JP5985099B1 - 回転機械系の異常検知方法、その異常検知方法を用いた回転機械系の異常監視方法、及びその異常監視方法を用いた回転機械系の異常監視装置 - Google Patents
回転機械系の異常検知方法、その異常検知方法を用いた回転機械系の異常監視方法、及びその異常監視方法を用いた回転機械系の異常監視装置 Download PDFInfo
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Abstract
Description
更に、誘導電動機の稼働時電流信号のスペクトルパターンから異常種類の識別が可能となっても、回転機械系に発生している異常の程度に応じた対応に関する情報(例えば、異常が発生した機器に対して、直ちに入替え(交換)又は補修が必要か、当面は経過観察だけで十分か等)は得られず、実用性に欠けるという問題もある。
前記三相誘導電動機の稼働時電流信号を計測し、該稼働時電流信号の高速フーリエ変換を行う第1工程と、
前記高速フーリエ変換から得られた電流スペクトルの中から、前記三相誘導電動機の電源周波数の電流スペクトルピークを中心とし、前記回転機械系の異常に関連する特徴周波数分だけ低周波数側及び高周波数側にそれぞれ離れた周波数位置に存在する前記電源周波数の電流スペクトルピークの側帯波(図5参照)を抽出し、前記側帯波のどちらか一方又は両方の電流スペクトルピーク値を求める第2工程と、
前記第2工程で求めた前記側帯波の電流スペクトルピーク値及び前記電源周波数の電流スペクトルピークのピーク値を用いて前記回転機械系の劣化パラメータを算出する第3工程と、
前記劣化パラメータの値を記録すると共に、該劣化パラメータの値と予め設定した劣化判定基準値とを比較し、該劣化パラメータの値が前記劣化判定基準値に達したことにより異常を検知する第4工程とを有する簡易診断を行い、
しかも、前記特徴周波数を、前記三相誘導電動機の回転子バーの本数と、該三相誘導電動機のすべり周波数との積として定義される回転子バーすべり周波数とする。
前記目的に沿う第2の発明に係る回転機械系の異常検知方法は、三相誘導電動機を駆動源とする回転機械系に発生する異常を、該三相誘導電動機の稼働時電流信号の解析結果から検知する回転機械系の異常検知方法であって、
前記三相誘導電動機の稼働時電流信号を計測し、該稼働時電流信号の高速フーリエ変換を行う第1工程と、
前記高速フーリエ変換から得られた電流スペクトルの中から、前記三相誘導電動機の電源周波数の電流スペクトルピークを中心とし、前記回転機械系の異常に関連する特徴周波数分だけ低周波数側及び高周波数側にそれぞれ離れた周波数位置に存在する前記電源周波数の電流スペクトルピークの側帯波を抽出し、前記側帯波のどちらか一方又は両方の電流スペクトルピーク値を求める第2工程と、
前記第2工程で求めた前記側帯波の電流スペクトルピーク値及び前記電源周波数の電流スペクトルピークのピーク値を用いて前記回転機械系の劣化パラメータを算出する第3工程と、
前記劣化パラメータの値を記録すると共に、該劣化パラメータの値と予め設定した劣化判定基準値とを比較し、該劣化パラメータの値が前記劣化判定基準値に達したことにより異常を検知する第4工程とを有する簡易診断を行い、
しかも、前記特徴周波数を、前記三相誘導電動機により駆動される流体回転機械に設けられたブレード数と、該三相誘導電動機の実回転周波数との積として定義されるブレード通過周波数とする。
前記目的に沿う第3の発明に係る回転機械系の異常検知方法は、三相誘導電動機を駆動源とする回転機械系に発生する異常を、該三相誘導電動機の稼働時電流信号の解析結果から検知する回転機械系の異常検知方法であって、
前記三相誘導電動機の稼働時電流信号を計測し、該稼働時電流信号の高速フーリエ変換を行う第1工程と、
前記高速フーリエ変換から得られた電流スペクトルの中から、前記三相誘導電動機の電源周波数の電流スペクトルピークを中心とし、前記回転機械系の異常に関連する特徴周波数分だけ低周波数側及び高周波数側にそれぞれ離れた周波数位置に存在する前記電源周波数の電流スペクトルピークの側帯波を抽出し、前記側帯波のどちらか一方又は両方の電流スペクトルピーク値を求める第2工程と、
