以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す断面図である。また、図2は、画像形成装置1の画像形成ユニット32の一部を示した模式的な断面図である。なお、図1に対して図2では紙面上で上下および左右を反転して示している。また、図2は、複数色に対応して配置された後記の画像形成ユニット32のユニット32Y〜32Bkのうちの1つを図示している。ここでは、画像形成装置1として、プリンター機能と複写機能とを備えたカラー複合機を例示するが、画像形成装置は、プリンター、複写機、ファクシミリ装置であってもよく、モノクロ機であってもよい。尚、以下の説明で用いられる「上」や「下」、「前」や「後」、「左」や「右」といった方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、画像形成装置の原理を何ら限定するものではない。
<画像形成装置の説明>
画像形成装置1は、略直方体形状の筐体構造を有する装置本体10と、装置本体10上に配置される自動原稿給送装置20とを備える。装置本体10の内部には、複写する原稿画像を光学的に読み取る読取ユニット25と、シートにトナー像を形成する画像形成部30と、前記トナー像をシートに定着させる定着部60と、画像形成部30へ搬送されるシートを貯留する給紙部40と、シートを給紙部40又は給紙トレイ46から画像形成部30及び定着部60を経由してシート排出口10Eまで搬送する搬送経路50と、この搬送経路50の一部を構成するシート搬送路を内部に有する搬送ユニット55とが収容されている。
自動原稿給送装置(ADF)20は、装置本体10の上面に回動自在に取り付けられている。ADF20は、装置本体10における所定の原稿読取位置に向けて、複写される原稿シートを自動給送する。一方、ユーザーが手置きで原稿シートを所定の原稿読取位置に載置する場合は、ADF20は上方に開かれる。ADF20は、原稿シートが載置される原稿トレイ21と、自動原稿読取位置を経由して原稿シートを搬送する原稿搬送部22と、読取後の原稿シートが排出される原稿排出トレイ23とを含む。
読取ユニット25は、装置本体10の上面のADF20から自動給送される原稿シート又は手置きされる原稿シートの画像を光学的に読み取る。読取ユニット25内には、光源、移動キャリッジ、反射ミラー等を含む走査機構と、撮像素子とが収容されている(図略)。走査機構は、原稿シートに光を照射し、その反射光を撮像素子に導く。撮像素子は、前記反射光をアナログ電気信号に光電変換する。前記アナログ電気信号は、A/D変換回路でデジタル電気信号に変換された後、画像形成部30に入力される。
画像形成部30は、フルカラーのトナー画像を生成しこれをシート上に転写する処理を行うもので、タンデムに配置されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の各トナー像を形成する4つのユニット32Y、32M、32C、32Bkを含む画像形成ユニット32と、該画像形成ユニット32の上に隣接して配置された中間転写ユニット33と、中間転写ユニット33上に配置されたトナー補給部34とを含む。
画像形成ユニット32の各ユニット32Y〜32Bkは、それぞれ感光体ドラム321(像担持体)と、帯電器322と、露光装置323と、現像装置324と、クリーニング装置326と、除電器328(図3)とを備える。なお、各ユニットのうち、感光体ドラム321と、帯電器322と、クリーニング装置326と、除電器328とは、ドラムユニット321H(図2)として、装置本体10に対して一体的に着脱可能とされる。換言すれば、ドラムユニット321Hは、少なくとも感光体ドラム321および帯電器322を一体的に支持し、装置本体10に対して着脱可能とされている。
感光体ドラム321は、円筒形状を有する。感光体ドラム321は、周面に静電潜像が形成されるとともに、前記周面に該静電潜像に応じたトナー画像(現像剤像)を担持する。感光体ドラム321は、中間転写ベルト331に対向して配置される。なお、図2では、中間転写ベルト331の図示を省略している。感光体ドラム321は、前記周面がアモルファスシリコンからなる感光体である。感光体ドラム321は、後記の駆動部83によって所定の回転方向(図2の矢印方向)に回転駆動される。
