高品位の映像を表示することができる様々な表示装置が図面を参照して説明される。尚、以下に説明される様々な実施形態において、同様の構成要素に対して同様の符号が付されている。また、表示装置の概念の明瞭化のため、必要に応じて、重複する説明は省略される。図面に示される構成、配置或いは形状並びに図面に関連する記載は、単に本実施形態の原理を容易に理解させることを目的とする。したがって、本実施形態の原理は、これらに何ら限定されるものではない。
<第1実施形態>
(表示装置)
図1は、第1実施形態の表示装置100の概略的なブロック図である。図1、図47A及び図47Bを参照して、表示装置100が説明される。
表示装置100は、初期調整部110と、バリア調整回路130と、表示回路140と、表示部150と、分離部160と、記憶媒体170と、を備える。初期調整部110は、バリア調整回路130及び表示回路140の初期調整を行う。記憶媒体170は、左眼で観察されるための左画像及び右眼で観察されるための右画像が合成された視差画像に関する画像データを格納する。画像データは、記憶媒体170から表示回路140へ伝達される。表示回路140は、画像データを処理し、駆動信号を生成する。駆動信号は、表示回路140から表示部150へ伝達される。表示部150は、駆動信号に応じて、視差画像(2D)を表示する。本実施形態において、視差画像は、合成画像として例示される。
分離部160は、表示部150から離間して配置されたパララックスバリアであってもよい。パララックスバリアとして、スラントバリアやステップバリアが例示される。図47Aには、一般的なステップバリアが示されている。ステップバリアは、サブピクセルの大きさに合わせて形成された複数の開口部を有する。これらの開口部は、階段状に配列される。図47Bには、一般的なスラントバリアが示されている。スラントバリアは、垂直線に対して傾斜した複数の開口部を備える。これらの開口部は、水平方向に所定の間隔で形成される。
表示部150は、マトリクス状に配置された複数のピクセル又は複数のサブピクセルを用いて、視差画像を表す映像光を分離部160に向けて出射する。分離部160は、上述の開口部の大きさや形状を定める遮断部を備える。遮断部は、表示部150から出射された映像光を遮断する一方で、開口部は、映像光の透過を許容する。したがって、映像光は、開口部を通じて、観察者の眼に到達することができる。所定の位置に存在する観察者の左眼に左画像に対応する映像光が入射し、且つ、右眼に右画像に対応する映像光が入射するように、分離部160は形成される。加えて、遮断部が、左眼へ向かう右画像の映像光及び右眼へ向かう左画像の映像光を遮断するように、分離部160は形成される。したがって、分離部160は、表示部150が表示する視差画像を表す映像光を左画像に対応する映像光と右画像に対応する映像光とに適切に分離して、左画像及び右画像を観察者に提供することができる。左画像及び右画像は視差の分だけ相違するので、観察者は、表示部150が表示する視差画像を立体画像として知覚することができる。本実施形態において、サブピクセルは、表示素子として例示される。
分離部160は、薄いフィルム膜や高い透明度を有する物質(例えば、ガラス)を用いて形成された固定式のバリア部材であってもよい。代替的に、分離部160は、電圧印加下において、遮断位置、遮断面積、開口位置や開口面積といったパラメータを変化させることができるバリア装置(例えば、TFT液晶パネル)であってもよい。
バリア調整回路130は、表示部150からの分離部160の距離や表示部150に対する分離部160の位置を調整する。
表示装置100が映像の表示を開始するとき、又は、表示装置100が、使用される環境に設置されるとき、初期調整部110は、バリア調整回路130及び表示回路140を調整する。分離部160が、TFT液晶パネルといった可動式のパララックスバリアであるならば、初期調整部110は、最適な視聴距離として予め定められた観察位置を基準に、複数の開口部の間の間隔、開口部の幅や表示部150から分離部160までの距離といったパラメータを調整する。初期調整部110は、分離部160の開口部と遮断部に対する位置制御を、ピクセル又はサブピクセルごとに行ってもよい。分離部160が、固定式のバリア部材であるならば、初期調整部110は、表示部150と分離部160との距離や表示部150に対する分離部160の傾斜角度を調整してもよい。初期調整部110による分離部160の調整に、所定の調整画像が用いられてもよい。
初期調整部110による上述の調整動作の間、視認される立体映像に関する評価及び調整作業が、テスト画像を用いて行われてもよい。最適な観察距離で観察する観察者は、テスト画像を観察し、立体映像の見やすさやぼけ/融像の程度を評価してもよい。観察者は、表示回路140を用いて、階調特性をチューニングしてもよい。必要に応じて、観察者は、視差画像を調整し、左画像と右画像との間の視差量を変更してもよい(例えば、線形係数を用いた強弱制御や水平方向のシフト量の調整)。
(表示部)
図2は、表示部150の概略図である。図1及び図2を参照して、表示部150が説明される。
表示部150は、マトリクス状に配置された複数のピクセルを備える。各ピクセルは、赤色光を出射するRサブピクセルと、緑色光を出射するGサブピクセルと、青色光を出射するBサブピクセルと、を含む。Rサブピクセル、Gサブピクセル及びBサブピクセルは、各ピクセル内で、左から右に水平方向(図2中、X軸方向)に順次整列されている。また、Rサブピクセルは、垂直方向(図2中、Y軸方向)に整列している。Gサブピクセルは、垂直方向に整列している。Bサブピクセルは、垂直方向に整列している。尚、これらのサブピクセルの配置は、本実施形態の原理を何ら制限しない。
本実施形態において、視差数は、「4」に設定される。即ち、4つの視点のうち1つに左眼が一致し、他のもう1つに右眼が一致するならば、観察者は、表示部150が表示する映像を立体的に知覚することができる。図2には、4つの視点において、観察者によって1つのピクセルとして認識される矩形領域FPRが示されている。矩形領域FPRの縦横比は、「9:8」である。
図2には、XY座標が示されている。以下、XY座標を用いて、表示部150が説明される。尚、座標の定義は、説明の明瞭化を目的としている。したがって、本実施形態の原理は、座標に関連する説明に何ら限定されない。
図2には、座標値「Y1」を通過する水平線HL1、座標値「Y1」の下方に設定された座標値「Y2」を通過する水平線HL2及び座標値「Y2」の下方に設定された座標値「Y3」を通過する水平線HL3が示されている。水平線HL1〜HL3は、各サブピクセルの中心点を通過する。
図2には、座標値「X1」を通過する垂直線「VL1」、座標値「X1」の右方に設定された座標値「X2」を通過する垂直線「VL2」、座標値「X2」の右方に設定された座標値「X3」を通過する垂直線「VL3」、座標値「X3」の右方に設定された座標値「X4」を通過する垂直線「VL4」、座標値「X4」の右方に設定された座標値「X5」を通過する垂直線「VL5」、座標値「X5」の右方に設定された座標値「X6」を通過する垂直線「VL6」、座標値「X6」の右方に設定された座標値「X7」を通過する垂直線「VL7」、座標値「X7」の右方に設定された座標値「X8」を通過する垂直線「VL8」及び座標値「X8」の右方に設定された座標値「X9」を通過する垂直線「VL9」が示されている。垂直線VL1〜VL9は、各サブピクセルの中心点を通過する。以下の説明において、サブピクセルは、水平線HL1〜HL3と垂直線VL1〜VL9との交点の座標を用いて説明される。例えば、水平線HL1と垂直線VL1との交点に位置するサブピクセルは、「サブピクセル(X1,Y1)」と称される。
表示部150は、サブピクセル(X1,Y1)とサブピクセル(X1,Y1)に水平方向に隣接するサブピクセル(X2,Y1)とを用いて、1つの表示グループLDG1を設定する。表示部150は、サブピクセル(X3,Y2)とサブピクセル(X3,Y2)に水平方向に隣接するサブピクセル(X4,Y2)とを用いて、1つの表示グループLDG2を設定する。表示部150は、サブピクセル(X5,Y3)とサブピクセル(X5,Y3)に水平方向に隣接するサブピクセル(X6,Y3)とを用いて、1つの表示グループLDG3を設定する。表示部150は、矩形領域FPR内に配置されたサブピクセルの中から、表示グループLDG1〜LDG3を、左画像を表示するためのグループとして規定する。観察者は、表示グループLDG1〜LDG3を1つの視点において1つのピクセルとして認識する。本実施形態において、表示グループLDG1〜LDG3それぞれは、第1素子グループとして例示されてもよい。
表示部150は、サブピクセル(X3,Y1)とサブピクセル(X3,Y1)に水平方向に隣接するサブピクセル(X4,Y1)とを用いて、1つの表示グループRDG1を設定する。表示部150は、サブピクセル(X5,Y2)とサブピクセル(X5,Y2)に水平方向に隣接するサブピクセル(X6,Y2)とを用いて、1つの表示グループRDG2を設定する。表示部150は、サブピクセル(X7,Y3)とサブピクセル(X7,Y3)に水平方向に隣接するサブピクセル(X8,Y3)とを用いて、1つの表示グループRDG3を設定する。表示部150は、矩形領域FPR内に配置されたサブピクセルの中から、表示グループRDG1〜RDG3を、右画像を表示するためのグループとして規定する。観察者は、表示グループRDG1〜RDG3を他のもう1つの視点において1つのピクセルとして認識する。本実施形態において、表示グループRDG1〜RDG3それぞれは、第2素子グループとして例示されてもよい。
本実施形態において、水平線HL1上に設定された表示グループLDG1は、第1高グループとして例示されてもよい。この場合、水平線HL1とは異なる垂直位置に設定された水平線HL2又はHL3上に設定された表示グループLDG2又はLDG3は、第2高グループとして例示されてもよい。
本実施形態において、表示グループLDG1に水平方向に隣接する表示グループRDG1は、第1隣接グループとして例示されてもよい。表示グループLDG2に水平方向に隣接する表示グループRDG2又は表示グループLDG3に水平方向に隣接する表示グループRDG3は、第2隣接グループとして例示されてもよい。
表示グループRDG1内において、表示グループLDG1に隣接するサブピクセル(X3,Y1)は、青色光を出射するBサブピクセルである。本実施形態において、サブピクセル(X3,Y1)は、第1隣接素子として例示されてもよい。
表示グループRDG2内において、表示グループLDG2に隣接するサブピクセル(X5,Y2)は、緑色光を出射するGサブピクセルである。本実施形態において、サブピクセル(X5,Y2)は、第2隣接素子として例示されてもよい。
表示グループRDG3内において、表示グループLDG3に隣接するサブピクセル(X7,Y3)は、赤色光を出射するRサブピクセルである。本実施形態において、サブピクセル(X7,Y3)は、第2隣接素子として例示されてもよい。
本実施形態において、表示グループLDG1〜LDG3は、垂直線に対して、所定の角度で傾斜したグループ列を形成する。同様に、表示グループRDG1〜RDG3は、表示グループLDG1〜LDG3によって形成されるグループ列と等しい傾斜角度で傾斜したグループ列を形成する。本実施形態において、表示グループLDG1〜LDG3が形成するグループ列は、第1グループ列として例示されてもよい。表示グループRDG1〜RDG3が形成するグループ列は、第2グループ列として例示されてもよい。
表示部150は、左画像が表示されるグループ列と、右画像が表示されるグループ列と、を水平方向に交互に設定する。したがって、図1を参照して説明された分離部160としてスラントバリアが用いられるならば、表示部150が出射する映像光は、左画像を表す映像光と右画像を表す映像光とに適切に分離される。
図3は、分離部160として用いられる例示的なスラントバリア200の概略図である。図1及び図3を参照して、スラントバリア200が説明される。
スラントバリア200は、表示部150から出射された映像光を遮断する複数の遮断領域210を備える。複数の遮断領域210の間には、映像光の透過を許容する開口部220が形成される。斜めに延びる開口部220の中心線CL間の距離(以下、「バリアピッチ」と称される)は、サブピクセル間の水平方向の距離(以下、「水平方向のサブピクセルピッチ」と称される)、適視距離、表示部150とスラントバリア200(分離部160)との間の距離(図1において、記号「d」を用いて表されている)及び視差数に基づいて、幾何学的に決定される。図3において、バリアピッチは、記号「bp」を用いて表されている。尚、水平方向のサブピクセルピッチは、図2を参照して説明された水平線HL1,HL2間の距離に相当する。
図4は、表示部150の概略図である。図1乃至図4を参照して、表示部150が説明される。
