JP6032676B2 - てんぷ、時計用ムーブメントおよび時計 - Google Patents

てんぷ、時計用ムーブメントおよび時計 Download PDF

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Description

この発明は、てんぷ、このてんぷを備えた時計用ムーブメントおよび時計に関するものである。
機械式時計は、表輪列を構成する香箱車、二番車、三番車および四番車の回転を制御するための脱進・調速機構を備えている。一般的な脱進・調速機構は、がんぎ車と、アンクルと、てんぷとにより形成されている。また、てんぷは、てん輪と、てん輪の回転中心となるてん真と、アルキメデス曲線に沿うように渦巻状に形成され拡縮によりてん輪を所定の振動周期で往復回転させるひげぜんまいと、ひげぜんまいをてん真に固定するひげ玉と、により形成されている。てんぷの振動周期の変動は、時計の精度に関わるため、予め決められた規定値内に設定されていることが重要である。
図23は、縦軸を歩度(秒/日)とし、横軸をてんぷの振り角(°)としたときの歩度に対する脱進機誤差の影響を示すグラフである。
てんぷの振動周期の誤差の要因として、脱進機誤差が知られている。この脱進機誤差によって、てんぷの振り角に対応して歩度が変動する。具体的には、図23に示すように、表輪列の動力源であるぜんまいのトルク低下に起因しててんぷの振り角が低下するにつれて、歩度が低下する。特に、てんぷの振り角が200°以下となったときに、歩度が著しく低下することが知られている。
ところで、特許文献1には、ひげぜんまいの外端部を径方向の外側にスライド移動可能に支持するひげ持が記載されている。また、非特許文献1には、アルキメデス曲線の中心軸とてん真の中心軸とが偏心した状態で配置されたひげぜんまいの外端部を径方向の外側にスライド移動することにより、てんぷの振り角に対する歩度特性を変化させることができる旨が記載されている。
図24は、縦軸を歩度(秒/日)とし、横軸をてんぷの振り角(°)としたときの、ひげぜんまいの偏心および外端部のスライド移動による歩度特性を示すグラフである。なお、図24において、実線は、ひげぜんまいの中心を外端部方向に偏心させて配置するとともにひげぜんまいの外端部を所定位置に固定した場合の歩度特性を示し、一点鎖線は、ひげぜんまいの中心を外端部方向に偏心させて配置するとともにひげぜんまいの外端部を所定位置から径方向の外側に所定距離だけスライド移動させて固定した場合の歩度特性を示し、二点鎖線は、ひげぜんまいの中心を外端部方向に偏心させて配置するとともにひげぜんまいの外端部を所定位置から径方向の内側に所定距離だけスライド移動させて固定した場合の歩度特性を示している。
図24に示すように、ひげぜんまいの中心を外端部方向に偏心させて配置するとともにひげぜんまいの外端部を径方向の外側にスライド移動させて固定することにより、振り角が約220°以下の範囲において歩度を増大させるように調整できるとされている。
図25は、縦軸を歩度(秒/日)とし、横軸をてんぷの振り角(°)としたときの、歩度の調整を示すグラフである。なお、図25において、実線は、調整後の歩度特性を示し、一点鎖線は、ひげぜんまいの中心を外端部方向に偏心させて配置するとともにひげぜんまいの外端部を所定位置から径方向の外側に所定距離だけスライド移動させて固定した場合の歩度特性を示し、二点鎖線は、調整前の歩度特性(図23の歩度特性に相当。)を示している。
図25に示すように、ひげぜんまいの中心を外端部方向に偏心させて配置するとともにひげぜんまいの外端部を所定位置から径方向の外側に所定距離だけスライド移動させて固定することにより、振り角が約220°以下の範囲において歩度を増大させることができるので、てんぷの振り角の減少にともなう歩度の低下を抑制できる。とりわけ、脱進機誤差の影響により歩度が著しく低下する、てんぷの振り角が200°以下の範囲において、脱進機誤差の影響による歩度の低下を効果的に抑制し、広範囲の振り角(図25においては、150°から300°)にわたって変動が少ない安定した歩度特性を得ることができる。
このように、従来技術によれば、てん真の中心軸に対してひげぜんまいを外端部方向に偏心して配置するとともに、ひげぜんまいの外端部を径方向の外側にスライド移動させて固定することにより、もしくはひげぜんまいを外端部と反対方向に偏心して配置するとともに、ひげぜんまいの外端部を径方向の内側にスライド移動させて固定することにより、脱進機誤差の影響による歩度の低下を抑制し、てんぷの振り角の広範囲にわたって安定した歩度特性が得られると考えられる。
米国特許第7648265号明細書
大島 康次郎、「テンプ時計の等時性について」、1957年、日本時計学会誌(1)、p.3−p.17
しかしながら、従来技術にあっては、ひげぜんまいにおけるアルキメデス曲線の中心軸と、てん真の中心軸とを偏心させる必要があり、かつ偏心の方向および偏心量に対応してひげぜんまいの外端部を変位させて歩度を調整する必要がある。ところが、ひげぜんまいの中心軸は仮想の軸線であるため、ひげぜんまいの偏心方向および偏心量を測定するためには専用の測定機器が必要になるとともに、ひげぜんまいの偏心方向や偏心量の測定方法および算出方法が複雑である。したがって、従来技術のように、ひげぜんまいの偏心の方向および偏心量に対応して外端部を変位させることにより歩度を調整するのは非常に煩雑であり、改善の余地があった。
そこで、本発明は、歩度を容易に調整して脱進機誤差を減少させることができ、安定した歩度特性を得ることができるてんぷ、このてんぷを備えた時計用ムーブメントおよびこの時計用ムーブメントを備えた時計の提供を課題とする。
上記の課題を解決するために、本発明のてんぷは、支持部材に対して回転自在に配置され、てん輪が外嵌固定されたてん真と、アルキメデス曲線に沿うように形成され、内端部が前記てん真に連結され、外端部が前記支持部材に連結されたひげぜんまいと、を備え、前記ひげぜんまいの内周面を前記てん真の軸方向に延長したとき、前記内周面のうち少なくとも一部が前記てん真の中心軸と交差するように形成されていることを特徴としている。
本発明によれば、ひげぜんまいの内周面をてん真の軸方向に延長したときに、内周面のうち少なくとも一部がてん真の中心軸と交差するように形成されているので、ひげぜんまいの少なくとも一部分をてん真の中心軸に対して傾斜配置することができる。ここで、ひげぜんまいの少なくとも一部分をてん真の中心軸に対して傾斜配置したとき、脱進機誤差の影響により歩度が著しく低下するてんぷの振り角の範囲において、歩度を増大できることが確認された。したがって、ひげぜんまいの少なくとも一部分をてん真の中心軸に対して傾斜配置することにより、脱進機誤差の影響による歩度の低下を抑制することができる。また、ひげぜんまいの中心軸は、仮想の軸線であるため、従来技術においてひげぜんまいの偏心の方向および偏心量の測定が困難であった。これに対して、ひげぜんまいの傾斜角度は容易に測定できるので、ひげぜんまいの傾斜角度を容易に調整できる。したがって、本発明のてんぷによれば、歩度を容易に調整して脱進機誤差を減少させることができ、安定した歩度特性を得ることができる。
また、前記ひげぜんまいの前記内端部は、前記てん真に対して外嵌固定されたひげ玉を介して前記てん真に連結され、前記ひげぜんまいの前記内端部、前記てん真および前記ひげ玉のうち少なくともいずれかに、前記ひげぜんまいの前記内周面を前記軸方向に延長したとき、前記内周面のうち少なくとも一部が前記てん真の前記中心軸と交差するように前記ひげぜんまいの前記内端部を配置する内端部傾斜配置構造を設けたことを特徴としている。
