ところで、室内機の吊り下げ支持構造において、図9及び図10に示すように、ケーシング(110)における相隣り合う側面(111,111)がなす角部に、内側に窪む窪み部(112)をそれぞれ形成し、各窪み部(112)に、該窪み部(112)に隣り合うケーシング両側面(111,111)の延長面(図9の二点鎖線を参照)よりも内側に位置し、且つ吊り棒(102)の下端部が固定される吊り棒固定部材(103)を設けることがある。これにより、吊り棒(102)が、ケーシング両側面(111,111)の延長面よりも内側に位置するように配置される。
また、図10に示すものでは、地震発生時等に室内機が揺れることを抑制するために、ケーシング周方向に相隣り合う吊り棒(102,102)の間に2つの斜材(104,104)をX字状に配設している。この斜材(104)は、その上端部が吊り棒(102)の上端部に固定されている。
ここに、斜材(104)の下端部を吊り棒(102)におけるケーシング上面(113)よりも下側の部分に固定すると、吊り棒(102)がケーシング両側面(111,111)の延長面よりも内側に位置するために、斜材(104)がケーシング(110)に接触する。そこで、図10に示すものでは、斜材(104)の下端部を吊り棒(102)におけるケーシング上面(113)よりも上側の部分に固定している。
しかしながら、斜材(104)の下端部を吊り棒(102)におけるケーシング上面(113)よりも上側の部分に固定すると、地震発生時等に室内機が、斜材(104)の下端部の吊り棒(102)への固定部を支点として揺れてしまうため、その揺れを十分に抑制できないという課題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、地震発生時等に室内機が揺れることを十分に抑制することにある。
第1の発明は、室内機(1)を支持側部材(C)に吊り棒(2)で吊り下げ支持した室内機の吊り下げ支持構造であって、上記室内機(1)は、ケーシング(10)を備え、上記ケーシング(10)における相隣り合う側面(11,11)がなす角部には、内側に窪む窪み部(12)がそれぞれ形成され、 上記各窪み部(12)には、該窪み部(12)に隣り合うケーシング両側面(11,11)の延長面よりも内側に位置し、且つ上記吊り棒(2)の下端部が固定される吊り棒固定部材(3)が設けられ、ケーシング周方向に相隣り合う吊り棒(2,2)の間には、2つの斜材(4,4)がX字状に配設され、上記各吊り棒固定部材(3)には、一方側が上記ケーシング両側面(11,11)の一方の延長面よりも外側に、他方側が該ケーシング両側面(11,11)の他方の延長面よりも外側に突出し、且つ該突出部に上記斜材(4)の下端部が固定される斜材固定部材(5)が設けられていることを特徴とするものである。
第1の発明では、各窪み部(12)の斜材固定部材(5)の一方側を、該窪み部(12)に隣り合うケーシング両側面(11,11)の一方の延長面よりも外側に、他方側をそのケーシング両側面(11,11)の他方の延長面よりも外側に突出させ、その突出部に斜材(4)の下端部を固定したため、斜材(4)がケーシング(10)に接触しない。そして、上述の如く、斜材固定部材(5)の突出部に斜材(4)の下端部を固定したため、室内機(1)の揺れの支点となる、斜材(4)の斜材固定部材(5)への固定部がケーシング上面(13)よりも下側になる。
第2の発明は、室内機(1)を支持側部材(C)に吊り棒(2)で吊り下げ支持した室内機の吊り下げ支持構造であって、上記室内機(1)は、ケーシング(10)を備え、上記ケーシング(10)における相隣り合う側面(11,11)がなす角部には、内側に窪む窪み部(12)がそれぞれ形成され、 上記各窪み部(12)には、該窪み部(12)に隣り合うケーシング両側面(11,11)の延長面よりも内側に位置し、且つ上記吊り棒(2)の下端部が固定される吊り棒固定部材(3)が設けられ、ケーシング周方向に相隣り合う吊り棒(2,2)の間には、2つの斜材(4,4)がX字状に配設され、上記各吊り棒固定部材(3)には、ケーシング上面(13)よりも上側に突出するとともに該突出部に上記斜材(4)の下端部が固定され、且つ所定の強度を有する斜材固定部材(105)が設けられていることを特徴とするものである。
