(本開示の基礎となった知見)
本発明者は、上記従来の技術に関し、以下の問題が生じることを見出した。
取得した静止画像データまたは動画像データである素材を簡単に編集できる電子機器およびプログラムが知られている。特に動画像データを編集する場合については、編集前の動画像がどのような内容であるかを容易に確認できるよう、サムネイルを表示してユーザに提示する方法が採用されることがある。
また、上述のように、一連の編集作業情報を編集プロジェクト情報として保存する技術も存在する。しかしながら、例えば、保存された編集プロジェクト情報を使用して編集作業を再開する場合、ユーザは自分がその編集プロジェクトにおいて前回どのような編集意図を持っていたのかを失念してしまう場合がある。
このような場合に、ユーザは、前回どのような編集意図を持っていたのかを思い出すのが容易ではなく、スムーズに編集作業を再開できないことがあった。
本実施の形態では、このような課題を解決するための画像編集装置の構成および動作等について説明する。
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
(実施の形態)
以下、図1〜図8を用いて、実施の形態を説明する。
図1は、実施の形態におけるPC100の主要なハードウェア構成を示す図である。
図2は、実施の形態におけるPC100の主要な機能構成を示す図である。
実施の形態に係るPC100は、動画ストリームに含まれる複数のフレームのうちの少なくとも1つのフレームに対して適用される編集の内容を示す編集情報の生成、および、少なくとも1つのフレームに対して編集を適用する処理である編集処理を行う編集部110と、編集情報に基づいて、複数のフレームの中から編集部110による編集の対象である対象フレームを特定する特定部120と、編集が適用された対象フレームのサムネイルを生成して出力するサムネイル生成部130とを備える。
これにより、本実施の形態におけるPC100によれば、ユーザは、編集途中の動画ストリームについて、編集中断時の編集意図を容易に確認することができる。つまり、PC100によれば、動画に対する編集作業を効率よく行うことができる。
本実施の形態では、編集の一例として、ムービー(動画ストリームファイル(以下、「動画ファイル」という))を編集する場合を説明する。
ムービー編集において、ユーザは、編集対象となる動画ファイルに対する編集作業を、一連の編集命令としてPC100に入力することで行う。PC100は、ユーザによる編集命令を適用した結果をプレビュー画像として、PC100に接続された液晶ディスプレイ109に出力することができる。その結果、液晶ディスプレイ109が表示する画面上において当該プレビュー画像がユーザに提示される。
また、PC100は、一連の編集作業を終えた動画ファイルを、所定の動画ファイルフォーマットに従って、当該一連の編集作業が反映された一つの動画ファイルとして出力することができる。
また、動画ファイルの編集中、ユーザが一連の編集命令をPC100に入力する過程において、PC100は、ユーザによる一連の編集命令を、HDD(Hard Disk Drive)などに編集プロジェクトファイルとして保存しておくことができる。
これにより、ユーザは、編集作業を中断することができる。一方、ユーザは、保存しておいた編集プロジェクトファイルをPC100のコントローラ101に読み込ませることにより、当該動画ファイルに対する編集作業を再開することができる。
以下、図を用いて、実施の形態におけるPC100のシステムの構成および動作について詳細に説明する。
[1.システムの構成]
まず、PC100のシステムの構成について図1を用いて説明する。
PC100は、画像編集装置の一例であり、コントローラ101、システム管理メモリ102、ワークメモリ103、HDD104、USBコネクタ107、および、表示デバイス108を備える。また、PC100には、マウス105、キーボード106、および液晶ディスプレイ109等が接続されている。
コントローラ101は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを有し、PC100における各種の情報処理を実行する処理部である。コントローラ101は、システム管理メモリ102、ワークメモリ103、HDD104、表示デバイス108、およびUSBコネクタ107と電気的に接続されている。
コントローラ101は、表示デバイス108を介して、液晶ディスプレイ109に表示される画面を変更することができる。また、コントローラ101は、USBコネクタ107を介して、マウス105やキーボード106を用いてのユーザの指示を受け付ける。
また、コントローラ101は、PC100の各部に供給される電力等のシステム(図示せず)を全体的に制御している。
システム管理メモリ102は、OS(オペレーションシステム)などが保持されているメモリである。また、システム管理メモリ102には、システム時刻などが格納されている。システム時刻は、コントローラ101がOSのプログラムを実行することにより更新される。
ワークメモリ103は、コントローラ101が各種処理を実行するために必要な情報を一時的に格納するメモリである。コントローラ101は、動画ファイルを編集する場合、ユーザが指定した編集命令に従って編集する。ワークメモリ103には、コントローラ101により、ユーザに指定された一連の編集命令等が格納される。編集命令の詳細については、図5等を用いて後述する。
HDD104は、未編集、編集完了前、または編集完了後の動画ファイルなどを格納するディスクドライブである。また、HDD104には、画像編集ソフトの実行ファイルが格納されている。
マウス105は、ユーザが編集操作時に使用するポインティングデバイスである。ユーザは、マウス105を操作することにより、画像編集ソフトの画面上において、編集命令の指定(PC100への編集命令の入力)を行うことができる。
キーボード106は、ユーザが編集操作時にPC100への文字入力などを行う、キーボードデバイスである。
USBコネクタ107は、マウス105とキーボード106とをPC100に接続するためのコネクタである。
表示デバイス108は、コントローラ101で演算された画面情報を映像化するデバイスであり、画面情報を液晶ディスプレイ109に伝える。
液晶ディスプレイ109は、表示デバイス108で映像化した画面情報を表示する表示装置である。
コントローラ101は、画像編集ソフトをHDD104から読み出し、ワークメモリ103に格納して、画像編集ソフトを起動し実行する。また、コントローラ101は、画像編集ソフトのプログラムに従って、例えば、以下の処理を実行する。
(1)コントローラ101は、マウス105またはキーボード106で行われたユーザの編集操作(編集命令の指定)を、USBコネクタ107を介して受け付ける。
