(第1実施形態)
図1から図6を参照して、第1実施形態に係るX線CT装置1の構成について説明する。なお、「画像」と「画像データ」は一対一に対応するので、本実施形態においてはこれらを同一視する場合がある。また、本実施形態では、被検体Eの体軸方向をZ方向(スライス方向)とし、体軸方向に直交する横方向をX方向(チャンネル方向)、縦方向をY方向として述べる。
<装置構成>
図1に示すように、X線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを含んで構成されている。
[架台装置]
架台装置10は、被検体Eに対してX線を曝射し、被検体Eを透過した当該X線の検出データを収集する装置である。架台装置10は、X線発生部11と、X線検出部12と、回転体13と、高電圧発生部14と、架台駆動部15と、X線絞り部16と、絞り駆動部17と、データ収集部18とを有する。
X線発生部11は、X線を発生させるX線管球(たとえば、円錐状や角錐状のX線ビームを発生する真空管。図示なし)を含んで構成されている。X線発生部11は、発生したX線を被検体Eに対して曝射する。
X線検出部12は、複数のX線検出素子(図示なし)を含んで構成されている。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出する。具体的には、X線検出部12は、被検体Eを透過したX線の強度分布を示すX線強度分布データ(以下、「検出データ」という場合がある)をX線検出素子で検出し、その検出データを電流信号として出力する。X線検出部12は、たとえば、検出素子が互いに直交する2方向(スライス方向とチャンネル方向)にそれぞれ複数配置された2次元のX線検出器(面検出器)が用いられる。複数のX線検出素子は、たとえば、スライス方向に沿って320列設けられている。このように多列のX線検出器を用いることにより、1回転のスキャンでスライス方向に幅を有する3次元の撮影領域を撮影することができる(ボリュームスキャン)。なお、スライス方向は被検体Eの体軸方向に相当し、チャンネル方向はX線発生部11の回転方向に相当する。
回転体13は、X線発生部11とX線検出部12とを被検体Eを挟んで対向するよう支持する部材である。回転体13は、スライス方向に貫通した開口部13aを有する。架台装置10内において、回転体13は、被検体Eを中心とした円軌道で回転するよう配置されている。すなわち、X線発生部11及びX線検出部12は、被検体Eを中心とする円軌道に沿って回転可能に設けられている。
高電圧発生部14は、X線発生部11に対して高電圧を印加する(以下、「電圧」とは、X線管球におけるアノード−カソード間の電圧を意味する)。X線発生部11は、当該高電圧に基づいてX線を発生させる。
架台駆動部15は、回転体13を回転駆動させる。X線絞り部16は、所定幅のスリット(開口)を有し、スリットの幅を変えることで、X線発生部11から曝射されたX線のファン角(チャンネル方向の広がり角)とX線のコーン角(スライス方向の広がり角)とを調整する。絞り駆動部17は、X線発生部11で発生したX線が所定の形状となるようX線絞り部16を駆動させる。
データ収集部18(DAS:Data Acquisition System)は、X線検出部12(各X線検出素子)からの検出データを収集する。また、データ収集部18は、収集した検出データ(電流信号)を電圧信号に変換し、この電圧信号を周期的に積分して増幅し、デジタル信号に変換する。そして、データ収集部18は、デジタル信号に変換された検出データをコンソール装置40に送信する。なお、CT透視を行う場合、データ収集部18は、検出データの収集レートを短くする。
[寝台装置]
寝台装置30は、撮影対象の被検体Eを載置・移動させる装置である。寝台装置30は、寝台31と寝台駆動部32とを備えている。寝台31は、被検体Eを載置するための寝台天板33と、寝台天板33を支持する基台34とを備えている。寝台天板33は、寝台駆動部32によって被検体Eの体軸方向及び体軸方向に直交する方向に移動することが可能となっている。すなわち、寝台駆動部32は、被検体Eが載置された寝台天板33を、回転体13の開口部13aに対して挿抜させることができる。基台34は、寝台駆動部32によって寝台天板33を上下方向(被検体Eの体軸方向と直交する方向)に移動させることが可能となっている。
[コンソール装置]
コンソール装置40は、X線CT装置1に対する操作入力に用いられる。また、コンソール装置40は、架台装置10によって収集された検出データから被検体Eの内部形態を表すCT画像データ(断層画像データやボリュームデータ)を再構成する機能等を有している。コンソール装置40は、処理部41と、設定部42と、作成部43と、表示制御部44と、表示部45と、記憶部46と、スキャン制御部47と、制御部48とを含んで構成されている。
処理部41は、架台装置10(データ収集部18)から送信された検出データに対して各種処理を実行する。処理部41は、前処理部41aと、再構成処理部41bと、レンダリング処理部41cとを含んで構成されている。
前処理部41aは、架台装置10(X線検出部12)で検出された検出データに対して対数変換処理、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正等の前処理を行い、投影データを作成する。
再構成処理部41bは、前処理部41aで作成された投影データに基づいて、CT画像データ(断層画像データやボリュームデータ)を作成する。断層画像データの再構成には、たとえば、2次元フーリエ変換法、コンボリューション・バックプロジェクション法等、任意の方法を採用することができる。ボリュームデータは、再構成された複数の断層画像データを補間処理することにより作成される。ボリュームデータの再構成には、たとえば、コーンビーム再構成法、マルチスライス再構成法、拡大再構成法等、任意の方法を採用することができる。上述のように多列のX線検出器を用いたボリュームスキャンにより、広範囲のボリュームデータを再構成することができる。また、CT透視を行う場合には、検出データの収集レートを短くしているため、再構成処理部41bによる再構成時間が短縮される。従って、スキャンに対応したリアルタイムのCT画像データを作成することができる。
