JP6037268B2 - 金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法 - Google Patents

金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法に関する。より詳細には、メソポーラスシリカの表面に金属粒子が担持されている金属粒子担持メソポーラスシリカを製造する方法に関する。
メソポーラスシリカは、直径が2〜50nmの範囲の細孔が規則的に配列した規則構造と、600〜1000m/gもの広大な表面積を有することから、かかる細孔による特異なナノ空間を利用した物質の吸脱着制御、分子ふるいおよび各種反応制御等の技術への応用が試みられてきた(例えば、非特許文献1〜3参照)。また、このような細孔の内部空間を機能化するために、細孔内部の表面を処理することや、細孔内部に触媒を担持させること等が研究されてもいる(例えば、非特許文献4および5参照)。
そして近年、メソポーラスシリカに触媒を担持させた場合に、この均一なナノ空間と広大な表面積に起因して、高触媒活性および反応選択性等の機能が発現することが見出されたことから、メソポーラスシリカの触媒担体としての利用に新たな期待が寄せられている(例えば、非特許文献6参照)。
特開2008−013810号公報 特開2012−129201号公報
D. Li et al., Nat. Mater., 3, 65 (2004). H. Yamashita et al., Catal. Today 132, 146 (2008) . P. Yang et al., Biomaterials, 29, 692 (2008) . F. Hoffmann. Et al., Angew. Chem. Int. Ed., 45, 3216 (2006). H. Song et al., J. Am. Chem. Soc., 128, 3027 (2006). L. E. Perea et al., Catalysis Comm., 15, 108 (2011).
メソポーラスシリカの特性を最大限に活かすためには、細孔の深部にまで触媒を担持させ、特異な細孔空間と大表面積を有効に利用することが望ましい。また一方で、担持する金属触媒を例えば粒径3nm程度以下のナノクラスターとすることで、触媒を構成する金属の電子状態が変化し、量子的な効果によって触媒活性がバルクの場合とは大きく変化することが確認されている。そのため、メソポーラスシリカの細孔の内部に、細孔径よりも小さなナノクラスターを均一に分散させることで、従来にない機能性を備える触媒材料の創製が期待される。
ここで、メソポーラスシリカの細孔の内部に触媒作用を有する金属粒子を合成して担持させる方法としては、還元剤により金属イオンを還元する方法や、熱処理により金属粒子を合成する方法、およびレーザー照射により金属粒子を合成する方法等が提案されている。しかしながら、これらの金属粒子の担持方法によると、細孔内の深部にまで金属粒子を担持させることは難しく、また、金属粒子の粒径を制御してナノクラスター化することは更に困難であった。
本発明は上記課題に鑑みて創出されたものであり、メソポーラスシリカの細孔の内部に粒径を制御して金属粒子を担持させることが可能な、金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法を提供することを目的とする。
この出願は、上記の課題を解決するものとして、金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法を提供する。かかる製造方法は、メソポーラスシリカと金属イオンとを含む水溶液中でプラズマを発生させることにより、上記メソポーラスシリカの外表面および細孔内部の表面の少なくとも一部に上記金属イオンを還元してなる金属粒子を形成することを特徴としている。
かかる金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法では、金属粒子の製造に液中で発生されるプラズマを利用するとともに、この金属粒子の生成および成長の場をメソポーラスシリカの表面とするようにしている。金属粒子の原料である金属イオンは水溶液中でメソポーラスシリカの外表面はもちろんのこと、細孔内部(例えば細孔の深部)の表面にまで到達可能であり、プラズマの作用によってその場において還元されて金属粒子を形成することができる。これにより、メソポーラスシリカの細孔の外表面および/または細孔内部の表面に金属粒子を担持させることができる。かかる金属粒子は、典型的には、ナノ粒子であり、この金属粒子を構成する元素によっては触媒作用をも発現し得る。したがって、これにより、新規な触媒機能の発現の可能性を有する金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法が提供される。
以下、液中で発生されたプラズマを単に「液中プラズマ」という場合がある。この液中プラズマは、典型的には、液体中に浸漬した電極対にマイクロ波や高周波を印加することで液体中に発生される気相内に形成することができ、気相中(典型的には、減圧ないしは大気圧中)で発生される気相プラズマとは異なる物理的および化学的性質を示す。
ここに開示される金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法の好ましい一態様においては、上記水溶液が、上記金属粒子の凝集を抑制する凝集抑制添加剤を含まないことを特徴としている。
例えば、液中プラズマを利用して金属粒子を製造する方法については既に知られている(例えば、特許文献1または2参照)。特許文献1には、金属塩を含む水溶液にプラズマを生じさせることにより、この金属のナノ粒子が製造できることが開示されている。しかしながら、この特許文献1の開示によると、形成された金属ナノ粒子が時間の経過とともに凝集するのを避けるために、金属塩の水溶液にゼラチン等の凝集抑制添加剤を添加することが必要不可欠であった。したがって、形成された金属ナノ粒子をメソポーラスシリカに担持させることは困難であり、特にメソポーラスシリカの細孔内部(例えば細孔の深部)に担持させることは不可能であった。
