JP6004698B2 - 転がり軸受の軌道輪製造法および転がり軸受製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、転がり軸受の軌道輪であって圧延鋼板を素材として作製される軌道輪の製造法、および前記軌道輪を用いた転がり軸受の製造法に関する。ここでいう軌道輪は、ラジアル軸受では内輪、外輪に相当し、スラスト軸受では軌道盤に相当する。
転がり軸受は自動車や産業機械をはじめとする各種機械の回転部分において、荷重を支える重要な部品として使用されている。転がり軸受には大きく分けてラジアル軸受とスラスト軸受がある。ラジアル軸受は環状部品である内輪および外輪の間を転動体が転がる構造を有し、スラスト軸受は2枚の軌道盤の間を転動体が転がる構造を有する。これら内輪、外輪および軌道盤はいずれも、表面上に転動体が転がる走路を有しており、この走路は「軌道」と呼ばれる。本明細書では軌道を持つ転がり軸受の部品を「軌道輪」という。軌道輪は通常、鋼製の部品である。
転がり軸受の軌道輪は転動体から高い負荷荷重を繰り返し付与される条件下で使用される。そのため軌道輪を構成する鋼材には優れた強度、耐摩耗性および転動疲労特性が要求される。このうち、特に転動疲労特性に関しては鋼中に存在するAl23、MnS、TiN等の非金属介在物が悪影響を及ぼすことが知られている。これらの介在物は疲労破壊の起点となることから、軌道輪の材料としてはできるだけ清浄度の高い(介在物の少ない)鋼材を使用することが重要であるとされる。すなわち、鋼の高清浄度化が転動疲労特性を向上させるための主要な技術となっている。
例えば特許文献1には、Mn含有量を0.20%以下に規制した軸受鋼を母材として、これを電子ビームで溶融させて粒径の大きい非金属介在物を浮上分離させ、鋼中の非金属介在物の直径を15μm以下とする超高清浄度軸受用鋼の製造技術が開示されている。また、特許文献2には、非金属介在物の量や大きさのみならず組成を制御することで転動疲労特性の化善を図る技術が開示されている。
特開平7−109541号公報 特開2009−74151号公報
上述のように、軸受部品の転動疲労特性を向上させるためには、これまで材料である鋼材の清浄度を高めることや、非金属介在物の組成を制御することに主眼が置かれていた。しかしながら、高清浄度鋼を溶製するには製鋼工程で脱酸や不純物低減などに高負荷を要し、製造時間も長くなる。また特殊な手法で非金属介在物の量や形態を制御するためには高価な設備が必要となる。すなわち、従来、軸受部品である軌道輪の転動疲労特性を向上させるためには生産性の低下や製造コストの増大を余儀なくされていた。
また、軌道輪などの軸受部品は、丸棒形状の鋼材(棒鋼)から切り出して作製されることが一般的である。この場合、プレス成形による連続工程を適用することが難しく、鋼板を素材とする部品と比べ生産性に劣る。
一方、近年では自動車の軽量化や低燃費化のニーズが高まり、それに対応するため転がり軸受にも部品の小型・軽量化および更なる高性能化が求められるようになっている。すなわち、自動車等に使用される軸受の使用環境は従来よりも過酷化する傾向にあり、軸受部品に高清浄度鋼を用いても軸受寿命に関する信頼性が十分に確保できないことも懸念されるようになってきた。
本発明はこのような現状に鑑み、清浄度がそれほど高くない鋼材を用いた場合でも、転動疲労特性の大幅な低下が生じず実用的な耐久性が得られる低コストの転がり軸受の軌道輪を提供しようというものである。
発明者らは詳細な研究の結果、圧延鋼板を素材に用いて軌道の表面と圧延方向とのなす角度が適正範囲となるように成形加工した軌道輪において、上記目的が達成できることを見出した。さらに、介在物の分布形態を適性化した場合には、清浄度が一般的レベルである鋼を用いても高清浄度鋼の丸棒を素材とする従来の軌道輪より優れた転動疲労特性が実現できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成したものである。
すなわち本発明では、質量%で、C:0.02〜1.20%、Si:0.02〜2.00%、Mn:0.10〜1.50%、P:0.001〜0.030%、S:0.0005〜:0.030%、Cr:0.02〜2.00%、O:0.0012〜0.0030%を含有し、必要に応じてさらにNi:2.00%以下、Mo:0.50%以下、V:0.50%以下、Nb:0.50%以下、Ti:0.25%以下、B:0.0050%以下の1種以上を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物である組成を有する圧延鋼板から加工された材料からなり、その圧延鋼板の板面に由来する表面(「圧延板面由来表面」という)を軌道面に持つ転がり軸受の軌道輪が提供される
