JP5976348B2 - 活性エネルギー線硬化性樹脂組成物およびその製造方法、ならびにコーティング剤、積層体 - Google Patents
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Description
〔化1〕
−O−Si−R1−NHCOO− ・・・(1)
〔上記式(1)中、R1は、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキレン基である。〕
[i]フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)および水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)を含有する共重合成分[I]を共重合させることにより、フッ素原子含有構造部位およびエポキシ基を含有してなるアクリル系樹脂(A)を作製する工程と、
[ii]上記アクリル系樹脂(A)中の水酸基に、1分子中にアルコキシ基とイソシアネート基の両方を有する珪素化合物(E)のイソシアネート基を反応させた後、この反応物中のアルコキシ基とコロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)中の水酸基と反応させることにより、上記アクリル系樹脂(A)と、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)とが、下記一般式(1)で示される結合部位を介して結合してなる無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)を作製する工程と、
〔化2〕
−O−Si−R1−NHCOO− ・・・(1)
〔上記式(1)中、R1は、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキレン基である。〕
[iii]上記無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)とともに、光カチオン重合開始剤(β)を混合する工程
とを備えた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の製造方法を第2の要旨とするものである。
なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸あるいはメタクリル酸を、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、特定のアクリル系樹脂(A)と、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)とが、下記一般式(1)で示される結合部位を介して結合してなる無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)と、光カチオン重合開始剤(β)を含有してなるものである。
〔化4〕
−O−Si−R1−NHCOO− ・・・(1)
〔上記式(1)中、R1は、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキレン基である。〕
本発明で用いる上記特定のアクリル系樹脂(A)は、その分子鎖に、フッ素原子含有構造部位(以下、「フッ素含有基」と記すことがある。)、およびエポキシ基を含有してなるアクリル系樹脂であり、フッ素含有基およびエポキシ基は、ポリマー鎖の側鎖に有していることがポリマーを容易に作製できる点で好ましく、また、フッ素含有基とエポキシ基とは別の基として存在することが好ましい。
AS部条件:AgilentTechnologies社製7683Series。Inject量 1.0μL
GC部条件:AgilentTechnologies社製6890N Network GC System。カラムDB−17MS(Closslinked Methyl Siloxane) 29.3m(l)×0.25mm(id)×0.25μm(d)、流量1.0mL/分。カラム温度 40℃×5分→220℃×10分、昇温速度 10℃/分。注入口220℃。キャリアガスHe。スプリット比30:1。
MS部条件:AgilentTechnologies社製5973inert MassSalectiveDetector。Mass範囲10〜600。イオン源温度230℃。四重極温度150℃。scan回数2.52/秒。
上記フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)としては、分子内にフッ素原子を含有する(メタ)アクリル酸エステル系モノマーを用いればよいが、特にはフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルを用いることが好ましい。
上記エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)としては、エポキシ基をエステル基の一部に有する(メタ)アクリル酸エステルであればよく、上記エポキシ基としては、脂環エポキシ構造を有するものが、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を光硬化させる際の反応が速いことから好ましい。例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート等があげられ、具体的には、三菱レイヨン株式会社製のアクリエステルG(グリシジルメタクリレート)、ダイセル化学工業株式会社製のサイクロマーM100(3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート)があげられる。これらは単独でもしくは併せて用いることができる。
本発明において、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)を共重合させることによりアクリル系樹脂(A)中に水酸基を含有させることができ、上記水酸基がイソシアネート基と反応して上記一般式(1)で示される結合部位中のウレタン結合を形成することとなる。
さらには、上記フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)、および、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)以外の他のモノマー成分を用いることができる。例えば、共重合性の向上および密着性の向上という観点から、アルキル(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a4)を共重合させてもよい。
上記特定のアクリル系樹脂(A)は、上記フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)、および必要に応じて、上記アルキル(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a4)を共重合させることにより製造することができる。そして、その共重合させる方法としては、例えば、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等の方法があげられる。中でも、反応の制御の容易さという点から、溶液ラジカル重合による共重合方法が好ましい。この溶液ラジカル重合法は、例えば、溶媒中に、上記(a1)〜(a4)の各モノマー成分、重合開始剤を混合あるいは滴下し、加熱撹拌して行われる。上記加熱条件は、用いる溶媒、モノマー成分の種類、重合開始剤の種類により適宜設定されるが、通常、50〜150℃、反応時間は2〜20時間である。