図4には、表示グループLDG1〜LDG3によって形成される列グループの中心線CLと、中心線CLに沿って延びる開口部220が示されている。遮断領域210は、中心線CLに略平行な第1輪郭線211と、第1輪郭線211に対向する第2輪郭線212と、を含む。第2輪郭線212は、第1輪郭線211に略平行である。第1輪郭線211及び第2輪郭線212は、開口部220と遮断領域210との間の境界を規定する。以下の説明において、第1輪郭線211と第2輪郭線212との間の距離は、「開口幅」と称される。開口幅の寸法を表すために、記号「bh」が用いられる。本実施形態において、第1輪郭線211は、第1輪郭部として例示されてもよい。第2輪郭線212は、第2輪郭部として例示されてもよい。
上述の如く、表示グループLDG1〜LDG3それぞれは、水平方向に並ぶ2つのサブピクセルを用いて設定される。したがって、開口幅は、水平方向のサブピクセルピッチの2倍に設定されてもよい。以下の数式は、開口幅と水平方向のサブピクセルピッチとの間の例示的な関係を表す。以下の数式において、水平方向のサブピクセルピッチの寸法を表すために、記号「sp」が用いられる。
以下の数式は、表示部150とスラントバリア200とによって得られる適視距離「L1」を表す。また、左眼と右眼との間の距離(眼間距離)は、記号「E」を用いて表される。
図5は、表示部150の概略図である。図2及び図5を参照して、表示部150が説明される。
図2とは異なり、図5に示される表示部150は、サブピクセル(X1,Y1)、サブピクセル(X2,Y2)及びサブピクセル(X3,Y3)を、左画像を表示する領域として割り当てている。表示部150は、サブピクセル(X2,Y1)、サブピクセル(X3,Y2)及びサブピクセル(X4,Y3)を、右画像を表示する領域として割り当てている。観察者は、1つの視点において、サブピクセル(X1,Y1)、サブピクセル(X2,Y2)及びサブピクセル(X3,Y3)を1つのピクセルとして認識する。観察者は、他のもう1つの視点において、サブピクセル(X2,Y1)、サブピクセル(X3,Y2)及びサブピクセル(X4,Y3)を1つのピクセルとして認識する。
図2と同様に、図5に示される表示部150も、4つの視点を設定する。図5の表示部150が設定する画像の表示パターンに関し、4つの視点において、観察者によって1つのピクセルとして認識される矩形領域FPRの縦横比は、「9:4」である。
図6は、表示部150の概略図である。図4乃至図6を参照して、表示部150が説明される。
図6には、図5に示される表示部150が設定した画像の表示パターンに合わせて設計されたスラントバリアの開口部229が示されている。開口部229は、サブピクセル(X1,Y1)、サブピクセル(X2,Y2)及びサブピクセル(X3,Y3)に重なるように斜めに延びている。
図5に示される表示部150は、各垂直位置において、1つのサブピクセルを用いて、左画像を表示する斜め領域を形成している。したがって、開口部229の開口幅(図6中、記号「bh」で表されている)は、水平方向のサブピクセルピッチに等しく設定されてもよい。この場合、表示部150と開口部229とによって得られる適視距離「L2」は、以下の数式を用いて表される。
以下の数式は、適視距離「L1」と適視距離「L2」との間の関係を表す。
表示部150とスラントバリア200との間の距離(図1において、記号「d」で示される寸法)が一定であるならば、図2を参照して説明された画像の表示パターンは、図5を参照して説明された画像の表示パターンと較べて、半分の適視距離を作り出すことができる。
広い開口幅は、モアレの低減に貢献することが知られている。図4に示されるように、表示部150が、水平方向に並んだ複数のサブピクセルを用いて、表示グループを設定するならば、広い開口幅を有する開口部220が利用される。したがって、図4に示される画像の表示パターンは、図5及び図6に示される画像の表示パターンと較べて、少ないモアレに帰結する。図5及び図6を参照して説明された画像の表示パターンに、広い開口部220が適用されるならば、開口部220から右画像を表示する領域が露出する。このことは、クロストークに帰結する。
図4を参照して説明された如く、1つの視点において、観察者が1つのピクセルとして認識する領域は、2つのRサブピクセル、2つのGサブピクセル及び2つのBサブピクセルを含む(RG+BR+GB)。したがって、図4に示される画像の表示パターンは、色バランスの崩れを引き起こしにくい。
図7は、表示部150の概略図である。図4、図5乃至図7並びに図49Bを参照して、表示部150が説明される。
観察者が、左画像を左眼で観察する位置(図4を参照)から、水平方向に移動するならば、観察者が観察する領域も水平方向に移動する。図7の点線で囲まれた領域は、水平方向に移動した観察者が開口部220を通じて観察する領域を示す。図7の楕円で囲まれた領域に示される如く、観察者は、左眼で右画像の一部を観察する。図49Bとは異なり、観察者が観察する領域には、右画像を表示するRサブピクセル、右画像を表示するGサブピクセル及び右画像を表示するBサブピクセルが同時に現れるので、従来技術が有する色モアレの課題は、ほとんど生じない。
図7に示される如く、観察者が水平方向に移動した後も、観察者の左眼によって観察される左画像の領域は、左眼によって観察される右画像の領域よりも十分に広い。したがって、顕著なクロストークは生じにくい。一方、図5及び図6を参照して説明された画像の表示パターンの下では、観察者が水平方向に移動するならば、左眼によって観察される左画像の領域と左眼によって観察される右画像の領域との差異は、小さくなりやすいので、顕著なクロストークが発生しやすくなる。
スラントバリアの開口部の開口幅は、表示部150が設定する表示グループの水平幅より短くてもよい。例えば、スラントバリアの開口部の開口幅は、水平方向のサブピクセルピッチの「1.5倍」の値に設定されてもよい。スラントバリアの開口部の開口幅が、表示部150が設定する表示グループの水平幅より短く設定されるならば、クロストークは生じにくくなる。この場合においても、図5及び図6を参照された開口部229よりも開口幅は広く設定されるので、モアレはほとんど生じない。
1つの表示グループを形成するサブピクセルの数は、矩形領域FPRの縦横比に基づいて定められてもよい。矩形領域FPRの水平方向の比は、視差数と表示グループ内のサブピクセルの数との積によって表されてもよい。したがって、図2に示される矩形領域FPRの水平方向の比は、「8」の値で表される。一方、図5に示される矩形領域FPRの水平方向の比は、「4」で表される。水平方向のサブピクセルピッチに対して、垂直方向のサブピクセルピッチは、3倍になる。図2及び図5に示される矩形領域FPRの垂直方向の長さは、垂直方向に整列した3つのサブピクセルによって決められるので、図2及び図5に示される矩形領域FPRの垂直方向の比は、「9」の値で表される。かくして、図2に示される矩形領域FPRの縦横比は、「9:8」になる一方で、図5に示される矩形領域FPRの縦横比は、「9:4」になる。図2に示される矩形領域FPRは、正方形に近い縦横比を有するので、水平方向における輪郭のぎざぎざ感といった問題を生じにくくなる。
(ステップバリア)
図1を参照して説明された分離部160として、上述のスラントバリア200に代えて、ステップバリアが用いられてもよい。
図8は、表示部150に重ね合わせられたステップバリアの開口部230の概略図である。図2及び図8を参照して、ステップバリアが説明される。
表示部150は、図2を参照して説明された表示パターンの下、画像を表示する。図2と図8とを比較すると、ステップバリアの開口部230は、表示グループLDG1〜LDG3に重なり合う。したがって、サブピクセル(X1,Y1)及びサブピクセル(X2,Y1)は、水平線HL1上に形成された開口部230から露出する。サブピクセル(X3,Y2)及びサブピクセル(X4,Y2)は、水平線HL2上に形成された開口部230から露出する。サブピクセル(X5,Y3)及びサブピクセル(X6,Y3)は、水平線HL3上に形成された開口部230から露出する。
開口部230の配置の傾斜角は、「3:2(3sp×3サブピクセル(垂直方向):1sp×6サブピクセル(水平方向))」である。傾斜角「3:2」で配列された開口部230は、階段状の開口領域を形成する。
上述のスラントバリア200と同様に、適視距離に関して、上述の数式2で表される関係がステップバリアに対しても成立する。したがって、図8に示されるステップバリアも、短い適視距離を達成することができる。
上述のスラントバリア200と同様に、開口幅に関して、上述の数式1で表される関係がステップバリアに対しても成立する。したがって、図8に示されるステップバリアも、モアレをほとんど生じさせない。
ステップバリアが分離部160として使用されていても、表示部150は、図2を参照して説明された表示パターンの下で、画像を表示する。正方形に近い縦横比を有する矩形領域FPRが設定されるので、不自然な輪郭(ぎざぎざ感)といった問題を生じにくくなる。
スラントバリア200と同様に、1つの視点において、観察者が1つのピクセルとして認識する領域は、2つのRサブピクセル、2つのGサブピクセル及び2つのBサブピクセルを含む(RG+BR+GB)。したがって、ステップバリアが用いられても、色バランスは、崩れにくい。
図9は、表示部150の概略図である。図7及び図9を参照して、表示部150が説明される。
図7と同様に、図9には、水平方向に移動した観察者が観察する領域が、点線の矩形枠で示されている。また、観察者が左眼で観察する右画像の表示領域は、楕円で囲まれている。
図9に示される如く、水平方向に移動した観察者が左眼で観察する右画像の表示領域は、Rサブピクセル、Gサブピクセル及びBサブピクセルを含む。したがって、色モアレは、生じにくくなる。
図9に示される如く、観察者が水平方向に移動した後も、観察者の左眼によって観察される左画像の領域は、左眼によって観察される右画像の領域よりも十分に広い。したがって、顕著なクロストークは生じにくい。
(ノッチ構造を有するスラントバリア)
図1を参照して説明された分離部160として、ノッチ構造を有するスラントバリアが用いられてもよい。
図10は、ノッチ構造を有するスラントバリア300の概略図である。図1及び図10を参照して、スラントバリア300が説明される。
スラントバリア300は、表示部150から出射された映像光を遮断する複数の遮断領域310を備える。複数の遮断領域310の間には、映像光の透過を許容する開口部320が形成される。図10には、開口部320の中心線CLと、垂直線VLが示されている。中心線CLは、垂直線VLに対して、傾斜している。図10において、垂直線VLに対する中心線CLの傾斜角度は、記号「α」を用いて表されている。本実施形態において、傾斜角「α」は、所定の角度として例示される。
図11は、開口部320の周りのスラントバリア300の拡大図である。図11を参照してスラントバリア300が説明される。
遮断領域310は、開口部320の中心線CLに向かって突出する複数の三角形状の突部311を有する。複数の突部311は、中心線CLに沿って整列している。複数の突部311の間には、複数の三角形状のノッチ領域321が形成される。
突部311は、中心線CLに向かって尖る頂部312を含む。図11には、中心線CLの右側に形成された突部311の頂部312を結ぶ仮想線PLR及び中心線CLの左側に形成された突部311の頂部312を結ぶ仮想線PLLが示されている。開口部320は、上述のノッチ領域321に加えて、仮想線PLRと仮想線PLLとの間の矩形状の開口領域322を含む。
開口領域322は、中心線CLに沿って、略一定の開口幅(水平方向)を有する。開口領域322は、開口部320の中で最も狭い水平幅を有する。以下の説明において、開口領域322の水平方向の幅は、「最小開口幅」と称される。図11において、最小開口幅は、記号「hmin」を用いて表されている。
遮断領域310は、開口部320の輪郭形状を規定する輪郭部313を含む。輪郭部313は、ノッチ領域321の尖った頂部を規定する谷頂部314を含む。中心線CLの左側の谷頂部314及び中心線CLの右側の谷頂部314は、水平線HL上で整列する。以下の説明において、水平線HL上で整列する谷頂部314間の距離は、「最大開口幅」と称される。図11において、最大開口幅は、記号「hmax」を用いて表されている。ノッチ構造は、最小開口幅と最大開口幅との間で、開口部320の幅寸法を線形的に変化させる。
図11には、2つの谷頂部314を結ぶ水平線HLと中心線CLとの交点Cが示されている。中心線CLに対して右側のノッチ領域321は、中心線CLに対して左側のノッチ領域と、交点C周りに点対称の関係を有する。
中心線CLに沿って連続的に配置された2つの突部311の頂部312間の垂直方向の距離は、以下の説明において、「垂直周期幅」と称される。図11において、垂直周期幅は、記号「dsv」を用いて表されている。
図11において、中心線CLの右側のノッチ領域321の上側の境界の水平線に対する傾斜角は、記号「β」を用いて表されている。
以下の説明において、谷頂部314と仮想線PLL(又は仮想線PLR)との間の水平距離は、「ノッチ深さ」と称される。図11において、ノッチ深さは、記号「dwh」を用いて表されている。ノッチ深さは、以下の数式を用いて表されてもよい。
