以下、本発明の最良の形態としての第1〜第8実施形態について説明する。
第1実施形態では、ノッチ周期の判断機構によりノッチによる弊害が発生しないようにして、周期的に開口幅を左右対称で変化させるように細かいノッチ構造を拡散パターンエッジ部に持たせこのパターンで拡散されたた光により見える画素のぼやけ量・範囲をコントロールする構造をもつ映像表示装置について説明する。
第2実施形態では、凹凸部(ノッチ)自体による弊害が発生しないようにノッチ周期を判断しながら、視差バリア開口部のエッジもしくは反射手段のエッジにノッチ構造を付加してこのパターンにより拡散され表示手段に向かった光により照らされて見える画素のぼやけ量・範囲を制御する構造をもつ映像表示装置について説明する。
第3実施形態では、第1または第2実施形態に対して、ノッチ構造を実現するためのパラメータよりモアレパターン推定をまず行いその分析によりノッチ自体による弊害の有無が発生しないかどうかを判断する機構を持つ映像表示装置について説明する。
第4実施形態では、第1から第3実施形態例のいずれかの実施例で適正化されたノッチ周期を使って、ノッチ構造を実現するためのパラメータよりモアレパターンの推定を行い、所定のリファレンス用の角度をもつバリアより得られるモアレパターン間の周波数特性を比較して各パラメータにより得られたモアレパターンの定量評価を行う映像表示装置について説明する。
第5実施形態では、第4実施形態例におけるモアレパターン定量評価を、ノッチ周期を満足する複数のパターン候補に対して行い、所定の最適化探索を行うことでよりバリアパターンの適性化を自動的に行うことができる映像表示装置について説明する。
第6実施形態では、第1から第3実施形態のいずれかの実施例と同様に評価・適性化されたノッチ周期を用いて、バリアパターンの開口を通して見える画素領域の割合が水平方向に並ぶ各バリア位置でできるだけ均一になるようにノッチ構造を持つバリアパターン構造をもつ映像表示装置について説明する。
第7実施形態では、第1から第3実施形態のいずれかの実施例と同様に評価・適性化されたノッチ周期を用いて、混在する開口、画素領域、ブラックマトリックスの位置関係がブラック部や画素内電極により欠落しアンバランス化している状況を改善するようにノッチ構造を付加したバリア構造をもつ映像表示装置について説明する。
第8実施形態では、第1から第3実施形態のいずれかの実施例と同様に評価・適性化されたノッチ周期を用いて、バリアパターンに沿って、左右のノッチ構造による位相が一致している画素群とパターン位相が一致していない複数の画素群より構成されるユニット構造を持たせ繰り返すバリア構造を持つ映像表示装置について説明する。
<第1実施形態>
図1から図11を用いて、本発明の第1実施形態として、ノッチ周期の判断機構によりノッチによる弊害が発生しないようにして、周期的に開口幅を左右対称で変化させるように細かいノッチ構造を拡散パターン2001に持たせ、その開口エッジ部分に凹凸を付加して拡散パターンにより表示手段へ向けて拡散された光を通して見える画素のぼやけ量・範囲をコントロールするバリア構造とそれをもつ装置について説明する。
図1に、本発明の第1実施形態である映像表示装置の構成を示す。図2は、ノッチ周期の判断機構によりノッチによる弊害が発生しないようにするノッチ調整手段109の構成を示す。また、図3は、拡散手段での光の拡散・導光の様子を模式的に示し、図4は拡散手段の拡散パターンのエッジにノッチ構造を持たせる例を模式的に示す。そして、図5は、ノッチ構造をもつ拡散パターンを模式的に示し、図6はこの凹凸構造による効果概要を示す。また、図7は、凹凸部(ノッチ)自体による弊害を示す例を示し、図8から図10は、凹凸部(ノッチ)自体の周期に対する弊害(水平もしくは斜め・縦縞)の発生を分析した結果例を示す。図11は、図8と図9の視認による分析を行う際に、所定のパラメータを使ってモアレ画像推定を実施したが、その推定方法の概要を示すものである。これらの図に従い、本発明の第1実施形態である映像表示装置について説明する。
図1に示されるように、表示デバイスや拡散手段等の調整を行う初期調整手段105と、2次元の視差画像を表示する映像表示手段100と、その表示回路107、そして、光源1100と、光源1100からの光を映像表示手段へ拡散して伝えるための拡散パターンが用意されており、前記映像表示手段に表示された合成画像に含まれる画像のうち少なくとも1つを観察できるようにする拡散手段101と、その拡散手段と映像表手段間の距離や拡散手段の位置等を調整する拡散手段調整回路106、表示回路を介して100に表示される視差合成画像を格納した記憶媒体108、凹凸部(ノッチ)の周期を判定してその調整を実施するノッチ調整手段109より構成される。なお、拡散手段は、例えば、図3のように光源手段からの光を反射・導光するとともに、所定の間隔で散乱パターンが刻まれており、その散乱パターンに入射した光を映像表示手段へ拡散して伝える拡散パターンより構成されるものである。
まず、映像表示を開始する場合や居間等の部屋に初めて設置された時点で表示デバイス、拡散手段等の調整を初期調整手段105が実施する。この場合、拡散手段とディスプレイ間の距離や拡散手段における拡散パターンの傾きを所定の調整画像を用いて行うこととなる。また、液晶のように電圧等で拡散パターン位置や幅等を可変制御できるデバイスを用いて、この拡散パターン間のピッチを可変にしておき、そのピッチ調整をすることも可能である。
それと合わせて、最適視聴距離からのテスト画像を用いた立体映像視認評価を行い、見易さやぼけ/融像程度をもとに、表示回路での階調特性のチューニング等を実施する。なお、状況に応じて視差画像内の視差量制御(線形係数での強弱制御や水平方向シフト量調整)を実施してもよい。
映像表示手段100で表示された視差合成画像108は、映像分離手段101を用いて所定位置で所定視差画像が観察できるように光源1100からの光を通して表示され、観察者のいる位置で異なる視差画像を左眼と右眼で観察することで立体映像を観察することができる。
拡散手段101は、図3のように、光源手段からの光を導光する導光領域と、所定の間隔で刻まれた拡散パターンより構成されており、その散乱パターンに入射した光を映像表示手段へ拡散して伝えるように動作する。それに対して、この拡散パターンに入射しない光は導光領域で反射・導光され続けることとなる。このような構成を持たせることで、裸眼3D方式で使用される開口部分と遮蔽部分より構成される視差バリア方式と比較して、遮蔽により完全遮断されていた光が、導光領域で反射・導光され続け、拡散パターンに入射した時点で表示パネル方向の所定方向に拡散されることから、従来の視差バリア方式よりも明るい映像表示をすることが可能となる。
拡散パターン部は、図48左図のように、所定ピッチ間で配置された斜め方向に傾いたスラント構造やサブ画素サイズに合わせた矩形構造をしたステップ構造や、縦ストライプ構造をすることが多い。この拡散パターン間ピッチについては、画素ピッチと最適視聴距離、表示パネルと拡散パターン間の距離、視差数で幾何学的に決定されるものであり、通常はその拡散パターン部の大きさ(水平方向の視差を考える場合は、幅)を調整することで、モアレパターン低減と隣り合う視差画像が混在することで発生するクロストーク・ぼけの低減化を図るが、前述のようにモアレの強度とクロストーク量の関係は、トレードオフの関係にあり、片方を改善すると、もう片方の課題が大きくなる。
第1の本実施例では、この拡散パターン部形状を図4と図5で示されるように、スラント構造をもつ拡散パターンに所定の細かさで決定される凹凸構造(ここでノッチ構造と定義する)を付加させることで、クロストークを増やすことなくモアレのコントラストを減少させるようにしたものである。図5は、周期的に開口幅が最大開口幅hmaxから最小開口幅hminの間を線形的に変化するように三角形構造が最小開口幅をもつスラントの拡散パターン開口部に付加された例を示しており、左右における三角形はパターン中心軸にある点Cを中心とした点対称な形状(ノッチRとノッチLを参照)を示している。この拡散パターンは、図5で示されているように、拡散パターン中心軸の垂直方向に対する傾き角度αと、ノッチ構造(三角形)部分の水平軸に対する傾き角度β、ノッチ構造の周期幅ds、ノッチ構造の高さdwの4つより定義されている。dsを1画素ピッチpにおけるノッチ構造の分割数nを用いれば、ds=p/nとあらわすことも可能である。なお、ノッチ構造の周期幅dsは垂直方向での幅で示しているが、拡散パターンの傾き角度θに沿った方向で規定することも可能であり、その場合は、ノッチ構造の周期幅はdsをcosθで除算した値になる。ここで、pがR、G、Bの3サブ画素で1つの画素が構成されている場合は、サブ画素サイズspを用いてp=3×spとあらわすことも可能である。図6はこの凹凸構造による効果概要を示す。これらの図に従い、本発明の第1実施形態である映像表示装置について説明する。ノッチ構造の高さdwは例えば(数式1)のようになる。
(数1)
なお、図5ではスラント構造をもとに説明したが、通常の縦ストライプ構造の拡散パターンでも同様に成り立つと考える。この凹凸構造による効果概要を図6に示す。
従来のストライプ構造の拡散パターンを用いた場合、図6(a)のように、開口部を通して観察される画素面積が大きい場合は明るく見える(明部)が、開口部を通して観察される画素面積が小さくなるとその見えは暗くなる(暗部)。通常、拡散パターン間ピッチは所定の最適視聴距離で画像全体における所定視差方向の画素が集まるため、拡散パターン間ピッチはサブピクセル画素サイズの視差数N倍より少し小さな値になっており、このようにある観察位置から見た場合の、拡散パターンによりパネルに向けて拡散される光を通して見える画素位置の関係に変化が生じる。そのため、図6(a)のように明暗パターンが発生することとなり、この明暗部パターンがモアレとして観察され、この明暗の強さがモアレ強度として認識されると考える。ここれに対して、図6(b)のように、光を拡散する拡散板や拡散フィルムを用いて光の明暗をぼかしてやることによって、ブラックマトリックス部(PDPではリブ部とも言う)や補助電極の影響を少なくし、明暗の振れ幅を小さくすることでモアレを目立たなくすることもできるが、拡散が開口部中心に対して水平方向にガウス分布のように変化する特性を持っていることが多く、視差画像のぼけやクロストークを輪郭付近で発生することとなり、画質的に好ましいとは言えない。一方、図6(c)で示されるようにノッチ構造を持たせた場合、例えば明るい部分にはノッチ構造により隠れる画素領域を増やし、暗い部分にはノッチ構造により見える画素領域を増やすように、拡散パターンエッジ部分に凹凸構造を付加することで、ぼやけ量や範囲をコントロールすることができる。つまり、図6(c)矩形図のように、図4(a)矩形図の矩形分布の両端部分をカットして台形分布になるように調整することが可能となる。
この場合、この特性からノッチ構造の幅はある程度細かい方がこの効果が得られると考えられる(ノッチ構造の周期はある程度大きいがよい)。しかし、このノッチ構造の幅(つまり周期)の適性値は画素構造(特に画素を垂直方向に分割するようなメタルの補助電極等)に依存しており、例えば、1サブ画素が垂直方向にm分割される場合は、ノッチ構造の分割数nはmの自然数k(k>1)倍付近、つまりn=k×m付近でモアレ低減の効果が高くなる傾向もある。また、前記を満足するようなノッチ構造の分割数nでなくても、1画素がm分割される場合は、ノッチ構造の分割数nはその分割数mに画素を分割する際に生じるメタル電極数m-1と上下にあるブラックマトリックス部数2を加えた値nn = m+(m-1)+2以上の値をノッチ構造の分割数n以上の値を用いることが好ましい。すなわち、垂直方向に沿って見た際に、所定の明るさを発光する実効画素部分とブラックマトリックス、メタル電極のような発光していない暗い部分が繰り返される数をもとに得られる値をもとにこの分割数nを決めることとなる。しかしながら、前記モアレを低減する条件を満足したとしてもノッチ周期dsの値によって、図7のような弊害が発生することが判明している。図7(a)はノッチ周期dsが細かい場合(つまりノッチ分割数nが垂直方向画素における明暗数nnよりも大きい所定の値の場合)で発生した細かい水平方向の縞の例を示し、図7(b)はノッチ周期dsが大きい場合(ノッチ分割数nが明暗数nnよりも小さい場合)で発生した荒い水平方向の縞の例を示す。このように、どちらも図48左図のような大きな明暗パターンによる斜め(垂直)方向のモアレ縞は解消されているが、水平方向に別の明暗縞パターンが発生することがあり、これは、ノッチ自体が画素構造との干渉で発生するものと考えられ、そのノッチ周期dsの適正化を図ることが重要になる。この縞の発生有無に関して、ノッチ周期ds(μm)に対する弊害(縞)の発生を、図11の方法でシミュレーションしたモアレパターンの推定画像を用いて視認評価を行い、その発生に関する分析を実施した。なお、この視認評価はシミュレーション画像でなくても、実際に観察される実画像を用いることでもよいが、その場合、液晶のように電圧等で拡散パターン位置や幅等を可変制御できるデバイスや装置が必要となり、効率性や利便性の観点よりシミュレーションによる観察推定を用いることがより好ましい。
