JP6033025B2 - ルウの製造方法および即席ルウ - Google Patents

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Description

本発明は、小麦粉などの澱粉原料および油脂を含む原料混合物を用いてルウを製造する製造方法およびこの方法によって製造したルウに関するものであり、更に詳細には、小麦粉などの澱粉原料に起因する調理時のソースの粘性が十分に発現されるので、原料として使用する小麦粉などの澱粉原料の使用量を抑制でき、さらには原料として使用する油脂の使用量も抑制できるルウの効率よい製造方法、およびこの製造方法によって製造したカレールウ、およびシチュールウ等の即席ルウに関するものである。
油脂と小麦粉などの澱粉原料などを加熱混合した後に、必要に応じて調味料などをさらに添加して混合し、容器などに充填して製造する、小麦粉ルウ、カレールウ、およびシチュールウなどの即席ルウの製造方法が各種提案されている。
油脂と小麦粉などの澱粉原料を加熱混合する際には、小麦粉などの澱粉原料およびその他原料に含まれる水分の蒸発を伴うが、水分の蒸発は、最終製品ルウの品質安定性だけでなく、製造中におけるルウの流動性にも影響するため重要な工程である。
従来の加熱混合においては、通常、混合物の品温上昇と共に、徐々に水分が蒸発するが、100℃以上の高温においても、混合物の粘度が高いため、大気中への蒸気の放出が阻まれ、多くの水分が残存した状態で長時間加熱されるため、製造したルウを使用して調理する時のソースの粘性が十分に発現されない、という問題があった。
これは、残存する水分により、加熱と共に澱粉原料中の澱粉粒が膨潤し、さらに100℃以上の高温にさらされることにより、膨潤した澱粉粒が破壊することによるものと推測される。
そこで、加熱混合する前にある程度の水分を除去した乾燥小麦粉や焙煎小麦粉などの製造方法が提案されるとともに、それらのルウなどへの応用も提案されているが、乾燥小麦粉や焙煎小麦粉などの製造・管理には手間を要するとともに、小麦以外の調味料などの他の原料の加熱混合が必要なために、結果的に2度の加熱混合を行なうことになり、その労力やエネルギーロスが問題であった。
そこで、小麦粉100質量部に対して油脂0.8〜5.0質量部を添加し、小麦粉中に油脂を分散させた後、焙煎処理を施す焙煎小麦粉の製造方法が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、この方法では、油脂の添加量が少なく十分な流動性を得ることができず、前述の通り、ルウを製造するためには、もう一度、油脂を加えて再度加熱混合する必要があった。
特許文献2には、小麦粉及び/又はコーンスターチを水分含量が5質量%以下にまで乾燥してなるルウ用乾燥小麦粉および/または乾燥コーンスターチが提案されているが、この方法でも、同様に別途、油脂を添加し、再度加熱混合する必要があった。
一方、本出願人は、油脂と小麦粉を必須成分とした配合原料を、加熱混合する間に、前記配合原料の品温が100℃以上において少なくとも1回の減圧混合工程を経て調製する小麦粉ルウの製造方法を提案した(特許文献3参照)。
しかし、油脂の含有量の少ない風味に優れた低カロリー食品を提供できるなどの効果を発揮するが、100℃以上の高温において水分が多く残存した状態で長時間加熱すると、製造したルウを使用して調理する時のソースの粘性が十分に発現されないという問題を完全には解決できないという問題があった。
特許第3574617号公報 特開2008−271824号公報 特開2012−5368号公報
本発明の第1の目的は、小麦粉などの澱粉原料に起因する調理時のソースの粘性が十分に発現されるので、小麦粉などの澱粉原料の使用量を抑制でき、さらには原料として使用する油脂の使用量も抑制できるヘルシーなルウの効率よい製造方法を提供することである。
本発明の第2の目的は、本発明の製造方法によって製造したカレールウ、およびシチュールウ等の即席ルウを提供することである。
本発明者らは鋭意研究の結果、水分を所定量以上含む澱粉原料と、前記澱粉原料に対して所定量の油脂とを含む混合物を、100℃未満において少なくとも1回減圧下で加熱混合することにより、100℃到達時点での前記混合物中の全水分含量が、前記混合物中の前記澱粉原料の使用量に対して6質量%以下にした後、100〜140℃まで加熱混合した後、必要に応じて調味料などをさらに添加して混合し、容器に充填するルウの製造方法により、課題を解決することができることを見出し、本発明を成すに至った。
