JP6024359B2 - 色素増感太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性に優れる上に、高い開放電圧の値を示し、高い光電変換効率が期待される色素増感太陽電池に関する。
色素増感太陽電池は、シリコン系太陽電池や化合物系太陽電池と比較して、資源的制約が無く、原材料が安価であり、製法が簡便であるため生産コストを低く抑えることができ、軽量で柔軟性をもたせることができるなどの利点を有している。これらの利点のため、色素増感太陽電池は、次世代の太陽電池として大きな期待を集めている。
この色素増感太陽電池は、対を成す酸化種と還元種とを含む電解質層が、光増感剤としての色素を含む半導体層を有する陰極と、電解質層中の酸化種を還元種に変換する触媒層を有する陽極との間に挟み込まれた構造を有している。一般に、ガラスなどの透明基体の表面にスズドープ酸化インジウム(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)などの半導体セラミックスの蒸着層を形成した透明電極の上にルテニウム錯体などの色素を担持した酸化物半導体層を形成した電極が陰極として使用されており、上述した透明電極や鋼などの基体上にPtをスパッタリング法、真空蒸着法などにより付着させた電極が陽極として使用されている。透明電極を介して半導体層の色素に光が照射されると、色素が光エネルギーを吸収して励起状態となり、電子を半導体に向けて放出する。放出された電子は半導体層から透明電極へと移動し、さらに透明電極から外部回路を経由して陽極へと移動する。そして、陽極のPt触媒層の作用により電解質層の酸化種が陽極から電子を受け取って還元種へと変換され、さらに還元種が色素に電子を放出して酸化種へと変換される。
ところで、これまでに検討されている色素増感太陽電池には、専ら、光電変換効率が高いI/I 酸化還元対が電解質層中で用いられてきた。しかし、I/I 酸化還元対は2電子酸化還元系であるため、酸化還元反応が複雑である。また、I/I 酸化還元対を含む電解質層は、腐食性が強く、ヨウ素が揮発しやすいという問題を有している。
/I 酸化還元対に代替する酸化還元対として、Co(II/III)外圏錯体系酸化還元対が検討されている(例えば、非特許文献1(J. Am. Chem. Soc, 2002, 124(37), 11215−11222)参照)。Co(II/III)の語は、酸化還元によりコバルトの価数が二価と三価の間で変化することを意味する。
Co(II/III)外圏錯体系は1電子酸化還元系であるため、酸化還元反応が比較的単純である。また、この錯体系酸化還元対を含む電解質層は、揮発性、腐食性が弱い上に、可視光領域における吸収が弱いため、色素の光吸収を妨害せず、高濃度の酸化還元対を電解質層中に含むことができる。さらに、色素増感太陽電池の開放電圧を支配する酸化還元準位を比較すると、Co(II/III)外圏錯体系酸化還元対は、I/I 酸化還元対と同程度であるか、或いはより低い酸化還元準位を有しており、この錯体系酸化還元対の使用により、高い開放電圧を有し、高い光電変換効率を有する色素増感太陽電池が得られると期待される。しかし、特許文献1の報告によると、最も良好な特性を示すトリス(4,4´−ジ−t−ブチル−2,2´−ビピリジル)Co(II/III)パークロレートを含む電解質層を用いた色素増感太陽電池であっても、その開放電圧は約450mV〜550mVに留まっており、I/I 酸化還元対を含む電解質層を用いた色素増感太陽電池の約80%の光電変換効率しか得られていない。
J. Am. Chem. Soc, 2002, 124(37), 11215−11222
これまでのCo(II/III)外圏錯体系酸化還元対の検討では、陽極の触媒層のためにPt等の金属又はカーボンが用いられてきた。
これに対し、出願人は、色素増感太陽電池の触媒層のための導電性ポリマー層についての検討を続けてきた。そして、本願出願時には未公開であるPCT/JP2012/58761及びPCT/JP2012/58762において、3位と4位に置換基を有するチオフェン(以下、3位と4位に置換基を有するチオフェンを、「置換チオフェン」と表わす。)から成る群から選択された少なくとも一種のモノマーから構成されたポリマーと、該ポリマーに対するドーパントとしての、非スルホン酸系有機化合物であって該化合物のアニオンの分子量が200以上である少なくとも一種の化合物から発生したアニオンと、を含む導電性ポリマー層が、優れた耐熱性を有する上に、電解質層中の酸化種を還元種に変換する触媒能にも優れていること、さらには、上記導電性ポリマー層の密度を1.15〜1.80g/cmの範囲に限定することにより、耐熱性がさらに向上することを報告した。ここで、「非スルホン酸系有機化合物」とは、スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有していない有機化合物を意味する。
本発明の目的は、上述した知見を基礎として、耐熱性に優れる上に、高い開放電圧を有し、高い光電変換効率を有する色素増感太陽電池を提供することである。
発明者らは、鋭意検討した結果、Co(II/III)外圏錯体系酸化還元対を含む電解質層を有する色素増感太陽電池において、陽極上の触媒層として上述したポリマー層を使用することにより、I/I 酸化還元対を含む電解質層を用いた色素増感太陽電池における開放電圧よりも高い開放電圧を有する色素増感太陽電池が得られることを発見した。