(2)コントローラ101は、ユーザが指定した一連の編集命令をワークメモリ103に格納する。コントローラ101はさらに、編集命令に従って編集された結果(プレビュー画像)を液晶ディスプレイ109に表示するために、画像情報を表示デバイス108に供給する。
(3)コントローラ101は、マウス105またはキーボード106で行われた、ユーザによる、編集プロジェクトファイルの保存操作を、USBコネクタ107を介して受け付ける。
(4)コントローラ101は、ワークメモリ103に格納された一連の編集命令を、編集プロジェクトファイルとしてHDD104に保存する。
(5)コントローラ101は、ユーザによる編集作業の中断操作を受け付けて当該動画ファイルに対する編集のための処理を一旦終了する。また、コントローラ101は、ユーザによる編集作業の再開操作を受け付けて、システムを再起動する。
(6)コントローラ101は、マウス105またはキーボード106を介した、ユーザによる編集プロジェクトファイルに対する選択操作を、USBコネクタ107を介して受け付ける。
(7)コントローラ101は、ユーザにより選択された編集プロジェクトファイルの内容を解析し、ユーザの編集意図を示す要約情報(サムネイル画像など)を作成する。
(8)コントローラ101は、要約情報(サムネイル画像など)を液晶ディスプレイ109に表示するために、当該要約情報を含む画像情報を表示デバイス108に供給する。
(9)コントローラ101は、上記の処理(1)〜(8)をユーザの編集作業が終わるまで繰り返す。
(10)コントローラ101は、マウス105またはキーボード106を介した、ユーザによる動画フファイル出力保存操作を、USBコネクタ107を介して受け付ける。
(11)コントローラ101は、一連の編集命令に従って編集作業を行った結果である動画ファイルを、所定の動画ファイルフォーマットに従って作成し、HDD104に保存する。
次に、実施の形態に係るPC100の機能的な構成を、図2を用いて説明する。
図2に示すように、実施の形態におけるPC100は、主要な機能構成として、編集部110、特定部120、およびサムネイル生成部130を備える。
編集部110は、動画ストリームに含まれる複数のフレームのうちの少なくとも1つのフレームに対して適用される編集の内容を示す編集情報の生成、および、当該少なくとも1つのフレームに編集を適用する処理である編集処理を行う。
本実施の形態では、編集部110は、HDD104から読み出した動画ストリームに対する編集の内容を示す編集プロジェクトファイルを編集情報として生成する機能と、当該編集を動画ストリームに対して行う機能とを有する。また、生成された編集プロジェクトファイルは、HDD104に格納される。
なお、「動画ファイルを編集する」という場合、本実施の形態では、画像編集装置として機能するPC100が、当該動画ファイルに含まれる動画(動画ストリーム)に対する編集処理を行うことを意味する。
また、動画ストリームに対して行われる「編集」または「編集処理」とは、例えば、1つのフレームまたは連続する複数のフレームに対する、文字、画像、もしくは、記号の追加、シーン切り替え時におけるトランジションなどの効果の追加、明度、彩度、もしくは色相の調整、または、画質の改善、などの処理のことである。
つまり、「編集」または「編集処理」は、編集対象の画像(編集対象のフレームの少なくとも一部の画像)に対する加工、修正、または変更等と言い換えることも可能である。
特定部120は、編集部110に生成された編集情報に基づいて、当該複数のフレームの中から、編集部110による編集の対象である対象フレームを特定する。
本実施の形態では、特定部120は、HDD104から読み出した編集プロジェクトファイルに基づいて、編集対象の動画ストリームに含まれる複数のフレームの中から対象フレームを特定する。
サムネイル生成部130は、当該編集が適用された対象フレームのサムネイルを生成して出力する。
例えば、当該編集が適用された対象フレームの一部または全部の画像を所定のサイズに縮小することで、当該対象フレームに対応するサムネイルが得られる。
なお、上述の、編集部110、特定部120、およびサムネイル生成部130のそれぞれの処理は、本実施の形態では、コントローラ101が上記の画像編集ソフト等を実行することで実現される。
[2.編集画面の構成]
続いて、PC100から出力され、液晶ディスプレイ109に表示される編集画面の構成について図3を用いて説明する。
図3は、実施の形態におけるPC100から出力される編集画面の概要を示す図である。つまり、図3には、PC100から出力され、液晶ディスプレイ109に表示される表示画面の一例が示されている。
図3に示すように、液晶ディスプレイ109に表示される編集画面は、プレビューエリア400、タイムラインエリア401、編集命令追加エリア402、プロパティエリア403、新規プロジェクト釦404、プロジェクト読み込み釦405、プロジェクト保存釦406、ファイル出力釦407、および終了釦408等から構成される。
プレビューエリア400は、編集中の動画の再生を実行する画面である。例えば、ユーザが編集命令としてテキスト配置を行った場合、プレビューエリア400には、図3に示すように、そのテキストが表示される位置にテキストボックスが表示される。ユーザはこのテキストボックスの位置をマウス105などで操作することで、テキストが表示される位置の調整を行うことができる。
タイムラインエリア401は、ユーザが設定した各編集命令をタイムライン上に表示し、ユーザからの指示に応じて編集するエリアである。タイムラインエリア401の左端が、当該動画ストリームの全体における、当該タイムラインエリア401に表示されている範囲の先頭の時刻を表し、タイムラインエリア401の右端が当該範囲の終点の時刻を表している。
ユーザは、タイムラインエリア401の下方に表示された水平スクロールバーを操作することで、タイムラインエリア401内に表示される範囲を調整できる。
また、タイムライン上に表示されている個々の箱が個々の編集命令を表現している。箱の左端の位置は動画上でその編集命令が有効になる時刻を表し、箱の右端の位置はその編集命令が無効になる時刻を表す。
つまり、タイムラインエリア401内において、ある1つの箱に着目した場合、当該箱左端の位置が、当該箱に対応する編集が適用される開始時刻を示し、当該箱右端の位置が、当該箱に対応する編集が適用される終了時刻を示す。また、当該箱の長さが、当該編集が適用される時間の長さを示す。
なお、ユーザは同時刻に複数の編集命令を配置することも可能であり、その場合、箱はタイムライン上の上下位置をずらして表示される。
図3に示す例では、(1)「テキスト(文字表示)」と、「スタンプ(星)」2つがほぼ同時刻に表示された後に、(2)「テキスト(文字表示)」だけ残し、「スタンプ(星)」2つが無効される場合が示されている。また、(3)残った「テキスト(文字表示)」を無効にして、(4)所定時間経過後に「スタンプ(花)」が表示される場合が示されている。
