以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている側を手前側(正面)として前後方向8が定義され、複合機10を手前側(正面)から見て左右方向9が定義される。
[複合機10の全体構造]
図1に示されるように、複合機10は、薄型の直方体に概ね形成されており、下部にプリンタ部11が設けられている。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。複合機10は、プリント機能として、インクジェット方式で記録用紙12(図2参照)の片面に画像を記録する機能を有している。
なお、複合機10は、記録用紙12の両面に画像を記録するものであってもよい。また、記録用紙12に画像を記録する方式は、インクジェット方式に限らず、電子写真方式などの他の方式であってもよい。また、プリント機能以外の機能の有無は任意である。複合機10には、シート搬送装置が設けられている。シート搬送装置は、記録用紙12を複合機10の内部において搬送させる装置であって、後述される各ガイド部材18,19、給紙トレイ20、搬送部80、及びリリースレバー90を備える。
[メインフレーム74及びサイドフレーム55]
プリンタ部11は、メインフレーム74(図3(B)参照)と、メインフレーム74に取り付けられる一対のサイドフレーム55(図3(B)参照)と、メインフレーム74を覆うように取り付けられる外装カバー14(図1参照)とを備えている。これらメインフレーム74、サイドフレーム55、外装カバー14などによって、本体が構成されている。
本実施形態において、メインフレーム74は、樹脂によって一体成形されている。なお、メインフレーム74は、樹脂以外の材質、例えば金属によって構成されていてもよいし、一体成形されていなくてもよい。図3(B)に示されるように、メインフレーム74は、前上部75と、前上部75の右側に前上部75と接合された右側部76と、前上部75の左側に前上部75と接合された左側部77と、前上部75の後方に配置された後上部79と、後上部79の下方に配置された後下部71と、を備えている。後下部71及び後上部79は、各右端が右側部76とそれぞれ接合され、各左端が左側部77とそれぞれ接合されている。
図1、図4、及び図7に示されるように、プリンタ部11の正面には、開口13が形成されている。図3(B)及び図4に示されるように、プリンタ部11における開口13の奥側には、メインフレーム74の前上部75、右側部76、及び左側部77によって区画された空間である収容部78が形成されている。つまり、収容部78は、複合機10の外部から開口13を介してアクセス可能な空間である。換言すると、開口13は、プリンタ部11の外部から収容部78へ通じる経路上に形成されている。
図3及び図4に示されるように、後下部71には、左右方向9の中央に対して対称に配置された一対のロック部69,70を有する。ロック部69,70は、前後方向8の前向きへそれぞれ突出しており、それぞれの突出端側が、左右方向9の外側へ向いた鈎形状である。ロック部69,70は、後述される給紙トレイ20のロック爪107,108と係合する。
一対のサイドフレーム55は、メインフレーム74の上側に取り付けられている。詳細には、一対のサイドフレーム55は、後上部79の右端部及び左端部の上面に、左右方向9において互いに対向して取り付けられている。本実施形態において、サイドフレーム55は金属製であるが、サイドフレーム55は金属以外からなるもの、例えば樹脂製のものであってもよい。サイドフレーム55は、概ね90度に屈曲した板状の部材である。つまり、サイドフレーム55は、後上部79に取り付けられた状態において、前後方向8及び左右方向9に拡がる板状の底部81と、底部81から上向きに立設されており上下方向7及び前後方向8に拡がる板状の側部82とを備えている。
底部81には、孔が形成されている。サイドフレーム55がメインフレーム74に取り付けられた状態において、後上部79における底部81の孔と同位置にも、孔が形成されている。底部81の孔にビス83が挿入されて後上部79の孔に螺合されることによって、サイドフレーム55がメインフレーム74に固定されている。図3(B)に示されるように、サイドフレーム55の底部81の上面には、後述されるリリースレバー90のガイド部91(図6参照)が支持される。したがって、サイドフレーム55とメインフレーム74とは、左右方向9におけるガイド部91と同位置においてビス83によって固定されている。
サイドフレーム55の前後方向8の後側には、上端から下方へ凹む凹溝53が形成されている。凹溝53は、後述される搬送ローラ60の軸35を支持する。サイドフレーム55の前後方向8の前側には、上下方向7に長い長孔54が設けられている。長孔54には、後述される排出ローラ62の軸64が挿通される。
[給紙トレイ20]
図1に示されるように、各種サイズの記録用紙12を支持可能な給紙トレイ20が、プリンタ部11を介して後向きに移動することによって、開口13を介して収容部78に収容可能である。給紙トレイ20は、メインフレーム74等に対して前後方向8に挿入及び脱抜可能である。給紙トレイ20がシートトレイに相当する。