したがって、本発明は、光増感剤としての色素を含む半導体層を有する陰極と、該陰極の半導体層上に積層された、対を成す酸化種と還元種とを含む電解質層と、該電解質層上に積層された、上記酸化種を上記還元種に変換する触媒として作用する導電性ポリマー層を有する陽極と、を備えた色素増感太陽電池であって、上記陽極における導電性ポリマー層が、3位と4位に置換基を有するチオフェンから成る群から選択された少なくとも一種のモノマーから構成されたポリマーと、該ポリマーに対するドーパントとしての、非スルホン酸系有機化合物であって該化合物のアニオンの分子量が200以上である少なくとも一種の化合物から発生したアニオンと、を含み、上記電解質層中の対を成す酸化種及び還元種が、2,2´−ビピリジン、4,4´−ジメチル−2,2´−ビピリジン、及び4,4´−ジ−t−ブチル−2,2´−ビピリジンからなる群から選択された配位子を有するCo(III)外圏錯体及び該錯体のCo(II)還元体である、ことを特徴とする色素増感太陽電池を提供する。色素増感太陽電池の光電変換効率は開放電圧の値に比例するため、本発明により高い光電変換効率を有する色素増感太陽電池が得られると期待される。
上記導電性ポリマー層には、ドーパントとして、非スルホン酸系有機化合物であってそのアニオンの分子量が200以上である化合物から発生したアニオンが含まれる。無機化合物から発生したアニオン、或いは、有機化合物であってもスルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有する化合物から発生したアニオン、或いは、スルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有していない有機化合物であってもアニオンの分子量が200未満である化合物から発生したアニオンは、耐熱性に優れた導電性ポリマー層を与えない(PCT/JP2012/58761及びPCT/JP2012/58762参照)。
非スルホン酸系有機化合物であってそのアニオンの分子量が200以上である化合物のなかでも、ボロジサリチル酸、ボロジサリチル酸塩、式(I)又は式(II)
Figure 0006024359
(式中、mが1〜8の整数、好ましくは1〜4の整数、特に好ましくは2を意味し、nが1〜8の整数、好ましくは1〜4の整数、特に好ましくは2を意味し、oが2又は3を意味する)で表わされるスルホニルイミド酸及びこれらの塩から選択された化合物は、特に耐熱性に優れた導電性ポリマー層を与えるため好ましい。
上記導電性ポリマー層を構成するためのモノマーには、置換チオフェン、すなわち、3位と4位に置換基を有するチオフェンから成る群から選択された化合物であれば、特に限定が無い。チオフェン環の3位と4位の置換基は、3位と4位の炭素と共に環を形成していても良い。特にモノマーがEDOTであると、環境安定性に優れる上に、電解質層中の酸化種を還元種に変換する触媒能に優れた導電性ポリマー層が得られるため好ましい。
上記導電性ポリマー層の密度は、1.15〜1.80g/cmの範囲であるのが好ましく、1.20〜1.80g/cmの範囲であるのがより好ましく、1.60〜1.80g/cmの範囲であるのが特に好ましい。密度が1.15g/cm未満であると、耐熱性が急激に低下し、密度が1.80g/cmを超える導電性ポリマー層の製造は困難である。また、柔軟性を有する陽極を得る場合には、導電性ポリマー層の密度が高すぎると導電性ポリマー層が固くなって柔軟性に乏しくなるため、導電性ポリマー層の密度が1.75g/cm以下であるのが好ましく、1.70g/cm以下であるのが特に好ましい。
1.15〜1.80g/cmの範囲の密度を有する導電性ポリマー層は、100〜80質量%の水と0〜20質量%の有機溶媒とから成る溶媒と、モノマーとしての置換チオフェンと、上述した特定範囲の非スルホン酸系有機化合物と、を含む重合液を用いた電解重合により得ることができる。この特定範囲の非スルホン酸系有機化合物は、重合液において支持電解質として作用するため、「非スルホン酸系有機支持電解質」とも表わされる。また、100〜80質量%の水と0〜20質量%の有機溶媒とから成る溶媒を、以下「水リッチ溶媒」と表わす。水リッチ溶媒において、水と有機溶媒との合計量は100質量%である。水リッチ溶媒における有機溶媒の含有量が増加すると、ポリマー粒子が緻密に充填された導電性ポリマー層が電解重合により基体上に形成されにくくなり、有機溶媒の含有量が溶媒全体の20質量%を超えると、得られた導電性ポリマー層の耐熱性が顕著に低下する(PCT/JP2012/58761及びPCT/JP2012/58762参照)。電解重合により得られた上記導電性ポリマー層の表面抵抗は、10Ω/□以下である。表面抵抗が低いほど、色素増感太陽電池全体の抵抗が減少し、電池の光電変換効率が増加するが、この低い表面抵抗は、高い光電変換効率へと導くため好ましい。
上記陰極における半導体層は、従来の色素増感太陽電池において半導体層のために使用されているいずれの材料を用いて形成しても良いが、光電変換効率が高い酸化チタンを使用するのが好ましい。半導体層の厚みには厳密な制限がないが、一般には1〜100μm、好ましくは3〜50μm、特に好ましくは3〜20μmの範囲である。半導体層の厚みが1μmより薄いと光の吸収が不十分な場合があり、半導体層の厚みが100μmより厚いと、酸化物半導体から基体の導電性部分に電子が到達する距離が長くなって電子が失活するため好ましくない。
