以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタを示す斜視図、図2は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタを示す二面図、図3は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタのシェルを取除いた状態を示す平面図、図4は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタのシェルを取除いた状態を示す斜視図、図5は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタのロック部材を示す斜視図、図6は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタのスライド部材を示す斜視図、図7は本発明の第1の実施の形態におけるカード用コネクタの第2付勢部材の変形例を示す要部拡大斜視図である。なお、図1において、(a)はカードを挿入していない状態を示す図、(b)はカードを挿入した状態を示す図であり、図2において、(a)は上面図、(b)は側面図であり、図5及び6において、(a)は上方から観た図、(b)及び(c)は下方から観た図であり、図7において、(a)は第1の変形例を示す図、(b)は第2の変形例を示す図である。
図において、1は本実施の形態におけるカード用コネクタであり、図示されない電子機器に取付けられる。そして、前記カード用コネクタ1の内部にはカード101が挿入され、前記カード用コネクタ1を介して、前記電子機器にカード101が装着される。なお、前記電子機器は、例えば、パーソナルコンピュータ、携帯電話機、PDA、デジタルカメラ、ビデオカメラ、音楽プレーヤ、ゲーム機、車両用ナビゲーション装置等であるが、いかなる種類の機器であってもよい。
前記カード101は、例えば、SIMカード、マイクロSIM(microSIM)カード、MMC(R)、SD(R)カード、miniSD(R)カード、xDピクチャーカード(R)、メモリスティック(R)、メモリスティックDuo(R)、スマートメディア(R)、Trans−Flash(R)メモリカード、マイクロSD(R)カード等のメモリカードであり、いかなる種類のカードであってもよいが、本実施の形態においては、4FF(4th Form Factor)カード、いわゆる、ナノSIM(nanoSIM)カードであるものとして説明する。
本実施の形態において、前記カード101は、全体的に略矩(く)形の板状の形状を有し、後述される前端111f寄りの部分の下面(上面111bの反対側の面)に、端子部材である電極パッドとしての図示されないコンタクトパッドが、複数、前端111fに沿って並ぶように配設されている。また、後端111r寄りの部分の下面にも、コンタクトパッドが、複数、後端111rに沿って並ぶように配設されている。すなわち、コンタクトパッドは、カード101の幅方向に延在する2本の列を成すように配列されている。なお、上面111bには、コンタクトパッドは、配設されていない。さらに、後端111rの左右両端と側縁とを結合する角部の一方、具体的には、上面111bにおける後方左角部には、斜めに切欠かれた切欠部111cが形成されている。
なお、本実施の形態において、カード用コネクタ1及びカード101の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、カード用コネクタ1、カード101又はそれらの部品が図に示される姿勢である場合に適切であるが、カード用コネクタ1、カード101又はそれらの部品の姿勢が変化した場合には、姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
ここで、前記カード用コネクタ1は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に成形されたハウジング11と、金属等の導電性材料から成る板材に打抜き、折曲げ等の加工を施すことによって一体的に成形され、ハウジング11の上側に取付けられたカバー部材としてのシェル71とを有する。該シェル71は、ハウジング11及び該ハウジング11に挿入されたカード101の少なくとも一部の上方を覆うようになっている。そして、前記カード用コネクタ1は、概略、扁(へん)平な直方体形状を備え、前記電子機器に取付けられ、後方(図1における右上方)の挿入口18から、ハウジング11にカード101が挿入される。具体的には、ハウジング11とシェル71との間に形成される空間内にカード101が挿入される。
図に示されるように、ハウジング11は、略矩形の平板状部材である底壁部11bと、ハウジング11におけるカード101の挿入方向前方の縁部、すなわち、前端縁11fに沿って延在し、底壁部11bから立設する奥壁部11aと、底壁部11bの左右の側縁に沿って前後方向に延在する側壁部11eとを有する。
ここで、底壁部11bは、接続端子としての端子51を保持する端子保持凹部11cを備える。該端子保持凹部11cは、底壁部11bを板厚方向に貫通する開口であり、ハウジング11におけるカード101の挿入方向前方及び後方の縁部、すなわち、前端部及び後端部としての前端縁11f及び後端縁11rに沿ってハウジング11の幅方向に延在する列を成すように、並んで配設されている。図に示される例では、3つずつ、2列に並ぶように配設されている。そして、各端子保持凹部11c内には、端子51が1つずつ収容されて保持される。
各端子51は、その基部51aが底壁部11bに取付けられることによって、保持されている。具体的には、前記基部51aの少なくとも一部が底壁部11bに埋込まれ、また、その他の部分が端子保持凹部11c内に露出している。より具体的には、端子51は、いわゆるオーバーモールド成形によって、基部51aの少なくとも一部が、底壁部11bを構成する絶縁性材料によって覆われることにより、底壁部11bに埋込まれて保持されている。
そして、各端子51は、基部51aに基端が連結されたカンチレバー状の接触腕部51bと、該接触腕部51bの自由端、すなわち、先端に接続された接触部51cとを備える。前記接触腕部51bは、その基端が後端縁11r側に位置し、その先端が前端縁11fに向けて斜め上方に延在し、少なくとも接触部51cの上面は、カード挿入空間内にカード101が挿入されていない状態では、底壁部11bの上面より上方に位置している。なお、接触部51cは、上方に向けて突出するように湾曲された側面形状を備え、その先端は斜め下方を向いている。図3に示されるように、接触腕部51b及び接触部51cは、上方から観て、端子保持凹部11c内に位置する。
