しかしながら、上記特許文献1のように、リテーナ受容部に対し、リテーナを上方から挿入して取付ける構成を採用する場合には、リテーナが下方に抜けないように支持する構造が必要になる。このため、リテーナの形状や設置範囲が限定され、例えば、リテーナが座板の一側辺部の一部分にしか対向していない場合には、リテーナに当接して支持される座板の範囲が少なくなったり、リテーナに支持された状態の座板のバランスが悪くなったりして、座板の保持が緩くなり、キャスターのがたつきを招くことが懸念される。
また、リテーナが座板の一側辺部の大部分或いは全域に対向するように、リテーナを下側から支持する構成を、座板の抜け止めを行う範囲の外側に設けること、例えば、リテーナの幅を座板の幅と同じにするとともに、リテーナの両側部から突出して、下面が台盤側に支持される凸部を設けることも考えられる。しかしながら、この場合、リテーナの大型化を伴うこととなり、台盤側の座板受容部やリテーナ受容部の周辺部に好適に補強リブを設けることができなくなってしまい、座板受容部やリテーナ受容部の周辺部の強度低下を招くおそれがある。さらには、リテーナにおいて自身の上方への抜け止めを行うための係止片を設ける場所を確保できなくなってしまうことが懸念される。
さらに、上記特許文献1のように、リテーナの上方への抜け止めを行うための係止片を左右一対で設ける場合には、台盤側に対し、この係止片の係止状態を解除するべく作業者の指先を進入させるための空間を確保することに起因して、台盤側の座板受容部やリテーナ受容部の周辺部に好適に補強リブを設けることができなくなってしまうことが懸念される。
本発明は、上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、キャスターを比較的容易に着脱可能に構成しつつも、キャスターの取付状態の安定化を図ることのできる台車を提供することにある。
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
手段1.平面視略矩形状の台盤と、
前記台盤の下面に設けられるキャスターと、
前記キャスターを前記台盤に対して着脱自在に取付けるためのリテーナとを備え、
前記キャスターは、前記台盤の下面側に取付けられる略平板状の座板を備え、
前記台盤は、
前記座板が設置される座板設置部と、
前記座板設置部に隣接して設けられ、前記リテーナが設置されるリテーナ設置部とを有し、
前記座板設置部には、前記座板の両側辺部を挿入可能な一対の間隙を形成する支持部が設けられ、
前記座板を前記リテーナ設置部に進入させて、前記座板を前記座板設置部側にスライドさせることで、前記座板の両側辺部が前記間隙に挿入され、前記座板の両側辺部の下面側が前記支持部に支持される構成であって、
前記リテーナは、
前記リテーナ設置部に嵌合する本体部と、
前記本体部の一側部から側方に突出し、前記間隙に挿入される挿入部と、
前記リテーナ設置部に設けられた被係止部に係止される係止部とを備え、
前記挿入部を前記間隙に挿入させた状態とし、前記挿入部を中心に前記本体部を前記リテーナ設置部に嵌合するまで回動させることで、前記係止部が前記被係止部に係止されることを特徴とする台車。
手段1によれば、リテーナは、キャスターの座板が既に挿入されている間隙に対して、本体部の一側部から突出する挿入部を挿入し、該挿入部を中心に本体部がリテーナ設置部に嵌合するまで回動させることで、係止部が被係止部に係止され、台盤に取付けられることとなる。このため、リテーナの下方への抜け止めは、前記間隙を形成するとともに、挿入部の下面を支持する支持部、及び、係止部に係止される被係止部によって行われることとなる。従って、リテーナの下方への抜け止めを行う構成を設けるために、リテーナのうち座板の抜け止めを行う部位である挿入部に対し切欠き等を設ける必要がなく、座板のうちリテーナ設置部側の側辺部の長手方向の多くの領域(例えば、全域)に対して、リテーナ(挿入部)を当接させることが可能となる。これにより、座板をリテーナでより確実に保持することができ、キャスターのがたつきをより一層防止することができる。結果として、キャスターのがたつきに起因して、台車走行時の騒音が大きくなったり、キャスターが損傷・脱落したりしてしまうといった不具合を払拭することができる。
