JP6002363B2 - 濃縮乳およびその製造方法 - Google Patents

濃縮乳およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6002363B2
JP6002363B2 JP2010526521A JP2010526521A JP6002363B2 JP 6002363 B2 JP6002363 B2 JP 6002363B2 JP 2010526521 A JP2010526521 A JP 2010526521A JP 2010526521 A JP2010526521 A JP 2010526521A JP 6002363 B2 JP6002363 B2 JP 6002363B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
milk
fat
concentrated
treatment
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010526521A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2010023844A1 (ja
Inventor
崇 菅原
崇 菅原
本多 健志
健志 本多
里香 村上
里香 村上
浩 越膳
浩 越膳
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Meiji Co Ltd
Original Assignee
Meiji Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Meiji Co Ltd filed Critical Meiji Co Ltd
Publication of JPWO2010023844A1 publication Critical patent/JPWO2010023844A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6002363B2 publication Critical patent/JP6002363B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23CDAIRY PRODUCTS, e.g. MILK, BUTTER OR CHEESE; MILK OR CHEESE SUBSTITUTES; MAKING THEREOF
    • A23C1/00Concentration, evaporation or drying
    • A23C1/14Concentration, evaporation or drying combined with other treatment
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23CDAIRY PRODUCTS, e.g. MILK, BUTTER OR CHEESE; MILK OR CHEESE SUBSTITUTES; MAKING THEREOF
    • A23C9/00Milk preparations; Milk powder or milk powder preparations
    • A23C9/14Milk preparations; Milk powder or milk powder preparations in which the chemical composition of the milk is modified by non-chemical treatment
    • A23C9/142Milk preparations; Milk powder or milk powder preparations in which the chemical composition of the milk is modified by non-chemical treatment by dialysis, reverse osmosis or ultrafiltration

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Water Supply & Treatment (AREA)
  • Dairy Products (AREA)
  • Coloring Foods And Improving Nutritive Qualities (AREA)

