JP6044101B2 - センサーデバイス、センサーデバイスの製造方法および電子機器 - Google Patents
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Description
また、特許文献1に記載の振動型ジャイロセンサーでは、2つの振動素子間の動作周波数の差を1kHz以上とすることにより、これらの振動素子間の駆動信号や検出信号のクロストークを低減し、検出精度を高めることが行われている。
しかし、特許文献1に記載の振動型ジャイロセンサーでは、2つの振動素子間でのセンサー出力のノイズレベルの差が大きくなり、その結果、例えば、検出軸の方向によって振動制御補正精度が異なってしまうという問題があった。
[適用例1]
本発明のセンサーデバイスは、第1の検出軸まわりの角速度を検出する第1のセンサー素子と、
前記第1の検出軸と交差する第2の検出軸まわりの角速度を検出する第2のセンサー素子とを備え、
前記第1のセンサー素子の駆動周波数をfd1とし、前記第2のセンサー素子の駆動周波数をfd2とし、前記第1のセンサー素子の離調周波数をfm1とし、前記第2のセンサー素子の離調周波数をfm2としたとき、
fd1>fd2、かつ、fm1<fm2なる関係を満たし、
前記第1のセンサー素子のセンサー出力のノイズ密度と前記第2のセンサー素子のセンサー出力のノイズ密度との差は、0[deg・s −1 /√Hz]以上0.0003[deg・s −1 /√Hz]以下であることを特徴とする。
このように構成されたセンサーデバイスによれば、互いに異なる駆動周波数で駆動する複数のセンサー素子間のセンサー出力のノイズレベルの差を低減しつつ、互いに交差する方向の複数の検出軸まわりの角速度を検出することができる。
本発明のセンサーデバイスでは、前記第1のセンサー素子の駆動周波数fd1と前記第2のセンサー素子の駆動周波数fd2との差は、3kHz以上30kHz以下であることが好ましい。
これにより、第1のセンサー素子および第2のセンサー素子間の駆動信号または検出信号のクロストークを効果的に低減することができる。
本発明のセンサーデバイスでは、前記第1のセンサー素子の検出周波数をfs1とし、前記第2のセンサー素子の検出周波数をfs2としたとき、
fd1<fs1、かつ、fd2<fs2なる関係、または、fd1>fs1、かつ、fd2>fs2なる関係を満たすことが好ましい。
これにより、第1のセンサー素子および第2のセンサー素子の設計を容易なものとすることができる。
本発明のセンサーデバイスでは、前記第1のセンサー素子および前記第2のセンサー素子は、それぞれ、基部と、前記基部から延出され、駆動振動される振動腕と、前記振動腕に設けられた質量調整用膜とを有することが好ましい。
このように構成された第1のセンサー素子および第2のセンサー素子では、質量調整用膜の少なくとも一部を除去することにより、駆動周波数、検出周波数および離調周波数の調整を容易に行うことができる。
本発明のセンサーデバイスでは、前記第1のセンサー素子および前記第2のセンサー素子は、それぞれ、前記基部から延出され、検出振動が励振される検出用振動腕を有することが好ましい。
このように構成された第1のセンサー素子および第2のセンサー素子では、駆動周波数および検出周波数を個別に調整することができる。そのため、離調周波数の調整を容易に行うことができる。
本発明のセンサーデバイスでは、前記第1の検出軸および前記第2の検出軸は、互いに直交することが好ましい。
これにより、簡単な構成で、互い直交する2つの検出軸まわりの角速度を高精度に検出することができる。
本発明のセンサーデバイスでは、前記第1の検出軸および前記第2の検出軸と交差する第3の検出軸まわりの角速度を検出する第3のセンサー素子を備え、
前記第3のセンサー素子の駆動周波数をfd3とし、前記第3のセンサー素子の離調周波数をfm3としたとき、
fd1>fd2>fd3、かつ、fm1<fm2<fm3なる関係を満たすことが好ましい。
これにより、互いに異なる駆動周波数で駆動する3つのセンサー素子間のセンサー出力のノイズレベルの差を低減しつつ、互いに交差する3つの検出軸まわりの角速度を検出することができる。
本発明のセンサーデバイスの製造方法は、第1の検出軸まわりの角速度を検出する第1のセンサー素子と、前記第1の検出軸と交差する第2の検出軸まわりの角速度を検出する第2のセンサー素子とを備え、前記第1のセンサー素子の駆動周波数をfd1とし、前記第2のセンサー素子の駆動周波数をfd2としたとき、fd1>fd2なる関係を満たすセンサーデバイスの製造方法であって、
