JP4257988B2 - ε―カプロラクタムの精製方法 - Google Patents

ε―カプロラクタムの精製方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ε−カプロラクタム(以下、「ラクタム」ということがある)の精製方法に関する。詳しくは、不純物を含む粗ラクタムを水素添加処理することにより、ラクタムを精製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ε−カプロラクタムは、主にナイロン−6の原料として用いられている有機製品であり、シクロヘキサノンオキシム(以下、「オキシム」ということがある)のベックマン転位反応により工業的に製造されている。製品のラクタムには、メーカー、ユーザー間でおおよそ共通した数種の品質規格項目があり(例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry 第5版 A5巻 46頁参照)、これら品質規格を満足すべく、従来、ラクタムの精製方法として、液液分配、蒸留、晶析、水素添加処理、イオン交換、活性炭処理等の方法が検討、採用されている。
これら精製方法の中で、水素添加処理する方法は、PM価(過マンガン酸カリウムにより酸化される不純物の含量に関する品質規格)の低減に有効であり、従来、種々の方法が報告されている。例えば、特公昭32−6358号公報には、粗ラクタムを水溶液として処理する方法が、特公昭46−23743号公報には、粗ラクタムを芳香族炭化水素溶媒中で有機アミンの存在下に処理する方法が、特開平3−135958号公報には、粗ラクタムの水溶液を加熱加圧下に連続的にアップフローで処理する方法が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、特に不純物としてテトラヒドロアゼピン−2−オン類(1,3,4,5−体、1,3,4,7−体、1,3,6,7−体および1,5,6,7−体の4種類がある;以下、「カプレノラクタム類」ということがある)を含む粗ラクタムの水素添加処理について、検討を行なったところ、従来の方法では、カプレノラクタム類を水素添加によりラクタムに変換し、PM価を低減することはできるものの、VB(揮発性塩基に関する品質規格)の増大や酸性化を招くことがあり、必ずしも十分なものではなかった。
本発明の目的は、上記問題点を解決し、VBの増大や酸性化が抑制された水素添加処理方法により、ラクタムを精製する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意検討の結果、粗ラクタムの水素添加処理において、接触させる水素ガス中に微量の酸素が存在していたり混入したりすると、還元条件下であるにもかかわらず、ラクタムが酸化され、アジピン酸イミド(以下、「ADI」ということがある)が副生し、ADIの副生量が多いほど、VBの増大や酸性化の度合いが大きい傾向にあることを見出した。そして、該水素ガス中の酸素濃度を特定量以下とすることにより、ADIの副生が抑制され、VBの増大や酸性化が抑制されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、粗ε−カプロラクタムを水素添加触媒の存在下、水素ガスまたは水素含有ガスと接触させる際に、該ガス中の酸素濃度を1000体積ppm以下とするε−カプロラクタムの精製方法に係るものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、粗ラクタムとしては、ラクタムを生成する各種反応により得られるものを用いることができ、該反応としては、例えば、オキシムのベックマン転位反応、6−アミノカプロン酸メチルのような6−アミノカプロン酸エステルの環化反応、6−アミノカプロニトリルの加水分解環化反応等が挙げられる。中でも、本発明の方法は、オキシムのベックマン転位反応により得られる粗ラクタムに好適に用いることができる。
【0006】
オキシムのベックマン転位反応としては、例えば、硫酸、発煙硫酸、リン酸、塩酸等の酸を用いて、液相条件下で行なうものや、ほう酸系触媒、シリカ・アルミナ触媒、固体リン酸系触媒、複合金属酸化物触媒、メタロシリケートやシリカライトのようなゼオライト系触媒等を用いて、気相条件下で行なうものが挙げられる。本発明の方法はいずれのベックマン転位反応で得られる粗ラクタムにも適用することができる。
