JP2004027200A - オレフィン重合用触媒及び該触媒を用いるオレフィンの重合方法 - Google Patents

オレフィン重合用触媒及び該触媒を用いるオレフィンの重合方法 Download PDF

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Takashi Nozaki
野崎 貴司
Katsufusa Watanabe
渡辺 勝房
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  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Abstract

【課題】高い重合活性を有し、粉体性状に優れたオレフィン系ポリマーを、懸濁重合や気相重合によって、重合器の内壁、攪拌羽根等に付着させることなく製造でき、従って、粉体性状に優れたオレフィン系ポリマーを効率的に製造することを可能にするオレフィン重合用触媒を提供する。
【解決手段】[A]実質的に水酸基を有しない固体成分と、[B]周期表第3〜11族から選ばれる可溶性遷移金属化合物(B−1)と一般式(Mt)α(Mg)β(R (R (OR〔式中、Mtは周期律表第1〜3族に属する金属原子であり、R、R 及びRは炭素数2〜20の炭化水素基である。〕で示される炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物(B−2)との混合物と、[C]遷移金属化合物(B−1)と反応して触媒活性を有する金属錯体を形成することが可能である活性化剤化合物、及び[D] 有機アルミニウム化合物とから形成されていることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、オレフィン重合用固体触媒およびこの触媒を用いたオレフィンの重合方法に関する。詳細にはオレフィンの懸濁重合(スラリー重合)や気相重合に適用することができ、非常に高い生産効率をもって、粉体性状に優れた重合体を製造することができるオレフィン重合用触媒、特にエチレン重合用触媒を提供するものであり、またそれを用いたエチレンの重合方法を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からオレフィンの重合体または共重合体を製造する為の触媒として、チタン化合物と有機アルミニウム化合物とからなる所謂チーグラー・ナッタ型触媒が知られている。一方、近年エチレンの単独重合またはエチレンと他のα−オレフィンとの共重合に際し、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド等の可溶性のハロゲン含有遷移金属化合物と有機アルミニウムオキシ化合物の1種であるアルミノキサンとからなる触媒を用いることにより高活性で重合する技術が見出された。該技術の詳細は特公平4−12283号公報(DE3127133.2に対応)に記載されている。
【0003】
一方、有機アルミニウムオキシ化合物以外の活性化剤を使用する触媒系として、Taube らはJ.Organometall.Chem.,347.C9(1988) に[Cp TiMe(THF)] [BPh ] (Cp:シクロペンタジエニル基、Me:メチル基、Ph:フェニル基、THF:テトラヒドロフラン)で表わされる化合物を用いてエチレンの重合を行っている。Jordanらは、J.Am.Chm.Soc.,109.4111(1987)で[Cp ZrR(L)] (R:メチル基またはベンジル基、L:ルイス塩基)で示されるジルコニウム錯体がエチレンを重合することを報告している。
【0004】
また特表平1−501950号公報、特表平1−502036号公報にはシクロペンタジエニル金属化合物およびシクロペンタジエニル金属カチオンを安定化することのできるイオン性化合物とからなる触媒を用いてオレフィンを重合する方法が開示されている。
またこの他に有機アルミニウム化合物と粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物などを活性化剤として用いる触媒系が、特開平5−301917公報、特開平6−136047号公報、特開平9−59310号公報、特開平11−269222号公報などに開示されている。
【0005】
しかし、これら従来技術に於て提案された触媒系においては、反応系に可溶であることが多く、これを反映して、スラリー重合あるいは気相重合で得られるオレフィン重合体は、粒子形状が不定形で嵩密度が小さく、微粉が多い等粒子性状の極めて悪いものであり、重合体が反応器の壁面や撹拌羽根等に付着し、工業的にはこのままでは使用できないという問題があった。そのため、その製造プロセスは溶液重合法に限定されるのが通常であるが、溶液重合法では高分子量の重合体を製造しようとすると重合体を含む溶液の粘度が著しく高くなり生産性が大幅に低下するという問題があり、コスト的に好ましい方法とは言えず、工業的な応用に大きな問題がある。
【0006】
上記問題を解決する為、上記のような触媒系を用いてエチレン重合体を製造する際に、該固体触媒成分にエチレンを予備重合させておくという試みがなされている。例えば、特開平9−194520号公報には周期律表4〜6族の遷移金属化合物、前記遷移金属化合物またはその派生物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物及び有機アルミニウム化合物からなる触媒系でオレフィンの予備重合を行い、得られた粒状の予備重合触媒を用いてオレフィンを主体とする本重合を行う方法が記載されている。特開平9−272713号公報には微粒子状担体と、周期表第8〜10族の遷移金属化合物と、有機金属化合物とからなる触媒成分にオレフィンを予備重合してなるオレフィン重合用触媒が記載されている。
これらの方法は、予備重合を行なうことによりポリマー粉体性状の改善や、重合活性の改善等が期待されるものであったが、実際の重合反応の場では粒子の破砕や微粉の生成等も見られ、また活性という点でも未だ十分ではなかった。
【0000】
【特許文献1】
特公平4−12283号公報
【非特許文献1】
Taube, J.Organometall.Chem.,347.C9(1988)
【非特許文献2】
Jordan, J.Am.Chm.Soc.,109.4111(1987)
【特許文献2】
特表平1−501950号公報
【特許文献3】
特表平1−502036号公報
【特許文献4】
特開平5−301917公報
【特許文献5】
特開平6−136047号公報
【特許文献6】
特開平9−59310号公報
【特許文献7】
特開平11−269222号公報
【特許文献8】
特開平9−194520号公報
【特許文献9】
特開平9−272713号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、活性が高く、粉体性状に優れた重合体を反応器への付着等を生ずることなく重合できる触媒の開発が望まれており、本発明は、そのような新規なオレフィン重合用触媒およびそれを用いるオレフィンの重合方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、このような現状に鑑み、重合中の反応器への付着等の現象が発生せず且つ粉体性状の極めて優れた重合体粉末を、高い活性で、効果的、効率的に製造できる新規な触媒系を得る方法を見出すべく鋭意検討して、本発明に到達した。即ち、本発明は1)[A]実質的に水酸基を有しない固体成分と[B]周期表第3〜11族から選ばれる可溶性遷移金属化合物(B−1)と炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物(B−2)との混合物、[C]遷移金属化合物(B−1)と反応して触媒活性を有する金属錯体を形成することが可能である活性化剤化合物と、[D]有機アルミニウム化合物とから形成されているオレフィン重合用固体触媒を特徴とするオレフィン重合用触媒。
2)(B−2)/(B−1)のモル比が0.005〜5であることを特徴とする1)に記載のオレフィン重合用触媒。
3)周期表第3〜11族から選ばれる可溶性遷移金属化合物(B−1)が下記の式(1)で表されることを特徴とする、1)から2)のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒。
MXX’                  (1)
【0009】
(式中、Lは、各々独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、及びオクタヒドロフルオレニル基からなる群より選ばれるη結合性環状アニオン配位子を表し、該配位子は場合によっては1〜8個の置換基を有し、該置換基は各々独立して炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のハロゲン置換炭化水素基、炭素数1〜12のアミノヒドロカルビル基、炭素数1〜12のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜12のジヒドロカルビルアミノ基、炭素数1〜12のヒドロカルビルフォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、炭素数1〜12のヒドロカルビルオキシシリル基及びハロシリル基からなる群より選ばれる、20個までの非水素原子を有する置換基であり、
【0010】
Mは、形式酸化数が+2、+3または+4の周期表第4族に属する遷移金属群から選ばれる遷移金属であって、少なくとも1つの配位子Lにη結合している遷移金属を表し、
Wは、50個までの非水素原子を有する2価の置換基であって、LとMとに各々1価ずつの価数で結合し、これによりL及びMと共働してメタロサイクルを形成する2価の置換基を表し、
【0011】