前記課題を解決するための本発明の第1は、少なくとも油脂と小麦粉などの澱粉原料を含む混合物を、100〜140℃まで加熱混合した後、必要に応じて調味料などをさらに添加して混合し、容器に充填するルウの製造方法において、
水分を8質量%以上含む澱粉原料と、前記澱粉原料100質量部に対して30〜200質量部の油脂とを含む混合物を、100℃未満において少なくとも1回減圧下で加熱混合することにより、100℃到達時点での前記混合物中の全水分含量が、前記混合物中の前記澱粉原料の使用量に対して6質量%以下にすることを特徴とするルウの製造方法である。
本発明の第2は、本発明の第1において、内容物が空の場合にゲージ圧−50KPaよりも高い真空度が得られる減圧機能を備えた混合加熱装置を用いることを特徴とする。
本発明の第3は、本発明の第1あるいは第2において、前記混合物中の全水分含量が所定量に減った時点で、減圧を停止することを特徴とする。
本発明の第4は、本発明の第1から第3のいずれかで製造されたことを特徴とする即席ルウである。
本発明の第1は、少なくとも油脂と小麦粉などの澱粉原料を含む混合物を、100〜140℃まで加熱混合した後、必要に応じて調味料などをさらに添加して混合し、容器に充填するルウの製造方法において、
水分を8質量%以上含む澱粉原料と、前記澱粉原料100質量部に対して30〜200質量部の油脂とを含む混合物を、100℃未満において少なくとも1回減圧下で加熱混合することにより、100℃到達時点での前記混合物中の全水分含量が、前記混合物中の前記澱粉原料の使用量に対して6質量%以下にすることを特徴とするものであり、
100℃未満において少なくとも1回減圧下で加熱混合することにより、従来よりも低温で水分を蒸発させることができ、その結果、100℃時点での水分の残存が減り、その後の100℃以上での加熱による小麦粉などの澱粉原料への影響を低減することができ、ルウの調理時のソースの粘性低下を防止することができるという顕著な効果を奏する。
本発明のルウの製造方法により、ルウの調理時のソースの粘性低下を顕著に防止することができた理由は、前記理由に限定されるものではない。
また、従来よりも調理時に安定した高い粘性の発現が可能となることにより、小麦粉などの澱粉原料の使用量を削減することが可能となる上に、100〜140℃の高温時における水分の残存が減ることにより、水分の蒸発に消費される加熱エネルギーが節約され、結果として高温時における混合物の昇温速度を速めることができ、長時間高温にさらされ過剰加熱されることによるルウの調理時のソースの粘性低下や風味の劣化を防止することができ、生産性の向上も期待されるという顕著な効果を奏する。
またさらに、減圧下で加熱混合することにより、混合物中に含まれる空気も早期に排除され、混合物の流動性が向上し、また流動性の向上により撹拌効率、および加熱効率が向上し、これによる生産性の向上も期待でき、撹拌効率が同じでよい場合には、油脂の使用量を低減することも可能となり、より低カロリーである即席ルウの製造が可能となる上、小麦粉などの澱粉原料および油脂原料が低減されれば、1食当たりに必要なルウの量を減らすことができ、製品1個当たりの軽量化も実現でき、また製造においても、同じ混合機で製造できる食数が増え生産性も向上するという顕著な効果を奏する。
本発明の第2は、本発明の第1において、内容物が空の場合にゲージ圧−50KPaよりも高い真空度が得られる減圧機能を備えた混合加熱装置を用いることを特徴とするものであり、
混合加熱装置内に内容物が入れられておらず、空の場合においてゲージ圧−50KPaよりも高い真空度が得られる減圧機能を備えた混合加熱装置を用いることにより、100℃未満における低温時に、より多くの水分を蒸発させることが可能となり、効率的で生産性の高い製造が可能となるというさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の第3は、本発明の第1あるいは第2において、前記混合物中の全水分含量が所定量に減った時点で、減圧を停止することを特徴とするものであり、