また、特許文献2の手法では、水溶液中に設置されるプラズマ発生用の金属電極を放電により融解させて金属粒子を製造した後、この金属粒子を吸着によりカーボン材料に担持させるようにしている。したがって、金属粒子は電極材料に制限され、担体はカーボン材料に限定されてしまう。また、たとえ担体としてメソポーラスシリカを利用した場合であっても、一旦製造された金属粒子をメソポーラスシリカの細孔内部(例えば細孔の深部)に移動させて、吸着させることは困難である。
これに対し、本発明の構成によると、金属粒子はメソポーラスシリカの表面において形成される。したがって、例えば、水溶液中に凝集抑制添加剤が含まれていなくても形成された金属粒子が凝集することはなく、メソポーラスシリカの外表面あるいは細孔内部の表面において高分散された状態で担持され得る。
ここに開示される金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法の好ましい一態様においては、予め、上記メソポーラスシリカの外表面および細孔内部の表面の少なくとも一部に上記金属イオンを吸着させ、次いで、上記金属イオンを吸着したメソポーラスシリカを含む水溶液中でプラズマを発生させることを特徴としている。
金属イオンは、水溶液中に自在に移動可能な状態で含まれていても良いし、例えば、金属粒子を形成あるいは担持したいと考える所望の位置に予め配置させるようにしても良い。また、メソポーラスシリカの表面は、一般的には、負に帯電した状態であり得る。そこで、メソポーラスシリカの外表面および細孔内部の表面の少なくとも一部に、正に帯電している金属イオンを吸着により配置させておくことで、この金属イオンが吸着された位置もしくはその近傍に、確実に金属粒子を形成することができる。かかる構成によると、例えば、メソポーラスシリカの細孔の深部などの所望の表面に金属粒子を形成して担持させることが可能とされる。
ここに開示される金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法の好ましい一態様においては、上記金属イオンの吸着に先立って、上記メソポーラスシリカを酸処理して乾燥させることを特徴としている。
メソポーラスシリカの表面は、シラノール基で構成されており、親水性を有していると考えられる。しかしながら、界面活性剤の自己組織構造を鋳型として合成されるメソポーラスシリカは、実際には、表面にこの界面活性剤が残存した状態であり得る。本発明の方法においては、上記金属イオンの吸着前に、かかるメソポーラスシリカの表面に酸処理を施して表面改質を行うことで、メソポーラスシリカの表面から界面活性剤等の有機物を除去するようにしている。これにより、メソポーラスシリカにより多くの金属イオンを吸着させることができ、より多量の金属粒子を担持させることができる。
ここに開示される金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法の好ましい一態様においては、上記金属イオンの吸着に先立って、上記メソポーラスシリカを含む水溶液に対してプラズマ処理を施すことを特徴としている。
上記の酸処理の他に、メソポーラスシリカを含む水溶液中でプラズマ処理(典型的には、ソリューションプラズマ処理)を施すことによっても、メソポーラスシリカの表面の性状を金属イオンの吸着に適した状態に整えることができる。たとえば、メソポーラスシリカを単独で含む水溶液中でソリューションプラズマを発生させるソリューションプラズマ処理により界面活性剤を除去し、メソポーラスシリカの表面に高密度で水酸基を導入することができ、メソポーラスシリカの表面の親水性をより一層高めることができる。これにより、メソポーラスシリカにより多くの金属イオンを吸着させることができ、より多量の金属粒子を担持させることが可能となる。
ここに開示される金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法の好ましい一態様においては、上記メソポーラスシリカの細孔内部の表面にのみ上記金属イオンを吸着させることを特徴としている。
かかる構成によると、メソポーラスシリカの細孔内部の表面にのみ金属粒子を担持させることが可能となる。メソポーラスシリカを触媒担体として利用する場合、細孔の内部に形成される特徴的なナノ空間により、触媒作用に新たな機能性が発現することが考えられる。したがって、メソポーラスシリカの細孔内部の表面にのみ金属粒子を担持させることにより、かかる機能性をより強く発現し得る触媒体を実現することができる。メソポーラスシリカの細孔内部の表面にのみ金属イオンを吸着させるためには、例えば、メソポーラスシリカの外表面および細孔内部の表面に金属イオンを吸着させた後、外表面に吸着した金属イオンを洗浄等により除去することが例示される。
ここに開示される金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法の好ましい一態様では、上記金属粒子の平均粒径を3nm以下とすることを特徴としている。
かかる構成によると、メソポーラスシリカに担持される金属粒子を、例えば、平均粒径が3nm以下のいわゆる金属ナノクラスターとして形成することができる。これにより、例えば、新規な機能を備えることが期待される金属粒子担持メソポーラスシリカの製造が可能となる。
なお、本明細書においてメソポーラスシリカに担持される金属粒子についての「平均粒径」とは、電子顕微鏡等の観察手段により観察される複数(例えば2以上)の観察視野あるいは観察像内で選定された10個以上の粒子の円相当径の算術平均値として定義される。また、後述のメソポーラスシリカに形成されている細孔の「平均細孔径」についても、同様に求めることができる。
ここに開示される金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法の好ましい一態様においては、上記水溶液の電気伝導度を、300μS・cm−1〜2500μS・cm−1の範囲とすることを特徴としている。
