する張出部と前記燃料電池の外側表面とによって、前記コンプレッションシール材と前記ガラスシール材とを前記積層方向から挟むことを特徴とする。
本第4態様は、貫通部材の張出部を例示したものである。
(5)本発明は、第5態様として、前記貫通部材はボルトであり、前記張出部が前記ボルトに螺合するナットである場合には、該ナットと前記燃料電池の外側表面とによって、前記コンプレッションシール材と前記ガラスシール材とを前記積層方向から挟むことを特徴とする。
本第5態様は、貫通部材及び張出部を例示したものである。
(6)本発明は、第6態様として、前記貫通部材はボルトであり、前記積層方向の一方の開口部には、前記張出部として前記ボルトの頭部が配置され、該ボルトの頭部と前記燃料電池の外側表面とによって、前記コンプレッションシール材と前記ガラスシール材とを前記積層方向から挟み、且つ、前記積層方向の他方の開口部には、前記張出部として前記ボルトに螺合するナットが配置され、該ナットと前記燃料電池の外側表面とによって、前記コンプレッションシール材と前記ガラスシール材とを前記積層方向から挟むことを特徴とする。
本第6態様は、貫通部材及び張出部を例示したものである。
(7)本発明は、第7態様として、前記少なくとも一方の前記積層方向に延びるマニホールドに配置された前記貫通部材の周囲に、環状に前記ガラスシール材が配置されるとともに、該ガラスシール材の外周側に、前記コンプレッションシール材が配置されていることを特徴とする。
本第9態様では、ボルト(及びボルトに螺合するナット)によって、燃料電池を締め付け押圧して固定するので、固定が容易であるとともに、確実に固定できるという利点がある。
なお、以下に、本発明の各構成について説明する。
・コンプレッションシール材とは、(積層方向における)押圧によって自身が変形して周囲(積層方向)の構成に密着してガスシールを行う部材である。このコンプレッションシール材としては、例えばマイカ又はバーミキュライトからなるシート状等の部材を用いることができる。
・ガラスシール材としては、通常のガラス(例えば非結晶化ガラス)を用いることができるが、それ以外に、結晶化ガラス、部分結晶化ガラス(半結晶化ガラス)を用いることができる。また、ガラス成分以外に、セラミックなど各種の材料を添加してもよい。
・各燃料電池セルを積層方向から押圧する部材として、ボルトを使用する場合には、ボルトの熱膨張係数としてガラスシール材の熱膨張係数より大きいものが好ましい。これにより、燃料電池の運転時等(ガラスが軟化しないとき)に、ボルトによってガラスシール材に圧縮応力をかけることができるので、(引張応力が加わる場合に比べて)ガラスの割れを低減できる。
図1に示す様に、固体酸化物形燃料電池201は、燃料ガス(例えば水素)と酸化剤ガス(例えば空気:詳しくは空気中の酸素)との供給を受けて発電を行う装置である。以下「固体酸化物形」は省略することもある。
また、図1(a)、(b)に示す様に、各ボルト211〜218のうち、第2ボルト212に螺合するナット219には、燃料ガスを燃料電池201に供給する燃料ガス導入管221が設けられ、第4ボルト214に螺合するナット219には、空気を燃料電池201に供給する空気導入管223が設けられ、第6ボルト216に螺合するナット219には、発電後の燃料ガスを燃料電池201から排出する燃料ガス排出管225が設けられ、第8ボルト218に螺合するナット219には、発電後の酸化剤ガス(以下、単に空気と記すこともある)を燃料電池201から排出する空気排出管227が設けられている。
・図2に示す様に、前記燃料電池スタック205を構成する各燃料電池セル203は、いわゆる燃料極支持膜形タイプの板状の燃料電池セル203であり、この燃料電池セル203には、上下一対の(導電性を有する)インターコネクタ243、243の間に、燃料ガスが流れる燃料流路231と空気が流れる空気流路233とが分離して設けられている。
また、本実施例1では、後に詳述するように、前記燃料電池セル203内のガスシール部245に加え、一方のエンドプレート251Aと所定のナット219との間をガスシールする第1ガスシール部300と、他方のエンドプレート251Bと所定のボルト212、216との間をガスシールする第2ガスシール部310を備えている。
なお、燃料電池セル203の平面形状は正方形であるので、燃料電池セル203を構成する各部材の平面形状も正方形である。
また、対向する辺に設けられた第2、第6挿通孔262、266は、辺に沿った寸法が長い長円形である、このうち、第2挿通孔262が、燃料ガスを燃料電池セル203内の燃料流路231に導入する燃料ガスの導入路(燃料ガスの導入側の燃料マニホールド)である。一方、第6挿通孔266が、燃料ガスを燃料電池セル203内の燃料流路231から排出する燃料ガスの排出路(燃料ガスの排出側の燃料マニホールド)である。
前記燃料極フレーム249は、正方形の枠状の板材であり、その外縁部には、前記ボルト211〜218が貫挿される前記第1〜第8挿通孔261〜268が形成されている。
そして、上述した構成の燃料電池のカセット257は、図4に示すように、間にシート状のガスシール部245を介して積層されている。
