以下、添付図面を参照しながら本発明による濃度測定装置及び濃度測定方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る濃度測定装置1の概念図である。この濃度測定装置1は、心肺停止者50に対する胸骨圧迫(図中の矢印A)が適正に行われているか否かについての客観的な判断材料を提供するために、胸骨圧迫の繰り返しに起因して変動する、頭部51の総ヘモグロビン(cHb)濃度、酸素化ヘモグロビン(O2Hb)濃度、及び脱酸素化ヘモグロビン(HHb)濃度それぞれの、初期量からの時間的な変動(相対変化量)を測定し、その測定結果を表示部15に表示して、胸骨圧迫を行っている者に知らせるものである。濃度測定装置1は、頭部51に固定されたプローブ20から所定の光入射位置に所定波長(λ1、λ2、λ3)の光を入射し、頭部51における所定の光検出位置から出射される光の強度を検出することにより、酸素化ヘモグロビン(O2Hb)及び脱酸素化ヘモグロビン(HHb)による光への影響を調べ、これに基づいて酸素化ヘモグロビン(O2Hb)及び脱酸素化ヘモグロビン(HHb)の時間的な相対変化量を繰り返し算出する。また、その算出結果である時系列データに対してフィルタ処理を施し、低周波数成分を除去することによって、胸骨圧迫の繰り返しに起因する短周期の時間変動分を抽出し、その時間変動分を可視的に表示する。なお、所定波長の光としては、例えば近赤外光が用いられる。
図2(a)は、プローブ20の構成を示す平面図である。また、図2(b)は、図2(a)のII−II線に沿った側断面図である。プローブ20は、光入射部21と光検出部22とを有している。光入射部21と光検出部22とは、互いに例えば5cmの間隔をあけて配置され、柔軟な黒色のシリコンゴム製のホルダー23によって実質的に一体化されている。なお、この間隔は、概略3〜4cm以上あれば良い。
光入射部21は、光ファイバー24とプリズム25とから成り、濃度測定装置1の本体部10から伝送される測定光を、頭部の皮層に対してほぼ垂直に入射する構造となっている。測定光は、例えばパルス状のレーザ光であり、本体部10から送られる。
光検出部22は、頭部の内部を伝搬した測定光を検出し、測定光の強度に応じた検出信号を生成する。光検出部22は、例えば一次元の光センサであり、光入射部21からの距離方向に並べられたN個のアレイ状の光検出素子26を有している。また、光検出部22は、光検出素子26から出力される光電流を積分し、増幅するプリアンプ部27を更に有している。これにより、微弱な信号を感度良く検出して検出信号を生成し、この信号を本体部10へケーブル28を介して伝送することができる。なお、光検出部22は二次元の光センサであってもよく、また、電荷結合素子(CCD)によって構成されてもよい。プローブ20は、例えば毛髪の無い前額部に、粘着テープや伸縮性のバンド等によって固定される。
図3は、濃度測定装置1の構成例を示すブロック図である。図3に示された濃度測定装置1は、上述したプローブ20に加えて、本体部10を備えている。本体部10は、発光部11、サンプルホールド回路12、A/D変換回路13、CPU14、表示部15、ROM16、RAM17、及びデータバス18を備えている。
発光部11は、レーザダイオードおよび該レーザダイオードを駆動する回路によって構成されている。発光部11は、データバス18に電気的に接続されており、同じくデータバス18に電気的に接続されているCPU14からレーザダイオードの駆動を指示するための指示信号を受ける。指示信号には、レーザダイオードから出力されるレーザ光の光強度や波長(例えば波長λ1、λ2、λ3のうちいずれかの波長)などの情報が含まれている。発光部11は、CPU14から受けた指示信号に基づいてレーザダイオードを駆動し、光ファイバー24を介してプローブ20へレーザ光を出力する。なお、発光部11の発光素子はレーザダイオードでなくてもよく、近赤外領域の複数波長の光を順次出力できるものであればよい。また、光入射部21として、プローブ20に内臓させたLEDなどの発光ダイオードを用いてもよい。
サンプルホールド回路12及びA/D変換回路13は、プローブ20からケーブル28を介して伝送される検出信号を入力してこれを保持し、デジタル信号化を行ってCPU14に出力する。サンプルホールド回路12は、N個の検出信号の値を同時に保持(ホールド)する。サンプルホールド回路12は、データバス18に電気的に接続されており、検出信号を保持するタイミングを示すサンプル信号をCPU14からデータバス18を介して受け取る。サンプルホールド回路12は、サンプル信号を受けると、プローブ20から入力されたN個の検出信号を同時に保持する。サンプルホールド回路12は、A/D変換回路13に電気的に接続されており、保持したN個の検出信号それぞれをA/D変換回路13へ出力する。
A/D変換回路13は、検出信号をアナログ信号からデジタル信号に変換するための手段である。A/D変換回路13は、サンプルホールド回路12から受けたN個の検出信号を順にデジタル信号に変換する。A/D変換回路13は、データバス18に電気的に接続されており、変換した検出信号をデータバス18を介してCPU14へ出力する。
