JP6025251B2 - ポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、電子写真法において形成される潜像の現像に用いられるポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法、該方法により得られた結着樹脂、該結着樹脂を含有した静電荷像現像用トナーに関する。
電子写真の分野においては、電子写真システムの発展に伴い、高画質化及び高速化に対応した電子写真用のトナーの開発が要求されている。
高画質化及び高速化に対応して、特に熱特性を改善するために、トナー用結着樹脂として、組成の調整が容易であるポリエステル樹脂が汎用されており、さらに複数の樹脂を混合して用いる試みがなされている。
例えば、特許文献1には、帯電性、定着性の両立と画像の高品質化を目的として、実質的に末端基を有しない環状オリゴマー及び環状ポリマーから選択される少なくとも1種の環状化合物を含有する電子写真用トナーが開示されている。
特許文献2には、トナーの保存性及び帯電量の環境安定性の向上を目的として、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を60モル%以上含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られるポリエステル系樹脂と、ヒドロキシ基数とカルボキシル基数との総和が4以上である脂肪族ヒドロキシカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分と炭素数2〜5の脂肪族ジオールを60モル%以上含有するアルコール成分とを縮重合反応させて得られるポリエステル系樹脂とを含む、トナー用結着樹脂が開示されている。
特開2003−186236号公報 特開2011−257700号公報
電子写真法において、写真等の印刷には光沢が求められる。光沢を付与するためには、トナーに用いられる結着樹脂のガラス転移温度や融点を下げて、融解する温度を下げる方法が用いられる。しかし、低温で融解しやすくなったトナーは、帯電ブレードとの摩擦時に発生する熱によっても一部融解が起こるためか、ブレードへのフィルミング(トナー固着)が生じやすく、耐久性に劣る。従って、光沢性と耐久性を両立するトナー用の結着樹脂が求められている。また、特許文献1には帯電性と定着性に優れるトナーを得るために、環状化合物を含むトナーが開示されているが、環状化合物を効率的に得る方法は開示されておらず、このような環状化合物を効率的に得る方法も望まれている。
本発明は、印刷物の光沢性と得られるトナーの耐久性を両立できるポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法、該方法で得られた結着樹脂、及び該結着樹脂を含有する静電荷像現像用トナーに関する。
本発明者らは、印刷物の光沢性と得られるトナーの耐久性に影響する要因は、結着樹脂中のポリエステルの組成と印刷時の分布によるものと考えて検討を行った。その結果、環状ポリエステルを含むトナー用結着樹脂が良好な光沢性と耐久性を発現させること、さらに環状ポリエステルの効率的な製造方法を見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、
〔1〕 環状ポリエステル(A)及び鎖状ポリエステル系樹脂(B)を含有するポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法であって、環状ポリエステル(A)と鎖状ポリエステル系樹脂の質量比(環状ポリエステル(A)/鎖状ポリエステル系樹脂)が、0.01/99.99〜5.0/95.0であり、アルコール成分とカルボン酸成分及び/又はポリエステルを、希土類触媒の存在下、200〜250℃で縮重合させる工程1を含む、ポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法、
〔2〕 前記〔1〕記載の方法により得られたポリエステル系トナー用結着樹脂、並びに
〔3〕 前記〔2〕記載のポリエステル系トナー用結着樹脂を含有してなる、静電荷像現像用トナー
に関する。
本発明の方法により、印刷物の光沢性と得られるトナーの耐久性を両立できるポリエステル系トナー用結着樹脂を製造することができる。
本発明のポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法は、環状ポリエステル(A)及び鎖状ポリエステル系樹脂(B)を含有するポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法であって、環状ポリエステル(A)と鎖状ポリエステル系樹脂の質量比(環状ポリエステル(A)/鎖状ポリエステル系樹脂)が、0.01/99.99〜5.0/95.0であり、アルコール成分とカルボン酸成分及び/又はポリエステルを、希土類触媒の存在下、200〜250℃で縮重合させる工程1を含む。
本発明の方法によって得られるポリエステル系トナー用結着樹脂を用いたトナーが、印刷物の光沢性と得られるトナーの耐久性を両立でき、環状ポリエステルが効率的に得られる理由は定かではないが、次のように考えられる。
希土類触媒は非常に反応性が高く、通常であれば、鎖状ポリエステルが得られるが、本発明においては、200〜250℃という高温で行うことで、環状ポリエステルを効率的に製造することができる。
さらに、環状ポリエステルは、トナー中に結着樹脂として用いた場合、末端に官能基を有していないため、他の成分との水素結合が不可能で、かつ鎖状ポリエステル系樹脂のような絡み合いが起きにくいため、トナー表面にブリードアウトしやすいものと考えられる。一方、環状ポリエステルは、その構造が束縛されていることから、熱に対する耐性が高く、ブレードによる摩擦熱によってもトナーが固着し難いと考えられる。このように、本発明の方法で得られたトナー用結着樹脂を用いたトナーは、表面が環状ポリエステルで覆われる構造であるためか、印刷時には容易に融解して、光沢にも優れるものと考えられる。とりわけ、本発明の方法を用いることで、ブリードアウトしやすい低分子量の環状ポリエステルを効率よく得ることができるため、得られる印刷物の光沢性とトナーの耐久性が著しく優れるものと考えられる。
以下、本発明に用いられる各成分、工程等について説明する。
〔環状ポリエステル(A)〕
本発明において、環状ポリエステル(A)は、ポリエステルの末端を有さないため、酸価及び水酸基価が著しく低いものである。すなわち、酸価は0.1mgKOH/g以下であることが好ましく、0mgKOH/gであることがより好ましい。また、水酸基価は0.1mgKOH/g以下であることが好ましく、0mgKOH/gであることがより好ましい。酸価及び水酸基価は実施例に記載の方法によって測定される。
環状ポリエステル(A)は、後述の通り、アルコール成分とカルボン酸成分及び/又はポリエステルを、希土類触媒の存在下、200〜250℃で縮重合させることによって製造することができる。
環状ポリエステル(A)のカルボン酸成分としては、環状構造を効率よく得る観点及び得られるトナーの光沢性を向上させる観点から、芳香族ジカルボン酸化合物及び脂肪族ジカルボン酸化合物が好ましく、トナーの耐久性を向上させる観点から、芳香族ジカルボン酸化合物がより好ましい。
カルボン酸化合物には、遊離酸だけでなく、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び炭素数1〜3のアルキルエステルも含まれる。
カルボン酸成分中の芳香族ジカルボン酸化合物の含有量は、トナーの耐久性を向上させる観点から、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましく、90〜100モル%がさらに好ましい。
芳香族ジカルボン酸化合物としては、トナーの耐久性を向上させる観点から、テレフタル酸、イソフタル酸、これらの酸の無水物及び炭素数1〜3のアルキルエステルが好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸化合物の炭素数(脂肪族基の炭素数)は、2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい。