かかる構成とすることで、液中プラズマを発生させるのに必要な電力量を抑えるとともに、より安定した状態で液中プラズマを発生させることができるため、より効率よく安定した条件で金属粒子担持メソポーラスシリカの製造を行うことができる。
ここに開示される金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法の好ましい一態様において、上記プラズマは、上記水溶液中で線状電極間にパルス幅が1〜10μsで、周波数が10〜10Hzの直流パルス電圧を印加することで発生させることを特徴としている。
かかる構成によると、ジュール熱により水溶液中に発生する気泡を水面に向かって浮上させることなく、水溶液中に安定した状態で維持することができ、この気泡中に安定した状態でプラズマを発生させることが可能となる。これにより、より効率よく安定した状態で金属粒子担持メソポーラスシリカを製造することができる。
ここに開示される金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法の好ましい一態様において、上記プラズマが、グロー放電プラズマであることを特徴としている。
液中で発生されるプラズマは、火花放電、コロナ放電、グロー放電、アーク放電の形態であり得る。なかでも、本態様の分解方法では、液中プラズマのより好ましい形態としてグロー放電プラズマを金属粒子の製造に利用しており、非平衡な低温プラズマを発生させることができ、より安定的に金属粒子担持メソポーラスシリカの分解を行うことができる。
ここに開示される金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法の好ましい一態様において、上記グロー放電プラズマは、上記水溶液中に発生した気相中に形成されることを特徴としている。
液中のグロー放電プラズマは、液中に配置した電極間に高周波数の電圧を印加することを発生させることができる。かかる構成によると、電極間に発生するジュール熱により液相中に発生される気相の内部に、グロー放電プラズマを定常的に発生させることができる。すなわち、液相/気相/プラズマ相の界面が安定に形成され、プラズマ相で発生された活性種が気相を介して気液界面に供給されるため、金属イオンを高効率で還元することが可能となる。
金属粒子担持メソポーラスシリカの製造に用いる液中プラズマ発生装置の構成の一例を示す模式図である。 金属粒子担持メソポーラスシリカの製造に利用する液中プラズマによる反応場の構成を例示した模式図である。 サンプル1の金属粒子担持メソポーラスシリカの透過型電子顕微鏡(TEM)像を例示した図である。 サンプル2の金属粒子担持メソポーラスシリカのTEM像を例示した図である。 サンプル3の金属粒子担持メソポーラスシリカのTEM像を例示した図である。
以下、本発明の金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法について説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書および図面に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示される金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法は、メソポーラスシリカと金属イオンとを含む水溶液中でプラズマを発生させることにより、前記メソポーラスシリカの外表面および細孔内部の表面の少なくとも一部に前記金属イオンを還元してなる金属粒子を形成することを特徴としている。
かかる分解方法では、金属粒子の製造に液中プラズマを利用するようにしている。すなわち、プラズマを構成する正負のイオン、電子およびラジカル等の活性種によって水溶液中に含まれる金属イオンを還元し、当該金属種から構成される金属粒子を製造するものである。かかる活性種としては、典型的には、水溶液中の水分子が分解されて生成する、水素イオン、水酸化物イオン、酸素イオン、水素ラジカル、酸素ラジカルおよびヒドロキシラジカル等であり得る。
ここで、液中プラズマは、液体中に発生された気体(気相)にマイクロ波や高周波を印加して当該気体を構成する分子を部分的ないしは完全に電離させることで、形成することができる。つまり、液中プラズマにおいては、プラズマ相を取り囲む気相はさらに液相に取り囲まれており、プラズマを構成する上記のイオン、電子およびラジカル等の活性種は制限された気相中において自由に運動し得る状態である。そのため、解放された気相中に発生される気相プラズマ(典型的には、大気圧プラズマ、低圧プラズマ等)とは異なる物理的および化学的性質を示す。例えば、気相プラズマは、気体の温度を上げて行った際にこの気体を構成する中性分子が電離してプラズマ化することで発生する。このとき、固体・液体・気体間の相転移とは異なり気体からプラズマへの転移は徐々に起こるため、構成分子のごく一部が電離した電離度が非常に低い状態でも充分にプラズマであり得る。これに対し液中プラズマは、典型的には、まず液中での放電により当該液体がジュール加熱により気化されて気相を形成し、さらにこの気相においてプラズマが発生することで形成される。すなわち、液中プラズマは、プラズマという高エネルギー状態が液中(すなわち凝縮相)に閉じ込められており、閉鎖系の物理が実現するとともに、解放されない高密度なプラズマ反応場が形成されているといえる。
そして、プラズマと反応する反応物質についても、気相プラズマにおいては気相として供給されるものの、液中プラズマにおいては液相として供給される。すなわち、本発明では、反応物質である金属イオンが反応場に高密度で供給される。
これらのことから、本発明の金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法においては、金属粒子を簡便かつ高効率に製造することが可能とされる。