CPU14は、本実施形態における演算部であり、A/D変換回路13から受けた検出信号に基づいて、頭部の内部に含まれる酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb)、脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔHHb)、及びこれらの和である総ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔcHb)のうち必要なものを演算する。更に、CPU14は、これらの時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb、ΔcHb)に対してフィルタ処理を施し、これらに含まれる周波数成分のうち所定周波数より小さい周波数成分を除去することにより、胸骨圧迫の繰り返しに起因する時間変動分を抽出する。CPU14は、このような処理を行ったのち、その結果をデータバス18を介して表示部15へ送る。なお、検出信号に基づく時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb、ΔcHb)の演算方法やフィルタ処理の方法については後述する。表示部15は、データバス18に電気的に接続されており、データバス18を介してCPU14から送られた結果を表示する。
次に、濃度測定装置1の動作を説明する。併せて、本実施形態による濃度測定方法について説明する。図4は、本実施形態による濃度測定方法を示すフローチャートである。
まず、発光部11は、CPU14からの指示信号に基づいて、波長λ1〜λ3のレーザ光を順次出力する。これらのレーザ光は、光ファイバ24を伝搬して額部の光入射位置に達し、光入射位置から頭部内へ入射する(光入射ステップ、S11)。頭部内に入射されたレーザ光は、頭部内において散乱するとともに被測定成分に吸収されながら伝搬し、一部の光が額部の光検出位置に達する。光検出位置に達したレーザ光は、N個の光検出素子26によって検出される(光検出ステップ、S12)。各光検出素子26は、検出したレーザ光の強度に応じた光電流を生成する。これらの光電流は、プリアンプ部27によって電圧信号(検出信号)に変換され、これらの電圧信号は本体部10のサンプルホールド回路12に送られて保持されたのち、A/D変換回路13によってデジタル信号に変換される。
ここで、図5(a)は、波長λ1〜λ3のレーザ光の入射タイミングを示す図であり、図5(b)は、A/D変換回路13からのデジタル信号の出力タイミングを示す図である。図5に示されるように、波長λ1のレーザ光が入射すると、N個の光検出素子26に対応するN個のデジタル信号D1(1)〜D1(N)が順次得られる。続いて、波長λ2のレーザ光が入射すると、N個の光検出素子26に対応するN個のデジタル信号D2(1)〜D2(N)が順次得られる。このようにして、A/D変換回路13からは(5×N)個のデジタル信号D1(1)〜D5(N)が出力される。
続いて、演算部14が、デジタル信号D(1)〜D(N)に基づいて、ヘモグロビン酸素飽和度(TOI)を算出する。また、演算部14は、デジタル信号D(1)〜D(N)の中から少なくとも1つのデジタル信号を用いて、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb)、脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔHHb)、及びこれらの和である総ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔcHb)を演算する(演算ステップ、ステップS13)。そして、これらの相対変化量(ΔcHb、ΔO2Hb、ΔHHb)に含まれる周波数成分のうち、所定周波数より小さい周波数成分をフィルタ処理によって除去する(演算ステップ、S14)。フィルタ処理後のこれらの相対変化量(ΔcHb、ΔO2Hb、ΔHHb)は、表示部15に表示される(ステップS15)。本実施形態における濃度測定装置1および濃度測定方法では、上述したステップS11〜S15が繰り返される。
ここで、演算ステップS13及びS14における、演算部14による上記演算について詳細に説明する。
或る光検出位置において、時刻T0におけるレーザ光波長λ1〜λ3それぞれに応じた検出信号の値をDλ1(T0)〜Dλ3(T0)、同じく時刻T1における値をDλ1(T1)〜Dλ3(T1)とすると、時刻T0〜T1における検出光強度の変化量は、次の(1)〜(3)式のように表される。
ただし、(1)〜(3)式において、ΔOD1(T1)は波長λ1の検出光強度の時間的変化量、ΔOD2(T1)は波長λ2の検出光強度の変化量、ΔOD3(T1)は波長λ3の検出光強度の時間的変化量である。
また、時刻T0から時刻T1までの間における酸素化ヘモグロビン及び脱酸素化ヘモグロビンの濃度の時間的相対変化量をそれぞれΔO2Hb(T1)及びΔHHb(T1)とすると、これらは次の(4)式によって求めることができる。