編集命令追加エリア402は、ユーザが個々の編集命令を追加するためのエリアである。編集命令追加エリア402には、各編集命令(テキスト、スタンプ、および速度変更など)に対応した編集命令釦が表示されている。ユーザは所望の編集命令釦を押下することで、その編集命令が示す編集内容(「テキスト」「スタンプ」など)を編集中の動画ストリームに対して配置することができる。
配置された編集命令の、当該動画が表示される画面における画面座標に対する空間位置は、プレビューエリア400に反映される。これにより、ユーザは、編集命令が配置された空間位置を、容易に確認することができる。
また、編集中の動画ストリームにおいて、編集命令を配置した時間位置はタイムラインエリア401上で表示される。これにより、ユーザは、当該編集命令が配置された時間位置を、容易に確認することができる。
さらに、ユーザは、プレビューエリア400およびタイムラインエリア401のそれぞれで、各編集命令に対応する箱を移動させることによって、その空間位置および時間位置を調整することができる。
また、ユーザは、プレビューエリア400およびタイムラインエリア401のそれぞれで、各編集命令に対応する箱の大きさを変更することによって、その空間範囲(当該編集が適用される空間的な大きさ)および時間範囲(当該編集が適用される時間の長さ)を調整することができる。
プロパティエリア403は、配置済みの個々の編集命令の内容を調整するためのエリアである。例えば、編集命令において指定されたテキストのフォントサイズおよび色など、時間的および空間的な位置および範囲以外の情報については、プロパティエリア403に情報を入力することで調整することができる。
また、プレビューエリア400またはタイムラインエリア401で、プロパティエリア403において、現在選択されている編集命令に対応した情報が表示される。
例えば、図3では、タイムラインエリア401に表示された編集命令“テキスト”に対応する文字または記号などの入力と、フォントサイズおよび色の指定とが、プロパティエリア403において受付可能である状態が示されている。
新規プロジェクト釦404は、新たな動画編集を開始する際に押下する釦である。新規プロジェクト釦404が押下されると、動画ファイルの一覧画面が表示され、ユーザは編集対象となる動画ファイルを選択することができる。これにより、ユーザは、選択した動画ストリームを新たな編集対象として扱うことができる。
プロジェクト読み込み釦405は、ユーザが以前に保存した編集プロジェクトファイル(以下、単に「プロジェクト」ともいう。)を読み込んで作業を再開する場合に押下する釦である。
編集画面(図3参照)において、プロジェクト読み込み釦405が押下されると、プロジェクト読み込み画面(図4を用いて後述)がPC100から出力され、液晶ディスプレイ109に表示される。ユーザは、このプロジェクト読み込み画面において、読み込み対象のプロジェクトを選択する。
その結果、プレビューエリア400およびタイムラインエリア401に、当該プロジェクトの保存時の状態が復元される。つまり、プレビューエリア400およびタイムラインエリア401において、当該プロジェクトに示される複数の編集の内容が反映された表示がなされる。
プロジェクト保存釦406は、ユーザが現在の編集状態を編集プロジェクトファイルとしてHDD104に保存して作業を中断する際に押下する釦である。プロジェクト保存釦406が押下されると、PC100は、保存するプロジェクト名を設定するダイアログを液晶ディスプレイ109に表示させる。ユーザは当該ダイアログにおいて保存プロジェクト名を入力する。入力されたプロジェクト名は、当該編集プロジェクトファイルにファイル名として付される。また、当該編集プロジェクトファイルには編集対象の動画ストリームの情報および、一連の編集命令の情報などが保存される。編集プロジェクトファイルのデータ構成例については、図5を用いて後述する。
なお、編集プロジェクトファイルは、編集情報の一例であり、編集プロジェクトファイルに示される複数の編集命令のそれぞれは、個別編集内容の一例である。
ファイル出力釦407は、ユーザが現在の編集状態を反映させた動画ファイルをHDD104に保存する際に押下する釦である。なお、このとき作成される動画ファイルの出力形式は、予めユーザが選択できるようにしておいてもよい。この場合、例えば、ユーザがAVCHD(Advanced Video Codec High Definition)ファイル形式を選択している場合は、PC100は、AVCHDファイル形式の動画ファイルを作成する。
終了釦408は、ユーザが、動画ファイルの編集システムを終了する際、つまり、画像編集ソフトを終了する際に押下する釦である。
[3.プロジェクト読み込み画面の構成]
続いて、液晶ディスプレイ109が表示するプロジェクト読み込み画面の構成について図4を用いて説明する。
図4は、実施の形態におけるPC100から出力されるプロジェクト読み込み画面の概要を示す図である。つまり、図4には、PC100から出力され、液晶ディスプレイ109に表示されるプロジェクト読み込み画面の一例が示されている。
図4に示すように、PC100から出力され、液晶ディスプレイ109に表示されるプロジェクト読み込み画面は、プロジェクト一覧エリア500、要約サムネイルエリア501、開く釦502、キャンセル釦503等から構成される。
プロジェクト一覧エリア500は、ユーザがHDD104に保存したプロジェクトを列挙して表示するエリアである。プロジェクト一覧エリア500には、各プロジェクトに関する基本情報として、プロジェクト名、総時間、および保存日時などが表示される。ユーザは列挙しているプロジェクトのうち1つを選択状態にすることができる。
例えば、図4では、プロジェクト名「運動会」であるプロジェクトが選択状態であることが示されている。
要約サムネイルエリア501は、プロジェクト一覧エリア500においてユーザによって選択状態にされているプロジェクトの要約サムネイル群を表示するエリアである。
ユーザは、この要約サムネイル群を閲覧することで、このプロジェクトに対して行った編集内容を容易に確認することができる。PC100が要約サムネイル群を生成するアルゴリズムについては後述する。
開く釦502は、ユーザがプロジェクト一覧エリア500で選択状態にしたプロジェクトを開く際に押下する釦である。開く釦502が押下されると、液晶ディスプレイ109での表示は、当該プロジェクトの情報を読み込んだ状態の編集画面に遷移する。
キャンセル釦503は、ユーザがプロジェクトを開くことをやめる際に押下する釦である。キャンセル釦503が押下されると、液晶ディスプレイ109での表示は、プロジェクト読み込み画面に遷移する前の状態の編集画面に遷移する。
[4.編集命令]
