JP5606754B2 - 色素増感型太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、複数種の増感色素を用いた色素増感型太陽電池に関する。
近年、色素増感型太陽電池は、有機系太陽電池の中では高い光電変換効率を持ち、また、低価格で製造できるため、注目されている。色素増感型太陽電池の主な構成要素は、多孔質の金属酸化物半導体(金属酸化物層)、この金属酸化物半導体に担持された増感色素、電解質、及び、対向電極の4点である。
かかる色素増感型太陽電池の技術分野においては、従来、光電変換特性のさらなる向上を目的として、増感色素の設計変更を行うことにより光吸収率を高める試みがなされている。しかしながら、各々の増感色素が吸収できる波長領域は限られているため、増感色素の光吸収率の向上にはおのずと限界がある。
そのため、特許文献1〜3には、吸収波長特性が互いに異なる複数種の増感色素を混合して用いることにより、光エネルギーの収集効率を高める試みがなされている。
特開2009−032547号公報 特開2007−234580号公報
Applied Physics Letters 94, 073308 (2009)
しかしながら、上記従来技術のように複数種の増感色素を混合して用いても、光エネルギーの収集効率を高めることが容易ではなく、実際には、色素増感型太陽電池の光電変換効率が低下する場合がほとんどであった。これは、複数種の増感色素の吸着状態や、増感色素間での電子移動等によって、量子収率が著しく低下するためと考えられる。そのため、光エネルギーの収集効率を高めるために複数種の増感色素を併用するにあたり、実用に耐え得る増感色素の組み合わせとその製造方法の確立が求められていた。
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、光吸収率及び光電変換特性が高められた色素増感型太陽電池を提供することにある。また、本発明の他の目的は、複数種の増感色素が最適化した状態で金属酸化物層に担持(吸着)された作用電極を備える色素増感型太陽電池を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、化学構造と分光感度特性(IPCE)において波長感度領域の異なる複数種の増感色素を併用することにより、光吸収率及び光電変換特性が高められた色素増感型太陽電池が得られることを見出し、また、それらの増感色素が金属酸化物層に担持(吸着)された最適な条件を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下<1>〜<>を提供する。
<1> 色素が金属酸化物層に担持された色素担持金属酸化電極を有する作用電極を備える色素増感型太陽電池であって、
前記色素担持金属酸化電極は、下記一般式(1)及び(2)のそれぞれ
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、末端アリール基、末端アルキル基、又は、末端アルコキシ基であり、R1及びR2の少なくとも一方は、末端アリール基、末端アルキル基、又は、末端アルコキシ基である。また、R1及びR2が結合して環を形成していてもよい。R3及びR4は、それぞれ独立して、アンカー基又はアルキル基であり、少なくとも1つはアンカー基である。)
(式(2)中、R5〜R8は、それぞれ独立して炭素数4〜20の直鎖状アルキル基であり、各々が同一であっても異なっていてもよく、R9及びR10は、それぞれ独立して、アルキル基又はアルコキシ基であり、各々が同一であっても異なっていてもよい。R11は、水素原子、アルキル基、ハロゲン元素、シアノ基のいずれかである。)
で表される増感色素を含むことを特徴とする、
色素増感型太陽電池。
<2> 前記色素担持金属酸化電極は、紫外可視吸収スペクトル測定において、前記一般式(2)で表される増感色素に由来する光吸収ピークの吸収極大強度が、前記一般式(2)で表される増感色素を前記金属酸化物層に単独で担持させた場合の前記一般式(2)で表される増感色素に由来する光吸収ピークの吸収極大強度に対して、50%以上90%未満の範囲内にある、
上記<1>に記載の色素増感型太陽電池。
<3> 前記金属酸化物層が、実質的に酸化亜鉛からなる層である、
上記<1>又<2>に記載の色素増感型太陽電池。
<4> 前記一般式(1)で表される増感色素が、下記一般式(3):
で表される増感色素であり、
前記一般式(2)で表される増感色素が、下記一般式(4):
で表される増感色素である、
上記<1>〜<3>のいずれか一項に記載の色素増感型太陽電池。
<5> さらに、前記作用電極の前記色素担持金属酸化電極と対向するように配設された対向電極と、前記作用電極及び前記対向電極の間に設けられた電解質と、を備える、
上記<1>〜<4>のいずれか一項に記載の色素増感型太陽電池。
<6>前記アンカー基は、カルボキシル基を有する基、スルホン酸基を有する基、又は、リン酸基を有する基である、
上記<1>〜<5>のいずれか一項に記載の色素増感型太陽電池。
本発明によれば、光吸収率及び光電変換特性が高められた色素増感型太陽電池が実現される。また、限定された組み合わせの複数種の増感色素が、最適な吸着状態で金属酸化物層に担持(吸着)された作用電極を備える色素増感型太陽電池が実現される。したがって、増感色素を過剰に担持(吸着)させることによる光吸収率及び光電変換特性の低下を抑制することができる。また、増感色素の使用量が適切なので高コスト化が抑制される。
色素増感型太陽電池100の概略構成を示す断面図である。 実施例1〜実施例3及び比較例1〜2の色素増感型太陽電池の色素担持金属酸化物電極の紫外可視吸収スペクトル測定である。 実施例1、比較例1及び参考例の色素増感型太陽電池の分光感度特性である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は、図示の比率に限定されるものではない。また、以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明はその実施の形態のみに限定されない。