ただし、(4)式において、係数a11〜a23は、波長λ1、λ2、及びλ3の光に対するO2Hb及びHHbの吸光係数から求まる定数である。また、頭部内の総ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量ΔcHb(T1)は、次の(5)式によって求めることができる。
CPU14は、N個の光検出位置の中の1つの検出信号について上記の演算を行い、酸素化ヘモグロビン濃度、脱酸素化ヘモグロビン濃度、及び総ヘモグロビン濃度の各時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb、ΔcHb)を算出する。更に、CPU14は、こうして算出した時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb、ΔcHb)に対して、例えば以下に示される何れかのフィルタ処理を行う。
(1)デジタルフィルタによるフィルタ処理
所定の周期で得られた、時間的相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb、ΔcHb)に関するデータ列をX(n)とする。但し、nは整数である。このデータ列X(n)に対し、n=0を時間中心として、例えば以下のフィルタ係数A(n)を各データに乗ずることによって、非巡回型の線形位相デジタルフィルタが実現される。
A(0)=3/4
A(3)=A(−3)=−1/6
A(6)=A(−6)=−1/8
A(9)=A(−9)=−1/12
更に詳細に説明すると、データ列X(n)の遅延演算子は、次の(6)式によって表される。なお、fは時間周波数である(単位は1/sec)。また、ωは角周波数であり、ω=2πfである。なお、Tはデータ列X(n)が得られる周期であり、毎分150回(2.5Hz)程度までの変動波形を測定する為に、例えば1/20秒といった周期に設定される。
このとき、上述したフィルタ係数A(n)を用いた場合のデジタルフィルタ特性は、次の(7)式によって記述される。
このように、デジタルフィルタは、データ列X(n)と対応する各係数との積和演算によって表される。そして、この(7)式の時間周波数fを、毎分での時間周波数F(単位は1/min)に変換すると、次の(8)式が求められる。
図6は、このR(F)をグラフ表示したものであり、デジタルフィルタのフィルタ特性を示している。図6において、横軸は1分間あたりの心拍数であり、縦軸はR(F)の値である。また、図7は、図6に示されるデジタルフィルタを用いて、酸素化ヘモグロビンの時間的な相対変化量(ΔO2Hb)に含まれる周波数成分のうち所定周波数より小さい周波数成分を除去し(低減し)、胸骨圧迫の繰り返しに疑似する自発心拍に起因する時間変動分を抽出した結果を示すグラフである。なお、図7において、グラフG31はフィルタ処理前の相対変化量(ΔO2Hb)を示しており、グラフG32はフィルタ処理前の相対変化量(ΔO2Hb)に含まれる長周期成分(所定周波数より小さい周波数成分)を示しており、グラフG33はフィルタ処理後の相対変化量(ΔO2Hb)を示している。図7に示されるように、上述したデジタルフィルタによって、自発心拍や胸骨圧迫の繰り返しに起因する時間変動分を好適に抽出することができる。
(2)平滑演算(最小2乗誤差カーブフィッティング)によるフィルタ処理
上述したデータ列X(n)においてn=0を時間中心とし、その前後の所定時間(例えば3秒間、5拍分)の間に得られたデータ列X(n)に対して、高次関数(例えば4次関数)を用いた最小2乗誤差カーブフィッティングを行う。そして、得られた高次関数の定数項を、n=0における平滑成分(所定周波数より小さい周波数成分)と見なす。すなわち、この平滑化された周波数成分を元のデータX(0)から差し引くことによって、相対変化量に含まれる周波数成分のうち所定周波数より小さい周波数成分を除去し、胸骨圧迫の繰り返しに起因する時間変動分を分離・抽出することができる。
図8は、このようなフィルタ処理を用いて、総ヘモグロビンの時間的な相対変化量(ΔcHb)に含まれる周波数成分のうち所定周波数より小さい周波数成分を除去し(低減し)、胸骨圧迫の繰り返しに疑似する自発心拍に起因する時間変動分を抽出した結果を示すグラフである。なお、図8において、グラフG41はフィルタ処理前の相対変化量(ΔcHb)を示しており、グラフG42はフィルタ処理前の相対変化量(ΔcHb)に含まれる長周期成分(所定周波数より小さい周波数成分)を示しており、グラフG43はフィルタ処理後の相対変化量(ΔcHb)を示しており、グラフG44はフィルタ処理後の相対変化量(ΔcHb)における5秒間の平均振幅を示している。図8に示されるように、上述した平滑演算によるフィルタ処理によって、自発心拍や胸骨圧迫の繰り返しに起因する時間変動分を好適に抽出することができる。
(3)変動の極大部分や極小部分を一定に揃えるフィルタ処理