なお、以上のような液中プラズマは、電極間にかかる電位差の違い等によって、雷のような火花放電、コロナ放電、グロー放電、アーク放電等に分類される。火花放電が継続的に流れるとグロー放電あるいはアーク放電となる。ここで、液中で発生されるグロー放電プラズマ(以下、ソリューションプラズマとも言う。)は、その他の液中プラズマに対して、さらに異なる特徴を有している。例えば、アーク放電プラズマは粒子密度が高く、イオンや中性粒子の温度が電子温度とほぼ等しい局所熱平衡状態にある熱プラズマである。これに対し、グロー放電プラズマは、電子温度は高いがイオンや中性粒子の温度が低い非平衡状態にある低温プラズマである。また、コロナ放電では連続的なプラズマの発生は難しいことに加え、水の分解により水素ラジカルと共に酸化性のヒドロキシラジカルが比較的多く形成されるという特徴がある。これに対し、グロー放電プラズマではプラズマの持つエネルギーが高く、酸化性のヒドロキシラジカルがさらに分解されて還元性の水素ラジカルが多く生成される。
かかるグロー放電プラズマは、高い繰り返し周波数で、サブマイクロ秒のパルス幅の電圧を印加することにより、比較的安定して発生可能であることから、プラズマ相を囲む液体の膨張・圧縮運動とプラズマ相とは連動しつつ安定な状態が長時間(例えば、2時間以上)維持され得る。そのため、例えば、ソリューションプラズマにおいては、電極間に発生される気相はその一部が浮力により電極間から浮上して液表面に到達することがあり得るものの、その大部分は電極間に一定の大きさの気相として定常的に維持される。したがって、ソリューションプラズマにおいてはプラズマの発生状態を常にコントロールすることができる。本発明の金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法では、このような制御されたプラズマを利用することを好ましい形態としており、より高効率な金属粒子担持メソポーラスシリカの製造が可能とされる。発生したプラズマがグロー放電プラズマであるかどうかは、例えば、プラズマ発光分光分析等により求められるタウンゼント第2係数が0.0005〜0.005の範囲にあることで確認することができる。
以下、本発明の好適な実施形態としての、ソリューションプラズマを反応場とした金属粒子担持メソポーラスシリカの製造を例にして、本発明の金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法についてより詳細に説明する。
図1は、メソポーラスシリカと金属イオンとを含む水溶液中でソリューションプラズマ4を発生させるためのソリューションプラズマ発生装置10の概略を示す図である。この実施形態において、メソポーラスシリカと金属イオンとを含む水溶液2は、ガラス製のビーカーなどの容器5に入れられている。また、プラズマを発生させるための一対の電極6は所定の間隔を以て水溶液2中に配設され、絶縁部材9を介して容器5に保持されている。電極6は外部電源8に接続されており、この外部電源8から所定の条件のパルス電圧が印加される。これによって、一対の電極6間に、定常的にソリューションプラズマ4を発生させることができる。
電極6としては、例えば、平板状電極や棒状電極およびその組み合わせ等の様々な形態であってよく、その材質についても特に制限はない。この実施形態においては、電界を局所的に集中させることが可能なタングステンからなる針状電極6を用いている。かかる電極6は、電界集中を妨げる余分な電流を抑えるために、先端部(例えば、数mm程度)のみを露出させ、後の部分は絶縁部材9等で絶縁しておくことが望ましい。絶縁部材9は、例えばゴム製あるいは樹脂(例えば、フッ素樹脂)製であることが例示される。この実施形態では、絶縁部材9は電極6を容器5に固定するとともに、電極6と容器5との水密を保つための栓をも兼ねた構成である。かかる装置10において、ソリューションプラズマを発生させるためのパルス電圧の印加条件は、水溶液2中に含まれるメソポーラスシリカおよび金属イオンの種類やその濃度等の条件、さらには装置10の構成条件等にもよるものの、例えば、電圧:約1〜2kV、周波数:約10〜30kHz、パルス幅:約1〜2μsの範囲とすることができる。
上記のソリューションプラズマ発生装置10により発生されるプラズマ反応場は、例えば、図2に示したような構成となる。すなわち、水溶液(液相)2中に気相3が形成され、この気相3中にソリューションプラズマ(プラズマ相)4が形成されている。このプラズマ反応場は、電極6間に定常的に維持されている。かかるプラズマ反応場では、プラズマ相4から液相2に向かって、高いエネルギーを有した電子、イオン、ラジカル等の活性種が供給される。一方、液相2から気相3およびプラズマ相4に向けては、液相2を構成する水あるいはこれに分散されたメソポーラスシリカおよび水に溶解した金属イオン成分等が供給されると考えられる。そしてこれらは、主として液相2と気相3の界面において接触(衝突)する。とりわけ、水から発生される水素ラジカル,水素イオン,ヒドロキシラジカル等は反応性が高く、特に水素ラジカルが液相2中に含まれる金属イオンと接触することで、かかる金属イオンを還元する作用を示す。なお、図2では理解を容易にするために、液相2と気相3、気相3とプラズマ相4の間の各界面が略球状に明確に形成されたような様子を示しているが、かかる界面は必ずしも明確に形成されることに限定されない。例えば、気相3とプラズマ相4の間の界面に臨界的なものがなく、かかる界面は空間的な広がりを持っていても良い。
本発明において、メソポーラスシリカは、直径が2〜50nm程度の範囲の細孔を備える多孔質シリカであれば特に制限されることなく用いることができる。例えば、細孔径が上記の範囲内で均一に制御された、粒子状、小片状等のメソポーラスシリカを用いることができる。本発明においては、平均細孔径が20nm以下程度、より限定的には10nm以下程度、例えば、5nm以下程度でほぼ均一に制御されたメソポーラスシリカを用いるのが、より機能性に優れる金属粒子担持メソポーラスシリカが得られる可能性が高まるために好ましい。