図1は、本実施形態の色素増感型太陽電池の概略構成を示す断面図である。
色素増感型太陽電池100は、作用電極11と、対向電極21と、これら作用電極11及び対向電極21の間に設けられた電解質31とを備える。作用電極11及び対向電極21のうち少なくとも一方は、光透過性を有する電極となっている。作用電極11と対向電極21とは、スペーサ41を介して対向配置され、これら作用電極11、対向電極21及びスペーサ41並びに図示しない封止部材によって画成される封止空間内に電解質31が封入されている。
作用電極11は、外部回路に対して、負極として機能する。作用電極11は、基体12の導電性表面12a上に金属酸化物を含有する多孔性の金属酸化物層13を備え、その金属酸化物層13に増感色素が担持(吸着)されることにより、色素担持金属酸化物電極14が形成されたものである。換言すれば、本実施形態の作用電極11は、増感色素が金属酸化物層13の金属酸化物表面に担持(吸着)された複合構造体が、基体12の導電性表面12a上に積層された構成(色素担持金属酸化物電極14)となっている。
基体12としては、少なくとも金属酸化物層13を支持可能なものであればその種類や寸法形状は特に制限されず、例えば、板状或いはシート状の物が好適に用いられる。その具体例としては、例えば、ガラス基板、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PAR)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィンあるいはブロム化フェノキシ等のプラスチック基板、金属基板或いは合金基板、セラミックス基板又はこれらの積層体等が挙げられる。また、基体12は、透光性を有することが好ましく、可視光領域における透光性に優れるものがより好ましい。さらに、基体12は、可撓性を有することが好ましい。この場合、その可撓性を生かした種々の形態の構造物を提供できる。
導電性表面12aは、例えば、導電性PETフィルムのように基体12上に透明導電膜を形成する等して、基体12に付与することができる。また、導電性を有する基体12を用いることで、基体12に導電性表面12aを付与する処理を省略することができる。透明導電膜の具体例としては、例えば、金(Au)、銀(Ag)あるいは白金(Pt)などを含む金属薄膜や、導電性高分子などで形成されたものの他、インジウム−スズ酸化物(ITO)、インジウム−亜鉛酸化物(IZO)、SnO2、InO3の他、SnO2にフッ素をドープしたFTO(F−SnO2)等が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらは、各々を単独で用いても、複数を組み合わせて用いてもよい。透明導電膜の形成方法は、特に限定されず、例えば、蒸着法、CVD法、スプレー法、スピンコート法、或いは浸漬法等、公知の手法を適用できる。また、透明導電膜の膜厚は、適宜設定可能である。なお、基体12の導電性表面12aは、必要に応じて、適宜の表面改質処理が施されていてもよい。その具体的としては、例えば、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂処理、機械的研磨処理、水溶液への浸漬処理、電解液による予備電解処理、水洗処理、乾燥処理等公知の表面処理が挙げられるが、これらに特に限定されない。
金属酸化物層13は、増感色素を担持する担持体である。金属酸化物層13は、一般的には、空隙が多く、表面積の大きな多孔質構造を有しているものが用いられ、緻密で空隙の少ないものであることが好ましく、膜状であることがより好ましい。特に、金属酸化物層13は、多孔質の微粒子が付着している構造であることがより好ましい。
本実施形態の金属酸化物層13は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化ニオブ、酸化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化バナジウム、酸化イットリウム、酸化アルミニウム又は酸化マグネシウム等の金属酸化物を主成分とする多孔性の半導体層である。これらの金属酸化物は、1種のみを単独で用いても、2種以上を複合(混合、混晶、固溶体など)して用いてもよい。高い光電変換効率を得る観点から、金属酸化物層13は、実質的に酸化亜鉛からなる層であることが好ましい。ここで、「実質的に酸化亜鉛からなる」とは、酸化亜鉛を95wt%以上含むことを意味する。なお、金属酸化物層13は、チタン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、カドミウム、鉛、アンチモン、ビスマス等の金属、これらの金属酸化物及びこれらの金属カルコゲニドを含んでいてもよい。なお、金属酸化物層13の厚みは、特に限定されないが、0.05〜50μmであることが好ましい。
金属酸化物層13の形成方法としては、例えば、金属酸化物の分散液を基体12の導電性表面12a上に付与した後に乾燥する方法、金属酸化物の分散液を基体12の導電性表面12a上に付与した後に高温焼結する方法、金属酸化物のペーストを基体12の導電性表面12a上に付与した後に50〜150℃程度の低温処理を行う方法の他、金属塩を含有する電解液から基体12の導電性表面12a上にカソード電析させる方法等が挙げられるが、これらに特に限定されない。ここで、高温焼結を必要としない方法を採用すると、基体12として耐熱性が低いプラスチック材料を用いることができる。
金属酸化物層13には、光を吸収して励起されることにより電子を金属酸化物へ注入することが可能な、増感色素が担持(吸着)されている。
