JP5976348B2 - 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物およびその製造方法、ならびにコーティング剤、積層体 - Google Patents

活性エネルギー線硬化性樹脂組成物およびその製造方法、ならびにコーティング剤、積層体 Download PDF

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Description

本発明は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物およびその製造方法、ならびにコーティング剤、積層体に関し、更に詳しくは、低屈折率、耐擦傷性、透明性に優れた塗膜を形成するための活性エネルギー線硬化性樹脂組成物およびその製造方法、ならびにそれを用いてなるコーティング剤、積層体に関するものである。
従来から、ディスプレイ表示を見易くするために、ディスプレイ表面には反射防止膜が積層形成されている。この反射防止膜では、その効果を最大限に発揮するために、通常、透明樹脂基材上に、高屈折率層および低屈折率層が順次積層形成された構造体とすることが多く採用されている。
ここで、上記低屈折率層は、反射防止膜の最表面に位置する層であることから、耐擦傷性を付与させることが重要となる。一方で、上記低屈折率層は、その効果を発現するためには、可視光波長未満の膜厚とする、好ましくは可視光波長の1/4程度の厚みに形成することが好ましいとされている。
このようなことから、耐擦傷性を付与するために、低屈折率層としてハードコート層を塗工形成させることが行われているが、生産性を高めるために低屈折率層形成材料として活性エネルギー線硬化型樹脂、特に紫外線硬化型樹脂が用いられることが多い。上記紫外線硬化型樹脂は、紫外線照射によりラジカルまたは/およびカチオンを発生させる光重合開始剤を用い、これにより紫外線硬化型樹脂をラジカルまたは/およびカチオン重合させるものである。
しかし、前述のように、上記低屈折率層としては、可視光波長未満の膜厚、具体的には1μm未満の膜厚とすることが好ましく、このような薄い膜厚の層を、上記紫外線硬化型樹脂を用いて形成しようとした場合、上記光重合開始剤としてラジカルを発生させる方式のもの(光ラジカル重合開始剤)を用いると、大気下では、光照射によって発生したラジカルが膜界面で素早く酸素と反応して失活してしまい、結果、耐擦傷性を与えることが難しいという問題があった。このため、例えば、紫外線照射部分を窒素置換することにより、上記問題を解決する方法が知られているが、新しい設備投資が必要となるという問題が新たに生じる。
このようなことから、光重合開始剤として、光照射によりカチオンを発生させる、いわゆる光カチオン重合開始剤を用いるとともに、シリカを用いることにより耐擦傷性を確保しようとする方法がいくつか提案されている。例えば、ラジカル重合性基またはカチオン重合性基を有する粒子径1〜200nmの反応性シリカを含有し、含フッ素ビニルモノマー重合単位と、側鎖にラジカル重合性基またはカチオン重合性基を有する重合単位とを含有してなる共重合性組成物を用いた硬化皮膜からなる低屈折率層を有する反射防止膜が提案されている(特許文献1参照)。また、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子と、上記無機酸化物微粒子に−O−Si−R1−S−結合(R1は炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキレン基)を介して結合している、光カチオン重合が可能な開環重合性基を側鎖に有する有機ポリマーとを有する有機無機複合体と、カチオン重合性光開始剤とを含有する有機無機ハイブリッド樹脂組成物を硬化させて高硬度の膜を形成することが提案されている(特許文献2参照)。
特開2004−93947号公報 特開2005−336255号公報
しかしながら、上記特許文献1に開示の技術では、反応性微粒子であるシリカとしてラジカル重合性基またはカチオン重合性基を有することになっているが、ラジカル重合性基を有するシリカを用いる場合、1μm未満の膜厚では、硬化反応時の酸素阻害が著しく、多量の光ラジカル重合開始剤を用いるか、あるいは多量の紫外線照射を必要としなければならず好ましいものではない。また、カチオン重合性基を有するシリカを用いる場合、光カチオン重合開始剤がシリカ表面に接近する必要があるが、本来酸性を示すシリカ表面と強く結合して凝集してしまい、コーティング剤としてのポットライフが著しく短くなるという問題がある。
一方、上記特許文献2に開示の技術では、無機酸化物微粒子の表面が有機ポリマーで覆われていることから、光カチオン重合開始剤は凝集を引き起こすほどには無機酸化物微粒子表面には接近しないという利点はあるものの、得られる有機無機複合体が有機ポリマーの末端でのみ無機酸化物微粒子と結合して形成されているため、低屈折率化や耐擦傷性に寄与する無機酸化物微粒子の被覆に有効な有機ポリマーが無機酸化物微粒子に近い部分のみでしかなく、効率が悪く、耐擦傷性付与効果が発揮され難いという問題が生じ、耐擦傷性に関して充分満足のいくものではなかった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、可視光波長未満のような膜厚形成が可能であり、透明性、低屈折率化、耐擦傷性に優れた硬化膜を形成することができる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物およびその製造方法、ならびにコーティング剤、積層体を提供することを目的とするものである。
すなわち、本発明者は、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、光カチオン重合開始剤を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物において、水酸基を含有し、かつフッ素原子含有構造部位、およびエポキシ基を含有してなるアクリル系樹脂(A)とコロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)とが1分子中にアルコキシ基とイソシアネート基の両方を有する珪素化合物(E)由来の下記の一般式(1)で示される結合部位を介して結合してなる無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)を用いると、上記アクリル系樹脂(A)の鎖と上記無機酸化物微粒子(B)との結合点がランダムに存在し、効果的に上記アクリル系樹脂(A)により無機酸化物微粒子(B)を覆うことができ、しかも光カチオン重合開始剤は凝集を引き起こすほどには無機酸化物微粒子(B)表面には接近しないため、コーティング剤としてのポットライフに優れ、光カチオン重合により低屈折率化に必要な膜厚においても耐擦傷性に優れた硬化塗膜を得るための活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を見出し、本発明を完成した。
本発明は、水酸基を含有し、かつフッ素原子含有構造部位およびエポキシ基を含有してなるアクリル系樹脂(A)と、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)とが、1分子中にアルコキシ基とイソシアネート基の両方を有する珪素化合物(E)由来の下記一般式(1)で示される結合部位を介して結合してなる無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)、および、光カチオン重合開始剤(β)を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を第1の要旨とするものである。
〔化1〕
−O−Si−R1−NHCOO− ・・・(1)
〔上記式(1)中、R1は、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキレン基である。〕
そして、本発明は、上記第1の要旨である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の製造方法であって、
[i]フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)および水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)を含有する共重合成分[I]を共重合させることにより、フッ素原子含有構造部位およびエポキシ基を含有してなるアクリル系樹脂(A)を作製する工程と、
[ii]上記アクリル系樹脂(A)中の水酸基に、1分子中にアルコキシ基とイソシアネート基の両方を有する珪素化合物(E)のイソシアネート基を反応させた後、この反応物中のアルコキシ基とコロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)中の水酸基と反応させることにより、上記アクリル系樹脂(A)と、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)とが、下記一般式(1)で示される結合部位を介して結合してなる無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)を作製する工程と、
〔化2〕
−O−Si−R1−NHCOO− ・・・(1)
〔上記式(1)中、R1は、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキレン基である。〕
[iii]上記無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)とともに、光カチオン重合開始剤(β)を混合する工程
とを備えた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の製造方法を第2の要旨とするものである。
さらに、本発明は、上記第1の要旨である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含有してなるコーティング剤を第の要旨とするものであり、透明基材表面に、第の要旨であるコーティング剤を用いて反射防止膜が形成されてなる積層体を第の要旨とするものである。