レンダリング処理部41cは、再構成処理部41bで作成されたボリュームデータに対するレンダリング処理を行う。
たとえば、レンダリング処理部41cは、ボリュームデータに対してボリュームレンダリング処理を施すことにより、疑似三次元画像(画像データ)を作成する。「疑似三次元画像」とは、被検体Eの三次元的な構造を二次元的に表示させるための画像である。
また、レンダリング処理部41cは、ボリュームデータに対して所望の方向にレンダリング処理を施すことにより、MPR画像(画像データ)を作成する。「MPR画像」とは、被検体Eの所望の断面を示す画像である。MPR画像としては、直交三断面であるアキシャル像、サジタル像、コロナル像がある。或いは、レンダリング処理部41cは、任意断面を示すオブリーク像をMPR画像として作成してもよい。
設定部42は、ボリュームデータに基づく画像に対し、被検体Eに対する穿刺針の挿入経路を設定するために用いられる。設定される挿入経路は、被検体Eに対してどのようなルートで穿刺針を挿入していくかを示す経路(計画経路)である。
設定部42の具体例として、あるタイミングで行われたスキャン(第1スキャン)により得られたボリュームデータ(第1ボリュームデータ)に基づくMPR画像に対して挿入経路Iを設定する場合について述べる。以下、MPR画像の例としてアキシャル像を用いて説明を行うが、本実施形態の構成はサジタル像やコロナル像であっても同様に適用することが可能である。
図2A及び図2Bは、第1ボリュームデータに基づくZ方向の断面であるアキシャル像AI1を示している。
術者は、表示部45に表示されたアキシャル像AI1に対し、入力デバイス(図示なし)等を用いて生検を行う対象部位(病変部等)の位置S、及び体表面における穿刺針の挿入位置Pの2点を指定する(図2A参照)。設定部42は、その2点を結ぶ最短距離Lを算出し、その最短距離Lを結ぶ線分を挿入経路Iとして設定する(図2B参照)。設定された挿入経路I(座標値)は、記憶部46に記憶される。なお、アキシャル像AI1は三次元のボリュームデータに基づく画像である。従って、アキシャル像AI1において設定された挿入経路Iは、三次元の座標値で特定することができる。
なお、術者は、入力デバイス等を用いてアキシャル像AI1上に挿入経路を示す線分等を直接描くことも可能である。この場合、設定部42は、当該描かれた線分を挿入経路Iとして設定する。或いは、設定部42は、アキシャル像AI1に対してリージョングローイング法等の画像解析処理を施すことにより、病変部の位置と病変部から最も近い体表面の位置を算出する。そして、設定部42は、それらを結ぶ線分を算出し、当該線分を挿入経路Iとして設定することも可能である。
また、挿入経路Iを設定する画像は、MPR画像に限られない。たとえば、設定部42は、ボリュームデータに基づく疑似三次元画像(三次元的な構造を二次元的に表示させるための画像)に対して上記と同様の手法により、挿入経路Iを設定することも可能である。
作成部43は、ボリュームデータを模擬的に表現した直方体の図形(以下、「ビューイングボックス」という場合がある)を作成する。なお、作成部43により作成されるビューイングボックスと、表示制御部44により表示部45に表示されるビューイングボックスの疑似三次元画像は一対一に対応するので、本実施形態においてはこれらを同一視する場合がある。また、ボリュームデータの形状は、X線検出部12のサイズや、スキャン範囲等に基づいて決定される。
作成部43の具体例として、ボリュームデータDに基づいてビューイングボックスVを作成する場合について述べる。ここでは、ボリュームデータDを、各辺の長さが等しい直方体である立方体として示す。また、ビューイングボックスVとボリュームデータDは同じ座標系であるとする。まず、作成部43は、エッジ検出等の手法により、ボリュームデータDの輪郭部分Oを抽出する(図3A参照)。次に、作成部43は、抽出した輪郭部分Oを所定の縮尺で変換することにより、ビューイングボックスVを作成する(図3B参照)。縮尺は、たとえば、表示部45におけるビューイングボックスVの表示領域等に基づいて予め設定される値である。
本実施形態では、作成部43は、ボリュームデータDの各辺の縮尺が同じになるようにビューイングボックスVを作成する。たとえば、縮尺が1/10と設定されている場合について述べる。図3Aに示すように、ボリュームデータD(輪郭部分O)の一辺の長さが100mmとすると、作成部43は、縮尺1/10に基づいて、一辺の長さが10mmの立方体形状のビューイングボックスVを作成する。
なお、図3A及び図3Bでは、ボリュームデータDの形状が立方体の場合に、ビューイングボックスVも立方体になるよう作成する例(各辺が同じ縮尺となるようにビューイングボックスを作成する例)を示した。ここで、多列のX線検出素子を用いることにより、X方向及びY方向に比べ、体軸方向(Z方向)に広い検出範囲を設定することが可能となる。従って、得られるボリュームデータの形状もZ方向の辺の長さとX方向及びY方向の辺の長さが異なる直方体になることがある。この場合、作成部43は、ボリュームデータの形状(直方体)に基づいて、ビューイングボックスVを直方体に作成する。たとえば、図4に示すように、X方向及びY方向の辺の長さが100mmに対し、Z方向の辺の長さが200mmのボリュームデータD(輪郭部分O)が得られたとする。この場合、作成部43は、予め設定された縮尺(たとえば、1/10)に基づき、X方向及びY方向の辺の長さが10mm、Z方向の辺の長さが20mmのビューイングボックスVを作成する(図4参照)。
表示制御部44は、画像表示に関する各種制御を行う。たとえば、レンダリング処理部41cにより作成された疑似三次元画像やMPR画像等を表示部45に表示させる制御を行う。