本実施形態において、金属酸化物層13に担持される増感色素としては、下記一般式(1)で表されるものが必須とされる。かかる構成の増感色素は、嵩高い立体構造を有するにも関わらず、金属酸化物層13の金属酸化物表面への吸着性に優れるのみならず、金属酸化物への電子注入効率に優れる。これにより、下記一般式(1)で表される増感色素は、主に、光電変換効率の向上に寄与すると考えられる。
(式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、末端アリール基、末端アルキル基、又は、末端アルコキシ基であり、R1及びR2の少なくとも一方は、末端アリール基、末端アルキル基、又は、末端アルコキシ基である。また、R1及びR2が結合して環を形成していてもよい。R3及びR4は、それぞれ独立して、アンカー基又はアルキル基であり、少なくとも1つはアンカー基である。)
上記一般式(1)において、「末端アリール基」とは、末端がアリール基である1価の置換基を意味し、より具体的には、単結合、アルキレン基又はアルケニレン基等の連結基を介してアリール基が連結した1価の置換基を意味する。R1及びR2の末端アリール基の具体例としては、例えば、炭素数が6〜12の芳香族炭化水素(例えば、フェニル基、ナフチル基等)の他、これらの芳香族炭化水素がアルキレン基又はアルケニレン基等の連結基を介して連結したもの等(例えば、フェニルメチル基、ジフェニルエチル基、トリフェニルメチル基、1−フェニルエチレン基、1,1−ジフェニルエチレン基等)が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、フェニル基、ベンジル基、トリル基、キシリル基、1,1−ジフェニルエチレン基等が好ましく、1,1−ジフェニルエチレン基がより好ましい。
一般式(1)において、「末端アルキル基」とは、末端がアルキル基である1価の置換基を意味し、より具体的には、単結合、アリール基又はアルケニレン基等の連結基を介してアルキル基が連結した1価の置換基を意味する。R1及びR2の末端アルキル基の具体例としては、例えば、炭素数が1〜20の直鎖状、分枝状又は環状の炭化水素(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、2−ヘキシル基、ジメチルブチル基、エチルブチル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)の他、これらの炭化水素がアリール基又はアルケニレン基等の連結基を介して連結したもの等(メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基等)が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、炭素数が1〜8の直鎖状又は分枝状のアルキル基等が好ましく、炭素数が1〜5の直鎖状アルキル基がより好ましい。
一般式(1)において、「末端アルコキシ基」とは、末端がアルコキシ基である1価の置換基を意味し、より具体的には、単結合、アリール基又はアルケニレン基等の連結基を介してアルコキシ基が連結した1価の置換基を意味する。R1及びR2の末端アルコキシ基の具体例としては、例えば、炭素数が1〜20のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシロキシ基等)の他、これらのアルコキシ基がアリール基又はアルケニレン基等の連結基を介して連結したもの等(メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、メトキシフェニルエチレン基、エトキシフェニルエチレン基等)が挙げられるが、これらに特に限定されない。これらの中でも、炭素数が1〜20の直鎖状又は分枝状の炭化水素(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ヘキシロキシ基等)が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、及び、−O−nC613がより好ましく、メトキシ基がさらに好ましい。
一般式(1)において、R1及びR2は、結合して環を形成していてもよい。R1及びR2が結合して形成される環の具体例としては、例えば、ピラン、ジオキシン、ジオキサン等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
上記一般式(1)において、R3及びR4の「アンカー基」とは、担持体である金属酸化物層13の金属酸化物表面に対して、化学的或いは静電的な親和力又は結合能を有する置換基を意味する。このアンカー基の具体例としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基及びリン酸基を有する置換基等が挙げられる。これらの中では、アンカー基としては、カルボキシメチル基及びカルボキシウンデシル基が好ましい。また、上記一般式(1)において、R3及びR4のアルキル基の具体例としては、例えば、R1及びR2において例示した炭素数が1〜8の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられる。これらの中では、炭素数が1〜5の直鎖状アルキル基が好ましい。
上記の一般式(1)で表される増感色素の具体例としては、例えば、化学式(1−1)〜化学式(1−4)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(1)で表される増感色素としては、下記一般式(3)で表される増感色素が特に好ましい。
また、本実施形態において、金属酸化物層13に担持される増感色素としては、下記一般式(2)で表されるものも必須とされる。かかる構成の増感色素は、立体的に嵩高い炭素数4〜20の直鎖状アルキル基がインドレニン骨格に導入されているので、分子全体として、立体的なサイズが大きいものとなっている。そのため、増感色素が会合体を形成し難く、金属酸化物層13の金属酸化物表面において、光電変換に寄与しにくい会合体の割合が減少する。そのため、下記一般式(2)で表される増感色素は、主に、光電変換に寄与しにくい会合体の形成を抑制することによる光吸収の増大に寄与すると考えられる。