第2の発明では、斜材固定部材(5)をケーシング上面(13)よりも上側に突出させ、その突出部に斜材(4)の下端部を固定したため、斜材(4)がケーシング(10)に接触しない。また、斜材固定部材(5)を所定の強度を有するものとしたため、斜材(4)の斜材固定部材(5)への固定部がケーシング上面(13)よりも上側になるにも拘わらず、室内機(1)の揺れがその高強度の斜材固定部材(5)により抑制される。
第3の発明は、上記斜材固定部材(5,105)は、上記吊り棒固定部材(3)とは別部材であり、上記吊り棒(2)が挿通される切欠き(50a,150a)が形成され、且つ該吊り棒固定部材(3)に該吊り棒(2)を含む締結部材(2,6)で締結固定される締結固定部(50,150)を有していることを特徴とするものである。
ところで、斜材固定部材の締結固定部に吊り棒が挿通される挿通部として円孔を形成すると、斜材固定部材を後付けするときは、締結固定部を吊り棒固定部材に吊り棒を含む締結部材で締結固定するために、吊り棒を吊り棒固定部材から一旦取り外す必要がある。このため、その後付けの作業性が低くなる。
ここに、第3の発明では、斜材固定部材(5,105)の締結固定部(50,150)に吊り棒(2)が挿通される切欠き(50a,150a)を形成したため、斜材固定部材(5,105)を後付けするときは、締結固定部(50,150)の切欠き(50a,150a)に吊り棒(2)を通すことにより、締結固定部(50,150)を吊り棒固定部材(3)に吊り棒(2)を含む締結部材(2,6)で締結固定できる。
第4の発明は、上記第1〜第3の何れかの発明の室内機の吊り下げ支持構造に用いる斜材固定部材である。
第4の発明では、上記第1〜第3の何れかの発明と同様の作用が得られる。
上記第1の発明によれば、斜材固定部材(5)の突出部に斜材(4)の下端部を固定したため、室内機(1)の揺れの支点となる、斜材(4)の斜材固定部材(5)への固定部がケーシング上面(13)よりも下側になる。このため、地震発生時等に室内機(1)が揺れることを十分に抑制できる。
また、上記第2の発明によれば、斜材固定部材(5)を所定の強度を有するものとしたため、斜材(4)の斜材固定部材(5)への固定部がケーシング上面(13)よりも上側になるにも拘わらず、室内機(1)の揺れがその高強度の斜材固定部材(5)により抑制される。このため、地震発生時等に室内機(1)が揺れることを十分に抑制できる。
また、上記第3の発明によれば、斜材固定部材(5,105)を後付けするときは、締結固定部(50,150)の切欠き(50a,150a)に吊り棒(2)を通すことにより、締結固定部(50,150)を吊り棒固定部材(3)に吊り棒(2)を含む締結部材(2,6)で締結固定できる。このため、締結固定部に円孔を形成した場合とは異なり、吊り棒(2)を吊り棒固定部材(3)から一旦取り外す必要がない。したがって、その後付けの作業性を高めることができる。
また、上記第4の発明によれば、上記第1〜第3の何れかの発明と同様の効果が得られる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。
本実施形態に係る空気調和機の室内機(1)は、天井埋込カセット型の室内機である。室内機(1)は、図1〜図4に示すように、ケーシング(10)を備えている。このケーシング(10)は、略直方体状に形成されている。ケーシング(10)には、図示を省略するが、空気吸込口及び空気吹出口が形成されている。ケーシング(10)の内部には、図示を省略するが、ファンとベルマウス、熱交換器、ドレンパン、排水ポンプ等が配設されている。なお、図1〜図4では、図を見易くするため、部材の図示を適宜省略したり、簡略化したりしている(他の図も同様)。
ケーシング(10)における相隣り合う側面(11,11)がなす角部には、上下方向全域に亘って内側に窪む窪み部(12)がそれぞれ形成されている。窪み部(12)のうち3つは、上下方向から見てケーシング角部を略三角形状に落とした形状に形成されている。一方、その残りの1つは、上下方向から見てケーシング角部を略台形状に落とした形状に形成されている。