左右対称のノッチ構造をもつ拡散パターンのパラメータvp[i]=(α[i]、β[i]、hmin[i]、hmax[i]、dw[i]、ds[i])に対して、所定の観察位置U(xc、yc)より見えるモアレパターン(明暗パターン)の推定を行う。なお、適視距離dlenと拡散パターン―パネル間距離gap、画素サイズp、サブ画素サイズsp、視差数numは初期設定手段で設定されているものとする。また、α[i]、β[i]、dw[i]、拡散パターン最小幅hmin[i]、拡散パターン最大幅hamx[i]は固定して計算を実施した。
まず、図11のような方法で観察位置U(Xc、Yc)よりみた場合のモアレパターンの推定概要を示す。図11は8視差、傾き3:1(α=18.435°)のスラント構造の例を示す。
(ステップ1)サブ画素位置(i、j)に対して以下の処理を実施。まず、対象サブ画素(i、j)を細分化する。そして、各細分化された領域(is[k]、js[k])(k=1、・・・、nn)の画素に対して以下の評価を実施して、対象サブ画素の黒部分(ブラックマトリックス部、PDPではリブとも呼ぶ)の面積と画素部分の面積を計算する。
・Value=0.0と初期化を実施。
・拡散パターンによる拡散された光を通して画素位置(is[k]、js[k])が見える場合:
(1)その画素位置が黒領域に含まれる場合:対象サブ画素の明るさに反映させない。
(2)その画素位置が画素領域に含まれる場合:対象サブ画素の明るさに反映させるとして、Valueに1.0を加える。
・拡散パターンによる拡散された光を通して画素位置(is[k]、js[k])が見えない場合:
その画素位置が黒領域か画素領域に含まれるか含まれないかに関わらず、対象サブ画素の明るさに反映させない。
・対象サブ画素の画素領域に該当する画素位置の個数Totalを求め、Totalが対象サブ画素における全明るさ255.0に相当するとして、Valueを光源を通して見える実際の対象サブ画素の明るさに変換する際の変換係数Tkを求める。
・拡散パターンによる拡散された光を通して実際に見える対象サブ画素の明るさYvalを(数3)より求める。
(数3)
(ステップ2)画素位置を走査して、全画素位置に対してステップ1の処理を実施。
こうして得られたモアレパターン推定画像を図8の視認評価基準をもとに、各ノッチ周期(ピッチ)ds[i]に対して実施した。図9と図10はその例を示し、サブ画素サイズsp=160μm、傾き3:1(α=18.435°)、最小開口幅hmin[i]=hmin0=sp×0.9、dw[i]=dw0とした例を示す。(数式1)よりノッチ角度βは計算でき、最大開口幅hmax[i]もhmax[i]=hmin0+dw0×2となる。図9では、
(1)ノッチ周期に対してサブ画素垂直方向の長さが整数倍nである場合では、縞の発生は確認されない。
(2)実線矩形内のノッチ構造のピッチに対する水平縞の様子を見ると、(1)では発生していないが、その近傍前後では水平縞が発生しており、(1)に近づくほどその水平縞の間隔は大きくなる傾向がある。
(3)ノッチ周期に対してサブ画素垂直方向の長さが整数倍nとサブ画素垂直方向の長さが整数倍n+1の真ん中付近では水平縞は発生していない。
さらに図10では、
(4)ノッチ周期に対してサブ画素垂直方向の長さが整数倍nである場合では、縞の発生は確認されない。
(5)図7と同様にノッチ構造のピッチに対する水平縞の様子を見ると、(1)では発生していないが、その近傍前後では水平縞が発生しており、(1)に近づくほどその水平縞の間隔は大きくなる傾向がある。
(6)点線矩形内では、矩形内のノッチ構造のピッチに対する水平縞のみならず、斜め・縦縞を発生するノッチ周期を含んでいる。
(7)(6)に関して、ノッチ周期dsが大きい(つまりサブ画素垂直方向長さpに対する分割数nが小さい)場合で発生する傾向が大きい。
ことが判明する。これは、他の複数のサブ画素spに関しても視認評価を実施したが、同様に成立する。
ノッチ調整手段109はこの分析をもとにノッチ自体による弊害の有無判定とその調整を行うものであり、まずノッチ範囲判定手段201が、以下の判断をする。
[条件1]ノッチ周期dsがサブ画素垂直方向の長さの整数倍nからの所定範囲内Δdsthに存在していない。ここで所定範囲Δdsthはサブ画素垂直方向の長さの整数倍nの近傍を表す値であり、たとえば、サブ画素垂直方向の長さの整数倍nとなるノッチ周期ds_n1とサブ画素垂直方向の長さの整数倍n-1となるノッチ周期ds_n2の差分の1/10程度を示す。
[条件2]ノッチ周期に対してサブ画素垂直方向の長さが整数倍nとサブ画素垂直方向の長さが整数倍n-1(n+1でもよい)の中間付近に相当するノッチ周期dsである。
[条件3]ノッチ周期dsが所定範囲内にある。ここで所定範囲とは、ノッチ周期dsの最大値と最小値を示すものである。たとえば、サブ画素を垂直方向に沿って見た際に、所定の明るさを発光する実効画素部分とブラックマトリックス、メタル電極のような発光していない暗い部分が繰り返される数nnをもとにした分割数nより得られたサイズを最大値として用いてもよいし、予め調査されて得られた最大ノッチ周期を用いることでもよい。
この[条件1]から[条件2]を満足する場合、切替手段204は204aに接続することとなり、そのまま適正なノッチ周期パラメータとして拡散手段調整回路へ引き渡される。一方、上記条件を満足しない場合、切替手段204は204bに接続されノッチ周期調整手段202へ処理が渡される。
この場合、現在のノッチ周期dsから最も近い[条件2]を満足する「サブ画素垂直方向の長さが整数倍nである値ds1とサブ画素垂直方向の長さが整数倍n-1もしくはn+1の値ds2の中間値dso=(ds1+ds2)/2」を調整後のノッチ周期dsoとするか、現在のノッチ周期dsにΔdsthに所定の係数ηを乗算した値を加えたdso=ds+Δdsth×ηを調整後のノッチ周期とする。ただし、係数ηは[条件1]から[条件3]を満足するように選択されることとする。
このようなノッチ周期dsの判定・調整手段を設けることで、ノッチ自体による画素構造との干渉により生じる弊害(水平縞、ななめ・縦縞等)の発生を抑えることができ、その周期的に開口幅を左右対称で変化させるように細かいノッチ構造を拡散パターンエッジ部に持たせることで、拡散パターンにより表示手段へ向けて拡散された光を通して見える画素のぼやけ量・範囲をコントロールすることができる。
なお、このノッチ構造の場合、開口幅は変化するため、クロストークの基準として使用される、サブピクセルサイズに対する開口幅の比率(開口率)rHも変動することとなるが、ここでは所定範囲内(たとえば、uピクセルサイズ分とか)での平均開口率Ave_rHで規定され、細かいノッチ構造の特性を考慮すれば、この平均開口率をもち、拡散パターン間中心軸の傾き角度αをもつスラント構造の場合と同じ程度のクロストーク特性をもつ。このことから、平均開口率を所定の値ThAve_rHに設定して、凹凸によるノッチ構造を用いた場合のぼやけ量を制御することで、クロストーク量増加をできるだけ抑えながら見える画素面積の平均化を行うことも可能となる。
なお、図5では、ノッチ構造として三角形を用いたが、台形であっても、曲線的に変化する楕円弧であってもよいし、平行四辺形であってもよい。また、本実施例では、スラント構造で説明したが、縦ストライプ構造の拡散パターンの場合にも適用することが可能である。また、ノッチ構造は図5のように水平方向に持たせるのではなく、拡散パターン間中心軸に垂直になる方向にノッチ構造を付加してもよい。
また、スラント構造を持つ拡散パターンを例として説明したが、本実施例では、縦ストライプ構造を持つ場合やサブ画素の矩形形状を斜め方向に配置したステップ構造を持つ場合に関しても同様に適用することが可能である。
なお、ノッチ構造の高さdw、1ピクセル画素サイズpであるとき、1ピクセル内のノッチ構造の開口面積dSnと、最小開口幅hminをもつスラントバリアの1ピクセル内開口面積dSoは以下のようになる。
(数4)
この式より、1ピクセル内の分割数が増えても開口面積S=dSo+dSnは変化しない。
また、ピクセルサイズでの平均開口率Ave_rhをThAve_rHに保持する際に、最大開口幅hmaxがサブ画素サイズsp=p/3に対して所定の大きさLWMax = sp×dmax内になるように抑えることでも、クロストーク低減を満足することができる。その場合、最小開口幅がサブ画素サイズ×0.5程度以下になると、急激な開口幅変動による弊害や視聴位置(水平・垂直)の変動による影響を受ける可能性があるので、最小開口幅がサブ画素サイズ×0.7程度以上あることが好ましい。このような部分を加えることで、平均開口率だけでなく、最大の開口幅も視差画像配置の基準であるサブ画素spに対して制御できることとなり、よりクロストーク低減を満足しながらモアレパターンを抑えることのできるパターン設計が可能となる。
<第2実施形態>
図2、図12、図13を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。この実施例では、光源手段からの光を透過させる開口部と光を遮断する遮断部から構成される視差バリアと、前記映像分離手段と光源手段の間に配置され、光源手段からの光のうち、映像分離手段で遮蔽された光を反射・拡散する拡散手段を設け、視差バリアや拡散手段のいずれかにノッチ構造を付加することでモアレ低減を実現するものである。
図12に、本発明の第2実施形態である映像表示装置の構成を示す。図2は、ノッチ周期の判断機構によりノッチによる弊害が発生しないようにするノッチ調整手段109の構成を示すものであり、第1実施例と同様である。また、図13は、本発明における第2の発明である映像表示装置における映像分離手段と映像反射手段を組み合わせた例を模式的に示す図であり、拡散手段は、視差バリア手段の遮蔽部分に応じて配置されることで、遮蔽部に当たった光の多重反射を起こし、その多重反射を視差バリア手段の開口部からさらに取り出すようにしたものである。これらの図に従い、本発明の第2実施形態である映像表示装置について説明する。
図12に示されるように、表示デバイスや視差バリア等の調整を行う初期調整手段105と、2次元の視差画像を表示する映像表示手段100と、その表示回路107、光源手段1100、そして、100からの画像の光を開口や遮蔽をして所定の位置に視差画像を提示するための視差バリアのような映像分離手段1201と、その分離手段と映像表手段間の距離や分離手段の位置等を調整する分離手段調整回路1200、表示回路を介して100に表示される視差合成画像を格納した記憶媒体108、凹凸部(ノッチ)の周期を判定してその調整を実施するノッチ調整手段109、前記映像分離手段と光源手段の間に配置され、光源手段からの光のうち、映像分離手段で遮蔽された光を反射する反射・拡散手段1202と、その反射・拡散手段の位置等を調整する拡散手段調整回路106より構成される。
なお、パララックスバリア(視差バリア)1201は薄いフィルム膜や透明度の高い物質(ガラス等)で生成される固定バリアでも電圧等をかけることで遮蔽と開口(光の透過率)を変化することができるようなデバイス(例えばTFT液晶パネルなど)を用いることも可能である。また、1202は、液晶のように電圧等で拡散パターン位置や幅等を可変制御できるデバイスを用いて、この拡散パターン間のピッチを可変にしておき、そのピッチ調整をすることも可能である。反射・拡散手段は、例えば、図13のように構成されており、光源手段からの光の多重反射を利用して導光領域に存在する光の取り出し効率を向上させるとともに、所定の間隔で配置された視差バリア手段(映像分離手段)の開口部を通して通過する光を映像表示手段へ伝え、表示手段で表示された視差画像を分離・観察するようにしたものである。
まず、映像表示を開始する場合や居間等の部屋に初めて設置された時点で表示デバイス、拡散手段、映像分離手段等の調整を初期調整手段105が実施する。この場合、拡散手段、映像分離手段とディスプレイ間の距離や反射・拡散手段における拡散パターンの傾き、そして映像分離手段における視差バリア手段の傾きを所定の調整画像を用いて行うこととなる。それと合わせて、最適視聴距離からのテスト画像を用いた立体映像視認評価を行い、見易さやぼけ/融像程度をもとに、表示回路での階調特性のチューニング等を実施する。なお、状況に応じて視差画像内の視差量制御(線形係数での強弱制御や水平方向シフト量調整)を実施してもよい。
映像表示手段100で表示された視差合成画像108は、反射・拡散手段1202と映像分離手段1201を用いて所定位置で所定視差画像が観察できるように光源1100からの光を通して表示され、観察者のいる位置で異なる視差画像を左眼と右眼で観察することで立体映像を観察することができる。
図13のような構成を持たせることで、裸眼3D方式で使用される従来の開口部分と遮蔽部分より構成される視差バリア方式と比較して、遮蔽により完全遮断されていた光が多重反射・導光され続け視差バリアから取り出せることで光取出し効率が向上することとなり、従来の視差バリア方式よりも明るい映像表示をすることが可能となる。
視差バリア手段は、図48左図のように、所定ピッチ間で配置された斜め方向に傾いたスラント構造やサブ画素サイズに合わせた矩形構造をしたステップ構造や、縦ストライプ構造をすることが多い。この視差バリア間ピッチについては、画素ピッチと最適視聴距離、表示パネルと視差バリア間の距離、視差数で幾何学的に決定されるものであり、通常はその視差バリア手段の大きさ(水平方向の視差を考える場合は、幅)を調整することで、モアレパターン低減と隣り合う視差画像が混在することで発生するクロストーク・ぼけの低減化を図るが、前述のようにモアレの強度とクロストーク量の関係は、トレードオフの関係にあり、片方を改善すると、もう片方の課題が大きくなる。