(式(2)中、R5〜R8は、それぞれ独立して炭素数4〜20の直鎖状アルキル基であり、各々が同一であっても異なっていてもよく、R9及びR10は、それぞれ独立して、アルキル基又はアルコキシ基であり、各々が同一であっても異なっていてもよい。R11は、水素原子、アルキル基、ハロゲン元素、シアノ基のいずれかである。)
上記一般式(2)のR9及びR10におけるアルコキシ基の具体例としては、R1及びR2において例示した炭素数が1〜8の直鎖状又は分枝状のアルキル基等が好ましく、炭素数が1〜5の直鎖状アルキル基がより好ましい。
上記一般式(2)のR9及びR10におけるアルキル基の具体例としては、R1及びR2において例示した炭素数が1〜8の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられる。これらの中では、炭素数が1〜5の直鎖状アルキル基が好ましい。
上記一般式(2)のR11におけるアルキル基の具体例としては、R1及びR2において例示した炭素数が1〜8の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられる。これらの中では、炭素数が1〜5の直鎖状アルキル基が好ましい。
上記一般式(2)のR11におけるハロゲン元素の具体例としては、フッ素、塩素、 臭素、及び、ヨウ素が挙げられる。
上記の一般式(2)で表される増感色素の具体例としては、例えば、化学式(2−1)〜化学式(2−4)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(2)で表される増感色素としては、下記一般式(4)で表される増感色素が特に好ましい。
本発明者らの知見によれば、上記の一般式(1)及び一般式(2)で表される増感色素を併用した本実施形態の色素増感型太陽電池100は、同一条件で作製した金属酸化物層13に各々の増感色素を単独で使用したものと比較して、光電変換特性が高められていることが判明した。これは、光電変換効率の向上に寄与すると考えられる上記一般式(1)で表される増感色素と、光吸収の増大に寄与すると考えられる上記一般式(2)で表される増感色素とを、巧みに利用したことによるものと考えられる。
なお、増感色素として、上記一般式(1)及び(2)で表される増感色素の他に、他の色素を含んでいてもよい。色素増感型太陽電池に要求される性能に応じて、所望の光吸収帯・吸収スペクトルを有するものが適用可能である。
他の色素の具体例としては、例えば、エオシンY、ジブロモフルオレセイン、フルオレセイン、ローダミンB、ピロガロール、ジクロロフルオレセイン、エリスロシンB(エリスロシンは登録商標)、フルオレシン、マーキュロクロム、シアニン系色素、メロシアニンジスアゾ系色素、トリスアゾ系色素、アントラキノン系色素、多環キノン系色素、インジゴ系色素、ジフェニルメタン系色素、トリメチルメタン系色素、キノリン系色素、ベンゾフェノン系色素、ナフトキノン系色素、ペリレン系色素、フルオレノン系色素、スクワリリウム系色素、アズレニウム系色素、ペリノン系色素、キナクリドン系色素、無金属フタロシアニン系色素または無金属ポルフィリン系色素などの有機色素等が挙げられる。また、これら他の色素は、金属酸化物と結合又は吸着することができるアンカー基(例えば、カルボキシル基、スルホン酸基或いはリン酸基等)を有することが好ましい。
また、他の色素として、例えば、有機金属錯体化合物も使用可能である。有機金属錯体化合物の具体例としては、例えば、芳香族複素環内にある窒素アニオンと金属カチオンとで形成されるイオン性の配位結合と、窒素原子またはカルコゲン原子と金属カチオンとの間に形成される非イオン性配位結合の両方を有する有機金属錯体化合物や、酸素アニオンもしくは硫黄アニオンと金属カチオンとで形成されるイオン性の配位結合と、窒素原子またはカルコゲン原子と金属カチオンとの間に形成される非イオン性配位結合の両方を有する有機金属錯体化合物等が挙げられる。より具体的には、銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニン等の金属フタロシアニン系色素、金属ナフタロシアニン系色素、金属ポルフィリン系色素、並びに、ビピリジルルテニウム錯体、ターピリジルルテニウム錯体、フェナントロリンルテニウム錯体、ビシンコニン酸ルテニウム錯体、アゾルテニウム錯体或いはキノリノールルテニウム錯体等のルテニウム錯体等が挙げられる。
また、増感色素は、1種又は2種以上の添加剤を含んでいてもよい。この添加剤としては、例えば、増感色素の会合を抑制する会合抑制剤が挙げられ、具体的には、化学式(5)で表されるコール酸系化合物等である。これらは単独で用いもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
(上記式(5)中、R91は酸性基を有するアルキル基である。R92は化学式中のステロイド骨格を構成する炭素原子のいずれかに結合する基を表し、水酸基、ハロゲン基、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、複素環基、アシル基、アシルオキシ基、オキシカルボニル基、オキソ基あるいは酸性基またはそれらの誘導体であり、それらは同一であってもよいし異なっていてもよい。tは1以上5以下の整数である。化学式中のステロイド骨格を構成する炭素原子と炭素原子との間の結合は、単結合であってもよいし、二重結合であってもよい。)
増感色素を金属酸化物層13に担持させる方法は、特に限定されない。その具体例としては、例えば、増感色素を含む溶液に金属酸化物層13を浸漬する方法、増感色素を含む溶液を金属酸化物層13に塗布する方法等が挙げられる。ここで用いる増感色素含有溶液の溶媒は、使用する増感色素の溶解性又は相溶性等に応じて、例えば、水、エタノール系溶媒、ニトリル系溶媒、ケトン系溶媒等の公知の溶媒から適宜選定することができる。