必要以上に減圧を継続すると、水分の蒸発により気化熱を奪われ、混合物の温度上昇が進まず時間を要するが、混合物中の全水分含量が所定量に減った時点で、減圧を停止することにより、必要以上に気化熱を奪われるのを防止し、生産効率を向上させることが可能となるというさらなる顕著な効果を奏する。
本発明の第4は、本発明の第1から第3のいずれかにて製造されたことを特徴とする即席ルウであり、
原料コストや製造コストを抑えて、効率的にカレールウやシチュールウなどの即席ルウを製造できる上、製造中におけるルウの流動性に優れ、調理時に、安定した高い粘性を十分に発現できるので、小麦粉などの澱粉原料の使用量や油脂の使用量を低減することも可能となり、低カロリーであり、風味や品質安定性などに優れた即席ルウを提供することができるという顕著な効果を奏する。
図1は、本発明の実施例1の製造方法および比較例2の製造方法を説明する説明図である。 図2は、本発明の実施例2〜4の製造方法および比較例1の製造方法を説明する説明図である。
次に本発明について図を用いて詳細に説明する。以下の%は質量%を示す。
[本発明の第1の実施態様(実施例1)および従来技術(比較例2)]
次に本発明の内容を、図1を用いて、実施例1および従来技術(比較例2)を詳細に説明する。
製造装置として、3軸遊星方式分散・混合・混練機[特殊機化工業株式会社製、T.K.ハイビス ディスパーミックス(登録商標)]を使用し、先ず、事前に加熱溶解した常温で固形の植物油脂200Kgを、水分を12%含有する小麦粉260Kgと混合容器内にて撹拌し十分に分散した後(品温60℃)(図1の(1))、次いで内容物が空の場合に混合容器内を真空度−40MPaまで減圧できる、混合容器に接続された真空ポンプを作動し、加熱混合を開始した。
100℃まで加熱した時点(図1の(2))で、真空ポンプの操作を停止し、さらに加熱を続け、130℃到達時点で加熱を停止した(図1の(3))。
100℃到達時点のサンプルの水分を測定すると、小麦粉使用量に対して6%であった。130℃到達時点のサンプルの水分を測定すると、小麦粉使用量に対して3%であった。また、加熱開始(品温60℃)(図1の(1))から130℃到達(図1の(3))までの時間は100分であった。
加熱停止後に、順次、塩、砂糖等の調味料250kg、および香辛料等80kgを添加し混合撹拌し、品温が60℃まで低下した段階(図1の(4))で、容器に充填し、冷却固化した。出来高は769kgであった。
図1に示した比較例2は、実施例1で、真空ポンプを使用しなかった以外は実施例1と同様にしてルウを製造した例である。
すなわち、事前に加熱溶解した常温で固形の植物油脂200Kgを、水分を12%含有する小麦粉260Kgと混合容器内にて撹拌し十分に分散した(品温60℃)(図1の(1’))。
100℃まで加熱した時点(図1の(2’))で、サンプルの水分を測定すると、小麦粉使用量に対して10%であった。130℃到達時点のサンプルの水分を測定すると、小麦粉使用量に対して7%であった。また、加熱開始(品温60℃)(図1の(1’))から130℃到達(図1の(3’))までの時間は60分であった。130℃到達時点で加熱を停止した(図1の(3’))。
加熱停止後に、順次、塩、砂糖等の調味料250kg、および香辛料等80kgを添加し混合撹拌し、品温が60℃まで低下した段階(図1の(4’))で、容器に充填し、冷却固化した。
本発明で用いる製造装置は、前記製造装置に限定されず、加熱混合を減圧環境下でできる装置であればよく、加熱方法においても、前記方法に限定されず、具体的には、例えば、直火、蒸気、熱風、加熱オイル、電磁誘導加熱、マイクロ波加熱などの加熱方法を挙げることができる。攪拌混合方法においても、前記方法に限定されるものではない。
本発明でいう品温の測定法も特に限定されず、油脂と小麦粉の配合原料の温度を測定できればよく、接触型、非接触型などあるいはこれらを組み合わせた測定方法を使用することができる。
本発明で用いる小麦粉の種類に関しては、特に限定されず、具体的には、例えば、薄力粉、中力粉、強力粉などを使用する例を挙げることができる。これら小麦粉において、これらは単独で用いることも、2種以上を任意の割合で混合して用いることもできる。