【0007】
オキシムの液相条件下でのベックマン転位反応により得られる粗ラクタムとしては、反応液にアンモニア等の塩基および水を混合し、該混合物を油水分離させて得られる油相を用いてもよいし、該混合物または油相からベンゼン等の有機溶媒でラクタムを抽出し、該抽出液を濃縮して得られる濃縮物を用いてもよいし、該油相または濃縮物を蒸留して得られる留出物を用いてもよい。
【0008】
オキシムの気相条件下でのベックマン転位反応により得られる粗ラクタムとしては、反応ガスの凝縮物を用いてもよいし、該凝縮物を濃縮して得られる濃縮物を用いてもよいし、該凝縮物または濃縮物を蒸留して得られる留出物を用いてもよい。
【0009】
粗ラクタム中に含まれる不純物としては、その調製方法にもよるが、例えば、残存する原料のオキシム、カプレノラクタム類、1,2,3,4,6,7,8,9−オクタヒドロフェナジン(以下、「OHP」ということがある)、1−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロベンズイミダゾール(以下、「MTHI」ということがある)等が挙げられる。本発明の方法においては、水素添加処理により、不純物のカプレノラクタムを目的物のラクタムに変換することができるので、粗ラクタムとしては、不純物としてカプレノラクタムを比較的多く、例えば30ppm以上含有するものでも、好適に用いることができる。
【0010】
一方、粗ラクタム中のオキシム、OHP、MTHI等のカプレノラクタム以外の不純物の含有量は、なるべく少ないこと、例えばオキシムが10ppm以下、OHPが10ppm以下、MTHIが25ppm以下であるのが好ましい。そのため、粗ラクタムとしては、水素添加処理前にあらかじめ晶析等により精製されたものを用いるのが好ましい。溶媒を用いて晶析を行なう場合、該溶媒としては、例えばn−ヘプタンやシクロヘキサンのような脂肪族炭化水素系溶媒が挙げられ、必要に応じて混合溶媒を用いることもできる。晶析に用いた溶媒が水素添加を受けやすい場合は、それをできるかぎり除去してから水素添加処理に供するのが好ましいが、その溶媒が水素添加を受け難いものであれば、結晶中に少量の溶媒が含まれたまま、水素添加処理することができる。
【0011】
粗ラクタムの水素添加処理は、水素添加触媒(以下、「触媒」ということがある)の存在下に水素ガスまたは水素含有ガスと接触させることにより行うことができる。該触媒としては、例えば、ニッケル、パラジウム、白金、ルテニウム、ロジウム等のVIII族遷移金属が挙げられ、必要に応じてその2種以上を用いることもできる。触媒は、適当な担体に担持された担持触媒として用いるのが好ましく、該担体としては、例えば、活性炭、アルミナ、シリカ、チタニア等が挙げられる。中でも、触媒活性や触媒寿命の点から、パラジウムを活性炭の表面に担持したものや、さらに白金やルテニウムを共担持したものが好ましく、エッグシェルタイプの触媒が特に好ましい。パラジウムを活性炭に担持した触媒を用いる場合、パラジウムの担持量は、担持触媒全体に対して、通常0.1〜20重量%、好ましくは0.5〜5重量%である。また、さらに白金やテニウムが共担持された触媒を用いる場合、その担持量は、担持触媒全体に対して、通常2重量%以下である。なお、触媒の寿命は、使用する粗ラクタムや水添処理の条件により異なるが、本発明の方法によれば、1年以上とすることもできる。
【0012】
本発明においては、粗ラクタムと接触させる水素ガスまたは水素含有ガス中の酸素濃度を1000ppm(体積/体積、以下同じ)以下にする必要があり、好ましくは500ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下である。該酸素濃度が高いほど、ADIの副生量が多くなり、VBの増大や酸性化の度合いが大きい傾向にある。なお、該酸素濃度とADIの副生率との関係について一例を示すと、バッチ式、反応温度120℃、反応時間1h、水素圧力0.3MPaの条件においては、ADIの生成率が酸素濃度の対数にほぼ比例する結果となった。
【0013】
