JP6003755B2 - ラクタムの精製方法 - Google Patents

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Description

本発明は、不飽和ラクタムを含んだラクタムの精製方法に関する。詳しくは、粗ラクタムに含まれる不飽和ラクタムを、まずは異性化し、その後晶析、水素添加させることにより、高品質で高効率にラクタムを得るラクタムの精製方法に関するものである。
ラクタムはナイロン原料として広く使用されており、各種の製造方法が知られている。しかしながら、これらの方法で得られる粗ラクタムは、不飽和ラクタムといった種々の不純物を含有している。製品の高品質化とあいまって、ラクタムの品質も高純度のものが要求されており、従来から様々な精製方法が知られている。
その精製方法の一つとして、晶析が知られ、粗ラクタム溶液と水との混合物を減圧冷却することで高純度ラクタムを晶析させる技術(特許文献1)、晶析の後に水素添加することで、副生物を除去して高品質のラクタムに精製する技術(特許文献2)などが知られている。また、上記の晶析においては回収しきれないラクタムによるラクタムロスを減らすべく、晶析時に加熱溶融した粗ラクタムに冷却した溶媒を加え、直接冷却することで伝熱面におけるスケーリングを抑制し、ラクタムロスを減らす技術(特許文献3)などが知られている。しかし、上記の技術では、粗ラクタムに含まれる不飽和ラクタムはラクタムの共晶体のままであり母液側に動きやすい為、母液純度を下げ晶析運転条件を悪化させる上、母液から不飽和ラクタムを回収しない場合はラクタムロスに繋がり、十分にラクタムロスを減らすことは困難である。さらに、蒸留によりラクタムロスを減らす方法として、副生物である不飽和ラクタムを他の不純物から蒸留分離した後に水素添加する技術(特許文献4)等が知られている。しかし、上記の技術では、不飽和ラクタムを水素添加するために、他不純物から不飽和ラクタムを分離すべく蒸留を実施しており、生産性を低下させる結果となっている。
特開平1−261363号公報 特許第4239339号公報 特開2011−201865号公報 特表2005−510562号公報
そこで、本発明では、高効率でかつ高収率なラクタムの精製方法を提供することを課題とした。
前記課題を解決するため、
1.請求項1に係る発明においては、粗ラクタムに含まれる共晶体の不飽和ラクタムを固溶体の不飽和ラクタムに異性化したのち、前記粗ラクタムを晶析し、次いで、前記晶析により得られたラクタム結晶を水素添加することを特徴とするラクタムの精製方法とし、
2.請求項2に係る発明においては、前記ラクタムの炭素数が6以上12以下であることを特徴とする請求項1に記載のラクタムの精製方法とし、
3.請求項3に係る発明においては、前記異性化の反応時にアルカリを添加することを特徴とする請求項1または2に記載のラクタムの精製方法とし、
4.請求項4に係る発明においては、前記異性化において、水酸基基準で粗ラクタム液比0.012mol/L以上0.035mol/L以下となるようにアルカリを添加することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のラクタムの精製方法とし、
5.請求項5に係る発明においては、前記異性化の反応時の温度を100℃以上200℃以下で行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のラクタムの精製方法とし、
6.請求項6に係る発明においては、前記異性化の反応時間が10分以上360分以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のラクタムの精製方法とし、
7.請求項7に係る発明においては、前記晶析は溶媒存在下で実施することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のラクタムの精製方法とし、
8.請求項8に係る発明においては、前記溶媒が水であることを特徴とする請求項7記載のラクタムの精製方法とした。
以上、記述した本発明の方法によれば、粗ラクタムに含まれる不飽和ラクタムを異性化したのちに晶析、水素添加という簡単な工程の組合せで行うことにより、高効率でかつ高収率のラクタムを得ることができる。本発明の方法は、不飽和ラクタムを活用することで製品収率に優れており、また、晶析の母液純度を向上させることで、晶析を効率よく行う効果を与えるものである。
図1は、本発明に係るラクタム精製方法のプロセス工程を示す図である。 図2は、粗ラクタムのガスクロマトグラフィーにより得られるクロマトグラムを示す図である。
本発明における粗ラクタムとは、不飽和ラクタム、クロルラクタムといった不純物が100ppm以上20重量%以下含まれるラクタムのことである。また、ラクタムとは、カプロラクタム(炭素数6)、ウンデカンラクタム(炭素数11)、ラウリルラクタム(炭素数12)といった炭素数が6以上12以下のラクタムのことである。
