以下、図面を参照して、実施形態に係る超音波診断装置および制御プログラムを説明する。そして、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
(第1の実施形態)
第1の実施形態では、利用者の最終操作に基づき、操作対象とする関心領域を設定する超音波診断装置について図1から図5を用いて説明する。
[第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成]
まず、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成について説明する。図1は、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブ1、タッチパネル2、操作部3、及び装置本体10を有する。
超音波プローブ1は、超音波の送受信を行なうために装置本体10に接続される。超音波プローブ1は、例えば、複数の圧電振動子を有する。各圧電振動子は、後述する装置本体10が有する送信部11から供給される駆動信号に基づいて超音波を発生し、さらに、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ1は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材などを有する。
かかる超音波プローブ1によって被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、超音波プローブ1が有する複数の圧電振動子によって反射波信号として受信される。この反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが移動している血流や心臓壁などの表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して周波数偏移を受ける。
操作部3は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、トラックボールなどの入力デバイスを有しており、入力デバイスを介して利用者から各種設定要求を受け付ける。そして、操作部3は、受け付けた各種設定要求を装置本体10に転送する。
タッチパネル2は、装置本体10により生成された超音波画像データを表示するモニタなどの表示デバイスであるとともに、入力デバイスとしての機能を有する。具体的には、タッチパネル2は、超音波診断装置の利用者から各種操作を受け付けるタッチインタフェースとしての機能を有する。例えば、利用者は、タッチパネル2に表示された超音波画像を参照しながら、タッチパネル2の表示面に指等を接触させた状態で種々の動作を行なうことで、各種設定を入力する。そして、タッチパネル2は、受け付けた各種設定要求を装置本体10に転送する。
装置本体10は、超音波プローブ1によって受信された反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する。図1に示すように、装置本体10は、送信部11、受信部12、Bモード処理部13、ドプラ処理部14、画像処理部15、画像メモリ16、制御部17、及び内部記憶部18を有する。
送信部11は、トリガ発生回路、送信遅延回路及びパルサ回路などを有し、超音波プローブ1に駆動信号を供給する。パルサ回路は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延回路は、超音波プローブ1から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために用いられる圧電振動子ごとの送信遅延時間を、パルサ回路が発生する各レートパルスに対し与える。また、トリガ発生回路は、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ1に駆動信号を供給する。
受信部12は、アンプ回路、A/D変換器、加算器などを有し、超音波プローブ1が受信した反射波信号に対して各種処理を行なって反射波データを生成する。アンプ回路は、反射波信号を増幅してゲイン補正処理を行ない、A/D変換器は、ゲイン補正された反射波信号をA/D変換して受信指向性を決定するのに必要な受信遅延時間を与え、加算器は、A/D変換器によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調される。
このように、送信部11及び受信部12は、超音波の送受信における送信指向性と受信指向性とを制御する。