Xは、各々独立して、1価のアニオン性σ結合型配位子、Mと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子、及びLとMとに各々1価ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子からなる群より選ばれる、60個までの非水素原子を有するアニオン性σ結合型配位子を表し、
X′は、各々独立して、40個までの非水素原子を有する中性ルイス塩基配位性化合物を表し、
【0012】
jは1または2であり、但し、jが2である時、場合によっては2つの配位子Lが、20個までの非水素原子を有する2価の基を介して互いに結合し、該2価の基は炭素数1〜20のヒドロカルバジイル基、炭素数1〜12のハロヒドロカルバジイル基、炭素数1〜12のヒドロカルビレンオキシ基、炭素数1〜12のヒドロカルビレンアミノ基、シランジイル基、ハロシランジイル基及びシリレンアミノ基からなる群より選ばれる基であり、
kは0または1であり、
【0013】
pは0、1または2であり、但し、Xが1価のアニオン性σ結合型配位子、またはLとMとに結合している2価のアニオン性σ結合型配位子である場合、pはMの形式酸化数より1以上小さい整数であり、またXがMにのみ結合している2価のアニオン性σ結合型配位子である場合、pはMの形式酸化数より(j+1)以上小さい整数であり、qは0、1または2である)。
4)可溶性遷移金属化合物[B]と反応して触媒活性を有する金属錯体を形成することが可能である活性化剤化合物[C]が下記の式(2)で表されることを特徴とする、1)〜3)のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒。
【0014】
[L−H]d+[Md−    (2)
(式中、[L−H]d+はプロトン供与性のブレンステッド酸を表し、但し、Lは中性のルイス塩基を表し、dは1〜7の整数であり;[Md−は両立性の非配位性アニオンを表し、但し、Mは、周期表第5族〜第15族のいずれかに属する金属またはメタロイドを表し、Qは、各々独立して、ヒドリド、ハライド、炭素数2〜20のジヒドロカルビルアミド基、炭素数1〜30のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜30の炭化水素基、及び炭素数1〜40の置換された炭化水素基からなる群より選ばれ、但し、ハライドであるQの数は1以下であり、mは1〜7の整数であり、pは2〜14の整数であり、dは上で定義した通りであり、p−m=dである。]
5)1)ないし4)のいずれかに記載のオレフィン重合用固体触媒の存在下で、オレフィンを重合または共重合させることを特徴とするオレフィンの重合方法。
【0015】
本発明の1つの態様に依れば、実質的に水酸基を有しない固体成分[A]、周期表第3〜11族から選ばれる可溶性遷移金属化合物(B−1)と炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物(B−2)との混合物[B]、遷移金属化合物(B−1)と反応して触媒活性を有する金属錯体を形成することが可能である活性化剤化合物[C]と、有機アルミニウム化合物[D]とから形成されていることを特徴とするオレフィン重合用触媒が提供される。
このようなオレフィン重合用触媒は、活性が高くかつ、流動性、充填密度等の粉体性状に優れた重合体が得られることから、反応器内攪拌などを効率よく行うことができ、重合熱を効果的に除去することが可能であり、生産性の向上が期待できる。
【0016】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において用いられる実質的に水酸基を有しない固体成分[A]は、固体材料[以下、「成分[A]の前駆体」という]を、成分[A]の前駆体の表面から水酸基を除去するための処理に付すことによって、得ることができる。
【0017】
成分[A]の前駆体の例としては、多孔質高分子材料(但し、マトリックスはたとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体の部分あるいは完全鹸化物等のポリオレフィンやその変性物、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂などの熱硬化性樹脂等を含む)、周期表第2〜4、13または14族に属する元素の無機固体酸化物(たとえば、シリカ、アルミナ、マグネシア、塩化マグネシウム、ジルコニア、チタニア、酸化硼素、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化バリウム、五酸化バナジウム、酸化クロム、酸化トリウム、またはこれらの混合物もしくはこれらの複合酸化物)等が挙げられる。シリカを含有する複合酸化物の例としては、シリカ−マグネシア、シリカ−アルミナ等の、シリカと周期表第2族または第13族に属する元素から選ばれる元素の酸化物との複合酸化物が挙げられる。本発明においては、成分[A]の前駆体は、シリカ,アルミナ、及びシリカと周期表第2族または第13族に属する元素から選ばれる元素の酸化物との複合酸化物から選ばれることが好ましい。これらの無機固体酸化物の中で、シリカが特に好ましい。
【0018】
成分[A]の前駆体として用いられるシリカ生成物の形状に関しては特に制限はなく、シリカは、顆粒状、球状、凝集状、ヒューム状など、いかなる形状であってもよい。市販のシリカ生成物の好ましい例としては、SD3216.30、SP−9−10046、デビソンサイロイドTM(Syloid TM)245、デビソン948またはデビソン952[以上全て、グレースデビソン社(W.R.デビソン社(米国)の支社)製]、アエロジル812[デグザAG社(ドイツ)製造]、ES70X[クロスフィールド社(米国)製]、P−6及びP−10[富士シリシア社(日本国)製]等が挙げられる。
【0019】
本発明において用いられる成分[A]の、B.E.T.(Brunauer−Emmett−Teller)による窒素ガス吸着法で求められる比表面積は、好ましくは10〜1,000m/gであり、より好ましくは100〜600m/gである。このような高い比表面積を有する成分[A]の代表例の一つは、多くの細孔を有する多孔質材料を含む成分である。
本発明において、窒素ガス吸着法で求められる成分[A]の細孔容積は、通常5cm/g以下が好ましく、より好ましくは0.1〜3cm/gであり、さらに好ましくは0.2〜2cm/gである。
【0020】
本発明において用いられる成分[A]の平均粒径に関しては、特に制限はない。成分[A]の平均粒径は、通常0.5〜500μmが好ましく、より好ましくは1〜200μmであり、さらに好ましくは1〜100μmである。
本発明において、実質的に水酸基を有しない成分[A]は、成分[A]の前駆体を化学処理して成分[A]の前駆体の表面から水酸基を除去することによって得ることができる。
【0021】
本発明において、「固体成分が実質的に水酸基を有しない」とは、次に述べる方法(i)や方法(ii)による測定では固体成分(成分[A])の表面に水酸基が検出されないことを意味する。
方法(i)においては、成分[A]を溶媒中に分散させることによって得られるスラリーに所定の過剰量のジアルキルマグネシウムを添加して、成分[A]の表面水酸基をジアルキルマグネシウムと反応させ、次いで、成分[A]の表面水酸基と反応したジアルキルマグネシウムの量を求めるために、溶媒中に未反応のままで残っているジアルキルマグネシウムの量を公知の方法で測定してから、反応したジアルキルマグネシウムの量に基づいて成分[A]の表面水酸基の初期量を求める。この方法は、下記の反応式で表される、水酸基とジアルキルマグネシウムとの反応に基づくものである:
S−OH +MgR → S−OMgR + RH
(式中、Sは固体材料(成分[A])を表し、Rはアルキル基を表す)。
【0022】
方法(i)より好ましい方法(ii)においては、ジアルキルマグネシウムの代わりにエトキシジエチルアルミニウムを用いる。具体的に言えば、方法(ii)では、エトキシジエチルアルミニウムを成分[A]の表面水酸基と反応させてエタンガスを発生させ、発生したエタンガスの量をガスビュレットを用いて測定してから、発生したエタンガスの量に基づいて成分[A]の表面水酸基の初期量を求める。
【0023】
さらに、本発明においては、成分[A]の前駆体を加熱処理して水(結晶水、吸着水等)を除去することが好ましい。成分[A]の前駆体の加熱処理は、たとえば、不活性雰囲気下または還元雰囲気下に、好ましくは150℃〜1,000℃、より好ましくは250℃〜800℃の温度で、1時間〜50時間の処理によって行うことができる。
本発明においては、加熱処理して脱水した後に、成分[A]の前駆体をさらに化学処理して成分[A]の前駆体の表面から全部水酸基を除去し、成分[A]を得ることが、さらに好ましい。
【0024】
成分[A]の前駆体から水酸基の全部を除去するための化学処理に関しては、成分[A]の前駆体を有機金属化合物と接触させるという化学処理を行うことが推奨される。この化学処理に用いられる有機金属化合物の例としては、周期表第2族〜第13族に属する元素の化合物等が挙げられる。これらの化合物の中で特に好ましいのは、有機アルミニウムまたは有機マグネシウムである。
成分[A]の前駆体の化学処理に用いられる好ましい有機アルミニウム化合物の例として、下記の式(3)で表される化合物が挙げられる:
AlR3−n               (3)
(式中、Rは、各々独立して、炭素数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を表し、
Xは、各々独立して、ハライド、ヒドリドまたは炭素数1〜10のアルコキシド基を表し、
nは1、2または3である)。
【0025】
上記式(3)で表される化合物は、単独で使用してもよいし組み合わせて使用してもよい。