ラクタムがカプロラクタム(炭素数6)の場合、粗ラクタムに、含まれる不純物としては、不飽和ラクタム、クロルラクタム、アニリン、オクタヒドロフェナジン(OHP)、ビシクロラクタム(BCL)、フェノール、クロルアニリンなどが挙げられる。
ラクタムは一般的に、オキシムを転位させることで製造されているが、最近では無硫安で気相ベックマン転位により合成する方法においても工業化されている。オキシムの製造技術としては、カプロラクタム製造におけるシクロヘキサノンオキシムの製造方法や、ラウロラクタム製造におけるシクロドデカノンオキシムの製造方法などが従来から知られている。そして、上記シクロヘキサノンオキシムの製造方法としては、シクロヘキサンを空気酸化して得られるシクロヘキサノンにアンモニアから合成したヒドロキシルアミンを加えて製造する直接酸化法や、シクロヘキサンを光化学反応で塩化ニトロシルと反応させて製造するphoto-Nitrosation of Cyclohexane(PNC)法が挙げられる。本発明で用いられる粗ラクタムの製造方法については特に限定されない。
PNC法は、まず、炭化水素を反応槽に仕込む。炭化水素はそれ自体光によるラジカル化が起こる必要はなく、ラジカル化剤によりラジカル化が行われる物質であれば何でも良い。シクロヘキサン、シクロドデカンなどシクロアルカン、または直鎖系炭化水素、不飽和炭化水素、芳香族炭化水素でも良いが、より好ましくはシクロアルカン、とりわけシクロヘキサンが望ましい。
炭化水素には、ラジカル化剤を添加する。ラジカル化剤は液体、気体どちらで添加しても良い。好ましいラジカル化剤は例えばニトロソ化剤であり、塩化ニトロシルはラジカル化エネルギーが低く、特に好ましい。塩化ニトロシルの好ましい添加形態は、ガス状で炭化水素の液体に吹き込むことで塩化ニトロシルを溶解させ、溶液とする形態である。
以下、炭素数6のカプロラクタムをPNC法により製造する場合を例に説明する。
カプロラクタムをPNC法にて製造する場合、原料であるシクロヘキサンを反応槽に仕込み、塩化ニトロシルおよび塩化水素の混合ガスを吹き込みながら、高圧ナトリウムランプまたは発光ダイオード等を用いた光照射を行い、光ニトロソ化反応によって、シクロヘキサノンオキシムを生成させる。耐食性があるのであれば、光エネルギーをロスなく利用するために、光源のランプは反応槽内に仕込まれた反応液中に浸漬する。また、塩化ニトロシルは、その結合エネルギーである38kcal/molを超える759nm以下の波長で光解離し、シクロヘキサノンオキシムを生成する。
生成したシクロヘキサノンオキシムは、原料であるシクロヘキサンには溶解しないため、比重差分離が可能である。この分離したシクロヘキサノンオキシムをベックマン転位することで粗ラクタムを得ることができる。ベックマン転位には、公知のいかなる方法を用いても良い。例えば、濃硫酸を用いるもの、固体触媒を用いるもの、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)を用いるものなどが挙げられる。好ましくは、硫酸系触媒を加えて反応を行うのが望ましい。さらに好ましくは、発煙硫酸を触媒に用いて転位反応を行う。発煙硫酸を用いることが好ましい理由は、シクロヘキサンオキシム中に微量含まれる水によって転位で生成したラクタムが加水分解し、ラクタムの収率を下げる恐れがある為、遊離SOを含有する発煙硫酸を使用すれば微量含まれる水が遊離SOと反応し硫酸となることができ、転位でのラクタム収率低下を防ぐことができる。反応条件はそれ自体周知のもので、例えば反応温度は50℃以上150℃以下にて、触媒添加量はオキシム1molにつき1mol以上5mol以下の範囲で実施される。
製造された粗ラクタムには様々な不純物が含有されており、製品の品質の低下となる。
含有される不純物の一つに不飽和ラクタムが挙げられる。不飽和ラクタムは、クロルシクロヘキサンより生成する。クロルシクロヘキサンは、シクロヘキサノンオキシムを一定量生産する場合に一定量副生する。この副生したクロルシクロヘキサンが光ニトロソ化反応によりクロルシクロヘキサノンオキシムとなり、転位工程においてクロルラクタムとなる。このクロルラクタムには、クロルの付加している場所によりα・β・γの3種類が存在し、このうちα、βは、80℃〜90℃の熱により容易に分解され、脱クロルし、不飽和ラクタムを生じる。γ−クロルラクタムは非常に安定であるが、脱クロルすることでビシクロラクタム(BCL)を生成する。α−クロルラクタムは下記式(a)に、β−クロルラクタムは下記式(b)に、γ−クロルラクタムは下記式(c)に、BCLは下記式(d)で示す構造を持つ。
Figure 0006003755
不飽和ラクタムには、二重結合の位置によって異性体(U1、U2)が存在する。U1は下記式(1)に、U2は下記式(2)で示す構造の異性体である。両異性体は晶析工程において、その挙動が異なる。具体的には、U1はラクタムの固溶体であるためラクタム結晶に取り込まれ易いのに対し、U2はラクタムの共晶体であるため母液側に取り込まれ易い。