帯電器322は、所定の電圧が印加され、感光体ドラム321の周面を略一様に帯電させる。本実施形態では、帯電器322は感光体ドラム321の周面に当接し、感光体ドラム321に対して従動回転する帯電ローラーである。帯電器322は、不図示の金属製のシャフトの周囲に弾性ローラーが配置されることで形成される。帯電器322には、後記のバイアス印加部80から帯電バイアスが印加される。なお、他の実施形態において、帯電器322は、感光体ドラム321の周面に近接して配置されてもよい。
露光装置323は、帯電器322によって帯電された感光体ドラム321の周面に、レーザー光を照射する。該レーザー光は、画像形成装置1に通信可能に接続されたパーソナルコンピュータなどの外部装置(図示せず)から出力された画像データに従って、照射される。この結果、感光体ドラム321の周面には、画像データに対応する静電潜像が形成される。
現像装置324(現像ユニット)は、感光体ドラム321の周面に形成された静電潜像を現像する。現像装置324がトナーを感光体ドラム321に供給すると、感光体ドラム321の周面に形成された静電潜像が現像(可視化)される。この結果、感光体ドラム321の周面に、トナー画像(現像剤像)が形成されることとなる。現像装置324は、装置本体10に対して着脱可能とされる。現像装置324は、現像ローラー324A(図2)を備える。現像ローラー324Aは、感光体ドラム321に対向して配置され、後記の駆動部83によって回転駆動される。現像ローラー324Aは、静電潜像が形成された感光体ドラム321の周面にトナーを供給する。詳しくは、現像ローラー324Aには、後記のバイアス印加部80によって現像バイアスが印加される。現像ローラー324Aと感光体ドラム321の周面に形成された静電潜像との間の電位差によって、現像ローラー324Aから感光体ドラム321にトナーが移動される。現像装置324には、磁性トナーからなる一成分現像剤が収容されている。本実施形態では、前記トナーは、プラス極性に帯電する特性を備える。なお、他の実施形態において、現像装置324には、非磁性トナーからなる一成分現像剤、または、非磁性トナーおよび磁性キャリアからなる二成分現像剤が収容されてもよい。
クリーニング装置326は、シートS1へトナー画像が転写された後に、感光体ドラム321の周面に残るトナーを除去する。クリーニング装置326は、板状のクリーニングブレードを含む(図2)。前記クリーニングブレードによって感光体ドラム321上に残存したトナーが掻き取られる。なお、図1に示すように、クリーニング装置326には、クリーニングブレードに代わって、クリーニングローラーが配置されてもよい。クリーニング装置326によって清浄化された感光体ドラム321の周面は、再度、帯電器322の下方を通過し、一様に帯電される。その後、上述のトナー画像の形成が新たに行われる。
除電器328(図2)は、感光体ドラム321の回転方向において、後記の一次転写ローラー325とクリーニング装置326との間に配置される。除電器328は、中間転写ベルト331へトナー画像が転写された後の感光体ドラム321の周面の電荷を除電する除電動作を実行する。本実施形態では、除電器328は、感光体ドラム321の周面に除電光(光)を照射する。前記除電光によって感光体ドラム321上の電荷が除電される。除電器328の除電動作は、後記のチェックモード制御部94および画像形成制御部95によって制御される。
中間転写ユニット33は、中間転写ベルト331、駆動ローラー332及び従動ローラー333、一次転写ローラー325を備える。中間転写ベルト331は、駆動ローラー332及び従動ローラー333に架け渡された無端ベルトであって、該中間転写ベルト331の外周面には、複数の感光体ドラム321からトナー像が、同一箇所に重ねて転写される。中間転写ベルト331は図1では反時計回りに回転される。