このように、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、水酸基を含有し、かつフッ素原子含有構造部位、およびエポキシ基を含有してなるアクリル系樹脂(A)と、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)とが1分子中にアルコキシ基とイソシアネート基の両方を有する珪素化合物(E)由来の前記一般式(1)で示される結合部位を介して結合してなる無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)および光カチオン重合開始剤(β)を含有する。このため、上記アクリル系樹脂(A)が、上記無機酸化物微粒子(B)を効率良く被覆していることから、光カチオン重合開始剤(β)が無機酸化物微粒子(B)表面に凝集を生起させるほど接近せず、ポットライフに優れることとなる。さらに、光カチオン重合により膜厚1μm未満という低屈折率化に必要な厚みであっても耐擦傷性に優れる塗膜を得ることができる。しかも、アクリル系樹脂(A)は低屈折率化され、無機酸化物微粒子(B)と結合しているので、例えば、反射防止膜のような積層体の最表面層の形成材料として用い膜形成したとしても、擦られた膜からのシリカ粒子の脱落を防ぐことが可能となり、耐擦傷性維持に優れた塗膜を得ることができる。したがって、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いることにより、低屈折率化とともに耐擦傷性に優れる反射防止膜が形成された積層体を得ることができる。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、これらの内容に限定されるものではない。
なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸あるいはメタクリル酸を、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、特定のアクリル系樹脂(A)と、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)とが、下記一般式(1)で示される結合部位を介して結合してなる無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)と、光カチオン重合開始剤(β)を含有してなるものである。
〔化4〕
−O−Si−R1−NHCOO− ・・・(1)
〔上記式(1)中、R1は、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキレン基である。〕
《特定のアクリル系樹脂(A)》
本発明で用いる上記特定のアクリル系樹脂(A)は、その分子鎖に、フッ素原子含有構造部位(以下、「フッ素含有基」と記すことがある。)、およびエポキシ基を含有してなるアクリル系樹脂であり、フッ素含有基およびエポキシ基は、ポリマー鎖の側鎖に有していることがポリマーを容易に作製できる点で好ましく、また、フッ素含有基とエポキシ基とは別の基として存在することが好ましい。
上記フッ素原子含有構造部位としては、例えば、−(CF2nCF3、−(CF2nCHF2、−(CF2nCHCF2等のフルオロアルキル構造(全てnは0以上の整数)があげられる。
アクリル系樹脂(A)中のフッ素原子含有構造部位は、アクリル系樹脂(A)の中に占める比率が高いほど、その塗膜からなる低屈折率層の屈折率を低下させることができ、積層体としたときの反射防止効果を高めることができるが、他方、その比率を高くしすぎることは、例えば、アクリル系樹脂(A)中のエポキシ基の比率を減らすことになり、活性エネルギー線照射時に形成される架橋点の密度を下げることになることから好ましくない。すなわち、アクリル系樹脂(A)中のフッ素原子含有構造部位の比率とエポキシ基の比率には好ましい範囲がある。
フッ素原子含有構造部位の比率は、後述のフッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)以外にフッ素原子含有化合物を共重合させなければ、アクリル系樹脂(A)の含有元素の定量分析を行って、フッ素原子がアクリル系樹脂(A)中に占める重量比を求めることで推測することができる。また、含有元素の定量分析を行わなくても、アクリル系樹脂(A)を得る重合反応時、残存する未反応モノマーを、仕込みモノマー量の1重量%未満程度にまで少なくしておけば、仕込んだモノマーはほぼ全量がアクリル系樹脂(A)を構成するものと見做して、仕込んだモノマーの重量比から推測することができる。また、残存する未反応モノマーを少なくするように重合させることは、仕込んだモノマーを効率よく使用するという観点からも、重合反応終了後に未反応モノマーを分離除去する必要がないという観点からも好ましい。
上記未反応モノマーの残存量は、例えば、つぎのようにして測定し、定量される。すなわち、アクリル系樹脂(A)溶液をGC/MSで分析し、予め求めておいた検量線からアクリル系樹脂(A)中の残存モノマーの質量を求め、それを仕込みモノマー質量に対する重量比として求める。なお、GC/MSの条件は、以下の通りである。
AS部条件:AgilentTechnologies社製7683Series。Inject量 1.0μL
GC部条件:AgilentTechnologies社製6890N Network GC System。カラムDB−17MS(Closslinked Methyl Siloxane) 29.3m(l)×0.25mm(id)×0.25μm(d)、流量1.0mL/分。カラム温度 40℃×5分→220℃×10分、昇温速度 10℃/分。注入口220℃。キャリアガスHe。スプリット比30:1。
MS部条件:AgilentTechnologies社製5973inert MassSalectiveDetector。Mass範囲10〜600。イオン源温度230℃。四重極温度150℃。scan回数2.52/秒。
アクリル系樹脂(A)中のエポキシ基の占める比率は、アクリル系樹脂(A)のエポキシ当量をJIS K7236に従って求めることで、モル比として推測することができる。また、上記フッ素原子の重量比を求める場合と同様に、残存する未反応モノマーを少なくするように重合させれば、仕込んだモノマーの重量比から推測することができる。
アクリル系樹脂(A)中のフッ素原子含有構造部位の比率(以下「含フッ素比」と記すことがある)と、エポキシ基の比率(以下「含エポキシ比」と記すことがある)との、さらにその比を評価することは、一般的に、前者はアクリル系樹脂(A)中の元素の重量比として、後者はアクリル系樹脂(A)中の官能基の重量比として求められるために、適当な指標を示すことができないので、好ましい範囲を「含フッ素比」、「含エポキシ比」としてそれぞれに示すことはできる。
すなわち、「含フッ素比」としては、フッ素原子がアクリル系樹脂(A)中に占める重量比として、10〜30重量%が好ましく、15〜25重量%がより好ましい。
また、「含エポキシ比」としては、アクリル系樹脂(A)のエポキシ当量として、JIS K7236または残存未反応モノマーの量と仕込みモノマー重量比から見積もった値で、650〜3900が好ましく、780〜1950がより好ましい。
本発明のアクリル系樹脂(A)は、フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)、およびエポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)を含有する共重合成分を共重合させて得られるものであることが好ましく、このときに上記一般式(1)で示される構造部位を有せしめるために、さらに水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)を共重合成分[I]として含有させておき共重合させることが特に好ましい。
〈フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)〉
上記フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)としては、分子内にフッ素原子を含有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを用いればよいが、特にはフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを用いることが好ましい。
上記フルオロアルキル基としては、例えば、−COOCH2(CF2nCF3、−COOCH2CH2(CF2nCF3、−COOCH2(CF2nCHF2、−COOCH2CH2(CF2nCHCF2等があげられ(全てnは0以上の整数)、これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。好ましくは、入手が容易であり効果も発揮しやすいという点から、上記フルオロアルキル基の炭素数(上記のn)が0〜12(好ましくは0〜10)のものである。具体的には、CF3CH2−基を有する共栄社化学株式会社製の商品名「M−3F」、CF3CF2CH2−基を有するダイキン工業株式会社製の商品名「M−1210」、F(CF24CH2CH2−基を有するダイキン工業株式会社製の商品名「M−1420」、F(CF26CH2CH2−基を有するダイキン工業株式会社製の商品名「M−1620」等があげられる。
上記フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)の含有量は、共重合成分[I]全体に対して、好ましくは40〜80重量%、特に好ましくは50〜70重量%である。フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)の含有量が多すぎると、高コストとなり、また活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を光硬化させて得られる膜に対する耐擦傷性の向上効果を発揮することが困難となる傾向がみられる。また、含有量が少なすぎると、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を光硬化させて得られる膜における所望の低屈折率化の達成が困難となる傾向がみられる。
〈エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)〉
上記エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)としては、エポキシ基をエステル基の一部に有する(メタ)アクリル酸エステルであればよく、上記エポキシ基としては、脂環エポキシ構造を有するものが、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を光硬化させる際の反応が速いことから好ましい。例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等があげられ、具体的には、三菱レイヨン株式会社製のアクリエステルG(グリシジルメタクリレート)、ダイセル化学工業株式会社製のサイクロマーM100(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート)があげられる。これらは単独でもしくは併せて用いることができる。
上記エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)の含有量は、共重合成分[I]全体に対して、好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは10〜25重量%である。エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)の含有量が多すぎると、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を光硬化させて得られる膜における所望の低屈折率化の達成が困難となる傾向がみられ、含有量が少なすぎると、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を光硬化させて得られる膜に対する耐擦傷性の向上効果を発揮することが困難となる傾向がみられる。