図9(a)及び図9(b)は、本フィルタ処理の概念を説明するための図である。このフィルタ処理では、例えば相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb、またはΔcHb)の時間変化における極大値を求め、図9(a)に示されるように、この時間変化グラフG51の極大値P1を一定値と見なすことにより、相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb、またはΔcHb)に含まれる所定周波数より小さい周波数成分を除去する。或いは、例えば相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb、またはΔcHb)の時間変化における極小値を求め、図9(b)に示されるように、この時間変化グラフG51の極小値P2を一定値と見なすことにより、相対変化量(ΔO2Hb、ΔHHb、またはΔcHb)に含まれる所定周波数より小さい周波数成分を除去する。このように、極大値P1及び/又は極小値P2を一定値に近づけることによって、胸骨圧迫の繰り返しに起因する時間変動分を好適に抽出することができる。
以上の構成を備える本実施形態による濃度測定装置1および濃度測定方法による効果について、以下に説明する。先述した解決課題に鑑み、本発明者は、頭部の総ヘモグロビン濃度や酸素化ヘモグロビン濃度の相対変化量(ΔcHb、ΔO2Hb)を、近赤外光による濃度測定装置を用いて、心拍周波数より十分速い周波数で測定した。その結果、胸骨圧迫において、胸骨を周期的に圧迫する毎に、頭部の内部(すなわち脳)の総ヘモグロビン濃度や酸素化ヘモグロビン濃度に一定の変化が生じていることを見出した。この現象は、胸骨圧迫により脳内の血流が増加することに起因すると考えられ、胸骨圧迫が適切に行われているか否かを判断するための客観的な材料になり得る。しかしながら、このような胸骨圧迫に起因する濃度変化の振幅(例えば1μmol程度)は、健常者の通常の活動状態あるいは心肺停止者に各種の処置が行われている状態において生じる、更に長周期の変化の振幅(通常、数μmol以上)と比較してごく僅かである。したがって、総ヘモグロビン濃度や酸素化ヘモグロビン濃度に相当する値を単純に測定したのでは、胸骨圧迫による変動を観察することが極めて難しくなる。
そこで、本実施形態による濃度測定装置1および濃度測定方法では、演算ステップS13において、総ヘモグロビン濃度、酸素化ヘモグロビン濃度、及び脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量(ΔcHb、ΔO2Hb、ΔHHb)をCPU14が求めるとともに、該相対変化量(ΔcHb、ΔO2Hb、ΔHHb)に含まれる周波数成分のうち所定周波数より小さい周波数成分を除去する。通常、胸骨圧迫に起因する濃度変化の周期(すなわち胸骨圧迫の際の好ましい圧迫周期)は、心肺停止者に各種の処置が行われている状態における主要な濃度変化の周期より短い。したがって、本実施形態による濃度測定装置1および濃度測定方法のように、測定された相対変化量(ΔcHb、ΔO2Hb、ΔHHb)から小さな周波数成分(すなわち長周期成分)を除去することにより、胸骨圧迫に起因する濃度変化に関する情報を好適に抽出することができる。そして、この情報に基づいて、胸骨圧迫が適切に行われているか否かを施行者が客観的に判断することができる。これにより、施行者がより適切な胸骨圧迫を施行若しくは維持することが可能となる。
なお、本実施形態において、「所定周波数より小さい周波数成分を除去するフィルタ処理」とは、所定周波数より小さい周波数成分の割合を、胸骨圧迫に起因する周波数成分が十分に識別可能な程度に現れるまで小さくする処理をいい、所定周波数より小さい周波数成分を完全に除去するような処理に限られるものではない。
また、相対変化量(ΔcHb、ΔO2Hb、ΔHHb)の算出周期は0.2秒以下(算出周波数にすると、5Hz以上)であることが好ましい。一般的に、胸骨圧迫の好適な周期は1分間に100回程度(すなわち0.6秒に1回)もしくはそれ以上といわれている。そして、相対変化量の算出周期がその3分の1以下であれば、胸部圧迫に起因する濃度変化を好適に検出することができる。
また、前述したフィルタ処理では、相対変化量(ΔcHb、ΔO2Hb、ΔHHb)に含まれる周波数成分のうち所定周波数より小さい周波数成分を除去することによって、胸骨圧迫の繰り返しに起因する時間変動分を抽出する。この所定周波数は、1.66Hz以下であることが好ましい。これにより、1分間に100回程度もしくはそれ以上の胸骨圧迫に起因する濃度変化に関する情報を好適に抽出することができる。
ここで、表示部15における画面表示について説明する。図10(a)及び図10(b)は、表示部15における表示画面の例である。図10(a)に示される表示画面では、フィルタ処理後の酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb)、及びフィルタ処理後の脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔHHb)が、それぞれ個別のグラフG11及びG12として表示されている。一実施例では、グラフG11及びG12の横軸は時間を示し、縦軸は変化量を示す。