炭素数2〜12の脂肪族カルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12-ドデカン二酸、これらの酸の無水物及び炭素数1〜3のアルキルエステル等が挙げられ、なかでもトナーの光沢性を向上さる観点から、フマル酸が好ましい。
その他のカルボン酸成分として、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの酸の無水物及び炭素数1〜3のアルキルエステル等の3価以上の多価カルボン酸化合物が挙げられる。
環状ポリエステル(A)のアルコール成分としては、環状構造を効率よく得る観点と得られるトナーの光沢性を向上させる観点から、芳香族ジオール及び脂肪族ジオールが好ましく、トナーの耐久性を向上させる観点から、芳香族ジオールが好ましい。
アルコール成分中の芳香族ジオールの含有量は、50モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90〜100モル%がさらに好ましい。
芳香族ジオールとしては、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましい。ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物としては、式(I):
Figure 0006025251
(式中、RO及びORはオキシアルキレン基であり、Rはエチレン及び/又はプロピレン基であり、x及びyはアルキレンオキサイドの付加モル数を示し、それぞれ正の数であり、xとyの和の平均値は1〜16が好ましく、1〜8がより好ましく、1.5〜4がさらに好ましい)
で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましく、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物を混合して用いることがさらに好ましい。
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(BPA-PO)とビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(BPA-EO)の混合比(モル比)は、10/90以上が好ましく、90/10〜30/70がより好ましく、80/20〜60/40がさらに好ましい。
アルコール成分中、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、トナーの耐久性を向上させる観点から、60モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90〜100モル%がさらに好ましい。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール等が挙げられ、なかでも得られるトナーの耐久性及び光沢を向上させる観点から、1,2-プロパンジオール及び2,3-ブタンジオールが好ましい。
その他のアルコール成分として、グリセリン等の3価以上の多価アルコールが挙げられる。
アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、適宜含有されていてもよい。
環状ポリエステル(A)の数平均分子量は、トナーの光沢性を向上させる観点から、ポリスチレン換算で、100以上が好ましく、200以上がより好ましく、300以上が好ましい。そして、トナーの耐久性を向上させる観点から、1000以下が好ましく、800以下がより好ましく、700以下がさらに好ましい。また、100〜1000が好ましく、200〜1000がより好ましく、300〜800がさらに好ましく、300〜700がよりさらに好ましい。環状ポリエステル(A)の数平均分子量は、実施例に記載の方法によって求められる。
〔鎖状ポリエステル系樹脂(B)〕
本発明において、鎖状ポリエステル系樹脂(B)は、非晶質ポリエステル、結晶性ポリエステル、ポリエステル系複合樹脂等が好ましく用いられるが、なかでも非晶質ポリエステルが好ましい。
なお、樹脂の結晶性は、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最高ピーク温度との比、即ち[軟化点/吸熱の最高ピーク温度]の値で定義される結晶性指数によって表わされる。結晶性樹脂は、結晶性指数が0.6〜1.4、好ましくは0.7〜1.2、より好ましくは0.9〜1.2であり、非晶質樹脂は1.4を超えるか、0.6未満の樹脂である。樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。最高ピーク温度は、軟化点との差が20℃以内であれば融点とし、軟化点との差が20℃を超える場合はガラス転移に起因するピークとする。
鎖状ポリエステル系樹脂(B)が非晶質ポリエステルである場合、鎖状ポリエステル系樹脂(B)は、後述の通り、カルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合反応させることによって製造することができる。
鎖状ポリエステル系樹脂(B)のカルボン酸成分としては、トナーの光沢性を向上させる観点から、芳香族ジカルボン酸化合物及び脂肪族ジカルボン酸化合物が好ましく、トナーの耐久性を向上させる観点から、芳香族ジカルボン酸化合物がより好ましい。
カルボン酸化合物には、遊離酸だけでなく、反応中に分解して酸を生成する無水物、及び炭素数1〜3のアルキルエステルも含まれる。
カルボン酸成分中の芳香族ジカルボン酸化合物の含有量は、トナーの耐久性を向上させる観点から、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、90〜100モル%がさらに好ましい。
芳香族ジカルボン酸化合物としては、テレフタル酸及びイソフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸化合物の炭素数(脂肪族基の炭素数)は、2〜12が好ましく、2〜6がより好ましい。
炭素数2〜12の脂肪族カルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸等が挙げられ、なかでもトナーの光沢性を向上さる観点から、フマル酸が好ましい。
その他のカルボン酸成分として、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸化合物が挙げられる。
鎖状ポリエステル系樹脂(B)のアルコール成分としては、得られるトナーの光沢性を向上させる観点から、芳香族ジオール及び脂肪族ジオールが好ましく、トナーの耐久性を向上させる観点から、芳香族ジオールが好ましい。
アルコール成分中の芳香族ジオールの含有量は、トナーの耐久性を向上させる観点から、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、90〜100モル%がさらに好ましい。
芳香族ジオールとしては、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましく、前記式(I)で表されるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物がより好ましく、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物を混合して用いることがさらに好ましい。
ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物(BPA-PO)とビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物(BPA-EO)の混合比(モル比)は、10/90以上が好ましく、90/10〜30/70がより好ましく、80/20〜60/40がさらに好ましい。