このようなメソポーラスシリカの粒径等は特に制限されないものの、例えば、得られる金属粒子担持メソポーラスシリカの触媒体としての利用を考慮する場合は、平均粒径が1μm〜100μm程度の範囲の粒子状のメソポーラスシリカを用いるのが好ましい。水溶液中に含まれるメソポーラスシリカの量に特に制限はないものの、例えば、ソリューションプラズマによる金属粒子の形成の場となるに適した状態で水溶液中に分散されているのが好ましい。用いるメソポーラスシリカの形状等にもよるため一概には言えないが、例えば、メソポーラスシリカは水溶液中に、w/v%基準で、30%以下程度の割合で含まれていて良く、より限定的には20%以下、好ましくは10%以下、例えば1%〜5%とすることが例示される。水溶液中にメソポーラスシリカを分散させるには、例えば、スターラー等の各種の攪拌装置7を用いたり、メソポーラスシリカを含む水溶液を管路を循環させて攪拌する等の手法を採用することができる。
水溶液中に含ませる金属イオンは、メソポーラスシリカに担持させる金属粒子を還元によって形成可能なものであれば特に制限されることはなく、各種の金属イオンであってよい。例えば、本発明の金属粒子担持メソポーラスシリカを触媒体として用いる場合には、かかる金属イオンとして、遷移金属イオンを考慮することができ、特に金、銀、銅の同族元素や白金、パラジウムなどの白金族元素のイオンとするのが好ましい。このような金属イオンは、例えば、目的の金属の各種の塩または錯体を溶解させることで好適に水溶液中に含ませることができる。かかる塩としては、例えば、塩化物、臭化物、ヨウ化物などのハロゲン化物や、水酸化物、硫化物、硫酸塩、硝酸塩、さらには、カリウム複合酸化物、アンモニウム複合酸化物、ナトリウム複合酸化物などの複合酸化物などを考慮することができる。また、錯体としては、アンミン錯体、シアノ錯体、ハロゲノ錯体、ヒドロキシ錯体などを考慮することができる。例えば、金属粒子として白金粒子を担持させたい場合には、具体的には、塩化白金六水和物(H(PtCl)・6HO)、白金(IV)塩化物、白金(II)臭化物、白金(IV)ヨウ化物、白金(IV)硫化物、テトラクロロ白金(II)酸カリウム、テトラクロロ白金(II)酸アンモニウム、ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウム六水和物、白金(II)ヘキサフルオロアセチルアセトナト錯体、白金(II)アセチルアセトナト錯体等を水溶液に溶解させることが例示される。
水溶液中に含ませる金属イオンの濃度についても特に制限はないが、例えば、メソポーラスシリカに金属粒子源としての金属イオンを好適に供給できる程度濃度とすることができる。かかる金属イオンの濃度としては、例えば、0.1mM〜10mM程度とするのが好適な例として示される。
以上の水溶液は、安定したソリューションプラズマの発生を可能とするために、電気伝導度を300μS・cm−1〜2500μS・cm−1程度の範囲に調整しておくのが好ましい。電気伝導度の調整は、例えば、塩化カリウム(KCl)等の電解質を溶解させる等して行うとよい。電気伝導度が300μS・cm−1未満であると、ソリューションプラズマの発生に多くの電力を要し、好適にソリューションプラズマを発生し難くなるために好ましくない。また、電気伝導度が2500μS・cm−1を超過する場合は、プラズマ発生のために電極間に投入した電力がイオン電流として消費されてしまい、定常的にプラズマを発生させるのが困難となるために好ましくない。電気伝導度は、500μS・cm−1〜2300μS・cm−1程度とするのが好ましく、更には、1000μS・cm−1〜2000μS・cm−1程度とするのが好ましい。
以上の構成によると、例えば、メソポーラスシリカの外表面、および、直径が2nm〜50nm程度の細孔の内部がソリューションプラズマによる反応場となり得る。したがって、ソリューションプラズマによる還元作用によって、メソポーラスシリカの外表面および細孔の内表面において金属イオンが還元され、金属粒子が形成される。
また、メソポーラスシリカの表面における金属粒子の担持位置は、ソリューションプラズマにより発生されるラジカル等の活性種や金属イオン等がかかる表面に到達し得る状態とするか、否かにより調整することができる。具体的には、例えば、メソポーラスシリカの表面の性状を制御し、メソポーラスシリカの表面と水溶液とのなじみを良くすることで、かかる表面における金属粒子の担持を促進することができる。例えば、細孔の内部の濡れ性を向上させることで細孔の深部にまでソリューションプラズマによる反応場を拡大することができ、細孔の深部での金属粒子の担持が可能とされる。反対に、メソポーラスシリカの表面と金属イオンを含む水溶液との濡れ性を悪くすることで、かかる表面への金属イオンの供給を抑制することができる。
さらには、予めメソポーラスシリカの表面の任意の位置に金属イオンを吸着させておくことで、その吸着の位置ないしはその近傍を金属粒子の担持位置とすることができる。一般に、メソポーラスシリカの表面は負に帯電していることから、かかる吸着には、メソポーラスシリカの表面と正に帯電している金属イオンとの静電吸着を利用するのが簡便である。なお、吸着は、メソポーラスシリカの表面の性状を制御することでその効果を高めることもできる。
メソポーラスシリカの表面性状を制御するには、公知の各種の表面処理手法を利用することができる。中でも、例えば、酸処理や、プラズマ処理などの手法により行うのが好ましい例として挙げられる。
酸処理は、メソポーラスシリカを酸の水溶液に浸漬させたのち、乾燥させることで実施することができる。酸処理に用いる酸の種類としては、硫酸、硝酸、塩酸、有機酸等、いずれの酸であってもよい。なかでも、残留成分の影響が少ないことから、硝酸や硫酸等を用いるのが好ましい。酸の濃度は特に制限されず、例えば、0.01〜5M程度の範囲内で適宜調整することができる。浸漬時間は、メソポーラスシリカの細孔の内部にまで十分に酸の水溶液を浸透させるために、例えば、5〜48時間程度、好ましくは12〜36時間程度を目安とすることができる。酸処理時の温度は0〜50℃程度であってよく、更に好ましくは5〜35℃であり、典型的には室温(25℃)とすることができる。酸の水溶液への浸漬後は、例えば、30〜150℃程度の温度でメソポーラスシリカを乾燥すればよい。