また、上記の組成を有する圧延鋼板から加工された材料からなり、その圧延鋼板の板面に由来する表面(「圧延板面由来表面」という)を除去加工して形成した軌道面を有し、軌道面上の任意の点Aにおける軌道面の法線と、除去加工前の圧延板面由来表面上の最も点Aに近い点における当該圧延板面由来表面の法線とのなす角度が0〜45°の範囲にある転がり軸受の軌道輪が提供される。圧延板面由来表面からの除去加工深さは当該圧延鋼板の板厚の3/10以内とすることがより効果的である。
ここで、「軌道面」とは、軌道の表面(すなわち転動体と接触する部分の表面)を意味する。圧延鋼板とは、熱延鋼板または冷延鋼板を意味する。圧延鋼板を円筒状にプレス成形したのち底部を打ち抜いてリング状に加工した材料の場合、当該材料の円筒表面は「圧延板面由来表面」に該当する。ラジアル軸受の内輪・外輪の場合は、必要に応じてこの円筒状リングの表面に切削、研磨等の除去加工を施すことによって、所定形状の軌道面が形成される。
特に優れた転動疲労特性を実現するためには、圧延鋼板として、下記に定義される介在物配列指数Kが1.0以下に調整されたものを採用することができる。
〔介在物配列指数K〕
鋼板の圧延方向および板厚方向に平行な断面(L断面)において、一辺の長さが板厚方向に3.0mm以上(板厚が3.0mm未満の場合は板厚全長)であり面積S(mm2)が30mm2以上である矩形領域を設定し、その矩形領域内に粒子の全体または一部が存在する介在物粒子のうち板厚方向最大長さが1μm以上のものを測定対象粒子とし、板厚方向端部のいずれか一方の鋼板表面を「基準面」と定めるとき、前記矩形領域内において、各測定対象粒子について基準面側の当該粒子表面から基準面側への板厚方向距離が60μm以下の範囲に粒子表面(前記矩形領域内にあるもの限る)が位置する他の測定対象粒子の数X(個)を測定し、全測定対象粒子についてのXの総和XALL(個)を求め、XALLを矩形領域の面積S(mm2)で除した値(個/mm2)を介在物配列指数Kとする。
圧延鋼板から軌道輪へ加工するに際し、プレス成形によりリング状に加工する工程を経ることができる。プレス成形には金型を用いて円筒状に絞るプレス加工や、プレス打抜き加工などが含まれる。
また本発明では、上記の軌道輪を部品に用いた転がり軸受が提供される。
本発明の転がり軸受の軌道輪は、圧延鋼板を素材に用いるものであることから、棒鋼を加工して得られる従来一般的な軌道輪よりも大量生産に適している。また、同等の清浄度を有する棒鋼を素材に用いた軌道輪と比べ、転動疲労特性が良好である。さらに、非金属介在物の分布形態をコントロールした圧延鋼板を素材に用いた軌道輪では、特段に高清浄化された鋼を用いなくても、従来の高清浄度鋼の棒鋼を用いたものより優れた転動疲労特性を実現することができる。したがって本発明は、転がり軸受の低コスト化および信頼性向上に寄与するものである。
従来の棒鋼から切り出した円板の内部に存在する非金属介在物の存在形態を表す光学顕微鏡写真。 本発明対象の圧延鋼板から切り出した円板の内部に存在する非金属介在物の存在形態を表す光学顕微鏡写真。 介在物配列指数Kの定め方を説明するための図。 転動疲労試験の方法を模式的に示した図。 実施例1の転動疲労試験結果を示すグラフ。 実施例2の転動疲労試験結果を示すグラフ。 実施例2の転動疲労試験結果を示すグラフ。 転動疲労試験の方法(実施例3)を模式的に示した図。 実施例3の転動疲労試験結果を示すグラフ。 実施例4の転動疲労試験結果(発明対象鋼)を示すグラフ。 実施例4の転動疲労試験結果(発明対象鋼)を示すグラフ。 実施例4の転動疲労試験結果(発明対象鋼)を示すグラフ。 実施例4の転動疲労試験結果(発明対象鋼)を示すグラフ。 実施例4の転動疲労試験結果(発明対象鋼)を示すグラフ。 実施例4の転動疲労試験結果(比較鋼)を示すグラフ。 実施例4の転動疲労試験結果(比較鋼)を示すグラフ。 実施例4の転動疲労試験結果(比較鋼)を示すグラフ。 実施例4の転動疲労試験結果(比較鋼)を示すグラフ。 実施例4の転動疲労試験結果(比較鋼)を示すグラフ。 実施例5の転動疲労試験結果を示すグラフ。 圧延鋼板断面における試料採取位置を模式的に示す図。 圧延鋼板の各深さ位置における硫化物系介在物のサイズ分布を示すグラフ。 表5中に示した試験片採取位置の番号に対応する鋼材断面内の試験片採取位置を示す図。 表5中に示した試験片採取位置の番号に対応する鋼材断面内の試験片採取位置を示す図。 実施例6の圧延鋼板断面における試料採取位置を模式的に示す図。 実施例5の転動疲労試験結果を示すグラフ。