実施例1では水分含有量12%の小麦粉を用いたが、本発明で用いる小麦粉の含水量は、特に限定されず、任意の含水量の物を適宜使用することができる。
具体的には、一般的に使用される、含水率が8〜18質量%の小麦粉などが挙げられる。また、本発明で用いる小麦粉の含水量は、品種や季節により変化もする。本発明においては、小麦粉本来の白さを残しつつ、100℃以上での加熱を行い小麦粉の生っぽさを無くすために、水分含水率が10〜15質量%であることが好ましい。
本発明においては通常、小麦粉を主に用いるが、小麦以外の穀物(とうもろこしなど)から精製した澱粉を用いても小麦粉と同様な効果を得ることができる。小麦粉と併用することもできる。澱粉の種類に関しては特に限定されず、具体的には、例えば、コーンスターチ、馬鈴薯澱粉などがあげられる。
これらは単独で用いることも、2種以上を任意の割合で混合して用いることもできる。
デキストリンや加工澱粉など、加工によって澱粉特有の粘性が発現しなくなったものについては、本発明の澱粉原料には該当しないが、その他の原料として使用することに差し障りはない。
本発明では、通常は常温にて固形である油脂を加温溶解して用いるが、液油やショートニングを用いることができる。油脂は、具体的には、例えば菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、イリッペ脂、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油などの植物性油脂並びに乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油などの動物性油脂、これらの油脂類の単独または混合油あるいはそれらの硬化、分別、エステル交換などを施した加工油脂などを挙げることができる。
溶融ルウの粘度調整などのためにキサンタンガム、カラギーナン、ジェランガム、タマリンドガム、カラヤガム、グアガム、ローカストビーンガムなどの増粘多糖類を適宜加えてもよい。
本発明では、前記澱粉原料100質量部に対して30〜200質量部の油脂を含む混合物を、100℃以下において少なくとも1回減圧下で加熱混合するが、100℃以下の複数の温度で何回減圧するかは様々な方法が適用可能であり限定されない。
また、本発明では、前記澱粉原料100質量部に対して30〜200質量部の油脂を配合するが、流動性向上による油脂低減の効果を発揮することができる範囲である。油脂の配合量が30質量部未満では油脂の効果が発揮されず、ルウの流動性が得られず加熱混合が効率的に行えない恐れがあり、油脂の配合量が200質量部を超えると、結果的に混合物の総量が増加し加熱効率が悪く、また、油脂の低減効果が発揮されない恐れがある。
なお、前記澱粉原料100質量部に対して油脂の配合量が50質量部以上であれば、後の工程で加わるその他原料によるルウの流動性低下を防止しやすく、油脂の配合量が100質量部以下であれば、より低コストに油脂を低減した製品の製造が可能となるので好ましい。
なお、流動性は、工程中、前記装置の攪拌機を駆動する主モーターの電流値を連続して測定し、その電流値によって判断することができる。
主モーターの電流値が大きいことは、粘度が高く、流動性が低いことを示し、反対に主モーターの電流値が小さいことは、粘度が低下し、流動性が向上したことを示す。
ルウの製品によって最終到達品温が110〜140℃と様々であり、また短時間で効率良く製造するという時間のファクターを加味して、いずれの条件でもより確実に効果を発揮するためには、100℃到達時点での前記混合物中の全水分含量が、前記混合物中の前記澱粉原料の使用量に対して6質量%以下にする必要がある。6質量%を超えると条件によっては確実に効果を発揮できず、ルウの調理時のソースの粘性低下を防止することができない恐れがある。
澱粉原料と、油脂を含む混合物である場合は、100℃到達時点での前記混合物中の全水分含量が、前記混合物中の前記澱粉原料の使用量に対して6質量%以下とすることが肝要であり、また、油脂と複数種類の澱粉原料、あるいは澱粉原料以外に水分を含む他の原料が含まれる混合物である場合も、100℃到達時点でのこの混合物中の全水分含量が、前記混合物中の前記複数の澱粉原料の全使用量に対して6質量%以下にすることが肝要である。