前記端子51は、接触部51cが、カード用コネクタ1内に保持されたカード101のコンタクトパッドの各々に接触するように、配設されている。したがって、端子51の数及び配置の形態は、カード101のコンタクトパッドの数及び配置の形態に適合するように、適宜変更される。図に示される例では、端子51は、3つずつの列をそれぞれ成すように、かつ、上面から観て、矩形格子状に配列されている。
また、端子51の基部51aには、図示されない細長い帯状の連結部の一端が連結されている。前記連結部は、ハウジング11の前後方向に延在し、底壁部11bに埋込まれている。そして、前記連結部の他端からはソルダーテール部51dが前方に向けて延出し、前端縁11fから前方に突出するように露出している。そして、ソルダーテール部51dは、前記電子機器における配線基板等に形成された信号線、コンタクトパッド、端子等、すなわち、相手側端子部材に、はんだ付等によって電気的に接続される。
そして、ハウジング11の一方(図3における左方)の側壁部11eの内側には、カード案内機構収容部11h及び付勢部材収容部11gが形成されている。カード案内機構収容部11hには、カード用コネクタ1内に挿入されたカード101を案内するためのカード案内機構のスライド部材21が前後方向にスライド可能に取付けられている。前記カード案内機構収容部11hは、その上面が底壁部11bの上面よりも低くなるように形成され、前記底壁部11bとの境界が前後方向に直線的に延在する縦壁面となっている。そして、該縦壁面に沿って前記スライド部材21は、前後方向にスライドする。
さらに、前記付勢部材収容部11g内には、圧縮された状態で付勢力を発揮するコイルスプリングとしての第1付勢部材82が収容される。なお、奥壁部11aにおける付勢部材収容部11gに対応する部分の後端面は、第1付勢部材82の付勢力を受ける付勢力受部として機能するとともに、スライド部材21に第1付勢部材82を係止する係止突起11iが形成され、スライド部材21に第1付勢部材82の一端が取付けられている。
前記スライド部材21は、本体部22と、該本体部22の前端に接続されたカード101を保持するためのカード保持部23と、前記本体部22の側部後端に接続された付勢力受部24とを含んでいる。そして、前記カード保持部23は、ハウジング11の幅方向に延在する細長い帯状の前端保持部23aと、前後方に延在する側縁保持部23bとを含んでいる。また、前記付勢力受部24は、第1付勢部材82の付勢力を受ける部分であって、前記本体部22の側部から図3における左方に突出している。そして、第1付勢部材82を係止する係止突起24aが形成され、第1付勢部材82の他端が取付けられている。
また、前記本体部22は、前後方向に延在する傾斜部22a及び平坦(たん)部22bと、前記傾斜部22aの後端に形成された上下方向に延在する縦壁面である被係止部22cとを含んでいる。前記傾斜部22aの上面は、その前端部、すなわち、カード保持部23に接続された端部が最も低く、その後端部が最も高くなるように、後端縁11rに向けて斜め上方に延在する帯状の傾斜面である。また、前記平坦部22bの上面は、前記傾斜部22aの前端部とほぼ同じ高さで、かつ、高さが一定の後端縁11rに向けて延在する帯状の平坦面である。なお、前記傾斜部22a及び平坦部22bの上面の前端部が、隣接するカード保持部23の上面よりも高さが低く形成されているので、前記傾斜部22a及び平坦部22bとカード保持部23との接続部分は、段差になっている。
前記スライド部材21は、カード保持部23の前端保持部23a及び側縁保持部23bによってカード101を保持し、該カード101とともに前後方向に移動する。また、前記スライド部材21は、第1付勢部材82によって、カード101の挿入方向と反対の方向、すなわち、カード101の排出方向に付勢される。そして、カード101を挿入方向に押込むプッシュ動作によってカード101が挿入方向に移動してロック位置にまで到達すると、シェル71の係止ばね部材75の係止部75dがスライド部材21の本体部22の被係止部22cと係合してスライド部材21を係止するので、カード101は、スライド部材21とともに、カード用コネクタ1の内部に保持される。
前記カード案内機構収容部11hにおける後端縁11r寄りの位置に、カードロック部材としてのロック部材31が配設されている。本実施の形態においては、前記スライド部材21の後方にロック部材31が配設されている。該ロック部材31は、カードロック部としての本体部32と、該本体部32の前端に接続されたスライド制御部33と、前記本体部32に形成されたハウジング11の幅方向に延在する細長い溝状のガイド凹部34とを含んでいる。該ガイド凹部34は、ハウジング11の一方(図3における左方)の側壁部11e寄りの部位において、後端縁11rに沿って延在し、底壁部11bから立設するガイド凸部11jと、幅方向にスライド可能に係合する。これにより、ロック部材31は、ハウジング11の後端縁11rに沿ってハウジング11の幅方向にスムーズにスライドする。なお、前記ガイド凸部11jの高さ(上下方向の寸法)は、奥壁部11a及び側壁部11eよりも低く、例えば、奥壁部11a及び側壁部11eの半分以下である。また、前記側壁部11eとロック部材31との間には、圧縮された状態で付勢力を発揮するコイルスプリングから成る第2付勢部材83が収容され、前記ロック部材31をハウジング11の幅方向中心に向けて付勢する。
なお、図3及び4には、前記第2付勢部材83がコイルスプリングである例が示されているが、前記第2付勢部材83は、必ずしもコイルスプリングである必要はなく、いかなる形態のスプリングであってもよい。例えば、図7(a)に示されるような側面形状が略V字状のリーフスプリング(板ばね)であってもよいし、図7(b)に示されるような側面形状が略へ字状のリーフスプリングであってもよい。
そして、前記本体部32は、カード101の切欠部111cと係合するカード係合部としての係合凸部32aと、利用者が手指等でロック部材31をスライドさせるための操作を容易とするために凹凸が形成された操作部32bと、第2付勢部材83の付勢力を受ける部分である付勢力受部32cとを含んでいる。そして、前記係合凸部32aにおけるハウジング11の幅方向中心側(図3における右側)の面には、前記カード101の切欠部111cと対向する前方傾斜部32d、及び、前記カード101の前端111fの一端と側縁とを結合する角部が当接する誘込み部32eが形成されている。なお、図に示される例において、該誘込み部32eの形状は、傾斜平面であるが、必ずしもこれに限定される必要はなく、例えば、湾曲面であってもよく、前記カード101の前端111fの角部をスムーズに誘込むことが可能な形状であれば、いかなる形状であってもよい。