また、挿入部は、本体部のうち、座板を間隙に挿通させる方向(座板設置部への取付方向)側である前記一側部側に設けられている。さらに、係止部に関しては、挿入部が支持部に支持されているリテーナの脱落を防止できればよいため、本体部に対して比較的自由に配置することができる。このため、たとえ、挿入部を、座板のうちリテーナ設置部側の側辺部と同じ長さとし、かかる側辺部の長手方向全域と当接可能に構成したとしても、支持部が延出している壁部(座板設置部の両側方を画定している壁部)を、リテーナに干渉することなく、リテーナ設置部側に向けて延長させるようにして補強リブ(延長リブ)を設けることができる。さらに、かかる延長させた延長リブに対して、被係止部を形成したり、係止部と被係止部との係止状態を解除するために作業者の指を入れるための空間を確保するべく切欠きを形成したりする必要がなく、延長リブ自体の強度も十分に確保することができる。従って、座板設置部やリテーナ設置部の周辺部の強度を効果的に高めることができ、変形や損傷によるキャスターの脱落等を防止することができる。
加えて、リテーナが回動により取付けられる構成であることから、一対の延長リブ間を連結するようにして、本体部の他側部側と対向し、座板の間隙への挿入方向におけるリテーナ設置部を画定する補強リブ(連結リブ)を、座板設置部から必要以上に離間させることなく設けることができる。従って、座板設置部やリテーナ設置部の周辺部の強度を効果的に高めるといった作用効果がより一層奏されることとなる。
また、キャスター及びリテーナの台盤への取付作業は、両方とも台盤の下面側での作業となる。このため、例えば、キャスターの取付作業を台盤の下面側において行い、リテーナの取付作業を台盤の上面側から行うといった場合に比べ、着脱に際しての作業性の向上を図ることができる。さらに、リテーナを台盤の上面側から取付けるよう構成する場合のように、物品を載置する台盤の上面に対してリテーナ設置部を設けるための開口部等が形成されてしまうといった事態を回避することができる。
手段2.前記係止部は、前記本体部のうち前記挿入部が設けられた前記一側部とは反対側の他側部側に設けられていることを特徴とする手段1に記載の台車。
手段2によれば、本体部の一側部側及び他側部側の両側部がそれぞれ支持されるため、リテーナの取付状態をより確実、かつ、安定的なものとすることができる。
手段3.前記座板設置部に設置された前記座板のうち前記リテーナ設置部側の側辺部の長手方向全域と、前記リテーナ設置部に設置された前記リテーナの前記挿入部とが対向して、当接可能に構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の台車。
手段3によれば、座板、ひいては、キャスターをより安定して保持することができ、キャスターのがたつきを抑制する等といった作用効果がより一層奏されることとなる。
手段4.前記本体部のうち前記挿入部が設けられた前記一側部とは反対側の他側部には、上側の角部が除去されるようにして切欠き部が形成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の台車。
手段4によれば、座板の間隙への挿入方向において、リテーナと、リテーナ設置部を画定する壁部との間に形成される隙間を極力小さく構成することができ、リテーナ、ひいては、キャスターのがたつきをより一層防止することができる。さらに、座板の間隙への挿入方向においてリテーナ設置部を画定する本体部の他側部と対向する壁部(連結リブ)の高さ(下方への延出長)を短くしなくても済み、かかる連結リブを設けることによる強度アップをより確実に図ることができる。また、連結リブ自体の強度を確保できることによって、座板設置部から抜け出そうとする座板の抜けを規制するリテーナをより安定して支持することができるとともに、連結リブにおいて強度の著しい低下を招くことなく被係止部を形成することができる。
尚、「本体部の他側部と対向する連結リブに形成された被係止部に係止されるように係止部を設けること」としてもよい。この場合、リテーナが連結リブに圧接されたとしても、係止部が被係止部との係止状態が解除されるように変形してしまったり、係止部に対し無理な方向にせん断力が作用して折れてしまったりするといった事態を防止することができる。
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図1、図2等に示すように、台車1は、上面に物品が載置される平面略矩形状の台盤2と、台盤2の下面の四隅近傍に取付けられたキャスター3とを備えている。台盤2は、略矩形板状のベース板5と、ベース板5の下面から下方に延びる格子状の補強リブ6とを備え、これらがポリプロピレンにより一体的に形成されている。加えて、台盤2には、長辺部の中央位置に対応して、上下に貫通する持ち手孔7が形成されている。