図1に、従来の棒鋼から切り出した円板について、内部に存在する非金属介在物の存在形態を表す光学顕微鏡写真を示す。円板は、軌道輪の素材部品を採取する場合と同様に、肉厚方向が棒鋼の長手方向に一致するように切り出した。(a)は円板の表面、(b)は円板の肉厚方向に平行な断面(写真の上下方向が円板肉厚方向)である。これらの写真からわかるように、棒鋼から切り出した円板では、非金属介在物(黒っぽく見える粒子)は肉厚方向に伸ばされて分布している。この場合、肉厚方向に平行な断面をどのように選んでも、基本的に同様の介在物分布形態が観察される。この円板から例えばリングを切り出してスラスト軸受の軌道輪(軌道盤)として使用する場合には、転動体から受ける荷重の方向は介在物の展伸方向に対して平行となる。このような場合、疲労き裂は展伸している介在物の並びに沿って発生することがこれまでの調査によって確かめられている。
図2に、本発明の対象となる圧延鋼板から切り出した円板について、内部に存在する非金属介在物の存在形態を表す光学顕微鏡写真を示す。円板は、圧延鋼板をプレス打抜きすることによって採取した。(a)は円板の表面、(b)は円板の肉厚方向および圧延方向に平行な断面(写真の上下方向が円板肉厚方向、左右方向が圧延方向)である。これらの写真からわかるように、圧延鋼板から採取した円板では、非金属介在物(黒っぽく見える粒子)は肉厚方向に対し垂直方向(すなわち圧延方向)に伸ばされて分布している。発明者らの研究によれば、このような円板の表面を軌道面として転動実験を行った場合、図1に示したような介在物分布形態の場合と比べ、転動疲労特性が顕著に向上することがわかった。そのメカニズムについては現時点で必ずしも明確でないが、介在物を起点とするき裂が肉厚方向に繋がりにくいことが要因として挙げられる。
圧延鋼板を素材としてラジアル軸受の軌道輪(内輪、外輪)を作製する場合を想定すると、プレスにより円筒状に成形した後、底部を打ち抜いてリング状とする工程を採用することが合理的であると考えられる。この場合、前述のように、リングの表面は圧延鋼板の表面に由来する面(「圧延板面由来表面」)となるので、非金属介在物の展伸方向はリング表面と常に平行となる。また、そのリングに切削、研磨等の除去加工を施して玉軸受や円錐ころ軸受の軌道輪を作製する場合でも、非金属介在物の展伸方向と軌道面とのなす角度は通常90°よりも0°に近い角度となる。したがって、圧延鋼板からプレス成形加工したラジアル軸受の軌道輪についても、展伸している介在物の並びに沿って疲労き裂が肉厚方向に進行しやすいという図1に示したサンプル(介在物の展伸方向と軌道面のなす角度が90°)に典型的に見られる転動疲労き裂の進行は、顕著に軽減される。
圧延鋼板から加工された材料において、非金属介在物の展伸方向は圧延板面由来表面に平行となる。発明者らの詳細な検討によれば、圧延板面由来表面を軌道面に持つ転がり軸受の軌道輪は、転動疲労特性の改善に極めて有利であることがわかった。圧延板面由来表面に切削、研磨等の除去加工を施すことにより形成した軌道面の場合、軌道面上の任意の点(その点を点Aとする)における軌道面の法線と、除去加工前の圧延板面由来表面上の最も点Aに近い点における当該圧延板面由来表面の法線とのなす角度(この角度を以下単に「軌道面の法線と圧延板面由来表面の法線とのなす角度」ということがある)が、軌道面上どの位置にある点Aにおいても0〜45°の範囲にあることが転動疲労特性の改善に有効であり、0〜30°であることがより好ましい。このような軌道輪は、棒鋼から加工された従来のものと比べ、清浄度が同レベルであれば転動疲労特性は顕著に向上する。
軌道輪の材料中における介在物の分布状態に着目すると、軌道面に近い表層部での介在物の存在密度が小さいことが転動疲労特性の向上に効果的である。発明者らの検討によれば、圧延板面由来表面に切削、研磨等の除去加工を施すことにより軌道面を形成する場合、軌道面に近い表層部の介在物存在密度を低減するためには、軌道面が圧延板面由来表面からできるだけ浅い位置になるように除去加工深さを調整することが望ましい。圧延鋼板は通常、連続鋳造スラブを熱間圧延し、さらに必要に応じて冷間圧延することによって所定板厚に調整される。転動疲労特性に影響を与える硫化物等の粗大な非金属介在物は鋳造スラブ中において肉厚中央付近に多く分布し、表面から浅い部分には少ない。圧延鋼板中の介在物分布も鋳造スラブ中の介在物分布を反映したものとなる。そのため、軌道面ができるだけ圧延鋼板の表層部付近に位置するように除去加工を施すことが転動疲労特性の向上に有効となる。詳細な検討の結果、圧延板面由来表面からの除去加工深さを当該圧延鋼板の板厚の3/10以内に管理することによって、転動疲労特性を大幅に向上させることができる。2/10以内に管理することがより効果的である。
板厚10mmの圧延鋼板中に存在する硫化物系介在物の分布を調べた実験例を紹介する。
調査した鋼板は後述の表1に示す鋼No.1の連続鋳造スラブを熱間圧延により板厚10mmとしたものである。
図21に、この鋼板の圧延方向に平行な断面(L断面)における試料採取位置を模式的に示す。圧延板面からの深さが(a)(b)(c)の各深さ位置からL断面の観察試料を採取し、光学顕微鏡により各深さ位置において板厚方向2.0mm×圧延方向20mmの視野を30視野観察し、個々の硫化物系介在物について圧延方向長さを測定した。