前記本体部32が第2付勢部材83によってハウジング11の幅方向中心に向けて付勢されるので、図1(b)に示されるように、係合凸部32aがハウジング11に挿入されたカード101の切欠部111cと係合し、カード101がハウジング11から抜出て脱落してしまうことがない。なお、利用者が操作部32bを操作して、ロック部材31をハウジング11の幅方向外側に向けてスライドさせると、係合凸部32aと切欠部111cとの係合が解除され、カード101を挿入方向と反対の方向に移動させ、ハウジング11から取出すことができる。
前記スライド制御部33は、平坦部33aと、該平坦部33aの外側端、すなわち、図3における左方の側壁部11e寄り端に接続された傾斜部33bと、前端面としての停止部33cとを含んでいる。前記傾斜部33bの上面は、その外側端部、すなわち、平坦部33aから最も離れた端部が最も低く、その内側端部、すなわち、平坦部33aに接続された端部が最も高くなるように、ハウジング11の幅方向中心に向けて斜め上方に延在する傾斜面である。また、前記平坦部33aの上面は、前記傾斜部33bの内側端部と同じ高さで、かつ、高さが一定の平坦面である。利用者がロック部材31を図1(b)に示される位置から、ハウジング11の幅方向外側に向けてスライドさせると、シェル71の係止ばね部材75の先端部75eが前記傾斜部33bの上面に沿って相対的に移動して上昇し、これにより、係止部75dが上昇して、スライド部材21の本体部22の被係止部22cとの係合が解除される。すると、第1付勢部材82の付勢力によって、スライド部材21がカード101の挿入方向と反対の方向に移動し、カード101をハウジング11から排出する。
なお、前記ロック部材31は、スライド部材21のカード101の挿入方向と反対の方向への移動を停止させるストッパとしても機能する。つまり、スライド部材21の本体部22の被係止部22cが、ロック部材31のスライド制御部33の停止部33cに当接すると、スライド部材21は停止させられ、それ以上後端縁11r寄りに移動不能となる。前記ロック部材31は、ガイド凹部34がガイド凸部11jと係合しているので、前後方向に変位することがない。
前記シェル71は、概略矩形の形状を備え、カード101の上面111bと対向する天板部72と、該天板部72の側縁から立設する複数の側板部74とを有する。該側板部74には、複数の掛止開口73が形成され、図1及び2に示されるように、シェル71をハウジング11の上側に取付けると、該ハウジング11の側壁部11e等の外側面に形成された掛止突起13に前記掛止開口73が掛止され、これにより、シェル71がハウジング11に固定される。また、前記天板部72には、該天板部72に基端が連結され、後端縁11rに向けて斜め下方に延在するカンチレバー状の板部材であるシェルばねとしての係止ばね部材75が形成されているとともに、周辺開口としての係止ばね周辺開口76が前記係止ばね部材75の形成によって副次的に形成されている。
前記係止ばね部材75は、基端部75aと、腕部75bと、段差部75cと、スライドロック部としての係止部75dと、係止解除当接部としての先端部75eとを含み、ロック部材31のスライド制御部33の動作に応じてスライド部材21をスライド可能又はスライド不能にするスライド制御中間部材として機能する。前記基端部75aは、天板部72に基端が連結され、後端縁11rに向けて延在する自由端、すなわち、先端が二股(また)に分岐した音叉(さ)状の平面形状を備え、一方の先端には段差部75cを介して腕部75bが接続され、他方の先端には係止部75dが接続されている。前記腕部75bは、前後方向に延在する帯状の部材であるが、前記基端部75aよりもその高さが低くなるように、段差部75cを介して基端部75aの一方の先端に接続されている。また、前記係止部75dは、前記基端部75aの他方の先端に約90度曲げて接続され、その先端が下方を向くように延出する。さらに、前記先端部75eは、前記腕部75bの先端とほぼ面一となるように該腕部75bの先端に約90度曲げて接続され、その先端がハウジング11の幅方向中心を向くように延出し、ロック部材31のスライド制御部33と当接する。
そして、図1(a)等に示されるように、カード101が挿入されておらず、スライド部材21及びロック部材31が初期位置にある状態では、腕部75bの下面は、スライド部材21の本体部22における平坦部22bの上面に当接し、係止部75dは、スライド部材21の本体部22における傾斜部22aとカード保持部23との接続部分であって段差状の接続部分と係合し、先端部75eは、その先端がロック部材31のスライド制御部33における傾斜部33bの外側端部近傍の上面に当接している。なお、前記係止部75dは、その下端の高さが前記本体部22の後端における傾斜部22aの上面より低くなるように設定されている。
また、図1(b)に示されるように、スライド部材21は挿入されたカード101とともにロック位置にあるがロック部材31が初期位置にある状態では、腕部75bの下面は、カード案内機構収容部11hの上面と対向し、係止部75dは、スライド部材21の本体部22における被係止部22cと係合し、先端部75eは、その先端がロック部材31のスライド制御部33における傾斜部33bの外側端部近傍の上面に当接している。この状態で、利用者がロック部材31をハウジング11の幅方向外側に向けてスライドさせると、先端部75eが前記傾斜部33bの上面に沿って相対的に移動して上昇し、これにより、係止部75dが上昇して、スライド部材21の本体部22における被係止部22cとの係合が解除される。
さらに、前記天板部72の後端縁におけるハウジング11のガイド凸部11jと対向する位置には、前記後端縁から立設するようにガイド片77が形成されている。なお、該ガイド片77の突出量、すなわち、高さ(上下方向の寸法)は、側板部74より低く、例えば、側板部74の半分以下であって、前記ガイド凸部11jと干渉しない。そして、ロック部材31のガイド凹部34は、前記ガイド片77と幅方向にスライド可能に係合する。つまり、ロック部材31のガイド凹部34は、ハウジング11のガイド凸部11j及びシェル71のガイド片77の両方と、スライド可能に係合する。
また、ハウジング11のコンタクトパッドと端子51とが接触していることを検出して、カード101がカード用コネクタ1に装填(てん)されていることを検出するカード検出スイッチが配設されている。該カード検出スイッチは、奥壁部11a及びその近傍に取付けられたカンチレバー状の第1接点部材62と、大部分が底壁部11bに埋込まれた第2接点部材63とによって形成される。
