JP6033132B2 - オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、オレフィン重合体の製造方法に関し、さらに詳しくは、良好な粒子性状のオレフィン重合体の粒子を得ることができる上に、少ない添加量でも十分にファウリングが防止でき、重合活性に与える影響が少ないファウリング防止成分を用いたオレフィン重合体の製造方法に関する。
オレフィンを重合しポリオレフィンを製造する方法の中で、生成する重合物を溶媒中に固体粒子として懸濁させながら重合を行うスラリー重合や、溶媒を用いずに重合を行う気相重合など、いわゆる不均一重合法では、溶液重合法に比してポリマーの析出工程が省略でき、また粘度が低く攪拌動力が小さい等の優れた利点を有することから工業的に広く採用されている。
しかし、この不均一重合法では、反応条件や重合触媒の性状によっては、反応器や撹拌翼などにポリマーの付着、いわゆるファウリング、が生じ、反応温度の制御が困難になるばかりでなく反応器内壁の平滑性が失われることによる撹拌異常が生じ、ポリマーの製造が継続出来なくなる。
そのため、不均一重合法では、ポリオレフィンを安定生産するためには、ポリマーの反応器への付着、いわゆるファウリングを防止することは非常に重要であり、これまでに、以下に述べるような種々の技術開発が行われてきた。
例えば、オレフィンの不均一重合において、フィチン酸の窒素含有の塩と有機スルホン酸の多価金属塩とを存在させてファウリングを抑制する方法や、ポリスルホンコポリマー、重合体状ポリアミン及び油溶性スルホン酸を含む組成物を使用する方法が報告されている(例えば、特許文献1、2)。
また、ポリスルホンコポリマー、高分子ポリアミン及び油溶性スルホン酸系の帯電防止剤をオレフィン重合触媒に適用する技術や、気相重合法にも適用できることが開示されている(例えば、特許文献3、4)。
ファウリング防止に有効な化合物は、一方で、しばしは、オレフィン重合触媒の活性点を被毒し、重合活性の低下を引き起こす場合がある。特に、メタロセン触媒は、被毒による活性低下を起こしやすい触媒として知られており、触媒活性への影響がより少ないファウリング防止技術の開発が求められていた。
メタロセン触媒を使用したオレフィン重合向けのファウリング防止技術としては、非イオン系界面活性剤を使用する技術(例えば、特許文献5)、メタロセン担持触媒における表面改質剤の工夫(例えば、特許文献6)などがある。さらには、特定の帯電防止成分と金属アルキルを特定の量及び濃度で反応させるオレフィン重合用帯電防止剤の製造方法(例えば、特許文献7)、また、超微粒子からなるファウリング防止剤を用いるものとして、遷移金属含有化合物と、二価以上の金属の金属アルキル化合物と微粉砕担体とを反応させて得られる粉末状固体とを含む触媒組成物及び該触媒組成物を用いたオレフィンの重合方法(例えば、特許文献8)が開示されている。
しかしながら、これらの改良技術では、オレフィン重合におけるファウリングの防止効果はあるものの、特許文献7のように、非金属ヘテロ原子に結合した少なくとも1つの水素原子を含む特定の帯電防止成分と金属アルキルを特定の量及び濃度で反応させた帯電防止剤を用いた場合においては、その添加量の増加に従って重合活性は低下する問題があり、一般的にはメタロセン触媒の場合にはその影響が大きい。特許文献8では、重合時の特定の処理を行った官能基を有する微粉砕担体の使用量が多いため、ポリマー中に残存した微粉砕担体が、ポリマーの品質に悪影響を与える懸念がある。
そのため、少ない添加量でファウリングが抑制可能であり、オレフィン重合活性への影響がさらに少ないファウリング防止技術の開発が求められていた。
特開昭52−94390号公報 特開昭54−139984号公報 特表2009−538936号公報 特表2002−544294号公報 特開2000−327707号公報 特表平10−507471号公報 特表2009−536673号公報 特表2009−535435号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、良好な粒子性状のオレフィン重合体の粒子を得ることができる上に、少ない添加量でも十分にファウリングが防止でき、重合活性に与える影響が少ないファウリング防止成分を用いたオレフィン重合体の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、オレフィン重合体を製造する際に、オレフィン重合触媒の存在下に、特定の無機酸化物粒子を、特定の金属化合物で処理して得られる、特定の微粒子成分をファウリング防止成分として、オレフィン重合触媒と共存させるオレフィン重合体の製造方法によって、良好な粒子性状のオレフィン重合体の粒子を得ることができる上に、少ない添加量でも十分にファウリングが防止でき、重合活性に与える影響が少ないファウリング防止成分を用いたオレフィン重合体の製造方法となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、オレフィン重合触媒(A)の存在下でオレフィン重合体を製造する方法において、平均粒径が1.0〜1000nmの無機酸化物粒子(B)を下記一般式(1)で表される金属化合物(C)で処理して得られる微粒子成分(D)を、オレフィン重合触媒(A)1gに対する一般式(1)のMのミリモル量が、0.05〜5.0mmol/gの範囲となるように共存させることを特徴とするオレフィン重合体の製造方法が提供される。
M(R(XR P−1m−n (1)
(一般式(1)中、Mは、リチウム又はナトリウムを表す。Rは、水素原子、炭化水素基又はハロゲン原子を表し、nはであり、Xは珪素原子、窒素原子、リン原子、酸素原子又は硫黄原子を表し、RはXと結合した水素原子又は炭化水素基であり、PはXの価数であり、mはMの価数である。複数存在するR,Rは同一であっても異なっていても良い。)
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、一般式(1)において、m−nが0であり、Rが水素原子又は炭化水素基であることを特徴とするオレフィン重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、オレフィン重合触媒(A)は、重合活性種が周期表第4族〜第6族元素から選ばれる原子から形成されるものであるオレフィン重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3の発明において、オレフィン重合触媒(A)は、メタロセン触媒であるオレフィン重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、オレフィン重合触媒(A)は、担体に担持されているオレフィン重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、溶媒を用いた懸濁重合を行なうことを特徴とするオレフィン重合体の製造方法が提供される。
本発明によれば、オレフィン重合体の製造において、良好な粒子性状のオレフィン重合体の粒子を得ることができる上に、ファウリング防止成分について、少ない添加量でも十分にファウリングが防止でき、重合活性に与える影響が少ないオレフィン重合体の製造方法であるため、高生産効率で安定したオレフィン重合体の製造が可能となる。
また、オレフィンのスラリー重合の際に発生するファウリングを防止できるため、ファウリングに起因する撹拌異常や反応温度の制御不良を防止することができる。
また、触媒活性への影響が少ないため、効率的なポリオレフィンの製造が可能である。
したがって、反応器を安定に運転することが出来ると同時に、ファウリング発生のためスラリー濃度をあまり大きくとれなかったものが、ファウリングの解消の結果、スラリー濃度を上げることが出来るようになり、同一反応器での生産量を増大させることが出来る。
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、オレフィン重合触媒(A)の存在下でオレフィン重合体を製造する方法において、平均粒径が1.0〜1000nmの無機酸化物粒子(B)を下記一般式(1)で表される金属化合物(C)で処理して得られる微粒子成分(D)を、オレフィン重合触媒(A)1gに対する一般式(1)のMのミリモル量が、0.05〜5.0mmol/gの範囲となるように共存させることを特徴とする。
M(R(XR P−1m−n (1)
(一般式(1)中、Mは、水素を除く周期表第1族又は2族元素を表す。Rは、水素原子、炭化水素基又はハロゲン原子を表し、nは0又はMの価数以下の整数であり、Xは珪素原子、窒素原子、リン原子、酸素原子又は硫黄原子を表し、RはXと結合した水素原子又は炭化水素基であり、PはXの価数であり、mはMの価数である。複数存在するR,Rは同一であっても異なっていても良い。)
本発明のオレフィン重合体の製造方法を、微粒子成分(D)、オレフィン重合触媒(A)、オレフィン原料及び溶媒等の項目毎に詳細に説明する。
1.微粒子成分(D)
本発明において使用される微粒子成分(D)は、平均粒径が1〜1000nmの無機酸化物粒子(B)を下記一般式(1)で表される金属化合物(C)で処理して得られるものである。
M(R(XR P−1m−n (1)
(一般式(1)中、Mは、水素を除く周期表第1族又は第2族の元素を表す。Rは、水素原子、炭化水素基又はハロゲン原子を表し、nは0からMの価数以下の整数であり、Xは珪素原子、窒素原子、リン原子、酸素原子又は硫黄原子を表し、RはXと結合した水素原子又は炭化水素基であり、PはXの価数であり、mはMの価数である。複数存在するR,Rは同一であっても異なっていても良い。)
微粒子成分(D)は、本発明において、いわゆるファウリング防止成分として使用される。
(1)無機酸化物粒子(B)
本発明において使用される無機酸化物粒子は、平均粒径が1.0〜1000nmのものであって、本発明の効果が認められるかぎり、いかなるものでも使用でき、形状としては、球状、不定形のもの、いずれも使用できる。
本発明の無機酸化物粒子は、平均粒径が1.0〜1000nmの範囲内であることが必要であり、好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下、一方、好ましくは3nm以上、さらに好ましくは5nm以上である。平均粒径が1nmより小さいものは、取扱いが困難であり、実用的では無い。一方、平均粒径が1000nmより大きいと、無機酸化物粒子とオレフィン重合触媒粒子の接触面積が小さくなるため、触媒を再分散させる効果が不十分となるおそれがある。
無機酸化物粒子の粒径を測定する方法としては、動的光散乱法、レーザー回折/散乱法、画像イメージング法などが一般的に用いられている。これらの手法のうち無機酸化物粒子(B)の粒径測定には、画像イメージング法を適用する。画像イメージング法とは、光学顕微鏡や電子顕微鏡などで直接、粒子の画像を取得し、その画像イメージから粒子の大きさを測定する方法である。平均粒径が1nm以上1000nm未満であるような粒子は、粒子表面の相互作用により、粒子同士がゆるく連結した状態を取りやすいため、粒子径の測定には、画像イメージング法が好適である。
無機酸化物粒子(B)の平均粒径は、以下の手順で測定した値を用いる。