前記第2工程で求めた前記側帯波の電流スペクトルピーク値及び前記電源周波数の電流スペクトルピークのピーク値を用いて前記回転機械系の劣化パラメータを算出する第3工程と、
前記劣化パラメータの値を記録すると共に、該劣化パラメータの値と予め設定した劣化判定基準値とを比較し、該劣化パラメータの値が前記劣化判定基準値に達したことにより異常を検知する第4工程とを有する簡易診断を行い、
しかも、前記特徴周波数を、前記三相誘導電動機の回転子の回転軸に取付けられた歯車の歯数と、該三相誘導電動機の実回転周波数との積として定義される歯車噛合い周波数とする。
前記目的に沿う第4の発明に係る回転機械系の異常検知方法は、三相誘導電動機を駆動源とする回転機械系に発生する異常を、該三相誘導電動機の稼働時電流信号の解析結果から検知する回転機械系の異常検知方法であって、
前記三相誘導電動機の稼働時電流信号を計測し、該稼働時電流信号の高速フーリエ変換を行う第1工程と、
前記高速フーリエ変換から得られた電流スペクトルの中から、前記三相誘導電動機の電源周波数の電流スペクトルピークを中心とし、前記回転機械系の異常に関連する特徴周波数分だけ低周波数側及び高周波数側にそれぞれ離れた周波数位置に存在する前記電源周波数の電流スペクトルピークの側帯波を抽出し、前記側帯波のどちらか一方又は両方の電流スペクトルピーク値を求める第2工程と、
前記第2工程で求めた前記側帯波の電流スペクトルピーク値及び前記電源周波数の電流スペクトルピークのピーク値を用いて前記回転機械系の劣化パラメータを算出する第3工程と、
前記劣化パラメータの値を記録すると共に、該劣化パラメータの値と予め設定した劣化判定基準値とを比較し、該劣化パラメータの値が前記劣化判定基準値に達したことにより異常を検知する第4工程とを有する簡易診断を行い、
しかも、前記特徴周波数を、前記三相誘導電動機のポール通過周波数と、該三相誘導電動機の回転子の回転軸に取付けられた歯車の歯数との積として定義されるギアポール周波数とする。
前記目的に沿う第5の発明に係る回転機械系の異常検知方法は、三相誘導電動機を駆動源とする回転機械系に発生する異常を、該三相誘導電動機の稼働時電流信号の解析結果から検知する回転機械系の異常検知方法であって、
前記三相誘導電動機の稼働時電流信号を計測し、該稼働時電流信号の高速フーリエ変換を行う第1工程と、
前記高速フーリエ変換から得られた電流スペクトルの中から、前記三相誘導電動機の電源周波数の電流スペクトルピークを中心とし、前記回転機械系の異常に関連する特徴周波数分だけ低周波数側及び高周波数側にそれぞれ離れた周波数位置に存在する前記電源周波数の電流スペクトルピークの側帯波を抽出し、前記側帯波のどちらか一方又は両方の電流スペクトルピーク値を求める第2工程と、
前記第2工程で求めた前記側帯波の電流スペクトルピーク値及び前記電源周波数の電流スペクトルピークのピーク値を用いて前記回転機械系の劣化パラメータを算出する第3工程と、
前記劣化パラメータの値を記録すると共に、該劣化パラメータの値と予め設定した劣化判定基準値とを比較し、該劣化パラメータの値が前記劣化判定基準値に達したことにより異常を検知する第4工程とを有する簡易診断を行い、
しかも、前記特徴周波数を、前記三相誘導電動機の回転子の回転軸に取付けられたプーリーの1回転に伴うベルト移動量のベルト全長に対する移動比率と、該三相誘導電動機の実回転周波数の積として定義されるベルト回転周波数とする。
複数の前記簡易診断を繰り返す劣化傾向管理工程と、
複数の前記簡易診断の少なくとも一つで異常を検知した際に、前記劣化判定基準値に達した前記劣化パラメータに基づいて異常の種類と前記回転機械系における異常箇所を特定する精密異常診断工程とを有する。
前記三相誘導電動機の稼働時電流信号から前記劣化パラメータを求める劣化パラメータ算出部と、
前記劣化パラメータの値を記録すると共に、該劣化パラメータの値と前記劣化判定基準値を比較する簡易異常診断部と、
前記簡易異常診断部で前記回転機械系に異常が検知された際に、前記劣化判定基準値に達した前記劣化パラメータに基づいて異常の種類と前記回転機械系における異常箇所を特定する精密異常診断部とを有している。