Description

本発明は、固形分濃度が高いが、粘度の低い濃縮乳および、かかる濃縮乳の製造方法に関する。
消費者が牛乳(類)に求める要素には、「自然さ」、「おいしさ」、「栄養/機能」の3つがあると言われている。ここで、従来の牛乳が持つ特徴を整理すると、次のようになる。
「普通牛乳」には、自然・天然という良いイメージがあり、味もおいしいという評価があるが、一方で、カルシウム等の栄養がもっと欲しいという意見がある。
「低脂肪牛乳」には、カロリーが少なく、さっぱりしていて良いという評価があるが、一方で、味が薄く、栄養がもっと欲しいという意見がある。
「特濃(濃縮)牛乳」には、コクがあって、味もおいしいという評価があるが、一方で、脂肪分が多くて、太りそうであるという意見がある。
「乳飲料」には、カルシウム等の栄養が豊富で良いという評価があるが、一方で、人工的であり、味が苦手であるという意見がある。
このように、消費者が求める3大要素である「自然さ」、「おいしさ」、「栄養/機能」を同時に満たす牛乳は以前には存在していなかった。さらに、消費者が牛乳に求める価値は多様化しており、新しい価値の提供が必要となっている。
例えば、牛乳の風味を向上させる方法として、脱酸素処理を加熱殺菌の前または後に適用して、牛乳の過熱臭を低減させる方法が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
一方、乳等省令の改正により「成分調整牛乳」が誕生した。成分調整牛乳とは、生乳のみ(生乳100%)から膜処理等の技術により、特定の成分(水分等)を除去したものであり、「無脂肪牛乳(脱脂乳)」および「低脂肪牛乳(部分脱脂乳)」を除いたものである。この成分調整牛乳では、消費者が牛乳に求める3大要素を満たし、かつ、消費者が牛乳に求める価値の多様化にも対応できる可能性がある。
かかる成分調整牛乳の製造方法としては、原料乳を膜濃縮処理して、タンパク質やカルシウム等の栄養成分を高めた加工乳(濃縮乳)とその製造方法(特許文献3、特許文献4)が提案されているが、これらの濃縮乳は、固形分濃度が高まることにより、口当たり等において必ずしも満足のいくものとなっていない。
特開2001−078665号公報 特開2003−144045号公報 特開2002−051699号公報 特開2002−253116号公報
したがって、本発明の課題は、タンパク質やカルシウム等の濃度が従来の牛乳よりも高く、栄養価が高いながらも、口当たりの良い濃縮乳を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねる中で、無脂乳固形分濃度の高い濃縮乳では粘度が高いことに着眼し、濃縮乳の粘度を低減することにより口当たりを改善できることを見出し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、無脂乳固形分を10〜14重量%で含み、0.5s−1の剪断速度における剪断粘度が20〜100mPa・sである濃縮乳に関する。
さらに本発明は、乳脂肪成分が3重量%以下であることを特徴とする、前記の濃縮乳に関する。
また本発明は、原料乳を濃縮処理する前および/または後に、原料乳を脱酸素処理する工程を含み、続いて殺菌処理してなる濃縮乳の製造方法に関する。
さらに本発明は、均質化処理する工程をさらに含むことを特徴とする、前記製造方法に関する。
また本発明は、濃縮乳の乳脂肪成分を3重量%以下に調整する工程を含むことを特徴とする、前記の製造方法に関する。
さらに本発明は、濃縮処理が膜濃縮処理であることを特徴とする、前記の製造方法に関する。
本発明によれば、無脂乳固形分を好ましくは、10〜14重量%、より好ましくは、10〜13.5重量%、さらに好ましくは、10〜13重量%、とくに好ましくは10〜12重量%で含むにもかかわらず、0.5s−1の剪断速度における剪断粘度を20〜100mPa・sにすることにより、好ましい口当たりを有する濃縮乳を提供することができる。
さらに、本発明の別の態様によれば、乳脂肪成分を3重量%以下、好ましくは3重量%未満、より好ましくは2.5重量%以下、さらに好ましくは1.5重量%以下で含む、低脂肪や無脂肪の濃縮乳において、0.5s−1の剪断速度における剪断粘度を20〜100mPa・sにすることにより、栄養成分の高い濃縮乳でありながら、低脂肪(低カロリー)なために、美容上や健康上で優れており、しかも好ましい口当たりやコクを有する濃縮乳を提供することができる。かかる濃縮乳は、高濃度の無脂乳固形分に基づくコクと、高濃度でありながら低粘度であることに基づくサッパリ感、低濃度の脂肪分に基づくスッキリ感とが組み合わさり、全く新しい風味や食感を有する。