本発明のCo(II/III)外圏錯体系を含む電解質層を有する色素増感太陽電池において、陽極の触媒層として使用される特定範囲の導電性ポリマー層は、電解質層中の酸化種を還元種に変換する触媒能に優れる上に、耐熱性に優れる。また、この特定範囲の導電性ポリマー層を有する陽極を備えた本発明の色素増感太陽電池は、I/I 酸化還元対を含む電解質層を用いた色素増感太陽電池における開放電圧よりも高い開放電圧を有する。したがって、高い光電変換効率を有する色素増感太陽電池が得られることが期待される。
導電性ポリマー層の厚みと表面抵抗との関係を示す図である。
まず、上述した特定範囲の導電性ポリマー層を備えた陽極について説明し、次いで、色素増感太陽電池の全体について説明する。
A:陽極
本発明の色素増感太陽電池のための陽極は、置換チオフェンから選択された少なくとも一種のモノマーから構成されたポリマーと、該ポリマーに対するドーパントとしての、非スルホン酸系有機化合物であって該化合物のアニオンの分子量が200以上である少なくとも一種の化合物から発生したアニオンと、を含む導電性ポリマー層を備えている。そして、この導電性ポリマー層は、上記モノマーと上記非スルホン酸系有機化合物とを含む電解重合用の重合液を得る調製工程、及び、得られた重合液に導電性部分を有する基体を導入し、電解重合を行うことにより、上記モノマーの重合により得られた導電性ポリマー層を上記基体の導電性部分の上に形成する重合工程、を含む方法により製造することができる。以下、各工程について説明する。
(1)調製工程
この工程で調製する電解重合用の重合液は、水リッチ溶媒と、モノマーとしての置換チオフェンと、上述した特定範囲の非スルホン酸系有機化合物と、を必須成分として含む。
重合液の調製には、環境負荷が小さく、経済的にも優れる水を主溶媒として使用する。この重合液には、水に加えて、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、エチレングリコール、アセトニトリル、アセトン、テトラヒドロフラン、酢酸メチルなどの有機溶媒が含まれていてもよいが、溶媒全体の80質量%以上は水である。水は溶媒全体の90質量%以上であるのが好ましく、溶媒全体の95質量%以上であるのがより好ましく、溶媒が水のみから成るのが特に好ましい。水リッチ溶媒における有機溶媒の含有量が増加すると、ポリマー粒子が緻密に充填された導電性ポリマー層が電解重合により基体上に形成されにくくなり、有機溶媒の含有量が溶媒全体の20質量%を超えると、得られた導電性ポリマー層の耐熱性が顕著に低下する。
モノマーとしては、置換チオフェン、すなわち、3位と4位に置換基を有するチオフェンから選択されたモノマーが用いられる。チオフェン環の3位と4位の置換基は、3位と4位の炭素と共に環を形成していても良い。使用可能なモノマーの例としては、3,4−ジメチルチオフェン、3,4−ジエチルチオフェンなどの3,4−ジアルキルチオフェン、3,4−ジメトキシチオフェン、3,4−ジエトキシチオフェンなどの3,4−ジアルコキシチオフェン、3,4−メチレンジオキシチオフェン、EDOT、3,4−(1,2−プロピレンジオキシ)チオフェンなどの3,4−アルキレンジオキシチオフェン、3,4−メチレンオキシチアチオフェン、3,4−エチレンオキシチアチオフェン、3,4−(1,2−プロピレンオキシチア)チオフェンなどの3,4−アルキレンオキシチアチオフェン、3,4−メチレンジチアチオフェン、3,4−エチレンジチアチオフェン、3,4−(1,2−プロピレンジチア)チオフェンなどの3,4−アルキレンジチアチオフェン、チエノ[3,4−b]チオフェン、イソプロピルチエノ[3,4−b]チオフェン、t−ブチル−チエノ[3,4−b]チオフェンなどのアルキルチエノ[3,4−b]チオフェンが挙げられる。モノマーとして、単独の化合物を使用しても良く、2種以上の化合物を混合して使用しても良い。特に、EDOTを使用するのが好ましい。
重合液中の支持電解質としては、非スルホン酸系有機化合物であって該化合物のアニオンの分子量が200以上である化合物が用いられる。これらの支持電解質のアニオンが、以下に示す電解重合の過程でドーパントとして導電性ポリマーフィルム中に含まれる。特に、ボロジサリチル酸、ボロジサリチル酸塩、式(I)又は式(II)
Figure 0006024359
(式中、mが1〜8の整数、好ましくは1〜4の整数、特に好ましくは2を意味し、nが1〜8の整数、好ましくは1〜4の整数、特に好ましくは2を意味し、oが2又は3を意味する)で表わされるスルホニルイミド酸及びこれらの塩を好ましく使用することができる。塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩、エチルアンモニウム塩、ブチルアンモニウム塩などのアルキルアンモニウム塩、ジエチルアンモニウム塩、ジブチルアンモニウム塩などのジアルキルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリブチルアンモニウム塩などのトリアルキルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩などのテトラアルキルアンモニウム塩を例示することができる。これらの支持電解質は、特に耐熱性に優れた導電性ポリマー層を与える。中でも、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミド酸の塩、例えばカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩は、極めて高い耐熱性を有する導電性ポリマー層を与える。