ここで、カソード電析法により金属酸化物層13を形成する場合、金属塩及び増感色素を含む電解液を用いることで、金属酸化物層13の形成と色素担持とを同時に行って、増感色素が金属酸化物層13の金属酸化物表面に担持(吸着)された色素担持金属酸化物電極14を直ちに形成することもできる。電解条件は、常法にしたがい、使用する材料の特性に応じて適宜設定すればよい。例えば、ZnOと増感色素からなる色素担持金属酸化物電極14を形成する場合には、還元電解電位は−0.8〜−1.2V(vs.Ag/AgCl)程度、pHは4〜9程度、電解液の浴温は0〜100℃程度が好ましい。また、電解液中の金属イオン濃度は、0.5〜100mM程度、電解液中の色素濃度は50〜500μM程度が好ましい。さらに、光電変換特性をより一層高めるために、増感色素が担持された金属酸化物層13から、一旦、増感色素を脱着し、その後に、他の増感色素を再吸着させてもよい。
なお、作用電極11(金属酸化物電極14)は、基体12の導電性表面12aと金属酸化物層13との間に、中間層を有していてもよい。中間層の材料は、特に限定されないが、例えば、上記の透明導電膜12aで説明した金属酸化物等が好ましい。中間層は、例えば、蒸着法、CVD法、スプレー法、スピンコート法、浸漬法或いは電析法等の公知の手法によって、基体12の導電性表面12aに金属酸化物を析出或いは堆積することで形成することができる。なお、中間層は、透光性を有することが好ましく、さらに導電性を有することが好ましい。また、中間層の厚みは、特に限定されるものではないが、0.1〜5μm程度が好ましい。
上記の一般式(1)及び一般式(2)で表される増感色素が担持(吸着)された金属酸化物層13(金属酸化物電極14)は、紫外可視吸収スペクトル(UV−visスペクトル)測定において、一般式(2)で表される増感色素に由来する光吸収ピークの吸収極大強度が、一般式(2)で表される増感色素を金属酸化物層に単独で担持(吸着)させた場合の一般式(2)で表される増感色素に由来する光吸収ピークの吸収極大強度に対して、50%以上90%未満の範囲内にあることが好ましい。一般式(1)及び一般式(2)で表される増感色素がこのような担持状態(吸着状態)にある金属酸化物電極14を用いることにより、各々の増感色素を単独で使用した場合と比較して、光電変換特性が高められた色素増感型太陽電池100を実現できる。
対向電極21は、外部回路に対して正極として機能する。対向電極21は、導電性表面22aを有する基体22からなり、その導電性表面21aが作用電極11の金属酸化物層13と対面するように対向配置されている。基体22及び導電性表面22aは、上述した基体12及び導電性表面12aと同様に、公知のものを適宜採用することができ、例えば、導電性を有する基体12の他、基体12上に透明導電膜12aを有するもの、基体12の透明導電膜12a上にさらに白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、モリブデン、チタン、ロジウム、ルテニウム或いはマグネシウム等の金属、カーボン、導電性ポリマー等の膜を形成したもの等を用いることができる。なお、上述したように、本実施形態では、対向電極に白金を使用しなくても優れた光電変換特性を奏し得る有機溶媒非含有電解質を採用しているため、導電性を有する基体12や、基体12上に透明導電膜12aを有するもの等の比較的廉価な対向電極を用いる場合に、従来技術に対する優位性が顕著となる。
電解質31としては、酸化還元対を有するレドックス電解質やこれをゲル化した半固体電解質或いはp型半導体固体ホール輸送材料を成膜したもの等、一般に電池や太陽電池等において使用されているものを適宜用いることができる。
レドックス電解質としては、例えば、I-/I3 -系、Br-/Br3 -系、又は、キノン/ハイドロキノン系等が挙げられる。具体的には、ヨウ化物塩とヨウ素単体とを組み合わせたもの、又は、臭化物塩と臭素とを組み合わせたもの等、ハロゲン化物塩とハロゲン単体とを組み合わせたもの等である。
上記のハロゲン化物塩としては、例えば、ハロゲン化セシウム、ハロゲン化四級アルキルアンモニウム類、ハロゲン化イミダゾリウム類、ハロゲン化チアゾリウム類、ハロゲン化オキサゾリウム類、ハロゲン化キノリニウム類、又は、ハロゲン化ピリジニウム類等が挙げられる。より具体的には、これらのヨウ化物塩としては、例えば、ヨウ化セシウムや、テトラエチルアンモニウムヨージド、テトラプロピルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラペンチルアンモニウムヨージド、テトラヘキシルアンモニウムヨージド、テトラへプチルアンモニウムヨージド或いはトリメチルフェニルアンモニウムヨージド等の4級アルキルアンモニウムヨージド類や、3−メチルイミダゾリウムヨージド或いは1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウムヨージド等のイミダゾリウムヨージド類や、3−エチル−2−メチル−2−チアゾリウムヨージド、3−エチル−5−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチルチアゾリウムヨージド或いは3−エチル−2−メチルベンゾチアゾリウムヨージド等のチアゾリウムヨージド類や、3−エチル−2−メチル−ベンゾオキサゾリウムヨージド等のオキサゾリウムヨージド類や、1−エチル−2−メチルキノリニウムヨージド等のキノリニウムヨージド類や、ピリジニウムヨージド類等が挙げられる。また、臭化物塩としては、例えば、四級アルキルアンモニウムブロミド等が挙げられる。ハロゲン化物塩とハロゲン単体とを組み合わせたものの中でも、上記したヨウ化物塩のうちの少なくとも1種とヨウ素単体との組み合わせが好ましい。
