JP5975059B2 - 方向性結合器 - Google Patents

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Description

本発明は、方向性結合器に関し、より特定的には、主線路と副線路とを備えた方向性結合器に関する。
従来の方向性結合器としては、例えば、特許文献1に記載の方向性結合器が知られている。該方向性結合器は、複数の誘電体層、第1の結合ライン、第2の結合ライン、第1の接地電極及び第2の接地電極を備えている。
複数の誘電体層は、長方形状をなしており、上下方向において積層されている。第1の結合ライン及び第2の結合ラインは、互いに異なる誘電体層上に設けられており、互いに電磁気的に結合している。第1の結合ラインは、第2の結合ラインよりも上側に位置している。第1の接地電極は、第1の結合ラインよりも上側に位置する誘電体層上に設けられている。第2の接地電極は、第2の結合ラインよりも下側に位置する誘電体層上に設けられている。以上のように構成された方向性結合器は、小型化と低挿入損失化を実現し、かつ十分なアイソレーション特性を有する。
ところで、特許文献1に記載の方向性結合器では、第1の結合ラインの特性インピーダンスと第2の結合ラインの特性インピーダンスとの間に差が発生するおそれがある。より詳細には、該方向性結合器では、複数の誘電体層の厚みには、製造ばらつきが存在する。そのため、第1の結合ラインから第1の接地電極までの距離と、第2の結合ラインから第2の接地電極までの距離との間に、ばらつきが発生するおそれがある。これにより、第1の結合ラインと第1の接地電極との間に発生する容量の所定の容量に対するずれ量と、第2の結合ラインと第2の接地電極との間に発生する容量の所定の容量に対するずれ量との間にばらつきが発生するおそれがある。その結果、第1の結合ラインの特性インピーダンスと第2の結合ラインの特性インピーダンスとの間に差が発生しやすくなる。
特開平9−153708号公報
そこで、本発明の目的は、主線路の特性インピーダンスと副線路の特性インピーダンスとの間に差が発生することを抑制できる方向性結合器を提供することである。
本発明の一形態に係る方向性結合器は、第1の誘電体層及び第2の誘電体層を含む複数の誘電体層が積層されて構成されている積層体と、互いに電気的に直列に接続されている第1の主線路部及び第2の主線路部を含む主線路と、互いに電気的に直列に接続されている第1の副線路部及び第2の副線路部を含む副線路であって、前記主線路と電磁気的に結合している副線路と、を備えており、前記第1の主線路部及び前記第1の副線路部は、前記第1の誘電体層上に設けられており、前記第2の主線路部及び前記第2の副線路部は、前記第2の誘電体層上に設けられており、積層方向から平面視したときに、前記第1の主線路部と前記第2の副線路部とが重なっていると共に、前記第1の副線路部と前記第2の主線路部とが重なっており前記第1の主線路部、前記第2の主線路部、前記第1の副線路部及び前記第2の副線路部は、積層方向から平面視したときに、渦巻状をなしていること、を特徴とする。
本発明によれば、主線路の特性インピーダンスと副線路の特性インピーダンスとの間に差が発生することを抑制できる。
方向性結合器10a,10bの外観斜視図である。 方向性結合器10aの積層体12の分解斜視図である。 方向性結合器10bの積層体12の分解斜視図である。 比較例に係る方向性結合器100の積層体112の分解斜視図である。 第3のモデルのスミスチャートである。 図5Aの拡大図である。 第1のモデルのスミスチャートである。 図6Aの拡大図である。 第2のモデルのスミスチャートである。 図7Aの拡大図である。 第1のモデルの磁界分布を示した図である。 第2のモデルの磁界分布を示した図である。
以下に、本発明の一実施形態に係る方向性結合器について図面を参照しながら説明する。図1は、方向性結合器10a,10bの外観斜視図である。図2は、方向性結合器10aの積層体12の分解斜視図である。以下では、積層方向を上下方向と定義し、上側から平面視したときの方向性結合器10aの長辺方向を前後方向と定義し、上側から平面視したときの方向性結合器10aの短辺方向を左右方向と定義する。
方向性結合器10aは、図1及び図2に示すように、積層体12、外部電極14a〜14j、主線路M、副線路S、引き出し導体18a〜18d、グランド導体20及びビアホール導体v1,v3,v4,v6を備えている。
積層体12は、図2に示すように、直方体状をなしており、誘電体セラミックからなる長方形状の誘電体層16a〜16fが上側から下側へとこの順に並ぶように積層されることにより構成されている。以下では、積層体12の上側の主面を上面、下側の主面を底面と呼ぶ。積層体12の前側の端面を前面、後ろ側の端面を背面と呼ぶ。積層体12の右側の側面を右面、左側の側面を左面と呼ぶ。積層体12の底面は、方向性結合器10aが回路基板に実装される際に、回路基板と対向する実装面である。また、誘電体層16a〜16fの上側の面を表面と呼び、誘電体層16a〜16fの下側の面を裏面と呼ぶ。
外部電極14e,14f,14gは、積層体12の右面において、前側から後ろ側へとこの順に並ぶように設けられている。外部電極14e,14f,14gは、上下方向に延在していると共に、上面及び底面に折り返されている。
外部電極14h,14i,14jは、積層体12の左面において、前側から後ろ側へとこの順に並ぶように設けられている。外部電極14h,14i,14jは、上下方向に延在していると共に、上面及び底面に折り返されている。
外部電極14a,14dは、積層体12の前面において、右側から左側へとこの順に並ぶように設けられている。外部電極14a,14dは、上下方向に延在していると共に、上面及び底面に折り返されている。