また、図10(b)に示される表示画面では、フィルタ処理後の総ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔcHb)を表すグラフG21が示されており、更に、そのグラフG21の振幅のうち、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb)が占める領域B22と、脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔHHb)が占める領域B23とが色分けして表示されている。一実施例では、グラフG21の横軸は時間を示し、縦軸は変化量を示す。このように、領域B22と領域B23とが色分けして表示されることによって、表示された情報を胸骨圧迫の施行者が参照して、頭部に送り込まれる血液中の酸素化ヘモグロビンの比率を視覚的且つ直感的に認識することができ、人工呼吸の必要性を素早く判断することができる。
また、表示部15は、総ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔcHb)の時間変化の振幅(図10(b)に示される振幅A1)と、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb)の時間変化の振幅(図10(b)に示されるA2)との比(A2/A1)に関する数値等の情報(第1の情報)を表示してもよい。或いは、表示部15は、総ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔcHb)の時間変化の積分値I1(図10(b)に示される領域B22及び領域B23の面積の和)と、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔO2Hb)の時間変化の積分値I2(図10(b)に示される領域B22の面積)との比(I2/I1)に関する数値等の情報(第2の情報)を表示してもよい。これらのうち何れか、或いは双方を表示することによって、表示された情報を胸骨圧迫の施行者が参照して、頭部に送り込まれる血液中の酸素化ヘモグロビンの比率を知ることができ、人工呼吸の必要性を好適に判断することが可能となる。なお、これらの情報は、CPU14において演算され、表示部15に送られる。また、これらの情報は、所定時間(例えば5秒間)の平均値であってもよい。
更に、CPU14は、算出された比(A2/A1)や比(I2/I1)の値が所定の閾値(例えば90%)より小さい場合には、胸骨圧迫の施行者に対して警告を行ってもよい。これによって、頭部に送り込まれる血液中の酸素化ヘモグロビンの比率が低下していることを、胸骨圧迫の施行者に対して更に確実に知らせることができる。このような警告の方法としては、例えば警告音の出力や、表示部15に対する警告表示の指示が好適である。
また、表示部15は、フィルタ処理を行った後の総ヘモグロビン濃度及び/又は酸素化ヘモグロビン濃度の時間的相対変化量(ΔcHb、ΔO2Hb)の変動周波数に関する情報(第3の情報)を表示してもよい。これらによって、現在の胸骨圧迫の周波数(周期)を施行者に知らせて、例えば毎分100回といった適切な周波数(周期)に近づけるよう促すことができる。なお、この情報は、CPU14において演算され、表示部15に送られる。また、この情報は、所定時間(例えば5秒間)の平均値であってもよい。
また、表示部15は、総ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量の時間変化の振幅(図10(b)に示されるA1)の数値を表示してもよい。これによって、表示された数値を胸骨圧迫の施行者が参照して、脳内に送り込まれる血液量を知ることができ、胸骨の圧迫強度が十分か否かを好適に判断することができる。なお、この数値は、所定時間(例えば5秒間)の平均値であってもよい。また、本体部10は、この振幅の数値が所定値以上となる毎に音(例えばピッ、ピッ、という擬パルス音)を出力してもよい。これによって、脳内に適切な血液量が送り込まれているか否かをより確実に施行者に知らせることができる。
本発明による濃度測定装置及び濃度測定方法は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態に係る濃度測定装置1および濃度測定方法では、総ヘモグロビン濃度、酸素化ヘモグロビン濃度、及び脱酸素化ヘモグロビン濃度の各相対変化量(ΔcHb、ΔO2Hb、ΔHHb)を求めているが、本発明に係る濃度測定装置及び濃度測定方法では、総ヘモグロビン濃度及び酸素化ヘモグロビン濃度の各相対変化量(ΔcHb、ΔO2Hb)のうち少なくとも一方を求めることによって、胸骨圧迫が適切に行われているか否かに関する客観的な判断材料を提示することができる。
また、本発明に係る濃度測定装置及び濃度測定方法におけるフィルタ処理は、上記実施形態に例示したものに限られず、相対変化量(ΔcHb、ΔO2Hb)から所定周波数より小さい周波数成分を除去することが可能なフィルタ処理であれば、本発明において好適に用いられる。