そして、ケーシング(10)は、その窪み部(12)にて吊り下げ用角材やCチャンネル、天井スラブ等で構成される天井裏に配設した支持側部材(C)の下面に吊りボルト(2)で吊り下げ支持されている。この支持構造を以下、具体的に説明する。なお、吊りボルト(2)は吊り棒に対応する。
吊りボルト(2)は、上下方向に延びている。各窪み部(12)の下端寄りには、吊り金具(3)が取付固定されている。この吊り金具(3)は吊り棒固定部材に対応する。吊り金具(3)の固定位置が下側になるほど、室内機(1)の施工が容易となる。各窪み部(12)の吊り金具(3)は、上下方向から見て該窪み部(12)に隣り合う(連続する)ケーシング両側面(11,11)の延長面(図1の二点鎖線を参照)の何れよりも内側に位置するように配置されている。
吊り金具(3)は、取付板部(30)と、吊りボルト固定板部(31)とを有している。取付板部(30)は、窪み部(12)の外面に取付固定されている。取付板部(30)は、略矩形状に形成されている。吊りボルト固定板部(31)は、取付板部(30)の上端部から水平方向に且つ窪み部(12)とは反対側(外側)に延びている。吊りボルト固定板部(31)は、略矩形状に形成されている。
吊りボルト固定板部(31)には、窪み部(12)とは反対側に開口する切欠き(32)が形成されている。この切欠き(32)は、第1切欠き構成部(32a)と、第2切欠き構成部(32b)とを有している。第1切欠き構成部(32a)は、吊りボルト固定板部(31)の幅方向(図3の左右方向)に延びている。第1切欠き構成部(32a)は、略トラック状に形成されている。つまり、第1切欠き構成部(32a)は、その長さ方向中央部が略矩形状に、その両端部が略半円状に形成されている。第1切欠き構成部(32a)の長さ方向中央部には吊りボルト(2)が挿通される。第2切欠き構成部(32b)は、第1切欠き構成部(32a)の長さ方向中央部からその直角方向で且つ窪み部(12)とは反対側に延びている。つまり、切欠き(32)は、全体として略T字状に形成されている。第2切欠き構成部(32b)は、吊りボルト固定板部(31)において窪み部(12)とは反対側に開口している。吊りボルト固定板部(31)における窪み部(12)とは反対側(ケーシング(10)とは反対側)の端部であって第2切欠き構成部(32b)の幅方向両側には、下側に突起する突起部(爪部)(33)がそれぞれ形成されている。この突起部(33)は、後述する下側のナット(6)が該突起部(33)に当接することにより、吊りボルト(2)が切欠き(32)から脱落することを抑制するようになっている。
そして、吊りボルト(2)の上端部は、支持側部材(C)に固定されている。一方、吊りボルト(2)の下端部は、上下方向から見て該吊りボルト(2)がこれに対応する窪み部(12)に隣り合うケーシング両側面(11,11)の延長面の何れよりも内側に位置するように、吊り金具(3)の吊りボルト固定板部(31)の切欠き(32)に該吊りボルト(2)に螺合した上下一対のナット(6,6)で締結固定されている。つまり、ケーシング(10)の吊り位置は、上下方向から見てケーシング周方向に相隣り合うケーシング側面(11,11)がなす外角の内側に位置している。
また、上下方向から見てケーシング周方向に相隣り合う吊りボルト(2,2)の間には、2本の斜材(4,4)がX字状にそれぞれ配設されている。この配設構造を以下、具体的に説明する。
斜材(4)は、棒ボルトで構成されている。各吊り金具(3)には、斜材固定金具(5)が取付固定されている。この斜材固定金具(5)は、ケーシング上面(13)よりも下側に配置されている。斜材固定金具(5)は、締結固定板部(50)と、斜材固定板部(51)とを有している。締結固定板部(50)は締結固定部に対応する。
なお、以下の説明では、略三角形状をなす窪み部(12)の斜材固定金具(5)について図3及び図4等を参照しながら主に説明するが、略台形状をなす窪み部(12)の斜材固定金具(5)は、その形状構造が略三角形状をなす窪み部(12)の斜材固定金具(5)と相違するものの、その機能は、略三角形状をなす窪み部(12)の斜材固定金具(5)とほぼ同様である。