式(3)中の基Rの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、トリル基等が挙げられる。式(3)中の基Xとしては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、水素原子、塩素原子等が挙げられる。
【0026】
成分[A]の前駆体の化学処理に用いられる有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム化合物、及びこれらのトリアルキルアルミニウム化合物とアルコール(たとえば、メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール)との反応生成物が挙げられる。
【0027】
そのような反応生成物の例としては、メトキシジメチルアルミニウム、エトキシジエチルアルミニウム、ブトキシジブチルアルミニウム等が挙げられる。このような反応生成物を製造する場合、トリアルキルアルミニウムのアルコールに対する比は、Al/OHのモル比で、0.3〜20の範囲にあることが好ましく、0.5〜5の範囲にあることがより好ましく、0.8〜3の範囲にあることがさらに好ましい。
【0028】
またこの他に成分[C]の例として後述する有機アルミニウムオキシ化合物も、成分[A]の前駆体の化学処理に用いることができる。
成分[A]の前駆体の化学処理に用いられる好ましい有機マグネシウム化合物の例として、下記の式(4)で表される化合物が挙げられる。
MgR2−n               (4)
(式中、Rは、各々独立して、炭素数1〜12の直鎖状,分岐状もしくは環状のアルキル基または炭素数6〜20のアリール基を表し、
Xは、各々独立して、ハライド、ヒドリドまたは炭素数1〜10のアルコキシド基を表し、
nは1または2である)。
【0029】
上記式(4)で表される化合物は、単独で使用してもよいし組み合わせて使用してもよい。
式(4)中の基Rの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基、トリル基等が挙げられる。式(4)中の基Xの例としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、水素原子、塩素原子等が挙げられる。
【0030】
成分[A]の前駆体の化学処理に用いられる有機マグネシウム化合物の具体例としては、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウム、ブチルオクチルマグネシウム等が挙げられる。
成分[A]の前駆体を化学処理する場合、上述の有機アルミニウム化合物または有機マグネシウム化合物は、これらを混合した状態で使用してもよい。
成分[A]の前駆体を化学処理して成分[A]を得る場合は、有機金属化合物は、成分[A]の前駆体の表面に存在する水酸基のモル量と同じまたはそれより多い量が用いられる。化学処理に用いられる有機金属化合物の上限は、通常は成分[A]の前駆体の表面に存在する水酸基のモル量の10倍量が好ましく、より好ましくは5倍量、さらに好ましくは2倍量、特に好ましくは1.5倍量、最も好ましくは1.3倍量である。
【0031】
また、本発明において、成分[A]は実質的に水酸基を有しないシリカであることが特に好ましい。該シリカは、好ましくは150℃以上、より好ましくは250℃以上の温度でシリカを加熱することにより、表面水酸基の量が好ましくはシリカ1g当たり0.05〜10mmolに前処理されたシリカを有機金属化合物で処理するという方法によって得られるものが好ましい。シリカ[成分[A]の前駆体]の処理のための有機金属化合物としては、有機アルミニウム化合物を使用することが好ましく、前記式(3)の有機アルミニウム化合物を使用することが特に好ましい。有機アルミニウム化合物の使用量は、前処理されたシリカの表面水酸基のモル量の1〜10倍が好ましい。
【0032】
上記の前処理されたシリカの表面水酸基は、前処理されたシリカ1g当たり0.1〜5mmolであることがより好ましく、0.5〜3mmolであることが最も好ましい。
次に本発明において用いられる周期表第3〜11族から選ばれる可溶性遷移金属化合物(B−1)について説明する。
本発明において用いられる成分(B−1)の例としては、まず下記の式(1)で表される化合物を挙げることができる。
MXX’                  (1)
【0033】
(式中、Lは、各々独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、及びオクタヒドロフルオレニル基からなる群より選ばれるη結合性環状アニオン配位子を表し、該配位子は場合によっては1〜8個の置換基を有し、該置換基は各々独立して炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のハロゲン置換炭化水素基、炭素数1〜12のアミノヒドロカルビル基、炭素数1〜12のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜12のジヒドロカルビルアミノ基、炭素数1〜12のヒドロカルビルフォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、炭素数1〜12のヒドロカルビルオキシシリル基及びハロシリル基からなる群より選ばれる、20個までの非水素原子を有する置換基であり、
【0034】
Mは、形式酸化数が+2、+3または+4の周期表第4族に属する遷移金属群から選ばれる遷移金属であって、少なくとも1つの配位子Lにη結合している遷移金属を表し、
Wは、50個までの非水素原子を有する2価の置換基であって、LとMとに各々1価ずつの価数で結合し、これによりL及びMと共働してメタロサイクルを形成する2価の置換基を表し、
【0035】
Xは、各々独立して、1価のアニオン性σ結合型配位子、Mと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子、及びLとMとに各々1価ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子からなる群より選ばれる、60個までの非水素原子を有するアニオン性σ結合型配位子を表し、
X′は、各々独立して、40個までの非水素原子を有する中性ルイス塩基配位性化合物を表し、
【0036】
jは1または2であり、但し、jが2である時、場合によっては2つの配位子Lが、20個までの非水素原子を有する2価の基を介して互いに結合し、該2価の基は炭素数1〜20のヒドロカルバジイル基、炭素数1〜12のハロヒドロカルバジイル基、炭素数1〜12のヒドロカルビレンオキシ基、炭素数1〜12のヒドロカルビレンアミノ基、シランジイル基、ハロシランジイル基及びシリレンアミノ基からなる群より選ばれる基であり、
kは0または1であり、
【0037】
pは0、1または2であり、但し、Xが1価のアニオン性σ結合型配位子、またはLとMとに結合している2価のアニオン性σ結合型配位子である場合、pはMの形式酸化数より1以上小さい整数であり、またXがMにのみ結合している2価のアニオン性σ結合型配位子である場合、pはMの形式酸化数より(j+1)以上小さい整数であり、
qは0、1または2である)。
【0038】
上記式(1)の化合物中の配位子Xの例としては、ハライド、炭素数1〜60の炭化水素基、炭素数1〜60のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜60のヒドロカルビルアミド基、炭素数1〜60のヒドロカルビルフォスフィド基、炭素数1〜60のヒドロカルビルスルフィド基、シリル基、これらの複合基等が挙げられる。
上記式(1)の化合物中の中性ルイス塩基配位性化合物X′の例としては、フォスフィン、エーテル、アミン、炭素数2〜40のオレフィン、炭素数1〜40のジエン、これらの化合物から誘導される2価の基等が挙げられる。
本発明において用いられる成分(B−1)の例としては、次に下記の式(5)で表される化合物を挙げることができる。
【0039】
【化1】
Figure 2004027200
【0040】
(式中、R 及びR は、それぞれ独立に炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基又は全炭素数7〜20の環上に炭化水素基を有する芳香族基、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、RとRはたがいに結合して環を形成していてもよく、X及びYは、それぞれ独立にハロゲン原子又は炭素数1〜20の炭化水素基、Mは、ニッケル又はパラジウムを示す。)で表される錯体化合物を挙げることができる。
【0041】
上記一般式(5)において、R 及びRのうちの炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は炭素数3〜20のシクロアルキル基など、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。なお、シクロアルキル基の環上には低級アルキル基などの適当な置換差が導入されていてもよい。
【0042】
また、全炭素数7〜20の環上に炭化水素基を有する芳香族基としては、例えばフェニル基やナフチル基などの芳香族環上に、炭素数1〜10の直鎖状,分岐状又は環状のアルキル基が1個以上導入された基などが挙げられる。このR及びRとしては、環上に炭化水素基を有する芳香族基が好ましく、特に2,6−ジイソプロピルフェニル基が好適である。R及びRは、たがいに同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0043】