また、本発明で使用する混合加熱装置の真空度は、時間との兼ね合いを無視すれば特に限定されるものではない。しかし、混合加熱装置内に内容物が入れられておらず、空の場合においてゲージ圧−50KPaよりも高い真空度が得られる減圧機能を備えた混合加熱装置を用いることが好ましい。−50KPaにおける水の沸点は約80℃であり、実質的な水分の蒸発は、80〜100℃程度でなされることとなり、効果を発揮することができるからである。
真空度が、−50kPaG未満では、短時間で水分を充分に気化して除去できないので各種効果を発揮できない恐れがある上、配合原料が均一に混合されてペースト状にならず、不均一になる恐れがある。
水分を充分に気化して除去でき、配合原料が均一に混合されてペースト状にするためには、真空度は−50kPaGよりも高い真空度が好ましく、実用的な設備としては、真空度が−70〜−90kPaGであるとより短時間で目的を達成できるのでより好ましい。
減圧を停止すべき時点は、生産設備の規模や能力、原料使用量や時間的な制約などにより変わるため、諸条件に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。本発明では、100℃到達時点での前記混合物中の全水分含量が、前記混合物中の前記澱粉原料の使用量に対して6%以下とすることが肝要であることからすれば、例えば90℃の段階で7%以下になることを確認して、減圧を停止してもよいし、100℃で6%以下になっていても、さらなる水分の低減を目指して減圧を例えば105℃まで継続してもよいなど種々の変形が可能である。
以上の例では小麦粉と油脂を含む混合物に塩、砂糖、香辛料の例を挙げたが、澱粉や、蓄肉類、野菜類、調味料としてアミノ酸や、乳化剤などから選ばれる少なくとも1つを併用することができる。
澱粉などを併用する際は、風味や品質に変化をつけるための必要量を配合でき、例えば、全小麦粉の量に対して1〜150質量%配合することが好ましく、10〜100質量%配合することがより好ましい。
本発明のルウを製品容器に充填し、冷却固化させた後、密封包装することができる。
本発明においては、冷却固化したルウを製品形状に切り分けしたり、フレークやパウダー状にした後、密封包装しても良い。
本発明で使用する容器としては、バリヤー性容器が好ましい。
好ましいガスバリヤー性容器包装体は、合成樹脂のトレー容器か、合成樹脂フィルム及び/又は金属箔のラミネート材からなるプラスチック袋である。
例えば、袋状容器では、アルミナ蒸着PETフィルム/ポリアミド/ポリプロピレンフィルムを、ポリプロピレンフィルム面ではりあわせた袋や、トレー容器と蓋材の組み合わせ容器では、トレー容器は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を中間層とし、上下層には、ポリプロピレンを積層しこれをトレー状に成形したものとトレー容器上蓋フィルム(ガラス蒸着PET/ポリアミド/ポリプロピレン系シーラント)などが使用できる。
なお、上記実施形態の説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮するものではない。又、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
次に実施例および比較例により本発明を詳しく説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
事前に加熱溶解した常温で固形の植物油脂200kgを、水分を12%含有する小麦粉260kgと混合容器内にて撹拌し十分に分散した後(品温60℃)、内容物が空の場合に混合容器内を真空度−40MPaまで減圧できる、混合容器に接続された真空ポンプを作動し、加熱混合を開始した。
100℃まで加熱した時点で、真空ポンプの操作を停止し、さらに加熱を続け、130℃到達時点で加熱を停止した。
100℃到達時点のサンプルの水分を測定すると、小麦粉使用量に対して6%であった。130℃到達時点のサンプルの水分を測定すると、小麦粉使用量に対して3%であった。また、加熱開始(品温60℃)から130℃到達までの時間は100分であった。
加熱停止後に、順次、塩、砂糖等の調味料250kg、および香辛料等80kgを添加し混合撹拌し、品温が60℃まで低下した段階で、容器に充填し、冷却固化した。出来高は769kgであった。