図7等に示すように、キャスター3は、車輪21と、車輪21を支える支持金具22とを備えている。支持金具22は、前記ベース板5の下面に対向して取付けられる略平板状の座板23(図10参照)と、座板23の下面側に取付けられる断面略コ字状の支持脚24と、支持脚24に取付けられ、車輪21を軸支するシャフト25とを備えている。本実施形態の支持脚24は、座板23に対して旋回可能に取付けられている。
さて、本実施形態のキャスター3は、台盤2に対して座板23がねじやボルト等で取付固定されるのではなく、リテーナ4を使用して着脱自在に取付けられるようになっている。以下、リテーナ4を使用したキャスター3の取付構造について説明する。
図3、図4、図8等に示すように、台盤2は、台盤2の下面の四隅近傍に形成され、キャスター3の座板23が設置される座板設置部10と、座板設置部10に対し台盤2の短手方向中央部側に隣接して設けられ、リテーナ4が設置されるリテーナ設置部11とを有している。
座板設置部10は、台盤2の長手方向において相対する一対の受壁部12と、一対の受壁部12のうちリテーナ設置部11側とは反対側の端部間を連結する抜け止め壁部13と、各受壁部12の下辺部からそれぞれ座板設置部10の内側に突出し、ベース板5の下面との間に座板23の側辺部を挿入可能な間隙14を形成する支持部15とを備えている。
そして、図7に示すように、座板23を台盤2の下面側(図7では紙面上側)からリテーナ設置部11に進入させた後、座板23を座板設置部10側にスライドさせることで、座板23の両側辺部が間隙14に挿入され、座板23の両側辺部の下面側が支持部15に支持されるようになっている。以上のようにして、座板23が座板設置部10に設置されることとなる。
また、一対の受壁部12間の間隔は、座板23の幅よりも僅かに広い程度であり、座板設置部10に設置された座板23が台盤2の長手方向にがたつくことがほとんどないように構成されている。さらに、座板設置部10においても、ベース板5の下面から下方に延出する補強リブ(支持面補強リブ16)が設けられている。但し、支持面補強リブ16のベース板5下面からの延出長は比較的短く、本実施形態では、上下方向において、支持部15と支持面補強リブ16との間の間隔は、座板23の厚みよりも僅かに広い程度となっている。このため、座板設置部10に設置された座板23は、一対の支持部15と支持面補強リブ16との間で挟持され、上下方向にがたつくことがほとんどないように構成されている。
リテーナ設置部11は、座板設置部10の一対の受壁部12をリテーナ設置部11側(台盤2の短手方向中央部側)に延長させるようにして形成された延長リブ17と、一対の延長リブ17の先端部(台盤2の短手方向中央部側の端部)間を連結するようにして形成された連結リブ18とを備えている。
図5、図6等に示すように、リテーナ4は、リテーナ設置部11に嵌合する本体部31と、本体部31の一側部から側方に突出し、両側部が座板設置部10の間隙14に挿入される挿入部32と、本体部31のうち挿入部32が設けられた一側部とは反対側の他側部側に設けられ、リテーナ設置部11の連結リブ18に設けられた被係止部としての係止開口部19に係止される係止部33とを備え、これらがポリプロピレンにより一体的に形成されている。係止部33は、本体部31の他側部の壁部に対して上下方向に延びる一対のスリットを形成することで構成され、下端部側が本体部31と繋がっている弾性片34と、弾性片34の上端部から本体部31の外方に突出する係止爪35とを備えている。
そして、図10に示すように、挿入部32を間隙14に挿入させた後、挿入部32を中心に本体部31をリテーナ設置部11に嵌合するまで回動させることで、図9に示すように、係止部33が係止開口部19の下縁部に係止されるようになっている。以上のようにして、リテーナ4がリテーナ設置部11に設置され、キャスター3が台盤2に対して着脱自在に取付けられることとなる。