また、本発明の別の態様によれば、原料乳の無脂乳固形分を濃縮処理する工程、濃縮処理された原料乳を脱酸素処理する工程、続いて殺菌処理する工程を含む製造方法により、無脂乳固形分を好ましくは、10〜14重量%、より好ましくは、10〜13.5重量%、さらに好ましくは、10〜13重量%、とくに好ましくは10〜12重量%で含み、0.5s−1の剪断速度における剪断粘度が20〜100mPa・sである比較的に低粘度の濃縮乳を提供することができる。
また、本発明の別の態様によれば、タンパク質や乳糖等、ビタミンやミネラルの栄養成分の損失が少ないという観点と、濃縮乳の風味を改良できるという観点のバランスを勘案して、原料乳を膜濃縮処理する際には、例えば、MF膜処理、UF膜処理、RO膜処理、NF膜処理が適しており、好ましくはUF膜処理、RO膜処理、NF膜処理が適しており、より好ましくはRO膜処理、NF膜処理が適しており、さらに好ましくはNF膜処理が適している。これら膜濃縮処理を適宜選択して、非加熱的に濃縮することにより、牛乳本来の栄養成分や風味を損なうことなく、風味に優れた、好ましい口当たりを有する濃縮乳を提供することができる。
本明細書において「原料乳」とは、生乳、原乳、全脂乳、脱脂乳、ホエイ等の乳成分を含む液体である。
本明細書において「濃縮乳」とは、前記の原料乳を膜分離法や真空蒸発法等の濃縮処理により得られる液体であり、さらに「濃縮乳」には、前記の濃縮処理の前工程または後工程に、殺菌処理、均質化処理、遠心分離処理、脂肪濃度調整処理等を加えて得られる液体が含まれる場合もある。つまり「濃縮乳」には、例えば、全脂乳から得られた濃縮乳を遠心分離処理することにより、乳脂肪濃度を調整した成分調整牛乳、脱脂乳から得られた濃縮乳にクリーム等を添加することにより、乳脂肪濃度を調整した成分調整牛乳等も含まれる。
本発明では例えば、成分調整牛乳を調製するために、生乳を遠心分離処理して脱脂乳とクリームとを得てから、この脱脂乳を原料乳としてNF膜処理し、無脂乳固形分が約12重量%の濃縮乳を調製する。そして、この濃縮乳へ遠心分離処理で得たクリームの一部を混合(添加)して乳脂肪成分を約1.5重量%に調整し、この無脂乳固形分を約12重量%、乳脂肪成分を約1.5重量%で含む濃縮乳を脱酸素処理してから殺菌処理することとなる。このとき、均質化処理は必須ではないが、殺菌処理前か殺菌処理後に設けても良い。
このように、生乳に比べて無脂乳固形分を高く調整し、必要に応じて乳脂肪成分を低く調整した濃縮乳を、脱酸素処理してから殺菌処理することで、無脂乳固形分濃度が高いことに基づくコクと、濃度が高いにもかかわらず低粘度であることに基づくサッパリ感、低脂肪分に基づくスッキリ感とを有する成分調整牛乳を提供することができる。
すなわち本発明では、無脂乳固形分を所定の濃度まで高めた濃縮乳において、脱酸素処理してから殺菌処理すると、脱酸素処理せずに殺菌処理した場合に比べて粘度が低くなる効果のあることを見出し、その効果を利用することで、無脂乳固形分濃度や全体の濃度が高いながらも、サッパリ感を有する濃縮乳を提供することができる。また本発明では、さらに乳脂肪成分を低減することにより、スッキリ感があり、低脂肪や無脂肪でありながらもコクがある、成分調整牛乳を提供することができる。
従来技術でも、乳製品を脱酸素処理してから殺菌することはあったが、あくまで風味(味、におい等)の改良を目的や効果としていた。これに対して本発明では、乳製品を脱酸素処理してから殺菌することにより、物性や食感(流動性、のど越し、口当たり等)を改良しており、従来技術とは異なる新たな効果や作用であるといえる。
本発明にかかる濃縮乳は、通常の牛乳よりも高い無脂乳固形分を有し、例えば10〜17重量%、好ましくは10〜15重量%、より好ましくは10〜14重量%、さらに好ましくは11〜12重量%の無脂乳固形分を有する。
従来の成分調整牛乳(濃縮乳)や加工乳等では無脂乳固形分濃度が高いほど、コクは出るが、サッパリ感は無くなるため、サッパリ感を出そうとすると、コクが無くなっていた。本発明では、無脂乳固形分が高いほど、脱酸素処理により粘度が低くなる効果が大きく、無脂乳固形分濃度や全体の濃度が高いながらも、低粘度になるので、コクを有しながらもサッパリ感を付与することができる。したがって、風味面でより強いコクとサッパリ感を付与するために、無脂乳固形分を比較的高く設定しても良い。一方、膜濃縮処理で設定しやすい濃縮倍率等の観点からは、無脂乳固形分を10〜14重量%等に設定することが望ましい。