〈水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)〉
本発明において、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)を共重合させることによりアクリル系樹脂(A)中に水酸基を含有させることができ、上記水酸基がイソシアネート基と反応して上記一般式(1)で示される結合部位中のウレタン結合を形成することとなる。
上記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。中でも、入手も容易で、シリカとの親和性も良いという点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを用いることが特に好ましい。
上記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)の含有量は、共重合成分[I]全体に対して、好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは10〜25重量%である。上記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)の含有量が多すぎると、樹脂組成物中に未反応の水酸基が増加するために、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を光硬化させて得られる膜における所望の低屈折率化の達成が困難となる傾向があり、含有量が少なすぎると、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を光硬化させて得られる膜に対する耐擦傷性の向上効果を発揮することが困難となる傾向がある。
〈他のモノマー成分〉
さらには、上記フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)、および、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)以外の他のモノマー成分を用いることができる。例えば、共重合性の向上および密着性の向上という観点から、アルキル(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a4)を共重合させてもよい。
上記アルキル(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a4)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチルアクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、iso−ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環族の(メタ)アクリル酸エステル等があげられる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルの場合には、アルキル基の炭素数が、通常1〜20、特には1〜12、更には1〜8、殊には4〜8であることが好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。中でも、入手も容易であり、かつ共重合性も良いという点から、メチル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
上記アルキル(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a4)の含有量は、共重合成分[I]全体に対して、好ましくは10〜30重量%、特に好ましくは15〜25重量%である。
〈特定のアクリル系樹脂(A)の製造方法〉
上記特定のアクリル系樹脂(A)は、上記フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)、および必要に応じて、上記アルキル(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a4)を共重合させることにより製造することができる。そして、その共重合させる方法としては、例えば、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等の方法があげられる。中でも、反応の制御の容易さという点から、溶液ラジカル重合による共重合方法が好ましい。この溶液ラジカル重合法は、例えば、溶媒中に、上記(a1)〜(a4)の各モノマー成分、重合開始剤を混合あるいは滴下し、加熱撹拌して行われる。上記加熱条件は、用いる溶媒、モノマー成分の種類、重合開始剤の種類により適宜設定されるが、通常、50〜150℃、反応時間は2〜20時間である。
上記溶媒としては、アクリル系樹脂(A)を溶解し、後述のコロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)と混合できるものであって、アルコール、アミン等のイソシアネート基と反応する官能基を有さないものを用いることが好ましい。すなわち、アルコール、アミン等のイソシアネート基と反応する官能基を有するものを溶媒として用いると、後工程において、アクリル系樹脂(A)とコロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)とを前記一般式(1)で示される結合部位を介して結合させようとするとき、アクリル系樹脂(A)とコロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)が結合するのみならず、溶媒とコロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)だけが結合して、アクリル系樹脂(A)とは結合していないものが多数生成することから好ましくない。このようなことから、例えば、1−メトキシ−2−プロセルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類等が用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤を用いることができ、例えば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロキシパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤を用いることができる。
また、上記重合時には、連鎖移動剤を用いることができ、上記連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン等のメルカプタン類があげられる。また、上記連鎖移動剤を使用する場合、その使用量はアクリル系樹脂(A)全体に対して、好ましくは1〜10重量%、特に好ましくは1〜5重量%である。
このようにして得られる特定のアクリル系樹脂(A)の重量平均分子量は、1万〜10万であることが好ましく、より好ましくは2万〜5万である。上記重量平均分子量は、用いる重合開始剤の使用量、重合温度条件により制御することが可能であり、必要により連鎖移動剤を配合してさらに細かく調整することもできる。上記重量平均分子量が大きすぎると、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度が高くなって1μm未満の膜厚に塗布するのが困難となる傾向がみられ、上記重量平均分子量が小さすぎると、反射防止膜に形成した際に塗膜の形状を維持するのが困難となる傾向がみられる。
なお、上記重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー、具体的には重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算によるものであり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製。「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定される。
《コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)》
上記コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)(以下、「無機微粒子(B)」と略すことがある。)は、水ガラスを原料として酸で中和したり、アルキルシリケートをアルカリで加水分解させる方法等の公知の方法によって得ることができ、例えば、市販品を容易に入手することができる。
上記無機微粒子(B)としては、コロイダルシリカを主成分とするものであれば特に定めるものではない。なお、「コロイダルシリカを主成分とする」とは、通常50重量%以上であり、コロイダルシリカのみから構成されていることも含む趣旨である。
上記無機微粒子(B)の形状は、例えば、球状、中空状、多孔質状、棒状、繊維状または板状、あるいは不定形状等が挙げられ、球状がより好ましい。なお、本発明でいう球状とは、厳密な球のみではなく、実質的に球状のものも含む趣旨である。
本発明においては、上記特定のアクリル系樹脂(A)との混合が容易であり、均一な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得やすいという点から、有機溶媒に分散されたオルガノシリカゾルの形になっているコロイダルシリカを用いることが好ましい。上記有機溶媒としては、例えば、2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、2−プロパノン等があげられる。さらに、上記無機酸化物微粒子(B)としては、中空構造を有しているものが、より一層低屈折率化を発揮できることから好ましい。
そして、最終的に得られる低屈折率層を有する反射防止膜の透明性の付与という観点から、無機酸化物微粒子(B)の平均粒径は、好ましくは10〜100nm、特に好ましくは10〜50nmである。平均粒径が大きすぎると2次凝集しやすく透明性が低下しやすい傾向があり、小さすぎると機械特性が低下する傾向がある。
上記平均粒径は、JIS R 1626に準拠してBET法により求めた粒子の平均比表面積と、粒子の真比重から計算して算出したものである。
上記コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)として、具体的には、日産化学工業社製の商品名「IPA−ST」(2−プロパノール分散、平均粒子径10〜15nm)、商品名「PGM−ST」(1−メトキシ−2−プロパノール分散、平均粒子径10〜15nm)、商品名「MEK−ST」(2−プロパノン分散、平均粒子径10〜15nm)等があげられる。また、シリカが中空構造を有している市販品の一例として、日揮触媒化成社製の商品名「スルーリア」等があげられる。