本発明によれば、ひげぜんまいの内端部、てん真およびひげ玉のうち少なくともいずれかに、ひげぜんまいの内周面のうち少なくとも一部がてん真の中心軸と交差するようにひげぜんまいの内端部を配置する内端部傾斜配置構造を設けたので、ひげぜんまいの少なくとも一部分をてん真の中心軸に対して確実に傾斜配置できる。これにより、脱進機誤差の影響による歩度の低下を抑制することができる。また、ひげぜんまいの内端部、てん真およびひげ玉のうち少なくともいずれかに内端部傾斜配置構造が設けられているので、内端部傾斜配置構造が設けられた部材の形状等を変更することにより、ひげぜんまいの傾斜角度が任意の傾斜角度になるように容易に設定できる。
また、前記内端部傾斜配置構造は、前記ひげぜんまいの前記内周面のうち、前記ひげ玉に固定される内端固定面を前記軸方向に延長したとき、前記てん真の前記中心軸と交差するように前記ひげぜんまいの前記内端部を配置することを特徴としている。
本発明によれば、ひげぜんまいの内周面のうち、ひげ玉に固定される内端固定面をてん真の中心軸に対して傾斜配置できる。ここで、ひげぜんまいの内端固定面をてん真の中心軸に対して傾斜配置することにより、脱進機誤差の影響により歩度が著しく低下するてんぷの振り角の範囲において、歩度を増大できることが確認された。したがって、ひげぜんまいの内端固定面をてん真の中心軸に対して傾斜配置することにより、脱進機誤差の影響による歩度の低下を抑制することができる。
また、前記ひげぜんまいの前記外端部は、ひげ持および前記ひげ持を支持するひげ持受を介して前記支持部材に連結され、前記ひげぜんまいの前記外端部、前記ひげ持および前記ひげ持受のうち少なくともいずれかに、前記ひげぜんまいの前記内周面を前記軸方向に延長したとき、前記内周面のうち少なくとも一部が前記てん真の前記中心軸と交差するように前記ひげぜんまいの前記外端部を配置する外端部傾斜配置構造を設けたことを特徴としている。
本発明によれば、ひげぜんまいの外端部、ひげ持およびひげ持受のうち少なくともいずれかに、ひげぜんまいの内周面のうち少なくとも一部がてん真の中心軸と交差するようにひげぜんまいの外端部を配置する外端部傾斜配置構造を設けたので、ひげぜんまいの少なくとも一部分をてん真の中心軸に対して確実に傾斜配置できる。これにより、脱進機誤差の影響による歩度の低下を抑制することができる。また、ひげぜんまいの外端部、ひげ持およびひげ持受のうち少なくともいずれかに外端部傾斜配置構造が設けられているので、外端部傾斜配置構造が設けられた部材の形状等を変更することにより、ひげぜんまいの傾斜角度が任意の傾斜角度になるように容易に設定できる。
また、前記外端部傾斜配置構造は、前記ひげ持により形成され、前記ひげ持は、前記ひげ持受に対して、前記ひげぜんまいの径方向の軸線を中心に回転可能に設けられるとともに、前記ひげぜんまいの前記外端部における前記アルキメデス曲線に対する接線を中心に回転可能に設けられ、前記ひげぜんまいの前記外端部は、前記ひげ持を前記ひげぜんまいの前記径方向の前記軸線周りおよび前記ひげぜんまいの前記外端部の前記接線周りの少なくともいずれかに回転させた状態で、前記ひげ持に支持されていることを特徴としている。
本発明によれば、外端部傾斜配置構造は、ひげ持により形成されてひげぜんまいの径方向の軸線を中心に回転可能に設けられるとともに、ひげぜんまいの外端部におけるアルキメデス曲線に対する接線(以下、単に「接線」という。)を中心に回転可能に設けられているので、ひげ持をひげぜんまいの径方向の軸線周りおよびひげぜんまいの外端部の接線周りに回転させることで、任意の方向にひげぜんまいの外端部を傾斜させることができる。特に、ひげぜんまいの内端部を傾斜配置したときに、内端部の傾斜角度に対応して、ひげぜんまいの外端部の傾斜角度および傾斜方向を任意に調整できる。また、ひげぜんまいの外端部は、ひげ持をひげぜんまいの径方向の軸線周りおよびひげぜんまいの外端部の接線周りの少なくともいずれかに回転させた状態で、ひげ持に支持されているので、ひげぜんまいの内周面のうち、ひげ持に固定される外端部の内周面をてん真の中心軸に対して傾斜配置できる。
ここで、ひげぜんまいの外端部をてん真の中心軸に対して傾斜配置したとき、脱進機誤差の影響により歩度が著しく低下するてんぷの振り角の範囲において、歩度を増大できることが確認された。とりわけ、ひげぜんまいの内端部をてん真の中心軸に対して傾斜配置するとともに、ひげぜんまいの外端部をてん真の中心軸に対して傾斜配置したとき、歩度をさらに増大できることが確認された。したがって、ひげぜんまいの内端部をてん真の中心軸に対して傾斜配置するとともに、ひげぜんまいの外端部をてん真の中心軸に対して傾斜配置することにより、脱進機誤差の影響による歩度の低下を効果的に抑制することができる。
また、本発明の時計用ムーブメントは、上述のてんぷが組み込まれたことを特徴としている。
また、本発明の時計は、上述の時計用ムーブメントを備えていることを特徴としている。
本発明によれば、脱進機誤差の少ない高精度な時計用ムーブメントおよび時計を得ることができる。
本発明によれば、ひげぜんまいの内周面をてん真の軸方向に延長したときに、内周面のうち少なくとも一部がてん真の中心軸と交差するように形成されているので、ひげぜんまいの少なくとも一部分をてん真の中心軸に対して傾斜配置することができる。ここで、ひげぜんまいの少なくとも一部分をてん真の中心軸に対して傾斜配置したとき、脱進機誤差の影響により歩度が著しく低下するてんぷの振り角の範囲において、歩度を増大できることが確認された。したがって、ひげぜんまいの少なくとも一部分をてん真の中心軸に対して傾斜配置することにより、脱進機誤差の影響による歩度の低下を抑制することができる。また、ひげぜんまいの中心軸は、仮想の軸線であるため、従来技術においてひげぜんまいの偏心の方向および偏心量の測定が困難であった。これに対して、ひげぜんまいの傾斜角度は容易に測定できるので、ひげぜんまいの傾斜角度を容易に調整できる。したがって、本発明のてんぷによれば、歩度を容易に調整して脱進機誤差を減少させることができ、安定した歩度特性を得ることができる。
実施形態に係る時計の外観図である。 ムーブメントの表側から見た平面図である。 第一実施形態に係るてんぷの平面図である。 図3のA−A線に沿った断面図である。 図4におけるひげ玉の拡大図である。 ひげ持およびひげ持受の説明図である。 てんぷの振り角に対する歩度の変化を示すグラフである。 てんぷの振り角に対する歩度の変化を示すグラフである。 第一実施形態の第一変形例に係るてんぷの説明図である。 第一実施形態の第二変形例に係るてんぷの説明図である。 第一実施形態の第三変形例に係るてんぷの説明図である。 ひげぜんまいの内端部の拡大図である。 第一実施形態の第四変形例に係るてんぷの説明図である。 第一実施形態の第五変形例に係るてんぷの説明図である。 第一実施形態の第六変形例に係るてんぷの説明図である。 第一実施形態の第六変形例に係るひげ玉の拡大図である。 第二実施形態に係るてんぷの説明図である。 第三実施形態に係るてんぷの説明図である。 第四実施形態に係るてんぷの説明図である。 第五実施形態に係るてんぷの説明図である。 図20のB−B線に沿った断面図である。 第六実施形態に係るてんぷの説明図である。 歩度に対する脱進機誤差の影響を示すグラフである。 ひげぜんまいの偏心および外端部のスライド移動による歩度特性を示すグラフである。 歩度の調整を示すグラフである。
以下に、この発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
以下では、まず実施形態に係る機械式の腕時計(請求項の「時計」に相当。)およびこの腕時計に組み込まれたムーブメント(請求項の「時計用ムーブメント」に相当。)について説明したあと、てんぷの詳細について説明する。