Bモード処理部13は、受信部12から反射波データを受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
ドプラ処理部14は、受信部12から受け取った反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワーなどの移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
画像処理部15は、Bモード処理部13が生成したBモードデータや、ドプラ処理部14が生成したドプラデータから、超音波画像データを生成する。例えば、画像処理部15は、BモードデータからBモード画像データを生成する。また、例えば、画像処理部15は、ドプラデータから平均速度画像、分散画像、パワー画像、又は、これらの組み合わせ画像としてのカラードプラ(Color Doppler)画像データを生成する。また、画像処理部15は、Bモードデータの時系列データから、利用者が設定したレンジゲートにおけるM(Motion)モード画像データを生成する。また、画像処理部15は、ドプラデータの時系列データから、利用者が設定したレンジゲートにおける血流や組織の速度情報を時系列に沿ってプロットしたドプラ波形画像データを生成する。なお、ドプラ波形画像データは、連続波(CW:Continuous Wave)ドプラ法やパルス波(PW:Pulsed Wave)ドプラ法により収集されたドプラデータから生成される。
画像メモリ16は、画像処理部15によって生成された超音波画像データを記憶する。
制御部17は、超音波診断装置における処理全体を制御する。例えば、制御部17は、操作部3を介して利用者から入力された各種設定要求や、内部記憶部18から読込んだ各種制御プログラム及び各種設定情報に基づいて、送信部11、受信部12、Bモード処理部13、ドプラ処理部14、及び画像処理部15を制御する。
また、制御部17は、画像メモリ16によって記憶された超音波画像データをタッチパネル2に表示させる。なお、この制御部17については、図2を用いて後述する。
内部記憶部18は、超音波送受信や画像処理、表示処理などの各種処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者IDや医師の所見など)、診断プロトコル、各種設定情報などの各種データを記憶する。また、内部記憶部18は、必要に応じて、画像メモリ16が記憶する画像の保管などにも使用される。なお、内部記憶部18が記憶するデータは、図示しないインターフェース回路を経由して、外部の周辺装置へ転送することができる。
[第1の実施形態に係る制御部の構成]
次に、図2を用いて、第1の実施形態に係る制御部17の詳細な構成について説明する。図2は、第1の実施形態に係る制御部17の詳細な構成の一例を示す機能ブロック図である。図2に示すように、制御部17は、表示制御部51と、判定部52と、経過時間計測部53と、選択部54と、変更部55とを有する。
表示制御部51は、画像メモリ16によって記憶された超音波画像データをタッチパネル2に表示させる。例えば、表示制御部51は、超音波診断装置を用いて行なわれる超音波検査において、各種撮像モードで生成された各種超音波画像データをタッチパネル2に表示させる。以下では、Bモード画像を撮像するモードをBモードと称し、Mモード画像を撮像するモードをMモードと称するものとする。また、以下では、カラードプラ画像を撮像するモードをCモードと称し、ドプラ波形画像を撮像するモードをDモードと称するものとする。また、以下では、カラードプラ画像をCモード画像と称し、ドプラ波形画像をDモード画像と称するものとする。
また、表示制御部51は、各撮像モードに対応するROIをタッチパネル2に表示させる。ここで、Mモード画像におけるROIのことを「M−ROI」と称し、Dモード画像におけるROIのことを「D−ROI」と称し、Cモード画像におけるROIのことを「C−ROI」と称し、Bモード画像におけるROIのことを「B−ROI」と称するものとする。
ここで、超音波診断装置を用いて行なわれる超音波検査の処理手順と、超音波検査の処理の進行に伴い表示制御部51に表示されるROIとの関係について、図3を用いて説明する。図3は、超音波検査の手順の一例を示すフローチャートである。図3に示すように、超音波診断装置を用いた一般的な超音波検査では、検査開始とともに、撮像モードとしてBモードが設定され、利用者は、超音波プローブ1を操作して、Bモード画像の撮像を行なう。これにより、表示制御部51は、Bモード画像を表示し(ステップS101)、B−ROIを表示させる(ステップS102)。ステップS102で表示されるB−ROIは、Bモード画像を参照する利用者が、例えば、Bモード用の走査範囲を変更設定するための関心領域や、Bモード画像を用いた計測を行なう範囲を設定するための関心領域である。利用者は、表示されたB−ROIの移動、変形を行なって、Bモード用の走査範囲や計測範囲を設定する。続いて、超音波診断装置は、計測用に設定されたB−ROIにおいて、Bモード画像の計測(距離計測や面積計測、輝度計測等)を行ない、計測結果の保存を行う(ステップS103)。