上記コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)(以下、「無機微粒子(B)」と略すことがある。)は、水ガラスを原料として酸で中和したり、アルキルシリケートをアルカリで加水分解させる方法等の公知の方法によって得ることができ、例えば、市販品を容易に入手することができる。
上記平均粒径は、JIS R 1626に準拠してBET法により求めた粒子の平均比表面積と、粒子の真比重から計算して算出したものである。
本発明においては、水酸基を含有し、かつフッ素原子含有構造部位およびエポキシ基を含有してなるアクリル系樹脂(A)(以下、「特定のアクリル系樹脂(A)」と記すことがある。)と、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)とが、下記一般式(1)で示される結合部位を介して結合してなる無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)を用いることにより、ポットライフに優れるコーティング剤を得ることができ、またこのコーティング剤を用いて形成された塗膜を紫外線硬化させることにより耐擦傷性が良く、しかも低屈折率層を有する反射防止膜を得ることができる。
〔化5〕
−O−Si−R1−NHCOO− ・・・(1)
〔上記式(1)中、R1は、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキレン基である。〕
上記無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)の製造方法としては、配合成分の混合順序を考慮した場合、〔1〕特定のアクリル系樹脂(A)と珪素化合物(E)とを反応させた後、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)を加える方法、〔2〕コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)と珪素化合物(E)を反応させた後、特定のアクリル系樹脂(A)を加える方法があげられる。
まず、〔1〕特定のアクリル系樹脂(A)と珪素化合物(E)とを反応させた後、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)を加えることにより無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)を製造する方法について説明する。
つぎに、〔2〕コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)と珪素化合物(E)を反応させた後、特定のアクリル系樹脂(A)を加えることにより無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)を製造する方法について説明する。
上記光カチオン重合開始剤(β)は、光の照射を受けてカチオン重合反応を開始させる触媒作用を奏するものであり、紫外線等を照射することによりルイス酸等のカチオン重合触媒を生成するものを用いることができる。例えば、ジアゾニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等があげられる。具体的には、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロボレート等のジアゾニウム塩、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロボレート、4,4′−ビス[ビス(2−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホニオ]フェニルスルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート等のスルホニウム塩、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のヨードニウム塩等があげられる。中でも、ヨードニウム塩がこのましく用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、樹脂組成物の安定性向上や耐擦傷性の向上を目的として、エポキシ基含有アルコキシシランの加水分解物(C)を加えてもよい。上記エポキシ基含有アルコキシシランの加水分解物(C)は、エポキシ基含有アルコキシシランを酸または塩基で加水分解縮合させることにより得られる。原料となる上記エポキシ基含有アルコキシシランとしては、エポキシ基とアルコキシシリル基を有する化合物であればよく、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等が好ましく用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。具体的には、信越化学工業社製の商品名「KBM−403」(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製の商品名「KBE−402」(3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン)、信越化学工業社製の商品名「KBM−303」〔2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン〕等をあげることができる。
さらに、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、必要に応じて、上記光カチオン重合開始剤(β)とともにカチオン重合を促進する増感剤(F)を併用することができる。例えば、アントラセン、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジ(メトキシエトキシ)アントラセン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。中でも、樹脂組成物の相溶性という点から、2−エチル−9,10−ジ(メトキシエトキシ)アントラセンが好ましく用いられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、上記各配合成分以外に、さらに必要に応じてレベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等を適宜配合することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、各種基材へのコーティング剤等、塗膜形成用の硬化性樹脂組成物として有効に用いられるものであり、特にディスプレイ表面に形成される反射防止膜形成材料として好ましく用いられる。中でも、高屈折率層および低屈折率層からなる反射防止膜のうち、最外層となる低屈折率層形成材料として有用である。例えば、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、これを基材に塗工した後(有機溶剤で希釈した組成物を塗工した場合には、さらに乾燥させた後)、活性エネルギー線を照射することにより硬化される。