(時計)
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側、すなわち文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板の両側のうち、時計ケースのケース裏蓋のある方の側、すなわち文字板と反対の側をムーブメントの「表側」と称する。
図1は、実施形態に係る時計1の外観図である。
図1に示すように、本実施形態の時計1のコンプリートは、図示しないケース裏蓋、およびガラス2からなる時計ケース3内に、ムーブメント100と、時に関する情報を示す目盛り等を有する文字板11と、時を示す時針12、分を示す分針13および秒を示す秒針14を含む指針と、を備えている。文字板11には、日付を表す数字を明示させる日窓11aが開口している。これにより、時計1は、時刻に加え、日付を確認することが可能とされている。
図2は、ムーブメント100の表側から見た平面図である。なお、図2では、図面を見やすくするため、ムーブメント100を構成する時計部品のうち一部の図示を省略しているとともに、各時計部品を簡略化して図示している。
図2に示すように、機械式時計のムーブメント100は、基板を構成する地板144を有している。地板144の巻真案内穴102には、巻真110が回転可能に組み込まれている。この巻真110は、おしどり103、かんぬき105、かんぬきばね107および裏押さえ109を含む切換装置によって、巻真110の軸線方向の位置が決められている。
そして巻真110を回転させると、つづみ車(不図示)の回転を介してきち車112が回転する。きち車112の回転により丸穴車114および角穴車116が順に回転し、香箱車120に収容されたぜんまい(不図示)が巻き上げられる。
香箱車120は、軸部である香箱真の両端に突設されたほぞ(不図示)が、それぞれ地板144と香箱受134とに枢支されることにより、地板144と香箱受134との間で回転可能に支持されている。二番車124、三番車126、四番車128およびがんぎ車130は、それぞれの軸部の両端に突設されたほぞ(不図示)が、それぞれ地板144と輪列受136とに枢支されることにより、地板144と輪列受136との間で回転可能に支持されている。
ぜんまいの復元力により香箱車120が回転すると、香箱車120の回転により二番車124、三番車126、四番車128およびがんぎ車130が順に回転する。これら香箱車120、二番車124、三番車126および四番車128は、表輪列を構成する。
二番車124が回転すると、その回転に基づいて筒かな(不図示)が同時に回転し、この筒かなに取り付けられた分針13(図1参照)が「分」を表示するようになっている。また、筒かなの回転に基づいて日の裏車(不図示)の回転を介して筒車(不図示)が回転し、この筒車に取り付けられた時針12(図1参照)が「時」を表示するようになっている。
表輪列の回転を制御するための脱進・調速装置140は、がんぎ車130、アンクル142およびてんぷ10により構成されている。
がんぎ車130の外周には歯132が形成されている。アンクル142は、地板144とアンクル受138との間で回転可能に支持されており、一対のつめ石142a,142bを備えている。アンクル142の一方のつめ石142aが、がんぎ車130の歯132に係合した状態で、がんぎ車130は一時的に停止している。
てんぷ10は、てんぷ受104(請求項の「支持部材」に相当。)と地板144との間において回転可能に支持されており、一定周期で往復回転することにより、がんぎ車130の歯132に、アンクル142の一方のつめ石142aおよび他方のつめ石142bを、交互に係合および解除させている。これにより、がんぎ車130を一定速度で脱進させている。なお、てんぷ10の詳細については後述する。
このような構成のもと、巻真110を用いて香箱車120に収容された不図示のぜんまいを巻き上げた後、このぜんまいが巻き戻される際の回転力により、香箱車120が回転する。香箱車120が回転することにより、これと噛合う二番車124が回転する。二番車124が回転すると、これに噛合う三番車126が回転する。三番車126が回転すると、これに噛合う四番車128が回転する。四番車128が回転すると、脱進・調速装置140が駆動する。脱進・調速装置140が駆動することにより、四番車128が1分間に1回転するように制御されるとともに、二番車124が1時間に1回転するように制御される。
(第一実施形態)
続いて、第一実施形態に係るてんぷ10の詳細について説明する。
図3は、第一実施形態に係るてんぷ10の平面図であり、ムーブメント100(図2参照)の表側から見た状態を図示している。なお、図3において、後述するひげ持60およびひげ持受70を二点鎖線で図示している。
図4は、図3のA−A線に沿った断面図である。なお、図4において、地板144を挟んで紙面上側がムーブメント100(図2参照)の表側となっており、地板144を挟んで紙面下側がムーブメント100の裏側となっている。また、てんぷ受104、地板144およびひげ持受70を二点鎖線で図示している。
図3に示すように、てんぷ10は、主にてん輪20と、てん真30と、ひげぜんまい40と、ひげ玉50と、ひげ持60と、ひげ持受70と、を備えている。以下にてんぷ10を構成する各部品について説明する。なお、以下では、てんぷ10が往復回転する際の回転中心を中心軸Oとし、中心軸Oに沿う方向を軸方向といい、中心軸Oと直交する方向を径方向といい、中心軸O周りに周回する方向を周方向という。また、図4以降、ひげぜんまい40の中心(アルキメデス曲線の中心)を中心軸Cとして図示している。
てん輪20は、例えば真鍮等の金属材料により略円環状に形成された環状部21と、環状部21の内周面から中心軸Oに向かって径方向に沿うように延設された四本のアーム部23と、により形成されている。
てん輪20の環状部21は、中心軸Oと同軸上に配置されている。
四本のアーム部23は、それぞれ周方向に90°ピッチとなるように、略等間隔に形成されている。図4に示すように、四本のアーム部23の連結部25には、中心軸Oと同軸の嵌合孔25aが形成されている。連結部25の嵌合孔25aは、てん真30のてん輪固定部31に例えば外嵌圧入されている。これにより、てん輪20は、てん真30に外嵌固定されて、てん真30とともに回転可能とされている。
てん真30は、例えば真鍮等の金属材料により形成された棒状の軸部材であって、てん真30の中心軸は、てんぷ10の回転中心である中心軸Oと一致している。
てん真30は、てん輪固定部31と、てん輪固定部31よりもてんぷ受104側(図4における上側)に形成されたひげ玉固定部32と、を備えている。てん輪固定部31およびひげ玉固定部32は、それぞれ中心軸Oと同軸の円柱状に形成されている。
また、てん真30は、軸方向の両端に、先細りに形成されたほぞ33を備えている。てん真30は、一方のほぞ33aがてんぷ受104に不図示の軸受を介して枢支され、他方のほぞ33bが地板144に不図示の軸受を介して枢支されることにより、中心軸O周りに回転可能となっている。
てん真30は、軸方向におけるてん輪20よりも地板144側(図4における下側)に、筒形の振り座35を備えている。振り座35には、径方向に張り出したフランジ部36が形成されている。フランジ部36における径方向の外側には、所定の位置に不図示の振り石が設けられている。振り石は、てんぷ10の往復回転の周期と同期してアンクル142のハコ内周面に一定の周期で衝突することによってアンクル142を往復運動させ、アンクル142の一方のつめ石142aおよび他方のつめ石142b(いずれも図2参照)を、交互に跳ね上げている。これにより、図2に示すように、アンクル142の一方のつめ石142aおよび他方のつめ石142bは、がんぎ車130の歯132に対して係合および解除される。