さらに、上記コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)としては、無機酸化物微粒子の分散安定性を向上させる目的で、無機酸化物微粒子(B)表面をシランカップリング剤で修飾してもよい。
上記シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。上記シランカップリング剤として、具体的には、信越化学工業社製の商品名「KBM−13」(メチルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製の商品名「KBE−22」(ジメチルジエトキシシラン)、信越化学工業社製の商品名「KBE−103」(フェニルトリエトキシシラン)等があげられる。
上記シランカップリング剤の使用量は、上記コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)の固形分中のシリカに対して、好ましくは5×10-1〜10mmol/シリカg、特に好ましくは1〜4mmol/シリカgである。使用量が多すぎると、高コストとなる傾向があり、使用量が少なすぎると、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中にて、後述の光カチオン重合開始剤(β)がシリカ表面に接近しやすくなり、その結果、ポットライフが低下する傾向がある。
上記シランカップリング剤を用いた無機酸化物微粒子(B)表面の修飾方法としては、例えば、シランカップリング剤のアルコキシ基を加水分解可能な量の水とともにシランカップリング剤をオルガノシリカゾルに加え、その混合物に、必要により、酸または塩基を触媒として配合し、室温(25±10℃程度)〜70℃にて30分〜数時間撹拌することによって、微粒子表面を修飾する方法があげられる。
上記コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)の含有量は、前記特定のアクリル系樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは25〜100重量部、特に好ましくは40〜70重量部である。含有量が多すぎると、反射防止膜に形成した際に塗膜の形状を維持するのが困難となる傾向がみられ、含有量が少なすぎると、得られる反射防止膜の耐擦傷性が低下する傾向がみられる。
《無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)》
本発明においては、水酸基を含有し、かつフッ素原子含有構造部位およびエポキシ基を含有してなるアクリル系樹脂(A)(以下、「特定のアクリル系樹脂(A)」と記すことがある。)と、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)とが、下記一般式(1)で示される結合部位を介して結合してなる無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)を用いることにより、ポットライフに優れるコーティング剤を得ることができ、またこのコーティング剤を用いて形成された塗膜を紫外線硬化させることにより耐擦傷性が良く、しかも低屈折率層を有する反射防止膜を得ることができる。
〔化5〕
−O−Si−R1−NHCOO− ・・・(1)
〔上記式(1)中、R1は、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキレン基である。〕
上記式(1)において、R1は、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキレン基であり、アルキレン基の炭素数としては1〜4が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が好ましい。
上記特定のアクリル系樹脂(A)と、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)とを結合してなる上記一般式(1)で示される結合部位を作製する方法としては、1分子中に加水分解可能なアルコキシ基と、水酸基と反応可能なイソシアネート基の両方を有する珪素化合物(E)(以下、「珪素化合物(E)」と記すことがある。)を用いる方法があげられる。上記珪素化合物(E)としては、例えば、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランがあげられる。具体的には、信越化学工業株式会社製の商品名「KBE−9007」等があげられる。この珪素化合物(E)は、そのイソシアネート基が上記特定のアクリル系樹脂(A)の有する水酸基と反応し、アルコキシシリル基が加水分解するときに上記微粒子(B)を共存させることにより、この微粒子(B)とも結合するものである。
〈無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)の製造方法〉
上記無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)の製造方法としては、配合成分の混合順序を考慮した場合、〔1〕特定のアクリル系樹脂(A)と珪素化合物(E)とを反応させた後、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)を加える方法、〔2〕コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)と珪素化合物(E)を反応させた後、特定のアクリル系樹脂(A)を加える方法があげられる。
上記製造方法において、特定のアクリル系樹脂(A)にて用いた溶媒中にアルコール、アミン等、珪素化合物(E)のイソシアネート基と反応するものが含まれていると、特定のアクリル系樹脂(A)とコロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)を結合させるという初期の目的が達成できないことから好ましくない。
しかし、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)と珪素化合物(E)とを先に反応させる製造方法〔2〕の場合、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)の加水分解反応時に珪素化合物(E)のイソシアネート基が影響を受ける可能性も考えられることから、特定のアクリル系樹脂(A)と珪素化合物(E)とを先に反応させた後、これにコロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)を加えるという上記製造方法〔1〕がより一層好ましいものである。
なお、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)の溶媒のみにアルコール、アミン等、珪素化合物(E)のイソシアネート基と反応するものが含まれている場合には、まず特定のアクリル系樹脂(A)と珪素化合物(E)を反応させた後に、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)と反応させればよい。
〈〔1〕無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)の製造方法〉
まず、〔1〕特定のアクリル系樹脂(A)と珪素化合物(E)とを反応させた後、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)を加えることにより無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)を製造する方法について説明する。
上記無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)の製造方法〔1〕は、つぎのようにして行われる。まず、フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)および水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)を含有する共重合成分[I]を共重合させることにより、フッ素原子含有構造部位、エポキシ基および水酸基を含有してなる特定のアクリル系樹脂(A)を作製する。つぎに、上記特定のアクリル系樹脂(A)に、1分子中に加水分解可能なアルコキシ基と、水酸基と反応可能なイソシアネート基の両方を有する珪素化合物(E)を配合し、さらに必要に応じて触媒を配合して、室温(25±10℃程度)〜80℃程度の反応条件下にて、上記(E)成分に由来するイソシアネート基が検出されなくなるまで両者を反応させる。
上記珪素化合物(E)の使用量は、特定のアクリル系樹脂(A)の分子量と、水酸基をどの程度反応させようとするかによって適宜設定されるが、特定のアクリル系樹脂(A)の分子鎖1本あたりに存在する水酸基のうちの1〜10個程度を反応させる程度に設定することが好ましい。例えば、分子量と仕込んだ水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)の量から判断して、分子鎖1本中に30個程度水酸基が存在すると予想されるなら、仕込んだ水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)の1/30〜1/3モル程度を使用するように設定される。
このときの反応時間は、触媒の使用の有無、反応温度によって適宜設定されるが、通常、0.5〜24時間である。また、上記触媒としては、公知のウレタン化触媒を用いることができ、例えば、ジアルキルジアルコキシ錫等があげられる。そして、上記触媒の使用量は、通常、触媒の金属塩換算で反応系全体に対して50〜1,000ppmの範囲である。
つぎに、上記特定のアクリル系樹脂(A)と珪素化合物(E)の反応終了後、室温付近まで冷却した後、この反応生成物に、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)(例えば、オルガノシリカゲル状態)と、上記珪素化合物(E)中のアルコキシ基を加水分解できるだけの量の水を配合し、さらに必要に応じて触媒を配合して、室温(25±10℃程度)〜80℃程度の反応条件下にて撹拌混合することにより、上記反応生成物における珪素化合物(E)と無機酸化物微粒子(B)間での反応が行われ、特定のアクリル系樹脂(A)と無機酸化物微粒子(B)が、前記一般式(1)で示される結合部位を介して結合してなる無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)を作製する。
上記珪素化合物(E)と無機酸化物微粒子(B)との反応における反応時間は、触媒使用の有無、反応温度によって適宜に設定されるが、通常、0.5〜24時間である。また、上記触媒としては、公知のものを用いることができ、例えば、酸、塩基または金属錯体があげられる。具体的には、酢酸やプロピオン酸等のような酸性触媒、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキサイド、カリウムメトキサイド、トリエチルアミン等の塩基性触媒、アルミニウムアセチルアセトナート等の金属錯体をあげることができる。この触媒の使用量は、通常、珪素化合物(E)と無機酸化物微粒子(B)の合計量100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは、0.5〜5重量部に設定される。