外部電極14c,14bは、積層体12の後面において、右側から左側へとこの順に並ぶように設けられている。外部電極14c,14bは、上下方向に延在していると共に、上面及び底面に折り返されている。
外部電極14a〜14jは、積層体12の表面にAgを主成分とする導電性ペーストが塗布されることにより形成された下地電極に対して、Niめっき及びSnめっきが施されることにより形成されている。
主線路Mは、積層体12内に設けられており、主線路部m1,m2及びビアホール導体v2を含んでいる。主線路Mの特性インピーダンスは、例えば、50Ωである。主線路部m1は、誘電体層16cの表面の前半分に設けられている線状導体である。主線路部m1は、上側から平面視したときに、誘電体層16cの中央(対角線の交点)に対して右側に位置する外周側の端部から誘電体層16cの前半分の中央に位置する内周側の端部へと時計回りに複数周にわたって周回する渦巻状をなしている。以下では、主線路部m1の内周側の端部を内周端と呼び、主線路部m1の外周側の端部を外周端と呼ぶ。
主線路部m2は、誘電体層16cよりも下側に設けられている誘電体層16dの表面の後ろ半分に設けられている線状導体である。主線路部m2は、上側から平面視したときに、誘電体層16dの中央(対角線の交点)に対して右側に位置する外周側の端部から誘電体層16dの後ろ半分の中央に位置する内周側の端部へと時計回りに複数周にわたって周回する渦巻状をなしている。以下では、主線路部m2の内周側の端部を内周端と呼び、主線路部m2の外周側の端部を外周端と呼ぶ。
主線路部m1,m2は、例えば、Cu又はAgからなる金属を主成分とする導電性ペーストが誘電体層16c,16dに塗布されることにより形成される。
ビアホール導体v2は、誘電体層16cを上下方向に貫通しており、主線路部m1の外周端と主線路部m2の外周端とを電気的に接続している。これにより、主線路部m1と主線路部m2とは、ビアホール導体v2を介して電気的に直列に接続されている。
引き出し導体18aは、誘電体層16cよりも上側に設けられている誘電体層16bの表面に設けられている直線状の線状導体である。引き出し導体18aの一方の端部は、上側から平面視したときに、主線路部m1の内周端と重なっている。また、引き出し導体18aは、一方の端部から右前方向に向かって延在している。そして、引き出し導体18aの他方の端部は、誘電体層16bの前側の短辺に引き出されており、外部電極14aと電気的に接続されている。
ビアホール導体v1は、誘電体層16bを上下方向に貫通しており、引き出し導体18aの一方の端部と主線路部m1の内周端とを電気的に接続している。これにより、ビアホール導体v1及び引き出し導体18aは、主線路部m1の内周端と外部電極14aとを電気的に接続している。
引き出し導体18bは、誘電体層16dよりも下側に設けられている誘電体層16eの表面に設けられている直線状の線状導体である。引き出し導体18bの一方の端部は、上側から平面視したときに、主線路部m2の内周端と重なっている。また、引き出し導体18bは、一方の端部から左後ろ方向に向かって延在している。そして、引き出し導体18bの他方の端部は、誘電体層16eの後ろ側の短辺に引き出されており、外部電極14bと電気的に接続されている。
引き出し導体18a,18bは、例えば、Cu又はAgからなる金属を主成分とする導電性ペーストが誘電体層16b,16eに塗布されることにより形成される。
ビアホール導体v3は、誘電体層16dを上下方向に貫通しており、引き出し導体18bの一方の端部と主線路部m2の内周端とを電気的に接続している。これにより、ビアホール導体v3及び引き出し導体18bは、主線路部m2の内周端と外部電極14bとを電気的に接続している。
ビアホール導体v1〜v3は、誘電体層16b〜16dに設けられた貫通孔にCu又はAgを主成分とする導電性ペーストが充填されることにより形成される。
副線路Sは、積層体12内に設けられており、主線路Mと電磁気的に結合している。副線路Sは、副線路部s1,s2及びビアホール導体v5を含んでいる。副線路Sの特性インピーダンスは、例えば、50Ωである。副線路部s1は、誘電体層16cの表面の後ろ半分に設けられている線状導体である。副線路部s1は、上側から平面視したときに、誘電体層16cの中央(対角線の交点)に対して左側に位置する外周側の端部から誘電体層16cの後ろ半分の中央に位置する内周側の端部へと時計回りに複数周にわたって周回する渦巻状をなしている。以下では、副線路部s1の内周側の端部を内周端と呼び、副線路部s1の外周側の端部を外周端と呼ぶ。
ここで、主線路部m2と副線路部s1とは、上側から平面視したときに、重なっている。更に、主線路部m2と副線路部s1とは、上側から平面視したときに、略全長にわたって互いに並走している。より詳細には、主線路部m2と副線路部s1とは、上側から平面視したときに、これらの外周端近傍を除く部分において一致した状態で重なっている。
また、主線路部m1と副線路部s1とは、上側から平面視したときに、誘電体層16cの対角線の交点に関して点対称な図形をなしている。よって、誘電体層16cの対角線の交点を中心として主線路部m1を180°回転させると副線路部s1と一致する。
副線路部s2は、誘電体層16cよりも下側に設けられている誘電体層16dの表面の前半分に設けられている線状導体である。副線路部s2は、上側から平面視したときに、誘電体層16dの中央(対角線の交点)に対して左側に位置する外周側の端部から誘電体層16dの前半分の中央に位置する内周側の端部へと時計回りに複数周にわたって周回する渦巻状をなしている。主線路部m1,m2の線幅及び副線路部s1,s2の線幅は実質的に等しい。以下では、副線路部s2の内周側の端部を内周端と呼び、副線路部s2の外周側の端部を外周端と呼ぶ。