アルコール成分中、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、トナーの耐久性を向上させる観点から、60モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90〜100モル%がさらに好ましい。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール等が挙げられ、なかでも得られるトナーの耐久性及び光沢性を向上させる観点から、1,2-プロパンジオール及び2,3-ブタンジオールが好ましい。
その他のアルコール成分として、グリセリン等の3価以上の多価アルコールが挙げられる。
アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、適宜含有されていてもよい。
なお、環状ポリエステル(A)と鎖状ポリエステル系樹脂(B)を構成するアルコール成分とカルボン酸成分は同一であることが好ましい。
鎖状ポリエステル系樹脂(B)の軟化点は、トナーの耐久性を向上させる観点から、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましく、110℃以上がさらに好ましい。そして、得られる印刷物の光沢性を向上させる観点から、150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましく、130℃以下がさらに好ましく、120℃以下がさらに好ましい。また、80〜150℃が好ましく、90〜140℃がより好ましく、100〜130℃がさらに好ましく、110〜120℃がさらに好ましい。
鎖状ポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度は、トナーの耐久性を向上させる観点から、50℃以上が好ましく、57℃以上がより好ましく、61℃以上がさらに好ましい。そして、得られる印刷物の光沢性を向上させる観点から、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましい。また、50〜80℃が好ましく、57〜70℃がより好ましく、61〜70℃がさらに好ましい。
鎖状ポリエステル系樹脂(B)の酸価は、環状ポリエステル(A)のブリードアウトを促進し、トナーの耐久性を向上させる観点から、5mgKOH/g以上が好ましく、10mgKOH/g以上がより好ましく、11mgKOH/g以上がさらに好ましい。そして、30mgKOH/g以下が好ましく、25mgKOH/g以下がより好ましく、20mgKOH/g以下がさらに好ましい。また、5〜30mgKOH/gが好ましく、10〜25mgKOH/gがより好ましく、11〜20mgKOH/gがさらに好ましい。
なお、鎖状ポリエステル系樹脂(B)の軟化点、ガラス転移温度及び酸価は、実施例に記載の方法によって求められる。
[トナー用結着樹脂の製造方法]
本発明のトナー用結着樹脂の製造方法は、環状ポリエステル(A)及び鎖状ポリエステル系樹脂(B)を含有するポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法であって、結着樹脂中の環状ポリエステル(A)と鎖状ポリエステル系樹脂の質量比が、0.01/99.99〜5.0/95.0であり、アルコール成分とカルボン酸成分及び/又はポリエステルを、希土類触媒存在下、200〜250℃で縮重合する工程1を含むものであり、工程1では環状ポリエステルが生成する。本発明では、以下に示す二態様のいずれかで行うことが好ましい。
(態様1)
態様1は、前記工程1として、アルコール成分とカルボン酸成分とを、チタン触媒又はスズ触媒の存在下、反応率が70%以上100%未満となるまで縮重合させた後、希土類触媒の存在下、200〜250℃で縮重合させて、環状ポリエステル(A)及び鎖状ポリエステル系樹脂(B)の混合物を得る工程1’を行う方法である。
(態様2)
態様2は、前記工程1に加えてさらに、工程1で得られた環状ポリエステル(A)と、チタン触媒又はスズ触媒の存在下、アルコール成分とカルボン酸成分を縮重合させて得られた鎖状ポリエステル(B)とを混合する工程2を含む方法である。
これらのうち、効率よく、得られるトナーの耐久性と光沢性に優れる結着樹脂を得る観点からは、態様1の方法が好ましく、得られるトナーの耐久性と光沢性を必要な範囲に容易に調整することができる観点からは、態様2の方法が好ましい。なかでも、得られるトナーの耐久性と光沢性と生産効率を両立させる観点から、態様1の方法がより好ましい。
以下、各態様について説明する。
[態様1]
態様1の工程1’では、まず、アルコール成分とカルボン酸成分とを、チタン触媒又はスズ触媒の存在下で縮重合させる(工程a)が、これにより、鎖状ポリエステル系樹脂が得られる。
本態様で用いられるアルコール成分とカルボン酸成分は、前記環状ポリエステル(A)と鎖状ポリエステル系樹脂(B)のアルコール成分とカルボン酸成分に記載したものが好ましく、好適なアルコール成分とカルボン酸成分も同様である。
エステル化触媒として用いるチタン触媒又はスズ触媒は、速やかに目的の反応率に到達させる観点及び着色を抑制する観点から、スズ触媒が好ましい。
チタン触媒としては、Ti−O結合を有するチタン化合物が好ましく、総炭素数1〜28のアルコキシ基、アルケニルオキシ基又はアシルオキシ基を有するチタン化合物がより好ましく、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネートがさらに好ましい。
スズ触媒としては、Sn−C結合を有していない錫(II)化合物が好ましく、2-エチルヘキサン酸錫(II)、酸化ジブチル錫がより好ましい。
エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分との総量100質量部に対して、0.01〜2.0質量部が好ましく、0.1〜1.5質量部がより好ましく、0.2〜1.0質量部がさらに好ましい。
本工程において、エステル化触媒とともに、助触媒として、互いに隣接する3個の炭素原子に結合した水素原子が水酸基で置換されたベンゼン環を有する化合物を用いることが、反応性を向上させる観点から好ましい。
互いに隣接する3個の炭素原子に結合した水素原子が水酸基で置換されたベンゼン環を有する化合物は、ピロガロール化合物が挙げられ、ピロガロール、没食子酸、没食子酸エステル、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,3,4-テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体等が挙げられ、反応性の観点から、ピロガロール、没食子酸、没食子酸の炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキルエステル等が挙げられ、没食子酸及び没食子酸の炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキルエステルが好ましい。
助触媒と触媒の質量比(助触媒/触媒)は、反応性の観点から、0.01以上が好ましく、0.02以上がより好ましく、0.03以上がさらに好ましい。そして、0.5以下が好ましく、0.3以下がより好ましく、0.2以下がさらに好ましい。また、0.01〜0.5が好ましく、0.02〜0.3がより好ましく、0.03〜0.2がさらに好ましい。
本工程において、縮重合以外の副反応を防止する観点から、ラジカル重合禁止剤を用いてもよい。ラジカル重合禁止剤としては、4-t-ブチルカテコールが好ましい。
本工程において、縮重合は、不活性ガス雰囲気中にて、160〜250℃の温度で行うことが好ましく、反応性やモノマーの熱分解性の観点から、反応温度は、160〜250℃が好ましく、180〜240℃がより好ましい。