図22に、各深さ位置における硫化物系介在物のサイズ分布を示す。サイズの小さい介在物は表層部付近(a)においても多数存在するが、圧延方向長さが50μm以上の介在物は表層部に近いほど存在割合が大幅に減少する。軌道輪において軌道面に近い表層部にサイズの大きい介在物が多数存在していると、転動疲労特性に悪影響を及ぼしやすい。したがって、軌道面を除去加工によって形成する場合は、圧延板面由来表面からの除去加工深さが深くなりすぎないように管理することが有効である。
また、特に優れた転動疲労特性を実現するためには、上記の介在物配列指数Kが1.0以下に調整された圧延鋼板を素材に使用することが望ましい。
図3を用いて、介在物配列指数Kの定め方を説明する。介在物配列指数Kを定めるためには、鋼板の圧延方向および板厚方向に平行な断面(L断面)において、一辺の長さが板厚方向に3.0mm以上(板厚が3.0mm未満の場合は板厚全長)であり面積S(mm2)が30mm2以上である矩形領域を設定する。また、板厚方向端部のいずれか一方の鋼板表面を「基準面」と定める。図3はL断面における当該矩形領域内の一部分を模式的に表したものである。図中、介在物粒子の大きさや数は説明の便宜のため誇張して描いてある。ここでは図の下側にある表面を「基準面」と定める。矩形領域内には種々の大きさの非金属介在物粒子が観察されるが、それらの介在物粒子のうち、当該矩形領域内に粒子の全体または一部が存在し、かつ板厚方向最大長さが1μm以上のものを測定対象粒子とする。粒子B1およびC3は、このL断面内に現れている板厚方向最大長さが1μm未満の粒子であるから、これらの介在物は無いものとして扱う。
今、測定対象粒子A1に着目する。A1の基準面側の粒子表面から基準面側への板厚方向距離が60μm以下の範囲に他の測定対象粒子の表面(前記矩形領域内にあるもの限る)が存在するかどうかを調べると、粒子C1が該当する。粒子D1の表面までの距離は60μmを超えているため、該当する粒子はC1のみである。したがってこの場合、「粒子A1の基準面側の表面から基準面側への板厚方向距離が60μm以下の範囲に粒子表面が位置する他の測定対象粒子の数X」を求めるとX=1となる。
次に、測定対象粒子A2に着目して、A2の基準面側の粒子表面から基準面側への板厚方向距離が60μm以下の範囲に他の測定対象粒子の表面(前記矩形領域内にあるもの限る)が存在するかどうかを調べると、粒子B2、C2、C4、C5の4個のみが該当する。この場合、「粒子A2の基準面側の表面から基準面側への板厚方向距離が60μm以下の範囲に粒子表面が位置する他の測定対象粒子の数X」を求めるとX=4となる。
同様に、測定対象粒子B2に着目して、B2の基準面側の粒子表面から基準面側への板厚方向距離が60μm以下の範囲に他の測定対象粒子の表面(前記矩形領域内にあるもの限る)が存在するかどうかを調べると、粒子C4、C5、D2の3個のみが該当する。この場合、「粒子B2の基準面側の表面から基準面側への板厚方向距離が60μm以下の範囲に粒子表面が位置する他の測定対象粒子の数X」を求めるとX=3となる。
同様に、測定対象粒子C1に着目して、C1の基準面側の粒子表面から基準面側への板厚方向距離が60μm以下の範囲に他の測定対象粒子の表面(前記矩形領域内にあるもの限る)が存在するかどうかを調べると、粒子D1のみが該当したとする。この場合、「粒子C1の基準面側の表面から基準面側への板厚方向距離が60μm以下の範囲に粒子表面が位置する他の測定対象粒子の数X」を求めるとX=1となる。
このようにして矩形領域内の全ての測定対象粒子について上記Xの値を測定し、それら各Xの総和XALL(個)を求め、XALLを矩形領域の面積S(mm2)で除した値(個/mm2)を介在物配列指数Kとする。この介在物配列指数Kが1.0以下である圧延鋼板を素材に使用すると、その鋼の清浄度が一般的なレベルであっても、高清浄度鋼からなる棒鋼を素材に使用した場合よりも優れた転動疲労特性を実現することが可能となる。介在物配列指数Kを小さくコントロールするためには、清浄度を高めること(脱酸を十分に行うこと)、トータル圧延率を大きくし軟質な介在物を小さくすることなどの手法が有効である。
以下、合金成分について説明する。鋼組成に関する「%」は特に断らない限り「質量%」を意味する。
Cは、焼入れ・焼戻し等の調質熱処理後における、硬さ、強度、耐摩耗性を確保するために必要な元素であり、本発明ではC含有量0.02%以上の鋼種を対象とする。C含有量が0.08%以上の鋼種、あるいは0.30%以上の鋼種を採用するように管理してもよい。ただし、過剰にCを含有すると粗大な未溶解炭化物が残存しやすくなり、それに起因して転動疲労特性が低下する場合がある。種々検討の結果、C含有量は1.20%以下に制限される。