前記第1接点部材62は、奥壁部11aに取付けられた取付部62a、基端が前記取付部62aに接続され、横方向に向けて延出するカンチレバー状の本体部62b、及び、該本体部62bの自由端に接続された当接部62cを有する。前記取付部62aは奥壁部11aの側面とほぼ平行となり、本体部62bは、カード101がカード用コネクタ1に挿入されていない状態においては、奥壁部11aの側面に対して傾斜し、当接部62cは、カード101の挿入方向に関して手前側、すなわち、後方に位置する。そして、カード101が挿入されると、該カード101の前端111fが当接部62cに当接する。
一方、前記第2接点部材63は、底壁部11bに埋込まれた平板状の取付部63aと、基端が前記取付部63aに接続され、先端が底壁部11bから露出する接触部63bとを有する。
そして、カード101が挿入されていない状態においては、図3に示されるように、第1接点部材62の本体部62bが第2接点部材63の接触部63bと接触しているので、第1接点部材62と第2接点部材63とは接触しており、カード検出スイッチは導通状態、すなわち、オン(ON)になっている。
しかし、カード101が挿入され、そのコンタクトパッドと端子51とが接触する位置に到達すると、カード101の前端111fによって第1接点部材62の当接部62cが奥壁部11aの方向に向けて押されて変位し、第1接点部材62の本体部62bが第2接点部材63の接触部63bから離間する。これにより、第1接点部材62と第2接点部材63とが非接触となり、カード検出スイッチは非導通状態、すなわち、オフ(OFF)になるので、カード101がコンタクトパッドと端子51とが接触する位置に到達したことが検出される。
次に、前記構成のカード用コネクタ1の動作について説明する。まず、カード101を挿入する場合の動作について説明する。
図8は本発明の第1の実施の形態におけるカードを挿入途中の状態を説明する図、図9は本発明の第1の実施の形態におけるカードの挿入が完了した状態を説明する図である。なお、図8及び9において、(a)は上方から観た透視図、(b)は係止ばね部材の動作を示す要部の側面図、(c)は係止ばね部材の動作を示す要部の斜め上方から観た透視図であり、図9において、(d)はロック部材の動作を示す要部の上面図である。
まず、利用者が手指等によってカード101をカード用コネクタ1の後方の挿入口18からハウジング11とシェル71との間に形成されるカード挿入空間内に挿入する。なお、カード101は、前端111fがハウジング11の前端縁11fの方を向き、下面が底壁部11bと対向し、上面111bがシェル71の天板部72と対向するような姿勢で挿入される。この場合、ロック部材31は、第2付勢部材83の付勢力によって初期位置としての第1位置31−1に位置し、その本体部32の係合凸部32aがハウジング11の幅方向中心に向けて前記挿入口18内に突出しているので、カード101の前端111fの一端(図8(a)における左端)と側縁とを結合する角部が、前記係合凸部32aのハウジング11の幅方向中心側の面に形成された誘込み部32eに当接する。
そして、利用者がカード101をカード挿入空間内に挿入することによって、前記カード101の角部が誘込み部32eに摺(しゅう)接しながらハウジング11の前端縁11fの方向に移動するので、ロック部材31は、第2付勢部材83の付勢力に抗して、ハウジング11の幅方向外側に移動させられ、第2位置31−2に到達する。このとき、前記本体部32に形成されたハウジング11の幅方向に延在する細長い溝状のガイド凹部34が、ハウジング11のガイド凸部11j及びシェル71のガイド片77と係合しているので、ロック部材31は、ハウジング11の幅方向外側に向けてスムーズにスライドする。
また、利用者が誤ってカード101の前端111fをロック部材31の操作部32bに衝突乃至当接させて、前端縁11fの方向に向けた大きな外力がロック部材31に付与された場合であっても、ガイド凹部34がハウジング11のガイド凸部11j及びシェル71のガイド片77の両方と係合しているので、前記外力に十分に耐えることができ、ロック部材31、ハウジング11及び/又はシェル71が損傷を受けたり、破損したりしてしまうことがなく、ロック部材31のスライドがスムーズさを失うことがない。
このように、ロック部材31が第2位置31−2に到達すると、その本体部32の係合凸部32aがハウジング11の幅方向中心に向けて突出しなくなるので、カード101は、カード案内機構収容部11hに沿って進行することができる。また、ロック部材31のスライド制御部33がハウジング11の幅方向外側に向けて移動するので、シェル71の係止ばね部材75の先端部75eが、初期位置としての第1位置75e−1から、前記スライド制御部33の傾斜部33bの上面に沿って相対的に移動して上昇し、第2位置75e−2に到達する。その結果、係止ばね部材75全体も初期位置としての第1位置75−1から上昇して第2位置75−2に到達するので、腕部75bの下面がスライド部材21の本体部22における平坦部22bの上面から離間し、かつ、係止部75dの下端が前記スライド部材21の本体部22における傾斜部22aの上面から離間し、スライド部材21は、係止ばね部材75と干渉せず、スムーズにスライド可能となる。
続いて、利用者がカード101をプッシュして更に押込むと、図8(a)に示されるように、スライド部材21の前端保持部23a及び側縁保持部23bがカード101の前端111f及び側縁を保持するので、前記カード101は、スライド部材21によって保持され、該スライド部材21とともに、奥壁部11aに向けて移動する。この際、利用者の手指等が発揮する押圧力は、カード101の前端から前端保持部23aを介してスライド部材21に伝達される。そして、該スライド部材21がコイルスプリングから成る第1付勢部材82を圧縮するので、スライド部材21及びカード101は、第1付勢部材82の反発力を受けるが、該反発力が利用者の手指等が発揮する押圧力よりも小さいので、前記反発力に抗して移動する。この場合、スライド部材21はカード案内機構収容部11hに沿ってスライドし、カード101はスライド部材21とともに進行する。
そして、スライド部材21及びカード101は、図9(a)に示されるように、最も前進した位置であるロック位置に到達して停止する。カード101は、ロック位置において、カード用コネクタ1が実装された電子機器の演算手段等との間でデータの送受信を行うことができる状態となる。なお、カード101がロック位置にある場合、カード用コネクタ1の端子51は、その接触部51cが、カード101のコンタクトパッドの各々に接触して導通している。
また、カード101の前端111fによって第1接点部材62の当接部62cが奥壁部11aの方向に向けて押されて変位し、第1接点部材62の本体部62bが第2接点部材63の接触部63bから離間する。これにより、第1接点部材62と第2接点部材63とが非接触となり、カード検出スイッチはオフになるので、カード101がコンタクトパッドと端子51とが接触する位置に到達したことが検出される。