また、本発明では、総ヘモグロビン濃度、酸素化ヘモグロビン濃度、及び脱酸素化ヘモグロビン濃度の各相対変化量(ΔcHb、ΔO2Hb、ΔHHb)と同様に近赤外分光分析によって求められるヘモグロビン酸素飽和度(TOI)についても、グラフ若しくは数値としてこれらと共に表示部に表示してもよい。これにより、胸骨圧迫による脳酸素状態の改善を確認することができ、施行者のモチベーションを維持することができる。なお、このTOIは、所定時間(例えば5秒間)の平均値であってもよい。
<付記>
本発明は、胸骨圧迫が適切に行われているか否かを客観的に判断することが可能な濃度測定装置及び濃度測定方法を提供することを目的としてもよい。この課題を解決するために、濃度測定装置は、胸骨圧迫の繰り返しに起因して変動する、頭部の総ヘモグロビン濃度及び酸素化ヘモグロビン濃度のうち少なくとも一方の時間的な相対変化量を測定する濃度測定装置であって、頭部に測定光を入射する光入射部と、頭部の内部を伝搬した測定光を検出し、該測定光の強度に応じた検出信号を生成する光検出部と、検出信号に基づいて、総ヘモグロビン濃度及び酸素化ヘモグロビン濃度のうち少なくとも一方の時間的な相対変化量を求め、該相対変化量に含まれる周波数成分のうち所定周波数より小さい周波数成分を除去するフィルタ処理を行う演算部とを備えることを特徴としてもよい。
また、濃度測定方法は、胸骨圧迫の繰り返しに起因して変動する、頭部の総ヘモグロビン濃度及び酸素化ヘモグロビン濃度のうち少なくとも一方の時間的な相対変化量を測定する濃度測定方法であって、頭部に測定光を入射する光入射ステップと、頭部の内部を伝搬した測定光を検出し、該測定光の強度に応じた検出信号を生成する光検出ステップと、検出信号に基づいて、総ヘモグロビン濃度及び酸素化ヘモグロビン濃度のうち少なくとも一方の時間的な相対変化量を求め、該相対変化量に含まれる周波数成分のうち所定周波数より小さい周波数成分を除去するフィルタ処理を行う演算ステップとを備えることを特徴としてもよい。
本発明者は、頭部の総ヘモグロビン濃度や酸素化ヘモグロビン濃度の相対変化量を、近赤外光による濃度測定装置を用いて、心拍周波数より十分速い周波数で測定した。その結果、胸骨圧迫において、胸骨を周期的に圧迫する毎に、頭部の内部(すなわち脳)の総ヘモグロビン濃度や酸素化ヘモグロビン濃度に一定の変化が生じていることを見出した。この現象は、胸骨圧迫により脳内の血流が増加することに起因すると考えられ、胸骨圧迫が適切に行われているか否かを判断するための客観的な材料になり得る。しかしながら、このような胸骨圧迫に起因する濃度変化の振幅(例えば1μmol程度)は、健常者の通常活動状態あるいは心肺停止者に各種の処置が行われている状態において生じる、更に長周期の変化の振幅(通常、数μmol以上)と比較してごく僅かである。したがって、総ヘモグロビン濃度や酸素化ヘモグロビン濃度に相当する値を単純に測定したのでは、胸骨圧迫による変動を観察することが極めて難しくなる。
そこで、上述した濃度測定装置および濃度測定方法では、演算部若しくは演算ステップにおいて、総ヘモグロビン濃度及び/又は酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量を求めるとともに、該相対変化量に含まれる周波数成分のうち所定周波数より小さい周波数成分を除去している。通常、胸骨圧迫に起因する濃度変化の周期(すなわち胸骨圧迫の際の好ましい圧迫周期)は、心肺停止者に各種の処置が行われている状態における主要な濃度変化の周期より短い。したがって、上述した濃度測定装置および濃度測定方法のように、測定された相対変化量から小さな周波数成分(すなわち長周期成分)を除去することにより、胸骨圧迫に起因する濃度変化に関する情報を好適に抽出することができる。そして、この情報に基づいて、胸骨圧迫が適切に行われているか否かを施行者が客観的に判断することができる。これにより、施行者がより適切な胸骨圧迫を施行若しくは維持することが可能となる。なお、上述した濃度測定装置および濃度測定方法において、「所定周波数より小さい周波数成分を除去するフィルタ処理」とは、所定周波数より小さい周波数成分の割合を、胸骨圧迫に起因する周波数成分が十分に識別可能な程度に現れるまで小さくする処理をいい、所定周波数より小さい周波数成分を完全に除去するような処理に限られるものではない。
また、濃度測定装置及び濃度測定方法は、相対変化量の算出周期が0.2秒以下であることを特徴としてもよい。一般的に、胸骨圧迫の好適な周期は1分間に100回程度(すなわち0.6秒に1回)もしくはそれ以上といわれている。そして、相対変化量の算出周期がその3分の1以下であれば、胸部圧迫に起因する濃度変化を検出することができる。すなわち、相対変化量の算出周期が0.2秒以下であることによって、胸部圧迫に起因する濃度変化を好適に検出することができる。
また、濃度測定装置及び濃度測定方法は、所定周波数が1.66Hz以下であることを特徴としてもよい。これにより、胸骨圧迫に起因する濃度変化に関する情報を好適に抽出することができる。