対象となる無機酸化物微粒子を、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、1粒の粒子が識別できる画像を得る。得られた画像から、粒子の水平方向と垂直方向の長さの平均を1粒の粒子の粒径とする。水平方向および垂直方向は一定とし、任意に選択した50粒の粒子について粒径を求め、その平均値を平均粒径とする。
一方、後述するように、オレフィン重合用固体触媒の平均粒径については、レーザー回折/散乱法を用いて測定する。
また、無機酸化物粒子の平均粒径は、本発明で使用するオレフィン重合触媒が固体触媒である場合には、固体触媒の平均粒径よりも小であることが好ましい。さらに、無機酸化物粒子の平均粒径に対するオレフィン重合用固体触媒の平均粒径の比(オレフィン重合用固体触媒の平均粒径/無機酸化物粒子の平均粒径)は、好ましくは100〜10000、さらに好ましくは200〜5000の範囲内である。その理由は、現在までのところ明らかになっていないが、本発明者は、オレフィン重合触媒の粒子表面に作用できる無機酸化物粒子の数が重要であると推定している。
また、無機酸化物粒子は、オレフィン重合触媒の粒子表面に付着することにより、触媒の表面電荷を中性化あるいは適当な電荷状態とすることにより優れた作用効果を奏するものと推定される。
本発明の無機酸化物粒子は、具体的には、例えば、次に例示するものを使用することができる。TiO、SiO、Al(OH)、Al、MgO、CaCO、MgCO、Al・4SiO・HO、Al・2SiO・2HO、Al・2SiO、3MgO・4SiO・HO、3CaO・Al・3CaSO・31HO、SiO・nHO、BaSO、AlSiO、3CaO・SiO、BaSiO、Al・NaO・6SiO、Al・CaO・2SiO、ZrO、ゼオライト等があり、好ましくはゼオライト、Al、TiO、SiO、MgO及びZrOであり、さらに好ましくはTiO、Al及びSiOである。
なお、無機酸化物粒子の製造方法は、一般に、「微粒子工学大系 第I巻 基本技術」(637−764、フジ・テクノシステム)に記載の次のような方法が挙げられる。化学炎法、電気炉加熱法、熱プラズマ法、レーザー加熱法、レーザー励起反応法、抵抗加熱法、電子ビーム加熱法、熱プラズマ加熱法、共沈法、均一沈殿法、化合物沈殿法、金属アルコキシド法、水熱合成法、ゾル−ゲル法、噴霧法、凍結乾燥法、エマルション法、硝酸塩分解法、溶液燃焼法、晶析法、熱分解法、機械的粉砕等である。
無機酸化物粒子は、通常は、その表面は水酸基となっているが、炭化水素基、珪素含有基、窒素含有基及び酸素含有基を導入してあるものも用いることができる。これらの基は、通常、無機酸化物粒子の表面に存在する表面水酸基の水素原子と置換して導入される。
炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等の飽和炭化水素基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、エチニル基等の不飽和炭化水素基、フェニル基、トリル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、トリチル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基が例示される。これらの中で好ましいのは、炭素数が3以上のものである。さらには、飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基が好ましく、飽和炭化水素基が最も好ましい。
珪素含有基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリ−n−ブチル基、トリ−n−オクチル基、トリシクロヘキシル基、トリフェニルシリル基、トリベンジルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、シクロヘキシルジメチルシリル基、オクチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、等が例示される。このとき、珪素含有基に含まれる炭素原子の数が2〜30個であることが好ましい。
窒素含有基としては、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、オクチルアミノ基、ドデシルアミノ基、アニリノ基、トルイジノ基、アセトアミド基、ベンズアミノ基、スクシンイミド基、フェニルアゾ基、ナフチルアゾ基、アミジノ基等が例示される。
酸素含有基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、ベンジルオキシ基等のエーテル基、カルボキシ基、メトキシカルボニル基、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基等のカルボン酸及びエステル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、オクタノイル基、ラウロイル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、ベンゾイル基等のアシル基、等が例示される。
それぞれの炭化水素基、珪素含有基、窒素含有基及び酸素含有基の一部は、炭化水素基、珪素含有基、窒素含有基及び酸素含有基で置換されていても良い。
無機酸化物粒子に含まれる炭化水素基、珪素含有基、窒素含有基及び酸素含有基の量は、無機酸化物粒子中の炭素原子として1.0重量%以上、好ましくは、1.5重量%以上である。炭素原子の含有量の上限は特に設定されないが、無機酸化物粒子の表面に化学結合しているという観点からすると、炭素原子として10重量%以下となる。
無機酸化物粒子の表面への置換基の導入は、表面処理ともいい、例えば、次に示すような表面水酸基と種々の化合物による反応により実施することができる。
・アルコールによる脱水縮合反応
・アルキル金属化合物による脱アルカン縮合反応
・有機シリルハロゲン化物による脱ハロゲン化水素縮合反応
・アルコキシシリル化合物による脱アルコール縮合反応
・シロキサン化合物による脱シラノール縮合反応
・シラザン化合物による脱アンモニア縮合反応
無機酸化物粒子の表面は、水酸基、炭化水素基、珪素含有基又は窒素含有基を含有していることが好ましく、さらに好ましくは水酸基、炭化水素基、珪素含有基である。これらが好ましい理由としては、金属化合物(C)との反応性があることや、金属化合物に含まれるMが残存吸着しやすいことなどが考えられる。
本発明の無機酸化物粒子は、そのまま用いても良いが、そこに含まれる吸着水を除去して用いることが好ましい。吸着水とは、無機酸化物の表面あるいは結晶破面に吸着された水である。吸着水が過度に多いと、触媒性能の低下を招くおそれがある。
吸着水の除去方法は、合目的的な任意の方法でありえるが、本発明では加熱乾燥処理、減圧乾燥処理、気体流通乾燥処理、等によりこれらの吸着水を除去したものを用いられるのが望ましい。吸着水の加熱処理方法は特に制限されないが、加熱脱水、気体流通下の加熱脱水、減圧下の加熱脱水及び有機溶媒との共沸脱水等の方法が用いられる。
加熱の際の温度は、吸着水が残存しないように、100℃以上が好ましく、200℃以上が更に好ましい。上限は800℃程度である。
加熱時間は0.05時間以上、好ましくは0.5時間以上、更に好ましくは1時間以上である。
その際、除去した後の無機酸化物粒子の水分含有率が温度200℃、圧力760mmHgの条件下で2時間脱水した場合の水分含有量を0重量%としたときに3重量%以下、好ましくは1重量%以下、更に好ましくは0.5重量%以下、下限は0重量%であることが好ましい。
本発明においては、脱水されて水分含有率が3重量%以下に調整された無機酸化物粒子は、オレフィン重合触媒と共存させる際にも同様の水分含有量を保つように取り扱われることが好ましい。
平均粒径が1.0〜1000nmの無機酸化物粒子を用いると、オレフィン重合活性の低下幅が少ない理由としては、固体触媒が有している細孔内部にまで無機酸化物粒子が拡散しないため、触媒粒子の表面のみに効率的に作用しているものと考えている。そのため、触媒粒子の内部に存在する重合活性点は被毒されることなく十分な重合活性を発現しているものと考えられる。
(2)金属化合物(C)
本発明において用いられる金属化合物(C)は、下記一般式(1)で表されるものである。
M(R(XR P−1m−n (1)
ここで、一般式(1)中、Mは、水素を除く周期表第1族又は第2族の元素を表す。好ましくは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムであり、さらに好ましくは、リチウム、ナトリウムである。
は、水素原子、炭化水素基又はハロゲン原子を表す。
炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基等の飽和炭化水素基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、エチニル基等の不飽和炭化水素基、フェニル基、トリル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基、トリチル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が好ましい。
nは0又はMの価数以下の整数であるが、nがMの価数と同じであることが好ましい。
Xは珪素原子、窒素原子、リン原子、酸素原子又は硫黄原子を表すが、窒素原子、酸素原子、硫黄原子が好ましい。
はXと結合した水素原子又は炭化水素基であり、Rの例示と同じである。
pはXの価数である。mはMの価数である。
複数存在するR,Rは同一であっても異なっていても良く、水素又は炭素数1〜20の炭化水素基が好ましい。また、nはMの価数と同じであることが好ましい。すなわち、m−nが0であることが好ましく、その場合、Rは水素原子又は炭化水素基であることが好ましい。
好ましい化合物をMがリチウムの場合で例示すると、水素化リチウム、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムブトキシド、リチウムフェノキシド、リチウムアセテート、リチウムアクリレート、リチウムメタクリレート、リチウムトリフルオロアセテート、リチウムチオメトキシド、リチウムチオフェノキシド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジフェニルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、リチウムクロライド、リチウムブロマイドなどが挙げられる。
Mが他の周期表第1族の原子の場合も同様な化合物が例示出来る。
好ましい化合物をMがマグネシウムの場合で例示すると、水素化マグネシウム、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ジベンジルマグネシウム、ジフェニルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、エチルフェニルマグネシウム、マグネシウムジメトキシド、マグネシウムジエトキシド、マグネシウムジブトキシド、マグネシウムジフェノキシド、マグネシウムビスチオメトキシド、マグネシウムビスチオフェノキシド、マグネシウムビス(ジイソプロピル)アミド、マグネシウム(ジフェニル)アミド、マグネシウムビス(ビス(トリメチルシリル)アミド)、マグネシウムクロライド、マグネシウムブロマイドなどが例示できる。