また、ボロジサリチル酸及びボロジサリチル酸塩は、安価で経済的に有利であり、特に耐熱性に優れた導電性ポリマー層を与えるため好ましいが、ボロジサリチル酸及びボロジサリチル酸塩に含まれるボロジサリチル酸イオンが水中で水への溶解度が極めて小さいサリチル酸とホウ酸とに加水分解することがわかっている。そのため、ボロジサリチル酸及び/又はボロジサリチル酸塩を支持電解質として使用すると、徐々に重合液中に沈殿が生じて使用に耐えなくなる。このことを回避するため、ボロジサリチル酸及び/又はボロジサリチル酸塩を支持電解質として使用する場合には、この支持電解質を液に添加した後沈殿生成前に電解重合を行うか、或いは、ボロジサリチル酸イオンの加水分解を抑制する作用を有するニトロベンゼン及びニトロベンゼン誘導体から成る群から選択された安定化剤と併用する。上記安定化剤は、単独の化合物であっても良く、2種以上の化合物であっても良い。ニトロベンゼン誘導体としては、ニトロフェノール、ニトロベンジルアルコール、ニトロ安息香酸、ジニトロ安息香酸、ジニトロベンゼン、ニトロアニソール、ニトロアセトフェノンを例示することができ、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、及びこれらの混合物が好ましい。
支持電解質は、単独の化合物を使用しても良く、2種以上の化合物を使用しても良く、重合液に対する飽和溶解量以下の濃度で且つ電解重合のために充分な電流が得られる量で使用され、好ましくは10mM以上の濃度で、特に好ましくは30mM以上の濃度で使用される。
重合液の調製は、モノマーの含有量に応じて、以下のような方法により行う。モノマーが飽和溶解量以下の量である場合には、重合液製造用の容器に、水リッチ溶媒、モノマーとしての置換チオフェン、及び上述した特定範囲の支持電解質を導入し、手作業により或いは機械的な攪拌手段を使用して各成分を水リッチ溶媒に溶解させることにより、重合液を調製する。モノマーが飽和溶解量を超える量である場合には、すなわち、重合液製造用の容器に、水リッチ溶媒、モノマーとしての置換チオフェン、及び上述した特定範囲の支持電解質を導入して攪拌・均一化した後静置するとモノマーが相分離する場合には、液に超音波照射を施して相分離したモノマーを重合液中に油滴として分散させることにより重合液を調製することができる。水リッチ溶媒に飽和溶解量を超える量のモノマーを添加した液に超音波照射を施してモノマーを油滴として分散させ、次いで得られた液に支持電解質を添加することにより、本発明の重合液を得ることもできる。重合液における各成分が安定であれば、調製時の温度に制限は無い。なお、本明細書において、「超音波」とは10kHz以上の周波数を有する音波を意味する。
超音波照射のために、超音波洗浄機用、細胞粉砕機用等として従来から知られている超音波発振器を特に限定なく使用することができる。モノマー油滴が水リッチ溶媒に安定に分散している液を超音波照射により得るためには、相分離しているモノマーを数μm以下の直径を有する油滴にする必要があり、そのためには、少なくとも機械的作用が強い数百nm〜数μmのキャビテーションを発生させることができる15〜200kHzの周波数の超音波を相分離液に照射する必要がある。超音波の出力は、4W/cm以上であるのが好ましい。超音波照射時間には厳密な制限はないが、2〜10分の範囲であるのが好ましい。照射時間が長いほど、モノマー油滴の凝集が阻害され、解乳化までの時間が長期化する傾向にあるが、超音波照射時間が10分以上では、油滴の凝集阻害効果が飽和する傾向が認められる。異なる周波数及び/又は出力を有する超音波を用いて複数回の照射を行うことも可能である。飽和溶解量を超えるモノマーの含有量は、超音波照射により解乳化が抑制された分散液が得られる量であれば良く、モノマーの種類ばかりでなく、支持電解質の種類と量、超音波照射条件によっても変化する。
本発明の重合液には、水リッチ溶媒、置換チオフェンから選択されたモノマー、及び上記特定範囲の支持電解質に加えて、本発明に悪影響を与えない範囲内で他の添加物が含まれていても良い。好適な添加物として、水溶性のノニオン界面活性剤が挙げられる。モノマーがノニオン界面活性剤のミセル中に濃縮されるため、速やかに電解重合が進行し、高電導度を示すポリマーが得られる。その上、ノニオン界面活性剤自体はイオン化せず、上記特定範囲の支持電解質のアニオンによるポリマーへのドーピングを阻害することが無い。
ノニオン界面活性剤としては、公知の水溶性のノニオン界面活性剤を特に限定無く使用することができる。例としては、ポリアルキレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンベンジルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン付加アルキルフェノールホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシアルキレン付加スチリルフェノールホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシアルキレン付加ベンジルフェノールホルムアルデヒド縮合物、アルキンジオール、ポリオキシアルキレン付加アルキンジオール、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレンひまし油、ポリオキシアルキレン硬化ひまし油、ポリグリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これらは単独で使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。また、例えば2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのような分散効果が高いアルキンジオールと他のノニオン界面活性剤、好ましくは、ポリオキシエチレン(9)ノニルフェニルエーテル分岐型のようなポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルとの組み合わせを重合液において使用すると、重合液におけるモノマーの含有量を大幅に増加させることができるため好ましい。