また、濃度測定装置は、演算部による演算結果を表示する表示部を更に備え、演算部が、総ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量と、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量とを求め、フィルタ処理後における、総ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量の時間変化の振幅(A1)と、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量の時間変化の振幅(A2)との比(A2/A1)に関する第1の情報を求め、表示部が、第1の情報を表示することを特徴としてもよい。同様に、濃度測定方法は、演算ステップにおいて、総ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量と、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量とを求め、フィルタ処理後における、総ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量の時間変化の振幅(A1)と、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量の時間変化の振幅(A2)との比(A2/A1)に関する第1の情報を求め、第1の情報を表示することを特徴としてもよい。これらによって、表示された第1の情報を施行者が参照して、脳内に送り込まれる血液中の酸素化ヘモグロビンの比率を知ることができ、人工呼吸の必要性を好適に判断することが可能となる。
また、濃度測定装置は、演算部が、比(A2/A1)が所定の閾値より小さい場合に、警告音の出力及び表示部に対する警告表示の指示のうち少なくとも一方を行うことを特徴としてもよい。同様に、濃度測定方法は、演算ステップにおいて、比(A2/A1)が所定の閾値より小さい場合に、警告音の出力及び警告表示のうち少なくとも一方を行うことを特徴としてもよい。これらによって、脳内に送り込まれる血液中の酸素化ヘモグロビンの比率が低下していることをより確実に施行者に知らせることができる。
また、濃度測定装置は、演算部による演算結果を表示する表示部を更に備え、演算部は、総ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量と、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量とを求め、フィルタ処理後における、総ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量の時間変化の積分値(I1)、及び酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量の時間変化の積分値(I2)のうち少なくとも一方を求め、表示部は、積分値(I1)及び積分値(I2)のうち少なくとも一方を表示することを特徴としてもよい。同様に、濃度測定方法は、演算ステップにおいて、総ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量と、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量とを求め、フィルタ処理後における、総ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量の時間変化の積分値(I1)、及び酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量の時間変化の積分値(I2)のうち少なくとも一方を求め、積分値(I1)及び積分値(I2)のうち少なくとも一方を表示することを特徴としてもよい。これらによって、表示された値を施行者が参照して、胸骨の圧迫強度が適切か否かを判断することが可能となる。
また、濃度測定装置は、演算部が、積分値(I1)及び積分値(I2)の双方を求めたのち、積分値(I1)と積分値(I2)との比(I2/I1)に関する第2の情報を更に求め、表示部は、第2の情報を更に表示することを特徴としてもよい。同様に、濃度測定方法は、演算ステップにおいて、積分値(I1)及び積分値(I2)の双方を求めたのち、積分値(I1)と積分値(I2)との比(I2/I1)に関する第2の情報を更に求め、第2の情報を更に表示することを特徴としてもよい。これらによって、表示された第2の情報を施行者が参照して、脳内に送り込まれる血液中の酸素化ヘモグロビンの比率を知ることができ、人工呼吸の必要性を好適に判断することが可能となる。
また、濃度測定装置は、演算部が、比(I2/I1)が所定の閾値より小さい場合に、警告音の出力及び表示部に対する警告表示の指示のうち少なくとも一方を行うことを特徴としてもよい。同様に、濃度測定方法は、演算ステップにおいて、比(I2/I1)が所定の閾値より小さい場合に、警告音の出力及び警告表示のうち少なくとも一方を行うことを特徴としてもよい。これらによって、脳内に送り込まれる血液中の酸素化ヘモグロビンの比率が低下していることをより確実に施行者に知らせることができる。
