JP6006595B2 - スルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物およびその製造方法 - Google Patents
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Description
一方、特許文献2には、下記一般式(R1)で表されるスルホン酸基含有エーテル化合物を含む組成物であって、該組成物は、pH10以上であり、該組成物中の下記一般式(R2)で表される化合物の割合は、下記一般式(R1)で表される化合物100モル%に対し、10モル%未満であることを特徴とするスルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物が開示されている。
引用文献2には、上記スルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物は、不純物の含有量が少なく、かつ良好なラジカル(共)重合性を有するものであるので、重合体原料として使用した場合に、スケール防止能(スケール抑制能)に特に優れた重合体を得ることができる。したがって、このような重合体は、水処理剤、洗剤用ビルダー、洗剤組成物、分散剤、洗浄剤等の用途に特に好適なものとなることが開示されている。
そこで、本発明は、重合体の原料として用いた場合に、ロットぶれの原因を取り除き、分子量の誤差を少なくすることが可能なスルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物を提供することを目的とする。
[スルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物]
本発明のスルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物(以下、「本発明の組成物」ということもある。)は、下記一般式(1)で表わされる化合物(スルホン酸基含有エーテル化合物)を必須として含有する。
上記スルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物を重合体の原料として使用した場合に、得られる重合体のスケール防止能が向上する傾向にあることから、上記一般式(1)におけるR1は、CH2、CH2CH2基であることが好ましい。
本発明のスルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物は、上記一般式(1)で表わされる化合物を本発明のスルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物100質量%に対し、例えば1〜99質量%含む。好ましくは5〜75質量%であり、より好ましくは10〜70質量%であり、さらに好ましくは15〜65質量%であり、よりさらに好ましくは20〜60質量%であり、特に好ましくは25〜55質量%であり、さらに特に好ましくは30〜50質量%であり、最も好ましくは35〜45質量%である。上記の範囲で上記一般式(1)で表わされる化合物を含むことにより、取り扱い性、保存安定性が良好となる傾向にある。
なお、亜硫酸(塩)や重亜硫酸(塩)は、上記一般式(1)で表わされる化合物の製造原料として用いられるものである。本発明において重亜硫酸(塩)としては、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウム等が例示され、亜硫酸(塩)としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム等が例示される。
上記スルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物が水を含有する場合、該組成物100質量%に対し、水の含有量を1〜99質量部とすることが好ましく、25〜95質量%とすることがより好ましく、30〜90質量%とすることがさらに好ましく、35〜85質量%とすることがよりさらに好ましく、40〜80質量%とすることが特に好ましく、45〜75質量%とすることがより特に好ましく、50〜70質量%とすることがさらに特に好ましく、55〜65質量%とすることが最も好ましい。
一般式(2)中、R1は、CH2基又はCH2CH2基であることが好ましい。
[スルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物の製造方法]
本発明のスルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物の製造方法は、通常、下記一般式(3)で表わされる化合物と重亜硫酸(塩)および/または亜硫酸(塩)を反応させる工程(以下、単に「反応工程」とも称する)を含む。
一般式(3)中、R1は、CH2基又はCH2CH2基であることが好ましい。
上記過酸化水素処理工程は、反応工程の終了より後に、過酸化水素処理工程を終了させることが好ましい。
本発明のスルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物(本発明の組成物)は、重合体の原料として使用することができる。本発明の組成物を使用して得られた重合体を本発明の重合体という。
使用する全単量体100モル%に対して、上記一般式(1)で表わされる化合物を2〜50モル%、その他の単量体を50〜98モル%使用することが好ましい。その場合(すなわちカルボキシル基含有単量体を含むその他の単量体の合計の使用量が50〜98モル%の場合)、カルボキシル基含有単量体を50〜98モル%使用することがより好ましい。
アクリル酸(塩)の定量は、下記条件にて高速クロマトグラフィーを用いて行った。
測定装置:株式会社日立製作所製 L−7000シリーズ
検出器:株式会社日立製作所製 UV検出器 L−7400
カラム:昭和電工株式会社製 SHODEX RSpak DE−413L
温度:40.0℃
溶離液:0.1%リン酸水溶液
流速:1.0ml/min.