続いて、編集命令の持つ情報について説明する。
編集命令は動画に編集を適用する際に、どのような編集を、どの時間位置とどの空間位置に配置するか等を指定する情報である。
つまり、編集命令は、当該編集の内容を示す情報である。編集の内容としては、当該編集の種類、当該編集が適用される時間位置、当該編集が適用される時間の長さ、当該編集が適用される空間位置および、当該編集が適用される空間的な大きさなどが例示される。
また、編集命令の種類としては、テキスト命令、スタンプ命令、自由曲線命令、色調整命令などが例示される。
“テキスト命令”は、編集の種類は、テキストの追加であり、表示する文字列、フォント、時間位置、および空間位置などを情報として持つ。
“スタンプ命令” は、編集の種類は、スタンプの追加であり、表示するスタンプ画像のパス、時間位置、および空間位置などを情報として持つ。
“自由曲線命令” は、編集の種類は、自由曲線の追加であり、曲線の形状を表す座標群、曲線の色、曲線の太さ、および時間位置などを情報として持つ。
“色調整命令” は、編集の種類は、色の調整であり、色調整の内容(明度、彩度、色相)および時間位置などを情報として持つ。
コントローラ101は、ユーザが編集作業中には、ワークメモリ103に一連の編集命令を格納し、編集画面にその内容を反映する。またコントローラ101は、ユーザがプロジェクトを保存する際には、一連の編集命令を含む情報を編集プロジェクトファイルとしてHDD104に保存する。
またコントローラ101は、ユーザが編集作業を完了させた動画ファイルを、AVCHD形式等の動画ファイルとして出力する際には、その時点でワークメモリ103に格納されている編集命令を当該編集プロジェクトファイルに記録する。コントローラ101はさらに、当該編集プロジェクトファイルに示される一連の編集命令を反映させた動画ファイルを生成する。生成された動画ファイルはHDD104に保存される。
図5は、実施の形態における編集プロジェクトファイルに含まれる編集命令の例を示す図である。
図5に示す編集プロジェクトファイルには、E1〜E7の7個の編集命令が示されている。つまり、編集部110(コントローラ101)は、これら編集命令のそれぞれに対応した編集処理を実行することで、これら編集命令が反映された動画ファイル(動画ストリーム)を生成することができる。
コントローラ101が、これら編集命令からサムネイル対象となる編集命令を選択する処理については後述する。
[5.要約サムネイル群作成動作]
続いて、編集対象の動画と一連の編集命令と最大サムネイル枚数とに基づいて、PC100が、要約サムネイル群を生成する動作について説明する。
本実施の形態におけるPC100では、編集対象の動画と、当該編集対象の動画に対してユーザが指定した一連の編集命令とに基づいて、要約サムネイル群を作成する。
また、本実施の形態におけるPC100では、最大サムネイル枚数が規定されており、これにより、編集中の動画の要約サムネイル群をよりコンパクトに作成することができる。
まず、PC100が行う、編集プロジェクトファイルおよびサムネイルの生成に係る基本的な処理の流れを、図6を用いて説明する。
図6は、実施の形態のPC100における編集プロジェクトファイルおよびサムネイルの生成に係る基本的な処理の流れを示すフローチャートである。
編集部110は、動画ストリームに含まれる複数のフレームのうちの少なくとも1つのフレームに対して適用される内容を示す編集情報を生成する(S100)。
本実施の形態では、編集情報として、編集プロジェクトファイル(例えば、図5参照)が生成される。
特定部120は、生成された編集情報に基づいて、当該複数のフレームの中から、編集部110による編集の対象である対象フレームを特定する(S110)。
サムネイル生成部130は、当該編集が適用された対象フレームのサムネイルを生成して出力する(S120)。
なお、特定部120によって対象フレームのが特定された時点で、その対象フレームに対応する編集が適用された対象フレームがHDD104またはワークメモリ103等に保存されていない場合、編集部110によって対象フレームへの当該編集の適用がなされ、その後、当該編集が適用された対象フレームのサムネイルが生成される。
PC100は、編集対象の動画ストリームに対し、以上の処理を行うことで、当該動画ストリームに対する編集意図を示す、少なくとも1つのサムネイルを生成して出力する。
次に、PC100が行う、1以上のサムネイルからなる要約サムネイル群作成に係る処理の流れの具体例を、図7を用いて説明する。
図7は、実施の形態のPC100における要約サムネイル群作成に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。ここで、図7におけるステップS500〜S504は、図6におけるステップS110に対応する。また、図7におけるステップS506は、図6におけるステップS120に対応する。
なお、図7に示される一連の処理は、例えば、プロジェクト読み込み画面(図4参照)において、複数の編集プロジェクトファイルの中から1つの編集プロジェクトファイルがユーザにより選択されたことをトリガとして実行される。
まず、コントローラ101は、ユーザに選択された編集プロジェクトファイルから、ユーザが編集を前回中断したときの一連の編集命令を検索し、各編集命令の持つ情報を収集する(S500)。
このとき、コントローラ101は、同時刻に開始される編集命令が存在するかどうかを調べる。例えば、図3に示す「テキスト(文字表示)」と、2つの「スタンプ(星)」とは、同時刻に開始される編集命令の一例である。
本実施の形態では、コントローラ101は、同時刻に開始される複数の編集命令は、1つの編集命令とみなす処理を行なう。このような考え方のもとで、編集命令の総数をr個、i番目の編集命令をAiとする(1≦i≦r)。
続いて、コントローラ101は、各編集命令Aiに対する優先度P(i)を算出する(S501)。
具体的には、ある編集命令Aiについて、その編集が適用される時間の長さをt(i)、その編集が適用される、動画画面における空間の大きさ(=面積)をs(i)、編集の種類に応じた重みづけをk(i)とした場合を想定する。このとき、優先度P(i)は、例えば次のように定めることができる。
P(i)=t(i)+s(i)+k(i) (式1)
なお、t(i)およびs(i)は、各々時間の長さの値、空間の大きさの値そのものである必要はなく、それらの値との間で正の相関関係を有する変数、例えば、それらの値の大きさに応じて大きくなるような変数であってもよい。
また、k(i)については、例えば、編集命令に示される編集の種類の重要度が高いほど値が大きくなるように予め決めておく。例えば、スタンプの追加を示す編集命令については、当該編集命令に示されるスタンプの種類が、より派手なものほど、k(i)の値が大きくなるように決めることができる。