本工程における縮重合反応は、反応率が70%以上100%未満となるまで行うことが好ましく、80%以上100%未満となるまで行うことが、環状ポリエステル(A)と鎖状ポリエステル系樹脂(B)の存在比率や分子量等を調整する観点から、より好ましい。なお、本発明における反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
次に、希土類触媒の存在下、200〜250℃で縮重合させて、環状ポリエステル(A)及び鎖状ポリエステル系樹脂(B)の混合物を得る(工程b)。これにより、鎖状ポリエステル系樹脂の一部が環化し、環状ポリエステルが得られる。この工程では、チタン触媒又はスズ触媒の存在下で得られた反応混合物の温度を200〜250℃に調整し、希土類触媒を添加することが好ましい。
本工程で用いられる希土類触媒は、環状ポリエステル(A)を効率的に得る観点から、希土類元素の無機酸塩及び有機酸塩が好ましく、反応効率の観点から、有機酸塩が好ましく、スルホン酸塩がより好ましい。
希土類元素としては、スカンジウム、イットリウムや、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム等のランタノイドが好ましく、スカンジウム、ランタン、サマリウム、ユウロピウム、エルビウム、ルテチウム及びイッテルビウムがより好ましく、スカンジウム、ランタン、サマリウム及びイッテルビウムがさらに好ましい。
スルホン酸塩としては、トリフラート(トリフルオロメタンスルホン酸塩)、ドデシルベンゼンスルホネート及びトルエンスルホネートが好ましく、トリフラートがより好ましい。
以上の点から、希土類元素のスルホン酸塩としては、スカンジウム、ランタン、サマリウム及びイッテルビウムのトリフラートが好ましく、スカンジウム(III)トリフラートがさらに好ましい。
本工程において、環状ポリエステル(A)を効率的に得る観点から、縮重合温度は、200℃以上であり、210℃以上が好ましい。そして、250℃以下であり、245℃以下が好ましい。また、200〜250℃であり、210〜250℃が好ましく、210〜245℃がより好ましい。
縮重合温度が200℃以下であると、環状ポリエステルが十分に生成せず、好ましくない。250℃以上であるとモノマー及びポリマーの分解が生じ、着色が起こるためトナーに用いる樹脂としては好ましくない。
環状ポリエステルの生成量は、液体クロマトグラフィー−質量分析(LC-MS)等により確認することができ、反応温度、反応時間により適宜調整することができる。
以上の工程1’により、環状ポリエステル(A)及び鎖状ポリエステル系樹脂の混合物が得られる。
[態様2]
態様2は、前記工程1により環状ポリエステル(A)を、チタン触媒又はスズ触媒存在下でのアルコール成分とカルボン酸成分との縮重合により鎖状ポリエステル系樹脂を、それぞれ調製し、両者を混合する方法である。
(工程1)
本工程には、アルコール成分とカルボン酸成分に加えて、ポリエステルを用いてもよいが、得られる環状ポリエステル(A)の分子量を適切に調整する観点から、アルコール成分とカルボン酸成分のみを用いることが好ましい。
ここで用いられるアルコール成分とカルボン酸成分は前記環状ポリエステル(A)を構成するアルコール成分とカルボン酸成分と同一であることが好ましい。
用いられる希土類触媒は、態様1’における工程bと同じである。
縮重合反応温度も、態様1’における工程bと同じである。
本工程においては、続く鎖状ポリエステル系樹脂(B)との混合により得られるトナー用結着樹脂中の環状ポリエステル(A)の量を制御するために、環状ポリエステル(A)を精製することが好ましい。
精製方法としては、ポリエステルが溶解する有機溶媒に反応混合物を溶解させ、水系媒体を混合し、分層し、水相を除去することが好ましい。
ここで用いられる有機溶媒としては、ポリエステルの溶解性の点から、ハロゲン溶媒、エーテル溶媒、エステル溶媒等が好ましく、ハロゲン溶媒が好ましく、ジクロロメタンがより好ましい。
水系媒体としては、水が好ましく、アルカリ水溶液が好ましく、アンモニア水溶液がより好ましい。
精製によって得られたポリエステルの有機溶媒溶液から、有機溶媒を除去して、環状ポリエステル(A)を得ることが好ましい。
本工程で用いる鎖状ポリエステル系樹脂(B)は、前記態様1’の工程aと同じ方法によって得ることが好ましく、前記工程aにおいて、反応率を90%以上にすることで得ることが好ましい。
用いられるアルコール成分とカルボン酸成分は、鎖状ポリエステル系樹脂(B)のアルコール成分とカルボン酸成分として記載したものが好ましい。
用いられる触媒も前記態様1’の工程aで用いられるものが好ましく、なかでもSn−C結合を有していない錫(II)化合物がより好ましく、2-エチルヘキサン酸錫(II)、酸化ジブチル錫がさらに好ましい。
また、本工程において、触媒とともに用いられる助触媒も前記工程aで用いられるものが好ましく、互いに隣接する3個の炭素原子に結合した水素原子が水酸基で置換されたベンゼン環を有する化合物を用いることが、反応性を向上させる観点から好ましく、没食子酸及び没食子酸の炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキルエステルが好ましい。縮重合以外の副反応を防止する観点から、ラジカル重合禁止剤を用いてもよい。ラジカル重合禁止剤としては、4-t-ブチルカテコールが好ましい。
縮重合条件も前記工程aと同様が好ましく、不活性ガス雰囲気中にて、反応温度は160〜250℃で行うことが好ましく、180〜240℃で行うことがより好ましい。
本工程で用いられる鎖状ポリエステル系樹脂(B)は、前記工程aにおける反応率が90%以上となるまで反応を行って得られたものが好ましく、93%以上がより好ましく、95%以上がさらに好ましい。
本工程では、環状ポリエステル(A)と鎖状ポリエステル系樹脂(B)を混合して、トナー用結着樹脂を得るが、これらを混合して、溶融することで均一にすることが好ましく、溶融混練することがより好ましい。
例えば、鎖状ポリエステル系樹脂(B)と環状ポリエステル(A)をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却することが好ましい。
本工程は、トナーを製造する際の樹脂以外の原料を混合する工程にて行ってもよく、トナーの種類に応じて、鎖状ポリエステル系樹脂(B)と環状ポリエステル(A)の比率を容易に変更できることから、トナーを製造する際に行うことが好ましい。
[トナー用結着樹脂]
本発明のトナー用結着樹脂は、前記の製造方法によって得られるものであり、環状ポリエステル(A)及び鎖状ポリエステル系樹脂(B)を含有する。
結着樹脂中の環状ポリエステル(A)と鎖状ポリエステル系樹脂の質量比(環状ポリエステル(A)/鎖状ポリエステル系樹脂)は、0.01/99.99〜5.0/95.0であり、得られるトナーの光沢性を向上させる観点から、0.01/99.99〜4.0/96.0が好ましく、0.02/99.98〜3.0/97.0がより好ましく、0.04/99.96〜1.0/99.0がさらに好ましい。また、得られるトナーの耐久性を向上させる観点から、0.06/99.94〜5.0/95.0が好ましく、0.1/99.9〜5.0/95.0がより好ましく、0.4/99.6〜5.0/95.0がさらに好ましく、3.0/97.0〜5.0/95.0がさらに好ましい。
トナー用結着樹脂の軟化点は、トナーの耐久性を向上させる観点から、90℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。そして、トナーの光沢性を向上させる観点から、130℃以下が好ましく、110℃以下がより好ましい。また、90〜130℃が好ましく、100〜110℃がより好ましい。
本発明のトナー用結着樹脂のガラス転移温度は、トナーの耐久性を向上させる観点から、50℃以上が好ましく、55℃以上がより好ましく、58℃以上がさらに好ましい。そして、トナーの光沢性を向上させる観点から、100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましく、70℃以下がさらに好ましい。また、50〜100℃が好ましく、55〜80℃がより好ましく、58〜70℃がさらに好ましい。