そして、回転機械系の異常の状態が劣化パラメータの値として示されるので、回転機械系(機器)に発生している異常の程度に応じた対応(例えば、異常が発生した機器に対して、直ちに入替え(交換)又は補修が必要か、当面は経過観察だけで十分か等)を執ることが可能になる。
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る回転機械系の異常監視装置10は、回転機械系11の駆動源である三相誘導電動機12の稼働時電流信号の解析結果から、回転機械系11の総合的な状態や、回転機械系11の機械的構造に起因して発生する個別的な状態をそれぞれ定量的に評価する劣化パラメータを求める劣化パラメータ算出部13と、劣化パラメータの値を記録すると共に、求めた劣化パラメータの値と劣化判定基準値を比較する簡易異常診断部14と、簡易異常診断部14で回転機械系11に異常が検知された際に、劣化判定基準値に達した劣化パラメータに基づいて異常の種類と回転機械系11における異常箇所を特定する精密異常診断部15とを有している。以下、詳細に説明する。
なお、電流情報量KI、電流実効値Irms、3相電流バランスIub、電流単調波比率idis、及び電流全調波比率Idisの各劣化パラメータ(これらの劣化パラメータを総称して第1種劣化パラメータという)の値は、回転機械系11の劣化の進行に伴って上昇する特徴を有する。
電流実効値算出手段20では、電流実効値Irmsを、iを稼働時電流信号のサンプリング値、Nをサンプリングポイント数として、{(i1 2+i2 2+・・・+iN 2)/N}1/2から求めている。
電流単調波比率算出手段22では、電流単調波比率idisを、稼働時電流信号の高調波実効値の中で、予め設定した次数n内にある最大値maxinを,稼働時電流信号の電源周波数実効値I1で除して求めている。
電流全調波比率算出手段23では、電流全調波比率Idisを、稼働時電流信号の予め設定した次数nまでの各高調波実効値の二乗和の平方根(I2 2+I3 2+・・・+In 2)1/2を、働時電流信号の電源周波数実効値I1で除して求めている。
なお、軸系電流比率Lshaft、ポール通過電流比率Lpole、回転子すべり電流比率Lrs、ブレード通過電流比率Lbp、噛合い電流比率Lgz、ギアポール電流比率Lgp、及びベルト回転電流比率Lbrの各劣化パラメータ(これらの劣化パラメータを総称して第2種劣化パラメータという)の値は、回転機械系11の劣化の進行に伴って低下する特徴を有する。
また、ギアポール電流比率算出手段29aでは、ギアポール電流比率Lgpを、スペクトルデータから、電源周波数の電流スペクトルピークの側帯波であって、三相誘導電動機12のギアポール周波数に起因する側帯波、即ち、電源周波数の電流スペクトルピークを中心として、三相誘導電動機12のポール通過周波数と、三相誘導電動機12の回転子の回転軸に取付けられた歯車の歯数との積として定義されるギアポール周波数fgp分だけ低周波数側及び高周波数側にそれぞれ離れた周波数位置に存在する側帯波のいずれか一方のピーク値、例えば、最大ピーク値20logIgp(Igpは、高速フーリエ変換器24から出力されるギアポール周波数に起因する側帯波の電流スペクトルのピーク値)と、電源周波数の電流スペクトルピークのピーク高さ20logIlineを求め、20logIline−20logIgp、即ち、20log(Iline/Igp)として評価している。
ここで、劣化判定基準値は、例えば、回転機械系11を想定したモデル回転機械系を用いた破壊試験や、従来の保守管理実績に基づいて設定する。なお、簡易診断手段33では、第1種劣化パラメータに対しては、第1種劣化パラメータの値が設定した劣化判定基準値以上となる場合、異常が発生したと判定する。一方、第2種劣化パラメータに対しては、第2種劣化パラメータの値が設定した劣化判定基準値以下となる場合、異常が発生したと判定する。