〈基材フィルムの作製〉
ウレタン(メタ)アクリレート(日本合成化学工業社製、商品名「UV−7600」)を5.0部、光ラジカル重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・ジャパン社製、商品名「イルガキュア184」)を0.25部、溶媒として1−メトキシ−2−プロパノールを5.0部準備し、これらを混合することにより高屈折率層用活性エネルギー線硬化樹脂組成物を調製した。つぎに、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、ルミラー:膜厚100μm)の表面に、上記高屈折率層用活性エネルギー線硬化樹脂組成物を、#8バーコーターにて塗布した後(膜厚5.6μm)、80℃で2分間乾燥した後、紫外線を照射(照射量500mJ/cm2)して硬化させることにより、基材フィルムを作製した。
撹拌機、還流冷却機、窒素の吹き込み口、温度計を備えた500mLフラスコを窒素置換した後、このフラスコに、フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)として、1H,1H−トリフルオロエチルメタクリレート(共栄社化学社製、商品名「M−3F」)18部、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)として、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート(ダイセル化学工業社製、商品名「サイクロマーM100」)6部、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)として、2−ヒドロキシエチルメタクリレート6部、連鎖移動剤としてラウリルメルカプタン1.2部、溶媒として1−メトキシ−2−プロピルアセテート90部を仕込み、さらに重合開始剤として2,2′−アゾビスジメチルバレロニトリル(大塚化学社製、商品名「ADVN」)0.125部を加えて、65℃で反応を開始させた。3時間後、上記重合開始剤0.125部を追加してさらに3時間反応させた後、100℃に昇温して0.5時間保った後、室温(25℃)に冷却することにより、フッ素原子含有構造部位およびエポキシ基を含有してなるアクリル系樹脂(A−1)(固形分25%;重量平均分子量30,000)溶液を得た。
重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算によるものであり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより、測定した。
そして、フッ素原子がアクリル系樹脂(A−1)中に占める重量比は、未反応モノマー残存量が仕込みモノマー量の1重量%未満であったことから、仕込みモノマー重量比から求めて、20重量%と見積もられた。
さらに、エポキシ基がアクリル系樹脂(A−1)に占める比率を、仕込みモノマー重量比から求めたところ、エポキシ当量として974であった。
アクリル系樹脂(A−1)の溶液をGC/MSで分析し、予め求めておいた検量線からアクリル系樹脂(A−1)中の残存モノマーの質量を求め、それを仕込みモノマー質量に対する重量比として求めた。GC/MSの条件は、以下の通りである。
AS部条件:AgilentTechnologies社製7683Series。Inject量 1.0μL
GC部条件:AgilentTechnologies社製6890N Network GC System。カラムDB−17MS(Closslinked Methyl Siloxane) 29.3m(l)×0.25mm(id)×0.25μm(d)、流量1.0mL/分。カラム温度 40℃×5分→220℃×10分、昇温速度 10℃/分。注入口220℃。キャリアガスHe。スプリット比30:1。
MS部条件:AgilentTechnologies社製5973inert MassSalectiveDetector。Mass範囲10〜600。イオン源温度230℃。四重極温度150℃。scan回数2.52/秒。
上記アクリル系樹脂(A−1)の溶液に、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(E−1)(信越化学工業社製、商品名「KBE−9007」)0.23部〔0.92mmol、アクリル系樹脂(A−1)中の全水酸基の2mol%に相当〕を1−メトキシ−2−プロピルアセテート1.5部に溶かしたものを加え、さらに触媒としてジブチル錫ジラウレート0.03部を追加して、80℃で2時間反応させることにより、アクリル系樹脂(A−1)と上記3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(E−1)の反応生成物を得た。反応終了時の液をアミンで滴定したところ、イソシアネート基は認められなかった。
上記無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α−1)2.4部、光カチオン重合開始剤(β−1)としてADEKA社製、商品名「アデカオプトマーSP−170」0.044部、溶媒として1−メトキシ−2−プロピルアセテート1.0部を混合することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
〈エポキシ基含有アルコキシシランの加水分解物(C)の作製〉
撹拌機、冷却機、温度計を備えた300mLフラスコに、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、商品名「KBM−303」)48部、2−ブタノン96部を投入し、掻き混ぜつつ、0.1重量%の水酸化カリウム水溶液5部を加え、70℃で4時間加水分解反応を行った。室温(25℃)まで冷却した後、酢酸を加えて中和し、ロータリーエバポレーターで溶媒を除去することによりエポキシ基含有アルコキシシランの加水分解物(C−1)を得た。
上記実施例1で作製した無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α−1)2.4部、エポキシ基含有アルコキシシランの加水分解物(C−1)0.96部、光カチオン重合開始剤(β−1)としてADEKA社製、商品名「アデカオプトマーSP−170」0.056部、溶媒として1−メトキシ−2−プロピルアセテート5.4部を混合することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
上記実施例1で調製したアクリル系樹脂(A−1)1.5部、コロイダルシリカとして、1−メトキシ−2−プロピルアセテートに分散させたコロイダルシリカ(日産化学工業社製、商品名「PMA−ST」:平均粒径10〜15nm、固形分30重量%)0.73部、光カチオン重合開始剤(β−1)としてADEKA社製、「アデカオプトマーSP−170」0.044部、溶媒として1−メトキシ−2−プロピルアセテート0.8部を混合することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