前記第1のセンサー素子および前記第2のセンサー素子を用意する工程と、
前記第1のセンサー素子および前記第2のセンサー素子のうちの少なくとも一方のセンサー素子の離調周波数を調整する工程とを有し、
前記離調周波数を調整する工程では、前記第1のセンサー素子の離調周波数をfm1とし、前記第2のセンサー素子の離調周波数をfm2としたとき、fm1<fm2なる関係を満たし、かつ、前記第1のセンサー素子のセンサー出力のノイズ密度と前記第2のセンサー素子のセンサー出力のノイズ密度との差が、0[deg・s −1 /√Hz]以上0.0003[deg・s −1 /√Hz]以下となるように、前記調整を行うことを特徴とする。
このようなセンサーデバイスの製造方法によれば、互いに異なる駆動周波数で駆動する複数のセンサー素子間のセンサー出力のノイズレベルの差を低減しつつ、互いに交差する方向の複数の検出軸まわりの角速度を検出することができるセンサーデバイスを製造することができる。
[適用例9]
本発明の電子機器は、本発明のセンサーデバイスを備えることを特徴とする。
これにより、信頼性に優れる電子機器を提供することができる。
図1は、本発明の実施形態に係るセンサーデバイスの概略構成を示す模式的断面図、図2は、図1に示すセンサーデバイスの平面図、図3は、図1に示すセンサーデバイスに備えられた支持部材を示す斜視図、図4は、図1に示すセンサーデバイスに備えられたセンサー素子の平面図、図5は、図1に示すセンサーデバイスの制御系を示すブロック図、図6は、図1に示すセンサーデバイスに備えられた複数のセンサー素子の離調周波数とセンサー出力のノイズ密度との関係を示すグラフ、図7は、図1に示すセンサーデバイスの製造方法における離調周波数の調整工程を説明するための図である。
図1に示すセンサーデバイス1は、互いに直交するx軸、y軸およびz軸の3軸(3つの検出軸)まわりの角速度をそれぞれ検出するジャイロセンサーである。
このようなセンサーデバイス1は、例えば、撮像機器の手ぶれ補正や、GPS(Global Positioning System)衛星信号を用いた移動体ナビゲーションシステムにおける車両などの姿勢検出、姿勢制御等に用いることができる。
このセンサーデバイス1は、図1に示すように、センサーモジュール2と、センサーモジュール2を収納するパッケージ3とを有する。
(センサーモジュール)
図1および図2に示すように、センサーモジュール2は、支持部材10と、z軸(第1の検出軸)まわりの角速度を検知するセンサーユニット101と、x軸(第2の検出軸)まわりの角速度を検知するセンサーユニット102と、y軸(第3の検出軸)まわりの角速度を検知するセンサーユニット103とを備える。
このように、センサーモジュール2は、支持部材10と、3つのICチップ20と、3つのセンサー素子30と、3つのフレキシブル配線基板41、42、43とを備える。
支持部材10は、3つのセンサーユニット101、102、103を支持する機能を有する。
この支持部材10は、図3に示すように、z軸に直交する第1の支持面11と、x軸に直交する第2の支持面12と、y軸に直交する第3の支持面13とを有する。
また、支持部材10は、前述したような金属で構成された場合、かかる金属で構成された金属板を折り曲げ加工することにより形成することができる。なお、支持部材10の形状は、図3に示すものに限定されず、例えば、直方体、多角形柱状、多角錘状等のブロック体で構成されていてもよい。
図1および図2に示すICチップ20は、センサー素子30を駆動する機能と、センサー素子30からの信号を検出する機能とを有する。
このICチップ20は、板状をなし、その一方の面が能動面を構成し、他方の面が非能動面を構成する。
具体的には、図5に示すように、ICチップ20zは、センサー素子30zを駆動する駆動信号を出力する駆動回路201zと、センサー素子30zからの検出信号を検出する検出回路202zとを備える。
同様に、ICチップ20xは、センサー素子30xを駆動する駆動信号を出力する駆動回路201xと、センサー素子30xからの検出信号を検出する検出回路202xとを備える。
駆動回路201zは、センサー素子30zが駆動周波数fd1で駆動するように、駆動信号を出力する。同様に、駆動回路201xは、センサー素子30xが駆動周波数fd2で駆動するように、駆動信号を出力する。また、駆動回路201yは、センサー素子30yが駆動周波数fd3で駆動するように、駆動信号を出力する。
