以下、本明細書において用いられる用語について、必要に応じて例を挙げて説明する。
本明細書中、「Me」はメチル基を示し、「Et」はエチル基を示し、「Ph」はフェニル基を示し、「t−Bu」および「tBu」はtert−ブチル基を示す。
「構成単位」とは、高分子化合物中に1個以上存在する単位構造を意味する。「構成単位」は、「繰り返し単位(高分子化合物中に2個以上存在する単位構造)」として高分子化合物中に含まれることが好ましい。
「Cx−y」(x、yはx<yを満たす正の整数である。)という用語は、この用語の直後に記載された官能基名に該当する部分構造の炭素原子数が、x〜yの範囲にあることを意味する。すなわち、「Cx−y」の直後に記載された有機基が、複数の官能基名を組み合わせて命名された有機基(例えば、Cx−yアルコキシフェニル基)である場合、複数の官能基名のうち「Cx−y」の直後に記載された官能基名(例えば、アルコキシ)に該当する部分構造の炭素原子数が、x〜yの範囲にあることを意味する。例えば、「C1−12アルキル基」は炭素原子数が1〜12であるアルキル基を意味し、「C1−12アルコキシフェニル基」は「炭素原子数が1〜12であるアルコキシ基」を有するフェニル基を意味する。
本明細書中、「置換基を有していてもよい」という用語は、この用語の直後に記載された官能基が置換基を有していてもよいし、有していなくてもよいことを意味する。例えば、「置換基を有していてもよいアルキル基」という用語は、「非置換のアルキル基若しくは置換基を有するアルキル基」を意味する。
「置換基」の例としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アルケニル基、アルキニル基、アミノ基、シリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、1価の複素環基、複素環オキシ基、複素環チオ基、イミン残基、アミド化合物残基、酸イミド残基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。これらの基は、上記の例から選ばれる「置換基」をさらに有していてもよい。
「アルキル基」は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基および環状アルキル基(シクロアルキル基)のいずれであってもよい。直鎖状アルキル基および分岐状アルキル基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜15であり、さらに好ましくは1〜12である。分岐状アルキル基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、特に好ましくは3〜12である。
環状アルキル基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜15、さらに好ましくは3〜12である。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ドデシル基が挙げられる。
「アルコキシ基」は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルコキシ基、分岐状アルコキシ基および環状アルコキシ基(シクロアルコキシ基)のいずれであってもよい。直鎖状アルコキシ基および分岐状アルコキシ基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜15であり、さらに好ましくは1〜12である。環状アルコキシ基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは3〜20であり、より好ましくは3〜15であり、さらに好ましくは3〜12である。分岐状アルコキシ基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、特に好ましくは3〜12である。
アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ドデシルオキシ基が挙げられる。
「アルキルチオ基」は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルキルチオ基、分岐鎖状アルキルチオ基および環状アルキルチオ基(シクロアルキルチオ基)のいずれであってもよい。直鎖状アルキルチオ基および分岐鎖状アルキルチオ基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは1〜20であり、より好ましくは1〜15であり、さらに好ましくは1〜12である。環状状アルキルチオ基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは3〜20であり、より好ましくは3〜15であり、さらに好ましくは3〜12である。分岐状アルキルチオ基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、特に好ましくは3〜12である。
アルキルチオ基としては、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、イソプロピルチオ基、ブチルチオ基、イソブチルチオ基、sec−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ドデシルチオ基が挙げられる。
「アリール基」は、芳香族炭化水素から芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子1個を除いた残りの原子団である。アリール基は、置換基を有していてもよく、アリール基としては、ベンゼン環を有するもの、縮合環を有する基が含まれる。アリール基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは6〜60であり、より好ましくは6〜48であり、さらに好ましくは6〜30である。上記芳香族炭化水素の例としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン、フルオレン、ピレン、ペリレン等が挙げられる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、2−フルオレニル基が挙げられる。
「アリールオキシ基」は、−O−Ar21で示される基である。ここでAr21は、上記アリール基を示す。Ar21で示されるアリール基は置換基を有していてもよい。アリールオキシ基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは6〜60であり、より好ましくは6〜48であり、さらに好ましくは6〜30である。
アリールオキシ基としては、例えば、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、1−アントラセニルオキシ基、2−アントラセニルオキシ基、9−アントラセニルオキシ基、2−フルオレニルオキシ基が挙げられる。
「アリールチオ基」は、−S−Ar22で示される基である。ここでAr22は、上記アリール基を示す。Ar22で示されるアリール基は置換基を有していてもよい。アリールチオ基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは6〜60であり、より好ましくは6〜48であり、さらに好ましくは6〜30である。
アリールチオ基としては、例えば、フェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基、1−アントラセニルチオ基、2−アントラセニルチオ基、9−アントラセニルチオ基、2−フルオレニルチオ基が挙げられる。
「アルケニル基」は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルケニル基、分岐状アルケニル基および環状アルケニル基のいずれであってもよい。直鎖状アルケニル基および分岐状アルケニル基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜15であり、さらに好ましくは2〜10である。環状アルケニル基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは3〜20であり、より好ましくは3〜15であり、さらに好ましくは3〜10である。分岐状アルケニル基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、特に好ましくは3〜10である。
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基が挙げられる。
「アルキニル基」は、置換基を有していてもよく、直鎖状アルキニル基、分岐状アルキニル基および環状アルキニル基のいずれであってもよい。直鎖状アルキニル基および分岐状アルキニル基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜15であり、さらに好ましくは2〜10である。環状アルキニル基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは3〜20であり、より好ましくは3〜15であり、さらに好ましくは3〜10である。分岐状アルキニル基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、特に好ましくは3〜10である。
アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、1−オクチニル基が挙げられる。
「アミノ基」は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のアミノ基並びにアルキル基、アリール基、アリール基で置換されたアルキル基および1価の複素環基から選ばれる1個または2個の置換基で置換されたアミノ基である。以下、1個または2個の置換基で置換されたアミノ基を「置換アミノ基」という。当該置換基はさらに置換基を有していてもよい。以下、有機基の有する置換基が、さらに有する置換基を、「二次置換基」という場合がある。置換アミノ基の炭素原子数は、二次置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは1〜60であり、より好ましくは2〜48であり、さらに好ましくは2〜40である。
置換アミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、イソブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ドデシルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジトリフルオロメチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1−12アルコキシフェニルアミノ基、ビス(C1−12アルコキシフェニル)アミノ基、C1−12アルキルフェニルアミノ基、ビス(C1−12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジニルアミノ基、ピラジニルアミノ基、トリアジニルアミノ基、フェニル−C1−12アルキルアミノ基、C1−12アルコキシフェニル−C1−12アルキルアミノ基、ジ(C1−12アルコキシフェニル−C1−12アルキル)アミノ基、C1−12アルキルフェニル−C1−12アルキルアミノ基、ジ(C1−12アルキルフェニル−C1−12アルキル)アミノ基、1−ナフチル−C1−12アルキルアミノ基、2−ナフチル−C1−12アルキルアミノ基等が挙げられる。
「シリル基」は、置換基を有していてもよく、好ましくは非置換のシリル基並びにアルキル基、アリール基、アリール基で置換されたアルキル基および1価の複素環基から選ばれる1個〜3個の置換基で置換されたシリル基(以下、「置換シリル基」という。)である。当該置換基は二次置換基を有していてもよい。置換シリル基の炭素原子数は、二次置換基の炭素原子数を含めないで、好ましくは1〜60であり、より好ましくは3〜48であり、さらに好ましくは3〜40である。
置換シリル基の例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリ−イソプロピルシリル基、ジメチル−イソプロピルシリル基、ジエチル−イソプロピルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ドデシルジメチルシリル基、フェニル−C1−12アルキルシリル基、C1−12アルコキシフェニル−C1−12アルキルシリル基、C1−12アルキルフェニル−C1−12アルキルシリル基、1−ナフチル−C1−12アルキルシリル基、2−ナフチル−C1−12アルキルシリル基、フェニル−C1−12アルキルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ−p−キシリルシリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基等が挙げられる。
「アシル基」としては、例えば、−C(=O)−R111で示される基が挙げられる。ここでR111は、上記アルキル基、上記アリール基または後述する1価の複素環基を示す。R111におけるアルキル基、アリール基および1価の複素環基は置換基を有していてもよい。アシル基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜18であり、さらに好ましくは2〜16である。
アシル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基が挙げられる。また、置換基を有するアシル基としては、置換基としてハロゲン原子を有するアシル基(例えば、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基)等が挙げられる。
「アシルオキシ基」としては、例えば、−O−C(=O)−R112で示される基が挙げられる。ここでR112は、上記アルキル基、上記アリール基または後述する1価の複素環基を示す。R112におけるアルキル基、アリール基および1価の複素環基は置換基を有していてもよい。アシルオキシ基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜18であり、さらに好ましくは2〜16である。
アシルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基が挙げられる。また、置換基を有するアシルオキシ基としては、置換基としてハロゲン原子を有するアシルオキシ基(例えば、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基)等が挙げられる。
「オキシカルボニル基」としては、−C(=O)−O−R113で示される基が挙げられる。ここでR113は、上記アルキル基、上記アリール基または後述する1価の複素環基を示す。R113におけるアルキル基、アリール基および1価の複素環基は置換基を有していてもよい。オキシカルボニル基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは2〜20であり、より好ましくは2〜18であり、さらに好ましくは2〜16である。
「1価の複素環基」は、複素環式化合物から複素環または芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子1個を除いた残りの原子団である。1価の複素環基は置換基を有していてもよく、1価の複素環基としては、単環の基、縮合環を有する基が含まれる。1価の複素環基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは2〜60であり、より好ましくは4〜30であり、さらに好ましくは4〜20である。
複素環式化合物とは、環式構造を有する有機化合物のうち、環を構成する原子として、炭素原子だけでなく、例えば、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子、ヒ素原子等のヘテロ原子を含む化合物をいう。
1価の複素環基としては、1価の芳香族複素環基が好ましい。1価の芳香族複素環基は、芳香族複素環式化合物から芳香族複素環または芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子1個を除いた残りの原子団である。芳香族複素環式化合物としては、例えば、ヘテロ原子を含む複素環自体が芳香族性を示す化合物、すなわちオキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、オキサゾール、チオフェン、ピロール、ホスホール、フラン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、ピリダジン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、ジベンゾホスホール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン等、および、ヘテロ原子を含む複素環それ自体は芳香族性を示さなくとも、該複素環に芳香環が縮合されている化合物、すなわちフェノキサジン、フェノチアジン、ジベンゾボロール、ジベンゾシロール、ベンゾピラン等が挙げられる。
1価の芳香族複素環基としては、例えば、チエニル基、C1−12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1−12アルキルピリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基等が挙げられる。
「複素環オキシ基」は、−O−Ar101で示される基である。ここでAr101は上記1価の複素環基を示す。Ar101で示される1価の複素環基は置換基を有していてもよい。複素環オキシ基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは2〜60であり、より好ましくは4〜30であり、さらに好ましくは4〜20である。
複素環オキシ基としては、例えば、ピリジルオキシ基、ピリダジニルオキシ基、ピリミジニルオキシ基、ピラジニルオキシ基、トリアジニルオキシ基等が挙げられる。
「複素環チオ基」は、−S−Ar102で示される基である。ここでAr102は上記1価の複素環基を示す。Ar102で示される1価の複素環基は置換基を有していてもよい。複素環チオ基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは2〜60であり、より好ましくは4〜30であり、さらに好ましくは4〜20である。
複素環チオ基としては、例えば、ピリジルチオ基、ピリダジニルチオ基、ピリミジニルチオ基、ピラジニルチオ基、トリアジニルチオ基が挙げられる。
「イミン残基」は、式:H−N=C(R114)2または式:H−C(R115)=N−R116で示される構造を有するイミン化合物から、該式中の水素原子1個を除いた残基を意味する。式中、R114、R115およびR116は、それぞれ独立に、上記アルキル基、上記アリール基、上記アルケニル基、上記アルキニル基または上記1価の複素環基を示す。R114、R115およびR116におけるアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基および1価の複素環基は、置換基を有していてもよい。複数個存在するR114は互いに同一でも異なっていてもよく、これらが互いに連結して、それぞれが結合する炭素原子とともに環構造を形成していてもよい。
イミン残基としては、例えば、以下の構造式で示される基が挙げられる。
「アミド化合物残基」は、式:H−N(R117)−C(=O)R118または式:H−C(=O)−N(R119)2で示される構造を有するアミド化合物から、該式中の水素原子1個を除いた残基を意味する。式中、R117、R118およびR119は、それぞれ独立に、上記アルキル基、上記アリール基、上記アルケニル基、上記アルキニル基または上記1価の複素環基を示す。R117、R118およびR119におけるアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基および1価の複素環基は、置換基を有していてもよい。2個存在するR119は互いに同一でも異なっていてもよく、互いに連結して、それぞれが結合する窒素原子とともに環構造を形成していてもよい。
アミド化合物残基としては、例えば、ホルムアミド残基、アセトアミド残基、プロピオアミド残基、ブチロアミド残基、ベンズアミド残基、トリフルオロアセトアミド残基、ペンタフルオロベンズアミド残基、ジホルムアミド残基、ジアセトアミド残基、ジプロピオアミド残基、ジブチロアミド残基、ジベンズアミド残基、ジトリフルオロアセトアミド残基、ジペンタフルオロベンズアミド残基が挙げられる。