図9に示されるように、給紙トレイ20は、平面視において前後方向8及び左右方向9に長い矩形の皿形状の外形を呈している。給紙トレイ20は、トレイ本体21及び排出トレイ22を有する。給紙トレイ20は、トレイ本体21に対して排出トレイ22が上下方向7の上側に配置された2段構成である。排出トレイ22はトレイ本体21に支持されている。給紙トレイ20は、各種サイズの記録用紙12を収容することができる。排出トレイ22は、各種サイズの記録用紙12を支持することができる。
図9及び図10に示されるように、トレイ本体21は、前後方向8及び左右方向9に長い矩形状に形成されている。トレイ本体21は、底板101を有する。記録用紙12は、底板101に載置される。底板101の前後方向8の後端には、傾斜板102が設けられている。傾斜板102は、トレイ本体21の左右方向9に長い板状部材である。傾斜板102は、上端側が下端側に対して装置後側へ傾倒している。傾斜板102に記録用紙12の先端が当接すると、記録用紙12の先端が傾斜板102の内側面103に沿って斜め上方へ案内される。
トレイ本体21には、一対のサイドガイド23,24が設けられている。サイドガイド23,24は、給紙トレイ20に載置された記録用紙12の左右方向9の位置を給紙トレイ20の左右方向9の中央に略一致させるようにガイドするものである。サイドガイド23,24のうちいずれか一方が左右方向9の一方向きへスライドされると、これに連動して、サイドガイド23,24のうちの他方が左右方向9の他方向きへスライドされる。したがって、給紙トレイ20に載置された記録用紙12の幅がサイドガイド23,24の離間距離よりも短い場合は、サイドガイド23,24の一方をスライドさせることにより、サイドガイド23,24が同時に移動される。
なお、各図には現れていないが、トレイ本体21における左右方向9の中央に、リヤガイドが設けられている。リヤガイドは、給紙トレイ20に載置された記録用紙12がトレイ本体21の前後方向8の前側へ移動することを規制するものである。リヤガイドは、トレイ本体21に対して前後方向8へスライド可能である。
図9及び図10に示されるように、トレイ本体21には、左右方向9に対向する側壁104,105が設けられている。側壁104,105は、トレイ本体21の底板101から上方へ垂直に起立している。側壁104の前後方向8の後側には、カム106が形成されている。カム106は、メインフレーム74に対する給紙トレイ20の挿入及び脱抜に伴う運動を後述されるカムフォロワ58へ伝達するものである。傾斜板102及びカム106が第2当接部に相当する。
図9及び図10に示されるように、カム106は、第1傾斜面111、第2傾斜面112、及び水平面113により構成されている。第1傾斜面111、第2傾斜面112、及び水平面113は、側壁104の上面114から前後方向8へトレイ本体21の後端にかけて連続的な面をなすように形成されている。上面114及び水平面113は、底板101からの高さが略等しい。第1傾斜面111及び第2傾斜面112は、上面114及び水平面113の間に設けられている。
第1傾斜面111は、上面114と第2傾斜面112との間において、前後方向8の後側が前側より下方となるように傾斜されている。第2傾斜面112は、第1傾斜面111と水平面113との間において、前後方向8の後側が前側より上方となるように傾斜されている。水平面113は、第2傾斜面112とトレイ本体21の先端との間において、前後方向8に沿って上面114と略平行に設けられている。このように構成されたカム106は、底板101に対する上下方向7の高さが前後方向8に沿って変化する。
なお、本実施形態においては、側壁104,105のうちの一方の側壁104にカム106が形成されているが、側壁104ではなく側壁105にカム106が形成されていてもよい。この場合、後述されるカムフォロワ58が側壁105側へ給送アーム26から延出される。また、カム106は、側壁104,105の両方に形成されていてもよい。
図10に示されるように、トレイ本体21の底板101の裏面側(記録用紙12が載置されない側)の前後方向8の後側には、ロック爪107,108が設けられている。ロック爪107,108は、底板101の裏面側において左右方向9の中央に対して対称に配置されている。ロック爪107,108は、前後方向8の後向きへ突出しており、それぞれの突出端側が、左右方向9の外側へそれぞれ一定範囲で回動可能に底板101に支持されている。また、各図には現れていないが、ロック爪107,108は、それぞれの突出端が左右方向9の内側へ向かってバネなどによって弾性的に付勢されている。ロック爪107,108は、メインフレーム74に対して給紙トレイ20が挿入されて、記録用紙12が搬送路65に給送可能な給送位置に到達すると、メインフレーム74に設けられたロック部69,70とそれぞれ係合する。ロック爪107,108とロック部69,70との係合によって、給紙トレイ20が給送位置に保持される。
排出トレイ22は、平面視において矩形の平板形状である。排出トレイ22の前後方向8の長さは、給紙トレイ20の底板101の前後方向8の長さより短い。排出トレイ22は、前後方向8の前端が給紙トレイ20の前後方向8の前端と合致するように配置されている。排出トレイ22の前後方向8の後端は、カム106より前側に位置している。排出トレイ22の後端における左右方向9の両端部からは、当接部109,110がそれそれ上方へ突出されている。当接部109,110の前後方向8の後側の面は、後述されるリリースレバー90の操作部92と当接しうる。当接部109,110が第1当接部に相当する。