また、本発明にかかる濃縮乳の乳脂肪成分は特に限定されないが、低脂肪や無脂肪に分類される濃縮乳において、本発明の効果が発揮されやすい。
従来の成分調整牛乳(濃縮乳)や加工乳等では乳脂肪成分が高いほど、コクは出るが、スッキリ感は無くなるため、コクを出そうとすると、スッキリ感が無くなっていた。さらに、無脂肪乳では、牛乳のコクを引き出す一要因となる、乳脂肪成分が含まれていないため、やや味が薄く、牛乳らしさが弱いという点で問題があった。本発明では、無脂乳固形分濃度が高い成分調整牛乳であり、コクが出ながらも、低粘度になるので、風味面でコクとスッキリ感を両立するために、乳脂肪成分を低く設定しても良い。本発明において、乳脂肪成分の上限値として、例えば、3.0重量%、好ましくは2.5重量%、より好ましくは2.0重量%、さらに好ましくは1.5重量%とすることにより、乳脂肪由来のコクとスッキリ感を高めることができる。一方、乳脂肪成分の下限値としては、例えば、0.0重量%、好ましくは0.1重量%、より好ましくは0.2重量%、さらに好ましくは0.3重量%、最も好ましくは0.5重量%とすることにより、従来の無脂肪乳にある「やや味が薄く」「牛乳らしさが弱い」といった評価への対応を勘案しながら、スッキリ感を高めることができ、新たな風味・食感を有する濃縮乳を提供することができる。
本発明の濃縮乳の製造方法において、濃縮処理は特に限定されないが、膜分離法や真空蒸発法等を含み、非加熱でタンパク質等の栄養成分の変性が殆ど起こらないことから、膜分離法であることが望ましい。
本発明の濃縮乳の製造方法において、膜分離法は特に限定されないが、タンパク質等の栄養成分の損失が少ないことから、限外濾過膜(UF)法、逆浸透膜(RO)法、ナノ濾過膜(NF)法であることが望ましく、タンパク質や乳糖、ビタミンやミネラル等の栄養成分の損失が少ないことから、逆浸透膜(RO)法、ナノ濾過膜(NF)法であることがより望ましい。そして、タンパク質や乳糖等、ビタミンやミネラルの栄養成分の損失が少なく、尿素、乳酸、ミネラル(ナトリウム、カリウム、塩素等)等の一部が除去されて、濃縮乳の風味を改良できることから、ナノ濾過膜(NF)法であることがさらに望ましい。このとき、例えば、ナノ濾過膜(NF)法と逆浸透膜(RO)法とを併用することが可能であり、互いを直列に設置しても、並列に設置しても良い。また、製造したい成分調整牛乳の組成に合わせて、互いの膜面積やその比率を自由に設定しても良い。
本発明において、脱酸素処理は特に限定されないが、典型的には、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを濃縮乳へ注入(バブリング)することや、濃縮乳を微粒化や薄膜化等してから低圧状態や真空状態のタンクへ投入すること等があげられる。このとき、実際の設備の単純さや管理の簡便さ等から、不活性ガスを利用することが望ましい。この時、例えば、不活性ガスを濃縮乳へ注入(バブリング)することと、濃縮乳を微粒化や薄膜化等してから低圧状態や真空状態のタンクへ投入すること等を併用することが可能であり、互いを直列に設置しても、並列に設置しても良い。この脱酸素処理では例えば、濃縮乳の溶存酸素濃度として好ましくは5ppm以下、より好ましくは3ppm以下、さらに好ましくは2ppm以下である。
脱酸素処理は濃縮処理前または濃縮処理後のいずれに設けても良い。脱酸素処理を濃縮処理後に設けると、作業効率の観点から望ましいといえる。
本発明において、殺菌処理は特に限定されないが、低温長時間殺菌法(LTLT法)、高温短時間殺菌法(HTST法)、超高温殺菌法(UHT法)、通電加熱殺菌法(ジュール加熱殺菌法)、高流高電解殺菌法等を含み、保存性に優れた成分調整牛乳等が得られること、脱酸素処理により粘度が低くなる効果が大きくなること等の観点から、超高温殺菌法が望ましい。この超高温殺菌法では例えば、110℃以上、1秒間以上で加熱しても良く、典型的には、温度を120〜150℃や130〜140℃、保持時間を1〜5秒間や1〜3秒間で加熱することとなる。
また、本発明において、均質化処理は特に限定されないが、ホモゲナイザー、ホモミキサー、ホモディスパー等を含み、微粒化の効率が高い等の観点から、ホモゲナイザー(均質機)が望ましい。