また、本実施形態において、表示制御部44は、図形(ビューイングボックスV)を表示部45に表示させ、且つ挿入経路Iに対応する経路画像I´を図形(ビューイングボックスV)に表示させる。
具体的には、表示制御部44は、作成されたビューイングボックスVを疑似三次元画像として表示部45に表示する。更に、表示制御部44は、記憶部46に記憶された挿入経路Iについて、ビューイングボックスVを作成する際の縮尺と同じ縮尺で変換することにより、経路画像I´を作成する。表示制御部44は、作成した経路画像I´をビューイングボックスV内に表示させる(図3C参照。図3Cは、表示部45に表示されたビューイングボックスVを示している)。経路画像I´は、「穿刺計画に関する情報」の一例である。
上述の通り、ビューイングボックスVとボリュームデータD(輪郭部分O)は同じ座標系である。従って、ビューイングボックスV内に表示される経路画像I´の位置及び向きと、ボリュームデータDにおける挿入経路Iの位置及び向きとは対応関係にある。つまり、表示部45に表示されたビューイングボックスVを参照することで、術者は、計画経路(挿入経路I)の情報(位置及び向き)を容易に把握することができる。
表示部45は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ等の任意の表示デバイスによって構成される。たとえば、表示部45には、ボリュームデータをレンダリング処理して得られるMPR画像が表示される。
図5は、表示部45における表示画面Mの一例である。ここでは、表示画面Mに挿入経路Iを計画したアキシャル像AI1が表示されている例について述べる。表示制御部44は、表示画面Mにおける所定の表示位置に、ビューイングボックスV(経路画像I´)を表示させる。ビューイングボックスVの表示位置は、予め設定されていてもよいし、入力デバイス等を用いて任意に設定することも可能である。なお、表示部45にMPR画像が複数表示されている場合、表示制御部44は、画像毎にビューイングボックスVを表示させることも可能である。たとえば、アキシャル像、サジタル像、コロナル像が表示されている場合、表示制御部44は、それぞれの画像に対してビューイングボックスVを表示させる。
記憶部46は、RAMやROM等の半導体記憶装置によって構成される。記憶部46は、挿入経路の設定位置の他、検出データや投影データ、或いは再構成処理後のCT画像データ等を記憶する。
スキャン制御部47は、X線スキャンに関する各種動作を制御する。たとえば、スキャン制御部47は、X線発生部11に対して高電圧を印加させるよう高電圧発生部14を制御する。スキャン制御部47は、回転体13を回転駆動させるよう架台駆動部15を制御する。スキャン制御部47は、X線絞り部16を動作させるよう絞り駆動部17を制御する。スキャン制御部47は、寝台31を移動させるよう寝台駆動部32を制御する。
制御部48は、架台装置10、寝台装置30およびコンソール装置40の動作を制御することによって、X線CT装置1の全体制御を行う。たとえば、制御部48は、スキャン制御部47を制御することで、架台装置10に対して予備スキャン及びメインスキャンを実行させ、検出データを収集させる。また、制御部48は、処理部41を制御することで、検出データに対する各種処理(前処理、再構成処理等)を行わせる。或いは、制御部48は、表示制御部44を制御することで、記憶部46に記憶されたCT画像データ等に基づく画像を表示部45に表示させる。
<動作>
次に、図6を参照して、本実施形態に係るX線CT装置1の動作について説明する。
まず、X線CT装置1は、被検体Eに対してX線スキャンを行い、第1ボリュームデータを作成する。
具体的には、X線発生部11は、被検体Eに対してX線を曝射する。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出し、その検出データを取得する(S10)。X線検出部12で検出された検出データは、データ収集部18で収集され、処理部41(前処理部41a)に送られる。
前処理部41aは、S10で取得された検出データに対して、対数変換処理、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正等の前処理を行い、投影データを作成する(S11)。作成された投影データは、制御部48の制御に基づき、再構成処理部41bに送られる。
再構成処理部41bは、S11で作成された投影データに基づいて、複数の断層画像データを作成する。また、再構成処理部41bは、複数の断層画像データを補間処理することにより第1ボリュームデータを作成する(S12)。
レンダリング処理部41cは、S12で作成された第1ボリュームデータをレンダリングすることによりアキシャル像AI1を作成する。表示制御部44は、作成されたアキシャル像AI1を表示部45に表示させる(S13)。
表示部45に表示されたアキシャル像AI1を参照しながら、術者は穿刺針の挿入経路Iの計画(計画経路)を立てる。術者は、入力デバイス等によってアキシャル像AI1における病変部の位置、及び穿刺針の挿入位置を指定する。設定部42は、指定された位置を結ぶ線分を挿入経路Iとして設定する(S14)。設定部42は、挿入経路Iの座標値を記憶部46に送る。記憶部46は、挿入経路I(座標値)を記憶する(S15)。
また、作成部43は、S12で作成された第1ボリュームデータを所定の縮尺で変換させることにより、ビューイングボックスVを作成する(S16)。
表示制御部44は、S16で作成されたビューイングボックスVを表示部45に表示させ、且つS15で記憶された挿入経路Iに対応する経路画像I´をビューイングボックスVの対応する位置に表示させる(S17)。