ここで、主線路部m1と副線路部s2とは、上側から平面視したときに、重なっている。更に、主線路部m1と副線路部s2とは、上側から平面視したときに、略全長にわたって互いに並走している。より詳細には、主線路部m1と副線路部s2とは、上側から平面視したときに、これらの外周端近傍を除く部分において一致した状態で重なっている。
また、主線路部m2と副線路部s2とは、上側から平面視したときに、誘電体層16dの対角線の交点に関して点対称な図形をなしている。よって、誘電体層16dの対角線の交点を中心として主線路部m2を180°回転させると副線路部s2と一致する。
副線路部s1,s2は、例えば、Cu又はAgからなる金属を主成分とする導電性ペーストが誘電体層16c,16dに塗布されることにより形成される。
ビアホール導体v5は、誘電体層16cを上下方向に貫通しており、副線路部s1の外周端と副線路部s2の外周端とを電気的に接続している。これにより、副線路部s1と副線路部s2とは、ビアホール導体v5を介して電気的に直列に接続されている。
引き出し導体18cは、誘電体層16cよりも上側に設けられている誘電体層16bの表面に設けられている直線状の線状導体である。引き出し導体18cの一方の端部は、上側から平面視したときに、副線路部s1の内周端と重なっている。また、引き出し導体18cは、一方の端部から右後ろ方向に向かって延在している。そして、引き出し導体18cの他方の端部は、誘電体層16bの後ろ側の短辺に引き出されており、外部電極14cと電気的に接続されている。
ここで、引き出し導体18bと引き出し導体18cとは、上側から平面視したときに、実質的に二等辺三角形の等しい長さを有する2辺を形成している。
ビアホール導体v4は、誘電体層16bを上下方向に貫通しており、引き出し導体18cの一方の端部と副線路部s1の内周端とを電気的に接続している。これにより、ビアホール導体v4及び引き出し導体18cは、副線路部s1の内周端と外部電極14cとを電気的に接続している。
引き出し導体18dは、誘電体層16dよりも下側に設けられている誘電体層16eの表面に設けられている直線状の線状導体である。引き出し導体18dの一方の端部は、上側から平面視したときに、副線路部s2の内周端と重なっている。また、引き出し導体18dは、一方の端部から左前方向に向かって延在している。そして、引き出し導体18dの他方の端部は、誘電体層16eの前側の短辺に引き出されており、外部電極14dと電気的に接続されている。
引き出し導体18c,18dは、例えば、Cu又はAgからなる金属を主成分とする導電性ペーストが誘電体層16b,16eに塗布されることにより形成される。
ここで、引き出し導体18aと引き出し導体18dとは、上側から平面視したときに、実質的に二等辺三角形の等しい長さを有する2辺を形成している。また、引き出し導体18a及び引き出し導体18bは、上側から平面視したときに、誘電体層16bの対角線の交点に関して点対称な図形をなしている。引き出し導体18c及び引き出し導体18dは、上側から平面視したときに、誘電体層16bの対角線の交点に関して点対称な図形をなしている。また、引き出し導体18a〜18dの線幅は等しい。
ビアホール導体v6は、誘電体層16dを上下方向に貫通しており、引き出し導体18dの一方の端部と副線路部s2の内周端とを電気的に接続している。これにより、ビアホール導体v6及び引き出し導体18dは、副線路部s2の内周端と外部電極14dとを電気的に接続している。
グランド導体20は、誘電体層16dよりも下側に設けられている誘電体層16fの表面に設けられている長方形状の導体である。グランド導体20は、上側から平面視したときに、主線路部m1,m2及び副線路部s1,s2と重なっている。グランド導体20は、右側の長辺の3箇所から右方向に突出することにより、外部電極14e〜14gに電気的に接続されている。グランド導体20は、左側の長辺の3箇所から左方向に突出することにより、外部電極14h〜14jに電気的に接続されている。
グランド導体20は、例えば、Cu又はAgからなる金属を主成分とする導電性ペーストが誘電体層16fに塗布されることにより形成される。
以上のような方向性結合器10aでは、外部電極14aが入力ポートとして用いられ、外部電極14bが出力ポートとして用いられる。また、外部電極14dは、カップリングポートとして用いられ、外部電極14cは、50Ωで終端化されるターミネートポートとして用いられる。また、外部電極14e〜14jは、接地される接地ポートとして用いられる。そして、外部電極14aに対して信号が入力されると、該信号が外部電極14bから出力される。更に、主線路Mと副線路Sとが電磁気的に結合しているので、外部電極14bから出力される信号の電力に比例する電力を有する信号が外部電極14dから出力される。
(効果)
以上のように構成された方向性結合器10aによれば、主線路Mの特性インピーダンスと副線路Sの特性インピーダンスとの間に差が発生することを抑制できる。より詳細には、主線路部m1及び副線路部s1は、誘電体層16c上に設けられている。そのため、誘電体層16a〜16fの厚みにばらつきが発生したとしても、主線路部m1からグランド導体20までの距離と副線路部s1からグランド導体20までの距離とが等しいままである。したがって、主線路部m1とグランド導体20との間に発生する容量と副線路部s1とグランド導体20との間に発生する容量との間に差が生じにくい。
また、主線路部m2及び副線路部s2は、誘電体層16d上に設けられている。そのため、誘電体層16a〜16fの厚みにばらつきが発生したとしても、主線路部m2からグランド導体20までの距離と副線路部s2からグランド導体20までの距離とが等しいままである。したがって、主線路部m2とグランド導体20との間に発生する容量と副線路部s2とグランド導体20との間に発生する容量との間に差が生じにくい。