利用者は、Bモード画像を用いた計測後、例えば、血流に関する情報を取得するために、撮像モードをCモードに移行する。これにより、表示制御部51は、カラードプラ表示(カラードプラ画像の表示)をオンにする(ステップS104)。また、表示制御部51は、C−ROIを表示させる(ステップS105)。ステップS105で表示されるC−ROIは、Cモード画像を参照する利用者が、例えば、Cモード用の走査範囲を変更設定するための関心領域や、Cモード画像を用いた計測用を行なう範囲を設定するための関心領域である。利用者は、表示されたC−ROIの移動、変形を行なって、Cモード用の走査範囲や計測範囲を設定する。続いて、超音波診断装置は、計測用に設定されたC−ROIにおいて、Cモード画像の計測(平均血流速度の計測等)を行ない、計測結果の保存を行う(ステップS106)。
利用者は、Cモード画像を用いた計測後、例えば、血流に関する更に詳細な情報を取得するために、撮像モードを、パルス波を用いたDモードに移行する。これにより、表示制御部51は、パルスドプラ表示(パルス波ドプラ波形画像であるDモード画像の表示)をオンにする(ステップS107)。ステップS107で表示されるDモード画像は、初期的なレンジゲートのDモード画像である。また、表示制御部51は、D−ROIを表示させる(ステップS108)。ステップS108で表示されるD−ROIは、Cモード画像を参照する利用者が、Dモード用のレンジゲートを設定するための関心領域である。続いて、超音波診断装置は、利用者が設定したD−ROIのDモード画像の計測(最大血流速度の計測等)を行ない、計測結果の保存を行う(ステップS109)。超音波診断装置は、ステップS109の終了後、処理を終了する。なお、例えば、BモードからCモードへの移行前に、Mモードに移行される場合もある。かかる場合、超音波診断装置は、Mモード用のレンジゲートを設定するためのM−ROIを表示し、利用者が設定したM−ROIのMモード画像の計測を行ない、計測結果の保存を行う。このように、表示制御部51は、超音波検査の処理の進行に伴い、タッチパネル2に複数のROIを表示する。
このように、タッチインタフェースを備えた超音波診断装置を用いた超音波検査では、様々なROIが表示される。このため、利用者は、操作の対象とするROIを正確に操作することが困難になる場合がある。そこで、第1の実施形態に係る制御部17は、図2に示す判定部52、経過時間計測部53、選択部54および変更部55を用いた制御処理を行なう。
図2に示す判定部52は、タッチパネル2への接触を利用者から受付けた場合、いずれの撮像モードに設定されているかを判定する。
経過時間計測部53は、超音波診断装置に対する操作が行われてから、接触を受け付けるまでの経過時間を計測する。
選択部54は、判定部52により判定された撮像モードと経過時間計測部53により計測された経過時間とに基づいて、タッチパネル2に表示されている複数のROIから操作対象とするROIを選択する。
具体的には、選択部54は、判定部52により判定された撮像モードで利用者が最後の操作を行ってから所定の時間が経過している場合、タッチパネル2に表示されている複数のROIから、該撮像モードに対応するROIを操作対象とするROIに選択する。例えば、選択部54は、所定の時間として「10秒」が経過したか否かを判定する。なお、この所定の時間は、変更可能である。
より具体的には、選択部54は、判定部52により判定された撮像モードで利用者が最後の操作を行ってから所定の時間が経過せず、かつ、直前の操作が該撮像モードに関する操作である場合、該撮像モードに対応するROIを操作対象とするROIに選択する。このように、選択部54は、利用者の最終操作に基づき、操作対象とするROIを設定する。
変更部55は、選択部54により操作対象として選択されたROIを、受け付けたタッチパネルへの接触に応じて変更する。