図11において、記号「p」で表される寸法は、サブピクセルの垂直方向ピッチを表す。本実施形態において、ピクセルは、3つのサブピクセル(Rサブピクセル、Gサブピクセル、Bサブピクセル)を含み、ピクセルとして均等画素構造をしているので、サブピクセルの垂直方向ピッチpは、以下の数式で表される。
サブピクセルの垂直方向ピッチp内のノッチ構造の分割数(突部311又はノッチ領域321の数)と、垂直周期幅との関係は、以下の数式によって表されてもよい。尚、以下の数式において、ノッチ構造の分割数は、記号「n」を用いて表されている。
図12A乃至図12Cは、様々なスラントバリアを透過する映像光の透過パターンの概念図である。図11乃至図12Cを参照して、上述のノッチ構造の効果が説明される。
図12Aは、一般的なスラントバリア950を透過する映像光の透過パターンの概念図である。
スラントバリア950は、水平に整列した複数の遮断部951を備える。隣接する遮断部951の間には、開口部952が形成される。
スラントバリア950の背後に、複数のピクセルを用いて形成された表示面953が配置される。ピクセルは、3つのサブピクセル(赤色光を発するRサブピクセル、緑色光を発するGサブピクセル、青色光を発するBサブピクセル)を含む。
観察者が、適切な観察位置で表示面953に映し出された映像を観察するときに、観察者の左眼に左画像を表す映像光が入射し、且つ、右眼に右画像を表す映像光が入射するように、バリアピッチは設計される。一般的に、バリアピッチは、以下の数式を満たすように決定される。以下の数式において、バリアピッチは、記号「bp」を用いて表されている。記号「N」は、視差数を表す。
上述の数式で表される如く、バリアピッチは、水平方向のサブピクセルピッチの視差数倍より僅かに小さく設計される。したがって、開口部952から露出するサブピクセルの面積は、水平方向に変化する。開口部952から露出するサブピクセルの面積が大きいならば、明るい領域が発生する。開口部952から露出するサブピクセルの面積が小さいならば、暗い領域が発生する。したがって、図12Aに示されるスラントバリア950は、明暗パターンを作り出す。観察者は、明暗パターンをモアレとして観察する。明るい領域と暗い領域との輝度差は、モアレ強度として定義されてもよい。
図12Bは、拡散構造を有するスラントバリア960を透過する映像光の透過パターンの概念図である。
図12Aを参照して説明されたスラントバリア950と同様に、スラントバリア960は、複数の遮断部951を備える。スラントバリア960は、複数の遮断部951の間に形成された開口部を覆う拡散部954を更に備える。
スラントバリア960の背後に、表示面953が配置される。表示面953から出射された映像光は、拡散部954を通過し、観察者に到達する。拡散部954は、映像光を拡散する一般的な拡散板や拡散フィルムであってもよい。拡散部954は、映像光を拡散するので、表示面953のブラックマトリクス(図示せず)や補助電極(図示せず)に起因する明暗パターンのコントラストを小さくする。加えて、拡散部954は、図12Aを参照して説明された明るい領域と暗い領域との間の輝度差を低減するので、観察者は、モアレを観察しにくくなる。なお、ブラックマトリックスはPDPにおける発光画素の隔壁部分を指し、LCDではリブ部に相当する。同じようなノッチに関する考えはこのように黒領域を画素内または周辺に持つパネルに関して成り立ち、ここではPDPを例に説明する。
図12Bに示されるグラフは、サブピクセルから拡散部954を通過した概略的な光量分布である。拡散部954は、映像光を拡散し、光量分布をガウス分布にするので、視差画像をぼやかし、クロストークを増大させることもある。したがって、画質の観点から、スラントバリア960は、好ましくない。
図12Cは、図11を参照して説明されたスラントバリア300を透過する映像光の透過パターンの概念図である。
スラントバリア300の背後に、表示部150が配置される。スラントバリア300に関して、バリアピッチと水平方向のサブピクセルピッチとの間には、図12Aを参照して説明された関係(即ち、数式8で表される関係)が成立している。したがって、最大開口幅で表される領域に対応する表示部150上の領域のサブピクセルの面積は、水平位置に応じて変動する。
図12Aを参照して説明された明るい領域を形成する左側の開口部952と同様に、図12Cの左側の開口部320からは、2つのサブピクセルが露出している。突部311は、部分的にサブピクセルを覆うので、輝度は低減される。
図12Aを参照して説明された暗い領域を形成する右側の開口部952と同様に、図12Cの右側の開口部320からは、Bサブピクセルが露出している。ノッチ領域321は、Bサブピクセルに隣接するRサブピクセル及びGサブピクセルを部分的に露出させるので、輝度は増大される。したがって、スラントバリア300は、スラントバリア950と較べて、モアレを生じさせにくい。ノッチ構造の設計に応じて、観察される映像のぼやけの程度やぼやけの範囲も制御される。例えば、図12Aに示される光量分布の左右端を切除し、台形状の光量分布が得られるように、ノッチ構造が設計されてもよい。
図13は、サブピクセルの概略図である。図1及び図13を参照して、ノッチ構造の分割数と、サブピクセルの領域分割と、の間の関係が説明される。尚、図13に示される分割パターンや分割された領域のカウントの方法は、例示的なものであり、本実施形態の原理を何ら限定しない。
表示部150は、サブピクセルに電圧を印加するための複数のメタル電極と、サブピクセルの上下に配置された2つのブラックマトリクス領域と、を備える。図13に示されるメタル電極は、水平方向に延び、サブピクセルを横切る。複数のメタル電極は、垂直方向に整列している。図13には、(m−1)本のメタル電極が示されている。メタル電極に対応するサブピクセル中の領域は境界領域として例示される。
サブピクセルは、(m−1)本のメタル電極によって、m個の領域に分割される。m個の領域は、垂直方向に整列する。
上述のモアレの低減効果を得るためには、ノッチ構造の垂直周期幅は、小さな値に設定される方が好ましいと考えられるが、本発明者の知見によれば、垂直周期幅の最適値は、サブピクセルの分割構造に依存する。図13に示される如く、サブピクセルがm個の領域に分割されるならば、ノッチ構造の分割数が、以下の数式で表される条件に近い値に設定されるならば、モアレは大幅に低減される。尚、以下の数式中、記号「k」は、1より大きい自然数である(k>1)。
本発明者の知見によれば、上述の数式9によって定められる分割数を用いて垂直周期幅が設定されるならば、モアレは大幅に低減される。
垂直周期幅に関する本発明者の他の知見によれば、以下の数式で定められるパラメータを用いて垂直周期幅が設定されるならば、スラントバリアの製造誤差の存在下においても、モアレは大幅に低減される。
上述の数式において、記号「nnd」で表されるパラメータが、連続する整数値の中間値或いは中間値に近い値になるように垂直周期幅が設定されるならば、スラントバリアの製造誤差の存在下においても、モアレは大幅に低減される。
水平方向のサブピクセルピッチに対するスラントバリアの開口部の幅(開口率)は、クロストークの基準として用いられる。スラントバリア300の開口部320の幅は、図11に示される如く、変化するので、水平方向のサブピクセルピッチに対するスラントバリア300の開口部320の幅の比率は、開口部320の平均幅を用いて、「平均開口率」として定義されてもよい。
スラントバリア300は、非常に細かいノッチ構造を有するので、スラントバリア300のクロストークに関する特性は、スラントバリア300の平均開口率に等しい開口率を有する通常のスラントバリア(ノッチ構造を有さないスラントバリア)と略等しくなる。
クロストークを考慮して適切に設定された平均開口率と、ぼやけの程度を考慮して適切に設計されたノッチ構造と、によって、クロストークをほとんど増加させることなく、開口部320を通じて観察されるピクセルの面積が平均化され得る。
図11に示される如く、突部311及びノッチ領域321は、三角形状である。代替的に、ノッチ構造を形成するこれらの要素は、台形又は平行四辺形であってもよい。更に代替的に、これらの要素の輪郭は、曲線(例えば、楕円弧)であってもよい。
本実施形態において、ノッチ構造は、スラントバリア300を用いて説明されている。代替的に、ノッチ構造は、縦ストライプバリアやステップバリアに適用されてもよい。
図11に示される如く、突部311は、中心線CLに向かって水平に突出している。代替的に、突部の突出方向は、中心線CLに対して直角であってもよい。
垂直方向における1つのサブピクセルピッチ中のノッチ領域321の開口面積の総和は、以下の数式で表されてもよい。尚、以下の数式において、記号「dSnt」は、垂直方向における1つのサブピクセルピッチ中のノッチ領域321の開口面積の総和を表す。
垂直方向における1つのサブピクセルピッチ中の開口領域322の開口面積は、以下の数式で表されてもよい。尚、以下の数式において、記号「dSot」は、垂直方向における1つのサブピクセルピッチ中の開口領域322の開口面積を表す。
垂直方向における1つのサブピクセルピッチ中の開口部320の開口面積は、以下の数式で表されてもよい。尚、以下の数式において、記号「S」は、垂直方向における1つのサブピクセルピッチ中の開口部320の開口面積を表す。
上述の数式11乃至数式13から、垂直方向における1つのサブピクセルピッチ中の分割数が増大しても、垂直方向における1つのサブピクセルピッチ中の開口部320の面積は変化しない。
最大開口幅は、クロストークを考慮して、適切に設定される。過度に大きな最大開口幅が設定されないならば、クロストークは生じにくくなる。例えば、本実施形態のように1視差画像を2サブピクセルで構成する場合、ピクセルサイズでの平均開口率を所定値に保持しながら、最大開口幅hmaxがサブ画素サイズspに対してLMax=sp×dmax(dmax≦2)内になるように抑えることで、クロストーク低減を満足することができる。その場合、クロストークを考慮して、適切な平均開口率を設定するために、最小開口幅は、水平方向のサブピクセルピッチ以下に設定されてもよい。最小開口幅が、水平方向のサブピクセルピッチの「0.5倍」以下になると、急激な開口幅の変動に起因して、画像上の縞模様といった弊害が生ずることもある。或いは、観察される画像は、水平方向及び/又は垂直方向への観察者の観察位置の変動にも影響されやすくなることもある。したがって、最小開口幅は、水平方向のサブピクセルピッチの「0.7倍」以上の値に設定されてもよい。
水平方向のサブピクセルピッチは、視差画像に関する様々な基準として用いられる。上述の如く、平均開口率、最大開口幅及び最小開口幅が、サブピクセルピッチを基準に適切に設定されるならば、クロストークをほとんど増大させることなく、モアレパターンが減少される。
なお、本実施形態では1視差画像を2サブピクセルで構成する例を説明した。しかし、1.0より大きい自然数kkで構成してもよいが、図2に示された矩形領域FPR内の水平方向と垂直方向の比が均等に近くなるように設定することが好ましい。その場合、kkが整数であった場合、各視差画像は矩形領域内のサブ画素単位で画素配置をすることができる。一方、kkが整数でない場合、矩形領域内に各視差画像を配置する際に、各視差画像の該当するサブ画素値は、例えば矩形領域内の複数サブ画素の合成で表現されることとなる。つまり、kkが整数でない場合、第1高グループと第1隣接グループの境界に素子が位置するケースが生じるが、この場合は、第1隣接素子は、第1境界素子と置き換えることができる。第1境界素子の画素値には、左画像の画素値が与えられてもよい。また、第1境界素子の画素値には、右画像の画素値が与えられてもよい。また、第1境界素子の画素値には、右画像と左画像の画素値から生成された画素値が与えられてもよい。また、第1境界素子の画素値には、右画像の画素値とも左画像の画素値とも異なる画素値(例えば画素値0:黒)が与えられてもよい。同様に、第2高グループと第2隣接グループの境界に素子が位置するケースが生じ、第2隣接素子は、第2境界素子と置き換えることができる。第2境界素子の画素値には、左画像の画素値が与えられてもよい。また、第2境界素子の画素値には、右画像の画素値が与えられてもよい。また、第2境界素子の画素値には、右画像と左画像の画素値から生成された画素値が与えられてもよい。また、第2境界素子の画素値には、右画像の画素値とも左画像の画素値とも異なる画素値(例えば画素値0:黒)が与えられてもよい。
なお、このような場合、本発明で記したように、パララックスバリアなどの画像分離部によるクロストークは抑制される。しかし、その一方で、各視差画像の該当するサブ画素値を矩形領域内の複数サブ画素の合成で表現することによるクロストークが発生する可能性はあり、その画像配置自体によるクロストークを抑えるように画素配置を行うことが必要となる。図50は2視差画像に対して5列のサブ画素列を配置したものである。符号「6001」が第1視差画像列を、符号「6002」が第2視差画像列を、符号「6003」が2つの間で第1視差画像のサブ画素に相当するものを、符号「6004」が2つの間で第2視差画像のサブ画素に相当するものを示す。なお、符号「6003」と符号「6004」はサブ画素数が第1および第2視差画像で均等になるように配置されるものとする。