ノニオン界面活性剤を併用する場合には、重合液製造用の容器に、水リッチ溶媒、モノマー、上記特定範囲の支持電解質、及びノニオン界面活性剤を導入し、手作業により或いは機械的な攪拌手段を使用して或いは超音波を照射して各成分を水リッチ溶媒に溶解させることにより、重合液を調製する。また、重合液製造用の容器に、水リッチ溶媒、モノマー、及びノニオン界面活性剤を導入して、各成分を水リッチ溶媒に溶解させた液を調製した後、電解重合直前に、この液に上記特定範囲の支持電解質を添加して溶解させても良い。
いずれの重合液の製造方法においても、支持電解質としてのボロジサリチル酸及び/又はボロジサリチル酸塩と、安定化剤としてのニトロベンゼン及び/又はニトロベンゼン誘導体と、を併用する場合には、重合液製造用の容器に両者をほぼ同時に導入するか、或いは安定化剤を先に導入する。安定化剤はボロジサリチル酸イオンの加水分解を抑制するために使用されるからである。
(2)重合工程
上述の調製工程により得られた重合液に、少なくとも表面に導電性部分を有する作用極(導電性ポリマー層の基体)と対極とを導入し、電解重合を行うことにより、置換チオフェンの重合により得られた導電性ポリマー層を作用極の導電性部分の上に形成し、色素増感太陽電池のための陽極を得る。
少なくとも表面に導電性部分を有する作用極の材質、形状及び大きさは、用途に応じて適宜選択される。基体の導電性部分は、単層であっても良く、異なる種類の複数の層を含んでいても良い。例えば、白金、金、ニッケル、チタン、鋼、ロジウム、ルテニウムなどの導電体の板或いは箔を作用極として使用することができる。しかしながら、この重合工程で得られる導電性ポリマー層は透明性に優れるため、光学ガラス、石英ガラス、無アルカリガラスなどの透明で絶縁性のガラス基板、又は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルサルホン、ポリアクリレートなどの透明で絶縁性のプラスチック基板の表面に酸化インジウム、スズドープ酸化インジウム(ITO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、酸化亜鉛、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)などの透明導電層を蒸着又は塗布により設けた透明基体を作用極として使用するのが好ましい。この他、上述のガラス基板又はプラスチック基板の上に、白金、ニッケル、チタン、ロジウム、ルテニウムなどの金属膜を蒸着又は塗布により設けた基体を作用極とすることもできる。
電解重合の対極としては、白金、ニッケルなどの板を用いることができる。
電解重合は、調製工程により得られた重合液を用いて、定電位法、定電流法、電位掃引法のいずれかの方法により行われる。定電位法による場合には、モノマーの種類に依存するが、飽和カロメル電極に対して1.0〜1.5Vの電位が好適であり、定電流法による場合には、モノマーの種類に依存するが、1〜10000μA/cm、好ましくは5〜500μA/cm、より好ましくは10〜100μA/cmの電流値が好適であり、電位掃引法による場合には、モノマーの種類に依存するが、飽和カロメル電極に対して−0.5〜1.5Vの範囲を5〜200mV/秒の速度で掃引するのが好適である。重合温度には厳密な制限がないが、一般的には10〜60℃の範囲である。重合時間は重合液の組成や電解重合条件に依存して変化するが、一般的には0.6秒〜2時間、好ましくは1〜10分、特に好ましくは2〜6分の範囲である。
電解重合により、上述した特定範囲の非スルホン酸系有機支持電解質のアニオンをドーパントとして含む導電性ポリマー層が作用極の導電性部分の上に形成される。得られる導電性ポリマー層の密度は、1.15〜1.80g/cmの範囲である。導電性ポリマー層の密度が1.15g/cm未満であると、耐熱性が急激に低下し、密度が1.80g/cmを超える導電性ポリマー層の製造は困難である。耐熱性に優れた導電性ポリマー層の密度は、好ましくは1.20〜1.80g/cmの範囲、特に好ましくは1.60〜1.80g/cmの範囲である。また、柔軟性を有する陽極を得る場合には、導電性ポリマー層の密度が高すぎると導電性ポリマー層が固くなって柔軟性に乏しくなるため、導電性ポリマー層の密度が1.75g/cm以下であるのが好ましく、1.70g/cm以下であるのが特に好ましい。また、得られる導電性ポリマー層の表面抵抗は、10Ω/□以下である。表面抵抗が低いほど、色素増感太陽電池全体の抵抗が減少し、電池の光電変換効率が増加するが、この低い表面抵抗は、高い光電変換効率へと導くため好ましい。
導電性ポリマー層の厚みは、一般的には1〜10000nmの範囲である。導電性ポリマーの厚みが10000nm以上では、内部抵抗が高くなって電解質中の酸化種を還元種に変換する還元反応速度が十分でなくなり、また電解重合に時間がかかるため経済的に不利である。導電性ポリマー層の厚みが1nm以下では、電解質層中の酸化種を還元種に変換する触媒能が不十分となる。なお、導電性ポリマーの厚みは、以下のようにして算出した。まず、ITO電極上に0.1mA/cmの条件で定電流電解重合を1分間行うことにより導電性ポリマー層を形成し、原子間力顕微鏡によりポリマー層の厚みを測定する実験を行った。次いで、ITO電極上に0.1mA/cmの条件で定電流電解重合を28.6分間行うことにより導電性ポリマー層を形成し、段差計によりポリマー層の厚みを測定する実験を行った。この2つの実験から電荷量と導電性ポリマー層の厚みとの関係式を導出した。そして、導出された関係式を用いて、電解重合の電荷量を導電性ポリマー層の厚みに換算した。