以上のように、誘電体層16a〜16fの厚みにばらつきが発生したとしても、主線路Mとグランド導体20との間に形成される容量と副線路Sとグランド導体20との間に形成される容量との間に差が生じにくい。すなわち、主線路Mの特性インピーダンスと副線路Sの特性インピーダンスとの間に差が生じにくい。
また、方向性結合器10aによれば、上下方向の高さを低くすること(以下、低背化)ができる。より詳細には、特許文献1に記載の方向性結合器では、第1の接地電極は、第1の結合ラインよりも上側に位置する誘電体層上に設けられている。第2の接地電極は、第2の結合ラインよりも下側に位置する誘電体層上に設けられている。すなわち、2つの接地電極が設けられている。これは、第1の結合ラインと第1の接地電極及び第2の接地電極との間に発生する容量と、第2の結合ラインと第1の接地電極及び第2の接地電極との間に発生する容量とを近づけるためである。
しかしながら、特許文献1に記載の方向性結合器では、2つの接地電極が必要なので、積層方向の高さが高くなってしまう。また、いずれか一方の接地電極がない場合、第1の結合ラインと接地電極との間に発生する容量と、第2の結合ラインと接地電極との間に発生する容量との間に差が発生する。
そこで、方向性結合器10aでは、主線路部m1及び副線路部s1は、誘電体層16c上に設けられている。これにより、主線路部m1からグランド導体20までの距離と副線路部s1からグランド導体20までの距離とが等しくなる。したがって、主線路部m1とグランド導体20との間に発生する容量と副線路部s1とグランド導体20との間に発生する容量との間に差が生じにくい。また、主線路部m2及び副線路部s2は、誘電体層16d上に設けられている。これにより、主線路部m2からグランド導体20までの距離と副線路部s2からグランド導体20までの距離とが等しくなる。したがって、主線路部m2とグランド導体20との間に発生する容量と副線路部s2とグランド導体20との間に発生する容量との間に差が生じにくい。
以上のように、方向性結合器10aでは、1つのグランド導体20のみが設けられることによって、主線路Mとグランド導体20との間に発生する容量と副線路Sとグランド導体20との間に発生する容量とを近づけることができる。その結果、方向性結合器10aでは、低背化を図ることができる。なお、このことは、主線路部m1及び副線路部s1よりも上側に、主線路部m1及び副線路部s1と重なるグランド導体が設けられることを妨げるものではない。
なお、方向性結合器10aでは、小型化を図ることができる。例えば、特許文献1に記載の方向性結合器が3dB方向性結合器を構成するためには、第1の結合ライン及び第2の結合ラインの長さは第1の結合ライン及び第2の結合ラインを伝送される高周波信号の波長の1/4であることが好ましい。このような3dB方向性結合器において、小型化を図るためには、誘電体層の誘電率を高くすることが考えられる。これにより、第1の結合ライン及び第2の結合ラインを伝送される高周波信号の波長が短くなるので、第1の結合ライン及び第2の結合ラインの長さが短くなる。
しかしながら、誘電体層の誘電率が高くなると、第1の結合ライン及び第2の結合ラインと第1の接地電極及び第2の接地電極との間に発生する容量が大きくなる。その結果、第1の結合ライン及び第2の結合ラインの特性インピーダンスが低下し、所定の特性インピーダンス(例えば、50Ω)からずれてしまう。
そこで、方向性結合器10aでは、前記の通り、主線路M及び副線路Sよりも上側にグランド導体が設けられていない。よって、方向性結合器10aでは、特許文献1に記載の方向性結合器よりも、主線路M及び副線路Sに発生する容量が小さいので、主線路M及び副線路Sの特性インピーダンスが大きくなる。その結果、方向性結合器10aでは、主線路M及び副線路Sの特性インピーダンスの低下を抑制しつつ、方向性結合器10aの小型化を図ることができる。
また、方向性結合器10aでは、主線路M及び副線路Sの設計が容易である。より詳細には、特許文献1に記載の方向性結合器において、第1の接地電極を取り除くと、第1の結合ライン及び第2の結合ラインはそれぞれ、第2の接地電極と容量を形成する。ただし、第1の結合ラインから第2の接地電極までの距離と、第2の結合ラインから第2の接地電極までの距離とは異なる。そのため、第1の結合ラインと第2の接地電極との間に形成される容量と、第2の結合ラインと第2の接地電極との間に形成される容量とを近づけることを考慮して、第1の結合ライン及び第2の結合ラインの設計しなければならない。
一方、方向性結合器10aでは、主線路部m1及び副線路部s1は、誘電体層16c上に設けられている。また、主線路部m2及び副線路部s2は、誘電体層16d上に設けられている。これにより、主線路部m1からグランド導体20までの距離と、副線路部s1からグランド導体20までの距離とが等しくなる。同様に、主線路部m2からグランド導体20までの距離と、副線路部s2からグランド導体20までの距離とが等しくなる。すなわち、方向性結合器10aでは、1つのグランド導体20しか設けられていなくても、主線路Mからグランド導体20までの距離と、副線路Sからグランド導体20までの距離とを実質的に等しくできる。よって、主線路Mとグランド導体20との間に形成される容量と副線路Sとグランド導体20との間に形成される容量とを近づけるには、主線路部m1と副線路部s1との構造を近づけると共に、主線路部m2と副線路部s2との構造を近づければよい。その結果、方向性結合器10aでは、主線路M及び副線路Sを容易に設計できる。