また、R及びRのうちの炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜20の直鎖状または分岐状アルキル基,炭素数3〜20のシクロアルキル基、炭素数6〜20のアリール基,炭素数7〜20のアラルキル基などが挙げられる。ここで、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状アルキル基、炭素数3〜20のシクロアルキル基としては、前記R及びRのうちの炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基の説明において例示したものと同じものを挙げることができる。また炭素数6〜20のアリール基としては、例えばフェニル基,トリル基,キシリル基,ナフチル基,メチルナフチル基などが挙げられ、炭素数7〜20のアラルキル基としては、例えばベンジル基やフェネチル基などが挙げられる。
【0044】
このR及びRは、たがいに同一であってもよく、異なっていてもよい。また、たがいに結合して環を形成していてもよい。一方、X及びYのうちのハロゲン原子としては、塩素,臭素またはヨウ素原子などが挙げられ、また、炭素数1〜20の炭化水素基は、上記R及びRにおける炭素数1〜20の炭化水素基について、説明したとおりである。このX及びYとしては、特に臭素原子またはメチル基が好ましい。また、XとYは、たがいに同一であってもよく異なっていてもよい。
本発明において、成分(B−1)としては、前記式(1)(ただし、j=1)で表される遷移金属化合物が好ましい。
前記式(1)(ただし、j=1)で表される化合物の好ましい例としては、下記の式(6)で表される化合物が挙げられる。
【0045】
【化2】
Figure 2004027200
【0046】
(式中、Mは、チタン、ジルコニウム及びハフニウムからなる群より選ばれる遷移金属であって、形式酸化数が+2、+3または+4である遷移金属を表し、
は、各々独立して、水素原子、炭素数1〜8の炭化水素基、シリル基、ゲルミル基、シアノ基、ハロゲン原子及びこれらの複合基からなる群より選ばれる、20個までの非水素原子を有する置換基を表し、但し、該置換基Rが炭素数1〜8の炭化水素基、シリル基またはゲルミル基である時、場合によっては2つの隣接する置換基Rが互いに結合して2価の基を形成し、これにより該2つの隣接する該置換基Rにそれぞれ結合するシクロペンタジエニル環の2つの炭素原子間の結合と共働して環を形成し、
【0047】
X″は、各々独立して、ハライド、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜18のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜18のヒドロカルビルアミノ基、シリル基、炭素数1〜18のヒドロカルビルアミド基、炭素数1〜18のヒドロカルビルフォスフィド基、炭素数1〜18のヒドロカルビルスルフィド基及びこれらの複合基からなる群より選ばれる、20個までの非水素原子を有する置換基を表し、但し、場合によっては2つの置換基X″が共働して炭素数4〜30の中性共役ジエンまたは2価の基を形成し、
【0048】
Y´は、−O−、−S−、−NR−または−PR−を表し、但し、Rは、水素原子、炭素数1〜12の炭化水素基、炭素数1〜8のヒドロカルビルオキシ基、シリル基、炭素数1〜8のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基、またはこれらの複合基を表し、
ZはSiR 、CR 、SiR SiR 、CR CR 、CR=CR、CR SiR またはGeR を表し、但し、Rは上で定義した通りであり、
nは1、2または3である)。
【0049】
本発明において用いられる成分(B−1)の具体例としては、以下に示すような化合物が挙げられる。
ビス(シクロペンタジエニル)メチルジルコニウムハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)エチルジルコニウムハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)フェニルジルコニウムハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ベンジルジルコニウムハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ネオペンチルジルコニウムハイドライド、ビス(メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、
【0050】
(ペンタメチルシクロペンタジエニル)(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジベンジル、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジハイドライド、
ビス(フルオレニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジエチル、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジハイドライド、エチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(5−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、
【0051】
エチレンビス(6−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(7−メチル−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(5−メトキシ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(2,3−ジメチル−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、エチレンビス(4,7−ジメチル−1−インデニル)ジメチルジルコニウム、エチレンビス−(4,7−ジメトキシ−1−インデニル)ジルコニウムジメチル、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジハイドライド、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、
【0052】
イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジハイドライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジハイドライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−フルオレニル)ジルコニウムジメチル、シリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジハイドライド、
シリレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジハイドライド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル、[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル]チタニウムジメチル、[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、
【0053】
[(N−メチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、[(N−フェニルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、[(N−ベンジルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、[(N−t−ブチルアミド)(η−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル]チタニウムジメチル、
【0054】
[(N−t−ブチルアミド)(η−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、[(N−メチルアミド)(η−シクロペンタジエニル)−1,2−エタンジイル]チタニウムジメチル、[(N−メチルアミド)(η−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、[(N−t−ブチルアミド)(η−インデニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル、[(N−ベンジルアミド)(η−インデニル)ジメチルシラン]チタニウムジメチル等。
【0055】
本発明において用いられる成分(B−1)の具体例としては、さらに、成分(B−1)の具体例として上に挙げた各ジルコニウム及びチタン化合物の名称の「ジメチル」の部分(これは、各化合物の名称末尾の部分、すなわち「ジルコニウム」または「チタニウム」という部分の直後に現れているものであり、前記式(6)中のX″の部分に対応する名称である)を、以下に掲げる任意のものに替えてできる名称を持つ化合物も挙げられる。
【0056】
「ジベンジル」、「2−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジル」、「2−ブテン−1,4−ジイル」、「s−トランス−η−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン」、「s−トランス−η−3−メチル−1,3−ペンタジエン」、「s−トランス−η−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン」、「s−トランス−η−2,4−ヘキサジエン」、「s−トランス−η−1,3−ペンタジエン」、「s−トランス−η−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン」、「s−トランス−η−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエン」、