トナー用結着樹脂の酸価は、トナーの耐久性を向上させる観点から、3mgKOH/g以上が好ましく、10mgKOH/g以上がより好ましい。そして、20mgKOH/g以下が好ましく、15mgKOH/g以下がより好ましい。3〜20mgKOH/gが好ましく、10〜15mgKOH/gがより好ましい。
[静電荷像現像用トナー]
本発明の静電荷像現像用トナーは、前記製造方法で得られたトナー用結着樹脂を含有することにより、印刷物の光沢性と得られるトナーの耐久性を両立することができる。
本発明のトナーには、本発明の効果を損なわない範囲で、前記トナー用結着樹脂以外の公知の樹脂が併用されていてもよいが、本発明のトナー用結着樹脂の含有量は、トナー中の全結着樹脂中、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、実質的に100質量%がよりさらに好ましい。
本発明のトナーには、着色剤、離型剤、荷電制御剤、荷電制御樹脂、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が含有されていてもよく、着色剤、離型剤及び荷電制御剤が含有されることが好ましい。
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、40質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。また、1〜40質量部が好ましく、2〜10質量部がより好ましい。
離型剤としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物、カルナウバワックス、モンタンワックス、サゾールワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス、脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
離型剤の融点は、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点から、60〜160℃が好ましく、60〜150℃がより好ましい。
離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点及び結着樹脂中への分散性の観点から、0.5〜10質量部が好ましく、1〜8質量部がより好ましく、1.5〜7質量部がさらに好ましい。
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」(以上、オリエント化学工業社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリエント化学工業社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリエント化学工業社製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成社製)等;スチレン−アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」(藤倉化成社製)等が挙げられる。
また、負帯電性の荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」(以上、オリエント化学工業社製)、「T-77」(保土谷化学工業社製)、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリエント化学工業社製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」(保土谷化学工業社製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR-147」、「LR-297」(以上、日本カーリット社製);サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-88」、「E-304」(以上、オリエント化学工業社製)、「TN-105」(保土谷化学工業社製);銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体;有機金属化合物、例えば「TN105」(保土谷化学工業社製)等が挙げられる。
荷電制御剤の含有量は、トナーの帯電安定性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がさらに好ましく、1質量部以上がよりさらに好ましく、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下がさらに好ましく、1〜2質量部以下がよりさらに好ましい。また、0.01〜10質量部が好ましく、0.01〜5質量部がより好ましく、0.3〜3質量部がさらに好ましく、0.5〜3質量部がよりさらに好ましく、1〜2質量部がよりさらに好ましい。
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。溶融混練法による粉砕トナーの場合、例えば、結着樹脂、着色剤、荷電制御剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。
本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、3〜15μmが好ましく、3〜10μmがより好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。
本発明のトナーには、転写性を向上させるために、外添剤を用いることが好ましく、外添剤としては、無機微粒子を用いることが好ましい。無機微粒子の例は、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛が挙げられ、シリカが好ましい。
シリカは、トナーの転写性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであるのが好ましい。
シリカ粒子の表面を疎水化するための疎水化処理剤としては、オルガノクロロシラン、オルガノアルコキシシラン、オルガノジシラザン、環状オルガノポリシラザン、線状オルガノポリシロキサン等が例示され、具体的には、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、メチルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらの中ではヘキサメチルジシラザンが好ましい。
外添剤の平均粒子径は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、10〜250nmであり、10〜200nmが好ましく、15〜90nmがより好ましい。
外添剤の含有量は、外添剤で処理する前のトナー100質量部に対して、好ましくは0.05〜5質量部であり、より好ましくは0.1〜3質量部であり、さらに好ましくは0.3〜3質量部である。
本発明のトナーは、一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下のポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法及び静電荷像現像用トナーを開示する。
<1> 環状ポリエステル(A)及び鎖状ポリエステル系樹脂(B)を含有するポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法であって、環状ポリエステル(A)と鎖状ポリエステル系樹脂の質量比(環状ポリエステル(A)/鎖状ポリエステル系樹脂)が、0.01/99.99〜5.0/95.0であり、アルコール成分とカルボン酸成分及び/又はポリエステルを、希土類触媒の存在下、200〜250℃で縮重合させる工程1を含む、ポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法。