また、方向性結合器10aによれば、引き出し導体18aの特性インピーダンスと引き出し導体18cの特性インピーダンスとを近づけることができる。より詳細には、引き出し導体18aと引き出し導体18cとが同じ誘電体層16bの表面に設けられている。これにより、引き出し導体18aからグランド導体20までの間の距離と、引き出し導体18cからグランド導体20までの間の距離とを等しくできる。すなわち、引き出し導体18aとグランド導体20との間に発生する容量と、引き出し導体18cとグランド導体20との間に発生する容量とを近づけることができる。よって、引き出し導体18aの特性インピーダンスと引き出し導体18cの特性インピーダンスとを近づけることができる。同じ理由により、引き出し導体18bの特性インピーダンスと引き出し導体18dの特性インピーダンスとを近づけることができる。
また、方向性結合器10aによれば、引き出し導体18aは、誘電体層16bの前側の短辺に対して傾斜している。これにより、引き出し導体18aと誘電体層16bの前側の短辺とのなす角度を調整することにより、主線路Mと引き出し導体18aとの交差状態を調整して、引き出し導体18aの特性インピーダンスを調整することができる。同様の理由により、引き出し導体18b〜18cの特性インピーダンスも調整できる。
また、方向性結合器10aによれば、主線路Mの特性インピーダンスと副線路Sの特性インピーダンスとの間に差が発生することを抑制できる。より詳細には、引き出し導体18aと引き出し導体18dとは、上側から平面視したときに、実質的に二等辺三角形の等しい長さの2辺を形成している。更に、引き出し導体18bと引き出し導体18cとは、上側から平面視したときに、実質的に二等辺三角形の等しい長さの2辺を形成している。そのため、主線路M、引き出し導体18a,18bの形状と、副線路S、引き出し導体18c,18dの形状とが、点対称な関係となる。その結果、主線路Mの特性インピーダンスと副線路Sの特性インピーダンスとの間に差が発生することが抑制される。
また、方向性結合器10aでは、主線路部m1,m2は、外周側から内周側へと時計回りに周回している。更に、主線路部m1の外周端と主線路部m2の外周端とが電気的に接続される。例えば、主線路Mに外部電極14aから外部電極14bに向かって電流が流れると、主線路部m1において反時計回りに電流が流れて、主線路部m1の中心において上向きに磁界が発生する。主線路部m2において時計回りに電流が流れて、主線路部m2の中心において下向きに磁界が発生する。すなわち、主線路部m1の中心に発生する磁界の向きと主線路部m2の中心に発生する磁界の向きとが逆になる。この場合、これらの磁界は、主線路部m1,m2の上側で繋がると共に、主線路部m1,m2の下側で繋がる。その結果、主線路部m1と主線路部m2とが強く磁界結合するようになる。なお、同じ理由により、副線路部s1と副線路部s2とが強く磁界結合するようになる。
また、方向性結合器10aでは、主線路部m1と副線路部s2とは、上側から平面視したときに、外周側から内周側へと時計回りに周回し、かつ、互いに並走している。これにより、主線路部m1と副線路部s2とを強く磁気結合させることができる。同じ理由により、主線路部m2と副線路部s1とを強く磁気結合させることができる。
(変形例)
以下に、変形例に係る方向性結合器について図面を参照しながら説明する。図3は、方向性結合器10bの積層体12の分解斜視図である。方向性結合器10bの外観斜視図は、図1を援用する。
方向性結合器10bは、以下の2点において方向性結合器10aと相違する。
第1の相違点:積層体12にて積層される誘電体層の数
第2の相違点:主線路M及び副線路Sの形状
第1の相違点について説明する。方向性結合器10bの積層体12は、誘電体層16a〜16c,16g,16d〜16fが上側から下側へとこの順に並ぶように積層されることにより構成されている。すなわち、方向性結合器10bの積層体12では、誘電体層16cと誘電体層16dとの間に誘電体層16gが挿入されている。
第2の相違点について説明する。主線路Mは、主線路部m1,m2及びビアホール導体v11,v12を含んでいる。主線路部m1は、誘電体層16cの表面の前半分に設けられている線状導体である。主線路部m1は、上側から平面視したときに、誘電体層16cの中央(対角線の交点)に対して左側に位置する外周側の端部から誘電体層16cの前半分の中央に位置する内周側の端部へと時計回りに複数周にわたって周回する渦巻状をなしている。以下では、主線路部m1の内周側の端部を内周端と呼び、主線路部m1の外周側の端部を外周端と呼ぶ。
主線路部m2は、誘電体層16cよりも下側に設けられている誘電体層16dの表面の後ろ半分に設けられている線状導体である。主線路部m2は、上側から平面視したときに、誘電体層16dの中央(対角線の交点)に対して左側に位置する外周側の端部から誘電体層16dの後ろ半分の中央に位置する内周側の端部へと反時計回りに複数周にわたって周回する渦巻状をなしている。すなわち、方向性結合器10bの主線路部m2は、方向性結合器10aの主線路部m2と逆方向に周回している。以下では、主線路部m2の内周側の端部を内周端と呼び、主線路部m2の外周側の端部を外周端と呼ぶ。
ビアホール導体v11は、誘電体層16cを上下方向に貫通している。ビアホール導体v12は、誘電体層16gを上下方向に貫通している。ビアホール導体v11とビアホール導体v12とは、互いに接続されることにより1本のビアホール導体を構成しており、主線路部m1の外周端と主線路部m2の外周端とを電気的に接続している。これにより、主線路部m1と主線路部m2とは、ビアホール導体v11,v12を介して電気的に直列に接続されている。
方向性結合器10bの引き出し導体18a,18b及びビアホール導体v1,v3は、方向性結合器10aの引き出し導体18a,18b及びビアホール導体v1,v3と同じであるので説明を省略する。