なお、処理部41、設定部42、作成部43、表示制御部44、スキャン制御部47及び制御部48は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの図示しない処理装置と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)や、又はHDD(Hard Disc Drive)などの図示しない記憶装置とによって構成されていてもよい。記憶装置には、処理部41の機能を実行するための処理プログラムが記憶されている。また、記憶装置には、設定部42の機能を実行するための設定部処理用プログラムが記憶されている。また、記憶装置には、作成部43の機能を実行するための作成プログラムが記憶されている。また、記憶装置には、表示制御部44の機能を実行するための表示制御プログラムが記憶されている。また、記憶装置には、スキャン制御部47の機能を実行するためのスキャン制御プログラムが記憶されている。また、記憶装置には、制御部48の機能を実行するための制御プログラムが記憶されている。CPUなどの処理装置が、記憶装置に記憶されている各プログラムを実行することで各部の機能を実行する。
<作用・効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態のX線CT装置1は、被検体EをX線でスキャンした結果に基づき、ボリュームデータを作成する。X線CT装置1は、設定部42と、作成部43と、表示制御部44とを有する。設定部42は、ボリュームデータに基づく画像に対し、被検体Eに対する穿刺針の挿入経路Iを設定するために用いられる。作成部43は、ボリュームデータを模擬的に表現した直方体の図形(ビューイングボックスV)を作成する。表示制御部44は、図形を表示部45に表示させ、且つ挿入経路Iに対応する経路画像I´を図形に表示させる。
具体的には、作成部43は、ボリュームデータの形状に基づいて、各辺が同じ縮尺となるように図形を作成する。
このように、表示制御部44は、ビューイングボックスVを表示部45に表示させ、且つ挿入経路Iに対応する経路画像I´をビューイングボックスVに表示させる。ビューイングボックスVは、ボリュームデータDの各辺を同じ縮尺で変換したものである。よって、ボリュームデータDにおける挿入経路Iの位置(向き)に対応するビューイングボックスVの位置(向き)に経路画像I´が表示される。術者は、経路画像I´が表示されたビューイングボックスVを確認することにより、計画経路(挿入経路I)の位置(向き)を把握することができる。すなわち、本実施形態におけるX線CT装置1は、穿刺計画に関する情報を呈示することが可能となっている。
(第2実施形態)
次に、図7Aから図9を参照して、第2実施形態に係るX線CT装置1の構成について説明する。本実施形態では、挿入経路Iが設定されたMPR画像に対応する断面位置をビューイングボックスVに表示させる構成について述べる。挿入経路Iが設定されたMPR画像に対応する断面位置は、「穿刺計画に関する情報」の一例である。第1実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
本実施形態において、設定部42は、挿入経路Iが設定されたMPR画像のボリュームデータにおける位置(座標値)を求める。当該位置は、記憶部46に記憶される。
本実施形態において、表示制御部44は、図形(ビューイングボックス)を表示部45に表示させ、且つ挿入経路Iを設定したMPR画像に対応する断面位置を図形(ビューイングボックス)に表示させる。
具体的には、表示制御部44は、作成部43により作成されたビューイングボックスVを疑似三次元画像として表示部45に表示する。更に、表示制御部44は、記憶部46に記憶されたMPR画像の位置(座標値)について、ビューイングボックスVを作成する際の縮尺と同じ縮尺で変換する。そして、表示制御部44は、変換された値に対応するビューイングボックスV内の位置を断面位置として特定する。表示制御部44は、断面位置をビューイングボックスV内に表示させる。
たとえば、ボリュームデータDの位置Cにおけるアキシャル像AIに基づいて挿入経路Iが設定されたとする(図7A参照)。この場合に、ビューイングボックスVの縮尺が1/10であるとすると、表示制御部44は、位置Cを縮尺1/10で変換し、対応するビューイングボックスV内の位置を断面位置C´として特定する。そして、表示制御部44は、断面位置C´をビューイングボックスV内に表示させる(図7B参照。図7Bは、表示部45に表示されたビューイングボックスVを示している)。ビューイングボックスVとボリュームデータDは同じ座標系である。従って、ビューイングボックスV内に表示される断面位置C´の位置と、ボリュームデータDにおけるアキシャル像AIの位置Cとは対応関係にある。つまり、術者は、表示部45に表示されたビューイングボックスVを参照することで、挿入経路Iを設定したMPR画像の位置を容易に把握することができる。
<動作>
次に、図8を参照して、本実施形態に係るX線CT装置1の動作について説明する。
まず、X線CT装置1は、被検体Eに対してX線スキャンを行い、第1ボリュームデータを作成する。
具体的には、X線発生部11は、被検体Eに対してX線を曝射する。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出し、その検出データを取得する(S20)。前処理部41aは、S20で取得された検出データに対して、対数変換処理、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正等の前処理を行い、投影データを作成する(S21)。再構成処理部41bは、S21で作成された投影データに基づいて、複数の断層画像データを作成する。また、再構成処理部41bは、複数の断層画像データを補間処理することにより第1ボリュームデータを作成する(S22)。レンダリング処理部41cは、S22で作成された第1ボリュームデータをレンダリングすることによりアキシャル像AI1を作成する。表示制御部44は、作成されたアキシャル像AI1を表示部45に表示させる(S23)。
表示部45に表示されたアキシャル像AI1を参照しながら、術者は穿刺針の挿入経路Iの計画(計画経路)を立てる。術者は、入力デバイス等によってアキシャル像AI1における病変部の位置、及び穿刺針の挿入位置を指定する。設定部42は、指定された位置を結ぶ線分を挿入経路Iとして設定する(S24)。設定部42は、挿入経路Iを設定したアキシャル像AI1の位置Cを記憶部46に送る。記憶部46は、挿入経路Iを設定したアキシャル像AI1の位置Cを記憶する(S25)。