さらに、カード101がロック位置に到達すると、その切欠部111cがハウジング11の後端縁11rに到達してロック部材31の本体部32の係合凸部32aと対向する。そのため、ロック部材31は、第2付勢部材83の付勢力によって、第2位置31−2からハウジング11の幅方向中心に向けて移動させられ、第1位置31−1に復帰する。そして、本体部32の係合凸部32aがカード101の切欠部111cと係合し、本体部32の前方傾斜部32dが前記切欠部111cと対向する。これにより、カード101は、ロック位置においてロックされ、挿入方向と反対の方向へ移動不能となるので、ハウジング11から離脱することがない。
このように、カード101をカード挿入空間内に挿入する際には、ロック部材31が自動的に第1位置31−1から第2位置31−2に移動し、カード101を押込んでロック位置にまで到達させると、ロック部材31が自動的に第1位置31−1に復帰してカード101をロックするので、利用者がロック部材31を操作する必要がなく、操作性が良好である。
また、ロック部材31が第1位置31−1に復帰するときには、ロック部材31のスライド制御部33がハウジング11の幅方向中心に向けて移動するので、シェル71の係止ばね部材75の先端部75eが、第2位置75e−2から、前記スライド制御部33の傾斜部33bの上面に沿って相対的に移動して下降し、第1位置75e−1に復帰する。その結果、係止ばね部材75全体も第2位置75−2から下降して第1位置75−1に復帰するので、係止部75dも第2位置75d−2から下降して第1位置75d−1に復帰する。このとき、スライド部材21もカード101とともにロック位置にあるので、前記スライド部材21の本体部22における傾斜部22aの後端に形成された被係止部22cは、前記係止ばね部材75の係止部75dに対応する位置にある。そのため、前記被係止部22cは、第2位置75d−2から下降して第1位置75d−1に復帰した係止部75dと係合して係止される。
これにより、スライド部材21は、ロック位置において係止ばね部材75によって係止されることとなり、スライド部材21の前端保持部23aがカード101を介して受ける挿入方向の押圧力が消滅した場合でも、挿入方向と反対の方向に移動してしまうことがない。したがって、カード101は、スライド部材21によって挿入方向と反対の方向へ移動させられることがなく、ハウジング11から離脱することがない。
さらに、ロック部材31は、カード101の誤挿入を防止する機能を発揮する。カード101が正規の姿勢、すなわち、前端111fがハウジング11の前端縁11fの方を向き、下面が底壁部11bと対向し、上面111bがシェル71の天板部72と対向するような姿勢で挿入された場合には、カード101がロック位置に到達すると、斜めに切欠かれた切欠部111cがロック部材31の本体部32の係合凸部32aと対向するので、ロック部材31が第1位置31−1に復帰可能となる。
しかし、カード101が正規の姿勢以外の姿勢、すなわち、非正規の姿勢でカード用コネクタ1に挿入された場合には、切欠部111c以外のカード101の角部が係合凸部32aと対向するので、ロック部材31が第1位置31−1に復帰不能となる。そのため、スライド制御部33がハウジング11の幅方向中心に向けて移動せず、シェル71の係止ばね部材75の先端部75eが第1位置75e−1に復帰しないので、係止部75dも第1位置75d−1に復帰せず、スライド部材21の被係止部22cは、前記係止部75dによって係止されないこととなる。その結果、スライド部材21は、スライド可能な状態を維持し、その前端保持部23aがカード101を介して受ける挿入方向の押圧力が消滅した場合には、挿入方向と反対の方向に移動してカード101を排出してしまう。このように、非正規の姿勢で挿入されたカード101がロック位置に保持されずに排出されるので、誤挿入は防止される。
次に、カード101をカード用コネクタ1から排出させる動作について説明する。
図10は本発明の第1の実施の形態におけるカードの排出開始の状態を説明する図、図11は本発明の第1の実施の形態におけるカードの排出が完了した状態を説明する図である。なお、図10及び11において、(a)は上方から観た透視図、(b)は係止ばね部材の動作を示す要部の側面図、(c)は係止ばね部材の動作を示す要部の斜め上方から観た透視図である。
まず、利用者が手指等によってロック部材31の操作部32bを操作し、第2付勢部材83の付勢力に抗して、図10(a)に示されるように、ロック部材31をハウジング11の幅方向外側に移動させ、第2位置31−2に到達させる。このとき、前記本体部32に形成されたハウジング11の幅方向に延在する細長い溝状のガイド凹部34が、ハウジング11のガイド凸部11j及びシェル71のガイド片77と係合しているので、ロック部材31は、ハウジング11の幅方向外側に向けてスムーズにスライドする。
そして、ロック部材31が第2位置31−2に到達すると、その本体部32の前方傾斜部32dがカード101の切欠部111cから離間し、前記本体部32の係合凸部32aとカード101の切欠部111cとの係合が解除される。これにより、カード101は、ロック位置においてロック解除され、挿入方向と反対の方向へ移動可能となる。
また、ロック部材31が第2位置31−2に移動すると、前記ロック部材31のスライド制御部33がハウジング11の幅方向外側に向けて移動するので、シェル71の係止ばね部材75の先端部75eが、第1位置75e−1から、前記スライド制御部33の傾斜部33bの上面に沿って相対的に移動して上昇し、第2位置75e−2に到達する。その結果、係止ばね部材75全体も第1位置75−1から上昇して第2位置75−2に到達するので、係止部75dも第1位置75d−1から上昇して第2位置75d−2に到達し、前記係止部75dとスライド部材21の本体部22における被係止部22cとの係合が解除される。これにより、スライド部材21は、係止ばね部材75による係止が解除されたので、挿入方向と反対の方向に移動可能となり、第1付勢部材82の付勢力によって、カード101とともに、奥壁部11aから離脱する向きに移動させられ、挿入方向と反対の方向に移動させられる。そして、カード101が挿入口18から排出される。
図11(a)に示されるように、カード101が排出されると、ロック部材31は、第2付勢部材83の付勢力によって、第2位置31−2からハウジング11の幅方向中心に向けて移動させられ、第1位置31−1に復帰する。また、ロック部材31が第1位置31−1に復帰するときには、ロック部材31のスライド制御部33がハウジング11の幅方向中心に向けて移動するので、シェル71の係止ばね部材75の先端部75eが、第2位置75e−2から、前記スライド制御部33の傾斜部33bの上面に沿って相対的に移動して下降し、第1位置75e−1に復帰する。その結果、係止ばね部材75全体も第2位置75−2から下降して第1位置75−1に復帰する。