前記図2に示す様に、本実施例1の燃料電池201では、燃料マニホールドを構成する第2挿通孔262及び第6挿通孔266の一方(同図上方)の開口端(開口部)267aをガスシールするために、第1ガスシール部300が設けられ、他方(同図下方)の開口端(開口部)267bをガスシールするために、第2ガスシール部310が設けられている。
同様に、第2ガスシール部310は、図2の下方の他方のエンドプレート251Bと(燃料マニホールドである第2、第6挿通孔262、266の他方の開口部267b側に配置された)各ボルト212、216の頭部210の間、つまり、他方のエンドプレート251Bの下面252bと各ボルト212、216の頭部210の上面210bとの間をガスシールするように設けられている。
このうち、第1ガスシール部300は、図6に示すように、同一平面上にて、各ボルト212、216の軸部220(及び各挿通孔262、266)の周囲を囲むように配置された環状のコンプレッションシール材347と、コンプレッションシール材347の外側の周囲を囲むように配置された(ナット219やエンドプレート251Aに接合した)環状のガラスシール材349とから構成されている。
<燃料ガスの流路>
図7(a)に示すように、燃料ガス導入管221から燃料電池スタック205内に導入された燃料ガスは、第2ボルト212が挿通される(導入側の燃料マニホールドである)第2挿通孔262に導入される。
その後、燃料電池セル203内にて発電に寄与した残余の燃料ガスは、燃料極フレーム249の他の溝279を介して、第6ボルト216が挿通される(排出側の燃料マニホールドである)第6挿通孔266を介して、燃料ガス排出管225から燃料電池スタック205外に排出される。
図7(b)に示すように、空気導入管223から燃料電池スタック205内に導入された空気は、第4ボルト214が挿通される(導入側の空気マニホールドである)第4挿通孔264に導入される。
図8(a)に示すように、定法に従って、燃料極235と固体酸化物層237と空気極239とが一体となった(正方形の板状の)セル本体(単セル)241を作製し、このセル本体(単セル)241の外縁部に枠状のセパレータ247をろう付けする。
d)本実施例1の効果について説明する。
本実施例1では、燃料マニホールドである第2、第6挿通孔262、266の積層方向における両開口部267a、267bの周囲には、第1、第2ガスシール部300、310が設けられている。即ち、一方のエンドプレート251Aとナット219との間には、第1ガスシール部300が設けられ、他方のエンドプレート251Bとボルト262、266の頭部210との間には、第2ガスシール部310が設けられている。
また、コンプレッションシール材345、351及びガラスシール材345、353によって、エンドプレート251A、251Bとボルト262、266やナット219との間の電気的絶縁を確実に行うことができる。
本実施例1では、燃料マニホールドである第2、第6挿通孔262、266と、空気マニホールドである第4、第8挿通孔264、268との周囲には、セパレータ247やインターコネクタ243(又はエンドプレート251B)によって積層方向から挟まれるとともに、各マニホールドを囲むように、ガスシール部245が配置されている。
このように、本実施例1では、燃料ガスのガス漏れの発生を好適に防止できるので、発電効率が高く、漏れたガスの後処理の必要が無い(又は後処理が容易である)という顕著な効果を奏する。
本実施例2は、実施例1とは、燃料電池の第1、第2ガスシール部の構成が異なるので、第1、第2ガスシール部について説明する。なお、その他の構成については、前記実施例1と同様な番号を使用する。
同様に、第2ガスシール部405は、同一平面上にて、各ボルト212、216の軸部220(及び各挿通孔262、266)の周囲を囲むように配置された環状のガラスシール材411と、ガラスシール材411の外側の周囲を囲むように配置された環状のコンプレッションシール材413とから構成されている。
本実施例2においても、前記実施例1と同様な効果を奏する。
(1)例えば、空気マニホールドに対応する挿通孔の開口部を、燃料マニホールドと同様にガスシールするように、第1、第2ガスシール部と同様なガスシール部を設けてもよい。
(3)更に、燃料電池スタックを積層方向に押圧する方法としては、上述したボルト及びナットの螺合による締め付け以外に、例えば積層方向に荷重を加えるように錘を乗せる方法、バネを利用して積層方向に押圧する方法などが挙げられる。
なお、各燃料マニホールドや空気マニホールドと、各燃料マニホールドや空気マニホールドに挿通される各ボルトとは、それぞれ同軸に配置されていなくともよい(図示せず)。また、各ボルトは、各燃料マニホールドや空気マニホールドの外部に配置されていてもよい(図示せず)。
203…燃料電池セル
205…燃料電池スタック
210…頭部
211、212、213、214、215、216、217、218…ボルト
219…ナット
220…軸部
235…燃料極
237…固体酸化物層(固体電解質層)
239…空気極
241…セル本体(単セル)
245…ガスシール部(内部ガスシール部)
251A、251B…エンドプレート
261、262、263、264、265、266、267、268…挿通孔
257…カセット