一次転写ローラー325は、中間転写ユニット33の中間転写ベルト331を挟んで感光体ドラム321との間でニップ部を形成し、感光体ドラム321上のトナー像を中間転写ベルト331上に一次転写する。
駆動ローラー332の周面に対向して、二次転写ローラー35が配置されている。駆動ローラー332と二次転写ローラー35とのニップ部は、中間転写ベルト331に重ね塗りされたフルカラーのトナー像をシートS1に転写する二次転写部となる。駆動ローラー332に、トナー像と逆極性の二次転写バイアス電位が印加され、二次転写ローラー35は接地される。また、駆動ローラー332よりも、中間転写ベルト331の回転方向上流側の位置には、中間転写ベルト331の周面に対向する位置に、濃度センサー35Aが対向配置されている。濃度センサー35Aは、中間転写ベルト331上に形成された画像の濃度に応じた電気信号を出力する。中間転写ユニット33および二次転写ローラー35は、本実施形態の転写部として機能する。転写部は、装置本体10に配置され、感光体ドラム321に担持されたトナー画像をシートS1に転写させる。
トナー補給部34は、イエロー用トナーコンテナ34Y、マゼンタ用トナーコンテナ34M、シアン用トナーコンテナ34C、及びブラック用トナーコンテナ34Bkを含む。これらトナーコンテナ34Y、34C、34M、34Bkは、それぞれ各色のトナーを貯留するものであり、YMCBk各色に対応するユニット32Y、32M、32C、32Bkの現像装置324に、図略の供給経路を通して各色のトナーを供給する。
給紙部40は、画像形成処理が施されるシートS1を収容する2段の給紙カセット40A、40Bを備える。これら給紙カセット40A、40Bは、装置本体10の前方から手前方向に引出可能である。
定着部60は、シートS1にトナー像を定着させる定着処理を施す誘導加熱方式の定着装置であって、加熱ローラー61、定着ローラー62、加圧ローラー63、定着ベルト64及び誘導加熱ユニット65を含む。定着ローラー62に対して加圧ローラー63が圧接され、定着ニップ部が形成されている。加熱ローラー61及び定着ベルト64は誘導加熱ユニット65によって誘導加熱され、その熱を前記定着ニップ部に与える。シートS1が定着ニップ部を通過することで、シートS1に転写されたトナー像が当該シートS1に定着される。
次に、画像形成装置1の電気的な構成について説明する。図3は、画像形成装置1の電気的なブロック図である。
画像形成装置1は、装置本体10の内部に配置された各部の動作を制御する制御部90を備える。制御部90は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、CPUの作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)等から構成されている。制御部90は、前記CPUが前記ROMに記憶された制御プログラムを実行することにより、駆動制御部91、印加電圧制御部92、記憶部93、チェックモード制御部94および画像形成制御部95を備えるように機能する。また、制御部90には、前述の画像形成ユニット32の各色の感光体ドラム321、帯電器322、現像装置324および除電器328に加え、バイアス印加部80および駆動部83が電気的に接続されている。
バイアス印加部80は、直流電圧に交流電圧が重畳された帯電バイアスを帯電器322に印加する。また、バイアス印加部80は、直流電圧に交流電圧が重畳された現像バイアスを現像ローラー324Aに印加する。なお、他の実施形態において、バイアス印加部80は、直流電圧のみからなる現像バイアスを現像ローラー324Aに印加してもよい。バイアス印加部80は、交流定電圧電源81と直流定電圧電源82とを備える。このように、バイアス印加部80は、直流および交流電圧を印加可能な高圧電源から構成される。バイアス印加部80は、後記の印加電圧制御部92によって制御される。
駆動部83は、画像形成装置1の内部の各部材を駆動させる。駆動部83は、画像形成ユニット32の各色の感光体ドラム321や現像装置324の現像ローラー324Aなどを回転駆動させるモーターである。
駆動制御部91は、画像形成装置1の画像形成動作に応じて、駆動部83を制御して、画像形成装置1の内部の各部材を回転駆動させる。