また、ICチップ20の能動面側には、図示しないが、前述した集積回路に電気的に接続された接続端子および外部接続端子が設けられている。
また、この接続端子は、センサー素子30をICチップ20に対して固定・支持する機能をも有する。ここで、この接続端子は、突起電極であることから、センサー素子30とICチップ20との間に隙間を形成するスペーサとしても機能する。これにより、センサー素子30の駆動振動や検出振動を許容する空間を確保することができる。
センサー素子30(センサー素子片)は、1つの軸まわりの角速度を検出するジャイロセンサー素子である。具体的には、センサー素子30z(第1のセンサー素子)は、z軸(第1の検出軸)まわりの角速度を検出し、センサー素子30x(第2のセンサー素子)は、x軸(第2の検出軸)まわりの角速度を検出し、センサー素子30y(第3のセンサー素子)は、y軸(第3の検出軸)まわりの角速度を検出する。
このセンサー素子30は、その主要部分(基材)が圧電材料である水晶で構成されている。
また、センサー素子30における水晶のX軸、Y軸およびZ軸の向きは、それぞれ、水晶からの切り出し時における誤差を多少の範囲(0度〜7度)で許容することができる。
また、センサー素子30は、フォトリソグラフィー技術を用いたエッチング(ウェットエッチングまたはドライエッチング)により形成されている。
具体的に説明すると、センサー素子30は、基部31と、基部31を支持する支持部32と、基部31から延出した2つの検出用振動腕33、34および4つの駆動用振動腕35〜38とを有する。
支持部32は、ICチップ20に対して固定される1対の固定部321、322と、固定部321と基部31の本体部311とを連結する1対の梁部323、324と、固定部322と基部31の本体部311とを連結する1対の梁部325、326とを有する。
駆動用振動腕35、36は、基部31の連結腕312の先端部からy軸方向に沿って互いに反対側へ延出している。
駆動用振動腕37、38は、基部31の連結腕313の先端部からy軸方向に沿って互いに反対方向へ延出している。
また、検出用振動腕33、34および駆動用振動腕35〜38を有するセンサー素子30では、後述する周波数調整工程において、駆動周波数および検出周波数を個別に調整することができる。そのため、離調周波数の調整を容易に行うことができる。
金属または無機化合物は、気相成膜法により簡単かつ高精度に成膜することができる。また、金属または無機化合物で構成された質量調整用膜(錘膜)は、エネルギー線(特にレーザー)の照射により簡単かつ高精度に除去することができる。このようなことから、質量調整用膜を金属または無機化合物で成膜することにより形成することで、後述する周波数調整がより簡単かつ高精度なものとなる。
さらに、センサー素子30は、検出用振動腕33、34にそれぞれ設けられた検出電極(図示せず)と、駆動用振動腕35〜38にそれぞれ設けられた駆動電極(図示せず)と、支持部32の固定部321、322に設けられた複数の端子39a〜39fとを有する。端子39a、39dは、駆動用振動腕35〜38の駆動電極に電気的に接続され、端子39b、39cは、検出用振動腕33の検出電極に電気的に接続され、端子39e、39fは、検出用振動腕34の検出電極に電気的に接続されている。
ここで、センサー素子30は、端子39a〜39fがICチップ20の各接続端子に電気的および機械的に接続されることにより、ICチップ20上に実装されている。
また、センサー素子30は、その板面がICチップ20の板面に沿う(略平行になる)ように設置されている。これにより、センサーユニット101では、センサー素子30zの板面がz軸に直交する。また、センサーユニット102では、センサー素子30xの板面がx軸に直交する。また、センサーユニット103では、センサー素子30yの板面がy軸に直交する。
具体的には、センサーユニット101のセンサー素子30zは、その板面がz軸に直交することから、z軸まわりの角速度を検出することができる。また、センサーユニット102のセンサー素子30xは、その板面がx軸に直交することから、x軸まわりの角速度を検出することができる。また、センサーユニット103のセンサー素子30yは、その板面がy軸に直交することから、y軸まわりの角速度を検出することができる。
これにより、センサー素子30z、30x、30y間での駆動信号や検出信号のクロストークを低減し、検出精度を優れたものとすることができる。