「酸イミド残基」は、酸イミド化合物から、その窒素原子に結合した水素原子1個を除いた残基を意味する。当該酸イミド化合物は置換基を有していてもよい。酸イミド残基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは4〜20であり、より好ましくは4〜18であり、さらに好ましくは4〜16である。
酸イミド残基としては、例えば以下の構造式で示される基が挙げられる。
「置換基を有していてもよいアルキル基」の例としては、非置換のアルキル基および上記置換基を有するアルキル基が挙げられる。ここでアルキル基が有する置換基は、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、複素環オキシ基およびハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基であることが好ましい。
「置換基を有していてもよいアルコキシ基」の例としては、非置換のアルコキシ基および上記置換基を有するアルコキシ基が挙げられる。ここでアルコキシ基が有する置換基は、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、複素環オキシ基およびハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基であることが好ましい。
「置換基を有していてもよいアリール基」の例としては、非置換のアリール基および上記置換基を有するアリール基が挙げられる。ここでアリール基が有する置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、複素環オキシ基およびハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基であることが好ましい。
「置換基を有していてもよいアリールオキシ基」の例としては、非置換のアリールオキシ基および上記置換基を有するアリールオキシ基が挙げられる。ここでアリールオキシ基が有する置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、複素環オキシ基およびハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基であることが好ましい。
「置換基を有していてもよい1価の複素環基」の例としては、非置換の複素環基および上記置換基を有する1価の複素環基が挙げられる。ここで1価の複素環基が有する置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、複素環オキシ基およびハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基であることが好ましい。
「置換基を有していてもよいアリーレン基」の例としては、非置換のアリーレン基および上記置換基を有するアリーレン基が挙げられる。ここでアリーレン基が有する置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、複素環オキシ基およびハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基であることが好ましい。
「アリーレン基」は、芳香族炭化水素から芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子2個を除いた残りの原子団である。アリーレン基には、ベンゼン環を有する基、縮合環を有する基が含まれる。
置換基を有していてもよいアリーレン基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは6〜60であり、より好ましくは6〜48であり、さらに好ましくは6〜30である。上記芳香族炭化水素としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ナフタセン、フルオレン、ピレン、ペリレンが挙げられる。
アリーレン基の例としては、フェニレン基、すなわち1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,2−フェニレン基等;ナフタレンジイル基、すなわち1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル等;アントラセンジイル基、すなわち1,4−アントラセンジイル基、1,5−アントラセンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基等;フェナントレンジイル基、すなわち2,7−フェナントレンジイル基;ナフタセンジイル基、すなわち1,7−ナフタセンジイル基、2,8−ナフタセンジイル基、5,12−ナフタセンジイル基等;フルオレンジイル基、すなわち2,7−フルオレンジイル基、3,6−フルオレンジイル基等;ピレンジイル基、すなわち1,6−ピレンジイル基、1,8−ピレンジイル基、2,7−ピレンジイル基、4,9−ピレンジイル基等;ペリレンジイル基、すなわち3,8−ペリレンジイル基、3,9−ペリレンジイル基、3,10−ペリレンジイル基等が挙げられる。
「置換基を有していてもよい2価の複素環基」の例としては、置換基を有しない2価の複素環基および上記置換基を有する2価の複素環基が挙げられる。ここで、2価の複素環基が有する置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、複素環オキシ基およびハロゲン原子からなる群より選ばれる置換基であることが好ましい。
「2価の複素環基」は、複素環式化合物から複素環または芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子2個を除いた残りの原子団である。2価の複素環基には、単環の基、縮合環の基が含まれる。
置換基を有していてもよい2価の複素環基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、好ましくは2〜60であり、より好ましくは4〜30であり、さらに好ましくは4〜20である。
2価の複素環基としては、2価の芳香族複素環基が好ましい。2価の芳香族複素環基は、芳香族複素環式化合物から芳香族複素環または芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子2個を除いた残りの原子団である。
2価の複素環基としては、例えば、ピリジンジイル基、すなわち2,5−ピリジンジイル基、2,6−ピリジンジイル基等;キノリンジイル基、すなわち2,6−キノリンジイル基等;イソキノリンジイル基、すなわち1,4−イソキノリンジイル基、1,5−イソキノリンジイル基等;キノキサリンジイル基、すなわち5,8−キノキサリンジイル基等;2,1,3−ベンゾチアジアゾール基、すなわち2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル基等;ベンゾチアゾールジイル基、すなわち4,7−ベンゾチアゾールジイル基等;ジベンゾシロールジイル基、すなわち2,7−ジベンゾシロールジイル基等;ジベンゾフランジイル基、すなわちジベンゾフラン−4,7−ジイル基、ジベンゾフラン−3,8−ジイル基等;ジベンゾチオフェンジイル基、すなわちジベンゾチオフェン−4,7−ジイル基、ジベンゾチオフェン−3,8−ジイル基等、3,6−カルバゾールジイル基、2,7−カルバゾールジイル基、3,7−フェノキサジンジイル基、2,8−フェノキサジンジイル基が挙げられる。
「架橋性基」とは、架橋処理、例えば、加熱処理や光照射処理などの外部刺激により、架橋性を示す基である。架橋性基を有する高分子化合物、該高分子化合物を含む組成物を含む有機薄膜に架橋処理を行うことにより、「有機薄膜」は、有機溶媒に難溶である、有機溶媒に対して不溶化させた「不溶化有機薄膜」へ変換され得る。
以下、本発明の高分子化合物、該高分子化合物の原料化合物、該高分子化合物を含む組成物、有機薄膜、不溶化薄膜、発光素子、面状光源および表示装置、並びにこれらの製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
(高分子化合物)
本実施形態の高分子化合物は、上記式(1)で示される第1構成単位を全構成単位の合計に対して51モル%以上含み、かつ、上記式(2)で示される構成単位および上記式(3)で示される構成単位のうちの少なくとも一方を含む。
本実施形態の高分子化合物は、共役系高分子化合物であることが好ましい。ここで、「共役系高分子化合物」は、その主鎖に共役系が広がった高分子化合物であって、例えば、ポリフルオレン、ポリフェニレン等のアリーレン基を構成単位とするポリアリーレン;ポリチオフェン、ポリジベンゾフラン等の2価の複素環基を構成単位とするポリへテロアリーレン;ポリフェニレンビニレン等のポリアリーレンビニレン、これらの構成単位が組み合わされた共重合体等が挙げられる。また、「共役系高分子化合物」とは、ヘテロ原子等を主鎖を構成する構成単位中に含んでいても実質的に主鎖に共役系が広がっていればよく、構成単位としてトリアリールアミンから誘導される構成単位等を含んでいてもよい。
(第1構成単位)
第1構成単位は、上記式(1)で示される構成単位である。式(1)で示される構成単位は、通常、架橋性基を有しない。
式(1)において、aは、原料となる単量体の合成が容易であり、かつ、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるため、1であることがより好ましい。
式(1)において、bは、原料となる単量体の合成が容易であり、かつ、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるため、0であることがより好ましい。
式(1)において、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4で示される基が置換基を有する場合、該置換基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基が挙げられ、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基、シアノ基であり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基である。
式(1)において、Ar2およびAr4で示される基は、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるため、置換基を有していてもよいアリーレン基であることが好ましく、炭素原子数10〜60の置換基を有していてもよいアリーレン基であることがより好ましく、置換基を有していてもよい2,7−フルオレンジイル基、置換基を有していてもよいナフタレンジイル基、置換基を有していてもよいフェナントレンジイル基、置換基を有していてもよいジヒドロフェナントレンジイル基、置換基を有していてもよいアントラセンジイル基、置換基を有していてもよいピレンジイル基、または、置換基を有していてもよいペリレンジイル基であることがさらに好ましく、2,7−フルオレンジイル基、ナフタレンジイル基、フェナントレンジイル基、ジヒドロフェナントレンジイル基、アントラセンジイル基、ピレンジイル基またはペリレンジイル基であることが特に好ましい。なお、これらの基が上記置換基を有する場合、上記炭素原子数には置換基の炭素原子数は含まれない。
式(1)において、Ar2およびAr4におけるアリーレン基および2価の複素環基からなる群より選ばれる、それぞれ同一でも異なっていてもよい2以上の基が連結した2価の基としては、例えば、下記式(1a−1)、(1a−2)、(1a−3)、(1a−4)、(1a−5)、(1a−6)または(1a−7)で示される基であることが好ましく、下記式(1a−1)で示される基であることがより好ましい。なお、これらの基は上記置換基を有していてもよい。
式(1)において、Ar1およびAr3で示される基は、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるため、置換基を有していてもよいアリーレン基であることが好ましい。
式(1)において、Ar1およびAr3におけるアリーレン基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フェナントレンジイル基、5,12−ナフタセンジイル基、2,7−フルオレンジイル基、3,6−フルオレンジイル基、1,6−ピレンジイル基、2,7−ピレンジイル基または3,8−ペリレンジイル基であることが好ましく、1,4−フェニレン基、2,7−フルオレンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フェナントレンジイル基または1,6−ピレンジイル基であることがより好ましい。なお、これらの基は上記置換基を有していてもよい。
式(1)において、Ar1、Ar2、Ar3およびAr4における2価の複素環基としては、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるため、2価の芳香族複素環基が好ましく、2,5−ピロールジイル基、ジベンゾフランジイル基、ジベンゾチオフェンジイル基、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル基であることがより好ましい。なお、これらの基は上記置換基を有していてもよい。
式(1)において、RA、RBおよびRCは、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるため、置換基を有するアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい1価の複素環基であることが好ましく、置換基を有していてもよいアリール基であることがより好ましく、置換基を有するアリール基であることがさらに好ましく、アルキル基を置換基として有するアリール基であることが特に好ましい。
式(1)において、RA、RBおよびRCであるアルキル基は、上記置換基として説明した「アルキル基」と同じである。このアルキル基としてはC1−20アルキル基であることが好ましい。
なお、当該基は上記置換基を有していてもよい。
式(1)において、RA、RBおよびRCであるアリール基は、上記置換基として説明した「アリール基」と同じである。このアリール基としてはフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基または2−フルオレニル基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。なお、これらの基は上記置換基を有していてもよい。
式(1)において、RA、RBおよびRCである1価の複素環基は、上記置換基として説明した「1価の複素環基」と同じである。この1価の複素環基としてはピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基またはキノリル基であることが好ましい。なお、これらの基は上記置換基を有していてもよい。
式(1)において、RA、RBおよびRCで示される基が置換基を有する場合、該置換基は、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基、シアノ基であり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基である。
また、Ar1とRAとは、互いに連結して、環構造を形成していてもよく、Ar1とAr2は、互いに連結して、環構造を形成していてもよく、Ar2とRAとは、互いに連結して、環構造を形成していてもよく、Ar2とRBとは、互いに連結して、環構造を形成していてもよく、Ar2とAr3とは互いに連結して環構造を形成していてもよく、Ar3とRBとは互いに連結して環構造を形成していてもよい。
ここで、「互いに連結して環構造を形成していてもよく」とは、例えば、Ar1とRAとが、単結合、または、−O−で示される基、−S−で示される基、−C(=O)−で示される基、−C(=O)−O−で示される基、−N(R120)−で示される基、−C(=O)−N(R120)−で示される基若しくは−C(R120)2−で示される基を介して結合し、環構造を形成していてもよいことを意味する。ここでR120は、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基を示し、R120が複数個存在する場合、これらは互いに異なっていてもよい。これらの基が環構造を形成することにより、通常、5員環、6員環または7員環が形成される。
第1構成単位の含有量は、本実施形態の高分子化合物を用いて製造された発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるので、全構成単位の合計に対して60モル%〜99.5モル%であることが好ましく、70モル%〜99モル%であることがより好ましく、80モル%〜97モル%であることがさらに好ましい。
第1構成単位の例としては、下記式(1−01)〜(1−27)で示される構成単位が挙げられ、式(1−01)、(1−02)、(1−04)〜(1−18)、(1−20)、(1−22)、(1−24)〜(1−27)で示される構成単位であることが好ましく、式(1−01)、(1−02)、(1−05)〜(1−09)、(1−11)、(1−13)〜(1−16)、(1−20)、(1−22)、(1−25)〜(1−27)で示される構成単位であることがより好ましく、式(1−05)、(1−07)〜(1−09)、(1−11)、(1−13)〜(1−16)で示される構成単位であることがさらに好ましい。
(第2構成単位)
第2構成単位は、上記式(2)で示される構成単位である。
式(2)において、naは、原料となる単量体の合成が容易となるため、0〜2の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、0であることがさらに好ましい。
式(2)において、nbは、原料となる単量体の合成が容易となるため、0〜10の整数であることが好ましく、0〜8であることがより好ましい。
式(2)において、nAは、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるため、0であることが好ましい。
式(2)において、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるので、0〜3の整数であることが好ましい。なお、本実施形態の高分子化合物を含む有機薄膜を不溶化有機薄膜に変換する観点からは、nは1〜4の整数であることが好ましく、1〜3の整数であることがより好ましく、2であることがさらに好ましい。
式(2)において、Ar5である、置換基を有していてもよい(2+n)価の芳香族炭化水素基の炭素原子数は、通常、6〜60であり、好ましくは6〜48であり、より好ましくは6〜20であり、さらに好ましくは6〜14である。(2+n)価の芳香族炭化水素基としては、2価、3価、4価または5価の芳香族炭化水素基であることが好ましく、3価または4価の芳香族炭化水素基であることがより好ましい。ここで、「(2+n)価の芳香族炭化水素基」とは、芳香族炭化水素化合物から、環(好ましくは芳香環)を構成する炭素原子に結合した(2+n)個の水素原子を除いた残りの原子団を意味し、ベンゼン環を有する基、縮合環を有する基が含まれる。なお、上記炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含めない。
上記芳香族炭化水素化合物の例としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、1−テトラセン、ピレン、ペリレン、フルオレン、ベンゾフルオレン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレン、クリセン、コロネン等が挙げられ、本実施形態の高分子化合物の安定性がより優れ、かつ、当該高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性がより優れるので、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、フルオレン、ベンゾフルオレン、フェナントレン、ジヒドロフェナントレンが好ましく、ベンゼン、ナフタレン、フルオレンがより好ましい。
式(2)において、Ar5である、置換基を有していてもよい(2+n)価の複素環基の炭素原子数は、通常、3〜60であり、好ましくは3〜20である。(2+n)価の複素環基としては、2価、3価、4価または5価の複素環基であることが好ましく、2価、3価または4価の複素環基であることがより好ましい。ここで、「(n+2)価の複素環基」とは、複素環式化合物から、複素環または芳香環を構成する炭素原子に結合した(2+n)個の水素原子を除いた残りの原子団を意味し、単環の基、縮合環を有する基を含む。なお、上記炭素原子数には、置換基の炭素原子数は含めない。