【0057】
「s−シス−η−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン」、「s−シス−η−3−メチル−1,3−ペンタジエン」、「s−シス−η−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン」、「s−シス−η−2,4−ヘキサジエン」、「s−シス−η−1,3−ペンタジエン」、「s−シス−η−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン」、「s−シス−η−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエン」等。
【0058】
本発明において用いられる遷移金属化合物(B−1)は、一般に公知の方法で合成できる。本発明において成分(B−1)として用いられる遷移金属化合物の好ましい合成法の例としては、米国特許第5,491,246号明細書に開示された方法を挙げることができる。
本発明においてこれら遷移金属化合物成分(B−1)は単独で使用してもよいし組み合わせて使用してもよい。
次に本発明において用いられる炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物(B−2)について説明する。
【0059】
本発明に用いられる有機マグネシウム化合物としては、一般式(Mt)α(Mg)β(R (R(OR〔式中、Mt は周期律表第1〜3族に属する金属原子であり、R、R 及びRは炭素数2〜20の炭化水素基であり、α、β、a、b及びcは次の関係を満たす数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、a+b>0、0≦c/(α+β)≦2、rα+2β=a+b+c(ただし、rはMt の原子価)〕で表される。この化合物は、炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウムの錯化合物の形として示されているが、RMgおよびこれらと他の金属化合物との錯体の全てを包含するものである。記号α、β、a、b、cの関係式kα+2β=a+b+cは、金属原子の原子価と置換基との化学量論性を示している。
【0060】
上記式中RないしRで表される炭化水素基は、アルキル基、シクロアルキル基またはアリール基であり、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、、フェニル基、トリル基等が挙げられ、好ましくはRはアルキル基、特に好ましくは、R が一級のアルキル基である。
【0061】
α>0の場合、金属原子Mtとしては、周期律表第1〜3族に属する金属元素が使用でき、たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ベリリウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム等が挙げられるが、特にアルミニウム、ホウ素、ベリリウム、亜鉛が好ましい。
金属原子Mtに対するマグネシウムの比β/αは、任意に設定可能であるが、好ましくは0.1〜30、特に0.5〜10の範囲が好ましい。また、α=0である或る種の有機マグネシウム化合物を用いる場合、例えば、Rがsec−ブチル等は炭化水素溶媒に可溶性であり、このような化合物も本発明に好ましい結果を与える。
【0062】
一般式(Mt)α(Mg)β(R (R (ORにおいて、α=0の場合のR、Rは次に示す三つの群(1)、(2)、(3)のいずれか一つであることが推奨される。
(1)R、R の少なくとも一方が炭素原子数4〜6である二級または三級のアルキル基であること、好ましくはR、Rがともに炭素原子数4〜6であり、少なくとも一方が二級または三級のアルキル基であること。
【0063】
(2)RとRとが炭素原子数の互いに相異なるアルキル基であること、好ましくはR が炭素原子数2または3のアルキル基であり、Rが炭素原子数4以上のアルキル基であること。
(3)R、Rの少なくとも一方が炭素原子数6以上の炭化水素基であること、好ましくはR、Rが共に炭素原子数6以上のアルキル基であること。
以下これらの基を具体的に示す。(1)において炭素原子数4〜6である二級または三級のアルキル基としては、sec−ブチル、tert−ブチル、2−メチルブチル、2−エチルプロピル、2,2−ジメチルプロピル、2−メチルペンチル、2−エチルブチル、2,2−ジメチルブチル、2−メチル−2−エチルプロピル等が用いられ、sec−ブチルは特に好ましい。
【0064】
次に(2)において炭素原子数2または3のアルキル基としてはエチル基、プロピル基が挙げられ、エチル基は特に好ましい。また炭素原子数4以上のアルキル基としては、ブチル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられ、ブチル基、ヘキシル基は特に好ましい。
更に、(3)において炭素原子数6以上のアルキル基としては、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、フェニル基等が挙げられ、アルキル基である方が好ましく、ヘキシル基は特に好ましい。
【0065】
一般にアルキル基の炭素原子数を増やすと炭化水素溶媒に溶けやすくなるが、溶液の粘性が高くなる傾向であり、必要以上に長鎖のアルキル基を用いることは取り扱い上好ましくない。なお、上記有機マグネシウム化合物は炭化水素溶液として用いられるが、該溶液中に微量のエーテル、エステル、アミン等のコンプレックス化剤がわずかに含有されあるいは残存していても差し支えなく用いることができる。
【0066】
次にアルコキシ基(OR)について説明する。Rで表される炭化水素基としては、炭素原子数3〜10のアルキル基またはアリール基が好ましい。
具体的には、たとえば、n−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、アミル、ヘキシル、2−メチルペンチル、2−エチルブチル、2−エチルペンチル、2−エチルヘキシル、2−エチル−4−メチルペンチル、2−プロピルヘプチル、2−エチル−5−メチルオクチル、n−オクチル、n−デシル、フェニル基等が挙げられ、好ましくはn−ブチル、sec−ブチル、2−メチルペンチル及び2−エチルヘキシルである。
【0067】
これらの有機マグネシウム化合物もしくは有機マグネシウム錯体は、一般式RMgX、R Mg(Rは前述の意味であり、Xはハロゲンである)で示される有機マグネシウム化合物と、一般式、MtR またはMtR r−1 H(Mt、R、k、rは前述の意味である)で示される有機金属化合物とを、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の不活性炭化水素媒体中、室温〜150℃の間で反応させ、必要な場合には続いてRで表される炭化水素基を有するアルコールまたは炭化水素溶媒に可溶な上記Rで表される炭化水素基を有するヒドロカルビルオキシマグネシウム化合物、及び/またはヒドロカルビルオキシアルミニウム化合物と反応させる方法により得られる。
【0068】
このうち炭化水素に可溶な有機マグネシウム成分とアルコールとを反応させる場合、反応の順序については、有機マグネシウム成分中にアルコールを加えていく方法、アルコール中に有機マグネシウム成分を加えていく方法、または両者を同時に加えていく方法のいずれの方法も用いることができる。本発明において炭化水素に可溶な有機マグネシウム成分とアルコールとの反応比率については特に制限はないが、反応の結果、得られるアルコキシ基含有有機マグネシウム成分における、全金属原子に対するアルコキシ基のモル組成比c/(α+β)の範囲は0≦c/(α+β)≦2であり、0≦c/(α+β)<1が特に好ましい。
【0069】
本発明において成分[B]は、(B−1)と(B−2)とを混合することによって得られる。
(B−1)と(B−2)とを混合する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば(B−1)に(B−2)を加えていく方法、あるいは成分(B−2)に(B−1)を加えていく方法または両者を同時に加えていく方法のいずれの方法も用いることができる。
【0070】
本発明において(B−2)/(B−1)のモル比は、0.005〜5であり、好ましくは0.01〜2である。
本発明において、成分(B−1)は成分[A]1gに対して好ましくは5×10−6〜10−2モル、より好ましくは10−5〜10−3モルの量で用いられる。
次に本発明において、遷移金属化合物(B−1)と反応して触媒活性を有する金属錯体を形成することが可能である活性化剤化合物[C]について説明する。
【0071】
成分[C]として例えば、有機アルミニウムオキシ化合物が挙げられる。本発明で用いられる好ましい有機アルミニウムオキシ化合物は、例えば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
【0072】
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
なお該有機アルミニウムオキシ化合物は、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記の有機アルミニウムオキシ化合物の溶液から、溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解または有機アルミニウムオキシ化合物の貧溶媒に懸濁させてもよい。
【0073】
有機アルミニウムオキシ化合物を調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリtert−ブチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、