<2> 環状ポリエステル(A)の酸価は、0.1mgKOH/g以下であることが好ましく、0mgKOH/gであることがより好ましく、環状ポリエステル(A)の水酸基価は、0.1mgKOH/g以下であることが好ましく、0mgKOH/gであることがより好ましい、前記<1>記載の製造方法。
<3> 環状ポリエステル(A)のカルボン酸成分が、芳香族ジカルボン酸化合物を、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは90〜100モル%含有する、前記<1>又は<2>記載の製造方法。
<4> 環状ポリエステル(A)のアルコール成分が芳香族ジオールを含有する、前記<1>〜<3>いずれか記載の製造方法。
<5> 芳香族ジオールは、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が好ましく、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物とプロピレンオキサイド付加物の混合物がより好ましい、前記<4>記載の製造方法。
<6> ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の含有量は、アルコール成分中、60モル%以上が好ましく、70モル%以上がより好ましく、90〜100モル%がさらに好ましい、前記<5>記載の製造方法。
<7> 環状ポリエステル(A)の数平均分子量は、ポリスチレン換算で、100以上が好ましく、200以上がより好ましく、300以上が好ましく、1000以下が好ましく、800以下がより好ましく、700以下がさらに好ましい、前記<1>〜<6>いずれか記載の製造方法。
<8> 環状ポリエステル(A)の数平均分子量は、100〜1000が好ましく、200〜1000がより好ましく、300〜800がさらに好ましく、300〜700がよりさらに好ましい、前記<1>〜<6>いずれか記載の製造方法。
<9> 鎖状ポリエステル系樹脂(B)は非晶質ポリエステルが好ましい、前記<1>〜<8>いずれか記載の製造方法。
<10> 鎖状ポリエステル系樹脂(B)のカルボン酸成分が、芳香族ジカルボン酸化合物を、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは90〜100モル%含有する、前記<1>〜<9>いずれか記載の製造方法。
<11> 鎖状ポリエステル系樹脂(B)のアルコール成分が、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは90〜100モル%含有する、前記<1>〜<10>いずれか記載の製造方法。
<12> 環状ポリエステル(A)と鎖状ポリエステル系樹脂(B)を構成するアルコール成分とカルボン酸成分が同一である、前記<1>〜<11>いずれか記載の製造方法。
<13> 鎖状ポリエステル系樹脂(B)の軟化点は、80℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましく、110℃以上がさらに好ましく、150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましく、130℃以下がさらに好ましく、120℃以下がさらに好ましい、前記<1>〜<12>いずれか記載の製造方法。
<14> 鎖状ポリエステル系樹脂(B)のガラス転移温度は、50℃以上が好ましく、57℃以上がより好ましく、61℃以上がさらに好ましく、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましい、前記<1>〜<13>いずれか記載の製造方法。
<15> 鎖状ポリエステル系樹脂(B)の酸価は、5mgKOH/g以上が好ましく、10mgKOH/g以上がより好ましく、11mgKOH/g以上がさらに好ましく、30mgKOH/g以下が好ましく、25mgKOH/g以下がより好ましく、20mgKOH/g以下がさらに好ましい、前記<1>〜<14>いずれか記載の製造方法。
<16> 工程1が、アルコール成分とカルボン酸成分とを、チタン触媒又はスズ触媒の存在下、反応率が70%以上100%未満となるまで縮重合させた後、希土類触媒の存在下、200〜250℃で縮重合させて、環状ポリエステル(A)及び鎖状ポリエステル系樹脂(B)の混合物を得る工程1’である、前記<1>〜<15>いずれか記載の製造方法。
<17> 工程1に加えてさらに、工程1で得られた環状ポリエステル(A)と、チタン触媒又はスズ触媒の存在下、アルコール成分とカルボン酸成分を縮重合させて得られた鎖状ポリエステル(B)とを混合する工程2を含む、前記<1>〜<16>いずれか記載の製造方法。
<18> スズ触媒がSn−C結合を有していない錫(II)化合物がである、前記<16>又は<17>記載の製造方法。
<19> 工程1’におけるチタン触媒又はスズ触媒の存在下での縮重合反応を、反応率が80%以上100%未満となるまで行うことがより好ましい、前記<16>記載の製造方法。
<20> 希土類触媒が、希土類元素のスルホン酸塩である、前記<1>〜<19>いずれか記載の製造方法。
<21> 希土類元素のスルホン酸塩が、スカンジウム(III)トリフラートである、前記<20>記載の製造方法。
<22> 工程1’において、希土類触媒存在下での縮重合温度は、210℃以上が好ましく、245℃以下が好ましい、前記<16>〜<21>いずれか記載の製造方法。
<23> 結着樹脂中の環状ポリエステル(A)と鎖状ポリエステル系樹脂の質量比(環状ポリエステル(A)/鎖状ポリエステル系樹脂)は、0.01/99.99〜4.0/96.0が好ましく、0.02/99.98〜3.0/97.0がより好ましく、0.04/99.96〜1.0/99.0がさらに好ましい、前記<1>〜<22>いずれか記載の製造方法。
<24> 結着樹脂中の環状ポリエステル(A)と鎖状ポリエステル系樹脂の質量比(環状ポリエステル(A)/鎖状ポリエステル系樹脂)は、0.06/99.94〜5.0/95.0が好ましく、0.1/99.9〜5.0/95.0がより好ましく、0.4/99.6〜5.0/95.0がさらに好ましく、3.0/97.0〜5.0/95.0がさらに好ましい、前記<1>〜<22>いずれか記載の製造方法。
<25> トナー用結着樹脂の軟化点は、90℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、130℃以下が好ましく、110℃以下がより好ましい、前記<1>〜<24>いずれか記載の製造方法。
<26> トナー用結着樹脂のガラス転移温度は、50℃以上が好ましく、55℃以上がより好ましく、58℃以上がさらに好ましく、100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましく、70℃以下がさらに好ましい、前記<1>〜<25>いずれか記載の製造方法。
<27> トナー用結着樹脂の酸価は、3mgKOH/g以上が好ましく、10mgKOH/g以上がより好ましく、20mgKOH/g以下が好ましく、15mgKOH/g以下がより好ましい。3〜20mgKOH/gが好ましく、10〜15mgKOH/gがより好まし、前記<1>〜<26>いずれか記載の製造方法。
<28> 前記<1>〜<27>いずれか記載の方法により得られたポリエステル系トナー用結着樹脂。
<29> 前記<28>記載のポリエステル系トナー用結着樹脂を含有してなる、静電荷像現像用トナー。
樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
〔樹脂の軟化点(Tm)〕
フローテスター(島津製作所、CFT-500D)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度〕
示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、Q-100)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温から降温速度10℃/分で0℃まで冷却しそのまま1分間静止させる。その後、昇温速度50℃/分で測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を吸熱の最高ピーク温度とする。