ここで、Mに結合する各置換基は、ブチルマグネシウムクロライドなどのように、任意に組み合わせることが出来る。また、Mが他の周期表第2族の原子の場合も同様な化合物が例示出来る。
(3)処理方法
本発明の微粒子成分(D)は、無機酸化物粒子(B)を金属化合物(C)で処理して得られる。このとき、金属化合物(C)は1種類であっても複数種類用いても良い。
処理方法としては、有機溶媒中又は無溶媒で、無機酸化物粒子(B)及び金属化合物(C)を接触させる方法が好ましく利用される。
接触させる温度としては、−50℃〜300℃、好ましくは0℃〜200℃の範囲である。有機溶媒中で接触させる場合に使用される有機溶媒としては、金属化合物(C)に対して不活性な物であれば特に制限はないが、具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサンなどの芳香族及び脂肪族炭化水素を挙げることができる。
無機酸化物粒子(B)に対する金属化合物(C)の使用割合としては、特に限定されないが、無機酸化物粒子(B)1gあたり金属化合物(C)は0.01〜20mmol、好ましくは0.1〜10mmol、さらに好ましくは、0.5〜5mmolの範囲で使用される。
金属化合物(C)は無機酸化物粒子(B)の表面と反応するか吸着することにより、無機酸化物粒子(B)に少なくとも金属化合物(C)に含まれるMの一部が、炭化水素溶媒に抽出されないことが必要である。そのため、過剰に存在する金属化合物(C)は、オレフィン重合触媒の性能低下の原因となる可能性がある。しかしながら、無機酸化物粒子(B)から過剰に存在する金属化合物(C)を除去するために、濾過や上澄み除去を繰り返す方法による洗浄を行う場合、成分(B)が小さ過ぎて時間がかかる。そのため、出来るだけ金属化合物(C)は無機酸化物粒子(B)に対して洗浄が必要な程度に過剰に添加することは好ましくない。金属化合物(C)を上記範囲で使用することにより、金属化合物(C)がオレフィン重合触媒の性能に影響を与える程度に過剰に添加されるということがなく、使用した金属化合物(C)がほぼすべて無機酸化物粒子(B)の表面と反応するか吸着するものと考えられる。
また、操作としては、無機酸化物粒子(B)と金属化合物(C)を接触させた後、洗浄せずにそのまま用いることが好ましい。
2.オレフィン重合触媒
本発明のオレフィン重合触媒としては、オレフィン重合能を有するものであれば特に限定されない。例えば、オレフィン重合触媒としては、遷移金属化合物を含有するものが挙げられる。
該遷移金属化合物成分としては、周期表第3〜11族のすべての遷移金属化合物が挙げられる。好ましくは、3〜6族金属のメタロセン化合物、4族金属のビスアミド又は8〜10族金属のビスイミノ化合物、4〜10族金属のサリチルアルジミナト化合物が挙げられる。すなわち、本発明におけるオレフィン重合触媒としては、チーグラー触媒、フィリップス触媒、メタロセン触媒等のシングルサイト触媒等の各種触媒が用いられる。
本発明においては、好ましくは、重合活性種が周期表第4族〜第6族元素から選ばれる原子から形成されるもの及びメタロセン触媒が、触媒性能のバランスの観点から好ましい。さらに好ましくは、Ti、Zr、又はHfを含有するメタロセン系触媒が適用される。
メタロセン系触媒としては、メタロセン錯体と呼ばれる、シクロペンタジエン骨格を有する配位子が遷移金属に配位してなる錯体と助触媒とを組み合わせたものが例示される。具体的なメタロセン触媒としては、Ti、Zr、Hfなどを含む遷移金属に、メチルシクロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン、インデン等のシクロペンタジエン骨格を有する配位子が配位してなる錯体触媒と、助触媒として、アルミノキサン等の周期表第1族〜第3族元素の有機金属化合物とを、組み合わせたものや、これらの錯体触媒をシリカ等の担体に担持させた担持型のものが挙げられる。
オレフィン重合用固体触媒の粒径については、レーザー回折/散乱法により求めることが出来る。レーザー回折/散乱法とは、粒子にレーザービーム(単色光)を照射すると、その粒径の大きさに応じて、様々な方向へ発せられる回折光、散乱光の強度分布が異なるという性質を利用して、粒子の粒径を測定する方法である。この原理を用い、種々のレーザー回折/散乱式粒径分布測定装置が市販されており、使用することが出来る。
本明細書において、オレフィン重合用固体触媒の平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(例えば、HORIBA社製、LA−920)を用いて測定して得られる、メジアン径(中央累積値、50%粒径)である。オレフィン重合用固体触媒の平均粒径は、得られるポリオレフィンの粒径や、触媒のフィードプロセスの要求に応じて設定される。
本発明で好ましく用いられるメタロセン触媒は、以下の成分(a)及び成分(b)を含むものであり、必要に応じて成分(c)と組み合わせてなる触媒である。
成分(a):メタロセン錯体
成分(b):成分(a)と反応して、カチオン性メタロセン化合物を形成する化合物
成分(c):微粒子担体
(i)成分(a)
成分(a)は、周期表第4族遷移金属のメタロセン化合物が用いられる。
具体的には、下記一般式(I)〜(VII)で表される化合物が使用される。
(C5−a )(C5−b )MXY (I)
(C4−c )(C4−d )MXY (II)
(C4−e )ZMXY (III)
(C5−f )ZMXY (IV)
(C5−f )MXYW (V)
(C5−g )(C5−h )MXY (VI)
(C3−i )(C3−j )MXY (VII)
ここで、Q、Q、Qは二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基を、Qは共役五員環配位子とZ基を架橋する結合性基を、QはRとRを架橋する結合性基を、Mは周期表第3〜12族遷移金属を、X、Y及びWはそれぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基又は炭素数1〜20の珪素含有炭化水素基を、Zは酸素、イオウを含む配位子、炭素数1〜40の珪素含有炭化水素基、炭素数1〜40の窒素含有炭化水素基又は炭素数1〜40のリン含有炭化水素基を示す。MはTi、Zr、Hf等の第4族遷移金属である。
〜Rはそれぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、アルコキシ基、アリールオキシ基、酸素含有炭化水素基、珪素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基又はホウ素含有炭化水素基を示す。これらの中で、R〜Rの少なくとも1つが複素環式芳香族基であることが好ましい。複素環式芳香族基の中でも、フリル基、ベンゾフリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基が好ましく、さらには、フリル基、ベンゾフリル基が好ましい。これらの複素環式芳香族基は、炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、珪素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基又はホウ素含有炭化水素基を有していても良いが、その場合、炭素数1〜20の炭化水素基、珪素含有炭化水素基が好ましい。また、隣接する2個のR、2個のR、2個のR、2個のR、2個のR、2個のR、又は2個のRが、それぞれ結合して炭素数4〜10個の環を形成していてもよい。a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjは、それぞれ0≦a≦5、0≦b≦5、0≦c≦4、0≦d≦4、0≦e≦4、0≦f≦5、0≦g≦5、0≦h≦5、0≦i≦3、0≦j≦3を満足する整数である。
2個の共役五員環配位子の間を架橋する結合性基Q、Q、Q、共役五員環配位子とZ基とを架橋する結合性基Q、及び、RとRを架橋するQは、具体的には下記のようなものが挙げられる。メチレン基、エチレン基のようなアルキレン基、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、フェニルメチリデン基、ジフェニルメチリデン基のようなアルキリデン基、ジメチルシリレン基、ジエチルシリレン基、ジプロピルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルエチルシリレン基、メチルフェニルシリレン基、メチル−t−ブチルシリレン基、ジシリレン基、テトラメチルジシリレン基のような珪素含有架橋基、ゲルマニウム含有架橋基、アルキルフォスフィン、アミン等である。これらのうち、アルキレン基、アルキリデン基、珪素含有架橋基、及びゲルマニウム含有架橋基が特に好ましく用いられる。
上述の一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)で表される具体的なZr錯体を下記に例示するが、ZrをHf又はTiに置き換えた化合物も同様に使用可能である。第4族遷移金属の中では、Ti,Zr,Hfが好ましい。また、一般式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)及び(VII)で示されるメタロセン錯体は、同一の一般式で示される化合物、又は異なる一般式で示される化合物の二種以上の混合物として用いることができる。
一般式(I)の化合物
ビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビスフルオレニルジルコニウムジクロリド、ビス(4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチル−4H−アズレニル)シクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチルビスシクロペンタジエニルジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−フリルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−フリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(2−フリル−4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド。
一般式(II)の化合物
ジメチルシリレンビス(1,1’−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−(2−メチルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−(2−メチル−4−フェニル−インデニル)]ジルコニウムジクロリド、エチレンビス[1,1’−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−(2−メチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1,1’−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、エチレンビス[1,1’−(2−メチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド。