このような離調周波数の関係を満たすことにより、互いに異なる駆動周波数で駆動する3つのセンサー素子30z、30x、30y間のセンサー出力のノイズレベルの差を低減しつつ、互いに交差する3つの検出軸まわりの角速度を検出することができる。
また、センサー素子30z(第1のセンサー素子)のセンサー出力S1のノイズ密度とセンサー素子30x(第2のセンサー素子)のセンサー出力S2のノイズ密度との差は、0[deg・s −1 /√Hz]以上0.0003[deg・s −1 /√Hz]以下であるのが好ましく、0[deg・s −1 /√Hz]以上0.0001[deg・s −1 /√Hz]以下であるのがより好ましい。これにより、センサー素子30zおよびセンサー素子30xのセンサー出力のノイズ密度を実質的に等しくすることができる。
また、センサー素子30zの検出周波数をfs1とし、センサー素子30xの検出周波数をfs2としたとき、fd1<fs1、かつ、fd2<fs2なる関係、または、fd1>fs1、かつ、fd2>fs2なる関係を満たすのが好ましい。これにより、センサー素子30zおよびセンサー素子30xの設計を容易なものとすることができる。
なお、駆動周波数fd1、fd2、fd3および離調周波数fm1、fm2、fm3の具体的数値は、それぞれ、センサー素子30の寸法、形状、材料、センサーデバイス1の用途等に応じて適宜決定されるものであり、前述したような関係を満たすものであれば、図4に示すものに限定されない。
図1、2に示すフレキシブル配線基板41、42、43は、それぞれ、例えば、ポリイミド等の可撓性を有する樹脂を主体としたベース層(図示せず)と、そのベース層に接合された配線パターン層(図示せず)とを備えている。
そして、フレキシブル配線基板41は、配線パターン層の一方の端部が第1の支持面11に支持されたICチップ20zの外部接続端子(図示せず)に取り付けられ(接合され)、配線パターン層の他方の端部が後述するパッケージ3の内部端子71に電気的に接続されている。同様に、フレキシブル配線基板42は、配線パターン層の一方の端部が第2の支持面12に支持されたICチップ20xの外部接続端子(図示せず)に取り付けられ(接合され)、配線パターン層の他方の端部が後述するパッケージ3の内部端子72に電気的に接続されている。また、フレキシブル配線基板43は、配線パターン層の一方の端部が第3の支持面13に支持されたICチップ20yの外部接続端子(図示せず)に取り付けられ(接合され)、配線パターン層の他方の端部が後述するパッケージ3の内部端子73に電気的に接続されている。
以上説明したように構成されたセンサーモジュール2によれば、x軸、y軸およびz軸まわりのそれぞれの角速度を検出することができる。
また、センサーモジュール2は、1つの軸まわりの角速度を検出するセンサーデバイスを3つ組み合わせたもの(すなわち、3つのセンサーデバイスを個別に機器に組み込むもの)と比較して、実装スペースを相当程度小さくすることができることから、センサーデバイス1が組み込まれる機器の小型化を図ったり、機器に組み込む際の配置、設計等の自由度を高めたりすることができる。
また、センサーモジュール2は、1つの軸まわりの角速度を検出するセンサーデバイスを3つ組み合わせたものと比較して、取付姿勢を本来の安定なものとすることができることから、耐衝撃性を向上させることが可能となる。
図1に示すように、パッケージ3は、平板状のベース部材61と、凹部62を有する蓋部材63(キャップ)とを備える。
本実施形態では、ベース部材61は、z軸方向からみた平面視(以下、単に「平面視」ともいう)にて矩形状をなしている。
図1に示すように、ベース部材61の上面65(蓋部材63に覆われる側の面)には、接着剤のような接合部材51により、前述した支持部材10の第1の支持面11とは反対側の裏面14が接合されている。これにより、センサーモジュール2がベース部材61に対して支持・固定されている。
一方、ベース部材61の下面66(パッケージ3の底面であって、上面65に沿った面)には、センサーデバイス1が組み込まれる機器(外部機器)に実装される際に用いられる複数の外部端子74が設けられている。
このような内部端子71、72、73および各外部端子74は、それぞれ、例えば、タングステン(W)等のメタライズ層にニッケル(Ni)、金(Au)等の被膜をメッキ等により積層した金属被膜からなる。
