JP6011419B2 - ペースト状洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
このような洗浄料として石けんを主成分とした洗浄料が古くから用いられていたが、中鎖脂肪酸塩を用いると、速泡性、泡量は良好である反面、洗浄力、泡質は満足いくものではなかった。反対に、長鎖脂肪酸塩を用いると、泡質がクリーミーである反面、洗浄力の高さや金属石けんのできやすさから、すすぎ後の肌につっぱり感を生じるという問題があった。さらに、脱脂力が強い洗浄料を用いると、洗浄後の皮脂分泌量が過剰になることにより、翌朝の肌にベタツキを感じたり、モイスチャーバランスが崩れることにより、肌荒れを引き起こすことがあった。
特許文献2には、水膨潤性粘土鉱物3〜15質量%と、水と、アニオン性界面活性剤10〜40質量%とを配合した人の皮膚や毛髪を洗浄するためのゲル状洗浄料が記載されている。この洗浄料は、乾燥後のうるおい感は高いものの、速泡性、泡量、泡質は満足のゆくものではなかった。
特許文献3には、水膨潤性粘土鉱物25〜50質量%、陰イオン性界面活性剤8〜25質量%、水25〜65質量%からなる洗浄料が記載されている。この洗浄料は、乾燥後のうるおい感は高いものの、使用時の延び、速泡性、泡量、翌朝の肌のモイスチャーバランスを整える効果は得られ難かった。さらに、多量の粘土鉱物が毛穴に入り込み、さっぱり感の低減につながることもあった。
a.ラウリン酸カリウム塩5〜40質量%、ミリスチン酸カリウム塩30〜80質量%、パルミチン酸カリウム塩5〜30質量%、およびステアリン酸カリウム塩0〜30質量%である脂肪酸カリウム塩混合物
b.式(1)で示されるアルキルイミノジカルボン酸型両性界面活性剤
c.式(2)で示されるアシルメチルタウリン型陰イオン性界面活性剤
d.水膨潤性粘土鉱物
e.炭素数2〜6の2価または3価のアルコール
本発明のペースト状洗浄剤組成物は、上記のa、b、c、dおよびeの各成分を含有する。a成分から順次説明する。
本発明に用いられるa成分は、その組成がラウリン酸カリウム塩5〜40質量%、ミリスチン酸カリウム塩30〜80質量%、パルミチン酸カリウム塩5〜30質量%、およびステアリン酸カリウム塩0〜30質量%の混合物であり、好ましくはラウリン酸カリウム塩10〜30質量%、ミリスチン酸カリウム塩40〜65質量%、パルミチン酸カリウム塩8〜20質量%、およびステアリン酸カリウム塩10〜25質量%の脂肪酸カリウム塩の混合物である。
本発明のペースト状洗浄剤組成物は、a成分を構成する脂肪酸カリウム塩以外の脂肪酸カリウム塩を、本発明の効果を損なわない範囲で、含有していてもよく、上記a成分を100質量%としたとき、a成分以外の脂肪酸カリウム塩を5質量%程度まで含有させることができる。
本発明に用いられるb成分は、式(1)で示されるアルキルイミノジカルボン酸型両性界面活性剤である。
式(1)中のR1は、炭素数8〜20のアルキル基またはアルケニル基であり、具体的には、ラウリル基、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、イソステアリル基等のアルキル基、オレイル基等のアルケニル基が挙げられ、アルキル基またはアルケニル基はヤシ油アルキル基等の混合脂肪酸由来のアルキル基またはアルケニル基であってもよい。
アルキル基またはアルケニル基の炭素数は、好ましくは8〜18、より好ましくは10〜14の範囲のものである。炭素数が8未満の場合は泡立ちおよび泡質が低下することがあり、20を超える場合は安定性に問題を生じることがある。
さらに、式(1)中のmおよびnはそれぞれ独立して1〜3の整数であり、好ましくは1または2の整数であり、より好ましくはmおよびnがともに1である。mまたはnが0の場合は安定性が低下することがあり、3を超える場合は泡質が低下することがある。
好ましいb成分としては、具体的には、例えば、ラウリルイミノジ酢酸ナトリウム〔日油(株)製「ニッサンアノンLA」〕等が挙げられる。b成分は必要に応じて一種又は二種以上を用いることができる。