〈〔2〕無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)の製造方法〉
つぎに、〔2〕コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)と珪素化合物(E)を反応させた後、特定のアクリル系樹脂(A)を加えることにより無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)を製造する方法について説明する。
上記無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)の製造方法〔2〕は、つぎのようにして行われる。すなわち、1分子中に加水分解可能なアルコキシ基と、水酸基と反応可能なイソシアネート基の両方を有する珪素化合物(E)と、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)(例えば、オルガノシリカゲル状態)と、上記珪素化合物(E)中のアルコキシ基を加水分解できるだけの量の水を配合し、さらに必要に応じて触媒を配合して、室温(25±10℃程度)〜80℃程度の反応条件下にて撹拌混合することにより、珪素化合物(E)と上記無機酸化物微粒子(B)とを反応させ反応生成物(B−E)を作製する。
上記珪素化合物(E)の使用量は、前述の製造方法〔1〕と同様、特定のアクリル系樹脂(A)中の水酸基をどの程度反応させようとするかによって適宜設定されるが、例えば、使用を予定している(A)の分子鎖1本あたりに存在する水酸基のうちの1〜10個程度を反応させる程度に設定することが好ましい。例えば、分子量と仕込んだ水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)の量から判断して、分子鎖1本中に30個程度水酸基が存在すると予想されるなら、仕込んだ水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)の1/30〜1/3モル程度を使用するように設定される。
そして、上記反応時間は、触媒の使用の有無、反応温度によって適宜設定されるが、通常、0.5〜24時間である。また、上記触媒としては、公知のものを用いることができ、例えば、酸、塩基または金属錯体があげられる。具体的には、酢酸やプロピオン酸等のような酸性触媒、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキサイド、カリウムメトキサイド、トリエチルアミン等の塩基性触媒、アルミニウムアセチルアセトナート等の金属錯体をあげることができる。この触媒の使用量は、通常、珪素化合物(E)と無機酸化物微粒子(B)の合計量100重量部に対して、0.1〜5重量部、好ましくは、0.5〜5重量部に設定される。
一方で、フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)および水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)を含有する共重合成分[I]を共重合させることにより、フッ素原子含有構造部位、エポキシ基および水酸基を含有してなる特定のアクリル系樹脂(A)を作製する。つぎに、上記反応生成物(B−E)を、室温付近まで冷却した後、この反応生成物を上記特定のアクリル系樹脂(A)溶液と混合し、さらに必要に応じて触媒を配合して、室温(25±10℃程度)〜80℃程度の反応条件下にて撹拌混合することにより、上記反応生成物(B−E)における珪素化合物(E)と特定のアクリル系樹脂(A)間での反応を行ない、特定のアクリル系樹脂(A)と無機酸化物微粒子(B)とが、前記一般式(1)で示される結合部位を介して結合してなる無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)を作製する。
上記反応生成物(B−E)における珪素化合物(E)と特定のアクリル系樹脂(A)との反応における反応時間は、触媒使用の有無、反応温度によって適宜に設定されるが、通常、0.5〜24時間である。また、上記触媒としては、公知のウレタン化触媒を用いることができ、例えば、ジアルキルジアルコキシ錫等があげられる。そして、上記触媒の使用量は、通常、触媒の金属塩換算で反応系全体に対して50〜1,000ppmの範囲である。
上記製造方法において、特定のアクリル系樹脂(A)とコロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)の配合割合は、特定のアクリル系樹脂(A)の固形分100重量部に対して、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)の固形分が、好ましくは25〜100重量部、特に好ましくは40〜70重量部である。上記無機酸化物微粒子(B)の配合割合が多すぎると、反射防止膜に形成した際に塗膜の形状を維持することが困難となる傾向がみられる。また、無機酸化物微粒子(B)の配合割合が少なすぎると、形成される反射防止膜の耐擦傷性が低下する傾向がみられる。
そして、上記製造方法にて得られる無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)の、前記一般式(1)で示される結合部位を介して結合される、特定のアクリル系樹脂(A)と無機酸化物微粒子(B)の結合の度合いは、前記珪素化合物(E)の使用量によって適宜調整することができる。その結合度合いの最小量は、特定のアクリル系樹脂(A)の分子鎖1本に存在する水酸基のうち、平均して1個と反応する程度であり、その結合度合いの最大量は、上記分子鎖に存在する全ての水酸基と反応する程度であるが、好ましくは、数個から10個程度が上限である。上記結合度合いが少なすぎると、珪素化合物(E)が結合していない特定のアクリル系樹脂(A)が多数存在することが懸念され、ポットライフや耐擦傷性に悪影響が生じる傾向がみられる。また、結合度合いが多すぎると、珪素化合物(E)が過剰となりコスト的に好ましいものではないし、水酸基は無機酸化物微粒子との親和性を保つ役割も果たしているのだが、その能力を低減することになって好ましくない。
そして、上記特定のアクリル系樹脂(A)と無機酸化物微粒子(B)の結合の度合いは、好ましくは、特定のアクリル系樹脂(A)の分子鎖1本に存在する水酸基のうち、平均して数個の水酸基と珪素化合物(E)が反応する程度である。例えば、特定のアクリル系樹脂(A)の平均重合度が100で、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)の使用量が特定のアクリル系樹脂(A)の作製に使用される全モノマー中25モル%である場合、特定のアクリル系樹脂(A)の分子鎖1本中には水酸基は平均して25個程度存在すると推測される。したがって、珪素化合物(E)の使用量としては、最小量では水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)に対して1モル%、最大量では水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)に対して25モル%と推定されるが、好ましくは水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)に対して1〜5モル%である。このとき、特定のアクリル系樹脂(A)中の分子鎖中に水酸基は平均して存在すると推測されることから、珪素化合物(E)は特定のアクリル系樹脂(A)の分子鎖にも平均して反応するものと推測される。すなわち、珪素化合物(E)は特定のアクリル系樹脂(A)の分子鎖の末端部にあるかもしれない水酸基と反応するかもしれないが、特定のアクリル系樹脂(A)の分子鎖の中央部により多く存在する水酸基と反応する割合が高いと推測され、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物とした場合には、特定のアクリル系樹脂(A)がコロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)を効果的に覆うこととなる。したがって、特定のアクリル系樹脂(A)の分子鎖の中央部により多く存在する水酸基と珪素化合物(E)とが反応すると、その反応点の両側に伸びている特定のアクリル系樹脂(A)の分子鎖も上記無機酸化物微粒子(B)を覆うことになり、特定のアクリル系樹脂(A)の分子鎖に存在する水酸基が末端部にのみ存在する場合よりも特定のアクリル系樹脂(A)の分子鎖を有効に使うことができると言える。
なお、特定のアクリル系樹脂(A)中の分子鎖に存在する多数の水酸基と、珪素化合物(E)とを反応させると、多くの反応点で珪素化合物(B)と結合させることができるが、上記無機酸化物微粒子(B)を覆う目的は、珪素化合物(E)が特定のアクリル系樹脂(A)の分子鎖1本に存在する水酸基のうち、平均して1個から10個、好ましくは数個の水酸基と反応する程度で達成されることから、珪素化合物(E)を必要以上に過剰に使用しても高コストとなるだけで経済的でない。
このようにして、水酸基を含有し、かつフッ素原子含有構造部位およびエポキシ基を含有してなるアクリル系樹脂(A)と、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)とが、1分子中にアルコキシ基とイソシアネート基の両方を有する珪素化合物(E)由来の前記一般式(1)で示される結合部位を介して結合してなる無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)を製造することができる。
《光カチオン重合開始剤(β)》
上記光カチオン重合開始剤(β)は、光の照射を受けてカチオン重合反応を開始させる触媒作用を奏するものであり、紫外線等を照射することによりルイス酸等のカチオン重合触媒を生成するものを用いることができる。例えば、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等があげられる。具体的には、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロボレート等のジアゾニウム塩、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロボレート、4,4′−ビス[ビス(2−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホニオ]フェニルスルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等のスルホニウム塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のヨードニウム塩等があげられる。中でも、ヨードニウム塩がこのましく用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