電解重合後の導電性ポリマー層を水、エタノール等で洗浄し、乾燥することにより、耐熱性に優れた導電性ポリマー層が基体上に密着性良く形成された陽極を得ることができる。得られた陽極の導電性ポリマー層は、空気中の水分に安定であり、また中性付近のpHを示すため、太陽電池の製造或いは使用の過程で他の構成要素が腐食されるおそれも無い。
B:色素増感太陽電池
色素増感太陽電池は、光増感剤としての色素を含む半導体層を有する陰極と、該陰極の半導体層上に積層された対を成す酸化種と還元種とを含む電解質層と、上述した陽極と、を備えている。上述した陽極の導電性ポリマー層は、電解質層中で酸化還元対を構成する酸化種を還元種に変換させるのに十分な触媒能を有している。
色素増感太陽電池における陰極を構成する導電性基体及び半導体層は、従来の色素増感太陽電池における導電性基体及び半導体層を特に限定無く使用することができる。
導電性基体としては、少なくとも表面に導電性部分を有する基体を使用することができ、基体の導電性部分は、単層であっても良く、異なる種類の複数の層を含んでいても良い。例えば、白金、ニッケル、チタン、鋼、クロム、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、ロジウム、タンタル、タングステン、イリジウム、ハステロイなどの導電体の板或いは箔を基体として使用することができ、或いは、光学ガラス、石英ガラス、無アルカリガラスなどの透明で絶縁性のガラス基板、又は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルサルホン、ポリアクリレートなどの透明で絶縁性のプラスチック基板の表面に酸化インジウム、ITO、IZO、酸化スズ、ATO、FTO、酸化亜鉛、AZOなどの透明導電層を蒸着又は塗布により設けた透明基体を使用することもできる。この他、上述のガラス基板又はプラスチック基板の上に、白金、ニッケル、チタン、ロジウム、ルテニウムなどの金属膜を蒸着又は塗布により設けた基体を使用することもできる。陽極に含まれる基体が不透明である場合には、透明な基体を陰極の基体として使用する。また、陽極に含まれる基体が透明であっても、陰極のためにも透明基体を使用することにより、全透明型の太陽電池を構成することもできる。
半導体層は、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニッケル、酸化ニオブ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ビスマス、酸化インジウム、酸化タリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化ホスホニウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、硫化カドミウム、セレン化カドミウム、テルル化カドミウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムなどの酸化物半導体を使用して形成することができる。酸化物半導体は、単一の化合物を使用しても良く、2種以上を混合して使用しても良い。光電変換効率が高い酸化チタンを使用するのが好ましい。酸化物半導体は、通常、多くの色素を半導体層に担持できるように、多孔質の形態で使用される。
光増感剤として作用する色素としては、可視光領域及び/又は赤外光領域に吸収を有する有機色素又は金属錯体色素などを使用することができる。有機色素としては、トリフェニルアミン系、クマリン系、シアニン系、メロシアニン系、フタロシアニン系、ポルフィリン系、アゾ系、キノン系、キノンイミン系、キナクリドン系、スクアリリウム系、トリフェニルメタン系、キサンテン系、ペリレン系、インジゴ系、ナフタロシアニン系などの色素を使用することができ、トリフェニルアミン系の色素を使用するのが好ましい。金属錯体色素としては、オスミウム錯体、ルテニウム錯体、鉄錯体、亜鉛錯体、白金錯体、パラジウム錯体などを使用することができ、特に、幅広い吸収帯を有する点で、N3、N719のようなルテニウムビピリジン錯体、N749のようなルテニウムターピリジン錯体及びルテニウムクォーターピリジン錯体を使用するのが好ましい。また、多孔性酸化物半導体層に色素を強固に吸着させ、励起状態の色素と多孔性酸化物半導体層の伝導帯との間の電子移動を容易にするために、色素分子中にカルボキシル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、スルホン酸基、エステル基、メルカプト基、ホスホニル基等のインターロック基を有するものが好ましく、これらの中でもカルボキシル基を有するものが特に好ましい。また、カルボキシル基などの酸官能基の一部をアルカリ金属水酸化物、テトラアルキルアンモニウム水酸化物、イミダゾリウム水酸化物、及びピリジニウム水酸化物などで中和してアニオン化しておくと、アニオン間に働く斥力により色素分子同士の会合が抑制され、色素分子間の電子トラップの大幅な低減を図ることができる。これらの色素も、単一の化合物を使用しても良く、2種以上の混合物を使用しても良い。