また、本実施形態のリテーナ4の本体部31の横幅(座板23の間隙14への挿入方向に対して直交する水平方向の幅)は、座板23の横幅と同じとなっており、挿入部32は、本体部31の横幅の全域から突出形成されている。このため、座板設置部10に設置された座板23のうちリテーナ設置部11側の側辺部の長手方向全域が、リテーナ設置部11に設置されたリテーナ4の挿入部32と対向することとなる。従って、座板設置部10にある座板23がリテーナ設置部11側に変位しようとした場合には、座板23の側辺部の長手方向全域にわたって挿入部32と当接して支持される(移動が規制される)ように構成されている。
さらに、挿入部32の厚みは、本体部31の厚みの1/3程度であり、挿入部32は、本体部31の一側部の側面上部(図9では下部)から水平方向に突出している。尚、図2、図6に示すように、本体部31のうち挿入部32と連接する一側部に関し、支持部15の側面と当接する部位については、厚みがそのまま残されるものの、当接しない部位については、凹状に構成され、旋回するキャスター3の車輪21と干渉しないように構成されている。
また、図9等に示すように、挿入部32の厚みは、座板23の厚みよりも大きく構成されている。これに対応して、支持部15の上面(図8では下側の面)は、間隙14の入口側の部位が上下に広くなるように段差状に構成されている。そして、図10に示すように、この間隙14の上下幅が広くなっている部位に挿入部32が挿入されるようになっている。このため、図9に示すように、間隙14に挿入された挿入部32の先端部は、座板23の側辺部だけでなく、支持部15のうちかかる段差部位における側面にも当接するように構成されている。加えて、支持部15上面のうち挿入部32を支持する部位のなかでも、間隙14の入口付近の部位は、挿入部32を斜めに挿入し易いように、面取り加工が施されている。
尚、支持部15の下面(図8では上側の面)は、支持部15のうち挿入部32を支持する部位の上下幅(厚み)が薄くならないように、かつ、座板23を支持する部位のうち間隙14入口側の部位の厚みがより厚くなるように段差状に構成されている。
また、図5、図10等に示すように、本体部31のうち挿入部32が設けられた一側部とは反対側の他側部には、上側の角部が除去されるようにして斜めに切欠き部36が形成されている。切欠き部36が設けられることにより、リテーナ4をリテーナ設置部11に対し回動させて取付ける際に、本体部31と連結リブ18とが干渉しないようになっている。さらに、係止部33の係止爪35は、切欠き部36よりも上方に位置しているが、弾性片34の付根部は、切欠き部36よりも下方に位置しており、リテーナ4の取付時には本体部31の回動動作を許容するべく、弾性片34が十分に撓むようになっている。このため、リテーナ4の取付け作業を支障なく行えるとともに、係止開口部19を連結リブ18の極力上方位置に形成し、係止開口部19の周りの強度を十分に確保することができる。
加えて、本実施形態では、座板23の間隙14への挿入方向(座板設置部10への取付方向)において、支持部15と連結リブ18との間の距離が、座板23の間隙14への挿入方向における幅よりも若干長くなるように構成されている。これにより、座板23をリテーナ設置部11に対して台盤2下面側から進入させることができるようになっている。また、座板23の間隙14への挿入方向におけるリテーナ4の本体部31の幅(挿入部32は除く)は、座板23の幅とほぼ同じとなっている。尚、当然のことながら、座板23の間隙14への挿入方向において、支持部15と連結リブ18との間の距離は、挿入部32を含めたリテーナ4の幅よりも短くなっており、挿入部32が間隙14に挿入され、係止部33が係止開口部19に係止されたリテーナ4の脱落が確実に防止されるようになっている。
リテーナ4を台盤2(リテーナ設置部11)から取外す場合には、連結リブ18のリテーナ設置部11外面側から係止部33の弾性片34を押圧して弾性変形させ、係止部33の係止開口部19との係止状態を解除するとともに、本体部31の他側部側を引っ張り出すようにして本体部31を回動させることで、取外すことができる。また、図2、図6に示すように、本実施形態のリテーナ4には、本体部31下面の他側部側の位置において、リテーナ4の取外し作業を行う際に、作業者が指先を引っ掛けることのできる一対の円形状の孔部37が形成されている。このため、リテーナ4の取外し作業を比較的容易に行うことができる。