上記複素環式化合物としては、例えば、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、カルバゾール、フェノキサジン、フェノチアジン、ベンゾチアジアゾール、ジベンゾシロールなどが挙げられる。
式(2)において、Ar5で示される基が置換基を有する場合、該置換基は、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基、シアノ基であり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基である。
式(2)において、Ar5としては、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性が優れるので、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基が好ましい。
式(2)において、LaおよびLbで示されるアルキレン基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれでもよく、置換基を有していてもよい。原料となる単量体の合成が容易になるため、直鎖状のアルキレン基であることが好ましい。直鎖状アルキレン基および分岐状のアルキレン基の炭素原子数は、通常1〜20であり、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜6である。環状アルキレン基の炭素原子数は、通常3〜20であり、好ましくは3〜10であり、より好ましくは3〜6である。分岐状アルキレン基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、特に好ましくは3〜6である。
アルキレン基の例としては、メチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,3−ブチレン基、1,3−ペンチレン基、1,4−ペンチレン基、1,5−ペンチレン基、1,4−ヘキシレン基、1,6−ヘキシレン基、1,7−ヘプチレン基、1,6−オクチレン基、1,8−オクチレン基等が挙げられる。
式(2)において、LaおよびLbで示されるフェニレン基は、置換基を有していてもよい。該フェニレン基には、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基が含まれる。フェニレン基が有していてもよい置換基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基が挙げられる。
式(2)において、Laは、原料となる単量体の合成が容易となるため、フェニレン基であることが好ましい。
式(2)において、Lbは、原料となる単量体の合成が容易となるため、アルキレン基であることが好ましい。
式(2)において、LAは酸素原子または硫黄原子を示し、原料となる単量体の合成が容易となるため、酸素原子であることが好ましい。
式(2)において、Xは1価の架橋性基を示す。Xとしては、例えば、置換基を有していてもよいアジリジニル基、置換基を有していてもよいアゼチジニル基、アジド基、置換基を有していてもよいエポキシ基、置換基を有していてもよいオキセタニル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、基中にシクロブテン構造を有する基が挙げられ、原料となる単量体の合成が容易となるため、置換基を有していてもよいアジリジニル基、アジド基、置換基を有していてもよいエポキシ基、置換基を有していてもよいオキセタニル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基、基中にシクロブテン構造を有する、置換基を有していてもよいアリール基、基中にシクロブテン構造を有する、置換基を有していてもよい1価の複素環基が好ましく、置換基を有していてもよいアルケニル基、基中にシクロブテン構造を有する、置換基を有していてもよいアリール基、基中にシクロブテン構造を有する、置換基を有していてもよい1価の複素環基がより好ましく、置換基を有していてもよいアルケニル基、基中にシクロブテン構造を有する、置換基を有していてもよいアリール基がさらに好ましい。
式(2)において、Xとしては、例えば、上記式(X−1)で示される基、(X−2)で示される基、および、下記式(X−01)〜(X−19)で示される基が挙げられ、原料となる単量体の合成が容易となるため、式(X−1)、(X−2)、(X−01)、(X−03)、(X−04)、(X−06)〜(X−18)で示される基が好ましく、式(X−1)、(X−2)、(X−09)〜(X−18)で示される基がより好ましく、式(X−1)、(X−2)で示される基がさらに好ましい。
上記式(X−1)における置換基の例としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいシリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、カルバモイル基、酸イミド基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、置換基を有していてもよいカルボキシ基、シアノ基およびニトロ基が挙げられる。
なお、式(X−2)において、R4およびR5の間に示される波線は、R4およびR5の配置がE型、Z型のいずれでもよいことを意味する。
式(X−01)〜(X−19)中、RXは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいシリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、カルバモイル基、酸イミド基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、置換基を有していてもよいカルボキシ基、シアノ基またはニトロ基を表す。複数個存在するRXは、同一でも異なっていてもよい。
RNは、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。
RXとしては、原料となる単量体の合成が容易となるため、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよい1価の複素環基が好ましく、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基がより好ましい。
RNとしては、原料となる単量体の合成が容易になるため、アリール基で置換されたアルキル基、置換基を有していてもよいアシル基、置換基を有していてもよい1価の複素環基が好ましい。
なお、式(X−01)〜(X−19)中、「*」は結合手を示す。
式(X−1)の例としては、下記式(X−1−1)および式(X−1−2)が挙げられ、原料となる単量体の合成が容易となるため、式(X−1−1)であることが好ましい。
式(X−1−1)および(X−1−2)中、RYは水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいのアルコキシ基、置換基を有していてもよいアルキルチオ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいアリールチオ基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいシリル基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、カルバモイル基、酸イミド基、置換基を有していてもよい1価の複素環基、置換基を有していてもよいカルボキシ基、シアノ基またはニトロ基を表す。複数個存在するRYは、同一でも異なっていてもよい。
RYとしては、原料となる単量体の合成が容易となるため、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基または置換基を有していてもよい1価の複素環基であることが好ましく、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基または置換基を有していてもよいアリール基であることより好ましく、水素原子または置換基を有していてもよいアルキル基であることがさらに好ましい。なお、式(X−1−1)および(X−1−2)中、「*」は結合手を示す。
式(X−2)において、neは0または1を示し、本実施形態の高分子化合物を用いて製造された発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるので、0であることが好ましい。
式(X−2)において、nfは0または1を示し、原料となる単量体の合成が容易となるため、0であることが好ましい。
上記式(X−2)において、LX1は酸素原子、硫黄原子、カルボニル基または−O−CO−で示される基を示し、原料となる単量体の合成が容易となるため、カルボニル基または−O−CO−で示される基であることが好ましい。
式(X−2)において、R4、R5、R6、R7、R8は、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるので、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、1価の複素環基、ハロゲン原子またはシアノ基であることが好ましく、水素原子、アルキル基またはフッ素原子であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。
式(2)で示される構成単位としては、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるので、上記式(4)で示される構成単位が好ましい。
式(4)において、ncは、原料となる単量体の合成が容易となるため、0〜2の整数であることが好ましく、0または1であることががより好ましく、0であることがさらに好ましい。
式(4)において、ndは、原料となる単量体の合成が容易となるため、0〜10の整数であることが好ましく、0〜8の整数であることがより好ましい。
式(4)において、nBは、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるため、0であることがより好ましい。
式(4)において、mは、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れ、かつ、当該高分子化合物を含む有機薄膜を不溶化有機薄膜に変換する観点からは、1または2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(4)において、LcおよびLdで示されるアルキレン基は、直鎖状、分岐状または環状のいずれでもよく、置換基を有していてもよい。原料となる単量体の合成が容易となるため、直鎖状アルキレン基であることが好ましい。直鎖状アルキレン基および分岐状アルキレン基の炭素原子数は、通常1〜20であり、好ましくは1〜10であり、より好ましくは1〜6である。環状アルキレン基の炭素原子数は、通常3〜20であり、好ましくは3〜10であり、より好ましくは3〜6である。分岐状アルキレン基の炭素原子数は、特記しない限り、置換基の炭素原子数を含めずに、特に好ましくは3〜6である。
アルキレン基の例としては、メチレン基、1,2−エチレン基、1,3−プロピレン基、1,3−ブチレン基、1,3−ペンチレン基、1,4−ペンチレン基、1,5−ペンチレン基、1,4−ヘキシレン基、1,6−ヘキシレン基、1,7−ヘプチレン基、1,6−オクチレン基、1,8−オクチレン基等が挙げられる。
式(4)において、LcおよびLdで示されるフェニレン基は、置換基を有していてもよい。フェニレン基は、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基のいずれであってもよい。フェニレン基が有してもよい置換基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子およびシアノ基が挙げられる。
式(4)中、Lcは、原料となる単量体の合成が容易となるため、フェニレン基であることが好ましい。
式(4)中、Ldは、原料となる単量体の合成が容易となるため、アルキレン基であることが好ましい。
式(4)中、LBは、原料となる単量体の合成が容易となるため、酸素原子であることが好ましい。
式(4)において、Xは、上記の式(2)におけるXと同じ意味を表し、式(2)における例示や好ましい範囲と同一である。
式(4)において、R3は、本実施形態の高分子化合物を用いた発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるので、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよいアリール基であることが好ましく、置換基を有していてもよいアリール基であることがより好ましく、アルキル基で置換されたアリール基であることがさらに好ましい。
式(4)において、フルオレン環は置換基を有していてもよく、該置換基は、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシ基、ニトロ基またはシアノ基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基、シアノ基であり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基である。
式(2)において、n=0である構成単位としては、例えば、下記式(2−01)〜(2−45)で示される構成単位が好ましく、式(2−01)〜(2−04)、(2−06)、(2−07)、(2−09)、(2−10)、(2−13)、(2−14)、(2−16)〜(2−27)、(2−29)〜(2−40)、(2−44)で示される構成単位がより好ましく、式(2−01)〜(2−04)、(2−06)、(2−07)、(2−09)、(2−10)、(2−14)、(2−17)、(2−18)、(2−21)〜(2−25)、(2−27)、(2−29)〜(2−40)で示される構成単位がさらに好ましく、式(2−02)、(2−03)、(2−06)、(2−09)、(2−10)、(2−23)〜(2−25)、(2−27)、(2−29)〜(2−40)で示される構成単位が特に好ましい。
式(2)において、n≧1である構成単位としては、例えば、下記式(2−101)〜(2−139)で示される構成単位が好ましく、式(2−101)、(2−107)、(2−109)〜(2−112)、(2−118)、(2−125)〜(2−136)で示される構成単位がより好ましく、式(2−101)、(2−107)、(2−110)、(2−112)、(2−125)、(2−127)、(2−129)、(2−130)、(2−133)〜(2−136)で示される構成単位がさらに好ましく、式(2−101)、(2−110)、(2−112)、(2−125)、(2−127)、(2−129)、(2−133)、(2−135)で示される構成単位が特に好ましい。
式(2−103)、(2−114)および(2−136)中、波線は、結合する基の配置がE型、Z型のいずれでもよいことを意味する。
第2構成単位の含有量は、式(2)において、n=0の場合、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるので、全構成単位の合計に対して0.5モル%〜40モル%であることが好ましく、1モル%〜30モル%であることがより好ましく、5モル%〜20モル%であることがさらに好ましい。
第2構成単位の含有量は、式(2)において、n≧1の場合、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れ、かつ、架橋性に優れるので、全構成単位の合計に対して0.5モル%〜40モル%であることが好ましく、3モル%〜30モル%であることがより好ましく、3モル%〜20モル%であることがさらに好ましい。
本実施形態の高分子化合物は、第2構成単位として、上述した構成単位を1種類のみ有していてもよいし、上述した構成単位のうちの異なる2種類以上の構成単位を有していてもよい。有機薄膜を不溶化有機薄膜に変換する観点からは、上記式(X−1)で示される1価の架橋性基を少なくとも1種類含むこと、上記式(X−2)で示される1価の架橋性基を少なくとも1種類含むこと、上記式(X−1)および上記式(X−2)で示される1価の架橋性基を少なくともぞれぞれ1種類含むことが好ましく、上記式(X−1)および上記式(X−2)で示される1価の架橋性基を少なくともそれぞれ1種類含むことがより好ましい。
(第3構成単位)
第3構成単位は、上記式(3)で示される構成単位である。
式(3)において、cは、原料となる単量体の合成が容易であり、かつ、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるため、0であることが好ましい。
式(3)において、Ar6、Ar7およびAr8で示される基は、置換基を有していてもよいアリーレン基であることが、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるので好ましい。
式(3)において、Ar6、Ar7およびAr8におけるアリーレン基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フェナントレンジイル基、5,12−ナフタセンジイル基、2,7−フルオレンジイル基、3,6−フルオレンジイル基、1,6−ピレンジイル基、2,7−ピレンジイル基および3,8−ペリレンジイル基を選択することができ、1,4−フェニレン基、2,7−フルオレンジイル基、2,6−アントラセンジイル基、9,10−アントラセンジイル基、2,7−フェナントレンジイル基および1,6−ピレンジイル基が好ましく、1,4−フェニレン基がさらに好ましい。これらは上記置換基を有していてもよい。
式(3)において、Ar6、Ar7、およびAr8における2価の複素環基としては、例えば、2,5−ピロールジイル基、ジベンゾフランジイル基、ジベンゾチオフェンジイル基および2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル基を選択することができ、これらは上記置換基を有していてもよい。
式(3)において、Ar7におけるアリーレン基および2価の複素環基からなる群より選ばれる同一でも異なっていてもよい2個以上の基が連結した2価の基としては、例えば、上記式(1a−1)、(1a−2)、(1a−3)、(1a−4)、(1a−5)、(1a−6)または(1a−7)で示される基であることが好ましく、上記式(1a−1)で示される基であることがより好ましい。なお、これらの基は上記置換基を有していてもよい。
式(3)において、Ar6、Ar7およびAr8で示される基が置換基を有する場合、該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基が挙げられ、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基、シアノ基であり、より好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、アリール基である。
式(3)において、R1およびR2で示される1価の架橋性基としては、例えば、上記式(X−1)、(X−2)、(X−01)〜(X−18)で示される基が挙げられ、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるため、式(X−1)、(X−2)、(X−01)、(X−03)、(X−04)、(X−06)〜(X−18)で示される基が好ましく、式(X−1)、(X−2)、(X−07)〜(X−18)で示される基がより好ましく、式(X−1)で示される基がさらに好ましい。
式(3)において、R2で示される置換基を有していてもよいアルキル基は、上記置換基として説明した「アルキル基」と同じであり、好ましくは、C1−20アルキル基である。
式(3)において、R2で示される置換基を有していてもよいアリール基は、上記置換基として説明した「アリール基」と同じであり、好ましくは、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基または2−フルオレニル基である。
式(3)において、R2で示される置換基を有していてもよい1価の複素環基は、上記置換基として説明した「1価の複素環基」と同じであり、好ましくは、ピリジル基、ピリミジル基、トリアジル基またはキノリル基である。
式(3)において、R2は、原料となる単量体の合成が容易になるため、R1と同じ1価の架橋性基であることが好ましい。