【0074】
トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド、ジエチルアルミニウムハイドライド、
ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド、ジエチルアルミニウムフェノキシドなどのジアルキルアルミニウムアリーロキシドなどが挙げられる。
【0075】
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
このほかに成分[C]として例えば、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物があげられる。この場合、前記した式(3)で表される有機アルミニウム化合物が同時に用いられるのが好ましい。この際、トリアルキルアルミニウムが好ましく用いられる。
【0076】
本発明で用いられる粘土は、通常粘土鉱物を主成分として構成されるのが好ましく、イオン交換性層状化合物は、イオン結合などによって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造をとる化合物であって含有するイオンが交換可能なものが好ましい。また、粘土、粘土鉱物またはイオン交換性層状化合物として、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl 型、CdI 型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物などを例示することができる。これらの粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物としては、天然産のものに限らず、人工合成物を使用することもできる。
【0077】
このような粘土、粘土鉱物として具体的には、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、ウンモ群、モンモリロナイト群、バーミキュライト、リョクデイ石群、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトなどが挙げられ、イオン交換性層状化合物としては、α−Zr(HAsO・HO、α−Zr(HPO、α−Zr(KPO・3HO、α−Ti(HPO、α−Ti(HAsO・HO、α−Sn(HPO・HO、γ−Zr(HPO、γ−Ti(HPO、γ−Ti(NHPO・HOなどの多価金属の結晶性酸性塩などが挙げられる。
【0078】
このような粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、重合活性の観点から、水銀圧入法で測定した半径2nm以上の細孔容積が0.1cm/g以上のものが好ましく、0.3〜5cm/gのものが特に好ましい。ここで、細孔容積の測定は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により細孔半径として2〜3×10nmの範囲で測定される。
【0079】
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物は、化学処理を施すこともできる。化学処理としては、表面に付着している不純物を除去する表面処理と粘土の結晶構造に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。具体的には酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。酸処理は、表面の不純物を取り除くほか、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大させる。アルカリ処理では粘土の結晶構造が破壊され、粘土の構造の変化をもたらす。また、塩類処理、有機物処理では、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体などを形成し、表面積や層間距離を変えることができる。
【0080】
本発明で用いられるイオン交換性層状化合物は、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することにより、層間が拡大した状態の層状化合物を得ることもできる。ここで嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担っており、ピラーと呼ばれる。また、層状物質の層間に別の物質(ゲスト化合物)を導入することをインターカレーションという。
インターカレーションするゲスト化合物としては、TiCl 、ZrClなどの陽イオン性無機化合物;Ti(OR)、Zr(OR)、PO(OR)、B(OR)、(Rは炭化水素基など)などの金属アルコラート;[Al13(OH)24 ]7+、[Zr(OH)142+、[FeO(OCOCHなどの金属水酸化物イオンなどが挙げられる。これらの化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0081】
また、これらの化合物をインターカレーションする際に、Si(OR)、Al(OR)、Ge(OR)(Rは炭化水素基など)などの金属アルコラートなどを加水分解して得た重合物、SiOなどのコロイド状無機化合物などを共存させることもできる。また、ピラーの他の例としては上記水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後に加熱脱水することにより生成する酸化物などが挙げられる。
【0082】
本発明で用いられる粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま用いてもよいし、ボールミルによる粉砕、ふるい分けなどの処理を行った後に用いてもよい。また、新たに水を添加吸着させ、あるいは加熱脱水処理した後用いてもよい。さらに、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で、好ましいものは粘土または粘土鉱物であり、特に好ましいものはモンモリロナイトである。
【0083】
さらに成分[C]として例えば、以下の一般式(7)で定義される化合物が挙げられる。
[L−H]d+[Md−     (7)
但し、式中[L−H]d+はプロトン付与性のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。
また、式中[Md−は相溶性の非配位性アニオンであり、Mは周期律表第5族乃至第15族から選ばれる金属又はメタロイドであり、Qは各々独立にヒドリド、ジアルキルアミド基、ハライド、アルコキサイド基、アリロキサイド基、炭化水素基、炭素数20までの置換炭化水素基であり、またハライドであるQは1個以下である。また、mは1乃至7の整数であり、pは2乃至14の整数であり、dは1乃至7の整数であり、p−m=dである。
【0084】
本発明において、成分[C]の好ましい例としては以下の一般式(8)で表される。
[M(G(T−H) )d−     (8)
但し、Mは周期律表第5族乃至15族から選ばれる金属またはメタロイドである。Qは、一般式(7)に定義の通りであり、Gは硼素及びTと結合するr+1の価数を持つ多価炭化水素基であり、TはO、S、NR、又はPRであり、ここでRはヒドロカルビル、トリヒドロカルビルシリル基、トリヒドロカルビルゲルマニウム基、または水素である。
【0085】
また、mは1〜7の整数であり、nは0〜7の整数であり、qは0又は1の整数であり、rは0〜3の整数であり、zは1〜8の整数であり、dは1〜7の整数であり、n+z−m=dである。本発明の成分[C]の更に好ましい例は、以下の一般式(9)で表される。
[L−H][BQQ’]     (9)
但し、式中[L−H]はプロトン付与性のブレンステッド酸であり、Lは中性ルイス塩基である。また、式中[BQQ’]は相溶性の非配位性アニオンであり、Qはペンタフルオロフェニル基であり、残る1つのQ’は置換基としてOH基を1つ有する炭素数6乃至20の置換アリール基である。
【0086】
本発明の相溶性の非配位性アニオンの具体例としては、例えば、テトラキスフェニルボレート、トリ(p−トリル)(フェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(フェニル)ボレート、トリス(2,4−ジメチルフェニル)(ヒドフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルフェニル)(フェニル)ボレート、トリス(3,5−ジ−トリフルオリメチルフェニル)(フェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(シクロヘキシル)ボレート、
【0087】
トリス(ペンタフルオロフェニル)(ナフチル)ボレート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニル(ヒドロキシフェニル)ボレート、ジフェニル−ジ(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリフェニル(2,4−ジヒドロキシフェニル)ボレート、トリ(p−トリル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(2,4−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジ−トリフルオリメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(2−ヒドロキシエチル)ボレート、
【0088】
トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシブチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシ−シクロヘキシル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−(4´−ヒドロキシフェニル)フェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ボレート等が挙げられ、最も好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレートが挙げられる。
【0089】
他の好ましい相溶性の非配位性アニオンの例としては、上記例示のボレートのヒドロキシ基がNHR基で置き換えられたボレートが挙げられる。ここで、Rは好ましくは、メチル基、エチル基またはt−ブチル基である。また、本発明のプロトン付与性のブレンステッド酸の具体例としては、例えば、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリ(n−ブチル)アンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリブチルアンモニウム及びトリ(n−オクチル)アンモニウム等のようなトリアルキル基置換型アンモニウムカチオンが挙げられ、また、N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウム、N,N−ジメチルベンジルアニリニウム等のようなN,N−ジアルキルアニリニウムカチオンも好適である。
【0090】
さらに、ジ−(i−プロピル)アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム等のようなジアルキルアンモニウムカチオンも好適であり、トリフェニルフォスフォニウム、トリ(メチルフェニル)フォスフォニウム、トリ(ジメチルフェニル)フォスフォニウム等のようなトリアリールフォスフォニウムカチオン、またはジメチルスルフォニウム、ジエチルフルフォニウム、ジフェニルスルフォニウム等も好適である。
【0091】
本発明においては、これら活性化剤化合物成分[C]を単独で使用してもよいし組み合わせて使用してもよい。
本発明において、成分[C]の使用量は、成分(B−1)が反応するのに十分な量の成分[C]を用いることが好ましい。
成分[C]が有機アルミニウムオキシ化合物である場合、好ましくは(B−1)の10〜1000倍モル相当量であり、より好ましくは、50〜500倍モル相当量である。
また成分[C]が一般式(7)で定義される化合物である場合、好ましくは(B−1)の0.8〜5倍モル相当量であり、より好ましくは、1〜2倍モル相当量である。
【0092】
次に本発明において用いられる有機アルミニウム化合物[D]について説明する。
本発明の成分[D]としては、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウム等、或いはこれらのアルキルアルミニウムとメチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール、デシルアルコール等のアルコール類との反応生成物、例えばジメチルメトキシアルミニウム、ジエチルエトキシアルミニウム、ジブチルブトキシアルミニウム等が挙げられる。
【0093】
さらに該反応生成物を生成する際のアルキルアルミニウムと上記アルコール類との組成比即ちAl/OHの範囲は、0.3〜20が好ましく、より好ましくは0.5〜5であり、さらに好ましくは0.8〜3であってもよい。
本発明に於いて、成分(D)の量は、成分(B−1)の量の0.01〜1,000倍モル、好ましくは0.1〜100倍モル、さらに好ましくは1〜10倍モルである。
【0094】
本発明で、[A]、[B]、[C]及び成分[D]を組み合わせる方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、[C]と[D]とをあらかじめ接触させ、[A]に接触させた後に[B]を接触させる方法、あるいはあらかじめ[A]と[B]とを接触させ、さらに[C]および[D]とを接触させた後にそれぞれを接触させる方法、あるいは[C]と[D]および[B]とを接触させた後にさらに[A]を接触させる方法等を採用することができる。
【0095】
本発明において、[C]と[D]とはあらかじめ接触させることが好ましい。次にオレフィンの重合を本発明の触媒の存在下で行なう具体的な態様について説明する。本発明のオレフィン重合用触媒を用いて、エチレンを単独重合させるか、あるいはエチレンと好ましくは炭素数3〜20のα−オレフィン、炭素数3〜20の環状オレフィン、式CH =CHR(但し、Rは炭素数6〜20のアリール基である。)で表される化合物、及び炭素数4〜20の直鎖状、分岐状または環状のジエンよりなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンとを共重合させることができる。
なお、本発明のオレフィン重合用触媒は、後述する脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のスラリーとして重合器に添加する方法が好ましい。
【0096】
本発明で、炭素数3〜20のα−オレフィンとは、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、及び1−エイコセンよりなる群から選ばれ、炭素数3〜20の環状オレフィンとは、例えば、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、テトラシクロドデセン、及び2−メチル−1.4,5.8−ジメタノ−1,2,3,4,4a,5,8,8a−オクタヒドロナフタレンよりなる群から選ばれ、一般式CH=CHR(式中Rは炭素数6〜20のアリール基である。)で表わされる化合物とは、例えば、スチレン、ビニルシクロヘキサン等であり、炭素数4〜20の直鎖状、分岐状または環状のジエンとは、例えば、1,3−ブタジエン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、及びシクロヘキサジエンよりなる群から選ばれる。
【0097】
エチレンと上記オレフィン(コモノマー)との共重合により、エチレン重合体の密度や物性を制御可能である。本発明によるオレフィンの重合は、懸濁重合法あるいは気相重合法いずれにおいても実施できる。懸濁重合法においては、懸濁重合の媒体として不活性炭化水素媒体を用いることができ、さらにオレフィン自身を溶媒として用いることもできる。
かかる不活性炭化水素媒体としては、具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;エチルクロライド、クロルベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素またはこれらの混合物等を挙げることができる。
【0098】
このような、本発明のオレフィン重合用触媒を用いたエチレンの重合における触媒フィード量は、例えば1時間当たりに得られる重合体の質量に対して触媒が1wt%〜0. 001wt%となるように重合系中の触媒濃度を調整することが望ましい。また重合温度は、通常、0℃以上が好ましく、より好ましくは50℃以上、さらに好ましくは60℃以上であり、且つ150℃以下が好ましく、より好ましくは110℃以下、さらに好ましくは100℃以下の範囲である。重合圧力は、通常、常圧〜10MPaが好ましく、より好ましくは0.2〜5MPa、さらに好ましくは0.5〜3MPaの条件下であり、重合反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行なうことができる。また、重合を反応条件の異なる2段以上に分けて行なうことも可能である。
【0099】
さらに、例えば、DE3127133.2に記載されているように、得られるオレフィン重合体の分子量は、重合系に水素を存在させるか、あるいは重合温度を変化させることによって調節することもできる。なお、本発明では、オレフィン重合用触媒は、上記のような各成分以外にもオレフィン重合に有用な他の成分を含むことができる。
本発明のオレフィン重合用触媒を用いた重合方法によって、粉体性状に優れたオレフィン系ポリマーを製造することが可能になる。具体的に言えば、ポリマーは粒径分布の範囲が狭いだけでなく嵩密度も高い粉体の形状で得られるから、得られるポリマーは優れた流動性を示す。
以下、実施例などに基づき、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例などにより何ら限定されるものではない。
【0100】
【実施例1】
(成分[A]の調製)
シリカP−10[富士シリシア社(日本国)製]を、窒素雰囲気下、400℃で5時間焼成し、脱水した。脱水シリカの表面水酸基の量は、1.3mmol/g−SiOであった。容量1.8Lオートクレーブにこの脱水シリカ40gをヘキサン800ml中に分散させ、スラリーを得た。得られたスラリーを攪拌下50℃に保ちながらトリエチルアルミニウムのヘキサン溶液(濃度1M)を60ml加え、その後2時間攪拌し、トリエチルアルミニウムとシリカの表面水酸基とを反応させ、トリエチルアルミニウム処理されたシリカと上澄み液とを含み、該トリエチルアルミニウム処理されたシリカの全ての表面水酸基がつぶされている成分[A]を得た。その後、得られた反応混合物中の上澄み液をデカンテーションによって除去することにより、上澄み液中の未反応のトリエチルアルミニウムを除去した。その後、ヘキサンを適量加え、トリエチルアルミニウム処理されたシリカのヘキサンスラリー800mlを得た。
【0101】
(成分[B]の調製)