上記光カチオン重合開始剤(β)としては、具体的には、ADEKA社製の商品名「アデカオプトマーSP−150」(トリアリルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート)、商品名「アデカオプトマーSP−170」(トリアリルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート)等があげられる。
上記光カチオン重合開始剤(β)の使用量は、無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)100重量部に対して、好ましくは0.1〜10重量部、特に好ましくは1〜5重量部である。光カチオン重合開始剤(β)の使用量が多すぎると、経済的でなく、また活性エネルギー線硬化性樹脂組成物中で光カチオン重合開始剤(β)が無機酸化物微粒子(B)表面に接近しやすくなり、ポットライフが低下する傾向がみられる。また、使用量が少なすぎると、形成される反射防止膜の耐擦傷性が低下する傾向がみられる。
《エポキシ基含有アルコキシシランの加水分解物(C)》
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、樹脂組成物の安定性向上や耐擦傷性の向上を目的として、エポキシ基含有アルコキシシランの加水分解物(C)を加えてもよい。上記エポキシ基含有アルコキシシランの加水分解物(C)は、エポキシ基含有アルコキシシランを酸または塩基で加水分解縮合させることにより得られる。原料となる上記エポキシ基含有アルコキシシランとしては、エポキシ基とアルコキシシリル基を有する化合物であればよく、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が好ましく用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。具体的には、信越化学工業社製の商品名「KBM−403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製の商品名「KBE−402」(3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン)、信越化学工業社製の商品名「KBM−303」〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン〕等をあげることができる。
上記エポキシ基含有アルコキシシランの加水分解物(C)の配合量は、特定のアクリル系樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは50〜250重量部、特に好ましくは80〜200重量部である。この配合量が多すぎると、反射防止膜に形成した際に塗膜の形状を維持するのが難しくなる傾向がみられ、配合量が少なすぎると、形成された反射防止膜の耐擦傷性が低下する傾向がみられる。
《増感剤(F)》
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、上記光カチオン重合開始剤(β)とともにカチオン重合を促進する増感剤(F)を併用することができる。例えば、アントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジ(メトキシエトキシ)アントラセン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。中でも、樹脂組成物の相溶性という点から、2−エチル−9,10−ジ(メトキシエトキシ)アントラセンが好ましく用いられる。
上記増感剤(F)の使用量は、光カチオン重合開始剤(β)100重量部に対して、好ましくは1〜100重量部、特に好ましくは5〜50重量部である。
《他の添加剤》
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、上記各配合成分以外に、さらに必要に応じてレベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等を適宜配合することができる。
上記レベリング剤としては、例えば、フッ素系化合物、シリコーン系化合物等があげられ、上記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、トリアジン系化合物等があげられる。また、上記光安定化剤としては、例えば、ヒンダード系化合物等があげられる。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤、安定剤、補強剤、艶消し剤、有機微粒子等を配合することも可能である。
また、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、有機溶剤を配合し、粘度を調整して使用することも可能である。上記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、トルエン、キシレン等の芳香族類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等の酢酸エステル類、ジアセトンアルコール等が挙げられる。これら有機溶剤は単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
上記有機溶剤を2種以上併用する場合は、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類とメチルエチルケトン等のケトン類やメタノール等のアルコール類との組み合わせ、メチルエチルケトン等のケトン類とメタノール等のアルコール類の組み合わせ、メタノール等のアルコール類の中から2種以上を選び併用すること等が、塗膜外観の点で好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、上記有機溶剤を用いて、通常3〜60重量%、好ましくは5〜40重量%に希釈し、基材に塗布することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の製造に際しては、必須成分である、無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)、および、光カチオン重合開始剤(β)、ならびに任意成分である上記(C)成分、(F)成分さらには他の添加剤の各配合成分を、任意の順序で適宜混合することにより得ることができるが、凝集を防ぐ点では光カチオン重合開始剤(β)を最後に配合することが好ましい。またその混合方法についても特に限定するものではなく種々の方法により混合することができる。
《コーティング剤》
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、各種基材へのコーティング剤等、塗膜形成用の硬化性樹脂組成物として有効に用いられるものであり、特にディスプレイ表面に形成される反射防止膜形成材料として好ましく用いられる。中でも、高屈折率層および低屈折率層からなる反射防止膜のうち、最外層となる低屈折率層形成材料として有用である。例えば、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、これを基材に塗工した後(有機溶剤で希釈した組成物を塗工した場合には、さらに乾燥させた後)、活性エネルギー線を照射することにより硬化される。
上記基材としては、透明なフィルム、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアクリレート、ポリカーボネート、アセチル化セルロース、ポリエーテルスルフォン等を用いることができる。さらには、基材表面に易接着層が設けられたものや、コロナ処理等の表面処理が施されたものを用いてもよい。
また、前述のように、基材表面に高屈折率層が設けられたものを用い、その上に本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させてなる低屈折率層を形成させると、反射防止効果を一層向上させることができ好ましい。上記用途に使用する場合、上記高屈折率層が耐擦傷性を併せ持つとさらに好ましい。上記基材上に、高屈折率で耐擦傷性を併せ持つ層(高屈折率層)を形成する方法としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化錫、酸化インジウム錫、アンチモンドープ酸化錫等の高屈折率を有し、かつ平均粒径が1〜200nmの微粒子を、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に分散させた樹脂組成物を、上記透明なフィルムである基材表面に塗布、硬化させる方法があげられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含有するコーティング剤の基材への塗工方法としては、例えば、バーコーター塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、ディップ塗工、スピンコート塗工等の公知の塗工方法を用いることができる。
上記コーティング剤を塗工することにより形成される塗工膜厚の厚みは、乾燥後の膜厚が可視光波長未満、さらに可能であるならば可視光波長の1/4の厚みとなるように塗工することが好ましく、具体的には厚み100〜300nmとすることがより好ましく、特に好ましくは100〜200nmである。言い換えると、コーティング剤を用いて形成される反射防止膜となる低屈折率層における反射率の最小値を示す波長が400〜800nm、さらに好ましくは520〜650nmになるように塗工膜厚を設定することが好ましい。
上記コーティング剤を塗工する際の条件としては、低湿度に設定することが、活性エネルギー線の照射によるカチオン重合がスムーズに進行することから好ましく、具体的には、相対湿度40%以下の条件に設定することが好ましい。
そして、上記コーティング剤を基材に塗工して塗膜層を形成し、これに活性エネルギー線を照射することにより塗膜層を硬化させることにより、基材面に反射防止膜を形成する。
上記コーティング剤が、溶媒を含む場合は、乾燥させることによって溶媒を除去してから活性エネルギー線照射を行って硬化させることが好ましい。上記乾燥条件としては、基材にダメージを与えないような温度範囲にて溶媒が除去できればよく、例えば、60〜100℃にて数分間の乾燥条件があげられる。
このように塗工層を硬化して得られる硬化層の厚みは、硬化後の厚みが可視光波長未満、さらに可能であるならば可視光波長の1/4の厚みであればよい。具体的には、厚み100〜300nmとすることが好ましく、特に好ましくは100〜200nmである。
上記活性エネルギー線としては、例えば、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。