上記酸素濃度を所定値以下とするためには、水素ガスとして十分に精製されたものを用い、また、反応系に空気等が混入して、該酸素濃度が所定値を越えないように管理する必要がある。また、担持触媒を用いる場合には、担体の細孔内に吸着、滞留している酸素を除去するため、担持触媒をあらかじめ不活性ガスあるいは水素ガスにより前処理するのが好ましい。
【0014】
水素添加処理の際には、必要に応じて、アルコール等の有機溶媒や水を溶媒として用いることもできる。水素添加処理は、バッチ形式で行なってもよいし、流通形式で行なってもよい。流通形式で行なう場合、触媒が充填された層に、粗ラクタムまたはその溶液を水素ガスとともにアップフローで流通させてもよいし、ダウンフローで流通させてもよいし、粗ラクタムまたはその溶液と水素ガスとを向流で流通させてもよい。また、触媒層を水素ガスで充満し、触媒層上部から粗ラクタムまたはその溶液の液滴を流下させながら反応させる、薄層流下法で行なってもよい。層内圧力を一定に保ち、消費された水素を補充するようにすれば、水素ガスの使用量を抑えることができ、また水素ガスの偏流の問題も避けることができる。なお、バッチ形式、流通形式のいずれの場合でも、あらかじめ触媒を水素ガスにより前処理しておくのが好ましい。
【0015】
水素ガスの使用量は、粗ラクタム中のラクタム1モルに対して、通常0.0001モル以上、好ましくは、0.001〜0.1モルの範囲である。粗ラクタム中にカプレノラクタム類が含まれる場合は、該カプレノラクタム類と当モル以上の水素ガスが必要である。流通形式で反応を行なう場合、利用されずに排出された水素ガスは、必要に応じて精製して再使用することができる。
【0016】
水素添加処理の温度は、溶媒を使用しない場合、粗ラクタムが溶融する温度以上にする必要があり、好ましくは70〜150℃の範囲である。溶媒を用いる場合、ラクタムが溶液から析出しない温度まで下げることができる。また、流通形式で行なう場合、触媒活性が時間経過につれて徐々に低下していくため、活性低下に伴って温度を上昇させ、触媒活性を一定のレベルに維持することが好ましい。したがって、初期は80℃以下の比較的低温で開始し、徐々に温度を上げていくのが好ましい。
【0017】
水素添加処理の圧力は、通常0.05〜10MPa、好ましくは0.1〜1MPaの範囲である。また、水素添加処理の時間は、バッチ形式の場合、通常10分〜2時間の範囲であり、流通形式の場合、WHSV(触媒1kgあたりの粗ラクタムの供給速度(kg/h))として、通常0.5〜100h-1、好ましくは1〜10h-1の範囲である。
【0018】
水素添加処理後のラクタムについては、溶媒を含む場合、簡単な蒸留を行なうことにより、溶媒を除去することができる。また、溶媒を含まない場合にも、触媒由来の異物等を除去するために、簡単な蒸留を行なうのが好ましい。水素添加処理の結果、カプレノラクタム類の含有量が通常30ppm以下、好ましくは25ppm以下であり、PM価が通常10以下、好ましくは7以下であり、さらにADIの含有量が通常15ppm以下、好ましくは10ppm以下の、精製されたラクタムを得ることができる。
【0019】
本発明の方法は、種々のラクタムの製造方法におけるラクタムの精製方法として採用することができる。本発明の方法によりラクタムを精製する工程を含むことにより、高品質なラクタムを製造することができる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、GC分析および品質規格分析は、以下の方法により行なった。
<GC分析>
カラム:DB−WAX、温度:80℃→230℃、検出:FIDの条件で分析し、溶媒を除いた面積百分率を算出した。不純物の検出限界は約3ppmである。
<UV吸光度>
ラクタムの50%水溶液を1cmのセルに入れ、水をブランクとし、波長290nmの紫外線透過率(%)を測定した。
<過マンガン酸カリウム価(PM価)>
ラクタム1gを蒸留水に溶解し100mlとした水溶液に、0.01N過マンガン酸カリウム水溶液2mlを添加して、攪拌した。過マンガン酸カリウム水溶液を添加してから250秒経過後に、波長420nmの光の吸光度を25℃(溶液温度)で測定した。一方、ブランクとして、蒸留水100mlに、0.01N過マンガン酸カリウム水溶液2mlを添加して、攪拌し、過マンガン酸カリウム水溶液を添加してから250秒経過後に、波長420nmの光の吸光度を25℃(溶液温度)で測定した。前者の吸光度から後者の吸光度を引き、その値を100倍した値を、過マンガン酸カリウム価(PM価)とした。