Siは、鋼の脱酸に有効な元素であり、また焼戻し軟化抵抗を高める作用も有する。本発明ではSi含有量0.02%以上の鋼を対象とする。ただし、多量のSi含有は鋼材の加工性を低下させる要因となるので、Si含有量は2.00%以下に制限される。
Mnは、焼入れ性の向上に有効な元素であり、本発明ではMn含有量0.10%以上の鋼を対象とする。ただし、多量のMn含有は鋼材の加工性を低下させる要因となるので、Mn含有量は1.50%以下に制限される。
Pは、焼入れ時にオーステナイト粒界に偏析し、疲労特性や靱性を低下させる要因となるので、少ないことが望ましい。ただし、過剰の脱Pは製鋼での負荷を増大させ好ましくない。本発明ではP含有量0.001〜0.030%の鋼を対象とする。
Sは、転動疲労破壊の起点となる硫化物系介在物を形成するので、少ないことが望ましい。ただし、過度の脱Sは製鋼での負荷を増大させ好ましくない。本発明ではS含有量0.0005〜0.030%の鋼を対象とする。
Crは、焼入れ性の向上に有効であり、また焼鈍時における炭化物の粗大化を抑制する作用を有する。本発明ではCr含有量0.02%以上の鋼を対象とする。ただし、多量のCr含有は鋼材の加工性を低下させる要因となるので、Cr含有量は2.00%以下に制限される。
Oは、転動疲労破壊の起点となる酸化物系介在物を形成するので、できるだけ脱酸された鋼を使用することが軌道輪の転動疲労特性を向上させるうえで有利となる。そのため従来から軌道輪用の鋼材には例えばO含有量を0.0010%(10ppm)未満のレベルにまで低減した高清浄度鋼を使用することが多かった。本発明においてもそのような高清浄度鋼を適用しても構わない。しかし、高清浄度鋼の溶製は製鋼工程での負荷を増大させ、生産性の低下や製造コストの上昇を招く要因となる。この点、本発明に従えば、清浄度を特段に高めた鋼を適用しなくても、高清浄度鋼を使用した従来の軌道輪と同等以上の優れた転動疲労特性を実現することが可能となる。
種々検討の結果、鋼中のO含有量は0.0030%(30ppm)まで許容することができる。良好な転動疲労特性をより安定して実現しやすくするためには、O含有量を0.0025%以下、あるいは0.0020%以下に管理してもよい。鋼の脱酸レベルは要求される転動疲労特性と製造コスト(ひいては部品価格)とのバランスで設定すればよい。O含有量を0.0001%以下にまで低減する必要はないので、本発明ではO含有量0.0001〜0.0030%の鋼を適用対象とする。ただし上述のように、本発明に従えば脱酸レベルが比較的緩い鋼を使用しても転動疲労特性の改善効果が得られる。例えばO含有量が0.0010〜0.0030%である鋼は本発明に従う軌道輪として種々の用途で高いコストパフォーマンスを発揮しうる。
Niは、焼入れ性の向上に有効な元素であり、必要に応じて含有して構わない。その場合、0.05%以上の含有量とすることがより効果的である。ただしNiは高価な元素であり過剰含有は不経済となる。Niを含有させる場合、その含有量は2.00%以下の範囲とする。
Moは、鋼の靱性向上に有効な元素であり、必要に応じて含有して構わない。その場合、0.05%以上の含有量とすることがより効果的である。ただしMoは高価な元素であり過剰含有は不経済となる。Moを含有させる場合、その含有量は0.50%以下の範囲とする。
V、Nb、Tiは、結晶粒の微細化による材料特性の向上に有効な元素であり、必要に応じてこれらの1種以上を含有して構わない。その場合、Vは0.05%以上、Nbは0.05%以上、Tiは0.005%以上の含有量とすることがより効果的である。ただしVは高価な元素であり過剰含有は不経済となるので、V含有量は0.50%以下の範囲とする。Nb、Tiの過剰添加は炭窒化物の生成量を増大させ、それらが転動疲労破壊の起点やき裂伝播経路となるため、Nb、Tiの含有量はいずれも0.50%以下の範囲とする。
Bは、焼入れ性の向上に有効であり、必要に応じて含有して構わない。その作用は微量のB含有によって得られるが、0.0005%以上の含有量とすることがより効果的である。ただし、過剰に含有させても効果は飽和するので、Bを含有させる場合は0.010%以下の範囲とすることが望ましく、0.005%以下に管理しても構わない。
以上の組成を有する鋼は、一般的な鋼板製造工程を利用して圧延鋼板(熱延鋼板または冷延鋼板)とされる。前述の介在物配列指数Kを所定範囲に調整するためには、鋼の清浄度に応じてトータル圧延率を上げることで軟質な介在物を小さくすればよい。圧延鋼板は焼鈍された後、転がり軸受の軌道輪形状に加工される。その加工に際しては、非金属介在物の展伸方向と軌道面とのなす角度が0〜45°、より好ましくは0〜30°の範囲となるようにする。具体的には、スラスト軸受の軌道盤とする場合には、圧延鋼板をそのままリング状に打ち抜いた部品をベースとして、切削などにより所定の軌道面を形成すればよい。ラジアル軸受の内輪あるいは外輪とする場合には、圧延鋼板をプレスにて円筒状に絞ったのち底部を打ち抜いてリング状とした部品をベースとして、切削などにより所定の軌道面を形成すればよい。加工後には焼入れ・焼戻し等の調質熱処理を受け、所定の硬さに調整される。