上記の判定部52、経過時間計測部53、選択部54および変更部55の処理の一例について、図4Aから図4Dを用いて説明する。以下では、図4A及び図4Bを用いて、C−ROIとB−ROIとが重なる場合に、C−ROIのサイズを変更する処理動作を説明する。そして、図4C及び図4Dを用いて、M−ROIとC−ROIとが重なる場合に、M−ROIを移動させる処理動作について説明する。なお、ここでは、各ROIが、各撮像モード用の走査範囲を変更設定するための関心領域である場合を説明する。ただし、以下で説明する内容は、計測を行う範囲を設定するための関心領域にも適用できるものとする。
図4A及び図4Bは、C−ROIとB−ROIとが重なる場合に、C−ROIのサイズを変更する処理動作の一例を示す図である。図4Aは、利用者がBモードからCモードに撮像モードを切り替えた結果、Bモード画像が表示された後、Cモード画像が表示されており、また、C−ROI100aとB−ROI100bとが重なって表示されている場合を示す。なお、図4Aでは、C−ROI100aを実線で示し、B−ROI100bを破線で示す。
図4Aに示す例では、判定部52は、タッチパネル2への接触を利用者から受付けた時点で、直前の表示画像がCモード画像であることから、Cモードであると判定する。あるいは、判定部52は、タッチパネル2への接触を利用者から受付けた時点で利用者が直前の操作がCモード画像を用いた計測であることから、Cモードであると判定する。したがって、選択部54は、Cモード用のROIであるC−ROI100aを操作対象に設定する。かかる設定により、C−ROI100aは、利用者の操作を受付け可能な状態(アクティブ)となり、B−ROI100bは、利用者の操作を受付け不可の状態(インアクティブ)となる。
そして、図4A中の2つの白抜き丸で示す各領域に利用者が指を当接し、白抜き丸間の距離を近づけるように指を動かす動作をした場合、図4Bに示すように、アクティブであるC−ROI100aのサイズが変更される。すなわち、図4Bに示すように、利用者が指を動かした動作に応じて、C−ROI100aのサイズが縮小される。また、この場合、インアクティブであるB−ROI100bのサイズは変更されない。
従来では、操作対象とするC−ROI100aと操作対象としないB−ROI100bとが近接する場合、利用者の指が接触する位置によっては、利用者が操作を行ないたくないB−ROI100bのサイズが変更される場合があった。一方、第1の実施形態に係る超音波診断装置によれば、利用者の最終操作に基づき、操作対象とするROIを設定するので、利用者の指が接触する位置が操作対象としないB−ROI100bに接触していても、操作対象とするC−ROI100aのサイズを変更することができる。
図4C及び図4Dは、M−ROIとC−ROIとが重なる場合に、M−ROIを移動させる処理動作の一例を示す図である。図4Cは、利用者がBモードからCモードに撮像モードを切り替え、さらに、Mモードに切り替えた結果、Bモード画像、Cモード画像が表示された後、Mモード画像が表示されており、また、M−ROI100cとC−ROI100dとが表示されている場合を示す。
図4Cに示す例では、判定部52は、タッチパネル2への接触を利用者から受付けた時点で、直前の表示画像がMモード画像であることから、Mモードであると判定する。あるいは、判定部52は、タッチパネル2への接触を利用者から受付けた時点で利用者が行なった操作がMモード画像を用いた計測であることから、Mモードであると判定する。したがって、選択部54は、M−ROI100cを操作対象に設定する。かかる設定により、M−ROI100cは、アクティブとなり、C−ROI100dは、インアクティブとなる。
そして、図4C中の白抜き丸で示す領域に利用者が指を当接し、白抜き丸を右側に移動させるように指を動かす動作をした場合、図4Dに示すように、アクティブであるM−ROI100cの位置が変更される。すなわち、図4Dに示すように、利用者が指を右側に動かした動作に応じて、M−ROI100cの位置が右側に移動する。また、この場合、インアクティブであるC−ROI100dの位置は変更されない。
従来では、操作対象とするM−ROI100cと操作対象としないC−ROI100dとが近接する場合、利用者の指が接触する位置によっては、利用者が操作を行ないたくないC−ROI100dの位置が変更される場合があった。一方、第1の実施形態に係る超音波診断装置によれば、利用者の最終操作に基づき、操作対象とするROIを設定するので、利用者の指が接触する位置が操作対象としないC−ROI100dに接触していても、操作対象とするM−ROI100cの位置を移動することができる。なお、判定部52が経過時間に基づいて行なう判定処理の一例については、図5を用いて、以下、詳細に説明する。
[第1の実施形態に係る制御部による処理の手順]