プラズマ処理としては、例えば、大気圧下でのプラズマ処理、コロナ処理、プラズマフレーム処理またはエキシマランプ処理等に代表される公知の各種のプラズマによる表面処理の手法を特に制限なく利用することができる。その一方で、メソポーラスシリカの細孔の内部(例えば深部)の表面にまで十分な処理を施すためには、ソリューションプラズマ処理を施すことが好ましい。かかるソリューションプラズマ処理は、例えば、メソポーラスシリカを分散した水溶液中でソリューションプラズマを発生させることであってよい。この場合のソリューションプラズマの発生条件については、例えば、上記のソリューションプラズマの発生条件と同様の条件とすることができる。
以上のメソポーラスシリカの表面の性状は、メソポーラスシリカの全体について制御しても良いし、その一部のみ(例えば、外表面のみ、あるいは細孔の内部の表面のみ)を変化させるなどして制御するようにしても良い。
以上、好適な実施形態に基づき金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法について説明したが、かかる製造方法はこの例に限定されず、適宜に態様を変化して行うことができる。例えば、メソポーラスシリカと金属イオンとを含む水溶液において、金属イオンは必ずしも水溶液中に均一に存在している必要はなく、メソポーラスシリカの表面で、金属粒子が形成される位置あるいはその近傍に偏在(例えば、局所的に存在)していても良い。また、ソリューションプラズマの発生に際しては、必ずしもタングステンからなる針状電極を用いる必要はなく、例えば、低インダクタンスの誘導コイルによりソリューションプラズマを発生するようにしても良い。さらに、金属イオンの還元は、ソリューションプラズマ(グロー放電プラズマ)によるものに限定されず、例えば、液中でのアーク放電プラズマ等による還元作用を利用して実施しても良い。
次に、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
(サンプル1)
0.5mMの硝酸銀イオンを含む水溶液を150mlと、平均粒径が11μmで平均細孔径が4.2nmの粉末状のメソポーラスシリカ(太陽化学株式会社製、TMPS−4)1gとを準備し、水溶液中にメソポーラスシリカを加えて攪拌し、分散させることで、メソポーラスシリカ分散水溶液を用意した。次いで、以下の装置を用い、このメソポーラスシリカ分散水溶液中でプラズマを発生させた。
図1は、メソポーラスシリカ分散水溶液中でプラズマを発生させるためのソリューションプラズマ発生装置10の概略を示す図である。この実施形態において、メソポーラスシリカ分散水溶液2は、ガラス製のビーカーからなる容器5に入れられている。また、プラズマを発生させるための一対の電極6は所定の間隔を以て水溶液2中に配設され、絶縁部材9を介して容器5に保持されている。この実施形態においては、電界を局所的に集中させることが可能な針状の電極6を用いた。電極6は、直径が約1mmのタングステンワイヤー(ニラコ社製)で構成し、電極間距離を0.3mmに設定した他、電界集中を妨げる余分な電流を抑えるために先端部(例えば、数mm程度)のみを露出させて、後の部分はフッ素樹脂からなる絶縁部材9で絶縁した。この実施形態では、絶縁部材9は電極6を容器5に固定するとともに、電極6と容器5との水密を保つための栓をも兼ねた構成となっている。電極6は外部電源8に接続されており、この外部電源8から所定の条件のパルス電圧が印加される。外部電源8としては、バイポーラパルス電源(株式会社栗田製作所製、MPS−R06K02C−WP1F)を用いた。
本実施形態においてソリューションプラズマを発生させるためのパルス電圧の印加条件は、電圧:1600V、パルス幅:2μs、繰り返し周波数:15kHzとし、この条件で水溶液中にソリューションプラズマを15分間発生させた。
その後、水溶液をろ過してメソポーラスシリカを回収し、純水で洗浄して、サンプル1のメソポーラスシリカとした。
(サンプル2)
以下の手順で、予め銀イオンを吸着させたメソポーラスシリカを用意した。すなわち、まず、1mMの硝酸銀イオンを含む水溶液を100mlに対し、サンプル1と同様のメソポーラスシリカ1gを準備し、水溶液中にメソポーラスシリカを加えて攪拌した。メソポーラスシリカは負に帯電しているため、この水溶液を引き続き24時間静置することで、カチオンである銀イオンをメソポーラスシリカに吸着させた。その後、この水溶液をろ過してメソポーラスシリカを回収し、表面を純水で洗浄して、細孔の内部にのみ銀イオンを吸着させたメソポーラスシリカを得た。
次いで、この銀イオンを吸着したメソポーラスシリカ1gを150mlの水に分散させることで、メソポーラスシリカ分散水溶液を用意した。そして、サンプル1と同様の装置を用いて、このメソポーラスシリカ分散水溶液中でプラズマを発生させた。本実施形態におけるソリューションプラズマを発生させるためのパルス電圧の印加条件は、電圧:2400V、パルス幅:2μs、繰り返し周波数:15kHzとし、この条件で水溶液中にソリューションプラズマを15分間発生させた。プラズマ発生後、この溶液をろ過してメソポーラスシリカを回収し、純水で洗浄して、サンプル2のメソポーラスシリカとした。
(サンプル3)
以下に示す公知の液相還元法により、メソポーラスシリカに銀ナノ粒子を担持させた。すなわち、まず、有機溶媒としてイソオクタン、界面活性剤としてスルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルナトリウム(AOT)を用い、イソオクタン100mlに対してAOTを0.0125molの割合で混合した後、1mMの濃度となるように硝酸銀を添加することで、1mMの硝酸銀溶液を調整した。
そして、この硝酸銀溶液150mlに、サンプル1と同じメソポーラスシリカ1gを加えて攪拌し分散させた。次いで、該溶液に還元剤としてのアスコルビン酸を加えることで銀イオンを還元させ、銀ナノ粒子の合成を行った。
その後、この溶液をろ過してメソポーラスシリカを回収し、純水で洗浄して、サンプル3のメソポーラスシリカとした。
[評価]