図4に示すように、てんぷ10は、てん輪20よりもてんぷ受104側(図4における上側)に、ひげぜんまい40を備えている。図3に示すように、ひげぜんまい40は、例えば鉄やニッケル等の金属材料からなる薄板ばねであり、複数の巻き数をもった渦巻状のひげぜんまい本体部41と、ひげぜんまい本体部41の外周側の円弧部42と、により形成されている。ひげぜんまい40は、ひげぜんまい本体部41の渦巻形状がいわゆるアルキメデス曲線に沿うように形成されている。これにより、ひげぜんまい40を軸方向から見たときに、径方向に隣り合うひげぜんまい本体部41同士が略等間隔となるように配置される。ひげぜんまい本体部41の内端部43(すなわちひげぜんまい40の内端部43)における内周面の一部は、ひげ玉50に対して例えば溶接により固定される内端固定面43aとなっている。ひげぜんまい40の内端固定面43aをひげ玉50に溶接することにより、ひげぜんまい40の内端部43は、ひげ玉50を介しててん真30に連結される。
円弧部42は、ひげぜんまい本体部41の外周側において、ひげぜんまい本体部41よりも大きな曲率半径を有するように形成されている。円弧部42の外端部45(すなわちひげぜんまい40の外端部45)は、後述のひげ持60に固定されている。
図5は、図4におけるひげ玉50の拡大図である。
図5に示すように、ひげ玉50は、例えばニッケルやニッケル合金等の金属材料により形成された環状の部材であり、筒部51と、ひげぜんまい40の内端部43が固定される支持部53と、により形成されている。
筒部51の貫通孔51aの内径は、てん真30に外嵌圧入可能なように、てん真30のひげ玉固定部32の外径よりも小さくなっている。
支持部53は、筒部51のてんぷ受104側(図4参照、図5における上側)の端部において、径方向の外側に突出形成されている。支持部53の外側面は、ひげぜんまい40の内端固定面43aが溶接等により固定される固定面55となっている。
ひげ玉50の貫通孔51aの中心軸は、その中心軸を含むとともに固定面55と交差する断面(すなわち図3のA−A線に沿う断面)において、支持部53の固定面55に対して角度θ1だけ傾斜している。したがって、中心軸Oにひげ玉50の貫通孔51aの中心軸を一致させた状態でてん真30にひげ玉50の貫通孔51aを挿通し、てん真30にひげ玉50を外嵌固定したとき、中心軸Oに対してひげぜんまい40のアルキメデス曲線の中心軸Cが角度θ1だけ傾斜し、かつひげぜんまい40の内端固定面43aが中心軸Oに対して角度θ1だけ傾斜した状態で、ひげぜんまい40がてん真30に固定される。
これにより、ひげ玉50は、ひげぜんまい40の内周面40aを軸方向に延長したとき(図5においては、ひげぜんまい40の内周面40aのうち内端固定面43aを軸方向に延長したときを図示)、中心軸Oに対して角度θ1で交差するように、ひげぜんまい40の内端部43を傾斜配置できる。このように、支持部53の固定面55に対して角度θ1だけ傾斜する貫通孔51aを形成することにより、ひげぜんまい40の内端部43を傾斜配置できる内端部傾斜配置構造80をひげ玉50に設けている。なお、ひげぜんまい40の内端部43を傾斜配置したときの作用および効果については後述する。
図6は、ひげ持60およびひげ持受70の説明図である。なお、図6においては、分かりやすくするために、てんぷ10の構成部品のうち、ひげぜんまい40、ひげ持60およびひげ持受70のみを図示している。また、ひげぜんまい40の外端部45におけるアルキメデス曲線に対する接線をT(以下、「接線T」という。)として図示し、接線Tと直交する径方向の軸線をRとして図示している。
図6に示すように、ひげぜんまい40の外端部45は、ひげ持60およびこのひげ持60を支持するひげ持受70を介して、てんぷ受104(図4参照)に連結される。
ひげ持60は、保持部61と、ひげ持本体部63と、固定用ボルト65とにより構成されている。
保持部61は、円筒状に形成されており、内側にひげぜんまい40の外端部45が例えば接着剤等により固定されている。
ひげ持本体部63は、直方体状に形成されている。ひげ持本体部63には、保持部61が挿入可能な貫通孔63aが形成されている。貫通孔63aの中心軸は、ひげぜんまい40の外端部45の接線Tに沿うように設けられている。ひげ持本体部63の貫通孔63a内には、保持部61ごとひげぜんまい40の外端部45が配置される。このとき、保持部61は、ひげ持本体部63に対して、貫通孔63a内において接線T周りに回動可能に取り付けられる。
また、ひげ持本体部63には、固定用ボルト65が径方向の外側から螺着されている。固定用ボルト65の先端は、固定用ボルト65を締め込むことにより、保持部61の外周面と当接するように配置されている。これにより、保持部61は、接線T周りに所定角度だけ回転させた状態で固定可能となっているので、ひげぜんまい40の外端部45を接線T周りに傾斜させることができる。
ひげ持受70は、取付部71と、ひげ持支持部73と、接続部75と、固定用ボルト77とにより構成されている。
取付部71は、C字状に形成されており、中心軸Oと同軸上に配置されている。取付部71は、てんぷ受104(図4参照)に対して例えば接着剤等や外嵌圧入等により固定される。
ひげ持支持部73は、ひげぜんまい40の外端部45に対応する位置において、軸方向に沿ってひげぜんまい40側に向かって張り出し形成されている。ひげ持支持部73は、接続部75を介して取付部71と連結されている。
ひげ持支持部73における径方向の外側面は、ひげ持60が取り付けられる取付面73aとなっている。ひげ持支持部73の取付面73aには、ひげ持60のひげ持本体部63が不図示の軸部材を介して取り付けられる。これにより、ひげ持60は、ひげ持受70に対して径方向の軸線R周りに回動可能となっている。
また、ひげ持支持部73における周方向に面する側面には、固定用ボルト77が螺着されている。固定用ボルト77の先端は、固定用ボルト77を締め込むことにより、ひげ持60を軸支する不図示の軸部材の外周面と当接するように配置されている。これにより、ひげ持60は、径方向の軸線R周りに所定角度だけ回転させた状態で固定可能となっているので、ひげぜんまい40の外端部45を径方向の軸線R周りに傾斜させることができる。
上述のように、ひげ持60は、ひげ持受70に対して、ひげぜんまい40の径方向の軸線Rを中心に回転可能に設けられるとともに、ひげぜんまい40の外端部45の接線Tを中心に回転可能に設けられている。これにより、ひげ持60は、ひげぜんまい40の内周面40aを軸方向に延長したとき、中心軸Oと交差するようにひげぜんまい40の外端部45を傾斜配置できる。このように、本実施形態では、ひげ持60およびひげ持受70に、ひげぜんまい40の外端部45を傾斜配置できる外端部傾斜配置構造90を設けている。なお、ひげぜんまい40の外端部45を傾斜配置したときの作用および効果については後述する。
(作用)
続いて、上述したてんぷ10において、ひげぜんまい40の内端部43をおよび外端部45を傾斜配置したときの作用について説明する。なお、以下の説明における各部品の符号については、図1から図6を参照されたい。
まず、ひげぜんまい40の内端部43を角度θ1だけ傾斜させて配置するとともに(図5参照)、角度θ1の値を種々変更したときの、てんぷ10の振り角(°)に対する歩度(秒/日)の変化についてシミュレーションにより検討した。このとき、図4に示すように、ひげぜんまい40のアルキメデス曲線の中心軸Cは、中心軸Oに対して角度θ1だけ傾斜するように配置される。これにより、中心軸Oおよびアルキメデス曲線の中心軸Cを含む断面において、ひげぜんまい40の複数の内周面40aは、すべてアルキメデス曲線の中心軸Cに対して平行となるとともに、中心軸Oに対して角度θ1だけ傾斜するように配置される。