また、作成部43は、S22で作成された第1ボリュームデータを所定の縮尺で変換させることにより、ビューイングボックスVを作成する(S26)。
表示制御部44は、S26で作成されたビューイングボックスVを表示部45に表示させ、且つS25で記憶された位置Cに対応する断面位置C´をビューイングボックスVの対応する位置に表示させる(S27)。
なお、表示制御部44は、断面位置C´と併せて、ビューイングボックスV内に経路画像I´を表示させることも可能である。
この場合、設定部42は、挿入経路Iが設定されたMPR画像のボリュームデータにおける位置(座標値)、及び当該MPR画像における挿入経路I(座標値)を求める。それらの座標値は、記憶部46に記憶される。
表示制御部44は、作成部43により作成されたビューイングボックスVを疑似三次元画像として表示部45に表示する。また、表示制御部44は、記憶部46に記憶された挿入経路Iについて、ビューイングボックスVを作成する際の縮尺と同じ縮尺で変換することにより、経路画像I´を作成する。更に、表示制御部44は、記憶部46に記憶されたMPR画像の位置について、ビューイングボックスVを作成する際の縮尺と同じ縮尺で変換した位置を断面位置C´として特定する。表示制御部44は、経路画像I´及び断面位置C´をビューイングボックスV内に表示させる(図9参照。図9は、表示部45に表示されたビューイングボックスVを示している)。
<作用・効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態のX線CT装置1は、被検体EをX線でスキャンした結果に基づき、ボリュームデータを作成する。X線CT装置1は、設定部42と、作成部43と、表示制御部44とを有する。設定部42は、ボリュームデータに基づくMPR画像に対し、被検体Eに対する穿刺針の挿入経路Iを設定するために用いられる。作成部43は、ボリュームデータを模擬的に表現した直方体の図形(ビューイングボックス)を作成する。表示制御部44は、図形を表示部45に表示させ、且つ挿入経路Iを設定したMPR画像に対応する断面位置C´を図形に表示させる。
また、本実施形態のX線CT装置1は、被検体EをX線でスキャンした結果に基づき、ボリュームデータを作成する。X線CT装置1は、設定部42と、作成部43と、表示制御部44とを有する。設定部42は、ボリュームデータに基づくMPR画像に対し、被検体Eに対する穿刺針の挿入経路Iを設定するために用いられる。作成部43は、ボリュームデータを模擬的に表現した直方体の図形(ビューイングボックス)を作成する。表示制御部44は、図形を表示部45に表示させ、且つ挿入経路Iに対応する経路画像I´及び挿入経路Iを設定したMPR画像に対応する断面位置C´を図形に表示させる。
このように、表示制御部44は、ビューイングボックスVを表示部45に表示させ、且つ挿入経路Iを設定したMPR画像に対応する断面位置C´(及び経路画像I´)をビューイングボックスVに表示させる。従って、術者は、断面位置C´(及び経路画像I´)が表示されたビューイングボックスVを確認することにより、挿入経路Iの設定に用いられた画像の位置(及び計画経路の位置)を把握することができる。すなわち、本実施形態におけるX線CT装置1は、穿刺計画に関する情報を呈示することが可能となっている。
(第3実施形態)
図10Aから図12を参照して、第3実施形態に係るX線CT装置1の構成について説明する。本実施形態では、ビューイングボックスVに、現在表示しているMPR画像の位置に対応する断面位置を表示させる構成について述べる。上記実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。また、本実施形態は、第2実施形態の構成を元に説明を行うが、第1実施形態の構成についても適用可能である。
本実施形態において、表示制御部44は、第1スキャンと異なるタイミングのスキャン(第2スキャン)に基づき作成された他のボリュームデータ(第2ボリュームデータ)に基づくMPR画像に対応する断面位置をビューイングボックスVに表示させる。
具体例として、第2ボリュームデータに基づくアキシャル像AI2に対応する断面位置c´をビューイングボックスVに表示させる場合について説明する。ここでは、表示画面Mにおける所定の表示位置に、挿入経路Iが設定されたアキシャル像AI1、及び断面位置C´が表示されたビューイングボックスVが表示されている状態について述べる(図10A参照)。断面位置C´は、第2実施形態と同様、挿入経路Iを設定したアキシャル像AI1の位置Cに対応する位置である。
なお、本実施形態において、第1ボリュームデータと第2ボリュームデータは、その元となる断層画像データの枚数や画像のピクセル数は等しいものとする。また、第1スキャンと第2スキャンの撮影条件(撮影位置、回転体13のローテーションスピード等)も等しいものとする。つまり、第1ボリュームデータと第2ボリュームデータは、同じ座標系にあるものとする。
第2スキャンが行われた場合、レンダリング処理部41cは、検出された検出データに基づく第2ボリュームデータに対し、予め設定された位置c(或いは、入力デバイス等により指定された位置)におけるアキシャル像AI2を作成する。作成されたアキシャル像AI2は、表示制御部44により、表示部45(表示画面M)に表示される(図10B参照)。
また、表示制御部44は、ビューイングボックスVにおいて、アキシャル像AI2の位置cに対応する断面位置c´を特定する。上述の通り、第1ボリュームデータと第2ボリュームデータは、同じ座標系にある。従って、第2ボリュームデータとビューイングボックスVも同じ座標系にある。つまり、表示制御部44は、ビューイングボックスVを作成したときの縮尺で位置cを変換することにより、断面位置c´を特定することができる。そして、表示制御部44は、ビューイングボックスVに対し、アキシャル像AI2の位置cに対応する断面位置c´を表示させる(図10B参照)。