[給送部16]
図2及び図9に示されるように、給送部16は、収容部78に収容された給紙トレイ20の上方であって後述される記録部30の下方に設けられている。給送部16は、給送ローラ25、給送アーム26、及び駆動伝達機構27を備えている。給送ローラ25は、給送アーム26の先端部に軸支されている。給送アーム26は、基端部に設けられた支軸28を中心として、矢印29の方向に回動する。これにより、給送ローラ25は、給紙トレイ20または当該給紙トレイ20に支持された記録用紙12に対して、当接及び離間が可能である。給送アーム26は、給送アーム26や給送ローラ25の重量又はバネ等に付勢されて給紙トレイ20へ向けて付勢されている。
各図には現れていないが、支軸28は、メインフレーム74の後上部79に回転自在に支持されている。搬送用モータ(不図示)の駆動力が付与されて支軸28が回転すると、その回転が、複数のギヤが噛合されてなる駆動伝達機構27によって給送ローラ25へ伝達され、給送ローラ25が回転する。
給送アーム26が下側へ回動付勢されることにより、給送ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙12に圧接される。この状態で給送ローラ25が回転されると、給送ローラ25のローラ面と記録用紙12との間に発生する摩擦力により、給紙トレイ20における最上位置の記録用紙12が傾斜板102へ向けて送り出される。記録用紙12の先端が傾斜板102に当接すると、記録用紙12の束のうちの最上位置の1枚が捌かれて上方へ案内される。このようにして、記録用紙12は、給紙トレイ20から搬送路65へ1枚ずつ給送される。
図9に示されるように、給送アーム26にはカムフォロワ58が設けられている。カムフォロワ58は、給送アーム26から左右方向9のカム106側(図9における紙面手前側)へ向かって延出されて、その延出端がカム106に到達している。給送アーム26が延びる方向に沿ったカムフォロワ58の長さは給送アーム26の長さより短く、カムフォロワ58の先端(下端)は、給送アーム26の先端より支軸28側にある。給送アーム26のカムフォロワ58の延出端且つ下端には、左右方向9を軸方向とするコロ66が回転自在に設けられている。コロ66は、給紙トレイ20の挿入及び脱抜の際に、カム106に支持されて、給紙トレイ20の移動に伴って回転する。
[搬送路65]
図2に示されるように、給紙トレイ20の傾斜板102の直上から搬送路65が延出されている。搬送路65は、湾曲部33と直線部34とを備える。湾曲部33は、前後方向8の後側を湾曲外側とし前側を湾曲内側として上側に向かって湾曲しつつ延びている。直線部34は、前後方向8に延びている。
湾曲部33は、所定間隔を隔てて互いに対向する外側ガイド部材18と内側ガイド部材19とによって区画されている。外側ガイド部材18は、湾曲部33の湾曲外側を形成している。内側ガイド部材19は、湾曲部33の湾曲内側を形成している。直線部34は、記録部30が配置されている位置では所定間隔を隔てて互いに対向する記録部30とプラテン42とによって区画されている。各ガイド部材18,19は、搬送路65の少なくとも一部を形成している。
図2に示されるように、給紙トレイ20に支持された記録用紙12は、湾曲部33を下方から上方へUターンするように搬送された後、直線部34を前後方向8の前向きへ搬送されて、その先端側が記録部30に到達される。間欠搬送されながら記録部30により先端側から後端側へ向かって順に画像記録が行われた記録用紙12は、直線部34を前後方向8に搬送されて排出トレイ22に排出される。図2において、記録用紙12が搬送される搬送向き15が一点鎖線の矢印で示されている。
[記録部30]
図2に示されるように、記録部30は、直線部34の上側に設けられている。記録部30の下側且つ記録部30と対向する位置には、プラテン42が設けられている。プラテン42は、搬送路65の直線部34を搬送される記録用紙12を支持する部材である。記録部30は、キャリッジ40及び記録ヘッド38を備えている。キャリッジ40は、記録ヘッド38を搭載して主走査方向である左右方向9へ往復移動する。キャリッジ40は、2つのガイドレール56、57(本発明の支持フレームの一例、図3(A)参照)によって支持されている。2つのガイドレール56、57は、前後方向8に間隔を空けて左右方向9に並行して延びるように配置されている。キャリッジ40は、2つのガイドレール56、57を跨ぐようにして載置されており、2つのガイドレール56、57上を左右方向9へ摺動可能である。
図3(A)に示されるように、2つのガイドレール56、57は、一対のサイドフレーム55の上方に配置されており、左右両端部を一対のサイドフレーム55によって支持されている。2つのガイドレール56、57は、ビスなどによって一対のサイドフレーム55に取り付けられている。
図2に示されるように、記録ヘッド38は、キャリッジ40に搭載されている。記録ヘッド38には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。記録ヘッド38の下面には、複数のノズル39が形成されている。キャリッジ40が左右方向9に移動しているときに、記録ヘッド38は、複数のノズル39から選択的にインク滴をプラテン42に向けて吐出する。インク滴がプラテン42に支持された記録用紙12に着弾して、記録用紙12に画像が記録される。