また、kkが整数であっても、図51のように、隣接画素が1直線上に並ばないケースがある。この場合、例えば座標値「Y1」では隣接画素が存在しても、座標値「Y2」では境界画素が存在するケースがある。この場合は、両方を隣接画素とするか、両方を境界画素とするか、いずれかを選択すればよい。
<第2実施形態>
(表示装置)
図14は、第2実施形態の表示装置100Aの概略的なブロック図である。図14を参照して、表示装置100Aが説明される。尚、第1実施形態と共通する要素に対して、同一の符号が付されている。同一の符号が付された要素に対して、第1実施形態の説明が援用される。
第1実施形態と同様に、表示装置100Aは、初期調整部110と、バリア調整回路130と、表示回路140と、記憶媒体170と、を備える。表示装置100Aは、表示部150Aと、分離部160Aと、を備える。表示部150Aは、第1実施形態とは異なる表示パターンの下で、映像を表示する。分離部160Aは、表示部150Aが作り出す表示パターンに従って形成される。
(表示パターン)
図15は、表示部150Aの概略図である。図15を参照して、表示部150Aが説明される。
本実施形態において、視差数は、「4」に設定される。即ち、4つの視点のうち1つに左眼が一致し、他のもう1つに右眼が一致するならば、観察者は、表示部150Aが表示する映像を立体的に知覚することができる。図15には、4つの視点において、観察者によって1つのピクセルとして認識される矩形領域FPRが示されている。矩形領域FPRの縦横比は、「9:8」である。
表示部150Aは、サブピクセル(X1,Y1)とサブピクセル(X1,Y1)に水平方向に隣接するサブピクセル(X2,Y1)とを用いて、1つの表示グループLDG1を設定する。表示部150Aは、サブピクセル(X2,Y2)とサブピクセル(X2,Y2)に水平方向に隣接するサブピクセル(X3,Y2)とを用いて、1つの表示グループLDG2を設定する。表示部150Aは、サブピクセル(X3,Y3)とサブピクセル(X3,Y3)に水平方向に隣接するサブピクセル(X4,Y3)とを用いて、1つの表示グループLDG3を設定する。表示部150Aは、矩形領域FPR内に配置されたサブピクセルの中から、表示グループLDG1〜LDG3を、左画像を表示するためのグループとして規定する。観察者は、表示グループLDG1〜LDG3を1つの視点において1つのピクセルとして認識する。
表示部150Aは、サブピクセル(X3,Y1)とサブピクセル(X3,Y1)に水平方向に隣接するサブピクセル(X4,Y1)とを用いて、1つの表示グループRDG1を設定する。表示部150Aは、サブピクセル(X4,Y2)とサブピクセル(X4,Y2)に水平方向に隣接するサブピクセル(X5,Y2)とを用いて、1つの表示グループRDG2を設定する。表示部150Aは、サブピクセル(X5,Y3)とサブピクセル(X5,Y3)に水平方向に隣接するサブピクセル(X6,Y3)とを用いて、1つの表示グループRDG3を設定する。表示部150Aは、矩形領域FPR内に配置されたサブピクセルの中から、表示グループRDG1〜RDG3を、右画像を表示するためのグループとして規定する。観察者は、表示グループRDG1〜RDG3を他のもう1つの視点において1つのピクセルとして認識する。
表示グループRDG1内において、表示グループLDG1に隣接するサブピクセル(X3,Y1)は、青色光を出射するBサブピクセルである。本実施形態において、サブピクセル(X3,Y1)は、第1隣接素子として例示されてもよい。
表示グループRDG2内において、表示グループLDG2に隣接するサブピクセル(X4,Y2)は、赤色光を出射するRサブピクセルである。本実施形態において、サブピクセル(X4,Y2)は、第2隣接素子として例示されてもよい。
表示グループRDG3内において、表示グループLDG3に隣接するサブピクセル(X5,Y3)は、緑色光を出射するGサブピクセルである。本実施形態において、サブピクセル(X5,Y3)は、第2隣接素子として例示されてもよい。
本実施形態において、左画像の表示に用いられる表示グループLDG1〜LDG3及び右画像の表示に用いられる表示グループRDG1〜RDG3は、垂直線に対して、所定の角度で傾斜したグループ列を形成する。表示グループLDG1〜LDG3,RDG1〜RDG3によって形成されるグループ列の傾斜角度は、「18.435°」(3:1)である。尚、第1実施形態に関連して説明された表示グループLDG1〜LDG3,RDG1〜RDG3によって形成されるグループ列の傾斜角度は、「33.69°」(3:2)である。この点において、本実施形態の表示パターンは、第1実施形態の表示パターンと相違する。
スラントバリアの開口部の傾斜角度が、20°〜30°であるならば、モアレが薄くなる或いは消えることが知られている。サブピクセルの縦横比は、一般的に、「3:1」であるので、グループ列の傾斜角度が、「18.435°」を超えるならば、隣画素が見える面積が大きくなりクロストークが生じやすくなる。例えば、左眼で観察される領域に右画像を表示する隣のサブピクセルが現れたり、右眼で観察される領域に左画像を表示する隣のサブピクセルが現れたりする。
図16は、表示部150Aに重ねられたスラントバリアの開口部220Aの概略図である。図14乃至図16を参照して、表示装置100Aの有利な効果が説明される。
上述の如く、本実施形態の表示グループLDG1〜LDG3,RDG1〜RDG3によって形成されるグループ列は、「18.435°」の角度で傾斜する。したがって、分離部160Aとして用いられるスラントバリアの開口部220Aも、「18.435°」の角度で傾斜する。したがって、クロストークは、ほとんど生じない。
図17は、表示部150Aに重ねられたスラントバリアの開口部220Aの概略図である。図14乃至図17を参照して、表示装置100Aの有利な効果が説明される。
図17には、水平方向に移動した観察者が観察する領域が、点線の矩形枠で示されている。また、観察者が左眼で観察する右画像の表示領域は、楕円で囲まれている。
図17に示される如く、水平方向に移動した観察者が左眼で観察する右画像の表示領域は、Rサブピクセル、Gサブピクセル及びBサブピクセルを含む。したがって、色モアレは、生じにくくなる。
図17に示される如く、観察者が水平方向に移動した後も、観察者の左眼によって観察される左画像の領域は、左眼によって観察される右画像の領域よりも十分に広い。したがって、顕著なクロストークは生じにくい。
(ノッチ構造を有するスラントバリア)
本実施形態において、図14を参照して説明された分離部160Aとして、第1実施形態に関連して説明された方法によって設計されたノッチ構造を有するスラントバリアが用いられてもよい。
図18は、ノッチ構造が適用されたスラントバリアの開口部320Aの概略図である。図14、図16及び図18を参照して、開口部320Aが説明される。
図18には、図16を参照して説明された開口部220Aが点線で表されている。開口部320Aの平均開口率は、開口部220Aの開口率と等しく設定される。このため、開口部320Aの最小開口幅(図18中、記号「hmin」を用いて表される)は、開口部220Aの開口幅(図8中、記号「bh」を用いて表される)よりも小さい。
本実施形態において、開口部220Aの開口幅は、水平方向のサブピクセルピッチの2倍の値に設定される。一方、開口部320Aの最小開口幅は、水平方向のサブピクセルピッチの2倍よりも小さな値に設定される。例えば、開口部320Aの最小開口幅は、水平方向のサブピクセルピッチの「1.2倍」〜「1.6倍」の値に設定されてもよい。したがって、ノッチ構造を有するスラントバリアが分離部160Aとして利用されるならば、クロストークをほとんど引き起こすことなく、モアレは低減される。
最大開口幅(図18中、記号「hmax」を用いて表される)は、クロストークを考慮して、適切に設定される。過度に大きな最大開口幅が設定されないならば、クロストークは生じにくくなる。クロストークを考慮して、適切な平均開口率を設定するために、最小開口幅は、水平方向のサブピクセルピッチ以下に設定されてもよい。最小開口幅が、水平方向のサブピクセルピッチの「0.5倍」以下になると、急激な開口幅の変動に起因して、画像上の縞模様といった弊害が生ずることもある。或いは、観察される画像は、水平方向及び/又は垂直方向への観察者の観察位置の変動にも影響されやすくなることもある。したがって、最小開口幅は、水平方向のサブピクセルピッチの「0.7倍」以上の値に設定されてもよい。
水平方向のサブピクセルピッチは、視差画像に関する様々な基準として用いられる。上述の如く、平均開口率、最大開口幅及び最小開口幅が、サブピクセルピッチを基準に適切に設定されるならば、クロストークをほとんど増大させることなく、モアレパターンが減少される。
(小さな開口幅の開口部を有するスラントバリア)
図19は、表示部150Aの概略図である。図16及び図19を参照して、小さな開口幅の開口部を有するスラントバリアの効果が説明される。
図19の表示部150A上には、開口部228が描かれている。開口部228は、図16を参照して説明された開口部220Aよりも小さな開口幅(図19中、記号「bh」で表される)を有している。例えば、開口部228の開口幅は、水平方向のサブピクセルピッチの「1倍」〜「1.4倍」の値に設定されている。
開口部228は、表示グループLDG1〜LDG3に重なっている。上述の如く、開口部228の開口幅は、狭く設定されるので、観察者は、開口部228を通じて、表示グループLDG1〜LDG3以外の表示グループに含まれるサブピクセルを観察しにくくなる。したがって、狭い開口幅で設計されたスラントバリアは、クロストークを引き起こしにくくなる。
図20は、表示部150Aに重ねられたスラントバリアの開口部228の概略図である。図19及び図20を参照して、小さな開口幅の開口部を有するスラントバリアの効果が更に説明される。
図20には、水平方向に移動した観察者が観察する領域が、点線の矩形枠で示されている。また、観察者が左眼で観察する右画像の表示領域は、楕円で囲まれている。
図20に示される如く、水平方向に移動した観察者が左眼で観察する右画像の表示領域は、Rサブピクセル、Gサブピクセル及びBサブピクセルを含む。したがって、色モアレは、生じにくくなる。
図20に示される如く、観察者が水平方向に移動した後も、観察者の左眼によって観察される左画像の領域は、左眼によって観察される右画像の領域よりも十分に広い。したがって、顕著なクロストークは生じにくい。
上述の如く、狭い開口幅を有するスラントバリアは、様々な利点を有する一方で、狭い開口幅に起因して、モアレが十分に低減されないこともある。
(ノッチ構造の効果)
図21は、開口部228にノッチ構造が付加された開口部227の概略図である。図18、図19及び図21を参照して、ノッチ構造の効果が説明される。
図21には、開口部228の中心線CLが示されている。中心線CLよりも左方において、左ノッチ構造226が形成されている。中心線CLよりも右方において、右ノッチ構造225が形成されている。左ノッチ構造226及び右ノッチ構造225は、第1実施形態に関連して説明された設計方法に従って形成されている。
図18と図21とを比較すると、図21に示される開口部227は、図18を参照して説明された開口部320Aと同一又は似た形状になる。したがって、開口部227の形状は、図18を参照して説明されたように、モアレを十分に低減することができる。
最大開口幅は、クロストークを考慮して、適切に設定される。過度に大きな最大開口幅が設定されないならば、クロストークは生じにくくなる。クロストークを考慮して、適切な平均開口率を設定するために、最小開口幅は、水平方向のサブピクセルピッチ以下に設定されてもよい。最小開口幅が、水平方向のサブピクセルピッチの「0.5倍」以下になると、急激な開口幅の変動に起因して、画像上の縞模様といった弊害が生ずることもある。或いは、観察される画像は、水平方向及び/又は垂直方向への観察者の観察位置の変動にも影響されやすくなることもある。したがって、最小開口幅は、水平方向のサブピクセルピッチの「0.7倍」以上の値に設定されてもよい。
水平方向のサブピクセルピッチは、視差画像に関する様々な基準として用いられる。上述の如く、平均開口率、最大開口幅及び最小開口幅が、サブピクセルピッチを基準に適切に設定されるならば、クロストークをほとんど増大させることなく、モアレパターンが減少される。
(非対称のノッチ構造)
図22は、非対称のノッチ構造を有するスラントバリア400の拡大図である。図11、図14及び図22を参照してスラントバリア400が説明される。
スラントバリア400は、表示部150Aから出射された映像光を遮断する遮断領域410を備える。遮断領域410は、開口部490の輪郭形状を規定する輪郭部411を備える。輪郭部411は、左側のノッチ構造420を形成する左輪郭部412と、右側のノッチ構造430を形成する右輪郭部413と、を含む。