式(3)において、R2で示される基が置換基を有する場合、該置換基は、好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アミノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、アシル基、アシルオキシ基、1価の複素環基、カルボキシ基、ニトロ基、シアノ基であり、より好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換アミノ基、アシル基、シアノ基であり、さらに好ましくはアルキル基、アルコキシ基、アリール基である。
第3構成単位としては、例えば、式(3−01)〜(3−05)で示される構成単位が挙げられ、式(3−01)、(3−02)、(3−04)または(3−05)で示される構成単位が好ましく、式(3−01)または(3−02)で示される構成単位がより好ましく、式(3−01)で示される構成単位がさらに好ましい。
第3構成単位の含有量は、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れ、かつ、架橋性に優れるので、全構成単位の合計に対して0.5モル%〜40モル%であることが好ましく、3モル%〜30モル%であることがより好ましく、3モル%〜20モル%であることがさらに好ましい。
本実施形態の高分子化合物は、第3構成単位として、上述した構成単位を1種類のみ有していてもよいし、上述した構成単位のうち異なる2種類以上の構成単位を有していてもよい。
本実施形態の高分子化合物は、第2構成単位と第3構成単位とを含有していてもよい。第2構成単位と第3構成単位とを含有する場合、その合計含有量は、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れ、かつ、架橋性に優れるので、全構成単位の合計に対して0.5モル%〜40モル%であることが好ましく、3モル%〜30モル%であることがより好ましい。
本実施形態の高分子化合物は、上記式(1)で示される第1構成単位を全構成単位の合計に対して51モル%以上含み、かつ、上記式(2)で示される第2構成単位および上記式(3)で示される第3構成単位のうちの少なくとも一方を含む高分子化合物である。本実施形態の高分子化合物は、架橋性がより優れるため、第1構成単位および第2構成単位で構成されるか、または、第1構成単位、第2構成単位および第3構成単位で構成されることが好ましく、第1構成単位および第2構成単位で構成されることがより好ましい。
本実施形態の高分子化合物における、構成単位の組み合わせの例(P1〜P30)を、以下に示す。
本実施形態の高分子化合物は、例えば、上記式(1)で示される構成単位を導入する単量体(1)と、該構成単位とは異なる構成単位を導入する単量体(A)との縮合重合で合成される。
単量体(1)としては、例えば、後述する式(5)で示される化合物および式(6)で示される化合物が挙げられる。単量体(A)としては、例えば、後述する式(2M)で示される化合物および式(3M)で示される化合物が挙げられる。
本実施形態の高分子化合物は、末端基として重合性基がそのまま残っていると、該高分子化合物を用いて作製した発光素子の発光特性や寿命が低下する可能性がある。そのため、末端基は安定な基(例えば、アリール基、1価の複素環基(特に1価の芳香族複素環基))であることが好ましい。
本実施形態の高分子化合物は、共重合体である場合、如何なる共重合体であってもよく、例えば、ブロック共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。
本実施形態の高分子化合物は、正孔輸送性材料等として有用であり、その他の化合物と併用し、後述の組成物として用いてもよい。
本実施形態の高分子化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」という)によるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、通常、1×103〜1×108であり、好ましくは1×104〜5×106である。また、本実施形態の高分子化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、通常、1×103〜1×108であり、成膜性が良好になり、かつ、高分子化合物を用いて製造される発光素子の輝度寿命がより優れるので、好ましくは5×103〜1×107である。
発光素子を作製するための様々なプロセスに対する耐久性が優れ、かつ、発光素子の耐熱性が良好となるので、本実施形態の高分子化合物のガラス転移温度は、70℃以上であることが好ましい。
本実施形態の高分子化合物は、蛍光や燐光を発する発光性薄膜材料としても用いることができる。
本実施形態の高分子化合物を用いた発光素子は、正孔輸送性および耐久性に優れた高性能の発光素子である。したがって、該発光素子は、液晶ディスプレイ装置のバックライト、照明用としての曲面状や平面状の光源、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置等に有用である。さらに、本実施形態の高分子化合物は、発光素子のみならず有機太陽電池、有機トランジスタなどの電子素子に用いることができ、レーザー用色素材料、有機太陽電池用材料、有機トランジスタ用の有機半導体材料、導電性薄膜用材料、有機半導体薄膜材料等としても用いることができる。
(高分子化合物の製造方法)
本実施形態の高分子化合物が共重合体である場合、例えば、上記式(5)で示される化合物(以下、「化合物5」ということがある。)および上記式(6)で示される化合物(以下、「化合物6」ということがある。)と、下記式(2M)で示される化合物(以下、「化合物2M」ということがある。)および/または下記式(3M)で示される化合物(以下、「化合物3M」ということがある。)と、を縮合重合させることにより製造することができる。
本明細書において、化合物5、化合物6、化合物2Mおよび化合物3Mを総称して、「単量体」ということがある。
式(2M)中、Ar5、X、La、Lb、LA、na、nb、nAおよびnは上記式(2)で定義されたとおりであり、Z5およびZ6は、それぞれ独立に、上記置換基A群または置換基B群から選ばれる基を示す。
式(3M)中、c、Ar6、Ar7、Ar8、R1およびR2は上記式(3)で定義されたとおりであり、Z7およびZ8は、それぞれ独立に、上記置換基A群または置換基B群から選ばれる基を示す。
置換基A群から選ばれる基を有する化合物と置換基B群から選ばれる基を有する化合物とは、公知のカップリング反応により縮合重合して、置換基A群から選ばれる基と結合している炭素原子と置換基B群から選ばれる基と結合している炭素原子とが結合することが知られている。そのため、置換基A群から選ばれる基を2個有する化合物Aと、置換基B群から選ばれる基を2個有する化合物Bと、を公知のカップリング反応に供すれば、縮合重合反応により、化合物Aおよび化合物Bの縮合重合体を得ることができる。
また、置換基B群から選ばれる基を2個有する化合物同士であっても、例えば、Ni(0)触媒により重合する方法(Yamamoto重合)(Progress in Polymer Science,第17巻,1153〜1205頁,1992年)により、縮合重合体を得ることができる。
このような縮合重合反応では、化合物5および化合物6により第1構成単位が導入され、化合物2Mにより第2構成単位が導入され、化合物3Mにより第3構成単位が導入される。
縮合重合の方法としては、例えば、Suzukiカップリング反応により重合する方法(Chem.Rev,第95巻,2457−2483頁(1995年))、Grignard反応により重合する方法(Bull.Chem.Soc.Jpn.,第51巻,2091頁(1978年))、Ni(0)触媒により重合する方法(Progress in Polymer Science),第17巻,1153〜1205頁,1992年)、Stilleカップリング反応を用いる方法(European Polymer Journal,第41巻,2923−2933頁(2005年))が挙げられる。これらのうち、原料の合成がし易く、重合反応操作が簡便であるので、Suzukiカップリング反応により重合する方法、Ni(0)触媒により重合する方法が好ましく、高分子化合物の構造制御のし易さも考慮すると、Suzukiカップリング反応、Grignard反応、Stilleカップリング反応等のアリール−アリールクロスカップリング反応により重合する方法がより好ましく、Suzukiカップリング反応により重合する反応が特に好ましい。
縮合重合の方法としては、上記の各化合物を、必要に応じて適切な触媒や塩基とともに反応させる方法が挙げられる。Suzukiカップリング反応により重合する方法を選択する場合、所望の分子量を有する高分子化合物を得るためには、各化合物が有する置換基A群から選ばれた基の合計モル数と、置換基B群から選ばれた基の合計モル数との比率を調整すればよい。通常、前者のモル数に対する後者のモル数の比率を、0.95〜1.05とすることが好ましく、0.98〜1.02とすることがより好ましく、0.99〜1.01とすることがさらに好ましい。
縮合重合反応における化合物5の使用量は、化合物5、化合物6および他の単量体の総モル量に対して、1モル%〜50モル%であることが好ましく、5モル%〜50モル%であることがより好ましく、10モル%〜50モル%であることがさらに好ましい。化合物6の使用量は、化合物5、化合物6および他の単量体の総モル量に対して、1モル%〜50モル%であることが好ましく、10モル%〜50モル%であることがより好ましく、30モル%〜50モル%であることがさらに好ましい。
縮合重合反応において、化合物2Mを使用する場合、その使用量は、式(2M)において、n=0の場合、化合物2Mおよび他の単量体の総モル量に対して、0.5モル%〜40モル%であることが好ましく、1モル%〜30モル%であることがより好ましく、5モル%〜30モル%であることがさらに好ましく、5モル%〜20モル%であることが特に好ましい。式(2M)において、n=1の場合、0.5モル%〜40モル%であることが好ましく、3モル%〜30モル%であることがより好ましく、3モル%〜20モル%であることがさらに好ましく、5モル%〜20モル%であることが特に好ましい。
縮合重合反応において、化合物3Mを使用する場合、その使用量は、化合物3Mおよび他の単量体の総モル量に対して、0.5モル%〜40モル%であることが好ましく、3モル%〜30モル%であることがより好ましく、3モル%〜20モル%であることがさらに好ましく、5モル%〜20モル%であることが特に好ましい。
このような縮合重合反応によれば、本実施形態の高分子化合物を製造することができる。
単量体は、予め合成し単離して用いてもよく、反応系中で合成してそのまま用いてもよい。得られる高分子化合物を電子素子に用いる場合、その純度が電子素子の性能に影響を与える場合がある。そのため、これらの単量体は蒸留、クロマトグラフィー、昇華精製、再結晶等の方法またはその組み合わせで精製されていることが好ましい。
本実施形態の高分子化合物の製造方法においては、触媒の存在下、単量体を重合することが好ましい。触媒としては、Suzukiカップリング反応により重合する場合、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[トリス(ジベンジリデンアセトン)]ジパラジウム、パラジウムアセテート、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム等のパラジウム錯体等の遷移金属錯体、並びにこれらの遷移金属錯体にトリフェニルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の配位子が配位した錯体等が挙げられる。
Ni(0)触媒により重合する場合、Ni(0)触媒としては、ニッケル[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ジクロロニッケル、[ビス(1,4−シクロオクタジエン)]ニッケル等のニッケル錯体等の遷移金属錯体、並びにこれらの遷移金属錯体にトリフェニルホスフィン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、ジフェニルホスフィノプロパン、置換基を有していてもよいビピリジル、置換基を有していてもよいフェナントロリン等の配位子が配位した錯体等が挙げられる。
上述の触媒は、予め合成して用いてもよいし、反応系中で調製してそのまま用いてもよい。また、これらの触媒は、1種類単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
触媒の使用量は、触媒としての有効量であればよく、例えば、重合反応における全単量体の合計100モル%に対して、遷移金属のモル数換算で通常0.0001モル%〜300モル%であり、好ましくは0.001モル%〜50モル%であり、より好ましくは0.01モル%〜20モル%である。
Suzukiカップリング反応により重合する方法においては、塩基を用いることが好ましい。塩基の例としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、フッ化カリウム、フッ化セシウム、リン酸三カリウム等の無機塩基、フッ化テトラブチルアンモニウム、塩化テトラブチルアンモニウム、臭化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム等の有機塩基が挙げられる。
塩基の使用量は、重合反応における全単量体の合計100モル%に対して、通常50モル%〜2000モル%であり、好ましくは100モル%〜1000モル%である。
重合反応は、溶媒の非存在下で行っても、溶媒の存在下で行ってもよい。重合反応は、通常、有機溶媒の存在下で行う。ここで有機溶媒の例としては、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。一般的に、副反応を抑制するために、脱酸素処理を行った溶媒を用いることが望ましい。有機溶媒は1種類単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
有機溶媒の使用量は、重合反応における全単量体の合計濃度が、0.1重量%〜90重量%になる量であることが好ましく、1重量%〜50重量%になる量であることがより好ましく、2重量%〜30重量%となる量であることがさらに好ましい。
重合反応の反応温度は、好ましくは−100℃〜200℃であり、より好ましくは−80℃〜150℃であり、さらに好ましくは0℃〜120℃である。また、反応時間は、通常、1時間以上であり、好ましくは2時間〜500時間である。
重合反応において、本実施形態の高分子化合物の末端に重合性基(例えば、Z1、Z2)が残存するのを避けるために、重合停止剤として、下記式(1T)で示される化合物を用いてもよい。これにより、末端がアリール基または1価の複素環基(特に1価の芳香族複素環基)である高分子化合物を得ることができる。
ZT−ArT (1T)
式(1T)中、ArTは、置換基を有していてもよいアリール基または置換基を有していてもよい1価の複素環基(特に1価の芳香族複素環基)を示し、ZTは上記置換基A群および上記置換基B群からなる群より選ばれる基を示す。ArTにおけるアリール基、1価の複素環基(特に1価の芳香族複素環基)としては、上記置換基として説明した「アリール基」、「1価の複素環基」と同じであり、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の耐久性がより優れるので、アリール基が好ましく、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基または2−フルオレニル基であることがより好ましく、フェニル基であることがさらに好ましい。なお、これらの基は上記置換基を有していてもよい。
重合反応の後処理は、公知の方法で行うことができ、例えば、分液により水溶性不純物を除去する方法や、メタノール等の低級アルコールに重合反応後の反応液を加えて、析出させた沈殿を濾過、乾燥させる方法などを単独で、または組み合わせて行うことができる。
本実施形態の高分子化合物の純度が低い場合には、再結晶、再沈殿、ソックスレー抽出器による連続抽出、カラムクロマトグラフィー等の通常の方法にて精製すればよく、本実施形態の高分子化合物を発光素子に用いる場合、その純度が発光特性等の発光素子の性能に影響を与える場合があるため、縮合重合後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理をすることが好ましい。
(化合物)
本実施形態の化合物は、上記の高分子化合物の製造に有用な上記式(5)で示される化合物である。
式(5)において、dは、原料である単量体の合成が容易であり、かつ、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるため、1であることがより好ましい。
式(5)において、eは、原料である単量体の合成が容易であり、かつ、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるため、0であることが好ましい。
式(5)において、Ar9、Ar10、Ar11およびAr12で示される基が置換基を有する場合、該置換基としては、前記(1)におけるAr1、Ar2、Ar3およびAr4で示される基が有する置換基と同一である。
式(5)において、Ar10およびAr12の例および好ましい範囲は、前記式(1)におけるAr2およびAr4と同一である。
式(5)において、Ar9およびAr11で示される基の例および好ましい範囲は、前記式(1)におけるAr1およびAr3と同一である。
式(5)において、RD、REおよびRFで示される基の例および好ましい範囲は、RDについては前記式(1)におけるRAと同一であり、REについてはRBと同一であり、RFについてはRCと同一である。
以下、本実施形態の式(5)で示される化合物の製造方法について説明する。式(5)で定義される化合物である下記式(5−1−2)で示される化合物は、例えば下記スキーム1の方法で製造することができる。
スキーム1中、d、e、Ar9、Ar10、Ar11、Ar12、RD、REおよびRFは上記式(5)で定義されたとおりであり、ZS1−1およびZS1−2は、それぞれ独立に、上記置換基B群から選ばれる基を示す。ZS1−3およびZS1−4は、それぞれ独立に、上記置換基A群から選ばれる基を示す。
スキーム1において、式(5−1−1)で示される化合物(以下、「化合物(5−1−1)」ということがある。)を、公知の反応に供することにより式(5−1−2)で示される化合物(以下、「化合物(5−1−2)」ということがある。)を得ることができる。
例えば、化合物(5−1−2)において、ZS1−3およびZS1−4がB(OR101)2で示される化合物の場合(R101は、前記と同じ意味を示す。)は、J.Organomet.Chem.2000,611,392.に記載の方法、Tetrahedron Lett.1997,38,3447.に記載の方法、J.Org.Chem.1995,60,7508.に記載の方法、Tetrahedron 2001,57,9813.に記載の方法等により、化合物(5−1−1)から製造することができる。なお、化合物(5−1−1)は、特開2004−143419号公報、国際公開第2005/049546号等に記載の方法で製造することができる。
本実施形態の化合物は、本実施形態の上記高分子化合物の製造に有用な、上記式(6)で示される化合物である。
式(6)において、fは、原料となる単量体の合成が容易であり、かつ、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるため、0または1であることが好ましく、1であることがより好ましい。
式(6)において、gは、原料となる単量体の合成が容易であり、かつ、本実施形態の高分子化合物を用いて製造される発光素子の正孔輸送性および耐久性がより優れるため、0であることが好ましい。
式(6)において、Ar13、Ar14、Ar15およびAr16で示される基が置換基を有する場合、該置換基は、前記式(1)におけるAr1、Ar2、Ar3およびAr4で示される基が有する置換基と同一である。
式(6)において、Ar14およびAr16の例および好ましい範囲は、前記式(1)におけるAr2およびAr4と同一である。
式(6)において、Ar13およびAr15で示される基の例および好ましい範囲は、前記式(1)におけるAr1およびAr3と同一である。
式(6)において、RG、RHおよびRIで示される基の例および好ましい範囲は、RGについては前記式(1)におけるRAと同一であり、RHについてはRBと同一であり、およびRIについてはRCと同一である。
(炭素クラスターを有する高分子化合物)
本実施形態の高分子化合物は、1価の架橋性基を有する場合に、炭素クラスターと1価の架橋性基とを結合させた高分子化合物とすることが可能である。このような高分子化合物は、例えば、溶媒中でディールスアルダー反応などによりこれらを反応させ、精製処理を行うことで合成することができる。このようにして得られた本実施形態の高分子化合物を用いて製造された発光素子は、正孔輸送性が優れ、かつ、輝度寿命が優れる。