このとき、均質化処理は必須ではないが、殺菌処理前および/または殺菌処理後に設けることで、乳脂肪や乳タンパク質の酸化や濃縮乳の粘度の低減化等を図ることもできる。均質化処理を殺菌処理前に設けると、脱酸素状態で乳脂肪を微粒化して安定化できるので、乳脂肪や乳タンパク質の酸化を効果的に抑制でき、風味の観点から望ましいといえる。一方、均質化処理を殺菌処理後に設けると、乳脂肪や乳タンパク質を加熱することで幾らか変性が起こり、粘度が上昇したとしても、再び粘度を低減でき、物性の観点から望ましいといえる。したがって、殺菌処理前に均質化処理をし、殺菌処理後にさらに均質化処理することも好ましい。
本発明において、粘度は例えば、動的粘弾性測定装置(Physica MCR301、Anton Paar 製)を用いて、0.5s−1の剪断速度における剪断粘度を意味するところ、これは、以下に説明するとおり、牛乳を飲用して飲み込む前(口腔内に含んだ直後)の段階と同様の剪断速度における代表的な動的粘弾性を表しているといえる。例えば、New Food Industry 2001 Vol.43 No.4 P.24〜30では、水を飲用して飲み込む段階で、水の最高速度が約0.7m/sとなることを、超音波を利用して測定している。このとき、一例としてヒトの咽頭部の直径は約14mmであると言われており、これらから、水を飲用して飲み込む段階での剪断速度は約50s−1となると見積もられる。牛乳と水では粘度が幾らか異なることを勘案しても、牛乳を飲用して飲み込む段階での剪断速度は数10s−1となると見積もられる。つまり、剪断速度で0.5s−1とは、牛乳を飲用して飲み込む段階での剪断速度と比べて、明らかに小さく、牛乳を口腔内に含んだ直後での剪断速度として妥当であると考えられる。
本発明にかかる濃縮乳の粘度として、0.5s−1の剪断速度における剪断粘度が好ましくは20〜100mPa・s、より好ましくは20〜55mPa・s、さらに好ましくは20〜45mPa・sである。
このとき、本発明にかかる濃縮乳の製造方法により、脱酸素処理せずに殺菌処理する従来の製造方法に比べて、0.5s−1の剪断速度における剪断粘度が5mPa・s以上で低減され、好ましくは10mPa・s以上で低減され、より好ましくは20mPa・s以上で低減され、さらに好ましくは50mPa・s以上で低減されることとなり、その結果として、本発明にかかる濃縮乳では、0.5s−1の剪断速度における剪断粘度が20〜100mPa・sとなる。
以下、本発明について実施例に基づいて更に詳細に説明を加えるが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
[試験例1]
ナノ濾過膜(NF)法により脱脂乳を1.2倍(無脂乳固形分:約10重量%)、1.3倍(無脂乳固形分:約11重量%)および1.4倍(無脂乳固形分:約12重量%)に濃縮処理し、クリームを各々1.5重量%および3.0重量%になるように添加して、所定の濃度(組成)のサンプルを調製した。なお、クリーム3.0重量%では、濃縮倍率が1.3倍および1.4倍の2水準に対してサンプルを調製した。そのサンプルを各々、均質化処理した後に、さらに各々2等分し、窒素置換による脱酸素処理を適用したものと、適用しないものとに分けた。窒素置換による脱酸素処理を適用したもの(サンプル)では、溶存酸素濃度は3ppmであった。そして、そのサンプルを加熱殺菌処理(オートクレーブ、120℃、1分間)して、濃縮乳(成分調整牛乳)を調製した。
殺菌(加熱)処理後の濃縮乳を10℃以下に保存し、その濃縮乳および普通牛乳の各々について、動的粘弾性測定装置(Physica MCR301、Anton Paar 製)を用いて、0.5s−1の剪断速度における動的粘弾性を10℃で測定した。
そして、同濃度(同組成)の濃縮乳について、殺菌処理前に均質化処理した場合の脱酸素処理の有無における剪断粘度を比較したところ、表1に示すように、脱酸素処理した濃縮乳の剪断粘度が低下することが確認された。また、脱酸素処理しない濃縮乳では、普通牛乳よりも剪断粘度が高かったにもかかわらず、脱酸素処理した濃縮乳では、普通牛乳よりも剪断粘度が低くなった。
脱酸素処理しない濃縮乳では、やや口当たりが望ましくなかったのに対し、脱酸素処理した濃縮乳では、コクと同時にサッパリ感および好ましい口当たりを有していた。また、脱酸素処理した乳脂肪含有率の低い濃縮乳(実施例1A、1Bおよび1C)では、脱酸素処理した乳脂肪含有率の比較的高い濃縮乳(実施例1Dおよび1E)と比べて、スッキリ感が増し、新たな風味・食感を有していた。