本発明に用いられるc成分は、式(2)で示されるアシルメチルタウリン型陰イオン性界面活性剤である。式中のR2COはアシル基であり、炭素数8〜20の脂肪酸残基である。かかる脂肪酸残基としては、具体的に脂肪酸名で表記すると、例えばカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の脂肪酸が挙げられる。また、混合脂肪酸由来のアシル基を用いることができ、かかる混合脂肪酸としては、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等が挙げられる。好ましいアシル基は、炭素数10〜18の範囲のものであり、より好ましくは炭素数10〜14の範囲のものである。炭素数が8未満の場合は泡立ちおよび泡質が低下することがあり、20を超える場合は安定性に問題を生じることがある。
また、式中のM3は、アルカリ金属、1/2アルカリ土類金属、アンモニウム、有機アンモニウムまたは塩基性アミノ酸陽イオンを示し、例えば、カリウム、ナトリウム、1/2マグネシウム、1/2カルシウム、アンモニウム、トリエタノールアンモニウム、リジンの陽イオン性残基、アルギニンの陽イオン性残基等が挙げられ、好ましくはカリウム、ナトリウムである。
本発明に用いられるd成分は、水膨潤性粘土鉱物であり、詳細には、結晶性ケイ酸塩を含む層と、Al、Mg等の金属を中心とした層とが積み重なった、層状結晶性ケイ酸塩鉱物であり、スメクタイト属粘土鉱物、膨潤性の雲母などが挙げられる。これらは天然品、合成品のいずれでも用いることができる。スメクタイト属粘土鉱物が、化粧品成分として汎用されている点で好ましい。スメクタイト属粘度鉱物としては、例えば、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト等があり、より好ましくはモンモリロナイトを挙げることができる。
本発明に用いられるe成分は、炭素数2〜6の2価または3価のアルコール、すなわち分子内に2〜3個の水酸基を有する炭素数が2〜6の水溶性のアルコールである。具体的には、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。これらの中で、使用時の延び、速泡性の点から、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ジプロピレングリコールが好ましい。e成分は必要に応じて一種又は二種以上を用いることができる。
本発明の洗浄剤組成物の形態はペースト状であり、溶剤として水を用いたものが好ましい。本発明のペースト状洗浄剤組成物において、水は通常、35〜75質量%を含有させることができる。
本発明のペースト状洗浄剤組成物においては、本発明の効果を阻害しない範囲で、皮膚用洗浄剤に常用されている添加剤を含有させることも可能である。
表1(実施例1〜5)および表2(比較例1〜7)に示すペースト状洗浄剤組成物(以下、洗浄料とも言う。)を調製し、下記の方法により評価した。
なお、表1および表2において、各成分の数値は組成物全量中の含有量(質量%)を示す。また、a/dはa成分とd成分の質量比を示す。
20名の女性(21才〜35才)をパネラーとし、洗浄料5gをとり、掌全体によく伸ばした。
2点:延びが非常に良いと感じた場合。
1点:延びがやや良い感じた場合。
0点:延びが悪いと感じた場合。
20名の女性(21才〜35才)をパネラーとし、洗浄料5gをとり、掌全体によく伸ばした後、約35℃のぬるま湯を徐々に加えながら泡立てた。
2点:泡立ちが非常に速いと感じた場合。
1点:泡立ちがやや速いと感じた場合。
0点:泡立ちが遅いと感じた場合。
20名の女性(21才〜35才)をパネラーとし、洗浄料5gをとり、掌全体によく伸ばした後、約35℃のぬるま湯を徐々に加えながら泡立てた。
2点:泡量が非常に多いと感じた場合。
1点:泡量がやや多いと感じた場合。
0点:泡量が少ないと感じた場合。
20名の女性(21才〜35才)をパネラーとし、洗浄料5gをとり、掌全体によく伸ばした後、約35℃のぬるま湯を徐々に加えながら泡立てた。
2点:泡質が非常に良いと感じた場合。
1点:泡質がやや良いと感じた場合。