第2の本実施例では、図4と図5で示されるように、スラントバリアに所定の細かさで決定される凹凸構造(ここでノッチ構造と定義する)を付加させることで、クロストークを増やすことなくモアレのコントラストを減少させるようにしたものである。なお、視差バリア手段の開口部のみならず、1100と1202の間に設定された反射・拡散手段のエッジ部分にノッチ構造を付加することも可能である。また、1100と1202の間に設定された反射・拡散手段のエッジ部分のみにノッチ構造を付加してもよい。さらに、第1実施例と同様にノッチ周期dsの判定・調整を行う手段を設けることで、ノッチ自体による画素構造との干渉により生じる弊害(水平縞、ななめ、縦縞等)の発生をも抑えることができる。以上のように、第2実施例の発明では、第1実施例と同様にノッチ周期の判断機構によりノッチによる弊害が発生しないようにして、周期的に開口幅を左右対称で変化させるように細かいノッチ構造を視差バリア手段1201開口部や拡散手段エッジ部に持たせる。そして、ノッチ構造を持つ視差バリア手段1201を通過した光を通して見える画素のぼやけ量・範囲をコントロールしてクロストークを増やすことなくモアレを低減するという利点を持つ。
なお、第1実施例と同じようにノッチ構造の幅dsは垂直方向での幅で示しているが、拡散パターンまたはバリアパターンの傾き角度θに沿った方向で幅を規定することも可能であり、その場合は、ノッチ構造の周期幅はdsをcosθで除算した値になる。
また、第1実施例の場合と同様に、ノッチ構造として三角形を用いたが、台形であっても、曲線的に変化する楕円弧であってもよいし、平行四辺形であってもよい。また、本実施例では、スラント構造の例で説明したが、縦ストライプ構造の場合にも適用することが可能である。また、ノッチ構造は図5のように水平方向の持たせるのではなく、拡散パターン間やバリア中心軸に垂直になる方向にノッチ構造を付加してもよい。
また、スラント構造例として説明したが、サブ画素の矩形形状を斜め方向に配置したステップ構造バリア例に関しても同様に適用することが可能である。
なお、ノッチ構造の高さdw、1ピクセル画素サイズpであるとき、1ピクセル内のノッチ構造の開口面積dSnと、最小開口幅minhをもつスラント構造の1ピクセル内開口面積dSoは第1実施例と同様に(数式2)のようになる。これは、間隙等があっても問題ない。また、左右のノッチ構造の高さdwLとdwRが変化したとしても、dwL+dwR=dw×2を満足するかぎり、1垂直方向画素内での開口面積Sは変化しない。
また、ピクセルサイズでの平均開口率Ave_rhをThAve_rHに保持する際に、最大開口幅hmaxがサブ画素サイズsp=p/3に対して所定の大きさLWMax = sp×dmax内になるように抑えることでも、クロストーク低減を満足することができる。その場合、最小開口幅がサブ画素サイズ×0.5程度以下になると、急激な開口幅変動による弊害や視聴位置(水平・垂直)の変動による影響を受ける可能性があるので、最小開口幅がサブ画素サイズ×0.7程度以上あることが好ましい。このような部分を加えることで、平均開口率だけでなく、最大の開口幅も視差画像配置の基準であるサブ画素spに対して制御できることとなり、よりクロストーク低減を満足しながらモアレパターンを抑えることのできる拡散パターンやバリアパターン設計が可能となる。
なお、視差バリアにノッチ構造を付加する場合は、反射・拡散手段はなくてもよい。また、図13bにあるように光源手段として線光源を用い、その線光源の方向を制御することでも映像表示手段の映像を所定の位置に分離提示することが可能となる。その場合、その線光源形状自体にノット構造を付加した形状の工夫をすることでモアレやクロストークを低減することも可能である。
<第3実施形態>
図1または図12、図14から図17を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。この実施例は、第1の実施例における拡散パターンのノッチ構造付加(図1)もしくは、第2の実施例におけるバリア開口部や反射・拡散手段へのノッチ構造付加(図12)において、ノッチ構造を実現するためのパラメータより水平縞の発生推定を行い、その分析を通してノッチ自体による弊害の有無が発生しないかどうかを判断・修正するようにしてノッチ周期の適正化を行うようにしたものである。そして、得られたノッチ周期をもとに見える画素のぼやけ量・範囲をコントロールすることでモアレ低減を実現する。
図14は、ノッチ調整手段109における構成を示し、211は水平縞が発生するかどうかを垂直方向に対する輝度分布推定より画素構造とノッチ構造の干渉状況を推定する1次元干渉推定手段と、その推定された干渉パターンより水平縞の有無を判定する縞分析手段212より構成され、水平縞が発生する可能性が低い場合には、切替手段214は214aに接続することとなり、そのまま適正なノッチ周期パラメータとしてバリア調整回路や拡散手段調整回路へ引き渡される。一方、上記条件を満足しない場合、切替手段214は214bに接続されノッチ周期調整手段202へ処理が渡される。この場合、1次元干渉推定手段では、図15のような方法で垂直方向の変動に対する画素構造とノッチ構造の干渉状況を推定する。つまり、前記選択された単位波形の個数の候補から、1画素の垂直方向位置に対する輝度分布を周期的に繰返す画素輝度分布を近似する周期関数f1と、ノッチ形状の幅を周期として持つ、垂直方向位置に対するノッチ幅を表す周期関数f2を示す。この2つの周期関数による相関Out(例えば、積、差分量の二乗等)を求める。このOut値が、垂直における画素とノッチ構造の干渉を示すものと考えられ、この相関値Outを見ることでノッチ構造自体が画素に与える影響をも考慮することができる。その場合、得られた垂直方向位置に対する相関出力値Outがうなりのように比較的に大きい周期で(またはゆっくりとした周期で)変動する低周波成分を持つ場合、このノッチ構造自体による干渉縞(横縞)発生の可能性が考えられる。この可能性は、画素サイズや画素部分における補助電極領域が大きくなり、選択されたノッチ構造の幅がかなり大きくなった場合に特に注意を要する。このノッチ構造自体の干渉を抑えるためには、この相関出力Outが大きな周期で変動する低周波成分を持つのではなく、比較的に均一な出力値を持つか、短く変動する高周波成分のみを持つようにすることが好ましい。なお、相関出力変化に周期性がない場合でもよい。以上のことから、ノッチ構造自体による干渉縞をより抑えることを考慮すると、画素分の黒領域と開口部の干渉で生じするモアレを消すために選定された複数の単位波形の数候補の中から、相関出力Outが比較的に均一な出力値を持つか短く変動する高周波成分のみを持つような単位波形の数を選択することがより好ましい。こうしてまず、現在のノッチ周期ds(言い換えればサブ画素垂直方向の分割数n)に問題があるかどうかを判定する。そして、この相関出力Outが大きな周期で変動する低周波成分を持っていると判断された場合には、ノッチ周期調整手段202が第1実施例や第2実施例の場合と同様の方法でノッチ周期dsの調整を行う。
なお、開始のノッチ周期ds(ノッチの分割数n)は、第1実施例で示した場合と同様に、モアレ低減効果は、サブ画素の垂直方向の画素構造に依存しており、サブ画素がt分割されている場合、開口部の左側もしくは右側ではt(画素領域数)+2(ブラックマトリックス領域)+t-1(補助電極領域)の分割数nnより得られるサイズ以下の周期が好ましいと考えられるので、ここから開始してもよいし、所定の最小ノッチ周期ds_minと最大ノッチ周期ds_maxを設定して、そのどちらから開始してもよい。また、第1実施例の[条件2]「ノッチ周期に対してサブ画素垂直方向の長さが整数倍nとサブ画素垂直方向の長さが整数倍n+1の中間付近に相当するノッチ周期dsである」を考慮して、ds_minとds_max内における「サブ画素垂直方向の長さの整数n分の1にあたるノッチ周期dsに対して、所定範囲Δdsthだけ変化させた値」から開始することでもよい。
こうして得られた適正化されたノッチ周期dsoを含む、左右対称のノッチ構造をもつバリアや拡散パターンのパラメータvp[i]=(α[i]、β[i],hmin[i], hmax[i]、 dw[i]、ds[i])を使って拡散パターンやバリア調整が実施される。
このように、画素垂直方向における輝度分布推定を行い水平縞の発生推定を行い、その分析を通してノッチ自体による弊害の有無が発生しないかどうかを判断・修正するようにしてノッチ周期の適正化を行うようにしたものである。そして、得られたノッチ周期をもとに、開口エッジに凹凸を付加してバリアを通して見える画素のぼやけ量・範囲をコントロールすることでモアレ低減を実現する。
図16、図17はこの変形版を示す。この変形では、ノッチ調整手段では、現時点での
左右対称のノッチ構造をもつバリアまたは拡散パターンのパラメータvp[i]=(α[i]、β[i]、hmin[i]、hmax[i]、dw[i]、ds[i])を使って、第1実施例における図8から図10で示したノッチ構造による水平・ななめ・縦縞の分析を行う際に使用したモアレ画像推定シミュレーションをモアレ推定手段220が実施する。そして、このモアレ画像に対して221のFFT手段が2次元方向のFFT変換を実施する。図17(a)は図5(a)に対するFFT結果例を示し、図17(b)はサブ画素sp=160μmの場合で水平縞のないななめモアレのみの推定画像に対するFFT画像例を示し、図17(c)ははサブ画素sp=160μmの場合でノッチによる水平縞が付加された斜めモアレ推定画像に対するFFT画像例を示す。2次元FFT画像では、通常、画像中心が直流成分を示し、中心から水平および垂直方向へ向けて各方向の周期成分の有無を画素値として示されており、その値が高いほど、その周期成分のパワーが大きいことを示す。図(a)は水平縞に対応する周期成分があり、図(b)では白丸のななめ成分がある。それに対して、(c)は(b)の斜め成分は抑えられているが、(a)の水平縞に相当する成分が斜め成分に付加されて現れていることがわかる。
この2次元FFT画像から、所定のパワー以上を持つ部分を抽出し、水平方向等で周期性があるパターンをもつかどうか(図17の白丸部分のような水平方向の成分)を222の縞判定手段が判定する。この判定によって、ノッチ周期dsが適正かどうかを判断して、その後の処理方向の切替を実施するのである。このように、前述のように垂直方向への輝度分推定のみでは不明確な場合でも、実際のモアレ画像推定を行い、2次元FFTとその分析を介して、周期性のある縞の有無を確認することが可能となる。
なお、第1や第2実施例と同じようにノッチ構造の幅dsは垂直方向での幅で示しているが、拡散パターンまたはバリアパターンの傾き角度θに沿った方向で幅を規定することも可能であり、その場合は、ノッチ構造の周期幅はdsをcosθで除算した値になる。
なお、第1実施例の場合と同様に、ノッチ構造として三角形を用いたが、台形であっても、曲線的に変化する楕円弧であってもよいし、平行四辺形であってもよい。また、本実施例では、スラント構造の例で説明したが、縦ストライプ構造の場合にも適用することが可能である。また、ノッチ構造は図5のように水平方向の持たせるのではなく、拡散パターン間やバリア中心軸に垂直になる方向にノッチ構造を付加してもよい。また、スラント構造例として説明したが、サブ画素の矩形形状を斜め方向に配置したステップ構造例に関しても同様に適用することが可能である。
なお、ノッチ構造の高さdw、1ピクセル画素サイズpであるとき、1ピクセル内のノッチ構造の開口面積dSnと、最小開口幅minhをもつスラント構造の1ピクセル内開口面積dSoは第1実施例と同様に(数式2)のようになる。これは、間隙等があっても問題ない。また、左右のノッチ構造の高さdwLとdwRが変化したとしても、dwL+dwR=dw×2を満足するかぎり、1垂直方向画素内での開口面積Sは変化しない。
また、ピクセルサイズでの平均開口率Ave_rhをThAve_rHに保持する際に、最大開口幅hmaxがサブ画素サイズsp=p/3に対して所定の大きさLWMax = sp×dmax内になるように抑えることでも、クロストーク低減を満足することができる。その場合、最小開口幅がサブ画素サイズ×0.5程度以下になると、急激な開口幅変動による弊害や視聴位置(水平・垂直)の変動による影響を受ける可能性があるので、最小開口幅がサブ画素サイズ×0.7程度以上あることが好ましい。このような部分を加えることで、平均開口率だけでなく、最大の開口幅も視差画像配置の基準であるサブ画素spに対して制御できることとなり、よりクロストーク低減を満足しながらモアレパターンを抑えることのできる拡散パターンやバリアパターン設計が可能となる。
<第4実施形態>
図11、図18から図23を用いて、本発明の第4実施形態について説明する。この実施例は、第1の発明に対して左右のノッチ構造の位相ずれやノッチ構造間の間隙、拡散パターン最大開口幅の変化パラメータを加えたことでより調整の幅を広げるとともに、ノッチ構造を実現するためのパラメータよりモアレパターンの推定を行い、所定のリファレンス用の角度をもつ拡散パターンより得られるモアレパターン間の周波数特性を比較して前記適正なパラメータを推定することで得られたノッチ構造を付加することで、各パラメータにより得られたモアレパターンの定量評価を行う立体映像表示を提供するものである。