容器の開口部をフィルムにて密封し、カレールウを製造した。
製造したカレールウを、小麦粉などの澱粉原料の使用量として18gに相当する量(約53g)をお湯300gに溶解し、火にかけてひと煮立ちさせたカレーソースについて、沸騰後(80〜90℃)にB型粘度計にて粘度を測定した結果1000mPa・Sであった。
60℃から130℃までの所要時間(分)、100℃到達時点の小麦粉使用量に対する全水分含量の測定結果、および製品をお湯に加熱溶解させた時のカレーソースの粘度およびルウ製造時の撹拌適性を、下記のルウ製造時の撹拌適性の評価基準に従って評価した結果をまとめて表1に示す。
なお、表1の「製品をお湯に加熱溶解した時の粘度」の欄に記載された評価○、△、×の評価基準は、以下の通りである。
○・・・カレーソースとして十分な粘性がある。
△・・・カレーソースとしてはやや粘性が低い。
×・・・カレーソースとしては粘性が低く問題がある。
また、表1の「ルウ製造時の撹拌適性」の欄に記載された評価○、△、×の評価基準は、以下の通りである。
○・・・流動性があり、機械負荷もなく、効率的な撹拌が可能である。
△・・・流動性はあるが、物性が硬く、機械負荷が大きく、撹拌効率も悪く、均一化に時間を要する。
×・・・流動性に乏しく、機械負荷も大きく、均一化が難しい。
表1から、ルウ製造時の撹拌適性に優れており、風味豊かで十分な粘性があるカレーソースが得られたことが判る。
生産時間はやや長めであったが、風味豊かで十分な粘性があるカレーソースを、真空ポンプを利用しないで適性に製造できる通常のカレールウよりも、油脂や小麦粉の使用量を減らして製造することが可能であった。
(実施例2)
実施例1において、内容物が空の場合に混合容器内を真空度−70MPaまで減圧できる真空ポンプを用いて減圧した以外は実施例1と同様にして容器の開口部をフィルムにて密封し、カレールウを製造した。
60℃から130℃までの所要時間(分)、100℃到達時点の小麦粉使用量に対する全水分含量の測定結果、および製品をお湯に加熱溶解させた時のカレーソースの粘度およびルウ製造時の撹拌適性を、前記のルウ製造時の撹拌適性の評価基準に従って評価した結果をまとめて表1に示す。
加熱時間が実施例1より40分短く、調理時の粘性も良好であった。真空ポンプの能力を高くしたことにより、水分の蒸発が速やかに実現し、100℃到達時点の全水分含量も低くなり、それにより調理時の粘性も高くなった。製造時のルウの撹拌適性も良好であった。
表1から、ルウ製造時の撹拌適性に優れており、風味豊かで十分な粘性があるカレーソースが得られたことが判る。
(実施例3)
実施例2において、90℃まで加熱した時点で、真空ポンプの操作を停止した以外は実施例2と同様にして容器の開口部をフィルムにて密封し、カレールウを製造した。
60℃から130℃までの所要時間(分)、100℃到達時点の小麦粉使用量に対する全水分含量の測定結果、および製品をお湯に加熱溶解させた時のカレーソースの粘度およびルウ製造時の撹拌適性を、前記のルウ製造時の撹拌適性の評価基準に従って評価した結果をまとめて表1に示す。
加熱時間が実施例2よりさらに5分短く、調理時の粘性も良好であった。真空ポンプを90℃で停止することにより、過剰な水分蒸発を抑制することができた。製造時のルウの撹拌適性も良好であった。
表1から、ルウ製造時の撹拌適性に優れており、風味豊かで十分な粘性があるカレーソースが得られたことが判る。
(実施例4)
実施例2で、110℃まで加熱した時点で、真空ポンプの操作を停止した以外は実施例2と同様にして容器の開口部をフィルムにて密封し、カレールウを製造した。
60℃から130℃までの所要時間(分)、100℃到達時点の小麦粉使用量に対する全水分含量の測定結果、および製品をお湯に加熱溶解させた時のカレーソースの粘度およびルウ製造時の撹拌適性を、前記のルウ製造時の撹拌適性の評価基準に従って評価した結果をまとめて表1に示す。
より長時間真空ポンプを作動させたことにより、より水分の蒸発が促進されたため、調理時の粘性は非常に強く良好であったが、加熱時間が80分とやや長かった。
表1から、ルウ製造時の撹拌適性に優れており、風味豊かで十分な粘性があるカレーソースが得られたことが判る。
(比較例1)