尚、図1に示すように、台盤2の上面には、座板設置部10の裏側において、下方に凹む平面視円形状の車輪収容凹部8が形成されている。さらに、車輪収容凹部8の内側には、車輪収容凹部8の外周方向に延びる4つの位置決めリブ9が対称位置に設けられている。そして、複数の台車1を同じ向きで積み重ねた場合、上側の台車1のキャスター3の車輪21が、下側の台車1の車輪収容凹部8に収容されるようになっている。これにより、上側の台車1の水平方向への変位を抑制することができる。また、台盤2の上面側に車輪収容凹部8が形成されている分、その裏側の座板設置部10は下方に突出することとなる(図8等参照)。
以上詳述したように、本実施形態によれば、リテーナ4は、キャスター3の座板23が既に挿入されている間隙14に対して、本体部31の一側部から突出する挿入部32を挿入し、該挿入部32を中心に本体部31がリテーナ設置部11に嵌合するまで回動させることで、挿入部32が設けられた一側部とは反対側の他側部側に設けられた係止部33が係止開口部19に係止され、台盤2に取付けられることとなる。このため、リテーナ4の下方への抜け止めは、間隙14を形成するとともに、挿入部32の下面を支持する支持部15、及び、本体部31の他側部側に設けられた係止部33に係止される係止開口部19(の下縁部)によって行われることとなる。従って、リテーナ4の下方への抜け止めを行う構成を設けるために、リテーナ4のうち座板23の抜け止めを行う部位である挿入部32に対し切欠き等を設ける必要がなく、本実施形態のように、座板23のうちリテーナ設置部11側の側辺部の長手方向全域に対して、リテーナ4(挿入部32)を当接させることができる。これにより、座板23をリテーナ4でより確実に保持することができ、キャスター3のがたつきをより一層防止することができる。結果として、キャスター3のがたつきに起因して、台車1走行時の騒音が大きくなったり、キャスター3が損傷・脱落したりしてしまうといった不具合を払拭することができる。
さらに、リテーナ4に関しても、本体部31の一側部側(挿入部32)、及び、他側部側(係止部33)の両側部がそれぞれ支持されるため、リテーナ4の取付状態をより確実、かつ、安定的なものとすることができる。特に、係止部33の係止爪35と、係止開口部19とが上下方向(台盤2の厚み方向)に係り合うことから、台盤2に物品を載せる際の衝撃で係止部33と係止開口部19との係止状態が外れてしまうといった事態をより確実に防止することができる。
また、挿入部32は、本体部31のうち、座板23を間隙14に挿通させる方向(座板設置部10への取付方向)側である一側部側に設けられ、係止部33は、本体部31のうち、座板23を座板設置部10から取出す方向(リテーナ設置部11側へ抜く方向)側である他側部側に設けられている。このため、挿入部32を、座板23のうちリテーナ設置部11側の側辺部と同じ長さとし、かかる側辺部の長手方向全域と当接可能に構成したとしても、支持部15が延出している(座板設置部10の両側方を画定している)受壁部12を、リテーナ4に干渉することなく、リテーナ設置部11側に向けて延長させるようにして補強リブ(延長リブ17)を設けることができる。さらに、かかる延長させた延長リブ17に対して、係止部33を係止させるための被係止部を形成したり、係止部33の係止状態を解除するために作業者の指を入れるための空間を確保するべく切欠きを形成したりする必要がなく、延長リブ17自体の強度も十分に確保することができる。従って、座板設置部10やリテーナ設置部11の周辺部の強度を効果的に高めることができ、変形や損傷によるキャスター3の脱落等を防止することができる。
加えて、リテーナ4が回動により取付けられる構成であることから、一対の延長リブ17間を連結するようにして、本体部31の他側部側と対向する補強リブ(連結リブ18)を、座板設置部10から必要以上に離間させることなく(本例では、支持部15と連結リブ18との間の距離が、座板23の座板設置部10への取付方向における幅よりも若干長い程度)設けることができる。従って、座板設置部10やリテーナ設置部11の周辺部の強度を効果的に高めるといった作用効果がより一層奏されることとなる。
また、キャスター3及びリテーナ4の台盤2への取付作業は、両方とも台盤2の下面側での作業となる。このため、例えば、キャスター3の取付作業を台盤2の下面側において行い、リテーナ4の取付作業を台盤2の上面側から行うといった場合に比べ、着脱に際しての作業性の向上を図ることができる。さらに、リテーナ4を台盤2の上面側から取付けるよう構成する場合のように、物品を載置する台盤2の上面に対してリテーナ設置部11を設けるための開口部等が形成されてしまうといった事態を回避することができる。