図18に、本発明の第4実施形態である映像表示装置の構成を示す。また、図19は、本発明の第4実施形態である映像表示装置における開口パラメータ調整手段の構成を示し、図20は、モアレパターン評価手段の構成を示す。この発明は、第1の実施例に開口パラメータ調整手段を加えた構成になる。図21はモアレパターンの評価方法を模式的に示す。また、図22にモアレパターン評価に使用したリファレンスパターン例を示す。なお、この230で実施される開口パラメータは、ノッチ周期ds以外のパラメータを示す。また、モアレ推定手段は第1実施例で説明した図11の手法を用いることとする。これらの図に従い、本発明の第4実施形態である映像表示装置について説明する。
図18に示されるように、表示デバイスや拡散パターン等の調整を行う初期調整手段105と、2次元の視差画像を表示する映像表示手段100と、その表示回路107、そして、光源1100と、光源1100からの光を映像表示手段へ拡散して伝えるための拡散パターンが用意されており、前記映像表示手段に表示された合成画像に含まれる画像のうち少なくとも1つを観察できるようにする拡散手段101と、その拡散手段と映像表手段間の距離や拡散手段の位置等を調整する拡散手段調整回路106、表示回路を介して100に表示される視差合成画像108、ノッチ自体による弊害の有無が発生しないかどうかを判断・修正するようにしてノッチ周期の適正化を行うノッチ周期がノッチ調整手段109、得られたノッチ周期をもとに他のノッチパラメータ(開口幅、角度など)を調整する開口パラメータ調整手段230より構成される。なお、拡散手段は、例えば、図3のように光源手段からの光を反射・導光するとともに、所定の間隔で散乱パターンが刻まれており、その散乱パターンに入射した光を映像表示手段へ拡散して伝える拡散パターンより構成されるものである。
図19に示されるように、開口パラメータ調整手段230は、所定のパターンによるモアレを推定するモアレ推定手段220、モアレ推定パターンやリファレンスパターンに対する周波数分析を行うモアレパターン評価手段240、240で開口パラメータの調整が必要と判断された場合には、切替手段242は242aに接続することとなり、そのまま適正なバリアパラメータVp4として拡散手段調整回路へ引き渡される。一方、上記条件を満足しない場合、切替手段242は242bに接続され幅・傾き調整手段241へ処理が渡される。さらに、240は、リファレンスデータ211、モアレ推定パターンやリファレンスパターンに対する周波数分析を行う比較分析手段251、分析手段で得られた周波数分析結果より現在のパラメータによるパターンの評価値を求める評価値算出手段213より構成される。
まず、映像表示を開始する場合や居間等の部屋に初めて設置された時点で表示デバイス、拡散パターン等の調整を初期調整手段105が実施する。それと合わせて、最適視聴距離からのテスト画像を用いた立体映像視認評価を行い、見易さやぼけ/融像程度をもとに、表示回路での階調特性のチューニング等を実施する。なお、状況に応じて視差画像内の視差量制御(線形係数での強弱制御や水平方向シフト量調整)を実施してもよい。
映像表示手段100で表示された視差合成画像108は、映像分離手段101により所定位置で所定視差画像が観察できるように分離されることで、観察者のいる位置で異なる視差画像を左眼と右眼で観察することで立体映像を観察することができる。拡散手段101は、図3のように、光源手段からの光を導光する導光領域と、所定の間隔で刻まれた拡散パターンより構成されており、その散乱パターンに入射した光を映像表示手段へ拡散して伝えるように動作する。それに対して、この拡散パターンに入射しない光は導光領域で反射・導光され続けることとなる。このような構成を持たせることで、裸眼3D方式で使用される開口部分と遮蔽部分より構成される視差バリア方式と比較して、遮蔽により完全遮断されていた光が、導光領域で反射・導光され続け、拡散パターンに入射した時点で表示パネル方向の所定方向に拡散されることから、従来の視差バリア方式よりも明るい映像表示をすることが可能となる。拡散パターン部は、所定ピッチ間で配置された斜め方向に傾いたスラント構造やサブ画素サイズに合わせた矩形構造をしたステップ構造やサブ画素サイズに合わせた矩形構造をしたステップ構造をしている。
第4の本実施例では、この拡散パターン開口部の形状を図23のように第1実施例の凹凸構造(ノッチ構造)が付加されたスラント構造に、左右のノッチ構造の位相ずれdpやノッチ構造間の間隙dds、右側のノッチ構造高さの変化パラメータkdsRを加えたものである。この場合の効果は、第1実施例の場合の効果を示す図6(c)と同様に例えば明るい部分にはノッチ構造により隠れる画素領域を増やし、暗い部分にはノッチ構造により見える画素領域を増やすように、開口部エッジに凹凸構造を付加することで、ぼやけ量や範囲をコントロールすることができることにあり、その調整範囲を広げたものである。また、こうすることで、拡散パターンを製造する際に発生する製造誤差を予め許容誤差として考慮したパラメータ評価や、各パラメータの調整を行うことも可能となる。なお、最小開口幅hminのように誤差が生じやすい個所に所定の製造誤差err(%)を考慮して、モアレ推定評価時にその分を加算してモアレパターンを推定することでも製造誤差を考慮した拡散パターン用パラメータ評価は可能となる。
第1実施例と同様の方法で判断・調整されたノッチ周期dsoを用いて、各拡散パターンパラメータにより得られるノッチ構造パターンの評価を220が実施する。まず、220は、ノッチ構造をもつ拡散パターンの各パラメータvp[i]=(α[i]、β[i]、ds[i]、hmax[i]、hmin[i]、dp[i]、dds[i]、kdsR[i]、Ave_rh[i])に対して、所定の観察位置U(xc、yc)より見えるモアレパターン(明暗パターン)の推定を行う。なお、適視距離dlenと拡散パターン−パネル間距離gap、画素サイズp、サブ画素サイズsp、視差数numは初期設定手段で設定されているものとする。また、Ave_rh[i]=Aveh0、α[i]=α0、hmin[i]=hmin0のようにいくつかのパラメータはパネル画素構造や設計値として固定されることが多いが、可変パラメータとしてもよい。また、最大開口幅hmax、つまりノッチ構造の高さdwは変化してもよく、たとえばその変化率をkdwのようにパラメータとして加えることも可能である。Ave_rhは、第1または第2の実施例と同様に目的とする1画素サイズ(垂直方向)内の平均開口率を示す。バリアパラメータにおけるds[i]は、第1実施例と同様に調整されたdsoに設定されるものであり、230では調整対象外となる。220では、第1実施例のノッチ周期に対する弊害縞発生のためのシミュレーションを示す図11のような方法で観察位置Uよりみた場合のモアレパターンの推定概要を実施する。
こうして得られた対象パラメータvpによるモアレ推定パターン、つまり拡散パターンの評価を図21の方法で実施する。ここではバリアパターンによる例を示しているが、拡散パターンでも同様に成立する。リファレンスパターン252は、(1)は視差分離がよくクロストークの少ないリファレンス1:傾き3:1(α=18.435°)の角度をもち、開口率rhth=1.0のスラントバリアにより得られるモアレパターンを示す。また、(2)はモアレを薄くするように傾かせたリファレンス2:傾きα(例えば23°)の角度をもち、開口率rhth=1.0のスラントバリアにより得られるモアレパターンを示す。
リファレンスデータは、実際の画像データであっても、上記モアレシミュレーションによる推定画像を使ってもよいが、図22は推定データ(適視距離3000mm、観察距離1000mm、画面中心Uから観察した場合の400pixels×200pixelsにおけるパターン、4視差)を示す。なお、実際の撮影データをリファレンスとする場合は、平均明るさ補正や色バランス補正等が必要であるが、ここでは明るさの周波数分析の差分量を用いるため、そのまま実施することも可能である。そして、251では、リファレンス1、リファレンス2、そしてノッチ構造パラメータvp[k]により推定されたモアレパターンkに対して、まず周波数分析を行い、所定周波数内の平均パワースペクトルを求める。そして、リファレンス1に対するパワースペクトルとパラメータvpによるノッチ構造バリアパターンによるパワースペクトルの差分dPF1を求め、リファレンス2に対するパワースペクトルとパラメータvpによるノッチ構造拡散パターンによるパワースペクトルの差分dPF2を求める。この2つの差分量より、(数5)のようにしてvpの評価値Eval[k]を253が求める。ここで、wは(0.0≦w≦1.0)重み係数を示し、dPFMax1は、dPF1の最大値を示す。つまり、Eval[k]はリファレンス1よりも周波数分布が外れており、リファレンス2に近いものほど小さな評価値を示すこととなる。ここでは、評価値が小さいほど、より適正なパラメータであると定義する。リファレンス1のクロストーク特性を持ちながら、リファレンス2のようにモアレの薄くなるように傾かせたパターンにより近いものをノッチ構造拡散パターンで選択するのである。wが0に近いほど、リファレンス1より離れた値をもつ拡散パターンほど評価値が小さくなりより適切として判断され、wが1.0に近いほど、リファレンス2に近い値をもつ拡散パターンほど評価値が小さくなり適切と判断される。
(数5)
このようにすることで、より調整範囲を広げることが可能となるとともに、選ばれたパラメータの適性度を判断することも可能となる。さらに、第1実施例におけるノッチ構造拡散パターンに対して、例えばガラス板にエマルージョンで作成する場合、製造誤差が発生することで、例えばノッチ間隙ddsが発生することが多い。また、最大開口幅hmaxが変動することや左右の位相ずれも十分発生する可能性がある。このことは液晶バリアのようなアクティブバリアにおいても、表現できる形状精度によって近似が生じることで同じように発生する可能性がある。この場合、第1実施例では、この誤差を考慮されていないが、本実施例のように調整範囲を広げることで、その誤差を考慮した拡散パターンの最適化が可能となる。
なお、定性的ではあるが、次のことがわかっている。
・ノッチ間隙ddsは(0.2-0.4)×dsで周期性があり、その中で最適なものを選択する方がよい。
・右ノッチ開始位置dpは、位相ずれに関するが、dsで周期性があり、ds×0.5付近で比較的最適なものがある傾向がある。
・右周期増加kdsRは、(0.2-0.4)×dsで周期性がある。
・ノッチの幅dsに関しても評価値は周期性があり、hminが小さいほど、その周期性は大きくなる。これは、hminが小さいほど、Ave_rhが一定になる場合、ノッチ構造における高さdwを大きく変化させることが可能であることにも起因する。
なお、第1実施例と同じようにノッチ構造の幅dsは垂直方向での幅で示しているが、拡散パターンの傾き角度θに沿った方向で幅を規定することも可能であり、その場合は、ノッチ構造の幅はdsをcosθで除算した値になる。
なお、第1実施例の場合と同様に図5では、ノッチ構造として三角形を用いたが、台形であっても、曲線的に変化する楕円弧であってもよいし、平行四辺形であってもよい。また、本実施例では、斜めバリア構造で説明したが縦ストライプ構造の場合にも適用することが可能である。また、ノッチ構造は図5のように水平方向の持たせるのではなく、拡散パターン中心軸に垂直になる方向にノッチ構造を付加してもよい。
また、スラント構造を例として説明したが、サブ画素の矩形形状を斜め方向に配置したステップ構造に関しても同様に適用することが可能である。
なお、ノッチ構造の高さdw、1ピクセル画素サイズpであるとき、1ピクセル内のノッチ構造の開口面積dSnと、最小開口幅minhをもつスラント構造の1ピクセル内開口面積dSoは第1実施例と同様に(数式2)のようになる。これは、間隙等があっても問題ない。また、左右のノッチ構造の高さdwLとdwRが変化したとしても、dwL+dwR=dw×2を満足するかぎり、1垂直方向画素内での開口面積Sは変化しない。
また、ピクセルサイズでの平均開口率Ave_rhをThAve_rHに保持する際に、最大開口幅hmaxがサブ画素サイズsp=p/3に対して所定の大きさLWMax = sp×dmax内になるように抑えることでも、クロストーク低減を満足することができる。その場合、最小開口幅がサブ画素サイズ×0.5程度以下になると、急激な開口幅変動による弊害や視聴位置(水平・垂直)の変動による影響を受ける可能性があるので、最小開口幅がサブ画素サイズ×0.7程度以上あることが好ましい。このような部分を加えることで、平均開口率だけでなく、最大の開口幅も視差画像配置の基準であるサブ画素spに対して制御できることとなり、よりクロストーク低減を満足しながらモアレパターンを抑えることのできる拡散パターン設計が可能となる。
また、比較分析手段では、モアレ推定データImpに対する2次元FFT変換を前提としたが、第2実施例のような水平方向位置に対する輝度分布を使ってもよい。また、画像認識を使ったモアレパターンとの比較で分析することでもよい。
さらに、本発明は第2実施例(図12)に組み合わせることも可能である。その場合、初期調整手段105は視差バリアまたは拡散パターン(第2実施例)等の調整を行うとともに、バリア開口部や反射・拡散手段に開口パラメータ調整手段230を付加することとなる。ここで、バリア(視差バリア)1201は薄いフィルム膜や透明度の高い物質(ガラス等)で生成される固定バリアでも電圧等をかけることで遮蔽と開口(光の透過率)を変化することができるようなデバイス(例えばTFT液晶パネルなど)をバリアとして用いることも可能である。また、同様に第3実施例に本発明の開口パラメータ調整手段を加えることも可能である。