図7は、縦軸を歩度(秒/日)とし、横軸をてんぷ10の振り角(°)とし、ひげぜんまい40の内端部43の中心軸Oに対する角度θ1をx1,x2,x3,x4の各値に変更してひげぜんまい40の内端部43を傾斜配置したときの、てんぷ10の振り角に対する歩度の変化を示すグラフである。ここで、ひげぜんまい40の内端部43の角度θ1であるx1,x2,x3,x4の各値は、この順に大きくなるように設定されている。
図7に示すように、てんぷ10の振り角が約250°以下の範囲において、ひげぜんまい40の内端部43の角度θ1が大きくなるにつれて、歩度が増大することが確認された。また、ひげぜんまい40の内端部43の角度θ1が大きくなるにつれて、てんぷ10の振り角の減少にともなう歩度の増加率が増大することが確認された。
続いて、ひげぜんまい40の内端部43を角度θ1だけ傾斜させて配置するとともに、ひげぜんまい40の内端部43の傾斜方向と同一方向に、ひげぜんまい40の外端部45を角度θ1に加えてさらに角度θ2だけ傾斜させ、角度θ2の値を種々変更したときのてんぷ10の振り角(°)に対する歩度(秒/日)の変化について、シミュレーションにより検討した。このとき、ひげぜんまい40のアルキメデス曲線の中心軸Cは、中心軸Oに対して角度θ1だけ傾斜するように配置される。また、中心軸Oおよびアルキメデス曲線の中心軸Cを含む断面において、ひげぜんまい40における複数の内周面40aの中心軸Oに対する傾斜角度は、径方向の内側から外側に向かって、角度θ2に漸近するように傾斜配置される。すなわち、ひげぜんまい40の内端部43および外端部45は、中心軸Oに対してともに傾斜配置されている。
図8は、縦軸を歩度(秒/日)とし、横軸をてんぷ10の振り角(°)とし、ひげぜんまい40の内端部43の中心軸Oに対する角度θ1を例えばx3として固定しつつ、ひげぜんまい40の外端部45の中心軸Oに対する角度θ2をy1,y2,y3,y4の各値に変更したときの、てんぷ10の振り角に対する歩度の変化を示すグラフである。ここで、ひげぜんまい40の外端部45の角度θ2であるy1,y2,y3,y4の各値は、この順に大きくなるように設定されている。
図8に示すように、てんぷ10の振り角が約220°以下の範囲において、ひげぜんまい40の外端部45の角度θ2が大きくなるにつれて、歩度が増大することが確認された。また、ひげぜんまい40の外端部45の角度θ2が大きくなるにつれて、てんぷ10の振り角の減少にともなう歩度の増加率が増大することが確認された。
ここで、図23に示すように、脱進機誤差は、表輪列の動力源であるぜんまいのトルク低下に起因しており、てんぷ10の振り角が低下するにつれて、歩度が低下する。特に、てんぷ10の振り角が200°以下となったときに、歩度が著しく低下することが知られている。
これに対して、図7に示すように、ひげぜんまい40の内端部43の角度θ1だけ傾斜させて配置し、ひげぜんまい40の内端部43の角度θ1を大きくすることにより、振り角が約250°以下の範囲において、歩度を増大させることができるとともに、てんぷ10の振り角の減少にともなう歩度の増加率を増大させることができる。さらに、図8に示すように、ひげぜんまい40の内端部43を傾斜配置するとともに、ひげぜんまい40の外端部45を角度θ1に加えてさらに角度θ2だけ傾斜させて配置した状態で、ひげぜんまい40の外端部45の角度θ2を大きくすることにより、振り角が約220°以下の範囲において、歩度を増大させることができるとともに、てんぷ10の振り角の減少にともなう歩度の増加率を増大させることができる。したがって、脱進機誤差の影響により歩度が著しく低下する、てんぷの振り角が200°以下の範囲において(図23参照)、脱進機誤差の影響による歩度の低下を効果的に抑制することができる。
本実施形態によれば、ひげぜんまい40の内周面40aをてん真30の軸方向に延長したときに、てん真30の中心軸Oと交差するように形成されているので、ひげぜんまい40をてん真30の中心軸Oに対して傾斜配置することができる。ここで、ひげぜんまい30をてん真30の中心軸Oに対して傾斜配置したとき、脱進機誤差の影響により歩度が著しく低下するてんぷ10の振り角の範囲(図23におけるてんぷの振り角が200°以下の範囲)において、歩度を増大できることが確認された(図7のグラフおよび図8のグラフ参照)。したがって、ひげぜんまい40をてん真30の中心軸Oに対して傾斜配置することにより、脱進機誤差の影響による歩度の低下を抑制することができる。また、ひげぜんまい40の中心軸Cは、仮想の軸線であるため、従来技術においてひげぜんまい40の偏心の方向および偏心量の測定が困難であった。これに対して、ひげぜんまい40の傾斜角度は容易に測定できるので、ひげぜんまい40の傾斜角度を容易に調整できる。したがって、本実施形態のてんぷ10によれば、歩度を容易に調整して脱進機誤差を減少させることができ、安定した歩度特性を得ることができる。
また、ひげ玉50に、ひげぜんまい40の内周面40aがてん真30の中心軸Oと交差するようにひげぜんまい40の内端部43を配置する内端部傾斜配置構造80を設けたので、ひげぜんまい40をてん真30の中心軸Oに対して確実に傾斜配置できる。これにより、脱進機誤差の影響による歩度の低下を抑制することができる。また、ひげ玉50に内端部傾斜配置構造80が設けられているので、ひげ玉50の形状等を変更することにより、ひげぜんまい40の傾斜角度が任意の傾斜角度になるように容易に設定できる。
また、ひげぜんまい40の内周面40aのうち、ひげ玉50に固定される内端固定面43aをてん真30の中心軸Oに対して傾斜配置できる。したがって、脱進機誤差の影響による歩度の低下を抑制することができる。
また、ひげ持60およびひげ持受70に、ひげぜんまい40の内周面40aがてん真30の中心軸Oと交差するようにひげぜんまい40の外端部45を配置する外端部傾斜配置構造90を設けたので、ひげぜんまい40をてん真30の中心軸Oに対して確実に傾斜配置できる。これにより、脱進機誤差の影響による歩度の低下を抑制することができる。また、ひげ持60およびひげ持受70に外端部傾斜配置構造90が設けられているので、ひげ持60およびひげ持受70の形状等を変更することにより、ひげぜんまい40の傾斜角度が任意の傾斜角度になるように容易に設定できる。
また、外端部傾斜配置構造90は、ひげ持60およびひげ持受70により形成されて、ひげぜんまい40の径方向の軸線Rを中心に回転可能に設けられるとともに、ひげぜんまい40の外端部45の接線Tを中心に回転可能に設けられているので、ひげ持60をひげぜんまい40の径方向の軸線R周りおよびひげぜんまい40の外端部45の接線T周りに回転させることで、任意の方向にひげぜんまい40の外端部45を傾斜させることができる。特に、ひげぜんまい40の内端部43を傾斜配置したときに、内端部43の傾斜角度に対応して、ひげぜんまい40の外端部45の傾斜角度および傾斜方向を任意に調整できる。また、ひげぜんまい40の外端部45は、ひげ持60をひげぜんまい40の径方向の軸線R周りおよびひげぜんまい40の外端部45の接線T周りの少なくともいずれかに回転させた状態で、ひげ持60に支持されているので、ひげぜんまい40の内周面40aのうち、ひげ持60に固定される外端部45の内周面をてん真30の中心軸に対して傾斜配置できる。