なお、スライド部材21は、カード101とともに、挿入方向と反対の方向に移動するが、その本体部22の被係止部22cがロック部材31のスライド制御部33の前端面である停止部33cと当接すると、停止する。
また、カード101の前端111fによって当接部62cが奥壁部11aの方向に向けて押されて変位していた第1接点部材62は、それ自体の弾性によって元の姿勢に復帰し、その本体部62bが第2接点部材63の接触部63bに接触する。これにより、カード検出スイッチはオンになるので、カード101がコンタクトパッドと端子51とが接触する位置にないことが検出される。
このように、本実施の形態において、カード用コネクタ1は、コンタクトパッドを備えるカード101を収容するハウジング11と、ハウジング11に取付けられ、カード101のコンタクトパッドと接触する端子51とを有する。そして、カード用コネクタ1は、ハウジング11の後端縁11rから前端縁11fに向けて挿入されたカード101を保持してハウジング11の前後方向にスライドするスライド部材21と、スライド部材21を後端縁11rに向けて付勢する第1付勢部材82と、ハウジング11の後端縁11rに配設され、ハウジング11の幅方向にスライドし、ハウジング11に収容されたカード101をロックするロック部材31と、ロック部材31をハウジング11の幅方向中心に向けて付勢する第2付勢部材83とを更に有し、ロック部材31は、スライド部材21のスライドを制御するスライド制御部33を含み、スライド制御部33は、ロック部材31がカード101のハウジング11の前後方向へのスライドを阻止する第1位置にあるとき、スライド部材21をスライド不能にし、ロック部材31がカード101のハウジング11の前後方向へのスライドを許容する第2位置にあるとき、スライド部材21をスライド可能にする。
これにより、スライド部材21は、前後方向にスムーズにスライドし、カード101を常に確実に前後方向に案内することができる。また、ロック部材31がスムーズに作動して確実にロック及びロック解除動作を行うことができるので、カード101の挿入及び排出を確実かつ容易に行うことができる。したがって、カード用コネクタ1の信頼性が向上する。
また、ロック部材31は係合凸部32aを含み、係合凸部32aは、ロック部材31が第1位置にあるとき、ハウジング11に収容されたカード101の後端111rの一端に形成された切欠部111cと係合する。したがって、カード101を確実に保持することができ、カード101の脱落を防止することができる。また、カード101が非正規の姿勢でカード用コネクタ1に挿入された場合には、係合凸部32aが切欠部111cと係合しないので、カード101の誤挿入を防止することができる。
さらに、カード用コネクタ1は、ハウジング11に取付けられ、少なくともハウジング11及びハウジング11に挿入されたカード101の一部を覆う天板部72を含むシェル71を更に有し、ハウジング11は、後端縁11rに沿って延在するガイド凸部11jを含み、シェル71は、天板部72のガイド凸部11jと対向する位置に形成されたガイド片77を含み、ロック部材31は、ハウジング11の幅方向に延在する溝状のガイド凹部34を含み、ガイド凹部34は、ガイド凸部11j及びガイド片77とスライド可能に係合する。したがって、ロック部材31は、ハウジング11の幅方向にスムーズにスライドすることができる。また、利用者が誤ってカード101をロック部材31に衝突乃至当接させて、前端縁11fの方向に向けた大きな外力がロック部材31に付与された場合であっても、ガイド凹部34がハウジング11のガイド凸部11j及びシェル71のガイド片77の両方と係合しているので、外力に十分に耐えることができ、ロック部材31、ハウジング11及び/又はシェル71が損傷を受けたり、破損したりしてしまうことがなく、ロック部材31のスライドがスムーズさを失うことがない。
さらに、天板部72は、スライド制御部33の位置に応じてスライド部材21をスライド可能又はスライド不能にする係止ばね部材75を含み、係止ばね部材75は、スライド制御部33と当接する先端部75e、及び、スライド部材21の被係止部22cと係合可能な係止部75dを含む。したがって、ロック部材31をハウジング11の幅方向にスライドさせることによって、係止ばね部材75を介して、間接的にスライド部材21をスライド可能又はスライド不能に制御することができる。
さらに、スライド制御部33は、ハウジング11の幅方向中心に向けて斜め上方に延在する傾斜部33bを含み、ロック部材31が第1位置から第2位置にスライドすると、先端部75eは傾斜部33bに沿って移動して上昇し、係止部75dは被係止部22cとの係合を解除する。したがって、ロック部材31を第1位置から第2位置にスライドさせることによって、スライド部材21をスライド可能にして、容易にカード101を排出させることができる。
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
図12は本発明の第2の実施の形態におけるカード用コネクタを示す斜視図、図13は本発明の第2の実施の形態におけるカード用コネクタを示す二面図、図14は本発明の第2の実施の形態におけるカード用コネクタのシェルを取除いた状態を示す平面図、図15は本発明の第2の実施の形態におけるカード用コネクタのシェルを取除いた状態を示す斜視図、図16は本発明の第2の実施の形態におけるカード用コネクタのロック部材を示す斜視図、図17は本発明の第2の実施の形態におけるカード用コネクタのスライド部材を示す斜視図である。なお、図12において、(a)はカードを挿入していない状態を示す図、(b)はカードを挿入した状態を示す図であり、図13において、(a)は上面図、(b)は側面図であり、図16及び17において、(a)は上方から観た図、(b)及び(c)は下方から観た図である。
本実施の形態においては、シェル71の天板部72に係止ばね部材75が形成されていない。なお、図に示される例では、上からスライド部材21を下方向に付勢するためのスライド部材押えばね部材78が形成されているが、該スライド部材押えばね部材78は、適宜省略することができる。