劣化判定基準値に達した劣化パラメータがポール通過電流比率Lpoleの場合は、三相誘導電動機12の回転子に劣化が生じたと推定され、回転子バーの損傷等の異常が考えられる。劣化判定基準値に達した劣化パラメータが回転子すべり電流比率Lrsの場合は、三相誘導電動機12の負荷トルクと回転子の実回転数が変化したと推測される。
劣化判定基準値に達した劣化パラメータが噛合い電流比率Lgz又はギアポール電流比率Lgpの場合は、三相誘導電動機12により駆動される歯車装置の歯車の摩耗、潤滑不良、折損等の異常が推測される。劣化判定基準値に達した劣化パラメータがベルト回転電流比率Lbrの場合は、三相誘導電動機12により駆動されるプーリーベルト駆動系のプーリーのミスアラインメントとベルトの張り具合の異常が推測される。
回転機械系11の総合的な状態を評価する劣化パラメータによる簡易診断を行う回転機械系の異常検知方法では、先ず、三相誘導電動機12の稼働時電流信号を、劣化パラメータ算出部13の電流検出器16で検出し、A/D変換器17によりデジタル化した稼働時電流信号を得る(S−1)。次いで、デジタル化した稼働時電流信号を、劣化パラメータ算出部13の処理ユニット18の電流情報量算出手段19に入力して電流情報量KIを算出する(S−2)。電流情報量KIを、簡易異常診断部14に入力し、電流情報量KIの第1、第2の劣化判定基準値(注意判定基準値、危険判定基準値)と比較する。また、電流情報量KIを劣化傾向管理手段34に保存し、余寿命予測手段35では保存した電流情報量KIを用いて電流情報量KIの経時変化挙動を監視する(以上、S−3)。そして、電流情報量KIが第2の劣化判定基準値(危険判定基準値)に達していない場合は簡易診断を繰り返す(S−4)。
第1工程では、図4に示すように、劣化パラメータ算出部13の電流検出器16で三相誘導電動機12の稼働時電流信号を計測し、A/D変換器17によりデジタル化した稼働時電流信号を得る(S−1)。次いで、デジタル化した稼働時電流信号を、劣化パラメータ算出部13の処理ユニット18の高速フーリエ変換器24に入力して高速フーリエ変換を行って電流スペクトルを求める(S−5)。
第1工程では、図4に示すように、劣化パラメータ算出部13の電流検出器16で三相誘導電動機12の稼働時電流信号を計測し、A/D変換器17によりデジタル化した稼働時電流信号を得る(S−1)。次いで、デジタル化した稼働時電流信号を、劣化パラメータ算出部13の処理ユニット18の高速フーリエ変換器24に入力して電流スペクトルを求める(S−5)。
第1工程では、図4に示すように、劣化パラメータ算出部13の電流検出器16で三相誘導電動機12の稼働時電流信号を計測し、A/D変換器17によりデジタル化した稼働時電流信号を得る(S−1)。次いで、デジタル化した稼働時電流信号を、劣化パラメータ算出部13の処理ユニット18の高速フーリエ変換器24に入力して電流スペクトルを求める(S−5)。
ここで、第2工程において、回転子バーすべり周波数は、三相誘導電動機12の回転子バーの本数hと、三相誘導電動機12のすべり周波数fs(三相誘導電動機12の同期回転周波数fxと実回転周波数frの差fx−frとして求める)との積hfsとして定義される。
第1工程では、図4に示すように、劣化パラメータ算出部13の電流検出器16で三相誘導電動機12の稼働時電流信号を計測し、A/D変換器17によりデジタル化した稼働時電流信号を得る(S−1)。次いで、デジタル化した稼働時電流信号を、劣化パラメータ算出部13の処理ユニット18の高速フーリエ変換器24に入力して電流スペクトルを求める(S−5)。
ここで、第2工程において、ブレード通過周波数は、流体回転機械に設けられたブレード数mと、三相誘導電動機12の実回転周波数frの積mfrとして定義される。
精密異常診断部15には、簡易異常診断部14において異常が検知された劣化パラメータの情報が入力されるので、入力された劣化パラメータの種類から、回転機械系11で発生した異常の種類と回転機械系11における異常箇所を特定し(S−7)、その結果を、例えば、表示器に表示する(S−8)。