印加電圧制御部92(バイアス制御部)は、画像形成装置1の内部の各部材に印加されるバイアスを制御する。特に、印加電圧制御部92は、バイアス印加部80を制御して、感光体ドラム321に静電潜像が形成されるために帯電器322に印加される帯電バイアスを制御する。更に、バイアス印加部80は、前記静電潜像が現像されるために、現像ローラー324Aに印加される現像バイアスを制御する。
記憶部93は、駆動制御部91によって参照される各部材の駆動タイミング情報を格納している。また、記憶部93は、印加電圧制御部92によって参照される帯電バイアスおよび現像バイアスの設定値を格納している。
チェックモード制御部94(モード制御部)は、後記のメンテナンス用チェックモード(サービスモード)を実行する。詳しくは、チェックモード制御部94は、感光体ドラム321の前記周面またはシートS1上に画像欠陥が発生した場合に、前記画像欠陥の原因が現像装置324およびドラムユニット321Hの何れにあるかを判定するためのメンテナンス用チェックモードを実行する。この際、チェックモード制御部94は、メンテナンス用チェックモードの実行時に、感光体ドラム321を回転させ、除電器328の除電動作を停止させた状態で、印加電圧制御部92を制御して、帯電器322に後記の判定用バイアスVCを印加させることで、感光体ドラム321の表面電位を所定の目標電位VB1(=VC)に設定する。
画像形成制御部95は、画像形成装置1において、シートS1にトナー画像が形成される画像形成動作を制御する。画像形成制御部95は、画像形成動作時に、感光体ドラム321を回転させ、除電器328に除電動作を実行させた状態で、印加電圧制御部92を制御して、前記帯電バイアスを帯電器322に印加させることで、感光体ドラム321の表面電位を前記所定の目標電位VB1に設定する。なお、目標電位VB1については後記で詳述する。
次に、画像形成装置1において実行される画像形成動作について説明する。図4は、画像形成装置1の感光体ドラム321の表面電位と現像ローラー324Aに印加される現像バイアスの直流成分VDとの関係を図示した模式図である。図4(A)は、通常の画像形成動作における関係を示している。
画像形成装置1において画像形成動作が開始されると、前述の画像形成制御部95は、感光体ドラム321および中間転写ベルト331を回転させ、除電器328に除電動作を実行させた状態で、印加電圧制御部92を制御して、前記帯電バイアスを帯電器322に印加させることで、感光体ドラム321の表面電位を目標電位VB1に設定する。本実施形態では、目標電位VB1はプラス極性の300Vに設定される。この際、バイアス印加部80から帯電器322には、直流電圧450Vに交流電圧1200V(ピーク間電圧)が重畳された帯電バイアスが印加される。
更に、印加電圧制御部92は、バイアス印加部80を制御して、現像ローラー324Aに+150Vの直流電圧からなる現像バイアスVDを印加する。すなわち、現像バイアスVDの直流電圧は、目標電位VB1よりも小さなプラス極性の電位である。目標電位VB1は、感光体ドラム321上に形成される静電潜像のうち、背景部の電位に相当する。そして、露光装置323によって画像部分が露光されると、前記画像部分の電位が、現像バイアスVDよりも小さな画像部電位VI1に設定される(図4(A))。
現像バイアスVDと画像部電位VI1との間の電位差によって、現像ローラー324Aから感光体ドラム321にトナーが移動する。一方、感光体ドラム321の背景部は、現像バイアスVDよりも150Vの電位差をもって大きな電位(目標電位VB1)に設定されている。このため、現像ローラー324Aから感光体ドラム321の背景部にトナーが移動するトナーかぶりの発生が防止される。現像ローラー324Aからトナーが供給されることで感光体ドラム321上に形成されたトナー像は、一次転写ローラー325(図1)によって中間転写ベルト331に転写された後、二次転写ローラー35によってシートS1に転写される。中間転写ベルト331にトナー像が転写された後の感光体ドラム321の周面は除電器328によって除電される。また、感光体ドラム321の周面に残存したトナーはクリーニング装置326によって除去される。その後、感光体ドラム321の周面は、再び帯電器322によって帯電され、上記と同様の画像形成動作が繰り返される。