[搬送部80]
搬送部80は、搬送路65の直線部34における記録部30よりも搬送向き15の上流側に配置された搬送ローラ対59(図2参照)と、直線部34における記録部30よりも搬送向き15の下流側に配置された排出ローラ対44(図2参照)と、ローラホルダ85(図7及び図8参照)と、シャフト87(図7及び図8参照)とを備えている。搬送ローラ対59は、本発明のローラ対の一例である。
図2に示されるように、搬送ローラ対59は、直線部34の下側に配置された搬送ローラ60と、直線部34の上側に搬送ローラ60と対向して配置されたピンチローラ61とを備えている。ピンチローラ61は、後述されるコイルバネ73(図7参照)の付勢力を受けて搬送ローラ60に圧接されている。なお、ピンチローラ61は、コイルバネ73以外の弾性部材によって搬送ローラ60に圧接されていてもよい。
排出ローラ対44は、直線部34の下側に配置された排出ローラ62と、直線部34の上側に排出ローラ62と対向して配置された拍車63とを備えている。拍車63は、弾性部材(不図示)によって排出ローラ62に圧接されている。
搬送ローラ60及び排出ローラ62は、搬送用モータ(不図示)から駆動力が伝達されて回転する。搬送ローラ対59に記録用紙12が挟持された状態で搬送ローラ60が回転すると、記録用紙12は、搬送ローラ対59によって搬送向き15へ搬送される。また、排出ローラ対44に記録用紙12が挟持された状態で排出ローラ62が回転すると、記録用紙12は、排出ローラ対44によって搬送向き15へ搬送される。
図7に示されるように、搬送ローラ60は、左右方向9に延びた軸35を有しており、軸35の左右両端部が軸受けを介して一対のサイドフレーム55の凹溝53に回転可能に支持されている。軸35は、円柱形状であり、その周面の一部にセラミックがコーティングされてローラ面36をなしている。
ピンチローラ61は、左右方向9に間隔を空けて複数設けられている。本実施形態では、4つのピンチローラ61A〜61Dが設けられている。図7及び図8に示されるように、各ピンチローラ61は、ローラホルダ85によって回転可能に支持されている。本実施形態では、各ピンチローラ61に対応した4つのローラホルダ85A〜85Dが設けられている。
図8に示されるように、ローラホルダ85は、前端部88においてピンチローラ61を回転可能に支持しており、後端部89においてガイドレール56に取り付けられている。ローラホルダ85は、後端部89を中心として前端部88において上下方向7に撓むことが可能である。ローラホルダ85の上側にはコイルバネ73(図7参照)が取り付けられている。コイルバネ73は、下端がローラホルダ85に当接しており、上端がガイドレール56に当接している。ローラホルダ85の前端部88は、搬送ローラ60とピンチローラ61とによって挟持される記録用紙12の厚みに応じて、上向きに撓むように弾性的に変形する。
図8に示されるように、ローラホルダ85には、左右方向9に沿って孔86が穿たれている。図7及び図8に示されるように、孔86にはシャフト87が挿通されている。図6に示されるように、シャフト87は、その左右両端部において、後述されるリリースレバー90に支持されており、後述されるようにリリースレバー90の移動に連動して上下方向7に移動する。
ピンチローラ61が搬送ローラ60のローラ面36に圧接している状態において、シャフト87が上向きに移動すると、ローラホルダ85がシャフト87によって持ち上げられて、ローラホルダ85の前端部88がコイルバネ73の付勢力に抗して上向きに移動する。これにより、ローラホルダ85に支持されたピンチローラ61が上向きに移動して、搬送ローラ60のローラ面36から離間する。
ピンチローラ61が搬送ローラ60のローラ面から離間した状態において、シャフト87が下向きに移動すると、シャフト87がローラホルダ85の孔86の上縁から離間する。そうすると、コイルバネ73の付勢力によって、ローラホルダ85の前端部88が下向きに移動し、これに伴って、ローラホルダ85に支持されたピンチローラ61が下向きに移動する。これにより、ピンチローラ61は、搬送ローラ60のローラ面36に圧接する。
図6に示されるように、排出ローラ62は、左右方向9に延びた軸64と、軸64の周りに取り付けられた複数のローラ部67とを備えている。ローラ部67は、左右方向9に間隔を空けて軸64に取り付けられている。図7に示されるように、軸64は、左右両端部において、一対のサイドフレーム55の長孔54に挿通されている。軸64の左右両端部には、軸受け部材52が設けられており、軸受け部材52の一部も長孔54に挿通されている。軸受け部材52及びサイドフレーム55に渡ってネジリコイルバネ51が設けられており、軸受け部材52は、ネジリコイルバネ51によって軸64と共に長孔54の上端側へ付勢されている。また、軸64は、後述されるリリースレバー90に形成された開口72(図5参照)に挿通されている。軸64は、後述されるようにリリースレバー90のスライドに連動して上下方向7に移動する。
図2に示されるように、拍車63は、左右方向9に延びた軸68に取り付けられている。軸68は、コイルバネにより構成されており、上下方向7へ弾性的に変形可能である。各拍車63は、複数のローラ部67の各々と対向して配置されている。軸68は、左右両端部が、ガイドレール57の下面に設けられた拍車ホルダ(不図示)に回転可能に支持されている。