291、347、351、409、413…コンプレッションシール材
293、349、353、407、411…ガラスシール材
267a、267b…開口部
300、403…第1ガスシール部
310、405…第2ガスシール部
Claims (10)
- 電解質層と、該電解質層の一方の面に設けられて燃料ガスに接する燃料極と、該電解質層の他方の面に設けられて酸化剤ガスに接する空気極と、を有する燃料電池セルが、複数積層された燃料電池において、
前記燃料電池には、前記燃料極側の空間に連通する燃料マニホールド及び前記空気極側の空間に連通する酸化剤マニホールドのうち少なくとも一方が、前記積層方向に貫通して開口部にて開口するように設けられ、
且つ、前記燃料マニホールド及び前記酸化剤マニホールドの少なくとも一方には、前記燃料電池を前記積層方向に貫通して外側に突出する貫通部材が配置され、
前記貫通部材には、前記燃料マニホールド及び前記酸化剤マニホールドの少なくとも一方にて、前記開口部と該開口部の径方向における周囲とを覆うように設けられた張出部を備えており、
前記貫通部材が外側に突出する部分である前記開口部の前記径方向における周囲には、該周囲を囲むように、前記燃料電池の外側表面と前記張出部とによって前記積層方向から挟まれるとともに、前記燃料電池の外側表面が広がる平面に沿って、コンプレッションシール材とガラスシール材とが並列に配置されていることを特徴とする燃料電池。 - 前記貫通部材の張出部が、前記貫通部材と一体の部材である場合には、該一体の張出部と前記燃料電池の外側表面とによって、前記コンプレッションシール材と前記ガラスシール材とを前記積層方向から挟むことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
- 前記貫通部材はボルトであり、前記張出部が前記ボルトの頭部である場合には、該ボルトの頭部と前記燃料電池の外側表面とによって、前記コンプレッションシール材と前記ガラスシール材とを前記積層方向から挟むことを特徴とする請求項2に記載の燃料電池。
- 前記貫通部材の張出部が、前記貫通部材に係合する部材である場合には、該係合する張出部と前記燃料電池の外側表面とによって、前記コンプレッションシール材と前記ガラスシール材とを前記積層方向から挟むことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
- 前記貫通部材はボルトであり、前記張出部が前記ボルトに螺合するナットである場合には、該ナットと前記燃料電池の外側表面とによって、前記コンプレッションシール材と前記ガラスシール材とを前記積層方向から挟むことを特徴とする請求項4に記載の燃料電池。
- 前記貫通部材はボルトであり、
前記積層方向の一方の開口部側には、前記張出部として前記ボルトの頭部が配置され、該ボルトの頭部と前記燃料電池の外側表面とによって、前記コンプレッションシール材と前記ガラスシール材とを前記積層方向から挟み、
且つ、前記積層方向の他方の開口部側には、前記張出部として前記ボルトに螺合するナットが配置され、該ナットと前記燃料電池の外側表面とによって、前記コンプレッションシール材と前記ガラスシール材とを前記積層方向から挟むことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。 - 前記少なくとも一方の前記積層方向に延びるマニホールドに配置された前記貫通部材の周囲に、環状に前記ガラスシール材が配置されるとともに、該ガラスシール材の外周側に、前記コンプレッションシール材が配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池。
- 前記少なくとも一方の前記積層方向に延びるマニホールドに配置された前記貫通部材の周囲に、環状に前記コンプレッションシール材が配置されるとともに、該コンプレッションシール材の外周側に、前記ガラスシール材が配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池。
- 前記燃料電池は、ボルト締めによって、前記積層方向に押圧されて組み付けられていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の燃料電池。
- 前記請求項1〜9のいずれか1項に記載の燃料電池を製造する燃料電池の製造方法において、
前記貫通部材の径方向における周囲を囲むとともに、前記燃料電池の外側表面と前記貫通部材の張出部との間に挟まれるように、前記コンプレッションシール材と前記ガラスシール材となるガラス材料とを同一平面上に配置する第1工程と、
前記第1工程の後に、前記燃料電池の外側表面と前記貫通部材の張出部との間を押圧するように圧力を加えて、前記コンプレッションシール材を押圧する第2工程と、
前記第2工程の後に、前記ガラス材料が軟化する温度以上で加熱し、その後冷却することによって、前記ガラスシール材を形成するとともに、該ガラスシール材を、前記燃料電池の外側表面と前記貫通部材の張出部に接合する第3工程と、
を有することを特徴とする燃料電池の製造方法。
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