また、濃度測定装置は、演算部による演算結果を表示する表示部を更に備え、演算部が、フィルタ処理後における総ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量の時間変化の振幅(A1)を求め、表示部が、振幅(A1)の数値を表示することを特徴としてもよい。同様に、濃度測定方法は、演算ステップにおいて、フィルタ処理後における総ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量の時間変化の振幅(A1)を求め、振幅(A1)の数値を表示することを特徴としてもよい。これらによって、表示された数値を施行者が参照して、脳内に送り込まれる血液量を知ることができ、胸骨の圧迫強度が十分か否かを好適に判断することが可能となる。
また、濃度測定装置は、演算部が、振幅(A1)の数値が所定値以上となる毎に音を出力することを特徴としてもよい。同様に、濃度測定方法は、演算ステップにおいて、振幅(A1)の数値が所定値以上となる毎に音を出力することを特徴としてもよい。これらによって、脳内に送り込まれる血液量が不足していることをより確実に施行者に知らせることができる。
また、濃度測定装置は、演算部による演算結果を表示する表示部を更に備え、演算部が、総ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量と、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量とを求め、表示部が、フィルタ処理後における、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量と、総ヘモグロビン濃度に含まれる脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量とを色分けしてグラフ表示することを特徴としてもよい。同様に、濃度測定方法は、演算ステップにおいて、総ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量と、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量とを求め、フィルタ処理後における、酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量と、総ヘモグロビン濃度に含まれる脱酸素化ヘモグロビン濃度の時間的な相対変化量とを色分けしてグラフ表示することを特徴としてもよい。これらによって、表示された情報を施行者が参照して、脳内に送り込まれる血液中の酸素化ヘモグロビンの比率を視覚的且つ直感的に認識することができ、人工呼吸の必要性をより素早く判断することができる。
また、濃度測定装置は、演算部による演算結果を表示する表示部を更に備え、演算部が、フィルタ処理後における相対変化量の変動周波数に関する第3の情報を算出し、表示部が、第3の情報を表示することを特徴としてもよい。同様に、濃度測定方法は、演算ステップにおいて、フィルタ処理後の相対変化量の変動周波数に関する第3の情報を算出し、第3の情報を表示することを特徴としてもよい。これらによって、現在の胸骨圧迫の周波数(周期)を施行者に知らせて、適切な周波数(周期)に近づけるよう促すことができる。
また、濃度測定装置は、演算部が、相対変化量に含まれる周波数成分のうち所定周波数より小さい周波数成分をデジタルフィルタによって除去することを特徴としてもよい。同様に、濃度測定方法は、演算ステップにおいて、時間的な相対変化量に含まれる周波数成分のうち所定周波数より小さい周波数成分をデジタルフィルタによって除去することを特徴としてもよい。これらによって、測定された相対変化量から長周期成分を好適に除去し、胸骨圧迫に起因する濃度変化に関する情報を精度良く抽出することができる。
また、濃度測定装置は、演算部が、相対変化量の時間変化を平滑化したデータを算出し、該データを相対変化量から差し引くことによって、相対変化量に含まれる周波数成分のうち所定周波数より小さい周波数成分を除去することを特徴としてもよい。同様に、濃度測定方法は、演算ステップにおいて、時間的な相対変化量の時間変化を平滑化したデータを算出し、該データを時間的な相対変化量から差し引くことによって、時間的な相対変化量に含まれる周波数成分のうち所定周波数より小さい周波数成分を除去することを特徴としてもよい。これらによって、測定された相対変化量から長周期成分を好適に除去し、胸骨圧迫に起因する濃度変化に関する情報を精度良く抽出することができる。
また、濃度測定装置は、演算部が、相対変化量の時間変化における極大値および極小値の少なくとも一方を求め、該極大値および該極小値の少なくとも一方に基づいて、相対変化量に含まれる周波数成分のうち所定周波数より小さい周波数成分を除去することを特徴としてもよい。同様に、濃度測定方法は、演算ステップにおいて、時間的な相対変化量の時間変化における極大値および極小値の少なくとも一方を求め、該極大値および該極小値の少なくとも一方に基づいて、時間的な相対変化量に含まれる周波数成分のうち所定周波数より小さい周波数成分を除去することを特徴としてもよい。これらによって、測定された相対変化量から長周期成分を好適に除去し、胸骨圧迫に起因する濃度変化に関する情報を精度良く抽出することができる。