排出ローラ62のローラ部67が拍車63と接触した状態において、排出ローラ62の軸64が下向きに移動すると、排出ローラ62のローラ部67は、拍車63から離間する。排出ローラ62のローラ部67が拍車63から離間した状態において、排出ローラ62の軸64が上向きに移動すると、排出ローラ62のローラ部67が拍車63に接触した状態となる。
[リリースレバー90]
図6に示されるように、リリースレバー90は、サイドフレーム55の底部81の上面(図3(B)参照)に支持されている。リリースレバー90は、一対のサイドフレーム55の各々に対応して一対が設けられている。右側のリリースレバー90は、右側のサイドフレーム55の側部82の左側に設けられており、左側のリリースレバー90は、左側のサイドフレーム55の側部82の右側に設けられている。
リリースレバー90は、サイドフレーム55に支持された状態において、その下面がサイドフレーム55の底部81(図3(B)参照)と当接しており、その側面がサイドフレーム55の側部82(図3(B)参照)と当接しており、その上面がガイドレール56、57(図3(A)参照)の下面と当接している。これにより、リリースレバー90は、上面がガイドレール56、57によって位置決めされ、側面がサイドフレーム55によって位置決めされ、下面がメインフレーム74によって位置決めされている。なお、リリースレバー90の上面及び側面は、ガイドレール56、57及びサイドフレーム55の側部82との間に間隔があってもよい。
リリースレバー90は、サイドフレーム55の底部81の上面に沿って、前後方向8にスライド可能である。リリースレバー90は、図6(A)及び図8(A)に示される第2位置、及び第2位置よりも前側であり図6(B)及び図8(B)に示される第1位置の間で移動可能である。
図5に示されるように、リリースレバー90は、前後方向8及び左右方向9に拡がる板状であって、前後方向8の長さが左右方向9の長さよりも長い第1板部94と、第1板部94の前端部及び後端部から上向きに立設された第2板部95とを備えている。
第2板部95には、下側からシャフト87と当接することでシャフト87を支持する第1当接面93A、第1平面93C及び第2平面93Dと、上側から軸64と当接する第2当接面93B及び第3当接面93Eとが形成されている。第1当接面93A、第2当接面93B及び第3当接面93Eが傾斜面に相当する。
第1当接面93Aは、前後方向8の前側が後側よりも下方であって左右方向9に沿って拡がる傾斜面である。第1平面93Cは、第1当接面93Aの前側において第1当接面93Aと連続しており、リリースレバー90が第2位置のときにシャフト87を支持する。第2平面93Dは、第1当接面93Aの後側において第1当接面93Aと連続しており、リリースレバー90が第1位置のときにシャフト87を支持する。第1平面93C及び第2平面93Dは、前後方向8及び左右方向9に沿って拡がる平面である。
第2当接面93Bは、前後方向8の前側が後側よりも若干下方であって左右方向9に沿って拡がる傾斜面である。第3当接面93Eは、第2当接面93Bの前側に連続しており、前後方向8の後側が前側よりも下方であって左右方向9に沿って拡がる傾斜面である。したがって、第2当接面93Bと第3当接面93Eとの境界が、上下方向7の下方へ若干突出する稜線をなしている。
また、第2板部95には、第1板部94の後端部に形成されたガイド部91と、第1板部94の前端部、つまりリリースレバー90の移動方向における開口13(図4参照)側の端部から左右方向9におけるプリンタ部11の中央側に延びた操作部92とが形成されている。
ガイド部91には、内側ガイド部材19における記録用紙12の当接面17(図2、図3参照)と概ね同じように湾曲した湾曲面96が形成されている。ガイド部91の湾曲面96は、リリースレバー90が第2位置にあるときに、内側ガイド部材19の少なくとも一部を形成する。
図4及び図11に示されるように、操作部92は、右側のリリースレバー90の第1板部94から左側に延びており、左側のリリースレバー90の第1板部94から右側に延びている。操作部92は、収容部78へ突出した状態で設けられている。複合機10のユーザは、開口13から収容部78にアクセスして操作部92を把持することによって、リリースレバー90を前後方向8へスライドさせることができる。また、給紙トレイ20を収容部78へ挿入するときに、給紙トレイ20の当接部109,110が操作部92と当接し、給紙トレイ20と共にリリースレバー90を前後方向8の後側へスライドさせることができる。
[給紙トレイ20の挿入及び脱抜に伴う給送アーム26の姿勢変化]
次に、メインフレーム74に対して給紙トレイ20が挿入及び脱抜されるときの給送アーム26の姿勢変化が説明される。
プリンタ部11における画像記録は、メインフレーム74に対して給紙トレイ20が装着された状態で行われる。給送位置の給紙トレイ20は、ロック爪107,108がメインフレーム74のロック部69,70に対して係合されている。
図9に示されるように、給送位置においては、カムフォロワ58のコロ66が、カム106の第1傾斜面111又は第2傾斜面112の上方に位置する。給紙トレイ20に記録用紙12が載置されていない場合、給送ローラ25が底板101に当接する。給紙トレイ20に記録用紙12が載置されている場合、載置された記録用紙12の厚さ分だけ給送ローラ25が上方へ移動される。給送ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙12に下方から支持されるので、給送ローラ25が給紙トレイ20上の記録用紙12と当接する。この状態で給送ローラ25が回転駆動されることにより、給紙トレイ20上の記録用紙12が搬送路65へ供給される。