ここで、「炭素クラスター」とは、最小の構造が数個から数千個程度の炭素原子で構成される分子を意味する。例えば、球殻構造のフラーレン、円筒状のカーボンナノチューブ、カーボンナノホーン等が挙げられる。炭素クラスターは、フラーレンを含む構造であることが好ましい。また、フラーレンとしては、C60フラーレン、C70フラーレンおよびC84フラーレンが好ましく、C60フラーレンがより好ましい。
本実施形態の炭素クラスターと結合した高分子化合物としては、上記式(1)で示される構成単位および上記式(2)で示される構成単位を有する高分子化合物が好ましく、上記式(1)で示される構成単位および上記式(4)で示される構成単位を有する高分子化合物がより好ましい。
上記式(2)で示される構成単位を有する場合、nは1〜4であることが好ましく、1〜3の整数であることがより好ましく、2であることがさらに好ましい。上記式(4)で示される構成単位を有する場合、mは1または2であることが好ましく、2であることがより好ましい。
炭素クラスターと反応する1価の架橋性基は、炭素クラスターと反応する架橋性基であれば特に限定されない。炭素クラスターと反応する1価の架橋性基としては、ディールスアルダー反応により高分子化合物と炭素クラスターとを結合させるのであれば、上記式(X−1)で示される基および上記式(X−2)で示される基が好ましい。
炭素クラスターと結合した高分子化合物を構成し得る、炭素クラスターと1価の架橋性基が結合した構成単位の例としては、下記式(6A−1)、(6A−2)、(6A−3)、(6A−4)、(6A−5)、(6A−6)、(6A−7)、(6A−8)、(6A−9)、(6A−10)および(6A−11)で示される構成単位が挙げられる。
(組成物)
本実施形態の組成物は、上記高分子化合物と、正孔輸送性材料、電子輸送性材料および発光材料からなる群より選ばれる少なくとも1種類の材料とを含有する。
正孔輸送性材料の例としては、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)およびその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)およびその誘導体等が挙げられる。正孔輸送性材料の例としては、その他にも、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平2−135361号公報、特開平2−209988号公報、特開平3−37992号公報、特開平3−152184号公報に記載された正孔輸送性材料が挙げられる。
正孔輸送性材料の含有量は、組成物中の高分子化合物100重量部に対して、好ましくは1重量部〜500重量部であり、より好ましくは5重量部〜200重量部である。
電子輸送性材料の例としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体、アントラセンおよびその誘導体、アントラセンとフルオレンとの共重合体等が挙げられる。電子輸送性材料の例としては、その他にも、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平2−135361号公報、特開平2−209988号公報、特開平3−37992号公報、特開平3−152184号公報に記載された電子輸送性材料が挙げられる。
電子輸送性材料の含有量は、組成物中の高分子化合物100重量部に対して、好ましくは1重量部〜500重量部であり、より好ましくは5重量部〜200重量部である。
発光材料としては、低分子蛍光発光材料、燐光発光材料等が挙げられる。発光材料の例としては、ナフタレン誘導体、アントラセンおよびその誘導体、アントラセンとフルオレンとの共重合体、ペリレンおよびその誘導体、ポリメチン色素、キサンテン色素、クマリン色素、シアニン色素等の色素類、8−ヒドロキシキノリンを配位子として有する金属錯体、8−ヒドロキシキノリン誘導体を配位子として有する金属錯体、その他の蛍光性金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエンおよびその誘導体、テトラフェニルブタジエンおよびその誘導体、スチルベン系化合物、含ケイ素芳香族系化合物、オキサゾール系化合物、フロキサン系化合物、チアゾール系化合物、テトラアリールメタン系化合物、チアジアゾール系化合物、ピラゾール系化合物、メタシクロファン系化合物、アセチレン系化合物等の低分子化合物の蛍光性材料、イリジウム錯体、白金錯体等の金属錯体、三重項発光錯体等が挙げられる。発光材料の例としては、その他にも、特開昭57−51781号公報、特開昭59−194393号公報等に記載された発光材料が挙げられる。
三重項発光錯体としては、例えば、イリジウムを中心金属とするIr(ppy)3、Btp2Ir(acac)、FIrpic、COM−1、COM−2、COM−3、COM−4、COM−5、COM−6、COM−7、COM−8、アメリカンダイソース社から市販されているADS066GE等のイリジウム錯体、白金を中心金属とするPtOEP等の白金錯体、ユーロピウムを中心金属とするEu(TTA)3phen等のユーロピウム錯体が挙げられる。これらの三重項発光錯体は、以下の化学式で示される。
発光材料の含有量は、組成物中の高分子化合物100重量部に対して、好ましくは1重量部〜500重量部であり、より好ましくは5重量部〜200重量部である。
(液状組成物)
本実施形態の高分子化合物は、溶媒、好ましくは有機溶媒に溶解または分散させた組成物(以下、液状組成物ということがある。)としてもよい。
このような液状組成物は、インク、ワニスとも呼ばれる。発光素子に使用する有機薄膜を形成するために、該液状組成物を用いる場合、液状組成物は本実施形態の高分子化合物が溶媒に溶解した溶液であることが好ましい。
液状組成物は、本実施形態の高分子化合物に加えて、正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料からなる群より選ばれる少なくとも1種類の材料を含有していてもよい(すなわち、上述の組成物の一実施形態である。)。また、液状組成物には、本発明の効果を妨げない限りにおいて、その他の物質が添加されていてもよい。その他の物質の例としては、酸化防止剤、粘度調整剤、界面活性剤、架橋開始剤等が挙げられる。
液状組成物に用いられる有機溶媒としては、本実施形態の高分子化合物が溶解または分散する限り、特に限定されない。有機溶媒の例としては、以下の有機溶媒(以下、「有機溶媒群」ということがある。)が挙げられる。
芳香族炭化水素溶媒:トルエン、キシレン(各異性体またはそれらの混合物)、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、メシチレン(1,3,5−トリメチルベンゼン)、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、2−フェニルブタン、tert−ブチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ネオペンチルベンゼン、イソペンチルベンゼン、ヘキシルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、ヘプチルベンゼン、オクチルベンゼン、3−プロピルトルエン、4−プロピルトルエン、1−メチル−4−プロピルベンゼン、1,4−ジエチルベンゼン、1,4−ジプロピルベンゼン、1,4−ジ−tert−ブチルベンゼン、インダン、テトラリン(1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン)等。
脂肪族炭化水素溶媒:ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、へプタン、オクタン、ノナン、デカン、デカリン等。
芳香族エーテル溶媒:アニソール、エトキシベンゼン、プロポキシベンゼン、ブチロキシベンゼン、ペンチルオキシベンゼン、シクロペンチルオキシベンゼン、ヘキシルオキシベンゼン、シクロヘキシルオキシベンゼン、ヘプチルオキシベンゼン、オクチルオキシベンゼン、2−メチルアニソール、3−メチルアニソール、4−メチルアニソール、4−エチルアニソール、4−プロピルアニソール、4−ブチルアニソール、4−ペンチルアニソール、4−ヘキシルアニソール、ジフェニルエーテル、4−メチルフェノキシベンゼン、4−エチルフェノキシベンゼン、4−プロピルフェノキシベンゼン、4−ブチルフェノキシベンゼン、4−ペンチルフェノキシベンゼン、4−ヘキシルフェノキシベンゼン、4−フェノキシトルエン、3−フェノキシトルエン、1,3−ジメトキシベンゼン、2,6−ジメチルアニソール、2,5−ジメチルアニソール、2,3−ジメチルアニソール、3,5−ジメチルアニソール等。
脂肪族エーテル溶媒:テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン等。
ケトン溶媒:アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセトフェノン等。
エステル溶媒:酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、エチルセルソルブアセテート等。
塩化物溶媒:塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等。
アルコール溶媒:メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、フェノール等。
多価アルコールおよびその誘導体:エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等。
非プロトン性極性溶媒:ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等。
これらの有機溶媒は、1種類を単独で用いても2種類以上を混合した混合有機溶媒として使用してもよい。
混合有機溶媒として用いる場合、上記の有機溶媒群における有機溶媒の2種類または3種類以上を組み合わせることが好ましい。混合有機溶媒としては、上記例示の同じ系の有機溶媒群から複数種類の有機溶媒を組み合わせても、異なる系の有機溶媒群から1種類以上ずつを組み合わせてもよい。その組成比は、各有機溶媒の物性、および、高分子化合物等の溶解性を考慮して決めることができる。
同じ系の有機溶媒群から複数種類を選んで組み合わせる場合の好ましい例としては、芳香族炭化水素溶媒から複数種類を選ぶ組み合わせ、芳香族エーテル溶媒から複数種類を選ぶ組み合わせが挙げられる。
異なる系の有機溶媒群から1種類以上ずつを選んで組み合わせる場合の好ましい例としては、以下の組み合わせが挙げられる。
芳香族炭化水素溶媒および脂肪族炭化水素溶媒;芳香族炭化水素溶媒および芳香族エーテル溶媒;芳香族炭化水素溶媒および脂肪族エーテル溶媒;芳香族炭化水素溶媒および非プロトン性極性溶媒;芳香族エーテル溶媒および非プロトン性極性溶媒等。
また、上記例示の有機溶媒を単独で用いる単独有機溶媒または混合有機溶媒には、水をさらに添加することもできる。
これらの有機溶媒のうち、ベンゼン環を含む構造を有し、融点が0℃以下であり、かつ沸点が100℃以上である有機溶媒を1種類以上含む単独有機溶媒または混合有機溶媒は、粘度および成膜性が良好であるので好ましく、なかでも芳香族炭化水素溶媒、芳香族エーテル溶媒を1種類以上含む単独溶媒または混合溶媒が特に好ましい。
有機溶媒としては、単独有機溶媒を用いても混合有機溶媒を用いてもよい。有機溶媒としては、成膜性を制御することができるので、混合有機溶媒を用いることが好ましい。有機溶媒は、必要に応じ、洗浄、蒸留、吸着剤への接触等の処理により精製を行ってから使用してもよい。
上記液状組成物によれば、本実施形態の高分子化合物を含有する有機薄膜を容易に製造することができる。具体的には、上記液状組成物を任意好適な所定の構成要素が設けられていてもよい基板に塗布して、加熱、送風、減圧等の処理により有機溶媒を留去することにより、本実施形態の高分子化合物を含有する有機薄膜が得られる。有機溶媒の留去は、使用される有機溶媒に応じて条件を変更することができ、例えば、50℃〜150℃の雰囲気温度(加熱処理条件)または10−3Pa程度の減圧雰囲気等が条件として挙げられる。
塗布工程には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビア法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
上記液状組成物の好適な粘度は選択される塗布法によっても異なり、25℃において、好ましくは0.5mPa・s〜1000mPa・sであり、より好ましくは0.5mPa・s〜500mPa・sである。また、インクジェット印刷法のように上記液状組成物が吐出装置を経由して吐出される場合に吐出時の目詰まりや飛行曲がりを防止するために、25℃における粘度は、好ましくは0.5mPa・s〜50mPa・sであり、より好ましくは0.5mPa・s〜20mPa・sである。液状組成物中の本実施形態の高分子化合物の濃度は、限定されず、0.01重量%〜10重量%であることが好ましく、0.1重量%〜5重量%であることがより好ましい。
(有機薄膜)
本実施形態の有機薄膜は、上記高分子化合物を含有する。本実施形態の有機薄膜は、上記液状組成物から容易に製造することができる。また、本発明の第2の有機薄膜は、本実施形態の高分子化合物を架橋させることにより不溶化させた、不溶化有機薄膜であり、通常、加熱または光照射等の処理による外部刺激によって架橋させて硬化することにより得ることができる。不溶化有機薄膜は、有機溶媒等の溶媒に難溶のため、発光素子の積層化等に有利である。
本実施形態の有機薄膜の種類の例としては、発光性薄膜、導電性薄膜、有機半導体薄膜などが挙げられる。導電性薄膜の例としては、電子輸送性薄膜および正孔輸送性薄膜が挙げられる。本実施形態の有機薄膜は、本実施形態の高分子化合物を含有するため、発光素子の導電性薄膜、特に正孔輸送性薄膜(正孔輸送層)として使用した場合に、当該発光素子の正孔輸送性が優れたものとなる。
本実施形態の高分子化合物を架橋させるための加熱温度は、限定されず、一般的には室温〜300℃の範囲であり、その上限は薄膜形成の容易さの観点から250℃であることが好ましく、190℃であることがさらに好ましく、170℃であることが特に好ましい。また、その下限は室温での薄膜の安定性の観点から、50℃が好ましく、70℃がさらに好ましく、100℃が特に好ましい。
本実施形態の高分子化合物を架橋させるための光照射に適用される光の波長は、限定されない。光照射に用いられる光としては、一般的には紫外光、近紫外光、可視光が使用され、紫外光、近紫外光が好ましい。
発光性薄膜は、発光素子の輝度および発光開始電圧が良好になり得るので、発光量子収率が30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが特に好ましい。
導電性薄膜は、表面抵抗が1KΩ/□以下であることが好ましく、100Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることがさらに好ましい。導電性薄膜に、ルイス酸、イオン性化合物等をドープすることにより、電気伝導度を高めることができる。
有機半導体薄膜は、電子移動度または正孔移動度のいずれか、すなわち電荷移動度が大きい方が好ましい。電荷移動度は、好ましくは10−5cm2/V/s以上であり、より好ましくは10−3cm2/V/s以上であり、さらに好ましくは10−1cm2/V/s以上である。
また、有機半導体薄膜を用いて、有機トランジスタを作製することができる。具体的には、SiO2等の絶縁膜とゲート電極とを形成したSi基板上に有機半導体膜を形成し、Au等でソース電極とドレイン電極を形成することにより、有機トランジスタとすることができる。
(有機トランジスタ)
本実施形態の有機トランジスタは、本実施形態の高分子化合物を含む有機トランジスタである。以下、有機トランジスタの一態様である電界効果型トランジスタについて説明する。
本実施形態の高分子化合物は、高い電荷輸送性(特に正孔輸送性)を持つため、高分子電界効果型トランジスタの材料として、中でも有機半導体層(活性層)の材料として好適に用いることができる。高分子電界効果型トランジスタの構造としては、通常は、ソース電極およびドレイン電極が高分子化合物からなる有機半導体層(活性層)に接して設けられており、さらに有機半導体層(活性層)に接した絶縁層を挟んでゲート電極が設けられていればよい。
高分子電界効果型トランジスタは、通常、支持基板上に形成される。支持基板としては、ガラス基板、フレキシブルなフィルム基板、プラスチック基板も用いることができる。
高分子電界効果型トランジスタは、公知の方法、例えば、特開平5−110069号公報に記載の方法により製造することができる。
有機半導体層(活性層)を形成する際に、上記の液状組成物を用いることが製造上有利であり好ましい。液状組成物(特に、本実施形態の高分子化合物を溶媒に溶解させた溶液)を用いる有機半導体層の形成工程には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビア法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スリットコート法、キャピラリーコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
高分子電界効果型トランジスタを作製後、高分子電界効果型トランジスタを封止部材により封止して外部環境から遮蔽することが好ましい。これにより、高分子電界効果型トランジスタが、大気から遮断され、高分子電界効果型トランジスタの特性の低下を抑えることができる。
封止方法としては、紫外線(UV)硬化性樹脂、熱硬化性樹脂や無機のSiONx膜等でカバーする方法、ガラス板やフィルムをUV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等で貼り合わせる方法等が挙げられる。大気からの遮断を効果的に行うため高分子電界効果型トランジスタを作製後、封止するまでの工程を大気に曝すことなく(例えば、乾燥した窒素ガス雰囲気中、真空中等で)行うことが好ましい。
(有機光電変換素子)
本実施形態の有機光電変換素子(例えば、太陽電池等)は、本実施形態の高分子化合物を含む有機光電変換素子である。
本実施形態の高分子化合物は、有機光電変換素子の材料として、中でも有機半導体と金属との界面を利用するショットキー障壁型素子の有機半導体層の材料として、また、有機半導体と無機半導体あるいは有機半導体同士の界面を利用するpnヘテロ接合型素子の有機半導体層の材料として、好適に用いることができる。
さらに、ドナー・アクセプターの接触面積を増大させたバルクへテロ接合型素子における電子供与性高分子、電子受容性高分子として、また、高分子化合物と低分子化合物との複合系を用いる有機光電変換素子、例えば、電子受容体としてフラーレン誘導体を分散したバルクへテロ接合型有機光電変換素子の電子供与性共役系高分子(分散支持体)として、好適に用いることができる。
有機光電変換素子の構造としては、例えば、pnヘテロ接合型素子では、オーミック接合型の電極を用いるのがよく、例えば、ITO上に、p型半導体層を形成し、さらに、n型半導体層を積層し、その上にオーミック接合型の電極が設けられていればよい。
有機光電変換素子は、通常は支持基板上に形成される。支持基板としては、ガラス基板、フレキシブルなフィルム基板を用いることができ、プラスチック基板も用いることができる。
有機光電変換素子は、公知の方法、例えば、Synth.Met.,102,982(1999)に記載の方法、Science,270,1789(1995)に記載の方法により製造することができる。
(発光素子)
次に、本実施形態の発光素子について説明する。
本実施形態の発光素子は、本実施形態の有機薄膜を有する発光素子である。本実施形態の発光素子は、例えば、陽極と、陰極と、該陽極および該陰極の間に存在する有機層と、を有し、上記有機層に本実施形態の高分子化合物または組成物を含有する。さらに、有機層、すなわち本実施形態の有機薄膜には、本実施形態の高分子化合物または組成物をそのまま含有する態様(有機薄膜)と、有機薄膜(組成物)中において本実施形態の高分子化合物が分子内または分子間で架橋することにより有機溶媒に対して不溶化させた態様(不溶化有機薄膜)とがある。
上記有機層としては、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層および電子注入層等が挙げられる。発光層は、発光する機能を有する層を意味する。正孔輸送層は、正孔を輸送する機能を有する層を意味する。電子輸送層は、電子を輸送する機能を有する層を意味する。なお、電子輸送層と正孔輸送層とを総称して電荷輸送層といい、電子注入層と正孔注入層とを総称して電荷注入層という。上記有機層は、発光層の1層のみからなっていてもよく、すなわち単一の層中にこれらの各層の機能が含まれていてもよく、発光層、並びに正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層および電子注入層から選ばれる層からなる多層構造であってもよい。