また編集命令AiがS500において複数の編集命令をまとめて1つとみなしている場合、コントローラ101は、所定の基準により、複数の編集命令についての、t(i)、s(i)、およびk(i)を決定する。
例えば、コントローラ101は、t(i)として、それらの編集命令の中で最も時間の長いものの値を採用してもよい。また、コントローラ101は、s(i)としてそれらの編集命令の空間の大きさの値の和を採用し、k(i)としてそれらの編集命令の中で最も重みの大きなものを採用してもよい。
続いてコントローラ101は、各編集命令Aiのうちで最も優先度Pの高いものを選び、それを1枚目のサムネイル対象として選択する(S502)。
つまり、優先度Pの最も高い編集命令Aiが選択されることで、当該編集命令Aiに示される編集が適用される1以上のフレームのうちの少なくとも1つのフレームが、サムネイルの作成元となる対象フレームとして特定される。
また、サムネイル最大枚数をq(q≧1)とし、j番目のサムネイル対象の編集命令の添え字をx(j)で表した場合、1≦j≦qであり、x(1)は、P(x(1))=max(P(i))を満たす。
すなわち、1枚目のサムネイル対象として選択される編集命令は、例えば、当該編集命令に示される編集が適用される時間(適用時間)が、他のサムネイル対象の編集命令における適用時間より長いものが選択される。
また、1枚目のサムネイル対象の編集命令は、例えば、当該編集命令に示される編集が適用される面積(適用面積)が、他のサムネイル対象の編集命令における適用面積よりより大きいものが選択される。
また、1枚目のサムネイル対象の編集命令は、例えば、当該編集命令に示される編集の種類が、他のサムネイル対象の編集命令における編集の種類より重要であるものが選択される。
続いてコントローラ101は、最大サムネイル枚数分の編集命令が選択できたか確認する(S503)。つまり、予め定められた数の編集命令の選択が完了したか否かが確認される。その結果、当該選択が完了していた場合(S503でYes)、コントローラ101の処理はS505に移行する。
最大サムネイル枚数分の編集命令が選択できていない場合(S503でNo)、コントローラ101は、2枚目以降のサムネイル対象の編集命令を選択するために、再度優先度を算出する(S504)。
ここではj枚目のサムネイル対象の編集命令の添え字x(j)を決定することを考える。まだサムネイル対象に選ばれていない添え字のリストをy(i)で表すと、1≦i≦r−j+1である。
この場合、2枚目以降のサムネイル対象の編集命令を選択するための優先度Pの算出に、下記の(式2)を用いてもよい。
P(y(i))=(t(y(i))+s(y(i))+k(y(i)))*d(y(i)) (式2)
なお、2枚目以降のサムネイルについての優先度Pの算出方法が(式1)と同じである場合にはこのステップ(S504)は省略し、S502に移行してもよい。
ここで、(式2)に含まれるd(y(i))は、サムネイル間隔係数である。具体的には、すでにサムネイル対象としに選ばれたj−1個の各編集命令と比べて、計算対象の編集命令がどれだけ時間的に離れているかを計算したものである。
より詳細には、サムネイル間隔係数は、選択済みの編集命令と時間的に離れているほど
値が大きくなるように設定されている。
つまり、2枚目以降のサムネイルの対象として選択される編集命令については、この係数が加味された式によって特定される。これにより、編集の適用時間がより長く、編集の適用面積がより大きく、適用される編集の種類がより重要である、いう基準に加え、動画の時間全体からなるべくまんべんなくサムネイルを選択する、という基準によって、編集命令の選択をすることができる。
なお、サムネイル間隔係数は、選択されていない編集命令と選択済みの編集命令との時間的な差に比例する必要はなく、サムネイル間隔係数は、当該時間的な差と正の相関関係を有していればよい。
続いてコントローラ101は、最も優先度Pの高い編集命令を選び、それをj枚目のサムネイル対象とする(S502)。
以上の処理を、選択した編集命令の数が最大サムネイル枚数qに到達するまで(S503でYes)繰り返す。編集命令の総数rが、最大サムネイル枚数qより小さい場合は、例えば、選択した編集命令の数がrに到達した時点でこれら処理の繰り返しを中止してもよい。もしくは、コントローラ101は、動画の時間全体の中でサムネイルとして選ばれていない時間帯から、q−r個の編集命令を選んでサムネイル対象としてもよい。
以上のように、コントローラ101は、最大サムネイル枚数分の数の編集命令を選択するまで、S503、S504、およびS502の処理を繰り返す。
S503で最大サムネイル枚数に対応する数の編集命令が選択されていた場合、コントローラ101は、サムネイル対象として選ばれた各編集命令を用いて、実際にサムネイルを生成する(S505)。
コントローラ101は、例えば、サムネイル対象として選択された編集命令の開始時刻におけるフレームを対象フレームとして特定し、当該編集命令に示される編集が適用された対象フレームのサムネイルを生成する。
ここで、対象フレームが特定された時点で、当該編集が適用された当該対象フレームがHDD104等に保存されていない場合、コントローラ101は、当該対象フレームに当該編集を適用し、その後、当該対象フレームの少なくとも一部を用いてサムネイル生成する。
また、編集命令の時間範囲の中で表示が変化する場合には、コントローラ101は、例えば、当該時間範囲の最も特徴的であるフレームを対象フレームとして特定する。
例えば、テキストの追加を示す編集命令であって、テキストが横からフェードインしてくるような編集命令である場合には、時間範囲の先頭のフレームからサムネイルを生成すると、まだテキストが表示されていない画像のサムネイルが生成される。そのため、テキストのフェードインが完了した時刻のフレームが対象フレームとして特定され、特定された対象フレームに対応するサムネイルが生成される。
また、編集命令が、編集が適用される空間範囲を持つ場合には、コントローラ101は、サムネイルとして採用する画像範囲をその空間範囲周辺のみに制限してもよい。
例えばスタンプの追加を示す編集命令であって、スタンプが画面全体に対して占める面積が小さい場合を想定する。この場合、当該対象フレームの画像全体をサムネイルとして採用すると、ユーザが、当該編集の特徴であるスタンプを視認しにくくなる。
そのため、画像全体ではなく、そのスタンプの周辺の空間のみをサムネイルとして使用する。
以上により、コントローラ101は、要約サムネイル群作成動作を終了する。
このようにして作成された、1以上のサムネイルを含む要約サムネイル群は、コントローラ101から出力され、表示デバイス108を介して液晶ディスプレイ109に入力される。その結果、例えば図4に示すように、要約サムネイルエリア501に、これらサムネイルが表示される。
[6.要約サムネイル群作成動作の計算例]