上記紫外線照射により硬化させる方法としては、150〜450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LED等を用いて紫外線照射して硬化させる方法があげられる。また、その照射量は、照射装置等によって適宜設定されるものであるが、耐擦傷性が発揮可能となる程度に硬化させることができればよく、紫外線照射の場合、通常、100〜2000mJ/cm2である。なお、上記紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、具体的に、ディスプレイ(透明樹脂基板)上に形成される反射防止膜(低屈折率層)形成材料として用いられ、形成材料であるコーティング剤はポットライフに優れることとなる。さらに、光カチオン重合により形成される上記反射防止膜は、膜厚1μm未満という低屈折率化に必要な厚みであっても耐擦傷性に優れる塗膜に形成される。そして、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、上記反射防止膜形成材料となるコーティング剤をはじめとする各種保護コーティング剤等、各種の被膜形成材料として有用である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」は、重量基準を意味する。
〔実施例1〕
〈基材フィルムの作製〉
ウレタン(メタ)アクリレート(日本合成化学工業社製、商品名「UV−7600」)を5.0部、光ラジカル重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ジャパン社製、商品名「イルガキュア184」)を0.25部、溶媒として1−メトキシ−2−プロパノールを5.0部準備し、これらを混合することにより高屈折率層用活性エネルギー線硬化樹脂組成物を調製した。つぎに、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、ルミラー:膜厚100μm)の表面に、上記高屈折率層用活性エネルギー線硬化樹脂組成物を、#8バーコーターにて塗布した後(膜厚5.6μm)、80℃で2分間乾燥した後、紫外線を照射(照射量500mJ/cm2)して硬化させることにより、基材フィルムを作製した。
〈アクリル系樹脂(A)の調製〉
撹拌機、還流冷却機、窒素の吹き込み口、温度計を備えた500mLフラスコを窒素置換した後、このフラスコに、フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)として、1H,1H−トリフルオロエチルメタクリレート(共栄社化学社製、商品名「M−3F」)18部、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)として、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート(ダイセル化学工業社製、商品名「サイクロマーM100」)6部、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)として、2−ヒドロキシエチルメタクリレート6部、連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン1.2部、溶媒として1−メトキシ−2−プロピルアセテート90部を仕込み、さらに重合開始剤として2,2′−アゾビスジメチルバレロニトリル(大塚化学社製、商品名「ADVN」)0.125部を加えて、65℃で反応を開始させた。3時間後、上記重合開始剤0.125部を追加してさらに3時間反応させた後、100℃に昇温して0.5時間保った後、室温(25℃)に冷却することにより、フッ素原子含有構造部位およびエポキシ基を含有してなるアクリル系樹脂(A−1)(固形分25%;重量平均分子量30,000)溶液を得た。
得られたアクリル系樹脂(A−1)の重量平均分子量は、下記に示す方法に従って測定した。
〈重量平均分子量の測定方法〉
重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算によるものであり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより、測定した。
また、アクリル系樹脂(A−1)中の未反応モノマー残存量を、下記の方法に従って定量したところ、0.5%であった。
そして、フッ素原子がアクリル系樹脂(A−1)中に占める重量比は、未反応モノマー残存量が仕込みモノマー量の1重量%未満であったことから、仕込みモノマー重量比から求めて、20重量%と見積もられた。
さらに、エポキシ基がアクリル系樹脂(A−1)に占める比率を、仕込みモノマー重量比から求めたところ、エポキシ当量として974であった。
〈未反応モノマー残存量の定量方法〉
アクリル系樹脂(A−1)の溶液をGC/MSで分析し、予め求めておいた検量線からアクリル系樹脂(A−1)中の残存モノマーの質量を求め、それを仕込みモノマー質量に対する重量比として求めた。GC/MSの条件は、以下の通りである。
AS部条件:AgilentTechnologies社製7683Series。Inject量 1.0μL
GC部条件:AgilentTechnologies社製6890N Network GC System。カラムDB−17MS(Closslinked Methyl Siloxane) 29.3m(l)×0.25mm(id)×0.25μm(d)、流量1.0mL/分。カラム温度 40℃×5分→220℃×10分、昇温速度 10℃/分。注入口220℃。キャリアガスHe。スプリット比30:1。
MS部条件:AgilentTechnologies社製5973inert MassSalectiveDetector。Mass範囲10〜600。イオン源温度230℃。四重極温度150℃。scan回数2.52/秒。
〈無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)の作製(製造方法〔1〕)〉
上記アクリル系樹脂(A−1)の溶液に、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(E−1)(信越化学工業社製、商品名「KBE−9007」)0.23部〔0.92mmol、アクリル系樹脂(A−1)中の全水酸基の2mol%に相当〕を1−メトキシ−2−プロピルアセテート1.5部に溶かしたものを加え、さらに触媒としてジブチル錫ジラウレート0.03部を追加して、80℃で2時間反応させることにより、アクリル系樹脂(A−1)と上記3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(E−1)の反応生成物を得た。反応終了時の液をアミンで滴定したところ、イソシアネート基は認められなかった。
つぎに、上記アクリル系樹脂(A−1)と3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(E−1)の反応生成物を室温(25℃)まで徐冷した後、これに、コロイダルシリカとして、1−メトキシ−2−プロピルアセテートに分散させたコロイダルシリカ(B−1)(日産化学工業社製、商品名「PMA−ST」;平均粒子径10〜15nm;固形分30重量%)60部、水0.1部、触媒として酢酸1.5部を加え、75℃で4時間反応させることにより、無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α−1)を得た。
〈活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の作製〉
上記無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α−1)2.4部、光カチオン重合開始剤(β−1)としてADEKA社製、商品名「アデカオプトマーSP−170」0.044部、溶媒として1−メトキシ−2−プロピルアセテート1.0部を混合することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
先に作製した基材フィルム上に、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を#2バーコーターを用いて塗布し、80℃で2分間乾燥させた後、500mJ/cm2の照射量にて紫外線を照射して塗布膜を硬化させることにより、積層体(基材フィルム上に形成された塗膜硬化層である反射防止膜)を得た。この硬化後の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる塗膜硬化層の厚みは0.5μmであった。
〔実施例2〕
〈エポキシ基含有アルコキシシランの加水分解物(C)の作製〉
撹拌機、冷却機、温度計を備えた300mLフラスコに、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名「KBM−303」)48部、2−ブタノン96部を投入し、掻き混ぜつつ、0.1重量%の水酸化カリウム水溶液5部を加え、70℃で4時間加水分解反応を行った。室温(25℃)まで冷却した後、酢酸を加えて中和し、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去することによりエポキシ基含有アルコキシシランの加水分解物(C−1)を得た。
〈活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の作製〉
上記実施例1で作製した無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α−1)2.4部、エポキシ基含有アルコキシシランの加水分解物(C−1)0.96部、光カチオン重合開始剤(β−1)としてADEKA社製、商品名「アデカオプトマーSP−170」0.056部、溶媒として1−メトキシ−2−プロピルアセテート5.4部を混合することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
先に作製した基材フィルム上に、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を#2バーコーターを用いて塗布し、80℃で2分間乾燥させた後、500mJ/cm2の照射量にて紫外線を照射して塗布膜を硬化させることにより、積層体(基材フィルム上に形成された塗膜硬化層である反射防止膜)を得た。この硬化後の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる塗膜硬化層の厚みは0.50μmであった。
〔比較例1〕
上記実施例1で調製したアクリル系樹脂(A−1)1.5部、コロイダルシリカとして、1−メトキシ−2−プロピルアセテートに分散させたコロイダルシリカ(日産化学工業社製、商品名「PMA−ST」:平均粒径10〜15nm、固形分30重量%)0.73部、光カチオン重合開始剤(β−1)としてADEKA社製、「アデカオプトマーSP−170」0.044部、溶媒として1−メトキシ−2−プロピルアセテート0.8部を混合することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