色素増感太陽電池の陰極は、公知の方法により得ることができる。例えば、基体の導電性部分の上に、上述した酸化物半導体粒子とポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロースなどの有機バインダーとを含む分散物をスピンコート、バーコート、キャストコートなどの湿式法により積層し、加熱乾燥した後、400〜500℃の温度で焼成することにより、酸化物半導体の多孔質層を基体上に設ける。多孔質層を設ける前に、厚みが10nm以下のTiO薄膜から成るブロッキング層を基体上に形成し、ブロッキング層上に多孔質層を設けるのが好ましい。このブロッキング層は、Co(III)酸化種が多孔質層を保持する透明基板部分で還元されるのを抑制し、暗電流による色素増感太陽電池の劣化を防止する。このブロッキング層は、チタンアルコキシドと水とを用いた原子層体積法により好適に形成することができる。
多孔質層を形成するための酸化物半導体粒子としては、1〜200nmの平均一次粒子径を有する、球状、棒状、針状等の粒子が好ましく使用される。また、酸化物半導体粒子間のネッキングを向上させ、電子輸送特性を向上させ、光電変換効率を向上させるために、酸化物半導体の多孔質層にTiCl溶液を浸透させて表面を水洗した後、400〜500℃の温度で焼成しても良い。次いで、エタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等の溶剤に上述した色素を溶解した液に焼成後の基体を浸漬し、所定時間経過後に浸漬液から取り出し、乾燥して酸化物半導体に色素を担持することにより、陰極を得ることができる。酸化物半導体に色素を担持させた後、半導体と結合するイミダゾリル基、カルボキシ基、ホスホン基などの官能基を有する逆電子移動防止剤、例えば、tert−ブチルピリジン、1−メトキシベンゾイミダゾール、デカンリン酸などの長鎖アルキル基(炭素数13程度)を持つホスホン酸、を溶解させた液に得られた基体を浸漬し、逆電子移動防止剤を半導体表面の色素間の隙間に吸着させると、電解液中の逆電子移動を防止することができる上に、色素が電解液に溶出しにくくなるため好ましい。半導体層の厚みは、一般には1〜100μm、好ましくは3〜50μm、特に好ましくは3〜20μmの範囲である。半導体層の厚みが1μmより薄いと光の吸収が不十分な場合があり、半導体層の厚みが100μmより厚いと、酸化物半導体から基体の導電性部分に電子が到達する距離が長くなって電子が失活するため好ましくない。
色素増感太陽電池の電解質層には、酸化還元対として、2,2´−ビピリジン、4,4´−ジメチル−2,2´−ビピリジン、及び4,4´−ジ−t−ブチル−2,2´−ビピリジンからなる群から選択された配位子を有するCo(III)外圏錯体及び該錯体のCo(II)還元体が含まれる。外圏錯体の対アニオンとしては、過塩素酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオンが好適である。これらの酸化還元対を形成する電解液は、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、エチレングリコールなどの有機溶剤に、上記錯体のうちの還元種(Co(II)錯体)を溶解させた後、硼弗化ニトロソニウム等の酸化剤を添加し、還元種の一部を酸化種(Co(III)錯体)に変換することによって得られる。また、色素増感太陽電池の開放電圧を向上させる目的で、4−tert−ブチルピリジンやカルボン酸などの各種添加剤を加えることもできる。さらに、電解液には、必要に応じて、ヨウ化リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウムなどの支持電解質を添加しても良い。
また、上記電解液にゲル化剤を添加して擬固体化したゲル電解質により電解質層を形成することもできる。物理ゲルとする場合には、ゲル化剤としてポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデンなどを使用することができ、化学ゲルとする場合には、ゲル化剤としてアクリル(メタクリル)エステルオリゴマー、テトラ(ブロモメチル)ベンゼンとポリビニルピリジンとの組み合わせなどを使用することができる。
色素増感太陽電池は、上述した陽極を使用して公知の方法により得ることができる。例えば、陰極の半導体層と陽極の導電性ポリマー層とを所定の間隙を開けて配置し、間隙に電解液を注入し、必要に応じて加熱して電解質層を形成することにより、色素増感太陽電池を得ることができる。電解質層の厚みは、半導体層内に浸透した電解質層の厚みを除いて、一般には1〜100μm、好ましくは1〜50μmの範囲である。電解質層の厚みが1μmより薄いと、陰極の半導体層が短絡するおそれがあり、電解質層の厚みが100μmより厚いと、内部抵抗が高くなるため好ましくない。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明は以下の実施例に限定されない。
まず本発明の色素増感太陽電池に用いられる陽極について説明し、次に本発明の色素増感太陽電池について説明する。
(a)陽極の製造