以下の実施例1〜5については、試験片作製の工程および鋼材からの試験片採取位置を表5にまとめて示してある。図23、図24に、表5中に示した試験片採取位置の番号に対応する鋼材断面内の試験片採取位置を図示する。
〔実施例1〕
表1に示す鋼の連続鋳造スラブから採取したブロック(200×200×960mm)を熱間鍛造することにより幅を200mmに保って一方向に伸ばし、その後、炭化物の球状化焼鈍を施して供試鋼材(厚さ100mm×幅200mm)とした。この供試鋼材は熱延鋼板の組織状態を模擬したものである。供試鋼材を組織観察したところ、非金属介在物は図2に示した圧延鋼板と同様に一方向に伸ばされて分布していることが確認された。
各供試鋼材から、2種類の方向に厚さ9mmの円板を切り出した。1種類は円板の厚さ方向が供試鋼材の厚さ方向と一致するもの(「A片」と呼ぶ)であり、これは介在物の展伸方向が円板の表面と平行になっている。もう1種類は円板の厚さ方向が供試鋼材の長手方向に一致するもの(「B片」と呼ぶ)であり、これは介在物の展伸方向が円板の表面と垂直になっている。すなわち、介在物の分布状態に関して、A片は圧延鋼板から打ち抜いた円板に相当するもの、B片は丸棒から切り出した円板に相当するものである。ここでは組成および介在物の分布状態が同一である供試鋼材から切り出した試験片を用いて、試験片の採取方向の相違による影響のみを調べるために、B片が採取可能な厚さの熱間鍛造材を供試鋼材として用いたものである。各円板の中央部に切削加工で穴を形成してリング状の部材とし、これに焼入れ(820℃×30min→油冷)・焼戻し(160℃×60min)の調質熱処理を施して770〜800HVに硬さを調整し、精密加工を施して試験片とした。同一種類の材料につき試験数は16とした。
得られた試験片を用いて、スラスト式転動疲労試験機にて転動疲労試験を行った。図4に転動疲労試験の方法を模式的に示す。試験条件は以下の通りである。
・試験片形状:φ63mm×t9mm、転動径38mm
・鋼球:SUJ2製φ3/8inのものを、3個使用
・荷重:325kgf、最大接触応力:4903N/mm2
・回転数:1800cpm
・潤滑油:タービン#68
・最大繰返し数:108
図5に結果を示す。図中には繰返し数と累積破損率の関係をプロットしてあり、「非破壊サンプル」と表示したプロットは108回でも破損しなかった試験片の数を表している。軌道面と非金属介在物の展伸方向とが平行となるA片では、それが垂直となるB片と比べ、転動疲労特性に関する信頼性が極めて高いことがわかる。このことから、組成および清浄度が同じ材料であれば、圧延鋼板の板面に由来する表面を軌道面とする軌道輪は、棒鋼の断面を軌道面とする軌道輪に対し、極めて優れた転動疲労特性を有する評価することができる。
〔実施例2〕
表2に示す鋼1、4の連続鋳造スラブから採取したブロック(200×200×960mm)から高さ200mm×幅100mm×長さ200mmの小ブロックを切り出し、これに熱間鍛造と熱間圧延を施すことにより幅を概ね一定に保ったまま一方向に伸ばして圧延鋼板(厚さ15mm×幅約100mm)とし、炭化物の球状化焼鈍を施した。また、表2に示す鋼2、3、5を用いて製造した直径65mmの棒鋼を用意した。この棒鋼は従来から軸受部品に適用されている高清浄度鋼を用いた材料であり、その長手方向に非金属介在物が展伸している。
各圧延鋼板および棒鋼から厚さ9mmの円板を切り出した。圧延鋼板から切り出した円板は圧延方向(非金属介在物の展伸方向)が円板の表面と平行になっている。また棒鋼から切り出した円板は棒鋼の長手方向(非金属介在物の展伸方向)が円板の表面と垂直になっている。各円板を切削加工して実施例1と同様の形状のリング状の部材とし、これに焼入れ・焼戻しの調質熱処理を施して、鋼1〜3(SUJ2)は770〜800HV、鋼4、5(SCM420H)は520〜540HVにそれぞれ硬さを調整し、精密加工を施して試験片とした。調質熱処理条件は、SUJ2;焼入れ(820℃×30min→油冷)・焼戻し(160℃×60min)、SCM420H;焼入れ(900℃×30min→油冷)・焼戻し(160℃×60min)とした。表2中に示すように、SUJ2の圧延鋼板由来試験片をC片、棒鋼由来試験片をD1片、D2片と呼ぶ。またSCM420Hの圧延鋼板由来試験片をE片、棒鋼由来試験片をF片と呼ぶ。各試験片について実施例1と同様の条件で転動疲労試験を行った。