Figure 0006002363
[試験例2]
ナノ濾過膜(NF)法により脱脂乳を1.3倍(無脂乳固形分:約11重量%)および1.4倍(無脂乳固形分:約12重量%)に濃縮処理し、クリームを各々1.5重量%および3.0重量%になるように添加して、所定の濃度(組成)のサンプルを調製した。そのサンプルへ窒素置換による脱酸素処理を適用し、加熱殺菌処理(オートクレーブ、120℃、1分間)した後に、各々、均質化処理して、濃縮乳(成分調整牛乳)を調製した。窒素置換による脱酸素処理を適用したもの(サンプル)では、溶存酸素濃度は3ppmであった。
殺菌(加熱)処理後の濃縮乳を10℃以下に保存し、その濃縮乳の各々について、動的粘弾性測定装置(Physica MCR301、Anton Paar 製)を用いて、0.5s−1の剪断速度における動的粘弾性を10℃で測定した。そして、同濃度(同組成)の濃縮乳について、脱酸素処理無しにおける剪断粘度である表1の比較例と、殺菌処理後に均質化処理した場合の脱酸素処理有りにおける剪断粘度を比較したところ、表2に示すように、殺菌処理後に均質化処理することにより、脱酸素処理した濃縮乳の剪断粘度が低下することが確認された。
Figure 0006002363
[試験例3]
ナノ濾過膜(NF)法により脱脂乳を1.3倍に濃縮処理し、クリームを各々1.5重量%および3.0重量%になるように添加して、所定の濃度(組成)のサンプルを調製した。そのサンプルに窒素置換による脱酸素処理を適用した。そして、均質化処理した後に、加熱殺菌処理(オートクレーブ、120℃、1分間)した場合と、加熱殺菌処理(オートクレーブ、120℃、1分間)した後に、均質化処理した場合において、濃縮乳(成分調整牛乳)を調製した。窒素置換による脱酸素処理を適用したもの(サンプル)では、溶存酸素濃度は3ppmであった。
殺菌(加熱)処理後の濃縮乳を10℃以下に保存し、その濃縮乳の各々について、動的粘弾性測定装置(Physica MCR301、Anton Paar 製)を用いて、0.5s−1の剪断速度における動的粘弾性を10℃で測定した。そして、同濃度(同組成)の濃縮乳について、殺菌処理および均質化処理の工程の順序の違いにおける剪断粘度を比較したところ、表3に示すように、試験例1において、脱酸素処理を適用しても比較的に高い粘度を有する濃度(組成)の濃縮乳であっても、殺菌処理した後に均質化処理することにより、剪断粘度が低下することが確認された。
Figure 0006002363
[試験例4]
ナノ濾過膜(NF)法により脱脂乳を1.2倍(無脂乳固形分:約10重量%)、および1.4倍(無脂乳固形分:約12重量%)に濃縮処理し、クリームは添加せずに無脂肪乳としてのサンプルを調製した。そのサンプルを各々2等分し、窒素置換による脱酸素処理を適用したものと、適用しないものとに分けた。窒素置換による脱酸素処理を適用したもの(サンプル)では、溶存酸素濃度は3ppmであった。そして、そのサンプルを加熱殺菌処理(オートクレーブ、120℃、1分間)して、濃縮乳(成分調整牛乳)を調製した。
殺菌(加熱)処理後の濃縮乳を10℃以下に保存し、その濃縮乳および普通牛乳の各々について、動的粘弾性測定装置(Physica MCR301、Anton Paar 製)を用いて、0.5s−1の剪断速度における動的粘弾性を10℃で測定した。
そして、同濃度(同組成)の濃縮乳について、殺菌処理前に均質化処理した場合の脱酸素処理の有無における剪断粘度を比較したところ、表4に示すように、脱酸素処理した濃縮乳の剪断粘度が低下することが確認された。また、脱酸素処理しない濃縮乳では、試験例1で示したような普通牛乳や乳脂肪を含み、脱酸素処理しない濃縮乳よりも剪断粘度が高かったにもかかわらず、脱酸素処理した濃縮乳では、普通牛乳よりも剪断粘度が低くなった。
脱酸素処理しない濃縮乳では、やや口当たりが望ましくなかったのに対し、脱酸素処理した濃縮乳では、コクと同時にサッパリ感および好ましい口当たりを有していた。
Figure 0006002363
本発明によれば、無脂乳固形分濃度の高い濃縮乳であっても、0.5s−1の剪断速度における剪断粘度を20〜100mPa・sとすることにより、好ましい口当たりを有する濃縮乳を得ることができるため、消費者が牛乳(類)に求める3大要素「自然さ」、「おいしさ」、「栄養/機能」を全て満たす牛乳類を提供することができる。