実施例2において、80℃まで加熱した時点で、真空ポンプの操作を停止した以外は実施例2と同様にして容器の開口部をフィルムにて密封し、カレールウを製造した。
60℃から130℃までの所要時間(分)、100℃到達時点の小麦粉使用量に対する全水分含量の測定結果、および製品をお湯に加熱溶解させた時のカレーソースの粘度およびルウ製造時の撹拌適性を、前記のルウ製造時の撹拌適性の評価基準に従って評価した結果をまとめて表1に示す。
加熱時間は短かったが、100℃到達時点の小麦粉使用量に対する全水分含量が7%と高く、水分の蒸発が進んでいなかったため、調理時の粘性に悪影響を及ぼし問題があった。また、ルウ製造時の粘性がやや高く、適正な撹拌に適さないものであった。
表1から、ルウ製造時において、流動性はあるが、物性が硬く、機械負荷が大きく、撹拌効率も悪く、均一化に時間を要するので撹拌適性に劣り、十分な粘性がないカレーソースが得られたことが判る。
(比較例2)
実施例1において、真空ポンプを全く使用しなかった以外は実施例1と同様にして容器の開口部をフィルムにて密封し、カレールウを製造した。
60℃から130℃までの所要時間(分)、100℃到達時点の小麦粉使用量に対する全水分含量の測定結果、および製品をお湯に加熱溶解させた時のカレーソースの粘度およびルウ製造時の撹拌適性を、前記のルウ製造時の撹拌適性の評価基準に従って評価した結果をまとめて表1に示す。
表1から、ルウ製造時において、流動性に乏しく、機械負荷も大きく、均一化が難しいので撹拌適性に劣り、十分な粘性がないカレーソースが得られたことが判る。
加熱時間は問題なかったが、水分の蒸発が進んでいなかったため、100℃到達時点の小麦粉使用量に対する全水分含量が10%と高く、調理時の粘性に悪影響を及ぼし問題があった。また、ルウ製造時の粘性が非常に高く、適正な撹拌に適さないものであった。
Figure 0006033025
本発明は、100℃未満において少なくとも1回減圧下で加熱混合することにより、従来よりも低温で水分を蒸発させることができ、その結果、100℃時点での水分の残存が減り、その後の100℃以上での加熱による小麦粉などの澱粉原料への影響を低減することができ、ルウの調理時のソースの粘性が十分に発現されないことを防止することができるという顕著な効果を奏する上、原料コストや製造コストを抑えて、効率的にカレールウやシチュールウなどの即席ルウを製造でき、製造中におけるルウの流動性に優れ、調理時に、安定した高い粘性を十分に発現できるので、小麦粉などの澱粉原料の使用量や油脂の使用量を低減することも可能となり、低カロリーであり、風味や品質安定性などに優れた即席ルウを提供できるという顕著な効果を奏するので、産業上の利用価値が高い。

Claims (5)

  1. 少なくとも油脂と小麦粉などの澱粉原料を含む混合物を、100℃未満の温度から100℃を越えて、さらに100〜140℃の範囲の温度まで加熱混合する工程の後、容器に充填するルウの製造方法において、
    水分を8質量%以上含む澱粉原料と、前記澱粉原料100質量部に対して30〜200質量部の油脂とを含む混合物を、100℃未満までの前記加熱混合工程の少なくとも一部を減圧下で行うとともに100℃到達時点での前記混合物中の全水分含量が、前記混合物中の前記澱粉原料の使用量に対して6質量%以下にすることを特徴とする、お湯に加熱溶解したときの粘度が高められたルウの製造方法。
  2. 内容物が空の場合にゲージ圧−50KPaよりも高い真空度が得られる減圧機能を備えた混合加熱装置を用いることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. 温度100℃以下において、かつ前記混合物中の全水分含量が所定量に減った時点で、減圧を停止することを特徴とする請求項1あるいは請求項2記載の製造方法。
  4. 澱粉原料が含水率8〜18質量%の小麦粉を含む請求項1乃至3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記加熱混合工程の後、調味料などをさらに添加して混合する 請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の製造方法。
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