図5は、第1の実施形態に係る制御部17による処理の手順を示すフローチャートである。ここでは、撮像モードとして、Dモード画像、Cモード画像、及びBモード画像を表示する場合について説明するが、撮像モードは、Dモード画像、Cモード画像、及びBモード画像に限定されるものではない。
図5に示すように、判定部52は、D−ROIが表示されているか否かを判定する(ステップS201)。判定部52は、D−ROIが表示されていないと判定する場合(ステップS201、No)、後述するステップS205の処理を実行する。
一方、判定部52により、D−ROIが表示されていると判定される場合(ステップS201、Yes)、選択部54は、直前の操作から所定の時間以上経過しているか否かを判定する(ステップS202)。なお、直前の操作からの経過時間は、経過時間計測部53により計測される。
ここで、選択部54は、直前の操作から所定の時間以上経過していると判定する場合(ステップS202、Yes)、後述するステップS204の処理を実行する。また、選択部54は、直前の操作から所定の時間以上経過していないと判定する場合(ステップS202、No)、直前の操作がDモード画像に関わるか否かを判定する(ステップS203)。
ここで、選択部54は、直前の操作がDモード画像に関わると判定する場合(ステップS203、Yes)、D−ROIを操作対象に設定する(ステップS204)。選択部54により、直前の操作がDモード画像に関わらないと判定される場合(ステップS203、No)、判定部52は、C−ROIが表示されているか否かを判定する(ステップS205)。判定部52により、C−ROIが表示されていないと判定される場合(ステップS205、No)、選択部54は、後述するステップS209の処理を実行する。
判定部52により、C−ROIが表示されていると判定される場合(ステップS205、Yes)、選択部54は、直前の操作から所定の時間以上経過しているか否かを判定する(ステップS206)。そして、選択部54は、直前の操作から所定の時間以上経過していると判定する場合(ステップS206、Yes)、後述するステップS208の処理を実行する。
また、選択部54は、直前の操作から所定の時間以上経過していないと判定する場合(ステップS206、No)、直前の操作がCモード画像に関わるか否かを判定する(ステップS207)。ここで、選択部54は、直前の操作がCモード画像に関わると判定する場合(ステップS207、Yes)、C−ROIを操作対象に設定する(ステップS208)。
一方、選択部54は、ステップS207において、直前の操作がCモード画像に関わらないと判定される場合(ステップS207、Yes)、B−ROIを操作対象に設定する(ステップS209)。制御部17は、ステップS204、ステップS208、及びステップS209の終了後、処理を終了する。
上述したように、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、利用者の最終操作に基づき、操作対象とするROIを設定する。これにより、第1の実施形態に係る超音波診断装置によれば、操作可能なROIが複数存在する場合でも、正確な操作をすることができる。
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、超音波診断装置が利用者の最終操作に基づき、操作対象とするROIを設定する例について説明した。ところが、直前の操作から所定の時間以上経過していても、利用者は、設定されている撮像モード以外の撮像モードに対応するROIを操作対象に設定する場合がある。
そこで、第2の実施形態では、超音波診断装置において、タッチパネルに表示されている各ROIの操作を可能とする選択領域を新たにタッチパネル上に表示させる場合について図6から図8を用いて説明する。
第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成は、図6に示す制御部17aを有する点を除いて、図1に示した第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成と同様である。図6を用いて、制御部17aの詳細な構成について説明する。図6は、第2の実施形態に係る制御部17aの詳細な構成の一例を示すブロック図である。図6に示すように、制御部17aは、表示制御部51aと、変更部55aとを有する。
表示制御部52aは、タッチパネルへの接触を利用者から受付けた場合、タッチパネル2に表示されている各ROIの操作を可能とする選択領域を新たにタッチパネル2上に表示させる。表示制御部52aは、利用者から操作を受付けた選択領域を拡大して表示しても良い。