<第5実施形態>
図11、図24から図26を用いて、本発明の第5実施形態について説明する。この実施例は、第4の発明における各モアレパターンの定量評価を、ノッチ周期を満足する複数のパターン候補に対して行い、所定の最適化探索を行うことでより適切な拡散パターンを持つ立体映像表示を提供するものである。図24は本発明の第5実施例における映像表示装置の構成を示し、図25は本発明の第5実施例における複数開口パラメータ調整手段300の構成を示す。そして、図26は発明の第4実施例における最適化探索手段304の構成を示す。
まず、第1または第4実施例におけるノッチ調整手段109と同様に、ノッチ自体の弊害(水平、ななめ、縦縞等)が発生しないかどうかの判断を行い、その可能性がある場合にノッチ周期dsの調整を実施する。その際、適正化されたノッチ周期dsは一意に決定されるのではなく、複数候補を得ることができる。
109で抽出されたnnum個の適正なノッチ周期ds[i](i=0、・・・、nnum-1)に対して、各々gnum個のパラメータ候補を持つため、ノッチ構造をもつ拡散パターンによるパラメータ候補ベクトルはvp[k][i]=(α[k][i]、β[k][i]、ds[k][i]、hmax[k][i]、hmin[k][i]、dp[k][i]、dds[k][i]、kdsR[k]、Ave_rh[k])(i=0、・・・、nnum-1)(k=0、・・・、gnum-1)のようにTotalnum=gnum×nnum個が定義される。ここで、gnumはノッチ周期ds[i]1つに対して初期設定されるパラメータ候補数を示し、ここでは固定としたが、ds[i]ごとに可変とすることも可能である。この処理と、モアレ推定に必要な他の固定パラメータ(拡散パターンとパネル間のギャップなど)が301で実施される。この各パラメータ候補ベクトル群vp[k][i]に対して、所定の観察位置U(xc、yc)より見えるモアレパターン(明暗パターン)画像Img[k][i]の推定を複数モアレ推定手段302が実施する。303では、302で得られた各パラメータ候補ベクトル群vp[k][i]に対して、所定の観察位置U(xc、yc)より見えるモアレパターン(明暗パターン)画像Img[k][i]の周波数分析を2次元FFTにより実施する。そして、この各パラメータ候補ベクトル群vp[k][i]におけるモアレ状況を第4実施例における図21の評価を用いて行い、各パラメータベクトルの評価値Eval[k][i]を求め、所定のしきい値ThEvalよりも大きな値があれば、適正なパラメータ候補が得られたとして、切替手段305を305bに接続して、最適バリアパラメータ6Vp6として出力し、拡散手段制御回路へ引き渡す。一方、303で所定のしきい値ThEvalよりも大きな値がなければ、パラメータ候補ベクトルの調整・探索が必要として最適化探索手段304へ処理が移るように切替手段305aが接続される。
最適化探索手段304では、301で初期設定された多くのパラメータ候補vp[k][i](i=0、・・・、nnum-1)(k=0、・・・、gnum-1)に対する各評価値Eval[k][i]をもとに多変数パラメータ最適探索(遺伝的アルゴリズムやニューラルネットワーク、最小二乗法など)を行う処理部である。図26は、遺伝的アルゴリズムを多変数パラメータ最適探索に用いた場合の構成例を示す。遺伝的アルゴリズムでは次のように処理が実施される。
<<ステップ1>>vp[k][i]を元とするTotlanum個の元からなる集合Pを考える。集合Pの各元であるベクトルvp[k][i]の各要素は対象として与えられた最適解探索問題において対応するパラメータの具体的な解を表現しており、ベクトルvpは具体的な解ベクトルに相当する。ベクトルvp[k][i]の各要素α[k][i]、β[k][i]、ds[k][i]、hmax[k][i]、hmin[k][i]、dp[k][i]、dds[k][i]、kdsR[k]、Ave_rh[k]は、生物との関連から遺伝子と呼ばれ、ベクトルvpは染色体と呼ばれることがある。遺伝的アルゴリズムを用いる際、まず最初に解ベクトルの初期集合Pを適当に作る。
<<ステップ2>>集合Pの各元(染色体)の解の良さを予め設定された評価尺度に従って評価値し、その結果を評価値として表す。ここで、予め設定された評価尺度のことを評価関数(fitness関数)と呼ぶ。ベクトルvp[k][i]の評価値として303からのEval[k][i]をそのまま用いることとしたが、別の線形・非線形変換関数を用いて再度変換することも可能である。
<<ステップ3>>ステップ2で求められた評価値の大小をもとに解の適合度を判断する。このとき、問題により、評価値が大きいほうが適合度の良い解であるとする場合と、小さいほうが適合度の良い解であるとする場合があり、前者を最大化問題、後者を最小化問題と呼ぶ。適合度の小さい解ベクトルを現在の解集合から削除し、適合度の大きい解ベクトルを選択的に生き残らせる。このような操作を選択淘汰と呼ぶ。選択淘汰の方法として、様々な方法が知られている。
<<ステップ4>>前記ステップ3により選択された解ベクトル集合について、交叉(大域探索)や突然変異(局所探索)等の遺伝的な組み替え操作を施し、新しい解ベクトル集合を作成する。
このようにして現時点での拡散パラメータ候補ベクトル群vp[k][i]の組み替え操作を行い、新たな拡散パラメータ候補ベクトルvp[k][i]を求める。この処理を拡散パラメータ候補ベクトル群vp[k][i]に対する評価値Eval[k][i]が所定の値より大きくなった場合(最大化問題)に処理を終了する(最小化問題の場合は、評価値Eval[k][i]が所定の値より小さくなった場合に処理を終了判定とする)。または、Eval[k][i]の変化量の絶対値が所定値よりも小さくなった場合に処理の終了とすることでもよい。それまでは、ステップ2に処理が戻る。このような方法は多変数パラメータ最適探索に相当するものであり、ステップ4における交叉(大域探索)や突然変異(局所探索)を繰り返すことで、多変数パラメータベクトルの最適化を実現するものとして知られている手法である。こうして得られた最適な拡散パターンパラメータをバリア調整回路に引き継ぐことでノッチ周期を満足する適切な拡散パターンを選び出すことができる。通常、弊害のないノッチ周期候補ds[i]は複数存在することが図7、8からも考えられる。また、各ノッチ周期候補に対して適切なノッチ幅や角度等のパラメータ候補も複数あることが想像される。この発明では、多変数パラメータベクトルの最適化手法と、第4の実施例を組み合わせることで、第4の発明における各モアレパターンの定量評価を、ノッチ周期を満足する複数のパターン候補に対して行い、所定の最適化探索を行うことで、ノッチ自体による弊害の発生しない拡散パターン最適化を自動的に行うことができるというメリットを持つ。
なお、第1または第3実施例と同じようにノッチ構造の幅dsは垂直方向での幅で示しているが、拡散パターンの傾き角度θに沿った方向で幅を規定することも可能であり、その場合は、ノッチ構造の幅はdsをcosθで除算した値になる。
なお、第1実施例の場合と同様に図5では、ノッチ構造として三角形を用いたが、台形であっても、曲線的に変化する楕円弧であってもよいし、平行四辺形であってもよい。また、本実施例では、スラント構造で説明したが、縦ストライプ構造の場合にも適用することが可能である。また、ノッチ構造は図2のように水平方向の持たせるのではなく、拡散パターン中心軸に垂直になる方向にノッチ構造を付加してもよい。
また、スラント構造をもつ拡散パターンを例として説明したが、サブ画素の矩形形状を斜め方向に配置したステップ構造をもつ拡散パターンに関しても同様に適用することが可能である。
なお、ノッチ構造の高さdw、1ピクセル画素サイズpであるとき、1ピクセル内のノッチ構造の開口面積dSnと、最小開口幅minhをもつスラント構造の1ピクセル内開口面積dSoは第1実施例と同様に(数式4)のようになる。これは、間隙等があっても問題ない。また、左右のノッチ構造の高さdwLとdwRが変化したとしても、dwL+dwR=dw×2を満足するかぎり、1垂直方向画素内での開口面積Sは変化しない。
また、ピクセルサイズでの平均開口率Ave_rhをThAve_rHに保持する際に、最大開口幅hmaxがサブ画素サイズsp=p/3に対して所定の大きさLWMax = sp×dmax内になるように抑えることでも、クロストーク低減を満足することができる。その場合、最小開口幅がサブ画素サイズ×0.5程度以下になると、急激な開口幅変動による弊害や視聴位置(水平・垂直)の変動による影響を受ける可能性があるので、最小開口幅がサブ画素サイズ×0.7程度以上あることが好ましい。このような部分を加えることで、平均開口率だけでなく、最大の開口幅も視差画像配置の基準であるサブ画素spに対して制御できることとなり、よりクロストーク低減を満足しながらモアレパターンを抑えることのできる拡散パターン設計が可能となる。
また、比較分析手段では、モアレ推定データImpに対する2次元FFT変換を前提としたが、第2実施例のような水平方向位置に対する輝度分布を使ってもよい。また、画像認識を使ったモアレパターンとの比較で分析することでもよい。
さらに、本発明は第2実施例(図12)に組み合わせることも可能である。その場合、初期調整手段105は視差バリアまたは拡散パターン(第2実施例)等の調整を行うとともに、バリア開口部や反射・拡散手段に複数開口パラメータ調整手段300を付加することとなる。
<第6実施形態>
図1、2、図27から図32を用いて、本発明の第6実施形態として、拡散パターンから拡散された光を通して見える画素領域の割合が水平方向に並ぶ各パターン位置でできるだけ均一になるようにノッチ構造を持たせることで、クロストークを増やすことなくモアレのコントラストを減少させることができる立体映像表示行う装置について説明する。その際、第1実施例と同様に、ノッチ周期の判断・修正を行うことでノッチ自体による弊害が発生しないようにする機能も合わせ持つ。なお、第3実施例の構成を示す図1と図14または図1と図16を図27から図32の内容と組み合わせることも可能である。
この構成は第1実施例や第3実施例と同様な構成図を持つ。この発明の特徴は、第1または第3実施例におけるノッチ構造をもつスラントパターンに関して、図27から図32で示される考え方で生成することを示す。図27は、傾き3:1(α=18.435度)をもつ拡散パターンの場合で所定位置から観察した場合のモアレパターンが生じやすい理由を推定した図を示し、図28は実際の視認でモアレパターンが非常に少ない傾きα=23度をもつ拡散パターンの場合に対して所定位置から観察した場合のモアレが発生しにくい理由を模式的に説明した図である。そして、その理由をもとにモアレパターンが少なくなるように、図27のα=18.435度の拡散パターンに凹凸構造(ノッチ構造)を加えたパターン例を図29から図32に示す。なお、ノッチ構造は図29から図32で示されるように第1実施例や第3実施例と比べて、真ん中の開口部の左右で幅dwや高さdsが一致している必要はないが、各ノッチ構造は、第1実施例と同様に、拡散パターン中心軸の垂直方向に対する傾き角度αと、ノッチ構造(三角形)部分の水平軸に対する傾き角度β、ノッチ構造の周期幅ds、ノッチ構造の高さdwの4つより定義されている。dsを1画素幅pにおけるノッチ構造の分割数nを用いれば、ds=p/nとあらわすことも可能である。なお、第1実施例や第3実施例と同様に、ノッチ構造の周期幅dsは垂直方向での幅で示しているが、拡散パターンの傾き角度θに沿った方向で幅を規定することも可能であり、その場合は、ノッチ構造の周期幅はdsをcosθで除算した値になる。
図27、28より通常のスラント拡散パターンにおけるモアレパターンの発生しやすさに関して説明する。これらの図では、RGB画素の前に、所定の開口幅(開口率rhth=1.0)をもつスラント拡散パターンによる開口部が数本示されている。この例では、視差数N=4の場合を示しているが、他の場合でも同様に示すことが可能である。傾き角度α=18.435度の場合、図27にあるように模式的に表現できる。ここで、400の開口部グループAと401の開口部グループBを比較すると、開口部グループAでは、各開口部中心とその背後にあるRGBのサブ画素領域の中心が重なった関係をもつ場合が集結している場合を示す。それに対して、開口部グループBでは、各開口部中心とその背後にあるRGBのサブ画素領域の間にあるブラックマトリックス領域中心が重なった関係をもつ場合が集結している場合を示す。拡散パターン中心間のピッチ距離は、視差数N×サブ画素サイズspに近い値を持つことが幾何学的計算で判明している。そのため、画面水平方向に対して対象とする開口部Ak(k=1、・・・、nA)の近傍では同じような開口部とサブ画素の関係が集結するが、そこから画面水平方向に対して大きく離れるにつれて対象とする開口部Akとはずれた開口部Bn(n=1、・・・、nB)が生じることとなる。そして、開口部グループA内の開口部Akでは、各開口部中心とその背後にあるRGBのサブ画素領域の中心が重なった関係を多くもつため、所定の観察位置から見ると明るく感じることとなり、このグループ全体では明部パターンが観察されることとなる。それに対して、開口部グループB内の開口部Bkでは、各開口部中心と背後にあるRGBのサブ画素領域の間にあるブラックマトリックス領域中心が重なった関係を多くもつため、所定の観察位置から見ると大きく暗く感じることとなり、このグループ全体では暗部パターンが観察されることとなる。その結果、α=18.435度の拡散パターンを所定位置より観察した場合に、水平方向に対して明暗部を周期的に繰り返すモアレパターンが強く発生することとなる。このように、各開口部を通して見た場合に、各開口部とその背後にあるRGBサブ画素領域の関係で同じような位置関係が集結することで、開口部ごとに(AkとBk)明るさの不均一が生じやすくなり、結果としてモアレパターンが生じやすくなる可能性が推測される。これに対して、図28は、実際にモアレが非常に少ない傾き角度α=23度の場合を模式的に表現したものである。この場合、スラント拡散パターンを410の開口部グループAと411の開口部グループBを比較すると、開口部グループA、Bともに、各開口部中心とその背後にあるRGBのサブ画素領域の中心が重なった関係をもつ場合が集結しておらず分散した場合を示す。その結果、開口部グループA内の開口部Akでは、各開口部中心とその背後にあるRGBのサブ画素領域の中心が重なった関係が分散しているため、所定の観察位置から見ても大きく明るく感じことはならない。同様に、開口部グループB内の開口部Bkでも、各開口部中心とその背後にあるRGBのサブ画素領域の中心が重なった関係が分散しているため、所定の観察位置から見ても大きく明るく感じことはならない。つまり、開口部グループAと開口部グループBの明暗パターン差が小さくなることでモアレパターンが発生しにくくなる。このように、各開口部を通して見た場合に、各開口部とその背後にあるRGBサブ画素領域の関係で同じような位置関係が集結せず分散することで、開口部ごとに(AkとBk)明るさの不均一が生じにくく、結果としてモアレパターンが生じにくくなったことが推測される。