<遊離塩基度(FB)>
蒸留水に0.01Nの硫酸または水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5.7に調整した水10mlに、ラクタム約2.5gを加えて攪拌した。得られた溶液のpHを測定し、pH値が5.7より大きければ、該溶液中に0.01N硫酸をpHが5.7になるまで添加した。添加した0.01N硫酸の使用量v(ml)、ファクター(f)、用いたラクタム重量w(g)から次式により遊離塩基度(FB;meq/kg)を算出した。
FB=0.01×v×f×1000/w
<揮発性塩基度(VB)>
蒸留フラスコにラクタム5gと20%水酸化ナトリウム水溶液8mlを入れて水蒸気蒸留し、留出液を5mlの0.01N硫酸水溶液中に導入した。留出液量が150mlの時点で水蒸気蒸留を終了した。得られた溶液を、メチルレッド−メチレンブルー混合指示薬を用いて、0.01N水酸化ナトリウム水溶液で滴定した。滴定量B(ml)、ラクタムを使用しないブランクテストにおける滴定量A(ml)、0.01N水酸化ナトリウム水溶液のファクター(f’)、用いたラクタム重量w’(g)から、次式により揮発性塩基度(VB;ppm)を算出した。
VB=[0.17×(B−A)×f’×1000]/w’
<色度(APHA)>
ラクタムの50%水溶液を5cmのセルに入れ、水をブランクとし、370nmの光の吸光度を測定し、あらかじめハーゼン標準色溶液で作成した検量線を用いて色度に換算した。
【0021】
参考例1
オキシム:496ppm、MTHI:181ppm、カプレノラクタム類:430ppmおよびOHP:242ppmを含有する純度99.20%のラクタムを73℃に調温し単位時間あたり300重量部で、および溶媒[n−ヘプタン/シクロヘキサン=3/1(W/W)]を5.5℃に調温し単位時間あたり550重量部で、外部ジャケットを56℃にした晶析槽へ注加、晶析した。攪拌しながらスラリーを平均滞留時間34分で連続的に、56℃に保温した遠心分離型デカンターに導入して固液分離し、固相を50℃の前記溶媒(単位時間あたり120重量部)で洗浄した。結晶として単位時間あたり207重量部のラクタムが得られ、分析した結果、溶媒含量は1.7重量%[n−ヘプタン/シクロヘキサン=1.75(W/W)]であり、またGC分析(溶媒を除く面積百分率)の結果、ラクタム:99.98%、オキシム:6ppm、カプレノラクタム類:172ppmであり、MTHI、OHPおよびADIは検出されなかった。
【0022】
参考例2
参考例1と同様の方法で調製したラクタムを、減圧下に濃縮した。得られたラクタムを分析した結果、溶媒含量は0.1重量%以下であり、またGC分析(溶媒を除く面積百分率)の結果、ラクタム:99.9858%、カプレノラクタム類:129ppmであり、オキシム、MTHI、OHPおよびADIは検出されなかった。
【0023】
実施例1
参考例1で得られたラクタムを単位時間あたり207重量部で、および酸素濃度0.1ppmの水素を単位時間当たり0.0207重量部で、2%Pd/活性炭触媒(10−20mesh)を充填した触媒層に、95℃にて、WHSV=2.6h-1で連続的に供給した。得られた反応マスを減圧下に濃縮、蒸留し、留分としてラクタムを得た。このラクタムをGC分析した結果、ラクタム:99.99%以上、カプレノラクタム類:1ppmであり、オキシム、MTHI、OHPおよびADIは検出されなかった。また、このラクタムの品質規格分析値は、UV吸光度:92.0%、PM価:1.1、APHA:0.5、VB:2.7、FB:0.03であった。
【0024】
実施例2
200mlのSUS製オートクレーブに、2%Pd/C触媒1.8gを入れ、酸素濃度0.1ppmの水素で系内を置換し、120℃にて1時間、100rpmで攪拌した後、冷却した。窒素置換後、この中に水9gと参考例2で得られたラクタム90gを加え、酸素濃度0.1ppmの水素で系内を置換した後、この水素で3.0kg/cm2(0.3MPa)に加圧し、120℃にて1時間、1000rpmで攪拌した。反応液を窒素雰囲気下で加圧ろ過し、濾液を得た。