例えば、給紙トレイ20に載置された記録用紙12が無くなったときや、搬送路65などにおいて紙詰まり(ジャム)が生じたときには、記録用紙12の補充やジャム処理のために、給紙トレイ20がメインフレーム74に装着された状態から前後方向8の前向きへ抜き出される。給紙トレイ20の移動によって、カム106の第2傾斜面112がカムフォロワ58のコロ66に当接する。第2傾斜面112は、底板101からの高さが前後方向8の後向きへ高くなっているので、給紙トレイ20の脱抜に伴って、コロ66が第2傾斜面112を上り、カムフォロワ58及び給送アーム26が上方へ回動される。これにより、給送ローラ25が、給紙トレイ20に対して上方へ移動し始めて記録用紙12から離れる。
給紙トレイ20がさらに抜き出されると、コロ66が第2傾斜面から水平面113に到達する。これにより、カムフォロワ58及び給送アーム26が給紙トレイ20に対して最も上側へ回動した姿勢となり、給送ローラ25が傾斜板102の上端よりも高い位置となる。給紙トレイ20の脱抜において、コロ66は、給送ローラ25が傾斜板102に対応する前後方向8の位置に到達するよりも早く、水平面113に到達する。したがって、給紙トレイ20の脱抜に際して、給送ローラ25が傾斜板102と当接することはない。
給紙トレイ20がさらに抜き出されると、コロ66が水平面113の前後方向8の後端より後側へ到達して、カム106がカムフォロワ58を支持しない状態となる。これにより、給送アーム26は、自重や給送ローラ25及びカムフォロワ58の重量によって、下側へ向かって回動する。このとき、傾斜板102は、給送ローラ25よりも前後方向8の前側に位置しているので、給送ローラ25が傾斜板102と当接することはない。このように、給紙トレイ20の脱抜に際して、カム106がカムフォロワ58を介して給送アーム26を上方へ回動させ、記録用紙12が給紙トレイ20から引き出されたり、給送ローラ25が傾斜板102と当接したりすることが防止される。
メインフレーム74に対して給紙トレイ20が挿入されるときは、給送アーム26は、前述された脱抜の際とは逆の順序で上方へ回動する。具体的には、給紙トレイ20がメインフレーム74から脱抜された状態から前後方向8の後向きへ挿入されると、給紙トレイ20の傾斜板102がカムフォロワ58のコロ66に当接する。カムフォロワ58及び給送アーム26は、支軸28から前後方向8の後向き且つ下側へ延出した姿勢にあるので、コロ66が傾斜板102に押されることによって、カムフォロワ58及び給送アーム26が上方へ回動する。
給紙トレイ20がさらに挿入されると、コロ66が水平面113に到達する。これにより、カムフォロワ58及び給送アーム26が給紙トレイ20に対して最も上側へ回動した姿勢となり、給送ローラ25が傾斜板102の上端よりも高い位置となる。給紙トレイ20の挿入において、コロ66は、給送ローラ25が傾斜板102に対応する前後方向8の位置に到達するよりも早く、水平面113に到達する。したがって、給紙トレイ20の挿入に際して、給送ローラ25が傾斜板102と当接することはない。
給紙トレイ20がさらに挿入されると、コロ66は水平面113から第2傾斜面112へ到達する。第2傾斜面112は、底板101からの高さが前後方向8の前向きへ低くなっているので、給紙トレイ20の挿入に伴って、コロ66が第2傾斜面112を下り、カムフォロワ58及び給送アーム26が下方へ回動される。
給紙トレイ20が給送位置に到達すると、コロ66が第2傾斜面112の下端付近に到達する。給紙トレイ20に載置された記録用紙12の分量に応じて、コロ66が第2傾斜面112の下端に到達する前に、給送ローラ25が記録用紙12と当接する。これにより、カム106がカムフォロワ58を支持しない状態となる。また、給送位置に到達した給紙トレイ20は、ロック爪107,108がメインフレーム74のロック部69,70に当接することによって、付勢力に抗して回動し、その後、ロック爪107,108とロック部69,70とがそれぞれ係合する。これにより、給紙トレイ20を前後方向8の前向きへ抜き出すには、ロック爪107,108を付勢力に抗して回動させるだけの負荷が加わることとなり、ロック爪107,108とロック部69,70とがそれぞれ係合するときの負荷の変動によって、ユーザは、給紙トレイ20が給送位置に到達したことを感知できる。
[リリースレバー90のスライド]
以下、リリースレバー90のスライド動作が説明される。リリースレバー90は、搬送路65の直線部34においてジャムが生じたときなどにスライドされる。リリースレバー90は、画像記録動作においては第2位置に位置されており、ジャム処理などに際して第1位置へスライドされる。リリースレバー90が第1位置に位置すると、搬送ローラ対59及び排出ローラ対44のニップ状態が解除される。
リリースレバー90を第1位置へスライドするときには、まず、前述されたようにして、給紙トレイ20がメインフレーム74から抜き出される。これにより、ユーザは、収容部78(図4参照)を通じて、リリースレバー90の操作部92(図4参照)にアクセスすることができる。