副線路Sは、積層体12内に設けられており、主線路Mと電磁気的に結合している。副線路Sは、副線路部s1,s2、接続導体22及びビアホール導体v13,v14を含んでいる。副線路部s1は、誘電体層16cの表面の後ろ半分に設けられている線状導体である。副線路部s1は、上側から平面視したときに、誘電体層16cの中央(対角線の交点)に対して左側に位置する外周側の端部から誘電体層16cの後ろ半分の中央に位置する内周側の端部へと反時計回りに複数周にわたって周回する渦巻状をなしている。すなわち、方向性結合器10bの副線路部s1は、方向性結合器10aの副線路部s1と逆方向に周回している。以下では、副線路部s1の内周側の端部を内周端と呼び、副線路部s1の外周側の端部を外周端と呼ぶ。
ここで、主線路部m2と副線路部s1とは、上側から平面視したときに、重なっている。更に、主線路部m2と副線路部s1とは、上側から平面視したときに、略全長にわたって互いに並走している。より詳細には、主線路部m2と副線路部s1とは、上側から平面視したときに、これらの外周端近傍を除く部分において一致した状態で重なっている。
また、主線路部m1と副線路部s1とは、上側から平面視したときに、誘電体層16cの対角線を通過する左右方向に延在する直線に関して線対称な図形をなしている。
副線路部s2は、誘電体層16cよりも下側に設けられている誘電体層16dの表面の前半分に設けられている線状導体である。副線路部s2は、上側から平面視したときに、誘電体層16dの中央(対角線の交点)に対して左側に位置する外周側の端部から誘電体層16dの前半分の中央に位置する内周側の端部へと時計回りに複数周にわたって周回する渦巻状をなしている。以下では、副線路部s2の内周側の端部を内周端と呼び、副線路部s2の外周側の端部を外周端と呼ぶ。
接続導体22は、誘電体層16gの表面に設けられ、前後方向に延在する直線状の線状導体である。接続導体22の前端は、上側から平面視したときに、副線路部s2の外周端と重なっている。接続導体22の後端は、上側から平面視したときに、副線路部s1の外周端と重なっている。
ここで、主線路部m1と副線路部s2とは、上側から平面視したときに、重なっている。更に、主線路部m1と副線路部s2とは、上側から平面視したときに、略全長にわたって互いに並走している。より詳細には、主線路部m1と副線路部s2とは、上側から平面視したときに、これらの外周端近傍を除く部分において一致した状態で重なっている。
また、主線路部m2と副線路部s2とは、上側から平面視したときに、誘電体層16dの対角線を通過する左右方向に延在する直線に関して線対称な図形をなしている。
ビアホール導体v13は、誘電体層16cを上下方向に貫通しており、副線路部s1の外周端と接続導体22の後端とを電気的に接続している。ビアホール導体v14は、誘電体層16gを上下方向に貫通しており、副線路部s2の外周端と接続導体22の前端とを電気的に接続している。これにより、副線路部s1と副線路部s2とは、ビアホール導体v13,v14及び接続導体22を介して電気的に直列に接続されている。
方向性結合器10bの引き出し導体18c,18d及びビアホール導体v4,v6は、方向性結合器10aの引き出し導体18c,18d及びビアホール導体v4,v6と同じであるので説明を省略する。また、方向性結合器10bのグランド導体20も方向性結合器10aのグランド導体20と同じであるので説明を省略する。
以上のような方向性結合器10bでは、外部電極14aが入力ポートとして用いられ、外部電極14bが出力ポートとして用いられる。また、外部電極14dは、カップリングポートとして用いられ、外部電極14cは、50Ωで終端化されるターミネートポートとして用いられる。また、外部電極14e〜14jは、接地される接地ポートとして用いられる。そして、外部電極14aに対して信号が入力されると、該信号が外部電極14bから出力される。更に、主線路Mと副線路Sとが電磁気的に結合しているので、外部電極14bから出力される信号の電力に比例する電力を有する信号が外部電極14dから出力される。
(効果)
以上のように構成された方向性結合器10bは、方向性結合器10aと同じ作用効果を奏することができる。
また、方向性結合器10bは、主線路部m1は、外周側から内周側へと時計回りに周回している。主線路部m2は、外周側から内周側へと反時計回りに周回している。更に、主線路部m1の外周端と主線路部m2の外周端とが電気的に接続される。例えば、主線路Mに外部電極14aから外部電極14bに向かって電流が流れると、主線路部m1において反時計回りに電流が流れて、主線路部m1の中心において上向きに磁界が発生する。主線路部m2において反時計回りに電流が流れて、主線路部m2の中心において上向きに磁界が発生する。すなわち、主線路部m1の中心に発生する磁界の向きと主線路部m2の中心に発生する磁界の向きとが同じになる。この場合、これらの磁界は互いに打ち消し合う。その結果、主線路部m1と主線路部m2とが弱く磁界結合するようになる。なお、同じ理由により、副線路部s1と副線路部s2とが弱く磁界結合するようになる。
以上に示した方向性結合器10a,10bのように、主線路M及び副線路Sの形状を変更することにより、主線路部m1と主線路部m2との磁界結合の強度、及び、副線路部s1と副線路部s2との磁界結合の強度を調整することができる。したがって、用途に応じて、方向性結合器10aと方向性結合器10bとを使い分けることが好ましい。
(コンピュータシミュレーション)
本願発明者は、方向性結合器10a,10bが奏する効果をより明確にするために、以下に説明するコンピュータシミュレーションを行った。図4は、比較例に係る方向性結合器100の積層体112の分解斜視図である。
本願発明者は、方向性結合器10aの構成を備えた第1のモデル、方向性結合器10bの構成を備えた第2のモデル及び方向性結合器100の構成を備えた第3のモデルを作成した。ここで、方向性結合器100について説明する。
方向性結合器100において方向性結合器10aに対応する構成の参照符号は、方向性結合器10aの構成の参照符号に100を付して表現した。以下に、方向性結合器10aとの相違点を中心に方向性結合器100について簡単に説明する。