上記で得られたサンプル1〜3のメソポーラスシリカの外表面および細孔内の表面を走査透過電子顕微鏡(STEM:日本電子株式会社製、JEM2500SE)により観察した。その結果を図3〜5にそれぞれ示した。
図3に示されるように、サンプル1のメソポーラスシリカの外表面には粒径が10nm程度の銀粒子が、細孔内には粒径が2nm〜4nm(平均粒径約3nm)の銀粒子が形成されていることが確認された。これにより、本発明の方法により、銀ナノ粒子担持メソポーラスシリカが製造できることがわかった。また、ソリューションプラズマによる処理を施すことにより、水溶液中の銀イオンが速やかにメソポーラスシリカのメソ孔内にまで入り込み、メソポーラスシリカの外表面および細孔内で還元されて、銀粒子を形成したことがわかった。
図4に示されるように、サンプル2のメソポーラスシリカには、細孔内にのみ、粒径が2nm〜4nm(平均粒径約3nm)の銀粒子(ナノクラスター)が形成されていることが確認された。このことから、細孔の内部などの所望の位置に予め銀イオンを吸着等により存在させた状態でソリューションプラズマによる処理を施すことにより、当該所望の位置に銀粒子(ナノクラスター)を形成できることがわかった。
また、銀イオンを予めメソポーラスシリカに吸着させ、その他の銀イオンを除去した状態でソリューションプラズマによる処理を施すことにより、所定量の銀イオンのみが還元され、析出される粒子の粗大化を抑制でき粒径の揃った銀粒子(ナノクラスター)を形成できることがわかった。
さらに、おおよそ70%程度の細孔内に銀粒子(ナノクラスター)の生成が確認でき、銀イオンの吸着を利用することにより高度に分散状態が制御された銀ナノ粒子担持メソポーラスシリカが製造できることがわかった。
図5に示されるように、サンプル3のメソポーラスシリカには、外表面にのみ、粒径が数nmと小さい粒子から20nm程度と比較的大きな粒子まで、様々な大きさの銀粒子が形成されていることが確認された。このことから、公知の液相還元法によると、メソポーラスシリカの細孔の内部には還元作用が及ばず、細孔内に銀ナノ粒子を担持させることができないことが確認できた。また、メソポーラスシリカの外表面に析出した粒子もその粒径のばらつきが大きく、反応系において還元環境を均一に保ちにくいことがわかった。
(サンプル4〜6)
サンプル2と同様にして、予め銀イオンを吸着させたメソポーラスシリカを用意し、この銀イオンを吸着したメソポーラスシリカ1gを150mlの水に分散させることで、メソポーラスシリカ分散水溶液を用意した。
次いで、サンプル2の場合とはソリューションプラズマを発生させるためのパルス電圧の印加条件を変化させ、その他は同様にして、銀ナノ粒子担持メソポーラスシリカを製造した。
すなわち、サンプル4の銀ナノ粒子担持メソポーラスシリカは、サンプル2のパルス電圧印加条件において、電圧を4000Vとし、その他の条件はサンプル2と同様にすることで得た。
サンプル5の銀ナノ粒子担持メソポーラスシリカは、サンプル2のパルス電圧印加条件において、繰り返し周波数を30kHzとし、その他の条件はサンプル2と同様にすることで得た。
サンプル6の銀ナノ粒子担持メソポーラスシリカは、サンプル2のパルス電圧印加条件において、電圧を4000Vとし、さらに繰り返し周波数を30kHzとし、その他の条件はサンプル2と同様にすることで得た。
サンプル4〜6の銀ナノ粒子担持メソポーラスシリカを製造した際のソリューションプラズマの発生状況を観察し、その結果を下記の表1に示した。表1における評価は、ソリューションプラズマ(すなわちグロー放電)がサンプル2の場合と同程度に安定して発生した場合を「○」、プラズマの大きさや形状は安定しているものの、発光が激しくなり音が発生するように変化した状態を含む場合を「△」、プラズマの大きさや形状が大きく変化した状態を含む場合を「×」とした。
また、サンプル4〜6の銀ナノ粒子担持メソポーラスシリカの細孔内に形成された銀ナノ粒子(ナノクラスター)の量をSTEM観察により調べ、その結果を併せて表1に示した。表1における評価は、任意に選択した観察視野において、80%を超える程度の細孔内に銀ナノ粒子が形成されている場合を「◎」、およそ60%以上80%以下程度の細孔内に銀ナノ粒子が形成されている場合を「○」、40%以上60%以下程度の細孔内に銀ナノ粒子が形成されている場合を「△」、銀ナノ粒子が形成されている細孔がおよそ50%に満たない場合を「×」とした。
なお、表1には、参考のために、サンプル2の銀ナノ粒子担持メソポーラスシリカについての評価も併せて示した。
表1に示された通り、印加電圧や繰り返し周波数を増やすなどして投入エネルギーを増大させると、ソリューションプラズマは大きさおよび形状は保ちながらも時折橙色の閃光を発し、グロー放電領域とアーク放電領域との間で移行を繰り返し、不安定な状態であることがわかった。また、かかる不安定な状態のソリューションプラズマによると、銀ナノ粒子の形成量が減少する傾向があることも確認できた。このことから、銀イオンの還元には、ソリューションプラズマによる反応場が多大な影響を及ぼしていることも確認できた。
(サンプル7)
サンプル1と同様のメソポーラスシリカを0.1MのHNO溶液に浸漬させて24時間静置した後、この溶液をろ過してメソポーラスシリカを回収し、純水で洗浄して乾燥させることで、酸処理したメソポーラスシリカを用意した。
この酸処理したメソポーラスシリカを用い、サンプル2と同様の条件で硝酸銀水溶液中に浸漬させることで銀イオンを吸着させ、次いで、この水溶液中でソリューションプラズマを発生させることで、サンプル7の銀ナノ粒子担持メソポーラスシリカを製造した。
(サンプル8)
サンプル1と同様のメソポーラスシリカを水に分散させた水溶液中に、印加電圧1600V、パルス幅2μs、繰り返し周波数15kHzの条件(すなわち、サンプル1のパルス電圧印加条件と同じ条件)でソリューションプラズマを15分間発生させ、次いで、この水溶液をろ過してメソポーラスシリカを回収し、ソリューションプラズマ処理したメソポーラスシリカを用意した。なお、このソリューションプラズマ処理の前後でメソポーラスシリカについてフーリエ変換型赤外分光分析(FT−IR分析)を行った結果、ソリューションプラズマ処理によりメソポーラスシリカの表面に新たに水酸基が形成されたことが確認された。またソリューションプラズマ処理により、メソポーラスシリカを分散させた水溶液のゼータ電位が大きく負に変化したことから、この水酸基は高密度に形成されていることが示唆された。