図6および図7に、それぞれSUJ2相当鋼種(C片、D1片、D2片)およびSCM420H相当鋼種(E片、F片)の結果を示す。いずれの鋼種においても、圧延鋼板から採取した試験片では、棒鋼から採取した試験片と比べ、清浄度が悪い(酸素含有量が高い)にもかかわらず優れた転動疲労特性を実現できることが確認された。すなわち本発明に従えばO含有量が0.0010%(10ppm)以上と脱酸処理の程度が比較的緩い材料であっても、高清浄度鋼(SUJ2系ではO≦5ppm以下、SCM420系ではO≦10ppm)を用いた従来の棒鋼由来の材料よりも転動疲労に関する信頼性に勝るものが得られるのである。
〔実施例3〕
実施例1で用いた鋼1(SUJ2)の供試鋼材から、円板表面の法線と、非金属介在物の展伸方向と平行な一平面の法線とのなす角度θが0°、15°、30°、45°、60°、90°となるように各種円板を切り出し、実施例1と同様の手法で試験片を作製し、実施例1と同様の転動疲労試験を行った。上記の角度θは「軌道面の法線と圧延板面由来表面の法線とのなす角度」に相当する。θ=0°の試料は前記A片、θ=90°の試料は前記B片である。図8に転動疲労試験の方法を模式的に示す。
図9に結果を示す。「軌道面の法線と圧延板面由来表面の法線とのなす角度」に相当する上記θが45°以下の場合には50%信頼寿命(累積破損確率50%寿命)が90°片(B片)に対して1.5倍以上となり、高い信頼性が得られる。特にθを0〜30°とすると50%信頼寿命は90°片の2倍以上となり、極めて高い信頼性が確保される。
〔実施例4〕
表3に示す鋼の連続鋳造スラブから採取したブロックを用いて、実施例1と同様の手法で「軌道面の法線と圧延板面由来表面の法線とのなす角度」に相当する上記θが0°(A片と同様)および90°(B片と同様)の試験片を作製し、実施例1と同様の条件で転動疲労試験を行った。なお、焼入れは820℃×30min→油冷、焼戻しは160℃×60minの条件で行い、それぞれ表3中に記載した硬さに調整した。
図10〜図19に結果を示す。本発明に従う化学組成を有する鋼を用いたもの(図10〜図14)では、「軌道面の法線と圧延板面由来表面の法線とのなす角度」に相当する上記θが0°のもの(0°材)において転動疲労特性の顕著な改善が認められた。これに対し、鋼11(図15)はC含有量が高すぎたことにより粗大な未溶解セメンタイトがマトリクス中に多く残存しており、それらが破壊の起点となって0°材においても転動疲労特性の改善は小さかった。鋼12(図16)はS含有量が高すぎたことにより硫化物系介在物が多く生成しており、それらが破壊の起点となって0°材においても転動疲労特性は悪かった。鋼13(図17)は酸素含有量が高すぎたことにより酸化物系介在物が多く生成しており、それらが破壊の起点となって0°材においても転動疲労特性の改善は不十分であった。鋼14(図18)および鋼15(図19)はそれぞれNbおよびTiの含有量が高すぎたことにより粗大な炭窒化物が多く生成しており、それらが破壊の起点となって0°材においても転動疲労特性の改善は不十分であった。
〔実施例5〕
表4に示す鋼の連続鋳造スラブから採取したブロックを用いて、実施例2に準じた手法で「軌道面の法線と圧延板面由来表面の法線とのなす角度」に相当する上記θが0°の試験片を作製し、実施例2と同様の条件で転動疲労試験を行った。ここでC片は実施例2で使用したC片と同様の試験片である。Q片、R片、S片は、C片の作製工程において熱間圧延率を変えることによって前述の介在物配列係数Kを高く調整したものである。
図20に結果を示す。図中には実施例2の図6に示したD1片、D2片(高清浄度鋼の棒鋼由来材)のプロットが並ぶおおよその位置を破線で示してある。介在物配列係数Kを低くコントロールすることによって、特段に高清浄度化を図ることなく高清浄度鋼を用いた従来材よりも優れた転動疲労特性を実現できることがわかる。なお、介在物配列係数Kが大きい場合(Q片、R片、S片)でも、「軌道面の法線と圧延板面由来表面の法線とのなす角度」に相当する上記θを0〜45°好ましくは0〜30°とすることによって転動疲労特性を改善可能であることが別途試験により確認されており、用途に応じて圧延率の低い圧延鋼板を利用することが可能である。
〔実施例6〕
表1に示した鋼No.1の連続鋳造スラブを熱間圧延して板厚10mmの圧延鋼板とした。この熱延鋼板から、図25に示す[1]〜[5]の各深さ位置が軌道面となる5種類のリング状試験片を作製した。いずれも実施例1と同様の調質熱処理を施した。各試験片につき実施例1と同様の転動疲労試験を行った。試験条件は以下の通りである。ここでは、実施例1の条件よりも高い荷重にて試験を実施した。
・試験片形状:φ63mm×t5mm、転動径38mm
・鋼球:SUJ2製φ3/8inのものを、3個使用
・荷重:400kgf、最大接触応力:5255N/mm2
・回転数:1800cpm