また、レドックス電解質は、例えば、イオン性液体とハロゲン単体とを組み合わせたものでもよい。この場合には、さらに上記したハロゲン化物塩などを含んでいてもよい。イオン性液体は、一般に電池や太陽電池等において使用されているものを適宜用いることができ、特に限定されない。イオン性液体の具体例としては、例えば、「Inorg.Chem.」1996,35,p1168〜1178、「Electrochemistry」2002,2,p130〜136、特表平9−507334号公報、或いは、特開平8−259543号公報等に開示されているものが挙げられる。
イオン性液体は、室温(25℃)より低い融点を有する塩、又は、室温よりも高い融点を有していても他の溶融塩等と溶解することにより室温で液状化する塩が好ましい。このようなイオン性液体の具体例としては、以下に示したアニオン及びカチオン等が挙げられる。
イオン性液体のカチオンとしては、例えば、アンモニウム、イミダゾリウム、オキサゾリウム、チアゾリウム、オキサジアゾリウム、トリアゾリウム、ピロリジニウム、ピリジニウム、ピペリジニウム、ピラゾリウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、トリアジニウム、ホスホニウム、スルホニウム、カルバゾリウム、インドリウム及びそれらの誘導体が挙げられる。これらは、各々を単独で用いても、複数組み合わせて用いてもよい。具体的には、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウム或いは1−エチル−3−メチルイミダゾリウム等が挙げられる。
イオン性液体のアニオンとしては、例えば、AlCl4 -或いはAl2Cl7 -等の金属塩化物や、PF6 -、BF4 -、CF3SO3 -、N(CF3SO22 -、F(HF)n -或いはCF3COO-等のフッ素含有物イオンや、NO3 -、CH3COO-、C611COO-、CH3OSO3 -、CH3OSO2 -、CH3SO3 -、CH3SO2 -、(CH3O)2PO2 -、N(CN)2 -或いはSCN-等の非フッ素化合物イオンや、ヨウ化物イオン或いは臭化物イオン等のハロゲン化物イオンが挙げられる。これらは、各々を単独で用いても、複数組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、イオン性液体のアニオンとしては、ヨウ化物イオンが好ましい。
電解質31は、上記したレドックス電解質を溶媒に対して溶解、分散或いは懸濁させた液状の電解質(電解液)であっても、上記したレドックス電解質を高分子物質中に保持させた固体高分子電解質であってもよい。また、レドックス電解質とカーボンブラック等の粒子状の導電性炭素材料とを含む擬固体状(ペースト状)の電解質であってもよい。なお、導電性炭素材料を含む擬固体状の電解質では、導電性炭素材料が酸化還元反応を触媒する機能を有するため、電解質中にハロゲン単体を含まなくてもよい。
電解質31は、上記したハロゲン化物塩やイオン性液体等を溶解或いは分散する有機溶媒を含んでいてもよい。この有機溶媒としては、電気化学的に不活性なものが挙げられ、例えば、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、キノリン、ジエチルエーテル、クロロホルム、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、塩化メチレン、アセトン、アセトニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、ベンゾニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、バレロニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、酢酸、ギ酸、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、ペンタノール、メチルエチルケトン、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレングリコールモノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジオキサン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル、N−メチルピロリドン、γ‐ブチロラクトン、α‐メチル‐γ‐ブチロラクトン、β‐メチル‐γ‐ブチロラクトン、γ‐バレロラクトン、3‐メチル‐γ‐バレロラクトン等が挙げられる。
なお、電解質31は、要求性能に応じて各種添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、一般に電池や太陽電池等において使用されているものを適宜用いることができる。その具体例としては、例えば、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン及びそれらの誘導体等のp型導電性ポリマー;イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、トリアゾリウムイオン及びそれらの誘導体とハロゲンイオンとの組み合わせからなる溶融塩;ゲル化剤;オイルゲル化剤;分散剤;界面活性剤;安定化剤等が挙げられるが、これらに特に限定されない。
電解質31を作用電極11と対向電極21との間に配する方法は特に限定されず、各種公知の手法を用いて行うことができる。なお、電解質31は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