[(N−t−ブチルアミド)(テトラメチル−η−シクロペンタジエニル)ジメチルシラン]チタニウム−1,3−ペンタジエン(以下、「チタニウム錯体」という)200mmolをアイソパーE[エクソンケミカル社(米国)製の体炭化水素混合物の商品名]1000mlに溶解し、予めトリエチルアルミニウムとジブチルマグネシウムより合成した組成式AlMg(C(n−C12の1Mヘキサン溶液を20ml加え、更にヘキサンを加えてチタニウム錯体濃度を0.1Mに調整し、成分[B]を得た。
【0102】
(シリカに担持された触媒の調製)
ビス(水素化タロウアルキル)メチルアンモニウム−トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシフェニル)ボレート(以下、「ボレート」と略称する)5.7gをトルエン50mlに添加して溶解し、ボレートの100mMトルエン溶液を得た。このボレートのトルエン溶液にエトキシジエチルアルミニウムの1Mヘキサン溶液5mlを室温で加え、さらにヘキサンを加えてトルエン溶液中のボレート濃度が70mMとなるようにした。その後、室温で1時間攪拌し、ボレートを含む反応混合物を得た。
【0103】
ボレートを含むこの反応混合物46mlを、上で得られた、成分[A]のスラリー800mlに15〜20℃で攪拌しながら加え、ボレートを物理吸着によりシリカに担持した。こうして、ボレートを担持したシリカのスラリーが得られた。さらに上で得られた成分[B]のうち32mlを加え、3時間攪拌し、チタニウム錯体とボレートとを反応させた。こうしてシリカと上澄み液とを含み、触媒活性種が該シリカ上に形成されている反応混合物を得た。
【0104】
(エチレンと1−ブテンとの共重合)
容量1.8lのオートクレーブにヘキサン800mlを入れ、このオートクレーブに加圧されたエチレンを入れてオートクレーブの内圧を1MPaに高め、さらに1−ブテン3mlをオートクレーブに入れた。次いで、オートクレーブの内温を75℃に高め、上で得られた触媒のスラリーを、固体触媒の重量が10mgとなるような量だけオートクレーブに加え、エチレンと1−ブテンとの共重合を開始した。オートクレーブの内圧が1MPaに維持されるようにエチレンをオートクレーブに加えながら、60分間共重合を行った。共重合終了後、オートクレーブから反応混合物(コポリマーのスラリー)を抜き出し、メタノールで触媒を失活させた。その後、反応混合物を濾過、洗浄、乾燥し、コポリマーの乾燥粉末150gを得た。オートクレーブの内部を検査したところ、オートクレーブの内壁等にはポリマーの付着物は全く観察されなかった。触媒の触媒活性は4680kg−PE/g−Ti・hrであった。得られたコポリマーの粉末は、平均粒径480μmで、嵩密度0.36g/cmであり、極めて優れた流動性を示した。よって、得られたコポリマーの粉末は極めて優れた粉末特性を示すことが分かった。
【0105】
【実施例2〜5】
実施例1のチタニウム錯体の調整において、表1に記載の有機マグネシウム化合物の1Mヘキサン溶液を、チタニウム錯体/(Mt+Mg)が表1記載の比にして使用する以外は実施例1と同様に調整し、実施例1と同様の方法にて重合評価し、表1の結果を得た。
【0106】
【比較例1】
(シリカに担持された触媒の調製)
実施例1において組成式AlMg(C(n−C12の化合物を使用しなかった以外は実施例1と同様に行い、緑色の固体触媒のヘキサンスラリーを得た。この場合スラリーの上澄みには茶黄色の着色が僅かに認められた。
【0107】
(エチレンと1−ブテンとの共重合)
実施例1と同様の方法で重合評価を行った。共重合終了後、オートクレーブから反応混合物(コポリマーのスラリー)を抜き出し、メタノールで触媒を失活させた。その後、反応混合物を濾過、洗浄、乾燥し、コポリマーの乾燥粉末45gを得た。オートクレーブの内部を検査したところ、オートクレーブの内壁等に僅かにポリマーの付着が観察された。触媒の触媒活性は1410kg−PE/g−Tiであった。得られたコポリマーの粉末は、平均粒径320μmで、嵩密度は0.28g/cmであった。
【0108】
【表1】
Figure 2004027200
【0109】
【発明の効果】
本発明のオレフィン重合用触媒は、高い重合活性を有する点のみならず、粉体性状に優れたオレフィン系ポリマーを、懸濁重合(スラリー重合)や気相重合によって、重合器の内壁、攪拌羽根等に付着させることなく製造できるという点において、有利である。従って、粉体性状に優れたオレフィン系ポリマーを工業的規模のプラントの連続運転によって効率的に製造することを可能にするオレフィン重合用触媒、特にエチレン重合用触媒を提供するものである。

Claims (5)

  1. [A]実質的に水酸基を有しない固体成分と、[B]周期表第3〜11族から選ばれる可溶性遷移金属化合物(B−1)と一般式(Mt)α(Mg)β(R (R (OR〔式中、Mtは周期律表第1〜3族に属する金属原子であり、R、R 及びRは炭素数2〜20の炭化水素基であり、α、β、a、b及びcは次の関係を満たす数である。0≦α、0<β、0≦a、0≦b、0≦c、a+b>0、0≦c/(α+β)≦2、rα+2β=a+b+c(ただし、rはMtの原子価)〕で示される炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物(B−2)との混合物と、[C]遷移金属化合物(B−1)と反応して触媒活性を有する金属錯体を形成することが可能である活性化剤化合物、及び[D]有機アルミニウム化合物とから形成されていることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
  2. (B−2)/(B−1)のモル比が0.005〜5である前記請求項1に記載のオレフィン重合用触媒
  3. 周期表第3〜11族から選ばれる可溶性遷移金属化合物(B−1)が下記の式(1)で表されることを特徴とする、請求項1から2のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒。
    MXX’                  (1)
    (式中、Lは、各々独立して、シクロペンタジエニル基、インデニル基、テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、テトラヒドロフルオレニル基、及びオクタヒドロフルオレニル基からなる群より選ばれるη結合性環状アニオン配位子を表し、該配位子は場合によっては1〜8個の置換基を有し、該置換基は各々独立して炭素数1〜20の炭化水素基、ハロゲン原子、炭素数1〜12のハロゲン置換炭化水素基、炭素数1〜12のアミノヒドロカルビル基、炭素数1〜12のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜12のジヒドロカルビルアミノ基、炭素数1〜12のヒドロカルビルフォスフィノ基、シリル基、アミノシリル基、炭素数1〜12のヒドロカルビルオキシシリル基及びハロシリル基からなる群より選ばれる、20個までの非水素原子を有する置換基であり、
    Mは、形式酸化数が+2、+3または+4の周期表第4族に属する遷移金属群から選ばれる遷移金属であって、少なくとも1つの配位子Lにη結合している遷移金属を表し、
    Wは、50個までの非水素原子を有する2価の置換基であって、LとMとに各々1価ずつの価数で結合し、これによりL及びMと共働してメタロサイクルを形成する2価の置換基を表し、
    Xは、各々独立して、1価のアニオン性σ結合型配位子、Mと2価で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子、及びLとMとに各々1価ずつの価数で結合する2価のアニオン性σ結合型配位子からなる群より選ばれる、60個までの非水素原子を有するアニオン性σ結合型配位子を表し、
    X′は、各々独立して、40個までの非水素原子を有する中性ルイス塩基配位性化合物を表し、
    jは1または2であり、但し、jが2である時、場合によっては2つの配位子Lが、20個までの非水素原子を有する2価の基を介して互いに結合し、該2価の基は炭素数1〜20のヒドロカルバジイル基、炭素数1〜12のハロヒドロカルバジイル基、炭素数1〜12のヒドロカルビレンオキシ基、炭素数1〜12のヒドロカルビレンアミノ基、シランジイル基、ハロシランジイル基及びシリレンアミノ基からなる群より選ばれる基であり、
    kは0または1であり、
    pは0、1または2であり、但し、Xが1価のアニオン性σ結合型配位子、またはLとMとに結合している2価のアニオン性σ結合型配位子である場合、pはMの形式酸化数より1以上小さい整数であり、またXがMにのみ結合している2価のアニオン性σ結合型配位子である場合、pはMの形式酸化数より(j+1)以上小さい整数であり、qは0、1または2である)。
  4. 可溶性遷移金属化合物[B]と反応して触媒活性を有する金属錯体を形成することが可能である活性化剤化合物[C]が下記の式(2)で表されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のオレフィン重合用触媒。
    [L−H]d+[Md−    (2)
    (式中、[L−H]d+はプロトン供与性のブレンステッド酸を表し、但し、Lは中性のルイス塩基を表し、dは1〜7の整数であり;[Md−は両立性の非配位性アニオンを表し、但し、Mは、周期表第5族〜第15族のいずれかに属する金属またはメタロイドを表し、Qは、各々独立して、ヒドリド、ハライド、炭素数2〜20のジヒドロカルビルアミド基、炭素数1〜30のヒドロカルビルオキシ基、炭素数1〜30の炭化水素基、及び炭素数1〜40の置換された炭化水素基からなる群より選ばれ、但し、ハライドであるQの数は1以下であり、mは1〜7の整数であり、pは2〜14の整数であり、dは上で定義した通りであり、p−m=dである。]
  5. 請求項第1項ないし第4項のいずれかに記載のオレフィン重合用固体触媒の存在下で、オレフィンを重合または共重合させることを特徴とするオレフィンの重合方法。
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