<重合体の重量平均分子量の測定方法>
重合体の重量平均分子量の測定は、下記条件にて行った。
装置:東ソー製高速GPC装置(HLC−8320GPC)
検出器:RI
カラム:昭和電工社製 SHODEX Asahipak GF−310−HQ, GF−710−HQ, GF−1G 7B
カラム温度:40℃
流速:0.5ml/min
検量線:創和科学株式会社製 POLYACRYLIC ACID STANDARD
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム/アセトニトリル=3/1(質量比)。
重合体組成物や重合体水溶液の固形分の測定は、下記の条件で行った。
窒素雰囲気下、130℃に加熱したオーブンで、重合体組成物(または重合体水溶液)1.0gに水3.0gを加えたものを1時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の質量変化から、固形分(%)と揮発成分(%)とを算出した。
サンプル溶液中の過酸化水素濃度の測定は以下の手順にしたがって行った。
100mLビーカーに、ヨウ化カリウム1.0gを秤りとり、純水70gを加え、マグネチックスターラーで撹拌する。ここへ、撹拌下、ホールピペットで18N硫酸15mLを加えた後、さらに、サンプル溶液を、褐色に変色するまで加え(Zg)、2分撹拌する。
ここへ、撹拌下、ホールピペットで1%デンプン1mLを加え、溶液が黒褐色に変色するのを確認する。変色確認後、ただちに、撹拌下、自動滴定装置(平沼産業株式会社製COM−1700)を用いて0.1Mチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定し、色が消えたところを終点(AmL)とする。別途、ブランクとして、サンプル溶液を添加しないものについても滴定し、終点(BmL)を求めておく。各測定値を下式に入力することにより、過酸化水素濃度を算出する。
過酸化水素濃度(%)=(A−B)×0.17×(0.1Mチオ硫酸ナトリウム水溶液のファクター)/Z
<亜硫酸(塩)、重亜硫酸(塩)の定量方法>
スルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物中の亜硫酸(塩)と重亜硫酸(塩)濃度の測定は以下の手順に従って行った。
0.1%過酸化水素水を十分な量調製し、上記<過酸化水素濃度の測定>にしたがって、正確な濃度(S%)を算出しておく。50mLスクリュー管に、固形分40%に調整したスルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物3.0g(正確な重量をXgとする)および0.1%過酸化水素水15g(正確な重量をYgとする)秤りとり、マグネチックスターラーで10分撹拌し、これを溶液Cとする。100mLビーカーに、ヨウ化カリウム1.0gを秤りとり、純水70gを加え、マグネチックスターラーで撹拌する。このビーカーに、撹拌下、ホールピペットで18N硫酸15mLを加えた後、溶液Cを褐色に変色するまで(Zg)加え、2分撹拌する。さらに、撹拌下、ホールピペットで1%デンプン1mLを加え、溶液が黒褐色に変色するのを確認する。変色確認後、ただちに、撹拌下、自動滴定装置(平沼産業株式会社製COM−1700)を用いて0.1Mチオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定し、色が消えたところを終点(AmL)とする。別途、ブランクとして、溶液Cを添加しないサンプルの終点(BmL)を求めておく。各測定値を下式に入力することにより、過酸化水素濃度を算出する。ただし、Fは0.1Mチオ硫酸ナトリウム水溶液のファクターを示す。
亜硫酸(塩)、重亜硫酸(塩)濃度(ppm)=30600(X+Y)/X(SY/(X+Y)−0.17F(A−B)/Z)
<実施例1>
温度計、攪拌機、窒素流入管と窒素流出口に冷却トラップを備えたSUS製反応容器に、窒素を導入しながら、脱イオン水161.9g、48%水酸化ナトリウム水溶液76.3gを仕込み、これに35%亜硫酸水素ナトリウム水溶液549.0gを添加した。液温を63℃に昇温し、アリルグリシジルエーテル212.9gを225分かけて滴下した。アリルグリシジルエーテルの滴下終了後、反応液の温度を63℃で30分間維持した。
上記スルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物(1)中、3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム(上記一般式(1)で表わされる化合物)の収率(アリルグリシジルエーテルベース)は、95%(であった。また、スルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物(1)に含まれる亜硫酸(塩)と重亜硫酸(塩)の合計の存在量は0質量%であった。
実施例1と同様にして、本発明のスルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物(スルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物(2)と言う)を得た。
「35%過酸化水素水5.1gを添加して300分間維持」する処理を行わない以外は、実施例1と同様にして、比較スルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物(比較スルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物(3)と言う)を得た。