なお、回転機械系11が三相誘導電動機12と接続する減速機の場合、ブレード通過電流比率Lbpの代わりに噛合い電流比率Lgzを選定し、回転機械系の異常検知方法として噛合い電流比率Lgzによる簡易診断を行う。即ち、第1工程では、図4に示すように、劣化パラメータ算出部13の電流検出器16で三相誘導電動機12の稼働時電流信号を計測し、A/D変換器17によりデジタル化した稼働時電流信号を得る(S−1)。次いで、デジタル化した稼働時電流信号を、劣化パラメータ算出部13の処理ユニット18の高速フーリエ変換器24に入力して電流スペクトルを求める(S−5)。
ここで、第2工程において、歯車噛合い周波数は、三相誘導電動機12の回転子の回転軸に取付けられた歯車の歯数zと、三相誘導電動機12の実回転周波数frとの積zfrとして定義される。
精密異常診断部15には、簡易異常診断部14において異常が検知された劣化パラメータの情報が入力されるので、入力された劣化パラメータの種類から、回転機械系11で発生した異常の種類と回転機械系11における異常箇所を特定し(S−7)、その結果を、例えば、表示器に表示する(S−8)。
精密異常診断部15に入力された劣化パラメータが噛合い電流比率Lgzの場合は、三相誘導電動機12により駆動される歯車装置の歯車の摩耗、潤滑不良、折損等の異常が推測できる。
また、回転機械系11が三相誘導電動機12により駆動されるベルト駆動回転機械の場合、ブレード通過電流比率Lbpの代わりにベルト回転電流比率Lbrを選定し、回転機械系の異常検知方法としてベルト回転電流比率Lbrによる簡易診断を行う。
即ち、第1工程では、図4に示すように、劣化パラメータ算出部13の電流検出器16で三相誘導電動機12の稼働時電流信号を計測し、A/D変換器17によりデジタル化した稼働時電流信号を得る(S−1)。次いで、デジタル化した稼働時電流信号を、劣化パラメータ算出部13の処理ユニット18の高速フーリエ変換器24に入力して電流スペクトルを求める(S−5)。
ここで、第2工程において、ベルト回転周波数は、三相誘導電動機12の回転子の回転軸に設けられたプーリーの1回転に伴うベルト移動量のベルト全長に対する移動比率と、三相誘導電動機12の実回転周波数の積として定義される。
精密異常診断部15には、簡易異常診断部14において異常が検知された劣化パラメータの情報が入力されるので、入力された劣化パラメータの種類から、回転機械系11で発生した異常の種類と回転機械系11における異常箇所を特定し(S−7)、その結果を、例えば、表示器に表示する(S−8)。
精密異常診断部15に入力された劣化パラメータがベルト回転電流比率Lbrの場合は、三相誘導電動機12により駆動されるプーリーベルト駆動系のプーリーのミスアラインメントとベルトの張り具合及び摩耗の異常が推測できる。
例えば、三相誘導電動機の稼働時電流信号を、劣化パラメータ算出部の電流検出器で検出し、A/D変換器によりデジタル化した後に劣化パラメータ算出部に入力するオンラインによる回転機械系の異常検知方法を用いた回転機械系の異常監視方法について説明したが、三相誘導電動機の稼働時電流信号を計測して保存した後、劣化パラメータ算出部に入力するオフラインによる回転機械系の異常検知方法を用いた回転機械系の異常監視方法も可能である。
また、特徴周波数である歯車噛合い周波数を、三相誘導電動機の回転子の回転軸に取付けられた歯車の歯数と、三相誘導電動機の実回転周波数との積として定義する場合について説明したが、特徴周波数を三相誘導電動機の回転子の回転軸に取付けられた歯車の歯数と、三相誘導電動機のポール通過周波数との積として定義されるギアポール周波数としてもよく、特徴周波数として歯車噛合い周波数とギアポール周波数の両方を採用することもできる。
また、回転機械系の機械的構造に起因して発生する個別的な状態を評価する劣化パラメータとして、電流実効値Irms、稼働時電流信号の3相電流バランスIub、稼働時電流信号の電流単調波比率idis、及び電流全調波比率Idisのいずれか1又は任意の2以上の組み合わせを加えることもできる。
電流実効値Irmsで異常が検知されると、回転機械系の負荷に異常が、3相電流バランスIub、電流単調波比率idis、又は電流全調波比率Idisで異常が検知されると、電源品質又は三相誘導電動機の固定子で異常が生じていると推測できる。