したがって、ひげぜんまい40の内端部43をてん真30の中心軸Oに対して傾斜配置するとともに、ひげぜんまい40の外端部45をてん真30の中心軸Oに対して傾斜配置することにより、脱進機誤差の影響による歩度の低下を効果的に抑制することができる。
また、本発明によれば、上述のてんぷ10が組み込まれることにより、脱進機誤差の少ない高精度なムーブメント100およびこのムーブメント100を備えた時計1を得ることができる。
(第一実施形態の各変形例)
続いて、第一実施形態の各変形例に係るてんぷ10について説明する。以下の第一実施形態の各変形例では、内端部傾斜配置構造80の各形態について説明する。
第一実施形態のてんぷ10は、ひげ玉50に内端部傾斜配置構造80を設け、ひげ玉50の支持部53の固定面55に対して角度θ1だけ傾斜する貫通孔51aを形成することにより、ひげぜんまい40の内端部43を中心軸Oに対して傾斜配置していた(図5参照)。
これに対して、内端部傾斜配置構造80は、第一実施形態に限定されることはない。すなわち、内端部傾斜配置構造80は、ひげぜんまい40の内端部43、てん真30およびひげ玉50のうち少なくともいずれかに設けていればよく、以下に述べる各変形例に係るてんぷ10の内端部傾斜配置構造80により、ひげぜんまい40の内端部43を中心軸Oに対して傾斜配置してもよい。なお、以下では、第一実施形態と同様の構成部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
(第一実施形態の第一変形例)
図9は、第一実施形態の第一変形例に係るてんぷ10の説明図であり、内端部傾斜配置構造80の拡大図である。
図9に示すように、ひげ玉50には、てん真30のひげ玉固定部32に外嵌可能な貫通孔51aが形成されている。また、ひげ玉50の支持部53の外側面は、ひげぜんまい40の内端固定面43aが溶接等により固定される固定面55となっている。ひげ玉50の固定面55は、ひげ玉50の貫通孔51aの中心軸を含むとともに固定面55と交差する断面(すなわち図3のA−A線に沿う断面に相当する断面)において、ひげ玉50の貫通孔51aの中心軸に対して角度θ1だけ傾斜している。このため、中心軸Oにひげ玉50の貫通孔51aの中心軸を一致させた状態でてん真30にひげ玉50の貫通孔51aを挿通し、てん真30にひげ玉50を外嵌固定したとき、中心軸Oに対してひげぜんまい40のアルキメデス曲線の中心軸Cが角度θ1だけ傾斜し、かつひげぜんまい40の内端固定面43aが中心軸Oに対して角度θ1だけ傾斜した状態で、ひげぜんまい40がてん真30に固定される。このように、中心軸Oに対して角度θ1だけ傾斜する固定面55を形成することにより、てん真30に内端部傾斜配置構造80を設けている。
(第一実施形態の第二変形例)
図10は、第一実施形態の第二変形例に係るてんぷ10の説明図であり、内端部傾斜配置構造80の拡大図である。
図10に示すように、てん真30は、てん輪固定部31と、てん輪固定部31よりもてんぷ受104側(図4参照、図10における上側)に形成されたひげ玉固定部32と、を備えている。てん輪固定部31は、中心軸Oと同軸に形成されている。
ひげ玉固定部32は、その中心軸が中心軸Oに対して角度θ1だけ傾斜するように形成されている。このため、てん真30におけるひげ玉固定部32の中心軸にひげ玉50の貫通孔51aの中心軸を一致させた状態で、てん真30にひげ玉50を外嵌固定したとき、ひげ玉50が中心軸Oに対して角度θ1だけ傾斜した状態で固定される。したがって、中心軸Oに対してひげぜんまい40のアルキメデス曲線の中心軸Cが角度θ1だけ傾斜し、かつひげぜんまい40の内端固定面43aが中心軸Oに対して角度θ1だけ傾斜した状態で、ひげぜんまい40がてん真30に固定される。このように、中心軸Oに対して角度θ1だけ傾斜するひげ玉固定部32を形成することにより、てん真30に内端部傾斜配置構造80を設けている。
(第一実施形態の第三変形例)
図11は、第一実施形態の第三変形例に係るてんぷ10の説明図であり、内端部傾斜配置構造80の拡大図である。図12は、ひげぜんまい40の内端部43の拡大図である。
図11および図12に示すように、ひげぜんまい40の内端固定面43aは、ひげぜんまい40の内端部43において、ひげぜんまい40の内周面40aに対して傾斜するように設けられている。具体的に内端固定面43aは、てんぷ受104側(図4参照、図11および図12における上側)から地板144側(図4参照、図11および図12における下側)に向かって、漸次径方向の内側に傾斜する傾斜面となっている。内端固定面43aの内周面40aに対する傾斜角度はθ1に設定されている。これにより、ひげぜんまい40の内端部43は、内端固定面43aをひげ玉50の固定面55に溶接したとき、ひげ玉50の中心軸に対して角度θ1だけ傾斜した状態で固定される。したがって、てん真30にひげ玉50を外嵌固定したとき、中心軸Oに対してひげぜんまい40のアルキメデス曲線の中心軸Cが角度θ1だけ傾斜し、かつひげぜんまい40の内周面40aが中心軸Oに対して角度θ1だけ傾斜した状態で、ひげぜんまい40がてん真30に固定される。このように、傾斜した内端固定面43aを形成することにより、ひげぜんまい40の内端部43に内端部傾斜配置構造80を設けている。
(第一実施形態の第四変形例)
図13は、第一実施形態の第四変形例に係るてんぷ10の説明図であり、内端部傾斜配置構造80の拡大図である。なお、図13においては、ひげ玉50およびひげぜんまい40のみを図示している。
図13に示すように、ひげぜんまい40の内端部43は、内端固定面43aに隣接する部分において、アルキメデス曲線周りに角度θ1だけ捻り形成されている。これにより、ひげぜんまい40は、中心軸Oに対してアルキメデス曲線の中心軸Cが角度θ1だけ傾斜した状態で配置される。また、中心軸Oおよびアルキメデス曲線の中心軸Cを含む断面において、ひげぜんまい40の内端固定面43a以外の内周面40aは、すべてアルキメデス曲線の中心軸Cに対して平行となるように、中心軸Oに対して角度θ1だけ傾斜して配置される。このように、ひげぜんまい40の内端部43を捻り形成することにより、ひげぜんまい40の内端部43に内端部傾斜配置構造80を設けている。
(第一実施形態の第五変形例)
図14は、第一実施形態の第五変形例に係るてんぷ10の説明図であり、内端部傾斜配置構造80の拡大図である。なお、図14においては、ひげ玉50およびひげぜんまい40のみを図示している。
図14に示すように、ひげ玉50の支持部53には、径方向の中間部分において薄肉部54が形成されている。ひげ玉50の固定面55は、薄肉部54を塑性変形させることにより、任意の方向に傾斜可能となっている。これにより、ひげぜんまい40の内端固定面43aは、中心軸Oに対して任意の方向に傾斜した状態で固定される。このように、ひげ玉50の支持部53に薄肉部54を形成することにより、ひげ玉50の支持部53に内端部傾斜配置構造80を設けている。
(第一実施形態の第六変形例)
図15は、第一実施形態の第六変形例に係るてんぷ10の説明図であり、内端部傾斜配置構造80の斜視断面図である。図16は、第一実施形態の第六変形例に係るひげ玉50の拡大図である。
図15に示すように、てん真30のひげ玉固定部32の外周面は、凸球面状に形成されている。また、ひげ玉50の貫通孔51aの内周面は、ひげ玉固定部32の外形に対応した凹球面状に形成されている。
図16に示すように、ひげ玉50の筒部51および支持部53には、軸方向から見て径方向に沿うようにスリット56が形成されている。スリット56を設けることにより、ひげ玉50がC字状に形成されるとともに、筒部51が弾性変形して拡径可能となっている。