締結固定板部(50)は、水平方向に且つ窪み部(12)の外面に沿って延びている。締結固定板部(50)は、略台形状に形成されている。締結固定板部(50)は、上下方向から見てその長さ方向一端側(一方側)が該締結固定板部(50)に対応する窪み部(12)に隣り合うケーシング両側面(11,11)の一方の延長面よりも外側に、その長さ方向他端側(他方側)がそのケーシング両側面(11,11)の他方の延長面よりも外側に突出している(飛び出している)。なお、略台形状をなす窪み部(12)の締結固定板部(50)は、略L字状に形成されている。
締結固定板部(50)における吊り金具(3)の切欠き(32)に対応する部分には、窪み部(12)とは反対側(外側)に開口する切欠き(50a)が形成されている。この切欠き(50a)は、切欠き(32)の第1切欠き構成部(32a)と直交する方向に延びている。切欠き(50a)は、その窪み部(12)側(ケーシング(10)側)の端部が略半円状に、その窪み部(12)とは反対側の部分が略矩形状に形成されている。つまり、切欠き(50a)は、略U字状に形成されている。切欠き(50a)の幅は、吊りボルト(2)の外径よりも大きい。切欠き(50a)における窪み部(12)とは反対側の端部には吊りボルト(2)が挿通される。
そして、締結固定板部(50)は、吊り金具(3)の吊りボルト固定板部(31)の上面に重ね合わせた状態で、該吊りボルト固定板部(31)にその切欠き(32)及び該締結固定板部(50)の切欠き(50a)に挿通した吊りボルト(2)並びにこれに螺合した上下一対のナット(6,6)で共締めにより締結固定されている。なお、吊りボルト(2)及びナット(6)は、本発明の「吊り棒を含む締結部材」に対応する。
斜材固定板部(51)は、締結固定板部(50)の長さ方向両端部からそれぞれ上側に突起している。つまり、この両斜材固定板部(51,51)の一方は、上下方向から見て該斜材固定板部(51)に対応する窪み部(12)に隣り合うケーシング両側面(11,11)の一方の延長面よりも外側に、他方はそのケーシング両側面(11,11)の他方の延長面よりも外側に配置されている。斜材固定板部(51,51)の一方は、そのケーシング両側面(11,11)の一方と平行に、他方は、該ケーシング両側面(11,11)の他方と平行に延びている。
各斜材固定板部(51)には、円状の固定孔(51a)が形成されている。この固定孔(51a)は、内周に雌ねじが形成された穴またはタッピンねじの下穴である。固定孔(51a)には、取付金具(52)が締結固定される。この締結固定は、ボルト及びナット等の締結部材で行われる(他の締結固定も同様)。取付金具(52)は、取付板部(52a)と、斜材取付板部(52b)とを有している。取付板部(52a)は、斜材固定板部(51)の窪み部(12)とは反対側の面に取付固定されている。取付板部(52a)は、上側で且つ斜材固定板部(51)の幅方向外側に延びている。斜材取付板部(52b)は、取付板部(52a)における斜材固定板部(51)とは反対側の端部(上端部)からその直角方向で且つ窪み部(12)とは反対側に延びている。斜材取付板部(52b)には、図示しない円状の取付孔が形成されている。この取付孔には、斜材(4)の下端部が締結固定される。このようにして、各斜材固定金具(5)には、2本の斜材(4,4)が締結固定される。
そして、斜材(4)の上端部は、吊りボルト(2)の上端部に図示しない取付金具(例えば市販品)を介して締結固定されている。一方、斜材(4)の下端部は、上述の如く、斜材固定金具(5)の斜材固定板部(51)に取付金具(52)を介して締結固定されている。以上により、斜材(4)は、ケーシング(10)に接触しないように配設されている。
室内機(1)の被固定部材(C)への吊り下げ支持工程を以下、説明する。
まず、吊りボルト(2)の上端部を支持側部材(C)に固定する。続いて、ケーシング(10)の窪み部(12)に取付固定した吊り金具(3)の吊りボルト固定板部(31)の切欠き(32)に吊りボルト(2)におけるナット(6,6)の間の部分を通す。また、斜材固定金具(5)の締結固定板部(50)の切欠き(50a)に吊りボルト(2)における上側のナット(6)と吊りボルト固定板部(31)との間の部分を通す。次に、締結固定板部(50)を吊りボルト固定板部(31)に吊りボルト(2)及びナット(6,6)で締結固定する。これにより、吊りボルト(2)の下端部が吊り金具(3)に締結固定され、ケーシング(10)が被固定部材(C)に吊りボルト(2)で吊り下げ支持される。