この色素増感型太陽電池100は、作用電極11に対して光(太陽光、又は、太陽光と同等の紫外光、可視光或いは近赤外光)が照射されると、その光を吸収して励起した色素が電子を金属酸化物層13へ注入する。注入された電子は、隣接した導電性表面12aに移動したのち外部回路を経由して、対向電極21に到達する。一方、電解質31は、電子の移動にともなって酸化された色素を基底状態に戻す(還元する)ように、酸化される。この酸化された電解質31が上記の電子を受け取ることによって還元される。このように、作用電極11と対向電極21との間における電子の移動と、これにともなう電解質31の酸化還元反応とが繰り返されることにより、連続的な電子の移動が生じ、定常的に光電変換が行われる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
以下の手順により、上記実施の形態で説明した色素増感型太陽電池100を作製した。
まず、以下の手順で、作用電極11を作製した。
最初に、導電性表面12aを有する基体12として、縦2.0cm×横1.5cm×厚さ1.1mmの導電性ガラス基板(FTO)を用意した。続いて、導電性表面12aに縦0.5cm×横0.5cmの四角形を囲むように厚さ70μmのマスキングテープを貼り、この部分に金属酸化物スラリー3cm3を一様の厚さとなるように塗布して乾燥させた。金属酸化物スラリーとしては、10重量%となるように酸化亜鉛粉末(平均粒径20nm;堺化学工業社製FINEX−50)を、非イオン性界面活性剤としてTriton X−100(Tritonは登録商標)を1滴添加した水に懸濁して調整したものを用いた。続いて、導電性表面12a上のマスキングテープを剥がし取り、金属酸化物スラリーを塗布した導電性ガラス基板を電気炉により450℃で焼成することにより、厚さ約2μmの金属酸化物層13を形成した。
続いて、上記式(3)で表される増感色素(D149、三菱製紙株式会社製)0.25mMと、上記式(4)で表される増感色素0.05mMと、デオキシコール酸3mMとを無水エタノールに溶解させ、実施例1の増感色素含有溶液を調製した。
D149
そして、上記の金属酸化物層13を、R.T.1h暗所にて上記実施例1の増感色素含有溶液に浸漬し、金属酸化物層13の金属酸化物表面に増感色素を担持させて金属酸化物電極14を形成した後、水洗及び乾燥することにより、作用電極11を得た。
次に、以下の手順で、対向電極21を作製した。
まず、導電性表面22aを有する基体22として、縦2.0cm×横1.5cm×厚さ1.1mmの導電性ガラス基板(FTO)を用意した。この導電性ガラス基板の導電性表面22a上に、スパッタリングにより白金よりなる100nmの厚さの導電層を形成することにより、対向電極21を得た。なお、導電性ガラス基板には、予め、電解液注入用の穴(φ1mm)を2つ形成しておいた。
次いで、以下の手順で電解液を調整した。
ジメチルヘキシルイミダゾリウムヨージド(0.6mol/dm3)、ヨウ化リチウム(0.1mol/dm3)及びヨウ素(0.05mol/dm3)を、各々が所定の濃度となるように、アセトニトリルに添加して、電解液を調製した。
その後、上記の作用電極11及び対向電極21並びに電解液を用いて、以下の手順で、色素増感型太陽電池100を作製した。
厚さ50μmのスペーサを色素担持金属酸化物電極14の周りを囲むように配置し、作用電極11の色素担持金属酸化物電極14が形成された面と、対向電極21の白金導電層を形成した面とを対向させ、作用電極11と対向電極21とをスペーサを介して貼り合わせた。次いで、対向電極21の注入口から上記の電解液を注入することにより、電解質31を形成した。最後に、全体を封止することにより、実施例1の色素増感型太陽電池100を得た。
(実施例2)
増感色素D149を0.5mM、上記式(4)で表される増感色素を0.15mMに変更すること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例2の増感色素含有溶液を調整した。
この実施例2の増感色素含有溶液を用いること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例2の色素増感型太陽電池100を得た。
(実施例3)
増感色素D149を0.5mM、上記式(4)で表される増感色素を0.03mM、デオキシコール酸を0.5mMに変更すること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例3の増感色素含有溶液を調整した。
この実施例3の増感色素含有溶液を用いること以外は、実施例1と同様に処理して、実施例3の色素増感型太陽電池100を得た。
(比較例1)
上記式(4)で表される増感色素を省略し、デオキシコール酸を1mMに変更すること以外は、実施例1と同様に処理して、比較例1の増感色素含有溶液を調整した。
この比較例1の増感色素含有溶液を用いること以外は、実施例1と同様に処理して、比較例1の色素増感型太陽電池100を得た。
(比較例2)
増感色素D149を省略すること以外は、実施例1と同様に処理して、比較例2の増感色素含有溶液を調整した。
この比較例2の増感色素含有溶液を用いること以外は、実施例1と同様に処理して、比較例2の色素増感型太陽電池100を得た。
<光電変換特性の測定>
得られた実施例1〜実施例3及び比較例1〜2の色素増感型太陽電池の電池特性を、AM−1.5(1000W/m2)のソーラーシミュレーターを用いて測定した。電池特性は、短絡光電流(Jsc)、開放電圧(Voc)、形状因子(FF)、光電変換効率(η)の4項目を測定した。測定結果を表1に示す。
なお、短絡光電流(Jsc)は、色素増感型太陽電池の出力端子を短絡させたときの両端子間に流れる電流(mA/cm2あたり)を表す。また、開放電圧(Voc)は、太陽電池セル・モジュールの出力端子を開放したときの両端子間の電圧(V)を表す。さらに、形状因子(FF)は、最大出力Pmaxを開放電圧(Voc)と光電流密度(Jsc)の積で除した値(FF=Pmax/Voc・Jsc)であり、太陽電池としての電流電圧特性曲線の特性を表すパラメータである。一方、光電変換効率(η:%)は、色素増感型太陽電池の電圧をソースメーターにて掃引して応答電流を測定し、これにより得られた電圧と電流との積である最大出力を1cm2あたりの光強度で除した値を算出し、この算出結果に100を乗じてパーセント表示したものである。すなわち、光電変換効率(η)は、(最大出力/1cm2あたりの光強度)×100で表される。