図6(A)に示されるように、リリースレバー90が第2位置に位置しているとき、シャフト87が第1平面93Cによって支持されている。このとき、ピンチローラ61(図8(A)参照)は、コイルバネ73(図7参照)の付勢力によって搬送ローラ60のローラ面36に圧接されている。排出ローラ62の軸64は、第2当接面93Bから離間した状態である。このとき、拍車63は、排出ローラ62のローラ部67に圧接されている。
ユーザが操作部92を把持して第2位置に位置するリリースレバー90を前後方向8の前向きへ引き出すことによって、リリースレバー90が第2位置から前向きへスライドする。リリースレバー90のスライドに伴って、シャフト87は第1平面93C上から第1当接面93A上へ移動する。リリースレバー90が更に前向きにスライドされると、シャフト87は第1当接面93Aにガイドされて、コイルバネ73の付勢力に抗して上下方向7の上向きへ移動する。リリースレバー90が更に前向きにスライドされて第2位置に到達すると、シャフト87は、図6(B)に示されるように、第1当接面93A上から第2平面93D上へ到達して支持される。このとき、図8(B)に示されるように、ピンチローラ61は、搬送ローラ60のローラ面36から離間している。
また、リリースレバー90が第1位置から前向きへスライドすると、排出ローラ62の軸64が第3当接面93Eと当接する。リリースレバー90が更に前向きへスライドすると、軸64は、第3当接面93Eによって下方へ押下されて、ネジリコイルバネ51の付勢力に抗してサイドフレーム55の長孔54を下向きへ移動する。リリースレバー90が更に前向きへスライドして第1位置に到達する過程において、軸64は、第3当接面93Eと第2当接面93Bとの稜線を通過し、リリースレバー90が第1位置に到達すると、軸64は、図6(B)に示されるように、第2当接面93Bの後端側と当接した状態となる。このとき、排出ローラ62は、拍車63から離間している。
前述されたようにして、リリースレバー90が第1位置に位置されると、搬送ローラ対59及び排出ローラ対44のニップ状態が解除される。これにより、ユーザは、搬送ローラ対59又は排出ローラ対44にニップされた状態で詰まっている記録用紙12を取り除くことができる。
ジャム処理などを終えると、ユーザは、操作部92を把持して、第1位置に位置するリリースレバー90を前後方向8の後向きへ押すことによって、リリースレバー90が第1位置から第2位置へスライドさせる。このスライドによって、前述された動作とは逆の順序で搬送ローラ対59及び排出ローラ対44がニップ状態に復帰する。具体的には、シャフト87が、第2平面93Dから第1当接面93Aを経て第1平面93Cに支持された状態となる。軸64は、第2当接面93B及び第3当接面93Eから離間した状態となる。
[給紙トレイ20の挿入に伴うリリースレバー90のスライド]
前述されたように、リリースレバー90は、ユーザによって操作部92が把持されてスライドされることにより、第2位置から第1位置へ移動する。しかし、ユーザが、給紙トレイ20を脱抜し、リリースレバー90を第1位置とした後、リリースレバー90を第2位置へスライドさせることなく、給紙トレイ20を収容部78へ挿入することも想定される。その場合には、給紙トレイ20の当接部109,110がリリースレバー90の操作部92に当接して、給紙トレイ20の挿入動作に伴って、リリースレバー90が第1位置から第2位置へスライドする。以下、その動作が説明される。
図12(A)に示されるように、ジャム処理などを終えた後、ユーザが、リリースレバー90を第1位置に位置させた状態のままで、脱抜された給紙トレイ20を開口13(図7参照)から収容部78(図7参照)へ挿入すると、前述されたようにして、給紙トレイ20によって給送アーム26が持ち上げられる。具体的には、給紙トレイ20がメインフレーム74から脱抜された状態から前後方向8の後向きへ挿入されると、給紙トレイ20の傾斜板102がカムフォロワ58のコロ66に当接する。カムフォロワ58及び給送アーム26は、支軸28から前後方向8の後向き且つ下側へ延出した姿勢にあるので、コロ66が傾斜板102に押されることによって、カムフォロワ58及び給送アーム26が上方へ回動する。
図12(B)に示されるように、給紙トレイ20がさらに挿入されると、コロ66が水平面113に到達する。これにより、カムフォロワ58及び給送アーム26が給紙トレイ20に対して最も上側へ回動した姿勢となり、給送ローラ25が傾斜板102の上端よりも高い位置となる。給紙トレイ20の挿入において、コロ66は、給送ローラ25が傾斜板102に対応する前後方向8の位置に到達するよりも早く、水平面113に到達する。したがって、給紙トレイ20の挿入に際して、給送ローラ25が傾斜板102と当接することはない。
図12(C)に示されるように、給紙トレイ20がさらに挿入されると、コロ66は水平面113から第2傾斜面112へ到達する。第2傾斜面112は、底板101からの高さが前後方向8の前向きへ低くなっているので、給紙トレイ20の挿入に伴って、コロ66が第2傾斜面112を下り、カムフォロワ58及び給送アーム26が下方へ回動される。この状態において、給紙トレイ20の当接部109,110が、第1位置の各リリースレバー90の操作部92にそれぞれ当接する。