Claims (9)

  1. 無脂乳固形分を10〜14重量%、および乳脂肪成分を3重量%以下で含有し、0.5s−1の剪断速度における剪断粘度が20〜100mPa・sである濃縮飲用乳。
  2. 原料乳を無脂乳固形分が10〜14重量%となるまで濃縮処理する工程、乳脂肪成分を3重量%以下に調整する工程、および殺菌処理する工程を含む、無脂乳固形分を10〜14重量%で含有する濃縮飲用乳の製造方法であって、
    原料乳を濃縮処理する前および/または後に原料乳を脱酸素処理する工程を含み、
    殺菌処理する工程の前に脱酸素処理する工程を含むことにより、該脱酸素処理する工程を含まないで得られる濃縮飲用乳に比べて低下した粘度の濃縮飲用乳を得る、前記製造方法。
  3. 均質化処理する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
  4. 濃縮処理が膜濃縮処理であることを特徴とする、請求項2または3に記載の方法。
  5. 膜濃縮処理がNF膜処理であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
  6. 原料乳を無脂乳固形分が10〜14重量%となるまで濃縮処理する工程、乳脂肪成分を3重量%以下に調整する工程、および殺菌処理する工程を含む濃縮飲用乳の製造において、原料乳を濃縮処理する前および/または後に原料乳を脱酸素処理する工程を含み、殺菌処理する工程の前に脱酸素処理する工程を含むことにより、該濃縮飲用乳の粘度を、前記脱酸素処理する工程を含まないで製造される濃縮飲用乳の粘度よりも、低下させる方法。
  7. 均質化処理する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の方法。
  8. 濃縮処理が膜濃縮処理であることを特徴とする、請求項6または7に記載の方法。
  9. 膜濃縮処理がNF膜処理であることを特徴とする、請求項に記載の方法。
JP2010526521A 2008-08-27 2009-08-19 濃縮乳およびその製造方法 Active JP6002363B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008218123 2008-08-27
JP2008218123 2008-08-27
PCT/JP2009/003940 WO2010023844A1 (ja) 2008-08-27 2009-08-19 濃縮乳およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2010023844A1 JPWO2010023844A1 (ja) 2012-01-26
JP6002363B2 true JP6002363B2 (ja) 2016-10-05