ガラス容器に蒸留水50mLを導入し、この液にp−ニトロフェノールを0.10Mの濃度で、EDOTを0.0148Mの濃度で、ボロジサリチル酸アンモニウムを0.08Mの濃度で、この順番に添加して攪拌し、全てのEDOTが溶解した重合液を得た。得られた重合液に、1cmの面積を有するITO電極(ITO層表面抵抗:10Ω/□)を作用極として、5cmの面積を有するSUSメッシュを対極として、それぞれ導入し、100μA/cmの条件で定電流電解重合を行った。重合時間は、異なる厚みのPEDOT層が得られるように、0.2〜3分の範囲で調整した。重合後の作用極をメタノールで洗浄した後、160℃で30分間乾燥することにより、ITO電極上に10〜105nmの厚みのPEDOT層(ドーパント:ボロジサリチル酸アニオン)が形成された電極体を得た。PEDOT層の密度は、約1.6g/cmであった。
得られた陽極について、PETOT層の表面抵抗を測定した。図1には、PEDOT層の厚みと表面抵抗との関係を示す。PEDOT層が厚くなるにつれて、その表面抵抗が低下することがわかる。電解重合により得られる導電性ポリマー層は、作用極の導電性部分の表面抵抗より一般に高い表面抵抗を有するが、上記重合工程で得られた導電性ポリマー層は、作用極の導電性部分(ITO層)の表面抵抗(10Ω/□)より低い表面抵抗を有していた。表面抵抗が低いほど、色素増感太陽電池全体の抵抗が減少し、電池の光電変換効率が増加するが、この低い表面抵抗は、電池の高い光電変換効率へと導くため好ましい。
(b)色素増感太陽電池の製造
実施例1
1当量のCoCl・6HOを少量のメタノールに溶解させた液を、3当量の4,4´−ジ−t−ブチル−2,2´−ビピリジン(t−Bubpy)を含むメタノール溶液に添加し、2時間攪拌した。次いで、過剰のNHPFを添加し、黄色の[Co(II)(t−Bubpy)][PF(還元種)を沈殿させた。この沈殿をろ過し、エタノール、メタノール及びエーテルで洗浄した後、真空中で乾燥した。アセトニトリル中に、0.22Mの[Co(II)(t−Bubpy)][PF、0.20MのLiClO、0.20Mの4−t−ブチルピリジン、及び0.02MのNOBFを添加し、還元種の一部を酸化種(Co(III)錯体)に変換して、Co(II/III)錯体系を含む電解液を調製した。
1cmの表面積を有するFTO電極上に、チタンイソプロポキシドと水とを用いた原子層体積法により、酸化チタン薄膜から成るブロッキング層を形成した。次いで、ブロッキング層の表面に酸化チタンペースト(日揮触媒化成株式会社製)をスクリーン印刷法により膜厚が約10μmになるように塗布し、60℃で30分間予備乾燥し、さらに450℃で15分間焼成することにより、FTO電極上に酸化チタン多孔質層を形成した。焼成後の酸化チタンの厚みは8μmであった。さらに、式(III)で表わされるトリフェニルアミン系色素を0.2mMの濃度で含むエタノール溶液に酸化チタン多孔質層を24時間浸漬した後、室温にて乾燥することにより、酸化チタン多孔質層に式(III)で表わされる色素を添着させ、色素増感太陽電池の陰極を得た。
Figure 0006024359
次いで、得られた陰極と、105nmのPEDOT層(ドーパント:ボロジサリチル酸アニオン)を有する陽極とを、酸化チタン多孔質層と導電性ポリマー層とが50μmのスペーサーを介して対向するように張り合わせ、間隙に上記電解液を含浸させることにより電解質層を形成して、色素増感太陽電池を得た。
比較例1
実施例1の電解液の代わりに、0.1Mのヨウ化リチウム、0.05Mのヨウ素、0.6Mの1,2−ジメチル−1,3−プロピルイミダゾリウムヨウ化物、及び0.5Mの4−t−ブチルピリジンをアセトニトリルに溶解させた電解液を用いて、実施例1の手順を繰り返した。
(c)色素増感太陽電池の評価
実施例1及び比較例1の色素増感太陽電池について、ソーラシュミレータによる100mW/cm、AM1.5Gの照射条件下での電流−電圧特性を評価した。
表1に、得られた開放電圧の値を示す。
Figure 0006024359
表1から明らかなように、本発明の色素増感太陽電池は、従来のI/I 酸化還元対を含む電解質層を用いた色素増感太陽電池に比較して、高い開放電圧の値を示した。
本発明により、耐熱性に優れる上に、開放電圧が高く、高い変換効率が期待される色素増感太陽電池が得られる。

Claims (3)

  1. 光増感剤としての色素を含む半導体層を有する陰極と、
    該陰極の半導体層上に積層された、対を成す酸化種と還元種とを含む電解質層と、
    該電解質層上に積層された、前記酸化種を前記還元種に変換する触媒として作用する導電性ポリマー層を有する陽極と、
    を備えた色素増感太陽電池であって、
    前記陽極における導電性ポリマー層が、
    3位と4位に置換基を有するチオフェンから成る群から選択された少なくとも一種のモノマーから構成されたポリマーと、
    該ポリマーに対するドーパントとしての、非スルホン酸系有機化合物であって該化合物のアニオンの分子量が200以上である少なくとも一種の化合物から発生したアニオンと、
    を含み、
    前記非スルホン酸系有機化合物が、ボロジサリチル酸及びボロジサリチル酸塩から成る群から選択された少なくとも一種の化合物であり、
    前記電解質層中の対を成す酸化種及び還元種が、2,2´−ビピリジン、4,4´−ジメチル−2,2´−ビピリジン、及び4,4´−ジ−t−ブチル−2,2´−ビピリジンからなる群から選択された配位子を有するCo(III)外圏錯体及び該錯体のCo(II)還元体である
    ことを特徴とする色素増感太陽電池。
  2. 前記導電性ポリマー層の密度が1.15〜1.80g/cmの範囲である、請求項1に記載の色素増感太陽電池。
  3. 前記モノマーが3,4−エチレンジオキシチオフェンである、請求項1又は2に記載の色素増感太陽電池。
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