また、本実施の形態におけるスライド部材21の本体部22は、傾斜部22a及び平坦部22bを含んでおらず、上面が平坦である。しかし、前記本体部22の下面には、図17に示されるように、スライド制御凹部25が形成されている。該スライド制御凹部25は、下方から観て略L字状の全体形状を備える溝状の凹部であり、前後方向に延在する幅広の溝状の主凹部25aと、該主凹部25aの前端からハウジング11の幅方向中心に向けて延出する幅狭の溝状の係合凹部25bと、前記主凹部25a及び係合凹部25bの前端壁面である停止部25cとを含んでいる。そして、略L字状のスライド制御凹部25によって二方が画定された部分は、本体部22の他の部分よりも上下方向の寸法、すなわち、厚さが薄い島部22dとなっている。該島部22dの下面は、本体部22の他の部分及びカード保持部23の下面よりも高くなるように形成されている。また、前記島部22dの後端に形成された上下方向に延在する縦壁面は、被係止部22cとして機能する。なお、カード保持部23及び付勢力受部24については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
さらに、本実施の形態におけるロック部材31は、図16に示されるように、前記第1の実施の形態のスライド制御部33に代えて、形状の異なるスライド制御部35を備える。該スライド制御部35は、後端が本体部32の前端に接続され、前方に向けて延出する腕部35aと、該腕部35aの前端において上方に突出する係合凸部35bと、前記腕部35a及び係合凸部35bの前端面であるスライドロック部としての停止部35cとを含んでいる。
そして、図12(a)等に示されるように、カード101が挿入されておらず、スライド部材21及びロック部材31が初期位置にある状態では、前記腕部35aは、スライド部材21の島部22dの下方に位置する。そのため、前記腕部35aは、上下方向の寸法、すなわち、厚さが本体部32の厚さよりも薄くなるように形成され、その上面が本体部32の上面よりも低くなるように形成されている。さらに、スライド部材21及びロック部材31が初期位置にある状態では、前記係合凸部35bは、スライド部材21の係合凹部25b内に収容される。
また、図12(b)に示されるように、スライド部材21は挿入されたカード101とともにロック位置にあるがロック部材31が初期位置にある状態では、前記ロック部材31の前端に位置する停止部35cがスライド部材21の後端に位置する被係止部22cと当接して係合している。この状態で、利用者がロック部材31をハウジング11の幅方向外側に向けてスライドさせると、前記停止部35cが被係止部22cに沿ってハウジング11の幅方向にスライドして被係止部22cとの係合が解除され、係合凸部35bが主凹部25a内に進入し、スライド部材21が前後方向にスライド可能となる。
なお、本体部32及びガイド凹部34については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。ところで、図に示される例では、本体部32の付勢力受部32cに第2付勢部材83を係止する係止突起32fが形成されているが、該係止突起32fは適宜省略することができる。
このように、前記第1の実施の形態においては、ロック部材31のスライド制御部33が、スライド制御中間部材として機能する係止ばね部材75を介して、すなわち、間接的にスライド部材21をスライド可能又はスライド不能にするのに対し、本実施の形態においては、ロック部材31のスライド制御部35が、他の部材を介することなく、すなわち、直接的にスライド部材21をスライド可能又はスライド不能にする。
なお、カード用コネクタ1のその他の点の構造については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
次に、前記構成のカード用コネクタ1の動作について説明する。まず、カード101を挿入する場合の動作について説明する。
図18は本発明の第2の実施の形態におけるカードを挿入途中の状態を説明する図、図19は本発明の第2の実施の形態におけるカードの挿入が完了した状態を説明する図である。なお、図18及び19において、(a)及び(b)はシェルを取外した状態の上面図及び斜視図である。
まず、利用者が手指等によってカード101をカード用コネクタ1の後方の挿入口18からハウジング11とシェル71との間に形成されるカード挿入空間内に挿入する。また、カード101は、前端111fがハウジング11の前端縁11fの方を向き、下面が底壁部11bと対向し、上面111bがシェル71の天板部72と対向するような姿勢で挿入される。なお、説明の都合上、図18(a)及び19(a)ではシェル71を取外した状態が示され、図18(b)及び19(b)では、さらに、カード101も取外した状態が示されている。この場合、ロック部材31は、第2付勢部材83の付勢力によって初期位置としての第1位置31−1に位置し、その本体部32の係合凸部32aがハウジング11の幅方向中心に向けて前記挿入口18内に突出しているので、カード101の前端111fの一端(図18(a)における左端)と側縁とを結合する角部が、前記係合凸部32aのハウジング11の幅方向中心側の面に形成された誘込み部32eに当接する。
そして、利用者がカード101をカード挿入空間内に挿入することによって、前記カード101の角部が誘込み部32eに摺接しながらハウジング11の前端縁11fの方向に移動するので、ロック部材31は、第2付勢部材83の付勢力に抗して、ハウジング11の幅方向外側に移動させられ、第2位置31−2に到達する。
このように、ロック部材31が第2位置31−2に到達すると、その本体部32の係合凸部32aがハウジング11の幅方向中心に向けて突出しなくなるので、カード101は、カード案内機構収容部11hに沿って進行することができる。また、ロック部材31のスライド制御部35の前端における係合凸部35bも、初期位置としての第1位置35b−1、すなわち、スライド部材21のスライド制御凹部25における係合凹部25b内の位置から、ハウジング11の幅方向外側に向けて移動し、第2位置35b−2、すなわち、前記スライド制御凹部25における係合凹部25bの外側の主凹部25a内の位置に到達する。その結果、前記係合凸部35bは、係合凹部25bとの係合が解除され、主凹部25a内を相対的に前後方向に移動可能となるので、スライド部材21は、カード案内機構収容部11hに沿って前後方向にスライド可能となる。
続いて、利用者がカード101をプッシュして更に押込むと、図18(a)に示されるように、スライド部材21の前端保持部23a及び側縁保持部23bがカード101の前端111f及び側縁を保持するので、前記カード101は、スライド部材21によって保持され、該スライド部材21とともに、奥壁部11aに向けて移動する。