ジメチルシリレンビス[1,1’−(2−フリルシクロペンタジエニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−フリル)−4,5−ジメチル−シクロペンタジエニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−{2−[2−(5−トリメチルシリル)フリル]−4,5−ジメチル−シクロペンタジエニル}}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−フリル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−(5−メチル)フリル)−4−フェニル−インデニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−(5−メチル)フリル)−4−(4−イソプロピル)フェニル−インデニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−(5−メチル)フリル)−4−(4−t−ブチル)フェニル−インデニル]}ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)[9−(2,7−t−ブチル)フルオレニル]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)[9−(2,7−t−ブチル)フルオレニル]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)[9−(2,7−t−ブチル)フルオレニル]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(9−フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレン(シクロペンタジエニル)[9−(2,7−t−ブチル)フルオレニル]ジルコニウムジクロリド。
一般式(III)の化合物
(t−ブチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイルジルコニウムジクロライド、(メチルアミド)−(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル−ジルコニウムジクロライド、(エチルアミド)(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)−メチレンジルコニウムジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル−(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジクロライド、(t−ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル、(ベンジルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジクロライド、(フエニルホスフィド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペンタジエニル)シランジルコニウムジベンジル。
一般式(IV)の化合物
(シクロペンタジエニル)(フェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)(フェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(フェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)ジルコニウムジクロリド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(2,6−ジ−i−プロピルフェノキシ)ジルコニウムジクロリド。
一般式(V)の化合物
(シクロペンタジエニル)ジルコニウムトリクロリド、(2,3−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリクロリド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリクロリド、(シクロペンタジエニル)ジルコニウムトリイソプロポキシド、(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムトリイソプロポキシド。
一般式(VI)の化合物
エチレンビス(7,7’−インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{7,7’−(1−メチル−3−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{7,7’−[1−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[7,7’−(1−エチル−3−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{7,7’−[1−イソプロピル−3−(4−クロロフェニル)インデニル]}ジルコニウムジクロリド。
一般式(VII)の化合物
i)2級炭素を含む錯体の例示:
(MeSi){η−CH−3,5−(CHMeZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(CHMeZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(CHMeZr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(CHMeZr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}Zr(CH、(MeSi){η−CH−3,5−(2−アダマンチル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(2−アダマンチル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(2−アダマンチル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(2−アダマンチル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}Zr(CH
meso−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(2−アダマンチル)−5−Me}Zr(CH、(MeSi){η−CH−3,5−(シクロヘキシル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(シクロヘキシル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(シクロヘキシル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(シクロヘキシル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(シクロヘキシル)−5−Me}Zr(CH、である。
ii)3級炭素を含む化合物の例示:
(MeSi){η−CH−3,5−(CMeZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(CMeZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(CMeZr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(CMeZr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(CMe)−5−Me}Zr(CH
(MeSi){η−CH−3,5−(1−アダマンチル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(1−アダマンチル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(1−アダマンチル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(1−アダマンチル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(1−アダマンチル)−5−Me}Zr(CH、(MeSi){η−CH−3,5−(1,1−ジメチルプロピル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(1,1−ジメチルプロピル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(1,1−ジメチルプロピル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(1,1−ジメチルプロピル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(1,1−ジメチルプロピル)−5−Me}Zr(CH、である。
iii)アルキルシリル基を含む化合物の例示:
(MeSi){η−CH−3,5−(ジメチルシリル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(ジメチルシリル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(ジメチルシリル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(ジメチルシリル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}Zr(CH、(MeSi){η−CH−3,5−(トリメチルシリル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(トリメチルシリル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(トリメチルシリル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(トリメチルシリル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(トリメチルシリル)−5−Me}Zr(CH、(MeSi){η−CH−3,5−(ジフェニルシリル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(ジフェニルシリル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(ジフェニルシリル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(ジフェニルシリル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジフェニルシリル)−5−Me}Zr(CH、(MeSi){η−CH−3,5−(フェニルメチルシリル)ZrCl、(MeSi){η−CH−3,5−(フェニルメチルシリル)ZrMe、(MeSi){η−CH−3,5−(フェニルメチルシリル)Zr(n−C、(MeSi){η−CH−3,5−(フェニルメチルシリル)Zr(CH、rac−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}Zr(n−C、rac−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}Zr(CH、meso−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}Zr(n−C、meso−(MeSi){η−CH−3−(フェニルメチルシリル)−5−Me}Zr(CH、である。