0点:泡質が悪いと感じた場合。
20名の女性(21才〜35才)をパネラーとし、洗浄料5gをとり、掌全体によく伸ばした後、約35℃のぬるま湯を徐々に加えながら泡立てて、顔を洗い、その後ぬるま湯ですすいだ。
2点:つっぱり感を全く感じない場合。
1点:つっぱり感をほとんど感じない場合。
0点:つっぱると感じた場合。
20名の女性(21才〜35才)をパネラーとし、洗浄料5gをとり、掌全体によく伸ばした後、約35℃のぬるま湯を徐々に加えながら泡立てて、顔を洗い、その後ぬるま湯ですすいだ。
2点:さっぱりすると感じた場合。
1点:ややさっぱりすると感じた場合。
0点:さっぱりしない、または肌に残留物があると感じた場合。
20名の女性(21才〜35才)をパネラーとし、洗浄料5gをとり、掌全体によく伸ばした後、約35℃のぬるま湯を徐々に加えながら泡立てて、顔を洗い、ぬるま湯ですすいだ。その後、タオルドライをしてよく乾燥させた。
2点:うるおい感があると感じた場合。
1点:うるおい感がややあると感じた場合。
0点:うるおいがないと感じた場合。
20名の女性(21才〜35才)をパネラーとし、就寝前に次のとおり洗顔を行った。洗浄料5gをとり、掌全体によく伸ばした後、約35℃のぬるま湯を徐々に加えながら泡立てて、顔を洗い、ぬるま湯ですすいだ。その後、タオルドライをしてよく乾燥させ、化粧水や乳液、クリーム等を使用したスキンケアは行わずに、翌朝の肌の状態を評価した。
2点:うるおいがあり、かつべたつきがなくモイスチャーバランスが整っていると感じた場合。
1点:うるおいがある、またはべたつきがなく、モイスチャーバランスがやや整っていると感じた場合。
0点:うるおいがない、またはべたつくと感じた場合。
◎:合計点が35点以上
○:合計点が30点以上35点未満
△:合計点が20点以上30点未満
×:合計点が20点未満
各洗浄料について、0℃、室温、45℃の各温度条件下でそれぞれ1カ月間保存した。それらを25℃の恒温槽に3時間静置した後、性状を観察し下記のように評価し、表1および表2にそれぞれ示した。なお、「○」を合格とした。
○:いずれの温度でも硬さに変化がない。
×:いずれかの温度において硬い、あるいは柔らかい。
比較例1はa成分が少なく、a/dが小さいので、速泡性、泡量、泡質、すすぎ後のさっぱり感が悪かった。また、翌朝の肌のモイスチャーバランスを整える効果も低かった。
比較例2はb成分を含有していないので、速泡性が悪く、泡量、すすぎ後のつっぱり感の効果が低かった。
比較例3はc成分を含有していないので、速泡性が悪く、泡量、すすぎ後のつっぱり感、乾燥後のうるおい感が低かった。
比較例5はe成分が少ないので、使用時の延び、泡質、乾燥後のうるおい感、翌朝の肌のモイスチャーバランスを整える効果が低く、速泡性が悪かった。
比較例6はa、b、cおよびe成分が少ないか、または含有しておらず、d成分が多く、a/dが小さいので、使用時の延び、速泡性、泡量、すすぎ後のさっぱり感が悪く、泡質、翌朝の肌のモイスチャーバランスを整える効果が低かった。
比較7はcおよびd成分を含有していないので、すすぎ後につっぱり感を生じやすく、乾燥後のうるおい感、翌朝の肌のモイスチャーバランスを整える効果が悪かった。
Claims (1)
- 下記のa、b、c、dおよびeの各成分を含有し、a成分が12〜32質量%、b成分が0.5〜10質量%、c成分が0.5〜10質量%、d成分が2〜20質量%、e成分が10〜30質量%であり、a成分とd成分の質量比a/dが1〜4であることを特徴とするペースト状洗浄剤組成物。
a.ラウリン酸カリウム塩5〜40質量%、ミリスチン酸カリウム塩30〜80質量%、パルミチン酸カリウム塩5〜30質量%、およびステアリン酸カリウム塩0〜30質量%である脂肪酸カリウム塩混合物
b.式(1)で示されるアルキルイミノジカルボン酸型両性界面活性剤
c.式(2)で示されるアシルメチルタウリン型陰イオン性界面活性剤
d.水膨潤性粘土鉱物
e.炭素数2〜6の2価または3価のアルコール
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