左側のノッチ構造420は、三角形状の左ノッチ領域421を形成する。右側のノッチ構造430は、三角形状の右ノッチ領域431を形成する。開口部490は、左ノッチ領域421及び右ノッチ領域431に加えて、左ノッチ領域421と右ノッチ領域431との間に形成された矩形状の開口領域491を含む。左ノッチ領域421と開口領域491との間の境界は、仮想線PLLで示されている。右ノッチ領域431と開口領域491との間の境界は、仮想線PLRで示されている。
右ノッチ領域431の上側の角隅部と右ノッチ領域431の下側の角隅部との間の距離は、図11を参照して説明された垂直周期幅に相当する。したがって、図22において、右ノッチ領域431の上側の角隅部と右ノッチ領域431の下側の角隅部との間の距離は、図11と同様に、記号「dsv」で表されている。
左側のノッチ構造420の垂直周期幅は、右側のノッチ構造430の垂直周期幅とは異なる値に設定される。左側のノッチ構造420の垂直周期幅は、以下の数式によって表されてもよい。尚、以下の数式及び図22において、左側のノッチ構造420の垂直周期幅は、記号「dsv’」を用いて表されている。以下の数式において、記号「kdsR」は、左側のノッチ構造420の垂直周期幅に関連する変化パラメータである。変化パラメータ「kdsR」は、推定されるモアレパターンに関するデータに応じて適切に設定されてもよい。
上側の右ノッチ領域431の上側の角隅部は、開口領域491の上端に一致する一方で、上側の左ノッチ領域421の上側の角隅部は、開口領域491の上端から下方にずれている。以下の説明において、開口領域491の上端からの左ノッチ領域421の上側の角隅部の垂直方向のずれ量は、「位相ずれ」と称される。図22において、位相ずれは、記号「dpv」を用いて表されている。
上側の右ノッチ領域431の下側の角隅部は、下側の右ノッチ領域431の上側の角隅部から離れている。以下の説明において、上側の右ノッチ領域431の下側の角隅部と下側の右ノッチ領域431の上側の角隅部との間の垂直方向の距離は、「ノッチ構造間隙」と称される。図22において、ノッチ構造間隙は、記号「dds」を用いて表されている。尚、ノッチ構造間隙は、左側のノッチ構造420と右側のノッチ構造430との間で等しくてもよい。
図11に説明された設計因子(最大開口幅、最小開口幅、開口部の傾斜角度、ノッチ領域の輪郭の傾斜角度)は、図22において、同一の記号を用いて表されている。上述の様々な設計因子を用いて、ノッチ構造は、適切に設計される。
図23は、図22を参照して説明されたノッチ構造の設計方法に基づいて形成された例示的な開口部480の概略図である。図23を参照して、ノッチ構造の効果が説明される。
図22を参照して説明されたノッチ構造の設計方法によれば、開口部480は、様々な形状に形成される。したがって、暗い領域(例えば、ブラックマトリクスの周囲の領域)において、大きな開口幅が設定されてもよい。また、明るい領域(サブピクセルの領域)において、小さな開口幅が設定されてもよい。
図22を参照して説明された様々な設計因子の値は、スラントバリアの製造誤差を考慮して定められてもよい。特に、最小開口幅は、製造誤差の影響を受けやすい。したがって、最小開口幅の値は、製造誤差を考慮に入れて決定されてもよい。その後、決定された最小開口幅に基づいて、モアレパターンが推定されてもよい。推定されたモアレパターンに基づき、遮断領域によって隠されるべき領域が決定されてもよい。
図22に示される如く、左ノッチ領域421及び右ノッチ領域431は、三角形状である。代替的に、ノッチ構造を形成するこれらの要素は、台形又は平行四辺形であってもよい。更に代替的に、これらの要素の輪郭は、曲線(例えば、楕円弧)であってもよい。
ノッチ領域は、水平方向に尖っていてもよく、或いは、開口部の中心線に対して直角方向に尖っていてもよい。
左ノッチ領域のノッチ深さは、右ノッチ領域のノッチ深さとは異なる値に設定されてもよい。左ノッチ領域のノッチ深さと右ノッチ領域のノッチ深さの和が、平均開口幅の2倍に等しいならば、上述の数式11乃至13に関連して説明された関係は成立する。
開口部の形状は、上述の様々な因子に基づいて設定可能であるので、適切な垂直周期幅に関する複数の候補が得られてもよい。図13を参照して説明された如く、モアレの低減に有効な垂直周期幅は、サブピクセルの構造に依存する。
上述の数式10によって決定されるパラメータ「nnd」が、連続する整数値の中間値或いは中間値に近い値になるように垂直周期幅が設定されるならば、スラントバリアの製造誤差の存在下においても、モアレは大幅に低減される。したがって、適切な垂直周期幅に関する複数の候補から当該条件を満たす候補が垂直周期幅として選択されてもよい。
選択された垂直周期幅に対応して、図22を参照して説明された様々な設計因子(例えば、図22中、「hmax」、「hmin」、「dpv」、「dwh」、「α」及び「β」で表される寸法)に関する設計データが設定されてもよい。設定された設計データに基づいて、所定の観察位置から観察されるモアレパターンが推定されてもよい。尚、モアレパターンの推定処理において、適視距離、表示部150Aと分離部160Aとの間の距離、垂直方向のサブピクセルピッチ、水平方向のサブピクセルピッチや視差数に対して、初期調整部110(図14を参照)が設定する値が用いられてもよい。
上述の様々な設計因子のうちいくつか(例えば、角度「α」、平均開口率、最小開口幅「hmin」)は、サブピクセルの構造や他の設計条件に基づいて、固定された値として取り扱われてもよい。他の設計因子(例えば、最大開口幅「hmax」、ノッチ深さ「dwh」)は、可変であってもよい。これらの設計因子に対して割り当てられた変化パラメータを用いて、これらの設計因子の値が適切に定められてもよい。
上述の設計データに基づいて定められた開口部の形状データに従って、モアレパターンが推定されてもよい。モアレパターンの推定及び/又は評価には、適切な数値演算ソフトウェア(例えば、光の軌跡を推定するための演算を実行するソフトウェア)が用いられてもよい。推定されたモアレパターンに基づいて、開口部の形状の最適化が行われてもよい。この結果、低いクロストークレベルを維持したまま、モアレが効果的に低減される。
(ステップバリア)
図14を参照して説明された分離部160Aとして、上述の様々なスラントバリアに代えて、ステップバリアが用いられてもよい。
図24は、表示部150Aに重ね合わせられたステップバリアの開口部230Aの概略図である。図15及び図24を参照して、ステップバリアが説明される。
表示部150Aは、図15を参照して説明された表示パターンの下、画像を表示する。図15と図24とを比較すると、ステップバリアの開口部230Aは、表示グループLDG1〜LDG3に重なり合う。したがって、サブピクセル(X1,Y1)及びサブピクセル(X2,Y1)は、水平線HL1上に形成された開口部230Aから露出する。サブピクセル(X2,Y2)及びサブピクセル(X3,Y2)は、水平線HL2上に形成された開口部230Aから露出する。サブピクセル(X3,Y3)及びサブピクセル(X4,Y3)は、水平線HL3上に形成された開口部230Aから露出する。
表示グループLDG1〜LDG3と同様に、開口部230Aの配置の傾斜角は、「3:1」である。傾斜角「3:1」で配列された開口部230Aは、階段状の開口領域を形成する。
図16を参照して説明されたスラントバリアと同様に、適視距離に関して、上述の数式2で表される関係がステップバリアに対しても成立する。したがって、図24に示されるステップバリアも、短い適視距離を達成することができる。
第1実施形態と同様に、開口幅に関して、上述の数式1で表される関係がステップバリアに対しても成立する。したがって、図24に示されるステップバリアも、モアレをほとんど生じさせない。
ステップバリアが分離部160Aとして使用されていても、表示部150Aは、図15を参照して説明された表示パターンの下で、画像を表示する。正方形に近い縦横比を有する矩形領域FPRが設定されるので、不自然な輪郭といった問題を生じにくくなる。
第1実施形態と同様に、1つの視点において、観察者が1つのピクセルとして認識する領域は、2つのRサブピクセル、2つのGサブピクセル及び2つのBサブピクセルを含む(RG+BR+GB)。したがって、ステップバリアが用いられても、色バランスは、崩れにくい。
第1実施形態と同様に、観察者が水平方向に移動した後も、観察者の左眼によって観察される左画像の領域は、左眼によって観察される右画像の領域よりも十分に広い。したがって、顕著なクロストークは生じにくい。
<第3実施形態>
(表示装置)
図25は、第3実施形態の表示装置100Bの概略的なブロック図である。図25を参照して、表示装置100Bが説明される。尚、第1実施形態と共通する要素に対して、同一の符号が付されている。同一の符号が付された要素に対して、第1実施形態の説明が援用される。
第1実施形態と同様に、表示装置100Bは、初期調整部110と、バリア調整回路130と、表示回路140と、記憶媒体170と、を備える。表示装置100Bは、表示部510と、分離部520と、カメラ530と、検出部540と、切替部550と、制御部560と、を更に備える。
カメラ530は、表示部510が表示する映像を観察する観察者が存在する領域を撮像し、画像データを生成する。画像データは、カメラ530から検出部540へ出力される。検出部540は、画像データを用いて、観察者の位置並びに位置の変化に関する位置情報を取得する。本実施形態において、検出部540は、取得部として例示される。
表示装置100Bが映像の表示を開始するとき、又は、表示装置100Bが、使用される環境に設置されるとき、初期調整部110は、バリア調整回路130及び表示回路140を調整する。同時に、検出部540が位置情報を適切に取得できるように、初期調整部110は、検出部540を調整する。
記憶媒体170は、左眼で観察されるための左画像及び右眼で観察されるための右画像が合成された視差画像に関する画像データを格納する。画像データは、記憶媒体170から表示回路140へ伝達される。表示回路140は、画像データを処理し、駆動信号を生成する。駆動信号は、表示回路140から表示部510へ伝達される。表示部510は、駆動信号に応じて、視差画像(2D)を表示する。
分離部520は、表示部510から離間して配置されたパララックスバリアであってもよい。パララックスバリアとして、スラントバリアやステップバリアが例示される。分離部520は、上述の開口部の大きさや形状を定める遮断部を備える。遮断部は、表示部510から出射された映像光を遮断する一方で、開口部は、映像光の透過を許容する。したがって、映像光は、開口部を通じて、観察者の眼に到達することができる。所定の位置に存在する観察者の左眼に左画像に対応する映像光が入射し、且つ、右眼に右画像に対応する映像光が入射するように、分離部520は形成される。加えて、遮断部が、左眼へ向かう右画像の映像光及び右眼へ向かう左画像の映像光を遮断するように、分離部520は形成される。
バリア調整回路130は、分離部520に対する制御を実行する。制御部560は、初期調整部110及び検出部540からの出力信号に応じて、表示回路140を制御する。この結果、表示部510が表示する画像の表示パターンは、観察者の位置に応じて変化することになる。
分離部520は、薄いフィルム膜や高い透明度を有する物質(例えば、ガラス)を用いて形成された固定式のバリア部材であってもよい。この場合、初期調整部110は、開口部の位置に関する調整やバリアピッチの調整を行わない。尚、初期調整部110が上述の初期調整を実行している間、バリア調整回路130は、フィルム膜を全体的に透明(光の透過を許容する状態)にしてもよく、或いは、フィルム膜を全体的に不透明(光の透過を許容しない状態)にしてもよい。
分離部520は、電圧印加下において、遮断位置、遮断面積、開口位置や開口面積といったパラメータを変化させることができるバリア装置(例えば、TFT液晶パネル)であってもよい。初期調整部110は、分離部520の開口部と遮断部に対する位置制御を、ピクセル又はサブピクセルごとに行ってもよい。
図26は、検出部540の概略的なブロック図である。図25及び図26を参照して、検出部540が説明される。
検出部540は、頭部検出部570と、基準設定部576と、位置検出部580と、判断部585と、を備える。カメラ530から出力された画像データは、頭部検出部570及び基準設定部576に入力される。頭部検出部570は、画像データに基づき、観察者の頭部を検出する。基準設定部576は、画像データに応じて、観察者の位置の検出のための基準点を設定する。頭部検出部570によって検出された観察者の頭部に関する情報と、基準設定部576によって設定された基準点に関する情報と、に基づいて、位置検出部580は、観察者の位置を検出する。判断部585は、位置検出部580によって検出された観察者の位置に関する情報に基づいて、観察者の位置が変化したか否かを判断する。判断部585による判断結果は、位置情報として出力される。