本実施形態の高分子化合物を含有する有機層は、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層および電子注入層からなる群より選ばれる1種類以上の層であることが好ましく、有機層が発光層、正孔輸送層であることがより好ましい。
本実施形態の高分子化合物を含有する有機層が発光層である場合には、発光層が発光材料に加え、さらに正孔輸送性材料、電子輸送性材料、発光素子の耐久性や正孔輸送性のバランスを改善するための添加剤等を含んでいてもよい。ここで、発光材料とは、蛍光または燐光を発する材料を意味する。
本実施形態の高分子化合物を含有する有機層が、本実施形態の高分子化合物と正孔輸送性材料とを含有する場合には、本実施形態の高分子化合物100重量部に対して、正孔輸送性材料の含有量は、通常1重量部〜500重量部であり、好ましくは5重量部〜200重量部である。
本実施形態の高分子化合物を含有する有機層が、本実施形態の高分子化合物と電子輸送性材料とを含有する場合には、本実施形態の高分子化合物100重量部に対して、電子輸送性材料の含有量は、通常1重量部〜500重量部であり、好ましくは5重量部〜200重量部である。
本実施形態の高分子化合物を含有する有機層が、本実施形態の高分子化合物と発光材料とを含有する場合には、本実施形態の高分子化合物100重量部に対して、発光材料の含有量は、通常、1重量部〜500重量部であり、好ましくは5重量部〜200重量部である。
正孔輸送材料、電子輸送材料および発光材料は、公知の低分子量の化合物、三重項発光錯体、高分子量の化合物が使用できる。
高分子量の化合物としては、国際公開第99/13692号、国際公開第99/48160号、英国特許公開第2340304号、国際公開第00/53656号、国際公開第01/19834号、国際公開第00/55927号、英国特許第2348316号、国際公開第00/46321号、国際公開第00/06665号、国際公開第99/54943号、国際公開第99/54385号、米国特許第5777070号、国際公開第98/06773号、国際公開第97/05184号、国際公開第00/35987号、国際公開第00/53655号、国際公開第01/34722号、国際公開第99/24526号、国際公開第00/22027号、国際公開第00/22026号、国際公開第98/27136号、米国特許第573636号、国際公開第98/21262号、米国特許第5741921号、国際公開第97/09394号、国際公開第96/29356号、国際公開第96/10617号、欧州特許第0707020号、国際公開第95/07955号、特開2001−181618号公報、特開2001−123156号公報、特開2001−3045号公報、特開2000−351967号公報、特開2000−303066号公報、特開2000−299189号公報、特開2000−252065号公報、特開2000−136379号公報、特開2000−104057号公報、特開2000−80167号公報、特開平10−324870号公報、特開平10−114891号公報、特開平9−111233号公報、特開平9−45478号公報に記載されているフルオレンジイル基を構成単位とする重合体および共重合体(以下、「(共)重合体」という。)、アリーレン基を構成単位とする(共)重合体、アリーレンビニレン基を構成単位とする(共)重合体、2価の芳香族アミン残基を構成単位とする(共)重合体等が挙げられる。
低分子量の化合物の例としては、ナフタレン誘導体、アントラセンおよびその誘導体、ペリレンおよびその誘導体、ポリメチン色素、キサンテン色素、クマリン色素、シアニン色素等の色素類、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエンおよびその誘導体、テトラフェニルブタジエンおよびその誘導体が挙げられ、具体的には、特開昭57−51781号公報、特開昭59−194393号公報に記載されている化合物が挙げられる。
三重項発光錯体としては、上記三重項発光錯体が使用できる。
発光層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率とが適度な値となるように選択すればよい。発光層の厚さは、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、より好ましくは5nm〜200nmであり、さらに好ましくは50nm〜150nmである。
発光層の形成方法としては、溶液を用いる方法が挙げられる。溶液を用いる形成方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリーコート法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。パターン形成や多色の塗分けが容易であるので、これらの中でもスクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法等の印刷法が好ましい。
本実施形態の発光素子としては、陰極と発光層との間に電子輸送層を設けた発光素子、陽極と発光層との間に正孔輸送層を設けた発光素子、陰極と発光層との間に電子輸送層を設け、かつ、陽極と発光層との間に正孔輸送層を設けた発光素子が挙げられる。本実施形態の発光素子において、本実施形態の高分子化合物は、正孔輸送層に含まれることが好ましい。
発光素子の構造としては、以下のa)〜d)の構造が例示される。なお、「/」は、その前後に表記される層が隣接していることを示す。例えば、「陽極/発光層」とは、陽極と発光層とが隣接していることを示す。以下同じ。
a)陽極/発光層/陰極
b)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
c)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
d)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
また、これら構造の各々について、発光層と陽極との間に、発光層に隣接する正孔輸送層を設けてもよい。このような発光素子の構造としては、以下のa’)〜d’)の構造が例示される。
a’)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
b’)陽極/正孔輸送層/正孔輸送層/発光層/陰極
c’)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
d’)陽極/正孔輸送層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
本実施形態の発光素子が正孔輸送層を有する場合、正孔輸送層には、通常、本実施形態の高分子化合物が含まれる。その他の正孔輸送性材料(高分子量の化合物、低分子量の化合物)としては、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)およびその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)およびその誘導体等、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平2−135361号公報、特開平2−209988号公報、特開平3−37992号公報、特開平3−152184号公報に記載されているものが例示される。
これらの中でも、高分子量の化合物としては、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)およびその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)およびその誘導体が好ましく、ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリシランおよびその誘導体、側鎖または主鎖に芳香族アミン残基を有するポリシロキサン誘導体がより好ましい。
これらの中でも、低分子量の化合物としては、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体が好ましい。これらの低分子量の化合物は、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
上記高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害せず、可視光に対する吸収が強くない化合物が好ましく、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)およびその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)およびその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンが例示される。
ポリビニルカルバゾールおよびその誘導体は、例えば、ビニル単量体をカチオン重合またはラジカル重合させることによって得られる。
ポリシランおよびその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許公開第2300196号に記載の化合物が例示される。合成方法もこれらに記載の方法を用いることができ、特にキッピング法が好適に用いられる。
ポリシロキサンおよびその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖または主鎖に上記低分子量の正孔輸送材料の構造を有する化合物が好ましく、正孔輸送性の芳香族アミン残基を側鎖または主鎖に有する化合物がより好ましい。
正孔輸送層の形成方法としては、低分子量の化合物を用いる場合には、高分子バインダーとの混合溶液を用いる方法が例示され、本実施形態の高分子化合物を含む、高分子量の化合物を用いる場合には、溶液を用いる形成方法が例示される。
溶液を用いる形成方法に用いられる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解または均一に分散できる溶媒が好ましい。溶媒としては、上記、「液状組成物」の項目で説明したものが挙げられる。
溶液を用いる形成方法には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリーコート法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
正孔輸送層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率とが適切な値となるように選択すればよく、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、より好ましくは5nm〜200nmである。
本実施形態の発光素子が電子輸送層を有する場合、電子輸送層には、通常、上記電子輸送性材料(高分子量の化合物、低分子量の化合物)が含まれる。電子輸送性材料としては、公知の材料が使用できる。電子輸送性材料の例としては、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノアントラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体等や、特開昭63−70257号公報、特開昭63−175860号公報、特開平2−135359号公報、特開平2−135361号公報、特開平2−209988号公報、特開平3−37992号公報、特開平3−152184号公報に記載されている化合物が挙げられ、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、アントラキノンおよびその誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよびその誘導体の金属錯体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
電子輸送層の形成方法の例としては、低分子量の化合物を用いる場合には、粉末の材料を用いる真空蒸着法、溶液または溶融状態の材料を用いる形成方法が挙げられ、高分子量の化合物を用いる場合には、溶液または溶融状態の材料を用いる形成方法が挙げられる。溶液または溶融状態の材料を用いる形成方法では、上記高分子バインダーを併用してもよい。
溶液からの成膜に用いる溶媒は、電子輸送材料および/または高分子バインダーを、溶解させるか、または均一に分散できる溶媒が好ましい。該溶媒の例としては、上記、「液状組成物」の項目で説明した溶媒が挙げられる。
溶液または溶融状態の材料を用いる形成方法には、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット印刷法、キャピラリーコート法、ノズルコート法等の塗布法を用いることができる。
電子輸送層の厚さは、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率とが適切な値となるように選択すればよく、通常、1nm〜1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、より好ましくは5nm〜200nmである。
正孔注入層、電子注入層は、電極に隣接するように設けた電荷輸送層のうち、電極からの電荷注入効率を改善する機能を有し、発光素子の駆動電圧を下げる効果を有する。
電極との密着性向上や電極からの電荷注入の改善のために、電極に隣接して電荷注入層または絶縁層(通常、平均の厚さで0.5nm〜4.0nmであり、以下、同じである。)を設けてもよく、また、隣接する層同士の密着性向上や層の材料の混合の防止等のために電荷輸送層と発光層との間に薄いバッファー層を挿入してもよい。
積層される層の順番や数および各層の厚さは、発光効率や素子寿命を勘案して調整すればよい。
本実施形態において、電荷注入層(電子注入層、正孔注入層)を設けた発光素子の例としては、陰極に隣接するように電荷注入層を設けた発光素子、陽極に隣接するように電荷注入層を設けた発光素子が挙げられる。このような発光素子の積層構造の例としては、以下のe)〜p)の構造が挙げられる。
e)陽極/電荷注入層/発光層/陰極
f)陽極/発光層/電荷注入層/陰極
g)陽極/電荷注入層/発光層/電荷注入層/陰極
h)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
i)陽極/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
j)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電荷注入層/陰極
k)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/陰極
l)陽極/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
m)陽極/電荷注入層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
n)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
o)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
p)陽極/電荷注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電荷注入層/陰極
これらの構造の各々について、発光層と陽極との間に、発光層に隣接する正孔輸送層を設ける構造も例示される。
電荷注入層としては、導電性高分子を含む層、陽極と正孔輸送層との間に設けられ、陽極材料と正孔輸送層に含まれる正孔輸送材料との中間の値のイオン化ポテンシャルを有する材料を含む層、陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層等が挙げられる。
電荷注入層が導電性高分子を含む場合、導電性高分子の電気伝導度は、1×10−5S/cm〜1×103S/cmであることが好ましく、発光素子のリーク電流を小さくするためには、1×10−5S/cm〜1×102S/cmがより好ましく、1×10−5S/cm〜1×101S/cmがさらに好ましい。通常、導電性高分子の電気伝導度をこのような範囲とするために、導電性高分子に適量のイオンをドープする。
ドープされるイオンの種類は、正孔注入層であればアニオン、電子注入層であればカチオンである。アニオンの例としては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオン等が挙げられ、カチオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンが挙げられる。
電荷注入層に用いる材料は、電極や隣接する層の材料との関係で選択すればよい。電荷注入層に用いる材料の例としては、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、芳香族アミン残基を主鎖または側鎖に含む重合体等の導電性高分子、金属フタロシアニン(銅フタロシアニン等)、カーボンが挙げられる。
絶縁層の材料の例としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等が挙げられる。絶縁層を設けた発光素子の例としては、陰極に隣接するように絶縁層を設けた発光素子、陽極に隣接するように絶縁層を設けた発光素子が挙げられる。
このような発光素子の積層構造としては、以下のq)〜ab)の構造が挙げられる。
q)陽極/絶縁層/発光層/陰極
r)陽極/発光層/絶縁層/陰極
s)陽極/絶縁層/発光層/絶縁層/陰極
t)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/陰極
u)陽極/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
v)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/絶縁層/陰極
w)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/陰極
x)陽極/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
y)陽極/絶縁層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
z)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
aa)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
ab)陽極/絶縁層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/絶縁層/陰極
これらの構造の各々について、発光層と陽極との間に、発光層に隣接する正孔輸送層を設ける構造も例示される。
本実施形態の発光素子を形成する基板は、電極を形成し、有機層を形成する際に化学的に変化しない基板であればよく、ガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン等の材料からなる基板が例示される。不透明な基板の場合には、通常、その基板とは反対側に設けられる電極が透明または半透明とされる。
本実施形態の発光素子が有する陽極および陰極のうちの少なくとも一方は、通常、透明または半透明であるが、陽極側が透明または半透明であることが好ましい。
陽極の材料の例としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が挙げられ、具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、および、それらの複合体であるインジウムスズオキサイド(ITO)、インジウム亜鉛オキサイド(IZO)等からなる導電性化合物を用いて作製された膜、NESA、金、白金、銀、銅等で作製された膜が用いられ、ITO、IZO、酸化スズで作製された膜が好ましい。作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等が挙げられる。陽極として、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体等の有機材料で作製された透明導電膜を用いてもよい。陽極を2層以上の積層構造としてもよい。