これらの中で好ましいのは、2級炭素と1級炭素の組み合わせの化合物であり、さらに好ましいのは、rac−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(CHMe)−5−Me}ZrMe、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrCl、rac−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrMe、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrCl、meso−(MeSi){η−CH−3−(ジメチルシリル)−5−Me}ZrMe、である。
なお、これら具体例の化合物のシリレン基をゲルミレン基に置き換えた化合物も好適な
化合物として例示される。
メタロセン錯体の特殊な例として、特開平7−188335号公報や「Jounal of American Chemical Society,1996、Vol.118,2291」に開示されている5員環あるいは6員環に炭素以外の元素を一つ以上含む配位子を有する遷移金属化合物も使用可能である。
また、複素環式炭化水素基を置換基として有するメタロセン錯体の例としては、特許第3674509号公報に開示されている。
本発明において、メタロセン錯体の中でも複素環式芳香族基を置換基に有するメタロセン錯体であることが好ましい。当該化合物を用いると、本発明の効果を一層優れた形で発揮することができる。
さらに、これらのメタロセン錯体は、二種以上の混合物として用いることができる。また、先述したメタロセン錯体と組合せて複数種を併用することもできる。
以上において記載した遷移金属化合物成分(a)の中で、オレフィン重合体を製造するための好ましいメタロセン錯体としては、一般式(I)又は一般式(II)で表されるメタロセン錯体が好ましい。さらには、高分子量のポリマーを生成可能であり、エチレンと他のα−オレフィンとの共重合において共重合性に優れるという観点では、一般式(II)で表されるメタロセン錯体が好ましい。高分子量体を製造可能ということは、種々のポリマーの分子量の調整手法により、様々な分子量のポリマーの設計が行えるという利点がある。
なお、本願の実施例において、上記の化合物のうち、一般式(II)の化合物であるジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−フリル)−4,5−ジメチル−シクロペンタジエニル]}ジルコニウムジクロリドを使用した。
(ii)成分(b)
本発明で好ましく用いられるメタロセン触媒の成分としては、上記成分(a)以外に、成分(a)のメタロセン化合物(成分(a)、以下、単にaと記すこともある。)と反応してカチオン性メタロセン化合物を形成する化合物(成分(b)、以下、単にbと記すこともある。)、必要に応じて微粒子担体(成分(c)、以下、単にcと記すこともある。)を含む。
メタロセン化合物(a)と反応してカチオン性メタロセン化合物を形成する化合物(b)の一つとして、有機アルミニウムオキシ化合物が挙げられる。
上記有機アルミニウムオキシ化合物は、分子中に、Al−O−Al結合を有し、その結合数は通常1〜100、好ましくは1〜50個の範囲にある。このような有機アルミニウムオキシ化合物は、通常、有機アルミニウム化合物と水とを反応させて得られる生成物である。
有機アルミニウムと水との反応は、通常、不活性炭化水素(溶媒)中で行われる。不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素及び芳香族炭化水素が使用できるが、脂肪族炭化水素又は芳香族炭化水素を使用することが好ましい。
有機アルミニウムオキシ化合物の調製に用いる有機アルミニウム化合物は、下記一般式(2)で表される化合物がいずれも使用可能であるが、好ましくはトリアルキルアルミニウムが使用される。
31 AlX31 3−t (2)
(式(2)中、R31は、炭素数1〜18、好ましくは1〜12のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等の炭化水素基を示し、X31は、水素原子又はハロゲン原子を示し、tは、1≦t≦3の整数を示す。)
トリアルキルアルミニウムのアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等のいずれでも差し支えないが、メチル基であることが特に好ましい。
上記有機アルミニウム化合物は、2種以上混合して使用することもできる。
水と有機アルミニウム化合物との反応比(水/Alモル比)は、0.25/1〜1.2/1、特に、0.5/1〜1/1であることが好ましく、反応温度は、通常−70〜100℃、好ましくは−20〜20℃の範囲にある。反応時間は、通常5分〜24時間、好ましくは10分〜5時間の範囲で選ばれる。反応に要する水として、単なる水のみならず、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物等に含まれる結晶水や反応系中に水が生成しうる成分も利用することもできる。
なお、上記した有機アルミニウムオキシ化合物のうち、アルキルアルミニウムと水とを反応させて得られるものは、通常、アルミノキサンと呼ばれ、特にメチルアルミノキサン(実質的にメチルアルミノキサン(MAO)からなるものを含む)は、有機アルミニウムオキシ化合物として、好適である。
もちろん、有機アルミニウムオキシ化合物として、上記した各有機アルミニウムオキシ化合物の2種以上を組み合わせて使用することもでき、また、前記有機アルミニウムオキシ化合物を前述の不活性炭化水素溶媒に溶液又は分散させた溶液としたものを用いても良い。
また、メタロセン化合物(a)と反応してカチオン性メタロセン化合物を形成する化合物(b)の他の具体例として、ボラン化合物やボレート化合物が挙げられる。
上記ボラン化合物をより具体的に表すと、トリフェニルボラン、トリ(o−トリル)ボラン、トリ(p−トリル)ボラン、トリ(m−トリル)ボラン、トリ(o−フルオロフェニル)ボラン、トリス(p−フルオロフェニル)ボラン、トリス(m−フルオロフェニル)ボラン、トリス(2,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(4−トリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(3,5―ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロナフチル)ボラン、トリス(パーフルオロビフェニル)、トリス(パーフルオロアントリル)ボラン、トリス(パーフルオロビナフチル)ボランなどが挙げられる。
これらの中でも、トリス(3,5―ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロナフチル)ボラン、トリス(パーフルオロビフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロアントリル)ボラン、トリス(パーフルオロビナフチル)ボランがより好ましく、さらに好ましくはトリス(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(パーフルオロナフチル)ボラン、トリス(パーフルオロビフェニル)ボランが好ましい化合物として例示される。
また、ボレート化合物を具体的に表すと、第1の例は、次の一般式(3)で示される化合物である。
[L−H][BR26272425 (3)
式(3)中、Lは、中性ルイス塩基であり、Hは、水素原子であり、[L−H]は、アンモニウム、アニリニウム、ホスフォニウム等のブレンステッド酸である。
アンモニウムとしては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、トリ(n−ブチル)アンモニウムなどのトリアルキル置換アンモニウム、ジ(n−プロピル)アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウムなどのジアルキルアンモニウムを例示できる。
また、アニリニウムとしては、N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムなどのN,N−ジアルキルアニリニウムが例示できる。
さらに、ホスフォニウムとしては、トリフェニルホスフォニウム、トリブチルホスホニウム、トリ(メチルフェニル)ホスフォニウム、トリ(ジメチルフェニル)ホスフォニウムなどのトリアリールホスフォニウム、トリアルキルホスフォニウムが挙げられる。
また、式(3)中、R26及びR27は、6〜20、好ましくは6〜16の炭素原子を含む、同じか又は異なる芳香族又は置換芳香族炭化水素基で、架橋基によって互いに連結されていてもよく、置換芳香族炭化水素基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等に代表されるアルキル基やフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲンが好ましい。
さらに、X24及びX25は、ハイドライド基、ハライド基、1〜20の炭素原子を含む炭化水素基、1個以上の水素原子がハロゲン原子によって置換された1〜20の炭素原子を含む置換炭化水素基である。
上記一般式(3)で表される化合物の具体例としては、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルホスホニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジ(1−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートなどを例示することができる。
これらの中でも、トリブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリブチルアンモニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、ジメチルアニリニウテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジメチルアニリニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレートが好ましい。