そして、スライド部材21及びカード101は、図19(a)に示されるように、最も前進した位置であるロック位置に到達して停止する。カード101がロック位置に到達すると、その切欠部111cがハウジング11の後端縁11rに到達してロック部材31の本体部32の係合凸部32aと対向する。そのため、ロック部材31は、第2付勢部材83の付勢力によって、第2位置31−2からハウジング11の幅方向中心に向けて移動させられ、第1位置31−1に復帰する。そして、本体部32の係合凸部32aがカード101の切欠部111cと係合し、本体部32の前方傾斜部32dが前記切欠部111cと対向する。これにより、カード101は、ロック位置においてロックされ、挿入方向と反対の方向へ移動不能となるので、ハウジング11から離脱することがない。
なお、カード101とともにスライド部材21がロック位置に到達すると、ロック部材31のスライド制御部35の前端における係合凸部35bは、スライド部材21の主凹部25aから後方に抜出る。これにより、係合凸部35bの前端面である停止部35cは、前後方向に関し、スライド部材21の後端に位置する被係止部22cと同一位置又はより後方の位置にあることとなる。
そして、ロック部材31が第1位置31−1に復帰するときには、ロック部材31のスライド制御部35がハウジング11の幅方向中心に向けて移動するので、係合凸部35bも、第2位置35b−2から第1位置35b−1に復帰する。このとき、係合凸部35bは、スライド部材21の主凹部25aから後方に抜出ているので、ハウジング11の幅方向中心に向けて移動可能である。そして、係合凸部35bが第1位置35b−1に復帰すると、係合凸部35bの前端面である停止部35cは、スライド部材21の被係止部22cに対向する位置となる。そのため、前記被係止部22cは、停止部35cと係合して係止される。これにより、スライド部材21は、ロック位置においてスライド制御部35によって係止されることとなり、スライド部材21の前端保持部23aがカード101を介して受ける挿入方向の押圧力が消滅した場合でも、挿入方向と反対の方向に移動してしまうことがない。したがって、カード101は、スライド部材21によって挿入方向と反対の方向へ移動させられることがなく、ハウジング11から離脱することがない。
なお、カード101を挿入する場合における他の点の動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
次に、カード101をカード用コネクタ1から排出させる動作について説明する。
図20は本発明の第2の実施の形態におけるカードの排出開始の状態を説明する図、図21は本発明の第2の実施の形態におけるカードの排出が完了した状態を説明する図である。なお、図20及び21において、(a)及び(b)はシェルを取外した状態の上面図及び斜視図である。
まず、利用者が手指等によってロック部材31の操作部32bを操作し、第2付勢部材83の付勢力に抗して、図20に示されるように、ロック部材31をハウジング11の幅方向外側に移動させ、第2位置31−2に到達させる。なお、説明の都合上、図20(a)、21(a)及び21(b)ではシェル71を取外した状態が示され、図20(b)では、さらに、カード101も取外した状態が示されている。
そして、ロック部材31が第2位置31−2に到達すると、その本体部32の前方傾斜部32dがカード101の切欠部111cから離間し、前記本体部32の係合凸部32aとカード101の切欠部111cとの係合が解除される。これにより、カード101は、ロック位置においてロック解除され、挿入方向と反対の方向へ移動可能となる。
また、ロック部材31が第2位置31−2に移動すると、前記ロック部材31のスライド制御部35の前端における係合凸部35bも第1位置35b−1から第2位置35b−2に移動する。そのため、係合凸部35bの前端面である停止部35cが、スライド部材21の被係止部22cに対向する位置から、主凹部25aに対向する位置に移動するので、前記停止部35cと被係止部22cとの係合が解除される。これにより、前記係合凸部35bは、主凹部25a内を相対的に前後方向に移動可能となり、スライド部材21は、挿入方向と反対の方向に移動可能となる。その結果、スライド部材21は、第1付勢部材82の付勢力によって、カード101とともに、奥壁部11aから離脱する向きに移動させられ、挿入方向と反対の方向に移動させられる。そして、カード101が挿入口18から排出される。
なお、スライド部材21は、カード101とともに、挿入方向と反対の方向に移動するが、その主凹部25aの前端壁面である停止部25cが主凹部25a内を相対的に移動する前記係合凸部35bの前端面である停止部35cと当接すると、停止する。
図21に示されるように、カード101が排出されると、ロック部材31は、第2付勢部材83の付勢力によって、第2位置31−2からハウジング11の幅方向中心に向けて移動させられ、第1位置31−1に復帰する。また、ロック部材31が第1位置31−1に復帰するときには、ロック部材31のスライド制御部35がハウジング11の幅方向中心に向けて移動するので、係合凸部35bも、第2位置35b−2から第1位置35b−1に復帰する。このとき、停止部35cが主凹部25aの前端壁面である停止部25cと当接しているので、係合凸部35bは、主凹部25aの前端からハウジング11の幅方向中心に向けて延出する係合凹部25b内に進入して収容される。
なお、カード101を排出させる場合における他の点の動作については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
このように、本実施の形態においては、スライド部材21は、スライド制御部35と係合可能なスライド制御凹部25を含み、スライド制御部35は、スライド制御凹部25の係合凹部25bと係合可能な係合凸部35b、及び、スライド部材21の被係止部22cと係合可能な停止部35cを含む。このように、スライド制御部35は、スライド部材21と係合して直接的にスライド部材21をスライド可能又はスライド不能に制御するので、より確実にスライド部材21を制御することができる。また、シェル71の天板部72に係止ばね部材75を形成する必要がなく、構造を簡素化し、コストを低減することができる。
また、スライド制御凹部25はハウジング11の前後方向に延在する主凹部25aを含み、係合凹部25bは主凹部25aの前端からハウジング11の幅方向中心に向けて延出し、スライド制御部35は前方に向けて延出する腕部35aを含み、係合凸部35bは腕部35aの前端において突出し、停止部35cは係合凸部35bの前端面であり、被係止部22cはスライド部材21の後端面である。したがって、より確実にスライド部材21をスライド可能又はスライド不能に制御することができる。
なお、その他の点の効果については、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
また、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。