図12(D)に示されるように、給紙トレイ20が給送位置に到達すると、コロ66が第2傾斜面112の下端付近に到達する。給紙トレイ20に載置された記録用紙12の分量に応じて、コロ66が第2傾斜面112の下端に到達する前に、給送ローラ25が記録用紙12と当接する。これにより、カム106がカムフォロワ58を支持しない状態となる。
また、コロ66が第2傾斜面112を降下する間に、当接部109,110が各操作部92にそれぞれ当接して、給紙トレイ20の挿入動作に伴って、リリースレバー90が第1位置から第2位置へスライドされる。このスライドによって、前述と同様にして、搬送ローラ対59及び排出ローラ対44がニップ状態に復帰する。具体的には、シャフト87が、第2平面93Dから第1当接面93Aを経て第1平面93Cに支持された状態となる。軸64は、第2当接面93Bから離間した状態となる。
また、給送位置に到達した給紙トレイ20は、ロック爪107,108がメインフレーム74のロック部69,70に当接することによって、付勢力に抗して回動し、その後、ロック爪107,108とロック部69,70とがそれぞれ係合する。
このような給紙トレイ20の挿入動作において、図13に示されるように、ロック爪107,108がロック部69,70と係合するための第1負荷の最大値が生ずる第1負荷位置は、給紙トレイ20が給送位置に到達する直前である(図12(D)の直前)。つまり、ロック部69,70がロック爪107,108と当接することによって、第1負荷が生じ、ロック爪107,108が付勢力に抗して最大に回動したロック直前の状態において、第1負荷が最大となる。
また、リリースレバー90が第1位置から第2位置へスライドするための第2負荷の最大値が生ずる第2負荷位置は、給紙トレイ20の当接部109,110が各リリースレバー90の操作部92にそれぞれ当接した直後である(図12(C)の直後)。
リリースレバー90が第1位置にある状態において、コイルバネ73及びネジリコイルバネ51は、リリースレバー90が第2位置にある状態より圧縮されている。したがって、リリースレバー90をスライドするときに、第2平面93Dとシャフト87との間に生じる摩擦力、及び、第2当接面93Bと軸64との間に生じる摩擦力の合計、すなわち第1位置にあるリリースレバー90をスライドするときに生ずる摩擦力は、第2位置のリリースレバー90をスライドするときに生ずる摩擦力より大きい。
また、リリースレバー90が第1位置から第2位置へスライドされる過程において、シャフト87が第1当接面93Aに到達すると、コイルバネ73の付勢力によって、リリースレバー90が第2位置側へ付勢される。また、軸64が第2当接面93Bに到達すると、ネジリコイルバネ51の付勢力によって、リリースレバー90が第2位置側へ付勢される。
したがって、第1位置のリリースレバー90を第2位置へスライドさせるときに生ずる第2負荷のうち、リリースレバー90が第1位置からスライドするときの負荷(第4負荷)は、リリースレバーが第2位置へ到達するときの負荷(第5負荷)より大きい。
また、給紙トレイ20が給送アーム26を上方へ回動させるための第3負荷の最大値が生ずる第3負荷位置は、給紙トレイ20の傾斜板102がコロ66と当接して給送アーム26が上方へ持ち上げられるときである(図12(A))。
[本実施形態の作用効果]
本実施形態に係る複合機10によれば、給紙トレイ20の挿入動作に連動する各動作、すなわちロック爪107,108とロック部69,70との係合、リリースレバー90の第1位置から第2位置へのスライド、及び給送アーム26の回動のそれぞれにおける第1負荷位置、第2負荷位置、及び第3負荷位置が、給紙トレイ20が挿入される方向、すなわち前後方向8に沿った方向において異なる配置なので、給紙トレイ20の挿入動作において負荷が急激に増えることが防止される。これにより、リリースレバー90と当接する給紙トレイ20がメインフレーム74に円滑に挿入可能となる。
また、リリースレバー90が第1位置から第2位置へスライドされるときの第2負荷のうち、リリースレバー90が第1位置からスライドされるときの負荷(第4負荷)が、リリースレバー90が第2位置へ到達するときの負荷(第5負荷)より大きいので、リリースレバー90が第1位置から第2位置へスライドされるときの負荷が減少傾向となる。これにより、給紙トレイ20が挿入される操作において、負荷が増加傾向となることが抑制される。
[変形例]
前述された実施形態では、給送部16が給送アーム26を有するが、給送部16が給送アーム26を有しておらず、例えば、給送ローラ25に対して給紙トレイ20の底板101が上下動することによって、給送ローラ25に対して記録用紙12が接離される構成が採用されていてもよい。
また、前述された実施形態では、リリースレバー90が第1位置に位置されることによって、搬送ローラ対59及び排出ローラ対44のニップが解除されるが、搬送ローラ対59又は排出ローラ対44の一方のニップのみがリリースレバー90によって解除される構成であってもよい。また、搬送ローラ対59を構成する搬送ローラ60又はピンチローラ61、及び排出ローラ対44を構成する排出ローラ62又は拍車63のいずれが移動されることによってニップが解除されてもよいし、双方が移動されることによってニップが解除されてもよい。
また、リリースレバー90は、必ずしも前後方向8に沿ってスライドされる必要はなく、前後方向8に対して交差する方向へスライドされてもよい。