ここで、断面位置C´と断面位置c´が一致している場合、挿入経路Iを計画したアキシャル像AI1と現在表示されているアキシャル像AI2も一致していることになる。従って、計画された挿入経路Iに沿って穿刺が行われている場合には、現在表示されているアキシャル像AI2上に穿刺針が表示されることになる。従って、術者は穿刺が計画通りに進行しているかどうかを把握することができる。
逆に、断面位置C´と断面位置c´がずれている場合(図10Bの場合)、挿入経路Iを計画したアキシャル像AI1と現在表示されているアキシャル像AI2とが一致していないことになる。しかし、術者は、ビューイングボックスVでアキシャル像間のずれを確認できるため、現在表示されているアキシャル像AI2に対するアキシャル像AI1(挿入経路Iが設定された画像)の位置関係を容易に把握することができる。この場合、入力デバイス等の指示入力に基づき、レンダリング処理部41cは、断面位置c´が断面位置C´に一致するようレンダリングの方向を変更することができる。
なお、表示制御部44は、ビューイングボックスVにおいて、第2ボリュームデータのレンダリング方向を示すマーク(矢印等、図示なし)を併せて表示させることもできる。術者は、このマークを確認することにより、表示画面に表示されている画像がボリュームデータをどの方向からレンダリングした画像であるかを容易に把握することができる。
<動作>
次に、図11を参照して、本実施形態に係るX線CT装置1の動作について説明する。ここでは、アキシャル像AI1において穿刺針の挿入経路Iを作成した後、CT透視を用いて生検を行う場合の動作について述べる。
生検を開始する前に、まずX線CT装置1は、被検体Eに対してX線スキャン(第1スキャン)を行い、ボリュームデータ(第1ボリュームデータ)を作成する。
具体的には、X線発生部11は、被検体Eに対してX線を曝射する。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出し、その検出データを取得する(S30)。前処理部41aは、S30で取得された検出データに対して、対数変換処理、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正等の前処理を行い、投影データを作成する(S31)。再構成処理部41bは、S31で作成された投影データに基づいて、複数の断層画像データを作成する。また、再構成処理部41bは、複数の断層画像データを補間処理することにより第1ボリュームデータを作成する(S32)。
レンダリング処理部41cは、S32で作成された第1ボリュームデータをレンダリングすることによりアキシャル像AI1を作成する。表示制御部44は、作成されたアキシャル像AI1を表示部45に表示させる(S33)。
表示部45に表示されたアキシャル像AI1を参照しながら、術者は穿刺針の挿入経路Iの計画を立てる。術者は、入力デバイス等によってアキシャル像AI1における病変部の位置、及び穿刺針の挿入位置を指定する。設定部42は、指定された位置を結ぶ線分を挿入経路Iとして設定する(S34)。設定部42は、挿入経路Iが設定されたアキシャル像AI1の第1ボリュームデータにおける位置Cを記憶部46に送る。記憶部46は、アキシャル像AI1の位置Cを記憶する(S35)。
また、作成部43は、S32で作成された第1ボリュームデータを所定の縮尺で変換させることにより、ビューイングボックスVを作成する(S36)。
表示制御部44は、S36で作成されたビューイングボックスVを表示部45に表示させ、且つS35に記憶されたアキシャル像AI1の位置Cに対応する断面位置C´をビューイングボックスVに表示させる(S37。図10A参照)。
その後、挿入経路Iが示されたアキシャル像AI1及びビューイングボックスVを参照しながら、術者は被検体Eに対して穿刺を進める。
ある程度、生検を進めた後(被検体Eに対して穿刺針を挿入した後)、穿刺の状態(穿刺針が計画経路に沿って進んでいるか等)を確認するため、X線CT装置1は、再度、被検体Eに対してX線スキャン(第2スキャン)を行い、ボリュームデータ(第2ボリュームデータ)を作成する。
すなわち、第1スキャンと同様、X線発生部11は、被検体Eに対してX線を曝射する。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出し、その検出データを取得する(S38)。なお、第1スキャンと第2スキャンの撮影条件等は等しいものとする。
前処理部41aは、S38で取得された検出データに対して、前処理を行い、投影データを作成する(S39)。再構成処理部41bは、S39で作成された投影データに基づいて作成された複数の断層画像データを補間処理することにより、第2ボリュームデータを作成する(S40)。レンダリング処理部41cは、第2ボリュームデータをレンダリングすることによりアキシャル像AI2を作成する。表示制御部44は、作成されたアキシャル像AI2を表示部45に表示させる(S41。図10B参照)。
表示制御部44は、第2ボリュームデータにおけるアキシャル像AI2の位置cに対応する断面位置c´を特定する(S42)。
表示制御部44は、S36で作成されたビューイングボックスVを表示部45に表示させ、且つS42で特定された断面位置c´をビューイングボックスVに表示させる(S43。図10B参照)。
なお、表示制御部44は、アキシャル像、サジタル像、コロナル像を表示画面に同時に表示させ、且つビューイングボックスにそれぞれの画像に対応する断面位置を表示させることも可能である。
図12は、表示部45の表示画面を示している。表示画面Ma〜Mcには、第2ボリュームデータに基づくアキシャル像AI2、サジタル像SI2、コロナル像CI2が表示されている。ビューイングボックスVa〜Vcには、挿入経路Iを設定したMPR画像(ここでは、アキシャル像AI1)の位置Cに対応する断面位置C´が表示されている。また、ビューイングボックスVa〜Vcには、現在表示されているアキシャル像AI2の位置に対応する断面位置c´a、コロナル像CI2の位置に対応する断面位置c´c、サジタル像SI2の位置に対応する断面位置c´sが表示されている。
