JP5980993B1 - 感圧センサ - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の感圧センサにおいて、導電性部材は、少なくとも弾性層と導電性層とを有する部材である。導電性部材は、圧縮に伴い弾性変形し、導電性部材と対向して配置される電極部材との導通抵抗が有為に変化する作用を有する。導電性部材の代表的な構造としては、ゴム基材等の弾性材料からなる弾性層と導電性薄膜層が積層された積層構造が挙げられる。図2において、導電性部材1は、弾性層2と導電性層3の積層構造である。
弾性層に用いられるゴム基材を構成するゴム組成物のゴム成分として具体的には、以下のものが挙げられる。天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレンプロピレンゴム(EPM、EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、イソプレンゴム(IR)、エピクロルヒドリンゴム(CO、ECO)、シリコーンゴム、及びウレタンゴム(U)等。これらは、1種を単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、ヒステリシスロスを考慮すると、NR、BR、低スチレンSBR、低ニトリルNBR(AN量18%)が好適に用いられる。
導電性層としては、ゴム基材の表面に樹脂を塗工して樹脂塗膜層を設けたものが挙げられる。樹脂塗膜層の原料となる塗料組成物を構成する樹脂成分として、具体的には以下のものが挙げられる。フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ブチラール樹脂、スチレン−エチレン・ブチレン−オレフィン共重合体及びオレフィン−エチレン・ブチレン・オレフィン共重合体等。これらの樹脂は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、樹脂は架橋系のものでもよく、そのための硬化剤として、例えば、イソシアネート化合物、アミン化合物を適宜配合することができる。
本発明の感圧センサにおいて、導電性部材は、電極ベース材の外周端部を係止固定している。導電性部材の係止固定部の構造は、導電性部材と電極パターン部との間に十分な空隙を設けることが可能な構造であればよく、特に限定されない。例えば、電極ベース材の外周端部の圧接によって、導電性部材が変形して、係止固定部が形成される構成とすることができる。また例えば、導電性部材に凹部を設けて、その凹部を係止固定部することができる。圧接変形によって形成される係止固定部または予め設けられる凹部の構造は、例えば、図3に示す構造、及びその拡大図である図4に示す構造とすることができる。即ち、係止固定部の構造は、導電性部材の表面(a面)に平行な直線と、電極ベース材の外周端部及び最大空隙部を結ぶ直線と、が所定の角度θをなして配置される構造とすることができる。その角度θは、例えば、電極パターン部の電極ベース材の外周端部の直径が8mmである場合、0.7度以上2.1度以下、程度に設定することができる。
本発明の感圧センサにおいて、電極部材は、可撓性かつ絶縁性の電極ベース材の一方の表面(A面)上に、電極パターン部と入出力配線部が配置された部材である。この電極パターン部は、導電性部材の導電性層と対向して配置されている。また、電極パターン部の外周端部の外側にある電極ベース材の外周端部が、導電性部材に係止固定されている。この係止固定状態を維持するために、絶縁性被覆部材が、この係止固定部より外側の位置にある導電性部材の外縁部の少なくとも一部に固定されている。尚、以下の説明において、電極パターン部との入出力配線部との接続部を「配線接続部」という場合がある。
電極ベース材は、可撓性かつ絶縁性の板状の材料であり、厚み方向の電気抵抗値が107Ω以上であることが好ましい。電極ベース材として、樹脂フィルムを用いることができる。電極ベース材の厚みは、25μm以上、100μm以下であることが好ましい。電極ベース材の厚みがこの範囲内であれば、電極ベース材の腰が適度になり、無加圧時において電極部材と導電性部材との離間状態を維持し、誤検知を防止することができる。さらに長期間の使用においても導電性部材と電極パターン部との間の空隙の距離を安定に維持し、誤検知を防止することができる。
フィルムの腰の強さ∝E・b・d3 (1)。