Figure 0006003755
Figure 0006003755
また、粗ラクタムの純度および不純物含量およびラクタム結晶の純度および不純物の含有量は例えばガスクロマトグラフィーにより求めることができる。図2に、一例として異性化工程前の粗ラクタムのクロマトグラムを示す。前記クロマトグラム中には前記U1のピーク(1)および前記U2のピーク(2)等が示される。 U2はラクタムの共晶体であるため、晶析の際においては、その多くは母液側に取り込まれ、母液純度を下げ、晶析の運転条件を悪化させるだけでなく、母液からU2を回収しない限りラクタムロスに繋がる。これに対し、U1はラクタムの固溶体であるため、晶析の際においては、その多くはラクタム結晶側に取り込まれる。この為、母液純度を下げることもなく、更に、後工程にて水素添加工程を設けることでU1をラクタムにすることができ、ラクタムの収率アップに繋がる。
そこで、本発明においては、粗ラクタムに含まれる不飽和ラクタムの多くがU2の状態で存在していることに注目し、U2をU1に異性化したのち、晶析・水素添加を行うことで、晶析の際により多くの不飽和ラクタムをラクタム結晶側に取り込み、その後、水素添加実施により不飽和ラクタムをラクタムに変換することで、ラクタムを高収率かつ高効率に精製することができる。
図1に、本願発明に係るラクタムの精製方法のプロセス工程を示す。本プロセスにおいては、まずは、不飽和ラクタムをラクタムとの共晶体から固溶体に異性化(異性化工程)させた後、晶析し(晶析工程)、次いで、得られたラクタム結晶を水素添加(水素添加工程)することで、ラクタムを高収率に回収することができる上、晶析時の母液純度が上がり、晶析を効率よく実施することができる。
(異性化工程)
本発明においては、まず、異性化工程にてU2をU1に異性化を行う。粗ラクタムの異性化体は、溶融状態の粗ラクタムまたは、水などに溶解した粗ラクタム溶液の状態で行う。アルカリ添加量・温度・反応時間の3つの条件が、異性化の進行に影響を与える。アルカリ添加量・温度を下記の範囲内とし、異性化工程においてに必要となる下記の反応時間をかけて異性化を進行すること好ましく、異性化工程はどのような形態で実施しても良く、回分式で実施しても、連続式で実施しても構わない。
アルカリ添加量は、粗ラクタム液に対して、水酸基基準で0.01mol/L以上0.05mol/L以下の添加が必要である。上記範囲を超えてアルカリを添加した場合には、ラクタム低重合の開始に繋がる。他方、上記範囲より少ない場合は、異性化が進行しない。より好ましくは、粗ラクタム液に対して、水酸基基準で0.012mol/L以上0.05mol/L以下のアルカリ添加が望ましい。さらに好ましくは、粗ラクタム液に対して、水酸基基準で0.016mol/L以上0.035mol/L以下のアルカリ添加することが望ましい。ここで、粗ラクタム液とは、溶融状態の粗ラクタムもしくは粗ラクタムの溶液を意味する。
アルカリ添加の際は、回分式の場合は均一に添加されるよう攪拌を行うことが好ましい。連続式の場合であってもアルカリが均一に添加されない場合は攪拌することが好ましい。
また、添加するアルカリは特に限定されるものではなく、苛性ソーダ、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム等が挙げられる。より好ましくは、苛性ソーダを用いることが望ましい。
異性化を進行させるためにはアルカリ添加量の他に、反応温度を適切な範囲とすることが好ましい。温度条件としては、100℃以上200℃以下であることが好ましい。100℃以上とすることにより、より効率的に異性化を進行させることができる。他方、200℃以下をすることにより、ラクタムの低重合を減少させることが可能となる。より好ましくは140℃以上170℃以下である。
また、異性化を進行させるためには、反応時間も適切な範囲内とすることが好ましい。異性化の反応進行に好ましい反応時間は10分以上360分以下である。反応時間が10分以上とすることで、より効率的に異性化を進行させることができる。他方、360分以下とすることで、ラクタムの低重合を減少させることができる。より好ましくは、180分以上360分以下が望ましい。
(蒸留工程)
異性化を行った粗ラクタムを晶析工程で結晶化させるが、晶析工程の前に蒸留を実施しても良い。蒸留を実施することで、不純物のうち、ラクタムより低沸不純物であるアニリンやフェノール、ラクタムより高沸不純物であるクロルラクタムの大部分を除去することができる。蒸留を実施することで、晶析工程での負荷を軽減することができる上、さらに高品質なラクタムを得ることに繋がる。
(晶析工程)
上述の通りU2をU1に異性化したのち、晶析工程において、晶析を行う。