先に作製した基材フィルム上に、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を#2バーコーターを用いて塗布し、80℃で2分間乾燥させた後、500mJ/cm2の照射量にて紫外線を照射して塗布膜を硬化させることにより、積層体(基材フィルム上に形成された塗膜硬化層である反射防止膜)を得た。この硬化後の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる塗膜硬化層の厚みは0.53μmであった。
〔比較例2〕
上記実施例1で調製したアクリル系樹脂(A−1)1.5部、コロイダルシリカとして、1−メトキシ−2−プロピルアセテートに分散させたコロイダルシリカ(日産化学工業社製、商品名「PMA−ST」:平均粒径10〜15nm;固形分30重量%)0.73部、上記実施例2で作製したエポキシ基含有アルコキシシランの加水分解物(C−1)0.95部、光カチオン重合開始剤(β−1)としてADEKA社製、商品名「アデカオプトマーSP−170」0.041部、溶媒として1−メトキシ−2−プロピルアセテート5.4部を混合することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
先に作製した基材フィルム上に、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を#2バーコーターを用いて塗布し、80℃で2分間乾燥させた後、500mJ/cm2の照射量にて紫外線を照射して塗布膜を硬化させることにより、積層体(基材フィルム上に形成された塗膜硬化層である反射防止膜)を得た。この硬化後の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる塗膜硬化層の厚みは0.52μmであった。
このようにして得られた各活性エネルギー線硬化性樹脂組成物のポットライフ、さらには、各活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いて形成された硬化膜の屈折率、透明性(ヘイズ値)、耐擦傷性を下記の方法に従って測定、評価した。これらの結果を後記の表1に併せて示す。
〔ポットライフ〕
得られた各活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を室温(25℃)にて保管し、目視によりゲル化が確認されるまでの期間を測定した。
〔屈折率〕
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、ロータリーエバポレーターを用いて固形分80%程度に濃縮した後、ポリテトラフルオロエチレン製シート上にアプリケーターを用いて膜厚200μmとなるように塗布した。これを乾燥機(80℃)に投入して溶媒を除去した後、2J/cm2の紫外線を照射することにより、塗膜を硬化させた。
ついで、ポリテトラフルオロエチレン製シートから、硬化膜を剥離した。この硬化膜を用い、JIS K7105に従ってアッベ屈折率計(株式会社アタゴ製、NAR−1T)を用いて硬化膜の屈折率を測定した。
〔透明性(ヘイズ値)〕
上記実施例1〜、比較例1および2で作製された積層体を用い、JIS K7105に従って、ヘイズ値を測定した。なお、測定には、ヘイズメータ(日本電色工業社製、NDH2000)を用いた。
〔耐擦傷性〕
上記実施例1〜、比較例1および2で作製された積層体を用い、ASTM D1044(Standard Test Method for Resistance of Transparent Plastics to Surface Abrasion)に従って実施し、試験前後のヘイズ値の差をΔヘイズとして示す。この値(Δヘイズ)が小さいほど、耐擦傷性試験での塗膜硬化層である反射防止膜の傷つきが少ないことを示すものであり、耐擦傷性に優れているといえる。
Figure 0005976348
上記結果から、無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)を含有してなる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いて形成された実施例1〜の積層体は、低屈折率であり、透明性および耐擦傷性に優れた積層体であることがわかる。さらに、実施例1〜品である活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ポットライフにも優れていることがわかる。
これに対して、単にシリカを混合することにより作製された活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いて形成された比較例1の硬化膜は、ヘイズ値が高く透明性に劣るものであって、屈折率に関しては白濁しているため測定不可能であった。しかも、Δヘイズの値が著しく高く、耐擦傷性に劣るものであることがわかる。さらに、比較例1品の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物のポットライフは8日間であり、実施例品に比べて極端に短い結果となった。
また、エポキシ基含有アルコキシシランの加水分解物(C)を配合するとともに、単にシリカを混合することにより作製された活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いて形成された比較例2の硬化膜は、Δヘイズの値は実施例と略同等の結果となり、耐擦傷性に関しては実施例と同様程度のものであることがわかる。しかしながら、ヘイズ値が高く透明性に劣るものであり、屈折率も実施例の硬化膜に比べて高い結果であり充分な低屈折率化が得られていないことがわかる。さらに、比較例2品の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物のポットライフは31日間であり、実施例品に比べて短い結果となった。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、ポットライフに優れ、さらに光カチオン重合により膜厚1μm未満という低屈折率化に必要な厚みであっても耐擦傷性に優れる効果を有する膜を形成することができる。従って、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、例えば、ディスプレイ等の透明樹脂基板表面に形成される低屈折率層である反射防止膜形成材料となるコーティング剤等、各種コーティング剤として有用である。

Claims (10)

  1. 水酸基を含有し、かつフッ素原子含有構造部位およびエポキシ基を含有してなるアクリル系樹脂(A)と、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)とが、1分子中にアルコキシ基とイソシアネート基の両方を有する珪素化合物(E)由来の下記一般式(1)で示される結合部位を介して結合してなる無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)、および、光カチオン重合開始剤(β)を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
    〔化1〕
    −O−Si−R1−NHCOO− ・・・(1)
    〔上記式(1)中、R1は、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキレン基である。〕
  2. アクリル系樹脂(A)が、フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)および水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)を含有する共重合成分[I]を共重合させて得られるアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  3. アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が、1万〜10万であることを特徴とする請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  4. 無機酸化物微粒子(B)の平均粒径が、10〜100nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  5. 無機酸化物微粒子(B)が、中空構造を有するシリカであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  6. 無機酸化物微粒子(B)が、シランカップリング剤にて修飾されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  7. 無機酸化物微粒子(B)の配合量が、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して25〜100重量部であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の製造方法であって、
    [i]フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)および水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)を含有する共重合成分[I]を共重合させることにより、フッ素原子含有構造部位およびエポキシ基を含有してなるアクリル系樹脂(A)を作製する工程と、
    [ii]上記アクリル系樹脂(A)中の水酸基に、1分子中にアルコキシ基とイソシアネート基の両方を有する珪素化合物(E)のイソシアネート基を反応させた後、この反応物中のアルコキシ基とコロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)中の水酸基と反応させることにより、上記アクリル系樹脂(A)と、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)とが、下記一般式(1)で示される結合部位を介して結合してなる無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)を作製する工程と、
    〔化2〕
    −O−Si−R1−NHCOO− ・・・(1)
    〔上記式(1)中、R1は、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキレン基である。〕
    [iii]上記無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)とともに、光カチオン重合開始剤(β)を混合する工程
    とを備えたことを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の製造方法。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含有してなることを特徴とするコーティング剤。
  10. 透明基材表面に、請求項記載のコーティング剤を用いて反射防止膜が形成されてなることを特徴とする積層体。
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