実施例1と同様にして、本発明のスルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物(比較スルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物(4)と言う)を得た。
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたSUS316製のセパラブルフラスコに、純水183.4gと、モール塩0.0346g(総仕込み量に対する鉄(II)の質量(ここで、総仕込み量とは、重合完結後の中和工程を含む、全ての投入物重量をいう。以下同様とする。)に換算すると3ppm)を仕込み、攪拌下、85℃に昇温した(初期仕込み)。
次いで攪拌下、85℃一定状態の重合反応系中に80質量%アクリル酸水溶液(以下、80%AAと称す)540.0g、上記スルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物(1)300.5g、15質量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下15%NaPSと称す)152.9g、35質量%重亜硫酸ナトリウム水溶液(以下、35%SBSと称す)17.4g、をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAを180分間、スルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物(1)を120分間、35%SBSを175分間,15%NaPSを210分間とした。また、滴下開始時間に関しては各滴下液はすべて同時に滴下を開始した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を85℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。
その後、48%水酸化ナトリウム水溶液449.6gを添加した。
このようにして、固形分濃度が43質量%の重合体組成物(1)を得た(含まれる重合体を重合体(1)とする)。
スルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物(1)にかえて、スルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物(2)を使用する以外は重合例1と同様にして、固形分濃度が43質量%の重合体組成物(2)を得た(含まれる重合体を重合体(2)とする)。
温度計、還流冷却器、攪拌機を備えたSUS316製のセパラブルフラスコに、純水183.4gと、モール塩0.0346g(総仕込み量に対する鉄(II)の質量(ここで、総仕込み量とは、重合完結後の中和工程を含む、全ての投入物重量をいう。以下同様とする。)に換算すると3ppm)を仕込み、攪拌下、85℃に昇温した(初期仕込み)。
次いで攪拌下、85℃一定状態の重合反応系中に80質量%アクリル酸水溶液(以下、80%AAと称す)540.0g、上記比較スルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物(3)300.5g、15質量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下15%NaPSと称す)152.9g、35質量%重亜硫酸ナトリウム水溶液(以下、35%SBSと称す)9.4g、をそれぞれ別個の滴下ノズルより滴下した。それぞれの滴下時間は、80%AAを180分間、比較スルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物(3)を120分間、35%SBSを175分間,15%NaPSを210分間とした。また、滴下開始時間に関しては各滴下液はすべて同時に滴下を開始した。
滴下終了後、さらに30分間に渡って反応溶液を85℃に保持して熟成し重合を完結せしめた。
その後、48%水酸化ナトリウム水溶液449.6gを添加した。
このようにして、固形分濃度が43質量%の比較重合体組成物(3)を得た(含まれる重合体を比較重合体(3)とする)。
比較スルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物(3)にかえて、比較スルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物(4)を使用する以外は比較重合例1と同様にして、固形分濃度が43質量%の比較重合体組成物(4)を得た(含まれる重合体を比較重合体(4)とする)。
Claims (3)
- 下記一般式(3)で表わされる化合物と重亜硫酸(塩)および/または亜硫酸(塩)を反応させる工程と、
下記一般式(1)で表される化合物を含む反応液に過酸化水素を添加する工程とを含む、重合体の製造工程に供するためのスルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物の製造方法。
- 過酸化水素の熱分解工程を含む、請求項1に記載の重合体の製造工程に供するためのスルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物の製造方法。
- 請求項1又は2に記載の重合体の製造工程に供するためのスルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物の製造方法で得られたスルホン酸基含有エーテル化合物含有組成物に対して過酸化水素の添加を開始する工程と、スルホン酸基含有エーテル化合物の重合反応を行う工程とを含むことを特徴とする重合体の製造方法。
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