前述のように、本実施形態では、感光体ドラム321としてアモルファスシリコン感光体が使用されている。本実施形態では、アモルファスシリコン感光体の長寿命特性によって画像形成装置1の耐久寿命が印刷枚数50万枚以上に設定されている。しかしながら、画像形成装置1に使用に伴って、シートS1に形成される画像上に前述のトナーかぶりが生じることがある。トナーかぶりはシートS1の背景部分にトナーが付着し、淡く色づく画像欠陥である。トナーかぶりの原因として、感光体ドラム321、帯電器322、現像装置324、一次転写ローラー325などの欠陥が考えられるが、帯電器322および現像装置324の欠陥が原因となることが多い。
前記トナーかぶりの発生が帯電器322に起因する場合、帯電器322の表面に放電生成物などが付着することによって、感光体ドラム321上において所定の帯電電位が得られないことが原因としてあげられる。図4(B)は、帯電器322の帯電性能が低下した場合、感光体ドラム321の表面電位VB2と現像バイアスVDの直流成分との関係を示した模式図である。印加電圧制御部92は、前述の目標電位VB1が得られるための所定の設定値を記憶部93から参照し、バイアス印加部80を制御する。しかしながら、帯電器322の表面抵抗が上昇していると、前記設定値に基づく帯電バイアスが帯電器322に印加されても、感光体ドラム321の表面電位は、目標電位VB1よりも低い表面電位VB2に帯電される。たとえば、前記表面電位VB2は、+250Vである。なお、感光体ドラム321の画像部の電位は、前記VI1よりも低いVI2まで低下する。そして、感光体ドラム321の背景部の表面電位が、目標電位VB1よりも現像バイアスVDに近づく(図4(B)の矢印D51)ことによって、現像ローラー324Aから感光体ドラム321の表面にトナーが移動する(図4(B)の矢印D52)。すなわち、感光体ドラム321上の静電潜像のうち背景部に対してトナーが感光体ドラム321に付着するトナーかぶりが発生する。この場合、帯電器322を含むドラムユニット321Hが交換されることによって、トナーかぶりが解消する。
一方、トナーかぶりの発生が現像装置324に起因する場合、現像装置324内のトナーの帯電性の低下や現像ローラー324Aへの現像バイアスの印加不良などが原因としてあげられる。この場合、現像装置324の交換によって、トナーかぶりが解消する。
このように、画像形成装置1においてトナーかぶりが発生している場合、ドラムユニット321Hまたは現像装置324が交換されることで、トナーかぶりが解消されることが多い。しかしながら、このようなトナーかぶりの原因は、画像形成装置1が設置された現場では判断が困難である。そのため、該トナーかぶりの発生を解消するために、メンテナンス作業者は帯電器322および感光体ドラム321を含むドラムユニット321H、および現像装置324の両方を新品に交換する場合が多い。この結果、画像形成装置1の修復時間が長くなるとともに、問題がないユニットが誤って交換されることで修復に必要なサービスコストが増大するという問題があった。
上記のような課題を解決するために、本実施形態では、画像形成装置1においてメンテナンス用チェックモードが実行されることによって、トナーかぶりの発生原因であるユニットが判定可能とされる。本実施形態では、トナーかぶりの発生原因が帯電器322か否かに着目して、前記メンテナンス用チェックモードが実行される。
前述のように、通常の画像形成動作では、除電器328の除電動作が実行された状態で、感光体ドラム321の周面が帯電器322によって帯電される。除電器328が感光体ドラム321の周面に除電光を照射している場合、感光体ドラム321の周面のアモルファスシリコン層に電荷キャリアが発生する。前記電荷キャリアの発生は、帯電器322による感光体ドラム321の帯電を一部阻害する。このため、感光体ドラム321の目標電位VB1と、帯電器322に印加される帯電バイアスの直流電圧とは一致しない。すなわち、感光体ドラム321の表面電位を目標電位VB1に設定するためには、前述のように目標電位VB1よりも高い直流電圧(450V)を含む帯電バイアスが帯電器322に印加される必要がある。