次いで、このソリューションプラズマ処理したメソポーラスシリカを用い、サンプル2と同様の条件で硝酸銀水溶液中に浸漬させることで銀イオンを吸着させ、次いで、この水溶液中でソリューションプラズマを発生させることで、サンプル8の銀ナノ粒子担持メソポーラスシリカを製造した。
[評価]
上記で得られたサンプル7および8のメソポーラスシリカのSTEM観察を行い、メソポーラスシリカの細孔内に形成された銀粒子の粒径と量とを調べて、その結果を表2に示した。表2における銀ナノ粒子形成量の評価は表1の場合と同様であって、任意に選択した観察視野において、80%を超える程度の細孔内に銀ナノ粒子が形成されている場合を「◎」、およそ60%以上80%以下程度の細孔内に銀ナノ粒子が形成されている場合を「○」、40%以上60%以下程度の細孔内に銀ナノ粒子が形成されている場合を「△」、銀ナノ粒子が形成されている細孔がおよそ50%に満たない場合を「×」とした。
なお、表1には、参考のために、サンプル2の銀ナノ粒子担持メソポーラスシリカについての評価結果も併せて示した。
サンプル7および8の銀ナノ粒子担持メソポーラスシリカには、サンプル2の場合と同様に、メソポーラスシリカの細孔の内部にのみ銀ナノ粒子が形成され担持されていることが確認された。表2に示されるように、サンプル2、7および8の銀ナノ粒子担持メソポーラスシリカに担持される銀ナノ粒子(銀ナノクラスター)は、いずれも同程度の形状および大きさを有していた。しかしながら、ソリューションプラズマによる銀イオンの還元の前処理として、メソポーラスシリカに銀イオンを単純に吸着させただけのサンプル2に比較して、メソポーラスシリカを酸処理および乾燥させてから銀イオンを吸着させたサンプル7や、メソポーラスシリカをソリューションプラズマ処理してから銀イオンを吸着させたサンプル8の方が、より多くの細孔内に銀粒子が形成される結果となった。すなわち、前処理を施して予めより多くの細孔内に銀イオンを吸着させておくことで、メソポーラスシリカにより多くの銀ナノクラスターを担持させられることが確認された。なお、細孔内の銀イオン吸着量を増えた場合、銀ナノ粒子(銀ナノクラスター)の粒径が粗大化するのではなく、形成される銀ナノ粒子(銀ナノクラスター)の数が増えることもわかった。すなわち、メソポーラスシリカの細孔内部の表面状態を整えることにより金属粒子の核生成サイトが増大されることも伺え、さらに高度に銀粒子の分散状態を制御できることが確認された。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれ得る。
2 水溶液(液相)
3 気相
4 ソリューションプラズマ(プラズマ相)
5 容器
6 電極
7 攪拌装置
8 外部電源
9 絶縁部材
10 ソリューションプラズマ発生装置

Claims (11)

  1. メソポーラスシリカと金属イオンとを含む水溶液中でプラズマを発生させることにより、前記メソポーラスシリカの外表面および細孔内部の表面の少なくとも一部に前記金属イオンを還元してなる金属粒子を形成する、金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法。
  2. 前記水溶液が、前記金属粒子の凝集を抑制する凝集抑制添加剤を含まない、請求項1に記載の金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法。
  3. 予め、前記メソポーラスシリカの外表面および細孔内部の表面の少なくとも一部に前記金属イオンを吸着させ、次いで、前記金属イオンを吸着したメソポーラスシリカを含む水溶液中でプラズマを発生させる、請求項1または2に記載の金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法。
  4. 前記金属イオンの吸着に先立って、前記メソポーラスシリカを酸処理して乾燥させる、請求項3に記載の金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法。
  5. 前記金属イオンの吸着に先立って、前記メソポーラスシリカを含む水溶液に対してプラズマ処理を施す、請求項3に記載の金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法。
  6. 前記メソポーラスシリカの細孔内部の表面にのみ前記金属イオンを吸着させる、請求項3〜5のいずれか1項に記載の金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法。
  7. 前記金属粒子の平均粒径を3nm以下とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法。
  8. 前記水溶液の電気伝導度を、300μS・cm−1〜2500μS・cm−1の範囲とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法。
  9. 前記プラズマは、前記水溶液中で線状電極間にパルス幅が1〜10μsで、周波数が10〜10Hzの直流パルス電圧を印加することで発生させる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法。
  10. 前記プラズマが、グロー放電プラズマである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法。
  11. 前記グロー放電プラズマは、前記水溶液中に発生した気相中に形成される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の金属粒子担持メソポーラスシリカの製造方法。
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