陽極の厚さは、光の透過性と電気伝導度とを考慮して選択することができる。陽極の厚さは、例えば、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、より好ましくは30〜500nmである。
陽極に隣接するように、電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、導電性高分子、カーボン等からなる層;金属酸化物、金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる絶縁層を設けてもよい。
陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましく、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウム等の金属、またはそれらのうち2種類以上の合金、またはそれらのうち1種類以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、スズのうち1種類以上との合金、並びにグラファイトおよびグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、リチウム−アルミニウム合金、リチウム−マグネシウム合金、リチウム−インジウム合金、カルシウム−アルミニウム合金等が挙げられる。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
陰極の厚さは、電気伝導度や耐久性を考慮して調整すればよく、通常、10nm〜10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、より好ましくは50nm〜500nmである。
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、または金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。また、陰極と有機層(即ち、本実施形態の高分子化合物を含むいずれかの層)との間に、導電性高分子からなる層、または金属酸化物、金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均の厚さが2nm以下の層を設けてもよく、陰極作製後、発光素子を保護する保護層を設けてもよい。発光素子を長期安定的に用いるためには、発光素子を外部環境から保護するために、保護層および/または保護カバーを設けることが好ましい。
保護層の材料としては、高分子量の化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物等を用いることができる。保護カバーとしては、金属板、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板等を用いることができ、保護カバーを熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂で発光素子が設けられた基板と貼り合わせて発光素子を封止する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて発光素子と保護カバーとの間に空間を維持すれば、素子の損傷を防ぐことが容易である。空間に窒素ガスやアルゴンガスのような不活性ガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を空間内に設置することにより、製造工程で吸着した水分または硬化樹脂を通り抜けて浸入する微量の水分が発光素子に与える損傷を抑制することが容易となる。これらのうち、1以上の方策を採ることが好ましい。
図1は、本発明の第1の実施形態の発光素子(上記(p)の構成を有する発光素子)を示す模式的な断面図である。
図1に示される発光素子100は、基板10と、該基板10上に形成された陽極11、正孔注入層12、正孔輸送層13、発光層14、電子輸送層15、電子注入層16および陰極17とを有している。陽極11は、基板10と接するように基板10上に設けられており、陽極11の基板10とは反対側には、正孔注入層12、正孔輸送層13、発光層14、電子輸送層15、電子注入層16および陰極17が、この順で積層されている。正孔輸送層13には、本発明の実施形態の上記高分子化合物が含まれる。
図2は、本発明の第2の実施形態の発光素子(上記(h)の構成を有する発光素子)を示す模式的な断面図である。図2に示される発光素子110は、基板10と、該基板10上に形成された陽極11、正孔注入層12、正孔輸送層13、発光層14および陰極17とを有している。陽極11は、基板と接するように基板10上に設けられており、陽極11の基板10と反対側には、正孔注入層12、正孔輸送層13、発光層14および陰極17が、この順で積層されている。正孔輸送層13には、本発明の実施形態の上記高分子化合物が含まれる。
本発明の実施形態の高分子化合物を含有する発光素子は、曲面状光源、平面状光源等の面状光源(例えば、照明);セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置(例えば、ドットマトリックス型のフラットディスプレイ)、液晶表示装置(例えば、液晶表示装置のバックライト)等の表示装置等に好適に適用できる。また、本実施形態の高分子化合物は、これらの作製に用いられる材料として好適である以外にも、レーザー用色素材料、有機太陽電池用材料、有機トランジスタ用の有機半導体材料、導電性薄膜用材料、有機半導体薄膜等の伝導性薄膜用材料、蛍光を発する発光性薄膜材料、高分子電界効果型トランジスタの材料等としても有用である。
本実施形態の発光素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極とが重なり合うように配置すればよい。また、所定のパターン状の発光を得るためには、上記面状の発光素子の表面に所定のパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、陽極若しくは陰極のいずれか一方、または両方の電極を所定のパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にON/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号等を表示できるセグメント表示装置が得られる。
さらに、ドットマトリックス表示装置とするためには、陽極と陰極とをともにストライプ状に形成してこれらが互いに直交するように配置すればよい。発光色の異なる複数種類の高分子化合物を塗り分ける方法や、カラーフィルターまたは蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス表示装置は、パッシブ駆動させることも可能であるし、TFT等と組み合わせてアクティブ駆動させてもよい。これらの表示装置は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダー等の表示装置として用いることができる。
図3は、本発明の面状光源の実施形態を示す模式的な断面図である。図3に示す面状光源200は、基板20と、陽極21と、正孔注入層22と、発光層23と、陰極24と、保護層25とから構成されている。陽極21は、基板20と接するように基板20上に設けられており、陽極21の基板20と反対側には、正孔注入層22、発光層23および陰極24がこの順で積層されている。保護層25は、基板20上に形成された陽極21、正孔注入層22、発光層23および陰極24を全て覆うように、かつ、端部で基板20と接するように、形成されている。発光層23には、本発明の実施形態の上記高分子化合物が含まれる。
図3に示される面状光源200は、発光層23以外の発光層23とは発光色の異なる複数種類の発光層を同一の基板20上にさらに設ける構成とし、それぞれの発光層に赤色発光材料、青色発光材料および緑色発光材料を用い、それぞれの発光層の駆動を独立に制御することで、カラー表示装置とすることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は下記の実施例に限定されない。
下記の実施例において、高分子化合物のポリスチレン換算の数平均分子量および重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(島津製作所製、商品名:LC−10Avp)を用いて求めた。
以下に本実施例で用いられた分析方法にかかる測定条件を説明する。
<測定条件>
測定する高分子化合物を約0.05重量%の濃度になるようにテトラヒドロフランに溶解させ、GPCに10μL注入した。GPCの移動相としてテトラヒドロフランを用い、2.0mL/分の流速で流した。カラムとして、PLgel MIXED−B(ポリマーラボラトリーズ製)を用いた。検出器には示差屈折率検出器(島津製作所製、商品名:RID−10A)を用いた。
NMRの測定は、測定試料5mg〜20mgを約0.5mLの有機溶媒に溶解させて、NMR(Varian,Inc.製、商品名:INOVA300)を用いて行った。
C、H、N元素分析は、測定試料3mg〜5mgを採取し、ミクロ天秤で秤量した後、スミグラフNHC−22F型(住化分析センター製)を用いて行った。
LC−MSの測定は、以下の方法で行った。測定試料を1mg/mL〜10mg/mLの濃度になるように適切な有機溶媒(クロロホルム、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、トルエン等)に溶解させて、LC−MS(アジレント・テクノロジー製、商品名:1100LCMSD)にて測定し、解析した。LC−MSの移動相には、イオン交換水、アセトニトリル、テトラヒドロフランまたはそれらの混合液を用い、必要に応じて酢酸を添加した。カラムは、L−column 2 ODS(3μm)(化学物質評価研究機構製、内径:4.6mm、長さ:250mm、粒子径:3μm)を用いた。
正孔輸送性の評価について説明する。正孔輸送性の評価は、上記の発光素子における陰極材料を、仕事関数の大きい材料(例えば、金、銀、白金等)に変更した正孔輸送性の評価素子(「ホールオンリーデバイス(HOD)」と呼ばれることがある。)を作製し、その電圧電流特性を測定することで行うことができる。正孔輸送性の評価素子では、陰極からの電子注入が抑制されるため、正孔に起因した電流(以下、正孔電流ということがある。)を測定することができるためである。
上記の正孔輸送性の評価素子の構造としては、以下のHOD1〜HOD4が挙げられるが、本実施例においては、HOD4を用いて、陰極材料としては金を用いて、正孔輸送性の評価を行った。
HOD1)陽極/正孔輸送層/陰極
HOD2)陽極/発光層/陰極
HOD3)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
HOD4)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
<合成例1:化合物2の合成>
化合物1を用いて、下記のとおり化合物2を合成した。
容量500mLの4つ口フラスコに、化合物1(46.84g)(例えば国際公開第2004/049546号に記載の方法で合成できる。)、ビスピナコレートジボロン(30.03g)および酢酸カリウム(30.28g)を入れた後、フラスコ内の気体を窒素ガスで置換した。そこに、1,4−ジオキサン(167mL)および塩化パラジウム(ジフェニルホスフィノフェロセン)ジクロロメタン付加体(PdCl2(dppf)(CH2Cl2)(2.52g))を加え、105℃で3時間攪拌した。得られた溶液を、室温まで冷却した後、ヘキサン(330mL)を加え、セライトをプレコートした漏斗で濾過した。濾液を減圧濃縮して得られた濃縮物をヘキサンに溶解させた後、活性炭を加えて40℃で1時間加熱しながら攪拌した。得られた混合物を室温まで冷却した後、セライトをプレコートした漏斗で濾過した。濾液を減圧濃縮して得られた固体を、トルエンとアセトニトリルとの混合溶媒で再結晶することで白色固体として化合物2を39.7g得た。
LC−MS(APCI、positive):[M+H]+ 1006.
<実施例1:高分子化合物Aの合成>
下記式(K−1)で示される構成単位と、下記式(K−2)で示される構成単位を、92.5:7.5のモル比(仕込み原料による理論値)で有する重合体(高分子化合物A)の合成を、下記のとおり行った。
アルゴンガス雰囲気下、合成例1で合成した化合物2(2.010g、2.00mmol)と、化合物1(1.549g、1.70mmol)と、下記式(M−2−BR)で示される化合物(0.158g、0.30mmol)と、トルエン(40mL)とを混合し、105℃に昇温した。
その後、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.9g)を滴下し、ジクロロビス(トリス(o−メトキシフェニル))ホスフィンパラジウム(1.76mg)を加え、3時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(24.4mg)およびトルエン(8mL)を加え、さらに3時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、トルエンを仕込み、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下して、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムにこの順で通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物Aを2.2g得た。高分子化合物Aのポリスチレン換算の数平均分子量は0.31×105であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.48×105であった。高分子化合物AのC、H、N元素分析の結果、C含量は88.2重量%、H含量は8.23重量%、N含量は3.58重量%であった。
<実施例2:高分子化合物Bの合成>
上記式(K−1)で示される構成単位と、下記式(K−3)で示される構成単位を、92.5:7.5のモル比(仕込み原料による理論値)で有する重合体(高分子化合物B)の合成を、下記のとおり行った。
アルゴンガス雰囲気下、合成例1で合成した化合物2(2.010g、2.00mmol)と、化合物1(1.549g、1.70mmol)と、下記式(M−3−BR)で示される化合物(0.129g、0.30mmol)と、トルエン(40mL)とを混合し、105℃に昇温した。
その後、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.9g)を滴下し、ジクロロビス(トリス(o−メトキシフェニル))ホスフィンパラジウム(1.76mg)を加え、3時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(24.4mg)およびトルエン(8mL)を加え、さらに3時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、トルエンを仕込み、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下して、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムにこの順で通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物Bを2.2g得た。高分子化合物Bのポリスチレン換算の数平均分子量は0.11×105であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は1.59×105であった。
<実施例3:高分子化合物Cの合成>
上記式(K−1)で示される構成単位と、上記式(K−2)で示される構成単位と、下記式(K−4)で示される構成単位を、90:5:5のモル比(仕込み原料による理論値)で有する重合体(高分子化合物C)の合成を、下記のとおり行った。
アルゴンガス雰囲気下、合成例1で合成した化合物2(2.010g、2.00mmol)と、化合物1(1.457g、1.60mmol)と、上記式(M−2−BR)で示される化合物(0.106g、0.20mmol)と、下記式(M−4−BR)で示される化合物(0.092g、0.20mmol)と、トルエン(40mL)とを混合し、105℃に昇温した。
その後、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.9g)を滴下し、ジクロロビス(トリス(o−メトキシフェニル))ホスフィンパラジウム(1.76mg)を加え、3時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(24.4mg)およびトルエン(8mL)を加え、さらに3時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、トルエンを仕込み、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムにこの順で通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物Cを2.0g得た。高分子化合物Cのポリスチレン換算の数平均分子量は0.33×105であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は3.40×105であった。
<実施例4:高分子化合物Dの合成>
上記式(K−1)で示される構成単位と、下記式(K−5)で示される構成単位と、上記式(K−3)で示される構成単位を、50:42.5:7.5のモル比(仕込み原料による理論値)で有する重合体(高分子化合物D)の合成を、下記のとおり行った。
アルゴンガス雰囲気下、合成例1で合成した化合物2(2.010g、2.00mmol)と、下記式(M−5−BR)で示される化合物(1.256g、1.70mmol)と、上記式(M−3−BR)で示される化合物(0.129g、0.30mmol)と、トルエン(40mL)とを混合し、105℃に昇温した。
その後、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.9g)を滴下し、ジクロロビス(トリス(o−メトキシフェニル))ホスフィンパラジウム(1.76mg)を加え、3時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(24.4mg)およびトルエン(8mL)を加え、さらに3時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、トルエンを仕込み、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下して、ろ取することで沈殿物を得た。この沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムにこの順で通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物Dを2.0g得た。高分子化合物Dのポリスチレン換算の数平均分子量は0.15×105であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は1.38×105であった。
<実施例5:高分子化合物Aを用いたホールオンリーデバイス1の作製と評価>
正孔のみを流すことができる素子であるホールオンリーデバイス1を作製し、本発明の化合物、かかる化合物を含有する組成物、これらを含有する有機薄膜を用いた電子素子の正孔電流量を評価した。
(1−1:第1有機層の形成)
陽極としてITOの薄膜が形成されたガラス基板にUVオゾン洗浄を施した後、該基板上に、第1有機層形成用組成物をスピンコート法によって塗布し、厚さ35nmの有機薄膜を得た。ここで第1有機層形成用組成物にはPlextronics社製の有機導電体材料であるPlexcore(AQ−1200)を用いた。
この有機薄膜を設けた基板を170℃で15分間加熱し、有機薄膜を乾燥させた後、室温まで自然冷却させることにより、第1有機層を得た。
(1−2:第2有機層の形成)
本発明の高分子化合物である高分子化合物Aとキシレンとを、該高分子化合物Aが1.8重量%の割合となるように混合し、第2有機層形成用組成物を得た。
上記(1−1)で得た第1有機層の上に、第2有機層形成用組成物をスピンコート法により塗布し、厚さ80nmの有機薄膜を得た。この有機薄膜を設けた基板を窒素ガス雰囲気にて180℃で60分間加熱して、有機薄膜を有機溶媒に対して不溶化させた後、室温まで自然冷却させ、第2有機層を得た。
(1−3:陰極の形成)
上記(1−2)で得た、陽極、第1有機層及び第2有機層を有する基板の第2有機層の上に、真空蒸着法によって、厚さ50nmの金層である陰極を形成した。なお、この金の蒸着工程は、真空度が1×10−4(Pa)以下に到達した後に開始した。
(1−4:封止)