〔樹脂のガラス転移温度(Tg)〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて、試料を0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、吸熱の最高ピーク温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とする。
〔樹脂の酸価(AV)〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
〔樹脂の水酸基価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。
〔樹脂の数平均分子量〕
以下の方法により、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法により分子量分布を測定し、数平均分子量を求める。
(1) 試料溶液の調製
濃度が0.5g/100mlになるように、試料をテトラヒドロフランに、25℃で溶解させる。次いで、この溶液をポアサイズ0.2μmのフッ素樹脂フィルター(ADVANTEC社製、DISMIC-25JP)を用いて濾過して不溶解成分を除き、試料溶液とする。
(2) 分子量測定
下記の測定装置と分析カラムを用い、溶離液としてテトラヒドロフランを、毎分1mlの流速で流し、40℃の恒温槽中でカラムを安定させる。そこに試料溶液100μlを注入して測定を行う。試料の分子量は、あらかじめ作成した検量線に基づき算出する。このときの検量線には、数種類の単分散ポリスチレン(東ソー社製のA-500(5.0×102)、A-1000(1.01×103)、A-2500(2.63×103)、A-5000(5.97×103)、F-1(1.02×104)、F-2(1.81×104)、F-4(3.97×104)、F-10(9.64×104)、F-20(1.90×105)、F-40(4.27×105)、F-80(7.06×105)、F-128(1.09×106))を標準試料として作成したものを用いる。
測定装置:HLC-8220GPC(東ソー社製)
分析カラム:GMHXL+G3000HXL(東ソー社製)
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計(セイコー電子工業社製、DSC210)を用いて200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/分で0℃まで冷却したサンプルを昇温速度10℃/分で昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
〔外添剤の平均粒子径〕
平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、外添剤の走査型電子顕微鏡(SEM)写真から測定した、500個の粒子の粒径の平均値をいう。長径と短径がある場合は長径を指す。
〔環状ポリエステル(A)の製造〕
製造例1及び6(環状ポリエステルA−1及びA−6の製造)
表1に示す原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、245℃まで昇温し、245℃にて5時間反応を行った。その後常温まで冷却し、反応混合物を得た。その後、該反応混合物20gをジクロロメタン50gに溶解し、0.6Nアンモニア水溶液100gを加え振とうし、分液を行うことで水相に未反応のモノマー等を抽出した。この作業を3回繰り返したあと、イオン交換水を加え振とうし、ジクロロメタン溶液を得た。その後、該ジクロロメタン溶液をロータリーエバポレータにて凝縮、乾燥し、粉末状のポリエステルを得た。このポリエステルの酸価及び水酸基価はいずれも0であり、末端基を持たない環状化合物であることがわかる。数平均分子量を表1に示す。
製造例2及び3(環状ポリエステルA−2及びA−3の製造)
表1に示す原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、235℃まで3時間かけて昇温を行った。その後、235℃にて1時間反応後冷却し、反応混合物を得た。その後、製造例1と同様の方法で反応混合物を精製し、粉末状のポリエステルを得た。このポリエステルの酸価及び水酸基価はいずれも0であり、末端基を持たない環状化合物であることがわかる。数平均分子量を表1に示す。
製造例4及び5(環状ポリエステルA−4及びA−5の製造)
表1に示すフマル酸を除く原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、235℃まで3時間かけて昇温を行った。その後、1時間かけて200℃まで冷却し、4-t-ブチルカテコール(ラジカル重合禁止剤)及びフマル酸を混合した。その後、210℃まで2時間かけて昇温を行った。210℃にて1時間反応後冷却し、反応混合物を得た。その後、製造例1と同様の方法で反応混合物を精製し、粉末状のポリエステルを得た。このポリエステルの酸価、及び水酸基価はいずれも0であり、末端基を持たない環状化合物であることがわかる。数平均分子量を表1に示す。
Figure 0006025251
〔鎖状ポリエステル系樹脂(B)の製造〕
製造例7及び12(鎖状ポリエステルB−1及びB−6の製造)
表2に示す原料モノマー、エステル化触媒及び助触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで昇温し、235℃にて10時間反応を行った。その後235℃、8KPaにて、表2に記載の軟化点に達するまで反応を行って、ポリエステルを得た。物性を表2に示す。
製造例8及び9(鎖状ポリエステルB−2及びB−3の製造)
表2に示す原料モノマー、エステル化触媒及び助触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、210℃まで5時間かけて昇温を行った。その後210℃にて反応率が90%に到達したのを確認し、40kPaにて表2に記載の軟化点に達するまで反応を行って、ポリエステルを得た。物性を表2に示す。なお、反応率とは、生成反応水量/理論生成水量×100の値をいう。
製造例10及び11(鎖状ポリエステルB−4及びB−5の製造)
表2に示すフマル酸を除く原料モノマー及びエステル化触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、180℃まで昇温した後、235℃まで3時間かけて昇温を行った。その後、1時間かけて200℃まで冷却し、4-t-ブチルカテコール(ラジカル重合禁止剤)及びフマル酸を混合した。その後、210℃まで2時間かけて昇温を行った。210℃にて1時間反応後、40kPaにて表2に記載の軟化点に達するまで反応を行って、ポリエステルを得た。物性を表2に示す。
Figure 0006025251
〔ポリエステル系トナー用結着樹脂の製造(態様1)〕
実施例1(結着樹脂1の製造)
表3の製造例13に示す原料モノマー、エステル化触媒1及び助触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで昇温し、235℃にて10時間反応を行った。その後235℃、8KPaにて、1時間反応を行い、反応率が90%に到達したのを確認した。その後、窒素で常圧に戻した後、235℃にて、エステル化触媒2を添加した。その後、常圧、235℃にて3時間反応を行った。得られた樹脂は、LC-MSにて、環状ポリエステルを0.3質量%含むことを確認した。物性を表3に示す。
比較例1(結着樹脂2の製造)
表3の製造例14に示す原料モノマー、エステル化触媒1及び助触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで昇温し、235℃にて10時間反応を行った。その後235℃、8KPaにて1時間反応を行い、反応率が90%に到達したのを確認した。その後、窒素で常圧に戻した後、エステル化触媒2を添加した。直後に170℃にし、常圧、170℃にて3時間反応を行った。得られた樹脂は、LC-MSにて、環状ポリエステルを0.005質量%含むことを確認した。物性を表3に示す。