変更部55aは、表示制御部52aにより表示されている選択領域のいずれかに対する操作を利用者から受付け、該選択領域への操作に応じて、該選択領域により操作が可能なROIを変更する。
次に、図7Aから図7Eを用いて、制御部17aによる処理動作を説明する。図7Aから図7Eは、C−ROIとB−ROIとが重なる場合に、C−ROIのサイズを変更する処理動作の一例を示す図である。なお、ここでは、各ROIが、各撮像モード用の走査範囲を変更設定するための関心領域である場合を説明する。
図7Aは、図4Aと同様に、C−ROI200aとB−ROI200bとが重なって表示されている場合を示す。なお、ここでは、C−ROI200aを実線で示し、B−ROI200bを破線で示す。
そして、図7A中の2つの白抜き丸で示す2つの領域に利用者が指を当接した場合、表示制御部52aは、図7Bに示すように、タッチパネル2に表示されている各ROIの操作を可能とする選択領域200c及び選択領域200dを新たにタッチパネル2上に表示させる。図7Bに示す例では、選択領域200cは、C−ROI200aの操作を可能とし、選択領域200dは、B−ROIの操作を可能とする。
図7Cは、C−ROI200aの操作を可能とする選択領域200cの操作を利用者から受付けた場合を示す。なお、ここでは、C−ROI200aのサイズを縮小する操作を受付けた場合を示す。具体的には、図7Cの選択領域200c中の2つの白抜き丸で示す各領域に利用者が指を当接し、白抜き丸間の距離を近づけるような指を動かす動作をした場合、図7Dに示すように、C−ROI200aのサイズが変更される。
すなわち、図7Dに示すように、利用者が指を動かした動作に応じて、C−ROI200aのサイズが縮小される。また、この場合、B−ROI200bのサイズは変更されない。なお、ROIのサイズを変更する操作が終了後、選択領域200c及び選択領域200dは、タッチパネル上から消去される。
従来では、利用者の指が接触する位置によっては、B−ROI200bのサイズが変更される場合があった。一方、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、タッチパネル2に表示されているROIの操作を可能とする選択領域を新たにタッチパネル2上に表示させ、選択領域のいずれかに対する操作を利用者から受付ける。そして、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、選択領域への操作に応じて、選択領域により操作が可能なROIを変更する。これにより、第2の実施形態に係る超音波診断装置によれば、例えば、B−ROI200bとC−ROI200aとが近接していても、利用者が操作対象とするC−ROI200aのサイズを正確に変更することができる。
また、図7Cでは、図7Bにおいて、C−ROI200aの操作を可能にする選択領域200cの操作を利用者から受付けた場合の処理動作を説明した。ここで、表示制御部51が、図7Bにおいて、C−ROI200aの操作を可能にする選択領域200cの操作を利用者から受付けた場合、この選択領域200cを拡大して表示する変形例を、図7Eを用いて説明する。
図7Eに示すように、表示制御部51aは、図7BにおいてC−ROI200aの操作を可能とする選択領域200cの操作を利用者から受付けた場合、利用者から操作を受付けたC−ROI200aの操作を可能とする選択領域200cを拡大した選択領域200eを表示する。これにより、利用者は、操作対象とするC−ROI200aのサイズをより正確に変更することができる。
次に、図8を用いて、第2の実施形態に係る制御部17aによる処理の手順を説明する。図8は、第2の実施形態に係る制御部17aによる処理の手順を示すフローチャートである。図8に示すように、表示制御部51aは、D−ROIが表示されているか否かを判定する(ステップS301)。ここで、表示制御部51aは、D−ROIが表示されていると判定する場合(ステップS301、Yes)、D−ROI、C−ROI、B−ROIの操作を可能にする選択領域を表示する(ステップS302)。
一方、表示制御部51aは、D−ROIが表示されていないと判定する場合(ステップS301、No)、C−ROIが表示されているか否かを判定する(ステップS303)。そして、表示制御部51aは、C−ROIが表示されていると判定する場合(ステップS303、Yes)、C−ROI、B−ROIの操作を可能にする選択領域を表示する(ステップS304)。
一方、表示制御部51aは、C−ROIが表示されていないと判定する場合(ステップS303、No)、B−ROIの操作を可能にする選択領域を表示する(ステップS305)。表示制御部51aは、ステップS302、ステップS304、及びステップS305の終了後、処理を終了する。