そして、斜材(4)の上端部を吊りボルト(2)の上端部に締結固定する。また、斜材(4)の下端部を斜材固定金具(5)の斜材固定板部(51)に締結固定する。これにより、斜材(4)がケーシング周方向に相隣り合う吊りボルト(2,2)の間にX字状に配設される。
以上により、室内機(1)の被固定部材(C)への吊り下げ支持が完了する。
一方、吊りボルト(2)を吊り金具(3)の吊りボルト固定板部(31)にナット(6,6)で締結固定した場合であって、斜材固定金具(5)及び斜材(4)を後付けするときは、まず、そのナット(6,6)のうち上側のナット(6)を緩める。続いて、斜材固定金具(5)の締結固定板部(50)の切欠き(50a)に吊りボルト(2)における上側のナット(6)と吊りボルト固定板部(31)との間の部分を通し、該締結固定板部(50)を上側のナット(6)と該吊りボルト固定板部(31)との間に挟み込む。次に、締結固定板部(50)を吊りボルト固定板部(31)に吊りボルト(2)及びナット(6,6)で締結固定する。そして、上述の如く、斜材(4)をケーシング周方向に相隣り合う吊りボルト(2,2)の間にX字状に配設する。
以上により、斜材固定金具(5)及び斜材(4)の後付けが完了する。
−実施形態1の効果−
本実施形態によれば、各窪み部(12)の斜材固定金具(5)の一方側を、該窪み部(12)に隣り合うケーシング両側面(11,11)の一方の延長面よりも外側に、他方側をそのケーシング両側面(11,11)の他方の延長面よりも外側に突出させ、その突出部(斜材固定板部(51))に斜材(4)の下端部を固定したため、斜材(4)がケーシング(10)に接触しない。そして、上述の如く、斜材固定金具(5)の突出部に斜材(4)の下端部を固定したため、室内機(1)の揺れの支点となる、斜材(4)の斜材固定金具(5)への固定部がケーシング上面(13)よりも下側になる。このため、地震発生時等に室内機(1)が揺れることを十分に抑制できる。
また、斜材固定金具(5)の締結固定板部(50)に吊りボルト(2)が挿通される切欠き(50a)を形成したため、斜材固定金具(5)を後付けするときは、上側のナット(6)を緩めた後に、締結固定板部(50)の切欠き(50a)に吊りボルト(2)を通して、締結固定板部(50)を上側のナット(6)と吊り金具(3)の吊りボルト固定板部(31)との間に挟み込むことにより、締結固定板部(50)を吊りボルト固定板部(31)に吊りボルト(2)及びナット(6,6)で締結固定できる。このため、締結固定板部に円孔を形成した場合とは異なり、吊りボルト(2)を吊り金具(3)から一旦取り外す必要がない。したがって、その後付けの作業性を高めることができる。
また、切欠き(50a)を窪み部(12)とは反対側(外側)に開口させたため、ナット(6)が緩んだときに切欠き(50a)の周縁部における窪み部(12)側の端部が吊りボルト(2)に当接することにより、斜材固定金具(5)が吊りボルト(2)から脱落することを抑制できる。
−実施形態1の変形例−
上記実施形態では、切欠き(50a)を窪み部(12)とは反対側に開口させたが、窪み部(12)側(内側)に開口させても良い。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2について説明する。この実施形態2は、斜材固定金具が実施形態1と相違するものである。この相違点について以下、説明する。
図5〜図8に示すように、各吊り金具(3)には、斜材固定金具(105)が取付固定されている。この斜材固定金具(105)は、締結固定板部(150)と、斜材固定板部(151)と、天板部(152)とを有している。