このことをもとに、図27のα=18.435度のバリアパターンに凹凸構造(ノッチ構造)を加えたパターン例を図29から図32に示す。なお、平均開口率Ave_rhはrhthと同じになるものとする。そのため、最小開口幅のサブ画素サイズに対する比率はrhthより小さくなり、rhmin=rhth×Rminとなる(図29から図32ではrhmin=1.0)。図29では、ノッチ構造の分割数n=2.5、かつ左右のノッチ開口幅(高さ)dwが同じであり、左右のノッチ開口部の位相が一致している場合を示す。なお、このノッチ構造の分割数nは、第1または第2実施例と同様に、製造誤差による影響を考慮するとサブ画素の垂直方向サイズpをノッチ周期dsで除算した際の値nndが整数近傍から離れた値であることが好ましい。できれば、連続する整数比nn1とnn1+1もしくはnn1-1とnn1の中間付近に位置するノッチ周期となることが、製造誤差の影響を受ける可能性がほぼなくなることからより好ましい。
この場合、 開口部グループBに含まれる1つの開口部ストライプBmの開口部Bm[s]を見た場合、その下の開口部Bm[s+1]と合わせると、その背後の画素(G画素)が見える割合が大きくなっており、この位置関係は開口部グループBに含まれる他の開口部ストライプBmで同じにように観察できる。つまり、開口部グループBでは、ノッチ構造の付加により、図23の開口部グループBよりも拡散パターンにより拡散された光を通して見える明るさが大きくなることを示している。これに対して、開口部グループAでは、最小開口幅hminが通常のスラント拡散パターン開口幅hthよりも小さくなっているが、ノッチ構造付加により、図27の開口部グループAに近い程度まで明るく見えるようになっていると考える。このことから、図29では図28に対して、開口と画素との同じ位置関係が集結はしているが、グループA内の開口と画素との位置関係とグループB内の開口と画素との位置関係の差が縮まっており、結果として明暗差も小さくなったことでモアレパターンも減少することが予測される。これに対して図30では、図29のノッチ構造の高さdwと同じで、周期幅dsを小さく(ノッチ構造の分割数nが大きくn=6.5)した場合を示す。図29に対して、開口部グループBに含まれる1つの開口部ストライプBmの開口部Bm[s]を見た場合、その下の開口部Bm[s+1]と合わせると、その背後の画素(G画素)が見える割合がさらに大きくなっており、開口部グループBでは、より周期の細かいノッチ構造の付加により、図27、図29の開口部グループBよりも拡散パターンを通して見える明るさが大きくなることを示している。つまり、図29よりもグループA内の開口と画素との位置関係とグループB内の開口と画素との位置関係の差がさらに縮まっており、明暗差もより小さくなったことでモアレパターンもより減少することが予測される。
また、図31では、右側のノッチ構造の分割数nRを左側の分割数nLより小さくしたパターンを示す(nR=3.5、nL=6.5)。この場合、左右のノッチ構造の位相ずれは発生するが、1画素内の平均開口率Ave_rhは図29と変化しない。図29と同様に開口部グループBに含まれる1つの開口部ストライプBmの開口部Bm[s]の割合が大きくなるとともに、その下の開口部Bm[s+1]の見える割合がさらに減少するが、その背後の画素(G画素)が見える割合は図29に比べて大きな差は生じにくくなる。
さらに、図32のように左右の高さdwを変えることも考えられる。ここで、左側の高さをdwL=dw+Ddwとして、右側の高さをdwR=dw-Ddwとすれば、1画素内での平均開口率Ave_rhは図31と同じになる。この場合、開口部グループBに含まれる1つの開口部ストライプBmの開口部Bm[s]の割合が大きくなるとともに、その下の開口部Bm[s+1]の見える割合が減少するが、その背後の画素(G画素)が見える割合は図31に比べて大きな差は生じにくくなる。よって、図31と比べて明るさは問題がないとともに、グループA内の開口と画素との位置関係とグループB内の開口と画素との位置関係がさらに近くなると考えられ、前述までの検討からモアレパターンが大きく減少することが予測される。
また、図31、図32のノッチ構造に対して、ピクセル単位で見た場合の最初のいくつかの左側のノッチ構造の高さdwLを他のものよりも大きくした例も可能である。この場合、対応する右側のノッチ構造の高さdwRは他よりも小さくなることとなる。このような場合でも、同様に、開口部グループBに含まれる1つの開口部ストライプBmの開口部Bm[s]の割合が大きくなるとともに、その下の開口部Bm[s+1]の見える割合がさらに減少するが、その背後の画素(G画素)が見える割合は図29に比べて大きな差は生じにくくなる。よって、図29と比べて明るさは問題がないとともに、グループA内の開口と画素との位置関係とグループB内の開口と画素との位置関係がさらに近くなると考えられ、前述までの検討からモアレパターンがさらに大きく減少することが予測される。
なお、図31、32におけdwLとdwR、nLとnRであるが反対に設定しても、開口部が右にずれる(開口部グループBに含まれる1つの開口部ストライプBmの開口部Bm[s]で大きく見える背後画素がB画素になる)だけであり同じように成立する。
よって、以下のようなノッチ構造をもつスラント拡散パターンをすることが好ましい。
・ノッチ構造の分割数nを大きく、つまり周期dsを小さくとる。ただし、第1または第2実施例と同様にして選択された値であり、製造誤差による影響を考慮するとサブ画素の垂直方向サイズpをノッチ周期dsで除算した際の値nndが整数近傍から離れた値であることが好ましい。できれば、連続する整数比nn1とnn1+1もしくはnn1-1とnn1の中間付近に位置するノッチ周期となることが、製造誤差の影響を受ける可能性がほぼなくなることからより好ましい。
・左右のノッチ構造の高さ、つまり周期をずらして位相を変える
・左右のノッチ構造の高さを変える、つまり左側の高さをdwL=dw+Ddw、右側の高さをdwR=dw-Ddwとして、両方の合計を2dwになるようにする
・平均開口率Ave_rhを所定の開口率rhthに保持するために、最小開口幅hminは小さいほど、ノッチ構造の高さdwは大きくできるが、ノッチ構造の鋭角さが増すことで製造誤差の影響を受けやすくなる。よって、最小開口幅の比率rhminは0.6〜0.7×hth≦rhmin<rhthが好ましい。
なお、この図では、サブ画素分割(とメタル補助電極)を考慮されていないが、その場合も同じように考えられる。この分割数nは画素構造に依存しており、1つのサブ画素分割数に関連すると思われる。よって、サブ画素がt分割されている場合、開口部の左側もしくは右側ではt(画素領域数)+2(ブラックマトリックス領域)+t-1(補助電極領域)の分割数以上が好ましいと考える。これは、垂直方向に沿って見た際に、所定の明るさを発光する実効画素部分とブラックマトリックス、メタル電極のような発光していない暗い部分が繰り返される数より大きな分割数n(自然数でなく少数)を用いることになる。
また、ここではモアレの少ないパターン生成について示したが、ここで実施した分析方法をもとに、所定のノッチ構造をもつスラント拡散パターンの評価をモアレ発生の可能性をもとに行うことも可能である。この場合、例えば、開口部グループA内で発生する位置関係の分布と開口部グループB内の位置関係の分布を比較することでもよいし、開口部グループA内で発生する位置関係により生じる見える画素領域分布と開口部グループB内の位置関係により生じる見える画素領域分布を比較することでもよいし、開口部グループA内で発生する位置関係により生じる明るさ分布と開口部グループB内の位置関係により生じる明るさ分布を比較することでもよい。
なお、第1実施例の場合と同様にノッチ構造として三角形を用いたが、台形であっても、曲線的に変化する楕円弧であってもよいし、平行四辺形であってもよい。また、ノッチ構造は図5のように水平方向に持たせるのではなく、拡散パターン中心軸に垂直になる方向にノッチ構造を付加してもよい。
なお、ノッチ構造の周期dsL(左側におけるノッチ周期)、dsR(右側におけるノッチ周期)は、第1実施例または第3実施例と同様の方法で調整された値の候補より決定される。つまり、このモアレ低減効果は、サブ画素の垂直方向の画素構造に依存しており、サブ画素がt分割されている場合、開口部の左側もしくは右側ではt(画素領域数)+2(ブラックマトリックス領域)+t-1(補助電極領域)の分割数nnより得られるサイズ以下の周期が好ましいと考えるが、第1または第3実施例で示したように、製造誤差による影響を考慮するとサブ画素の垂直方向サイズpをノッチ周期dsで除算した際の値nndが整数近傍から離れた値であることが好ましい。できれば、連続する整数比nn1とnn1+1もしくはnn1-1とnn1の中間付近に位置するノッチ周期となることが、製造誤差の影響を受ける可能性がほぼなくなることからより好ましい。
また、ピクセルサイズでの平均開口率Ave_rhを保持する際に、最大開口幅がサブ画素サイズsp=p/3に対して所定の大きさLWMax = sp×dmax内になるように抑えることで、クロストーク低減をも満足するパターンになる。その場合、最小開口幅がサブ画素サイズ×0.5程度以下になると、急激な開口幅変動による弊害や視聴位置(水平・垂直)の変動による影響を受ける可能性があるので、最小開口幅がサブ画素サイズ×0.7程度以上あることが好ましい。
また、スラント構造をもつ拡散パターンを例として説明したが、本実施例では、サブ画素の矩形形状を斜め方向に配置したななめステップ構造をもつ拡散パターンに関しても同様に適用することが可能である。
さらに、本発明は第2実施例(図12)に組み合わせることも可能である。その場合、本発明で説明したパターン例をバリア開口部または反射・拡散手段に適用することとなる。そして、初期調整手段105は視差バリアまたは拡散パターン(第2実施例)等の調整を行うとともに、バリア開口部を制御する分離調整回路1200や反射・拡散手段を制御する拡散手段調整回路106にノッチ調整手段109を付加する構成になる。
<第7実施形態>
図1、2、図33から図42を用いて、本発明の第7実施形態を説明する。この実施例は、開口、画素領域、ブラックマトリックスの位置関係がブラック部や画素内電極により欠落することでバリアごとにその混在関係にアンバランスが生じ、それがモアレパターンの原因になるとも考えられる。本発明の第7の映像表示装置では、欠如した位置関係を回復して、混在する位置関係のアンバランスを改善するようにノッチ構造を付加することでクロストークを増やすことなくモアレのコントラストを減少させることができる立体映像表示を提供するものである。その際、第1の実施例と同様に、ノッチ周期の判断・修正を行うことでノッチ自体による弊害が発生しないようにする機能も合わせ持つ。なお、第3実施例の構成を示す図1と図14または図1と図16を図33から図42の内容と組み合わせることも可能である。
この構成は第1実施例または第3実施例と同様に図1のようになる。この発明の特徴は、第1実施例または第3実施例におけるノッチ構造をもつスラント拡散パターンに関して、図33と34で示される考え方で生成することを示す。図33と34は、傾き3:1(α=18.435度)をもつ拡散パターンの場合で所定位置から観察した場合のモアレパターンが生じる理由を推示する。また、図34は、図33に画素分割をした際のメタル補助電極がある場合にさらにモアレが発生しやすい理由を示す。そして図35〜図42は、図33と34の理由をもとにモアレパターンが少なくなるように、図34のα=18.435度の拡散パターンに凹凸構造(ノッチ構造)を加えたパターン例を示す。なお、ノッチ構造は図35〜42で示されるように第1実施例や第3実施例と比べて、真ん中の開口部の左右でノッチ構造の高さdwや周期幅dsが一致している必要はないが、各ノッチ構造は、拡散パターン中心軸の垂直方向に対する傾き角度αと、ノッチ構造(三角形)部分の水平軸に対する傾き角度β、ノッチ構造の周期幅ds、ノッチ構造の高さdwの4つより定義されている。dsを1画素幅pにおけるノッチ構造の分割数nを用いれば、ds=p/nとあらわすことも可能である。しかし、第1または第3実施例で説明したように、ノッチ自体と画素の干渉による弊害を抑制するようにノッチ周期dsが調整されているものとするため、基本的にはnは整数とはならない。