・潤滑油:タービン#68
・最大繰返し数:108
図26に結果を示す。圧延板面由来表面からの除去加工深さを当該圧延鋼板の板厚の3/10以内とした[1]〜[3]のものは、[4][5]のものと比べ、上記ような厳しい荷重条件での転動疲労特性が顕著に向上した。圧延板面由来表面からの除去加工深さを当該圧延鋼板の板厚の2/10以内とした[1][2]のものはさらに優れた転動疲労特性を呈した。

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.02〜1.20%、Si:0.02〜2.00%、Mn:0.10〜1.50%、P:0.001〜0.030%、S:0.0005〜:0.030%、Cr:0.02〜2.00%、O:0.0012〜0.0030%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物である組成を有し、下記に定義される介在物配列指数Kが1.0以下に調整された圧延鋼板を素材として、その圧延鋼板の板面に由来する表面(「圧延板面由来表面」という)を軌道面に持つ軌道輪を作製する、転がり軸受の軌道輪の製造法
    〔介在物配列指数K〕
    鋼板の圧延方向および板厚方向に平行な断面(L断面)において、一辺の長さが板厚方向に3.0mm以上(板厚が3.0mm未満の場合は板厚全長)であり面積S(mm 2 )が30mm 2 以上である矩形領域を設定し、その矩形領域内に粒子の全体または一部が存在する介在物粒子のうち板厚方向最大長さが1μm以上のものを測定対象粒子とし、板厚方向端部のいずれか一方の鋼板表面を「基準面」と定めるとき、前記矩形領域内において、各測定対象粒子について基準面側の当該粒子表面から基準面側への板厚方向距離が60μm以下の範囲に粒子表面(前記矩形領域内にあるもの限る)が位置する他の測定対象粒子の数X(個)を測定し、全測定対象粒子についてのXの総和X ALL (個)を求め、X ALL を矩形領域の面積S(mm 2 )で除した値(個/mm 2 )を介在物配列指数Kとする。
  2. 質量%で、C:0.02〜1.20%、Si:0.02〜2.00%、Mn:0.10〜1.50%、P:0.001〜0.030%、S:0.0005〜:0.030%、Cr:0.02〜2.00%、O:0.0012〜0.0030%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物である組成を有し、下記に定義される介在物配列指数Kが1.0以下に調整された圧延鋼板を素材として、その圧延鋼板の板面に由来する表面(「圧延板面由来表面」という)を除去加工して形成した軌道面を有し、軌道面上の任意の点Aにおける軌道面の法線と、除去加工前の圧延板面由来表面上の最も点Aに近い点における当該圧延板面由来表面の法線とのなす角度が0〜45°の範囲にある軌道輪を作製する、転がり軸受の軌道輪の製造法
    〔介在物配列指数K〕
    鋼板の圧延方向および板厚方向に平行な断面(L断面)において、一辺の長さが板厚方向に3.0mm以上(板厚が3.0mm未満の場合は板厚全長)であり面積S(mm 2 )が30mm 2 以上である矩形領域を設定し、その矩形領域内に粒子の全体または一部が存在する介在物粒子のうち板厚方向最大長さが1μm以上のものを測定対象粒子とし、板厚方向端部のいずれか一方の鋼板表面を「基準面」と定めるとき、前記矩形領域内において、各測定対象粒子について基準面側の当該粒子表面から基準面側への板厚方向距離が60μm以下の範囲に粒子表面(前記矩形領域内にあるもの限る)が位置する他の測定対象粒子の数X(個)を測定し、全測定対象粒子についてのXの総和X ALL (個)を求め、X ALL を矩形領域の面積S(mm 2 )で除した値(個/mm 2 )を介在物配列指数Kとする。
  3. 圧延板面由来表面からの除去加工深さが当該圧延鋼板の板厚の3/10以内である請求項2に記載の転がり軸受の軌道輪の製造法
  4. 前記圧延鋼板は、さらにNi:2.00%以下、Mo:0.50%以下、V:0.50%以下、Nb:0.50%以下、Ti:0.25%以下、B:0.0050%以下の1種以上を含有する組成を有するものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の転がり軸受の軌道輪の製造法
  5. 圧延鋼板から軌道輪への加工に際し、プレス成形によりリング状に加工する工程を経る請求項1〜のいずれか1項に記載の転がり軸受の軌道輪の製造法。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の製造法によって得られた軌道輪を部品に用いて転がり軸受けを作製する、転がり軸受の製造法
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