また、ボレート化合物の第2の例は、次の一般式(4)で表される。
[L[BR26272425 (4)
式(4)中、Lは、カルボカチオン、メチルカチオン、エチルカチオン、プロピルカチオン、イソプロピルカチオン、ブチルカチオン、イソブチルカチオン、tert−ブチルカチオン、ペンチルカチオン、トロピニウムカチオン、ベンジルカチオン、トリチルカチオン、ナトリウムカチオン、プロトン等が挙げられる。また、R26、R27、X24及びX25は、前記一般式(3)における定義と同じである。
上記化合物の具体例としては、トリチルテトラフェニルボレート、トリチルテトラ(o−トリル)ボレート、トリチルテトラ(p−トリル)ボレート、トリチルテトラ(m−トリル)ボレート、トリチルテトラ(o−フルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(p−フルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(m−フルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(3,5−ジフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トロピニウムテトラフェニルボレート、トロピニウムテトラ(o−トリル)ボレート、トロピニウムテトラ(p−トリル)ボレート、トロピニウムテトラ(m−トリル)ボレート、トロピニウムテトラ(o−フルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(p−フルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(m−フルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(3,5−ジフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、NaBPh、NaB(o−CH−Ph)、NaB(p−CH−Ph)、NaB(m−CH−Ph)、NaB(o−F−Ph)、NaB(p−F−Ph)、NaB(m−F−Ph)、NaB(3,5−F−Ph)、NaB(C、NaB(2,6−(CF−Ph)、NaB(3,5−(CF−Ph)、NaB(C10、HBPh・2ジエチルエーテル、HB(3,5−F−Ph)・2ジエチルエーテル、HB(C ・2ジエチルエーテル、HB(2,6−(CF−Ph)・2ジエチルエーテル、HB(3,5−(CF−Ph)・2ジエチルエーテル、HB(C10・2ジエチルエーテルを例示することができる。
これらの中でも、トリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリチルテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、トロピニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(3,5−ジトフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(パーフルオロナフチル)ボレート、NaB(C、NaB(2,6−(CF−Ph)、NaB(3,5−(CF−Ph)、NaB(C10、HB(C ・2ジエチルエーテル、HB(2,6−(CF−Ph)・2ジエチルエーテル、HB(3,5−(CF−Ph)・2ジエチルエーテル、HB(C10・2ジエチルエーテルが好ましい。
さらに好ましくは、これらの中でもトリチルテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリチルテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トロピニウムテトラ(2,6−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、NaB(C、NaB(2,6−(CF−Ph)、HB(C ・2ジエチルエーテル、HB(2,6−(CF−Ph)・2ジエチルエーテル、HB(3,5−(CF−Ph)・2ジエチルエーテル、HB(C10・2ジエチルエーテルが挙げられる。
化合物(b)としては、有機アルミニウムオキシ化合物が好ましく、さらに好ましいのはメチルアルモキサンである。
(iii)成分(c)
成分(c)である微粒子担体としては、無機物担体、粒子状ポリマー担体又はこれらの混合物が挙げられる。無機物担体は、金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩、炭素質物、又はこれらの混合物が使用可能である。
前記金属酸化物としては、周期表第1〜14族の元素の単独酸化物又は複合酸化物が挙げられ、例えば、SiO、Al、MgO、CaO、B、TiO、ZrO、Fe、Al・MgO、Al・CaO、Al・SiO、Al・MgO・CaO、Al・MgO・SiO、Al・CuO、Al・Fe、Al・NiO、SiO・MgOなどの天然又は合成の各種単独酸化物又は複合酸化物を例示することができる。
オレフィン重合触媒は、成分(c)である担体が、SiO、Al、MgO、TiO、Al・SiO、Al・MgO、SiO・TiO、SiO・MgOが好ましく、さらに、SiO(シリカ)であるものが、担体自体の反応性が低くいことから、特に好ましい。
ここで、上記の式は、分子式ではなく、組成のみを表すものであって、本発明において用いられる複合酸化物の構造及び成分比率は特に限定されるものではない。
金属塩化物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属の塩化物が好ましく、具体的にはMgCl、CaClなどが特に好適である。
金属炭酸塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の炭酸塩が好ましく、具体的には、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどが挙げられる。
炭素質物としては、例えば、カーボンブラック、活性炭などが挙げられる。
以上の無機物担体は、いずれも本発明に好適に用いることができるが、特に金属酸化物が好ましい。
これら無機物担体は、通常、吸着水を除くため150〜800℃、好ましくは200〜700℃で乾燥してから使用される。乾燥後は、通常、窒素等の不活性ガス雰囲気下で取り扱われる。
これら無機物担体の性状としては、特に制限はないが、通常、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定された平均粒径が、1〜200μm、好ましくは5〜100μm、比表面積は150〜1000m/g、好ましくは200〜700m/g、見掛比重は0.10〜0.50g/cmである無機物担体を用いるのが好ましい。
ここで、無機物担体の平均粒径は、レーザー回折法により測定された値である。
上記した無機物担体は、もちろんそのまま用いることもできるが、予備処理としてこれらの担体をトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物やAl−O−Al結合を含む有機アルミニウムオキシ化合物に接触させた後、用いることができる。
本発明に係るメタロセン系触媒は、メタロセン化合物(a)と、メタロセン化合物(a)と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物(b)、及び必要に応じて微粒子担体(c)からなる触媒を得る際の各成分の接触方法は、特に限定されず、例えば、以下の方法が任意に採用可能である。
(I)メタロセン化合物(a)と、メタロセン化合物(a)と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物(b)とを接触させた後、微粒子担体(c)を接触させる。
(II)メタロセン化合物(a)と、微粒子担体(c)とを接触させた後、メタロセン化合物(A)と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物(b)を接触させる。
(III)メタロセン化合物(a)と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物(b)と、微粒子担体(c)とを接触させた後、メタロセン化合物(a)を接触させる。
これらの接触方法の中で(I)と(III)が好ましく、さらに(I)が最も好ましい。いずれの接触方法においても、通常は窒素又はアルゴンなどの不活性雰囲気中、一般にベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素(通常炭素数は6〜12)、ヘプタン、ヘキサン、デカン、ドデカン、シクロヘキサンなどの脂肪族あるいは脂環族炭化水素(通常炭素数5〜12)等の液状不活性炭化水素の存在下、撹拌下又は非撹拌下に各成分を接触させる方法が採用される。
この接触は、通常−100℃〜200℃、好ましくは−50℃〜100℃、さらに好ましくは0℃〜80℃の温度にて、5分〜50時間、好ましくは30分〜24時間、さらに好ましくは30分〜12時間で行うことが望ましい。
また、メタロセン化合物(a)、メタロセン化合物(a)と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物(b)と微粒子担体(c)の接触に際しては、上記した通り、ある種の成分が可溶ないしは難溶な芳香族炭化水素溶媒と、ある種の成分が不溶ないしは難溶な脂肪族又は脂環族炭化水素溶媒とがいずれも使用可能である。
各成分同士の接触反応を段階的に行う場合にあっては、前段で用いた溶媒などを除去することなく、これをそのまま後段の接触反応の溶媒に用いてもよい。また、可溶性溶媒を使用した前段の接触反応後、ある種の成分が不溶もしくは難溶な液状不活性炭化水素(例えば、ペンタン、ヘキサン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素あるいは芳香族炭化水素)を添加して、所望生成物を固形物として回収した後に、あるいは一旦可溶性溶媒の一部又は全部を、乾燥等の手段により除去して所望生成物を固形物として取り出した後に、この所望生成物の後段の接触反応を、上記した不活性炭化水素溶媒のいずれかを使用して実施することもできる。本発明では、各成分の接触反応を複数回行うことを妨げない。
本発明において、メタロセン化合物(a)と、メタロセン化合物(a)と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物(b)と、微粒子担体(c)の使用割合は、特に限定されないが、以下の範囲が好ましい。
メタロセン化合物(a)と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物(b)として、有機アルミニウムオキシ化合物を用いる場合、メタロセン化合物(a)中の遷移金属(M)に対する有機アルミニウムオキシ化合物のアルミニウムの原子比(Al/M)は、通常、1〜100,000、好ましくは5〜1000、さらに好ましくは50〜500の範囲が望ましく、また、ボラン化合物やボレート化合物を用いる場合、メタロセン化合物中の遷移金属(M)に対する、ホウ素の原子比(B/M)は、通常、0.01〜100、好ましくは0.1〜50、さらに好ましくは0.2〜10の範囲で選択することが望ましい。