Figure 0006025251
〔静電荷像現像用トナーの製造(態様2)〕
実施例2〜14及び比較例2、3
表4、5に示す鎖状ポリエステル系樹脂(B)及び環状ポリエステル(A)を表4、5に示す質量比で合計20質量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン E-81」(オリエント化学工業社製)0.2質量部、着色剤「Regal 330R」(キャボット社製、カーボンブラック)1質量部、離型剤「三井ハイワックスNP055」(三井化学社製、ポリプロピレンワックス、融点:125℃)0.4質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで十分混合した後、同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度80℃で溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が8μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に、疎水性シリカ「NAX-50」(日本アエロジル社製、疎水化処理剤:HMDS、平均粒子径:30nm)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、トナーを得た。
〔静電荷像現像用トナーの製造(態様1)〕
実施例15
結着樹脂120質量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン E-81」(オリエント化学工業社製)0.2質量部、着色剤「Regal 330R」(キャボット社製、カーボンブラック)1質量部、及び離型剤「三井ハイワックスNP055」(三井化学社製、ポリプロピレンワックス、融点:125℃)0.4質量部を、ヘンシェルミキサーで十分混合した後、同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度80℃で溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、体積中位粒径(D50)が8μmのトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100質量部に、疎水性シリカ「NAX-50」(日本アエロジル社製、疎水化処理剤:HMDS、平均粒子径:30nm)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、トナーを得た。
試験例1〔耐久性〕
非磁性一成分現像方式「OKI Microline 18」(沖データ社製)の装置にトナーを実装し、温度35℃、湿度85%の条件下にて、黒化率5.5%の斜めストライプのパターンの耐刷を行った。途中、500枚ごとに黒ベタ画像を印字し、画像上のスジを確認した。画像上にスジが目視にて観察された時点までの印字枚数を耐刷枚数とした。数値が大きいほど、耐久性に優れる。結果を表4、5に示す。
試験例2〔印刷物の光沢度〕
複写機(シャープ(株)製、商品名:「AR-505」)の定着機を装置外での定着が可能なように改良した装置にトナーを実装し、未定着の状態で印刷物を得た(印字面積:2cm×12cm、付着量:0.5mg/cm2)。その後、前記複写機の定着機にて、160℃、400mm/secの条件で用紙に定着させた。なお、印字媒体にJ紙(商品名、富士ゼロックス(株)製)を用いた。該画像の下に厚紙を敷き、光沢度計((株)堀場製作所製、商品名:「IG-330」)を用いて入射角度60°の光射条件にて印刷物の光沢度を測定した。得られた値が高いほど光沢度が高く、好ましい。結果を表4、5に示す。
Figure 0006025251
Figure 0006025251
以上の結果より、実施例のトナーは、比較例のトナーに比べて、いずれも耐久性に優れ、印刷物の光沢性にも優れることがわかる。
本発明の方法により得られるポリエステル系トナー用結着樹脂は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられるトナーに好適に用いられるものである。

Claims (11)

  1. 環状ポリエステル(A)及び鎖状ポリエステル系樹脂(B)を含有するポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法であって、環状ポリエステル(A)と鎖状ポリエステル系樹脂の質量比(環状ポリエステル(A)/鎖状ポリエステル系樹脂)が、0.01/99.99〜5.0/95.0であり、アルコール成分とカルボン酸成分及び/又はポリエステルを、希土類触媒の存在下、200〜250℃で縮重合させる工程1を含む、ポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法。
  2. 工程1が、アルコール成分とカルボン酸成分とを、チタン触媒又はスズ触媒の存在下、反応率が70%以上100%未満となるまで縮重合させた後、希土類触媒の存在下、200〜250℃で縮重合させて、環状ポリエステル(A)及び鎖状ポリエステル系樹脂(B)の混合物を得る工程1’である、請求項1記載のポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法。
  3. さらに、工程1で得られた環状ポリエステル(A)と、チタン触媒又はスズ触媒の存在下、アルコール成分とカルボン酸成分を縮重合させて得られた鎖状ポリエステル(B)とを混合する工程2を含む、請求項1記載のポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法。
  4. 環状ポリエステル(A)の数平均分子量が100〜1000である、請求項1〜3いずれか記載のポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法。
  5. 環状ポリエステル(A)の酸価が0.1mgKOH/g以下及び水酸基価が0.1mgKOH/g以下である、請求項1〜4いずれか記載のポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法。
  6. スズ触媒がSn−C結合を有していない錫(II)化合物である、請求項2〜5いずれか記載のトナー用結着樹脂の製造方法。
  7. 希土類触媒がスルホン酸塩である、請求項1〜6いずれか記載のトナー用結着樹脂の製造方法。
  8. 鎖状ポリエステル系樹脂(B)のアルコール成分が、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を60モル%以上含有する、請求項1〜7いずれか記載のポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法。
  9. 鎖状ポリエステル系樹脂(B)のカルボン酸成分が、芳香族ジカルボン酸化合物を60モル%以上含有する、請求項1〜8いずれか記載のポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法。
  10. 環状ポリエステル(A)のアルコール成分が、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物を60モル%以上含有する、請求項1〜9いずれか記載のポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法。
  11. 環状ポリエステル(A)のカルボン酸成分が、芳香族ジカルボン酸化合物を60モル%以上含有する、請求項1〜10いずれか記載のポリエステル系トナー用結着樹脂の製造方法。
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