蓋部材63は、ベース部材61側に開口する凹部62を有する。これにより、ベース部材61との間にセンサーモジュール2が収納される内部空間を形成されている。
蓋部材63の凹部62の開口の外周部には、フランジ67が形成されている。
この蓋部材63は、例えば、ベース部材61と同材料、または、コバール、42アロイ、ステンレス鋼等の金属で構成されている。
このような蓋部材63のフランジ67は、ベース部材61の上面65に気密的に接合されている。これにより、パッケージ3内が気密封止されている。
なお、ベース部材61がシーム溶接やエネルギー線溶接等によりフランジ67に対して拡散接合し得る金属で構成されている場合には、接合部材64を省略することができる。この場合、蓋部材63のフランジ67は、ベース部材61の上面65にシーム溶接やエネルギー線溶接等により直接的に接合される。
この接合部材64は、蓋部材63のフランジ67に沿った四角環状をなしている。
次に、本発明のセンサーデバイスの製造方法について、前述したセンサーデバイス1の製造方法を例に説明する。
センサーデバイス1の製造方法は、[A]センサー素子30z、30x、30y(周波数調整前)を用意する工程と、[B]センサー素子30z、30x、30yのうちの少なくとも1つのセンサー素子の離調周波数を調整する工程とを有する。
[A]
まず、周波数調整前(未調整)のセンサー素子30z、30x、30yを用意する。
このとき、センサー素子30z、30x、30yは、後述する周波数調整が可能であれば、センサーモジュール2に組み込まれた状態であってもよいし、パッケージ3に収納されていてもよい。
次に、センサー素子30z、30x、30yのうちの少なくとも1つのセンサー素子の離調周波数を調整する。
具体的には、エネルギー線の照射により、質量調整用膜332、342、352、362、372、382の少なくとも一部を除去することにより、駆動周波数(駆動用振動腕35〜38の共振周波数)および検出周波数(検出用振動腕33、34の共振周波数)のうちの少なくとも一方を変化させ、離調周波数を調整する。このとき、前述したような駆動周波数および離調周波数の関係を満たすように、離調周波数の調整を行う。
なお、この微調整および粗調整において除去される質量調整用膜332の形状、部位およびその除去量は、必要に応じて適宜設定されるものであり、図示のものに限定されない。例えば、質量調整用膜332の一部をレーザー光の照射により除去した場合、その除去された部分は、ライン状、ドット状等の形状をなす。
また、このような周波数調整に用いるエネルギー線は、センサー素子30に悪影響を与えずに、質量調整用膜の必要部位を除去することができるものであれば、特に限定されず、放射線、電子線、レーザー、イオンビーム等が挙げられるが、炭酸ガスレーザー、エキシマーレーザー、YAGレーザー等のレーザーを用いるのが好ましい。これにより、簡単かつ確実に、質量調整用膜の一部または全部を所望量だけ除去することができる。
以上説明したような工程[A]、[B]を経て、センサーデバイス1を得る。
以上説明したような各実施形態のセンサーデバイスは、各種の電子機器に組み込んで使用することができる。
このような電子機器によれば、信頼性を優れたものとすることができる。
ここで、本発明のセンサーデバイスを備える電子機器の一例について、図8〜図10に基づき、詳細に説明する。
図8は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
このようなパーソナルコンピュータ1100には、ジャイロセンサーとして機能する前述したセンサーデバイス1が内蔵されている。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部100が配置されている。
図10は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリ1308に格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
このようなディジタルスチルカメラ1300には、ジャイロセンサーとして機能する前述したセンサーデバイス1が内蔵されている。
以上、本発明のセンサーデバイス、センサーデバイスの製造方法および電子機器について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、本発明のセンサーデバイスの製造方法では、任意の工程を追加することができる。