さらに、カチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物(b)として、有機アルミニウムオキシ化合物と、ボラン化合物、ボレート化合物との混合物を用いる場合にあっては、混合物における各化合物について、遷移金属(M)に対して上記と同様な使用割合で選択することが望ましい。
微粒子担体(c)の使用量は、メタロセン化合物(b)中の遷移金属0.0001〜5ミリモル当たり、好ましくは0.001〜0.5ミリモル当たり、さらに好ましくは0.01〜0.1ミリモル当たり、1gである。
メタロセン化合物(a)と、メタロセン化合物(a)と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物(b)と、微粒子担体(c)とを、前記接触方法(I)〜(III)のいずれかで相互に接触させ、しかる後、溶媒を除去することで、オレフィン重合用触媒を固体触媒として得ることができる。溶媒の除去は、常圧下又は減圧下、0〜200℃、好ましくは20〜150℃で1分〜50時間、好ましくは10分〜10時間で行うことが望ましい。
なお、メタロセン系触媒は、以下の方法によっても得ることができる。
(IV)メタロセン化合物(a)と微粒子担体(c)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下で有機アルミニウムオキシ化合物、ボラン化合物、ボレート化合物又はこれらの混合物と接触させる。
(V)有機アルミニウムオキシ化合物、ボラン化合物、ボレート化合物又はこれらの混合物と微粒子担体(c)とを接触させて溶媒を除去し、これを固体触媒成分とし、重合条件下でメタロセン化合物(a)と接触させる。
上記(IV)、(V)の接触方法の場合も、成分比、接触条件及び溶媒除去条件は、前記と同様の条件が使用できる。
また、本発明の製造方法の必須成分であるメタロセン化合物(a)と反応してカチオン性メタロセン化合物を生成させる化合物(b)と微粒子担体(c)とを兼ねる成分として、層状珪酸塩を用いることもできる。
層状珪酸塩とは、イオン結合等によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる珪酸塩化合物である。
大部分の層状珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出するが、これら、層状珪酸塩は特に天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
これらの中では、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族が好ましい。
一般に、天然品は、非イオン交換性(非膨潤性)であることが多く、その場合は好ましいイオン交換性(ないし膨潤性)を有するものとするために、イオン交換性(ないし膨潤性)を付与するための処理を行うことが好ましい。そのような処理のうちで特に好ましいものとしては、次のような化学処理が挙げられる。
ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と層状珪酸塩の結晶構造、化学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。
具体的には、(イ)塩酸、硫酸等を用いて行う酸処理、(ロ)NaOH、KOH、NH等を用いて行うアルカリ処理、(ハ)周期表第2族から第14族から選ばれた少なくとも1種の原子を含む陽イオンとハロゲン原子又は無機酸由来の陰イオンからなる群より選ばれた少なくとも1種の陰イオンからなる塩類を用いた塩類処理、(ニ)アルコール、炭化水素化合物、ホルムアミド、アニリン等の有機物処理等が挙げられる。これらの処理は、単独で行ってもよいし、2つ以上の処理を組み合わせてもよい。
前記層状珪酸塩は、全ての工程の前、間、後のいずれの時点においても、粉砕、造粒、分粒、分別等によって、粒子性状を制御することができる。その方法は、合目的的な任意のものであり得る。特に、造粒法について示せば、例えば、噴霧造粒法、転動造粒法、圧縮造粒法、撹拌造粒法、ブリケッティング法、コンパクティング法、押出造粒法、流動層造粒法、乳化造粒法及び液中造粒法等が挙げられる。特に好ましい造粒法は、上記の内、噴霧造粒法、転動造粒法及び圧縮造粒法である。
上記した層状珪酸塩は、もちろんそのまま用いることもできるが、これらの層状珪酸塩をトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物やAl−O−Al結合を含む有機アルミニウムオキシ化合物と組み合わせて用いることができる。
本発明で好ましく用いられるメタロセン系触媒において、メタロセン化合物(a)を、層状珪酸塩に担持するには、メタロセン化合物(a)と層状珪酸塩を相互に接触させる、あるいはメタロセン化合物(a)、有機アルミニウム化合物、層状珪酸塩を相互に接触させてもよい。
各成分の接触方法は、特に限定されず、例えば、以下の方法が任意に採用可能である。
(VI)メタロセン化合物(a)と有機アルミニウム化合物を接触させた後、層状珪酸塩担体と接触させる。
(VII)メタロセン化合物(a)と層状珪酸塩担体を接触させた後、有機アルミニウム化合物と接触させる。
(VIII)有機アルミニウム化合物と層状珪酸塩担体を接触させた後、メタロセン化合物(A)と接触させる。
これらの接触方法の中で(VI)と(VIII)が好ましい。いずれの接触方法においても、通常は窒素又はアルゴンなどの不活性雰囲気中、一般にベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素(通常炭素数は6〜12)、ヘプタン、ヘキサン、デカン、ドデカン、シクロヘキサンなどの脂肪族あるいは脂環族炭化水素(通常炭素数5〜12)等の液状不活性炭化水素の存在下、撹拌下又は非撹拌下に各成分を接触させる方法が採用される。
メタロセン化合物(a)と、有機アルミニウム化合物、層状珪酸塩担体の使用割合は、特に限定されないが、以下の範囲が好ましい。
メタロセン化合物(a)の担持量は、層状珪酸塩担体1gあたり、0.0001〜5ミリモル、好ましくは0.001〜0.5ミリモル、さらに好ましくは0.01〜0.1ミリモルである。
また、有機アルミニウム化合物を用いる場合のAl担持量は、0.01〜100モル、好ましくは0.1〜50モル、さらに好ましくは0.2〜10モルの範囲であることが望ましい。
担持及び溶媒除去の方法は、前記の無機物担体と同様の条件が使用できる。
触媒成分(b)と成分(c)とを兼ねる成分として、層状珪酸塩を用いると、重合活性が高く、長鎖分岐を有するエチレン系重合体の生産性が向上する。
こうして得られるオレフィン重合用触媒は、必要に応じてモノマーの予備重合を行った後に使用しても差し支えない。
また、重合系中に、水分除去を目的とした成分、いわゆるスカベンジャーを加えても何ら支障なく実施することができる。
なお、かかるスカベンジャーとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物、前記有機アルミニウムオキシ化合物、分岐アルキルを含有する変性有機アルミニウム化合物、ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛などの有機亜鉛化合物、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、エチルブチルマグネシウムなどの有機マグネシウム化合物、エチルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムクロリドなどのグリニヤ化合物などが使用される。これらのなかでは、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、エチルブチルマグネシウムが好ましく、トリエチルアルミニウムが特に好ましい。
水素濃度、モノマー量、重合圧力、重合温度等の重合条件が互いに異なる2段階以上の多段階重合方式にも、支障なく適用することができる。
3.オレフィン重合体の製造方法
本発明のオレフィン重合体の製造方法は、無機酸化物粒子(B)を金属化合物(C)で処理して得られる微粒子成分(D)を、オレフィン重合触媒(A)と共存させることを特徴とするものであるが、微粒子成分(D)を、オレフィン重合触媒(A)と共存させる際の添加量は、オレフィン重合触媒(A)1gに対する一般式(1)のMのミリモル量が、0.05〜5.0mmol/gの範囲となるように共存させることが必要である。より好ましくは0.10〜2.0mmolの範囲であり、さらに好ましくは0.20〜1.0mmolの範囲である。0.05mmolより少ないと、微粒子成分(D)添加の効果が見られずファウリングを防止することができないおそれがあるので好ましくない。一方、5.0mmolより多いと、触媒の重合活性が低下するおそれがあるので好ましくない。
なお、微粒子成分(D)を、オレフィン重合触媒(A)と共存させる際の添加量を調整する方法としては、上記にて説明したように、無機酸化物粒子(B)と金属化合物(C)をそれぞれ特定量で処理した場合、用いられた金属化合物(C)がほぼすべて無機酸化物粒子(B)の表面と反応するか吸着すると考えられるため、無機酸化物粒子(B)の処理に用いた金属化合物(C)の量から、オレフィン重合触媒(A)1gに対する一般式(1)のMのミリモル量を特定の範囲に調整することができる。
本発明の重合形式としては、オレフィン重合体を製造する際に通常用いられる形式を採用することができ、懸濁重合(スラリー重合)法あるいは気相重合法いずれにおいても実施できる。懸濁重合法においては、懸濁重合の媒体として不活性炭化水素媒体を用いることができ、さらにオレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
溶媒としては、一般に使用される非極性の炭化水素類、例えば、イソブタン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等から選ばれる。これら溶媒は、単独あるいは混合物で使用される。
本発明において使用されるオレフィン原料は、少なくとも1つの重合性二重結合を有する不飽和脂肪族炭化水素であって、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチルペンテン−1、1,3−ブタジエン、1−ヘキセン、1−オクテン等が挙げられる。これらオレフィンは、単独あるいは混合物で使用される。
本発明の技術は、オレフィン重合触媒(A)の存在下に溶媒中で不均一重合させることにより重合体を製造する重合方法に対して特に有効である。溶媒中でおこなう不均一重合とは、具体的には、懸濁重合及びバルク重合が挙げられる。重合温度としては、0℃〜生成ポリマーの融点未満の温度、好ましくは30℃〜生成ポリマーの融点未満の範囲から選択することができる。重合圧力は、大気圧〜約10MPaの範囲から選択することができる。実質的に酸素、水等を断った状態で、上記した不活性炭化水素溶媒の存在下、又はプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等から選ばれるα―オレフィンの存在下でα−オレフィンの懸濁重合又はバルク重合を行うことが出来る。