締結固定板部(150)は、水平方向に延びている。締結固定板部(150)は、略矩形状に形成されている。締結固定板部(150)における吊り金具(3)の切欠き(32)に対応する部分には、窪み部(12)側(内側)に開口する切欠き(150a)が形成されている。この切欠き(150a)は、切欠き(32)の第1切欠き構成部(32a)と直交する方向に延びている。切欠き(150a)は、その窪み部(12)側の部分が略矩形状に、その窪み部(12)とは反対側の端部が略半円状に形成されている。つまり、切欠き(150a)は、略U字状に形成されている。切欠き(150a)の幅は、吊りボルト(2)の外径よりも大きい。切欠き(150a)における窪み部(12)とは反対側の端部には吊りボルト(2)が挿通される。
そして、締結固定板部(150)は、吊り金具(3)の吊りボルト固定板部(31)の上面に重ね合わせた状態で、該吊りボルト固定板部(31)にその切欠き(32)及び該締結固定板部(150)の切欠き(150a)に挿通した吊りボルト(2)並びにこれに螺合した上下一対のナット(6,6)で共締めにより締結固定されている。
斜材固定板部(151)は、締結固定板部(150)における窪み部(12)とは反対側の端部から上側に延びている。斜材固定板部(151)は、ケーシング上面(13)よりも上側に突出している。
斜材固定板部(151)の上端部の幅方向両側には、円状の固定孔(151a)がそれぞれ形成されている。この固定孔(151a)は、内周に雌ねじが形成された穴またはタッピンねじの下穴である。固定孔(151a)には、取付金具(153)が締結固定される。この取付金具(153)は、天板部(152)よりも上側に突出している。取付金具(153)は、取付板部(153a)と、連結板部(153b)と、斜材取付板部(153c)とを有している。取付板部(153a)は、斜材固定板部(151)の窪み部(12)とは反対側の面に取付固定されている。取付板部(153a)は、上側で且つ斜材固定板部(151)の幅方向外側に延びている。連結板部(153b)は、取付板部(153a)における斜材固定板部(151)とは反対側の端部(上端部)から上側で且つ斜材固定板部(151)の幅方向外側に延びている。連結板部(153b)はまた、ケーシング側面(11)と平行に延びている。斜材取付板部(153c)は、連結板部(153b)における取付板部(153a)とは反対側の端部(上端部)からその直角方向で且つ窪み部(12)とは反対側に延びている。斜材取付板部(153c)には、図示しない円状の取付孔が形成されている。この取付孔には、斜材(4)の下端部が締結固定される。このようにして、各斜材固定金具(105)には、2本の斜材(4,4)が締結固定される。
天板部(152)は、斜材固定板部(151)の上端部から水平方向に且つ窪み部(12)側に延びている。天板部(152)は、締結固定板部(150)と対向している。天板部(152)は、その形状構造・大きさが締結固定板部(150)と同様である。つまり、天板部(152)は、略矩形状に形成されている。また、天板部(152)には切欠き(152a)が形成され、この切欠き(152a)には吊りボルト(2)が挿通される。
そして、斜材(4)の上端部は、吊りボルト(2)の上端部に図示しない取付金具(例えば市販品)を介して締結固定されている。一方、斜材(4)の下端部は、上述の如く、斜材固定金具(105)の斜材固定板部(151)に取付金具(153)を介して締結固定されている。以上により、斜材(4)は、ケーシング(10)に接触しないように配設されている。
また、斜材固定金具(105)は、全体として略コ字状(略箱状)に形成されている。これにより、斜材固定金具(105)は、地震発生時等に室内機(1)が揺れることを十分に抑制できるような所定の強度を有する形状をなす。
室内機(1)の被固定部材(C)への吊り下げ支持工程を以下、説明する。
まず、吊りボルト(2)の上端部を支持側部材(C)に固定する。続いて、ケーシング(10)の窪み部(12)に取付固定した吊り金具(3)の吊りボルト固定板部(31)の切欠き(32)に吊りボルト(2)におけるナット(6,6)の間の部分を通す。また、斜材固定金具(105)の締結固定板部(150)の切欠き(150a)に吊りボルト(2)における上側のナット(6)と吊りボルト固定板部(31)との間の部分を通すとともに、斜材固定金具(105)の天板部(152)の切欠き(152a)に吊りボルト(2)における上側のナット(6)よりも上側の部分を通す。次に、締結固定板部(150)を吊りボルト固定板部(31)に吊りボルト(2)及びナット(6,6)で締結固定する。これにより、吊りボルト(2)の下端部が吊り金具(3)に締結固定され、ケーシング(10)が被固定部材(C)に吊りボルト(2)で吊り下げ支持される。