図15に示すように、ひげ玉50をひげ玉固定部32に挿入したとき、ひげ玉50は、筒部51の弾性力によりひげ玉固定部32を締め付けることでひげ玉固定部32に保持される。このとき、ひげ玉50の貫通孔51aの内周面およびひげ玉固定部32は、それぞれ球面状に形成されて互いに面接触しているので、ひげ玉50は、球面の中心周りに任意の方向に傾斜可能となっている。これにより、ひげぜんまい40の内端固定面43aは、中心軸Oに対して任意の方向に傾斜した状態で固定される。このように、てん真30のひげ玉固定部32の外周面を凸球面状に形成するとともに、ひげ玉50の貫通孔51aの内周面を凹球面状に形成することにより、ひげ玉50およびてん真30に内端部傾斜配置構造80を設けている。
(各実施形態)
続いて、各実施形態に係るてんぷ10について説明する。以下の各実施形態では、外端部傾斜配置構造90の各形態について説明する。
第一実施形態のてんぷ10は、ひげ持60およびひげ持受70に外端部傾斜配置構造90を設け、ひげ持60がひげ持受70に対して、ひげぜんまい40の径方向の軸線Rを中心に回転可能に設けられるとともに、ひげぜんまい40の外端部45の接線Tを中心に回転可能に設けられていた。
これに対して、外端部傾斜配置構造90は、第一実施形態に限定されることはない。すなわち、外端部傾斜配置構造90は、ひげぜんまい40の外端部45、ひげ持60およびひげ持受70のうち少なくともいずれかに設けていればよく、以下に述べる各変形例に係るてんぷ10の外端部傾斜配置構造90により、ひげぜんまい40の外端部45を中心軸Oに対して傾斜配置してもよい。なお、以下では、第一実施形態と同様の構成部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
(第二実施形態)
図17は、第二実施形態に係るてんぷ210の説明図であり、外端部傾斜配置構造90の説明図である。なお、図17においては、分かりやすくするために、ひげ持260のひげ持本体部263を二点鎖線にて図示している。
図17に示すように、ひげ持本体部263には、径方向の外側から固定用ボルト265が螺着されている。固定用ボルト265のねじ部は、螺旋状に螺刻されたウォームねじ部265aとなっている。
また、ひげ持260の保持部261における外周面には、固定用ボルト265のウォームねじ部265aに対応した位置に、ウォームねじ部265aと噛合可能なウォームギヤ部261aが設けられている。
固定用ボルト265のウォームねじ部265aと保持部261のウォームギヤ部261aとが噛合した状態で、固定用ボルト265を回転させることにより、保持部261は、ひげ持本体部263に対して、貫通孔263a内において接線T周りに回動する。これにより、保持部261は、接線T周りに所定角度だけ回転させた状態で固定可能となっているので、ひげぜんまい40の外端部45を接線T周りに傾斜させることができる。このように、固定用ボルト265にウォームねじ部265aを形成し、保持部261の外周面にウォームギヤ部261aを形成することにより、ひげ持260に外端部傾斜配置構造90を設けている。特に、本実施形態の外端部傾斜配置構造90は、ウォームねじ部265aの回転角度に応じて、保持部261の回転角度(すなわちひげぜんまい40の外端部45の傾斜角度)を微調整することができる点で有効である。
(第三実施形態)
図18は、第三実施形態に係るてんぷ310の説明図であり、外端部傾斜配置構造90の説明図である。
図18に示すように、ひげ持360の保持部361は、球状に形成されている。保持部361には、ひげぜんまい40の外端部45を挿通するとともに固定が可能なように、挿通孔366が形成されている。保持部361からは、てんぷ受104側(図4参照、図18における上側)に向かって軸方向に沿うように棒状の操作部367が立設されている。
ひげ持支持部373の取付面373aには、保持部361の球面に対応して凹球面部が形成されている。
また、ひげ持支持部373の径方向の外側には、ひげ持支持部373の取付面373aに対向するように、直方体状の支持片374が設けられている。支持片374におけるひげ持支持部373の取付面373aと対向する面は、取付面374aとなっている。支持片374の取付面374aには、ひげ持支持部373の取付面373aと同様に、保持部361の球面に対応して凹球面部が形成されている。支持片374は、複数の固定用ボルト365により、径方向の外側からひげ持支持部373に取付可能となっている。
ひげ持360の保持部361は、ひげ持支持部373と支持片374とにより回動可能に挟持される。このとき、保持部361は、ひげ持支持部373の凹球面部および支持片374の凹球面部により挟持されるので、保持部361は、球面の中心周りに任意の方向に回動可能となっている。そして、操作部367を動かして、ひげぜんまい40の外端部45が任意の角度に傾斜するようにひげ持360の保持部361を回動させた後、複数の固定用ボルト365を締結することにより、ひげぜんまい40の外端部45は、中心軸Oに対して任意の方向に傾斜した状態で固定される。このように、ひげ持360の保持部361を球面状に形成するとともに、ひげ持支持部373の取付面373aおよび支持片374の取付面374aに凹球面部を形成することにより、ひげ持360およびひげ持受70に外端部傾斜配置構造90を設けている。
(第四実施形態)
図19は、第四実施形態に係るてんぷ410の説明図であり、外端部傾斜配置構造90の説明図である。
図19に示すように、ひげ持460の保持部461は、球状に形成されている。保持部461には、ひげぜんまい40の外端部45を挿通するとともに固定が可能なように、挿通孔466が形成されている。
ひげ持支持部473の取付面473aは、地板144側(図4参照。図19における下側)に面するように配置されており、保持部461の球面に対応して凹球面部が形成されている。
また、ひげ持支持部473の地板144側(図4参照。図19における下側)には、ひげ持支持部473の取付面473aに対向するように、直方体状の支持片474が設けられている。支持片474におけるひげ持支持部473の取付面473aと対向する面は、取付面474aとなっている。支持片474の取付面474aには、ひげ持支持部473の取付面473aと同様に、保持部461の球面に対応して凹球面部が形成されている。支持片474は、複数の固定用ボルト465により、地板144側(図4参照。図19における下側)からひげ持支持部473に取付可能となっている。
ひげ持460の保持部461は、ひげ持支持部473と支持片474とにより回動可能に挟持される。このとき、保持部461は、ひげ持支持部473の凹球面部および支持片474の凹球面部により挟持されるので、保持部461は、球面の中心周りに任意の方向に回動可能となっている。そして、ひげぜんまい40の外端部45が任意の角度に傾斜するようにひげ持460の保持部461を回動させた後、複数の固定用ボルト465を締結することにより、ひげぜんまい40の外端部45は、中心軸Oに対して任意の方向に傾斜した状態で固定される。このように、ひげ持460の保持部461を球面状に形成するとともに、ひげ持支持部473の取付面473aおよび支持片474の取付面474aに凹球面部を形成することにより、ひげ持460およびひげ持受70に外端部傾斜配置構造90を設けている。
(第五実施形態)
図20は、第五実施形態に係るてんぷ510の説明図であり、外端部傾斜配置構造90の説明図である。図21は、図20のB−B線に沿った断面図である。
図20に示すように、ひげ持受70のひげ持支持部573は、径方向の外側に張り出す板状に形成されている。ひげ持支持部573には、軸方向に沿うように調整ボルト68が螺着されている。