表1に示す結果から、実施例1〜3の色素増感型太陽電池は、比較例1及び2の色素増感型太陽電池と比較して、優れた光電変換効率を有することが確認された。以上のことから、一般式(1)で表される増感色素と一般式(2)で表される増感色素を併用することにより、各々を単独で使用した場合と比較して、光電変換特性が高められることが確認された。
<紫外可視吸収スペクトルの測定>
得られた実施例1〜実施例3及び比較例1〜2の色素増感型太陽電池の色素担持金属酸化物電極の紫外可視吸収スペクトルを、島津製作所製UV−3101PCを用いてスリット幅5nmの条件下で測定した。測定結果を図2に示す。
図2に示す結果から、実施例1〜実施例3の色素増感型太陽電池は、色素担持金属酸化電極の紫外可視吸収スペクトル測定において、上記式(4)で表される増感色素由来する光吸収ピークの吸収極大強度が、比較例2の上記式(4)で表される増感色素に由来する光吸収ピークの吸収極大強度に対して50%以上90%未満の範囲内にあることが確認された。
また、図2に示す結果から、実施例1の色素増感型太陽電池は上述した条件A〜Cをすべて満たし、実施例2の色素増感型太陽電池は上述した条件B及びCを満たし、実施例3の色素増感型太陽電池は上述した条件A及びCを満たすことが確認された。
<分光感度特性及び短絡光電流(Jsc)の比較>
図3に、実施例1、比較例1及び参考例の色素増感型太陽電池100の分光感度特性(IPCE)を示す。なお、参考例の色素増感型太陽電池100は、R.T.3min暗所にて増感色素を担持させること以外は、比較例1と同様に処理して得たものである。
また、表2に、実施例1、比較例1及び参考例の色素増感型太陽電池の短絡光電流(Jsc)を示す。なお、この短絡光電流(Jsc)は、かかるIPCEの面積から算出した値である。
図3及び表2に示す結果から、一般式(3)及び(4)で表される増感色素増感色素を併用することにより、それらを単独で使用するよりも、光電変換特性が向上することが確認された。とりわけ、参考例と比較例1との比較、及び、参考例と実施例1との比較を鑑みると、一般式(3)で表される増感色素を単独で用いて更なる特性向上を試みるよりも、一般式(3)及び(4)で表される増感色素増感色素を併用することが特に有効であることが確認された。
なお、上述したとおり、本発明は、上記実施形態及び実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更を加えることが可能である。
以上説明した通り、本発明は、色素増感型太陽電池に関わる電子・電気材料、電子・電気デバイス、及びそれらを備える各種機器、設備、システム等に広く且つ有効に利用可能である。また、本発明は、色素増感型太陽電池以外の他の用途、例えば、光センサ等の光電変換素子においても、広く且つ有効に利用可能である。
11…作用電極、12…基体、12a…導電性表面、13…金属酸化物層、14…色素担持金属酸化物電極、21…対向電極、22a…導電性表面、22…基体、31…電解質、41…スペーサ、100…光電変換素子。

Claims (6)

  1. 色素が金属酸化物層に担持された色素担持金属酸化物電極を有する作用電極を備える色素増感型太陽電池であって、
    前記色素担持金属酸化電極は、下記一般式(1)及び(2)のそれぞれ
    (式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素原子、末端アリール基、末端アルキル基、又は、末端アルコキシ基であり、R1及びR2の少なくとも一方は、末端アリール基、末端アルキル基、又は、末端アルコキシ基である。また、R1及びR2が結合して環を形成していてもよい。R3及びR4は、それぞれ独立して、アンカー基又はアルキル基であり、少なくとも1つはアンカー基である。)
    (式(2)中、R5〜R8は、それぞれ独立して炭素数4〜20の直鎖状アルキル基であり、各々が同一であっても異なっていてもよく、R9及びR10は、それぞれ独立して、アルキル基又はアルコキシ基であり、各々が同一であっても異なっていてもよい。R11は、水素原子、アルキル基、ハロゲン元素、シアノ基のいずれかである。)
    で表される増感色素を含むことを特徴とする、
    色素増感型太陽電池。
  2. 前記色素担持金属酸化電極は、紫外可視吸収スペクトル測定において、前記一般式(2)で表される増感色素に由来する光吸収ピークの吸収極大強度が、前記一般式(2)で表される増感色素を前記金属酸化物層に単独で担持させた場合の前記一般式(2)で表される増感色素に由来する光吸収ピークの吸収極大強度に対して、50%以上90%未満の範囲内にある、
    請求項1に記載の色素増感型太陽電池。
  3. 前記金属酸化物層が、実質的に酸化亜鉛からなる層である、
    請求項1又は2に記載の色素増感型太陽電池。
  4. 前記一般式(1)で表される増感色素が、下記一般式(3):
    で表される増感色素であり、
    前記一般式(2)で表される増感色素が、下記一般式(4):
    で表される増感色素である、
    請求項1〜3のいずれか一項に記載の色素増感型太陽電池。
  5. さらに、前記作用電極の前記色素担持金属酸化電極と対向するように配設された対向電極と、前記作用電極及び前記対向電極の間に設けられた電解質と、を備える、
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の色素増感型太陽電池。
  6. 前記アンカー基は、カルボキシル基を有する基、スルホン酸基を有する基、又は、リン酸基を有する基である、
    請求項1〜5のいずれか一項に記載の色素増感型太陽電池。
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