主線路部m1及び主線路部m2は、同じ誘電体層116cの表面に設けられている。主線路部m1と主線路部m2とは逆方向に周回している。そして、主線路部m1の外周端と主線路部m2の外周端とが電気的に接続されている。また、副線路部s1及び副線路部s2は、同じ誘電体層116dの表面に設けられている。副線路部s1と副線路部s2とは逆方向に周回している。そして、副線路部s1の外周端と副線路部s2の外周端とが電気的に接続されている。
本願発明者は、以上のような第1のモデルないし第3のモデルに対して0.1GHz〜6.0GHzの高周波信号を入力させ、第1のモデルないし第3のモデルのスミスチャートを作成した。図5Aは、第3のモデルのスミスチャートである。図5Bは、図5Aの拡大図である。図6Aは、第1のモデルのスミスチャートである。図6Bは、図6Aの拡大図である。図7Aは、第2のモデルのスミスチャートである。図7Bは、図7Aの拡大図である。また、図中の細線は、主線路Mの特性インピーダンスを示し、図中の太線は、副線路Sの特性インピーダンスを示す。また、矢印Aは、主線路Mの0.7GHzにおける特性インピーダンスを示し、矢印Bは、主線路Mの0.8GHzにおける特性インピーダンスを示している。矢印Cは、副線路Sの0.7GHzにおける特性インピーダンスを示し、矢印Bは、副線路Sの0.8GHzにおける特性インピーダンスを示している。
図5A及び図5Bを参照すると、太線と細線とが離れていることが分かる。これは、主線路Mの特性インピーダンスと副線路Sの特性インピーダンスとの間に差が生じていることを示している。特に、携帯電話の基地局の使用周波数帯域(以下、使用周波数帯域)である0.7GHzにおいて、主線路Mの特性インピーダンス(矢印A(44.712+j4.4247Ω))と副線路Sの特性インピーダンス(矢印C(53.334+j6.130Ω))とが大きくずれている。同様に、使用帯域である0.8GHzにおいて、主線路Mの特性インピーダンス(矢印B(48.541+j5.330Ω))と副線路Sの特性インピーダンス(矢印D(57.453+j5.627Ω))とが大きくずれている。
一方、図6A及び図6Bを参照すると、太線の中心付近と細線の中心付近とが近付いていることが分かる。これは、比較的に低い周波数帯域において、主線路Mの特性インピーダンスと副線路Sの特性インピーダンスとの間の差が小さくなっていることを示している。特に、使用帯域である0.7GHzにおいて、主線路Mの特性インピーダンス(矢印A(48.682+j1.797Ω))と副線路Sの特性インピーダンス(矢印C(47.770+j2.069Ω))とが近づいている。同様に、使用帯域である0.8GHzにおいて、主線路Mの特性インピーダンス(矢印B(51.408+j1.226Ω))と副線路Sの特性インピーダンス(矢印D(51.016+j1.844Ω))とが近づいている。よって、第2のモデル(方向性結合器10a)は、第1のモデル(方向性結合器100)に比べて、主線路Mの特性インピーダンスと副線路Sの特性インピーダンスとの差が小さくなっていることが分かる。
また、図7A及び図7Bを参照すると、太線と細線とが全体的に近付いていることが分かる。これは、0.1GHz〜6.0GHzの周波数帯域において、主線路Mの特性インピーダンスと副線路Sの特性インピーダンスとの間の差が小さくなっていることを示している。特に、使用帯域である0.7GHzにおいて、主線路Mの特性インピーダンス(矢印A(47.787+j5.108Ω))と副線路Sの特性インピーダンス(矢印C(48.269+j5.273Ω))とが近づいている。同様に、使用帯域である0.8GHzにおいて、主線路Mの特性インピーダンス(矢印B(51.897+j4.786Ω))と副線路Sの特性インピーダンス(矢印D(52.379+j4.894Ω))とが近づいている。よって、第3のモデル(方向性結合器10b)は、第1のモデル(方向性結合器100)に比べて、主線路Mの特性インピーダンスと副線路Sの特性インピーダンスとの差が小さくなっていることが分かる。
次に、本願発明者は、第1のモデル及び第2のモデルの磁界分布を調べた。図8Aは、第1のモデルの磁界分布を示した図である。図8Bは、第2のモデルの磁界分布を示した図である。
第1のモデルでは、主線路部m1と主線路部m2とが強く磁界結合し、副線路部s1と副線路部s2とが強く磁界結合している。一方、第2のモデルでは、主線路部m1と主線路部m2とが弱く磁界結合し、副線路部s1と副線路部s2とが弱く磁界結合している。したがって、図8A及び図8Bに示すように、第1のモデルの方が第2のモデルよりも強い磁界が発生している。
(その他の実施形態)
本発明に係る方向性結合器は、前記実施形態に係る方向性結合器10a,10bに限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。
なお、方向性結合器10a,10bの構成を任意に組み合わせてもよい。
なお、方向性結合器10a,10bにおいて、グランド導体20が設けられていなくてもよい。この場合、方向性結合器10a,10bが実装される回路基板に内蔵されたグランド導体と主線路M及び副線路Sとの間に容量が形成される。
また、方向性結合器10a,10bにおいて、グランド導体20は、主線路M及び副線路Sよりも上側に設けられていてもよい。
また、方向性結合器10a,10bにおいて、主線路M及び副線路Sよりも上側にグランド導体が設けられ、主線路M及び副線路Sよりも下側にグランド導体20が設けられてもよい。
また、方向性結合器10a,10bでは、主線路部m1,m2の線幅及び副線路部s1,s2の線幅は等しいが、これらは等しくなくてもよい。これにより、主線路部m1と副線路部s2との電界結合の強度を調整することができる。同様に、主線路部m2と副線路部s1との電界結合の強度を調整することができる。