ここで、要約サムネイル群作成動作の数値計算の例を示す。例として3分間の動画に対して、最大サムネイル枚数3の要約サムネイル群を作成する場合を考える。
また、ユーザによって、1つの編集プロジェクトファイルに7つの編集命令(図5のE1〜E7)が設定されている場合を想定する。
E1は、テキストがフェードインしてくる効果を与える編集命令であり、動画の0:00〜0:10の10秒間テキストを表示し、その表示領域は、横1000ピクセル×縦400ピクセルの領域である。
同様に、E2は、0:30〜0:45にかけて、スタンプ(花)を100x100ピクセルの領域に表示する編集命令である。
また、E3は、1:00〜1:15にかけてスタンプ(星)を100x100ピクセルの領域に表示する編集命令である。E4は、1:00〜1:15にかけてスタンプ(光)を100x100ピクセルの領域に表示する編集命令である。E5は、1:00〜1:15にかけてスタンプ(星)を100x100ピクセルの領域に表示する編集命令である。
また、E6は2:00〜2:05にかけてテキスト(フェードイン)を800x100ピクセルの領域に表示する編集命令である。E7は2:30〜2:45にかけてスタンプ(矢印)を90x90ピクセルの領域に表示する編集命令である。
ここで、E3、E4、およびE5は表示時間が同一であるが、これは動画内の同時刻に動画内の異なる場所に各スタンプが表示されることを意味している。
以下、上述のフローチャート(図7)、および、図8を参照しながら、要約サムネイル群作成動作の具体例を説明する。
図8は、実施の形態における複数の編集命令についての優先度計算の結果の例を示す図である。
なお、図8および以下に示される算出結果の数値それぞれは、必ずしも厳密な値ではなく、四捨五入等の丸め処理が施されている場合もある。
まず、コントローラ101は、S500において、複数の編集命令を確認する。この確認の結果、E3、E4、E5は表示時間が同一であるため一つの編集命令とみなされる。
そのため、編集命令の総数はr=5であり、図8に示すように、7つの編集命令は、A1=E1、A2=E2、A3=E3・E4・E5、A4=E6、A5=E7というように5つの編集命令にまとめられる。
次にコントローラ101は、S501において、各編集命令の優先度を計算する。優先度の計算にあたっては以下の各式を用いる。具体的には、コントローラ101は、各編集命令の優先度を算出するために、適用時間等の個別の優先度を算出する。
例えば、適用時間に関する優先度tは、(式3)によって算出される。
t=(編集命令の適用時間/動画全長)*1000 (式3)
本例では、動画全長が3分(180秒)であると想定されているため、(式3)は、(式4)となる。
t=(編集命令の適用時間/180)*1000 (式4)
すなわち、編集命令に示される編集が適用される時間が長いほど、時間の長さに関する優先度tは大きくなる。
空間の大きさに関する優先度sは、編集が適用される空間のピクセル数をaとして、(式5)または(式6)によって算出される。
a<100000の場合
s=a/2000+a/100000 (式5)
100000≦a<1000000の場合
s =50+a/20000+a/1000000 (式6)
つまり、aが大きくなるほど優先度sが大きくなる。また、式を2段階に分けることで、ピクセル数の差が極端に優先度sに反映されすぎないようにしている。
編集の種類に関する優先度kは、例えば、テキスト(フェードイン)のときk=2、スタンプ(花)のときk=0、スタンプ(星)のときk=0、スタンプ(光)のときk=0、スタンプ(矢印)のときk=5と設定される。
つまり、テキストは重要な情報である場合が多いため、テキストの追加を示す編集命令についての優先度は、比較的に高く設定されている。
またスタンプ(矢印)の追加を示す編集命令についての優先度は、何か画面内に注目したい部分があることを示しているため、他の種類の編集命令よりも優先度が高く設定されている。
次に、コントローラ101は、S501において、1枚目のサムネイル決定(サムネイル対象の編集命令の選択)のための優先度、P(i)=t(i)+s(i)+k(i)を計算する(1≦i≦5)。
なお、P(2)の計算にあたっては、A2は3つの編集命令を含んでいるため、ピクセル数aを3つの編集命令の総和(100*100+100*100+100*100=30000)として計算する。
コントローラ101が、上述の各式およびルールに従って算出した結果、5つの編集命令に対応する優先度Pは、図8に示すように、P(1)=127.9、P(2)=88.4、P(3)=98.6、P(4)=96、P(5)=92.4となる。
次に、コントローラ101は、S502において、優先度Pの最も大きい編集命令を選ぶ。本例の場合、P(1)が最も大きいので、1枚目のサムネイル対象の編集命令としてA1が選択される。
次に、コントローラ101は、S503において、選択済みの編集命令の数:1<最大サムネイル枚数:3であるので(S503でNo)、処理をS504に移行する。
次に、コントローラ101は、S504において、A1を除いた残りの4つの編集命令の中から、2枚目のサムネイル対象の編集命令を選択するための、残りの編集命令それぞれの優先度Pを再計算する。なお、これら優先度Pの算出のための計算式として、(式2)が採用される。
ここで、ある編集命令のサムネイル間隔係数dは、その編集命令の開始時刻とすでにサムネイル対象として選ばれている1以上の編集命令それぞれの開始時刻との差の絶対値の最小値をmとした場合、以下の(式7)または(式8)を用いて算出される。
m<動画全長/(選択済みの編集命令数+1)の場合
d=0.5+(m/動画全長)/2 (式7)
m≧動画全長/(選択済みの編集命令数+1)の場合
d=1 (式8)
つまり、コントローラ101は、複数の編集命令のうちの選択されていない1以上の編集命令のそれぞれについて、既に選択した編集命令との時間的な差を用いて優先度を算出する。
具体的には、優先度の算出対象の編集命令の開始時刻が、サムネイル対象として選択済みの編集命令の開始時刻に近い場合、コントローラ101によって算出されるdの値は小さくなる。
また、これらの開始時刻の差が十分に大きい時は値を1に固定することで、当該開始時刻の差が優先度Pの値に与える影響が大きくなりすぎないようにしている。
本例では、動画全長/(選択済みの編集命令数+1)=180/(1+1)=90秒である。
従って、A1以外の各編集命令(A2〜A5)と編集命令A1との開始時刻の差の絶対値mは、m(2)=30、m(3)=60、m(4)=120、m(5)=150である。
また、m(2)=30は30<90を満たすので、(式7)が適用され、d(2)=0.5+(30/180)/2=0.58と算出される。