一方、除電器328の除電動作が停止された状態では、上記のような電荷キャリアの発生が抑制される。この場合、感光体ドラム321が数回転の間、回転されながら、帯電器322に帯電バイアスが印加されると、前記帯電バイアスの直流電圧と、感光体ドラム321の表面電位とが略一致する。したがって、帯電器322の抵抗変化の影響を受けることなく、感光体ドラム321の表面電位を所望の電位に確実に設定することができる。本実施形態では、後記のメンテナンス用チェックモードにおいて、除電器328の除電動作が停止された状態で、画像形成動作時の帯電バイアスよりも小さな直流電圧を含む判定用バイアスVCが帯電器322に印加される。除電器328の除電動作が停止されている場合、帯電器322による感光体ドラム321の帯電が阻害されにくい。このため、判定用バイアスVCの直流電圧の絶対値が、画像形成動作時の帯電バイアスの直流電圧の絶対値よりも小さいにも関わらず、判定用バイアスVCによって、感光体ドラム321の表面電位が目標電位VB1に設定される。
次に、本実施形態におけるメンテナンス用チェックモード(サービスモード)を含む、画像形成装置1の修復動作について説明する。図5は、画像形成装置1において、メンテナンス用チェックモードが実行され、現像装置324またはドラムユニット321Hが交換されるまでの流れを示したフローチャートである。以下、図5を参照して、画像形成ユニット32のうちの一の色に対応したユニットにおける修復動作について説明する。
画像形成装置1において、トナーかぶりの発生が確認されると、画像形成装置1のメンテナンス作業者は画像形成装置1に備えられた不図示の操作部からメンテナンス用チェックモードの実行指示を入力する。前記実行指示の入力を受けると、チェックモード制御部94(図3)は、除電器328の除電動作を停止する(図5のステップ#1)。次に、チェックモード制御部94は、駆動部83を制御して、感光体ドラム321を回転駆動させる(図5のステップ#2)。このとき、中間転写ベルト311も同時に回転駆動される。更に、チェックモード制御部94は、バイアス印加部80を制御して、帯電器322に印加される帯電バイアスおよび現像ローラー324Aに印加される現像バイアスをオンさせる(図5のステップ#3)。この結果、帯電器322には、直流電圧および交流電圧から構成される判定用バイアスVCが印加される。判定用バイアスVCの直流電圧は、画像形成動作における目標電位VB1と同じバイアス値の直流電圧に相当する。図4(C)は、この際の感光体ドラム321の表面電位と現像バイアスVDとの関係を示した模式図である。前述のように、ステップ#1において除電器328の除電動作が停止された状態では、帯電器322に印加される判定用バイアスVC=感光体ドラム321の表面電位の関係がほぼ満たされる。したがって、判定用バイアスVCが印加された帯電器322によって、感光体ドラム321の表面電位は、目標電位VB1に設定される。この場合、前述のように、現像ローラー324Aから感光体ドラム321にトナーが移動しにくく、トナーかぶりの発生が抑制される。
帯電器322および現像ローラー324Aに前記バイアスが印加された状態で、感光体ドラム321が3回転、回転駆動される。この状態で、感光体ドラム321の周面にトナーかぶりが発生しているか否かが、メンテナンス作業者によって確認される(図5のステップ#4)。あるいは、チェックモード制御部94は、感光体ドラム321の周面のうち、前記判定用バイアスVCが帯電器322に印加されることで帯電され、かつ、現像ローラー324Aが感光体ドラム321に対向する対向位置を通過した領域に付着したトナーを中間転写ベルト331を介してシートS1に転写させる。この結果、シートS1上にトナーかぶりが発生しているか否かが、メンテナンス作業者によって確認される(図5のステップ#4)。なお、感光体ドラム321の前記周面にトナーが付着していない場合は、シートS1は白紙として排出される。この結果、メンテナンス用チェックモードの実行に伴って、トナーかぶりが残存しているか否かをシートS1上で確認することができる。