この濾液をGC分析(溶媒を除いた面積百分率)した結果、ラクタム:99.9981%、カプレノラクタム類:8ppmであり、オキシム、MTHI、OHPおよびADIは検出されなかった。この濾液を減圧下に濃縮、蒸留し、留分としてラクタムを得た。このラクタムの品質規格分析を行った結果、UV吸光度:99.2%、PM価:0.25、APHA:0.65、VB:3.0ppm、FB:0.045であった。
【0025】
比較例1
実施例2において、酸素濃度0.1ppmの水素の代わりに、窒素濃度3900ppmおよび酸素濃度1050ppmの水素を用いた以外は、実施例2の前段と同様の操作を行ない、濾液を得た。
この濾液をGC分析(溶媒を除いた面積百分率)した結果、ラクタム:99.9950%、カプレノラクタム類:8ppm、ADI:17ppmであり、オキシム、MTHIおよびOHPは検出されなかった。この濾液を減圧下に濃縮、蒸留し、留分としてラクタムを得た。このラクタムの品質規格分析を行った結果、UV吸光度:98.6%、PM価:1.43、APHA:0.97、VB:7.9であり、FBはpHが5.7未満を示し測定できなかった。
【0026】
実施例3
実施例2において、酸素濃度0.1ppmの水素の代わりに、窒素濃度1780ppmおよび酸素濃度480ppmの水素を用いた以外は、実施例2の前段と同様の操作を行ない、濾液を得た。
この濾液をGC分析(溶媒を除いた面積百分率)した結果、ラクタム:99.9926%、カプレノラクタム類:15ppm、ADI:8ppmであり、オキシム、MTHIおよびOHPは検出されなかった。この濾液を減圧下に濃縮、蒸留し、留分としてラクタムを得た。このラクタムの品質規格分析を行った結果、UV吸光度:98.9%、PM価:0.77、APHA:1.02、VB:5.6、FB:0.013であった。
【0027】
実施例4
実施例2において、酸素濃度0.1ppmの水素の代わりに、窒素濃度160ppmおよび酸素濃度50ppmの水素を用いた以外は、実施例2の前段と同様の操作を行ない、濾液を得た。
この濾液をGC分析(溶媒を除いた面積百分率)した結果、ラクタム:99.9964%、カプレノラクタム類:9ppm、ADI:7ppmであり、オキシム、MTHIおよびOHPは検出されなかった。この濾液を減圧下に濃縮、蒸留し、留分としてラクタムを得た。このラクタムの品質規格分析を行った結果、UV吸光度:98.7%、PM価:0.56、APHA:1.1、VB:3.3、FB:0.052であった。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、VBの増大や酸性化が抑制された条件で水素添加処理を行なうことができ、PM価が低減されたラクタムを得ることができる。

Claims (6)

  1. 粗ε−カプロラクタムを水素添加触媒の存在下、水素ガスまたは水素含有ガスと接触させる際に、該ガス中の酸素濃度を1000体積ppm以下とすること、および粗ε−カプロラクタムがあらかじめ晶析により精製されたものであり、かつテトラヒドロアゼピン−2−オン類を含有するものであることを特徴とするε−カプロラクタムの精製方法。
  2. 粗ε−カプロラクタム中のシクロヘキサノンオキシムの含有量が、粗ε−カプロラクタムに対して10ppm以下であり、粗ε−カプロラクタム中の1,2,3,4,6,7,8,9−オクタヒドロフェナジンの含有量が、粗ε−カプロラクタムに対して10ppm以下であり、粗ε−カプロラクタム中の1−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロベンズイミダゾールの含有量が、粗ε−カプロラクタムに対して25ppm以下である請求項1に記載の精製方法。
  3. 粗ε−カプロラクタムがシクロヘキサノンオキシムのベックマン転位反応により得られたものである請求項1または2に記載の精製方法。
  4. 脂肪族炭化水素系溶媒を用いて晶析を行う請求項1〜3のいずれかに記載の精製方法。
  5. 精製されたε−カプロラクタム中のアジピン酸イミドの含有量が15ppm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の精製方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の精製方法によりε−カプロラクタムを精製する工程を含むことを特徴とするε−カプロラクタムの製造方法。
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