図27は、頭部検出部570の概略的なブロック図である。図25乃至図27を参照して、頭部検出部570が説明される。
頭部検出部570は、色検出部571、輪郭検出部572、抽出部573、パターンマッチング部574及びテンプレートメモリ575を備える。カメラ530から出力された画像データは、色検出部571と輪郭検出部572とに入力される。色検出部571は、画像データに基づいて、色に関する情報を検出する。輪郭検出部572は、画像データに基づいて、輪郭に関する情報を検出する。抽出部573は、色及び輪郭に関する情報に基づいて、画像データの特徴量を抽出する。テンプレートメモリ575は、パターンマッチング部574によるマッチング処理に用いられるテンプレートデータを格納する。パターンマッチング部574は、抽出された特徴量に関するデータとテンプレートデータとを比較し、位置検出部580の位置検出処理に利用される対象領域情報を出力する。本実施形態において、テンプレートメモリ575は、外部メモリである。代替的に、テンプレートメモリは、頭部検出部570内に組み込まれた記憶素子であってもよい。
(検出部)
図28は、検出部540が実行する処理の概念図である。図25乃至図28を参照して、検出部540による処理が説明される。
上述の如く、初期調整部110は、検出部540に対する初期設定を行う。初期調整部110は、例えば、カメラ530から所定の距離だけ離れ、且つ、カメラ530に対して正対した人間の写真データを用いてもよい。初期調整部110は、パターンマッチング部574が実行するマッチング処理に用いられる閾値に関するパラメータを調整する。初期調整部110は、写真データの輝度分布や色分布を調整してもよい。この結果、検出部540は、観察者の顔の領域を適切に抽出することができる。
初期調整部110は、複数の観察者の間の距離を算出するための基準値を調整してもよい。テンプレートメモリ575には、基準として用いられる顔画像に関するデータを格納している。初期調整部110は、テンプレートメモリ575の顔画像の大きさ(図28中、記号「FLEN」で表されている)と、上述の写真データの顔の部分の大きさと、を比較し、これらの大きさ間の相対比量を算出する。
この間、初期調整部110は、テスト画像を用いて、視認される立体映像に関する評価及び調整作業を実行してもよい。最適な観察距離で観察する観察者は、テスト画像を観察し、立体映像の見やすさやぼけ/融像の程度を評価してもよい。観察者は、表示回路140を用いて、階調特性をチューニングしてもよい。必要に応じて、観察者は、視差画像を調整し、左画像と右画像との間の視差量を変更してもよい(例えば、線形係数を用いた強弱制御や水平方向のシフト量の調整)。この結果、基準設定部576が設定する基準点(図28中、星印で表される点)において、テスト画像が立体的に知覚されることとなる。
図28に示される如く、カメラ530は、観察者が存在する領域を撮影する。撮影範囲に関して、表示装置100Bからの視野角は、例えば、「100°」に設定されてもよい。また、観察者と表示装置100Bとの間の距離は、「1.5m」から「6m」又は「7m」の範囲に設定されてもよい。
カメラ530は、観察者が存在する領域を表す画像データを頭部検出部570に出力する。頭部検出部570は、画像データによって表される人間の頭部を抽出する。
カメラ530は、観察者が存在する領域を表す画像データを基準設定部576にも出力する。基準設定部576は、基準点(図28中、星印で表される点)を設定する。基準点は、画像データによって表されるオブジェクトの相対的な大きさを検出するために利用される。
図28の写真には、2名の観察者(図28において、「観察者A」及び「観察者B」として示されている)が写し出されている。位置検出部580は、2名の観察者の頭部の位置を検出する。位置検出部580は、2名の観察者の間の距離(図28中、記号「Len_AB」で示される)と、基準点から一方の観察者(図28中、「観察者A」)までの距離(図28中、記号「Len_A」で示される)と、基準点から他方の観察者(図28中、「観察者B」)までの距離(図28中、記号「Len_B」で示される)と、を算出する。
位置検出部580は、以下の数式を用いて、上述の距離データを取得してもよい。以下の数式において、記号「slen_A」は、頭部検出部570が抽出した「観察者A」の頭部の大きさを表す。記号「slen_B」は、頭部検出部570が抽出した「観察者B」の頭部の大きさを表す。記号「slen_AB」は、「観察者A」の頭部と「観察者B」の頭部との間の距離を表す。記号「Rface」は、画像データの頭部の大きさとテンプレートメモリ575の顔画像の大きさとの間の相対比量である。
判断部585は、上述の数式15乃至17から得られた距離データを基準として、観察者が移動したか否かを判断してもよい。上述の3種の距離データのうち2つが、左画像と右画像との間に設定された視差量の半分の距離以上の距離だけ変化するならば、判断部585は、観察者が移動したと判断してもよい。この場合、判断部585は、制御部560に位置情報を出力する。制御部560は、位置情報に応じて、表示部510の画像の表示パターンを変更するための制御を実行する。
図27に示される如く、輪郭検出部572には、カラー画像を表す画像信号(画像データ)が入力される。輪郭検出部572は、画像データに基づき、輪郭に関する輪郭情報を取得する。
以下の行列式は、輪郭検出部572が、2次元フィルタとして用いる例示的な行列式である。
輪郭検出部572は、「数式18」で表される2次元フィルタを用いて、画像データ内の微分ベクトルを算出する。以下の数式は、算出された微分ベクトルを表す。以下の数式において、記号「i」は、画像データ中の「x座標」を表す。記号「j」は、画像データ中の「y座標」を表す。記号「xd(i,j)」は、画像データ中の位置に応じた「x軸方向」の微分ベクトルを表す関数である。記号「yd(i,j)」は、画像データ中の位置に応じた「y軸方向」の微分ベクトルを表す関数である。記号「k(i−n,j−m)」は、画像データ中の位置に応じた画像データの値を表す。
輪郭検出部572は、上述の「数式19」で表される微分ベクトルを用いて、微分ベクトルの大きさを算出してもよい。尚、以下の数式において、記号「stv(i,j)」は、画像データ中の位置に応じた微分ベクトルの大きさを表す。
以下の数式は、輪郭検出部572が用いる判断式である。以下の数式において、記号「E(i,j)」は、画像データ中の位置に応じた判断結果を表す。「E(i,j)=1」で表される関係が成立するならば、画像データ中の位置「(i,j)」に該当するピクセルは、輪郭を含んでいる。他の場合には、画像データ中の位置「(i,j)」に該当するピクセルは、輪郭を含んでいない。記号「TH2」は、輪郭検出部572の判断処理に用いられる閾値である。この結果、輪郭検出部572の判断結果は、2値化される。
上述の数式21を用いて得られた輪郭情報は、輪郭検出部572から抽出部573へ出力される。
カメラ530からの画像データは、色検出部571にも出力される。色検出部571は、画像データ中の色分布に従って、クラスタ分類を実行する。クラスタ分類から得られたクラスタ領域内で、肌色或いは肌色に近い色を表すピクセルを多く含むクラスタ領域には、「1.0」の出力値が割り当てられるように、色検出部571は、画像データから色情報への変換処理を実行する。肌色或いは肌色に近い色を表すピクセルが少ないクラスタ領域には、「1.0」よりも低い出力値が割り当てられるように、色検出部571は、画像データから色情報への変換処理を実行する。色情報は、色検出部571から抽出部573へ出力される。
抽出部573は、輪郭情報と色情報とに基づき、画像データ中の観察者を見極めるための特徴量を抽出する。特徴量は、輪郭情報と色情報とを線形結合することによって取得されてもよい。代替的に、特徴量は、輪郭情報と色情報とに対する非線形変換処理から取得されてもよい。
上述の如く、肌色或いは肌色に近い色を表すピクセルが多いならば、色情報に割り当てられる出力値は大きくなる。肌色或いは肌色に近い色を表すピクセルが少ないならば、色情報に割り当てられる出力値は小さくなる。したがって、色情報は、輪郭情報を強調するための或いは輪郭情報を弱めるための係数として利用されてもよい。例えば、抽出部573は、色情報のデータと輪郭情報のデータとを乗算し、特徴量を抽出してもよい。尚、抽出部573は、色情報を用いなくてもよい。抽出部573は、輪郭情報のみに依存して、特徴量を抽出してもよい。
図29は、パターンマッチング部574が実行する処理の概念図である。図27及び図29を参照して、パターンマッチング部574が実行する処理が説明される。
図29には、テンプレートメモリ575が格納する例示的な形状データ(図29において、記号「Tp(k,s)」で表されている)が示されている。テンプレートメモリ575は、複数種の形状データを格納してもよい。
パターンマッチング部574は、テンプレートメモリ575から形状データを読み出し、抽出部573から出力された特徴量に関するデータを形状データと比較する。この結果、位置情報として取り扱われる対象の領域が決定される。本実施形態として、顔の領域が対象の領域として抽出される。代替的に、観察者の領域(上半身や全身)や顔の一部(眼、鼻や口)が対象の領域として抽出されてもよい。
パターンマッチング部574は、顔の領域を対象の領域として抽出するので、テンプレートメモリ575は、顔の領域に関する標準的な形状データを保持する。形状データは、様々な方向から撮像された顔のデータであってもよい。観察者の領域(上半身や全身)が対象領域として取り扱われるならば、テンプレートメモリ575は、人間の上半身及び/又は全身の形状に関するデータを保持してもよい。この場合においても、形状データは、様々な方向から撮像された人間の上半身及び/又は全身のデータであってもよい。顔の一部(眼、鼻や口)が対象の領域として取り扱われるならば、テンプレートメモリ575は、顔の一部(眼、鼻や口)の形状に関するデータを保持してもよい。
パターンマッチング部574は、テンプレートメモリ575から読み出した形状データ(画像データ)を形成する任意のピクセルを中心に、矩形領域の複数の候補を設定する。パターンマッチング部574は、以下の評価関数(以下の数式において、記号「R(i,j,Wp,Hp)」で表される)を用いて、特徴量と形状データとの間の合致度を評価する。尚、以下の数式において、記号「Wp」は、設定された矩形領域中の水平方向の画素数を意味する。記号「Hp」は、設定された矩形領域中の垂直方向の画素数を意味する。記号「p」は、テンプレートの数を表す。
パターンマッチング部574は、以下の数式を用いて、対象の領域を抽出する。
パターンマッチング部574は、上述の「数式22」によって表される評価関数の最大値を算出する。上述の「数式23」において、記号「max」で表される関数は、評価関数の最大値を算出するための関数である。上述の数式中、記号「THMR」は、評価関数の値に対して定められた閾値を意味する。評価関数の最大値が閾値を超えるならば、パターンマッチング部574は、対応する候補の矩形領域を対象の領域として抽出する。閾値を超える候補の矩形領域が存在しないならば、パターンマッチング部574は、位置検出部580から出力された画像の情報を出力する。上述の「数式23」を用いて得られた対象の領域に関するデータは、位置情報として、制御部560へ出力される。
図30は、表示装置100Bの概略図である。図31は、図30に示される表示装置100Bの表示部510の概略図である。図25、図30及び図31を参照して、表示部510による画像の表示パターンが説明される。尚、図31に示される座標及びサブピクセルに関する名称は、第1実施形態と同一である。
図30は、観察者の左眼及び右眼を示す。観察者は、表示装置100Bから適視距離だけ離れている。
図31に示される如く、表示部510は、サブピクセル(X1,Y1)及びサブピクセル(X2,Y1)を用いて、右画像が表示される表示グループRDG1を設定する。表示部510は、サブピクセル(X3,Y2)及びサブピクセル(X4,Y2)を用いて、右画像が表示される表示グループRDG2を設定する。表示部510は、サブピクセル(X5,Y3)及びサブピクセル(X6,Y3)を用いて、右画像が表示される表示グループRDG3を設定する。
図30に示される記号「R2」は、サブピクセル(X1,Y1)、サブピクセル(X3,Y2)及びサブピクセル(X5,Y3)の組を表す。図30に示される記号「R1」は、サブピクセル(X2,Y1)、サブピクセル(X4,Y2)及びサブピクセル(X6,Y3)の組を表す。
図30に示される如く、分離部520は、複数の遮断領域521を含む。遮断領域521の間には、開口部522が形成される。表示グループRDG1〜RDG3から出射された映像光は、開口部522を通じて、観察者の右眼に到達する。一方、遮断領域521は、左眼へ向かう表示グループRDG1〜RDG3からの映像光を遮断する。したがって、観察者は、右眼のみで、表示グループRDG1〜RDG3によって表示される右画像を観察することができる。