上記(1−3)までの工程で得た、基板、陽極、第1有機層、第2有機層および陰極を備える積層構造を有する基板を真空蒸着装置より取り出し、窒素ガス雰囲気下で、封止ガラスおよび2液混合エポキシ樹脂(Robnor Resins社製のPX681C)にて封止し、ホールオンリーデバイス1を得た。
なお、上記第1有機層は、ホールオンリーデバイス1への電圧印加下で、陽極より正孔を受け取って正孔を第2有機層へ輸送する機能を有し、上記第2有機層は、ホールオンリーデバイス1への電圧印加下で、第1有機層より正孔を受け取って正孔を陰極へ輸送する機能を有する。
(2:評価)
上記のホールオンリーデバイス1に、直流電圧電流発生器を用いて、−1Vから+20Vまで電圧を印加し、電界強度が500kV/cmの時にホールオンリーデバイス1に流れる電流密度[mA/cm2]を測定した。その結果、電流密度は95.4mA/cm2であった。結果を表1に示す。なお、本評価において、500kV/cmの電界強度がホールオンリーデバイス1に印加された際に、電流励起による発光は観測されず、ホールオンリーデバイス1を流れる電子電流は、正孔電流に対して極微量であることが確認された。
<実施例6:高分子化合物Bを用いたホールオンリーデバイス2の作製と評価>
第2有機層を構成する化合物として高分子化合物Bを用いた他は、実施例5と同様にして、ホールオンリーデバイス2を作製して評価した。その結果、電界強度が500kV/cmの時にホールオンリーデバイス2に流れる電流密度は103.2mA/cm2であった。結果を表1に示す。なお、本評価において、500kV/cmの電界強度がホールオンリーデバイス2に印加された際に、電流励起による発光は観測されず、ホールオンリーデバイス2を流れる電子電流は、正孔電流に対して極微量であることが確認された。
<実施例7:高分子化合物Cを用いたホールオンリーデバイス3の作製と評価>
第2有機層を構成する化合物として高分子化合物Cを用いた他は、実施例5と同様にして、ホールオンリーデバイス3を作製して評価した。その結果、電界強度が500kV/cmの時にホールオンリーデバイス3に流れる電流密度は165.5mA/cm2であった。結果を表1に示す。なお、本評価において、500kV/cmの電界強度がホールオンリーデバイス3に印加された際に、電流励起による発光は観測されず、ホールオンリーデバイス3を流れる電子電流は、正孔電流に対して極微量であることが確認された。
<実施例8:高分子化合物Dを用いたホールオンリーデバイス4の作製と評価>
第2有機層を構成する化合物として高分子化合物Dを用いた他は、実施例5と同様にして、ホールオンリーデバイス4を作製して評価した。その結果、電界強度が500kV/cmの時にホールオンリーデバイス4に流れる電流密度は114.4mA/cm2であった。結果を表1に示す。なお、本評価において、500kV/cmの電界強度がホールオンリーデバイス4に印加された際に、電流励起による発光は観測されず、ホールオンリーデバイス4を流れる電子電流は、正孔電流に対して極微量であることが確認された。
<実施例9:高分子化合物Eの合成>
上記式(K−1)で示される構成単位と、下記式(K−8)で示される構成単位と、上記式(K−2)で示される構成単位と、上記式(K−4)で示される構成単位を、50:40:5:5のモル比(仕込み原料による理論値)で有する重合体(高分子化合物E)の合成を、下記のとおり行った。
アルゴンガス雰囲気下、合成例1で合成した化合物2(2.044g、2.03mmol)と、下記式(M−8−BR)で示される化合物(1.766g、1.60mmol)と、上記式(M−2−BR)で示される化合物(0.106g、0.20mmol)と、上記式(M−4−BR)で示される化合物(0.092g、0.20mmol)と、トルエン(36mL)とを混合し、105℃に昇温した。
その後、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.9g)を滴下し、ジクロロビス(トリス(o−メトキシフェニル))ホスフィンパラジウム(3.84mg)を加え、3時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(24.5mg)およびトルエン(8mL)を加え、さらに12時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、トルエンを仕込み、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下して、ろ取することで沈殿物を得た。
この沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムにこの順で通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物Eを2.2g得た。高分子化合物Eのポリスチレン換算の数平均分子量は0.30×105であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は1.99×105であった。
<実施例10:高分子化合物Fの合成>
上記式(K−1)で示される構成単位と、下記式(K−9)で示される構成単位と、上記式(K−2)で示される構成単位と、上記式(K−4)で示される構成単位を、50:40:5:5のモル比(仕込み原料による理論値)で有する重合体(高分子化合物F)の合成を、下記のとおり行った。
アルゴンガス雰囲気下、合成例1で合成した化合物2(2.060g、2.05mmol)と、下記式(M−9−BR)で示される化合物(1.304g、1.60mmol)と、上記式(M−2−BR)で示される化合物(0.106g、0.20mmol)と、上記式(M−4−BR)で示される化合物(0.092g、0.20mmol)と、トルエン(43mL)とを混合し、105℃に昇温した。
その後、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.9g)を滴下し、ジクロロビス(トリス(o−メトキシフェニル))ホスフィンパラジウム(8.78mg)を加え、3時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(24.5mg)およびトルエン(7mL)を加え、さらに12時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、トルエンを仕込み、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下して、ろ取することで沈殿物を得た。
この沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムにこの順で通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物Fを2.3g得た。高分子化合物Fのポリスチレン換算の数平均分子量は0.26×105であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.16×105であった。
<実施例11:高分子化合物Fを用いたホールオンリーデバイス5の作製と評価>
第2有機層を構成する化合物として高分子化合物Fを用いた他は、実施例5と同様にして、ホールオンリーデバイス5を作製して評価した。その結果、電界強度が500kV/cmの時にホールオンリーデバイス5に流れる電流密度は73.8mA/cm2であった。結果を表1に示す。なお、本評価において、500kV/cmの電界強度がホールオンリーデバイス5に印加された際に、電流励起による発光は観測されず、ホールオンリーデバイス5を流れる電子電流は、正孔電流に対して極微量であることが確認された。
<比較例1:高分子化合物AAの合成>
上記式(K−1)で示される構成単位と、上記式(K−2)で示される構成単位と、下記式(K−6)で示される構成単位を、42.5:7.5:50のモル比(仕込み原料による理論値)で有する重合体(高分子化合物AA)の合成を、下記のとおり行った。
アルゴンガス雰囲気下、化合物1(1.549g、1.70mmol)と、上記式(M−2−BR)で示される化合物(0.158g、0.30mmol)と、下記式(M−6−E)で示される化合物(1.814g、2.00mmol)と、トルエン(40mL)とを混合し、105℃に昇温した。その後、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.9g)を滴下し、ジクロロビス(トリス(o−メトキシフェニル))ホスフィンパラジウム(1.76mg)を加え、3時間還流させた。
反応後、そこに、フェニルボロン酸(24.4mg)およびトルエン(8mL)を加え、さらに3時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、トルエンを仕込み、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下して、ろ取することで沈殿物を得た。
この沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムにこの順で通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物AAを2.2g得た。高分子化合物AAのポリスチレン換算の数平均分子量は0.54×105であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は3.11×105であった。
<比較例2:高分子化合物AAを用いたホールオンリーデバイス101の作製と評価>
第2有機層を構成する化合物として高分子化合物AAを用いた他は、実施例5と同様にして、ホールオンリーデバイス101を作製して評価した。その結果、電界強度が500kV/cmの時にホールオンリーデバイス101に流れる電流密度は9.4mA/cm2であった。結果を表1に示す。なお、本評価において、500kV/cmの電界強度がホールオンリーデバイス101に印加された際に、電流励起による発光は観測されず、ホールオンリーデバイス101を流れる電子電流は、正孔電流に対して極微量であることが確認された。
<比較例3:高分子化合物BBの合成>
上記式(K−1)で示される構成単位と、上記式(K−2)で示される構成単位と、上記式(K−6)で示される構成単位と、下記式(K−7)で示される構成単位を、30:7.5:50:12.5のモル比(仕込み原料による理論値)で有する重合体(高分子化合物BB)の合成を、下記のとおり行った。
アルゴンガス雰囲気下、化合物1(1.093g、1.20mmol)と、上記式(M−2−BR)で示される化合物(0.158g、0.30mmol)と、下記式(M−6−E)で示される化合物(1.814g、2.00mmol)と、下記式(M−7−BR)で示される化合物(0.274g、0.50mmol)と、トルエン(40mL)とを混合し、105℃に昇温した。
その後、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(6.9g)を滴下し、ジクロロビス(トリス(o−メトキシフェニル))ホスフィンパラジウム(1.76mg)を加え、3時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(24.4mg)およびトルエン(8mL)を加え、さらに3時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、トルエンを仕込み、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下して、ろ取することで沈殿物を得た。
この沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムにこの順で通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物BBを2.1g得た。高分子化合物BBのポリスチレン換算の数平均分子量は0.55×105であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は2.63×105であった。
<比較例4:高分子化合物BBを用いたホールオンリーデバイス102の作製と評価>
第2有機層を構成する化合物として高分子化合物BBを用いた他は、実施例5と同様にして、ホールオンリーデバイス102を作製して評価した。その結果、電界強度が500kV/cmの時にホールオンリーデバイス102に流れる電流密度は5.7mA/cm2であった。結果を表1に示す。なお、本評価において、500kV/cmの電界強度がホールオンリーデバイス102に印加された際に、電流励起による発光は観測されず、ホールオンリーデバイス102を流れる電子電流は、正孔電流に対して極微量であることが確認された。
<比較例5:高分子化合物CCの合成>
上記式(K−1)で示される構成単位と、上記式(K−6)で示される構成単位と、上記式(K−3)で示される構成単位を、42.5:50:7.5のモル比(仕込み原料による理論値)で有する重合体(高分子化合物CC)の合成を、下記のとおり行った。
アルゴンガス雰囲気下、化合物1(3.255g、3.57mmol)と、上記式(M−6−E)で示される化合物(3.813g、4.21mmol)と、上記式(M−3−BR)で示される化合物(0.271g、0.63mmol)と、トルエン(55mL)とを混合し、105℃に昇温した。その後、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(13.8g)を滴下し、酢酸パラジウム(1.40mg、6.31μmol)およびトリス(o−メトキシフェニル)ホスフィン(8.80mg、25.2μmol)を加え、6時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(51.3mg)を加え、さらに12時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、トルエンを仕込み、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下して、ろ取することで沈殿物を得た。
この沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムにこの順で通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物CCを4.8g得た。高分子化合物CCのポリスチレン換算の数平均分子量は2.82×105であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は0.60×105であった。
<比較例6:高分子化合物DDの合成>
上記式(K−1)で示される構成単位と、上記式(K−6)で示される構成単位と、上記式(K−2)で示される構成単位と、上記式(K−4)で示される構成単位を、50:40:5:5のモル比(仕込み原料による理論値)で有する重合体(高分子化合物DD)の合成を、下記のとおり行った。
アルゴンガス雰囲気下、化合物1(4.099g、4.50mmol)と、上記式(M−6−E)で示される化合物(3.224g、3.56mmol)と、下記式(M−2−E)で示される化合物(0.280g、0.45mmol)と、下記式(M−4−E)で示される化合物(0.250g、0.45mmol)と、トルエン(120mL)とを混合し、105℃に昇温した。
その後、20重量%水酸化テトラエチルアンモニウム水溶液(15g)を滴下し、ジクロロビス(トリス(o−メトキシフェニル))ホスフィンパラジウム(4.0mg)を加え、4時間還流させた。反応後、そこに、フェニルボロン酸(55.0mg)を加え、さらに12時間還流させた。次いで、そこに、ジエチルジチアカルバミン酸ナトリウム水溶液を加え、80℃で2時間撹拌した。得られた混合物を冷却後、トルエンを仕込み、水で2回、3重量%酢酸水溶液で2回、水で2回洗浄した。得られた溶液をメタノールに滴下して、ろ取することで沈殿物を得た。
この沈殿物をトルエンに溶解させ、アルミナカラム、シリカゲルカラムにこの順で通すことにより精製した。得られた溶液をメタノールに滴下し、撹拌した後、得られた沈殿物をろ取し、乾燥させることにより、高分子化合物DDを4.9g得た。高分子化合物DDのポリスチレン換算の数平均分子量は0.40×105であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は1.45×105であった。
<比較例7:高分子化合物EEの合成>
下記式(K−10)で示される構成単位と、上記式(K−7)で示される構成単位と、上記式(K−2)で示される構成単位を、50:25:25のモル比(仕込み原料による理論値)で有する重合体(高分子化合物EE)の合成を、下記のとおり行った。
トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム錯体(0.073g、0.08mmol)と、トリ−tert−ブチルホスフィンテトラフルオロホウ酸(0.093g、0.32mmol)と、tert−ブトキシナトリウム(1.54g、16.0mmol)と、上記式(M−7−BR)で示される化合物(1.14g、2.00mmol)と、上記式(M−2−BR)で示される化合物(1.06g、2.00mmol)を仕込み、系内を十分に窒素ガスで置換した後、アニリン(0.38g、4.00mmol)と、トルエン(45mL)とを混合し、105℃に昇温し、8時間撹拌した。反応液を放冷して、反応液をエタノール水溶液(エタノール250mL+水40mL)中に滴下して、ろ取し、乾燥させることで沈殿物を得た。
得られた沈殿物とトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム錯体(0.038g、0.04mmol)と、トリ−tert−ブチルホスフィンテトラフルオロホウ酸(0.047g、0.16mmol)と、tert−ブトキシナトリウム(0.61g、6.40mmol)を仕込み、系内を十分に窒素ガスで置換した。ここに、N,N−ジフェニルアミン(0.68g、4.00mmol)のトルエン溶液(11mL)と、ブロモベンゼン(0.13g、0.80mmol)のトルエン溶液(33mL)を添加し、105℃に昇温して6時間撹拌した。反応液を放冷し、エタノール水溶液(エタノール240mL+水40mL)中に滴下し、ろ取し、乾燥させることで沈殿物を得た。
得られた沈殿物をトルエンに溶解させ、アセトンに再沈殿させ、沈殿したポリマーをろ別した。得られたポリマーをトルエンに溶解させ、希塩酸にて洗浄し、アンモニア含有エタノールにて再沈殿させてポリマーをろ別した。ろ別したポリマーをトルエンに溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより2回精製したのち、エタノール水溶液中に溶液を滴下し、ろ取し、乾燥させることにより高分子化合物EEを0.85g得た。高分子化合物EEのポリスチレン換算の数平均分子量は0.16×105であり、ポリスチレン換算の重量平均分子量は0.39×105であった。
<比較例8:高分子化合物CCを用いたホールオンリーデバイス103の作製と評価>
第2有機層を構成する化合物として高分子化合物CCを用いた他は、実施例5と同様にして、ホールオンリーデバイス103を作製して評価した。その結果、電界強度が500kV/cmの時にホールオンリーデバイス103に流れる電流密度は2.0mA/cm2であった。結果を表1に示す。なお、本評価において、500kV/cmの電界強度がホールオンリーデバイス103に印加された際に、電流励起による発光は観測されず、ホールオンリーデバイス103を流れる電子電流は、正孔電流に対して極微量であることが確認された。
<比較例9:高分子化合物DDを用いたホールオンリーデバイス104の作製と評価>
第2有機層を構成する化合物として高分子化合物DDを用いた他は、実施例5と同様にして、ホールオンリーデバイス104を作製して評価した。その結果、電界強度が500kV/cmの時にホールオンリーデバイス104に流れる電流密度は38.1mA/cm2であった。結果を表1に示す。なお、本評価において、500kV/cmの電界強度がホールオンリーデバイス104に印加された際に、電流励起による発光は観測されず、ホールオンリーデバイス104を流れる電子電流は、正孔電流に対して極微量であることが確認された。
<比較例10:高分子化合物EEを用いたホールオンリーデバイス105の作製と評価>
第2有機層を構成する化合物として高分子化合物EEを用いた他は、実施例5と同様にして、ホールオンリーデバイス105を作製して評価した。その結果、電界強度が500kV/cmの時にホールオンリーデバイス105に流れる電流密度は5.0mA/cm2であった。結果を表1に示す。なお、本評価において、500kV/cmの電界強度がホールオンリーデバイス105に印加された際に、電流励起による発光は観測されず、ホールオンリーデバイス105を流れる電子電流は、正孔電流に対して極微量であることが確認された。