なお、ノッチ構造の周期幅dsは垂直方向での幅で示しているが、拡散パターンの傾き角度θに沿った方向で幅を規定することも可能であり、その場合は、ノッチ構造の周期幅はdsをcosθで除算した値になる。
図33、34より通常のスラント構造を持つ拡散パターンにおけるモアレパターンの発生しやすさに関して説明する。これらの図では、RGB画素の前に、所定の開口幅(開口率rhth=1.4)をもつストライプ拡散パターンによる開口部が数本示されている。この例では、視差数N=4の場合を示しているが、他の場合でも同様に示すことが可能である。傾き角度α=18.435度の場合、図33にあるように模式的に表現できる。ここで、開口部Aは開口中心が画素中心を通過するストライプ構造の拡散パターンを示し、開口部Cは開口中心が画素間を通過するストライプ構造の拡散パターン例を示す。また、開口部Bは、開口部Aと開口部Cの中間に位置するストライプ構造の拡散パターン例を示す。図33において、水平線は各々、対応する開口部の上か順番に番号付けられた(k=1、2、3、4、5、6)ものである。これらの水平線は、各々、対応する開口部における水平位置での開口部、画素、ブラックマトリックス(PDPではリブとも呼ぶ)の位置関係を示すものとする。図33を見ると、次の組み合わせが開口部、画素、ブラックマトリックスの位置関係について同じ位置関係を持つ。ここで、位置関係Akは、開口部Aに対する番号kの位置関係を示す水平線を表すものとする。また図33、34で同じ位置関係になるものは同じ線種で表現されているが、リブ(またはブラックマトリックス)、水平補助電極で欠落したものは、点線表示となっていることに注意する。
・位置関係A1と位置関係B3、そして位置関係C4
・位置関係A2と位置関係B4、そして位置関係C5
・位置関係A3と位置関係B5、そして位置関係C6
・位置関係A4と位置関係B6、そして位置関係C1
・位置関係A5と位置関係B1、そして位置関係C2
・位置関係A6と位置関係B2、そして位置関係C3
で同じ位置関係上で見える画素は同じになると考える。そして、これらの多くの位置関係が1つのストライプ内で集結・混在化されることで、開口部AやB、そしてCで見える画素が混在化・平均化されることでモアレが薄くなると思われる。それに対して、位置関係A6、 位置関係B6、位置関係C6はブラックマトリックス領域にあり欠落してしまう位置関係である。この欠落してしまった位置関係が図33のように異なるため、ストライプAとストライプB、そしてストライプCに含まれる位置関係分布が一致せず、各開口部での混在化の状況に変化が生じ、その変化が明暗パターン(モアレ)として発生するのである。さらに図34は、図33に画素分割をした際のメタル補助電極がある場合を示すが、この補助電極により、位置関係A2、位置関係A4、位置関係A6、位置関係B2、位置関係B4、位置関係B6、位置関係C2、位置関係C4、位置関係C6に欠落される位置関係が発生するため、よりモアレが濃くなる可能性がある。
そこで、ノッチ構造を最小開口幅hminをもつスラント構造拡散パターンに付加させることで、この欠落した位置関係を別の個所で現れるようにする。そうすることで、スラント拡散パターンA、スラント拡散パターンB、スラント拡散パターンCに含まれる位置関係分布を一致させ、各開口部での混在化の状況をできるだけ合わせることでモアレを低減させることができると思われる。この実施例ではこの考えをもとに検討開発したノッチ構造を付加したスラント構造の拡散パターンをもつものである。図35−図42を参照してその概要を示す。
・左右のノッチ構造の位相が一致した場合(図35:例1)、開口部Aで欠落した位置関係はA2d、A4d、A6dのようになり現れるものもあるが、不十分と考える。ここで、A2dは開口部Aで欠落した位置関係A2に対して、ノッチ構造で発生すると思われる位置関係を示す。それに対して、図36のように位相をずらす(ノッチ構造の高さds×len(0<len<1.0):例2)ことで、位置関係A2、A4、A6が位置関係A2e、A4e、A6eのように現れる。なお、ここで、ノッチ構造の凹凸部は水平線も垂直線も持たないものとする。
・ノッチ構造の周期dsは、第1や第3実施例と同様の方法で選択・修正された値を用いることとなる。このモアレ低減効果は、サブ画素の垂直方向の画素構造に依存しており、サブ画素がt分割されている場合、開口部の左側もしくは右側ではt(画素領域数)+2(ブラックマトリックス領域)+t-1(補助電極領域)の分割数nnより得られるサイズ以下の周期が好ましいと考えるが、第1または第3実施例で示したように、製造誤差による影響を考慮するとサブ画素の垂直方向サイズpをノッチ周期dsで除算した際の値nndが整数近傍から離れた値であることが好ましい。できれば、連続する整数比nn1とnn1+1もしくはnn1-1とnn1の中間付近に位置するノッチ周期となることが、製造誤差の影響を受ける可能性がほぼなくなることからより好ましい。図35では、画素が3分割されており、その2倍の値nn=6より大きな値で、製造誤差による影響を考慮するとサブ画素の垂直方向サイズpをノッチ周期dsで除算した際の値nndが整数近傍から離れた値の分割数n=6.5より得られる周期を用いた。この値を用いても、左右のノッチ構造の位相が一致した対称の場合、うまく欠損した位置関係が現れないことが発生することがある。
・図37のように、最大開口幅が異なるものを組み合わせることで、欠落した位置関係が現れる可能性が高くなる(A2、A4、A6がA2f、A4f、A6fのように現れる:例3)。
・左右のノッチ周期を変えることでも位相ずれが生じることとなる。図38はその例4を示し、左のノッチ周期dsLを求めるための分割数nL=6.5(dsL=3p/nL)、右のノッチ周期dsRを求めるための分割数nR=3.5(dsR=3p/nR)の例を示す。左右の位相ずれを生じさせやすいように、左のノッチ周期dsLと右のノッチ周期dsRの関係が整数倍にならないほど、効果はあがる。
・左右のノッチ周期を変えた図38にさらに、最大開口幅が異なるものを組み合わせることで、欠落した位置関係が現れる可能性が高くなる。図39はその例5を示すものである。見方を変えると、左右の位相が異なるノッチ構造では、1画素の領域に同じ位置関係が複数回現れる。これにより、1画素より狭い領域内で異なる位置関係が混在し、平均化が促進される。そのため、欠落する領域があっても平均化された状態が維持されやすい。
・また、開口部の両方のエッジがノッチ構造となっている必要はなく、少なくとも片側のエッジがノッチ構造となっていればよい。図40はその例6を示す。ここでは、左のノッチ周期dsLを求める分割数nLがnL=6.5の場合を示すが、例2の場合よりもずっと欠落した欠落した位置関係が現れている。なお、この例6ではノッチ幅dwは例1から例5と同じになるように2倍の幅になっている。
図41は、この考えをもとに実際に開発したノッチ構造をもつスラント拡散パターン例を示す。図41,42ではスラント方向がこれまでと反対になっているが、観察者とは反対側から見た場合の図になっているので、これまでの表記でいえば、左右反対になる。図41は最小開口幅のサブ画素ピッチに対する割合(最小開口率)rhminはrhmin=0.6、右側の1垂直画素ピッチに対するノッチ構造の分割数nRはnR=6.5、左側の1垂直画素ピッチに対するノッチ構造の分割数nLはnL=11.5、ノッチの傾き角度β=β0°のときのノッチ構造の高さdwをもとに大きいノッチ1の高さdw1はdw1=dw×(1+krate)、小さいノッチ2の高さdw2=dw×(1-krate)、 krate=0.5とした場合の例を示す。なお、dwはこれまでと同様に(数1)をもとに左右同じ幅、高さをもつノッチ構造(周期6.5)から得られる高さの値であり、dw1+dw2=dw×2となるように変化させた場合、平均開口率Ave_rhは左右同じノッチ構造を付加した場合の1画素ピッチ内の平均開口率と一致するように求めることができる。さらに、図38のように最大開口幅hmax1とhmax2を垂直方向における画素番号xに応じて変化させたノッチ構造であってもよい。例えば、hmax1L[0] > hmax1R[0]、hmax2L[0] > hmax2R[0]から始まり、xが大きくなるにつれて、hmax1L[x] < hmax1R[x]、hmax2L[x] < hmax2R[x]、ただしhmax1L[x]+hmax1R[x]=dw×2、hmax2L[x]+hmax2R[x]=dw×2を満足する。このようにすることで、モアレの少ない傾き角度α=23度により近づく効果を微小ではあるが持たせることができる。
また、ピクセルサイズでの平均開口率Ave_rhを保持する際に、最大開口幅がサブ画素サイズsp=p/3に対して所定の大きさLWMax = sp×dmax内になるように抑えることで、クロストーク低減をも満足するパターンになる。その場合、最小開口幅がサブ画素サイズ×0.5程度以下になると、急激な開口幅変動による弊害や視聴位置(水平・垂直)の変動による影響を受ける可能性があるので、最小開口幅がサブ画素サイズ×0.7程度以上あることが好ましい。
なお、ここではモアレの少ないパターン生成について示したが、ここで実施した分析方法をもとに、所定のノッチ構造をもつスラント構造の拡散パターンの評価をモアレ発生の可能性をもとに行うことも可能である。この場合、例えば、A内で発生する位置関係の分布と開口B、C内の位置関係の分布を比較することでもよいし、A内で発生する位置関係により生じる見える画素領域分布とB、C内の位置関係により生じる見える画素領域分布を比較することでもよいし、A内で発生する位置関係により生じる明るさ分布とB、C内の位置関係により生じる明るさ分布を比較することでもよい。
なお、第1実施例の場合と同様にノッチ構造として三角形を用いたが、台形であっても、曲線的に変化する楕円弧であってもよいし、平行四辺形であってもよい。また、ノッチ構造は図2のように水平方向の持たせるのではなく、拡散パターン中心軸に垂直になる方向にノッチ構造を付加してもよい。
なお、ノッチ構造の周期dsL(左側におけるノッチ周期)、dsR(右側におけるノッチ周期)は、第1実施例または第2実施例と同様の方法で調整された値の候補より決定される。つまり、このモアレ低減効果は、サブ画素の垂直方向の画素構造に依存しており、サブ画素がt分割されている場合、開口部の左側もしくは右側ではt(画素領域数)+2(ブラックマトリックス領域)+t-1(補助電極領域)の分割数nnより得られるサイズ以下の周期が好ましいと考えるが、第1または第2実施例で示したように、製造誤差による影響を考慮するとサブ画素の垂直方向サイズpをノッチ周期dsで除算した際の値nndが整数近傍から離れた値であることが好ましい。できれば、連続する整数比nn1とnn1+1もしくはnn1-1とnn1の中間付近に位置するノッチ周期となることが、製造誤差の影響を受ける可能性がほぼなくなることからより好ましい。
また、スラント構造を持つ拡散パターン例として説明したが、本実施例では、サブ画素の矩形形状を斜め方向に配置した斜めステップ構造を持つ拡散パターンに関しても同様に適用することが可能である。
さらに、本発明は第2実施例(図12)に組み合わせることも可能である。その場合、本発明で説明したパターン例をバリア開口部または反射・拡散手段に適用することとなる。そして、初期調整手段105は視差バリアまたは拡散パターン(第2実施例)等の調整を行うとともに、バリア開口部を制御する分離調整回路1200や反射・拡散手段を制御する拡散手段調整回路106にノッチ調整手段109を付加する構成になる。
<第8実施形態>
図1と図2、図1と図14または図1と図16のいずれかの組み合わせによる構成と、図43から図47の模式図を用いて、本発明の第8実施形態として、拡散パターンに沿って、左右のノッチ構造による位相が一致している画素群とパターン位相が一致していない複数の画素群より構成されるユニット構造を持たせ繰り返すことで、クロストークを増やすことなくモアレのコントラストを減少させることができる立体映像表示について説明する。なお、第1実施例もしくは第3実施例と同様に、ノッチ周期の判断・修正を行うことでノッチ自体による弊害が発生しないようにする機能も合わせ持つ。この発明の特徴は、第1から第3実施例におけるノッチ構造をもつスラント拡散パターンに関して、図43、44で示される考え方で生成することを示す。
前述のように、図27に示されたように、α = 18.435度のバリアパターンを所定位置より観察した場合に、各開口部を通して見ると、各開口部とその背後にあるRGBサブ画素領域の関係で同じような位置関係が集結することで、開口部ごとに(AkとBk)明るさの不均一が生じやすくなり、結果としてモアレパターンが生じやすくなる可能性が推測される。また、同様に、図28から傾きα=23度の斜めバリアパターンを所定位置より観察した場合に、各開口部とその背後にあるRGBサブ画素領域の関係で同じような位置関係が集結せず分散することで、開口部ごとに(AkとBk)明るさの不均一が生じにくく、結果としてモアレパターンが生じにくくなったことが推測される。