<作用・効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態のX線CT装置1における表示制御部44は、第1スキャンと異なるタイミングのスキャン(第2スキャン)に基づき作成された他のボリュームデータ(第2ボリュームデータ)に基づくMPR画像に対応する断面位置c´を図形(ビューイングボックスV)に表示させる。
具体的には、表示制御部44は、他のボリュームデータ(第2ボリュームデータ)に基づくMPR画像を表示部45に表示させる。
このように、挿入経路Iを設定したMPR画像に対応する断面位置C´(或いは経路画像I´)が表示されたビューイングボックスVに対し、表示制御部44は、あるタイミングで得られたボリュームデータに基づくMPR画像に対応する断面位置c´を表示させる。これにより、術者は、ビューイングボックスV内において、挿入経路Iを計画した断面(或いは計画された挿入経路I)と、現在表示されているMPR画像(他のボリュームデータに基づくMPR画像)との位置関係を容易に把握することができる。すなわち、本実施形態におけるX線CT装置1は、穿刺計画に関する情報を呈示することが可能となっている。
(第4実施形態)
図13から図15を参照して、第4実施形態に係るX線CT装置1の構成について説明する。本実施形態では、ビューイングボックスVに、穿刺針PNに対応する画像を表示させる構成について述べる。上記実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
図13に示すように、本実施形態におけるX線CT装置1は、検出部49を有する。検出部49は、第1スキャンと異なるタイミングのスキャン(第2スキャン)に基づき作成された他のボリュームデータ(第2ボリュームデータ)に基づいて、被検体Eに挿入された穿刺針PNを検出する。なお、第2ボリュームデータを取得する段階では、既に被検体Eに対して穿刺針PNが穿刺されているものとする。
たとえば、検出部49は、第2ボリュームデータから穿刺針PNのCT値に対応するCT値を有するボクセルを検出することにより、当該ボクセルの位置を穿刺針PNの位置(座標値)として検出する。
表示制御部44は、検出された穿刺針PNの位置(座標値)について、ビューイングボックスVを作成する際の縮尺と同じ縮尺で変換することにより、穿刺針PNに対応する画像PN´を作成する。表示制御部44は、作成した画像PN´をビューイングボックスV内に表示させる(図14参照。図14は、表示部45に表示されたビューイングボックスVを示している)。
<動作>
次に、図15を参照して、本実施形態に係るX線CT装置1の動作について説明する。ここでは、アキシャル像AI1において穿刺針の挿入経路Iを作成した後、CT透視を用いて生検を行う場合の動作について述べる。
生検を開始する前に、まずX線CT装置1は、被検体Eに対してX線スキャン(第1スキャン)を行い、ボリュームデータ(第1ボリュームデータ)を作成する。
具体的には、X線発生部11は、被検体Eに対してX線を曝射する。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出し、その検出データを取得する(S50)。前処理部41aは、S50で取得された検出データに対して、対数変換処理、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正等の前処理を行い、投影データを作成する(S51)。再構成処理部41bは、S51で作成された投影データに基づいて、複数の断層画像データを作成する。また、再構成処理部41bは、複数の断層画像データを補間処理することにより第1ボリュームデータを作成する(S52)。
レンダリング処理部41cは、S52で作成された第1ボリュームデータをレンダリングすることによりアキシャル像AI1を作成する。表示制御部44は、作成されたアキシャル像AI1を表示部45に表示させる(S53)。
表示部45に表示されたアキシャル像AI1を参照しながら、術者は穿刺針の挿入経路Iの計画を立てる。術者は、入力デバイス等によってアキシャル像AI1における病変部の位置、及び穿刺針の挿入位置を指定する。設定部42は、指定された位置を結ぶ線分を挿入経路Iとして設定する(S54)。設定部42は、挿入経路Iの座標値を記憶部46に送る。記憶部46は、挿入経路I(座標値)を記憶する(S55)。
また、作成部43は、S52で作成された第1ボリュームデータを所定の縮尺で変換させることにより、ビューイングボックスVを作成する(S56)。
表示制御部44は、S56で作成されたビューイングボックスVを表示部45に表示させ、且つ挿入経路Iに対応する経路画像I´をビューイングボックスVの対応する位置に表示させる(S57)。
その後、挿入経路Iが示されたアキシャル像AI1及びビューイングボックスVを参照しながら、術者は被検体Eに対して穿刺を進める。
ある程度、生検を進めた後(被検体Eに対して穿刺針を挿入した後)、穿刺の状態(穿刺針が計画経路に沿って進んでいるか等)を確認するため、X線CT装置1は、再度、被検体Eに対してX線スキャン(第2スキャン)を行い、ボリュームデータ(第2ボリュームデータ)を作成する。
すなわち、第1スキャンと同様、X線発生部11は、被検体Eに対してX線を曝射する。X線検出部12は、被検体Eを透過したX線を検出し、その検出データを取得する(S58)。なお、第1スキャンと第2スキャンの撮影条件等は等しいものとする。
前処理部41aは、S58で取得された検出データに対して、前処理を行い、投影データを作成する(S59)。再構成処理部41bは、S59で作成された投影データに基づいて作成された複数の断層画像データを補間処理することにより、第2ボリュームデータを作成する(S60)。