そして、斜材(4)の上端部を吊りボルト(2)の上端部に締結固定する。また、斜材(4)の下端部を斜材固定金具(105)の斜材固定板部(151)に締結固定する。これにより、斜材(4)がケーシング周方向に相隣り合う吊りボルト(2,2)の間にX字状に配設される。
以上により、室内機(1)の被固定部材(C)への吊り下げ支持が完了する。
一方、吊りボルト(2)を吊り金具(3)の吊りボルト固定板部(31)にナット(6,6)で締結固定した場合であって、斜材固定金具(105)及び斜材(4)を後付けするときは、まず、そのナット(6,6)のうち上側のナット(6)を緩める。続いて、斜材固定金具(105)の締結固定板部(150)の切欠き(150a)に吊りボルト(2)における上側のナット(6)と吊りボルト固定板部(31)との間の部分を通し、該締結固定板部(150)を上側のナット(6)と該吊りボルト固定板部(31)との間に挟み込む。また、斜材固定金具(105)の天板部(152)の切欠き(152a)に、吊りボルト(2)における上側のナット(6)よりも上側の部分を通す。次に、締結固定板部(150)を吊りボルト固定板部(31)に吊りボルト(2)及びナット(6,6)で締結固定する。そして、上述の如く、斜材(4)をケーシング周方向に相隣り合う吊りボルト(2,2)の間にX字状に配設する。
以上により、斜材固定金具(5)及び斜材(4)の後付けが完了する。
−実施形態2の効果−
本実施形態によれば、斜材固定金具(105)をケーシング上面(13)よりも上側に突出させ、その突出部(斜材固定板部(151))に斜材(4)の下端部を固定したため、斜材(4)がケーシング(10)に接触しない。また、斜材固定金具(105)を所定の強度を有するものとしたため、斜材(4)の斜材固定金具(5)への固定部がケーシング上面(13)よりも上側になるにも拘わらず、室内機(1)の揺れがその高強度の斜材固定金具(105)により抑制される。このため、地震発生時等に室内機(1)が揺れることを十分に抑制できる。
また、斜材固定金具(105)の締結固定部(150)に吊りボルト(2)が挿通される切欠き(150a)を形成したため、斜材固定金具(5)を後付けするときは、上側のナット(6)を緩めた後に、締結固定板部(150)の切欠き(150a)に吊りボルト(2)を通して、締結固定板部(150)を上側のナット(6)と吊り金具(3)の吊りボルト固定板部(31)との間に挟み込むとともに、斜材固定金具(105)の天板部(152)の切欠き(152a)に吊りボルト(2)を通すことにより、締結固定板部(150)を吊りボルト固定板部(31)に吊りボルト(2)及びナット(6,6)で締結固定できる。このため、締結固定板部に円孔を形成した場合とは異なり、吊りボルト(2)を吊り金具(3)から一旦取り外す必要がない。したがって、その後付けの作業性を高めることができる。
−実施形態2の変形例−
上記実施形態では、斜材固定金具(105)を略コ字状に形成したが、地震発生時等に室内機(1)が揺れることを十分に抑制できるような所定の強度を有する限り、略矩形状等、他の形状をなしても良く、あるいは、高剛性部材で構成しても良い。
また、上記実施形態では、吊りボルト(2)を吊り金具(3)にのみ締結固定したが、これに加えて、斜材固定金具(105)の天板部(152)にも締結固定しても良い。これにより、吊りボルト(2)をより強固に固定できる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態では、斜材固定金具(5)を吊り金具(3)とは別部材としたが、これらを一体の部材としても良い。
また、上記実施形態では、斜材固定金具(5)の締結固定板部(50)を吊り金具(3)の吊りボルト固定板部(31)の上面に重ね合わせたが、その下面に重ね合わせても良い。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適物、あるいはその途の範囲を制限することを意図するものではない。