Family

ID=41721028

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010526521A Active JP6002363B2 (ja) 2008-08-27 2009-08-19 濃縮乳およびその製造方法

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP6002363B2 (ja)
CN (1) CN102123602B (ja)
HK (1) HK1155911A1 (ja)
WO (1) WO2010023844A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
TWI644619B (zh) * 2014-03-31 2018-12-21 日商森永乳業股份有限公司 奶油類之製造方法
JP6494928B2 (ja) * 2014-06-06 2019-04-03 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 乳成分を含有する飲食品
CN110897004A (zh) * 2019-12-13 2020-03-24 上海海洋大学 一种牛乳冷冻浓缩巴氏杀菌方法
CN112358538A (zh) * 2020-11-09 2021-02-12 甘肃黑驴王子生物科技有限公司 一种鲜驴奶中表皮生长因子的富集方法

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007060901A (ja) * 2005-08-29 2007-03-15 Meiji Milk Prod Co Ltd 風味・物性にすぐれた乳素材およびその製造法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2567970A1 (en) * 2004-05-28 2005-12-08 Meiji Dairies Corporation Method of producing milk drink
JP4079440B2 (ja) * 2004-11-19 2008-04-23 明治乳業株式会社 風味・物性に優れたクリーム類とその製造方法。

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007060901A (ja) * 2005-08-29 2007-03-15 Meiji Milk Prod Co Ltd 風味・物性にすぐれた乳素材およびその製造法

Also Published As

Publication number Publication date
JPWO2010023844A1 (ja) 2012-01-26
HK1155911A1 (en) 2012-06-01
WO2010023844A1 (ja) 2010-03-04
CN102123602A (zh) 2011-07-13
CN102123602B (zh) 2013-11-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU701569B2 (en) Method for producing consumer milk with good keeping qualities
DK2675280T3 (en) Cheese and making the same
KR20100027985A (ko) 열 안정성 크림 강화 농축 액상 유제품
JP7417483B2 (ja) 乳清タンパク質濃縮物、当該濃縮物を含む酸性化乳製品およびそれらの製造方法
EP0709034A2 (fr) Procédé de fabrication d'un agent de texture pour produits laitiers
JP6002363B2 (ja) 濃縮乳およびその製造方法
JP5132539B2 (ja) 濃厚乳及び濃厚乳用乳化剤
JP3973691B2 (ja) 消費者用無菌ミルクの製造法
JP6989253B2 (ja) 濃厚な発酵乳およびその製造方法
JP4831747B2 (ja) 濃縮乳製品およびその製造方法
JP6749916B2 (ja) タンパク質を高濃度で含む発酵乳の製造方法
JP6568819B2 (ja) 発酵乳の製造方法
FI128275B (en) Process for the preparation of a fermented milk product
JP6749774B2 (ja) 液状発酵乳の製造方法
JP2018074911A (ja) 濃厚な発酵乳およびその製造方法
JP5993182B2 (ja) 発酵乳およびその製造方法
JP5268817B2 (ja) 加工乳又は乳飲料の製造方法
JP2014030395A (ja) 味覚及び風味の改善された還元乳及びその製造方法
JP2018157784A (ja) 発酵乳の製造方法
JP7246877B2 (ja) 液状発酵乳の製造方法
JP6773898B2 (ja) クリームチーズの製造方法
JP5436246B2 (ja) 乳製品製造用組成物、乳製品およびその製造方法
JP2005245281A (ja) 濃縮乳およびその製造方法
JP6047638B2 (ja) クリームチーズの製造方法
JP6199989B2 (ja) 味覚、風味及び乳化安定性の良好な還元乳、及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20120703

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20131210

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140210

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20140819

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20141117

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20141126

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20141226

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160705

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160905

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6002363

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350