また、前述した実施形態では、複数のセンサー素子の検出軸が互いに直交している場合を例に説明したが、複数のセンサー素子の検出軸は、互いに交差していればよく、必ずしも直交していなくてもよい。
また、センサー素子30は、前述したようなダブルT型以外にも、二脚音叉、三脚音叉、H型音叉、くし歯型、直交型、角柱型等、種々のジャイロ素子を用いることが可能である。
また、前述した実施形態では、支持部材およびICチップを介してセンサー素子をパッケージに固定・支持した構成を例に説明したが、この支持部材を省略し、センサー素子をICチップを介してまたは直接的にパッケージに固定・支持した構成であってもよい。
また、前述した実施形態では、ICチップとパッケージとをフレキシブル配線基板を介して電気的に接続した構成を例に説明したが、ICチップとパッケージとの電気的接続は、これに限定されず、例えば、ボンディングワイヤーを介した接続、フェイスダウン実装による接続等であってもよい。
Claims (9)
- 第1の検出軸まわりの角速度を検出する第1のセンサー素子と、
前記第1の検出軸と交差する第2の検出軸まわりの角速度を検出する第2のセンサー素子とを備え、
前記第1のセンサー素子の駆動周波数をfd1とし、前記第2のセンサー素子の駆動周波数をfd2とし、前記第1のセンサー素子の離調周波数をfm1とし、前記第2のセンサー素子の離調周波数をfm2としたとき、
fd1>fd2、かつ、fm1<fm2なる関係を満たし、
前記第1のセンサー素子のセンサー出力のノイズ密度と前記第2のセンサー素子のセンサー出力のノイズ密度との差は、0[deg・s −1 /√Hz]以上0.0003[deg・s −1 /√Hz]以下であることを特徴とするセンサーデバイス。 - 前記第1のセンサー素子の駆動周波数fd1と前記第2のセンサー素子の駆動周波数fd2との差は、3kHz以上30kHz以下である請求項1に記載のセンサーデバイス。
- 前記第1のセンサー素子の検出周波数をfs1とし、前記第2のセンサー素子の検出周波数をfs2としたとき、
fd1<fs1、かつ、fd2<fs2なる関係、または、fd1>fs1、かつ、fd2>fs2なる関係を満たす請求項1または2に記載のセンサーデバイス。 - 前記第1のセンサー素子および前記第2のセンサー素子は、それぞれ、基部と、前記基部から延出され、駆動振動される振動腕と、前記振動腕に設けられた質量調整用膜とを有する請求項1ないし3のいずれかに記載のセンサーデバイス。
- 前記第1のセンサー素子および前記第2のセンサー素子は、それぞれ、前記基部から延出され、検出振動が励振される検出用振動腕を有する請求項4に記載のセンサーデバイス。
- 前記第1の検出軸および前記第2の検出軸は、互いに直交する請求項1ないし5のいずれかに記載のセンサーデバイス。
- 前記第1の検出軸および前記第2の検出軸と交差する第3の検出軸まわりの角速度を検出する第3のセンサー素子を備え、
前記第3のセンサー素子の駆動周波数をfd3とし、前記第3のセンサー素子の離調周波数をfm3としたとき、
fd1>fd2>fd3、かつ、fm1<fm2<fm3なる関係を満たす請求項1ないし6のいずれかに記載のセンサーデバイス。 - 第1の検出軸まわりの角速度を検出する第1のセンサー素子と、前記第1の検出軸と交差する第2の検出軸まわりの角速度を検出する第2のセンサー素子とを備え、前記第1のセンサー素子の駆動周波数をfd1とし、前記第2のセンサー素子の駆動周波数をfd2としたとき、fd1>fd2なる関係を満たすセンサーデバイスの製造方法であって、
前記第1のセンサー素子および前記第2のセンサー素子を用意する工程と、
前記第1のセンサー素子および前記第2のセンサー素子のうちの少なくとも一方のセンサー素子の離調周波数を調整する工程とを有し、
前記離調周波数を調整する工程では、前記第1のセンサー素子の離調周波数をfm1とし、前記第2のセンサー素子の離調周波数をfm2としたとき、fm1<fm2なる関係を満たし、かつ、前記第1のセンサー素子のセンサー出力のノイズ密度と前記第2のセンサー素子のセンサー出力のノイズ密度との差が、0[deg・s −1 /√Hz]以上0.0003[deg・s −1 /√Hz]以下となるように、前記調整を行うことを特徴とするセンサーデバイスの製造方法。 - 請求項1ないし7のいずれかに記載のセンサーデバイスを備えることを特徴とする電子機器。
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