図31に示される如く、表示部510は、サブピクセル(X3,Y1)及びサブピクセル(X4,Y1)を用いて、左画像が表示される表示グループLDG1を設定する。表示部510は、サブピクセル(X5,Y2)及びサブピクセル(X6,Y2)を用いて、左画像が表示される表示グループLDG2を設定する。表示部510は、サブピクセル(X7,Y3)及びサブピクセル(X8,Y3)を用いて、左画像が表示される表示グループLDG3を設定する。
図30に示される記号「L2」は、サブピクセル(X3,Y1)、サブピクセル(X5,Y2)及びサブピクセル(X7,Y3)の組を表す。図30に示される記号「L1」は、サブピクセル(X4,Y1)、サブピクセル(X6,Y2)及びサブピクセル(X8,Y3)の組を表す。
表示グループLDG1〜LDG3から出射された映像光は、開口部522を通じて、観察者の左眼に到達する。一方、遮断領域521は、右眼へ向かう表示グループLDG1〜LDG3からの映像光を遮断する。したがって、観察者は、左眼のみで、表示グループLDG1〜LDG3によって表示される左画像を観察することができる。
図32は、表示装置100Bの概略図である。図32を参照して、表示装置100Bが説明される。
図32には、開口部522が描かれている。開口部522の傾斜角は、「3:2」である。尚、視差数は、「2」に設定されている。
図33は、観察者が水平方向に移動する前及び後における表示装置100Bを示す。図25及び図33を参照して、表示装置100Bが説明される。
図33において、観察者は、眼間距離の半分の距離だけ左方に移動している。このとき、検出部540は、観察者の移動を検出する。この結果、観察者の移動並びに移動量を表す信号が、位置情報として、検出部540から制御部560に出力される。制御部560は、表示回路140を制御し、表示部510に表示パターンを変更させる。
尚、表示部510が表示パターンを変更しないならば、観察者は、右眼で、記号「R1」で示されたサブピクセルの組が表示する右画像だけでなく、記号「L2」で示されたサブピクセルの組が表示する左画像を観察することとなる。同様に、表示部510が表示パターンを変更しないならば、観察者は、左眼で、記号「L1」で示されたサブピクセルの組が表示する左画像だけでなく、記号「R2」で示されたサブピクセルの組が表示する右画像を観察することとなる。上述の如く、クロストークが発生するので、観察者は、表示部510が表示する立体映像を適切に観察することができなくなる。
図34は、表示部510の表示パターンの変更動作の概略図である。図25、図31、図33及び図34を参照して、表示部510の表示パターンの変更動作が説明される。
表示部510は、検出部540が出力した位置情報に応じて、表示グループを再編する。図34において、実線で示される矩形枠は、図31を参照して説明された表示グループRDG1〜RDG3を表す。図34において、点線で表される矩形枠は、図33を参照して説明された観察者の水平移動に伴って、新たに設定された表示グループREG1〜REG3を表す。表示グループREG1〜REG3には、表示グループRDG1〜RDG3が表示していた右画像が表示される。
表示グループREG1は、サブピクセル(X2,Y1)とサブピクセル(X3,Y1)とを用いて設定される。表示グループRDG3と同様に、表示グループREG1は、GサブピクセルとBサブピクセルとを含む。したがって、表示グループREG1は、表示グループRDG3が表示していた画像を表示してもよい。
表示グループREG2は、サブピクセル(X4,Y2)とサブピクセル(X5,Y2)とを用いて設定される。表示グループRDG1と同様に、表示グループREG2は、RサブピクセルとGサブピクセルとを含む。したがって、表示グループREG2は、表示グループRDG1が表示していた画像を表示してもよい。
表示グループREG3は、サブピクセル(X6,Y3)とサブピクセル(X7,Y3)とを用いて設定される。表示グループRDG2と同様に、表示グループREG3は、BサブピクセルとRサブピクセルとを含む。したがって、表示グループREG3は、表示グループRDG2が表示していた画像を表示してもよい。
図33に示される記号「R2’」は、サブピクセル(X2,Y1)、サブピクセル(X4,Y2)及びサブピクセル(X6,Y3)の組を表す。図33に示される記号「R1’」は、サブピクセル(X3,Y1)、サブピクセル(X5,Y2)及びサブピクセル(X7,Y3)の組を表す。
図35は、表示部510の表示パターンの変更動作の概略図である。図31、図33及び図35を参照して、表示部510の表示パターンの変更動作が説明される。
図34において、実線で示される矩形枠は、図31を参照して説明された表示グループLDG1〜LDG3を表す。図35において、点線で表される矩形枠は、図33を参照して説明された観察者の水平移動に伴って、新たに設定された表示グループLEG1〜LEG3を表す。表示グループLEG1〜LEG3には、表示グループLDG1〜LDG3が表示していた左画像が表示される。
表示グループLEG1は、サブピクセル(X4,Y1)とサブピクセル(X5,Y1)とを用いて設定される。表示グループLDG3と同様に、表示グループLEG1は、RサブピクセルとGサブピクセルとを含む。したがって、表示グループLEG1は、表示グループLDG3が表示していた画像を表示してもよい。
表示グループLEG2は、サブピクセル(X6,Y2)とサブピクセル(X7,Y2)とを用いて設定される。表示グループLDG1と同様に、表示グループLEG2は、BサブピクセルとRサブピクセルとを含む。したがって、表示グループLEG2は、表示グループLDG1が表示していた画像を表示してもよい。
表示グループLEG3は、サブピクセル(X8,Y3)とサブピクセル(X9,Y3)とを用いて設定される。表示グループLDG2と同様に、表示グループLEG3は、GサブピクセルとBサブピクセルとを含む。したがって、表示グループLEG3は、表示グループLDG2が表示していた画像を表示してもよい。
図33に示される記号「L2’」は、サブピクセル(X4,Y1)、サブピクセル(X6,Y2)及びサブピクセル(X8,Y3)の組を表す。図33に示される記号「L1’」は、サブピクセル(X5,Y1)、サブピクセル(X7,Y2)及びサブピクセル(X9,Y3)の組を表す。
上述の如く、本実施形態の原理は、観察者が移動しても、観察者に画像を適切に観察させることができる。尚、上述の様々な実施形態と同様に、本実施形態の原理も以下の有利な特徴を有する。
本実施形態の原理は、分離部と表示部との距離が一定であるならば、従来技術よりも短い適視距離を設定することができる。
本実施形態の原理は、広い開口部の設定を許容するので、モアレは効果的に低減される。水平方向に整列した複数のサブピクセルを用いて設定される表示グループの水平幅よりも狭い開口幅を有する分離部が用いられるならば、クロストークも低減される。
本実施形態の原理は、1視点において、観察者が観察する画像の色バランスをほとんど崩さない。観察者が水平方向に移動しても、色モアレはほとんど生じない。
図36は、表示パターンの他の変更動作の概略図である。図32及び図36を参照して、表示パターンの変更動作が説明される。
本実施形態の原理は、分離部の開口部の傾斜角に依存しない。図36に示されるスラントバリアの開口部は、「3:1」の傾斜角を有する。したがって、図36のスラントバリアは、図32を参照して説明された「3:2」の傾斜角を用いて設計されたスラントバリアよりも小さなクロストークを達成することができる。尚、図36のスラントバリアは、図32を参照して説明されたスラントバリアよりも大きなモアレを生ずることもある。しかしながら、モアレは、上述の様々な実施形態に関連して説明されたノッチ構造によって解消される。
本実施形態において、表示グループは2つのサブピクセルを含むので、ノッチ構造の最大開口幅は、サブピクセルピッチの2倍以下の値に設定されてもよい。この場合、不必要なサブピクセルの露出は少なくなるので、クロストークは生じにくくなる。
上述の数式10によって決定されるパラメータ「nnd」が、連続する整数値の中間値或いは中間値に近い値になるように垂直周期幅が設定されるならば、スラントバリアの製造誤差の存在下においても、モアレは大幅に低減される。ノッチ構造は、第1実施形態及び/又は第2実施形態に関連して説明された原理にしたがって設計されてもよい。
ノッチ構造を形成する要素は、三角形、台形又は平行四辺形であってもよい。更に代替的に、これらの要素の輪郭は、曲線(例えば、楕円弧)であってもよい。
ノッチ構造の突部の突出方向は、水平線又は開口部の中心線に直角であってもよい。
図37及び図38は、表示パターンの他の変更動作の概略図である。図37及び図38を参照して、表示パターンの変更動作が説明される。
図37及び図38の上側の図は、第1実施形態及び第2実施形態に関連して説明されたステップバリアの開口部を示している。本実施形態は、これらのステップバリアの使用下においても適用可能である。観察者の移動に合わせて、表示パターンが切り替えられるならば、観察者は立体映像を適切に観察することができる。
<第4実施形態>
(表示装置)
図39は、第4実施形態の表示装置100Cの概略的なブロック図である。図39を参照して、表示装置100Cが説明される。尚、第3実施形態と共通する要素に対して、同一の符号が付されている。同一の符号が付された要素に対して、第3実施形態の説明が援用される。
第3実施形態と同様に、表示装置100Cは、初期調整部110と、バリア調整回路130と、表示回路140と、記憶媒体170と、表示部510と、カメラ530と、検出部540と、切替部550と、制御部560と、を備える。表示装置100Cは、分離部610と、決定部620と、を更に備える。
記憶媒体170は、左眼で観察されるための左画像及び右眼で観察されるための右画像が合成された視差画像に関する画像データを格納する。画像データは、記憶媒体170から表示回路140へ伝達される。表示回路140は、画像データを処理し、駆動信号を生成する。駆動信号は、表示回路140から表示部510へ伝達される。表示部510は、駆動信号に応じて、視差画像(2D)を表示する。
分離部610は、表示部510から離間して配置されたパララックスバリアであってもよい。パララックスバリアとして、スラントバリアやステップバリアが例示される。分離部610は、上述の開口部の大きさや形状を定める遮断部を備える。遮断部は、表示部510から出射された映像光を遮断する一方で、開口部は、映像光の透過を許容する。したがって、映像光は、開口部を通じて、観察者の眼に到達することができる。所定の位置に存在する観察者の左眼に左画像に対応する映像光が入射し、且つ、右眼に右画像に対応する映像光が入射するように、分離部610は形成される。加えて、遮断部が、左眼へ向かう右画像の映像光及び右眼へ向かう左画像の映像光を遮断するように、分離部610は形成される。
バリア調整回路130は、分離部610に対する制御を実行する。例えば、分離部610の形状や表示部510と分離部610との間の距離は、バリア調整回路130によって調整される。
カメラ530は、表示部510が表示する映像を観察する観察者が存在する領域を撮像し、画像データを生成する。画像データは、カメラ530から検出部540へ出力される。検出部540は、画像データを用いて、観察者の位置並びに位置の変化に関する位置情報を取得する。
第3実施形態とは異なり、位置情報は、制御部560だけでなく、決定部620にも入力される。決定部620は、バリア調整回路130を用いて、分離部610を制御する。
図40は、決定部620の概略的なブロック図である。図39及び図40を参照して、決定部620が説明される。
決定部620は、幅決定部621と、初期化部622と、領域確認部623と、透過率決定部624と、更新部625と、を備える。検出部540が生成した位置情報は、幅決定部621に入力される。幅決定部621は、位置情報に応じて、映像光を遮断する遮断領域の位置、映像光の透過を許容する開口部の位置や開口部の幅を決定する。初期化部622は、処理対象となる領域を所定の初期位置に設定する。領域確認部623は、処理対象の領域に関する確認処理を実行する。透過率決定部624は、処理対象の領域の透過率を決定する。分離部610の全体に対する処理が完了していないならば、更新部625は、処理対象となる領域を新たに設定する。
図41は、分離部610の概略図である。図39乃至図41を参照して、分離部610が説明される。本実施形態において、分離部610としてスラントバリアが用いられる。代替的に、分離部610として他の種のバリア部材(例えば、ステップバリア)が用いられてもよい。
分離部610は、第1領域611と、第2領域612と、第3領域613と、を含む。第1領域611は、幅決定部621によって、遮断領域として決定される領域である。第2領域612は、幅決定部621によって、開口部として決定される領域である。第3領域613は、幅決定部621が決定した開口部の幅に応じて、透過率が変動する領域である。領域確認部623は、処理対象の領域が該当する領域を、第1領域611、第2領域612及び第3領域613から見極める。