同様にd(3)=0.67、d(4)=1、およびd(5)=1と算出される。この場合、各編集命令の(A2〜A5)優先度Pは、(式2:P=(t+s+k)*d)に従い、図8に示すように、P(2)=51.5、P(3)=65.7、P(4)=96.0、P(5)=92.4と算出される。
次に、コントローラ101は、S502において、A2〜A5の中から優先度Pの最も高い編集命令を選ぶ。すなわち、2枚目のサムネイル対象の編集命令としてA4が選択される。
このように、サムネイル間隔係数dにより、1枚目のサムネイル対象(A1)と、時間的に少し離れた編集命令が選ばれやすくなった結果、1枚目のサムネイル対象の算出結果では3番目の優先度であったA4が、2枚目のサムネイル対象として選ばれたことになる。
これによって要約サムネイルの対象となるフレームが動画の中の特定の時間区間に極端にかたよることが避けられ、その結果、ユーザに、過去の編集作業の意図をより容易に確認させることが可能となる。
次に、コントローラ101は、S503において、選択済みの編集命令数:2<最大サムネイル枚数:3であるので、処理をS504に移行する。
次に、コントローラ101は、S504において、A1とA4を除いた残りの3つの編集命令(A2、A3、A5)の中から、3枚目のサムネイル対象を決定するために、各編集命令の優先度を再計算する。
ここで、動画全長/(選択済みの編集命令数+1)=180/(2+1)=60秒である。
また、編集命令A2と編集命令A1の開始時刻の差の絶対値は30、編集命令A2と編集命令A4の開始時刻の差の絶対値は120であるので、最小値をとってm(2)=30である。同様にm(3)=60、m(4)=30である。
従って、d(2)=0.58、d(3)=1、d(5)=0.58となり、その結果、P(2)=51.5、P(3)=98.6、P(5)=53.9と算出される。
次に、コントローラ101は、S502において、A2、A3、A5の中から優先度Pの最も高い編集命令を選ぶ。すなわち、3枚目のサムネイル対象の編集命令としてA3が選択される。
次に、コントローラ101は、S503において、選択済みの編集命令数:3=最大サムネイル枚数:3であるので、処理をS505に移行する。
コントローラ101は、まず、A1に対応する編集は、効果としてフェードインが採用されているため、効果の開始時刻(0:00)ではまだA1で指定されるテキストが画面に表示されていない。そのためコントローラ101は、サムネイルの作成元となる対象フレームとして、少し時間を遅らせて0:02の時刻に対応するフレームを特定する。また、コントローラ101は、サムネイルに示される画像として、当該テキストが表示されている空間を含む、当該空間の付近の画像を切り取る。
次に、コントローラ101は、A2に対応する対象フレームとして、A2の開始時刻0:30に対応するフレームを特定する。また、コントローラ101は、A2に対応するサムネイルに示される画像の空間位置および空間範囲として、A2に示されるスタンプが十分大きく見えるような位置および範囲を決定する。
次に、コントローラ101は、A4に対応する対象フレームとして、A1と同様、開始時刻を遅らせて2:02の時刻に対応するフレームを特定し、かつ、サムネイルに示される画像として、テキストが表示されている空間を含む、当該空間の付近の画像を、対象フレームから切り取る。
以上の処理の結果、ユーザに、過去の編集意図を容易に確認させることのできる、動画ストリームから時間的および空間的に切り取られた要約サムネイル群を生成することができる。
[7.効果等]
以上説明したように、本実施の形態において、PC100は、編集部110と、特定部120と、およびサムネイル生成部130とを備える(例えば、図3参照)。
編集部110は、動画ストリームに含まれる複数のフレームのうちの少なくとも1つのフレームに対して適用される編集の内容を示す編集情報の生成、および、少なくとも1つのフレームに対して編集を適用する処理である編集処理を行う。
特定部120は、編集情報に基づいて、複数のフレームの中から、編集部110による編集の対象である対象フレームを特定する。
サムネイル生成部130は、編集が適用された対象フレームのサムネイルを生成して出力する。
なお、本実施の形態では、PC100は、これら編集部110、特定部120、およびサムネイル生成部130として機能するコントローラ101を備えている。
すなわち、画像編集装置(PC100)はコントローラ101を備え、コントローラ101は、(i)動画ストリームに含まれる複数のフレームのうちの少なくとも1つのフレームに対して適用される編集の内容を示す編集プロジェクトファイルの生成を行い、(ii)編集プロジェクトファイルに基づいて、当該複数のフレームの中から、当該編集の対象である対象フレームを特定し、(iii)当該編集が適用された前記対象フレームのサムネイルを生成して出力する。
PC100は、上記構成を有することで、編集対象の動画ストリームについて指定された編集の内容を示す編集情報を生成し、かつ、生成した編集情報を用いて、当該編集の内容を示すサムネイルを生成することができる。
これにより、例えば、編集後の動画の画像解析によって当該編集の内容を示すサムネイルを生成する、というような煩雑な処理を行うことなく、効率よく、当該編集の内容を示すサムネイルを生成することができる。
その結果、PC100は、例えば、中断された動画の編集作業をユーザが再開する際に、当該動画に対する編集意図を当該ユーザに容易に確認させることができる。
また、本実施の形態において、編集部110は、含む複数の編集処理であって、互いに編集の内容の異なる複数の編集処理を実行し、当該複数の編集処理のそれぞれに対応する編集の内容である編集命令を示す編集プロジェクトファイルを生成することができる。そして、特定部120は、編集プロジェクトファイルに示される複数の編集命令の中から、1つの編集命令を選択することで、選択した当該1つの編集命令に対応する対象フレームを特定することができる。
これにより、例えば、1つの動画ストリームにいて、複数の編集命令を含む編集プロジェクトファイルが生成された場合、これら複数の編集命令の中から、何らかの基準に応じて1つの編集命令を選択することができる。つまり、編集プロジェクトファイルに複数の編集命令が含まれる場合であっても、編集意図を視覚化するサムネイルの生成が効率よく行われる。
また、本実施の形態において、特定部120は、複数の編集命令のそれぞれについて、当該編集命令を用いて優先度を算出し、当該複数の編集命令のうちの優先度が最も高い前記1つの編集命令を選択することができる。
これにより、編集プロジェクトファイルに含まれる複数の編集命令のうちの、例えば最も重要な編集命令に対応するサムネイルが生成される。その結果、PC100は、例えば、当該編集プロジェクトファイルに対応する編集意図を、より明確にユーザに提示することができる。
また、本実施の形態において、特定部120は、複数の編集命令の中から、優先度が高い順に、予め定められた数の編集命令を選択することができる。