加えて、リテーナ4の本体部31の他側部には、上側の角部が除去されるようにして切欠き部36が形成されている。このため、座板23の間隙14への挿入方向において、リテーナ4と、リテーナ設置部11を画定する壁部(連結リブ18)との間に形成される隙間を極力小さく構成することができ、リテーナ4、ひいては、キャスター3のがたつきをより一層防止することができる。さらに、連結リブ18の高さ(ベース板5から下方への延出長)を短くしなくても済み、かかる連結リブ18を設けることによる強度アップをより確実に図ることができる。また、連結リブ18自体の強度を確保できることによって、座板設置部10から抜け出そうとする座板23の抜けを規制するリテーナ4をより安定して支持することができるとともに、連結リブ18において強度の著しい低下を招くことなく係止開口部19を形成することができる。
また、本体部31の他側部と対向する連結リブ18に形成された係止開口部19に係止されるように係止部33を設けることによって、リテーナ4が連結リブ18に圧接されたとしても、係止部33の弾性片34が係止開口部19との係止状態が解除されるように変形してしまったり、係止部33の弾性片34に対し可撓方向とは交差する方向にせん断力が作用して折れてしまったりするといった事態を防止することができる。
さらに、本実施形態では、リテーナ設置部11が台盤2の長手方向において座板設置部10に隣接するのではなく、台盤2の短手方向において座板設置部10に隣接するようになっている。すなわち、台車1は一般的に、台盤2の長手方向を台車1の進行方向に沿わせて移動させる場合が多い。このため、そのように台車1を移動させる際に、座板23は、台車1の進行方向において、座板23の幅にほぼぴったりと併せて形成された座板設置部10の受壁部12に当接して支持されることとなる。従って、台車1走行時のキャスター3のがたつきを防止する等の作用効果が奏される。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、全てのキャスター3が、座板23に対して旋回可能な旋回キャスターにより構成されているが、そのうちの一部、又は、全部が、旋回不可能な固定キャスターにより構成されることとしてもよい。また、キャスター3の一部、又は、全部が、ストッパー付きのキャスターにより構成されることとしてもよい。
(b)上記実施形態では、リテーナ4に設けられる係止部33が一対で設けられているが、その数は限定されるものではなく、例えば、1つでもよい。また、上記実施形態では、リテーナ4側に設けられた係止部33が弾性片34及び係止爪35を有し、当該係止爪35が連結リブ18に形成された係止開口部19に係止されるように構成されているが、例えば、連結リブ18側に係止爪を設け、リテーナ4側に対してかかる係止爪が係止される係止開口部を形成することとしてもよい。
さらに、本体部31に対する係止部33の配置や、係止開口部19の形成位置についても特に限定されるものではない。例えば、係止開口部19が、ベース板5や延長リブ17に設けられ、本体部31がリテーナ設置部11に嵌合した際に、係止部33の係止爪35が係止開口部19に係止されるように構成してもよい。また、例えば、本体部31の略中央部から上方に突出する突起状の係止部が設けられ、本体部31がリテーナ設置部11に嵌合した際に、ベース板5に形成された係止孔に係止されるように構成してもよい。但し、係止状態の安定化やリテーナ4の取付状態の安定化等を考慮すると、上記実施形態のように、本体部31の他側部側に設けられた係止部33の係止爪35と、連結リブ18に形成された係止開口部19とが、台盤2の厚み方向に係り合うように構成することが望ましい。
(c)上記実施形態では、リテーナ4の挿入部32が、座板23の側辺部の長手方向全域と当接可能に構成されているが、必ずしもリテーナ4の挿入部32が座板23の側辺部の長手方向全域と当接していなくてもよく、例えば、リテーナ4の挿入部32や座板23の一部に凹凸や切込みが形成され、その区間ではリテーナ4と座板23とが当接しないように構成されていてもよい。
(d)上記実施形態では、台盤2及びリテーナ4はポリプロピレンにより構成されているが、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料により構成されることとしてもよい。