上記実施例1で調製したアクリル系樹脂(A−1)1.5部、コロイダルシリカとして、1−メトキシ−2−プロピルアセテートに分散させたコロイダルシリカ(日産化学工業社製、商品名「PMA−ST」:平均粒径10〜15nm;固形分30重量%)0.73部、上記実施例2で作製したエポキシ基含有アルコキシシランの加水分解物(C−1)0.95部、光カチオン重合開始剤(β−1)としてADEKA社製、商品名「アデカオプトマーSP−170」0.041部、溶媒として1−メトキシ−2−プロピルアセテート5.4部を混合することにより、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
得られた各活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を室温(25℃)にて保管し、目視によりゲル化が確認されるまでの期間を測定した。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を、ロータリーエバポレーターを用いて固形分80%程度に濃縮した後、ポリテトラフルオロエチレン製シート上にアプリケーターを用いて膜厚200μmとなるように塗布した。これを乾燥機(80℃)に投入して溶媒を除去した後、2J/cm2の紫外線を照射することにより、塗膜を硬化させた。
ついで、ポリテトラフルオロエチレン製シートから、硬化膜を剥離した。この硬化膜を用い、JIS K7105に従ってアッベ屈折率計(株式会社アタゴ製、NAR−1T)を用いて硬化膜の屈折率を測定した。
上記実施例1〜2、比較例1および2で作製された積層体を用い、JIS K7105に従って、ヘイズ値を測定した。なお、測定には、ヘイズメータ(日本電色工業社製、NDH2000)を用いた。
上記実施例1〜2、比較例1および2で作製された積層体を用い、ASTM D1044(Standard Test Method for Resistance of Transparent Plastics to Surface Abrasion)に従って実施し、試験前後のヘイズ値の差をΔヘイズとして示す。この値(Δヘイズ)が小さいほど、耐擦傷性試験での塗膜硬化層である反射防止膜の傷つきが少ないことを示すものであり、耐擦傷性に優れているといえる。
Claims (10)
- 水酸基を含有し、かつフッ素原子含有構造部位およびエポキシ基を含有してなるアクリル系樹脂(A)と、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)とが、1分子中にアルコキシ基とイソシアネート基の両方を有する珪素化合物(E)由来の下記一般式(1)で示される結合部位を介して結合してなる無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)、および、光カチオン重合開始剤(β)を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
〔化1〕
−O−Si−R1−NHCOO− ・・・(1)
〔上記式(1)中、R1は、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキレン基である。〕 - アクリル系樹脂(A)が、フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)および水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)を含有する共重合成分[I]を共重合させて得られるアクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量が、1万〜10万であることを特徴とする請求項1または2記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 無機酸化物微粒子(B)の平均粒径が、10〜100nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 無機酸化物微粒子(B)が、中空構造を有するシリカであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 無機酸化物微粒子(B)が、シランカップリング剤にて修飾されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 無機酸化物微粒子(B)の配合量が、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して25〜100重量部であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜7記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の製造方法であって、
[i]フッ素原子含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a1)、エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a2)および水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー(a3)を含有する共重合成分[I]を共重合させることにより、フッ素原子含有構造部位およびエポキシ基を含有してなるアクリル系樹脂(A)を作製する工程と、
[ii]上記アクリル系樹脂(A)中の水酸基に、1分子中にアルコキシ基とイソシアネート基の両方を有する珪素化合物(E)のイソシアネート基を反応させた後、この反応物中のアルコキシ基とコロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)中の水酸基と反応させることにより、上記アクリル系樹脂(A)と、コロイダルシリカを主成分とする無機酸化物微粒子(B)とが、下記一般式(1)で示される結合部位を介して結合してなる無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)を作製する工程と、
〔化2〕
−O−Si−R1−NHCOO− ・・・(1)
〔上記式(1)中、R1は、炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキレン基である。〕
[iii]上記無機酸化物−アクリル系樹脂複合体(α)とともに、光カチオン重合開始剤(β)を混合する工程
とを備えたことを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の製造方法。 - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含有してなることを特徴とするコーティング剤。
- 透明基材表面に、請求項9記載のコーティング剤を用いて反射防止膜が形成されてなることを特徴とする積層体。
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