更に、電源周波数の電流スペクトルピークの側帯波の両方の電流スペクトルピーク値を求める場合は、電流スペクトルピーク値の平均値を側帯波の電流スペクトルピーク値とする。
なお、三相誘導電動機の電源は、インバータ電源であっても本発明は適用できる。
Claims (7)
- 三相誘導電動機を駆動源とする回転機械系に発生する異常を、該三相誘導電動機の稼働時電流信号の解析結果から検知する回転機械系の異常検知方法であって、
前記三相誘導電動機の稼働時電流信号を計測し、該稼働時電流信号の高速フーリエ変換を行う第1工程と、
前記高速フーリエ変換から得られた電流スペクトルの中から、前記三相誘導電動機の電源周波数の電流スペクトルピークを中心とし、前記回転機械系の異常に関連する特徴周波数分だけ低周波数側及び高周波数側にそれぞれ離れた周波数位置に存在する前記電源周波数の電流スペクトルピークの側帯波を抽出し、前記側帯波のどちらか一方又は両方の電流スペクトルピーク値を求める第2工程と、
前記第2工程で求めた前記側帯波の電流スペクトルピーク値及び前記電源周波数の電流スペクトルピークのピーク値を用いて前記回転機械系の劣化パラメータを算出する第3工程と、
前記劣化パラメータの値を記録すると共に、該劣化パラメータの値と予め設定した劣化判定基準値とを比較し、該劣化パラメータの値が前記劣化判定基準値に達したことにより異常を検知する第4工程とを有する簡易診断を行い、
しかも、前記特徴周波数を、前記三相誘導電動機の回転子バーの本数と、該三相誘導電動機のすべり周波数との積として定義される回転子バーすべり周波数とすることを特徴とする回転機械系の異常検知方法。 - 三相誘導電動機を駆動源とする回転機械系に発生する異常を、該三相誘導電動機の稼働時電流信号の解析結果から検知する回転機械系の異常検知方法であって、
前記三相誘導電動機の稼働時電流信号を計測し、該稼働時電流信号の高速フーリエ変換を行う第1工程と、
前記高速フーリエ変換から得られた電流スペクトルの中から、前記三相誘導電動機の電源周波数の電流スペクトルピークを中心とし、前記回転機械系の異常に関連する特徴周波数分だけ低周波数側及び高周波数側にそれぞれ離れた周波数位置に存在する前記電源周波数の電流スペクトルピークの側帯波を抽出し、前記側帯波のどちらか一方又は両方の電流スペクトルピーク値を求める第2工程と、
前記第2工程で求めた前記側帯波の電流スペクトルピーク値及び前記電源周波数の電流スペクトルピークのピーク値を用いて前記回転機械系の劣化パラメータを算出する第3工程と、
前記劣化パラメータの値を記録すると共に、該劣化パラメータの値と予め設定した劣化判定基準値とを比較し、該劣化パラメータの値が前記劣化判定基準値に達したことにより異常を検知する第4工程とを有する簡易診断を行い、
しかも、前記特徴周波数を、前記三相誘導電動機により駆動される流体回転機械に設けられたブレード数と、該三相誘導電動機の実回転周波数との積として定義されるブレード通過周波数とすることを特徴とする回転機械系の異常検知方法。 - 三相誘導電動機を駆動源とする回転機械系に発生する異常を、該三相誘導電動機の稼働時電流信号の解析結果から検知する回転機械系の異常検知方法であって、
前記三相誘導電動機の稼働時電流信号を計測し、該稼働時電流信号の高速フーリエ変換を行う第1工程と、
前記高速フーリエ変換から得られた電流スペクトルの中から、前記三相誘導電動機の電源周波数の電流スペクトルピークを中心とし、前記回転機械系の異常に関連する特徴周波数分だけ低周波数側及び高周波数側にそれぞれ離れた周波数位置に存在する前記電源周波数の電流スペクトルピークの側帯波を抽出し、前記側帯波のどちらか一方又は両方の電流スペクトルピーク値を求める第2工程と、
前記第2工程で求めた前記側帯波の電流スペクトルピーク値及び前記電源周波数の電流スペクトルピークのピーク値を用いて前記回転機械系の劣化パラメータを算出する第3工程と、
前記劣化パラメータの値を記録すると共に、該劣化パラメータの値と予め設定した劣化判定基準値とを比較し、該劣化パラメータの値が前記劣化判定基準値に達したことにより異常を検知する第4工程とを有する簡易診断を行い、