図43(a)は、α=18、435度の傾きをもつ1つのスラントパターンを抽出したものを示し、第6実施例における図27に対して、次のように考えた。つまり、この傾きの場合(図27で開口部グループAに属するバリアの場合)、1つのスラントパターンを通して考えた場合、開口部Am[s]と他の開口部Am[t](s≠t)から同じように画素中心が見えており、開口部Am[s]と他の開口部Am[t](s≠t)から見える画素配列は同じようになる。つまり、この角度では1つのスラントパターンに沿った場合、画素中心が見える位置に拡散パターンがある場合、つねに画素中心とパターン中心が一致するような規則性があることを示す。同様に、図27の開口部グループBでは、この規則性が開口部中心とブラックマトリックス領域中心が一致するような規則性が重なった位置関係を多くもつ状況が発生すると考える。
一方、傾きαが23度の場合では、第6実施例における図28での分析に対して図43(b)のように考えることができる。図43(b)は、α=23度の傾きをもつ1つのスラントパターンを抽出したものを示し、図28で開口部グループAに属する1つのスラントパターンに沿って考えた場合、画素中心が見える開口部Am[s]と同じように見える他の開口部Am[u](s≠u)はu=s+sunitが成り立つように繰り返されており、sunit=11(垂直方向に7画素、水平方向に9サブ画素)となっている。このことは、傾き角度αが変わっても言え、sunitは傾き角度αに依存する。たとえば、α=18.435度ではsunit=1(垂直方向に1画素、水平方向に1サブ画素)となり、α=26。57度ではsunit=2(垂直方向に2画素、水平方向に3サブ画素)となる。
そこで、図44のように、左ノッチ構造の周期dsL1と右ノッチ構造の周期dsR1が一致する拡散パターン(高さがピクセルに相当)があり、その間で左ノッチ構造の周期dsL2と右ノッチ構造の周期dsR2が一致していない拡散パターン(高さがピクセルに相当)がsunit-1だけ続くように構成すれば、図43右図に似た状況を作ることができると考えた。つまり、左ノッチ構造の周期dsL1と右ノッチ構造の周期dsR1が一致する拡散パターンでは、左右のノッチ構造位相が一致するため画素中心とパターン中心が一致することとなり、sunit-1個の拡散パターンでは左右のノッチ構造位相が一致しないため画素中心とパターン中心が一致しない(一致するパターンとは開口中心と画素中心の位置関係が異なる)こととなるのである。例えば、左ノッチ構造の周期dsL2と右ノッチ構造の周期dsR2が一致していないためには、(数式6)のようにすればよい。
(数6)
dkksは0.0<kks<1.0を満足する少数値とする。このようなsunitを単位とする構成ユニットを繰り返すことで、第5実施例における図24のような位置関係(例えば傾き23°の拡散パターンが持つ)と同じような関係を作り出すことを本実施例では特徴とする。特に、以下のように考えられる。
・dkksが大きいほど、右側ノッチ構造に対して左側のノッチ構造は細分化され、左右のノッチ構造パターンの位相ずれが大きくなりやすいと考える。
・sunitが大きくなるほど、傾きが大きくなったスラントバリアに近くなる。
・できるだけブラックマトリックス領域や補助電極で同じ位置関係にならないことが好ましい。
なお、dkks<0としてもよいが、平均開口率を保持することから、dsL2は所定の最大周期以下になることが条件となる。図45から47はその例を示す。なお、図45から47はこれまでの拡散パターン例とは反対面から見た図を表している。図45では、nL=6.5+5、nR=6.5の場合を示しており、β=34度、sunit=11となる。つまり23度に近づけたパターンに相当する。また、図46は図45において、左右のパターンの大きさdwLとdwRが2つのパターン(dw1、dw2)を持っており、それが交互に現れる(ただし、左右での交互に現れる順番は一致している)ことを示す。図47は、図46に対して左と右の幅の繰り返される順番が逆になっている例を示す。図46、47ともに、左右の幅を変化させることで、sunit-1個の拡散パターンでの位相ずれをより大きくする目的がある。さらに、図47は図46の位相ずれを進める効果に加え、左側が大きな高さのノッチ構造から開始するのに対して右側に小さな高さのノッチ構造から開始させるようにすることでより傾かせた方向に近づけることをねらったものである。でなお、ここでは、L=sunit×p:pはピクセルサイズでの平均開口率がAve_rh=rhthになるように生成されているが、dw1=dw+ddw、dw2=dw-ddwのように設定された場合、第6の本実施例の場合と同じようにL内でのノッチ構造により付加された開口部面積はdwLとdwRが交互に変わることやdkksに関係なくAve_rhは保持されたままになる。
また、ピクセルサイズでの平均開口率Ave_rhを保持する際に、最大開口幅がサブ画素サイズsp=p/3に対して所定の大きさLWMax = sp×dmax内になるように抑えることで、クロストーク低減をも満足するパターンになる。その場合、最小開口幅がサブ画素サイズ×0.5程度以下になると、急激な開口幅変動による弊害や視聴位置(水平・垂直)の変動による影響を受ける可能性があるので、最小開口幅がサブ画素サイズ×0.7程度以上あることが好ましい。
なお、ノッチ構造の周期dsL1、dsL2、dsR1、dsR2は、第1実施例または第3実施例と同様の方法で調整された値の候補より決定される。つまり、このモアレ低減効果は、サブ画素の垂直方向の画素構造に依存しており、サブ画素がt分割されている場合、開口部の左側もしくは右側ではt(画素領域数)+2(ブラックマトリックス領域)+t-1(補助電極領域)の分割数nnより得られるサイズ以下の周期が好ましいと考えるが、第1または第2実施例で示したように、製造誤差による影響を考慮するとサブ画素の垂直方向サイズpをノッチ周期dsで除算した際の値nndが整数近傍から離れた値であることが好ましい。できれば、連続する整数比nn1とnn1+1もしくはnn1-1とnn1の中間付近に位置するノッチ周期となることが、製造誤差の影響を受ける可能性がほぼなくなることからより好ましい。
なお、第1から第7実施例の場合と同様にノッチ構造として三角形を用いたが、台形であっても、曲線的に変化する楕円弧であってもよいし、平行四辺形であってもよい。また、ノッチ構造は図5のように水平方向の持たせるのではなく、拡散パターン中心軸に垂直になる方向にノッチ構造を付加してもよい。
また、スラント構造を持つ拡散パターン例として説明したが、本実施例では、サブ画素の矩形形状を斜め方向に配置した斜めステップ構造を持つ拡散パターン例に関しても同様に適用することが可能である。
さらに、本発明は第2実施例(図12)に組み合わせることも可能である。その場合、本発明で説明したパターン例をバリア開口部または反射・拡散手段に適用することとなる。そして、初期調整手段105は視差バリアまたは拡散パターン(第2実施例)等の調整を行うとともに、バリア開口部を制御する分離調整回路1200や反射・拡散手段を制御する拡散手段調整回路106にノッチ調整手段109を付加する構成になる。
<その他>
上記実施形態において説明した本発明の映像表示装置では、視差画像を表示する映像表示手段100は、バックライト光源を用いる液晶パネルでも自発光するPDPや有機ELパネルでもよく、視差画像の画素列を表示できる表示手段であれば適用可能である。
また、カメラ画像1枚や2つ以上の複数カメラ画像を用いて頭部位置検出した結果と組合せることも可能である。これらのヘッドトラッキングやアイトラッキングと組合せることで、バリア間ピッチやパネルとバリア間距離等の調整をダイナミックに行うことが可能となる。また、画像を用いる以外に、LED光源のような照明光を対象物体に照射して戻ってくるまでの時間TOF(Time Of Flight)を計測することで距離を測定するTOF法や、電磁力等を用いて3次元位置測定を行う有線接続された手法を用いたトラッキングをすることも可能である。
また、所定のテストパターンを常に、視聴者撮影内に含めて表示してそのテストパターン部分の大きさや画素値のモアレ変化等をもとに幾何学測量をしてトラッキングする手法を用いることも可能である。
また、位置検出する際に、人物頭部の検出を前提としたが、人物全体像であっても、瞳孔や眼領域抽出を行い、その結果を用いることでもよい。
頭部位置に応じて複数視差画像の画素列配置を制御する際に、CPUやGPU等を用いてリアルタイム算出制御することも可能であるし、また予め用意されたLUTテーブルより選択して制御することも可能である。
ここでは、バリア形成位置やピッチ間隔は初期調整以外を固定として説明したが、その場合のバリア製造として、映像表示部100の一例であるフラットパネルディスプレイ、プリント基板といった電子部品の製造工程で、配線や部品の回路パターン等を転写技術により被転写する際の原版となるフォトマスクを用いて作成してもよい。この場合、フォトマスクに使用される材質には、ガラス上にクロム(または酸化クロム)の薄膜で遮光膜部分を作るハードマスクと、柔軟性のある透明な高分子フィルムやガラス上に黒化金属銀で遮光膜部分を作るエマルジョンマスクがある。なお、ガラスにおいて、プロセスルールが高精細プロセスの場合は、通常のソーダライム・ガラスに代わって合成石英ガラスを用いることもある。このマスクの遮蔽膜パターンは光学的技術により作成される。高平滑に磨かれたガラスの片側全面にスパッタリングによって、クロムやエマルージョンの遮光膜を作成し、その上にフォトレジストを塗布して光線によって描画する。描画装置にはレーザ描画装置と電子線を用いるビーム露光装置があり、この場合、ノッチ構造の幅やノッチ構造の頂点の角度(つまり高さ)は描画装置の光線径やピッチ精度に依存して決定され、例えば光線径よりも大きくなることが必要である。また、ノッチ構造を構成する波形状部分では、複数点でのレーザ描画が可能になるように所定角度以上が必要となる。つまり、描画に使用したレーザ描画装置等のレーザ径やレーザピッチで記述できる最小限のノッチ構造の幅や高さを満足するようにノッチ構造を生成することになる。これらのマスクを用いて固定のバリアを量産することができる。また、これらの材料をガラス等に直接に転写して遮蔽領域をつくることでも生成できる。
この材質以外に、2枚のガラス間に液晶を挟み込んだ液晶ディスプレイ・パネル等や液晶と偏光板で構成するデバイスを視差バリア部分に用いることも可能である。この場合は、電圧を印加したときは光の遮断状態に、電圧を0にしたときは透過状態にするという利点を持つため、完全な遮光状態(光の透過率が0%)から完全な透過状態(光の透過率が100%)までを自由に切換えることができる領域と、光の透過率を自由に制御できる領域を調整できるようにすることも可能である。なお、液晶等の電圧で透過・遮光を制御するデバイスを視差バリア部分に用いた場合、ノッチ構造の幅(周期、波幅)や高さ(波高、振幅)等は使用した液晶パネルの解像度(画素ピッチ)や透明電極材料として使用されるITO(Indium−tin−oxide:インジウムとスズの酸化物)で形成される形状精度等により決定され、これらの解像度や精度よりも大きなノッチ構造を持たせる必要がある。この場合のさらなるメリットとして、頭部位置に応じてバリア位置やバリアピッチをアクティブに変化させることが可能になる。この場合、複数視聴者の奥行き方向が同時に変化した場合にも対応が可能となる。また、本発明によるパネルを視聴される居間などの空間にセッティングする時点の調整時も固定のバリア位置やバリアピッチを用いる場合にも適用が可能である。
また、第4実施例における周波数分布での分析手段を第6、第7、第8の実施例に加えて、各実施例によるノッチ構造が付加されたバリアまたは拡散パターンの評価を行うことも可能であるし、各実施例で得たバリアまたは拡散パターン候補を第3実施例におけるモアレ推定手段、モアレパターン評価手段で、あらかじめモアレパターンを推定・評価することも可能である。同様に、第6、第7、第8の実施例に、第5実施例を組みわせることで、第5から第7実施例で得られた複数バリアまたは拡散パターン候補の自動化調整も可能となる。
また、第1から第8の実施例で、凹部と凸部を持つノッチ構造をもとに示してきたが、鋸波状、蒲鉾状、階段状、サインカーブ等の正弦・余弦・正接関数のような三角関数状、矩形状、台形状、平行四辺形状、くの字状、三日月状であっても同じように成立する。
また、第4から第8の実施例で、凹部と凸部を持つノッチ構造において凸部の高さもしくは幅が均一でない(不均一である)ことを示したが、例えば複数の高さの凸部が混在する状態、もしくは複数の幅の凸部が混在する状態を示すものである。
また、第1から第8の実施例では、サブピクセルの構造を基準にノッチ構造を決定する手法を示したが、これに限らず、画像を構成する最小単位の構造を基準にすればよく、例えば、複数のサブピクセルより構成されるピクセルの構造を基準にしてもよい。
また、本発明はレンチキュラー方式におけるレンズ境界からの光漏れ(迷光)を抑えるためのバリアパターン形状にも適用が可能であるし、縦ストライプ構造のバリアまたは拡散パターン形状にも適用することができる。また、レンチキュラー方式におけるレンズ境界からの迷光を抑えるために境界付近のみに迷光を反射または拡散する手段を設けることも可能であり、その境界部分のみに配置された拡散パターン形状にも適用が可能である。