電極パターン部及び入出力配線部は、電極ベース材の表面上に導電性のペーストを配置する方法、エッチングによる銅パターニング、スクリーン印刷等の公知の方法によって形成することができる。具体的には例えば以下の方法が挙げられる。ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、銀ペースト及び又はカーボンペーストを配置して電極パターンおよび入出力配線を設ける方法、ポリイミドフィルム上に、銅パターニングにより電極パターンおよび入出力配線を設ける方法、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、電極パターンおよび入出力配線をスクリーン印刷する方法。入出力配線は、通常、公知の絶縁性被覆材によって被覆される。電極パターン部の外周端部の形状は特に限定されないが、代表的な形状は円形または楕円形である。
本発明の感圧センサにおいて、絶縁性被覆部材は、電極部材の電極ベース材のB面側にあって、電極パターン部を内包しつつ、電極ベース材の外周端部の係止固定部より外側の位置にある導電性部材の外縁部の少なくとも一部に固定されている。この絶縁性被覆部材は、以下の(1)及び(2)の役割を有する。
(1)電極部材を導電性部材に対してより強固に固定する。
(2)無加圧時における導電性部材と電極パターン部との間の空隙を確保する。
本発明の感圧センサの製造方法を、絶縁性被覆部材として粘着テープを用いた例によって説明する。
[1.導電性部材の作成]
表1に示す種類及び量の材料を準備した。容量3Lの加圧型ニーダー(D3−10:株式会社モリヤマ製)を用い、まずローター回転数30rpmで、原料ゴムのみを1分間素練りした。次いでこのニーダー内に、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛及びカーボンブラックを投入して10分間混練りした。ニーダー容量に対するこれらの材料の充填量は65体積%とした。得られたゴム組成物を室温(25℃)で1時間冷ました。次いで、オープンロール機(12インチテスト用ロール機:関西ロール(株)製)内に、このゴム組成物、TETD、MBTSおよび硫黄を添加して混練した。フロントロール15rpm、バックロール18rpmで、適宜切返しながら15分間混練した後、ロール間隙0.6mmにて薄通した後、縦10mm、横10mmのサイズに裁断することにより基材となるゴム組成物の未加硫物を得た。次に、この未加硫物を予め170℃に加熱した縦10mm、横10mm、深さ0.5mmの金型内に充填し、170℃、100kgfにて15分間プレス加硫を行い、ゴム弾性体1(縦10mm、横10mm、厚み0.5mm)を得た。
[2.感圧センサの作成]
電極ベース材として、厚み50μmの二軸延伸ポリエステルフィルム(PET)(ルミラーS10#50、東レ株式会社製)を用い、絶縁性被覆部材として、粘着テープ(カプトンテープ 650S#12、寺岡製作所製)を用いた。
感圧センサは、温度23℃、相対湿度60%の環境に24時間以上放置した後に、その評価を行なった。図7に示す感圧特性評価装置を用い、固定された感圧センサ41の上部から直径3mmの円柱状押し圧子42で荷重をかけた。その際に感圧センサに5Vの電圧を印加し、感圧センサに直列につないだ内部抵抗1kΩにかかる電圧を感圧センサの出力電圧とし、同時に感圧センサの電気抵抗値を算出した。また、荷重の大きさに対するセンサ出力電圧の変化をプロットし、以下の評価(1)〜(3)を行った。
無荷重状態での出力電圧V0と5N印荷時の出力電圧V5Nとの差「△V=V5N−V0」を算出し、以下の基準で表示した。
Aランク:△Vが2.5V以上である。
Bランク:△Vが1.5V以上、2.5V未満である。
Cランク:△Vが1.5V未満である。
荷重と出力電圧のプロットに対し、最小二乗法による近似直線から相関係数(R2)を指標とし、以下の基準で表示した。
Aランク:R2が0.95以上である。
Bランク:R2が0.9以上、0.95未満である。
Cランク:R2が0.9未満である。
感圧センサに5N印荷したときの出力電圧値を連続して10回測定し、その値の標準偏差を指標とし、以下の基準で表示した。
Aランク:標準偏差が0.05以下である。
Bランク:標準偏差が0.05超、0.1以下である。
Cランク:標準偏差が0.1超である。
Aランク:前記の3評価において、全てランクAである。
Bランク:前記の3評価において、ランクAまたはランクBである。
Cランク:前記の3評価において、ランクCが1つ以上ある。