晶析時は、無溶媒にて溶融状態で行っても良いし、溶媒存在下で実施しても構わない。また、溶媒存在下で晶析する場合は、溶媒としては特に制限するものではなく、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素系、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系、プロパノール、ブタノール等のアルコール、パークロエチレン等の塩化炭化水素、トリクレンおよび水のうち少なくても1種類用いることができる。分離しやすい大粒径の結晶を晶析できる上、晶析後の脱溶媒作業が不要となる為、好ましくは、水を溶媒として用いることが望ましい。
以下、晶析時に溶媒を用いる場合について説明をする。溶融カプロラクタムに特定量の溶媒を添加して、両者の混合物を調製し、該混合物を晶析器に導き、特定の圧力下に減圧冷却とし、ラクタム溶液から溶媒を蒸発させることで過飽和を生成し、濃縮することでラクタム結晶が析出する。
晶析器内の温度としては、詰まりなど操作上のメンテナンスが比較的し易い30℃以上50℃以下にて実施することが好ましい。
また、晶析時の溶媒濃度は12重量%以上13重量%以下にて実施することが好ましい。
さらに、晶析器内の圧力は、5torr以上30torr以下の減圧にて実施することが好ましい。
晶析により、粗ラクタムに含有されていたOHPやクロルアニリンといった不純物の殆どが溶媒中に排出される。また、晶析により、U1の多くはラクタム結晶に取り込まれ、U2の多くは母液側に排出される。晶析は1回でもよいが、複数回行ってもよい。
晶析後はU1を含むラクタム結晶と母液の分離を行う。ラクタム結晶と母液の分離方法としては特に限定されるものではないが、例えば遠心分離が挙げられる。分離後のラクタム結晶は、次工程の水素添加工程に供する。
(水素添加工程)
最後に、晶析にて生成したU1をより多く含むラクタム結晶に、水素添加を行う。水素添加を実施することで不飽和ラクタムに水素を添加しラクタムに変換できる。さらに、ラクタム結晶中に微量含まれるγ−クロルラクタムにおいても、脱クロル化を促進できる。また、γ−クロルラクタムの脱クロル化により生成したBCLに対しても、水素添加されるため、ラクタムに変換することができる。水素添加の方法については限定されず、公知の方法で実施することができる。
水素添加の際は、無溶媒にて溶融状態で行っても良いし、溶媒存在下で実施しても構わない。水素添加に用いられる溶媒としては、特に限定はされないが、水、アルコール類の有機溶媒を用いることができる。晶析工程で得られたラクタム結晶には、晶析工程で使用した少量の溶媒が残存しているが、この溶媒は水素添加前に分離しても良いし、しなくても良い。水素添加時に溶媒を使用した場合においては、ラクタムを回収するにあたって溶媒を分離することが好ましい。
水素添加時の温度は、溶媒を使用しない場合は、ラクタムを溶融する必要がある為、ラクタムの融点以上で熱劣化しない温度であれば良く、好ましくは70℃以上150℃以下が良い。溶媒を使用する場合は、ラクタムが溶解する温度以上であれば良い。溶媒の使用、不使用に関わらず、より好ましくは、130℃以上140℃以下で実施することが望ましい。
水素添加反応の方式は、槽連続式の流通形式で行っても、回分形式で行っても良い。
水素添加反応を速める触媒としては、活性炭、アルミナ、シリカ、チタニア等を担体として用い、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウムなどのVIII族の遷移金属を担持させた担持触媒(触媒層)を用いることができる。好ましくは、非常に大きな表面積を持ち、高い触媒能力を示すニッケルとアルミニウムの合金のラネー合金を触媒として用いる。
水素添加反応の反応器の機構としては、特に限定はされないが、好ましくは、滞留時間が短く済む触媒を塔に充填して固定層とした気液並流式固定床反応塔を用いることが望ましい。固定床水素添加反応方式を用いれば、反応滞留時間が10分以内にて、不飽和ラクタムは完全に水素添加される為、ラクタムの滞留時間を抑え、熱劣化を避けることができる。
以下実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定を受けるものではない。
粗ラクタムの純度及び不純物含量:
粗ラクタムの純度及び不純物の含有量および晶析後のラクタム結晶の純度及び不純物の含有量は、ガスクロマトグラフィーにより求めた。水を入れたプラスチック製容器にサンプルを採り、50重量%水溶液サンプルを調整し、その後50重量%サンプルの2gを10mlメスフラスコに採り、アセトンで定容したサンプルをガスクロマトグラフィーに注入することで求めた。不純物の検出限界は約100ppmである。
(実施例1)
シクロヘキサンを張り込んだ光反応槽に塩化ニトロシルおよび塩化水素の混合ガスを吹き込み、50kW高圧ナトリウムランプを用いて光ニトロソ化反応により、シクロヘキサノンオキシムを製造した。静置により未反応シクロヘキサンと分離したシクロヘキサノンオキシムを、発煙硫酸を触媒としてベックマン転位することで粗ラクタムを生成せしめ、アンモニアにより中和したのち、抽剤にトリクロロエチレンを用いて抽出処理を行った。これにより、不飽和ラクタムを含む粗ラクタムが得られた(この際のpH値は7.7、U2/U1が4.5)。