ひげ持560は、円柱状に形成されており、ひげ持支持部573に対して軸方向に沿うように配置されている。ひげ持560は、径方向の外側からひげ持支持部573に締結された固定ボルト565の先端が当接することにより、ひげ持支持部573に保持されている。ひげ持560の地板144側(図4参照。図20における下側)の端面には、ひげぜんまい40の外端部45の接線Tに沿うように、溝状の保持部561が軸方向に凹み形成されている。保持部561には、ひげぜんまい40の外端部45が固定されている。
図21に示すように、ひげぜんまい40の外端部45は、一部が捻り形成されて軸方向に面する調整部45aとなっている。調整部45aには、調整ボルト68の先端が当接している。また、ひげぜんまい40の外端部45のうち、保持部561に固定された固定部45bと調整部45aとの間の領域は、軸方向に弾性変形可能な弾性変形部45cとなっている。
調整ボルト68を締め込むことにより、弾性変形部45cが弾性変形しつつ、調整部45aが地板144側(図4参照。図21における下側)に移動する。また、調整ボルト68を緩めることにより、弾性変形部45cの弾性復元力により、調整部45aがてんぷ受104側(図4参照。図21における上側)に移動する。このように、調整ボルト68を回して調整部45aの軸方向の位置を調整することにより、ひげぜんまい40の外端部45は、中心軸Oに対して任意の方向に傾斜した状態で固定される。このように、ひげ持受70のひげ持支持部573に調整ボルト68を設けるとともに、ひげぜんまい40の外端部45に調整部45aおよび弾性変形部45cを形成することにより、ひげ持受70およびひげぜんまい40に外端部傾斜配置構造90を設けている。
(第六実施形態)
図22は、第六実施形態に係るてんぷ610の説明図であり、外端部傾斜配置構造90の説明図である。
図22に示すように、ひげ持受70のひげ持支持部673は、径方向に張り出す板状に形成されている。
ひげ持660は、円柱状に形成されており、ひげ持支持部673に対して軸方向に沿うように配置されている。ひげ持660は、径方向の外側からひげ持支持部673に締結された固定ボルト665の先端が当接することにより、ひげ持支持部673に保持されている。ひげ持660の地板144側(図4参照。図22における下側)の端面には、ひげぜんまい40の外端部45の接線Tに沿うように、溝状の保持部661が軸方向に凹み形成されている。保持部661には、ひげぜんまい40の外端部45が固定されている。
ここで、ひげ持660の軸方向における中間部には、他の部分よりも小径な脆弱部62が形成されている。ひげ持660の脆弱部62よりも地板144側(図4参照。図22における下側)の部分は、脆弱部62を塑性変形させることにより、任意の方向に傾斜可能となっている。これにより、ひげぜんまい40の外端部45は、中心軸Oに対して任意の方向に傾斜した状態で固定される。このように、ひげ持660に脆弱部62を形成することにより、ひげ持660に外端部傾斜配置構造90を設けている。
上述したいずれの各実施形態においても、ひげぜんまい40の内端部43を傾斜配置したときに、内端部43の傾斜角度に対応して、ひげぜんまい40の外端部45の傾斜角度および傾斜方向を任意に調整できる。したがって、第一実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、脱進機誤差の影響による歩度の低下を効果的に抑制することができる。
なお、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
内端部傾斜配置構造80および外端部傾斜配置構造90は、上述の第一実施形態、第一実施形態の各変形例および各実施形態の態様に限定されない。また、第一実施形態の各変形例に係る内端部傾斜配置構造80と、各実施形態に係る外端部傾斜配置構造90とを任意に組み合わせたてんぷとしてもよい。
第一実施形態では、ひげぜんまい40の内端部43およびひげぜんまい40の外端部45の両方を中心軸Oに対して傾斜配置していたが、ひげぜんまい40の内周面40aをてん真30の軸方向に延長したとき、ひげぜんまい40の内周面40aのうち少なくとも一部がてん真30の中心軸Oと交差するように、少なくともひげぜんまい40の内端部43を傾斜配置していればよい。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
1・・・時計 10,210,310,410,510,610・・・てんぷ 20・・・てん輪 30・・・てん真 40・・・ひげぜんまい 40a・・・内周面 43・・・内端部 45・・・外端部 50・・・ひげ玉 60,260,360,460,560,660・・・ひげ持 70・・・ひげ持受 80・・・内端部傾斜配置構造 90・・・外端部傾斜配置構造 100・・・ムーブメント(時計用ムーブメント) 104・・・てんぷ受(支持部材) O・・・中心軸 R・・・径方向の軸線 T・・・外端部の接線

Claims (7)

  1. 支持部材に対して回転自在に配置され、てん輪が外嵌固定されたてん真と、
    アルキメデス曲線に沿うように形成され、内端部が前記てん真に連結され、外端部が前記支持部材に連結されたひげぜんまいと、
    を備え、
    前記ひげぜんまいの内周面を前記てん真の軸方向に延長したとき、前記内周面のうち少なくとも一部が前記てん真の中心軸と交差するように形成されていることを特徴とするてんぷ。
  2. 前記ひげぜんまいの前記内端部は、前記てん真に対して外嵌固定されたひげ玉を介して前記てん真に連結され、
    前記ひげぜんまいの前記内端部、前記てん真および前記ひげ玉のうち少なくともいずれかに、前記ひげぜんまいの前記内周面を前記軸方向に延長したとき、前記内周面のうち少なくとも一部が前記てん真の前記中心軸と交差するように前記ひげぜんまいの前記内端部を配置する内端部傾斜配置構造を設けたことを特徴とする請求項1に記載のてんぷ。
  3. 前記内端部傾斜配置構造は、前記ひげぜんまいの前記内周面のうち、前記ひげ玉に固定される内端固定面を前記軸方向に延長したとき、前記てん真の前記中心軸と交差するように前記ひげぜんまいの前記内端部を配置することを特徴とする請求項2に記載のてんぷ。
  4. 前記ひげぜんまいの前記外端部は、ひげ持および前記ひげ持を支持するひげ持受を介して前記支持部材に連結され、
    前記ひげぜんまいの前記外端部、前記ひげ持および前記ひげ持受のうち少なくともいずれかに、前記ひげぜんまいの前記内周面を前記軸方向に延長したとき、前記内周面のうち少なくとも一部が前記てん真の前記中心軸と交差するように前記ひげぜんまいの前記外端部を配置する外端部傾斜配置構造を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のてんぷ。
  5. 前記外端部傾斜配置構造は、前記ひげ持により形成され、
    前記ひげ持は、前記ひげ持受に対して、前記ひげぜんまいの径方向の軸線を中心に回転可能に設けられるとともに、前記ひげぜんまいの前記外端部における前記アルキメデス曲線に対する接線を中心に回転可能に設けられ、
    前記ひげぜんまいの前記外端部は、前記ひげ持を前記ひげぜんまいの前記径方向の前記軸線周りおよび前記ひげぜんまいの前記外端部の前記接線周りの少なくともいずれかに回転させた状態で、前記ひげ持に支持されていることを特徴とする請求項4に記載のてんぷ。
  6. 請求項1に記載のてんぷが組み込まれた時計用ムーブメント。
  7. 請求項6に記載の時計用ムーブメントを備えていることを特徴とする時計。
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