本実施例のセンサ構成において、導電性部材と電極パターン部との間の空隙の距離については、前述の方法で作成した感圧センサの厚みと、センサを構成する部品の個々の厚みをレーザー測長器(デジタル寸法測定器LS−7000、(株)キーエンス製)で測定し、その差分を空隙の距離とした。すなわち、空隙の距離Dは、次式にて算出した。
D=Tc−(Tg+Te+Tf)
Tc:感圧センサ中央部の厚み
Tg:導電性部材の厚み
Te:電極部材の厚み
Tf:絶縁性被覆部材の厚み
〔実施例2〜10〕
電極ベース材の種類、厚み、導電性部材の外縁部の全周に対する粘着テープを貼り付け範囲、及び空隙の距離の最大値を、表4に示す値に変更したこと以外は、実施例1と同様にして感圧センサ2〜10を得た。
粘着テープを、直径10mmの寸法にカットし、更に、円の中心を通る幅4mmの部分をカットして得た、略半円形状の2枚の粘着テープを絶縁性被覆部材とした。次いで、図6(C)に示すように、この2枚の粘着テープを、導電性部材の外縁部の全周の2/3の範囲に貼り付けた。これら以外は、実施例1と同様にして感圧センサ11を得た。その結果、空隙の距離の最大値は、160.9μmであった。
実施例1に較べて、粘着テープの貼り付け時における電極ベース材を押さえる力をやや弱くした。これら以外は、実施例1と同様にして感圧センサ12を得た。その結果、空隙の距離の最大値は、36.4μmであった。
実施例1は、電極部ベース材にPETを使用し、厚み50μm、貼り付け範囲を外周の5/6とした感圧センサである。その結果、空隙の最大値は95.1μmであり、評価(1)〜(3)はすべてランクAであり、感圧センサとして極めて優れた性能を示した。
2 弾性層
3 導電性層
4 導電性部材の係止固定部
5 導電性部材の外縁部
11 電極部材
12 可撓性かつ絶縁性の電極ベース材
13 電極パターン部
14 入出力配線部
15 電極パターン部の外周端部
16 電極ベース材の外周端部
17 配線接続部
21 絶縁性被覆部材
31 導電性部材と電極パターン部との間の空隙
41 感圧センサ
42 圧子
Claims (7)
- 少なくとも導電性部材と電極部材と絶縁性被覆部材とを有する感圧センサであって、
該導電性部材は、少なくとも弾性層と導電性層とを有し、
該電極部材は、可撓性かつ絶縁性の電極ベース材と、その一方の表面上に配置された電極パターン部と入出力配線部とを有し、
該電極部材の該電極パターン部は、該導電性部材の該導電性層と対向配置され、
該電極パターン部の外周端部の外側にある該電極ベース材の外周端部が、該導電性部材に係止固定され、
該絶縁性被覆部材は、該電極部材の該電極ベース材の他方の表面側にあって、該係止固定部より外側の位置にある該導電性部材の外縁部の少なくとも一部に固定されており、
無加圧時には、該導電性部材と該電極パターン部との間に空隙が設けられており、該空隙の距離の最大値が50μm以上150μm以下であることを特徴とする感圧センサ。 - 前記導電性部材と前記電極パターン部との間の空隙の距離が、該電極パターン部の外周端部から中央部に向かって増加していることを特徴とする請求項1に記載の感圧センサ。
- 前記絶縁性被覆部材が前記導電性部材の外縁部に固定されている部分の割合が、該外縁部の全周に対して、1/2以上5/6以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の感圧センサ。
- 前記可撓性かつ絶縁性の電極ベース材が、厚み25μm以上100μm以下の樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの一項に記載の感圧センサ。
- 前記電極部材は、ポリエチレンテレフタレートフィルムの表面上に、銀ペーストあるいはカーボンペーストの少なくとも一方を配置して電極パターン部および入出力配線部を設けたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの一項に記載の感圧センサ。
- 前記電極部材は、ポリイミドフィルムの表面上に、銅パターニングにより電極パターン部および入出力配線部を設けたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの一項に記載の感圧センサ。
- 前記電極部材は、電極パターン部および入出力配線部がスクリーン印刷により形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの一項に記載の感圧センサ。
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