次いで、粗ラクタムに含まれる不飽和ラクタムを異性化すべく、苛性ソーダを用いて水酸基基準で粗ラクタム液比0.016mol/L添加したのち、温度145℃にて60分保持した。異性化後の粗ラクタムに含まれるU2/U1は2.1となった。
その後、上記の粗ラクタムに対し12wt%の水を加え、真空下(20torr)でラクタム水溶液から水を蒸発させることで過飽和とし、ラクタム結晶を含むスラリーを得た。この晶析操作において、U1はラクタムの固溶体であるためラクタム結晶構造内に組み込まれるのに対し、U2はラクタムの共晶体であるため母液側に動く。上記のスラリーを遠心分離することで得られたラクタム結晶中に含まれる不飽和ラクタム濃度の和(U1+U2)は、3760ppmとなった。
最後に、不飽和ラクタムをラクタムとする為、ラクタム結晶に水を添加して87.5%水溶液とした後、水素加圧、高温下とすることで水素添加を実施する。水素添加は以下のように実施する。ラクタム結晶と触媒であるラネー合金をオートクレイブに仕込み、オートクレイブ内を窒素置換した後、水素を充填し、490kPaに保持する。この際の不飽和ラクタム水素添加率は100%である。
得られた高品位ラクタム溶液の評価結果につき、表1に示す。
(実施例2)
実施例1で異性化時の保持時間を180分としたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1で異性化時の保持時間を20分としたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例1で苛性ソーダを水酸基基準で粗ラクタム液比0.027mol/L添加したこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を第1表に示す。
(実施例5)
実施例1で異性化時の温度を160℃としたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を第1表に示す。
(実施例6)
実施例1で苛性ソーダを用いて水酸基基準で粗ラクタム液比0.011mol/L添加したこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を第1表に示す。
(実施例7)
実施例1で異性化時の保持時間を420分としたこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を第1表に示す。重合物ができていた。
(比較例1)
実施例1で苛性ソーダを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様に行った。結果を第1表に示す。
Figure 0006003755
実施例1〜7では、異性化によりU2の一部がU1となる。晶析の実施によりラクタム結晶中に取り込まれ、水素添加を行うことでラクタムに変換することができる。
比較例1では異性化工程を実施していないので、U2の多くが母液中に残る為、ラクタム収率が悪くなり、母液純度が下がる。

Claims (8)

  1. 粗ラクタムに含まれる共晶体の不飽和ラクタムを固溶体の不飽和ラクタムに異性化したのち、前記粗ラクタムを晶析し、次いで、前記晶析により得られたラクタム結晶を水素添加することを特徴とするラクタムの精製方法。
  2. 前記ラクタムの炭素数が6以上12以下であることを特徴とする請求項1に記載のラクタムの精製方法。
  3. 前記異性化の反応時にアルカリを添加することを特徴とする請求項1または2に記載のラクタムの精製方法。
  4. 前記異性化において、水酸基基準で粗ラクタム液比0.012mol/L以上0.035mol/L以下となるようにアルカリを添加することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のラクタムの精製方法。
  5. 前記異性化の反応時の温度を100℃以上200℃以下で行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のラクタムの精製方法。
  6. 前記異性化の反応時間が10分以上360分以下であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のラクタムの精製方法。
  7. 前記晶析は溶媒存在下で実施することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のラクタムの精製方法。
  8. 前記溶媒が水であることを特徴とする請求項7記載のラクタムの精製方法。
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