検出部49は、S60で作成された第2ボリュームデータに基づいて、穿刺針PNの位置を検出する(S61)。
表示制御部44は、S57で表示されたビューイングボックスVに対し、S61で検出された穿刺針PNに対応する画像PN´を表示させる(S62)。
なお、本実施形態では、ビューイングボックスV内に経路画像I´及び画像PN´を表示させる構成について述べたが、ビューイングボックスV内に表示される画像はこの組み合わせに限られない。たとえば、表示制御部44は、画像PN´のみをビューイングボックスV内に表示させることが可能である(この場合、挿入経路Iを設定しなくともよい)。或いは、表示制御部44は、画像PN´と併せて、第2実施形態における断面位置C´や第3実施形態における断面位置c´をビューイングボックスV内に表示させることも可能である。
<作用・効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
本実施形態のX線CT装置1は、検出部49を有する。検出部49は、他のボリュームデータ(第2ボリュームデータ)に基づいて、被検体Eに挿入された穿刺針PNを検出する。表示制御部44は、穿刺針PNに対応する画像を図形(ビューイングボックスV)に表示させる。
このように、表示制御部44は、他のボリュームデータに基づいて検出された穿刺針PNに対応する画像PN´をビューイングボックスVに対して表示させる。これにより、術者は、ビューイングボックスV内において穿刺針PNの位置を容易に把握することができる。また、ビューイングボックスV内に経路画像I´が表示されている場合には、経路画像I´と画像PN´を比較することで、穿刺が計画通りに行われているかを容易に把握することができる(穿刺が計画通りに進んでいる場合、経路画像I´及び画像PN´はビューイングボックスV内で重なって表示される)。すなわち、本実施形態におけるX線CT装置1は、呈示された穿刺計画に関する情報と実際の穿刺の状態とを比較することができる。
(変形例1)
上記実施形態では、ボリュームデータの形状に基づいて、各辺が同じ縮尺となるように、ビューイングボックスを作成する例について述べた。
ここで、図4に示したような直方体のビューイングボックスは、立方体に形成されるビューイングボックスに比べて、表示部45における表示領域を広く確保する必要がある。よって、直方体のビューイングボックスは、表示領域等の制約で表示画面に表示できない可能性がある。
そこで、作成部43は、ボリュームデータの形状に基づいて、各辺が異なる縮尺となるようビューイングボックスを作成することも可能である。
すなわち、直方体のボリュームデータDが得られる場合、作成部43は、ビューイングボックスVが立方体になるよう、XY方向と当該方向に直交するZ方向との縮尺を変えて作成する。たとえば、図16に示すように、X方向及びY方向の辺の長さが100mmに対し、Z方向の辺の長さが200mmのボリュームデータD(輪郭部分O)が得られた場合、作成部43は、予め設定された、X方向及びY方向の縮尺(たとえば、1/10)及びそれとは異なるZ方向の縮尺(たとえば、1/20)に基づいて、X方向、Y方向及びZ方向の辺の長さが等しい(10mm)のビューイングボックスVを作成する。
(変形例2)
表示制御部44は、ある縮尺で作成したビューイングボックスVを表示部45に表示させた後、その縮尺を変更させることも可能である。この場合、表示制御部44は、当該縮尺に基づいて、ビューイングボックスV内の経路画像I´等の縮尺も変更する。
また、表示制御部44は、ビューイングボックスVの表示態様(表示の有無、点滅・点灯の切り換え、色の変更等)を変更することも可能である。或いは、表示制御部44は、ビューイングボックスVを表示させた状態で、経路画像I´或いは、断面位置C´の表示態様(表示の有無、点滅・点滅の切り換え、色の変更等)のみを変更することも可能である。
(変形例3)
表示制御部44は、生検を行う対象部位に対応する画像をビューイングボックスV内に表示させることも可能である。
本変形例において、設定部42は、特定部42aを含んで構成される(図17参照)。特定部42aは、ボリュームデータに基づいて、生検を行う対象部位を特定する。具体的には、特定部42aは、ボリュームデータから対象部位(たとえば病変部)のCT値に対応するCT値を有するボクセルを検出することにより、当該ボクセルの位置を対象部位の位置(三次元の座標値)として特定する。
なお、対象部位の特定は、ボリュームデータに基づくMPR画像を解析することでも可能である。たとえば、特定部42aは、対象部位を含むアキシャル像に対してエッジ検出等の手法により対象部位のX方向及びY方向の位置(座標値)を求める。また、当該アキシャル像は、ボリュームデータに基づく画像である。従って、特定部42aは、ボリュームデータに基づいて対象部位のZ方向の位置(座標値)を求める。
表示制御部44は、対象部位の位置(三次元の座標値)について、ビューイングボックスVを作成する際の縮尺と同じ縮尺で変換することにより、対象部位に対応する画像S´を作成する。表示制御部44は、作成された画像S´をビューイングボックスVに表示させる(図18参照)。図18は、表示部45に表示されたビューイングボックスVを示している。また、図18では、画像S´と共に経路画像I´も併せて表示させた例を示している。
このように、ビューイングボックスV内に対象部位に対応する画像を表示させ、上記の各実施形態と組み合わせることで、穿刺計画や実際に挿入された穿刺針と対象部位との位置関係をビューイングボックスV内で容易に把握することが可能となる。
<実施形態に共通の効果>
以上述べた少なくともひとつの実施形態のX線CT装置によれば、表示制御部は、ビューイングボックスを表示部に表示させ、且つ穿刺計画に関する情報をビューイングボックスVに表示させる。すなわち、本実施形態におけるX線CT装置1は、穿刺計画に関する情報を呈示することが可能となっている。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。