本発明の微粒子成分(D)は、オレフィン重合触媒(A)と共存させるオレフィン重合体の製造方法により、オレフィンのスラリー重合の際に発生するファウリングを、触媒活性への影響を少なくして防止することができる。すなわち、本発明の微粒子成分(D)は、オレフィン重合触媒(A)と共存させることにより、微粒子成分(D)がファウリング防止成分として作用するものと考えられる。作用機構としては、オレフィン重合触媒が帯電し反応器等へ静電付着することを防止する効果と、オレフィン重合触媒の粒子から溶媒等により抽出された重合活性種を失活させる効果が考えられる。
従って、本発明により、反応器を安定に運転することが出来ると同時に、ファウリング発生のためスラリー濃度をあまり大きくとれなかったものが、ファウリングの解消の結果、スラリー濃度を上げることが出来るようになり、同一反応器での生産量を増大させることが出来る。
本発明の微粒子成分(D)をオレフィン重合触媒(A)と共存させる方法としては、重合時に別々に添加して共存させる方法、あらかじめ接触させてから重合系に添加する方法のどちらも可能である。また、微粒子成分(D)とオレフィン重合触媒(A)をスラリー状態で接触した後、一旦乾燥したものを使用することも出来る。微粒子成分(D)とオレフィン重合触媒(A)を効率よく均一に接触させるという観点から、重合で用いることが出来る溶媒で分散させた状態で接触させることが好ましい。
以下に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、これらの実施例に制約されるものではない。
なお、実施例で用いた測定方法は、以下の通りである。触媒合成工程および重合工程は全て精製窒素雰囲気下で行い、使用した溶媒は脱水および窒素バブリングによる脱酸素を行ったものを用いた。各種の無機酸化物粒子は、減圧下、200℃に加熱して乾燥したものを用いた。
[各種測定法]
(1)平均粒径の測定:
(i)無機酸化物粒子:
対象となる無機酸化物微粒子を、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察し、1粒の粒子が識別できる画像を得た。得られた画像から、粒子の水平方向と垂直方向の長さの平均を1粒の粒子の粒径とした。水平方向および垂直方向は一定とし、任意に選択した50粒の粒子について粒径を求め、その平均値を平均粒径とした。
(ii)オレフィン重合用固体触媒:
無機酸化物及び固体粒子の平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置(HORIBA社製、LA−920)を用いて測定した。平均粒径の値は、この測定により得られるメジアン径(中央累積値、50%粒径)を平均粒径とした。
(2)ポリマー嵩密度:
ASTM D1895−69に準拠した、ポリマーの嵩密度を示す。
(3)ポリマー凝集:
ポリマー凝集の判定は、以下のような判断を目視で行った。
なし :重合後のポリマー粒子間の凝集が実質的に無視できるレベル。
ゆるく凝集:ポリマー粒子間の凝集はあるが、粉体として扱えるレベル。
凝集あり :ポリマーが凝集し、粒子として扱うのが困難なレベル。
ひどく凝集:実質的にポリマー粒子が得られないレベル。
[実施例1]
1−(a) メタロセン錯体の合成
特表2002−535339号公報の実施例3に開示されている方法に従って、メタロセン錯体として、ジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−フリル)−4,5−ジメチル−シクロペンタジエニル]}ジルコニウムジクロリド(FTZ)を合成した。
1−(b) 固体触媒の調製
トルエン17mlにメチルアルモキサンのトルエン溶液(Albemarle社製、Al濃度 2.93mol/L)8.5ml(25mmol)と、1−(a)で合成したジメチルシリレンビス{1,1’−[2−(2−フリル)−4,5−ジメチル−シクロペンタジエニル]}ジルコニウムジクロリド(FTZ)67mgを添加し、遮光下、室温で30分間撹拌して触媒成分溶液を得た。
次いで、600℃、8時間焼成したSiO(GRACE社製、Sylopol2212、平均粒径12μm)5.0gに窒素雰囲気下で上記触媒成分溶液を添加し、40℃、1時間撹拌した。その後、40℃を維持して真空乾燥を行い固体触媒を得た。得られた固体触媒をヘキサンで希釈してスラリー(10mg触媒/mlヘキサン)化し、重合評価に用いた。
1−(c) 成分(D)の調製:成分(B)の成分(C)(有機金属)による処理
撹拌子を入れたフラスコに、窒素雰囲気下で成分(B)(日本アエロジル社製の表面にOH基を有する親水性シリカ、RA200H)を100mg分取した。ヘキサン20mlを添加し、成分(B)を十分分散させた後、n−ブチルリチウム/ヘキサン溶液(1.0mol/L)を0.1ml添加し、1時間撹拌した。得られた成分(D)のヘキサンスラリー(5mg/ml)を重合評価に用いた。
1−(d) エチレン重合
内容積2リッターの誘導攪拌式ステンレス製オートクレーブ内を精製窒素で置換し、精製ヘキサン(1000mL)をオートクレーブ内に導入した。トリイソブチルアルミニウム(「TIBA」と略す)のヘキサン溶液(0.1mmol/ml)を1ml、1−ヘキセンを5ml、および1−(c)で得られた成分(D)を1ml添加した後、80℃まで昇温した。エチレンで0.7MPaまで昇圧した後、実施例1−(a)で得られた担持触媒のヘキサンスラリーを3.0ml(30mg触媒)の担持触媒スラリーを圧入することで重合を開始した。
1時間後、エタノールを圧入することで重合反応を停止し、ポリマーをろ過により回収した。得られたポリマーは95.7g(重合活性3190gPE/g触媒)、かさ密度は0.35g/ccであった。ポリマーを回収するとき、ポリマーの凝集は見られなかった。
[実施例2〜9、参考例10、実施例11、参考例12]
実施例1に記載の操作に対して、表1に記載の成分を用いることにより触媒合成、重合評価を行った。重合結果も表1に記載した。
表中に記載された無機酸化物粒子は、以下のものを使用した。
AluC:日本アエロジル社製の表面にOH基を有する親水性アルミナ。
P25:日本アエロジル社製の表面にOH基を有する親水性チタニア。
T−805:日本アエロジル社製の表面をオクチルシリル基で化学的に修飾した疎水性チタニア。
R−812:日本アエロジル社製の表面をトリメチルシリル基で化学的に修飾した疎水性シリカ。
[比較例1〜8]
実施例1に記載の操作に対して、表1に記載の成分を用いることにより触媒合成、重合評価を行った。重合結果も表1に記載した。
なお、比較例3において、金属化合物(C)として、トリイソブチルアルミニウム(iBuAl)を使用した。
[評価]
表1から明らかなように、実施例1〜2と比較例1〜2及び比較例8、実施例3と比較例4、実施例4と比較例5、実施例5と比較例6、実施例6と比較例7を対比すると、微粒子成分(D)の添加量の要件を満たさない場合は、ポリマーの凝集が防止できないか、著しく重合活性が低下することがわかる。
比較例3では、周期表第1族又は第2族以外の金属化合物を用いた場合は、周期表第1族又は第2族以外の金属化合物を用いれば十分効果が出る微粒子成分(D)の添加量であってもポリマーの凝集が防止できないことがわかる。
これらの比較例に対し、本発明の「オレフィン重合触媒(A)の存在下でオレフィン重合体を製造する際に、Mとして水素を除く周期表第1族又は第2族の元素を含有する特定の金属化合物(C)で処理して得られる微粒子成分(D)を、オレフィン重合触媒(A)1gに対する一般式(1)のMのミリモル量が0.05〜5.0mmol/gの範囲となるように、オレフィン重合触媒(A)と共存させる」との要件を満たす実施例によるものは、いずれも、ポリマー凝集によるファウリングが抑えられ、ポリマー嵩密度による粉体性状が良好であり、重合活性が低下しないことがわかった。
以上から、本発明は、良好な粒子性状のオレフィン重合体の粒子を得ることができる上に、少ない添加量でも十分にファウリングが防止でき、重合活性に与える影響が少ないファウリング防止成分を用いたオレフィン重合体の製造方法であることが実証できた。
本発明のオレフィン重合体の製造方法によれば、良好な粒子性状のオレフィン重合体の粒子を得ることができる上に、ファウリング防止成分について、少ない添加量でも十分にファウリングが防止でき、重合活性に与える影響が少ない、オレフィン重合体の製造方法であるため、高生産効率で安定したオレフィン重合体の製造が可能となる。
また、オレフィンのスラリー重合の際に発生するファウリングを、触媒活性への影響を少なくして防止することができるため、反応器を安定に運転することが出来ると同時に、ファウリング発生のためスラリー濃度をあまり大きくとれなかったものが、ファウリングの解消の結果、スラリー濃度を上げることが出来るようになり、同一反応器での生産量を増大させることが出来る。
したがって、ファウリング防止成分について、少ない添加量でも十分にファウリングが防止でき、重合活性への影響も抑制できるため、高生産効率で安定したオレフィン重合体の製造が可能となり、オレフィンの重合分野での利用可能性が極めて高い。

Claims (6)

  1. オレフィン重合触媒(A)の存在下でオレフィン重合体を製造する方法において、平均粒径が1.0〜1000nmの無機酸化物粒子(B)を下記一般式(1)で表される金属化合物(C)で処理して得られる微粒子成分(D)を、オレフィン重合触媒(A)1gに対する一般式(1)のMのミリモル量が、0.05〜5.0mmol/gの範囲となるように共存させることを特徴とするオレフィン重合体の製造方法。
    M(R(XR P−1m−n (1)
    (一般式(1)中、Mは、リチウム又はナトリウムを表す。Rは、水素原子、炭化水素基又はハロゲン原子を表し、nはであり、Xは珪素原子、窒素原子、リン原子、酸素原子又は硫黄原子を表し、RはXと結合した水素原子又は炭化水素基であり、PはXの価数であり、mはMの価数である。複数存在するR,Rは同一であっても異なっていても良い。)
  2. 一般式(1)において、m−nが0であり、Rが水素原子又は炭化水素基であることを特徴とする請求項1に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  3. オレフィン重合触媒(A)は、重合活性種が周期表第4族〜第6族の元素から選ばれる原子から形成されるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  4. オレフィン重合触媒(A)は、メタロセン触媒であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  5. オレフィン重合触媒(A)は、担体に担持されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
  6. 溶媒を用いた懸濁重合を行なうことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のオレフィン重合体の製造方法。
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