しかも、前記特徴周波数を、前記三相誘導電動機の回転子の回転軸に取付けられた歯車の歯数と、該三相誘導電動機の実回転周波数との積として定義される歯車噛合い周波数とすることを特徴とする回転機械系の異常検知方法。 - 三相誘導電動機を駆動源とする回転機械系に発生する異常を、該三相誘導電動機の稼働時電流信号の解析結果から検知する回転機械系の異常検知方法であって、
前記三相誘導電動機の稼働時電流信号を計測し、該稼働時電流信号の高速フーリエ変換を行う第1工程と、
前記高速フーリエ変換から得られた電流スペクトルの中から、前記三相誘導電動機の電源周波数の電流スペクトルピークを中心とし、前記回転機械系の異常に関連する特徴周波数分だけ低周波数側及び高周波数側にそれぞれ離れた周波数位置に存在する前記電源周波数の電流スペクトルピークの側帯波を抽出し、前記側帯波のどちらか一方又は両方の電流スペクトルピーク値を求める第2工程と、
前記第2工程で求めた前記側帯波の電流スペクトルピーク値及び前記電源周波数の電流スペクトルピークのピーク値を用いて前記回転機械系の劣化パラメータを算出する第3工程と、
前記劣化パラメータの値を記録すると共に、該劣化パラメータの値と予め設定した劣化判定基準値とを比較し、該劣化パラメータの値が前記劣化判定基準値に達したことにより異常を検知する第4工程とを有する簡易診断を行い、
しかも、前記特徴周波数を、前記三相誘導電動機のポール通過周波数と、該三相誘導電動機の回転子の回転軸に取付けられた歯車の歯数との積として定義されるギアポール周波数とすることを特徴とする回転機械系の異常検知方法。 - 三相誘導電動機を駆動源とする回転機械系に発生する異常を、該三相誘導電動機の稼働時電流信号の解析結果から検知する回転機械系の異常検知方法であって、
前記三相誘導電動機の稼働時電流信号を計測し、該稼働時電流信号の高速フーリエ変換を行う第1工程と、
前記高速フーリエ変換から得られた電流スペクトルの中から、前記三相誘導電動機の電源周波数の電流スペクトルピークを中心とし、前記回転機械系の異常に関連する特徴周波数分だけ低周波数側及び高周波数側にそれぞれ離れた周波数位置に存在する前記電源周波数の電流スペクトルピークの側帯波を抽出し、前記側帯波のどちらか一方又は両方の電流スペクトルピーク値を求める第2工程と、
前記第2工程で求めた前記側帯波の電流スペクトルピーク値及び前記電源周波数の電流スペクトルピークのピーク値を用いて前記回転機械系の劣化パラメータを算出する第3工程と、
前記劣化パラメータの値を記録すると共に、該劣化パラメータの値と予め設定した劣化判定基準値とを比較し、該劣化パラメータの値が前記劣化判定基準値に達したことにより異常を検知する第4工程とを有する簡易診断を行い、
しかも、前記特徴周波数を、前記三相誘導電動機の回転子の回転軸に取付けられたプーリーの1回転に伴うベルト移動量のベルト全長に対する移動比率と、該三相誘導電動機の実回転周波数の積として定義されるベルト回転周波数とすることを特徴とする回転機械系の異常検知方法。 - 請求項1〜5にそれぞれ記載した回転機械系の異常検知方法のいずれか1又は2以上を組み合わせた回転機械系の異常監視方法であって、
複数の前記簡易診断を繰り返す劣化傾向管理工程と、
複数の前記簡易診断の少なくとも一つで異常を検知した際に、前記劣化判定基準値に達した前記劣化パラメータに基づいて異常の種類と前記回転機械系における異常箇所を特定する精密異常診断工程とを有することを特徴とする回転機械系の異常監視方法。 - 請求項6記載の回転機械系の異常監視方法に使用する回転機械系の異常監視装置であって、
前記三相誘導電動機の稼働時電流信号から前記劣化パラメータを求める劣化パラメータ算出部と、
前記劣化パラメータの値を記録すると共に、該劣化パラメータの値と前記劣化判定基準値を比較する簡易異常診断部と、
前記簡易異常診断部で前記回転機械系に異常が検知された際に、前記劣化判定基準値に達した前記劣化パラメータに基づいて異常の種類と前記回転機械系における異常箇所を特定する精密異常診断部とを有することを特徴とする回転機械系の異常監視装置。
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