これにより、PC100は、例えば、複数の編集命令の中から効率よくサムネイル対象となる編集命令を選択できるとともに、ユーザに編集意図を確認させ易い複数のサムネイルの生成を行うことができる。
また、本実施の形態において、特定部120は、複数の編集命令のそれぞれについて、当該編集命令に示される、編集の種類、当該編集が適用される時間位置、当該編集が適用される時間の長さ、当該編集が適用される空間位置および、当該編集が適用される空間的な大きさのうちの少なくとも一つを用いて優先度を算出することができる。
これにより、PC100は、例えば、動画の開始直後の時間帯に対する編集命令、および、画面の中央付近の領域に対する編集命令については優先度を高くする、など、各編集命令に対し、当該編集の内容に応じた重み付けを行うことができる。その結果、例えば、複数の編集命令の中から、サムネイル対象としてより適切な編集命令が選択される。
また、本実施の形態において、特定部120は、複数の編集命令のうちの選択されていない1以上の編集命令のそれぞれについて、既に選択した編集命令との時間的な差を用いて優先度を算出することができる。
これにより、例えば、サムネイルの作成元として特定される複数の対象フレームを、1つの動画ストリームにおいて時間的に分散させることができる。つまり、サムネイル化されるフレームの時間的な偏りが抑制される。
その結果、PC100は、例えば、ユーザに編集意図をより確認させ易い、1以上のサムネイルからなるサムネイル群を生成することができる。
また、本実施の形態において、編集部110は、特定部120によって対象フレームが特定された後に、当該対象フレームに対応する編集を当該対象フレームに適用することができる。そして、サムネイル生成部130は、当該対象フレームが特定された後に編集部110によって当該編集が適用された対象フレームのサムネイルを生成することができる。
これにより、編集命令に示される適用時間内のフレームであって、かつ、当該編集命令に示される編集が実際には適用されていないフレームが、対象フレームとして特定された場合であっても、当該編集が適用された対象フレームのサムネイルが生成される。
つまり、編集プロジェクトファイルに示される1以上の編集命令の少なくとも一部が動画ストリームに反映されていない場合であっても、対象フレームとして特定されたフレームであって、当該フレームに対応する編集が適用されたフレームのサムネイルが必ず生成される。
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。また、上記実施の形態で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
上記実施の形態では、特定部120(コントローラ101)は、複数の編集命令の中から、複数の編集命令それぞれの優先度に応じて、サムネイル対象となる1以上の編集命令を選択するとした。
しかしながら、特定部120は、優先度を算出せずに、サムネイル対象となる編集命令を選択してもよい。
特定部120は、例えば、複数の編集命令の中から、ランダムにサムネイル対象となる編集命令を選択してもよい。また、特定部120は、複数の編集命令を適用の開始時刻の順に並べた場合における先頭と中央と最後の3つの編集命令を選択するなどでもよい。
このように、特定部120は、優先度を算出せずに、サムネイル対象となる編集命令を選択してもよく、これにより、PC100における、編集命令の選択に係る処理負荷が軽減される。
また、本実施の形態では、PC100は、編集プロジェクトファイルが生成された後の、サムネイル作成に係る一連の処理(図7参照)を、編集プロジェクトファイルがユーザにより選択されたことをトリガとして実行するとした。
しかしながら、サムネイル作成に係る一連の処理は、他のタイミングで実行されてもよい。例えば、編集プロジェクトファイルが保存されたこと(プロジェクト保存釦406が押下されたこと)をトリガとして、当該編集プロジェクトファイルに対応する1以上のサムネイル(要約サムネイル群)が生成されてもよい。
この場合、例えば、プロジェクト読み込み画面(図4参照)において、複数のプロジェクトのいずれかが選択された場合に、当該プロジェクトに対応する要約サムネイル群を、即座に表示することが可能となる。
また、本実施の形態では、編集命令の優先度を算出する計算式として、(式1)〜(式8)等の各種の計算式を示した。しかしながら、これら計算式は、編集命令の優先度の算出に用いられる計算式の例であり、他の計算式が当該優先度の算出に用いられてもよい。
例えば、編集命令に示される編集の、適用時間の長さ(t)、適用面積の大きさ(s)、および、種類(k)の3種類の属性値に関する変数(個別優先度)のうちの1つまたは2つのみを用いて優先度Pを求めてもよい。
また、実施の形態における編集部110、特定部120、およびサムネイル生成部130のそれぞれの機能(図2参照)の一部または全部は、1つまたは複数の集積回路によって実現してもよい。つまり、本実施の形態における画像編集装置は、専用の回路の組み合わせによって実現してもよい。
また、本実施の形態では、画像編集装置の一例としてのPC100の構成および処理の流れについて説明した。しかしながら、他の種類の電子機器を画像編集装置として機能させてもよい。
例えば、インターネットに接続されたサーバコンピュータ(以下、「サーバ」という。)を画像編集装置として機能させてもよい。例えば、サーバにおいて情報処理を実行するコントローラが、編集部110、特定部120、およびサムネイル生成部130として機能することで、上述の、編集プロジェクトファイルに基づく対象フレームの特定、および、対象フレームの生成等の処理を、サーバが実行することができる。
この場合、例えば、ローカルのPCからインターネット経由で当該サーバに動画ストリームをアップロードし、リモートで編集命令の指定等の編集作業を行うことができる。また、その編集作業の成果物として、編集プロジェクトファイル、および、当該編集プロジェクトファイルに対応する1以上のサムネイルを当該PCにダウンロードすることができる。
また、携帯端末、ビデオカメラ、および、ビデオレコーダ等の電子機器を、本開示における画像編集装置として機能させてもよい。
以上のように、本開示における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、添付図面および詳細な説明を提供した。
したがって、添付図面および詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が添付図面や詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
また、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。