また、主線路部m1の形状と副線路部s2の形状とは異なっていてもよいし、主線路部m2の形状と副線路部s1の形状とは異なっていてもよい。
本発明は、方向性結合器に適用可能であり、特に、主線路の特性インピーダンスと副線路の特性インピーダンスとの間に差が発生することを抑制できる点において優れている。
10a,10b:方向性結合器
12:積層体
14a〜14j:外部電極
16a〜16k:誘電体層
18a〜18d:引き出し導体
20:グランド導体
22:接続導体
M:主線路
S:副線路
m1,m2:主線路部
s1,s2:副線路部
v1〜v6,v11〜v14:ビアホール導体

Claims (9)

  1. 第1の誘電体層及び第2の誘電体層を含む複数の誘電体層が積層されて構成されている積層体と、
    互いに電気的に直列に接続されている第1の主線路部及び第2の主線路部を含む主線路と、
    互いに電気的に直列に接続されている第1の副線路部及び第2の副線路部を含む副線路であって、前記主線路と電磁気的に結合している副線路と、
    を備えており、
    前記第1の主線路部及び前記第1の副線路部は、前記第1の誘電体層上に設けられており、
    前記第2の主線路部及び前記第2の副線路部は、前記第2の誘電体層上に設けられており、
    積層方向から平面視したときに、前記第1の主線路部と前記第2の副線路部とが重なっていると共に、前記第1の副線路部と前記第2の主線路部とが重なっており
    前記第1の主線路部、前記第2の主線路部、前記第1の副線路部及び前記第2の副線路部は、積層方向から平面視したときに、渦巻状をなしていること、
    を特徴とする方向性結合器。
  2. 前記第2の誘電体層は、前記第1の誘電体層よりも積層方向の一方側に設けられており、
    前記複数の誘電体層は、前記第2の誘電体層よりも積層方向の一方側に設けられている第3の誘電体層を更に含んでおり、
    前記方向性結合器は、
    前記第3の誘電体層上に設けられている第1のグランド導体を、
    更に備えていること、
    を特徴とする請求項1に記載の方向性結合器。
  3. 前記第1のグランド導体は、積層方向から平面視したときに、前記第2の主線路部及び前記第2の副線路部に重なっていること、
    を特徴とする請求項2に記載の方向性結合器。
  4. 前記第1の主線路部と前記第2の副線路部とは、積層方向から平面視したときに、外周側から内周側へと第1の方向に周回し、かつ、互いに並走しており、
    前記第1の副線路部と前記第2の主線路部とは、積層方向から平面視したときに、外周側から内周側へと前記第1の方向に周回し、かつ、互いに並走していること、
    を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の方向性結合器。
  5. 前記誘電体層は、積層方向から平面視したときに、長方形状をなしており、
    前記第1の主線路部及び前記第1の副線路部は、積層方向から平面視したときに、点対称な図形をなしており、
    前記第2の主線路部及び前記第2の副線路部は、積層方向から平面視したときに、点対称な図形をなしていること、
    を特徴とする請求項に記載の方向性結合器。
  6. 前記第1の主線路部と前記第2の副線路部とは、積層方向から平面視したときに、外周側から内周側へと第1の方向に周回し、かつ、互いに並走しており、
    前記第1の副線路部と前記第2の主線路部とは、積層方向から平面視したときに、外周側から内周側へと前記第1の方向の反対方向である第2の方向に周回し、かつ、互いに並走していること、
    を特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の方向性結合器。
  7. 前記第1の主線路部の外周側の端部と前記第2の主線路部の外周側の端部とが電気的に接続されており、
    前記第1の副線路部の外周側の端部と前記第2の副線路部の外周側の端部とが電気的に接続されており、
    前記複数の誘電体層は、前記第1の誘電体層よりも積層方向の他方側に設けられている第4の誘電体層、及び、前記第2の誘電体層よりも積層方向の一方側に設けられている第5の誘電体層を更に含んでおり、
    前記方向性結合器は、
    第1の外部電極、第2の外部電極、第3の外部電極及び第4の外部電極と、
    前記第4の誘電体層上に設けられ、かつ、前記第1の外部電極と前記第1の主線路部の内周側の端部とを電気的に接続する第1の引き出し導体と、
    前記第5の誘電体層上に設けられ、かつ、前記第2の外部電極と前記第2の主線路部の内周側の端部とを電気的に接続する第2の引き出し導体と、
    前記第4の誘電体層上に設けられ、かつ、前記第3の外部電極と前記第1の副線路部の内周側の端部とを電気的に接続する第3の引き出し導体と、
    前記第5の誘電体層上に設けられ、かつ、前記第4の外部電極と前記第2の副線路部の内周側の端部とを電気的に接続する第4の引き出し導体と、
    更に備えていること、
    を特徴とする請求項ないし請求項のいずれかに記載の方向性結合器。
  8. 前記第1の引き出し導体、前記第2の引き出し導体、前記第3の引き出し導体及び前記第4の引き出し導体は、直線状をなしていること、
    を特徴とする請求項に記載の方向性結合器。
  9. 前記第1の引き出し導体と前記第4の引き出し導体とは、積層方向から平面視したときに、実質的に二等辺三角形の等しい長さの2辺を形成し、
    前記第2の引き出し導体と前記第3の引き出し導体とは、積層方向から平面視したときに、実質的に二等辺三角形の等しい長さの2辺を形成していること、
    を特徴とする請求項に記載の方向性結合器。
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