本実施形態において、幅決定部621は、予め定められた2つのデフォルト値(図41中、記号「W1」,「W2」を用いて表されている)の中から開口部の幅を決定する。代替的に幅決定部621は、表示装置100Cの使用環境に応じて、開口部の幅として用いられる2つの値を設定してもよい。
分離部610は、液晶層と液晶層に印加される電圧とを用いて、透過率を設定することができる。分離部610として、TFT液晶装置が例示される。第1領域611において、電圧は、「0%」の光透過率を達成するように調整される。第2領域612において、電圧は、「100%」の光透過率を達成するように調整される。
第2領域612に隣接した第3領域613の透過率が「0%」に設定されるならば、観察者はモアレパターンを観察する。第2領域612に隣接した第3領域613の透過率が「100%」に設定されるならば、観察者はモアレパターンを観察する。幅決定部621は、位置情報に応じて、観察者がモアレパターンを観察しない開口幅を幅寸法「W1」,「W2」の間で決定する。透過率決定部624は、決定された開口幅に対応する透過率を決定する。第3領域613には、決定された透過率に対応した電圧が印加される。本実施形態において、第3領域613は、調整領域として例示される。
例えば、幅寸法「W2」は、水平方向のサブピクセルピッチの「2倍」の値に設定されてもよい。幅寸法「W1」は、水平方向のサブピクセルピッチと同じ値に設定されてもよい。第3領域613の透過率が、「50%」に設定されるならば、水平方向のサブピクセルピッチの「1.5倍」の幅寸法を有する開口部が第2領域612と第3領域613とによって模せられることになる。第3領域613に対する透過率が適切に設定されるならば、モアレは効果的に低減される。
本実施形態において、モアレは、電気的な制御の下で低減される。したがって、機械的な加工精度に依存するモアレ低減技術とは異なり、精密な加工技術を要することなく、モアレが低減される。
本実施形態の原理は、第3実施形態に適用されてもよい。観察者の頭部の変位に応じて、開口部の幅寸法や位置が、表示部の画像の表示パターンに合わせて調整されてもよい。例えば、開口部の水平位置は、観察者の移動に応じて、変更されてもよい。尚、この場合、バリアピッチは維持される。本実施形態の原理は、視差数に依存しない。例えば、「2」を上回る視差数の条件下でも、本実施形態の原理は有効である。
尚、第1領域及び第2領域は、位置的に固定されてもよい。この場合、第2領域には、「100%」の透過率を達成するための電圧が印加される。また、「0%」の透過率の第1領域は、マスキング処理されたガラスやフィルムを用いて、形成されてもよい。
本実施形態の原理は、スラントバリアだけでなく、ステップバリアや縦ストライプバリアにも好適に適用可能である。
上述の様々な実施形態において説明された表示部として、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイが例示される。
上述の様々な実施形態において、表示グループは、水平方向に隣接する2つのサブピクセルを含むように設定されている。代替的に、表示グループは、「2」を超える数のサブピクセルを含むように設定されてもよい。この場合、設定された視点全てにおいて、観察者が1つのピクセルとして認識する領域(図2に示される矩形領域FPRに相当する領域)中の垂直方向に整列するサブピクセルの数と水平方向に整列するサブピクセルの数との間の比が均一になることが好ましい。加えて、開口部の幅寸法に対して、表示グループの幅が過度に大きくならないように、表示グループ中のサブピクセルの数が設定されることが好ましい。
第3実施形態及び第4実施形態において、カメラによって取得された画像データが利用される。尚、画像データは、複数のカメラによって得られてもよい。複数のカメラから得られた画像データが利用されるならば、頭部の位置の検出精度は向上する。
尚、検出部は、撮像データ以外に、時間TOF(Time of Flight)を測定してもよい(TOF法)。LEDといった照明光を対象物体(観察者)に照射した時刻から反射光が戻ってくるまでの時間が測定されるならば、表示装置と対象物体との間の距離は適切に検出される。尚、上述のトラッキング技術として、電磁力を用いた3次元的な位置測定技術が用いられてもよい。
表示装置は、観察者の頭部の位置に応じて、視差画像の配置を制御してもよい。例えば、表示装置は、CPUやGPUを用いて、視差画像の配置をリアルタイムで算出してもよい。代替的に、表示装置は、予め用意されたLUTから視差画像の配置を選択してもよい。
上述の様々な実施形態の原理は、バリア構造によって制限されない。分離部として、スラントバリア、ステップバリアや縦ストライプバリアが用いられてもよい。或いは、他の様々な開口パターンを有するバリア構造の使用下においても、上述の実施形態の原理は、有効である。
図42は、他のバリア構造の概略図である。図42を参照して、他のバリア構造が説明される。
表示部は、左画像又は右画像を表示する表示グループを設定する。最も上の表示グループと最も下の表示グループは、垂直方向に整列する一方で、中央の表示グループは、他の表示グループに対して、1サブピクセル分だけ、右方にずらされている。バリア構造は、設定された表示グループのパターンに合わせて形成された矩形状の開口部を有してもよい。
本実施形態において、サブピクセルは、「3:1」の縦横比を有する。代替的に、サブピクセルは、他の比率を有してもよい。例えば、サブピクセルは、「5:1」の縦横比を有してもよい。スラントバリアやステップバリアに設定された傾斜角は、サブピクセルの縦横比に応じて設定される。第1実施形態に従うならば、バリア構造の開口部の傾斜角は、「5:2」に設定される。第2実施形態に従うならば、バリア構造の開口部の傾斜角は、「5:1」に設定される。
図43は、レンチキュラーレンズを備える表示装置の概略図である。図43を参照して、表示装置が説明される。
上述の様々な実施形態を参照して説明されたバリア構造に代えて、レンチキュラーレンズが用いられてもよい。この場合、レンチキュラーレンズは、分離部として機能する。
図44は、表示装置の概略図である。図44を参照して、表示装置が説明される。
上述の様々な実施形態を参照して説明されたバリア構造は、観察者と表示部との間に配置されなくともよい。例えば、表示部として、液晶パネルが用いられるならば、バリア構造は、液晶パネルと光源との間に配置されてもよい。
図45は、表示装置の概略図である。図45を参照して、表示装置が説明される。
表示部として、液晶パネルが用いられるならば、バリア構造は必要とされないこともある。例えば、光源がストライプ状の発光領域を有するならば、バリア構造を用いることなく、上述の様々な実施形態がもたらす有利な効果が得られる。
上述の実施形態において説明されたノッチ構造の垂直周期幅を適切に設定するための要素が用いられてもよい。例えば、ノッチ構造自体がモアレパターンを引き起こすことが無い垂直周期幅が設定されるように、垂直周期幅に関する判断要素が設けられてもよい。
上述の様々な実施形態において、三角形状の突部を有するノッチ構造が説明されている。代替的に、ノッチ構造は、鋸刃状、鋸刃状、矩形状、台形状、平行四辺形状或いは三日月状の輪郭を有してもよい。ノッチ構造の輪郭は、三角関数(正弦関数、余弦関数、正接関数)或いはこれに近似する関数によって描かれてもよい。上述の様々な実施形態の原理は、ノッチ構造の輪郭部が描く特定の形状に限定されない。
上述の様々な実施形態において、突部(及び/又は凹部)が形状的に不均一なノッチ構造が利用されてもよい。「形状的に不均一な突部(及び/又は凹部)」との用語は、ノッチ深さが1つのノッチ構造内に複数設定されていることを意味する。
上述の様々な実施形態において、サブピクセルを基準にノッチ構造の様々な寸法が決定されている。代替的に、画像の表示に用いられる最小の素子が、ノッチ構造の設計の基準とされてもよい。例えば、複数のサブピクセルを含むピクセルが、ノッチ構造の設計の基準として用いられてもよい。
上述の実施形態に関連して説明された様々な技術は、以下の特徴を主に備える。
上述の実施形態の一局面に係る表示装置は、マトリクス状に配置された複数の表示素子を用いて、左眼で観察される左画像と右眼で観察される右画像との合成画像を表示する表示部を備える。該表示部は、前記複数の表示素子から、前記左画像及び前記右画像のうち一方を表示するための複数の第1素子グループと、前記左画像及び前記右画像のうち他方を表示するための複数の第2素子グループと、を規定する。前記複数の第1素子グループは、第1垂直位置に配置された第1高グループと、該第1垂直位置とは異なる第2垂直位置に配置された第2高グループと、を含む。前記複数の第2素子グループは、前記第1高グループに水平方向に隣接する第1隣接グループと、前記第2高グループに水平方向に隣接する第2隣接グループと、を含む。前記第1隣接グループは、前記第1高グループに隣接する第1隣接素子を含む。前記第2隣接グループは、前記第2高グループに隣接する第2隣接素子を含む。前記第1隣接素子は、前記第2隣接素子とは異なる発光色で発光する。
上記構成によれば、表示部は、マトリクス状に配置された複数の表示素子を用いて、左眼で観察される左画像と右眼で観察される右画像との合成画像を表示するので、表示装置は、観察者に立体映像を提供することができる。観察者の観察位置が変化すると、観察者は、第1高グループに隣接する第1隣接グループの中の第1隣接素子及び第2高グループに隣接する第2隣接グループの中の第2隣接素子を観察することもある。第1隣接素子は、第2隣接素子とは異なる発光色で発光するので、強いモアレは生じにくくなる。表示部からの映像光を遮断するバリア構造の開口部の幅にほとんど依存することなく、モアレが低減されるので、クロストークは増大しにくくなる。
上記構成において、前記複数の第1素子グループは、垂直線に対して所定の角度で傾斜して配列され、第1グループ列を形成してもよい。前記複数の第2素子グループは、前記所定の角度で傾斜して、第2グループ列を形成してもよい。前記第1グループ列及び前記第2グループ列は交互に水平方向に並べられてもよい。
上記構成によれば、第1グループ列及び第2グループ列は、垂直線に対して、所定の角度で傾斜するので、観察者が1つの視点において1つのピクセルとして認識する領域のアスペクト比は適切に設定される。したがって、観察者は、高品位の映像を享受することができる。
上記構成において、表示装置は、前記表示部から離間して配置され、前記合成画像の映像光を前記左映像光と前記右映像光とに分離する分離部を更に備えてもよい。前記分離部は、前記映像光を遮断する複数の遮断領域を含んでもよい。該複数の遮断領域の間には、前記映像光の透過を許容する開口部が形成されてもよい。該開口部は、前記第1グループ列又は前記第2グループ列に沿って延びてもよい。
上記構成によれば、分離部は、第1グループ列又は第2グループ列に沿って延びる開口部を規定する遮断領域によって、映像光を遮断するので、左画像の映像光と右画像の映像光とを適切に分離することができる。
上記構成において、前記遮断領域は、前記垂直線に対して前記所定の角度で傾斜した前記開口部の中心線に向けて突出する複数の突部を含んでもよい。
上記構成によれば、開口部の中心線に向けて突出する複数の突部によって、開口部から露出する表示素子の面積や形状が適切に調整されるので、観察者は、モアレを知覚しにくくなる。
上記構成において、前記遮断領域は、前記開口部との境界を規定する第1輪郭部と、該第1輪郭部に対向する第2輪郭部と、を含んでもよい。前記第1輪郭部及び前記第2輪郭部は、前記中心線の延出方向に延びてもよい。前記第1輪郭部と前記第2輪郭部との間の距離は、前記第1素子グループ又は前記第2素子グループの水平幅より短くてもよい。
上記構成によれば、開口部の中心線の延出方向に延びる第1輪郭部及び第2輪郭部の間の距離は、第1素子グループ又は第2素子グループの水平幅よりも短いので、第1隣接素子及び第2隣接素子は、遮断領域によって観察者から隠されやすくなる。したがって、観察者は、クロストークをほとんど知覚しない。
上記構成において、表示装置は、前記表示部が表示する映像を観察する観察者の位置に関する位置情報を取得する取得部を更に備えてもよい。前記表示部は、前記位置情報に応じて、前記複数の表示素子から前記複数の第1素子グループと前記複数の第2素子グループとを選択してもよい。
上記構成によれば、表示部が、位置情報に応じて、複数の表示素子から複数の第1素子グループと複数の第2素子グループとを選択するので、観察者が移動しても、観察者は立体画像を適切に観察することができる。
上記構成において、前記遮断領域は、前記映像光の透過率が調整可能な調整領域を含んでもよい。該調整領域は、前記開口部の周囲に形成されてもよい。前記表示部は、前記位置情報に応じて、前記透過率を変更してもよい。
上記構成によれば、開口部の形状は、調整領域によって、位置情報に応じて適切に調整されるので、観察者は立体画像を適切に観察することができる。
上記構成において、前記表示素子は、サブピクセルであってもよい。
上記構成によれば、表示装置は、サブピクセルを用いて、立体画像を適切に表示することができる。