ステップ#4において、感光体ドラム321の周面またはシートS1上に、トナーかぶりが発生している場合(ステップ#4でYES)、トナーかぶりの発生原因が現像装置324にあることがメンテナンス作業者によって判定される。この結果、メンテナンス作業者によって、現像装置324が交換される(図5のステップ#5)。なお、メンテナンス作業者によって、現像装置324の欠陥部分が修復されてもよい。
一方、ステップ#4において、感光体ドラム321の周面またはシートS1上に、トナーかぶりが発生していない場合(ステップ#4でNO)、トナーかぶりの発生原因が帯電器322を含むドラムユニット321Hにあることがメンテナンス作業者によって判定される。この結果、メンテナンス作業者によって、ドラムユニット321Hが交換される(図5のステップ#6)。なお、メンテナンス作業者によって、ドラムユニット321Hの欠陥部分が修復されてもよい。
このように、本実施形態によれば、現像装置324およびドラムユニット321Hのうち、トナーかぶりの発生原因であるユニットを早期に判定することが可能とされる。この結果、画像形成装置1の修復時間が短縮されるとともに、修復に必要なサービスコストが増大することが防止される。また、メンテナンス作業者は、操作部(不図示)からメンテナンス用チェックモードの実行を指示することができる。したがって、簡易な操作で、画像欠陥の発生原因であるユニットを早期に判定することが可能となる。
また、本実施形態では、画像形成動作時には、除電器328から照射される除電光によって、感光体ドラム321の周面が安定して除電される。一方、メンテナンス用チェックモードの実行時には、除電光による除電動作が停止されることで、帯電器322に印加される判定用バイアスVCと同じ電位に感光体ドラム321の表面電位を設定することができる。
なお、本実施形態のように、画像形成装置1の装置本体10に複数の画像形成用のユニット32Y〜32Bkが配置される場合には、上記のようなトナーかぶりの発生原因の特定と修復により多くの時間が必要とされる。このような場合であっても、上記のメンテナンス用チェックモードが実行されることで、早期にトナーかぶりの発生原因が特定される。なお、上記のメンテナンス用チェックモードが各色のユニット32Y〜32Bkに対して同時に実行されてもよい。この場合であっても、1枚のシートS1上における各色のトナーかぶりの有無によって、各色のユニット32Y〜32Bkにおいて修復対象とされるユニット(現像装置324またはドラムユニット321H)を特定することができる。
以上、本発明の実施形態に係る画像形成装置1(画像形成装置)について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば次のような変形実施形態を取ることができる。
(1)上記の実施形態では、シートS1上のトナー画像において発生する画像欠陥として、トナーかぶりを用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。帯電器322に起因して感光体ドラム321の表面電位が不安定となった場合に、シートS1上のトナー画像において他の画像欠陥が発生する場合であっても、同様のメンテナンス用チェックモードが実行されてもよい。
(2)また、上記の実施形態では、ドラムユニット321Hに除電器328が支持される構成にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。除電器328は、装置本体10側に固定されるものでもよい。
(3)また、上記の実施形態では、中間転写ベルト331を含む中間転写ユニット33が配置される態様にて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。感光体ドラム321からシートS1にトナー画像が直接転写される態様でもよい。この場合、感光体ドラム321に対向して配置される不図示の転写ローラーが転写部として機能する。