上述したように、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、タッチパネルに表示されている各ROIの操作を可能とする選択領域を新たにタッチパネル上に表示させ、利用者から操作を受付けた領域を操作対象に設定する。これにより、第2の実施形態に係る超音波診断装置によれば、操作可能なROIが複数存在する場合でも、正確な操作をすることができる。
さらに、第2の実施形態に係る超音波診断装置は、利用者から操作を受付けた選択領域を拡大して表示する。これにより、第2の実施形態に係る超音波診断装置によれば、操作対象とするROIをより正確に操作することができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態では、第1の実施形態と第2の実施形態とを組み合わせた超音波診断装置について、図9及び図10を用いて説明する。
第3の実施形態に係る超音波診断装置の構成は、図9に示す制御部17bを有する点を除いて、図1に示した第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成と同様である。図9を用いて、制御部17bの詳細な構成について説明する。図9は、第3の実施形態に係る制御部17bの詳細な構成の一例を示すブロック図である。図9に示すように、制御部17bは、表示制御部51aと、判定部52と、経過時間計測部53と、選択部54aと、変更部55とを有する。なお、ここでは、図2及び図6に示した各部と同様の役割を果たす機能部については、同一符号を付すことにしてその詳細な説明を省略する。
選択部54aは、判定部52により判定された撮像モードと経過時間とに基づいて選択するROIあるいは、表示制御部51aにより表示されている選択領域のいずれかのうち、利用者から操作を受付けた領域を操作対象に選択する。
次に、図10を用いて、第3の実施形態に係る制御部17bによる処理の手順を説明する。図10は、第3の実施形態に係る制御部17bによる処理の手順を示すフローチャートである。図10に示すように、制御部17bは、操作対象判定処理を実行する(ステップS401)。なお、この操作対象判定処理は、図5に示した処理に対応する。
続いて、制御部17bは、選択領域表示処理を実行する(ステップS402)。なお、この選択領域表示処理は、図8に示した処理に対応する。そして、表示制御部51aは、利用者から操作を受付けたことを検知する(ステップS403)。そして、表示制御部51aは、受付けた操作が選択領域の操作であるか否かを判定する(ステップS404)。
ここで、表示制御部51aにより、受付けた操作が選択領域の操作でないと判定される場合(ステップS404、No)、選択部54aは、操作対象判定処理で設定したROIを操作対象に決定する(ステップS405)。一方、表示制御部51aにより、受付けた操作が選択領域の操作であると判定される場合(ステップS404、No)、選択部54aは、操作を受付けた選択領域を操作対象に決定する(ステップS406)。なお、制御部17bは、ステップS405、ステップS406の終了後、処理を終了する。
上述したように、第3の実施形態に係る超音波診断装置は、利用者の最終操作に基づき、操作対象とするROIを設定する。また、第3の実施形態に係る超音波診断装置は、タッチパネルに表示されている各ROIの操作を可能とする選択領域を新たにタッチパネル上に表示させる。そして、第3の実施形態に係る超音波診断装置は、利用者から操作を受付けた領域を操作対象に設定する。これにより、第3の実施形態に係る超音波診断装置によれば、操作可能なROIが複数存在する場合でも、正確な操作をすることができる。
なお、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
また、上述の実施形態で説明した超音波診断装置による処理は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション、PACS(Picture Archiving and Communication System)の画像保管装置(画像サーバ)や、ビューワ、電子カルテシステムの各種装置などのコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
以上、説明したとおり、第1〜第3の実施形態によれば、操作可能な関心領域が複数存在する場合でも、正確な操作をすることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。